(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】回転を伴う積層によるチップの組み立て
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20231109BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231109BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20231109BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20231109BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20231109BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20231109BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231109BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231109BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L21/90 A
H01L21/88 T
H01L25/08 C
H01L21/60 311Q
H01L27/04 E
(21)【出願番号】P 2021535163
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(86)【国際出願番号】 IB2020050229
(87)【国際公開番号】W WO2020148630
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】青木 豊広
(72)【発明者】
【氏名】中村 英司
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166026(JP,A)
【文献】特開2016-004835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0123284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/60-21/607
H01L 21/768
H01L 21/82-21/822
H01L 23/48-23/50
H01L 23/52-23/538
H01L 25/04-25/075
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が少なくとも1つのチップ・ブロックを含む複数のチップ層を準備するステップであって、各チップ・ブロックは、同じ機能が割り当てられた複数の電極を含む、前記準備するステップと、
重なり合うチップ・ブロックの少なくとも1つのスタックを形成するように前記複数のチップ層を順次積層するステップであって、各スタックは、水平面におけるシフトを有する垂直に配列された電極の複数のグループを保持する、前記積層するステップと、
前記複数のグループの少なくとも1つについて、前記複数のチップ層に少なくとも部分的にスルー・ホールを形成し、前記複数のグループの前記少なくとも1つにおける垂直に配列された電極の電極表面を露出させるステップと、
伝導性材料によって前記スルー・ホールを充填するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのチップ・ブロックは、回転対称の方式で配置されたチップ・ブロックのアレイを含み、前記複数のチップ層を積層するステップは、前記複数のチップ層のうち1つの前記アレイ内の各チップ・ブロックが前記複数のチップ層のうち他のものの前記アレイ内の対称的に位置するチップ・ブロックと重なり合うようにして行われ、前記重なり合うチップ・ブロックの前記少なくとも1つのスタックは、重なり合うチップ・ブロックのスタックのアレイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各チップ・ブロックは、前記チップ・ブロックの前記アレイの配置と同じ回転対称を有する同一形状を有し、各チップ・ブロックについての前記複数の電極のそれぞれの表面は、前記チップ・ブロックの中心周りの回転操作が加えられた場合に各表面が他の表面と隣接し、かつ少なくとも部分的にシフトされるように構成されるように配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のチップ層を積層するステップは、前記グループにおける前記垂直に配列された電極の前記電極表面が前記水平面において一周するように配置されるように行われる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のチップ層を積層するステップは、
1つ以上の絶縁接着層によって前記複数のチップ層を結合するステップを含み、前記重なり合うチップ・ブロックの各スタックは、前記1つ以上の絶縁接着層各々の対応部分を保持する、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の絶縁接着層のうち少なくとも2つの各対応部分は、形成されるべき前記スルー・ホールの一部としての開口部を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各電極表面はホール形成に対するストッパとして働くように構成され、かつ前記複数のチップ層を貫通する前記スルー・ホールの中心部分の形成を可能にする形状を有し、前記スルー・ホールの前記中心部分はいずれの前記電極表面によってもカバーされない部分である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アレイの配置の前記回転対称はn回回転対称であり、1つのチップ層を他のチップ層に積層するステップにおいて行われる各回転は、積層のベース位置に関する前記アレイの中心周りの360/n*i(i=1,…,n-1)度の回転であり、前記チップ層の数はnであり、各チップ・ブロックは平面充填の単位形状を有し、前記スルー・ホールはnまたはn-1チップ層を貫くように形成される、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
nは4であり、各チップ・ブロックは略正方形の形状を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の
積層アセンブリを得るために、前記複数のチップ層を準備するステップと、前記複数のチップ層を積層するステップと、前記スルー・ホールを形成するステップとが繰り返し行われ、前記スルー・ホールを前記形成するステップは、前記スルー・ホールが各積層アセンブリを部分的に貫通するようにして行われ、前記方法は、さらに、
前記積層アセンブリの前記スルー・ホールが互いに連絡するように前記複数の積層アセンブリを積層するステップを含み、前記スルー・ホールを充填するステップは、前記複数の積層アセンブリに対して一度に行われる、請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の積層アセンブリを得るために、前記複数のチップ層を準備するステップと、前記複数のチップ層を積層するステップとが繰り返し行われ、前記方法はさらに、
並進シフトを伴って前記複数の積層アセンブリを積層するステップを含み、前記スルー・ホールを形成するステップおよび前記スルー・ホールを充填するステップは、それぞれ前記複数の積層アセンブリに対して一度に行われる、請求項2~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
準備される各チップ層は、ウェハまたはパネルの形を有し、前記方法はさらに、
前記複数のチップ層をダイシングして複数のチップ・アセンブリにするステップを含み、各チップ・アセンブリは、前記重なり合うチップ・ブロックの各スタックに対応する、請求項2~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記スルー・ホールを形成するステップは、エッチングもしくはレーザ処理またはその両方によって行われ、前記スルー・ホールを充填するステップは、射出成形はんだ付け(IMS)技術によって行われる、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
各チップ・ブロックは、半導体デバイスまたは薄膜電池を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのチップ・ブロックを含むチップ層であって、各チップ・ブロックは、前記チップ層を貫くビア・ホールの形成が可能な複数の区域を有する、前記チップ層と、
各チップ・ブロック
について前記区域のそれぞれの位置に置かれた複数の電極とを含み、前記複数の電極には同じ機能が割り当てられ、かつそれぞれの電極表面は、各電極表面が、他の1つの電極表面に対する所定の操作に基づいて水平面におけるシフトを伴って前記他の1つの電極表面に隣接するように配置される、チップ構造。
【請求項16】
前記チップ層の前記少なくとも1つのチップ・ブロックは、回転対称の方式で配置されたチップ・ブロックのアレイを含み、前記チップ層の前記アレイの各チップ・ブロックが、他の対称的に位置するチップ・ブロックに対して前記チップ層の前記アレイの中心周りの回転操作が加えられた場合に、前記チップ層の前記アレイの前記他の対称的に位置するチップ・ブロックと重なり合うようにされる、請求項15に記載のチップ構造。
【請求項17】
前記チップ層の前記アレイにおける各チップ・ブロックは、前記チップ・ブロックの前記アレイの配置と同じ回転対称を有する同一形状を有する、請求項16に記載のチップ構造。
【請求項18】
前記チップ構造はさらに、
前記チップ層の上または中に形成された絶縁接着層を含み、各絶縁接着層は、前記チップ・ブロックの前記アレイに対応する複数の部分を含む、請求項16または17に記載のチップ構造。
【請求項19】
前記絶縁接着層の各部分は、前記電極表面の位置に置かれた複数の開口部を有する、請求項18に記載のチップ構造。
【請求項20】
前記回転対称はn回回転対称であり、前記アレイの中心周りの前記回転操作は、360/n度の回転であり、前記チップ・ブロックの中心周りの前記回転操作は、360/n度の回転であり、前記アレイの各チップ・ブロックは平面充填の単位形状を有する、請求項16~19のいずれか1項に記載のチップ構造。
【請求項21】
積層チップ構造であって、請求項15~20のいずれか1項に記載のチップ構造を複数含み、前記複数のチップ構造は、重なり合うチップ・ブロックのスタックを形成するように積層された複数のチップ層を提供し、前記スタックにおける前記重なり合うチップ・ブロックのうち少なくとも2つのそれぞれのビア・ホールは、スルー・ホールを形成するように互いに連絡しており、前記複数のチップ構造はさらに、前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックに対して、同じ機能を割り当てられた、垂直に配列された電極の複数のグループを提供し、各グループの前記垂直に配列された電極は水平面におけるシフトを有するように配置され、前記積層チップ構造はさらに、
前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックに対する前記スルー・ホールに充填された伝導性材料を含み、前記スルー・ホールに充填された前記伝導性材料は、前記グループのうちの1つの垂直に配列された電極の電極表面と接触している、積層チップ構造。
【請求項22】
各チップ層は1つのチップ・ブロックを含み、前記複数のチップ層は、1つのチップ層の前記チップ・ブロックが他のチップ層の前記チップ・ブロックと回転対称の方式で重なり合うように積層され、前記積層チップ構造は、個片化されたチップ・アセンブリである、請求項21に記載の積層チップ構造。
【請求項23】
各チップ層は、回転対称の方式で配置されたチップ・ブロックのアレイを含み、1つのチップ層の前記アレイ内の各チップ・ブロックが他のチップ層の前記アレイ内の対称的に位置するチップ・ブロックと重なり合うことで、前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックと、重なり合うチップ・ブロックの1つ以上の他のスタックとを構成するように前記複数の前記チップ層が積層され、前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックおよび前記他のスタックはアレイ状に配置される、請求項21または22に記載の積層チップ構造。
【請求項24】
前記グループのうちの前記1つの前記垂直に配列された電極の前記電極表面は、前記スルー・ホールの中心周りを一周以上するように配置され、前記複数のチップ層は少なくとも1ユニットの積層された複数の層を含み、積層された複数の層の各ユニットは一周に対応する、請求項23に記載の積層チップ構造。
【請求項25】
前記積層チップ構造はさらに、
2つ以上の絶縁接着層を含み、各絶縁接着層は、隣接する2つのチップ層を結合し、かつ前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックの前記アレイに対応する複数の部分を含み、対応する部分の少なくとも2つは前記スルー・ホールの一部としてのそれぞれの開口部を有する前記1つのグループに関係する、請求項23または24に記載の積層チップ構造。
【請求項26】
積層チップ構造であって、
重なり合うチップ・ブロックのスタックを形成するように積層された複数のチップ層であって、前記スタックにおける前記重なり合うチップ・ブロックのうち少なくとも2つは、スルー・ホールを形成するように互いに連絡するそれぞれのビア・ホールを有する、前記複数のチップ層と、
前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックに対する、同じ機能を割り当てられた、垂直に配列された電極の複数のグループであって、各グループの前記垂直に配列された電極は、水平面におけるシフトを有するように配置される、前記電極の複数のグループと、
前記重なり合うチップ・ブロックの前記スタックに対する前記スルー・ホールに充填された伝導性材料であって、前記スルー・ホールに充填された前記伝導性材料は、前記複数のグループのうちの1つの垂直に配列された電極の電極表面と接触している、前記伝導性材料と
を含む、積層チップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にチップの組み立てに関し、より具体的には複数のチップを組み立てる方法と、この方法で用いるためのチップ構造と、複数のチップを含む積層チップ構造とに関する。
【発明の概要】
【0002】
半導体デバイスの高性能化および高密度集積化への要求の高まりに応えて、将来のコンピュータ・システムの性能を改善するために、広帯域の信号伝送および短い配線長を可能にする3D集積技術が注目を集めている。
【0003】
スルー・シリコン・ビア(TSV:Through Silicon Vias)による3次元(3D:Three-dimensional)集積が広く研究開発されている。TSVによる3Dパッケージングの従来技術において、シリコン・ウェハを貫くように形成されたTSVは、銅(Cu)めっきによって充填され、次いでTSVを有するシリコン・ウェハがダイシングされて複数の個片化された半導体チップが得られ、最後に個片化されたチップは、積層されてTSVによって結合される。積層されたチップ間の相互接続は、一般的にはんだバンプ接合によって達成される。
【0004】
3Dチップ・アセンブリの製造プロセスにおいて、たとえチップが同じ機能を有していても(すなわち同種集積)、スルー・ホールの設計は各積層レベルに対して異ならせる必要があることがある。よってパッドの設計およびマスク・パターンは、各積層レベルに対し固有のものであり、結果的にパッド設計およびマスク・パターンのバリエーションをもたらす。よって、各積層レベルに固有の部品番号(P/N:part number)を割り当てる必要があるため、製造制御が複雑になる。加えて、各積層レベルに対する歩留まりが顕著に異なる場合、多くの余剰な部品が製造されることになり、それによって製造プロセスの効率が下がる。
【0005】
したがって、製造制御の複雑さを低減させてチップ・アセンブリ製造の効率を改善することが可能な新規のチップ組み立て技術が必要とされている。
【0006】
本発明の実施形態によると、複数のチップを組み立てる方法が提供される。この方法は、複数のチップ層を準備するステップを含み、各々のチップ層は、少なくとも1つのチップ・ブロックを含む。各チップ・ブロックは、同じ機能を割り当てられた複数の電極を含む。この方法は、重なり合うチップ・ブロックの少なくとも1つのスタックを構成するように回転を伴って複数のチップ層を順次積層するステップも含み、各スタックは、水平面におけるシフトを有する垂直に配列された電極の複数のグループを保持する。この方法はさらに、少なくとも1つのグループについて、複数のチップ層に少なくとも部分的にスルー・ホールを形成し、そのグループの垂直に配列された電極の電極表面を露出させるようにするステップを含む。この方法はさらに、伝導性材料によってスルー・ホールを充填するステップを含む。
【0007】
本発明の実施形態による方法を用いることによって、チップ・アセンブリの製造制御を簡略化でき、かつチップ・アセンブリの製造効率を改善できる。積層レベルにかかわらず、チップ設計の種類、マスク設計、および部品番号の数を低減できるため、設計作業負荷、非反復的エンジニアリング・コスト、製造制御の複雑さ、および製造の無駄を低減できる。
【0008】
ある実施形態において、少なくとも1つのチップ・ブロックは回転対称の方式で配置されたチップ・ブロックのアレイを含み、複数のチップ層の積層は、1つのチップ層のアレイ内の各チップ・ブロックが他のチップ層のアレイ内の対称的に位置するチップ・ブロックと重なり合うようにして行われ、重なり合うチップ・ブロックの少なくとも1つのスタックは、重なり合うチップ・ブロックのスタックのアレイを含む。これによって、製造制御の複雑さを少なくし、かつ製造効率を高めて複数のチップ・アセンブリを一度に製作できる。
【0009】
本発明の特定の実施形態において、複数のチップ層の積層は、1つ以上の絶縁接着層によって複数のチップ層を結合するステップを含み、ここで重なり合うチップ・ブロックの各スタックは、1つ以上の絶縁接着層各々の対応部分を保持する。
【0010】
本発明の別の特定の実施形態において、1つ以上の絶縁接着層のうち少なくとも2つの各対応部分は、形成されるべきスルー・ホールの一部としての開口部を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態において、各電極表面はホール形成に対するストッパとして働くように構成され、かつ複数のチップ層を貫通するスルー・ホールの中心部分の形成を可能にする形状を有し、このスルー・ホールの中心部分は、いずれの電極表面によってカバーされない部分である。これによって、たとえ積層前に単一マスク設計によって絶縁接着層に開口部が形成されても、絶縁接着層から除去される空間におけるスルー・ホール内の残余空隙の発生が最小限となり得る。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、アレイの配置の回転対称はn回回転対称であり、1つのチップ層を他のチップ層に積層するステップにおいて行われる各回転は、積層のベース位置に関するアレイの中心周りの360/n*i(i=1,…,n-1)度の回転であり、チップ層の数はnであり、各チップ・ブロックは平面充填の単位形状を有し、スルー・ホールはnまたはn-1チップ層を通るように形成される。
【0013】
本発明の別の実施形態において、nは4であり、各チップ・ブロックは正方形の形状を有する。これによって、設計ツール、リソグラフィ・ツールおよびダイシング・ツールを矩形以外の特殊形状に適合させる必要がなくなる。標準的な設計ツール、リソグラフィ・ツールおよびダイシング・ツールを任意の適合化なしに使用できる。
【0014】
本発明の別の実施形態において、複数の積層アセンブリを得るために、複数のチップ層の準備と、複数のチップ層の積層と、スルー・ホールの形成とが繰り返し行われる。スルー・ホールが各積層アセンブリを部分的に貫通するように、スルー・ホールの形成が行われる。この方法はさらに、積層アセンブリのスルー・ホールが互いに連絡するようにして複数の積層アセンブリを積層するステップを含む。積層された複数の積層アセンブリに対して、スルー・ホールの充填が一度に行われる。代替的には、複数の積層アセンブリを得るために、複数のチップ層の準備と、複数のチップ層の積層とが繰り返し行われる。この方法はさらに、並進シフトを伴って複数の積層アセンブリを積層するステップを含む。複数の積層アセンブリに対して、スルー・ホールの形成およびスルー・ホールの充填がそれぞれ一度に行われる。これによって、積層レベルの数を2倍および3倍などにできる。
【0015】
本発明の別の実施形態において、準備された各チップ層はウェハまたはパネルの形を有し、この方法はさらに、複数のチップ層をダイシングして複数のチップ・アセンブリにするステップを含み、各チップ・アセンブリは、重なり合うチップ・ブロックの各スタックに対応する。チップ・レベルの代わりにウェハまたはパネル・レベルにおいて相互接続が確立され得る。
【0016】
本発明のさらなる実施形態において、スルー・ホールの形成はエッチングもしくはレーザ処理またはその両方によって行われ、スルー・ホールの充填はIMS(射出成形はんだ付け(Injection Molded Soldering))技術によって行われる。これによって、製造コストをさらに低減できる。伝導性材料の合金組成物の柔軟性およびピッチの狭小化に対応できる能力を得ることができる。たとえ層の数が増えて、それに従ってスルー・ホールのアスペクト比が高くなっても、適用可能である。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、各チップ・ブロックは半導体デバイスまたは薄膜電池を有する。
【0018】
本発明の他の実施形態によると、チップ構造が提供される。チップ構造は少なくとも1つのチップ・ブロックを含むチップ層を含み、各々のチップ・ブロックはチップ層を貫くビア・ホールの形成が可能な複数の区域を有する。チップ構造は、各チップ・ブロックに対する区域のそれぞれの位置に置かれた複数の電極をも含む。複数の電極には同じ機能が割り当てられ、かつそれぞれの電極表面は、別の1つの電極表面にチップ・ブロックの中心周りの回転操作が加えられた場合に水平面におけるシフトを伴ってその別の1つの電極表面に隣接するように各電極表面が構成されるように配置される。
【0019】
チップ構造は、複数のチップを組み立てるための任意の積層レベルの部品として用いられ得る。このチップ構造を用いることによって、チップ・アセンブリの製造制御を簡略化でき、かつチップ・アセンブリの製造効率を改善できる。積層レベルにかかわらず、チップ設計の種類、マスク設計、および部品番号の数を低減できるため、設計作業負荷、非反復的エンジニアリング・コスト、製造制御の複雑さ、および製造の無駄を低減できる。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によると、積層チップ構造が提供される。積層チップ構造は、重なり合うチップ・ブロックのスタックを形成するように回転を伴って積層された複数のチップ層を含む。各スタックの重なり合うチップ・ブロックの少なくとも2つは、スルー・ホールを形成するように互いに連絡するそれぞれのビア・ホールを有する。積層チップ構造は、重なり合うチップ・ブロックの各スタックに対して、同じ機能を割り当てられた垂直に配列された電極の複数のグループをも含む。各グループの垂直に配列された電極は、水平面におけるシフトを有するように配置される。積層チップ構造は、さらに、重なり合うチップ・ブロックの各スタックに対するスルー・ホールに充填された伝導性材料を含む。スルー・ホールに充填された伝導性材料は、1つのグループの垂直に配列された電極の電極表面と接触する。
【0021】
この積層チップ構造は、低コストであり、信頼性の高い接続性を伴って容易に製作される。
【0022】
本発明の技術を通じて、付加的な特徴および利点が実現される。本発明のその他の実施形態および態様が本明細書に詳細に記載され、請求される発明の一部とみなされる。
【0023】
本明細書の末尾の請求項において、本発明とみなされる主題を特定的に指摘し、明確に請求している。本発明の前述およびその他の特徴および利点は、添付の図面とともに得られる以下の詳細な説明から明らかである。なお、図面における構成要素および層のサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面の視認性を改善するために、これらの構成要素または層のいくつかは任意に拡大されて位置決めされている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)および
図1(D)は、本発明の実施形態による垂直導体を伴う場合および伴わない場合の積層半導体チップ・アセンブリを示す上面図および断面図である。
【
図2】
図2(A)、
図2(B)および
図2(C)は、チップ・アセンブリの1つの垂直導体の周りを示す拡大上面図および拡大断面図である。
【
図3】
図3(A)および
図3(B)は、垂直導体を伴わないチップ・アセンブリの1つの垂直導体の周りを示す拡大上面図および斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態によるチップ・アセンブリを製作するために使用され得る半導体ウェハを示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による複数の半導体ウェハを積層するやり方を示す図である。
【
図6】重なり合うチップ・ブロックの1つのスタックに注目して、ウェハを積層するやり方を示す図である。
【
図7】
図7(A)~
図7(H)は、本発明の実施形態による組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による垂直導体を伴わない積層ウェハ・アセンブリを示す上面図である。
【
図9】本発明の実施形態による積層ウェハ・アセンブリをダイシングして複数の積層半導体チップ・アセンブリにするやり方を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態によるスルー・ホールおよび電極の種々の設計を示す図である。
【
図11】本発明の特定の実施形態によるスルー・ホール内の空隙の発生を回避し得る技術を説明する図である。
【
図12】
図12(A)、
図12(B)および
図12(C)は、本発明の特定の実施形態による8層を有する積層半導体チップ・アセンブリに対する組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造を示す断面図である。
【
図13】本発明の別の特定の実施形態による8層を有する積層半導体チップ・アセンブリに対する代替的な組み立てプロセスを示す図である。
【
図14】
図14(A)および
図14(B)は、代替的な組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造を示す断面図である。
【
図15】
図15(A)、
図15(B)、
図15(C)および
図15(D)は、本発明の特定の実施形態による正三角形の形状を有する積層半導体チップ・アセンブリを製作するやり方を示す図である。
【
図16】
図16(A)および
図16(B)は、本発明の特定の実施形態による正六角形の形状を有する積層半導体チップ・アセンブリを製作するやり方を示す図である。
【
図17】
図17(A)および
図17(B)は、本発明の特定の実施形態による正六角形の形状による組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造を示す断面図である。
【
図18】
図18(A)および
図18(B)は、本発明の代替的実施形態による垂直導体を伴う積層半導体チップ・アセンブリを示す断面図である。
【
図19】
図19(A)、
図19(B)、および
図19(C)は、本発明の別の実施形態による垂直導体を伴う積層電池チップ・アセンブリを示す上面図および断面図である。
【
図20】
図20(A)~20(C)は、各積層レベルに対して特定的に設計された複数の電極レイアウトを伴う関連する組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以後、本発明の実施形態を説明することとするが、以下に記載される実施形態は、単なる例として言及されるものであり、本発明の範囲を限定することは意図されていないことが当業者に理解されるだろう。
【0026】
本発明による実施形態は、複数のチップを組み立てる方法と、この方法において用いるためのチップ構造と、この方法によって製作される積層チップ構造とに向けられたものであり、ここでは複数のチップが新規の方式で積層される。
【0027】
以後、一連の
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)および
図1(D)、
図2(A)、
図2(B)および
図2(C)、ならびに
図3(A)および
図3(B)を参照して、本発明の実施形態による積層チップ構造を説明することとする。この構造は、複数の半導体チップを含む積層半導体チップ・アセンブリ100である。
【0028】
図1(A)および
図1(B)は、それぞれ、積層半導体チップ・アセンブリ100の上面図および断面図を示している。なお、
図1(B)に示される断面図は、
図1(A)の上面図において「A」で示される断面に対応する。
【0029】
図1(A)および
図1(B)に示されるとおり、アセンブリ100は、順に積層された複数の半導体チップ層110と、複数の層110中に形成された複数の垂直導体130とを含む。複数の層110は、層間絶縁接着剤によって結合されてもよく、各々の層間絶縁接着剤は、上側および下側の層110の間に挟まれる。層間絶縁接着剤については、後でより詳細に説明することとする。
【0030】
各層110は、1つの半導体チップ(「ダイ」とも呼ばれる)に相当する。各層110は、たとえばシリコン、炭化ケイ素、サファイア、および化合物半導体(例えば、リン化ガリウム(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN))などの半導体材料でできている。
【0031】
複数の層110は、回転対称を有する同一形状を有してもよい。各層110の形状は、平面充填、より具体的には正平面充填の単位形状と同一である。1つ以上の特定の実施形態において、層110の形状は、正方形、正三角形または正六角形であってもよい。ある実施形態において、
図1(A)に示されるとおり、各層110は4回回転対称を有する略正方形の形状を有する。
【0032】
図1(A)および
図1(B)に示されるとおり、アセンブリ100内には4つの層110A~110Dがある。アセンブリ100内の層の数は、層110の形状の回転対称の位数に対応する。
【0033】
図1(B)に示される矢印の表記によって示されるとおり、複数の層110は、回転を伴って積層される。矢印の方向は、その矢印がラベル付けされた層110の参照の向きを表す。ベース位置(例、底部層110A)に対して各層110に適用される回転は、アセンブリ100(および層110)の中心周りの360/n*i(i=1,…,n-1)度の回転であり、ここでnは、層110の形状の回転対称の位数を示す。なお、アセンブリ100の中心は、2本の2点鎖線の対角線によって示されている。
図1(A)および
図1(B)に示されるとおり、nは4であり、回転の角度は、ベース位置(すなわち0度)に関してそれぞれ90、180、および270度である。
【0034】
垂直導体130は、複数の層110を相互接続する。各垂直導体130は、伝導性材料でできており、この伝導性材料は、金属、金属合金、もしくはその他の伝導性材料、またはその組み合わせを含んでもよい。本発明の実施形態において、伝導性材料は、はんだであり、このはんだは柔軟に調整されたはんだ合金組成物によるIMS(射出成形はんだ付け)技術によって容易に製作され得る。各垂直導体130は、
図1(B)に示されるとおりの段構造を有する。
【0035】
垂直導体130は、複数のグループに分けられる。複数のグループの各々には異なる機能(識別子「Px」で示され、ここで、xは、機能のインデックスを示す)が割り当てられてもよい。同じグループにおける複数の垂直導体130には同じ機能が割り当てられる。なお、特定の垂直導体に割り当てられた機能とは、その特定の垂直導体130によって提供される相互接続の役割を意味する。たとえば、接地(GND:ground)、電源(VCC)および特定の入力/出力信号は、機能の種類である。
【0036】
図1(A)および
図1(B)に示されるとおり、垂直導体130のグループ数は2であり、これは各層110について相互接続されるべき機能の数に対応する。各グループ(すなわち各機能)における垂直導体130の数は4であり、これは回転対称の位数に対応し得る。つまり、ここには2グループの垂直導体があり、そこに含まれる第1のグループの4つの垂直導体130-P1I、130-P1II、130-P1III、130-P1IV(
図1(A)において破線の輪に囲まれている)には機能「P1」が割り当てられ、第2のグループの4つの垂直導体130-P2I、130-P2II、130-P2III、130-P2IV(
図1(A)において鎖線の輪に囲まれている)には機能「P2」が割り当てられている。
【0037】
アセンブリ100の上面は、複数の領域に分割でき、そのそれぞれに異なる機能を有する垂直導体130の1セットが製作されている。領域の数は、回転対称の位数に対応する。
図1(A)および
図1(B)に示されるとおり、ここには2本の2点鎖線の対角線によって区切られた4つの領域(I、II、III、IV)があり、各々の領域は、異なる機能(P1、P2)を有する複数の垂直導体130の1つのセットを有する。なお、区切られた領域が、層110の形状と同じ回転対称を有する限り、アセンブリ100の表面を区切るやり方は限定されない。
【0038】
垂直導体130のレイアウトも、層110の形状と同じ回転対称を有する。より具体的には、
図1(A)の点線の曲線矢印で示されるとおり、各グループまたは機能の垂直導体(例、130-P1I、130-P1II、130-P1III、130-P1IV)の位置と、異なる機能を有する垂直導体130間の相対的位置関係(例、130-P1yおよび130-P2y(y=I,II,III,IV)の幾何学的配列)とは同じ回転対称を有する。
【0039】
なお、
図1(A)~1(B)に示されるグループの数および機能の数は例であり、特定の値(すなわち2)に限定されない。グループの数および機能の数は、半導体チップ110の仕様に依存し得る。本発明の他の特定の実施形態においては、2より多いグループおよび機能が存在してもよい。
【0040】
図1(C)および
図1(D)は、垂直導体130が透過的に示された場合のアセンブリ100の上面図および断面図をそれぞれ示している。なお、
図1(D)に示される断面図は、
図1(C)に示される上面図において「A」で示される断面に対応する。
【0041】
図1(C)および
図1(D)に示されるとおり、アセンブリ100は、さらに、各垂直導体130について、層110の表面上に形成された複数の電極(パッドとも呼ばれる)112と、スルー・ホール128とを含み、
図1(C)の上面図においてはこのスルー・ホール128を通じてこれらの電極112の表面を見ることができる。「スルー」ホール128とは、少なくとも1つのチップ層110を貫通する穴のことである。スルー・ホール128は、複数の層110全体を貫通する必要はない。なお、異なるレベルの電極表面が、異なるハッチングで示されている。各電極112は、金属材料(例、Cu、Alなど)およびその他の伝導性材料のうちの任意のものでできていてもよい。
【0042】
図1(C)および
図1(D)に示されるとおり、各垂直導体130についての電極112の数は、4であり、これは層110の形状の回転対称の位数に対応する。よって、
図1(C)の上面図においては、垂直導体130の各位置に4つの電極112A~112Dの電極表面を見ることができる。なお、特定の垂直導体130-P1IVに対する電極の1つの代表的グループのみに番号をラベル付けしている。
【0043】
図1(C)に示されるとおり、これら4つの電極112A~112Dは、1グループの垂直に配列された電極140(より具体的には、垂直導体130-P1IVに対応しているのでグループ140-P1IV)を構成する。
図1(C)に示されるとおり、垂直導体130の伝導性材料が存在しないと想定した場合に、垂直に配列された電極112A~112Dすべての電極表面が上部から少なくとも部分的に見えるように、垂直に配列された電極112A~112Dは水平面において互いにシフトされている。
図1(D)に示されるとおり、垂直に配列された電極112A~112Dの各電極表面は、底部または段を提供し、結果的に階段状の構造をもたらしている。
【0044】
なお、「垂直」という用語は、アセンブリ100(および層110)の主面(上面または裏面)に対して垂直の方向と定義され、これは積層方向と一致する。垂直方向は、
図1(B)および
図1(D)において「Z」でラベル付けされた矢印によって示される。「水平」という用語は、垂直方向に対して直角を成す平面内の方向と定義され、これはアセンブリ100(およびチップ層110)の主面の平面と一致する。水平面は、
図1(A)および
図1(C)において「X」および「Y」とラベル付けされた矢印によって表される。
【0045】
さらに、グループ140における垂直に配列された電極112A~112Dの電極表面は、水平面において一周するように配置される。垂直導体130とは対照的に、各機能に対する垂直に配列された電極(例、グループ140-P1I、140-P1II、140-P1III、140-P1IV)の幾何学的配列は、層110の形状と同じ回転対称を有さず、
図1(C)における破線矢印で示されるとおりの水平面における並進対称を有する。
【0046】
なお、記載される本発明の実施形態においては、各機能に対して4つの垂直導体130-PxI~IV(例、x=1,2)が存在し、垂直導体130は、垂直に配列された電極の全グループ140-Pxy(x=1,2;y=I,II,III,IV)のそれぞれの位置に置かれている。しかし、本発明の他の実施形態においては、各機能(例、Px;x=1,2)に対して少なくとも1つの垂直導体130-Pxy(例、y=I、II、III、およびIVのうちの少なくとも1つ)が存在する。
【0047】
図2(A)は、アセンブリ100の1つの垂直導体130の周りの拡大上面図を示している。4つの垂直に配列された電極112A~112Dの電極表面の輪郭は、それぞれ2点鎖線(112A)、鎖線(112B)、破線(112C)および点線(112D)で表されている。
【0048】
積層の配置精度を考慮して、各電極112のサイズは、スルー・ホール128(および垂直導体130)のサイズの1/nよりもわずかに大きい。
図2(A)に示されるとおり、垂直に配列された電極112A~112Dは、各電極表面が水平面において垂直に配列された電極112A~112Dの他のものと隣接し、他のものから少なくとも部分的にシフトされ、かつ重なり合うように配置される。たとえば、電極112Aは、電極112B、112Dと隣接し、電極112B、112Dと部分的に重なり合い、かつ、水平面のそれぞれの方向に沿って両方の電極112B、112Dからわずかにシフトされている。同じことが他の電極112B~112Dにも当てはまり得る。
【0049】
図2(B)および
図2(C)は、アセンブリ100の1つの垂直導体130の周りの拡大断面図を示している。なお、
図2(B)および
図2(C)に示される断面図は、それぞれ
図2(A)に示される上面図において「B」および「C」で示される断面に対応する。加えて、対応する断面と交差しない構成要素についても、こうした構成要素の輪郭が、点線および破線などの実線以外の線によって示されていることに留意されたい。
【0050】
より具体的には、「C」および「B」で示される断面において交差する垂直導体130の輪郭は、それぞれ
図2(B)および
図2(C)の断面図において点線130aで示されている。「C」で示される断面において交差する電極112A、112Bの輪郭は、
図2(B)の断面図において鎖線および2点鎖線で示されている。「B」で示される断面において交差する電極112C、112Dの輪郭は、
図2(C)の断面図において破線および点線で示されている。
【0051】
図2(B)および
図2(C)に示されるとおり、アセンブリ100は、1つ以上の層間絶縁接着剤102B~102Dをさらに含んでもよく、各々の層間絶縁接着剤102B~102Dは、上側および下側の層間(110A-110B,110B-110C,110C-110D)に挟まれている。各層間絶縁接着剤102は、たとえばPI(ポリイミド(polyimide))、BCB(ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene))、ポリベンゾオキサゾール(PBO:polybenzoxazole)、またはその他のポリマーなどの絶縁樹脂のうちの任意のものでできていてもよい。
【0052】
垂直に配列された電極112A~112Dは、複数の層110の表面のそれぞれのレベルに位置する。垂直に配列された電極112A~112Dは、それぞれの電極表面を有し、各々の電極表面は、垂直導体130と接触する。
【0053】
図2(B)および
図2(C)に示されるとおり、垂直導体130は、少なくとも部分的に層110A~110Dを貫通する。記載される本発明の実施形態において、垂直導体130が形成される層の数はnであり、これは回転対称の位数に対応する。
【0054】
図3(A)および
図3(B)は、垂直導体130が透過的に示された場合のアセンブリ100の1つの垂直導体130周りの拡大上面図および斜視図をそれぞれ示している。
【0055】
図3(A)および
図3(B)に示されるとおり、垂直に配列された電極112A~112Dの電極表面は、複数の層110A~110Dに関するそれぞれのレベル、より具体的には複数の層110A~110Dの表面のレベルにおいて、螺旋状(spirally or helically)に配置されており、結果的に螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造をもたらしている。
【0056】
図3(B)に示されるとおり、複数の層110A~110Dは、それぞれ自身を貫くように形成されたビア・ホール128A~128Dを有する。複数の層110A~110Dのビア・ホール128A~128Dは、互いに重なり合って連絡しており、異なるホール形状を有し、螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造を有するスルー・ホール128を形成するようになっている。垂直に配置された電極112A~112Dの電極表面は、スルー・ホール128内で露出されている。
【0057】
なお、一連の
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)および
図1(D)、
図2(A)、
図2(B)および
図2(C)、ならびに
図3(A)および
図3(B)に示されるとおり、層110の数は4である。しかし、層110の数は限定されなくてもよい。本発明の特定の実施形態において、層110の数は、mにnを乗じたものであってもよく、ここでmは、1ユニットがn層を含むと想定したときのユニット数を表し、電極表面は、このn層によって水平面においてスルー・ホール128の中心周りを一周する。mが2以上である場合は、上部からすべての垂直に配列された電極の電極表面が見られないだろう。この場合は、垂直導体130の伝導性材料および上側のユニット(単数または複数)が存在しないと想定した場合に、各ユニットに対するすべての垂直に配列された電極112の電極表面が上部から少なくとも部分的に見えるように、垂直に配列された電極112が配置される。
【0058】
加えて、たとえばアセンブリ100が積層されるベース基板、アセンブリ100が搭載されるマザー・ボード、およびアセンブリ100上に形成される表面配線層など、その他の構造または機能構成要素が存在してもよいことに留意されたい。
【0059】
アセンブリ100は、ウェハ・ツー・ウェハの積層プロセスを用いて組み立てられ得る。ウェハ・ツー・ウェハの積層プロセスにおいては、複数の半導体ウェハが整列されてから結合され、その後個々のチップ・スタックの個片化が行われる。
【0060】
図4は、アセンブリ100の製作に用いられ得る半導体ウェハ250の概略を示している。
図4に示されるウェハ250は、本発明の実施形態によるチップ構造に対応する。
【0061】
図4に示されるとおり、ウェハ250は、半導体チップ・ブロック210のアレイを含み、各々の半導体チップ・ブロック210は、個片化後に組み立てられてアセンブリ100となる1つの半導体チップまたはダイに相当する。なお、
図4に示されるウェハ250は、適切な厚さを有するように、たとえばバックグラインディングなどの適切な薄化プロセスを受けていてもよい。ウェハ250は、
図1(B)および
図1(D)に示される各層110に相当するが、単一のチップ・ブロックを含む代わりに新規の方式で配置された複数のブロック210を含んでいる。
【0062】
アセンブリ100および層110と同様に、アレイのブロック210は、回転対称を有する同一形状を有するように設計される。各ブロック210の形状は、平面充填、より具体的には正平面充填の単位形状と同一であり、それは正方形、正三角形、および正六角形を含む。本発明の実施形態において、
図4に示されるとおり、各ブロック210は、4回回転対称を有する略正方形の形状を有する。なお、ブロック210の形状は、個片化の前にはまだ実際に成形されていない。しかし、その形状は、ブロック210の集積回路パターンに出現している。
【0063】
アレイは2次元である。
図4に示されるとおり、簡便のためにアレイの列数および行数はどちらも4である。よって、ここには16のブロック210-ij(i=1,2,3,4;j=1,2,3,4)がある。しかし、アレイのサイズは4×4に限定されない。本発明の他の実施形態において、アレイがアレイの中心周りでブロック210の形状と同じ回転対称を提供する限り、アレイのサイズは1×1、2×2、3×3、6×6、8×8、および16×16などであってもよい。なお、アレイの中心は2本の交差する鎖線によって示されている。
【0064】
図4には、代表的なブロック210の上面図および底面図も示されている。各ブロック210は、それぞれウェハ250を貫くビア・ホールの形成が可能にされた複数の区域214を有する。
【0065】
各ブロック210は、さらに、区域214のそれぞれの位置に形成された複数の電極212を含む。複数の電極212は、複数のグループ(例、破線の輪222-P1に囲まれたP1)に分けられ得る。電極212の各々のグループに異なる機能が割り当てられてもよく、同じグループの複数の電極212には同じ機能が割り当てられる。よって、
図4に示される本発明の特定の実施形態においては、各機能に対して4つの電極212、合計8つの電極が存在する。なお、簡便のために、たとえば配線金属などのその他の伝導性パターンは図面から省略されている。しかし、電極212が形成されていない区域214の残余部には任意の伝導性パターンが入らないようにされ得ることに留意されたい。加えて、電極212以外の伝導性パターンは、任意の対称性を有する必要がないことに留意されたい。
【0066】
アセンブリ100と同様に、各ブロック210の上面および底面を複数の領域に分割でき、そのそれぞれに異なる機能に対するビア・ホール区域(例、214-P1I、214-P2II)の1セットが準備される。領域の数は、ブロック210の形状の回転対称の位数に対応する。
図4に示されるとおり、ここには2点鎖線の対角線によって区切られた4つの領域(y=I,II,III,IV)がある。なお、区切られた領域がブロック210の形状と同じ回転対称を有する限り、ブロック210の表面を区切るやり方は限定されない。
【0067】
ビア・ホール区域214のレイアウトも、ブロック210の形状と同じ回転対称を有する。より具体的には、各機能のビア・ホール区域214の位置、および異なる機能を有するビア・ホール区域214間の相対的位置関係も、ブロック210の形状と同じ回転対称を有する。これに対して、各機能に対する電極212の電極表面の位置は、
図1(B)に示される垂直に配列された電極112A~112Dの幾何学的配列と同様の並進対称を有する。
【0068】
図4には示されていないが、ウェハ250は自身の上面または底面に形成された絶縁接着層をさらに含んでもよく、この絶縁接着層はその後の積層プロセスに用いられてもよい。絶縁接着層は、ブロック210のアレイに対応する複数の部分に分割され得る。
【0069】
本発明の1つの特定の実施形態において、積層後に絶縁接着層のスルー・ホール区域が除去される場合、絶縁接着層の各部分は平坦な形を有してもよい。本発明の別の特定の実施形態において、積層前に絶縁接着層のスルー・ホール区域が除去される場合、絶縁接着層の各部分はビア・ホール区域214の位置に置かれた複数の開口部を有してもよい。
【0070】
図5は、ウェハ250を積層するやり方を示している。ウェハ積層レベルにかかわらず、
図4に示されるウェハ250が用いられ得る。
図5においてウェハ250の向きを表すそのノッチによって示されるとおり、アセンブリ100の製作プロセスの際に、ウェハ250A~250Dは、回転を伴いながら順次積層される。なお、積層ウェハ250A~250Dの裏側からスルー・ホールが形成されるため、
図5における各半導体ウェハ250は
図4と比べて上下逆に示されている。
【0071】
図5において、各四分円の4つのブロック210には文字「A」、「B」、「C」、および「D」がそれぞれラベル付けされている。4つの四分円において同じ文字を与えられたブロック210は、アレイの中心周りの回転対称の関係を有する。
図5に示されるとおり、アレイの中心周りの回転操作が加えられたときに各ブロック(1つの四分円において文字「A」、「B」、「C」、または「D」を与えられたもの)が他の対称的に位置するブロック(他の四分円において同じ文字を与えられたもの)と重なり合うように、各ウェハ250に対するブロック210は回転対称の方式で配置される。
【0072】
よって、1つのウェハの各ブロック210(例、210B-41)が他のウェハの対称的に位置するブロック210(例210A-11)と重なり合うようにして、1つのウェハ(例、250B)と他のウェハ(例、250A)との積層を行うことができる。
【0073】
ベース位置(例、底部ウェハ250A)に関するアレイの中心周りの回転操作は、アレイの中心周りの360/n*i(i=1,…,n-1)度の回転であり、ここでnは回転対称の位数を示す。
図5に示されるとおり、nは4であり、回転の角度はベース位置(すなわち0度)に関してそれぞれ90、180、および270度である。
【0074】
適切な回転操作(90、180、270度)を伴いながらウェハ250A~250Dを積層することによって、アレイにおける各要素の位置に対して異なるウェハ・レベルの4つのチップ・ブロック(例、210A-11、210B-41、210C-44、210D-14)が重なり合って積層され、結果的に重なり合うブロック210のスタックのアレイがもたらされる。
【0075】
図6は、重なり合うブロック210A-11、210B-41、210C-44、210D-14を含む1つのスタック200に注目して、ウェハ250を積層するやり方を示している。
【0076】
図6には、積層ウェハ・アセンブリ260全体の上面図と、重なり合うブロック210A-11、210B-41、210C-44、210D-14の各々の上面図とが示されている。なお、電極は各々の重なり合うチップ・ブロック210の裏面に形成されるため、電極の輪郭は点線で示されている。
【0077】
図6に示されるとおり、アレイの中心周りの回転操作に応答して、各ブロック210の向きはあたかも自身の中心周りの回転操作を受けたかのように回転する。よって、アレイ内のすべての要素の位置に注目すると、積層ウェハ・アセンブリ260内には相対的回転角度を有して重なり合うブロックのスタック200のアレイが構成されている。各スタック200は、
図1(A)~1(D)に示されるアセンブリ100に相当する。
【0078】
図6にはさらに、重なり合うブロック210のスタック200の上面図が示されている。アセンブリ100と同様に、スタック200の上面および底面も複数の領域に分割され得る。ここには2点鎖線対角線によって区切られた4つの領域(I、II、III、IV)があり、各々の領域は、異なる機能(P1、P2)を有する垂直に整列された電極210のグループの1セットを有する。
【0079】
各スタック200は、水平面においてシフトされた垂直に配列された電極212A~212Dの複数のグループ270(より具体的には、電極212A-P1I、212B-P1IV、212C-P1III、212D-P1IIからなるグループ270-P1I)を保持する。
【0080】
よって、
図6とともに
図4を参照すると、
図4に示される各ブロック210について、複数の電極212は、別の1つの電極表面(例、212-P1IV)にブロック210の中心周りの回転操作が加えられた場合に各電極表面(例、212-P1I)が水平面における特定のシフトを伴って該別の1つの電極表面(212-P1IV)に隣接するように構成されるように配置される。アレイの中心周りの回転操作に応答して、各電極212の位置は、あたかも自身がビア・ホール区域214の中心周りの回転操作を受けたかのように回転する。
【0081】
図6には示されていないが、ブロック210の各スタック200は、ブロック210の間に挟まれた1つ以上の絶縁接着層の各々の対応部分をさらに保持してもよく、各々の絶縁接着層は、隣接する2つのチップ・ブロック210を結合する。プロセス・フローに依存して、絶縁接着層の各部分は、平坦な形または複数の開口部を有し得る。
【0082】
一連の
図7(A)~7(H)を参照して、本発明の実施形態による積層半導体チップ・アセンブリを製作するための組み立てプロセスを説明する。
図7(A)~7(H)は、組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造の断面図を示している。なお、
図7(A)、
図7(C)、
図7(E)および
図7(G)(左手側)ならびに
図7(B)、
図7(D)、
図7(F)および
図7(H)(右手側)は、
図2(A)において「B」および「C」の表示によって示されるものと類似の異なる断面に対応する断面図である。
【0083】
図7(A)および
図7(B)を参照すると、組み立てプロセスは、
図4に示されるウェハ250A~250Dを準備するステップを含み、各々のウェハ250は、ブロック210のアレイを含む。各ウェハ250は、自身の表面に形成された電極212を有してもよい。
【0084】
図7(C)および
図7(D)を参照すると、組み立てプロセスは、
図5および
図6に記載される重なり合うブロック210のスタック200のアレイを構成するように回転を伴ってウェハ250A~250Dを順次積層するステップも含む。電極212Bが形成された上側ウェハ(例、250B)の上面が下側ウェハ(例、250A)の裏面に結合されるように、下側ウェハ(例、250A)の上に上側ウェハ(例、250B)が置かれる。
図6を参照して説明したとおり、各グループの垂直に配列された電極(212A-P1I、212B-P1IV、212C-P1III、212D-P1II)の電極表面が水平面において一周するように配置されるように、ウェハ250の積層のステップが行われてもよい。
【0085】
図7(C)および
図7(D)をさらに参照すると、組み立てプロセスは、ウェハ250A~250Dをそれらの間に挟まれた1つ以上の層間絶縁接着層202B~202Dによって結合するステップを含んでもよい。本発明の特定の実施形態において、絶縁接着剤は上側ウェハ(例、250B)の上面に塗布され、次いで開口部を含んでも含まなくてもよい絶縁接着層(例、202B)を有する上側ウェハ(例、250B)が下側ウェハ(例250A)の上に置かれ、その後硬化される。
【0086】
図7(E)および
図7(F)を参照すると、組み立てプロセスは、ウェハ250A~250Dに少なくとも部分的にスルー・ホール228を形成し、垂直に配置された電極212A~212Dの電極表面を露出させるようにするステップを含む。スルー・ホール228を形成するステップは、エッチング(例、反応性イオン・エッチング(RIE:reactive ion etching)またはその他のドライ・エッチング技術)もしくはレーザ処理またはその両方によって行われる。
【0087】
積層前の絶縁接着層202がスルー・ホール228のための開口部を有さないような本発明の1つの特定の実施形態において、ウェハ250A~250Bおよび絶縁接着層202B~202Dは、レーザ処理によって効率的に穿孔され得る。絶縁接着層202B~202Dが複数の開口部を有し得るような本発明の別の特定の実施形態において、ウェハ250は、エッチングによって効率的に穿孔され得る。ホール形成の際に、各電極212A~212Dの電極表面は、ホール形成に対するストッパとして働くように構成される。
【0088】
図7(G)および
図7(H)を参照すると、組み立てプロセスは、伝導性材料230によってスルー・ホール228を充填するステップを含む。スルー・ホール228を充填するステップは、各スルー・ホールに充填される伝導性材料230が垂直に配列された電極212A~212Dのそれぞれの電極表面と接触するように行われてもよい。スルー・ホール228を充填するステップは、IMS(射出成形はんだ付け)技術によって行われてもよい。
【0089】
IMSプロセスにおいては、アセンブリ260の表面を横断する充填ヘッドを用いることによって、真空または減圧条件下で、溶融はんだがスルー・ホール228に注入され、スルー・ホール228内で凝固する。充填ヘッドは、溶融はんだのリザーバと、溶融はんだがスルー・ホール228に注入されるときに通過するスロットとを含む。
【0090】
より具体的には、スルー・ホール228を充填するステップは、複数のサブステップを含んでもよい。
図7(E)および
図7(F)に示されるとおり、ホール形成ステップの後に、ウェハ250に対して正面方向から見た場合に、スルー・ホール228を通じてすべての電極212A~212Dを見ることができる。複数の層250A~250Dにスルー・ホール228を開ける際に、ウェハ250の側壁を絶縁するようにスルー・ホール228の内表面を絶縁材料(例、ポリマー)でコートしてもよい。絶縁材料のコーティングは、たとえば蒸着重合などの従来の技術を用いて行われ得る。
【0091】
次いで、電極表面を露出するように、電極212A~212Dの上に堆積された絶縁材料の部分が従来の異方性エッチングによってエッチ・バックされてもよい。このとき、スルー・ホール228は、複数のセクションを有してもよく、各々のセクションは、各ウェハ250に対応し、対応する電極(例、上側電極212B~212D)を露出するテラスか、または対応する電極(例、底部電極212A)を露出する内側底面を有する。
【0092】
垂直導体を形成するために、スルー・ホール228に伝導性材料230が充填される。なお、充填ステップは、射出成形はんだ(IMS)によって行われ得る。この場合には、高価なCMP(化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing))を行う必要がない。IMSはコスト効率が高い。しかし、めっきまたはその他の技術も企図され得る。充填ステップがめっきによって行われる他の実施形態においては、シード・スパッタリング、ビア充填めっき、およびCMPによる表面に堆積された伝導性材料の除去が続いて行われる。垂直導体130を形成するために、ホール228の内表面に対するビア充填めっきプロセスによって伝導性材料が堆積され得る。
【0093】
充填または堆積ステップの後、上から見た場合に垂直導体230を見ることができ、一方ですべての電極212A~212Dは伝導性材料によって被覆される。
【0094】
図7(E)~7(H)に示されるこうした螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造は、積層チップ・アセンブリ100が垂直導体230と複数の層250A~250Dの複数の電極212A~212Dとの間に信頼性の高い接触を有することを可能にするだろう。
【0095】
図8は、垂直導体230が透過的に示されたときのアセンブリ260の上面図を示している。
図8に示されるとおりのウェハ(またはパネル)の形の重なり合うチップ・ブロック210のスタック200のアレイを有するアセンブリ260は、製造チェーンにおいて次のステップに提供されてもよい。
【0096】
図9は、アセンブリ260をダイシングするやり方を示している。
図9に示されるとおり、組み立てプロセスはさらに、アセンブリ260をダイシングして複数のアセンブリ100にするステップを含んでもよく、各々のアセンブリ100は、
図6に示される重なり合うブロック210の1つのスタック200に相当する。
【0097】
ブロック210が任意の余分な水平シフトなしに積層されるため、ダイシング・チャネルDの幅を単一ウェハと同程度に最小化できることによって、ウェハ250の面積をできる限り有効に使用することが可能になる。ウェハ当りのチップ数(CPW:chips per wafer)が増加するため、チップ・アセンブリ100の製作コストは下がるだろう。
【0098】
なお、ダイシングのやり方は各個々のチップ・ブロック210の形状に依存してもよい。nが4であって各チップ・ブロックが正方形の形状を有するとき、ダイシング・ツールは矩形の形状以外の特殊な形状に適合される必要はない。任意の特定の適合化なしに、標準的なダイシング・ツールが用いられ得る。
【0099】
本発明の他の実施形態において、ダイシング・ステップによってアセンブリ260から個片化されたアセンブリ100は、製造チェーンにおいて次のステップに提供され得る。
【0100】
図10を参照すると、本発明の実施形態によるスルー・ホールおよび電極のさまざまな設計が示されている。
図10には、4つの例示的な設計300、320、340、360と、垂直導体が透過的に示されたときにスルー・ホールを通じて見られる電極表面の配置を示す、対応する上面
図310、330、350、370とがある。
【0101】
第1の例示的設計300および上面
図310は、n=4である本発明の前述の特定の実施形態に対応している。スルー・ホール302および電極304は、どちらも正方形の形状を有する。電極304は、部分的にスルー・ホール302内に形成され、積層の配置精度を考慮してスルー・ホール302のサイズの1/4よりもわずかに大きいサイズを有してもよい。スルー・ホール302の全体は、電極304A~304Dの少なくともいずれかによってカバーされている。
【0102】
第2の例示的設計320および上面
図330は、n=4である変形を示している。スルー・ホール322および電極324はどちらも正方形の形状を有するが、その角が丸められるか、または切り取られている。この電極324もスルー・ホール322のサイズの1/4よりもわずかに大きいサイズを有してもよい。スルー・ホール322の全体は、電極324A~324Dの少なくともいずれかによってカバーされている。
【0103】
第3の例示的設計340および上面
図350は、他の変形を示している。スルー・ホール342および電極344はどちらも円形の形状を有する。電極344はスルー・ホール342のサイズの1/4よりもわずかに大きいサイズを有してもよい。スルー・ホール342の全体は、電極344A~344Dの少なくともいずれかによってカバーされている。
【0104】
第4の例示的設計360および上面
図370は、別の変形を示している。スルー・ホール362および電極364はどちらも中空の円形の形状を有する。この電極344もスルー・ホール342のサイズの1/4よりもわずかに大きいサイズを有してもよい。前述の設計300、320、および340とは対照的に、スルー・ホール362の中心部分366は、電極364A~364Dのいずれにもカバーされていない。
【0105】
図10に示されるとおり、スルー・ホールもしくは電極またはその両方の形状は、特定の形状に限定されない。その形状は、円形またはn回回転対称(例、n=4のときは90度)を有するその他の多角形であり得る。加えて、電極の形状も正方形に限定されない。しかしすべての場合に、垂直に配列された電極304A~304D、324A~324D、344A~344D、364A~364Dの電極表面は水平面において一周するように、すなわち360度をカバーするように配置される。
【0106】
上記のとおり、絶縁接着層に開口部を形成するやり方に関しては、主に2つの場合がある。1つは、積層ステップの前に絶縁接着層202に開口部を製作する場合である。別のものは、積層ステップの後に絶縁接着層202のビア・ホール区域の除去が行われる場合である。
【0107】
積層の前に除去が行われる前者の場合には、円形に基づくという点で設計360と類似の第3の例示的設計340と比べて、第4の例示的設計360が使用され得る。以下に説明されることとなるとおり、第4の例示的設計360は、空隙の発生を低減できるという点で第3の例示的設計340より優れている。
【0108】
以下においては、
図10とともに
図11を参照して、本発明の特定の実施形態によるスルー・ホール内の空隙の発生を回避し得る技術を説明することとする。
【0109】
図11には、各々の例示的設計340、360について、電極配置の上面図と、1つの垂直導体の周りの2つの断面図とがある。左手側の断面図は「L」によって示される断面に対応し、一方で右手側の断面図は「R」によって示される断面に対応する。
【0110】
例示的設計340に対して、4つのウェハ352A~352Dと、各々が各ウェハ352の表面に形成されている4つの電極344A~344Dと、ウェハ352A~352Dの間に挟まれた3つの絶縁接着層354B~354Dと、4つのウェハ352A~352Dを貫通する垂直導体358とが存在する。
【0111】
図11に示されるとおり、絶縁接着層354のビア・ホール部分の除去は、積層前に行われるため、絶縁接着層354B~354D内には除去スペース356B~356Dがある。たとえホール充填プロセスが真空または減圧条件下で行われても、こうした除去スペース356はホール充填プロセスの間に空隙の発生を誘発し得る。
【0112】
例示的設計360に対しても、4つのウェハ372A~372Dと、各々が各ウェハ372の表面に形成されている4つの電極364A~364Dと、ウェハ372A~372Dの間に挟まれた3つの絶縁接着層374B~374Dと、4つのウェハ372A~372Dを貫通する垂直導体378とが存在する。
【0113】
例示的設計340とは対照的に、垂直導体378は中心部分において4つのウェハ372A~372Dを完全に貫通している。上述のとおり、各電極表面364A~364Dはホール形成に対するストッパとして働く。しかし電極表面364は、複数のウェハ372A~372Dを貫通する垂直導体370の中心部分378a(およびスルー・ホール377の中心部分377a)の形成を可能にする形状を有する。中心部分378a(および377a)は、いずれの電極表面によってもカバーされていない部分である。
【0114】
絶縁接着層374B~374Dにも除去スペース376B~376Dが存在する。しかし、例示的設計340とは対照的に、除去スペース376B~376Dの長さ(深さ)が短くなり得る。よって、ホール充填プロセスの際の空隙の発生が減ることが期待される。
【0115】
スルー・ホール377の位置にある絶縁接着層374の部分が積層前に除去される場合は、接着開口部の形状を各レベルにおいて最適化できる。しかしこうした場合には、各積層レベルに対して異なるマスクを準備する必要があり、製造プロセスのコストおよび複雑さが増す。もしすべてのスルー・ホール区域が単一のマスク設計によって除去されれば、上述のとおり電極の下に空隙がもたらされ得る。スルー・ホール区域の一部がいずれの電極にもカバーされていない例示的設計360を使用することによって、スルー・ホールから電極の下の空きスペースの端縁までの距離が均一であることによって、導体充填プロセスが容易になる。
【0116】
上述のとおり、層110またはウェハ250の数は4に限定されなくてもよい。本発明の特定の実施形態において、積層されるべき層110またはウェハ250の数はmにnを乗じたものであってもよく、ここでmは、1ユニットがnの層110またはウェハ250を含むと想定したときのユニット数を表す。
【0117】
図12(A)、
図12(B)および
図12(C)を参照して、本発明の特定の実施形態による8層を有する積層半導体チップ・アセンブリに対する組み立てプロセスを説明する。
図12(A)、
図12(B)および
図12(C)は、組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造の断面図を示している。
【0118】
この組み立てプロセスにおいては、例示的設計360が使用される。
図12(A)に示されるとおり、組み立てプロセスは、
図7(A)~
図7(F)に示されるステップを繰り返し行うことによって複数の積層アセンブリ400A、400Bを得るステップを含んでもよい。つまり、ウェハ(410A~410Dまたは410E~410H)を準備するステップと、絶縁接着層(412B~412Dまたは412F~412H)によってウェハ(410A~410Dまたは410E~410H)を積層するステップと、アセンブリ400A、400Bを完全に貫通するスルー・ホール402A、402Bを形成するステップとが、m回繰り返し(
図12(A)に示される本発明の特定の実施形態においてm=2)行われる。
【0119】
図12(B)に示されるとおり、組み立てプロセスはさらに、構造420を通るように形成されるスルー・ホール422を形成するために、アセンブリ400A、400Bのスルー・ホール402A、402Bが互いに連絡するように絶縁接着層(412E)によってアセンブリ400A、400Bを積層するステップを含んでもよい。
【0120】
図12(C)に示されるとおり、組み立てプロセスはさらに、構造420を貫くように形成される垂直導体424を形成するためにスルー・ホール422を充填するステップを含んでもよい。このプロセスにおいて、各スルー・ホール402A、402Bの充填は、複数のアセンブリ400A、400Bに対して一度に行われる。
【0121】
図13ならびに
図14(A)および
図14(B)を参照して、本発明の特定の実施形態による8層を有する積層半導体チップ・アセンブリに対する代替的な組み立てプロセスを説明する。
図13は、8つの層に対する代替的組み立てプロセスを示している。
図14(A)および
図14(B)は、代替的組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造の断面図を示している。
【0122】
この代替的組み立てプロセスにおいては、
図13に示される設計450が使用され、この設計においては電極454が元のスルー・ホール452の外側領域に延在するタブまたはストラップ・エリア454aを有する。
【0123】
図12(A)および
図12(B)に示される本発明の実施形態と同様に、代替的組み立てプロセスは、
図7(A)~7(D)に示されるステップを繰り返し行うことによって複数のアセンブリ440A、440Bを得るステップを含んでもよい。しかし、各アセンブリ440A、440Bに対するスルー・ホールの形成は行われない。よって、ウェハ(460A~460Dまたは460E~460H)を準備するステップと、絶縁接着層(462B~462Dまたは462F~462H)によってウェハ(460A~460Dまたは460E~460H)を積層するステップとが繰り返し行われる。
【0124】
図13に示されるとおり、得られたアセンブリ440A、440Bは、並進シフト(回転を伴わない水平シフト)Sを伴って積層される。シフトSの大きさは、元のスルー・ホール452とタブまたはストラップ区域454aとを足したものの合計サイズであり得る。なお、いくつかの実施形態においては、隣接部に対して十分なスルー・ホール・ピッチを保つことが好ましい。
【0125】
図13に示されるとおり、代替的組み立てプロセスは、電極454A~454Hのすべての電極表面がスルー・ホール464内で露出するように、アセンブリ440A、440Bを部分的に貫通するスルー・ホール464を形成するステップを含んでもよい。スルー・ホール464の実際のサイズ(幅)は、元のスルー・ホール452のサイズの2倍よりも大きい。なお、
図13に示されるとおり、上部からすべての電極454A~454Hの表面を少なくとも部分的に見ることができる。
【0126】
図14(A)および
図14(B)に示されるとおり、代替的組み立てプロセスは、構造430を貫くように形成される垂直導体468を形成するためにスルー・ホール464を充填するステップを含んでもよい。この方法においては、積層された複数の積層アセンブリ440A、440Bに対して、スルー・ホール464A、464Bの充填が一度に行われる。
【0127】
図12に示される組み立てプロセスはダイシング・チャネルの幅に悪影響を及ぼさないため、
図12に示される組み立てプロセスはウェハ当りのチップ数(CPW)の点において、
図13ならびに
図14(A)および
図14(B)に示される代替的組み立てプロセスよりも優れている。
【0128】
図15(A)、
図15(B)、
図15(C)および
図15(D)を参照して、本発明の特定の実施形態による正三角形の形状を有する積層半導体チップ・アセンブリを製作するやり方を説明する。
【0129】
図15(A)は、正三角形の形状を有する積層半導体チップ・アセンブリを製作するために用いられ得る半導体ウェハ470の概略を示している。
【0130】
図15(A)に示されるとおり、ウェハ470は半導体チップ・ブロック472のアレイを含み、各々の半導体チップ・ブロック472は、個片化後の1つの半導体チップまたはダイに相当する。
図15(A)に示されるとおり、アレイのブロック472は、3回回転対称を有する正三角形を有してもよい。各ブロック472は、それぞれウェハ470を貫くビア・ホールの形成が可能にされた3つの区域474と、3つの電極476とを含む。なお、簡便のために1つの機能に対する電極およびビア・ホール区域のみが示されている。しかし、2つ以上の機能が存在してもよい。
【0131】
図15(A)に示される本発明の記載の実施形態においては、合計24のブロック472が重なり合うことなく面を敷き詰めている。アレイの行数は4であり、各々の行における三角形の数はそれぞれ5、7、7、および5である。しかし、アレイのサイズはこれに限定されない。本発明の他の実施形態において、アレイが位数3の同じ回転対称を提示する限り、行数は2(例、3+3)および6(7+9+11+11+9+7)などであってもよい。
【0132】
図15(A)は、複数の半導体ウェハ470を積層するやり方も示している。ウェハ積層レベルにかかわらず、
図15(A)に示されるウェハ470が用いられ得る。製作プロセスの際に、ウェハ470A~470Cは回転を伴って順次積層される。回転の角度は、ベース位置(すなわち0度)に関してそれぞれ120度および240度である。
【0133】
適切な回転操作(120、240度)を伴いながらウェハ470A~470Cを積層することによって、アレイにおける各エレメントの位置に対して異なるウェハ・レベルの3つのチップ・ブロック472が重なり合って積層され、結果的に
図15(B)に示される重なり合うチップ・ブロックのスタック480のアレイがもたらされる。
【0134】
図15(B)は、重なり合うチップ・ブロック472の1つのスタック480に注目して、ウェハ470を積層するやり方を示している。
図15(B)に示されるとおり、アレイの中心周りの回転操作に応答して、各ブロック472の向きはあたかも自身の中心周りの回転操作を受けたかのように回転する。
図15(B)には、重なり合うチップ・ブロック472のスタック480の上面図が示されている。
図6に示されるアセンブリ100と同様に、スタック480の上面および底面も複数の領域に分割され得る。ここには2点鎖線によって区切られた3つの領域(I、II、III)があり、各々の領域は異なる機能(
図15(A)および
図15(B)にはP1のみ示される)を有する垂直に整列された電極210のグループの1セットを有する。各スタック480は、水平面においてシフトされた垂直に配列された電極476A~476Cの複数のグループを保持する。
【0135】
図15(C)および
図15(D)は、1つの垂直導体の周りのスタック480の拡大断面図を示している。なお、
図15(C)および
図15(D)に示される断面図は、それぞれ
図15(B)に示される上面図において「H」および「G」で示される断面に対応する。
【0136】
図15(C)および
図15(D)に示されるとおり、スタック480は、3つのウェハ470A~470Cと、その間に挟まれた2つの層間絶縁接着剤482B~482Cとを含んでもよい。垂直に配列された電極476A~476Cは、ウェハ470の表面のそれぞれのレベルに位置する。垂直に配列された電極476A~476Cはそれぞれの電極表面を有し、各々の電極表面は垂直導体484と接触し、結果的に螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造をもたらす。
【0137】
図16(A)および
図16(B)ならびに
図17(A)および
図17(B)を参照して、本発明の特定の実施形態による正六角形の形状を有する積層半導体チップ・アセンブリを製作するやり方を説明する。
図16(A)は、正六角形の形状を有するアセンブリを製作するために用いられ得る半導体ウェハ490の概略を示している。
【0138】
図16(A)に示されるとおり、ウェハ490は、半導体チップ・ブロック492のアレイを含む。アレイのブロック492は、6回回転対称を有する正六角形の形状を有してもよい。各ブロック492は、それぞれウェハ490を通るビア・ホールの形成が可能にされた6つのビア・ホール区域494と、6つの電極496とを含む。なお、簡便のために1つの機能に対する電極およびビア・ホール区域のみが示されている。しかし、2つ以上の機能が存在してもよい。
【0139】
図16(A)に示される本発明の記載の実施形態においては、合計7のブロック492が重なり合うことなく面を敷き詰めている。アレイの六角形の行数は3であり、各々の行における六角形の数はそれぞれ2、3、および2である。しかし、アレイのサイズはこれに限定されない。本発明の他の実施形態において、アレイが位数6の同じ回転対称を提示する限り、行数は1および5(3+4+5+4+3)などであってもよい。
【0140】
図16(A)は、複数の半導体ウェハ490を積層するやり方も示している。ウェハ積層レベルにかかわらず、
図16(A)に示されるウェハ490が用いられ得る。製作プロセスの際に、ウェハ490A~490Fは回転を伴って順次積層される。回転の角度は、ベース位置(すなわち0度)に関してそれぞれ60、120、180、240、および300度である。
【0141】
適切な回転操作(60、120、180、240、300度)を伴いながらウェハ490A~490Fを積層することによって、アレイにおける各エレメントの位置に対して異なるウェハ・レベルの6つのチップ・ブロックが重なり合って積層され、結果的に
図16(B)に示される重なり合うチップ・ブロック500のスタックのアレイがもたらされる。
【0142】
図16(B)は、重なり合うチップ・ブロック492の1つのスタック500に注目して、ウェハ490を積層するやり方を示している。
図16(B)に示されるとおり、アレイの中心周りの回転操作に応答して、各半導体チップ・ブロック492の向きはあたかも自身の中心周りの回転操作を受けたかのように回転する。
図16(B)にはスタック500の上面図が示されている。
図6に示される積層半導体チップ・アセンブリ100と同様に、スタック500の上面および底面も複数の領域に分割され得る。ここには2点鎖線によって区切られた6つの領域(I、II、III、IV、V、VI)があり、各々の領域は異なる機能(
図16(A)および
図16(B)にはP1のみ示される)を有する垂直に整列された電極496A~496Fのグループの1セットを有する。各スタック500は、水平面においてシフトされた垂直に配列された電極496A~496Fの複数のグループを保持する。
【0143】
図17(A)および
図17(B)は、積層チップ・ブロック500の1つの垂直導体504の周りの拡大断面図を示している。なお、
図17(A)および
図17(B)に示される断面図は、それぞれ
図16(B)に示される上面図において「I」および「J」で示される断面に対応する。
【0144】
図17(A)および
図17(B)に示されるとおり、スタック500は、6つのウェハ490A~490Fと、その間に挟まれた5つの層間絶縁接着剤502B~502Fとを含んでもよい。垂直に配列された電極496A~496Fは、ウェハ490A~490Fの表面のそれぞれのレベルに位置する。垂直に配列された電極496A~496Fはそれぞれの電極表面を有し、各々の電極表面は垂直導体504と接触し、結果的に螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造をもたらす。
【0145】
正平面充填の単位形状の中でも正方形の形状は、設計ツール、リソグラフィ・ツール、およびダイシング・ツールを矩形以外の特殊形状に適合させる必要がないために優れている。矩形の形状は半導体プロセスにおいて一般的である。よって、チップ形状を取り扱うための任意の適合化なしに、標準的な設計ツール、リソグラフィ・ツール、およびダイシング・ツールを使用できる。
【0146】
前述の実施形態において、スルー・ホールは、積層ウェハの裏側から形成されると説明した。しかし他の実施形態において、スルー・ホールは積層ウェハの表側から形成され得る。
図18(A)および
図18(B)は、積層ウェハの表側からスルー・ホールが形成されている代替的実施形態による垂直導体を伴うアセンブリの断面図を示している。なお、
図18(A)および
図18(B)は、
図2(A)において「B」および「C」の表示によって示されるものと類似の異なる断面に対応する断面図である。
【0147】
図18(A)および
図18(B)に示されるとおり、スタック520は4つのウェハ530A~530Dと、その間に挟まれた3つの層間絶縁接着剤522A~522Cとを含む。垂直に配列された電極532A~532Dは、ウェハ530の表面のそれぞれのレベルに位置する。垂直に配列された電極532A~532Dはそれぞれの電極表面を有し、各々の電極表面は垂直導体534と接触し、結果的に螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造をもたらす。
図2(B)、
図2(C)、および
図7(G)、
図7(H)に示される場合とは対照的に、垂直導体534は、ウェハ530A~530Dの一部を貫通している。記載される実施形態において、垂直導体534が形成されるウェハの数は3であり、これは回転対称の位数-1(n-1)に対応する。
【0148】
前述の実施形態においては、半導体デバイスを製作するためのアセンブリおよびウェハについて説明した。しかし、本発明の実施形態による積層チップ構造およびチップ構造は、半導体デバイスに関するものに限定されない。ある実施形態において、積層チップ構造およびチップ構造は、薄膜電池に関するものであり得る。
【0149】
以下においては、
図19(A)、
図19(B)および
図19(C)を参照して、本発明のさらに他の実施形態による垂直導体630を有する積層電池チップ・アセンブリ600を説明することとする。
【0150】
図19(A)は、積層電池チップ・アセンブリ600の上面図を示している。
図19(B)および
図19(C)は、積層電池チップ・アセンブリ600の断面図を示している。なお、
図19(B)および
図19(C)に示される断面図は、それぞれ
図19(A)に示される上面図において「K」および「L」で示される断面に対応する。
【0151】
図19(A)、
図19(B)および
図19(C)に示されるとおり、積層電池チップ・アセンブリ600は、複数の電池チップ層610A~610Dと、電池チップ層610A~610Dの中に形成された複数の垂直導体630と、配線層650とを含む。積層電池チップ層610A~610Dの上部に構築された配線層650は、たとえばCPU(中央処理ユニット(Central Processing Unit))、メモリなどの外部デバイスに接続され得る外部端子と垂直導体630とを接続する配線パターンを有してもよい。
【0152】
各電池チップ層610は基板620と、基板620上に製作された固体薄膜電池エレメント626と、固体薄膜電池エレメント626および基板620の上に形成された絶縁体628とを含んでもよい。
【0153】
基板620は非伝導性基板材料の任意のものでできていてもよく、非伝導性基板材料のいくつかを挙げると、たとえばシリコン、アルミナセラミック、ガラス、マイカなどである。絶縁体628は、たとえばBCB(ベンゾシクロブテン)樹脂などの樹脂から作られていてもよい。各固体薄膜電池エレメント626はカソード電流コレクタ(CCC:cathode current collector)624と、カソードと、電解質と、アノードと、アノード電流コレクタ(ACC:anode current collector)622とを含んでもよい。
【0154】
基板620上にカソード電流コレクタ624およびアノード電流コレクタ622が形成されてもよく、これらは異なる機能を割り当てられた電極に相当する。この実施形態において、それらの機能はアノードおよびカソードを含む。カソード電流コレクタ624およびアノード電流コレクタ622は、金属(例、Cu、Pt、Al、Auなど)およびその他の伝導性材料(例、グラファイト、カーボン・ナノチューブ、シリコンなど)のうちの任意のものでできていてもよい。
【0155】
電池チップ層610A~610Dは、電池チップ層610A~610C内に形成された絶縁体628A~628Cによって結合されてもよい。
【0156】
図19(B)および
図19(C)に示されるとおり、電池層610の基板620の表面のそれぞれのレベルに垂直に配列された電極622A~622Dが位置する。垂直に配列された電極622A~622Dはそれぞれの電極表面を有し、各々の電極表面は垂直導体630と接触し、結果的に螺旋状(spirally or helically)の階段状の構造をもたらす。この電池はアノードおよびカソード電極の割り当てのみを有するため、この垂直導体の新規の構造はこうした薄膜固体電池にとって有益である。
【0157】
図20(A)~20(C)は、各積層レベルに対して複数の電極レイアウトが特定的に設計されている関連する組み立てプロセスの各ステップにおいて得られる構造の断面図を示している。
【0158】
図20(A)を参照すると、関連する組み立てプロセスは複数のウェハ710A~710Dを準備するステップを含み、各々のウェハは対応する積層レベルに対して特定的に設計された電極レイアウトを含む。
図20(B)を参照すると、加えて関連する組み立てプロセスは、接着剤702B~702Dによって複数のウェハ710A~710Dを順次積層するステップと、電極表面712A~712Dを露出させるようにウェハ710A~710Dにスルー・ホール728を形成するステップとを含む。
図20(C)を参照すると、関連する組み立てプロセスは、伝導性材料730によってスルー・ホール728を充填するステップを含む。
【0159】
図20(A)、
図20(B)、および
図20(C)に記載されるとおり、積層後にスルー・ホールを穿孔するアプローチを使用するとき、スルー・ビアに対する端子電極は、伝導性材料との十分な接触を確実にするために一般的に段構造として設計される。したがって、たとえチップが同種(すなわち、同種集積)であっても、スルー・ホールの設計は各積層レベルに対して異ならせることが要求される。
【0160】
図20(A)、
図20(B)および
図20(C)に示されるとおり、電極設計およびマスク・パターンは、ウェハの各積層レベルに対して固有のものである。この場合には、ウェハの各積層レベルに独特の部品番号(P/N)が割り当てられる。よって複数のP/Nが必要とされるため、製造制御が複雑になる。加えて、各ウェハ・レベルの歩留まりが顕著に異なるとき、多くの余剰なウェハが製造されることになり、それによって製造プロセスの効率が下がる。
【0161】
この関連する組み立てプロセスとは対照的に、本発明の1つ以上の実施形態による組み立てプロセスにおいては、積層レベルにかかわらずチップ設計の種類、マスク設計、および部品番号の数を低減できる。よって、設計作業負荷、非反復的な技術コスト、製造制御の複雑さ、および製造の無駄を低減できる。これによって、チップ・アセンブリの製造制御を簡略化でき、かつチップ・アセンブリの製造効率を改善できる。
【0162】
この積層チップ構造は一般的に低コストであり、信頼性の高い接続性を伴って容易に製作される。なお、いくつかの実施形態はこれらの潜在的利点を有さなくてもよく、これらの潜在的利点は必ずしもすべての実施形態に要求されるものではない。
【0163】
本明細書において用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書において用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は、状況が別様を明確に示さない限り複数形も含むことが意図される。この明細書において用いられるときの「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」またはその両方の用語は、記述される特徴、ステップ、層、エレメント、もしくは構成要素、またはその組み合わせの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、層、エレメント、構成要素、もしくはそのグループ、またはその組み合わせの存在または付加を除外しないことがさらに理解されるだろう。
【0164】
以下の請求項におけるすべての手段またはステップ・プラス機能要素に対応する構造、材料、動作、および均等物は、もしあれば、特定的に請求される他の請求要素と組み合わせてその機能を行うための任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。本発明の1つ以上の態様の説明は例示および説明の目的のために提供されたものであるが、開示される形の発明に対して網羅的または限定的になることは意図されていない。
【0165】
記載される本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、当業者には多くの修正および変更が明らかになるだろう。本明細書において用いられる用語は、実施形態の原理、市場に見出される技術に対する実際の適用または技術的改善点を最もよく説明するか、または他の当業者が本明細書に開示される実施形態を理解できるようにするために選択されたものである。