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特許7383632錯化剤を含むスズ-銀合金電気メッキ用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】錯化剤を含むスズ-銀合金電気メッキ用組成物
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/60 20060101AFI20231113BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20231113BHJP
   C25D 5/02 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 213/32 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 233/54 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 295/088 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 207/27 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 241/12 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 233/64 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20231113BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
C25D3/60
C25D7/00 G
C25D5/02 B
C07D213/32 CSP
C07D233/54
C07D295/088
C07D207/27 Z
C07D241/12
C07D233/64 104
C07D417/14
C07D401/14
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020552747
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057205
(87)【国際公開番号】W WO2019185468
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】18165026.8
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ,カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】クレムツォヴ-グラヴ,ドリス
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フリューゲル,アレクサンダー
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206946(JP,A)
【文献】特開2001-164396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/56
C25D 3/60
C23C 18/42
C07D 401/12
C07D 401/14
C07D 417/12
C07D 417/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スズイオン及び銀イオンを含む金属イオン、及び
(b)式C1、C2又はC3の少なくとも1種の錯化剤

R1-X1-S-X21-[D1-X22-]nS-X3-R2 (C1)

R1-X1-S-X31-D2-[X32-S-]nX3-R2 (C2)

R3-X1-S-X41-[D3-X42-]nS-X3-R4 (C3)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
21、X22は、独立して、
(a)-X--COOR12、-X-SO-O-R12、式-(O-CH-CHR11-OHのC~Cポリオキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせにさらに置換されるX、及び
(b)-X-NH-CO-X-CO-NH-X
から選択され、
31、X32は、独立して、化学結合及びXから選択され、
41、X42は、独立して、Xから選択され、
は、直鎖又は分岐状C~C10アルキルであり、
は、X及び二価の5又は6員の芳香族基から選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子、又は少なくとも1個のC原子によって分離される2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基、及び-COOR12又は-SO-O-R12に置換されるC~Cアルキル基でのN-アルキル化によって得られるその誘導体から選択され、ここで、芳香族N-複素環基は、X21が少なくとも1個のOHに置換されているという条件の下で、任意に1個のS原子をさらに含み得、
、Rは、独立して、1個のN原子及び1個のO原子を含む一価の5又は6員の脂肪族N-複素環基から選択され、
は、独立して、S、O及びNR10から選択され、
は、(a)1個又は2個のS原子を含む二価の5又は6員の脂肪族複素環システムであるか、又は(b)少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムであり、
は、独立して、S及びNR10から選択され、
nは、0~5の整数であり、
zは、1~50の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択され、
11は、H、及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから選択され、
12は、R10及びカチオンから選択される)
を含む、水性組成物。
【請求項2】
及びXは、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルである、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
及びRは、独立して、N-イミダゾール、N-ピラゾール、2-チアゾール、2-ピリジン、3-ピリジン、4-ピリジン、及び2-ピラジンから選択される、請求項1又は2に記載の水性組成物。
【請求項4】
、Rは、独立して、N-ピロリドン及びN-モルホリンから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
nは、0又は1~3の整数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項6】
は、S及びOから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載水性組成物。
【請求項7】
は、(i)2個のS原子、又は1個のS及び1個のN原子を有する5員の脂肪族複素環システム、特にジチオラン及びチアゾリジン、又は(ii)2個のS原子、又は1個のS及び1個のN原子を有する6員の脂肪族複素環システム、特にジチアン及びチオモルホリンから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項8】
はSである、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項9】
錯化剤は、式C1(式中、X21及びX22は、独立して、置換されていないか、又はOH、-X--COOR12又は-SO-OR12に置換されている、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルから選択される)の構造を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項10】
31及びX32は、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
41及びX42は、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項12】
本質的に結晶粒微細化剤を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項13】
本質的に銅を含まない、請求項1から12のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項14】
前記金属イオンは、スズイオン及び銀イオンからなる、請求項1から13のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項15】
500nm~500μmの開口サイズを有するフィーチャを含む基材にスズ銀合金を堆積させることに、請求項1から14のいずれか一項に記載の水性組成物を使用する方法。
【請求項16】
a)請求項1から14のいずれか一項に記載水性組成物を基材と接触させること、及び
b)スズ又はスズ合金層を前記基材上に堆積させるのに十分な時間で、前記基材に電流を印加すること
により基材にスズ又はスズ銀合金を電着する方法であって、
前記基材が、500nm~500μmの開口サイズを有するフィーチャを含み、前記堆積を行ってこれらのフィーチャを充填する、方法。
【請求項17】
前記開口サイズは1μm~200μmである、請求項16に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錯化剤を含むスズ-銀合金電気メッキ組成物、その使用方法、及びスズ-銀合金電気メッキのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属及び金属合金は特に、電気接点、最終仕上げ及びはんだとして頻繁に使用されている電子産業において、商業的に重要である。
【0003】
鉛を含まないはんだ、例えばスズ、スズ-銀、スズ-銅、スズ-ビスマス、スズ-銀-銅などは、はんだに使用される一般的な金属である。これらのはんだは、多くの場合、金属電気メッキのメッキ浴によって半導体基材上に堆積される。
【0004】
鉛を含まないはんだメッキの特定の利用は、電子産業で課題を提出している。例えば、銅ピラー上のキャッピング層として使用される場合、比較的少量の、鉛を含まないはんだ、例えばスズ又はスズ-銀はんだは銅ピラーの上に堆積される。
【0005】
典型的なスズ-銀メッキ液は、溶解したスズ及び銀イオン、水、浴に導電性を与えるのに十分な量のメタンスルホン酸などの酸性電解質、酸化防止剤、及びメッキの均一性及び表面粗さとボイド形成の観点からの金属堆積物の品質を改善するための特有の添加剤を含む。このような添加剤は通常、銀が(a)スズと組み合わせて溶液中で安定であり、(b)より貴でないスズと並行して堆積されることを可能にするために、銀と錯体を形成することができる錯化剤を含む。
【0006】
JP 2007218952 A(特許文献1)、EP 166347 A(特許文献2)、EP 144990 A(特許文献3)は、銀化合物、及び窒素含有環システム置換基、例えば1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタン又は1,11-ビス(2-ピリジル)-3,6,9-トリチアウンデカンを含む硫黄含有化合物を含む写真フィルムを開示している。
【0007】
JP 2006206946 A(特許文献4)は、その中に式R-S-(CH-CH-S)-Rの化合物を含む銀メッキ浴を開示している。この浴は、プリント回路板、半導体集積回路、抵抗器、可変抵抗器、コンデンサー、フィルター、インダクター、サーミスター、水晶発振器、スイッチ、電線及び他の電子部品に銀を堆積することに使用することができる。
【0008】
US 6607653 B1(特許文献5)は、特定の硫黄含有化合物を含む、スズ銅、スズ銅ビスマス又はスズ銅銀合金を堆積するための組成物を開示している。数十種の化合物の1つは、1,10-ジ(2-ピリジル)-1,4,7,10-テトラチアデカンであり得る。
【0009】
驚いたことには、上記の化合物は有利に電気メッキ浴に使用してスズ-銀合金を堆積し得ることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】JP 2007218952 A
【文献】EP 166347 A
【文献】EP 144990 A
【文献】JP 2006206946 A
【文献】US 6607653 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、例えば強い着色又は生成する堆積物による著しい劣化又は老化を示さずに、長期間にわたって安定であり、半導体基材上にスズ-銀合金を電着することができるスズ-銀電気メッキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(a)スズイオン及び銀イオンを含む金属イオン、及び(b)式C1、C2又はC3の少なくとも1種の錯化剤、

R1-X1-S-X21-[D1-X22-]nS-X3-R2 (C1)

R1-X1-S-X31-D2-[X32-S-]nX3-R2 (C2)

R3-X1-S-X41-[D3-X42-]nS-X3-R4 (C3)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
21、X22は、独立して、
(a)-X--COOR12、-X-SO-O-R12、式-(O-CH-CHR11-OHのC~Cポリオキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせにさらに置換されるX、及び
(b)-X-NH-CO-X-CO-NH-X
から選択され、
31、X32は、独立して、化学結合及びXから選択され、
41、X42は、独立して、Xから選択され、
は、直鎖又は分岐状C~C10アルキルであり、
は、X及び二価の5又は6員の芳香族基から選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子、又は少なくとも1個のC原子によって分離される2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基、及び-COOR12又は-SO-O-R12に置換されるC~Cアルキル基でのN-アルキル化によって得られるその誘導体から選択され、ここで、芳香族N-複素環基は、X21が少なくとも1個のOHに置換されているという条件の下で、任意に1個のS原子をさらに含み得、
、Rは、独立して、1個のN原子及び1個のO原子を含む一価の5又は6員の脂肪族N-複素環基から選択され、
は、独立して、S、O及びNR10から選択され、
は、(a)1個又は2個のS原子を含む二価の5又は6員の脂肪族複素環システムであるか、又は(b)少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムであり、
は、独立して、S及びNR10から選択され、
nは、0~5の整数であり、
zは、1~50の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択され、
11は、H、及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから選択され、
12は、R10及びカチオンから選択される)
を含む水性組成物を提供する。
【0013】
錯化剤を用いて、メッキ浴は、着色又は堆積を示さずに、長期間にわたって安定であり、半導体基材上にスズ-銀合金、特にスズ-銀合金はんだバンプを電着することができる。
【0014】
本発明はさらに、500nm~500μmの開口サイズを有するフィーチャ(features)を含む基材上にスズ-銀合金を堆積するための、本明細書で定義される組成物を含むスズ-銀合金メッキ浴の使用方法に関する。
【0015】
さらに、本発明は、
a)本明細書で定義される組成物を基材と接触させること、及び
b)スズ又はスズ合金層を基材上に堆積させるのに十分な時間で、基材に電流を印加すること
により基材にスズ-銀合金層を堆積する方法に関し、
ここで、この基材は500nm~500μmの開口サイズを有するフィーチャを含み、堆積を行ってこれらのフィーチャを充填する。
【0016】
さらに、本発明は、式C1、C2又はC3の化合物であって、

R1-X1-S-X21-[D1-X22-]nS-X3-R2 (C1)

R1-X1-S-X31-D2-[X32-S-]nX3-R2 (C2)

R3-X1-S-X41-[D3-X42-]nS-X3-R4 (C3)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
21、X22は、独立して、
(a)-X-COOR12、-X-SO-O-R12、式-(O-CH-CHR11-OHのC~Cポリオキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせにさらに置換されるX、及び
(b)-X-NH-CO-X-CO-NH-X
から選択され、
31、X32は、独立して、化学結合及びXから選択され、
41、X42は、独立して、Xから選択され、
は、直鎖又は分岐状C~C10アルキルであり、
は、X及び二価の5又は6員の芳香族基から選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子、又は少なくとも1個のC原子によって分離される2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基、及び--COOR12又は-SO-O-R12に置換されるC~Cアルキル基でのN-アルキル化によって得られるその誘導体から選択され、ここで、芳香族N-複素環基は、X21が少なくとも1個のOHに置換されているという条件の下で、任意に1個のS原子をさらに含み得、
、Rは、独立して、1個のN原子及び1個のO原子を含む一価の5又は6員の脂肪族N-複素環基から選択され、
は、独立して、S、O及びNR10から選択され、
は、(a)1個又は2個のS原子を含む二価の5又は6員の脂肪族複素環システムであるか、又は(b)少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムであり、
は、独立して、S及びNR10から選択され、
nは、0~5の整数であり、
zは、1~50の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択され、
11は、H、及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから選択され、
12は、R10及びカチオンから選択される)
1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタン;1,9-ビス-(2-ピリジル)-2,5,8-トリチアノナン;1,11-ビス(2-ピリジル)-3,6,9-トリチアウンデカン;1,6-ビス-(2-ピリジル)-2,5-ジチアヘキサン;1,13-ビス(2-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン;1,9-ビス(2-ピリジル)-5-オキサ-2,8-ジチアノナン;1,8-ビス(4-ピリジル)-3,6-ジチアオクタン;1-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチル]イミダゾール;1-[2-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]イミダゾール;1,9-ビス(2-ピリジル)-3,7-ジチアノナン;1,10-ビス(2-ピリジル)-3,8-ジチアデカンを除くものに関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による錯化剤
下記の少なくとも1種の錯化剤を含む本発明によるスズ-銀合金電着のための組成物は、着色又は堆積を示さずに、長期間にわたって安定であり、半導体基材上にスズ-銀合金、特にスズ-銀合金はんだバンプを電着することができることが見出された。ここでは、長期間の安定性とは、少なくとも6か月間にわたって安定な浴を意味する。
【0018】
スズイオン及び銀イオンに加えて、本発明による水性組成物、好ましくは溶液は、以下でさらに記載されるように、式C1、C2及びC3の少なくとも1種の化合物を含む。
【0019】
第1の実施態様
水性組成物は、式C1の錯化剤化合物を含んでもよい

R1-X1-S-X21-[D1-X22-]nS-X3-R2 (C1)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
21、X22は、独立して、
(a)-X--COOR12、-X-SO-O-R12、式-(O-CH-CHR11-OHのC~Cポリオキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせにさらに置換されるX、及び
(b)-X-NH-CO-X-CO-NH-X
から選択され、
は、直鎖又は分岐状C~C10アルキルであり、
は、X及び二価の5又は6員の芳香族基から選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子、又は少なくとも1個のC原子によって分離される2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基、及び--COOR12又は-SO-O-R12に置換されるC~Cアルキル基でのN-アルキル化によって得られるその誘導体から選択され、ここで、芳香族N-複素環基は、X21が少なくとも1個のOHに置換されているという条件の下で、任意に1個のS原子をさらに含み得、
は、独立して、S、O及びNR10から選択され、
nは、0~5の整数であり、
zは、1~50の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択され、
11は、H、及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから選択され、
12は、R10及びカチオンから選択される)。
【0020】
本質的には、このような錯化剤は、少なくともスペーサー基X21によって分離され、1個又は2個のN原子を含む5又は6員の芳香族N-複素環基によって中止され、スペーサー基X及びXによって再び分離される少なくとも2個の硫黄原子を含む。
【0021】
好ましいスペーサー基X及びXは、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイルであり、最も好ましくは、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル及びブタンジイルから選択される。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。
【0022】
第1の代替実施態様において、好ましいスペーサー基X21及びX22は、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはC~Cアルカンジイルであり得る。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。スペーサー基X及びXと対照的に、スペーサー基X21、及び該当する場合にX22はさらに、-X--COOR12又は-X-SO-O-R12(式中、Xは、直鎖又は分岐状C~C10アルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル、最も好ましくはC~Cアルキルである)に置換されてもよい。
【0023】
直鎖アルキル、及びC又はCの短鎖分岐を有するアルキルが好ましい。スペーサー基X21、及び該当する場合にX22はさらに、式-(O-CH-CHR11-OH(式中、R11は、H、及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから選択され、好ましくはH、エチル又はプロピル、最も好ましくはH又はメチルであり、zは1~50、好ましくは1~30、さらにより好ましくは1~20、最も好ましくは1~10の整数である)の1個以上のC~Cポリオキシアルキレン基に置換されてもよい。詳細については、以下の式S1のRS11におけるポリオキシアルキレン基の説明を参照されたい。一般的には、R12がHである場合、基-COOR12及び-X-SO-O-R12は脱プロトン化されてもよく、R12はカチオンである。有用なカチオンは、錯化又は電気メッキを妨害しない任意のカチオン、好ましくは金属カチオン又はNR10 、最も好ましくはNa、K、又はテトラメチルアンモニウムである。
【0024】
第2の代替実施態様において、好ましいスペーサー基X21及びX22は、-X-NH-CO-X-CO-NH-X-(式中、Xは、X、及び5又は6員の芳香族基から選択される)であり得る。好ましい脂肪族基X21及びX22は、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル又はブタンジイルである。好ましい芳香族基X21及びX22は、フェニル、イミダゾール、チアゾール及びピリジンであり、最も好ましくはフェニルである。
【0025】
式C1において、nは、0又は1~5の整数であり得る。nが0である場合、錯化剤は2個の硫黄原子のみを含む。nが0を超える場合、1個以上のさらなるヘテロ原子Dが存在する。nは、好ましくは0又は1~4の整数、より好ましくは0又は1~3の整数、さらにより好ましくは0、1又は2、最も好ましくは0又は1である。
【0026】
ヘテロ原子/基Dは、S、O及びNR10、好ましくはS又はOであり得る。ここで、R10は、H及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから、好ましくはH及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから、最も好ましくはH、メチル、エチル、プロピル及びブチルから選択される。
【0027】
末端基R及びRは、1個又は2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基から選択されてもよい。N原子は、少なくとも1個のC原子によって分離される。5員のN-複素環基の例は、限定されないが、N-イミダゾール、N-ピラゾールである。6員のN-複素環基の例は、限定されないが、2-ピリジン、3-ピリジン、4-ピリジン、及び2-ピラジンである。
【0028】
さらに、C~Cアルキル基でのN-アルキル化、好ましくはメチル、エチル、プロピル又はブチルでのアルキル化によって得られるカチオン誘導体は、本発明によるメッキ浴に使用することができる。このようなカチオンN-複素環基の例は、限定されないが、N-アルキル-ピリジニウムカチオンである。任意の好適なアニオン、例えばスルフェート及びメタンスルホネート(これらに限定されない)は、カチオンと組み合わせて使用することができる。
【0029】
第1の実施態様内の代替実施態様において、芳香族N-複素環基は、1個のS原子をさらに含む。しかしながら、この実施態様では、スペーサー基X(Xを部分的に組み込んだすべてのスペーサー基X21及びX22を含む)が、少なくとも1個のOH官能基に置換されることが必要である。硫黄を含む5員のN-複素環基の例は、2-チアゾール、チアジアゾール、及びイソチアゾールである。
【0030】
限定されないが、第1の実施態様による特に好ましい化合物は以下である。
【0031】
【表1】
【0032】
略語:Me=メチル/メタンジイル、Et=エチル/エタンジイル;Pr=プロピル/プロパンジイル;Bu=ブチル/ブタンジイル;Pe=ペンチル/ペンタンジイル;Bu(OH)=2,3-ジヒドロキシブタンジイル、i-Pr=イソプロパンジイル、Pr(Et)(MeOH)=2-エチル,2-ヒドロキシエチルプロパンジイル、Pr(BuCOOH)=2-カルボキシブチルプロパンジイル、Ph=フェニル、EO=オキシエチレン、PO=オキシプロピレン、2-OS-Me-N-ピリジニウム=スルホン酸置換基を含むメチルで四級化された2-ピリジン。
【0033】
第2の実施態様
水性組成物は、式C2の錯化剤化合物を含んでもよい

R1-X1-S-X31-D2-[X32-S-]nX3-R2 (C2)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
31、X32は、独立して、化学結合及びXから選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子又は、少なくとも1個のC原子によって分離される2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基、及びC~Cアルキル基でのN-アルキル化によって得られるその誘導体から選択され、ここで、芳香族N-複素環基は、任意に1個のS原子をさらに含み得、
は、(a)1個又は2個のS原子を含む二価の6員の脂肪族複素環システムであるか、又は(b)少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムであり、
nは、0~5の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択される)。
【0034】
また、このような錯化剤は、スペーサー基X31によって分離され、1個又は2個のN原子を含む5又は6員の芳香族N-複素環基によって中止され、スペーサー基X及びXによって再び分離される少なくとも2個の硫黄原子を含む。第1の実施態様と対照的に、第2(又は第3)の硫黄原子は、1個又は2個のS原子を含む二価の6員の脂肪族複素環システム、又は少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムのいずれかに組み込まれる。
【0035】
好ましいスペーサー基X及びXは、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイルであり、最も好ましくは、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル及びブタンジイルから選択される。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。
【0036】
好ましいスペーサー基X31及びX32は、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはC~Cアルカンジイルであり得る。あるいは、また好ましくは、X31及びX32は化学結合であり得る。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。直鎖アルキルが好ましい。
【0037】
nは、0又は1~5の整数であり得る。nが0である場合、錯化剤は、主鎖に1個の硫黄原子のみを含み、任意に、環システムDに1個以上の硫黄原子を含む。nが0を超える場合、1個以上のさらなる硫黄原子は主鎖に存在する。nは、好ましくは0又は1~4の整数、より好ましくは0又は1~3の整数、最も好ましくは0、1又は2である。
【0038】
一代替実施態様において、環システムDは、1個又は2個のS原子を含む二価の5又は6員の脂肪族複素環システムであり得る。このような脂肪族複素環システムは、O原子又はN-R10基をさらに含んでもよい。好ましくは、5員の脂肪族複素環システムは、2個のS原子、又は1個のS及び1個のN原子を有する。より好ましくは、Dはジチオラン及びチアゾリジンから選択される。好ましくは、6員の脂肪族複素環システムは、2個のS原子、又は1個のS及び1個のN原子を有する。最も好ましい環システムDは、ジチアン、特に2,5ジチアン、及びチオモルホリンである。
【0039】
他の代替実施態様において、環システムDは、少なくとも2個のN原子及び任意に1個又は2個のS原子を含む5又は6員の芳香族複素環システムであってもよい。このような芳香族複素環システムは、O原子又はカルボニル基をさらに含んでもよい。最も好ましい環システムDは、アミノ-1,3,5-トリアジン及び1,3,4-チアジアゾール-2-チオンである。
【0040】
第1の実施態様と同様に、末端基R及びRは、1個又は2個のN原子を含む一価の5又は6員の芳香族N-複素環基から選択されてもよい。5員のN-複素環基の例は、限定されないが、N-イミダゾール、N-ピラゾール及び2-チアゾールである。N-イミダゾール及びN-ピラゾールが好ましい。6員のN-複素環基の例は、限定されないが、2-ピリジン、3-ピリジン、4-ピリジン、及び2-ピラジンである。2-ピリジン、4-ピリジン、及び2-ピラジンが好ましい。
【0041】
第3の実施態様内の代替実施態様において、芳香族N-複素環基は、1個のS原子をさらに含む。硫黄を含む5員のN-複素環基の例は、2-チアゾール、チアジアゾール、及びイソチアゾールである。
【0042】
第1の実施態様と同様に、C~Cアルキル基でのN-アルキル化、好ましくはメチル、エチル、プロピル又はブチルでのN-アルキル化によって得られるカチオン誘導体は、本発明によるメッキ浴に使用することができる。このようなカチオンN-複素環基の例は、限定されないが、N-メチル-ピリジニウムカチオンである。任意の好適なアニオン、例えばスルフェート及びメタンスルホネート(これらに限定されない)は、組み合わせて使用することができる。
【0043】
第2の実施態様による特に好ましい化合物は以下である。
【0044】
【表2】
【0045】
略語:Me=メチル/メタンジイル、Et=エチル/エタンジイル;Bu(OH)=2,3-ジヒドロキシブタンジイル、Pr=プロピル/プロパンジイル。
【0046】
第3の実施態様
水性組成物は、式C3の錯化剤化合物を含んでもよい

R3-X1-S-X41-[D3-X42-]nS-X3-R4 (C3)

(式中、X、Xは、独立して、置換されていないか、又はOHに置換されている、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択され、
41、X42は、独立して、Xから選択され、
、Rは、独立して、1個のN原子及び1個のO原子を含む一価の5又は6員の脂肪族N-複素環基から選択され、
は、S及びNR10から選択され、
nは、0~5の整数であり、
10は、H、及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから選択される)。
【0047】
第1の実施態様と同様に、このような錯化剤は、少なくともスペーサー基X41及び任意にX42によって分離され、1個のN原子及び1個のO原子を含む5又は6員の脂肪族N-複素環基によって中止され、スペーサー基X及びXによって再び分離される少なくとも2個の硫黄原子を含む。
【0048】
好ましいスペーサー基X及びXは、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはC~Cアルカンジイルであり得る。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。
【0049】
好ましいスペーサー基X41及びX42は、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはC~Cアルカンジイルであり得る。このようなアルカンジイルは、置換されていないか、又はヒドロキシ(OH)官能基に置換されている。直鎖アルキルが好ましい。
【0050】
nは、0又は1~5の整数であり得る。nが0である場合、錯化剤は2個の硫黄原子のみを含む。nが0を超える場合、1個以上のさらなるヘテロ原子Dが存在する。nは、好ましくは0又は1~4の整数、より好ましくは0又は1~3の整数、最も好ましくは0、1又は2である。
【0051】
ヘテロ原子/基Dは、S及びNR10から選択され、好ましくはSであり得る。ここで、R10は、H及び直鎖又は分岐状C~C12アルキルから、好ましくはH及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから、最も好ましくはH、メチル、エチル、プロピル及びブチルから選択される。
【0052】
末端基R及びRは、1個のN原子、及び環システムに組み込まれた又は環システムに結合された1個のO原子、例えばC=O基(これに限定されない)を含む一価の5又は6員の脂肪族N-複素環基から選択されてもよい。5員の複素環基の例は、限定されないが、N-ピロリドン、N-オキサゾリジン、スクシンイミド、及びN-ヒドロキシスクシンイミドである。N-ピロリドンが好ましい。6員の複素環基の例は、限定されないが、N-モルホリンである。
【0053】
特に好ましい錯化剤は以下である。
【0054】
【表3】
【0055】
略語:Me=メチル/メタンジイル、Et=エチル/エタンジイル;Bu(OH)=2,3-ジヒドロキシブタンジイル。
【0056】
具体的な錯化剤は以下のもの:
(a)n=0である場合、X21は、少なくとも1個、好ましくは2個のOHに置換されるもの、及び
(b)nが1であり、DがO又はNR10であり、かつ、X及びXがメタンジイルである場合、R及びRの少なくとも1つは2-ピリジイルではないもの、及び
(c)nが1を超える場合、DはO又はNR10であるもの
から選択される。
【0057】
最も好ましい錯化剤は、1,9-ビス-(3-ピリジル)-2,5,8-トリチアノナン;1,15-ビス(2-ピリジル)-3,6,10,13-テトラチアペンタデカン;(2R,3R)-1,4-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;(2S,3S)-1,4-ビス[2-(2-ピリジル)-エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;(2R,3S)-1,4-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;1,6-ビス(2-メチルピリジル)-DL-ジチオスレイトール;1,6-ビス(2-メチルピリジル)-メソ-ジチオエリスリトール;1,11-ビス(2-ピリジル)-6-オキサ-3,9-ジチアウンデカン;1,14-ビス(2-ピリジル)-6,9-ジオキサ-3,12-ジチアテトラデカン;1,11-ビス(4-ピリジル)-6-オキサ-3,9-ジチアウンデカン;1,14-ビス(4-ピリジル)-6,9-ジオキサ-3,12-ジチアテトラデカン;1,11-ビス(4-ピリジル)-3,6,9-トリチアウンデカン;1,15-ビス(4-ピリジル)-3,6,10,13-テトラチアペンタデカン;(2R,3S)-1,4-ビス[2-(4-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;1-メチル-2-[2-[2-[2-(1-メチルピリジン-1-イウム-2-イル)-エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウムメチルサルフェート;1,13-ビス(3-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン;1,9-ビス-(4-ピリジル)-2,5,8-トリチアノナン;1,13-ビス(4-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン、1-[3-[2-[2-(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]プロピル]イミダゾール;1,9-ビス(4-ピリジル)-5-オキサ-2,8-ジチアノナン;(2S,3R)-1,4-ビス(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール、(2R,3S)-1,4-ビス(2-モルホリノエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール;4-[2-[2-[2-(4-ピリジルメチルスルファニル)エトキシ]エトキシ]エチルスルファニルメチル]ピリジン;(2R,3S)-1,4-ビス(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール;1-[2-[(2R,3S)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルスルファニル]-ブチル]スルファニルエチル]-ピロリジン-2-オン;2,2-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシメチル]ブタン-1-オール;1-[2-[2-[2-[2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピロリジン-2-オン;(2R,3S)-1,4-ビス(2-ピラジン-2-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール;(2S,3S)-1,4-ビス[2-(4-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;(2R,3R)-1,4-ビス[2-(4-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール;3-[2-(2-ピリジル)エチル]-5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン;2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-オール;6,8-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]オクタン酸;2-[2-[[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニルメチル]-1,4-ジチアン-2-イル]メチルスルファニル]エチル]ピリジン;4,6-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,5-トリアジン-2-アミン;(2R,3S)-1,4-ビス(2-チアゾール-2-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール;3-[2-[2-[(2S,3R)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]ブチル]スルファニルエチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネート;3-[2-[2-[2-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネート;1,3-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシ]プロパン-2-オール;N1,N3-ビス[2-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]エチル]ベンゼン-1,3-ジカルボキサミド;2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-スルホネート;2-[2-[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ペンチルスルファニル]エチル]ピリジン;及びそれらの塩から選択される。
【0058】
他の錯化剤
スズ又はスズ合金の電気メッキ浴は、組成物中に存在するスズ及び/又は任意の他の金属を錯化するための追加の錯化剤をさらに含有してもよい。典型的な他の錯化剤は3,6-ジチア-1,8-オクタンジオールである。
【0059】
他の典型的な錯化剤は、ポリオキシモノカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸、ラクトン化合物、及びそれらの塩である。
【0060】
他の錯化剤は、US 7628903、JP 4296358 B2、EP 0854206 A及びUS 8980077 B2に開示されているように、チオウレア、チオール又はチオエーテルのような有機チオ化合物である。
【0061】
スズ合金浴は、本発明によるものを除いて、他の錯化剤を含まないことが好ましい。
【0062】
メッキされたスズ合金バンプに所望の表面仕上げを提供するために、通常、多種多様な添加剤を浴に使用し得る。通常、1種を超える添加剤が使用され、各添加剤が所望の機能を形成する。有利には、電気メッキ浴は、1種以上の抑制剤(しばしば界面活性剤とも呼ばれる)、結晶粒微細化剤、合金堆積の場合の錯化剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物を含有し得る。最も好ましくは、電気メッキ浴は、本発明による抑制剤に加えて、レベラー及び任意に結晶粒微細化剤を含む。また、他の添加剤も本発明の電気メッキ浴において適切に使用することができる。
【0063】
抑制剤又は界面活性剤
1種以上の抑制剤(界面活性剤とも呼ばれる)が、スズ-銀合金メッキ浴中に存在し得る。
【0064】
任意の非イオン性界面活性剤を本発明の組成物に使用することができる。典型的には、非イオン性界面活性剤は、200~100,000、好ましくは500~50,000、より好ましくは500~25,000、さらにより好ましくは750~15,000の平均分子量を有する。このような非イオン性界面活性剤は、典型的に、組成物の質量に基づいて、1~10,000ppm、好ましくは5~10,000ppmの濃度で電解質組成物中に存在する。好ましいアルキレンオキシド化合物には、ポリアルキレングリコール、例えば少なくとも1個のヒドロキシ基及び20個以下の炭素原子を有する有機化合物のアルキレンオキシド付加生成物、及び低分子量ポリアミン化合物への異なるアルキレンオキシドの添加に由来する四官能性ポリエーテル(これらに限定されない)が含まれる。
【0065】
好ましいポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。このようなポリアルキレングリコールは一般に、様々な供給元から市販されており、さらに精製することなく使用することができる。また、1個以上の末端水素がヒドロカルビル基に置換されるキャップされたポリアルキレングリコールは適切に使用されてもよい。好適なポリアルキレングリコールの例は、式R-O-(CXYCX’Y’O)R’(式中、R及びR’は、独立して、H、C~C20アルキル基及びC~C20アリール基から選択され;それぞれのX、Y、X’及びY’は、独立して、水素、アルキル、例えばメチル、エチル又はプロピル、アリール、例えばフェニル、又はアラルキル、例えばベンジルから選択され;nは5~100,000の整数である)のものである。典型的には、X、Y、X’及びY’の1つ以上が水素である。
【0066】
好適なEO/POコポリマーは、一般に10:90~90:10、好ましくは10:90~80:20のEO:POの質量比を有する。このようなEO/POコポリマーは、好ましくは、750~15,000の平均分子量を有する。このようなEO/POコポリマーは、さまざまな供給元から入手でき、例えばBASFから「PLURONIC」の商品名で入手できるものである。
【0067】
少なくとも1個のヒドロキシ基及び20個以下の炭素原子を有する有機化合物の好適なアルキレンオキシド凝縮生成物には、1~7個の炭素原子の脂肪族炭化水素を有するもの、置換されていない芳香族化合物、又はアルキル部分に6個以下の炭素を有するアルキル化された芳香族化合物、例えばUS 5,174,887に開示されているものが含まれる。脂肪族アルコールは飽和又は不飽和であり得る。好適な芳香族化合物は、最大2つの芳香族環を有するものである。芳香族アルコールは、エチレンオキシドで誘導体化される前に最大20個の炭素原子を有する。このような脂肪族及び芳香族アルコールは、例えばスルフェート又はスルホネート基でさらに置換されてもよい。
【0068】
好ましい界面活性剤は、式S1のものである。
【0069】
【化1】
【0070】
式S1の化合物は、ポリアミンスターターを1つ以上のC~Cアルキレンオキシドと反応させてそれぞれのアミンベースの抑制剤を形成することにより製造されてもよい。
【0071】
一般的には、sは1~6の整数であり得る。好ましくは、sは1~4の整数であり、最も好ましくは、sは1又は2である。
【0072】
S1及びXS2は、ポリアミンスターター内の二価のスペーサー基である。それらは、独立して、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルから選択されてもよい。このようなアルカンジイルスペーサーは、置換されていないが、任意にO又はSによって中断されてもよい。XS1及びXS2は、同一又は異なり、好ましくは同一であり得る。第1の好ましい実施態様では、XS1及びXS2は、C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはメタンジイル、エタンジイル又はプロパンジイルである。第2の好ましい実施態様では、ヘテロ原子が存在し、XS1及びXS2は、-(CHR41-[Q-(CHR41-(式中、QはO又はSから選択され、q+r・vはスペーサー中のC原子の数である)であり得る。Q=O、かつq=r=1又は2のスペーサーが特に好ましい。
【0073】
S11は、式-(O-CH-CHRS41-ORS42(式中、mは、2~250、好ましくは3~120、最も好ましくは10~65の整数である)の一価基である。RS11は、1つ以上のアルキレンオキシドのポリアルコキシル化により製造されるので、本明細書において「ポリアルキレンオキシド」又は「ポリオキシアルキレン」とも称される。RS41は、H及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから、好ましくはH及び直鎖又は分岐状C~Cアルキルから、より好ましくはH、メチル、エチル及びn-プロピルから、最も好ましくはH又はメチルから選択される。RS42は、H、及び任意にヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルに置換されてもよい直鎖又は分岐状C~C20アルキルから、好ましくはH及び直鎖又は分岐状C~C10アルキルから、より好ましくはH及びメチル、エチル、プロピル又はブチルから選択され、最も好ましくはHである。
【0074】
一般的には、RS12、RS13、RS14は、独立して、H、RS11及びRS40から、好ましくはRS11及びRS40から、最も好ましくはRS11から選択される。
【0075】
S40は直鎖又は分岐状C~C20アルキルである。RS40は、好ましくはC~C10アルキル、さらにより好ましくはC~Cアルキル、最も好ましくはメチル、エチル又はプロピルである。
【0076】
S42は、任意にヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルに置換されてもよい直鎖又は分岐状C~C20アルキルである。好ましくは、RS42は、置換されていない直鎖又は分岐状C~C20アルキルである。
【0077】
一般的には、RS15は、H、RS11、RS40、及び-XS4-N(RS21(式中、RS21は、RS11及びRS40から、好ましくはRS11から選択される)から選択される。
【0078】
好ましい実施態様において、RS15は、RS11及び-XS4-N(RS21から選択される。他の好ましい実施態様において、RS15は、RS40及び-XS4-N(RS21から選択される。
【0079】
一実施態様において、XS4は、直鎖又は分岐状C~C12アルカンジイルである。XS4は、好ましくはC~Cアルカンジイル、より好ましくはメタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル又はブタンジイル、最も好ましくはメタンジイル又はエタンジイルである。
【0080】
他の実施態様において、XS4は、式-(O-CH-CHRS41-のC~Cポリオキシアルキレン基(以下、ポリアルキレンオキシド基とも称する)から選択される二価基である。ここでは、oは、1~250、好ましくは2~120、最も好ましくは5~65の整数であり得る。C~Cポリオキシアルキレン基は、1つ以上のそれぞれのアルキレンオキシドから製造される。好ましくは、少なくとも1つのC~Cポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン(エチレンオキシドから製造される)、ポリオキシプロピレン(プロピレンオキシドから製造される)、及びポリオキシブチレン(ブチレンオキシドから製造される)から選択される。より好ましくは、XS4におけるポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシドと、少なくとも1つのさらなるC~Cアルキレンオキシドとのコポリマーである。さらなるアルキレンオキシドは、好ましくは、プロピレンオキシド及び1,2-ブチレンオキシド又はそれらの任意の異性体から選択される。他の好ましい実施態様において、C~Cアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド(PO)から選択される。この場合、EO/POコポリマー側鎖は、出発分子から生成される。エチレンオキシドと少なくとも1つのさらなるアルキレンオキシドとのこのようなコポリマーは、ランダム、ブロック、交互、又は任意の他の配置を有し得る。
【0081】
本明細書で使用される「ランダム」は、コモノマーが混合物から重合され、したがってそれらの共重合パラメーターに応じて統計的な方法で配置されることを意味する。
【0082】
本明細書で使用される「ブロック」は、コモノマーが互いに重合されて、任意の所定の順序でそれぞれのコモノマーのブロックを形成することを意味する。例えば、EO及びプロピレンオキシド(PO)コモノマーにおいて、このようなブロックは、-EO-PO、-PO-EO、-EO-PO-EO、-PO-EO-POなど(これらに限定されない)であり得る。好ましいブロック型アルキレンオキシドは、-PO-EO及び-EO-PO-EO(式中、xは2~300の範囲であり、yは2~300の範囲であり、zは2~300の範囲である)である。
【0083】
好ましい実施態様では、末端エチレンオキシドブロックを含むブロック-PO-EO又は-EO-PO-EOコポリマーを使用し、ここで、PO単位が別のC~Cアルキレンオキシドに置き換えられてもよい。
【0084】
エチレンオキシド(EO)とさらなるC~Cアルキレンオキシドとのコポリマーを使用する場合、EO含有量は、一般に3~95質量%である。EO含有量は、好ましくは5~80質量%、より好ましくは5~60質量%、さらにより好ましくは50質量%未満、さらにより好ましくは40質量%未満、さらにより好ましくは5~40質量%、さらにより好ましくは5~30質量%、さらにより好ましくは6~25質量%、最も好ましくは8~20質量%である。
【0085】
抑制剤の分子量Mは、一般に約500~約30000g/mol、好ましくは2000~15000g/molであり得る。一実施態様において、抑制剤の分子量Mは、約500~約8000g/mol、最も好ましくは約1500~約3500g/molである。他の実施態様において、抑制剤の分子量Mは、約5000~約20000g/mol、特に約6000~約15000g/molである。
【0086】
第1の好ましい実施態様において、式Iの化合物を使用し、式中、sは1、2又は3、最も好ましくは1又は2であり、RS12、RS13、RS14及びRS15は、独立して、C~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択される。このような化合物は、対称ジアルキレントリアミン、トリアルキレンテトラアミン、テトラアルキレンペンタアミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、メチルジエチレントリアミン、ジメチルトリエチレンテトラアミンなど(これらに限定されない)から開始することにより製造することができる。
【0087】
第2の好ましい実施態様において、式Iの化合物を使用し、式中、sは1、2又は3、最も好ましくは1又は2であり、RS12、RS13、RS14は、独立して、C~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択され、RS15はXS4-N(RS11から選択される。このようにして、分岐がより多いポリオキシアルキレン抑制剤が得られる。このような化合物は、分岐状アミンスターター、例えばトリスアミノエチルアミンなど(こられに限定されない)から開始することにより製造することができる。
【0088】
第3の好ましい実施態様において、nは1、2又は3、最も好ましくは1又は2であり、RS12、RS13及びRS14は、C~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択され、RS15はRS40及び-XS4-N(RS40から選択される。このようにして、ポリオキシアルキレン側鎖に加えて、1個以上のアルキル置換基も含む、直鎖又は分岐状抑制剤が得られる。このような化合物は、上記の直鎖アミン(ここで、第2級アミン基(単数又は複数)がアルキル置換される)から開始するか、又は1個以上のアミン基がアルキル置換される分岐状アミン、例えばトリスアルキルアミノエチルアミンなど(これらに限定されない)から開始することにより製造することができる。
【0089】
第4の好ましい実施態様において、sは1、2又は3、好ましくは1又は2、最も好ましくは1であり、RS12はRS11から選択され、RS13及びRS14はRS40から選択され、RS15はRS21から選択される。このような化合物は、対称的にアルキル置換されたジアルキレントリアミン又はトリアルキレンテトラアミン、例えばN,N-ジメチルジエチレントリアミン、N,N,N-トリメチルジエチレントリアミンなど(これらに限定されない)から開始することにより製造することができる。
【0090】
第5の好ましい実施態様において、nは1、2又は3、好ましくは1又は2、最も好ましくは1であり、RS13はRS11から選択され、RS12及びRS14の少なくとも1つはRS40から選択され、RS15はRS21から選択される。このような化合物は、不斉ジアルキレントリアミン又はトリアルキレンテトラアミン、例えば1-N-メチルジエチレントリアミン、1,3-N-ジメチルジエチレントリアミンなど(これらに限定されない)から開始することにより製造することができる。
【0091】
特に好ましい実施態様において、式Iの抑制剤は、以下のものである:
(a)XS1及びXS2はエタンジイル又はプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13、RS14及びRS15はポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-コ-オキシプロピレンのポリマーであるもの、
(b)XS1及びXS2はエタンジイル又はプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13及びRS14はポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-コ-オキシプロピレンのポリマーであり、RS15はC~Cアルキル又はポリオキシアルキレン置換のC~Cアルキルであるもの、及び
(c)XS1及びXS2はエタンジイル又はプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13及びRS14はポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-コ-オキシプロピレンのポリマーであり、RS15はポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-コ-オキシプロピレンのポリマーでさらに置換されるC~Cアミンであるもの。
【0092】
レベラー
1種以上のレベラーがスズ又はスズ合金メッキ浴中に存在してもよい。
【0093】
レベラーのクラスには、式L1の構造単位を含む直鎖又は分岐状ポリイミダゾリウム化合物がある。
【0094】
【化2】
【0095】
一般的には、RL1及びRL2は、H原子、又は1~20個の炭素原子を有する有機ラジカルであり得る。このラジカルは、分岐状又は非分岐状であるか、又は例えば、ポリマーイミダゾリウム化合物のさらなる架橋に寄与することができる官能基を含むことができる。好ましくは、RL1及びRL2はそれぞれ、互いに独立して、水素原子、又は1~6個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである。最も好ましくは、RL1及びRL2はH原子である。
【0096】
一般的には、RL3は、H原子、又は1~20個の炭素原子を有する有機ラジカルであり得る。好ましくは、RL3は、H原子、又はメチル、エチル又はプロピルである。最も好ましくは、RL3はH原子である。
【0097】
一般的には、XL1は、分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体を1つ以上含むことができる、C~C20アルカンジイルから選択された直鎖、分岐状又は環状脂肪族ジラジカルであり得る。
【0098】
本明細書で使用される「分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体」は、それぞれのスペーサー基XL1が、ポリイミダゾール分岐が開始される、1個以上、好ましくは1個又は2個の基を含むことを意味する。好ましくは、XL1は分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体を含まない、すなわち、ポリイミダゾリウム化合物は直鎖ポリマーである。
【0099】
第1の実施態様において、XL1は、置換されていないか、又はORL4、NRL4 及びS(式中、RL4はC~Cアルキル基である)に置換されている、C~C14アルカンジイル、最も好ましくはC~C12アルカンジイルである。特定の実施態様において、XL1は、任意の官能基を含まない純粋な炭化水素ラジカルである。
【0100】
特に好ましい基XL1は、置換されていないか、又はORL4、NRL4に置換されている、直鎖又は分岐状ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル、デカンジイル、ウンデカンジイル及びドデカンジイルから選択される。特に好ましい基XL1は、直鎖ブタンジイル、ヘキサンジイル及びオクタンジイルから選択される。
【0101】
第2の実施態様において、基XL1は、式
【化3】
(式中、XL2は、独立して、O及びNRL4から選択された1つ又は2つによって中断することができる、C~Cアルカンジイルから選択され、
L3は、独立して、(a)化学結合、又は(b)O又はNRL4によって中断することができるC~Cアルカンジイルから選択され、
L4はC~Cアルキル基である)
の環状アルカンジイルであり得る。
【0102】
本明細書で使用される「化学結合」は、それぞれの部分が存在しないが、隣接する部分が、これらの隣接する部分の間に直接化学結合を形成するように架橋されていることを意味する。例えば、X-Y-Zにおいて部分Yが化学結合である場合、隣接する部分X及びZが一緒に基X-Zを形成する。
【0103】
L2又はXL3のいずれか、又はXL2及びXL3の両方は、分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体を1つ以上含み得、好ましくは、Xのみがこのような分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体を含み得る。
【0104】
この第2の実施態様において、最も好ましくは、1つのXL2はメタンジイルから選択され、もう一つのXL2はプロパンジイルから選択されるか、又は両方のXL2はエタンジイルから選択される。特に好ましくは、基XL1は、イソホロンジアミン、ビスシクロヘキシルジアミノメタン、及びメチル-シクロヘキシル-ジアミン(MDACH)から選択される。
【0105】
第3の実施態様において、XL1は、YL2-YL1-YL2から選択される(ヘテロ)アリールアルキルジラジカルであり得る。ここでは、YL1はC~C20アリール基であり得、YL2は、独立して、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルから選択されてもよい。またここでは、YL1及びYL2の両方が分岐によるイミダゾリウム化合物の連続体を1つ以上含み得る。
【0106】
好ましい基YL1は、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、及びフラニル、最も好ましくはフェニルから選択される。好ましい基YL2は、直鎖又は分岐状C~Cアルカンジイルから、好ましくはメタンジイル、エタンジイル、1,3-プロパンジイル及び1,4-ブタンジイルから選択される。
【0107】
有機ラジカルXL1は、炭素及び水素だけでなく、官能基、例えばヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、芳香族複素環、一級、二級、又は三級アミノ基又はイミノ基の形態で、酸素、窒素、硫黄又はハロゲンなどのヘテロ原子を含んでもよい。
【0108】
特に、有機ラジカルXL1は、ヘテロ原子を含む官能基、特にエーテル基によって置換又は中断される炭化水素ジラジカルであり得る。置換されている場合、XL1は任意のヒドロキシル基を含まないことが好ましい。
【0109】
Iは、一般に2~約5000、好ましくは約5~約3000、さらにより好ましくは約8~約1000、さらにより好ましくは約10~約300、さらにより好ましくは約15~約250、最も好ましくは約25~約150の整数であり得る。
【0110】
添加剤の質量平均分子量Mは、一般に500g/mol~1,000,000g/mol、好ましくは1000g/mol~500,000g/mol、より好ましくは1500g/mol~100,000g/mol、さらにより好ましくは2,000g/mol~50,000g/mol、さらにより好ましくは3,000g/mol~40,000g/mol、最も好ましくは5,000g/mol~25,000g/molであり得る。
【0111】
好ましくは、少なくとも1種の添加剤は、対イオンYo-(式中、oは、添加剤全体が電気的に中性になるように選択された正の整数である)を含む。好ましくは、oは1、2又は3である。最も好ましくは、対イオンYo-は、クロリド、スルフェート、メタンスルホネート又はアセテートから選択される。
【0112】
好ましくは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されたポリマーイミダゾリウム化合物の数平均分子量Mは、500g/molを超える。
【0113】
好ましくは、ポリマーイミダゾリウム化合物は、80質量%を超える式L1の構造単位を含み得る。
【0114】
詳細及び代替案は、それぞれ、参照により本明細書に組み込まれている、未公開の欧州特許出願第17173987.3号、特許公開第WO 2016/020216号及び国際特許出願第PCT/EP 2017/050054号に記載されている。
【0115】
他の好適なレベリング剤には、これらに限定されないが、ポリアミノアミド及びその誘導体、ポリアルカノールアミン及びその誘導体、ポリエチレンイミン及びその誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-コ-ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、アミン、エピクロロヒドリン、及びポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンとポリエポキシドとの反応生成物、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、又はそれらのコポリマー、ニグロシン、ペンタメチル-パラ-ローザニリンヒドロハライド、ヘキサメチル-パラローザニリンヒドロハライド、又は式N-R-S(式中、Rは、置換アルキル、非置換アルキル、置換アリール又は非置換アリールである)の官能基を含有する化合物が含まれる。典型的には、アルキル基には、C~Cアルキル、及び好ましくはC~Cアルキルである。一般的には、アリール基は、C~C20アリール、好ましくはC~C12アリールが含まれる。このようなアリール基は、ヘテロ原子、例えば硫黄、窒素及び酸素をさらに含んでもよい。アリール基がフェニル又はナフチルであることが好ましい。式N-R-Sの官能基を含有する化合物は、一般に知られており、一般に市販されており、さらに精製することなく使用することができる。
【0116】
このようなN-R-S官能基を含有する化合物において、硫黄(「S」)及び/又は窒素(「N」)は、単結合又は二重結合でこのような化合物と結合することができる。硫黄が単結合でこのような化合物と結合される場合、硫黄は、もう一つの置換基、例えばC~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C20アリール、C~C12アルキルチオ、C~C12アルケニルチオ、C~C20アリールチオなど(これらに限定されない)を有する。同様に、窒素は、1個以上の置換基、例えば水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリールなど(これらに限定されない)を有する。N-R-S官能基は非環状又は環状であり得る。環状N-R-S官能基を含有する化合物は、環システム中に窒素又は硫黄のいずれか、又は窒素と硫黄の両方を有するものを含む。
【0117】
さらなるレベリング剤は、未公開の国際特許出願第PCT/EP2009/066581号に記載されているトリエタノールアミン縮合物である。
【0118】
一般的には、電気メッキ浴におけるレベリング剤の総量は、メッキ浴の総質量に基づいて0.5ppm~10000ppmである。本発明によるレベリング剤は、典型的に、メッキ浴の総質量に基づいて約100ppm~約10000ppmの総量で使用されるが、より多い又はより少ない量が使用されてもよい。
【0119】
結晶粒微細化剤
スズ又はスズ合金電気メッキ浴は、結晶粒微細化剤をさらに含有し得る。結晶粒微細化剤は、式G1又はG2、
【化4】
(式中、それぞれのRは、独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ又はハロゲンであり;R及びRは、独立して、H及びC~Cアルキルから選択され;Rは、H、OH、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシであり;mは0~2の整数であり;それぞれのRは、独立して、C~Cアルキルであり;それぞれのRは、独立して、H、OH、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシから選択され;nは1又は2であり;pは0、1又は2である)
の化合物から選択されてもよい。
【0120】
好ましくは、それぞれのRは、独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、又はヒドロキシ、より好ましくはC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、又はヒドロキシである。R及びRは、独立して、H及びC~Cアルキル、より好ましくはH及びメチルから選択されることが好ましい。好ましくは、Rは、H、OH、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシ、より好ましくはH、OH、又はC~Cアルキルである。Rは、C~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキルであることが好ましい。それぞれのRは、好ましくはH、OH、又はC~Cアルキル、より好ましくはH、OH、又はC~Cアルキル、さらにより好ましくはH又はOHから選択される。mが0又は1であることが好ましく、より好ましくはmは0である。好ましくは、nは1である。pが0又は1であることが好ましく、より好ましくはpは0である。第1の結晶粒微細化剤の混合物、例えば2種の異なる式1の結晶粒微細化剤、2種の異なる式2の結晶粒微細化剤、又は式1の結晶粒微細化剤と式2の結晶粒微細化剤との混合物を使用し得る。
【0121】
そのような結晶粒微細化剤として有用な例示的な化合物には、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンザルアセトン、ピコリン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジンカルボキサルデヒド、ピリジンジカルボキサルデヒド、又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましい結晶粒微細化剤には、ベンザアセトン、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンジルピリジン-3-カルボキシレート、及び1,10-フェナントロリンが含まれる。
【0122】
さらなる結晶粒微細化剤は、α,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物から選択される。好適なα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物には、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和アミド、及びα,β-不飽和アルデヒドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、このような結晶粒微細化剤は、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、及びα,β-不飽和アルデヒド、より好ましくはα,β-不飽和カルボン酸、及びα,β-不飽和アルデヒドから選択される。例示的なα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、C~C6アルキルメタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C~Cアルキルクロトネート、クロトンアミド、クロトンアルデヒド、(メタ)アクロレイン、又はそれらの混合物が含まれる。好ましいα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、クロトンアルデヒド、(メタ)アクリルアルデヒド又はそれらの混合物である。
【0123】
一実施態様において、結晶粒微細化剤は、0.0001~0.045g/lの量で、メッキ浴中に存在し得る。好ましくは、結晶粒微細化剤は、0.0001~0.04g/lの量で、より好ましくは0.0001~0.035g/l、さらにより好ましくは0.0001~0.03g/lの量で存在する。第1の結晶粒微細化剤として有用な化合物は、一般に様々な供給元から市販されており、そのまま使用されるか、又はさらに精製されてもよい。
【0124】
他のより好ましい実施態様において、スズ又はスズ合金電気メッキのための組成物は単一の結晶粒微細化剤、より好ましくはα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物ではない単一の結晶粒微細化剤を含み、最も好ましくは結晶粒微細化剤を本質的に含まないか、又は結晶粒微細化剤を完全に含まない。驚いたことには、特に50μm未満の開口サイズを有する凹型機構(recessed features)を充填する場合、結晶粒微細化剤を使用する必要はないが、抑制剤は結晶粒微細化剤を使用せずに良好な共平面性をもたらすことが見出された。
【0125】
本発明の組成物は、任意に、さらなる添加剤、例えば酸化防止剤、有機溶媒、錯化剤、及びそれらの混合物を含んでもよい。
【0126】
酸化防止剤
スズを可溶性の二価状態に保つことを助けるために、任意に、酸化防止剤を本発明の組成物に添加することができる。1種以上の酸化防止剤を本発明の組成物に使用することが好ましい。例示的な酸化防止剤には、ヒドロキノン、及びそのような芳香族化合物のスルホン酸誘導体を含むヒドロキシル化及び/又はアルコキシル化芳香族化合物(これらに限定されない)が含まれ、好ましくは、ヒドロキノン;メチルヒドロキノン;レゾルシノール;カテコール;1,2,3-トリヒドロキシベンゼン;1,2-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸;1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸;1,4-ジヒドロキシベンゼン-2-スルホン酸;1,4-ジヒドロキシベンゼン-2,5-ジスルホン酸;2,4-ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、及びp-メトキシフェノールである。このような酸化防止剤は、US 4,871,429に開示されている。他の好適な酸化防止剤又は還元剤には、バナジウム化合物、例えばバナジルアセチルアセトナート、バナジウムトリアセチルアセトナート、バナジウムハライド、バナジウムオキシハライド、バナジウムアルコキシド及びバナジルアルコキシドが含まれるが、これらに限定されない。このような還元剤の濃度は、当業者によく知られているが、典型的に0.1~10g/l、好ましくは1~5g/lの範囲である。このような酸化防止剤は、一般に、様々な供給元から市販されている。
【0127】
電解質
一般的には、本明細書に使用される「水性」は、本発明の電気メッキ組成物が少なくとも50%の水を含む溶媒を含むことを意味する。好ましくは、「水性」は、組成物の大部分が水であり、より好ましくは溶媒の90%が水であり、最も好ましくは溶媒が本質的に水からなることを意味する。任意のタイプの水、例えば蒸留水、脱イオン水又は水道水を使用することができる。
【0128】
スズ
スズイオン源は、電気メッキ浴に十分な量で堆積される金属イオンを放出することができる、すなわち、電気メッキ浴に少なくとも部分的に溶解することができる任意の化合物であり得る。金属イオン源がメッキ浴に溶解することができることが好ましい。好適な金属イオン源は、金属塩であり、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属フルオロホウ酸塩、金属アルキルスルホン酸塩、金属アリールスルホン酸塩、金属スルファメート、金属グルコン酸塩などを含むが、これらに限定されない。
【0129】
金属イオン源は、本発明において、基材上に電気メッキするのに十分な金属イオンを提供する任意の量で使用することができる。金属がスズのみである場合、スズ塩は、典型的に、メッキ液の約1~約300g/lの範囲の量で存在する。好ましい実施態様において、メッキ液は鉛を含まない、すなわち、それらは、1質量%、より好ましくは0.5質量%未満、さらにより好ましくは0.2質量%未満の鉛を含有し、さらにより好ましくは鉛を含まない。他の好ましい実施態様において、メッキ液は本質的に銅を含まない、すなわち、それらは、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、さらにより好ましくは0.01質量%未満の銅を含有し、さらにより好ましくは銅を含まない。
【0130】

スズに加えて、本発明によるメッキ浴は、銀イオン及び任意に1種以上の他の合金金属イオンを含有する。好適な合金金属には、金、銅、ビスマス、インジウム、亜鉛、アンチモン、マンガン及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましい合金金属は、銅、ビスマス、インジウム及びそれらの混合物である。銀及び他の合金金属(まとめて合金金属と称される)の任意の浴に可溶性である塩は、銀及び他の合金金属イオンの合金源として適切に使用することができる。このような合金金属塩の例には、金属酸化物;金属ハロゲン化物;金属フルオロホウ酸塩;金属硫酸塩;金属アルカンスルホン酸塩、例えば金属メタンスルホン酸塩、金属エタンスルホン酸塩及び金属プロパンスルホン酸塩;金属アリールスルホン酸塩、例えば金属フェニルスルホン酸塩、金属トルエンスルホン酸塩、及び金属フェノールスルホン酸塩;金属カルボン酸塩、例えば金属グルコン酸塩及び金属酢酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい合金金属塩は、金属硫酸塩;金属アルカンスルホン酸塩;及び金属アリールスルホン酸塩である。銀を本発明の組成物に添加する場合、二元合金堆積が達成される。2種、3種又はより多くの異なる合金金属を本発明の組成物に添加する場合、三元、四元又はより多元の合金堆積が達成される。本発明の組成物に使用されるこのような合金金属の量は、所望の特定のスズ合金に依存する。合金金属のこのような量の選択は、当業者の能力の範囲内である。当業者には、銀以外の特定の合金金属が使用される場合、本発明による錯化剤以外の追加の錯化剤が必要とされることが理解される。
【0131】
本発明の電気メッキ組成物は、スズ-銀含有層の堆積に適している。スズ合金層の例には、スズ-銀-銅、スズ-銀-インジウム、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-銅-アンチモン、スズ-銀-銅-マンガン、スズ-銀-亜鉛-銅、及びスズ-銀-インジウム-ビスマスが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の電気メッキ組成物は、純粋なスズ-銀、スズ-銀-銅、スズ-インジウム、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-インジウム、及びスズ-銀-インジウム-ビスマス、より好ましくは純粋なスズ-銀を堆積させる。
【0132】
本発明の電気メッキ浴から堆積される銀合金は、原子吸光分析(AAS)、蛍光X線(XRF)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)のいずれかによって測定されるように、合金の質量に基づいて、0.01~99.99質量%の範囲の量のスズ、及び99.99~0.01質量%の範囲の量の1種の銀及び任意に他の合金金属を含有する。好ましくは、本発明を使用して堆積されるスズ-銀合金は、90~99.99質量%のスズ、及び0.01~10質量%の銀及び任意の他の合金金属を含有する。より好ましくは、スズ-銀合金堆積は、95~99.9質量%のスズ、及び0.1~5質量%の銀及び任意の他の合金金属を含有する。スズ-銀合金は、好ましいスズ-合金堆積であり、好ましくは90~99.9質量%のスズ、及び10~0.1質量%の銀を含有する。より好ましくは、スズ-銀合金堆積は、95~99.9質量%のスズ、及び5~0.1質量%の銀を含有する。多くの用途では、合金の共晶組成物を使用することができる。本発明により堆積される合金は実質的に鉛を含まない、すなわち、それらは、1質量%、より好ましくは0.5質量%未満、さらにより好ましくは0.2質量%未満の鉛を含み、さらにより好ましくは鉛を含まない。
【0133】

一般的には、金属イオン源及び少なくとも1種の錯化剤に加えて、本発明の金属電気メッキ組成物は、好ましくは、電解質、換言すれば、酸性又はアルカリ性電解質、1種以上の金属イオン源、任意にハロゲン化物イオン、及び任意に他の添加剤、例えば界面活性剤及び結晶粒微細化剤を含む。このような浴は、典型的に水性である。水は、広い範囲の量で存在し得る。任意のタイプの水、例えば蒸留水、脱イオン水又は水道水を使用することができる。
【0134】
好ましくは、本発明のメッキ浴は酸性である、すなわち、それらは7未満のpHを有する。典型的には、スズ又はスズ合金電気メッキ組成物のpHは、4未満、好ましくは3未満、最も好ましくは2未満である。
【0135】
本発明の電気メッキ浴は、成分を任意の順序で組み合わせることによって製造することができる。金属塩、水、電解質などの無機成分を最初に浴容器に添加し、次に界面活性剤、結晶粒微細化剤、レベラーなどの有機成分を添加することが好ましい。
【0136】
典型的には、本発明のメッキ浴は、10から65℃以上の任意の温度で使用することができる。メッキ浴の温度は10~35℃であることが好ましく、より好ましくは15℃~30℃である。
【0137】
好適な電解質には、例えば、硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えばフェニルスルホン酸及びトルエンスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ナトリウムヒドロキシド、カリウムヒドロキシドなどが含まれるが、これらに限定されない。酸は、典型的に、約1~約300g/lの範囲の量で存在する。
【0138】
一実施態様において、少なくとも1種の添加剤は、メタンスルホネート、スルフェート又はアセテートから選択される対イオンYo-(式中、oは正の整数である)を含む。
【0139】
利用
本発明のメッキ組成物は、スズ含有層が望まれ、特に複数の導電性ボンディングフィーチャ(bonding features)を含む半導体ウェーハ上にスズ含有はんだ層を堆積する様々なメッキ方法に有用である。メッキ方法には、水平又は垂直ウェーハメッキ、バレルメッキ、ラックメッキ、高速メッキ、例えばリールツーリール及びジェットメッキ、及びラックレスメッキ、好ましくは水平又は垂直ウェーハメッキが含まれるが、これらに限定されない。本発明によれば、多種多様な基材にスズ含有堆積をメッキすることができる。メッキされる基材は、導電性であり、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル-鉄含有材料を含み得る。このような基材は、電子部品、例えば(a)鉛フレーム、コネクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗器、及び半導体パッケージ、(b)回路基板などのプラスチック、及び(c)半導体ウェーハの形態であり得る。好ましくは、基材は半導体ウェーハである。したがって、本発明は、半導体ウェーハ上にスズ含有層を堆積する方法も提供し、この方法は、複数の導電性ボンディングフィーチャを含む半導体ウェーハを提供することと;この半導体ウェーハを上記の組成物と接触させることと;十分な電流密度を印加して導電性ボンディングフィーチャ上にスズ含有層を堆積することとを含む。好ましくは、ボンディングフィーチャは、純銅層、銅合金層、又は銅を含む任意の相互接続構造の形態であり得る銅を含む。銅ピラーは、1つの好ましい導電性ボンディングフィーチャである。任意に、銅ピラーはニッケル層などの上部金属層を含み得る。導電性ボンディングフィーチャが上部金属層を有する場合、純スズはんだ層は、ボンディングフィーチャの上部の金属層に堆積される。導電性ボンディングフィーチャ、例えばボンディングパッド、銅ピラーなどは、当技術分野において周知であり、例えばUS 7,781,325、US 2008/0054459 A、US 2008/0296761 A、及びUS 2006/0094226 Aに記載されている。
【0140】
方法
一般的には、本発明を使用して基材上にスズ合金を堆積させる場合、使用中にメッキ浴を攪拌する。任意の好適な撹拌方法は本発明で使用することができ、このような方法は当技術分野において周知である。好適な撹拌方法には、不活性ガス又は空気散布、ワークピース攪拌、インピンジメントなどが含まれるが、これらに限定されない。このような方法は、当業者に知られている。本発明を使用してウェーハなどの集積回路基板をメッキする場合、ウェーハは、例えば1~150RPMで回転させることができ、メッキ液は、例えばポンピング又はスプレーによって回転ウェーハと接触させる。別の方法では、メッキ浴の流れが所望の金属堆積を提供するのに十分である場合、ウェーハを回転させる必要はない。
【0141】
本発明によれば、スズ合金は、金属堆積中に実質的にボイドを形成することなく、くぼみに堆積される。「実質的にボイドを形成することなく」という用語は、金属堆積中に、1000nm、好ましくは500nm、最も好ましくは100nmを超えるボイドがないことを意味する。
【0142】
半導体基材をメッキするためのメッキ装置は周知である。メッキ装置は、スズ又はスズ合金電解質を保持し、電解メッキ液に対して不活性なプラスチック又は他の材料などの好適な材料から作られる電気メッキタンクを含む。タンクは、特にウェーハメッキの場合、円筒形であり得る。カソードは、タンクの上部に水平に配置され、開口部を有するシリコンウェーハなどの任意のタイプの基材であり得る。
【0143】
これらの添加剤は、カソード液をアノード液から分離する膜(単数又は複数)の存在下又は非存在下で、可溶性及び不溶性のアノードと一緒に使用することができる。
【0144】
カソード基材及びアノードは、配線により、それぞれに電源に電気的に接続されている。直流又はパルス電流のためのカソード基材は正味の負電荷を持っているため、溶液中の金属イオンはカソード基材で還元され、カソード表面にメッキされた金属を形成する。酸化反応はアノードで起こる。カソード及びアノードは、タンク中で水平又は垂直に配置することができる。
【0145】
一般的には、スズ合金バンプを製造する場合、フォトレジスト層を半導体ウェーハに適用し、続いて標準的なフォトリソグラフィー露光及び現像技術を適用して、その中に開口部又はビアを有するパターン化されたフォトレジスト層(又はメッキマスク)を形成する。メッキマスクの寸法(メッキマスクの厚さ及びパターンの開口部のサイズ)は、I/Oパッド及びUBM上に堆積されるスズ又はスズ合金層のサイズ及び位置を定義する。このような堆積の直径は、典型的に1~300μmの範囲、好ましくは2~100μmの範囲である。
【0146】
すべてのパーセント、ppm、又は同等の値は、特に明記されていない限り、それぞれの組成物の総質量に対する質量に関する。引用されたすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0147】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明をさらに説明するものである。
【実施例
【0148】
実施例1:錯化剤の製造
実施例1.1:1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタン
【化5】
【0149】
200mlのイソ-プロパノール中の346.8gの2-ビニルピリジンの溶液に、不活性雰囲気下50℃で153.8gの1,2-エタンジチオールを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で7時間撹拌した後、温度を60℃に低下させた。次に、温かい溶液を1000mlの10℃の冷石油エーテル中で撹拌した。沈殿物を濾別し、35℃で真空乾燥して、417.3gの1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタンを無色の固体として得た(mp.48.9~49.4℃;GCによる分析99.5%)。
【0150】
実施例1.2:1,9-ビス-(3-ピリジル)-2,5,8-トリチアノナン
【化6】
【0151】
不活性雰囲気下で、エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.3gを0~5℃で20mlの乾燥エタノール中に入れた。次に、1.71gのビス-(2-メルカプトエチル)-スルフィドを0~4℃で添加し、続いて50mlのエタノール及び3滴の水中の5.20gの3-(ブロモメチル)-ピリジンヒドロブロミド溶液を-8~4℃で添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残留物を30mlのジクロロメタンで希釈し、30mlの水で抽出した。水相を再び30mlのジクロロメタンでそれぞれ4回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのシクロヘキサン及び酢酸エチルを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、2.3gの1,9-ビス-(3-ピリジル)-2,5,8-トリチアノナンを淡黄色の油として得た(mp 55.3℃~55.6℃、C-NMRによる分析>95%)。
【0152】
実施例1.3:1,13-ビス(2-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン
【化7】
【0153】
不活性雰囲気下で、エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.3gを0~5℃で20mlの乾燥エタノール中に入れた。次に、1.94mlの3,7-ジチア-ノナン-1,9-ジチオールを0~4℃で添加し、続いて50mlの乾燥エタノール中の3.28gの2-(クロロメチル)-ピリジンヒドロクロリドの溶液を-8~4℃で添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残留物を50mlのジクロロメタンで希釈し、50mlの水で抽出した。水相を再び50mlのジクロロメタンでそれぞれ3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、3.81gの1,9-ビス(2-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカンを茶色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0154】
実施例1.4:(2R,3R)-1,4-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール/(2S,3S)-1,4-ビス[2-(2-ピリジル)-エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール
【化8】
【0155】
50mlのエタノール中の1.54gのDL-ジチオスレイトールの溶液に2.17gの2-ビニルピリジンを添加し、反応混合物を加熱して7時間還流させた。次に、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を真空で濃縮して、3.7gの1,4-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール(DL)を、室温まで冷却すると固形化する粘稠な油として得た(mp.92.8~93.4℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0156】
実施例1.5:1,6-ビス(2-メチルピリジル)-メソ-ジチオエリスリトール
【化9】
【0157】
不活性雰囲気下で、20mlの乾燥エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.30gに、10分以内に0~5℃で1.54gのメソ-ジチオエリスリトールを添加した。次に、50mlの乾燥エタノール中の3.28gの2-(クロロメチル)-ピリジンヒドロクロリドの溶液を-5~5℃で添加した。添加が終了したら、反応混合物を室温にし、室温で一晩撹拌し、真空で濃縮した。残留物を50mlのジクロロメタンで希釈し、50mlの水で抽出した。水相を再び50mlのジクロロメタンでそれぞれ3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、3.5gの1,6-ビス(2-メチルピリジル)-メソ-ジチオエリスリトールをベージュ色の固体として得た(mp.101.5~102.3℃;C-NMRによる分析90~95%)。
【0158】
実施例1.6:1,11-ビス(2-ピリジル)-6-オキサ-3,9-ジチアウンデカン
【化10】
【0159】
170mlのイソ-プロパノール中の173.4gの2-ビニルピリジンの溶液に、不活性雰囲気下で116.4gのジ-(2-メルカプトエチル)-エーテルを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮した。次に、粗生成物を毎回150mlの石油エーテルで3回洗浄して、289.9gの1,11-ビス(2-ピリジル)-6-オキサ-3,9-ジチアウンデカンを茶色っぽい粘稠な油として得た(GCによる分析97.6%)。
【0160】
実施例1.7:1,8-ビス(4-ピリジル)-3,6-ジチアオクタン
【化11】
【0161】
40mlのイソ-プロパノール中の9.42gの1,2-エタンジチオールの溶液に、不活性雰囲気下で21.68gの4-ビニルピリジンを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で一晩撹拌した後、温度を室温に低下させ、反応混合物を真空で濃縮した。次に、残留物を150mlmの石油エーテル中で撹拌した。沈殿物を濾別し、35℃で真空乾燥して、30.3gの1,8-ビス(4-ピリジル)-3,6-ジチアオクタンをベージュ色の固体として得た(mp.69.5~70℃;GCによる分析99.5%)。
【0162】
実施例1.8:1,14-ビス(2-ピリジル)-6,9-ジオキサ-3,12-ジチアテトラデカン
【化12】
【0163】
170mlのイソ-プロパノール中の173.4gの2-ビニルピリジンの溶液に、不活性雰囲気下で153.5gの3,6-ジオキサ-1,8-オクタン-ジチオールを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、それぞれ100mlの石油エーテルで3回洗浄し、再び真空で濃縮して、310.33gの1,14-ビス(2-ピリジル)-6,9-ジオキサ-3,12-ジチアテトラデカンを茶色っぽい粘稠な油として得た(GCによる分析96.4%)。
【0164】
実施例1.9:1,15-ビス(4-ピリジル)-3,6,10,13-テトラチアペンタデカン
【化13】
【0165】
50mlのイソ-プロパノール中の2.17gの4-ビニルピリジンの溶液に、2.28gの3,7-ジチア-ノナン-1,9-ジチオールを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で8.5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮した。溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって油性残留物を精製して(勾配での溶出)、3.4gの1,15-ビス(4-ピリジル)-3,6,10,13-テトラチアペンタデカンを無色の固体として得た(mp.54.5~56.2℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0166】
実施例1.10:(2R,3S)-1,4-ビス[2-(4-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオール
【化14】
【0167】
170mlのイソ-プロパノール中の177.1gの4-ビニルピリジンの溶液に、124.7gのメソ-ジチオエリスリトールを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を50℃まで冷却し、次に1500mlの15℃の冷水中に供給した。沈殿物を濾別し、60℃で真空乾燥して、284.4gの(2R,3S)-1,4-ビス[2-(4-ピリジル)エチルスルファニル]ブタン-2,3-ジオールを白色粉末として得た(mp.119.4~120.8℃;GCによる分析98.7%)。
【0168】
実施例1.11:1-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチル]イミダゾール
【化15】
【0169】
不活性雰囲気下で、79.8gのKOHを1200mlのエタノール中に溶解した。次に、25.9gの1,2-エタンチオールを添加した。室温で1時間撹拌した後、94.7gの1-(2-クロロエチル)-イミダゾールヒドロクロリドを添加した。反応混合物を加熱し、60℃で5.5時間撹拌した。室温まで冷却しながら、反応混合物を一晩撹拌した。真空で濃縮した後、残留物を250mlのジクロロメタンで希釈し、250mlの水で抽出した。水相を再び250mlのジクロロメタンでそれぞれ3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、49.5gの1-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチル]イミダゾールをベージュ色の固体として得た(mp.44.4~46.0℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0170】
実施例1.12:1-メチル-2-[2-[2-[2-(1-メチルピリジン-1-イウム-2-イル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウム;硫酸メチル
【化16】
【0171】
20mlのアセトニトリル中の4.56gの1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタンの溶液に2.84mlの硫酸ジメチルを添加した。次に、反応混合物を45℃で27時間撹拌し、撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を真空で濃縮して、8.4gの1-メチル-2-[2-[2-[2-(1-メチルピリジン-1-イウム-2-イル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウム;硫酸メチルを静置させたままで固形化した粘稠な油として得た(mp.46.4~47.9℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0172】
実施例1.13:1,13-ビス(3-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン
【化17】
【0173】
不活性雰囲気下で、エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.3gを0~5℃で20mlの乾燥エタノール中に入れた。次に、1.94mlの3,7-ジチア-ノナン-1,9-ジチオールを-4~4℃で添加し、続いて75mlのエタノール中の5.06gの3-(ブロモメチル)-ピリジンヒドロブロミド溶液を-4~5℃で添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残留物を50mlのジクロロメタンで希釈し、50mlの水で抽出した。水相を再び50mlのジクロロメタンでそれぞれ3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、2.26gの1,13-ビス(3-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカンを黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0174】
実施例1.14:1,13-ビス(4-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカン
【化18】
【0175】
不活性雰囲気下で、エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.3gを0~5℃で20mlの乾燥エタノール中に入れた。次に、1.94mlの3,7-ジチア-ノナン-1,9-ジチオールを-4~4℃で添加し、続いて0~4℃で50mlのエタノール中の3.28gの4-(クロロメチル)-ピリジンヒドクロリド溶液に3滴の水を添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残留物を50mlのジクロロメタンで希釈し、30mlの水で抽出した。水相を再び50mlのジクロロメタンでそれぞれ3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、2.40gの1,13-ビス(4-ピリジル)-2,5,9,12-テトラチアトリデカンを黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0176】
実施例1.15:1-[3-[2-[2-(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]プロピル]イミダゾール
【化19】
【0177】
20mlのイソ-プロパノール中の2.21mlの1-アリルイミダゾールの溶液に、1.31gの2,2’-チオジエタンチオール及び164mgのAIBNを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって油性残留物を精製して(勾配での溶出)、1.1gの1-[3-[2-[2-(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]プロピル]イミダゾールを無色の油として得た(C-NMRによる分析80~90%)。
【0178】
実施例1.16:(2S,3R)-1,4-ビス(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール
【化20】
【0179】
20mlのイソ-プロパノール中の2.21mlの1-アリルイミダゾールの溶液に、1.56gのメソ-ジチオエリスリトール及び164mgのAIBNを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で4.5時間撹拌した後、さらに164mgのAIBNを添加し、還流で撹拌を一晩続けた。次に、164mgのAIBNを添加し、還流で4時間撹拌した後、さらに164mgのAIBNを添加した。還流でさらに4時間撹拌した後、一晩撹拌しながら、反応混合物を室温まで冷却した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、1.7gの(2S,3R)-1,4-ビス(3-イミダゾール-1-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオールを淡黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析85~90%)。
【0180】
実施例1.17:(2R,3S)-1,4-ビス(2-モルホリノエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール
【化21】
【0181】
不活性雰囲気下で、エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液14.3gを0~5℃で20mlの乾燥エタノール中に入れた。次に、1.54gのメソ-ジチオエリスリトールを0~4℃で添加し、続いて50mlの乾燥エタノール中の3.72gの4-(2-クロロエチル)モルホリンヒドロクロリドの溶液を-7~4℃で添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残留物を50mlのジクロロメタンで希釈し、50mlの水で抽出した。水相を再びジクロロメタンで4回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し(勾配での溶出)、1.9gの(2R,3S)-1,4-ビス(2-モルホリノエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオールを淡黄色っぽい油として得た(mp.88.0~89.1℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0182】
実施例1.18:(2R,3S)-1,4-ビス(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール
【化22】
【0183】
20mlのイソ-プロパノール中の1.56gのメソ-ジチオエリスリトールの溶液に、不活性雰囲気下で1.85mlの1-ビニルイミダゾール及び164mgのAIBNを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で6時間撹拌した後、撹拌を室温で一晩続けた。沈殿した生成物を濾別し、石油エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、2.66gの(2R,3S)-1,4-ビス(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオールを淡黄色の固体として得た(mp.135.4~140.8℃;C-NMRによる分析85~90%)。
【0184】
実施例1.19:1-[2-[(2R,3S)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルスルファニル]ブチル]スルファニルエチル]ピロリジン-2-オン
【化23】
【0185】
20mlのイソ-プロパノール中の1.56gのメソ-ジチオエリスリトールの溶液に、不活性雰囲気下で2.18mlの1-ビニルピロリドンを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で6時間撹拌した後、撹拌を室温で一晩続けた。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、2.6gの1-[2-[(2R,3S)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルスルファニル]ブチル]スルファニルエチル]ピロリジン-2-オンを白色の固体として得た(mp.104.1~106.0℃;C-NMRによる分析>95%)。
【0186】
実施例1.20:2,2-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシメチル]ブタン-1-オール
【化24】
【0187】
20mlのイソ-プロパノール中の1gの2,2-ビス(3-スルファニルプロポキシメチル)ブタン-1-オールの溶液に、0.79mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって油性残留物を精製して(勾配での溶出)、0.9gの2,2-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシメチル]ブタン-1-オールを無色の油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0188】
実施例20の出発材料:2,2-ビス(3-スルファニルプロポキシメチル)ブタン-1-オール
【化25】
【0189】
0.12gのAIBN及び5.15mlのチオ酢酸を室温で6.49gのトリメチロールプロパン-ジアリルエーテルに添加し、反応混合物を70℃で一晩撹拌した。次に、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、過剰のチオ酢酸を真空で蒸発させた。続いて、100mlのメタノール及び12mlの濃塩酸を添加し、反応を加熱して3時間還流させた。次に、真空でメタノールを除去した。残留物を50mlの水及び50mlのジクロロメタンで希釈した。水相を50mlのジクロロメタンで3回抽出し、収集した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタンを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し(勾配での溶出)、1.6gの2,2-ビス(3-スルファニルプロポキシメチル)ブタン-1-オールを黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>90%)。
【0190】
実施例1.21:1-[2-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]イミダゾール
【化26】
【0191】
100mlのイソ-プロパノール中の33.8gの2,2’-チオジエタンチオールの溶液に、不活性雰囲気下で41.29gの1-ビニルイミダゾール及び0.49mgのAIBNを添加した。次に、反応混合物を加熱して還流させた。還流で6時間撹拌した後、撹拌を室温で一晩続けた。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して(勾配での溶出)、54gの1-[2-[2-[2-(2-イミダゾール-1-イルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]イミダゾールを黄色の油として得た(C-NMRによる分析>90%)。
【0192】
実施例1.22:1,10-ビス(2-ピリジル)-3,8-ジチアデカン
【化27】
【0193】
25mlのイソ-プロパノール中の2.33mlの1,4-ブタンジチオールの溶液に、4.44mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、5.3gの1,10-ビス(2-ピリジル)-3,8-ジチアデカンを黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0194】
実施例1.23:(2R,3S)-1,4-ビス(2-ピラジン-2-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール
【化28】
【0195】
エタノール中の21%のナトリウムエチラート溶液5.15mlをエタノール中の1.54gのメソ-ジチオエリスリトールの溶液中に入れた。室温で30分撹拌した後、2.08mlの2-ビニルピラジンを添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン及びメタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し(勾配での溶出)、2.3gの(2R,3S)-1,4-ビス(2-ピラジン-2-イルエチルスルファニル)ブタン-2,3-ジオールを黄色の固体として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0196】
実施例1.24:(2R,3S)-1,4-ビス(2-チアゾール-2-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオール
【化29】
【0197】
20mlのイソ-プロパノール中の1.54mlのメソ-ジチオエリスリトールの溶液に、2.37mlの2-イソプロペニルチアゾールを添加した。還流で7.5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、1.2gの(2R,3S)-1,4-ビス(2-チアゾール-2-イルプロピルスルファニル)ブタン-2,3-ジオールを赤色の油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0198】
実施例1.25:3-[2-(2-ピリジル)エチル]-5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
【化30】
【0199】
20mlのイソ-プロパノール中の1.53mlの1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジチオールの溶液に、2.22mlの2-ビニルピリジン及びさらに60mlのイソ-プロパノールを添加した。還流で7.5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、2.4gの3-[2-(2-ピリジル)エチル]-5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンを黄色の油として得た(C-NMRによる分析>90%)。
【0200】
実施例1.26:2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-オール
【化31】
【0201】
25mlのイソ-プロパノール中の1.27mlの2,3-ジメルカプトプロパノールの溶液に、2.17mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、2.4gの2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-オールを黄色の油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0202】
実施例1.27:6,8-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]オクタン酸
【化32】
【0203】
20mlのイソ-プロパノール中の1gのDL-6,8-チオクエン酸の溶液に、1.05mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、1.1gの6,8-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]オクタン酸を黄色の油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0204】
実施例1.28:2-[2-[[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニルメチル]-1,4-ジチアン-2-イル]メチルスルファニル]エチル]ピリジン
【化33】
【0205】
25mlのイソ-プロパノール中の2.21gの1,4-ジチアン-2,5-ジ(メタンチオール)の溶液に、2.22mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、3.1gの2-[2-[[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニルメチル]-1,4-ジチアン-2-イル]メチルスルファニル]エチル]ピリジンを無色の油として得た(C-NMRによる分析90~95%)。
【0206】
実施例1.29:4,6-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,5-トリアジン-2-アミン
【化34】
【0207】
25mlのDMF中の1.78gの2-アミノ-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオールの溶液に、2.22mlの2-ビニルピリジンを添加した。86℃で7.5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、2.4gの4,6-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]-1,3,5-トリアジン-2-アミンを茶色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0208】
実施例1.30:3-[2-[2-[(2S,3R)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]ブチル]スルファニルエチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネート
【化35】
【0209】
25mlの水中の2.3gの1-3(スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムヒドロキシド分子内塩の溶液に、0.77gのジチオエリスリトールを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、次にメタノールを添加した。沈殿した生成物を濾別し、メタノールで洗浄し、真空で乾燥させて、1.8gの3-[2-[2-[(2S,3R)-2,3-ジヒドロキシ-4-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]ブチル]スルファニルエチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネートを白色の固体として得た(mp.195.2~198.5℃;C-NMRによる分析90~95%)。
【0210】
実施例1.31:3-[2-[2-[2-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネート
【化36】
【0211】
25mlの水中の2.3gの1-3(スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムヒドロキシド分子内塩の溶液に、15mlのメタノール及び420μlの1,2-エタンジチオールを添加した。還流で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、次にメタノールを添加した。沈殿した生成物を濾別し、メタノールで洗浄し、真空で乾燥させて、1.9gの3-[2-[2-[2-[2-[1-(3-スルホナトプロピル)ピリジン-1-イウム-2-イル]エチルスルファニル]エチルスルファニル]エチル]ピリジン-1-イウム-1-イル]プロパン-1-スルホネートを淡黄色っぽい固体として得た(mp.246.6~248.7℃;C-NMRによる分析75~85%)。
【0212】
実施例1.32:1,3-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシ]プロパン-2-オール
【化37】
【0213】
30mlのイソ-プロパノール中の6.8gの1,3-ビス(3-スルファニルプロポキシ)プロパン-2-オールの溶液に、6.13mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で4時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、5gの1,3-ビス[3-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロポキシ]プロパン-2-オールを黄色の油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0214】
実施例1.33:N1,N3-ビス[2-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]エチル]ベンゼン-1,3-ジカルボキサミド
【化38】
【0215】
20mlのイソ-プロパノール中の2gのエメラミド(emeramide)の懸濁液に、1.54mlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で7.5時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、2.6gのN1,N3-ビス[2-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]エチル]ベンゼン-1,3-ジカルボキサミドを淡黄色っぽい油として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0216】
実施例1.34:2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-スルホネート-ナトリウム塩
【化39】
【0217】
30mlのイソ-プロパノール中の1gのDL-2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸-ナトリウム塩一水和物の懸濁液に、911μlの2-ビニルピリジンを添加した。還流で6時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、1.6gの2,3-ビス[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]プロパン-1-スルホネート-ナトリウム塩を無色の油として得た(C-NMRによる分析90%)。
【0218】
実施例1.35:2-[2-[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ペンチルスルファニル]エチル]ピリジン
【化40】
【0219】
100mlのイソ-プロパノール中の28.10gの1,5-ペンタンジチオールの溶液に、84℃で44.70gの2-ビニルピリジンを添加した。還流で8時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌した。真空で濃縮した後、溶出液としてのジクロロメタン/メタノールを有するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残留物を精製して(勾配での溶出)、57.6gの2-[2-[5-[2-(2-ピリジル)エチルスルファニル]ペンチルスルファニル]エチル]ピリジンを黄色の液体として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0220】
実施例2:安定性試験
メタンスルホン酸銀溶液を錯化剤(錯化剤:Agの比=10:1)に添加した。錯化剤が不溶性の場合、2~3滴のメタンスルホン酸を添加した。続いて、4-メトキシフェノール(MeHQ)を含有するメタンスルホン酸スズ溶液を酸化防止剤として添加した。次に、混合物を50℃で7日間保存した。沈殿物を形成した場合、錯化剤は試験に失敗した。混合物が3日間にわたって透明なままであった場合、これは、良好な錯体形成の指標(「o」)であり、混合物が7日間にわたって透明なままであった場合、非常に良好な錯体形成の指標(「+」)であった。
【0221】
温度が10℃上昇する場合に100℃未満の温度での反応速度が3倍になると仮定すると、50℃で7日間は、20℃で6か月の安定性を反映するはずである。
【0222】
実施例1の錯化剤を上記の試験手順に供した。結果を表1に示している。
【0223】
【表4】