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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】道路管制装置および表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231107BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019116380
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021002271
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 恵
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116686(JP,A)
【文献】特開平06-019981(JP,A)
【文献】特開2018-206222(JP,A)
【文献】特開2015-011688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられ、前記管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイと、
前記道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を取得する取得部と、
前記ヘッドマウントディスプレイごとに、道路情報に関する複数のレイヤの情報のうち、対応する種類の前記イベント事象に応じた2以上の前記レイヤの情報を重ね合わせる処理を行うことによって生成された関連マップを表示させる表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、
前記業務ごとに1種類以上の前記イベント事象が対応付られた第1の対応情報を用いて、前記ヘッドマウントディスプレイごとに、当該ヘッドマウントディスプレイを使用する管制員が担当する前記業務に対応する種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
道路管制装置。
【請求項2】
道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられ、前記管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイと、
前記道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を取得する取得部と、
前記ヘッドマウントディスプレイごとに、道路情報に関する複数のレイヤの情報のうち、対応する種類の前記イベント事象に応じた2以上の前記レイヤの情報を重ね合わせる処理を行うことによって生成された関連マップを表示させる表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、
前記ヘッドマウントディスプレイごとに1種類以上の前記イベント事象が対応付られた第2の対応情報を用いて、前記ヘッドマウントディスプレイごとに、当該ヘッドマウントディスプレイに対応する種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
道路管制装置。
【請求項3】
前記取得部が所定の種類の前記イベント事象の情報を所定量以上取得した場合、
前記表示制御部は、当該種類の前記イベント事象に対応している前記ヘッドマウントディスプレイだけでなく、当該種類の前記イベント事象に対応していない前記ヘッドマウントディスプレイにも当該種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
請求項1または請求項2に記載の道路管制装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記管制員によって対処中の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示している前記ヘッドマウントディスプレイに、さらに他の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させるときは、イベント事象を対処していない他の前記管制員に対応する前記ヘッドマウントディスプレイにも、当該他の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
請求項1または請求項2に記載の道路管制装置。
【請求項5】
取得部が、道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を取得する取得工程と、
表示制御部が、前記道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられ前記管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイごとに、道路情報に関する複数のレイヤの情報のうち、対応する種類の前記イベント事象に応じた2以上の前記レイヤの情報を重ね合わせる処理を行うことによって生成された関連マップを表示させる表示制御工程と、
を含み、
前記表示制御工程において、前記表示制御部は、
前記業務ごとに1種類以上の前記イベント事象が対応付られた第1の対応情報を用いて、前記ヘッドマウントディスプレイごとに、当該ヘッドマウントディスプレイを使用する管制員が担当する前記業務に対応する種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
表示方法。
【請求項6】
取得部が、道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を取得する取得工程と、
表示制御部が、前記道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられ前記管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイごとに、道路情報に関する複数のレイヤの情報のうち、対応する種類の前記イベント事象に応じた2以上の前記レイヤの情報を重ね合わせる処理を行うことによって生成された関連マップを表示させる表示制御工程と、
を含み、
前記表示制御工程において、前記表示制御部は、
前記ヘッドマウントディスプレイごとに1種類以上の前記イベント事象が対応付られた第2の対応情報を用いて、前記ヘッドマウントディスプレイごとに、当該ヘッドマウントディスプレイに対応する種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
表示方法。
【請求項7】
前記取得工程において前記取得部が所定の種類の前記イベント事象の情報を所定量以上取得した場合、
前記表示制御工程において、前記表示制御部は、当該種類の前記イベント事象に対応している前記ヘッドマウントディスプレイだけでなく、当該種類の前記イベント事象に対応していない前記ヘッドマウントディスプレイにも当該種類の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
請求項5または請求項6に記載の表示方法。
【請求項8】
前記表示制御工程において、前記表示制御部は、前記管制員によって対処中の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示している前記ヘッドマウントディスプレイに、さらに他の前記イベント事象を表示させるときは、イベント事象を対処していない他の前記管制員に対応する前記ヘッドマウントディスプレイにも、当該他の前記イベント事象に応じた前記関連マップを表示させる、
請求項5または請求項6に記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、道路管制装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路(高速道路等)に対する道路管制(交通管制や施設管制等)では、まず、道路や施設で発生する複数種類のイベント事象(例えば、交通事故、トンネル火災等)の情報を収集する。そして、例えば、それらの情報を1つの大型ディスプレイに表示し、複数の管制員が、その大型ディスプレイを見ながら、発生したイベント事象に対処する等の管制業務を行う。その場合、例えば、交通事故に対処する管制員は、大型ディスプレイに表示されている各種情報のうちの交通事故に関係する情報を見て、状況を把握し、交通事故に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-36958号公報
【文献】特開2017-117323号公報
【文献】特開平11-248483号公報
【文献】特開2017-84291号公報
【文献】特開2018-116686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、道路や施設に配置されるカメラやセンサ等の機器の種類や数が増加傾向にあること等により、大型ディスプレイに表示される情報が多くなってきている。そうすると、各管制員は、大型ディスプレイを見た場合に、自分にとって必要な情報だけでなく多くの不要な情報も見ることになり、状況を把握しにくい。
【0005】
そこで、本実施形態の課題は、各管制員に対して必要な情報を効率的に表示することができる道路管制装置および表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の道路管制装置は、道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられ、前記管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイと、前記道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を取得する取得部と、前記ヘッドマウントディスプレイごとに、道路情報に関する複数のレイヤの情報のうち、対応する種類の前記イベント事象に応じた2以上の前記レイヤの情報を重ね合わせる処理を行うことによって生成された関連マップを表示させる表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の道路管制システムの概略を示す全体構成図である。
図2図2は、地図レイヤの模式図である。
図3図3は、IC名称レイヤの模式図である。
図4図4は、事故レイヤの模式図である。
図5図5は、非常電話レイヤの模式図である。
図6図6は、トンネル名称レイヤの模式図である。
図7図7は、端末故障レイヤの模式図である。
図8図8は、災害レイヤの模式図である。
図9図9は、事故処理関連マップの模式図である。
図10図10は、端末故障等関連マップの模式図である。
図11図11は、実施形態におけるマップ表示の説明図である。
図12図12は、実施形態の道路管制装置における第1の処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態の道路管制装置における第2の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる道路管制装置および表示方法を適用した道路管制システムについて説明する。なお、本実施形態では、道路として高速道路の場合を例にとって説明する。
【0009】
図1は、実施形態の道路管制システムSの概略を示す全体構成図である。道路管制システムSは、道路機器1と、道路管制装置2と、表示機3(表示部)と、を備える。
【0010】
道路機器1は、例えば、車両感知器、監視カメラ、非常電話、移動情報端末(携帯電話、スマートフォン等)、一般車の車載装置、火災感知器等である。
【0011】
車両感知器は、高速道路の路側に設置され、交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報を収集する感知器であり、感知した情報を道路管制装置2に送信する。
【0012】
監視カメラは、高速道路の路側に設置され、高速道路を撮影するカメラであり、撮影した映像を道路管制装置2に送信する。
【0013】
非常電話は、高速道路の本線上、トンネル内、インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリア、バスストップ、非常駐車帯等に設けられている。交通事故や車両故障等の発生時には、利用者は、非常電話を利用して、道路管制装置2が設置されている道路管制センタのオペレータと通話することができる。
【0014】
移動情報端末は、高速道路の利用者により携帯される。交通事故や車両故障等の発生時には、利用者は、移動情報端末を利用して、道路管制センタのオペレータと通話することができる。また、移動情報端末は、道路管制装置2と各種情報(交通状況、事故情報等)を送受信することができる。
【0015】
一般車の車載装置は、プローブ情報(車両の位置、速度、加速度、ハンドル操作、ブレーキ動作等の情報)を道路管制装置2に送信する。
【0016】
火災感知器は、高速道路の本線上、トンネル内、サービスエリア、パーキングエリア等に設置され、火災を感知すると感知した情報を道路管制装置2に送信する。
【0017】
なお、本実施形態では、交通事故(以下、単に「事故」ともいう。)や、非常電話による通報や、端末(道路や施設に設置されている端末機器)故障や、火災等の災害や、それらに類するものをまとめてイベント事象という。
【0018】
従来の道路管制では、まず、道路や施設で発生する複数種類のイベント事象(例えば、交通事故、トンネル火災等)の情報を収集する。そして、例えば、それらの情報を1つの大型ディスプレイに表示し、複数の管制員が、その大型ディスプレイを見て、発生したイベント事象に対処する等の管制業務を行う。その場合、例えば、交通事故に対処する管制員は、大型ディスプレイに表示されている各種情報のうちの交通事故に関係する情報を見て、状況を把握し、交通事故に対処する。
【0019】
しかしながら、近年、道路や施設に配置されるカメラやセンサ等の機器の種類や数が増加傾向にあること等により、大型ディスプレイに表示される情報が多くなってきている。そうすると、各管制員は、大型ディスプレイを見た場合に、自分にとって必要な情報だけでなく多くの不要な情報も見ることになり、状況を把握しにくい。
【0020】
また、大型ディスプレイをさらに大きくすることで対応する方法もあるが、大きなコストがかかってしまう。また、大型ディスプレイに表示する各種情報について、HSB(Hue Saturation Brightness)カラーモデルを用いて誘目性に差異を設けて重要な情報を目立たせる方法もあるが、この方法では管制員ごとに重要な情報が異なっていることには対応できない。
【0021】
また、管制員ごとの個別のPC(Personal Computer)を用意して、各管制員が自分のPCを操作してそのPC画面上に自分にとって必要な情報だけを表示させることもできる。しかしながら、その場合、各管制員が自分のPCで情報の取捨選択等の操作をしなければならないため、面倒である。
【0022】
そこで、本実施形態では、そのような各種課題を解決し、各管制員に対して必要な情報を効率的に表示することができる道路管制装置および表示方法について説明する。
【0023】
道路管制装置2は、道路管制センタに設置されるコンピュータ装置である。なお、道路管制センタで管制員によって行われる管制業務には、大きく、交通管制業務と施設管制業務の2つがある。交通管制業務は、交通に影響を及ばすイベント事象(例えば、交通事故、渋滞、落下物等)の監視や、イベント事象の発生時の対処や通行車両への情報提供等を行う業務である。
【0024】
施設管制業務は、道路施設に関するイベント事象(例えば、端末(各種機器)故障、災害(火災等)など)の監視や、イベント事象の発生時の対処や通行車両への情報提供等を行う業務である。
【0025】
なお、道路管制装置2は、例えば、情報交換サーバや中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現されるが、本実施形態では、説明を簡潔にするために、1台のコンピュータ装置によって構成されているものとして説明する。
【0026】
道路管制装置2は、処理部21と、記憶部22と、入力部23と、を備える。なお、道路管制装置2は、外部の装置や機器との通信のための通信部も有しているが、説明を簡潔にするために通信部の図示および説明を省略する。
【0027】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部22は、各種プログラム、各種データを記憶する。記憶部22は、例えば、高速道路に関する区間、車線数、インターチェンジ、ジャンクション、パーキングエリア、サービスエリア、トンネルの場所等の情報を記憶する。また、記憶部22は、例えば、各レイヤの情報(図2~8)や各関連マップの情報(図9図10)を記憶する。また、例えば、記憶部22は、後述する第1の対応情報、第2の対応情報を記憶する。
【0028】
入力部23は、道路管制装置2に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0029】
表示部24は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等である。
【0030】
処理部21は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。
【0031】
MPUは、道路管制装置2の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムや各種データを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0032】
そして、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部22等に格納されたプログラムを実行する。処理部21は、機能部として、取得部211と、生成部212と、表示制御部213と、を備える。
【0033】
取得部211は、道路機器1から道路管制に関する複数種類のイベント事象の情報を含む道路情報を取得する。
【0034】
生成部212は、道路情報をレイヤ別にマッピングする。情報のレイヤとしては、例えば、地図レイヤ、IC(Interchange)名称レイヤ、事故レイヤ、非常電話レイヤ、トンネル名称レイヤ、端末故障レイヤ、災害レイヤがある。そのうち、地図レイヤ、IC名称レイヤ、トンネル名称レイヤは予め記憶部22に記憶されている。生成部212は、道路情報を事故レイヤ、非常電話レイヤ、端末故障レイヤ、災害レイヤにマッピングする。
【0035】
ここで、図2図5図6図8を参照して、各レイヤについて説明する。
図2は、地図レイヤの模式図である。地図レイヤにおいて、線状の部分は道路である。なお、図2では図示を簡略化して道路を線で表現しているが、これに限定されず、上り道路と下り道路を別々に表現したり、あるいは、片側が複数車線の場合、その複数車線を表現したりしてもよい。小さい丸印の部分はインターチェンジである。大きい丸印の部分はジャンクションである。黒い矩形はトンネルである。
【0036】
図3は、IC名称レイヤの模式図である。IC名称レイヤにおいて、各インターチェンジに名称A~Kが与えられている。
【0037】
図4は、事故レイヤの模式図である。生成部212は、取得部211によって道路機器1から取得した道路情報や、入力部23が受け付けたユーザによる入力情報等に基づいて、この事故レイヤに事故の情報をマッピングする。図4の例では、事故レイヤに事故情報AC1と事故情報AC2がマッピングされている。
【0038】
図5は、非常電話レイヤの模式図である。生成部212は、取得部211によって道路機器1から取得された道路情報や、入力部23が受け付けたユーザによる入力情報等に基づいて、この非常電話レイヤに非常電話による通報の情報をマッピングする。例えば、生成部212は、受信した非常電話の番号から地点を特定し、この非常電話レイヤに非常電話による通報の情報をマッピングする。図4の例では、非常電話レイヤに、非常電話着信中情報IM1と、非常電話通話中情報IM2と、非常電話転送中情報IM3と、がマッピングされている。
【0039】
図6は、トンネル名称レイヤの模式図である。トンネル名称レイヤにおいて、各トンネルに名称TN1、TN2が与えられている。
【0040】
図7は、端末故障レイヤの模式図である。生成部212は、取得部211によって道路機器1から取得された道路情報や、入力部23が受け付けたユーザによる入力情報等に基づいて、この端末故障レイヤに端末故障の情報をマッピングする。図7の例では、端末故障レイヤに、端末故障情報TE1、TE2がマッピングされている。
【0041】
図8は、災害レイヤの模式図である。生成部212は、取得部211によって道路機器1から取得された道路情報や、入力部23が受け付けたユーザによる入力情報等に基づいて、この災害レイヤに災害の情報をマッピングする。図8の例では、災害レイヤに、火災情報TFと落石情報DIがマッピングされている。
【0042】
図1に戻って、生成部212は、複数のレイヤを重ね合わせる処理を行うことによって、関連マップを生成する。生成部212は、例えば、事故処理関連マップを生成する。
図9は、事故処理関連マップの模式図である。生成部212は、地図レイヤ(図2)と、IC名称レイヤ(図3)と、事故レイヤ(図4)と、非常電話レイヤ(図5)と、を重ね合わせる処理を行うことによって、図9に示す事故処理関連マップを生成する。
【0043】
また、生成部212は、例えば、端末故障等関連マップを生成する。
図10は、端末故障等関連マップの模式図である。生成部212は、地図レイヤ(図2)と、トンネル名称レイヤ(図6)と、端末故障レイヤ(図7)と、災害レイヤ(図8)と、を重ね合わせる処理を行うことによって、図9に示す事故処理関連マップを生成する。
【0044】
図1に戻って、表示制御部213は、表示機3ごとに、対応する種類のイベント事象を表示させる。表示機3は、道路管制の業務を行う管制員ごとに設けられる。表示機3は、例えば、管制員によって使用されるヘッドマウントディスプレイ(図11の符号HM1、HM2)である。
【0045】
ここで、図11は、実施形態におけるマップ表示の説明図である。例えば、表示制御部213は、業務ごとに1種類以上のイベント事象が対応付られた第1の対応情報を用いて、表示機3ごとに、表示機3を使用する管制員が担当する業務に対応する種類のイベント事象を表示させる。例えば、管制員Aの管制業務が事故処理である場合、管制員Aが装着するヘッドマウントディスプレイHM1には事故処理関連マップ(図9)が表示される。なお、この事故処理関連マップ(図9)には、管制員Aにとって不要な情報であるトンネル名称レイヤ(図6)、端末故障レイヤ(図7)、災害レイヤ(図8)の各情報は表示されない。したがって、管制員Aは、ヘッドマウントディスプレイHM1に表示される事故処理関連マップ(図9)を見ることで、自分にとって必要な情報を効率的に収集して事故処理の業務を迅速に遂行することができる。
【0046】
また、例えば、管制員Bの管制業務が端末故障等への対応である場合、管制員Bが装着するヘッドマウントディスプレイHM2には端末故障等関連マップ(図10)が表示される。なお、この端末故障等関連マップ(図10)には、管制員Bにとって不要な情報であるIC名称レイヤ(図3)、事故レイヤ(図4)、非常電話レイヤ(図5)の各情報は表示されない。したがって、管制員Bは、ヘッドマウントディスプレイHM2に表示される端末故障等関連マップ(図10)を見ることで、自分にとって必要な情報を効率的に収集して端末故障等への対応の業務を迅速に遂行することができる。
【0047】
また、表示制御部213は、表示機3ごとに1種類以上のイベント事象が対応付られた第2の対応情報を用いて、表示機3ごとに、表示機3に対応する種類のイベント事象を表示させるようにしてもよい(詳細は図13で後述)。
【0048】
また、取得部211が所定の種類のイベント事象の情報を所定量以上取得した場合、表示制御部213は、負荷分散のために、当該種類のイベント事象に対応している表示機3だけでなく、当該種類のイベント事象に対応していない表示機3にも当該種類のイベント事象を表示させるようにしてもよい。つまり、例えば、交通事故が多く発生した場合、管制業務が事故処理である管制員の表示機3だけでなく、管制業務が端末故障等である管制員の表示機3にも、事故処理関連マップ(図9)を表示させるようにしてもよい。そうすれば、管制員同士での業務の助け合い等を効率良く行うことができる。
【0049】
また、表示制御部213は、管制員によって対処中のイベント事象を表示している表示機3に、さらに他のイベント事象を表示させるときは、イベント事象を対処していない他の管制員に対応する表示機3にも、当該他のイベント事象を表示させるようにしてもよい。そうすれば、管制員同士での業務の助け合い等を効率良く行うことができる。
【0050】
なお、管制員がイベント事象への対処を完了させた場合、あらかじめ設定したイベント事象のレイヤを表示機3に表示させ、次のイベント事象発生に備える。
【0051】
図12は、実施形態の道路管制装置2における第1の処理を示すフローチャートである。第1の処理では、表示機3ごとに、その表示機3を使用する管制員の管制業務に対応した関連マップが表示される。
【0052】
まず、ステップS1において、取得部211は、道路機器1から道路情報を取得する。次に、ステップS2において、生成部212は、道路情報をレイヤ別にマッピングする。
【0053】
次に、ステップS3において、入力部23は、ユーザによる管制員ごとの業務内容の入力を受け付ける。
【0054】
次に、ステップS4において、処理部21は、所定の管制員について、管制業務が事故処理業務か否かを判定し、Yesの場合はステップS5に進み、Noの場合はステップS6に進む。
【0055】
ステップS5において、生成部212は事故処理関連マップ(図9)を生成し、表示制御部213は、その管制員が装着するヘッドマウントディスプレイ(表示機3)に事故処理関連マップ(図9)を表示させる。
【0056】
ステップS6において、処理部21は、その管制員について、管制業務が端末故障等業務か否かを判定し、Yesの場合はステップS7に進み、Noの場合はステップS8に進む。
【0057】
ステップS7において、生成部212は端末故障等関連マップ(図10)を生成し、表示制御部213は、その管制員が装着するヘッドマウントディスプレイ(表示機3)に端末故障等関連マップ(図10)を表示させる。
【0058】
ステップS8において、生成部212は全レイヤマップ(図2図8の全レイヤを重ね合わせたマップ)を生成し、表示制御部213はその管制員が装着するヘッドマウントディスプレイ(表示機3)に全レイヤマップを表示させる。なお、ステップS4~S8の処理を、すべての管制員の表示機3に関して行う。
【0059】
図13は、実施形態の道路管制装置における第2の処理を示すフローチャートである。第2の処理では、表示機3ごとに、予め指定された関連マップが表示される。
【0060】
まず、ステップS1とステップS2は、図12の場合と同様である。ステップS2の後、ステップS11において、処理部21は、所定の管制員の表示機3について、予め指定された表示(関連マップ)が事故処理関連マップか端末故障等関連マップのいずれであるを判定し、事故処理関連マップの場合はステップS12に進み、端末故障等関連マップの場合はステップS13に進む。
【0061】
ステップS12において、生成部212は事故処理関連マップ(図9)を生成し、表示制御部213は、その管制員が装着するヘッドマウントディスプレイ(表示機3)に事故処理関連マップ(図9)を表示させる。
【0062】
ステップS13において、生成部212は端末故障等関連マップ(図10)を生成し、表示制御部213は、その管制員が装着するヘッドマウントディスプレイ(表示機3)に端末故障等関連マップ(図10)を表示させる。なお、ステップS11~S13の処理を、すべての管制員の表示機3に関して行う。
【0063】
このように、本実施形態の道路管制装置2によれば、道路管制の業務を行う管制員が使用する表示機3ごとに、対応する種類のイベント事象(関連マップ)を表示させることで、各管制員に対して必要な情報を効率的に表示することができる。
【0064】
具体的には、例えば、管制業務とイベント事象が対応付られた第1の対応情報を用いることで、表示機3に、その管制員にとって必要なイベント事象(関連マップ)を表示させることができる。
【0065】
また、例えば、表示機3とイベント事象が対応付られた第2の対応情報を用いることで、表示機3に、その管制員にとって必要なイベント事象(関連マップ)を表示させることができる。
【0066】
また、所定の種類のイベント事象の情報が所定量以上取得された場合、複数の表示機3に当該種類のイベント事象を表示させることで、負荷分散を図ることができ、管制員同士での業務の助け合い等を効率良く行うことができる。
【0067】
また、管制員によって対処中のイベント事象を表示している表示機3にさらに他のイベント事象を表示させるときは、イベント事象を対処していない他の管制員に対応する表示機3にも当該他のイベント事象を表示させることで、管制員同士での業務の助け合い等を効率良く行うことができる。
【0068】
また、表示機3としてヘッドマウントディスプレイを使用することで、大型ディスプレイを拡張する場合に比べて、大幅にコストダウンできる。また、道路管制センタ以外の場所(例えば管制員の自宅等)でも管制業務を行うことができる。
【0069】
なお、本実施形態の道路管制装置2で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の道路管制装置2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0070】
さらに、本実施形態の道路管制装置2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の道路管制装置2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0071】
本実施形態の道路管制装置2で実行されるプログラムは、上述した処理部21における各部211~213を含むモジュール構成となっている。つまり、CPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより、各部211~213が主記憶装置上にロードされる。
【0072】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
例えば、対象の道路は、高速道路に限定されず、一般道路等の他の道路であってもよい。
【0074】
また、表示機3は、ヘッドマウントディスプレイに限定されず、管制員ごとの個別のPCやスマートフォン等の表示機能付装置であってもよい。
【0075】
また、情報のレイヤは、上述の例に限定されず、例えば、車両の渋滞の度合いや交通規制の有無の情報を有するレイヤや、巡回車や作業車の位置を示す情報を有するレイヤなどの他のレイヤを用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…道路機器、2…道路管制装置、3…表示機、21…処理部、22…記憶部、23…入力部、24…表示部、211…取得部、212…生成部、213…表示制御部、S…道路管制システム
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