(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ファクシミリ送信システムおよびファクシミリ装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2019237763
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 政敏
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018417(JP,A)
【文献】特開2004-228974(JP,A)
【文献】特開2007-324670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ装置に対応するドライバプログラムと、前記ドライバプログラムにジョブを入力する上位プログラムと、が組み込まれた情報処理装置と、前記ファクシミリ装置と、を備えるファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置には、
宛先を示す文字列である第1宛先情報と、ファクシミリ番号と、を関連付けて登録する第1データベースが記憶されており、
前記情報処理装置は、
画像送信の指示が前記上位プログラムに入力され、前記上位プログラムから前記ドライバプログラムに前記画像送信の指示に基づくジョブが入力され、前記ドライバプログラムに、ファクシミリ番号に使用されない文字ないし記号を含む文字列である第2宛先情報が指定された場合に、
前記画像送信の指示に含まれる前記第2宛先情報を、前記ファクシミリ装置に送信する宛先送信処理と、
前記ジョブに基づいて、前記ファクシミリ装置に画像データのファクシミリ送信を行わせる画像送信コマンドを生成する生成処理と、
前記生成処理にて生成した前記画像送信コマンドを、前記ファクシミリ装置に送信するコマンド送信処理と、を実行し、
前記ファクシミリ装置は、
前記第1データベースから前記第2宛先情報の文字列と一致する前記第1宛先情報が抽出可能な場合には、抽出された前記第1宛先情報に関連付けられたファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行うファクシミリ送信処理を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項2】
ファクシミリ装置に対応するドライバプログラムと、前記ドライバプログラムにジョブを入力する上位プログラムと、が組み込まれた情報処理装置と、前記ファクシミリ装置と、宛先を示す文字列である第1宛先情報とファクシミリ番号とを関連付けて登録する第1データベースと、を備えるファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
画像送信の指示が前記上位プログラムに入力され、前記上位プログラムから前記ドライバプログラムに前記画像送信の指示に基づくジョブが入力され、前記ドライバプログラムに、ファクシミリ番号と、ファクシミリ番号に使用されない文字ないし記号を含む文字列と、のいずれか一方である第2宛先情報が指定された場合に、
前記画像送信の指示に含まれる前記第2宛先情報を、前記ファクシミリ装置に送信する宛先送信処理と、
前記ジョブに基づいて、前記ファクシミリ装置に画像データのファクシミリ送信を行わせる画像送信コマンドを生成する生成処理と、
前記生成処理にて生成した前記画像送信コマンドを、前記ファクシミリ装置に送信するコマンド送信処理と、を実行し、
前記ファクシミリ装置は、
前記情報処理装置から受信した前記第2宛先情報が文字列であり、前記第1データベースから前記第2宛先情報の文字列と一致する前記第1宛先情報が抽出可能な場合には、抽出された前記第1宛先情報に関連付けられたファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記第2宛先情報がファクシミリ番号の場合には、前記第2宛先情報のファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行うファクシミリ送信処理を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項3】
請求項2に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、
前記情報処理装置から受信した前記第2宛先情報が文字列である場合に、前記第1データベースから前記第2宛先情報の文字列と一致する前記第1宛先情報の抽出を試行し、前記第1宛先情報が抽出可能な場合に、前記第1データベースから抽出された前記第1宛先情報に関連付けられたファクシミリ番号を取得するファクシミリ番号取得処理を実行し、
前記ファクシミリ送信処理では、
前記ファクシミリ番号取得処理にてファクシミリ番号を取得した場合は、取得したファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記第2宛先情報がファクシミリ番号の場合は、前記第2宛先情報のファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行う、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項4】
請求項3に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、
前記ファクシミリ番号取得処理にてファクシミリ番号を取得しなかった場合、ファクシミリ番号を取得できなかったことを示すエラー信号を、前記情報処理装置に送信するエラー送信処理を実行し、
前記情報処理装置は、
前記ファクシミリ装置から前記エラー信号を受信した場合に、エラーログを記憶するログ記憶処理を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項5】
請求項4に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記画像送信の指示に基づく前記ジョブが入力された後であって前記ジョブに基づく前記画像送信コマンドの送信が完了する前に、前記ファクシミリ装置から前記エラー信号を受信した場合に、前記画像送信コマンドの送信を中止する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項6】
請求項3に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、
前記ファクシミリ番号取得処理にてファクシミリ番号を取得しなかった場合、前記ファクシミリ装置のユーザインタフェースを介してファクシミリ番号の入力を受け付けるファクシミリ番号入力処理と、
前記ファクシミリ番号入力処理にて入力されたファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行う入力後ファクシミリ送信処理と、
を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項7】
請求項6に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ番号入力処理では、
ファクシミリ番号の入力を受け付ける前に認証情報の入力を要求し、入力された前記認証情報に基づく認証に成功した場合に、ファクシミリ番号の入力を受け付け、前記認証に失敗した場合に、ファクシミリ番号の入力を受け付けない、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、
前記ファクシミリ番号入力処理にてファクシミリ番号が入力された場合、前記情報処理装置から受信した前記第2宛先情報の文字列と、入力されたファクシミリ番号と、を関連付けて前記第1データベースに登録する登録処理を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、
前記ファクシミリ番号入力処理によってファクシミリ番号の入力を受け付ける場合、ファクシミリ番号の入力待ち状態を示す待機状態信号を、前記情報処理装置に送信する待機状態送信処理を実行し、
前記情報処理装置は、
前記ファクシミリ装置から前記待機状態信号を受信した場合に、前記ファクシミリ装置がファクシミリ番号の入力待ちであることを報知する報知処理を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項10】
請求項2から請求項9のいずれか1つに記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記画像送信の指示をコマンドラインによって受け付け、さらに前記第2宛先情報を前記画像送信の指示のコマンドラインのオプションとして受け付ける、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項11】
請求項2から請求項10のいずれか1つに記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置には、
複数の宛先情報を登録可能な第2データベースが記憶されており、
前記第2データベースは、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムによって参照され、前記アプリケーションプログラムは、前記第2データベースに登録されている前記複数の宛先情報のうちいずれかの選択を受け付け、選択された前記宛先情報を前記第2宛先情報として含む前記画像送信の指示を、前記上位プログラムに入力する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項12】
請求項11に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記ファクシミリ装置に前記第1データベースに登録されている前記第1宛先情報の送信要求を送信し、前記ファクシミリ装置から前記第1データベースに登録されている少なくとも1つの前記第1宛先情報を取得する宛先取得処理と、
前記宛先取得処理にて取得した前記第1宛先情報を、前記第2データベースに登録する宛先登録処理と、
を実行する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項13】
請求項12に記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記宛先取得処理にて前記送信要求を送信する際、前記ファクシミリ装置に対してユーザの情報も送信し、
前記ファクシミリ装置は、
受信した前記ユーザの情報によって示されるユーザの属性が管理者である場合、前記情報処理装置に、前記第1宛先情報に加え、前記第1宛先情報に関連付けられているファクシミリ番号も送信する、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1つに記載するファクシミリ送信システムにおいて、
前記第1データベースは、1つのファクシミリ番号に対して、複数の前記第1宛先情報を登録可能である、
ことを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項15】
通信インタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備え、
前記メモリには、
宛先を示す文字列である第1宛先情報と、ファクシミリ番号と、を関連付けて登録する第1データベースが記憶され、
前記コンピュータは、
情報処理装置から前記通信インタフェースを介して、宛先を示す第2宛先情報を受信する第1受信処理を実行し、前記第2宛先情報には、ファクシミリ番号と、ファクシミリ番号に使用されない文字ないし記号を含む文字列と、のいずれか一方を指定することが可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記情報処理装置から前記通信インタフェースを介して、画像のファクシミリ送信を指示する画像送信コマンドを受信する第2受信処理と、
前記第1受信処理にて受信した前記第2宛先情報が文字列であり、前記第1データベースから前記第2宛先情報の文字列と一致する前記第1宛先情報が抽出可能な場合には、抽出された前記第1宛先情報に関連付けられたファクシミリ番号を宛先として、前記第1受信処理にて受信した前記第2宛先情報がファクシミリ番号の場合には、前記第2宛先情報のファクシミリ番号を宛先として、前記第2受信処理にて受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行うファクシミリ送信処理と、を実行し、
さらに前記コンピュータは、
前記情報処理装置から前記通信インタフェースを介して、前記第1データベースに登録されている前記第1宛先情報の送信を要求する送信要求を受信する第3受信処理と、
前記第3受信処理にて前記送信要求を受信した場合、前記第1データベースに登録されている前記第1宛先情報を前記情報処理装置に送信する文字列送信処理と、を実行し、前記情報処理装置には、複数の宛先情報を登録可能な第2データベースが記憶されており、前記情報処理装置は、受信した前記第1宛先情報を前記第2データベースに登録し、さらに前記第2データベースは、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムによって参照され、前記アプリケーションプログラムは、前記第2データベースに登録されている前記宛先情報のうちいずれかの選択を受け付け、選択された前記宛先情報を含む画像送信の指示を入力する、
ことを特徴とするファクシミリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、情報処理装置からの指示に基づいてファクシミリ装置からファクシミリ送信を行うファクシミリ送信システムおよびファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置からファクシミリ(以下、「FAX」とする)装置を制御してFAX通信を行う場合、ユーザがFAX送信の宛先の電話番号(以下、「FAX番号」とする)を入力する必要がある。このFAX番号の入力を誤ると、意図しないFAX番号に画像データが送信されることになるため、このような誤送信を低減するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、FAXジョブデータに付与された指定送信先のアドレス帳情報と、FAX送信装置が有する指定送信先のアドレス帳情報とを比較し、両アドレス帳情報に差異がある場合に、FAXジョブデータに基づく画像データのFAX送信をキャンセルする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合でもユーザが宛先となるFAX番号を入力する必要がある。ユーザにFAX番号を入力させると、入力ミスが生じ易い。また、FAX番号を入力する場合、そのFAX番号をユーザが憶える必要があり、記憶違いによる誤入力も生じ得る。このようにFAX送信を行う際の宛先の入力方法には改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、情報処理装置からの指示に基づいてFAX装置からFAX送信を行うFAX送信システムにおいて、宛先の入力方法を改善する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたファクシミリ送信システムは、ファクシミリ装置に対応するドライバプログラムと、前記ドライバプログラムにジョブを入力する上位プログラムと、が組み込まれた情報処理装置と、前記ファクシミリ装置と、を備えるファクシミリ送信システムにおいて、前記ファクシミリ装置には、宛先を示す文字列である第1宛先情報と、ファクシミリ番号と、を関連付けて登録する第1データベースが記憶されており、前記情報処理装置は、画像送信の指示が前記上位プログラムに入力され、前記上位プログラムから前記ドライバプログラムに前記画像送信の指示に基づくジョブが入力され、前記ドライバプログラムに、ファクシミリ番号に使用されない文字ないし記号を含む文字列である第2宛先情報が指定された場合に、前記画像送信の指示に含まれる前記第2宛先情報を、前記ファクシミリ装置に送信する宛先送信処理と、前記ジョブに基づいて、前記ファクシミリ装置に画像データのファクシミリ送信を行わせる画像送信コマンドを生成する生成処理と、前記生成処理にて生成した前記画像送信コマンドを、前記ファクシミリ装置に送信するコマンド送信処理と、を実行し、前記ファクシミリ装置は、前記第1データベースから前記第2宛先情報の文字列と一致する前記第1宛先情報が抽出可能な場合には、抽出された前記第1宛先情報に関連付けられたファクシミリ番号を宛先として、前記情報処理装置から受信した前記画像送信コマンドに基づいて、ファクシミリ送信を行うファクシミリ送信処理を実行する、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるファクシミリ送信システムでは、FAX装置には、文字列である第1宛先情報とFAX番号とを関連付けて登録する第1データベースが記憶されており、情報処理装置は、画像送信の指示に基づくジョブにて指定された第2宛先情報をFAX装置に送信し、FAX装置は、情報処理装置から受信した第2宛先情報と一致する第1宛先情報が、第1データベースから抽出可能であれば、第1宛先情報に関連付けられたFAX番号を宛先としてFAX送信を行う。従って、情報処理装置では文字列によって宛先を指定することができる。これにより、FAX番号を直接入力する場合と比較して、入力ミスも生じ難く、ユーザが憶え易いことから、宛先の入力方法が改善されている。
【0008】
上記システムの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、情報処理装置からの指示に基づいてFAX装置からFAX送信を行うFAX送信システムにおいて、宛先の入力方法を改善する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかるFAX送信システムの概略構成図である。
【
図2】FAX送信処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図4】FAX番号取得処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】番号同期処理の手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、FAX送信システムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、FAX送信機能を有する複合機(以下、「MFP」とする)と当該MFPに接続されるパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)とを含むシステムを開示するものである。
【0012】
本形態のFAX送信システム100は、例えば、
図1に示すように、PC1と、MFP2とを含み、これらが互いに通信可能に接続されている。PC1は、MFP2に各種の機能を行わせるための各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を実行可能な装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであっても良い。
【0013】
MFP2は、少なくとも印刷機能とFAX送信機能とを有する装置である。MFP2は、例えば、
図1に示すように、電話回線網200を介して他のFAX装置3などに対して、FAX送信可能な装置である。MFP2は、ファクシミリ装置の一例である。MFP2に代えて、FAX専用装置であっても良い。
【0014】
PC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含む制御基板10を備えている。さらに、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらが制御基板10に電気的に接続されている。
【0015】
MFP2は、
図1に示すように、CPU21と、メモリ22と、を含む制御基板20を備えている。さらに、MFP2は、ユーザIF23と、通信IF24と、モデム25と、印刷部26と、を備え、これらが制御基板20に電気的に接続されている。CPU21は、コンピュータの一例である。
【0016】
CPU11およびCPU21は、それぞれ、メモリ12またはメモリ22から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12およびメモリ22は、それぞれ、ROM、RAMを含み、さらにHDD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含み、各種のプログラムやデータを記憶する。なお、
図1中の制御基板10および制御基板20は、PC1やMFP2の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1やMFP2に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0017】
メモリ12およびメモリ22は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0018】
ユーザIF13およびユーザIF23は、それぞれ、ユーザによる入力操作を受け付けるキーボード、マウス、入力ボタン等と、情報を表示するディスプレイ等と、のハードウェアを含む。ユーザIF13やユーザIF23は、操作受付機能と表示機能との両方を備えたタッチパネル等を含んでいても良い。
【0019】
通信IF14および通信IF24は、それぞれ、外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。PC1とMFP2とは、通信IF14と通信IF24とを介して、互いに通信可能である。通信IF14と通信IF24との通信方式は、無線でも有線でもよく、また、LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB等、どのような規格の方式でもよい。
【0020】
また、MFP2のモデム25は、電話回線網200を介した通信を行うためのハードウェアを含む。MFP2は、モデム25を介したFAX送信機能を有している。MFP2の印刷部26は、画像を印刷するための構成を含む。印刷部26の印刷方式は、例えば、インクジェット方式、電子写真方式である。なお、印刷部26は、カラー印刷可能な構成であっても、モノクロ印刷のみを行う構成であっても良い。
【0021】
本形態のPC1のメモリ12には、
図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)41と、コンテンツアプリ42と、印刷管理プログラム43と、FAX送信ドライバ44と、番号同期プログラム46と、が組み込まれている。印刷管理プログラム43には、各種の情報を記憶する設定情報431が含まれる。
【0022】
コンテンツアプリ42は、印刷やFAX送信の対象となる画像を作成および編集するプログラム群である。コンテンツアプリ42は、ユーザの指示に基づいて、文書コンテンツ、図表コンテンツ、プレゼンテーションコンテンツなどのコンテンツを作成し編集する。また、コンテンツアプリ42は、ユーザによる各種のコンテンツの印刷指示やFAX送信指示を受け付けると、受け付けた指示に基づくコマンドを生成して印刷管理プログラム43に入力する。コンテンツアプリ42は、アプリケーションプログラムの一例である。
【0023】
印刷管理プログラム43は、コンテンツアプリ42等のアプリから入力されたコマンドに基づいて、印刷用またはFAX送信用の画像データを生成し、生成した画像データと指示を示す情報とをMFP2へ送信するためのプログラム群である。なお、印刷管理プログラム43は、コマンドラインの入力等のユーザ操作によって、直接、印刷指示やFAX送信指示の入力を受けてもよい。印刷管理プログラム43は、上位プログラムの一例である。コンテンツアプリ42等のアプリから入力されるFAX送信指示は、画像送信の指示の一例である。
【0024】
設定情報431には、MFP2等のPC1に接続されている各装置の情報が記憶されている。本形態の設定情報431には、MFP2に固有の情報が含まれ、例えば、MFP2の能力に関する情報、FAX送信の宛先を示す情報が記憶される。印刷管理プログラム43やコンテンツアプリ42は、設定情報431を参照することで、MFP2に適した処理を行う。なお、PC1は複数の装置を接続可能であり、その場合には、設定情報431には、対象の装置ごとに装置の情報と関連付けて固有の情報が記憶されている。
【0025】
本形態の設定情報431には、MFP2にFAX送信を行わせる際に、FAX送信の宛先を示す情報である宛先情報として選択可能な選択肢を複数記憶させることが可能である。設定情報431は、第2データベースの一例である。宛先情報は、FAX番号、または、FAX番号を示す文字列、である。宛先情報は、FAX番号そのものでなくても良く、例えば、宛先を示す人名や会社名、部署名等の文字列であっても良い。
【0026】
コンテンツアプリ42と印刷管理プログラム43とは、OS41の種類に応じたものが使用可能である。例えば、OS41としてLinux(登録商標)を使用するPC1では、コンテンツアプリ42としては、例えば、ORCA(登録商標)(日医標準レセプトソフトの略)が使用可能であり、印刷管理プログラム43としては、例えば、CUPS(Common Unix Printing Systemの略)(登録商標)が使用可能である。CUPSは、OS41の一部として組み込まれている。そして、CUPSは、設定情報431として、ファイル形式のPPD(PostScript Printer Descriptionの略)を含む。
【0027】
なお、OS41は、Linuxに限らず、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)でも良い。その場合、コンテンツアプリ42は、例えば、MicrosoftOffice(登録商標)でも良い。また、設定情報431は、ファイル形式でなくても良く、コンテンツアプリ42や印刷管理プログラム43から参照可能な情報であればよい。
【0028】
コンテンツアプリ42における、印刷の対象とするプリンタの指定方法は、様々なものがある。例えば、一般的なワードプロセッサアプリでは、OS41ならびに印刷管理プログラム43と協働で、現在使用可能なプリンタのリストから印刷の対象とするプリンタの指定を受け付ける。また、ORCAでは、用紙サイズなど複数の印刷パラメータのセット(以下、「プリセット」とする)を予め登録して、登録されているプリセットのそれぞれに対応付けてプリンタの登録が可能である。その場合、各プリセットにそれぞれ別のプリンタが対応付けられていても良いし、複数のプリセットに同一のプリンタが対応付けられていても良い。そして、ORCAは、プリセットを選択した印刷指示を受け付けると、選択されたプリセットに対応付けて登録されているプリンタを印刷の対象とするプリンタとして選択する。
【0029】
印刷管理プログラム43は、コンテンツアプリ42等から入力された指示に基づいてジョブを作成し、例えば、ジョブキューに蓄積する。そして、印刷管理プログラム43は、MFP2の状況等に基づいて、ジョブキューに蓄積されているジョブを蓄積順に処理する。本形態のコンテンツアプリ42は、例えば、以下のような形式の文字列で構成される「lpr」コマンドを生成して、印刷管理プログラム43に入力する。「lpr」コマンドは、コマンドラインの一例である。
lpr -P MFPFAX -o fax-number=0123456789 ファイル名
【0030】
「lpr」は、MFP2などの印刷またはFAX送信を実行可能な装置へコマンドを送信する指示であることを示す情報である。「-P」に続く文字列は、当コマンドによって指示される処理を実行させる装置を指定する装置情報である。「-o」およびそれに続く文字列は、オプション情報であり、省略可能な情報である。「ファイル名」は、印刷やFAX送信の対象となる画像データを示す情報である。
【0031】
印刷管理プログラム43は、処理を開始したジョブに「lpr」コマンドが含まれている場合、指定された装置に対応して用意されている処理プログラムを実行する。本形態では、1台のMFP2であっても、印刷を実行させる場合とFAX送信を実行させる場合とで異なる装置情報をそれぞれOS41に登録することが可能であり、各装置情報に対応する処理プログラムとして、印刷用のプログラムとFAX送信用のプログラムとがメモリ12に記憶されている。
【0032】
FAX送信ドライバ44は、MFP2にFAX送信を行わせるためのプログラムである。本形態では、装置情報が「MFPFAX」である「lpr」コマンドは、MFP2にFAX送信を実行させる指示を示すコマンドであり、OS41には、装置情報「MFPFAX」とMFP2の識別情報とが関連付けて記憶されている。印刷管理プログラム43は、処理を開始したジョブに、装置情報が「MFPFAX」である「lpr」コマンドが含まれる場合に、FAX送信ドライバ44を実行し、FAX送信ドライバ44にジョブの情報を入力する。FAX送信ドライバ44は、ドライバプログラムの一例である。
【0033】
FAX送信ドライバ44は、印刷管理プログラム43から入力されたジョブに基づいて、MFP2にFAX送信を行わせるコマンドであるFAX送信コマンドを生成し、生成したFAX送信コマンドをMFP2に送信する。FAX送信コマンドは、画像送信コマンドの一例である。なお、FAX送信コマンドのMFP2への送信は、FAX送信ドライバ44が直接行っても良いし、印刷管理プログラム43やOS41に行わせても良い。また、FAX送信用の画像データを生成する処理は、印刷管理プログラム43にて行っても良いし、FAX送信ドライバ44にて行っても良い。
【0034】
また、本形態のMFP2のメモリ22には、
図1に示すように、宛先情報DB45が記憶されている。宛先情報DB45は、登録名とFAX番号とを関連付けて記憶するデータベースである。登録名は、宛先を示す文字列であり、例えば、宛先の人名、会社名、部署名である。宛先情報DB45は、第1データベースの一例である。登録名は、第1宛先情報の一例である。
【0035】
本形態のPC1のメモリ12に記憶される番号同期プログラム46は、設定情報431に記憶される情報と、MFP2の宛先情報DB45に記憶される情報との同期を行うプログラムである。なお、番号同期プログラム46に代えて、FAX送信ドライバ44または印刷管理プログラム43が、情報の同期を行う機能を備えていても良い。
【0036】
続いて、本形態のFAX送信システム100による処理について説明する。なお、以下の処理およびシーケンス図の各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11またはCPU21の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11、21の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOS41のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS41の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS41のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0037】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11、21が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11(21)がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0038】
また、CPU11、21による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11、21による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0039】
本形態のFAX送信システム100によるFAX送信に関する各処理の手順について、シーケンス図やフローチャートを参照して説明する。まず、
図2のシーケンス図に基づいて、ユーザによるFAX送信の指示を受け付けた場合の全体的な動作について説明する。
【0040】
ユーザは、コンテンツアプリ42を起動し、コンテンツアプリ42にFAX送信の宛先を選択する指示を入力する(A1)。コンテンツアプリ42は、設定情報431から宛先情報を読み出し(A2)、読み出した宛先情報を一覧にしてユーザIF13に表示させる(A3)。
【0041】
宛先情報の一覧の例を
図3に示す。例えば、
図3に示すように、宛先情報一覧432には、宛先情報として選択可能な選択肢として、FAX番号やFAX番号を示す文字列が表示される。宛先情報一覧432に表示される情報は、設定情報431から読み出された情報である。つまり、設定情報431には、宛先情報としてFAX番号やFAX番号を示す文字列が混在して記憶される場合がある。
【0042】
コンテンツアプリ42は、宛先情報一覧432に表示させた選択肢群から、ユーザの選択を受け付けることで、FAX送信の宛先情報を取得する(A4)。コンテンツアプリ42は、設定情報431に記憶されている宛先情報の中から選択させるので、宛先情報の入力ミスが生じ難い。
【0043】
(A4)にて選択された宛先情報は、FAX番号である場合もFAX番号を示す文字列である場合もある。(A4)にて取得される宛先情報は、第2宛先情報の一例である。
【0044】
さらに、コンテンツアプリ42は、ユーザ操作によるFAX送信の指示を受け付ける(A5)。本形態では、(A5)にて受け付ける指示は、MFP2にFAX送信を行わせる指示であり、コンテンツアプリ42は、印刷管理プログラム43の提供するAPIを用いて、印刷管理プログラム43にFAX送信の指示を行う(A6)。この場合、コンテンツアプリ42は、印刷機能を選択するためのAPIを使用して宛先情報を送ることができる。また、コンテンツアプリ42は、APIを使用せずに既存ファイルを印刷管理プログラム43に送るための「lpr」コマンドを使用することもできる。
【0045】
本形態では、「lpr」コマンドがFAX送信の指示を示すコマンドとして使用された場合、オプション情報にFAX送信の宛先を示す宛先情報を含ませることができる。(A6)にてコンテンツアプリ42が生成し、印刷管理プログラム43に渡されるコマンドには、装置情報として「MFPFAX」が指定されており、オプション情報として(A4)にて取得した宛先情報が含まれている。
【0046】
印刷管理プログラム43は、受け付けたコマンドに指定されている装置情報を取得し(A7)、対応する処理プログラムを起動する。本形態では、装置情報として「MFPFAX」が指定されていることから、印刷管理プログラム43は、MFP2にFAX送信を行わせるための処理プログラムであるFAX送信ドライバ44を起動し、FAX送信ジョブを生成してFAX送信ドライバ44に渡す(A8)。FAX送信ジョブには、FAX送信の宛先を示す情報として、「lpr」コマンドのオプション情報に含まれる宛先情報が付加されている。
【0047】
FAX送信ドライバ44は、受け取ったFAX送信ジョブに含まれる宛先情報を取得し(A9)、通信IF14を介して、取得した宛先情報を含む情報をMFP2に送信する(A10)。(A10)は、宛先送信処理の一例である。
【0048】
MFP2は、受信した情報から宛先情報を取得する(A11)。(A11)は、第1受信処理の一例である。(A11)にてMFP2が取得する宛先情報は、(A4)にてユーザによって指定された情報であり、FAX番号である場合もFAX番号を示す文字列である場合もある。MFP2は、宛先情報を取得した後、FAX番号取得処理を実行する(A12)。FAX番号取得処理は、取得した宛先情報に基づいて、FAX番号を取得する処理である。FAX番号取得処理の詳細に付いては、後述する。
【0049】
FAX送信ドライバ44は、A10にて宛先情報を送信した後、FAX送信コマンドを生成して(A13)、生成したFAX送信コマンドをMFP2に送信する(A14)。(A13)は、生成処理の一例であり、(A14)は、コマンド送信処理の一例である。(A14)にてFAX送信ドライバ44が送信する情報は、FAX送信コマンドのうち、宛先情報以外の部分、例えば、FAX送信の設定に関する情報と画像データのみでも良い。これで、FAX送信ドライバ44の処理は終了する。
【0050】
MFP2は、(A14)にてPC1から送信されたFAX送信コマンドを受信する。(A14)は、第2受信処理の一例でもある。MFP2は、受信したFAX送信コマンドに基づいて、(A12)のFAX番号取得処理にて取得したFAX番号に宛てて、FAX送信を行う(A15)。(A15)は、ファクシミリ送信処理の一例である。例えば、宛先情報が
図1に示したFAX装置3のFAX番号を示す情報であれば、MFP2は、FAX装置3に宛ててFAX送信する。
【0051】
次に、FAX番号取得処理の手順について、
図4のフローチャートを参照して説明する。このFAX番号取得処理は、PC1から受信した情報から宛先情報を取得したことを契機に、MFP2のCPU21にて実行される。
【0052】
FAX番号取得処理では、CPU21は、まず、取得した宛先情報がFAX番号を示しているか否かを判断する(B1)。CPU21は、受け取った宛先情報がFAX番号であるか否かを、宛先情報がFAX番号として使用可能な文字のみで構成されているか否かに基づいて判断する。FAX番号として使用可能な文字は、「0」~「9」の各数字と「#」、「*」である。CPU21は、宛先情報がFAX番号に使用可能な文字のみで構成されている場合、その宛先情報はFAX番号であると判断する。一方、宛先情報にFAX番号に使用可能ではない文字ないし記号が少なくとも1文字含まれている場合、CPU21は、その宛先情報はFAX番号ではないと判断する。
【0053】
例えば、
図2の(A4)にて、
図3に示した宛先情報一覧432中の「023456789」が選択された場合、宛先情報は、「023456789」である。この場合、宛先情報に数字のみが含まれていることから、CPU21は、受け取った宛先情報がFAX番号を示していると判断する。
【0054】
宛先情報がFAX番号を示していると判断した場合(B1:YES)、CPU21は、宛先情報によって示されるFAX番号を取得して(B2)、FAX番号取得処理を終了する。(B2)は、ファクシミリ番号取得処理の一例である。この場合、MFP2は、(B2)にて取得されたFAX番号に宛てて、
図2の(A15)にてFAX送信を行う。
【0055】
一方、宛先情報がFAX番号を示していないと判断した場合(B1:NO)、CPU21は、自装置のメモリ22に記憶している宛先情報DB45を検索して(B3)、受け取った宛先情報と一致する登録名の抽出を試行する。設定情報431に記憶されている宛先情報には、FAX番号を示す文字列も含まれることから、
図2の(A4)では、文字列が選択される場合もある。例えば、
図3に示した宛先情報一覧432にて「○△2課」が選択された場合、宛先情報は、文字列である。この場合、CPU21は、受け取った宛先情報がFAX番号を示していないと判断して、宛先情報DB45を検索する。
【0056】
宛先情報DB45には、例えば、
図5に示すように、登録名とFAX番号とが互いに関連付けて記憶されている。本形態では、同じFAX番号に、互いに異なる複数の登録名が関連付けて記憶されても良い。例えば、
図5の例では、正式名称(「○△商事営業2課」)と略称(「○△2課」)や別称(「○△営業2」)とが、いずれも同じFAX番号(「102345678」)に関連付けて記憶されている。1つのFAX番号に対して複数の登録名を登録可能にしているので、日常的に使用する別称等を登録することができ、ユーザの利便性が高まる。
【0057】
そして、CPU21は、宛先情報の文字列と一致する登録名が宛先情報DB45に記憶されているか否かを判断する(B4)。(B4)では、CPU21は、所定の判断ルールを用いる。CPU21は、例えば、英数カナは、大文字と小文字、半角と全角をいずれも区別せず、同じ文字であると判断する。また、CPU21は、複数の連続するスペースやタブは、1つのスペースと同じ文字であると判断する。
【0058】
そして、CPU21は、宛先情報と一致する登録名が、宛先情報DB45から抽出可能であったと判断した場合(B4:YES)、当該登録名に関連付けてFAX番号が記憶されているか否かを判断する(B5)。宛先情報DB45には、例えば、
図5に示すように、登録名のみが登録され、FAX番号が記憶されていない場合があり得る。FAX番号が記憶されていると判断した場合(B5:YES)、CPU21は、当該宛先情報に関連付けて記憶されているFAX番号を取得し(B2)、FAX番号取得処理を終了する。この場合も、(B2)は、ファクシミリ番号取得処理の一例である。MFP2は、(B2)にて取得されたFAX番号に宛てて、
図2の(A15)にてFAX送信を行う。
【0059】
一方、登録名に関連付けたFAX番号が記憶されていないと判断した場合(B5:NO)、CPU21は、FAX番号の入力を促す報知を行う(B6)。(B6)は、報知処理の一例である。例えば、MFP2に自装置の管理者の連絡先が記憶されていれば、CPU21は、その連絡先に宛てて報知を行う。例えば、メモリ22に管理者のメールアドレスが登録されていれば、MFP2は、当該アドレスへのメール送信を行う。
【0060】
(B6)では、CPU21は、報知の情報をPC1に送信し、PC1にて報知を行わせても良い。例えば、印刷管理プログラム43が双方向通信をサポートしている場合には、PC1が管理者へのメール送信を行っても良い。
【0061】
さらに、CPU21は、FAX番号の入力待ち状態となったことを示す情報である待機状態信号をPC1に送信する(B7)。(B7)は、待機状態送信処理の一例である。CPU21は、例えば、FAX送信ドライバ44に待機状態信号を送信し、FAX送信ドライバ44は、PC1のユーザIF13を介して、FAX番号の入力待ちであることを報知する。これにより、管理者のみでなく、FAX送信を指示した送信者にも入力待ちであることが報知される。送信者は、管理者によるFAX番号の入力が完了した後、改めてFAX送信を指示することができる。
【0062】
CPU21は、ユーザIF23を介してFAX番号の入力操作を受け付ける状態となり、入力操作を受け付けたか否かを判断する(B8)。(B8)は、ファクシミリ番号入力処理の一例である。CPU21は、FAX番号の入力操作を受け付けたと判断した場合(B8:YES)、認証情報の入力を要求し、入力された情報に基づいてユーザ認証を行って、認証に成功したか否かを判断する(B9)。
【0063】
MFP2は、例えば、ユーザ名とパスワードの入力、ICカードの接触、指紋や掌紋等の入力によって、認証情報を受け付ける。CPU21は、受け付けた認証情報に基づいて、FAX番号の入力を行おうとしているユーザが、当該FAX番号の登録を許容されているユーザ、例えば、管理者権限を有するユーザ、であるか否かを判断する。なお、MFP2は、自装置で(B9)の認証を行う代わりに、PC1やサーバ等に認証情報を送信して認証を行わせても良い。
【0064】
CPU21は、ユーザ認証に成功したと判断した場合(B9:YES)、FAX番号の入力を受け付け、ユーザの入力に基づいてFAX番号を取得する(B10)。さらに、CPU21は、取得したFAX番号を、(B4)にて取得した登録名に関連付けて、宛先情報DB45に登録し(B11)、FAX番号取得処理を終了する。(B11)は、登録処理の一例である。入力されたFAX番号を宛先情報DB45に登録することで、次回からその登録名の抽出が可能になり、利便性が高まる。なお、MFP2は、登録前に登録の要否についてユーザに確認しても良い。
【0065】
この場合、MFP2は、(B10)にて取得されたFAX番号に宛てて、
図2の(A15)にてFAX送信を行う。(B10)にて取得したFAX番号に宛ててFAX送信を行う場合の(A15)は、入力後ファクシミリ送信処理の一例である。
【0066】
なお、MFP2は、PC1から受信した宛先情報と一致する登録名が宛先情報DB45に登録されていない場合、登録名の登録を受け付ける。例えば、登録名を宛先情報DB45から抽出できなかったと判断した場合(B4:NO)、CPU21は、管理者に宛てて登録名が登録されていないことを報知する(B12)。そして、CPU21は、登録名を宛先情報DB45に登録して(B13)、その後、(B6)に進み、登録名に該当するFAX番号の入力を受け付ける。あるいは、CPU21は、(B12)の報知後、(B13)による登録名の登録の前に、登録するか否かを管理者に問い合わせても良い。
【0067】
また、例えば、報知から所定時間が経過してもFAX番号の入力操作を受け付けなかったと判断した場合(B8:NO)、または、ユーザ認証に成功しなかったと判断した場合(B9:NO)、CPU21は、エラーステータスをPC1に送信する(B14)。(B14)にて送信されるエラーステータスは、エラー信号の一例であり、(B14)は、エラー送信処理の一例である。FAX番号取得処理にてFAX番号を取得できなかった場合、MFP2は、
図2の(A15)のFAX送信を行うことができない。
【0068】
PC1では、例えば、MFP2の動作を監視するステータスモニタが動作しており、エラーが発生した場合にMFP2から送信されるエラーステータスを受信して記憶する。具体的には、PC1は、今回のFAX送信指示に応じたFAX送信を行わなかったことを示す情報であるエラーログを、メモリ12に記憶する。メモリ12にエラーログを記憶する処理は、ログ記憶処理の一例である。
【0069】
(B14)にてMFP2が送信するエラーステータスは、例えば、通信プロトコルのエラーステータスとしてもよい。例えば、PC1の通信IF14とMFP2の通信IF24との通信方法がUSB通信である場合、MFP2は、プリンタクラスのデバイスエラーを返しても良い。また、PC1の通信IF14とMFP2の通信IF24との通信方法がipp通信である場合、MFP2は、httpのエラーステータスを返しても良い。このようにすれば、データを返信した場合に比較して、通信負荷が小さい。
【0070】
なお、FAX送信ドライバ44または印刷管理プログラム43が、エラーステータスを受信する機能を持っていても良い。そして、例えば、FAX送信ドライバ44がエラーステータスを受信した場合、FAX送信コマンドの生成や送信を中止しても良い。FAX送信ドライバ44は、宛先情報に対応するFAX番号を取得できなかった場合、FAX送信に関する残りの情報、例えば、画像データを送信しないことで、通信の無駄が省かれる。
【0071】
次に、本形態の番号同期プログラム46による番号同期処理の手順について、
図6のシーケンス図を参照して説明する。番号同期プログラム46は、PC1に記憶される設定情報431と、MFP2に記憶される宛先情報DB45との情報の同期を行うプログラムである。MFP2は、例えば、前述したように、宛先情報DB45にFAX番号が記憶されていない場合、ユーザによるFAX番号の入力を受け付ける。また、MFP2にて新規の宛先の登録指示を受け付け、宛先情報DB45が更新される場合もある。
【0072】
番号同期プログラム46は、ユーザによる同期の指示を受け付けると(C1)、当該指示を行ったユーザの情報を取得する(C2)。番号同期プログラム46は、例えば、PC1にログイン中のユーザのユーザ名を取得する。番号同期プログラム46は、同期を要求する情報と、取得したユーザ情報と、をMFP2に送信する(C3)。(C3)にて送信される要求は、送信要求の一例である。
【0073】
MFP2は、(C3)にてPC1から送信された情報を受信する。(C3)は、第3受信処理の一例でもある。そして、MFP2は、受信したユーザ情報に基づいてユーザの属性を判断する(C4)。
【0074】
ユーザの属性は、例えば、管理者、グループ、その他、に分けられる。グループは、MFP2の宛先情報DB45に記憶されている情報を使用してFAX送信を行わせることが許可されている各ユーザを示す属性であり、管理者は、そのグループやMFP2を管理する権限を有するユーザを示す属性である。MFP2は、例えば、ユーザ情報とユーザの属性との関係を記憶するデータベースを備え、受信したユーザ情報に関連付けられているユーザの属性を取得する。あるいは、番号同期プログラム46や印刷管理プログラム43が、ユーザの属性を取得して、ユーザの属性の情報をMFP2に送信してもよい。
【0075】
MFP2は、ユーザの属性が管理者であると判断した場合([管理者])、宛先情報DB45に記憶されている登録名とその登録名に関連付けて記憶されているFAX番号とをPC1に送信する(C5)。(C5)は、文字列送信処理の一例である。MFP2は、宛先情報DB45に記憶されている全ての情報を送信してもよいし、前回の同期から更新された情報のみを送信してもよいし、日時の指定を受け付けて、その日時以降に更新された情報を送信してもよい。MFP2は、各登録名に関連付けて、同期済みか否かの情報や更新日時の情報を記憶するとよい。
【0076】
番号同期プログラム46は、MFP2から受信した情報に基づいて、設定情報431の情報を更新し(C6)、設定情報431をリロードする(C7)。(C5)にてMFP2から送信される情報を受信する処理は、宛先取得処理の一例であり、(C6)は、宛先登録処理の一例である。
【0077】
これにより、MFP2にて入力されたFAX番号の情報が設定情報431にも反映される。登録名に関連付けてFAX番号も設定情報431に記憶されることから、番号同期プログラム46は、コンテンツアプリ42から受け付けたFAX送信の指示に含まれる宛先情報に対応するFAX番号の情報を、設定情報431から読み出すことができる。
【0078】
MFP2は、ユーザの属性がグループであると判断した場合([グループ])、宛先情報DB45に記憶されている登録名をPC1に送信する(C8)。(C8)は、文字列送信処理の一例である。この場合、MFP2は、登録名に関連付けて記憶されているFAX番号の情報は送信しない。
【0079】
番号同期プログラム46は、MFP2から受信した情報に基づいて、設定情報431の情報を更新し(C9)、設定情報431をリロードする(C10)。(C8)にてMFP2から送信される情報を受信する処理は、宛先取得処理の一例であり、(C9)は、宛先登録処理の一例である。これにより、MFP2にて入力された登録名の情報が設定情報431にも反映される。
【0080】
MFP2は、ユーザの属性が管理者でもグループでもないと判断した場合([グループ以外])、宛先情報DB45の情報の送信拒否を示す情報をPC1に送信する(C11)。MFP2は、自装置でのFAX送信が許可されていないユーザによる同期の指示には対応しない。
【0081】
本形態の番号同期プログラム46は、同期の指示を行ったユーザが、管理者、グループ、その他のいずれであるかに応じて、送信する情報の範囲を異ならせる。これにより、例えば、個人情報としてのレベルの高い情報であるFAX番号を、管理者以外のメンバーには見せないようにすることができる。その上で、グループのユーザであれば、登録名のみが送信され、その登録名を使用してFAX送信できることから、FAX番号を知らなくてもFAX送信できる。
【0082】
以上、詳細に説明したように、本形態のFAX送信システム100によれば、宛先情報DB45に文字列の登録名とその登録名に関連付けたFAX番号とが記憶され、MFP2が宛先情報DB45から情報を取得することで、PC1では文字列によって宛先を指定することができる。これにより、FAX番号を直接入力する場合と比較して、入力ミスも生じ難く、ユーザが憶え易い。
【0083】
さらに、本形態では、MFP2が宛先情報DB45からFAX番号を取得できなかった場合、FAX番号の入力を受け付けるので、FAX送信を完了できる可能性が高まる。さらに、入力を受け付ける際に、認証情報の入力を要求するので、第三者によるFAX番号の入力を防ぐことができ、安全性が高まる。さらに、宛先情報に対応するFAX番号の取得に失敗した場合、エラーログをPC1に記憶するので、宛先の誤りをユーザが気づきやすい。
【0084】
さらに、本形態では、MFP2が宛先情報DB45を有しているので、MFP2と接続する複数のPCで共通の登録名を宛先情報として使用でき、利便性が高まる。なお、宛先情報DB45は、MFP2から参照可能な場所に保存されていれば良く、メモリ22に限らず、例えば、MFP2からアクセス可能なサーバ等に保存されていても良い。
【0085】
さらに、本形態では、MFP2の宛先情報DB45と、PC1の設定情報431と、の情報の同期を行うことができるので、宛先情報DB45に記憶されていない宛先情報が選択される、宛先情報DB45に記憶されているのに宛先情報一覧432の選択肢に表示されない宛先情報がある、等の可能性が低減される。さらに、同期に際してユーザの情報を要求し、ユーザの情報によって示される属性が管理者の場合、登録名とFAX番号とを取得するので、宛先情報とFAX番号との関連付けを管理者のPC1にて行うことができ、宛先情報の管理が容易である。
【0086】
なお、本形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1やMFP2は、2台以上有っても良い。
【0087】
また、本形態では、PC1は、宛先情報のみをまずMFP2に送信し、MFP2からの要求を受けてFAX送信コマンドを生成するとしたが、これに限らない。PC1は、要求を待たずにFAX送信コマンドを生成しても良い。また、PC1は、宛先情報とFAX送信コマンドとを同時に送信してもよい。この場合、PC1は、エラーステータスを受信した場合、画像データの送信途中であればその画像データの送信をキャンセルするとよい。また、MFP2は、エラーステータスの送信前に画像データを受信した場合、受信した画像データを破棄してFAX送信を行わないとしても良い。また、エラーログの記憶は行わなくても良い。
【0088】
また、本形態では、文字列の判断ルールとして、英数カナやスペースの判断ルールを例示したが、これに限らない。例えば、英数カナの大文字と小文字とは区別しても良いし、スペースとタブは区別しても良い。
【0089】
また、本形態では、受け取った宛先情報に対応するFAX番号が記憶されていない場合、MFP2にてFAX番号の入力を受け付け、待機状態となるとしたが、これに限らない。例えば、FAX番号の入力を受け付けることなくエラー応答としても良い。また、MFP2にてFAX番号の入力を待ち状態となった場合に、待機状態信号をPC1に送信し、PC1は、待機中であることを報知するとしたが、この送信や報知は行わなくても良い。また、MFP2でも報知しても良い。例えば、MFP2にて警告音を発するとしても良い。
【0090】
また、本形態では、管理者権限を有するユーザのみがFAX番号の入力を行うとしたが、これに限らない。例えば、FAX送信を指示した送信者による入力も受け付けても良い。あるいは、MFP2を使用するグループのメンバーであれば入力できるとしても良い。また、FAX番号の入力時のユーザ認証を行わないとしても良い。
【0091】
また、本形態では、ユーザの指示に基づいて同期を行うとしたが、例えば、定期的に行う、PC1の起動時に行う、としても良い。この場合、例えば、登録名の同期のみを行うとしても良い。また、同期を実行させる際のユーザの属性の確認は行わなくても良い。
【0092】
また、宛先情報DB45や設定情報431では、1つの宛先情報に対して複数のFAX番号が登録できてもよい。この場合、1つの宛先情報を選択することで、複数の宛先へのFAX送信を指示できるようになる。
【0093】
また、コンテンツアプリ42は、宛先情報一覧432からの選択によって宛先情報を取得するとしたが、選択肢からの選択に限らず、例えば、ユーザの直接入力によって宛先情報を取得しても良い。また、コンテンツアプリ42を介さず、印刷管理プログラム43に直接「lpr」コマンドを入力しても良い。
【0094】
また、例えば、設定情報431には、FAX番号の情報のみではなく、印刷管理プログラム43にて用いられる各種の情報が記憶されると良い。設定情報431には、例えば、FAX送信時の解像度や通信速度等のMFP2のFAX送信能力に関する情報や、印刷設定として設定可能な印刷能力に関する情報が記憶されると良い。
【0095】
また、各実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0096】
また、各実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 PC
2 MFP
11、21 CPU
13 ユーザIF
43 印刷管理プログラム
44 FAX送信ドライバ