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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】振動試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20231109BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20231109BHJP
【FI】
G01M7/02 C
G01M99/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020033600
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135249
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100676
【氏名又は名称】IMV株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬井 公一
(72)【発明者】
【氏名】島田 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】山内 佳門
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517598(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017744(WO,A1)
【文献】実開昭53-124477(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/02
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動台と、
前記振動台を水平方向の一方向である第1方向に沿って振動させる第1加振機と、
前記振動台を鉛直方向である第2方向に沿って振動させる第2加振機と、
前記第1加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第1方向のみの変位を伝達する第1連結部と、
前記第2加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第2方向のみの変位を伝達する第2連結部と、
を備え、
前記振動台は、
天面部と、
前記第1連結部が連結される第1面部を含む、複数の面部からなる側面と、
を有するとともに、前記天面部の下方が開放されており、
前記振動台の内側には、
前記天面部の下面に設けられるとともに、前記複数の面部に対して間隔をおいた位置に設けられる取付部と、
前記取付部を介して前記天面部の下面に連結される前記第2連結部の一部と、
が収容されており、
前記第1方向において、前記第1面部および前記第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されており、
前記第1加振機の振動部の中心軸を第1振動軸として、前記取付部と前記第2連結部とが連結される面は、前記第1振動軸が含まれる第1平面上、または前記第1平面よりも上方に配置されている、
振動試験装置。
【請求項2】
前記第1連結部は、前記第2方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第2連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイドを含む、
請求項1に記載の振動試験装置。
【請求項3】
前記振動台を、水平方向の一方向であって、かつ前記第1方向に直交する方向である第3方向に沿って振動させる第3加振機と、
前記第3加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第3方向のみの変位を伝達する第3連結部と、
をさらに備え、
前記振動台は、
前記第3連結部が連結される第3面部、
を有し、
前記第3方向において、前記第3面部および前記第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されており、
前記第3加振機の振動部の中心軸を第3振動軸として、前記取付部と前記第2連結部とが連結される面は、前記第3振動軸が含まれる前記第1平面上、または前記第1平面よりも上方に配置されている、
請求項1に記載の振動試験装置。
【請求項4】
前記第1連結部は、前記第2方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第3方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第2連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第3方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第3連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第2方向にスライド可能な直動ガイドを含む、
請求項3に記載の振動試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、供試体に対する振動試験を行う振動試験装置が知られている。供試体は、例えば自動車用の部品である。振動試験では、供試体が保持された振動台を所定の周波数と加速度で振動させ、自動車用の部品等の性能試験や、安全性に関する試験が行われている。
【0003】
振動試験においては、供試体を水平方向(前後方向、左右方向)および鉛直方向(上下方向)の3軸方向について振動試験を行うことが求められている。このため、振動台に対する供試体の保持姿勢を変更させずに3軸方向について振動試験を行うことや、3軸方向に同時に加振させることができる3軸振動試験装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図5は、特許文献1に開示された従来の3軸振動試験装置200を+Y軸方向側から-Y軸方向側に見た図である。図5に示すように、3軸振動試験装置200は、振動台111、X軸加振機131、Y軸加振機132、およびZ軸加振機133を有している。X軸加振機131、Y軸加振機132、およびZ軸加振機133は、それぞれ振動台111をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に沿って振動させる加振機である。
【0005】
振動台111とX軸加振機131は、X軸連結部161を介して連結されている。X軸連結部161は、実質的にX軸方向のみの変位を伝達し、Y軸方向およびZ軸方向の変位を伝達しない連結部である。同様に、振動台111とY軸加振機132は、Y軸連結部162を介して連結され、振動台111とZ軸加振機133は、Z軸連結部163を介して連結されている。Y軸連結部162は、実質的にY軸方向のみの変位を伝達し、X軸方向およびZ軸方向の変位を伝達しない連結部である。Z軸連結部163は、実質的にZ軸方向のみの変位を伝達し、X軸方向およびY軸方向の変位を伝達しない連結部である。
【0006】
特許文献1の3軸振動試験装置200では、振動台111の形状は、略直方体である。供試体Wは、振動台111の+Z軸方向側の面(図5における上面)に保持される。X軸連結部161およびY軸連結部162は、それぞれ振動台111の-X軸方向側の側面および-Y軸方向側の側面に連結されている。Z軸連結部163は、振動台111の-Z軸方向側の面(図5における底面)に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-205322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、Z軸連結部163が振動台111の底面に連結されていることにより、Z軸方向における供試体WとZ軸加振機133との距離が離れることとなる。具体的には、Z軸加振機133の振動がZ軸連結部163を介して振動台111に伝達される位置(振動台111の底面)を加振点P2とすると、加振点P2から振動台111の上面までの距離D2が大きくなる。これにより、振動台111にクロストークが生じやすくなり、供試体WをZ軸方向に安定して振動させにくくなるという問題があった。
【0009】
また、加振点P2から振動台111上面までの距離D2が大きくなることで、3軸振動試験装置200のZ軸方向の高さが高くなってしまうという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、供試体を安定して振動させることができるとともに、鉛直方向のサイズをコンパクトにすることができる振動試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明の振動試験装置は、
振動台と、
前記振動台を水平方向の一方向である第1方向に沿って振動させる第1加振機と、
前記振動台を鉛直方向である第2方向に沿って振動させる第2加振機と、
前記第1加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第1方向のみの変位を伝達する第1連結部と、
前記第2加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第2方向のみの変位を伝達する第2連結部と、
を備え、
前記振動台は、
前記第1連結部が連結される第1面部、
を有し、
前記第1方向において、前記第1面部および前記第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されている(第1の構成)。
【0012】
上記構成によれば、第1方向において、第1面部および第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されている。このため、鉛直方向である第2方向において、加振機によって振動が連結部に伝達される加振点から、振動台に保持される供試体までの距離を短くすることができる。これにより、供試体を安定して振動させることができるとともに、2軸振動試験装置の鉛直方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【0013】
本発明の振動試験装置の具体構成として、次の構成が挙げられる。
【0014】
上記第1の構成において、
前記第1連結部は、前記第2方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第2連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイドを含んでもよい(第2の構成)。
【0015】
上記構成によれば、第1連結部、および第2連結部は、それぞれ直動ガイドを含んでいる。このため、第1連結部、および第2連結部は、それぞれ実質的に一方向のみの振動を伝達するように構成され、振動台にクロストークを生じさせにくくすることができる。
【0016】
上記第1の構成において、
前記振動台を、水平方向の一方向であって、かつ前記第1方向に直交する方向である第3方向に沿って振動させる第3加振機と、
前記第3加振機と前記振動台を連結するとともに、実質的に前記第3方向のみの変位を伝達する第3連結部と、
をさらに備え、
前記振動台は、
前記第3連結部が連結される第3面部、
をさらに有し、
前記第3方向において、前記第3面部および前記第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されてもよい(第3の構成)。
【0017】
上記構成によれば、第1方向において、第1面部および第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置され、第3方向において、第3面部および第2連結部は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されている。このため、鉛直方向である第2方向において、加振機によって振動が連結部に伝達される加振点から、振動台に保持される供試体までの距離を短くすることができる。これにより、供試体を安定して振動させることができるとともに、3軸振動試験装置の鉛直方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【0018】
上記第3の構成において、
前記第1連結部は、前記第2方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第3方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第2連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第3方向にスライド可能な直動ガイドを含み、
前記第3連結部は、前記第1方向にスライド可能な直動ガイド、および前記第2方向にスライド可能な直動ガイドを含んでもよい(第4の構成)。
【0019】
上記構成によれば、第1連結部、第2連結部、および第3連結部は、それぞれ直動ガイドを含んでいる。このため、第1連結部、第2連結部、および第3連結部は、それぞれ実質的に一方向のみの振動を伝達するように構成され、振動台にクロストークを生じさせにくくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の振動試験装置によれば、供試体を安定して振動させることができるとともに、鉛直方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る振動試験装置の斜視図である。
図2図2は、第2加振機を第2振動軸に沿って切断した断面図である。
図3図3は、第2加振機を+Z軸方向側から-Z軸方向側に見た図である。
図4図4は、振動試験装置を+Y軸方向側から-Y軸方向側に見た状態における振動台の断面図である。
図5図5は、特許文献1に開示された従来の3軸振動試験装置を+Y軸方向側から-Y軸方向側に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態1に係る振動試験装置100を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0023】
[全体構成]
まず、振動試験装置100の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る振動試験装置100の斜視図である。図1では、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33については一部のみを表示している。
【0024】
本実施形態では、X軸方向を水平方向とし、X軸に垂直かつ水平な方向をY軸方向とし、Z軸方向を鉛直方向とする。X軸方向は、本発明の第1方向に相当し、Z軸方向は、本発明の第2方向に相当し、Y軸方向は、本発明の第3方向に相当するものとする。
【0025】
図1に示すように、振動試験装置100は、振動台11、第1加振機31、第2加振機32、第3加振機33、第1連結部61、第2連結部62、第3連結部63、および制御部(図示せず)等を備えている。振動試験装置100は、振動台11上に保持される供試体W(図4参照)に対し、X軸方向の加振、Y軸方向の加振、およびZ軸方向の加振を同時または個別に行うことが可能な3軸振動試験装置である。振動試験装置100は、基台(図示せず)上に設置されるが、基台についての説明は省略する。
【0026】
振動台11は、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33に連結されてX軸方向、Z軸方向、およびY軸方向に加振されるとともに、供試体Wを保持する振動台である。供試体Wは、図示しない治具によって振動台11に固定される。
【0027】
第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33は、動電型加振機である。
【0028】
第1加振機31は、第1連結部61を介して振動台11に連結されている。第1加振機31は、振動台11をX軸方向に沿って振動させる。第1加振機31は、第1振動軸L1がX軸方向に対して平行となるように配置されている。
【0029】
第1連結部61は、X軸方向のみの変位を伝達する連結装置である。第1連結部61は、Y軸方向に配置された直動ガイド(リニアガイド)611と、Z軸方向に配置された直動ガイド612とが組み合わされることにより、X軸方向のみの変位を伝達するように構成されている。このため、第1加振機31によるX軸方向の振動が振動台11に伝達されるとともに、他の加振機(第2加振機32および第3加振機33)と協動して振動台11を3軸方向に加振させることが可能である。なお、直動ガイド(リニアガイド)として、ボールを用いた直動ガイドや、流体の圧力(例えば、油の静圧)を用いた静圧軸受を使用することができる。
【0030】
第2加振機32は、第2連結部62を介して振動台11に連結されている。第2加振機32は、振動台11をZ軸方向に沿って振動させる。第2加振機32は、第2振動軸L2がZ軸方向に対して平行となるように配置されている。
【0031】
第2連結部62は、Z軸方向のみの変位を伝達する連結装置である。第2連結部62は、X軸方向に配置された直動ガイド621(図4参照)と、Y軸方向に配置された直動ガイド622(図4参照)とが組み合わされることにより、Z軸方向のみの変位を伝達するように構成されている。このため、第2加振機32によるZ軸方向の振動が振動台11に伝達されるとともに、他の加振機(第1加振機31および第3加振機33)と協動して振動台11を3軸方向に加振させることが可能である。
【0032】
第3加振機33は、第3連結部63を介して振動台11に連結されている。第3加振機33は、振動台11をY軸方向に沿って振動させる。第3加振機33は、第3振動軸L3がY軸方向に対して平行となるように配置されている。
【0033】
第3連結部63は、Y軸方向のみの変位を伝達する連結装置である。第3連結部63は、X軸方向に配置された直動ガイド631と、Z軸方向に配置された直動ガイド632とが組み合わされることにより、Y軸方向のみの変位を伝達するように構成されている。このため、第3加振機33によるY軸方向の振動が振動台11に伝達されるとともに、他の加振機(第1加振機31および第2加振機32)と協動して振動台11を3軸方向に加振させることが可能である。
【0034】
ここで、動電型加振機である第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33の構成について説明する。本実施形態では、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33は同一の構成を有しているため、第2加振機32の構成についてのみ説明する。
【0035】
図2は、第2加振機32を第2振動軸L2に沿って切断した断面図である。第2振動軸L2は、振動部であるドライブコイル37および筒体39の中心軸である。図2に示すように、第2加振機32は、励磁コイル341,342、ヨーク35、およびドライブコイル37等を備えている。励磁コイル341,342は、静磁場を形成する。ヨーク35は、励磁コイル341,342により形成された静磁場による磁気回路および磁気ギャップを形成する。ドライブコイル37は、磁気ギャップ内に配置される振動発生用のコイルである。
【0036】
ヨーク35は、第1ヨーク部351、第2ヨーク部352、および第3ヨーク部353を一体的に組み合わせて構成されている。第1ヨーク部351、第2ヨーク部352、および第3ヨーク部353は、強磁性体によって形成されている。第1ヨーク部351の外周面と、第2ヨーク部352の内周面との間に磁気ギャップが形成されている。なお、ヨーク35を構成する第1ヨーク部351、第2ヨーク部352、および第3ヨーク部353の材質としては、高透磁率で高強度の磁性材料、例えばSS400等の低炭素鋼を好適に用いることが可能である。
【0037】
励磁コイル341,342は、円筒状に巻回されており、第2ヨーク部352の内周面において第2振動軸L2方向に離隔した状態で並んで取り付けられている。励磁コイル341,342は、第3ヨーク部353と、第1ヨーク部351の外鍔354とによって位置決めされている。
【0038】
ドライブコイル37は、非磁性体からなる筒体39の一端側(図2では、-Z軸方向側)の外周面に巻回されている。ドライブコイル37は、励磁コイル341,342と、ヨーク35(第1ヨーク部351、第2ヨーク部352、および第3ヨーク部353)との対向間の磁気ギャップ内に、励磁コイル341,342およびヨーク35に対し非接触の状態で挿入されている。なお、筒体39の材質としては、非磁性体の高強度の金属(例えばアルミニウム合金)や、合成樹脂(例えばカーボンファイバ)等を好適に用いることが可能である。
【0039】
ドライブコイル37および筒体39は、Z軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。具体的には、制御部(図示せず)によって電力増幅器を介して励磁コイル341,342に直流電流を供給することにより、励磁コイル341,342を取り巻くヨーク35内に磁気回路(静磁場)が生成される。ヨーク35には上述したような磁気ギャップが形成されており、磁気ギャップ内に配置されたドライブコイル37に所定周波数の交流電流を制御部により供給することによって、磁気ギャップに生成される静磁場とドライブコイル37に供給される交流電流との間に働く力により、ドライブコイル37が磁束の方向と直交する方向にスライドする。この場合、ドライブコイル37および筒体39は、ヨーク35から外方へ向けて突出(前進)する方向(図2では、+Z軸方向)のスライドと、ヨーク35へ向けて内方(図2では、-Z軸方向)へ退避(後退)する方向のスライドとを繰り返し行う。つまり、ドライブコイル37および筒体39が、ドライブコイル37に供給される交流電流の信号に応じた周波数でZ軸方向に沿って振動する。
【0040】
筒体39の内部には、ドライブコイル37および筒体39のZ軸方向のスライドを案内する案内棒40、ガイドローラ41、および支持部42が設けられている。ガイドローラ41は、第1ヨーク部351の内壁面に支持されており、案内棒40をZ軸方向に案内する。ガイドローラ41は、案内棒40の周囲に120度間隔で3箇所に配置されており、図2では、3箇所のガイドローラ41のうち1箇所のガイドローラ41が見えている。なお、ガイドローラ41は、案内棒40の周囲に90度間隔で4箇所に配置されていてもよい。支持部42は、第3ヨーク部353の端部と筒体39との間に配置されている。筒体39の他端側(図2では、+Z軸方向側)は、第2連結部62を介して振動台11に連結されている(図1参照)。
【0041】
振動試験装置100では、制御部(図示せず)により第2加振機32を駆動することによって、ドライブコイル37、筒体39、第2連結部62、および振動台11等が一体的にZ軸方向に沿って振動し、振動台11上に保持された供試体Wに対するZ軸方向の加振が行われる。
【0042】
図3は、第2加振機32を+Z軸方向側から-Z軸方向側に見た図である。図3に示すように、支持部42は、第3ヨーク部353の端部と筒体39との間に配置されている。支持部42は、筒体39の周囲に90度間隔で4箇所に配置されている。なお、支持部42は、筒体39の周囲に120度間隔で3箇所に配置されていてもよい。
【0043】
図4は、振動試験装置100を+Y軸方向側から-Y軸方向側に見た状態における振動台11の断面図である。図4に示すように、振動台11は、天面部12、第1側面部13、第2側面部14、第3側面部15、および第4側面部16(図1参照)を有している。天面部12、第1側面部13、第2側面部14、第3側面部15、および第4側面部16は、それぞれ金属板で構成され、相互に直交した状態で配置されている。第1側面部13、第2側面部14、第3側面部15、および第4側面部16は、それぞれ天面部12に対して-Z軸方向に延びるように設けられている。第1側面部13、第2側面部14、第3側面部15、および第4側面部16の間には、それぞれ側面部17が配置されている(図1参照)。天面部12、第1側面部13、第2側面部14、第3側面部15、第4側面部16および側面部17は、相互に接合されている。これにより、振動台11は、下部が開放された箱状に構成されている。
【0044】
天面部12は、振動台11の上面を構成している。天面部12は、Z軸方向に直交する方向に配置されており、第1側面部13および第2側面部14と直交している。天面部12の+Z軸方向側の面(図4において上面)には、供試体Wが図示しない治具によって保持される。天面部12の-Z軸方向側の面(図4において下面)には、取付部18を介して、第2連結部62が連結されている。
【0045】
第1側面部13は、振動台11の-X軸方向側の側面を構成している。第1側面部13には、第1連結部61が連結されている。第1側面部13は、本発明の第1面部に相当する。
【0046】
第2側面部14は、振動台11の-Y軸方向側の側面を構成している。第2側面部14には、第3連結部63が連結されている(図1参照)。第2側面部14は、本発明の第3面部に相当する。
【0047】
ここで、第2連結部62は、第2連結部62の一部が箱状の振動台11の内部に入り込むように配置されている。つまり、第2連結部62は、第2連結部62の上部(+Z軸方向側の端部)が第1側面部13の下端(-Z軸方向側の端部)よりも上方となるように配置されている。言い換えると、第2連結部62は、X軸方向から見て、第1側面部13と一部が相互に重なり合うように配置されている。
【0048】
また、第2連結部62は、第2連結部62の上部(+Z軸方向側の端部)が第2側面部14の下端(-Z軸方向側の端部)よりも上方となるように配置されている。言い換えると、第2連結部62は、Y軸方向から見て、第2側面部14と一部が相互に重なり合うように配置されている。
【0049】
本実施形態では、第1加振機31および第3加振機33は、Z軸方向において同じ高さに配置されている。具体的には、第1加振機31および第3加振機33は、第1加振機31の振動部の中心軸である第1振動軸L1、および第3加振機33の振動部の中心軸である第3振動軸L3が、同一のXY平面上に含まれるように配置されている。
【0050】
第1加振機31の第1振動軸L1、および第3加振機33の第3振動軸L3が含まれる仮想のXY平面を第1平面F1とすると、振動台11と第2連結部62とが連結される面は、第1平面F1に含まれるように配置されている。すなわち、本実施形態では、取付部18の-Z軸方向側の端面(下面)は、第1平面F1に含まれるように配置されている。
【0051】
このように、第2連結部62が振動台11の内部の取付部18の底面に連結されていることにより、第2連結部62を振動台11の底部に連結する場合と比較して(図5参照)、Z軸方向における供試体Wと第2加振機32との距離を近づけることができる。具体的には、第2加振機32の振動が第2連結部62を介して振動台11に伝達される位置(取付部18の底面)を加振点P1とすると、加振点P1から振動台11の上面までの距離D1を短くすることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、振動台11と第2連結部62とが連結される面が、第1加振機31の第1振動軸L1、および第3加振機33の第3振動軸L3が含まれる第1平面F1上に位置するとしたが、振動台11と第2連結部62とが連結される面の位置は、この位置に限定されない。例えば、振動台11と第2連結部62とが連結される面を、第1平面F1よりさらに上方(+Z軸方向側)としてもよい。この場合、加振点P1から振動台11の上面までの距離D1をさらに短くすることができる。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る振動試験装置100によれば、X軸方向において、第1側面部13および第2連結部62は、少なくとも一部が相互に重なるように配置され、Y軸方向において、第2側面部14および第2連結部62は、少なくとも一部が相互に重なるように配置されている。このため、Z軸方向において、第2加振機32によって振動が第2連結部62に伝達される加振点P1から、振動台11に保持される供試体Wまでの距離D1を短くすることができる。これにより、振動台11のクロストークを生じにくくして、供試体Wを安定して振動させることができるとともに、振動試験装置100の鉛直方向のサイズをコンパクトにすることができる。
【0054】
[変形例]
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
本実施形態では、3軸の振動試験装置100について説明したが、水平方向と鉛直方向の2軸の振動試験装置に本発明を適用してもよく、さらに4軸以上の多軸振動試験装置に適用してもよい。
【0056】
例えば、振動台11の構成は一例であって、他の構成の振動台であってもよい。
【0057】
第1連結部61、第2連結部62、および第3連結部63の構成は一例であって、他の構成の連結部であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33は動電型加振機としたが、動電型に限定されず、他の種類の加振機を用いてもよい。例えば、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33として、油圧シリンダを用いた加振機や、サーボモータを用いた加振機を使用してもよい。また、第1加振機31、第2加振機32、および第3加振機33として、それぞれ異なる種類の加振機を使用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 振動試験装置
11 振動台
31 第1加振機
32 第2加振機
33 第3加振機
61 第1連結部
62 第2連結部
63 第3連結部
13 第1側面部(第1面部)
14 第2側面部(第3面部)
図1
図2
図3
図4
図5