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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/026 20160101AFI20231115BHJP
【FI】
H02K11/026
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021503860
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 KR2019007181
(87)【国際公開番号】W WO2020022647
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087168
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】オク ビト ナ ラ
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-209542(JP,A)
【文献】実開昭62-124292(JP,U)
【文献】特表2010-515416(JP,A)
【文献】米国特許第5306974(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるステータと、
前記ステータ内に配置されるロータと、
前記ロータと結合するシャフトと、
前記ハウジング上に配置されるカバーと、
前記カバーに配置されるコアと、
前記コアと電気的に連結される複数個のブラシと、
前記コアに巻線される複数個のコイルと、
前記カバーに配置される第1端子と第2端子と、を含み、
前記コアは、第1領域、前記第1領域と連結され中心を含む第2領域、及び前記第2領域と連結される第3領域を含み、
前記複数個のコイルは前記コアの第1領域に巻線される第1コイルと前記コアの第3領域に巻線される第2コイルを含み、
前記コアの第2領域を基準として前記第1コイルの巻線方向と前記第2コイルの巻線方向は互いに同じであり、
前記コアは円柱状に形成され、
前記第1端子及び前記第2端子のそれぞれは、溝を含み、
前記第1コイルの一側は前記第1端子の溝内に配置され、前記第2コイルの一側は前記第2端子の溝内に配置され、
前記第1端子及び前記第2端子にそれぞれ印加される電源の極は互いに異なる、モータ。
【請求項2】
前記コアの長軸の長さは、前記ブラシそれぞれの長軸の長さの和より長い、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記コアの長軸の長さは、前記カバーの半径より長い、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記コアの第2領域は、前記コイルが巻線されない領域である、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
記複数個のブラシは、第1ブラシと第2ブラシを含み、
前記第1コイルの一側は、前記第1端子に連結され、前記第1コイルの他側は前記第1ブラシに連結され、
前記第2コイルの一側は、前記第2端子に連結され、前記第2コイルの他側は前記第2ブラシに連結される、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1端子と前記第2端子は、前記シャフトと垂直な方向に前記第2領域と重なる、請求項に記載のモータ。
【請求項7】
前記カバーの中心から前記第2端子までの距離は、前記カバーの中心から前記第1端子までの距離より大きい、請求項に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1ブラシは、前記カバーの中心を通る仮想の直線上に配置され、
前記第2ブラシは、前記中心を基準として前記第1ブラシと対応し、前記仮想の直線上に配置される、請求項5に記載のモータ。
【請求項9】
前記コアの長軸方向は、前記仮想の直線と互いに平行である、請求項に記載のモータ。
【請求項10】
前記カバーは、前記コアの第1領域に隣接した第1ガイド突起と前記コアの第3領域に隣接した第2ガイド突起を含み、
前記第1ガイド突起と前記第2ガイド突起は、前記コアの第2領域を基準として対称である、請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記ブラシは個であり、前記コアは個である、請求項1に記載のモータ。
【請求項12】
前記コアは、一終端に配置された円形の第1面と前記第1面と対向して前記コアの他終端に配置された円形の第2面を含み、
前記第1領域は前記第1面を含み、
前記第3領域は前記第2面を含む、請求項1に記載のモータ。
【請求項13】
ステータと、
前記ステータ内に配置されるロータと、
前記ロータと結合するシャフトと、
前記ロータ上に配置されるカバーと、
前記カバーと結合されるコアと、
前記コアと電気的に連結される複数個のブラシと、
前記コアに配置される複数個のコイルと、
前記カバーに配置される第1端子と第2端子と、を含み、
前記コアは長軸を有する単一コアであり、
前記複数個のコイルは、前記単一コアの一側に配置された第1コイルと前記第1コイルと分離され前記単一コアの他側に配置された第2コイルを含み、
前記第1コイルの磁場方向と前記第2コイルの磁場方向は同じであり、
前記コアは円柱状に形成され、
前記第1端子及び前記第2端子のそれぞれは、溝を含み、
前記第1コイルの一側は前記第1端子の溝内に配置され、前記第2コイルの一側は前記第2端子の溝内に配置され、
前記第1端子及び前記第2端子にそれぞれ印加される電源の極は互いに異なる、モータ。
【請求項14】
前記単一コアの長軸の長さは、前記カバーの半径より大きく、
前記複数個のブラシは、第1コイル電気的に連結される第1ブラシと前記第2コイルと電気的に連結される第2ブラシを含み、
前記第1ブラシは、前記コアの一側の終端と前記コアの長軸と垂直な方向に重なり、
前記第2ブラシは、前記コアの他側の終端と前記コアの長軸と垂直な方向に重なる、請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記第1コイルの巻線数は11~14ターンの巻線数を有する、請求項13に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にモータは回転可能に配置されるシャフト、シャフトと結合されるロータ、ハウジングの内側に固定されるステータが設けられるが、ロータの周りに沿って隙間を置いてステータが設置される。
【0003】
前記モータは電気的な相互作用によってロータの回転を誘導する。ロータにコイルが巻かれた場合、回転するロータに巻かれたコイルに電流を供給するために、前記モータは整流子とブラシ(brush)を含むことができる。
【0004】
通常、前記整流子はコイルと連結された状態でシャフトに結合して前記シャフトとともに回転する。そして、前記ブラシは整流子と接触可能にカバーに配置される。それにより前記ブラシは整流子に電気を供給する。
【0005】
前記モータが車両に設置される場合、車両の電子部品と前記モータとの間に電磁波干渉問題が発生し得る。
【0006】
それにより、前記モータには電磁波ノイズフィルタの機能を遂行するように、前記ブラシと電気的に連結されるチョークコイルが必須として配置される。
【0007】
この時、前記チョークコイルは制限されたモータの内部空間に配置されながらもノイズを最小化しなければならないため、高いインダクタンスを有することが重要である。ここで、前記インダクタンスはチョークコイルのターン数に比例する。
【0008】
したがって、チョークコイルのターン数を向上させ得るモータが要求されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実施例は、電磁波干渉問題を防止するようにチョークコイルのターン数を向上させるように設計されたモータを提供する。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は実施例により、ハウジング、前記ハウジング内に配置されるステータ、前記ステータ内に配置されるロータ、前記ロータと結合するシャフト、前記ハウジング上に配置されるカバー、前記カバーに配置されるコア、前記コアと電気的に連結される複数個のブラシ、および前記コアに巻線される複数個のコイルを含み、前記コアは第1領域、前記第1領域と連結され中心を含む第2領域および前記第2領域と連結される第3領域を含み、前記コイルは前記コアの第1領域に巻線される第1コイルと前記コアの第3領域に巻線される第2コイルを含み、前記コアの第2領域を基準として前記第1コイルの巻線方向と前記第2コイルの巻線方向は互いに同じであるモータによって達成される。
【0012】
ここで、前記コアの長軸の長さは前記ブラシそれぞれの長軸の長さの和より長くてもよい。
【0013】
そして、前記コアの長軸の長さは前記カバーの半径より長くてもよい。
【0014】
また、前記コアの第2領域は前記コイルが巻線されない領域であり得る。
【0015】
また、前記モータは前記カバーに配置される第1端子と第2端子をさらに含み、複数個の前記ブラシは第1ブラシと第2ブラシを含み、前記第1コイルの一側は前記第1端子に連結され、前記第1コイルの他側は前記第1ブラシに連結され、前記第2コイルの一側は前記第2端子に連結され、前記第2コイルの他側は前記第2ブラシに連結され得る。
【0016】
ここで、前記第1端子と前記第2端子は前記シャフトと垂直な方向に前記第2領域と重なり得る。
【0017】
また、前記第1端子および前記第2端子それぞれは溝を含み、前記第1コイルの一側は前記第1端子の溝内に配置され、前記第2コイルの一側は前記第2端子の溝内に配置され得る。
【0018】
そして、前記第1端子および前記第2端子にそれぞれ印加される電源の極は互いに異なり得る。
【0019】
また、前記カバーの中心から前記第2端子までの距離は、前記カバーの中心から前記第1端子までの距離より大きくてもよい。
【0020】
また、前記第1ブラシは前記カバーの中心を通る仮想の直線上に配置され、前記第2ブラシは前記中心を基準として前記第1ブラシと対応し、仮想の前記直線上に配置され得る。
【0021】
ここで、前記コアの長軸方向は仮想の前記直線と互いに平行であり得る。
【0022】
一方、前記カバーは前記コアの第1領域に隣接した第1ガイド突起と前記コアの第3領域に隣接した第2ガイド突起を含み、前記第1ガイド突起と前記第2ガイド突起は前記コアの第2領域を基準として対称であり得る。
【0023】
また、前記ブラシはN個であり、前記コアはN/2個であり得る。ここで、Nは整数である。
【0024】
また、前記コアは円柱状に形成され得る。
【0025】
ここで、前記コアは一終端に配置された円形の第1面と前記第1面と対向して前記コアの他終端に配置された円形の第2面を含み、前記第1領域は前記第1面を含み、前記第3領域は前記第2面を含むことができる。
【0026】
前記課題は実施例により、ステータ、前記ステータ内に配置されるロータ、前記ロータと結合するシャフト、前記ロータ上に配置されるカバー、前記カバーと結合されるコア、前記コアと電気的に連結されるブラシ、および前記コアに配置されるコイルを含み、前記コアは長軸を有する単一コアであり、前記コイルは前記単一コアの一側に配置された第1コイルと前記第1コイルと分離され前記単一コアの他側に配置された第2コイルを含み、前記第1コイルの磁場方向と前記第2コイルの磁場方向は同じであるモータによって達成される。
【0027】
ここで、前記単一コアの長軸の長さは前記カバーの半径より大きく、前記ブラシは第1コイルと電気的に連結される第1ブラシと前記第2コイルと電気的に連結される第2ブラシを含み、前記第1ブラシは前記コアの一側の終端と前記コアの長軸と垂直な方向に重なり、前記第2ブラシは前記コアの他側の終端と前記コアの長軸と垂直な方向に重なり得る。
【0028】
また、前記第1コイルの巻線数は11~14ターンの巻線数を有することができる。
【発明の効果】
【0029】
実施例に係るモータは、単一コアに巻線される二つのコイルを利用して外部で発生した電磁波に影響を防止または最小化することができる。例えば、前記モータはカバーのサイズを増加することなく単一コアを利用して前記コアに巻線されるコイルの巻線数を向上させ得る。それにより、前記モータは外部で発生した電磁波による干渉を防止または最小化することができる。
【0030】
実施例の多様かつ有益な長所と効果は前述した内容に限定されず、実施例の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例に係るモータを示す斜視図である。
図2】実施例に係るモータを示す断面図である。
図3】実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す底面斜視図である。
図4】実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す分解斜視図である。
図5】実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す底面図である。
図6】実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す正面図である。
図7】実施例に係るモータのカバーを示す底面図である。
図8】実施例に係るモータのカバーを示す断面図である。
図9】実施例に係るモータのインダクタンスおよびインピーダンスの改善を示す図面である。
図10】実施例に係るモータのEMCノイズの改善を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0033】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0034】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0035】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0036】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせ得るすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0037】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0038】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0039】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0040】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0041】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0042】
図1は実施例に係るモータを示す斜視図であり、図2は実施例に係るモータを示す断面図であり、図3は実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す底面斜視図であり、図4は実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す分解斜視図であり、図5は実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す底面図であり、図6は実施例に係るモータのカバーに対するコア、コイル、ブラシおよび端子の配置を示す正面図である。ここで、図2図1のA-A線を示す断面図である。そして、図2のx方向は軸方向を示し、y方向は半径方向を示す。この時、前記軸方向と前記半径方向は垂直である。ここで、前記軸方向はシャフトの長さ方向であり得る。そして、図面符号Cは前記モータ1の中心を示す。
【0043】
図1図6を参照すると、実施例に係るモータ1はハウジング100、ハウジング100上に配置されるカバー200、カバー200に配置されるコア300、コア300に巻線される複数個のコイル400、コア300と電気的に連結される複数個のブラシ500、カバー200に配置されコイル400の一側と電気的に連結される複数個の端子600、ハウジング100内に配置されるステータ700、ステータ700の内側に配置されるロータ800、ロータ800と結合するシャフト900およびシャフト900と結合する整流子1000を含むことができる。ここで、前記内側とは、半径方向を基準として前記モータ1の中心Cに向かって配置される方向を意味し、外側とは、前記内側と反対となる方向を意味する。
【0044】
一方、前記モータ1はシャフト900の外周面に配置されるベアリング10を含むことができる。ここで、ベアリング10はシャフト900の上部と下部にそれぞれ配置されてシャフト900を回転可能にする。
【0045】
このような、前記モータ1はEPSに使われるモータであり得る。前記EPS(Electronic Power Steering System)とは、モータの駆動力で操向力を補助することによって旋回安定性を保障し、迅速な復原力を提供して運転者に安全な走行を可能にする。または前記モータ1はABS(Anti-lock Brake System)に使われるモータであり得る。すなわち、前記モータ1はシャフト900が車両の制動装置と連結されて制動力を調節するための動力を伝達するようにして、車両の走行中にブレーキペダルの加圧時に発生する操向不安定性の問題を解決することができる。
【0046】
ハウジング100、カバー200およびカバー200の上部に配置されるベアリング10は前記モータ1の外形を形成することができる。ここで、前記カバー200はハウジング100の開放された上部を覆うように配置され得る。
【0047】
ハウジング100とカバー200の結合によって内部に収容空間が形成され得る。そして、前記収容空間には、図2に図示された通り、ブラシ500、ステータ700、ロータ800、シャフト900および整流子1000等が配置され得る。
【0048】
ハウジング100は内部にステータ700、ロータ800等を収容することができる。この時、ハウジング100の形状や材質は多様に変更され得る。例えば、ハウジング100は高温でもよく耐え得る金属材質で形成され得る。
【0049】
ハウジング100は円筒状に形成され得る。
【0050】
そして、ハウジング100の底面にはベアリング10が配置され得る。この時、前記ベアリング10の配置のために、ハウジング100は底面から軸方向に突出したハウジング突出部110を含むことができる。それにより、シャフト900の下部側の外周面に配置されるベアリング10の外周面はハウジング突出部110により支持され得る。
【0051】
カバー200は前記ハウジング100の開口を覆うようにハウジング100の開口面、すなわちハウジング100の上部に配置され得る。この時、カバー200は圧入方式を通じてハウジング100の上部に結合され得る。
【0052】
図2を参照すると、カバー200は上部カバー200aと上部カバー200aの下側に配置される下部カバー200bを含むことができる。ここで、上部カバー200aは金属材質で形成され得、下部カバー200bはプラスチックのような合成樹脂材質で形成され得る。
【0053】
図2に図示された通り、上部カバー200aは縁が上側に折り曲げられ得る。それにより、カバー200の縁を基準として上部カバー200aの縁は下部カバー200bと離隔して配置され得る。
【0054】
したがって、上部カバー200aと下部カバー200bの間にはシーリング部材20が配置され得る。この時、シーリング部材20は下部カバー200bの上側の縁に配置され得る。そして、シーリング部材20はハウジング100の内周面に接触し得る。
【0055】
したがって、前記モータ1は上部カバー200aと下部カバー200bの間に配置されるシーリング部材20を含むことができる。
【0056】
ここで、シーリング部材20はゴムのような材質で形成され得、「X」字状の断面または「D」字状の断面を有するように形成され得る。前記シーリング部材20が「X」字状の断面である場合、「X」の字を形成する各頂点は上部カバー200aおよびハウジング100の内周面と接触する。また、シーリング部材20を「D」字状にする場合、曲率を含んでいる部分は上部カバー200aと接触するように配置し、それ以外の部分をハウジング100の内周面と接触するように配置すると、異物の流入防止効果をさらに向上させ得る。しかし、シーリング部材20の形状は「X」字状の断面または「D」字状の断面に限定されない。例えば、シーリング部材20としてオーリングが配置されてもよい。
【0057】
したがって、前記シーリング部材20は前記モータ1の内部に水のような液体が流入することを防止する。
【0058】
前述された通り、カバー200は上部カバー200aと下部カバー200bに区分されたものをその例としているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、カバー200は単一のもので提供されてもよい。
【0059】
また、カバー200はシャフト900の配置のために中央にホールが形成され得る。この時、シャフト900は前記ホールに圧入方式で結合され得る。
【0060】
図7は実施例に係るモータのカバーを示す底面図であり、図8は実施例に係るモータのカバーを示す断面図である。ここで、図8図7のB-B線を示す断面図である。
【0061】
図7を参照すると、カバー200はカバーボディ210、カバーボディ210の下面211から軸方向に突出した第1ガイド突起220およびカバーボディ210の下面から軸方向に突出した第2ガイド突起230を含むことができる。ここで、カバーボディ210、第1ガイド突起220および第2ガイド突起230は一体に形成され得る。
【0062】
カバーボディ210は前記ハウジング100の開口を覆うようにハウジング100の開口面、すなわちハウジング100の上部に配置され得る。
【0063】
カバーボディ210は所定の半径R1を有する円板状に形成され得る。この時、カバーボディ210の半径R1はカバー200の半径であり得る。
【0064】
図7に図示された通り、第1ガイド突起220は互いに向かい合うように二つが配置され得る。また、第2ガイド突起230は互いに向かい合うように二つが配置され得る。それにより、第1ガイド突起220と第2ガイド突起230はコイル400が巻線されたコア300の配置を案内することができる。
【0065】
一方、カバー200は第1ガイド突起220の間および第2ガイド突起230の間に凹んでいるように形成されたガイド溝240を含むことができる。例えば、前記ガイド溝240はカバーボディ210の下面211に凹んでいるように形成され得る。この時、ガイド溝240はコア300の長軸方向と同一方向に長く形成され得る。
【0066】
それにより、前記ガイド溝240はコイル400が巻線されたコア300の配置を案内することができる。
【0067】
また、前記カバー200は外周面から内側に凹んでいるように形成された第1溝250を含むことができる。そして、前記第1溝250にはシーリング部材20が配置され得る。
【0068】
また、前記カバー200は上面から軸方向に突出した突出部260を含むことができる。そして、突出部260の内側にはベアリング10が配置され得る。図2に図示された通り、突出部260とシャフト900の間にはベアリング10が配置されるため、シャフト900はカバー200に対して回転可能に配置され得る。
【0069】
突出部260は前記ホールの外側に隣接するように配置され得る。そして、前記突出部260の内径は前記ホールの内径より大きくてもよい。
【0070】
コア300はカバー200の下部に配置され得る。
【0071】
コア300は長軸を有する単一コアであり得る。図4に図示された通り、コア300は円柱状に形成され得る。それにより、コア300の長軸方向はコア300の長さ方向であり得る。ここで、コア300はフェライト材質で形成され得る。
【0072】
図4を参照すると、コア300はコイル400の巻線により第1領域310、第1領域310と連結され中心C1を含む第2領域320および第2領域320と連結される第3領域330を含むことができる。この時、コア300の第1領域310には第1コイル410が巻線され、コア300の第3領域330には第2コイル420が巻線され得る。ここで、第2領域320はコイル400が巻線されない領域である。そして、前記中心C1はコア300の長軸方向に対する長さの中心であり得る。
【0073】
コア300は一終端に配置された円形の第1面311と、第1面311と対向してコア300の他終端に配置された円形の第2面331を含むことができる。この時、第1領域310は第1面311を含み、第3領域330は第2面331を含むことができる。すなわち、コア300は長軸方向を基準として反対方向に配置される第1面311と第2面331を含むことができる。
【0074】
図4を参照すると、コア300の長軸の長さD2は前記ブラシ500それぞれの長軸の長さD1の和より長くてもよい。
【0075】
図5を参照すると、コア300の長軸の長さD2はカバー200の半径R1より長くてもよい。
【0076】
また、図5に図示された通り、カバー200の中心Cと互いに向かい合うように配置されるブラシ500それぞれの中心を通る仮想の直線L1が形成され得る。そして、前記直線L1はカバー200の中心Cを通ることができる。この時、コア300の長軸方向は仮想の前記直線L1と平行するように配置され得る。
【0077】
すなわち、コア300の長軸方向は前記ブラシ500の長軸方向(長さ方向)と平行するように配置され得る。
【0078】
コイル400はコア300に巻線され得る。
【0079】
コイル400はコア300の第1領域310に巻線される第1コイル410およびコア300の第3領域330に巻線される第2コイル420を含むことができる。この時、コア300の第2領域320を基準として前記第1コイル410の巻線方向と前記第2コイル420の巻線方向は互いに同じでもよい。
【0080】
すなわち、コイル400は前記単一コアの一側に配置された第1コイル410と前記第1コイル410と分離され前記単一コアの他側に配置された第2コイル420を含むことができる。この時、第1コイル410および第2コイル420それぞれに印加される電源によって第1コイル410および第2コイル420それぞれに形成される磁場間の干渉を考慮して、前記第1コイル410の磁場方向と前記第2コイル420の磁場方向は同じでもよい。
【0081】
二つのコアにコイルがそれぞれ巻線される従来の場合より、実施例に係るモータ1はコイル400当たり2~3ターンの巻線数をさらに有することができる。例えば、第1コイル410および第2コイル420それぞれごとに2~3ターンの巻線数をさらに有することができる。したがって、コイル400はコア300に対して総4~6ターンの巻線数をさらに有することができる。
【0082】
第1コイル410の巻線数はコア300に対する11~14ターンの巻線数を有することができる。そして、第2コイル420の巻線数はコア300に対する11~14ターンの巻線数を有することができる。
【0083】
したがって、インダクタンスはコイル400のターン数の二乗に比例するため、前記モータ1はコイル400の巻線数の増加によってインダクタンスが改善される。例えば、コア300の直径が6.0mm、長さが19mmであり、コイル400の線径が1.5mmであるとき、従来の二つのコアそれぞれに巻線されるコイルより約27~64%程度インダクタンスが改善される。
【0084】
図9は、実施例に係るモータのインダクタンスおよびインピーダンスの改善を示す図面である。
【0085】
図9に図示された通り、前記モータ1の第1コイル410および第2コイル420それぞれごとに2~3ターンの巻線数を有するように巻線されるため、インダクタンス(Inductance)およびインピーダンス(Impedance)が改善されることを確認することができる。特に、前記モータ1はインダクタンスが2.5~5μΗ程度改善される。
【0086】
ここで、前記モータ1に対する比較例として提供される二つのコアにそれぞれ巻線されるコイルを含む従来のモータの場合、それぞれのコアに巻線されるコイルは10.5ターンの巻線数を有し、それにより、従来のモータで提供されるインダクタンスは2.2μΗである。
【0087】
図10は、実施例に係るモータのEMCノイズの改善を示す図面である。図10において、水平軸は周波数を示し、垂直軸はノイズレベルを示す。
【0088】
図10を参照すると、前記モータ1のEMCノイズの改善を確認することができる。例えば、30~300MHzの帯域で前記ノイズは10~20dB減少することを確認することができる。
【0089】
図3および図5に図示された通り、コア300に巻線された第1コイル410と第2コイル420はコア300の長軸方向に互いに離隔するようにコア300に配置され得る。
【0090】
そして、第1コイル410と第2コイル420が巻線されたコア300の一側は第1ガイド突起220の間に配置され、他側は第2ガイド突起230の間に配置され得る。
【0091】
図5を参照すると、第1ガイド突起220と前記第2ガイド突起230は前記コア300の第2領域320を基準として対象となるように配置され得る。図5に図示された通り、中心Cとコア300の長軸方向に対する中心C1をつなぐ仮想の直線L2を基準として、第1ガイド突起220と前記第2ガイド突起230は前記コア300の第2領域320を基準として対象となるように配置され得る。
【0092】
第1コイル410と第2コイル420が巻線されたコア300は、第1ガイド突起220および第2ガイド突起230に圧入方式で結合され得る。それにより、コア300に巻線された第1コイル410は第1ガイド突起220の内面221と接触し得る。そして、コア300に巻線された第2コイル420は第2ガイド突起230の内面231と接触し得る。
【0093】
この時、ガイド溝240には第1コイル410と第2コイル420が巻線されたコア300の一部が配置され得る。
【0094】
ブラシ500はカバー200の下部に配置され得る。この時、ブラシ500は複数個が配置され得、それぞれのブラシ500の一側は整流子1000に接触し得る。すなわち、カバー200にブラシ500がN個配置される場合、コア300はN/2個が配置され得る。ここで、Nは整数である。
【0095】
例えば、一つのコア300を二つのブラシ500が共有する。それにより、一つのコア300には二つのコイル400が配置され得る。
【0096】
ブラシ500は一方向を長い直六面体状に形成することができる。それにより、ブラシ500の長軸方向はブラシの長さ方向であり得る。
【0097】
図3図5を参照すると、中心Cを基準として第1ブラシ510と第2ブラシ520は互いに向かい合うように配置され得る。すなわち、第1ブラシ510の長軸方向の一面と第2ブラシ520の長軸方向の一面は互いに向かい合うように離隔して配置され得る。
【0098】
ここで、第1ブラシ510と第2ブラシ520は中心Cを半径方向に通る仮想の直線L1上に配置され得る。例えば、第1ブラシ510がカバー200の中心Cを通る仮想の直線L1上に配置される時、第2ブラシ520は前記中心Cを基準として前記第1ブラシ510と対応し、仮想の前記直線L1上に配置される。
【0099】
第1ブラシ510の一側は第1コイル410の一側端部と連結され得る。そして、第2ブラシ512の一側は第2コイル420の一側端部と連結され得る。
【0100】
図6を参照すると、第1ブラシ510は前記コア300の一側の終端と前記コア300の長軸と垂直な方向に重なり得る。そして、第2ブラシ520は前記コア300の他側の終端と前記コア300の長軸と垂直な方向に重なるように配置され得る。前記半径方向から見た時、第1ブラシ510の一部はコア300の一側の終端とオーバーラップするように配置され得る。そして、第2ブラシ520の一部はコア300の他側の終端とオーバーラップするように配置され得る。
【0101】
したがって、半径方向に第1ブラシ510の一部は第1コイル410の一部とオーバーラップするように配置され得る。そして、半径方向に第2ブラシ520は第2コイル420の一部とオーバーラップするように配置され得る。
【0102】
一方、前記モータ1はブラシホルダー530を含むことができる。この時、前記ブラシホルダー530はブラシ500それぞれを覆うように配置され得る。例えば、第1ブラシ510と第2ブラシ520それぞれを覆うようにブラシホルダー530がカバー200に配置され得る。
【0103】
そして、ブラシホルダー530の内部にはスプリングのような弾性部材540が配置されてブラシ500の一側を加圧する。それにより、ブラシ500の他側は整流子1000に接触する。例えば、第1ブラシ510と第2ブラシ520それぞれを弾性力を利用して加圧するように弾性部材540が配置され得る。
【0104】
端子600はカバー200の下部に配置され得る。この時、端子600は複数個が配置され得る。
【0105】
図3を参照すると、端子600は第1端子610と第2端子620を含むことができる。
【0106】
第1端子610は第1コイル410の一側と電気的に連結され得る。したがって、第1コイル410の一側は第1端子610に連結され、第1コイル410の他側は第1ブラシ510に連結される。この時、第1端子610は溝611を含むことができる。それにより、第1コイル410の一側は第1端子610の溝611内に配置され得る。ここで、第1端子610に形成された溝611は第1溝と呼称され得る。
【0107】
第2端子620は第2コイル420の一側と電気的に連結され得る。したがって、第2コイル420の一側は第2端子620に連結され、第2コイル420の他側は第2ブラシ520に連結される。この時、第2端子620は溝621を含むことができる。それにより、第1コイル410の一側は第2端子620の溝621内に配置され得る。ここで、第2端子620に形成された溝621は第2溝と呼称され得る。
【0108】
図5を参照すると、カバー200の中心Cから第2端子620までの距離はカバー200の中心Cから第1端子610までの距離より大きくてもよい。
【0109】
図6を参照すると、第1端子610と第2端子620はシャフト900と垂直な方向にコア300の第2領域320と重なるように配置され得る。前記半径方向から見た時、第1端子610と第2端子620はコア300の第2領域320とオーバーラップするように配置され得る。
【0110】
一方、第1端子610および第2端子620にそれぞれ印加される電源の極は互いに異なり得る。例えば、第1端子610には「+」極が連結され得、第2端子620には「-」極が連結され得る。
【0111】
ステータ700はロータ800との電気的相互作用を誘発してロータ800の回転を誘導する。ステータ700はハウジング100の内側に結合される、そしてステータ700は複数個のマグネットを含むことができる。前記マグネットはロータ800に巻かれたコイルと回転磁界を形成する。このようなマグネットは中心Cを基準として円周方向に沿ってN極とS極が交互に位置するように配置され得る。
【0112】
一方、ステータ700は前記マグネットの配置のためにステータコアを含むことができるが、必ずしもこれに限定されない。前記ステータコアは複数個の分割コアが結合されて製作されるか、一つの筒で構成される単一コアの形態で製作され得る。
【0113】
ロータ800はステータ700の内側に配置される。すなわち、ロータ800の外側にはステータ700が配置され得る。
【0114】
ロータ800はロータコアとコイルを含むことができる。ロータコアは薄い鋼板の形態の複数個のプレートが相互に積層された形態で形成され得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えばロータコアは一つの単一のもので形成されてもよい。
【0115】
ロータコアの外周面には複数個のトゥースが突出するように形成され得る。前記トゥースはロータ800の中心を基準として半径方向に向かって突出するように配置され得る。この時、前記トゥースはマグネットと対向するように配置され得る。そして、それぞれのトゥースにはコイルが巻かれる。この時、トゥースにはインシュレーターが設置され得る。前記インシュレーターはステータコアとコイルを絶縁させる。
【0116】
コイルに電流が供給されると、マグネットと電気的相互作用が誘発されてロータ800が回転することができる。ロータ800が回転する場合、シャフト900も一緒に回転する。この時、シャフト900は上部側と下部側に配置されるベアリング10により支持され得る。
【0117】
整流子1000はシャフト900に結合する。そして整流子1000はロータ800の上部に配置され得る。例えば、整流子1000はカバー200とロータ800の間に配置され得る。そして、整流子1000はロータ800のコイルと電気的に連結される。
【0118】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0119】
1:モータ
100:ハウジング
200:カバー
210:カバーボディ
220:第1ガイド突起
230:第2ガイド突起
300:コア
310:第1領域
311:第1面
320:第2領域
330:第3領域
331:第2面
400:コイル
410:第1コイル
420:第2コイル
500:ブラシ
510:第1ブラシ
520:第2ブラシ
600:端子
610:第1端子
620:第2端子
700:ステータ
800:ロータ
900:シャフト
1000:整流子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10