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▶ ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパスト−ナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】光起電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/12 20230101AFI20231025BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20231025BHJP
   H10K 30/83 20230101ALI20231025BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20231025BHJP
   H01L 31/0465 20140101ALI20231025BHJP
【FI】
H10K39/12
H10K30/50
H10K30/83
H10K30/40
H01L31/04 532B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021503132
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 NL2019050472
(87)【国際公開番号】W WO2020022885
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】18185515.6
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502015784
【氏名又は名称】ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパスト-ナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ランゲン,アドリアヌス ペトルス
(72)【発明者】
【氏名】リフカ,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】デフリース,イケ ゲルケ
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-201378(JP,A)
【文献】特開2013-191619(JP,A)
【文献】国際公開第2011/061950(WO,A1)
【文献】特開2016-201486(JP,A)
【文献】特開2013-149697(JP,A)
【文献】特開昭62-088371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 39/10-39/18
H01L 31/046-31/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光起電デバイスセル(10A)と、連続方向(DS)において該第1の光起電デバイスセル(10A)の後に続き、且つ該第1の光起電デバイスセル(10A)と電気的に直列接続された第2の光起電デバイスセル(10B)と、の1対を少なくとも備えている光起電デバイス(10)を製造する方法であって該方法が、
上記連続方向において互いに独立しているそれぞれの透明電極層領域(11A、...、11D)を有する透明電極層を用意すること、
各透明電極領域の表面上に1以上の電気導体(121A、...124A)のそれぞれの組(12A)を形成すること、ここで、該電気導体は、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該第1の主面と反対側の第2の主面を有し、ここで、該第2の主面は、該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する露出された端部部分(121A1)を有し、該第2の主面の残りの部分(121A2)は電気的に絶縁されている、
それぞれの光起電層領域(14A、...、14D)を堆積すること、ここで、各光起電層領域は、該それぞれの透明電極領域(11A、...、11D)上に、及び該それぞれの組の該1以上の導体の該絶縁された部分上に延在する、並びに
該それぞれの光起電層領域(14A、...、14D)上に延在するそれぞれのさらなる電極領域(15A、...、15D)を、光起電デバイスセルごとに堆積すること、ここで、該第1の光起電層領域(14A)上に延在する、前記第1の光起電デバイスセル(10A)の該さらなる電極領域(15A)はまた、該第2の透明電極層領域(11B)上に形成された、前記第2の光起電デバイスセル(10B)の1以上の電気導体(121B、122B、123B、124B)の該組(12B)の該露出された端部によって形成された該電気接点上に延在する、
の工程を含み、
上記連続方向において互いに独立しているそれぞれの透明電極層領域(11A、...、11D)を有する透明電極層を用意する工程が、
透明な導電性材料からなる連続した透明電極層を堆積すること、及び
そして引き続き、形成されるべき該第1及び該第2の直列に相互接続された光起電デバイスセルの該透明電極層領域同士の間の境界に沿って透明な導電性材料を切除すること、ここで、形成されるべき該境界がジグザグであり、従って該第1及び該第2の光起電デバイスセル(10A、10B)の該透明電極層領域(11A、11B)の端部部分同士が互いにかみ合わせられる、
を含み、
該第2の光起電デバイスセル(10B)の該透明電極層領域(11B)の該端部部分上に該1以上の電気導体(121B、...124B)を堆積すること、及び、
それぞれの電気絶縁層を堆積する際には、該透明電極層領域(11B)の該端部部分上に延在する側において該1以上の電気導体の端部部分を空いたままに残すこと
を含む、
前記方法。
【請求項2】
それぞれの組を形成する工程は、各自のそれぞれの第1の透明電極領域(11A)との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該主面と反対側の第2の主面を有する1以上の電気導体(121A、122A、123A、124A)の該組(12A)を形成する為に、該透明電極の該表面上に導電性材料を堆積する第1の下位工程と、各自の端部部分(121A1)を露出されたままに残して、該1以上の電気導体(121A、122A、123A、124A)の各々の該第2の主面の該残りの部分上にそれぞれの電気絶縁層(131A、132A、133A、134A)を堆積する第2の下位工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれの組を形成する工程は、該透明電極の該表面上に導電性材料の前駆体を堆積する第1の下位工程と、該前駆体を硬化させて、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該主面と反対側の第2の主面を有する1以上の電気導体の該組を形成する中間下位工程と、該さらなる電気接点を形成する為に該端部部分を露出されたままに残して、該第2の主面の該残りの部分上に電気絶縁材料を堆積する第2の下位工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
光起電層領域が、複数のサブ層のスタックとして形成され、少なくとも光起電サブ層を備えている、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の光起電デバイスセル(10A)と、連続方向(DS)において該第1の光起電デバイスセル(10A)の後に続き、且つ該第1の光起電デバイスセル(10A)と電気的に直列接続された第2の光起電デバイスセル(10B)と、の1対(10A、10B)を少なくとも備えている光起電デバイス(10)であって、各光起電デバイスセル(10A、10B)が、
それぞれの透明電極層領域(11A、11B)、ここで、該透明電極層領域(11A、11B)が上記連続方向において互いに独立している、
各透明電極領域の表面上に配置されている1以上の電気導体(121A、...124A)のそれぞれの組(12A、12B)、ここで、該電気導体は、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ上記第1の主面と反対側の第2の主面を有し、ここで、該第2の主面は、該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する露出された端部部分(121A1)を有し、該第2の主面の残りの部分(121A2)は電気的に絶縁されている、
それぞれの光起電層領域(14A、14B)、ここで、各光起電層領域は、該それぞれの透明電極領域(11A、11B)上に、及び該それぞれの組の該1以上の導体の該絶縁された部分上に、延在しており、並びに
該それぞれの光起電層領域(14A、14B)上に延在するそれぞれのさらなる電極領域(15A、15B)、ここで、少なくとも第1の光起電デバイスセル(10A)の該それぞれのさらなる電極領域(15A)はまた、少なくとも第2の光起電デバイスセル(10B)の1以上の電気導体の該組(12B)の該露出された端部(12B1)によって形成された該電気接点上に延在する、
を備えており
ここで、少なくとも第1の光起電デバイスセル(10A)の1以上の電気導体の該組(12A)は、少なくとも第2の光起電デバイスセル(10B)の1以上の電気導体の該組(12B)の該露出された端部(12B1)の位置を超えて、該連続方向に延在しており、少なくとも第1の光起電デバイスセル(10A)の該1以上の電気導体の各々は、少なくとも第2の光起電デバイスセル(10B)の該1以上の電気導体の各々に対して該連続方向を横断する方向にずらされており、
ここで、該第1及び該第2の光起電デバイスセル(10A、10B)の該透明電極層領域(11A、11B)同士が、ジグザグの境界を有し、該第1及び該第2の光起電デバイスセル(10A、10B)の該透明電極層領域(11A、11B)の端部部分が、互いにかみ合わせられており、
ここで、該1以上の電気導体(121B、...124B)は、各自の露出された端部部分を該第2の光起電デバイスセル(10B)の該透明電極層領域(11B)の該端部部分上に重ねられた状態で延在する
前記光起電デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電デバイスに関する。
【0002】
本発明はさらに、該光起電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光起電セルは典型的に、一対の電極の間に配置された光起電層を備えている。該光起電層は、複数のサブ層(sub-layers)のスタックとして形成されうる。該電極の少なくとも一方は、太陽放射が該光起電層に到達することを可能にする為に実質的に透明であるべきである。実質的に透明な該電極は通常、導電性材料、例えば金属、のパターン化された層によりシャントされる。該導電性材料は通常、不透明であるが、パターン化された層が、太陽放射を該光起電層に到達することを可能にする開口部を形成する。光起電デバイスは典型的には、複数のそのようなデバイスセルを直列配置で備えている。それにより、相対的に高い電圧且つ低い電流での動作が可能にされ、抵抗損を低減させるように引き起こされることができる。抵抗損は、効率を直接損なうだけでない。また、放散されたエネルギーの結果として生成される熱が温度の上昇を生じさせ、それにより光起電変換効率に負の影響を与える為、間接的にもそれによって効率が損なわれる。該セルの間の電気的直列接続を作り出す為の典型的な解決法は、機能層を互いの上に重ねて適用し、且つ該セルの全長に沿って流れ方向にP2レーザスクライブで材料を選択的に除去することである。底部電極が露出され、及び頂部電極材料が適用される場合に頂部電極と底部電極とが電気的に直列接続される。該電気的な直列接続は、該セルの全長に沿っている。特に、光起電材料としてペロブスカイトを用いる光起電デバイスにおいて、このプロセスにおいて除去される材料が空中に浮遊した状態になって基板及び周辺を汚染することは不利点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この不利点を少なくとも軽減する、改良された方法を提供することが一つの目的である。
【0005】
該改良された方法による製造を可能にする設計を有する改良された光起電デバイスを提供することがさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下で使用される表現「層」は、厚さ寸法よりも実質的に大きいサイズの横寸法を有する要素を云うことに留意されたい。層は、1以上のサブ層を含みうる。例えば、光起電層又はその横部分が、光子放射を受け取ることに応じて、電荷キャリアを実際に生成する変換に加えて、該変換層がその間に挟まれる電荷キャリアサブ層の対をさらに備えうる。そして、該変換層は、正にドープされ且つ負にドープされたサブ層を備えうる。また、固有の波長範囲に対する特定の感度を各々が有する変換サブ層の組み合わせが提供されうる。別の例として、電極層が、様々な導電性層を備えうる。例えば、相対的に厚い、例えば100~数百nm、例えば190nm、の厚さを有する、アルミニウムサブ層が、数nm、例えば5nm、の厚さを各々が有する相対的に薄いニッケルサブ層の対の間に挟まれる。
【0007】
それに従い、請求項1に特許請求されている方法が提供される。
【0008】
該特許請求されている方法は、下記の工程を含む。
【0009】
第1及び第2の透明電極層領域の少なくとも第1の対を備えている透明電極層を基板上に用意すること、ここで、該第1及び該第2の透明電極層領域は、連続方向において互いに異なっている。該連続方向は例えば、基板が移送される方向に対応しうる。該透明電極層は好適には、透明な導電性材料、例えばITOのような金属酸化物、又は有機透明導電性材料でありうる。透明電極層は、連続堆積法によって基板上に用意され、そして、引き続き、例えばレーザ切除工程により、第1及び第2の透明電極層領域の少なくとも第1の対に分割されうる。代替的には、該透明な導電性材料は、例えばインクジェット印刷のような印刷方法を使用して、又は周期的に中断されるスロット・ダイ・コーティングプロセス(slot-die coating process)を使用して、第1及び第2の透明電極層領域の第1の対として直接施与されうる。
【0010】
各透明電極領域の表面上に1以上の電気導体のそれぞれの組を形成すること、ここで、該電気導体は、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ上記主面と反対側の第2の主面を有し、ここで、該第2の主面は、該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する露出された端部部分を有し、該第2の主面の残りの部分は電気的に絶縁されている。
【0011】
それぞれの光起電層部分を堆積すること、ここで、各光起電層部分は、該それぞれの透明電極領域上に、及び該それぞれの組の該1以上の導体の該絶縁された部分上に延在する。上記で言及された通り、光起電層(部分)は、その例が以下に提示されている複数のサブ層(部分)を備えうる。
【0012】
該それぞれの光起電層領域上に延在するそれぞれのさらなる電極領域を堆積すること、ここで、該第1の光起電層領域上に延在する該さらなる電極領域は、該第2の透明電極層領域上に形成された1以上の電気導体の該組の該露出された端部によって形成された該電気接点上にさらに延在する。
【0013】
このようにして、直列に配置されている第1及び第2の光起電セルを有する光起電デバイスが得られ、ここで、該第1及び該第2の光起電セルはそれぞれ、第1及び第2の透明電極層領域において形成される。該方法は、切除工程の工程を不要にし、それにより、材料が浮遊した状態になること並びに該基板及び周辺を汚染することを回避する。実際には、光起電セルの第2の対、第3の対、...、第nの対を有する、より多数の光起電セルを有する光起電デバイスが、光起電セルの第2の対、第3の対、...、第nの対で形成されうる。そこでは、該第2の対は、該第2の光起電セル及び第3の光起電セルを備えており、ここで、該第2の光起電セルと該第3の光起電セルとの間の相互の配置は、該第1及び該第2の光起電セルの相互の配置と同様である。同じことが、該第3の光起電セルと第4の光起電セルとを備えている該第3の対などにも当てはまる。
【0014】
一つの実施態様において、それぞれの組を形成する工程は、該透明電極の該表面上に導電性材料の前駆体を堆積する第1の下位工程と、該前駆体を硬化させて、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該主面と反対側の第2の主面を有する1以上の電気導体の該組を形成する中間下位工程と、該さらなる電気接点を形成する為に該端部部分を露出されたままに残して、該第2の主面の該残りの部分上に電気絶縁材料を堆積する第2の下位工程とを含む。
【0015】
別の実施態様において、それぞれの組を形成する工程は、各自のそれぞれの第1の透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該主面と反対側の第2の主面を有する1以上の電気導体の該組を形成する為に、該透明電極の該表面上に導電性材料を堆積する第1の下位工程と、各自の端部部分を露出されたままに残して、該1以上の電気導体の各々の該第2の主面の該残りの部分上にそれぞれの電気絶縁層を堆積する第2の下位工程とを含む。該電気絶縁層は、該導電性材料が堆積された領域を越えて横方向に延在することができる。
【0016】
一つの実施態様において、光起電セルの電気導体の組の中の電気導体は、直後に続く光起電セルの電気導体の組の中の該電気導体と位置合わせされる。
【0017】
別の実施態様において、少なくとも第1の光起電デバイスセルの1以上の電気導体の該組は、少なくとも第2の光起電デバイスセルの1以上の電気導体の該組の該露出された端部の位置を超えて、該連続方向に延在しており、少なくとも第1の光起電デバイスセルの該1以上の電気導体の各々は、少なくとも第2の光起電デバイスセルの該1以上の電気導体の各々に対して該連続方向を横断する方向にずらされている。このようにして、後続の光起電デバイスセルの間の隙間が縮小されることができ、これは該光起電デバイスの効率にとって好都合である。
【0018】
一つの実施態様において、該第1及び該第2の光起電デバイスセルの該透明電極層領域同士が、ジグザグの境界を有し、該第1及び該第2の光起電デバイスセルの該透明電極層領域の端部部分が、互いにかみ合わせられており、該1以上の電気導体は、各自の露出された端部部分を該第2の光起電デバイスセルの該透明電極層領域の該端部部分上に重ねられた状態で延在する。このようにして、後続の光起電層領域及びさらなる電極層領域が、それらの堆積を容易にする線状の境界を有することができることが実現される。
【0019】
上記で述べられた目的に従って、請求項9において特許請求されている光起電デバイスがまた提供される。
【0020】
該特許請求されている光起電デバイスは、第1の光起電デバイスセルと、連続方向において該第1の光起電デバイスセルの後に続き、且つ該第1の光起電デバイスセルと電気的に直列接続された第2の光起電デバイスセルと、の第1の対を少なくとも備えている。該光起電デバイスの基板は、例えば樹脂ベース材料である。そのような樹脂ベース材料は好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PAR)、及びポリアミドイミド(PAI)を包含する。他の樹脂材料は、ポリシクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及びセルロース樹脂等を包含する。用途に依存して、該基板の厚さは、相対的に小さい値、例えば50ミクロン、及び相対的に大きい値、例えば数mm又はそれ以上、の範囲で選択されうる。
【0021】
各光起電デバイスセルは、それぞれの透明電極層領域と、1以上の電気導体のそれぞれの組と、それぞれの光起電スタック部分と、それぞれのさらなる電極領域とを備えている。
【0022】
透明な導電性材料の例は、有機材料、例えばポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、又はドープされたポリマー、である。有機材料の他に、ITO(酸化インジウムスズ:Indium Tin Oxide)、IZO(インジウム亜鉛酸化物:Indium Zinc Oxide)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ:Antimony Tin Oxide)、又は酸化スズのような、様々な無機の透明導電性材料が使用されることができる。酸化ニッケルタングステン、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化マグネシウムインジウムを包含するがこれらに限定されない他の金属酸化物が機能することができる。透明な導電性電極層は、数十nm~数百nm、例えば100~200nm、例えば約120nm、の厚さを有しうる。
【0023】
また、追加の層が、例えば水分及び酸素に対するバリアとして又はUV放射等を遮断する為の機械的補強として、存在しうる。
【0024】
該それぞれの透明電極層領域は、該連続方向において互いに独立している。
【0025】
1以上の電気導体の該それぞれの組は、各透明電極領域の表面上に配置される。該電気導体は、それらのそれぞれの透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有し且つ該主面と反対側の第2の主面を有する。該第2の主面は、該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する露出された端部部分を有し、該第2の主面の残りの部分は電気的に絶縁されている。
【0026】
該それぞれの光起電スタック部分は、該それぞれの透明電極領域上に、及び該それぞれの組の該1以上の導体の該絶縁された部分上に延在する。ペロブスカイト材料は、相対的に低い温度で処理されることが可能であり且つシリコンベースの光起電デバイスで実現されるものに近い変換効率を有するので、変換サブ層として使用する為の材料の重要なクラスである。一つの実施態様において、該ペロブスカイト材料からなる光電変換層が用意される。該ペロブスカイト材料は典型的に、ABX3の結晶構造を有し、ここで、Aはメチルアンモニウムとしての有機カチオン(CHNHであり、Bは無機カチオン、通常は鉛(II)(Pb2+)、であり、Xはハロゲン原子、例えばヨウ素(I)、塩素(Cl)又は臭素(Br)、である。ペロブスカイト材料は、それらが相対的に容易に処理されることができ、ハロゲン化物含有量の適切な選択によってそれらのバンドギャップが所望の値に設定されることができるという点で特に有利である。典型的な例が、ハロゲン化物含有量に依存して1.5~2.3eVの光学バンドギャップを有するメチルアンモニウム鉛トリハライド(methylammonium lead trihalide)(CHNHPbX)である。別のより複雑な構造の例は、1.5~2.2eVのバンドギャップを有するセシウムホルムアミジニウム鉛トリハライド(Cesium-formamidinum lead trihalide)(Cs0.05(HNCHNH)0.95PbI2.85Br0.15)である。他の金属、例えばスズ、が、ペロブスカイト材料中でPbの役割を取って替わりうる。その一つの例は、CHNHSnIである。また、1.2~2.2eVのより広いバンドギャップを有する、SnとPbペロブスカイトの組み合わせが可能である。上記で指定された理由からペロブスカイト材料が好ましいが、他の材料、例えばセレン化銅インジウムガリウム(CIGS:copper indium gallium selenide)、も好適である。
【0027】
上記で言及されている通り、変換サブ層が、正孔輸送サブ層と電子輸送サブ層との間に挟まれうる。正孔輸送層の為の正孔輸送材料の例は、例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Fourth Edition, Vol.18, p.837-860, 1996, by Y. Wangに要約されている。正孔輸送分子とポリマーの両方が使用されることができる。この目的の為の典型的な例は、酸化ニッケルのような金属酸化物、及びMoSeのような他の化合物である。一つの実施態様において、正孔輸送サブ層は、10~200nmの厚さを有しうる。電子輸送サブ層が、TiO、SnO、ZrO、及びZnO:Sのような金属酸化物から形成されうる。該電子輸送サブ層は、数nm(例えば5nm)~数十nmの厚さを有しうる。
【0028】
該それぞれのさらなる電極領域は、該それぞれの光起電スタック部分上に延在する。すでに透明電極が該基板の側で存在するので、該さらなる電極領域が透明であることは必要でない。それにより、該さらなる電極は、導電性に関して譲歩がなされる必要がないように、相対的に大きい厚さを有することができる。それぞれのさらなる電極は例えば、アルミニウム、銀又は銅のような好適には導電性の材料からなる層で形成されうる。また、さらなる電極領域に分割されたさらなる電極層は、サブ層、例えば、100~数百nm又はそれ以上の厚さを有する、前述の好適には導電性の材料からなる相対的に厚い主サブ層、及び該主サブ層の一方の面又は両面にある相対的に薄い界面サブ層、例えば数nmのMo又はNiからなるサブ層、の組み合わせとして提供されうる。加えて、少なくとも第1の光起電デバイスセルの該それぞれのさらなる電極領域は、少なくとも第2の光起電デバイスセルの1以上の電気導体の該組の該露出された端部によって形成された電気接点上に延在する。
【0029】
これら及び他の観点は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A図1Aは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1B図1Bは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1C図1Cは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1D図1Dは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1E図1Eは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1F図1Fは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1G図1Gは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図1H図1Hは、特許請求されている方法の第1の実施態様を概略的に示す。
図2図2は、特許請求されている光起電デバイスの一つの実施態様を示す。
図3A図3Aは、特許請求されている方法の第2の実施態様の観点を概略的に示す。
図3B図3Bは、特許請求されている方法の第2の実施態様の観点を概略的に示す。
図3C図3Cは、特許請求されている方法の第2の実施態様の観点を概略的に示し、該方法の第2の実施態様の最後の工程において得られる、特許請求されている光起電デバイスの一つの実施態様を示す。
図4A図4Aは、特許請求されている方法の第3の実施態様の観点を概略的に示す。
図4B図4Bは、特許請求されている方法の第3の実施態様の観点を概略的に示す。
図4C図4Cは、特許請求されている方法の第3の実施態様の観点を概略的に示す。
図4D図4Dは、特許請求されている方法の第3の実施態様の観点を概略的に示す。
図4E図4Eは、特許請求されている方法の第3の実施態様の観点を概略的に示し、該方法の第3の実施態様の最後の工程において得られる、特許請求されている光起電デバイスの一つの実施態様を示す。図4A図4Eの各々において、上部は、該方法の工程において得られる半完成製品の上面図を示し、下部は、その半完成製品を透視視点から示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
様々な図面中の同様の参照符号は、特に指示されない限り同様の要素を示す。
【0032】
図1A図1Hは、光起電デバイスを製造する方法を示す。図1Aは、該デバイスがその上に製造される基板5を示す。用途に応じて、該基板5は、ガラスのような硬質基板、又は、ポリマー、例えばPET若しくはPEN、のような可撓性基板でありうる。
【0033】
第1の工程(S1)において、それぞれの透明電極層領域11A、...、11Dが堆積され、それらは連続方向DSにおいて互いに独立している。該基板5は例えば、該連続方向と反対の移送方向に移送され、堆積デバイス、例えばプリンタ又はコータ(例えばスロット・ダイ・コータ)、が、独立した領域11A、...、11Dを得る為に中断プロセスを規則的に中断しながら、透明電極層を形成する材料を堆積しうる。
【0034】
第2の工程(S2A、S2B)において、1以上の電気導体121A、...124Aのそれぞれの組12Aが、各透明電極領域の表面上に形成される。この例において、複数の、ここでは4つの、電気導体が形成される。幾つかの実施態様において、該それぞれの組は、例えば該基板が相対的に小さい幅(該連続方向を横断する寸法として定義される)を有する用途において、単一の導体のみを有しうる。該電気導体121A、...、124Aは、数cm~数十cmのオーダー、例えば約25cm、の長さを有しうる。該電気導体は、数mm~約数十mmの間隔で、例えば4~10mmの間隔で、例えば約6mmの間隔で、配置されうる。該1以上の電気導体は、グリッド、例えば、1以上の横断電気導体、すなわち該基板の面と位置合わせされる方向に、しかし該連続方向を横切る方向に延在する電気導体をさらに有するグリッド、の一部でありうる。該電気導体は好ましくは、相対的に狭く、例えば50~200ミクロンであり、従ってそれらは容易には目に見えず、又は少なくとも過度に多くの太陽放射を吸収することはない。該電気導体は例えば、銀又は銅を電気めっきすることによって得られうるが、印刷のような他の堆積方法がまた好適である。
【0035】
該電気導体121A、...、124Aは、対応する透明電極領域、ここでは領域11A、との電気接点を形成する第1の主面を有する。該電気導体121A、...、124Aは、第1の主面の反対側には第2の主面を有する。該第2の主面は、露出された端部部分、例えば該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する、電気導体121Aの露出された端部部分121A1を有する。残りの部分(例えば電気導体121Aの該第2の主面の残りの部分121A2を参照)は、電気的に絶縁されている。該電気導体は、例えば、該第2の工程の第1の下位工程(S2A)において堆積され、それら電気導体の該第2の主面の残りの部分は、該第2の工程の第2の下位工程(S2B)において電気的に絶縁されうる。該第1の下位工程S2Aは例えば、電気めっきプロセスを伴いうる。しかしながら、他の堆積方法がまた適用可能である。例えば、該堆積は、印刷工程により、例えばインクジェット印刷により、実施されうる。その一つの実施態様において、前駆体が、該電気導体によって形成されるべきパターンで印刷され、続いて、該印刷された前駆体パターンが硬化される。次に、該電気導体の該第2の主面の該残りの部分上に絶縁材料を堆積する為に任意の堆積方法が工程S2Bにおいて使用されうる。
【0036】
図1Eに示されている通り、次に、電気導体121B、...、124Bの第2の組12Bが、第2の透明電極領域11B上に堆積される。電気導体の該第2の組は、第1の組12Aの該電気導体の該第2の主面の該残りの部分121A2上に堆積された該絶縁材料上に部分的に延在する。該第1の組12Aと同様に、電気導体の該第2の組12Bの該第2の主面の残りの部分は絶縁されている。
【0037】
図1Fに示されている通り、このプロセスは、電気導体の該第1の組12Aについて詳細に説明されている通り、全ての透明電極領域11A、..、11Dが電気導体の組を備えられるまで繰り返される。
【0038】
次の工程S3において、複数の光起電層部分14A、...、14Dが堆積される。該光起電層部分の各々は、固有の透明電極領域11A、...、11D上に、及び対応する組の1以上の導体の絶縁された部分上に延在する。上記で言及されている通り、層部分は、複数の積層されたサブ層部分を備えうる。例えば光起電層部分14A、...、14Dは各々、複数のサブ層のスタックでありうる。これらは順に堆積されうるが、代替的には、多層堆積技術、例えば多層コーティング技術、が適用されうる。全ての透明電極領域11A、..、11Dに電気導体の組が設けられるまで工程S3を遅らせる代わりに、代替的には、部分的に絶縁された電気導体の組が適用されるたびに光起電層部分を堆積することが可能である。例えば光起電層部分14Aは、図1Dに示されている工程S2Bの完了直後に堆積されうる。
【0039】
後続の工程S4において、さらなる電極領域15A、...、15Dが堆積される。それらの各々は、固有の光起電層領域14A、...、14D上に延在する。該さらなる電極領域15Aはまた、該第2の透明電極層領域11B上に形成された1以上の電気導体121B、122B、123B、124Bの該組12Bの露出された端部によって形成された電気接点上にも延在する。それにより、直列に相互接続された第1の光起電デバイスセル10A及び第2の光起電デバイスセル10Bの対が形成され、それらは該連続方向に互いに連続している。同様に、直列に相互接続された該第2の光起電デバイスセル10B及び第3の光起電デバイスセル10Cを備えている対が形成されること、並びに直列に相互接続された該第3の光起電デバイスセル10C及び第4の光起電デバイスセル10Dを備えている対が形成されることが実現される。全ての光起電層部分14A、..、14Dが堆積されるまで工程S4を遅らせる代わりに、代替的には、対応する光起電層部分、ここでは14A、が一旦存在すると、さらなる電極領域、例えば15A、を堆積することが可能である。
【0040】
それと共に、図1Hは、第1の光起電デバイスセル10Aと、連続方向DSにおいて該第1の光起電デバイスセル10Aの後に続き、且つ該第1の光起電デバイスセル10Aと電気的に直列接続された第2の光起電デバイスセル10Bと、の少なくとも第1の対10A、10Bを備えている光起電デバイス10の例を示す。各光起電デバイスセル10A、…、10Dは、それぞれの透明電極層領域11A、…、11D(図1B参照)と、1以上の電気導体のそれぞれの組(図1F参照)と、それぞれの光起電スタック部分(図1G参照)と、それぞれのさらなる電極領域(図1H参照)とを備えている。
【0041】
図1Bに示されている通り、該透明電極層領域11A、11B等は、該連続方向DSにおいて互いに独立している。
【0042】
図1Fに示されている通り、1以上の電気導体121A、...124Aのそれぞれの組12A、組12Bは、各透明電極領域の表面上に配置されている。該電気導体は、それらのそれぞれの対応する透明電極領域との電気接点を形成する第1の主面を有する。例えば図1Dに示されている通り、第1の組12Aの該電気導体は、第1の透明電極領域11Aに堆積され、該第1の透明電極領域11Aと電気的に接続されている。それらの固有の透明電極領域11Aの表面に接触するこの第1の主面の反対側において、該電気導体は第2の主面を有する。該第2の主面は、該連続方向から離れる方向にさらなる電気接点を形成する露出された端部部分(例えば図1Dの121A1参照)を有する。該第2の主面の残りの部分121A2は、電気的に絶縁されている。
【0043】
該光起電デバイスセルの各々は、固有の光起電スタック部分(14A、14B、14C、14D。図1G参照)を有する。各光起電スタック部分は、それぞれの固有の光起電デバイスセルの該透明電極領域(11A、11B)上に、及びその透明電極領域に配置された該1以上の電気導体の絶縁された部分上に、延在する。
【0044】
該光起電デバイスセルの各々は、自身の光起電スタック部分(14A、14B)上に延在する固有のさらなる電極領域(15A、15B)を有する。該固有のさらなる電極領域(15A)はまた、存在する場合には、後に続く該光起電デバイスセル(10B)の1以上の電気導体の該組(12B)の該露出された端部(12B1)によって形成された該電気接点上に延在する。
【0045】
一つの実施態様において、該光起電デバイスは、相対的に小さい値、例えば50ミクロン、及び相対的に大きい値、例えば数mm又はそれ以上、の厚さを有する(例えば約125ミクロンの厚さを有する)ポリマー基板、例えばPET基板、の上に用意される。各透明電極層部分に分割される透明な導電性層は、酸化インジウムスズ(ITO:indium tin oxide)からなり、且つ約120nmの厚さを有する。
【0046】
例示的実施態様において、幅100μm、高さ5μm、及び長さ1/4メートルに寸法設定された、電気めっきされた電気導体121A、...、124Aの抵抗はおよそ8Ωである。
【0047】
1kWの太陽光パワーにおいて、1平方メートル分の20%効率の太陽光セルは、200W/平方メートルを与える。典型的なセル電圧は、1.1Vであり、1/4メートルのグリッド線長で6mmの電気導体の間隔を有する(1メートル当たり166個)。それにより、電気導体によって伝導される電流は0.27Aのオーダーにあり、これは許容可能である。露出された端部を除いて、該電気導体121A、...、124Aを覆う絶縁材料の層は、例えばこれら導体の各側において数十ミクロンだけ、これらの導体に対して横方向にわずかに延在する。そのため、この例において、幅100μmに寸法設定された該電気導体121A、...、124Aは、150μm幅の誘電体で覆われうる。使用される表面面積は、166×150μm、すなわち0.025mの面積であり、よって残りの有効面積(アパーチャ)は97.5%となる。流れ方向に4つの直列接続を作る為に使用される表面面積はおよそ2%である(1つの直列接続当たり5mm)。該電気導体によって占められる面積と直列接続の為に必要とされる面積とを引いた後に残る最終的なアパーチャは、97.5%×98.0%=95.5%である。このアパーチャは、分割を行う為にP2レーザスクライブが使用される現在の太陽光セルモジュール(95%)と比べて等しいか又はそれを上回る。
【0048】
例えば該光起電デバイスにバリア層若しくは防傷層を用意する為に、又は電気端子を適用する為に、さらなる工程が実施されうる。
【0049】
光起電層部分に分割されている光起電層は、正孔輸送サブ層、ペロブスカイト材料からなる変換サブ層、及び電子輸送サブ層のスタックを備えうる。
【0050】
示されている実施態様において、該正孔輸送サブ層は、約50nmの厚さを有する酸化ニッケル層によって形成される。ペロブスカイト材料からなる該変換サブ層は、セシウムホルムアミジニウム鉛トリハライド(Cesium-formamidinum lead trihalide)(Cs0.05(HNCHNH)0.95PbI2.85Br0.15)から形成され、且つ約100nmの厚さを有する。
【0051】
該電子輸送サブ層は、約15nmの厚さを有するTiO層である。
【0052】
一例において、さらなる電極層部分に分割されるさらなる電極層は、約190nmの厚さを有するアルミニウム層と、複数のニッケルサブ層の対と、ここで、該複数のニッケルサブ層のそれぞれが、該アルミニウム層が該複数のニッケルサブ層の間に挟まれる、数nm、例えば5nm、の厚さを有する、を備えうる。
【0053】
図2は、工程1A~工程1Hに従う方法で得られた製品の別の図を示す。
【0054】
図3Aは、該方法の代替実施態様の一つの観点を示す。該透明電極領域11A、...、11Dが該基板上に堆積される工程S1に続いて、1以上の電気導体の組12A、組12B、組12C、組12Dが、各組がその隣の1以上の組に対して該連続方向を横断する方向にずらされるように、堆積される。例えば、図3Aにおいて、組12Aの1以上の電気導体の各々が、組12Bの1以上の電気導体の各々に対して該連続方向を横断する方向にずらされることが見られることができる。また、少なくとも第1の光起電デバイスセル10Aの1以上の電気導体の該組12Aは、少なくとも第2の光起電デバイスセル10Bの1以上の電気導体の該組12Bの該露出された端部12B1の位置を超えて、該連続方向に延在する。同じことが、組12Bと組12Cとの間の空間関係及び組12Cと組12Dとの間の空間関係に当てはまる。
【0055】
図1A図1Hを参照して説明された実施態様における通り、図3Bに示されている通り複数の光起電層部分14A、...、14Dが堆積される。また、さらなる電極領域15A、...、15Dが、図3Cに示されている通り堆積される。それらの各々は、固有の光起電層領域14A、...、14D上に延在する。その上、後続領域を有する光起電セルのさらなる電極領域15A、15B、15Cが、その後続領域に固有である1以上の電気導体の組の露出された端部12B1、12C1、12D1によって形成された電気接点上に延在する。図3A図3Cに示されている実施態様は、電気導体の該組12A、組12B、組12C、組12Dの全てが、該電気導体のうち残りの露出されていない部位を覆う全ての絶縁層が施与される前に、最初に施与されることができるという点で有利である。
【0056】
特許請求されている該方法のさらなる実施態様が図4A図4Eに示されている。図4Aに示されている通り、この方法において、該第1及び第2の光起電デバイスセル10A、10Bの該透明電極層領域11A、11Bには、ジグザグの境界11ABが設けられている。該第1及び第2の光起電デバイスセル10A、10Bの該透明電極層領域11A、11Bの端部部分11B1は、互いにかみ合わされている。これは、パターン形成堆積法により、例えば印刷方法により、実現されうる。代替的には、これは、ブランケット堆積法(blanketwise deposition method)の後に、透明電極層の材料が該境界11ABの箇所で除去されるパターン形成工程によって該透明電極層が領域へと分割される工程を行うことにより実現されうる。これはレーザ切除により実施されうる。
【0057】
図4Bにさらに示されている通り、該1以上の電気導体121B、...124Bは、それらが、各自の露出された端部部分121B1、...124B1を該第2の光起電デバイスセル10Bの該透明電極層領域11Bの該端部部分11B1上に重ねられた状態で延在するように、堆積される。
【0058】
該電気導体を覆う絶縁材料の層は、広がった端部部分を有し、該端部部分は、該電気導体を覆うだけでなく、透明電極層領域が後続の透明層領域とかみ合わせられる該透明電極層領域の端部部分も覆う。例えば図4Cに示されている通り、絶縁層部分134Aは、第1の透明電極層領域の端部部分11A4を覆う、広がった端部部分134A2を有する。
【0059】
図4Dに示されている通り、対応する透明電極領域11A、11B上に、及び対応する組の1以上の導体の絶縁された部分上に延在する光起電層部分14A、14Bが堆積される。
【0060】
後続の工程において、図4Eに示されている通り、対応する光起電層領域上に延在するさらなる電極領域15A、15Bが堆積される。該さらなる電極領域15Aはまた、存在する場合には次の光起電デバイスセルの1以上の電気導体の該組12Bの露出された端部によって形成された電気接点上に延在する。
図1A-1D】
図1E-1H】
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E