(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】プロセス制御ハードウェアをコミッショニングするための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20231108BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2022085371
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2017197574の分割
【原出願日】2017-10-11
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラリー オー. ユント
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリー ケー. ロウ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139227(JP,A)
【文献】特開2008-152521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/042
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングする方法であって、
プロセスプラントの1つ以上のプロセス制御装置の個々の携帯型コンピューティング装置において、
前記個々のプロセス制御装置のインターネットプロトコル(IP)アドレスを含む前記個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることであって、前記1つ以上のプロセス制御装置のうちの少なくともいくつかが、通信可能に接続されて、前記プロセスプラント内でランタイム中にプロセスを制御するように動作する、ことと、
前記1つ以上のプロセス制御装置のうちの第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループの無給電コンポーネントの特定に応答して、前記コンポーネントが依然として前記無給電状態である間に、前記携帯型コンピューティング装置によって、無線リンクを介して前記コンポーネントに前記第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送することであって、前記コミッショニングデータが、前記第1のプロセス制御装置のコミッショニングに用いられる、ことと、
前記第1のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを前記コンポーネントからデータベースに転送し、前記プロセスプラントのフィールド環境内のデータを、前記プロセスプラントのバックエンド環境内のデータと同期させる、こと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記個々のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを得ることが、前記個々のプロセス制御装置を示すタグ
、前記個々のプロセス制御装置に関する説明、または前記個々のプロセス制御装置のメーカ及びモデル情報のうちの少なくとも1つを得ることを
さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることが、
前記携帯型コンピューティング装置によって、前記個々のプロセス制御装置において光データを取り込むことであって、前記光データが、前記個々のプロセス制御装置のインジケータを含む、ことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプロセス制御装置が含まれる前記プロセス制御ループの前記コンポーネントが、I/Oキャビネット内に収容されたI/O装置を備え、前記第1のプロセス制御装置
の前記コミッショニングデータを得ることが、前記I/Oキャビネット内部の前記I/O装置を位置付けるためのバンク及び/またはスロットの表示を得ることを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記I/O装置が、前記I/Oキャビネット内部の前記I/O装置の場所を、前記コミッショニングデータに含まれる前記バンクまたはスロットと比較することによって、前記I/O装置が前記I/Oキャビネット内部の適切な場所に配置されていることを検証する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コミッショニングデータを前記コンポーネントに転送することが、前記コミッショニングデータを、前記コンポーネントのメモリに記憶するために、前記コンポーネントの近距離無線通信(NFC)ユニットに転送することを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記携帯型コンピューティング装置において、前記コンポーネントから、前記第1のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを受信することと、
前記携帯型コンピューティング装置によって、前記コミッショニングデータに含まれる装置タグが、前記第1のプロセス制御装置を示すタグに合致することを検証することと、をさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記携帯型コンピューティング装置が前記コンポーネントのしきい値距離以内にあることを検出すると、前記携帯型コンピューティング装置によって、前記コミッショニングデータを前記コンポーネントに自動転送することをさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記携帯型コンピューティング装置によって、前記プロセスプラント内の前記1つ以上のプロセス制御装置の各々の表示を表示することであって、前記各々の表示が、前記個々のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを含む、ことと、
前記携帯型コンピューティング装置において、前記第1のプロセス制御装置の表示の選択を受信することと、
をさらに含み、
前記第1のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを前記コンポーネントに転送することが、前記第1のプロセス制御装置の前記表示の前記選択を受信すると、前記第1のプロセス制御装置の前記コミッショニングデータを前記コンポーネントに転送することを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするための携帯型コンピューティング装置であって、前記携帯型コンピューティング装置が、
1つ以上のプロセッサと、
通信ユニットと、
前記1つ以上のプロセッサ及び前記通信ユニットに結合された非一時的コンピュータ可読媒体であって命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記携帯型コンピューティング装置に、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実行させる、
携帯型コンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してプロセスプラント及びプロセス制御システムに関し、より具体的には、装置の電源がオフである間の、フィールド装置及び/または他のプロセス制御装置のスマートコミッショニングに関する。
【背景技術】
【0002】
物理的素材または製品を製造し、精製、改造、生成、または生産するために化学、石油、工業または他のプロセスプラントで用いられるような分散型プロセス制御システムは、通常はアナログバス、デジタルバス、または複合アナログ/デジタルバスを介して、または無線通信リンクまたはネットワークを介して、1つ以上のフィールド装置に通信可能に結合された1つ以上のプロセスコントローラを含む。フィールド装置は、例えばバルブ、バルブポジショナ、スイッチ及びトランスミッタ(例えば、温度センサ、圧力センサ、レベルセンサ、及び流量センサ)であり得、プロセス環境内に位置付けられ、概して、バルブの開閉、温度または圧力等のプロセス及び/または環境パラメータの測定等の物理的またはプロセス制御機能を行って、プロセスプラントまたはシステム内で実行する1つ以上のプロセスを制御する。また、スマートフィールド装置、例えば周知のフィールドバスプロトコルに準拠するフィールド装置は、制御演算、警報機能、及びコントローラ内部で一般的に実施される他の制御機能も行い得る。同様に一般にプラント環境内部に位置付けられるプロセスコントローラは、フィールド装置によってなされたプロセス測定の値を示す信号及び/またはフィールド装置に関する他の情報を受信して、例えば、プロセス制御決定を行う異なる制御モジュールを走らせるコントローラアプリケーションを実行させ、受信された情報に基づいて制御信号を生成し、フィールド装置、例えばHART(登録商標)、無線HART(登録商標)、及びFOUNDATION(登録商標)フィールドバスフィールド装置で行われる制御モジュールまたはブロックに連携させる。コントローラ内の制御モジュールは、通信ラインまたはリンクを経由してフィールド装置に制御信号を送り、それによってプロセスプラントまたはシステムの少なくとも一部の動作を制御する、例えばプラントまたはシステム内部で走らせるかまたは実行する1つ以上の工業用プロセスの少なくとも一部を制御する。例えば、コントローラ及びフィールド装置は、プロセスプラントまたはシステムによって制御されるプロセスの少なくとも一部を制御する。I/O装置は、通常はプラント環境内部にも位置付けられ、通常は、コントローラと1つ以上のフィールド装置との間に配設され、例えば電気信号をデジタル値に変換することによって、それらの間での通信を可能にし、逆の場合も同様である。本明細書で利用される場合、フィールド装置及びコントローラは、概して「プロセス制御装置」と称される。
【0003】
フィールド装置及びコントローラからの情報は、普通は、データハイウェイまたは通信ネットワークを経由して、通常は制御室内またはより過酷なプラント環境から離れた他の場所に配置された1つ以上の他のハードウェア装置、例えばオペレータワークステーション、パーソナルコンピュータまたはコンピューティング装置、データヒストリアン、レポートジェネレータ、集中データベース、または他の集中管理コンピューティング装置に利用可能にされる。これらのハードウェア装置の各々は、通常は、プロセスプラント全体にわたるか、またはプロセスプラントの一部にわたる集中型である。これらのハードウェア装置は、例えば、オペレータが、プロセスを制御すること及び/またはプロセスプラントを動作させることに関する機能、例えばプロセス制御ルーチンの設定を変更すること、コントローラまたはフィールド装置内部の制御モジュールの動作を修正すること、プロセスの現在の状態を閲覧すること、フィールド装置及びコントローラによって生成された警告を閲覧すること、作業員を訓練するかまたはプロセス制御ソフトウェアを試験する目的の
ためにプロセスの動作をシミュレートすること、構成データベースを維持し更新すること等を行うことを可能にし得るアプリケーションを走らせる。ハードウェア装置、コントローラ及びフィールド装置によって利用されるデータハイウェイは、有線通信パス、無線通信パス、または有線通信パス及び無線通信パスの組み合わせを含み得る。
【0004】
一例として、Emerson Process Managementによって販売されているDeltaV(商標)制御システムは、プロセスプラント内部の多様な場所に位置付けられた異なる装置の内部に記憶され、それらによって実行される複数のアプリケーションを含む。構成アプリケーションは、1つ以上のワークステーションまたはコンピューティング装置に常駐し、ユーザがプロセス制御モジュールを作成するかまたは変更し、データハイウェイを介して、これらのプロセス制御モジュールを専用の分散型コントローラにダウンロードすることを可能にする。通常、これらの制御モジュールは、通信可能に相互接続された機能ブロックで構成され、これらは、それらに対する入力に基づいて制御スキーム内の機能を行い、制御スキーム内部の他の機能ブロックに出力を提供する、オブジェクト指向プログラミングプロトコル内のオブジェクトである。また、構成アプリケーションは、構成設計者が、閲覧アプリケーションによって用いられてオペレータにデータを表示し、オペレータがプロセス制御ルーチン内部の設定、例えば設定点を変更することを可能にするオペレータインターフェースを作成または変更することを可能にし得る。各専用コントローラ及び、いくつかのケースでは、1つ以上のフィールド装置は、それ等に割り当てられてダウンロードされた制御モジュールを走らせて、実際のプロセス制御機能性を実施する個々のコントローラアプリケーションを記憶し実行する。閲覧アプリケーションは、1つ以上のオペレータワークステーション上で(または、オペレータワークステーション及びデータハイウェイと通信接続している1つ以上のリモートコンピューティング装置上で)実行され、データハイウェイを介してコントローラアプリケーションからデータを受信し、ユーザインターフェースを用いてこのデータをプロセス制御システム設計者、オペレータ、またはユーザに表示し得、任意の数の異なるビュー、例えばオペレータ用ビュー、エンジニア用ビュー、技術者用ビュー等を提供し得る。データヒストリアンアプリケーションは、通常は、データハイウェイをわたって提供されたデータのいくつかまたはすべてを収集し記憶するデータヒストリアン装置に記憶され、それによって実行され、一方で構成データベースアプリケーションは、データハイウェイに取り付けられたよりさらなるコンピュータにおいて走り、現在のプロセス制御ルーチン構成及びそれに関連付けられたデータを記憶し得る。代替的に、構成データベースは、構成アプリケーションと同じワークステーション内に位置付けられ得る。
【0005】
概して、プロセスプラントまたはシステムのコミッショニングは、プラントまたはシステムの種々のコンポーネントを、システムまたはプラントが意図されたように動作することができる点まで導くことを包含する。コミッショニングは、込み入った複雑なプロセスである。例えば、コミッショニングは、設置されたプロセス制御装置(例えば、フィールド装置)及びその接続の識別情報を確認すること、プロセス制御システムまたはプラント内部のプロセス制御装置を一意に識別するタグを判定し提供すること、パラメータの初期値、限界点等を設定するかまたは構成すること、装置に提供された信号を操作することによって、装置の設置の正当性を検証すること、プラント内部に組み込まれる装置の実際の物理的接続を示すためのアズビルトI/Oリストを生成すること等の処置または作業を含み得る。いくつかのコミッショニングタスクについては、ユーザは、コミッショニングツール(例えば、ハンドヘルドまたは携帯型コンピューティング装置)を、目標のプロセス制御装置またはループでローカルに利用し得る。いくつかのコミッショニングタスクは、プロセス制御システムのオペレータインターフェースで、例えば、プロセスプラントのバックエンド環境内に含まれるオペレータワークステーションのオペレータインターフェースで行われてもよい。
【0006】
通常、プロセスプラントのコミッショニングは、プロセスプラントのフィールド環境内で設置され、セットアップされ、及び相互接続される物理的装置、接続、配線等を必要とする。プラントのバックエンド環境において(例えば、通常は制御室内またはプラントのより過酷なフィールド環境から離れた他の場所に配置されたオペレータワークステーション、パーソナルコンピュータまたはコンピューティング装置、集中データベース、構成ツール等の集中管理コンピューティング装置において)、種々の装置、それらの構成、及びそれらの相互接続を特に特定及び/または指定するデータが、統合されるか、検証されるかまたはコミッショニングされて、記憶される。このように、物理的ハードウェアが設置され構成された後、識別情報、論理命令、及び他の命令及び/またはデータが、フィールド環境内に配設された種々の装置にダウンロードされるか、さもなければ提供され、それによって、種々の装置が他の装置と通信することが可能であるようにされる。
【0007】
当然ながら、バックエンド環境で行われるコミッショニング処置に加えて、コミッショニング処置または作業は、フィールド環境における物理装置及び論理装置の両方の接続及び動作の正当性を、個別及び一体的の両方で検証することをさらに行う。例えば、フィールド装置は、物理的に設置され、例えば電源オン、電源オフ等を個別に検証され得る。そして、フィールド装置の一部は、コミッショニングツール物理的に接続され得、それを介して擬似信号がフィールド装置に送信され得、種々の擬似信号に応答したフィールド装置の挙動が試験され得る。同様に、通信ポートがコミッショニングされるフィールド装置は、最終的には端子台に物理的に接続され得、端子台とフィールド装置との間の実際の通信が試験され得る。通常、フィールド環境内のフィールド装置及び/または他のコンポーネントのコミッショニングは、コンポーネント識別の認識、及びいくつかのケースでは、コンポーネント相互接続の認識を必要とし、それによって、試験信号及び応答が、フィールド装置及び他のループコンポーネント間で通信されることができ、結果として得られる挙動が検証されるようにされる。現在周知のコミッショニング技術では、そのような識別及び相互接続の認識またはデータは、概して、バックエンド環境によってフィールド環境内のコンポーネントに提供される。例えば、バックエンド環境は、制御モジュールで用いられるフィールド装置タグを、リブプラントオペレーション中に制御モジュールによって制御されるフィールド装置にダウンロードする。
【0008】
最終的に、プロセス制御ループの種々のコンポーネント及び部分が、個々にコミッショニングされるか、チェックされるか、または試験された後、全ループ自体が、コミッショニングされ、チェックされ、及び/または「ループ試験」等の試験をされる。通常、ループ試験は、種々の入力または条件に応答した、及び/または種々の状況でのループの挙動を試験することを包含する。バックエンド環境内のオペレータは、フィールド環境内のオペレータと連係して、種々の入力を入力し、及び/またはプロセス制御ループにおける種々の条件及び/または状態を生成し、結果として生じる挙動及び/または測定値は、それらの許容可能な目標値及び/または範囲の遵守の水準を検査される。
【発明の概要】
【0009】
本明細書において、コミッショニングのための技術、システム、機器、コンポーネント、装置、及び方法が開示される。上述の技術、システム、機器、コンポーネント、装置、及び方法は、工業用プロセス制御システム、環境、及び/またはプラントに適用され得、これらは、本明細書では区別なく「工業用制御」、「プロセス制御」、または「プロセス」システム、環境、及び/またはプラントと称される。通常、そのようなシステム及びプラントは、物理的素材または製品を製造し、精製し、改造し、生成し、または生産するように動作する1つ以上のプロセスの制御を分散型で提供する。
【0010】
プロセス制御システム及び/またはプラントのスマートコミッショニングは、コミッショニングプロセスの少なくともいくつかの部分がローカルに、自動的に、及び/または分
散的に行われることを考慮している種々の技術、システム、機器、コンポーネント、及び/または方法を含み、それによって、プロセスプラントの装置及び/または他の部分が、全体としてプラントまたはシステムに組み入れられるかまたは統合される前に、装置の電源がオンにされる前に、部分的または全体的にコミッショニングされ得る。スマートコミッショニングは、例えば、プロセス制御システムの種々の部分が、プロセスプラントの常駐場所または現場で一つにまとめられ統合される前に、異なる地理的場所で(例えば、異なる「モッドヤード」で)構築され少なくとも部分的にコミッショニングされることを可能にする。ある意味では、スマートコミッショニングは、並行したコミッショニング作業及び処置が行われることを考慮している。
【0011】
例えば、スマートコミッショニングは、いくつかの(大部分ではなく)コミッショニング作業及び/または処置が、フィールド環境内で、及びプロセスプラントのバックエンド環境内で独立して(そして実際には、所望であれば平行して)行われることを考慮している。フィールド環境内に組み込まれる設計及びエンジニアリングのコミッショニングは、もはや機能設計、エンジニアリング、及びバックエンド環境で行われているコミッショニングの進行(及び完了)に依存しない。このように、フィールド環境の物理的コンポーネントのローカルなコミッショニング作業は、バックエンド環境の機能的または論理的コンポーネントのコミッショニングを独立して行うことを可能にし、逆もまた同様である。すなわち、フィールド環境かまたはバックエンド環境のいずれかにおけるコミッショニング作業及び処置のうちの少なくともいくつかの部分は、フィールド環境及びバックエンド環境が接続解除されている間に行われ得る。また、フィールド環境におけるコミッショニング作業及び処置のうちの少なくともいくつかの部分は、フィールド環境内の装置の電源がオンにされる前に行われ得る。
【0012】
結果として、スマートコミッショニングが、プロセスプラントのフィールド環境内で行われる物理的設計及びエンジニアリングが、プロセスプラントのバックエンド環境で行われる機能的設計及びエンジニアリングとは無関係に続行されることを考慮しているため、バックエンドとフィールドとの間のコミッショニングスケジュールの依存関係が低減され、プロセスプラントをコミッショニングするために必要とされる総カレンダー時間もまた低減される。このように、スマートコミッショニングは、コミッショニングプロセスを全体として最適化し、時間及び作業員資源の両方で著しく低減させ、したがって、コストを著しく低減させる。
【0013】
本開示の技術の一実施形態は、プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするための方法である。本方法は、携帯型コンピューティング装置上で実行され、プロセスプラントの1つ以上のプロセス制御装置ごとに、個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることを含む。1つ以上のプロセス制御装置のうちの少なくともいくつかは、通信可能に接続されて、プロセスプラント内でランタイム中にプロセスを制御するように動作するかまたはそのように意図される。本方法は、1つ以上のプロセス制御装置のうちの第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループの無給電コンポーネントの特定に応答して、コンポーネントが依然として前記無給電状態である間に、無線リンクを介してコンポーネントに第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送することを含み、コミッショニングデータは、第1のプロセス制御装置のコミッショニングに用いられる。
【0014】
これらの技術の別の実施形態は、プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするために用いられる携帯型コンピューティング装置である。携帯型コンピューティング装置は、1つ以上のプロセッサと、通信ユニットと、実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。命令は、1つ以上のプロセッサによって実行され、携帯型コンピューティング装置に、プロセスプラントの1つ以上のプロセス制御装置の
各々に対して、個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることを行わせる。1つ以上のプロセス制御装置のうちの少なくともいくつかは、通信可能に接続されて、プロセスプラント内でランタイム中にプロセスを制御するように動作するかまたはそのように意図される。本実行可能命令は、1つ以上のプロセス制御装置のうちの第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループの無給電コンポーネントの特定に応答して、コンポーネントが依然として前記無給電状態である間に、携帯型コンピューティング装置に、通信ユニットを介してコンポーネントに第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送させ、コミッショニングデータは、第1のプロセス制御装置のコミッショニングに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書に記載されたスマートコミッショニング技術を利用することによって、その少なくとも一部がコミッショニングされ得るプロセスプラントの一例を図示するブロック図を図で示す。
【
図2A】
図1のプロセスプラント内に含まれ得、スマートコミッショニング技術を用いて少なくとも部分的にコミッショニングされ得るループの2つの例のブロック図を含む。
【
図2B】
図1のプロセスプラント内に含まれ得る電子マーシャリングブロックまたは機器のアーキテクチャの一例を図示する。
【
図3】プロセスプラント内の装置をコミッショニングするためのデータを図で示す、携帯型コンピューティング装置上の画面表示の一例を図示する。
【
図4】プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするための代表的な方法を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
プロセスプラントにコミッショニングするために、携帯型コンピューティング装置、例えばコミッショニングツールは、プロセスプラント内のプロセス制御装置の各々のコミッショニングデータを得る。コミッショニングデータは、プロセス制御装置の一意の識別子であるプロセス制御装置用の装置タグ(例えば、AA-1等のモデル及び/またはシリアルナンバー)、プロセス制御装置と通信するためのインターネットプロトコル(IP)アドレス、プロセス制御装置に関する説明、プロセス制御装置のメーカ及びモデル情報、プロセス制御装置と同じプロセス制御ループ内部のコンポーネントに配置する/位置付けるためのバンク及び/またはスロット、またはプロセス制御装置をコミッショニングするための任意の他の好適なデータを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセス制御装置は、無給電状態にあってもよい。無給電プロセス制御装置がプロセスプラント内部で特定されると、携帯型コンピューティング装置は、無線通信リンクを介して、プロセス制御装置にコミッショニングデータを転送する。例えば、携帯型コンピューティング装置及びプロセス制御装置は、コミッショニングデータを含むRFID/NFC信号を送受信するための無線自動識別(RFID)/近距離無線通信(NFC)ユニットを各々有し得る。RFID/NFC信号は、プロセス制御装置においてRFID/NFCユニット励起して、それによって、プロセス制御装置が、以前として無給電状態である間に、RFID/NFC信号を受信するようにされる。
【0017】
他の実施形態では、プロセス制御装置と同じプロセス制御ループ内部のコンポーネントは、無給電状態にある。コンポーネントが、プロセスプラント内部で特定されると、携帯型コンピューティング装置は、プロセス制御装置のコミッショニングデータを、無線通信リンクを介してコンポーネントに転送する。例えば、携帯型コンピューティング装置及びコンポーネントは、プロセス制御装置のコミッショニングデータを含むRFID/NFC信号を送受信するためのRFID/NFCユニットを有し得る。RFID/NFC信号は、コンポーネントにおいてRFID/NFCユニットを励起し、それによって、コンポー
ネントが、以前として無給電状態にある間にRFID/NFC信号を受信するようにする。いくつかのシナリオでは、コンポーネントは、プロセス制御装置自体である。
【0018】
典型的なシナリオでは、プラントオペレータは、携帯型コンピューティング装置上でプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることによって、プロセスプラント内部のプロセス制御装置をコミッショニングする。例えば、オペレータは、バーコードをスキャンするか、またはプロセス制御装置上のラベルの画像をキャプチャして、コミッショニングデータを得る。そして、オペレータは、プロセス制御装置と同じプロセス制御ループ内部のコンポーネント(プロセス制御装置自体であってもよい)に携帯型コンピューティング装置をタップして、コンポーネントにコミッショニングデータを(例えば、コンポーネントのしきい値通信範囲内に携帯型コンピューティング装置を配置することによって)転送する。オペレータは、これらのステップをプロセス制御装置ごとに繰り返して、プロセスプラント全体をコミッショニングし得る。いくつかのシナリオでは、プロセス制御装置に対応するコンポーネントの各々が、(以下により詳細に記載される通り)同じハウジング内に位置付けられ得る。したがって、オペレータは、同じハウジング内部のコンポーネントに携帯型コンピューティング装置をタップすることによって、いくつものプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送し得る。このように、オペレータは、プロセス制御装置をコミッショニングするために、プロセスプラント全体にわたっていくつもの領域を移動する必要がなく、単一の場所から、大半でなくともいくつかのコミッショニングを行うことができる。
【0019】
上述のように、オンライン時に、1つ以上の工業用プロセスをリアルタイムで制御するように動作するプロセスプラント、プロセス制御システム、またはプロセス制御環境は、本明細書に記載された新規なスマートコミッショニング技術、システム、機器、コンポーネント、装置、及び/または方法のうち1つ以上を利用してコミッショニングされ得る。プロセスプラントは、オンライン時にコミッショニングされて動作すると、その内部に、プロセス制御システムと協調して物理的機能(例えば、バルブの開閉、温度、圧力、及び/または他のプロセス及び/または環境パラメータの測定等)を行い、プロセスプラント内部で実行される1つ以上のプロセスを制御する1つ以上の有線または無線プロセス制御装置、コンポーネント、またはエレメントを含み得る。プロセスプラント及び/またはプロセス制御システムは、例えば1つ以上の有線通信ネットワーク、及び/1つ以上の無線通信ネットワークを含み得る。プロセスプラントまたは制御システムは、集中型データベース、例えば連続、バッチ、資産管理、ヒストリアン、及び他のタイプのデータベースを含み得る。
【0020】
例示のために、
図1は、コミッショニングされたプロセスプラント、プロセス制御システム、またはプロセス制御環境5の一例のブロック図であり、その少なくとも一部が、本明細書に記載されたスマートコミッショニング技術のうち任意の1つ以上を用いることによってコミッショニングされている。プロセスプラント5は、フィールド装置によってなされたプロセス測定値を示す信号を受信し、この情報を処理して制御ルーチンを実施し、有線または無線プロセス制御通信リンクまたはネットワークを経由して他のフィールド装置に送られて、プラント5内のプロセスの動作を制御する制御信号を生成する1つ以上のプロセスコントローラを含む。通常、少なくとも1つのフィールド装置は、プロセスの動作を制御するための物理的機能(例えば、バルブの開閉、温度の上昇または下降等)を行い、いくつかのタイプのフィールド装置は、I/O装置を用いることによってコントローラと通信する。プロセスコントローラ、フィールド装置、及びI/O装置は、有線または無線であってもよく、及び任意の数及び組み合わせの有線及び無線プロセスコントローラ、フィールド装置及びI/O装置が、プロセスプラント環境またはシステム5内に含まれてもよい。
【0021】
例えば、
図1は、入出力(I/O)カード26及び28を介して有線フィールド装置15~22に通信可能に接続され、無線フィールド装置40~46を介して、無線ゲートウェイ35及びプロセス制御データハイウェイまたはバックボーン10に通信可能に接続された(1つ以上の有線及び/または無線通信リンクを含んでもよく、例えばイーサネットプロトコル等の任意の所望のまたは好適なまたは通信プロトコルを用いて実施され得る)プロセスコントローラ11を図示する。一実施形態では、コントローラ11は、バックボーン10以外の1つ以上の通信ネットワークを用いて、例えば1つ以上の通信プロトコル、例えばWi-Fiまたは他のIEEE802.11規格に準拠した無線ローカルエリアネットワークプロトコル、移動通信プロトコル(例えばWiMAX、LTE、または他のITU-R互換のプロトコル)、Bluetooth(登録商標)、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、Profibus、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス等をサポートする任意の数の他の有線または無線通信リンクを用いることによって、無線ゲートウェイ35に通信可能に接続される。
【0022】
コントローラ11は、例として、Emerson Process Managementによって販売されているDeltaV(商標)コントローラであってもよく、フィールド装置15~22及び40~46のうちの少なくともいくつかを用いたバッチ処理または連続処理を実施するように動作し得る。一実施形態では、プロセス制御データハイウェイ10に通信可能に接続されることに加えて、コントローラ11はさらに、例えば、標準的な4-20mA装置、I/Oカード26、28と関連する任意の所望のハードウェア及びソフトウェア、及び/または任意のスマート通信プロトコル、例えばFOUNDATION(登録商標)フィールドバスプロトコル、HART(登録商標)プロトコル、無線HART(登録商標)プロトコル等を用いて、フィールド装置15~22及び40~46のうちの少なくともいくつかに通信可能に接続される。
図1では、コントローラ11、フィールド装置15~22及びI/Oカード26、28は、有線装置であり、フィールド装置40~46は、無線フィールド装置である。当然ながら、有線フィールド装置15~22及び無線フィールド装置40~46は、任意の他の所望の規格またはプロトコル、例えば、今後開発される任意の規格またはプロトコルを含む任意の有線または無線プロトコルに準拠することができる。
【0023】
図1のプロセスコントローラ11は、1つ以上のプロセス制御ルーチン38(例えば、メモリ32に記憶されている)を実施するかまたは監督するプロセッサ30を含む。プロセッサ30は、フィールド装置15~22及び40~46と、及びコントローラ11に通信可能に接続された他のプロセス制御装置と通信するように構成される。本明細書に記載されたあらゆる制御ルーチンまたはモジュールは、そのように所望される場合、異なるコントローラまたは他の装置によって実施されるかまたは実行されるそのパーツを有していてもよいことに留意すべきである。同じように、本明細書に記載された、プロセス制御システム5内部で実施される制御ルーチンまたはモジュール38は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア等を含む、任意の形式を取ってもよい。制御ルーチンは、任意の所望のソフトウェアフォーマット、例えばオブジェクト指向プログラミング、ラダー論理、シーケンシャルファンクションチャート、機能ブロック図を用いて、または任意の他のソフトウェアプログラミング言語または設計パラダイムを用いて、実施されてもよい。制御ルーチン38は、任意の所望のタイプのメモリ32、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、またはリードオンリーメモリ(ROM)に記憶されてもよい。同じように、制御ルーチン38は、例えば、1つ以上のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他のハードウェアまたはファームウェア要素にハードコードされてもよい。このように、コントローラ11は、制御ストラテジまたは制御ルーチンを、任意の所望の方法で実施するように構成され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、コントローラ11は、一般に機能ブロックと称されるものを
用いて制御ストラテジを実施し、この場合、各機能ブロックは、全制御ルーチンのオブジェクトまたは他の部分(例えば、サブルーチン)であり、他の機能ブロックと(リンクと呼ばれる通信を介して)協働して、プロセス制御システム5内部のプロセス制御ループを構築する。制御ベースの機能ブロックは、通常、トランスミッタ、センサまたは他のプロセスパラメータ測定装置等に関連する入力機能か、PID、ファジー論理等の制御を行う制御ルーチンに関連するもの等の制御機能か、またはバルブ等のいくつかの装置の動作を制御して、プロセス制御システム5内部のいくつかの物理的機能を行う出力機能かのうち1つを行う。当然ながら、ハイブリッド及び他のタイプの機能ブロックが存在する。機能ブロックは、コントローラ11に記憶され、それによって実行されてもよく、これは、これらの機能ブロックが標準的な4-20mA装置及びいくつかのタイプのスマートフィールド装置、例えばHART(登録商標)装置のために用いられるかまたはそれらと関連している場合のケースであり、またはフィールド装置自体に記憶され、それによって実施されてもよく、これは、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス装置のケースである可能性がある。コントローラ11は、1つ以上の制御ループを実施し得、かつ機能ブロックのうちの1つ以上を実行することによって行われ得る1つ以上の制御ルーチン38を含み得る。
【0025】
有線フィールド装置15~22は、例えばセンサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナ等の任意のタイプの装置であってもよく、一方でI/Oカード26及び28は、任意の所望の通信またはコントローラプロトコルに準拠した任意のタイプのI/O装置であってもよい。
図1では、フィールド装置15~18は、アナログ回線またはアナログ及びデジタル複合回線を経由してI/Oカード26(本明細書では「非スマート」または「ダム」装置とも称される)と通信する標準的な4-20mA装置またはHART(登録商標)装置であり、一方でフィールド装置19~22は、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス通信プロトコルを用いて、デジタルバスを経由してI/Oカード28と通信するスマート装置、例えばFOUNDATION(登録商標)フィールドバスフィールド装置である。しかし、いくつかの実施形態では、有線フィールド装置15、16及び18~21のうちの少なくともいくつか及び/またはI/Oカード26、28のうちの少なくともいくつかが、プロセス制御データハイウェイ10を用いて、及び/または他の好適な制御システムプロトコル(例えばProfibus、DeviceNet、Foundationフィールドバス、ControlNet、Modbus、HART等)を用いることによって、コントローラ11と付加的にまたは代替的に通信する。
【0026】
図1では、無線フィールド装置40~46は、無線プロセス制御通信ネットワーク70を介して、無線プロトコル、例えば無線HART(登録商標)プロトコルを用いて通信する。そのような無線フィールド装置40~46は、(無線プロトコルまたは別の無線プロトコル等を用いて)無線通信するようにさらに構成される無線ネットワーク70の1つ以上の他の装置またはノードと直接通信し得る。無線通信するように構成されない1つ以上の他のノードと通信するために、無線フィールド装置40~46は、プロセス制御データハイウェイ10に、または別のプロセス制御通信ネットワークに接続された無線ゲートウェイ35を利用してもよい。無線ゲートウェイ35は、無線通信ネットワーク70の種々の無線装置40~58へのアクセスを提供する。特に、無線ゲートウェイ35は、無線装置40~58、有線装置11~28、及び/またはプロセス制御プラント5の他のノードまたは装置間の通信結合を提供する。例えば、無線ゲートウェイ35は、プロセス制御データハイウェイ10を用いることによって、及び/またはプロセスプラント5の1つ以上の他の通信ネットワークを用いることによって、通信結合を提供し得る。
【0027】
有線フィールド装置15~22と同様に、無線ネットワーク70の無線フィールド装置40~46は、プロセスプラント5内部の物理的制御機能、例えばバルブの開閉、またはプロセスパラメータの測定の実行を行う。しかしながら、無線フィールド装置40~46
は、ネットワーク70の無線プロトコルを用いて通信するように構成される。このように、無線フィールド装置40~46、無線ゲートウェイ35、及び無線ネットワーク70の他の無線ノード52~58は、無線通信パケットの生産側であり、消費側である。
【0028】
プロセスプラント5のいくつかの構成では、無線ネットワーク70は、非無線装置を含む。例えば、
図1では、
図1のフィールド装置48は、従来の4-20mA装置であり、フィールド装置50は、有線HART(登録商標)装置である。ネットワーク70内部で通信するために、フィールド装置48及び50は、無線アダプタ52a、52bを介して、無線通信ネットワーク70に接続される。無線アダプタ52a、52bは、無線HART等の無線プロトコルをサポートし、Foundation(登録商標)フィールドバス、PROFIBUS、DeviceNet等の1つ以上の他の通信プロトコルをさらにサポートし得る。加えて、いくつかの構成では、無線ネットワーク70は、1つ以上のネットワークアクセスポイント55a、55bを含み、これらは、無線ゲートウェイ35と有線通信する別個の物理的装置であってもよく、または一体型装置として無線ゲートウェイ35に設けられてもよい。無線ネットワーク70は、無線通信ネットワーク70内部で1つの無線装置から別の無線装置にパケットを回送するための1つ以上のルータ58をさらに含み得る。
図1では、無線装置40~46及び52~58は、互いに、及び無線通信ネットワーク70の無線リンク60を経由して、及び/またはプロセス制御データハイウェイ10を介して無線ゲートウェイ35と通信する。
【0029】
図1では、プロセス制御システム5は、データハイウェイに通信可能に接続された1つまたはオペレータワークステーション71を含む。オペレータワークステーション71を介して、オペレータは、プロセスプラント5のリアルタイムの動作を閲覧し監視し得ることに加えて、任意の診断、是正、保守、及び/または必要とされ得る他の処置を取り得る。オペレータワークステーション71のうちの少なくともいくつかは、プラント5内かまたはその付近の種々の保護された領域に位置付けられてもよく、いくつかの状況では、オペレータワークステーション71のうちの少なくともいくつかは、遠隔していてもなお、プラント5と通信接続して位置付けられ得る。オペレータワークステーション71は、有線または無線コンピューティング装置であってもよい。
【0030】
プロセス制御システム5の例は、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bを含むとしてさらに図示され、その各々がさらに、データハイウェイ10に通信可能に接続される。上述のように、構成アプリケーション72aの種々のインスタンスを、1つ以上のコンピューティング装置(図示せず)上で実行して、ユーザがプロセス制御モジュールを作成するかまたは変更して、データハイウェイ10を介してこれらのモジュールをコントローラ11にダウンロードすることを可能にすることに加えて、それを介してオペレータがデータを閲覧しプロセス制御ルーチン内部のデータ設定を変更することが可能であるオペレータインターフェースを作成するかまたは変更することを可能にし得る。構成データベース72bは、作製された(例えば構成された)モジュール及び/またはオペレータインターフェースを記憶する。概して、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bは、集中型であり、プロセス制御システム5に対する単位的な論理アピアランスを有しているが、構成アプリケーション72aの複数のインスタンスを、プロセス制御システム5内部で同時に実行してもよく、構成データベース72bが、複数の物理的データ記憶装置にわたって構築されてもよい。したがって、構成アプリケーション72a、構成データベース72b、及びそれらに対するユーザインターフェース(図示せず)は、制御及び/または表示モジュールのための構成または開発システム72を備える。必ずしもそうではないが、構成システム72のためのユーザインターフェースは通常、オペレータワークステーション71とは異なるが、これは、構成システム72のためのユーザインターフェースが、プラント5がリアルタイムで動作しているか否かに関わらず、構成及び開発エンジニアによって利用されるのに対し、オペレータワークステーション71が、
プロセスプラント5のリアルタイム動作中にオペレータによって利用されるためである。
【0031】
例示のプロセス制御システム5は、データヒストリアンアプリケーション73a及びデータヒストリアンデータベース73bを含み、その各々が、データハイウェイ10に通信可能にさらに接続される。データヒストリアンアプリケーション73aは、データハイウェイ10、をわたって提供されたデータのいくつかまたはすべてを収集し、長期間にわたる保存のためにヒストリアンデータベース73b内のデータを履歴化するかまたは記憶するように動作する。構成アプリケーション72a及び構成データベース72bと同様に、データヒストリアンアプリケーション73a及びヒストリアンデータベース73bは、集中型であり、プロセス制御システム5に対する単位的な論理アピアランスを有しているが、データヒストリアンアプリケーション73aの複数のインスタンスを、プロセス制御システム5内部で同時に実行してもよく、データヒストリアン73bが、複数の物理的データ記憶装置にわたって構築されてもよい。
【0032】
いくつかの構成では、プロセス制御システム5は、他の無線プロトコル、例えばWi-Fiまたは他のIEEE802.11規格に準拠した無線ローカルエリアネットワークプロトコル、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の移動通信プロトコルまたは他のITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)互換プロトコル、NFC及びBluetooth等の短波長無線通信、または他の無線通信プロトコルを用いて他の装置と通信する1つ以上の他の無線アクセスポイント74を含む。通常、そのような無線アクセスポイント74は、ハンドヘルドまたは他の携帯型コンピューティング装置(例えばユーザインターフェース装置75)が、無線ネットワーク70とは異なり、かつ無線ネットワーク70とは異なる無線プロトコルをサポートする個々の無線プロセス制御通信ネットワークを経由して通信することを可能にする。例えば、無線または携帯型ユーザインターフェース装置75は、オペレータによってプロセスプラント5内部で利用される移動型のワークステーションまたは診断試験器機(例えば、オペレータワークステーション71のうち1つのインスタンス)であってもよい。いくつかのシナリオでは、携帯型コンピューティング装置に加えて、1つ以上のプロセス制御装置(例えばコントローラ11、フィールド装置15~22、I/O装置26、28、または無線装置35、40~58)が、アクセスポイント74によってサポートされた無線プロトコルを用いて通信する。
【0033】
例示のプロセス制御システム5は、プロセスプラント5のプロセス制御装置をコミッショニングするためにフィールド環境122で用いられる1つ以上のコミッショニングツール135a、135bをさらに含み得る。コミッショニングツール135a、135bは、携帯型コンピューティング装置、例えばラップトップコンピュータ、タブレットまたはハンドヘルドスマート装置、ウェアラブルコンピューティング装置等であってもよい。コミッショニングツール135aを用いて、非スマートフィールド装置15~18、スマートフィールド装置19~22、及び/またはプロセスプラント5のフィールド環境122内に配設された他の装置をコミッショニングし得る。非スマートフィールド装置15~18をコミッショニングするために、コミッショニングツール135aは、無線リンク76aを経由して(例えば、RFID、NFC等を介して)I/Oカード26または非スマートフィールド装置15~18に接続された任意の他の好適なコンポーネントと通信し得る。このように、コミッショニングツール135aは、非スマートフィールド装置15~18のコミッショニングデータ(例えば、装置タグ)を、対応するI/Oカード26またはI/Oカード26に電気接続された電子マーシャリングコンポーネント(以下により詳細に記載される)に転送し得る。スマートフィールド装置19~22をコミッショニングするために、コミッショニングツール135bは、無線リンク76bを経由して、スマートフィールド装置19~22と直接通信し得る。このように、コミッショニングツール13
5bは、コミッショニングデータ(例えば装置タグ)を、スマートフィールド装置19~22に直接転送し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、プロセス制御装置は、設置されるかまたはコミッショニングされる前に、デフォルトコミッショニングデータを、例えば工場にある間に事前設定され、そういうものとして記憶する。他の実施形態では、プロセス制御装置は、その中に記憶された任意のコミッショニングデータなしに、工場から到着し得る。例えば、I/O装置が非スマートフィールド装置に通信可能に接続された場合、I/O装置は、コミッショニングツール135がI/O装置にコミッショニングデータを転送するまで、非スマートフィールド装置のコミッショニングデータを記憶しない。
【0035】
図1は、例示のプロセスプラント5に含まれる有限個のフィールド装置15~22及び40~46無線ゲートウェイ35、無線アダプタ52、アクセスポイント55、ルータ58、及び無線プロセス制御通信ネットワーク70を備える単一のコントローラ11のみを図示しているが、これは単なる例示であり、非限定的な実施形態であることに留意されたい。任意の数のコントローラ11が、プロセス制御プラントまたはシステム5に含まれてもよく、コントローラ11のいずれかが任意の数の有線または無線装置及びネットワーク15~22、40~46、35、52、55、58及び70と通信して、プラント5内のプロセスを制御してもよい。
【0036】
さらに、
図1のプロセスプラントまたは制御システム5は、フィールド環境122(例えば「プロセスプラントフロア122」)と、データハイウェイ10によって通信可能に接続されたバックエンド環境125とを含むことに留意されたい。
図1に示されるように、フィールド環境122は、その中に配設され、設置され、相互接続されて、ランタイム中にプロセスを制御するように動作する物理的コンポーネント(例えばプロセス制御装置、ネットワーク、ネットワーク要素等)を含む。例えば、コントローラ11、I/Oカード26、28、フィールド装置15~22、及び他の装置及びネットワークコンポーネント40~46、35、52、55、58及び70は、位置付けられるか、配設されるか、さもなければプロセスプラント5のフィールド環境122に含まれる。概して言えば、プロセスプラント5のフィールド環境122においては、その内部に配設された物理的コンポーネントを用いて原料が受け取られて処理され、1つ以上の製品を生成する。
【0037】
プロセスプラント5のバックエンド環境125は、過酷な状況及びフィールド環境122の機材から遮蔽され及び/または保護された種々のコンポーネント、例えばコンピューティング装置、オペレータワークステーション、データベースまたはデータバンク等を含む。
図1を参照すると、バックエンド環境125は、例えばオペレータワークステーション71、モジュール及び他の実行可能モジュールを制御するための構成または開発システム72、データヒストリアンシステム73、及び/またはプロセスプラント5のランタイム動作をサポートする他の集中管理システム、コンピューティング装置、及び/または機能性を含む。いくつかの構成では、プロセスプラント5のバックエンド環境125に含まれる種々のコンピューティング装置、データベース、及び他のコンポーネント及び器機は、異なる物理的場所に物理的に位置付けられ得、そのうちのいくつかは、プロセスプラント5に対してローカルであってもよく、そのうちいくつかはリモートであってもよい。
【0038】
図2Aは、非スマートフィールド装置102aが含まれ、少なくともその一部が、本明細書に記載された新規なスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を用いてコミッショニングされ得るプロセス制御ループ100aのアーキテクチャの一例を図で示すブロック図を含む。概して、本明細書で用いられる場合、「スマート」または「インテリジェント」フィールド装置は、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを一体的に含むフィールド装置である。他方で、本明細書で用いられる場合、「ダム」または「従来
の」フィールド装置は、オンボードのプロセッサ及び/またはオンボードのメモリを含まない。
【0039】
ループ100aは、プロセスプラントに統合されるかまたは組み入れられて、プロセスプラントのランタイム動作中に、その内部でプロセスの制御に利用され得る。例えば、ループ100aは、プロセスプラント5のフィールド環境122内に設置されるかまたは配設され得る。
【0040】
図2Aに示された例示のプロセス制御ループ100a内部では、非スマートフィールド装置102aは、電子マーシャリング装置またはコンポーネント110a(例えば、Emerson Process Managementによって提供されたCHARacterization ModuleまたはCHARM)に通信可能に(例えば、有線または無線で)接続される。電子マーシャリングコンポーネント110aは、I/O端子台105aに通信可能に接続され112a、これはひいては、I/Oカード108aに通信可能に接続される。I/Oカード108aは、コントローラ120aに通信可能に接続され118a、これはひいては、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信可能に接続される121a。プロセスプラント5のオンライン動作中に、プロセスコントローラ120aは、非スマートフィールド装置102aによって生成された信号のデジタル値を受信し、受信値に従ってプラント5内部のプロセスを制御するように動作し、及び/または非スマートフィールド装置102aの動作を変更するように信号を送る。加えて、コントローラ120aは、通信接続121aを介して、バックエンド環境125に、及びそこから情報を送受信し得る。
【0041】
図2Aでは、電子マーシャリングコンポーネント110a、I/O端子台105a、及びI/Oカード108aは、バス、バックプレーン、または他の好適な相互接続機構を介して、電子マーシャリングコンポーネント110a、I/O端子台105a、及びI/Oカード108a及び/またはキャビネット115a内部に収容された他のコンポーネントと電気的に相互接続するキャビネットまたはハウジング115a(例えば、I/Oキャビネット)とともに位置付けられるとして図で示されている。当然ながら、
図2Aに図で示されたようなキャビネット115a内のCHARM110a、I/O端子台105a、及びI/Oカード108aのハウジングは、単に多くの可能なハウジング構成のうちの1つである。
【0042】
電子マーシャリングコンポーネント110aに特に関して、
図2Bは、
図2Aに示された電子マーシャリングコンポーネント110aをサポートし、
図2Aを同時に参照して以下に述べられる電子マーシャリングブロックまたは機器140の一例のプロファイル図を図示する。
図2Bでは、電子マーシャリングブロックまたは機器140は、プロセスコントローラ120aが(例えば、有線または無線接続118aを介して)接続され得る1つ以上のCHARM I/Oカード(CIOC)145をサポートするCHARMキャリヤ142を含む。加えて、電子マーシャリングブロックまたは機器140は、CHARMキャリヤ142に(そしてその結果、CHARM I/Oカード145に)通信可能に接続され、複数の個別に構成可能なチャネルをサポートする1つ以上のCHARM基板148を含む。各チャネルは、CHARM110aが安全に受け入れられ電子接続され得、それによって、フィールド装置102a及びI/Oカード108aをコントローラ120aと電子的にマーシャリングし得る、専用のCHARM端子台150を有する。例えば、I/O端子台105aは、CHARM110aが受け入れられるCHARM端子台150であり、I/Oカード108aは、CHARM端子台150に対応するCIOC145であり、I/Oカード108aにコントローラ120aが接続される。
図2Bは、各自個々のCHARM端子台150によって受け入れられ、プロセスプラント5のフィールド環境122内の他の個々の装置102bに接続され得る他のCHARM152、例えばCHARM
110bをさらに示す。
【0043】
ここで
図2Aに戻ると、
図2Aは、プロセス制御ループ100bのアーキテクチャの一例を図で示すブロック図をさらに含み、ループ100aとは異なり、ループ100bは、スマートフィールド装置102bを含む。ループ100bの少なくとも一部は、本明細書に記載された新規なスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を用いてコミッショニングされ得る。
図2Aに示されるように、スマートフィールド装置102bは、電子マーシャリング装置またはコンポーネント110b(例えば、CHARM)に通信可能に(例えば、有線または無線で)接続される。電子マーシャリングコンポーネント110は、I/O端子台105bに通信可能に結合され112、これはひいては、I/Oカード108bに接続される。I/Oカード108bは、コントローラ120bに通信可能に接続され118b、これはひいては、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信可能に接続される121b。プロセスプラント5のオンライン動作中に、プロセスコントローラ120bは、スマートフィールド装置102bによって生成された信号のデジタル値を受信し、受信値に従ってプラント5内部のプロセスを制御するように動作し、及び/またはスマートフィールド装置102bの動作を変更するように信号を送る。加えて、コントローラ120bは、通信接続121bを介して、バックエンド環境125に、及びそこから情報を送受信し得る。
【0044】
図2Aは、プロセスプラント5のバックエンド環境125内に配設され、コミッショニングの目的のために用いられる集中データベースまたはデータストア128を図示する。集中データベース128は、とりわけ、プロセスプラントフロアまたはフィールド環境122上で実施されるように計画されるかまたは所望される種々の装置またはコンポーネント及びそれらの相互接続を詳細に特定及び/または指定するデータ及び他の情報を記憶する。このコミッショニングデータのうちのいくつかは、フィールド環境122内のコンポーネントに提供されて、その内部の装置及びループをコミッショニングするために用いられ得、このデータのうちのいくつかは、例えば、バックエンド環境125内において、プロセスプラント5のリブオペレーション中にフィールド環境122とともに動作する制御モジュール及び/またはオペレータインターフェースモジュールの設計、開発、及び準備のために利用され得る。一例では、承認済み制御モジュールは、プロセスコントローラ120にダウンロードされ、それによって、リブオペレーション中に実行されると、プロセスコントローラ120は、その常駐の制御モジュールに従って動作し、そのループ100内の他のコンポーネントに/コンポーネントから(及び、いくつかのケースでは、他のプロセスコントローラに/プロセスコントローラから)種々の信号を送受信し、それによって、プロセスプラント5内のプロセスのうち少なくとも一部を制御するようにされる。
【0045】
このように、バックエンド環境125において、及びフィールド環境122において知られ利用されるデータは、同期しかつコヒーレントでなければならない。例えば、フィールド装置102は、プロセスプラント5のフィールド環境122及びバックエンド環境125の両方において同じ特定の装置タグによって一意に特定される。同様に、フィールド装置102によって生成されるかまたは受信された信号は、プロセスプラント5のフィールド環境122及びバックエンド環境125の両方において同じ特定の装置信号タグ(図示せず)によって一意に特定される。
【0046】
装置タグは、特定の器械コントローラ、バルブ、または他の物理的フィールド装置を表す。装置信号タグは、特定の装置によって受信されるかまたは生成され、通常はフィールド装置によって利用される特定のパラメータに対応する特定の信号を表す。いくつかの装置については、装置信号タグは、装置の装置タグと、その装置によって受信されるかまたは生成された特定の信号の識別子、例えば制御モジュールによって参照される特定のパラメータの識別子との組み合わせを含む。いくつかの装置については、通常は従来のまたは
ダム装置であるが、装置タグは、物理的装置と、装置によって生成された信号との両方を表す。タグの文字は、概して英数字を含み、これらは、ダッシュまたは他の非英数字を交え得る。
【0047】
装置タグは、モデル及びシリアルナンバー、バーコード、HART、無線HART、HART-IP、または他の工業用プロトコル等に従った識別子であってもよい。フィールド装置102の装置タグの特定の文字は、その製造者によって割り当てられてもよく、またはプロセスプラント5の提供者によって、例えばプロセスフロー図(PFD)及び/または配管及び計装図(P&ID)を生成するか、さもなければプロセスプラントを計画する間に事前に割り当てられてもよい。装置タグは、バックエンド環境125において、例えば、Emerson Process Managementによって提供されるAsset Management Software(AMS)Suite等の資産管理システム132、または他の在庫及び設置システムによって提供され得る。
【0048】
さらに、プロセスループ100に含まれる種々のコンポーネントの所望のまたは計画された関連付けは、フィールド環境122とバックエンド環境125との間で同期しかつ一貫していなければならない。例えば、バックエンド環境125においては、データベース128は、装置タグによって特定されたフィールド装置102が、特定のI/Oカード108及び/または特定のI/O端子台またはチャネル105を介して通信するように指定されること、特定のI/Oカード108が、特定のコントローラ120と通信するように指定されること等を示す情報を記憶する。バックエンド環境125において論理的に知られているこの関連付け及び相互接続のセットは、フィールド環境122で物理的に実施されるべきである。このように、プロセスプラントのコミッショニング中、フィールド環境122内の種々の装置、コンポーネント、及び接続の物理的動作が試験され検証されるのみならず、ネーミング、関連付け、相互接続、及び他のコミッショニングデータもまた、フィールド環境122とバックエンド環境125との間の一貫性及びコヒーレンシーについて検証される。
【0049】
コミッショニングツール135は、プロセス制御装置と同じプロセス制御ループ内のコンポーネントと通信することによって、プロセス制御装置(例えば非スマートフィールド装置102a)をコミッショニングし得る。例えば、
図2Aに示されるように、コミッショニングツール135は、CHARM110a及び/またはプロセス制御ループ100aが無給電状態にある間に、非スマートフィールド装置102aに通信可能に接続されたCHARM110aをコミッショニングすることによって、プロセス制御ループ100a内の非スマートフィールド装置102aをコミッショニングする。CHARM110aは、コミッショニングツール135からRFID/NFC信号を受信するためのRFID/NFCリーダ等の通信ユニットを含み得る。また、コミッショニングツール135は、非スマートフィールド装置102aをコミッショニングするためのコミッショニングデータを通信するために、CHARM110aにRFID/NFC信号を提供するための通信ユニットをさらに含み得る。前述のように、コミッショニングデータを受信する前に、CHARM110aは、任意のコミッショニングデータを含んでもよく、工場装置データ等のデフォルトデータを含んでもよく、または異なるプロセス制御装置に対応するデータを含んでもよい。
【0050】
いくつかのシナリオでは、コミッショニングツール135は、CHARM110aが無給電状態にある間にCHARM110aにRFID/NFC信号を提供する。例えば、CHARM110aのコミッショニングツール135のしきい値通信範囲内(例えば、1インチ、2インチ、3インチ、6インチ、1フィート等)である場合、コミッショニングツール135は、CHARM110aに、コミッショニングデータ、例えば非スマートフィールド装置102aの装置タグ、CHARM110a及び/または非スマートフィールド
装置102aと通信するためのIPアドレス、CHARM端子台150内部にCHARM110aを配置する/位置付けるためのバンク及び/またはスロット、非スマートフィールド装置102aに関する説明、非スマートフィールド装置102aのメーカ及びモデル情報等を含むNFC信号を提供する。NFC信号は、CHARM110a内部のNFCリーダにエネルギを提供し、それによって、CHARM110aが無給電状態になり得ると同時にNFCリーダがNFC信号を受信するようにされる。
【0051】
そして、CHARM110aが起動されると、NFC信号が復号されて、コミッショニングデータを特定し得、及び/またはコミッショニングデータが、CHARM110aのメモリ116aに記憶される。いくつかの実施形態では、CHARM110aは、CHARM端子台150内部のその位置を判定し、当該位置を、コミッショニングデータにおけるCHARM110aに割り当てられたバンク及びスロットと比較して、CHARM110aが適正な位置に配置されたことを検証する。また、いくつかの実施形態では、CHARM110aは、コミッショニングデータを、コントローラ120a及び/または集中データベース128に転送して、フィールド環境122からのコミッショニングデータを、バックエンド環境128におけるコミッショニングデータと同期させる。そして、集中データベース128は、フィールド環境122からのコミッショニングデータをメモリ125aに記憶する。
【0052】
上記の例では、コミッショニングツール135と通信してコミッショニングデータを受信する、プロセスループ110a内のコンポーネントとして、CHARM110aに言及したが、コミッショニングツール135は、非スマートフィールド装置102aのためのプロキシとして機能する、プロセスループ110a内部の任意のI/O装置またはコンポーネントと通信してもよい。例えば、コミッショニングツール135は、CHARM端子台150、CHARMキャリヤ142、I/O端子台105a、I/Oカード108、またはハウジング115a内部の任意の他の好適なI/O装置と通信してもよい。
【0053】
他の実施形態では、プロセス制御装置のコミッショニングデータを受信及び/または記憶するコンポーネントは、プロセスループ100bを参照して記載されるように、プロセス制御装置自体であってもよい。コミッショニングツール135は、スマートフィールド装置102及び/またはプロセス制御ループ100bが無給電状態にある間にスマートフィールド装置102bと通信することによって、プロセスループ100b内のスマートフィールド装置102bをコミッショニングし得る。スマートフィールド装置102bは、コミッショニングツール135からのRFID/NFC信号を受信するための通信ユニット、例えばRFID/NFCリーダを含んでもよい。
【0054】
いくつかのシナリオでは、コミッショニングツール135は、スマートフィールド装置102bが無給電状態にある間に、スマートフィールド装置102bにRFID/NFC信号を提供する。例えば、コミッショニングツール135が、スマートフィールド装置102bのしきい値通信範囲内(例えば、1インチ、2インチ、3インチ、6インチ、1フィート等)である場合、コミッショニングツール135は、スマートフィールド装置102bに、コミッショニングデータ、例えばスマートフィールド装置102bの装置タグ、スマートフィールド装置102bと通信するためのIPアドレス、CHARM端子台150内部にCHARM110bを配置する/位置付けるためのバンク及び/またはスロット、スマートフィールド装置102bに関する説明、スマートフィールド装置102bのメーカ及びモデル情報等を含むNFC信号を提供する。NFC信号は、スマートフィールド装置102b内部のNFCリーダにエネルギを提供し、それによって、スマートフィールド装置102bが無給電状態になり得ると同時にNFCリーダがNFC信号を受信するようにされる。
【0055】
他の実施形態では、コミッショニングツール135は、スマートフィールド装置102bのコミッショニングデータを、プロセスループ110b内の別のコンポーネント、例えばCHARM110b、CHARM端子台150、CHARMキャリヤ142、I/O端子台105b、I/Oカード108b、またはハウジング115b内部の任意の他の好適なI/O装置に提供する。
【0056】
CHARM110a、110b及びスマートフィールド装置102bは、RFID/NFCリーダ(読み出し専用RFID/NFCユニット)を有するとして言及され、コミッショニングツール135は、RFID/NFC信号(書き込み専用RFID/NFCユニット)を提供するとして言及されたが、CHARM110a、110b及び/またはスマートフィールド装置102bがRFID/NFC信号を提供してもよく、コミッショニングツール135がRFID/NFCリーダを有していてもよい。加えて、CHARM110a、110b、スマートフィールド装置102b、及びコミッショニングツール135が、RFID/NFCリーダを有し、RFID/NFC信号を提供するように、CHARM110a、110b、スマートフィールド装置102b、及びコミッショニングツール135が、RFID/NFCデータを送受信する通信ユニット(書き込み/読み出しRFID/NFCユニット)を各々有していてもよい。加えて、コミッショニングツール135及びプロセス制御装置は、RFID/NFC信号を介して通信するとして言及されたが、コミッショニングツール134及びプロセス制御装置は、任意の好適な近距離通信プロトコル、例えばBluetooth、専用狭域通信(DSRC)等を介して通信してもよい。
【0057】
そして、スマートフィールド装置102bが起動されると、NFC信号が復号されて、コミッショニングデータを特定し得、及び/またはコミッショニングデータが、スマートフィールド装置102bのメモリ130bに記憶される。いくつかの実施形態では、スマートフィールド装置102bは、コミッショニングデータをCHARM110bに転送し、CHARM110bはその後、コミッショニングデータをCHARMのメモリ116bに記憶する。CHARM110bは、CHARM端子台150内部のその位置を判定し、当該位置を、コミッショニングデータにおけるCHARM110bに割り当てられたバンク及びスロットと比較して、CHARM110bが適正な位置に配置されたことを検証する。また、いくつかの実施形態では、CHARM110bは、コミッショニングデータを、コントローラ120b及び/または集中データベース128に転送して、フィールド環境122からのコミッショニングデータを、バックエンド環境128におけるコミッショニングデータと同期させる。そして、集中データベース128は、フィールド環境122からのコミッショニングデータをメモリ125bに記憶する。
【0058】
いくつかの実施形態では、プロセスプラント5内の各プロセス制御装置(例えばフィールド装置、コントローラ等)のコミッショニングデータは、フロントエンドシステム122に提供される前に、バックエンド環境125において生成され及び/または記憶される。例えば、制御モジュール及び他の実行可能なモジュールのための構成または開発システム72、データヒストリアンシステム73、及び/または他の集中管理システムは、プロセスプラント5内の各プロセス制御装置の装置タグ、IPアドレス、CHARMスロット等を生成する。プロセス制御装置の各々のコミッショニングデータは、例えば無線アクセスポイント74を介して、コミッショニングツール135に送信され得る。そして、コミッショニングツール135は、装置リスト内のプロセス制御装置の各々のコミッショニングデータを表示する。オペレータが、プロセス制御装置(例えば、プロセス制御装置自体、プロセス制御装置のためのプロキシ等)のコミッショニングデータを受信するための無給電コンポーネントのしきい値通信範囲内にある場合、オペレータは、装置リスト内の対応するプロセス制御装置の表示を選択する。そして、プロセス制御装置のコミッショニングデータは、プロセス制御装置をコミッショニングするために、コミッショニングツール
135からコンポーネントに転送される。コミッショニングデータを提示及び/または選択するための画面表示300の一例が、
図3に図示される。
【0059】
例示の画面表示300は、コミッショニングツール135及び/または任意の他の携帯型コンピューティング装置のユーザインターフェース上に提示され得る。画面表示300は、プロセス制御装置をコミッショニングするためのコミッショニングデータ、例えば装置タグ312c(例えばAA-1)、CHARM端子台150内部のCHARMの位置を示すバンク312a(例えば1)及びスロット312b(例えば2)、プロセス制御装置と通信するためのIPアドレス、プロセス制御装置に関する説明、プロセス制御装置のメーカ及びモデル情報等を含み得る。画面表示300は、コミッショニングデータを編集するためのユーザ制御314a~314cをさらに含み得る。例えば、ユーザ制御314aは、CHARMバンクナンバーを選択するためのドロップダウンメニュー、CHARMバンクナンバーを入力するためのテキストフィールド等であってもよい。また、ユーザ制御314bは、CHARMスロットナンバーを選択するためのドロップダウンメニュー、CHARMスロットナンバーを入力するためのテキストフィールド等であってもよい。加えて、ユーザ制御314cは、装置タグを入力するためのテキストフィールド、装置タグを選択するためのドロップダウンメニュー等であってもよい。画面表示300は、CHARMバンク及びスロットナンバーならびに装置タグを選択するためのユーザ制御を含むが、これは単なる例証的かつ非限定的な実施形態である。画面表示300は、付加的なまたは代替のコミッショニングデータ、例えばプロセス制御装置のIPアドレス、プロセス制御装置に関する説明、プロセス制御装置のメーカ及びモデル情報等を提示/編集するためのユーザ制御を含んでもよい。画面表示300上に、任意の好適なタイプのコミッショニングデータが提示されてもよい。
【0060】
画面表示300は、ユーザ制御316、318、例えば、コンポーネントからコミッショニングデータを読み取るための「読み取り」ボタン316、及びコンポーネントにコミッショニングデータを書き込むための「書き込み」ボタン318をさらに含み得る。例えば、オペレータが「書き込み」ボタン318を選択すると、コミッショニングツール135から、RFID/NFC信号を介して、コンポーネントにコミッショニングデータ312a~312cが転送される。いくつかの実施形態では、オペレータは、ユーザ制御を選択する必要がなく、コミッショニングデータ312a~312cは、コミッショニングツール135がコンポーネントのしきい値通信範囲内にある場合に、コンポーネントに自動転送される。
【0061】
オペレータは、「読み取り」ボタン316を選択して、コンポーネント(例えば、プロセス制御装置自体、プロセス制御装置のプロキシ等)から、装置タグ等のコミッショニングデータを受信し得る。例えば、「読み取り」ボタン316が選択されると、コミッショニングツール135は、コンポーネントにコミッショニングデータを提供するよう要求を送信する。要求によって、コンポーネントの通信ユニットにエネルギが提供され(例えば、コンポーネントが無給電状態にある場合)、これはひいては、コミッショニングデータを含むコミッショニングツール135にRFID/NFC信号を提供し得る。コミッショニングツール135においてコンポーネントのコミッショニングデータを受信するこのプロセスは、米国特許出願第14/605、304号に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。そして、コミッショニングツール135は、コンポーネントから読み取られたコミッショニングデータを用いて、米国特許出願第14/605、304号に記載された機能を含む任意の好適な機能を行い得る。これは、コミッショニングデータに対応するプロセス制御装置が、特定の場所に設置され、他の特定のプロセス制御装置に接続されることが意図されたプロセス制御装置であることを検証すること、プロセスプラント5内のプロセス制御装置の配列を判定すること、プロセスプラント5内のプロセス制御装置のマップを生成すること等を含み得る。
【0062】
例えば、コミッショニングツール135が、RFID/NFC信号を介してコンポーネントにコミッショニングデータを書き込んだ後、コミッショニングツール135は、正しいコミッショニングデータが実際にコンポーネントに書き込まれたことを確認するための読み取り機能を行う。より具体的には、プロセス制御装置の装置タグがAA-1であり、コミッショニングツール135がコンポーネントに装置タグAA-1を転送した場合、コミッショニングツール135は、コンポーネントに記憶された装置タグがAA-1であることを検証するための読み取り機能を行う。コミッショニングツール135が別の装置タグを読み取った場合、コミッショニングツール135は、コンポーネントに別の書き込みを行い、及び/またはコミッショニングツール135またはオペレータは、この問題を解決するためのいくつかの他の好適な処置を取り得る。
【0063】
いくつかのシナリオでは、1つのコミッショニングツール135aは、コンポーネントが無給電状態にあるときにコンポーネントにコミッショニングデータを書き込むための「書き込み」機能を行う。そして、その後、コンポーネントが電力供給状態または無給電状態にあるときに、別のコミッショニングツール135bが、コンポーネントからコミッショニングデータを読み取り、コミッショニングデータを用いて任意の好適な機能(例えば、検証機能)を行うための「読み取り」機能を行う。他のシナリオでは、任意の好適な数のコミッショニングツール135を用いて、任意の好適な時点で「読み取り」及び「書き込み」機能を行い得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、画面表示300は、装置リスト表示(図示せず)からプロセス制御装置を選択することに応答して提示される。装置リスト表示(図示せず)は、プロセスプラント5内のプロセス制御装置の各々の表示を含み得る。オペレータが、プロセス制御装置のうちの1つを選択すると、コミッショニングツール135は、画面表示300を提示して、選択されたプロセス制御装置のコミッショニングデータを表示する。例えば、装置リスト表示は、プロセスプラント内のプロセス制御装置ごとの一意の識別子、例えばプロセス制御装置の装置タグ、プロセスプラント5内部のプロセス制御装置の場所またはそれらの組み合わせを提示する。オペレータが、対応するプロセス制御装置をコミッショニングするために、プロセスプラント内のコンポーネントに接近すると、オペレータは、装置リスト表示(図示せず)から対応するプロセス制御装置を特定し選択する。そして、コミッショニングツール135がコンポーネントのしきい値通信範囲内にあるか、またはオペレータがユーザ制御を選択してコミッショニングデータを転送する(例えば、「書き込み」ボタン318)と、コミッショニングデータがコンポーネントに転送されると同時に、コンポーネントが無給電状態になる。
【0065】
他の実施形態では、コミッショニングツール135は、光インターフェース、例えばカメラまたはスキャナを含む。コミッショニングツール135は、ラベル、バーコード、画像、QRコード(クイックレスポンスコード)、またはコミッショニングデータの他の二次元表現をスキャニングするか、読み取るか、さもなければそれらからコミッショニングデータを光学的に得ることによって得られ得る。コミッショニングツールは、画像及び/または光処理技術を用いて、コミッショニングデータに含まれる特定の文字を自動的に判定するかまたは得る。
【0066】
例えば、コミッショニングツール135は、プロセス制御装置上のバーコードをスキャンし得る。そして、コミッショニングツール135は、バーコードを復号して、プロセス制御装置の装置タグ、プロセス制御装置と通信するためのIPアドレス、プロセス制御装置に通信可能に結合されたCHARMを配置する/位置付けるためのCHARMスロット、プロセス制御装置のためのメーカ及びモデル情報等を特定する。受診されたコミッショニングデータは、画面表示300上に提示され、オペレータは、コミッショニングデータ
をコンポーネントに転送し得る。
【0067】
別の例では、プロセス制御装置は、プロセス制御装置上に表示された装置シリアルナンバー(装置タグ)を含み得る。コミッショニングツール135は、装置シリアルナンバーを含む画像をキャプチャし、画像を分析して(例えば、光学式文字認識(OCR)技術を用いて)装置シリアルナンバーを特定する。いくつかの実施形態では、コミッショニングツール135はその後、コミッショニングのために、キャプチャされた装置シリアルナンバーをコンポーネントに転送する。他の実施形態では、コミッショニングツール135は、
図2Aに示されるようなバックエンド環境125と通信して、装置シリアルナンバーを有するプロセス制御装置の付加的なコミッショニングデータを受信する。そして、バックエンド環境125は、装置タグを用いて集中装置128内のプロセス制御装置を特定し、コミッショニングツール135に、プロセス制御装置の付加的なコミッショニングデータを送信する。さらなる他の実施形態では、コミッショニングツール135は、キャプチャされた装置タグを用いて、装置リスト表示からプロセス制御装置を自動選択する。
【0068】
図4は、プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするための典型的な方法400を表すフロー図を図示する。方法400は、コミッショニングツール135または任意の他の携帯型コンピューティング装置上で実行され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、非一時的コンピュータ可読メモリ上に記憶された命令のセットで実施され得、コミッショニングツール135の1つ以上のプロセッサによって実行可能であり得る。
【0069】
ブロック402において、プロセスプラント5内のプロセス制御装置、例えばフィールド装置またはコントローラの各々のコミッショニングデータが得られる。コミッショニングデータは、先に記載したような技術を用いて得られ得る。例えば、制御モジュール及び他の実行可能モジュールのための構成または開発システム72、データヒストリアンシステム73、及び/または他の集中管理システムは、装置タグ、IPアドレス、CHARMスロット等を、プロセスプラント5内のプロセス制御装置ごとに生成する。プロセス制御装置の各々のコミッショニングデータは、無線アクセスポイント74を介してコミッショニングツール135に送信され得る。別の例では、コミッショニングデータは、フィールド装置、コントローラ、またはプロセスプラント5内の任意の他のプロセス制御装置上に配置されたラベル、バーコード、画像、QRコード、または他の二次元表現をスキャニングするか、読み取るか、さもなければそれらからコミッショニングデータを光学的に得ることによって得られ得る。
【0070】
ブロック404において、例えば装置リスト表示(図示せず)に、プロセス制御装置の各々の表示が表示される。表示は、プロセスプラント5内の各プロセス制御装置の一意の識別子、例えば、プロセス制御装置の装置タグ、プロセスプラント5内部のプロセス制御装置の場所、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0071】
そして、ブロック406において、選択されたプロセス制御装置と同じプロセス制御ループ内のコンポーネントにコミッショニングデータを転送するために、プロセス制御装置のうちの1つの選択が受信される。オペレータは、装置表示上に提示されたプロセス制御装置のうちの1つを、プロセス制御装置の表示をタッチ選択するか、プロセス制御装置の表示をクリックするか、または任意の他の好適な方法で選択し得る。いくつかの実施形態では、コミッショニングツール134が、プロセス制御装置に対応する一意の識別子をスキャンするか、読み取るか、さもなければ光学的に得ると、プロセス制御装置が自動選択される。例えば、コミッショニングツール134は、フィールド装置上に表示されたバーコードをスキャンし、バーコードを復号して装置シリアルナンバーを特定する。そして、コミッショニングツール135は、装置シリアルナンバーに対応するプロセス制御装置を
自動選択する。
【0072】
そして、選択されたプロセス制御装置のコミッショニングデータが画面表示、例えば
図3に示されるような画面表示300上に表示される(ブロック408)。コミッショニングデータは、プロセス制御装置の装置タグ、プロセス制御装置と通信するためのIPアドレス、プロセス制御装置に関する説明、プロセス制御装置のメーカ及びモデル情報、プロセス制御装置に通信可能に接続されたCHARMのためのバンク及びスロット等を含み得る。
【0073】
画面表示は、選択されたプロセス制御装置と同じプロセス制御ループに含まれるコンポーネントにコミッショニングデータを転送するためのユーザ制御を含み得る。ユーザ制御が選択され、コミッショニングツール135がコンポーネントのしきい値通信範囲内にある場合(ブロック410)、コミッショニングデータがコンポーネントに転送されると同時に、コンポーネントが無給電状態になる(ブロック412)。前述のように、コミッショニングデータは、RFID/NFC信号を介して送信され得る。RFID/NFC信号は、コンポーネント内部に含まれるRFID/NFCリーダを励起し、それによって、RFID/NFCリーダがRFID/NFC信号を受信することが可能になる。いくつかの実施形態では、コミッショニングデータは、コミッショニングツール135が、ユーザ制御の選択を受信することなく、コンポーネントのしきい値通信範囲内にある場合、コンポーネントに自動転送される。
【0074】
本開示に記載された技術の実施形態は、任意の数の以下の態様を、単独でまたは組み合わせて含み得る。
【0075】
1.プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングする方法であって、プロセスプラントの1つ以上のプロセス制御装置の各々の携帯型コンピューティング装置において、個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることであって、1つ以上のプロセス制御装置のうちの少なくともいくつかが、通信可能に接続されて、プロセスプラント内でランタイム中にプロセスを制御するように動作する、得ることと、1つ以上のプロセス制御装置のうちの第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループの無給電コンポーネントの特定に応答して、コンポーネントが依然として無給電状態である間に、携帯型コンピューティング装置によって、無線リンクを介してコンポーネントに第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送することであって、コミッショニングデータが、第1のプロセス制御装置のコミッショニングに用いられる、転送することと、を含む。
【0076】
2.1つ以上のプロセス制御装置の各々のコミッショニングデータを得ることが、フィールド装置またはコントローラのうちの少なくとも1つのコミッショニングデータを得ることを含む、態様1に記載の方法。
【0077】
3.個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることが、個々のプロセス制御装置を示すタグ、個々のプロセス制御装置のインターネットプロトコル(IP)アドレス、個々のプロセス制御装置に関する説明、または個々のプロセス制御装置のメーカ及びモデル情報のうちの少なくとも1つを得ることを含む、態様1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
4.個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることが、携帯型コンピューティング装置によって、個々のプロセス制御装置において光データを取り込むことであって、光データが、個々のプロセス制御装置のインジケータを含む、取り込むことを含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
5.第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループのコンポーネントが、I/Oキャビネット内に収容されたI/O装置を備え、第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることが、I/Oキャビネット内部のI/O装置を位置付けるためのバンク及び/またはスロットの表示を得ることを含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
6.I/O装置が、I/Oキャビネット内部のI/O装置の場所を、コミッショニングデータに含まれるバンクまたはスロットと比較することによって、I/O装置がI/Oキャビネット内部の適切な場所に配置されたことを検証する、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
7.コミッショニングデータをコンポーネントに転送することが、コミッショニングデータを、コンポーネントのメモリに記憶するために、コンポーネントの近距離無線通信(NFC)ユニットに転送することを含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
8.携帯型コンピューティング装置において、コンポーネントから、第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを受信することと、携帯型コンピューティング装置によって、コミッショニングデータに含まれる装置タグが、第1のプロセス制御装置を示すタグに合致することを検証することと、をさらに含む、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
9.携帯型コンピューティング装置がコンポーネントのしきい値距離以内にあることを検出すると、携帯型コンピューティング装置によって、コミッショニングデータをコンポーネントに自動転送することをさらに含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
10.携帯型コンピューティング装置によって、プロセスプラント内の1つ以上のプロセス制御装置の各々の表示を表示することであって、各表示が、個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを含む、表示することと、携帯型コンピューティング装置において、第1のプロセス制御装置の表示の選択を受信することと、をさらに含み、第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータをコンポーネントに転送することが、第1のプロセス制御装置の表示の選択を受信すると、第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータをコンポーネントに転送することを含む、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
11.プロセスプラント内のプロセス制御装置をコミッショニングするための携帯型コンピューティング装置であって、携帯型コンピューティング装置が、1つ以上のプロセッサと、通信ユニットと、1つ以上のプロセッサ及び通信ユニットに結合され、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、1つ以上のプロセッサによって実行されると、携帯型コンピューティング装置に、プロセスプラントの1つ以上のプロセス制御装置の各々に対して、個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得ることであって、1つ以上のプロセス制御装置のうちの少なくともいくつかが、通信可能に接続されて、プロセスプラント内でランタイム中にプロセスを制御するように動作する、得ることと、1つ以上のプロセス制御装置のうちの第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループの無給電コンポーネントの特定に応答して、コンポーネントが依然として無給電状態である間に、無線リンクを介してコンポーネントに第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータを転送することであって、コミッショニングデータが、第1のプロセス制御装置のコミッショニングに用いられる、転送することと、を行わせる、を備える。
【0086】
12.1つ以上のプロセス制御装置が、フィールド装置またはコントローラのうちの少
なくとも1つを含む、態様11に記載の携帯型コンピューティング装置。
【0087】
13.個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータが、個々のプロセス制御装置を示すタグ、個々のプロセス制御装置のインターネットプロトコル(IP)アドレス、個々のプロセス制御装置に関する説明、または個々のプロセス制御装置のメーカ及びモデル情報のうちの少なくとも1つを含む、態様11または態様12に記載の携帯型コンピューティング装置。
【0088】
14.個々のプロセス制御装置のコミッショニングデータを得るために、命令が、携帯型コンピューティング装置に、個々のプロセス制御装置において光データを取り込むことであって、光データが、個々のプロセス制御装置のインジケータを含む、取り込むことを行わせる、態様11~13のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0089】
15.第1のプロセス制御装置が含まれるプロセス制御ループのコンポーネントが、I/Oキャビネット内に収容されたI/O装置を備え、第1のプロセス制御装置のコミッショニングデータが、I/Oキャビネット内部のI/O装置を位置付けるためのバンク及び/またはスロットの表示を含む、態様11~14のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0090】
16.I/O装置が、I/Oキャビネット内部のI/O装置の場所を、コミッショニングデータに含まれるバンクまたはスロットと比較することによって、I/O装置がI/Oキャビネット内部の適切な場所に配置されたことを検証する、態様11~15のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0091】
17.通信ユニットが、NFC信号を介してコミッショニングデータを送信するための近距離無線通信(NFC)ユニットを含み、コンポーネントが、携帯型コンピューティング装置から受信されたコミッショニングデータを記憶するためのメモリを含む、態様11~16のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0092】
18.コミッショニングデータが、コンポーネントが給電状態にあるときに、コンポーネントから通信ネットワークを介してデータベースに転送されて、プロセスプラントのフィールド環境内のデータを、プロセスプラントのバックエンド環境内のデータと同期させる、態様11~17のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0093】
19.命令がさらに、携帯型コンピューティング装置に、携帯型コンピューティング装置がコンポーネントのしきい値距離以内にあることを検出すると、コミッショニングデータを第1のプロセス制御装置に自動転送させる、態様11~18のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0094】
20.コンポーネントが、第1のプロセス制御装置である、態様11~19のいずれか1つに記載の携帯型コンピューティング装置。
【0095】
加えて、本開示の先の態様は、単なる代表例であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【0096】
以下のさらなる検討は、前記の考察に当てはまる。本明細書全体を通して、任意の装置またはルーチンによって行われるとして記載された処置は、概して機械可読命令に従ってデータを操作するかまたは変換するプロセッサの処置またはプロセスを指す。機械可読命令は、プロセッサに通信可能に結合されたメモリ装置に記憶され、それから取り出され得る。すなわち、本明細書に記載された方法は、コンピュータ可読媒体上に(すなわち、メ
モリ装置上に)記憶された機械実行可能命令のセットによって具現化され得る。命令は、対応する装置(例えば、オペレータワークステーション、コミッショニングツール等)の1つ以上のプロセッサによって実行されると、プロセッサに本方法を実行させる。命令、ルーチン、モジュール、プロセス、サービス、プログラム、及び/またはアプリケーションが、本明細書において、コンピュータ可読メモリ上に、またはコンピュータ可読媒体上に記憶されるかまたは保存されるとして言及される場合、単語「記憶された(stored)」及び「保存された(saved)」は、一時的な信号を除外することが意図される。
【0097】
さらに、用語「オペレータ(operator)」、「作業員(personnel)」、「人(person)」、「ユーザ(user)」、「技術者(technician)」及び同様の他の用語は、本明細書に記載されたシステム、機器、及び方法を用いるかまたはそれらと相互作用し得るプロセスプラント環境における人を記載するために用いられるが、これらの用語は、限定することを意図していない。本記載において特定の用語が用いられる場合、当該用語は、一部においては、プラント作業員が従事する従来の作業のために用いられるが、その特定の作業に従事している可能性がある作業員を限定することは意図されていない。
【0098】
加えて、本明細書全体を通して、複数のインスタンスが、単一のインスタンスとして記載されたコンポーネント、動作、または構造を実施してもよい。1つ以上の方法の個々の動作が、別個の動作として図示され記載されているが、個々の動作のうち1つ以上が、並行して行われてもよく、動作が図示された順序で行われる必要はない。例示の構成において別個のコンポーネントとして提示された構造及び機能性は、複合的構造またはコンポーネントとして実施されてもよい。同様に、単一のコンポーネントとして提示された構造及び機能性が、別個のコンポーネントとして実施されてもよい。これら及び他の変形、改変、付加、及び改善は、本明細書の主題の範囲内に含まれる。
【0099】
特にことわらない限り、例えば「処理(processing)」、「コンピューティング(computing)」、「演算すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「特定(identifying)」、「提示(presenting)」「提示させる(causing to be presented)」、「表示させる(causing to be displayed)」、「表示すること(displaying)」等の語を用いた本明細書の記載は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、非揮発性メモリ、またはそれらの組み合わせ)、レジスタ、または情報を受信するか、記憶するか、送信するか、または表示する他のマシンコンポーネント内部の物理的(例えば電子的、磁気的、生物学的、または光学的な)量として表されるデータを操作するかまたは変換する機械(例えば、コンピュータ)の処置またはプロセスを指し得る。
【0100】
ソフトウェアに組み込まれる場合、本明細書に記載されたアプリケーション、サービス、及びエンジンのいずれかが、任意の有形の非一時的コンピュータ可読メモリに、例えば磁気ディスク、レーザーディスク、ソリッドステートメモリデバイス、分子メモリ記憶装置、または他の記憶媒体上に、コンピュータまたはプロセッサのRAMまたはROM等に記憶されてもよい。本明細書に開示された例示のシステムは、コンポーネントの中でも特に、ハードウェア上で実行されるソフトウェア及び/またはファームウェアを含むとして開示されているが、そのようなシステムは、単なる例示であり、限定的であると考えられるべきではないことに留意すべきである。例えば、これらのハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアコンポーネントのいずれかまたはすべてが、ハードウェアに限って、ソフトウェアに限って、またはハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせに限って具現化されることができることが考えられる。したがって、当業者においては、提供
された例が、そのようなシステムを実施するための唯一の方法ではないことが容易に理解されよう。
【0101】
このように、特定の例を参照して本発明を記載してきたが、これらは例示のみが意図され、本発明を限定することは意図されておらず、当業者においては、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に変更、付加または削除がなされてもよいことが明白であろう。
【0102】
また、本発明において、「本明細書で用いられる場合、用語「_」は、ここで…を意味するように定義される」という文章または同様の文章を用いて用語が明白に定義されない限り、明示的または暗黙的のいずれかであっても、その簡明または一般的な意味を超えてその用語の意味を限定する意図はなく、そのような用語は、本特許任意のセクションでなされたあらゆる言明(クレームの言語を除く)に基づく範囲に限定されて解釈されるべきではないことが理解されるべきである。本特許の最後におけるクレームで列挙された任意の用語は、本特許においては単一の意味と一貫するように言及されるという程度まで、このことは、読み手を混乱させないために分かりやすくするためのみになされ、そのようなクレーム用語は、さもなければ暗黙的に、その単一の意味に限定されることは意図されていない。最後に、クレーム要素は、何らかの構造の詳述なしに、単語「意味する(means)」及び機能を列挙することによって定義されない限り、あらゆるクレーム要素の範囲は、米国特許法第112条(f)及び/または米国特許法旧法第112条第6パラグラフの適用に基づいて解釈されることは意図されていない。
【0103】
また、先述のテキストは、数多くの異なる実施形態に関する詳細な説明を述べているが、本特許の範囲は、本特許の終わりに述べられたクレームの言語によって特定されることが理解されるべきである。詳細な説明は、単なる例示として解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態を記載しているのではないが、それはあらゆる可能な実施形態を記載することは、不可能ではないにしても、現実的ではないためである。数多くの代替の実施形態は、現在の技術または本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを用いて実施されることができ、これらは依然として特許請求の範囲に含まれる。