(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20231109BHJP
【FI】
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2023066760
(22)【出願日】2023-04-14
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022154260
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518410342
【氏名又は名称】山崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100210332
【氏名又は名称】洲崎 竜弥
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 純一
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-113904(JP,A)
【文献】特開2009-251938(JP,A)
【文献】特許第6208911(JP,B1)
【文献】特開2023-044868(JP,A)
【文献】特開平10-124583(JP,A)
【文献】特開2018-106275(JP,A)
【文献】特開2022-186221(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0101775(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を、
組織に属する者に対して実施する、当該組織に関するアンケートの質問を示す第1の質問データおよび当該組織に属する者に関するアンケートの質問を示す第2の質問データを含む質問データを記憶する質問データ記憶手段、
前記組織に関するアンケートの質問に対する回答および前記組織に属する者に関するアンケートの質問に対する回答を示す回答データを、前記質問データおよび前記組織を示す組織データと関連付けて記憶する回答データ記憶手段、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データを前記組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する個別組織集計値算出手段、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データ記憶手段に記憶されているすべての前記回答データに基づいて、前記質問データごとの基準値を算出する基準値算出手段、
前記個別組織集計値と前記基準値とに基づいて、前記組織の評価値を算出する評価値算出手段、として機能させ、
前記質問データ記憶手段は、少なくとも2以上存在するいずれかの分類に対応付けて前記質問データを記憶し、
前記評価値算出手段は、前記分類に対応付けられた前記質問データごとの前記組織の評価値を算出
し、
前記情報処理装置を、前記分類に対応付けられた2以上の前記質問データに関する前記組織の評価値に基づいて、前記分類ごとの総合評価を生成する総合評価生成手段、
としてさらに機能させ、
前記質問データ記憶手段は、前記分類を少なくとも2以上存在するセクションのいずれかに割り当てて記憶し、
前記総合評価生成手段は、前記セクションに割り当てられた前記分類ごとの総合評価に基づき、前記セクションごとの総合評価を生成する、
プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムを実行する制御部と、を備える、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等の組織に属する者(例えば、社員)が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握するためのプログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の組織においては、当該組織に属する者の業績および能力を評価し、その者の給与等の待遇を決定することが行われている。そのため、企業等の組織に属する者を迅速かつ正確に評価する技術が数多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、評価対象者である社員の評価結果を直感的な印象で把握することのできる評価技術として、当該評価結果を表す評価キャラクタを生成し、出力端末にその評価キャラクタを出力するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献に記載の技術は、評価対象者という個人の業績および能力を評価するに留まるものであって、評価対象者がその能力を発揮して、評価対象者が属する組織の成長および発展にどの程度貢献したか、について評価するものでないため、上記文献に記載の技術を含む従来の先行技術では、企業等の組織自体がよりよくなっているか否かを評価することができない、という課題が存在する。
【0006】
企業等の組織においては、当該組織が将来に渡って長期的に成長し、発展していくことが求められる。そして、組織の成長および発展には、当該組織に属する者の当該組織への貢献が欠かせないため、当該組織に属する者たちが個々の能力を発揮し、お互いの能力を高め合っている状態が実現されているか否かが、適切に評価されるべきである。そうすると、このような状態が実現されているか否かについての現状の評価が把握され、現状を踏まえて改善すべき項目等について適切に対処されることが望ましい。
【0007】
さらに、上記状態の評価は定期的に実施されなければ、上記状態の変化を把握することができないため、半年に1回、あるいは1年に1回等のペースで定期的に上記状態の評価が実施されるべきである。そのため、上記状態の評価は、時間や労力を割くことなく、効率的に行えることが望ましい。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、企業等の組織に属する者が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握することを可能とするプログラムおよび情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、
情報処理装置を、
組織に属する者に対して実施する、当該組織に関するアンケートの質問を示す第1の質問データおよび当該組織に属する者に関するアンケートの質問を示す第2の質問データを含む質問データを記憶する質問データ記憶手段、
前記組織に関するアンケートの質問に対する回答および前記組織に属する者に関するアンケートの質問に対する回答を示す回答データを、前記質問データおよび前記組織を示す組織データと関連付けて記憶する回答データ記憶手段、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データを前記組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する個別組織集計値算出手段、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データ記憶手段に記憶されているすべての前記回答データに基づいて、前記質問データごとの基準値を算出する基準値算出手段、
前記個別組織集計値と前記基準値とに基づいて、前記組織の評価値を算出する評価値算出手段、として機能させ、
前記質問データ記憶手段は、少なくとも2以上存在するいずれかの分類に対応付けて前記質問データを記憶し、
前記評価値算出手段は、前記分類に対応付けられた前記質問データごとの前記組織の評価値を算出する、
プログラムである。
【0010】
また、第1の発明において、
前記情報処理装置を、
前記分類に対応付けられた2以上の前記質問データに関する前記組織の評価値に基づいて、前記分類ごとの総合評価を生成する総合評価生成手段、
としてさらに機能させてもよい。
【0011】
また、第1の発明において、
前記質問データ記憶手段は、前記分類を少なくとも2以上存在するセクションのいずれかに割り当てて記憶し、
前記総合評価生成手段は、前記セクションに割り当てられた前記分類ごとの総合評価に基づき、前記セクションごとの総合評価を生成してもよい。
【0012】
第2の発明は、
第1の発明のプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムを実行する制御部と、を備える、
情報処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプログラムおよび情報処理装置によれば、企業等の組織に属する者が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態における情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】本実施形態における質問データの一例である。
【
図3】本実施形態における回答データの追加に連動して算出される個別組織集計値の一例である。
【
図4】本実施形態における回答データの削除に連動して算出される個別組織集計値の一例である。
【
図5】本実施形態において算出される評価値の一例である。
【
図6】本実施形態におけるプログラムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
本発明の実施形態について、
図1~6を参照しつつ説明する。
【0016】
本発明の実施形態における情報処理装置はコンピュータ1である。
【0017】
コンピュータ1は、
図1に示すとおり、制御部10、記憶部11、入力部12および出力部13を備える。そして、記憶部11、入力部12および出力部13は、バス14を介して制御部10に接続される。
【0018】
制御部10は、コンピュータ1の全体の動作を制御する。
【0019】
記憶部11は、主にHDD、RAMおよびROMで構成される。記憶部11には、制御部10が実行するプログラムおよび各種データが記憶される。
【0020】
入力部12は、キーボードおよびマウス等の入力装置120を介してユーザからの入力を受け付ける。
【0021】
出力部13は、ディスプレイ等の出力装置130に制御部10がプログラムを実行した結果等を出力する。
【0022】
コンピュータ1の制御部10は、
図1に示すとおり、記憶部11に記憶された本発明のプログラムを実行することで、質問データ記憶手段101、回答データ記憶手段102、個別組織集計値算出手段103、基準値算出手段104および評価値算出手段105として機能する。
【0023】
質問データ記憶手段101は、企業等の組織に属する者(例えば、社員)に対して実施する、当該組織に関するアンケートの質問を示す質問データ(以下「第1の質問データ」という。)および当該組織に属する者(回答者個人)に関するアンケートの質問を示す質問データ(以下「第2の質問データ」という。)を含む質問データを記憶する。質問データには、アンケートの質問文および各質問文を識別するためのIDが含まれる。質問データは、入力部12が入力装置120を介して、ユーザからの入力を受け付けたものである。
【0024】
例えば、質問データ記憶手段101は、
図2に示すとおり、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文、ID「002」に対応する「私生活の悩みはないですか。」との質問文、およびID「005」に対応する「昇進の仕方は公正ですか。」との質問文を記憶する。ここで、ID「001」、「002」および「005」、ならびに質問文「経営理念は明確ですか。」、「私生活の悩みはないですか。」および「昇進の仕方は公正ですか。」は、質問データ記憶手段101が記憶する質問データに該当する。また、ID「001」の質問データ及びID「005」の質問データは、第1の質問データであり、ID「002」の質問データは、第2の質問データである。
【0025】
本実施形態における質問データには、第1の質問データおよび第2の質問データが含まれていることにより、1回のアンケートが実施されることで、組織および回答者個人の現状を把握することができる。
【0026】
さらに、質問データ記憶手段101は、少なくとも2以上存在するいずれかの分類に対応付けて質問データを記憶する。例えば、ID「001」の質問データおよびID「002」の質問データは、「教育」に関する分類と対応付けられ、ID「005」の質問データは、「敬意」に関する分類と対応付けられる。
【0027】
本実施形態における質問データ記憶手段101は、「教育」、「秩序」、「敬意」、「平静」、「規範」、「役割」、「計画」、「信義」、「協調」、「信賞必罰」、「自律」、「卓越」、「判断」、「公共心」、「タイミング」および「協議」の16分類のいずれか1つの分類に対応付けて質問データを記憶する。
【0028】
このように、分類と質問データとが対応付けられることで、後述のとおり、分類ごとに組織の評価値が把握されることとなり、当該組織が取り組むべき課題が明らかになる。
【0029】
回答データ記憶手段102は、組織に関するアンケートの質問に対する回答および組織に属する者(回答者個人)に関するアンケートの質問に対する回答を示す回答データを、上記質問データおよびその組織を示す組織データと関連付けて記憶する。回答データとして、「はい」、「ふつう」および「いいえ」の中から、アンケートの回答者が選択したものが記憶される。回答データは、入力部12が入力装置120を介して、ユーザからの入力を受け付けたものである。
【0030】
例えば、A会社の社員である甲が「経営理念は明確ですか。」との質問に対し、「はい」と回答した場合、回答データ記憶手段102は、「はい」の回答データを、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」の質問データ、および組織を示す組織データ(例えば、「A会社」)と関連付けて記憶する。
【0031】
また、甲が、「私生活の悩みはないですか。」との質問に対し、「いいえ」と回答した場合、回答データ記憶手段102は、「いいえ」の回答データを、ID「002」に対応する「私生活の悩みはないですか。」の質問データ、および組織を示す組織データ(A会社)と関連付けて記憶する。
【0032】
さらに、B会社の社員である乙が「昇進の仕方は公正ですか。」との質問に対し、「いいえ」と回答した場合、回答データ記憶手段102は、「いいえ」の回答データを、ID「005」に対応する「昇進の仕方は公正ですか。」の質問データ、および組織を示す組織データ(例えば、「B会社」)と関連付けて記憶する。
【0033】
個別組織集計値算出手段103は、回答データの追加または削除に連動して、当該回答データを組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する。
【0034】
例えば、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対し、A会社の社員30名のうち21名が「はい」、3名が「ふつう」、6名が「いいえ」と回答した場合、個別組織集計値には、「いいえ」の回答の割合である「20%」が該当する。
【0035】
個別組織集計値算出手段103は、個別組織集計値を、回答データの追加または削除に連動して算出する。上記A会社の例の場合、さらに社員10名からアンケートに対する回答が得られたところ、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対する回答につき、24名が「はい」、6名が「ふつう」、10名が「いいえ」と変更されたとき、個別組織集計値算出手段103は、回答データの追加に連動して、個別組織集計値として「25%」を算出する(
図3参照)。
【0036】
他方、A会社の回答データの中に、有効でない回答が含まれていた場合(例えば、A会社以外の会社の社員の回答データが混在していた場合)であって、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対する回答につき、20名が「はい」、2名が「ふつう」、3名が「いいえ」と変更されたとき、個別組織集計値算出手段103は、回答データの削除に連動して、個別組織集計値として「12%」を算出する(
図4参照)。
【0037】
基準値算出手段104は、回答データの追加または削除に連動して、回答データ記憶手段102に記憶されているすべての回答データに基づいて、質問データごとの基準値を算出する。
【0038】
例えば、回答データ記憶手段102が、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対するA会社の回答データとして、「はい」が21名、「ふつう」が3名、「いいえ」が6名と記憶しており、当該質問文に対するB会社の回答データとして、「はい」が40名、「ふつう」が5名、「いいえ」が5名と記憶している場合、基準値算出手段104は、A会社の回答データとB会社の回答データとに基づいて、総回答数に対する「いいえ」の回答の割合として「13.75%」を算出する(
図5参照)。ここでは、総回答数に対する「いいえ」の回答の割合である「13.75%」が、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」の質問データの基準値に該当する。
【0039】
基準値算出手段104は、質問データごとの基準値を、回答データの追加または削除に連動して算出する。例えば、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対するA会社の社員の回答につき、「はい」が24名、「ふつう」が6名、「いいえ」が10名と変更されたとき、回答データ記憶手段102に記憶されている上記質問文に対する回答の総回答数と「いいえ」の回答数とが変化するため、基準値算出手段104は、上記質問の基準値として「16.7%」(記載の便宜上、小数点第二位を四捨五入した数値としている。)を算出する。
【0040】
あるいは、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文に対するA会社の社員の回答につき、「はい」が20名、「ふつう」が2名、「いいえ」が3名と変更されたとき、回答データ記憶手段102に記憶されている上記質問文に対する回答の総回答数と「いいえ」の回答数とが変化するため、基準値算出手段104は、上記質問の基準値として「10.7%」(記載の便宜上、小数点第二位を四捨五入した数値としている。)を算出する。
【0041】
評価値算出手段105は、個別組織集計値と基準値とに基づいて、組織の評価値を算出する。
【0042】
例えば、ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文について、個別組織集計値算出手段103が算出したA会社の個別組織集計値が「20%」であって、基準値算出手段104が算出した上記質問の基準値が「13.75%」である場合、評価値算出手段105は、A会社の評価値として「0.6875」(=13.75÷20)を算出する(
図5参照)。
【0043】
評価値算出手段105が算出する評価値は、アンケートの質問に対し「いいえ」と回答した割合について、ある組織(上記例の場合、A会社)と全体(上記例の場合、A会社とB会社との合算)とを比較するものであるため、評価値が「1」を下回れば、当該ある組織における「いいえ」の回答の割合が全体と比較して多く、評価値が「1」を上回れば、当該ある組織における「いいえ」の回答の割合が全体と比較して少ないことを意味する。そして、評価値が「1」である場合には、当該ある組織における「いいえ」の回答の割合が全体と同じであることを意味する。
【0044】
ID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問文については、「いいえ」の回答数が少ないほど、組織において経営理念が社員に浸透していることを意味するため、評価値は「1」以上であることが望ましい。そのため、上記例において、評価値算出手段105が算出したA会社の評価値「0.6875」は、A会社において経営理念の社員への浸透が不十分であることを意味するものである。
【0045】
また、評価値算出手段105は、質問データ記憶手段101が記憶する分類に対応付けられた質問データごとの組織の評価値を算出する。例えば、評価値算出手段105は、「教育」の分類に対応付けられたID「001」の質問データおよびID「002」の質問データごとに、個別組織集計値と基準値とに基づいて、組織の評価値を算出する。同様に、評価値算出手段105は、「敬意」の分類に対応付けられたID「005」の質問データについても、個別組織集計値と基準値とに基づいて、組織の評価値を算出する。
【0046】
評価値算出手段105によって分類に対応付けられた質問データごとの組織の評価値が算出されることで、分類ごとに組織の評価値が把握されるようになる。すなわち、「教育」の分類に対応付けられたID「001」、「002」等の質問データの組織の評価値中に「1」を下回るものが多い場合、「教育」の分類において、当該組織が取り組むべき課題が多いことを意味する。また、「教育」の分類に対応付けられたID「001」、「002」等の質問データの組織の評価値がすべて「1」以上である場合、「教育」の分類おいて、当該組織が取り組むべき課題が少ないことを意味する。
【0047】
さらに、質問データには、組織に属する者(回答者個人)に関するアンケートの質問を示す質問データである第2の質問データも含まれているため、評価値算出手段105が算出する第2の質問データの組織の評価値によって、悩みやストレスを抱える者がどの程度存在するかが明らかになる。
【0048】
次に、
図6を参照して、本発明のプログラムの処理について説明する。
【0049】
まず、質問データ記憶手段101は、企業等の組織に属する者に対して実施する、第1の質問データおよび第2の質問データを含む質問データを記憶する(ステップS1)。
【0050】
次に、回答データ記憶手段102は、組織に関するアンケートの質問に対する回答および組織に属する者に関するアンケートの質問に対する回答を示す回答データを、上記質問データおよびその組織を示す組織データと関連付けて記憶する(ステップS2)。
【0051】
次に、個別組織集計値算出手段103は、回答データの追加または削除に連動して、当該回答データを組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する(ステップS3)。
【0052】
次に、基準値算出手段104は、回答データの追加または削除に連動して、回答データ記憶手段102に記憶されているすべての回答データに基づいて、質問データごとの基準値を算出する(ステップS4)。
【0053】
そして、評価値算出手段105は、個別組織集計値と基準値とに基づいて、分類に対応付けられた質問データごとの組織の評価値を算出して(ステップS5)、本処理が終了する。
【0054】
なお、前述の制御手段および処理手順は一例であり、本発明の実施形態はこれらに限定されない。処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0055】
以上をまとめると、本実施形態のプログラムは、
コンピュータ1を、
組織に属する者に対して実施する、当該組織に関するアンケートの質問を示す第1の質問データおよび当該組織に属する者に関するアンケートの質問を示す第2の質問データを含む質問データを記憶する質問データ記憶手段101、
前記組織に関するアンケートの質問に対する回答および前記組織に属する者に関するアンケートの質問に対する回答を示す回答データを、前記質問データおよび前記組織を示す組織データと関連付けて記憶する回答データ記憶手段102、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データを前記組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する個別組織集計値算出手段103、
前記回答データの追加または削除に連動して、前記回答データ記憶手段に記憶されているすべての前記回答データに基づいて、前記質問データごとの基準値を算出する基準値算出手段104、
前記個別組織集計値と前記基準値とに基づいて、前記組織の評価値を算出する評価値算出手段105、として機能させ、
前記質問データ記憶手段は、少なくとも2以上存在するいずれかの分類に対応付けて前記質問データを記憶し、
前記評価値算出手段は、前記分類に対応付けられた前記質問データごとの前記組織の評価値を算出する。
【0056】
本実施形態のプログラムによれば、企業等の組織に属する者が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握することを可能とする。また、組織に関するアンケートが定期的に実施され、回答データが更新されることによって、各アンケートの実施時点における組織の現状についての評価が把握され、過去の評価値と現在の評価値とを比較することによって、組織がよりよくなったか否かについても分析することができる。
【0057】
[他の実施形態]
上記実施形態においては、質問データ記憶手段が、質問データとして、アンケートの質問文および各質問文を識別するためのIDの両方を記憶する例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0058】
例えば、質問データ記憶手段が、質問データとして記憶するものがアンケートの質問文および各質問文を識別するためのIDのいずれか一方であってもよいし、同様のデータであればこれらに限られない。
【0059】
また、上記実施形態においては、質問データおよび回答データが、コンピュータの入力部が入力装置を介してユーザからの入力を受け付けたものである例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0060】
例えば、質問データおよび回答データは、CD-ROMおよびUSBメモリ等の記録媒体に記録されたものをダウンロードしたものであってもよい。あるいは、質問データおよび回答データは、サーバ装置またはクラウド上に保存されたものをダウンロードしたものであってもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、アンケートの質問に対する回答を示す回答データが、「はい」、「ふつう」および「いいえ」である例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0062】
例えば、回答データは、「1」~「5」等の段階的な数値で表されるものであってもよい。あるいは、回答データは、「A」~「E」等のアルファベットで表されるものであってもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、個別組織集計値算出手段が算出する個別組織集計値が、「いいえ」の回答の割合であって、基準値算出手段が算出する質問データごとの基準値が、総回答数に対する「いいえ」の回答の割合である例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0064】
例えば、個別組織集計値算出手段が算出する個別組織集計値が、「はい」の回答の割合であって、基準値算出手段が算出する質問データごとの基準値が、総回答数に対する「はい」の回答の割合であってもよい。
【0065】
あるいは、アンケートの質問に対する回答を示す回答データが「1」~「5」の5段階の数字で表されるものである場合、個別組織集計値算出手段が算出する個別組織集計値が、「5」の回答の割合であって、基準値算出手段が算出する質問データごとの基準値が、総回答数に対する「5」の回答の割合であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、評価値算出手段が算出する組織の評価値が、基準値を個別組織集計値で除した数値である例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0067】
例えば、組織の評価値は、個別組織集計値を基準値で除した数値であってもよい。この場合、上記実施形態においては、個別組織集計値が「いいえ」の回答の割合であって、基準値が総回答数に対する「いいえ」の回答の割合であるところ、組織の評価値が「1」を下回れば、当該組織における「いいえ」の回答の割合が全体と比較して少なく、組織の評価値が「1」を上回れば、当該組織における「いいえ」の回答の割合が全体と比較して多いことを意味する。
【0068】
また、上記実施形態において、記憶部に記憶されたプログラムが実行されることで、さらに、コンピュータの制御部がグラフ生成手段として機能してもよい。
【0069】
グラフ生成手段は、個別組織集計値と基準値とを視覚的に比較することができるグラフ(例えば、レーダーチャート)を生成する。グラフ生成手段によって生成されるグラフは、レーダーチャートに限定されず、折れ線グラフおよび棒グラフ等であってもよい。
【0070】
グラフ生成手段によって生成されたグラフは、出力部を介して出力装置に出力される。
【0071】
また、上記実施形態において、記憶部に記憶されたプログラムが実行されることで、さらに、コンピュータの制御部が総合評価生成手段として機能してもよい。
【0072】
総合評価生成手段は、分類に対応付けられた2以上の質問データに関する組織の評価値に基づいて、分類ごとの所定の総合評価を生成する。例えば、「教育」の分類に対応付けられたID「001」に対応する「経営理念は明確ですか。」との質問データ、ID「002」に対応する「社内の規則は守られていますか。」との質問データ、およびID「008」に対応する「社内の規則は守られていますか。」との質問データに関し、過半数の質問データに関する組織の評価値が「1」以上である場合、「教育」の分類について「良好」との総合評価を生成する。これに対し、過半数の質問データに関する組織の評価値が「1」以下である場合、「教育」の分類について「不十分」との総合評価を生成する。
【0073】
「教育」の分類と同様に、総合評価生成手段は、他の15分類(「秩序」、「敬意」、「平静」、「規範」、「役割」、「計画」、「信義」、「協調」、「信賞必罰」、「自律」、「卓越」、「判断」、「公共心」、「タイミング」および「協議」)についても所定の総合評価を生成する。
【0074】
総合評価生成手段によって生成された総合評価は、出力部を介して出力装置に出力される。このような総合評価は、アンケートの俯瞰的な結果を示すものであるため、総合評価によって、組織の強みと弱みとが容易に把握される。
【0075】
さらに、質問データ記憶手段は、分類を少なくとも2以上存在するセクションのいずれかに割り当てて記憶し、総合評価生成手段は、当該セクションに割り当てられた分類ごとの所定の総合評価に基づき、セクションごとの総合評価を生成してもよい。
【0076】
例えば、質問データ記憶手段は、「経営理念系」、「マーケティング系」、「戦略計画系」および「先行管理系」の4つのセクションについて、「教育」、「規範」、「協調」および「判断」の分類を「経営理念系」のセクションに、「秩序」、「役割」、「信賞必罰」および「公共心」の分類を「マーケティング系」のセクションに、「敬意」、「計画」、「自律」および「タイミング」の分類を「戦略計画系」のセクションに、「平静」、「信義」、「卓越」および「協議」の分類を「先行管理系」のセクションに割り当てて記憶する。
【0077】
そして、総合評価生成手段は、各セクションについて、「不十分」の総合評価とされた分類が2以上存在する場合、そのセクションについて「課題あり」の総合評価を生成する。
【0078】
これにより、アンケートの結果がより俯瞰的に把握されるようになり、組織が取り組むべき課題がどのような事項にあるかが明確になる。そして、「課題あり」の総合評価となっているセクションについては、当該セクションに割り当てられた分類の総合評価および当該分類に対応付けられた質問データごとの評価値を分析することによって、組織が取り組むべき課題をより詳細に確認し、課題を改善するための計画や戦略を講じることができるようになる。
【0079】
また、上記実施形態においては、情報処理装置がコンピュータである例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0080】
例えば、情報処理装置は、スマートフォン等の携帯情報端末であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のプログラムおよび情報処理装置は、企業等の組織に属する者が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握することに適している。
【符号の説明】
【0082】
1 コンピュータ
10 制御部
11 記憶部
12 入力部
13 出力部
101 質問データ記憶手段
102 回答データ記憶手段
103 個別組織集計値算出手段
104 基準値算出手段
105 評価値算出手段
120 入力装置
130 出力装置
【要約】
【課題】企業等の組織に属する者が個々の能力を発揮することができているかを調査するとともに、組織の現状についての評価を把握することを可能とするプログラムを提供する。
【解決手段】本発明のプログラムは、情報処理装置を、組織に関するアンケートの質問を示す質問データを記憶する質問データ記憶手段、質問に対する回答を示す回答データを、質問データおよび組織データと関連付けて記憶する回答データ記憶手段、回答データの追加または削除に連動して、回答データを組織データごとに集計した結果を示す個別組織集計値を算出する個別組織集計値算出手段、回答データの追加または削除に連動して、回答データ記憶手段に記憶されているすべての回答データに基づいて、質問データごとの基準値を算出する基準値算出手段、個別組織集計値と基準値とに基づいて、組織の評価値を算出する評価値算出手段、として機能させる。
【選択図】
図6