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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20231030BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20231030BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A01D41/12 N
A01D67/00 A
B60K15/063 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020210669
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097213
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
(72)【発明者】
【氏名】安田 和男
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-216703(JP,A)
【文献】特開2004-058824(JP,A)
【文献】特開2010-098987(JP,A)
【文献】特開2020-103157(JP,A)
【文献】特開2017-093370(JP,A)
【文献】特開2017-112992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01D 67/00
B60K 15/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、
前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられ、エンジン用の燃料が貯留される燃料タンクと、が備えられ、
前記走行機体に、前記燃料タンクを機体フレームよりも下側に落とし込んだ状態で支持するタンク支持フレームが備えられ、
前記タンク支持フレームに、前記機体フレームに対して脱着可能な連結部が備えられ、
前記タンク支持フレームは、前記燃料タンクよりも後側において機体左右方向に延びる後端横向きフレームと、前記燃料タンクよりも左横側および右横側のそれぞれにおいて前記後端横向きフレームから機体前方向きに延びる前後向き枠体と、前記燃料タンクよりも下側において前記燃料タンクの底部に沿って位置する底壁部と、前記燃料タンクよりも左横側および右横側のそれぞれにおいて前記前後向き枠体と前記底壁部とに亘って設けられた側壁部と、を備え、
前記側壁部は、前記燃料タンクの側面のうちの前記前後向き枠体と前記底壁部との間に対応する部分の全体を横外側方から覆っているコンバイン。
【請求項2】
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、
前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられ、エンジン用の燃料が貯留される燃料タンクと、が備えられ、
前記走行機体に、前記燃料タンクを機体フレームよりも下側に落とし込んだ状態で支持するタンク支持フレームが備えられ、
前記タンク支持フレームに、前記機体フレームに対して脱着可能な連結部が備えられ、
前記タンク支持フレームよりも上側において前記燃料タンクの外周位置に設けられた保護フレームが備えられ、
前記タンク支持フレームよりも上側に設けられ、前記燃料タンクの上部を押さえ込んで前記燃料タンクの傾き防止を行う押さえ部材が備えられ、
前記保護フレームは、前記燃料タンクよりも高い位置まで立設され、
前記押さえ部材は、前記保護フレームの上部に支持され、前記燃料タンクに当接することによって前記傾き防止を行うように構成されているコンバイン。
【請求項3】
前記タンク支持フレームは、前記燃料タンクを囲う箱状に構成されている請求項に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記保護フレームは、前記機体フレームから立設された縦フレームである請求項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記縦フレームは、前記燃料タンクの後面に沿わせて立設されている請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記保護フレームは、前記燃料タンクよりも高い位置まで立設され、
前記保護フレームの上部に、前記燃料タンクに燃料補給する燃料容器を載置可能な載置部が備えられている請求項から5のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記載置部は、脱着可能な状態で備えられている請求項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記連結部は、前記タンク支持フレームに備えられた嵌合部と、前記機体フレームに備えられた支持部とを有し、前記嵌合部が前記支持部に対して機体後方から係脱されて前記タンク支持フレームが前記機体フレームに対して脱着されるように構成されている請求項からのいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀装置と横並び状態で設けられ、脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、が備えられたものがある。
この種のコンバインにおいて、例えば特許文献1に示されるように、エンジン用の燃料タンクが脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-139543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を燃料タンクの設置用空間に活用しても、燃料タンクに貯留する燃料の重心が高く位置するものにあっては、貯留燃料のために機体全体の重心があまり高くならないようにするのには、燃料の貯留量をあまり多くできない。
【0005】
本発明は、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を燃料タンクの設置用空間に活用しつつ、かつ、燃料タンクの支持構造を簡素化しつつ、燃料を多く貯留すること、および、燃料タンクのメンテナンス作業などを行い易くすることが可能なコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられ、エンジン用の燃料が貯留される燃料タンクと、が備えられ、前記走行機体に、前記燃料タンクを機体フレームよりも下側に落とし込んだ状態で支持するタンク支持フレームが備えられ、前記タンク支持フレームに、前記機体フレームに対して脱着可能な連結部が備えられ、前記タンク支持フレームは、前記燃料タンクよりも後側において機体左右方向に延びる後端横向きフレームと、前記燃料タンクよりも左横側および右横側のそれぞれにおいて前記後端横向きフレームから機体前方向きに延びる前後向き枠体と、前記燃料タンクよりも下側において前記燃料タンクの底部に沿って位置する底壁部と、前記燃料タンクよりも左横側および右横側のそれぞれにおいて前記前後向き枠体と前記底壁部とに亘って設けられた側壁部と、を備え、前記側壁部は、前記燃料タンクの側面のうちの前記前後向き枠体と前記底壁部との間に対応する部分の全体を横外側方から覆っている。
【0007】
別の本発明によるコンバインは、
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられ、エンジン用の燃料が貯留される燃料タンクと、が備えられ、前記走行機体に、前記燃料タンクを機体フレームよりも下側に落とし込んだ状態で支持するタンク支持フレームが備えられ、前記タンク支持フレームに、前記機体フレームに対して脱着可能な連結部が備えられ、前記タンク支持フレームよりも上側において前記燃料タンクの外周位置に設けられた保護フレームが備えられ、前記タンク支持フレームよりも上側に設けられ、前記燃料タンクの上部を押さえ込んで前記燃料タンクの傾き防止を行う押さえ部材が備えられ、前記保護フレームは、前記燃料タンクよりも高い位置まで立設され、前記押さえ部材は、前記保護フレームの上部に支持され、前記燃料タンクに当接することによって前記傾き防止を行うように構成されている。
本構成によると、燃料タンクの容量を増やして燃料を多く貯留できるようにしても、貯留燃料の量に比して貯留燃料の重心を低く抑えることができるので、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を燃料タンクの設置用空間に活用しつつ、貯留燃料による機体重心のアップを抑制しつつ、燃料を多く貯留することが可能である。タンク支持フレームを機体フレームに対して脱着することにより、燃料タンクがタンク支持フレームに安定的に支持されるようにしつつ機体に対して燃料タンクを脱着することが可能となるので、燃料タンクの支持構造をタンク支持フレームを備えるだけの簡素に済ませつつ燃料タンクのメンテナンス作業などを行い易くできる。
本構成によると、燃料タンクのうちのタンク支持フレームから露出する部位が外周から衝撃を受け難いように保護フレームによって保護されるので、燃料タンクを損傷し難くできる。
本構成によると、保護フレームを押さえ部材の支持部材に活用して押さえ部材の支持構造を簡素に済ませながら、押さえ部材をしっかり支持させることでき、燃料タンクを走行振動などによって揺れ動かないようにしっかり保持できる。
【0008】
本発明においては、
前記タンク支持フレームは、前記燃料タンクを囲う箱状に構成されていると好適である。
【0009】
本構成によると、燃料タンクがタンク支持フレームによってより安定した状態で支持されるので、燃料タンクの機体に対する脱着をより行い易い。
【0010】
【0011】
【0012】
本発明においては、
前記保護フレームは、前記機体フレームから立設された縦フレームであると好適である。
【0013】
本構成によると、保護フレームが機体フレームにしっかり支持されるので、燃料タンクの保護フレームによる保護をしっかりできる。
【0014】
本発明においては、
前記縦フレームは、前記燃料タンクの後面に沿わせて立設されていると好適である。
【0015】
本構成によると、機体後方に向かって開放される燃料タンクが保護フレームによって後方から保護されるので、燃料タンクを機体後端部にもうけながら燃料タンクを損傷し難くできる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
本発明においては、
前記保護フレームは、前記燃料タンクよりも高い位置まで立設され、前記保護フレームの上部に、前記燃料タンクに燃料補給する燃料容器を載置可能な載置部が備えられていると好適である。
【0021】
本構成によると、保護フレームを載置部の支持部材に活用して載置部の支持構造を簡素に済ませながら、燃料タンクに補給する燃料を入れた燃料容器を載置部に載置することができ、燃料タンク対する燃料補給を行い易い。
【0022】
本発明においては、
前記載置部は、脱着可能な状態で備えられていると好適である。
【0023】
本構成によると、載置部を取り外して燃料タンクを点検や清掃するなどを行う際の障害にならないようにできるので、燃料タンクに対するメンテナンス作業を行い易い。
【0024】
本発明において、
前記連結部は、前記タンク支持フレームに備えられた嵌合部と、前記機体フレームに備えられた支持部とを有し、前記嵌合部が前記支持部に対して機体後方から係脱されて前記タンク支持フレームが前記機体フレームに対して脱着されるように構成されていると好適である。
【0025】
本構成によると、タンク支持フレームを機体フレームに対して後方から係脱できるので、燃料タンクをタンク支持フレームに支持させつつ機体に対して脱着する作業を行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コンバインの全体を示す左側面図である。
図2】コンバインの全体を示す右側面図である。
図3】コンバインの全体を示す平面図である。
図4】コンバインの後面図である。
図5】燃料タンクの配置を示す後面図である。
図6】燃料タンク、トランスミッションおよびカバーを示す左側面図である。
図7】載置部および押さえ部材を示す平面図である。
図8】載置部および押さえ部材を示す後面図である。
図9】機体フレームおよびタンク支持フレームを示す平面図である。
図10】タンク支持フレームおよび連結部を示す平面図である。
図11図10のXI-XI断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、図1,2,3に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、図1,2,4に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、図3,4に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0028】
〔コンバインの全体の構成〕
図1,2,3に示されるように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1によって支持される走行機体2を備えている。走行機体2は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム3を備えている。クローラ走行装置1は、機体フレーム3の下部に備えられている。走行機体2の前部に、運転部4、原動部5および刈取搬送部6が設けられている。運転部4および原動部5は、走行機体2の前部における横一端側の箇所に設けられ、刈取搬送部6は、走行機体2の前部における運転部側とは反対側の箇所に設けられている。運転部4には、運転座席7、搭乗空間の上方を覆う日除け8が備えられている。原動部5には、エンジン9が備えられている。刈取搬送部6には、刈取搬送部6の前部に設けられた刈取部6Aと、刈取部6Aの後部から後向きに延ばされたフィーダ10と、が備えられている。刈取部6Aにおいては、圃場の稲、麦などの作物の穂先側が回転リール11によって後方に掻き込まれ、掻き込まれた作物の株元がバリカン型の刈取装置12によって切断されて作物の刈取りが行われ、刈り取られた作物が横送りオーガ13によってフィーダ10に対する供給箇所に横搬送される。フィーダ10は、横送りオーガ13から作物を受け入れ、受け入れた作物を後上方に搬送する。フィーダ10には、搬送する作物に混入している切れワラなどの塵埃を回転ファンによる送風作用によって吸引して排出する排塵装置10Aが備えられている。刈取搬送部6は、フィーダ10の下部に連結された昇降シリンダ14の伸縮作動によって下降作業状態と上昇非作業状態とにわたって揺動昇降操作される。機体フレーム3の後部に、脱穀装置15と穀粒タンク16とが横並び状態で支持されている。脱穀装置15は、フィーダ10の後方に配置されている。穀粒タンク16は、運転部4の後方に配置されている。脱穀装置15の横外側方に、脱穀カバー17が設けられている。脱穀カバー17は、複数枚の分割カバーに分割可能に構成されている。穀粒タンク16の下部の横外側方に、タンクカバー18が設けられている。脱穀装置15は、フィーダ10からの作物を受け入れて脱穀処理し、脱穀処理によって得られた穀粒を切れワラなどの塵埃と選別する選別処理を行う。脱穀装置15は、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が扱室に投入されるように全稈投入型に構成されている。穀粒タンク16は、脱穀装置15によって選別処理された穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク16の後部に、穀粒タンク16に貯留された穀粒を排出する穀粒排出装置19が接続されている。穀粒タンク16は、穀粒排出装置19に備えられた縦搬送部19Aの軸芯を揺動支点にして走行機体2の横外側に張り出たメンテナンス用の開き姿勢と、運転部4の後方に前後向きに位置した作業用の閉じ姿勢とに姿勢変更可能に支持されている。
【0029】
〔穀粒排出装置の構成〕
図1,2,3,4に示されるように、穀粒排出装置19は、穀粒タンク16の後方に機体上下方向に延びる状態で設けられた縦搬送部19Aと、縦搬送部19Aの上端部から上下揺動可能に延ばされた横搬送部19Bと、を有している。縦搬送部19Aの下部と穀粒タンク16の後下部とが接続ケース20を介して接続されている。縦搬送部19Aは、穀粒タンク16から接続ケース20に排出された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を揚送する。穀粒タンク16からの穀粒の排出は、穀粒タンク16の底部内に設けられた底スクリュー(図示せず)によって行われる。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aによって揚送された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を横搬送して横搬送部19Bの延伸端部に備えられている吐出筒22から吐出する。
【0030】
図1,4に示されるように、縦搬送部19Aの途中箇所に、旋回駆動機構23が連結されている。旋回駆動機構23は、カバー24によって覆われている。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aが旋回駆動機構23によって接続ケース20に対して回転操作されることにより、縦搬送部19Aの軸芯を旋回中心にして旋回操作される。図2,3に示されるように、横搬送部19Bの基部に起伏シリンダ25が連結されている。横搬送部19Bは、起伏シリンダ25の伸縮作動によって縦搬送部19Aに対して上下に揺動操作される。
【0031】
〔燃料タンクの構成〕
図1,2,3に示されるように、走行機体2の後端部に、エンジン9用の燃料を貯留する燃料タンク30が設けられている。図4,5に示されるように、燃料タンク30は、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間に位置する状態で設けられている。燃料タンク30は、燃料タンク30の後上部から後上向きに延ばされた給油筒31を備えている。
【0032】
燃料タンク30は、貯留燃料の重心位置を低く抑えながら燃料を多く貯留できるように次の如き状態で設けられている。
【0033】
図2,4,5,6に示されるように、燃料タンク30は、脱穀装置15および穀粒タンク16を載置されて支持する機体フレーム3よりも上側から機体フレーム3よりも下側に亘って位置する状態で設けられている。さらに、図6に示されるように、燃料タンク30は、燃料タンク30の下部30Dが機体上下方向においてクローラ走行装置1と重複する位置に位置する状態で設けられている。本実施形態では、燃料タンク30の下部30Dは、クローラ走行装置1において最後端に位置する後部輪体1bの軸芯Yよりも低い位置まで延ばされている。最後端に位置する後部輪体1bは、クローラベルト1aの後端部が巻回されている輪体である。
【0034】
機体フレーム3は、図5,6,9に支持されるように、機体フレーム3の横幅方向での中央部において機体前後方向に延びる左右一対の主フレーム35、主フレーム35の前後方向での複数箇所において左右の主フレーム35に架設された第1横向き連結フレーム36、第1横向き連結フレーム36の左右の端部を連結する前後向き連結フレーム37、最も後の第1横向き連結フレーム36よりも後側において左の主フレーム35の後端部と左の前後向き連結フレーム37の後端部とに連結された第2横向き連結フレーム38、最も後の第1横向き連結フレーム36よりも後側において右の主フレーム35の後端部と右の前後向き連結フレーム37の後端部とに連結された第3横向き連結フレーム39、機体フレーム3の後端部に機体横幅方向に延びる状態で設けられた後端横向きフレーム40、を備えている。後端横向きフレーム40は、右の主フレーム35と、最も後の第1横向き連結フレーム36から後向きに延ばされた支持フレーム41とにタンク支持フレーム50を介して連結されている。支持フレーム41は、最も後の第1横向き連結フレーム36および第2横向き連結フレーム38に連結されている。
【0035】
図3,4,5に示されるように、燃料タンク30は、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間に位置するように配置されている。本実施形態では、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間への燃料タンク30の配置は、図2,3に示されるよう、燃料タンク30の前部が穀粒タンク16の後端よりも前側に延び、燃料タンク30の後部が穀粒排出装置19における縦搬送部19Aよりも後側に延びる状態で行われている。
【0036】
脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間への燃料タンク30の配置は、さらに、図5に示されるように、穀粒タンク16の下部に下側ほど横幅がより狭くなるよう形成された下狭まり部16aにおける脱穀装置側の下方の空間に燃料タンク30が入り込む状態で行われている。
【0037】
具体的には、図5に示されるように、脱穀装置側の下狭まり部16aに、第1下狭まり部16af、および、第1下狭まり部16fよりも後側に位置する第2下狭まり部16arが備えられている。第2下狭まり部16arの狭まり角度と第1狭まり部16afの狭まり角度とは、ほぼ同じで、第2下狭まり部16arは、第1狭まり部16afよりもタンク内側に位置している。燃料タンク30は、前部30fにおける高さが後部30rにおける高さよりも低くように構成されている。穀粒タンク16のうちの前部30fにおける穀粒タンク側の部位30yが第2下狭まり部16arの下方の空間に位置している。
【0038】
図1に示されるように、走行機体2の後部に、トランスミッション43が設けられている。トランスミッション43には、図4,6に示されるように、トランスミッション43の左側部および右側部からクローラ走行装置1に向けて延ばされた車軸ケース43aが備えられている。左右の車軸ケース43aの延伸端部に、クローラ走行装置1の上記した後部輪体1bが駆動可能に備えられている。トランスミッション43においては、エンジン9からの動力が入力され、入力された動力によって左右の後部輪体1bが駆動される。左右のクローラ走行装置1は、トランスミッション43によって駆動される。
【0039】
図1,6に示されるように、燃料タンク30は、トランスミッション43の後方に配置されている。トランスミッション43と燃料タンク30との間に不要な空間があまりできないように、燃料タンク30の前部の形状がトランスミッション43の後部43rの形状に沿わされている。
【0040】
トランスミッション43の後部43rのうちの燃料タンク30に対向する部分43uがカバー44によって覆われている。カバー44と燃料タンク30との間に不要な空間があまりできないように、燃料タンク30の前部の形状がカバー44の後部の形状に沿わされている。具体的には、トランスミッション43の燃料タンク30に対向する部分43uには、トランスミッション43が有する無段変速部(図示せず)の変速操作を行うバルブ装置部43vが備えられている。カバー44は、バルブ装置部43vを両横側方から覆う左右の側板部、バルブ装置部43vを上方から覆う上板部、バルブ装置部43vを後方から覆う後板部44rを有している。燃料タンク30の前部の形状は、カバー44の後板部44rの側面視での形状に沿わされている。
【0041】
図6に示されるように、クローラ走行装置1によって跳ね上げられる泥土が線Xに沿って後上方に飛ぶ。クローラ走行装置1によって跳ね上げられた泥土が燃料タンク30の後下部30sに当らないで後上方に飛ぶように、後下部30sが後上がりの傾斜形状にされている。
【0042】
〔燃料タンクの支持構造〕
図4,6,9に示されるように、機体フレーム3の後部に、燃料タンク30を支持するタンク支持フレーム50が備えられ、燃料タンク30は、タンク支持フレーム50を介して機体フレーム3に支持されて走行機体2に支持されるように構成されている。タンク支持フレーム50による燃料タンク30の支持は、図2,4,5,6に示されるように、燃料タンク30の下部30Dを機体フレーム3よりも下側に落とし込んだ状態で行われるように構成されている。
【0043】
具体的には、図5,6,10に示されるように、タンク支持フレーム50は、燃料タンク30の下部30Dが上方から抜き差しされる上枠部51と、上枠部51から下向きに延ばされ、差し入れられた下部30Dを受け止めて支持する支持部52とを備えている。
【0044】
図5,6,10に示されるように、上枠部51は、環状に構成され、支持部52は、上枠部51から下向きに延びる袋状に構成され、タンク支持フレーム50は、燃料タンク30の下部30Dを囲う箱状に構成されている。具体的には、上枠部51は、図5,6,10に示されるように、後端横向きフレーム40と、後端横向きフレーム40の前方に位置する前横向き枠体53と、前横向き枠体53の左右の端部を後端横向きフレーム40に連結する左右の前後向き枠体54と、によって構成されている。支持部52は、図5,6に示されるように、底部55(底壁部)と、底部55の左右端部から立ち上げられた左右の側壁部56と、底部55の前端部から立ち上げられた前壁部57とによって構成されている。底部55の側面視での形状は、燃料タンク30の後下部30sの形状に沿わされ、後上がり状態の傾斜形状になっている。
【0045】
タンク支持フレーム50は、図10に示されるように、機体フレーム3に対するタンク支持フレーム50の脱着を可能にする連結部60を有している。タンク支持フレーム50を連結部60によって機体フレーム3に対して脱着することにより、燃料タンク30がタンク支持フレーム50に安定良く支持される状態にしつつ燃料タンク30を走行機体2に対して脱着することが可能である。
【0046】
連結部60は、図10,11に示されるように、タンク支持フレーム50の前部に備えられた嵌合部61と、機体フレーム3に備えられた支持部62と、を有している。
【0047】
嵌合部61は、図10.11に示されるように、前横向き枠体53の左端部に備えられた左嵌合部61aと、右の前後向き枠体54の前部に備えられた右嵌合部61bと、を有している。右嵌合部61bは、前横向き枠体53よりも前側へ延ばされた右の前後向き枠体54の前部によって構成されている。
【0048】
支持部62は、図10,11に示されるように、支持フレーム41の後部に備えられた左支持部62aと、右の主フレーム35の後部に備えられた右支持部62bと、を有している。具体的には、左右の主フレーム35は、上下に重ね合わせられた鋼管材によって構成されている。右支持部62bは、右の主フレーム35の下の鋼管材によって構成されている。
【0049】
図5,6,10,11に示されるように、連結部60においては、左嵌合部61aが左支持部62aの外側に機体後方から被せられ、右嵌合部61bが右支持部62bに機体後方から差し入れられると、嵌合部61が支持部62に対する嵌合状態になる。嵌合状態になると、左支持部62aと左嵌合部61aとに連結ボルトが装着され、かつ、右支持部62bと右嵌合部61bとに連結ボルトが装着されると、支持部62に対する嵌合部61の嵌合状態が保持され、タンク支持フレーム50が機体フレーム3に連結されるように連結状態になる。連結部60を連結状態にすることにより、燃料タンク30を走行機体2に取付けることができる。
【0050】
連結部60においては、左嵌合部61aが左支持部62aから機体後方に離脱され、右嵌合部61bが右支持部62bから機体後方に抜き外されると、支持部62に対する嵌合部61の係合が解除され、機体フレーム3に対するタンク支持フレーム50の連結が解除されるように連結解除状態になる。連結部60を連結解除状態にすることにより、燃料タンク30を走行機体2から取り外すことができる。
【0051】
図4,6に示されるように、燃料タンク30が走行機体2に取付けられた状態において、タンク支持フレーム50の上側において燃料タンク30の外周位置に保護フレーム65が位置するように構成されている。燃料タンク30のうちのタンク支持フレーム50から露出する部分が外周位置から衝撃を受け難いように保護フレーム65によって保護される。
【0052】
図4,6に示されるように、保護フレーム65は、機体フレーム3のうちの後端横向きフレーム40から立設された縦フレームによって構成されている。縦フレームは、燃料タンク30の後面に沿わせて立設されている。燃料タンク30のうち、機体後方に向かって開放される後部が保護フレーム65によって保護される。図7に示されるように、保護フレーム65の上端部分が、前向きに曲げられて支柱68に連結されている。支柱68は、燃料タンク30の縦搬送部側の横側方において機体フレーム3に立設されている。
【0053】
図6,7に示されるように、保護フレーム65の上部に、燃料タンク30に燃料補給する燃料容器(図示せず)を載置可能な載置部66が備えられている。載置部66は、燃料タンク30を脱着する際に取り除けるように脱着可能に備えられている。具体的には、図7に示されるように、保護フレーム65の上部に載置部受け69が支持されている。載置部受け69は、保護フレーム65から左右方向に延びる第1受け部69a、第1受け部69aの左右方向での2箇所から前向きに延びる第2受け部69bを備えている。図7,8に示されるように、載置部66は、載置部受け69に載置され、載置部66の前部が第2受け部69bに連結ボルトによって脱着可能に連結されている。載置部66の後部に備えられた折曲げ部が第1受け部69aに連結ボルトによって脱着可能に連結されている。載置部66は、載置部受け69に対して脱着可能なことによって保護フレーム65に対して脱着可能である。
【0054】
図6に示されるように、タンク支持フレーム50の上側に、燃料タンク30の上部を押抑え込んで燃料タンク30の傾き防止を行う押さえ部材67が設けられている。本実施形態においては、図7,8に示されるように、押さえ部材67は、載置部受け69の第2受け部69bに連結され、載置部受け69を介して保護フレーム65の上部に支持されている。押さえ部材67は、燃料タンク30のうちの上横側部に当接することによって燃料タンク30の傾きを防止するように構成されている。本実施形態では、押さえ部材67は、燃料タンク30の左横側のみに設けているが、燃料タンク30の右横側にも設けて実施してもよい。
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、タンク支持フレーム50が箱状に構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、棒状部材を組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0055】
(2)上記した実施形態では、保護フレーム65が設けられた例を示したが、保護フレーム65を設けないものであってもよい。
【0056】
(3)上記した実施形態では、載置部66が備えられた例を示したが、載置部66が備えられないものであってもよい。
【0057】
(4)上記した実施形態では、連結部60が嵌合部61及び支持部62を有する構成である例を示したが、これに限らない。たとえば、機体フレーム3に備えたフランジと、タンク支持フレーム50に備えたフランジとを連結ボルトによって連結する構成など、どのような構成を採用したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、クローラ走行装置によって支持される走行機体と、走行機体の前部に設けられた刈取部と、刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀装置と横並び状態で設けられ、脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間に位置する状態で機体後端部に設けられた燃料タンクと、が備えられたコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0059】
2 走行機体
3 機体フレーム
6A 刈取部
15 脱穀装置
16 穀粒タンク
40 後端横向きフレーム
30 燃料タンク
50 タンク支持フレーム
54 前後向き枠体
55 底部(底壁部)
56 側壁部
60 連結部
61 嵌合部
62 支持部
66 保護フレーム
66 載置部
67 押さえ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11