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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】メッシュネットワークにおける同期受信
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20231117BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20231117BHJP
   H04W 84/20 20090101ALI20231117BHJP
   H04W 4/38 20180101ALN20231117BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W52/02 111
H04W84/20
H04W4/38
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154884
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2020566619の分割
【原出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2022185028
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フイ,ジョナサン・ウィン-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】トゥロン,マーティン・エイ
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/107689(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374043(US,A1)
【文献】特表2018-520566(JP,A)
【文献】特開2008-072415(JP,A)
【文献】特開平08-274707(JP,A)
【文献】Larry Taylor(DTC (UK)),802.15.4 use by external SDOs, IEEE 802.15-13/0194r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org,2013年03月19日,sLide1-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスメッシュネットワークにおいてアイドル時受信器オフモードで動作する端末装置を有する親装置による情報の受信を同期するための方法であって、前記方法は、
前記親装置が前記端末装置から親要求メッセージを受信することと、
前記親要求メッセージの受信に応答して、前記親装置からの情報の同期受信のためのパラメータを前記端末装置に決定させるための、前記親装置のクロック精度を示す指標を含む親応答メッセージを送信することと、
前記親装置が、前記親装置からの情報の同期受信を行うための前記パラメータを含む子要求メッセージを受信することと、
前記子要求メッセージの受信に応答して、前記パラメータに基づいて情報を前記端末装置に送信することと、
情報の同期受信を行うための前記パラメータに基づいて、前記端末装置への前記情報の送信を中断することを決定することとを含む、方法。
【請求項2】
同期受信を行うための前記パラメータは、前記端末装置によって計算された同期休止時間値を含み、
前記端末装置への前記情報の送信を中断することを決定することは、同期休止時間値のタイマの満了に基づいて、前記端末装置への前記情報の送信を中断することを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親装置からの前記情報の受信を再同期するための再同期メッセージを前記端末装置から受信することと、
前記再同期メッセージの受信に応答して、同期された情報を前記端末装置に送信することとをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記再同期メッセージの受信に応答して、同期休止時間値のタイマをリセットすることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
データを前記端末装置に送信することを前記親装置にさせるポーリングメッセージを、前記端末装置から定期的に受信することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
情報を前記端末装置に送信することは、前記端末装置が受信器を起動して前記情報を受信する時間ウィンドウにおいて行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記端末装置への追加のデータパケットが前記親装置においてキューイングされることを示す指標をデータパケットに含めることと、
前記データパケットを前記端末装置に送信することとをさらに含み、
前記送信することは、前記端末装置に、前記追加のデータパケットを受信するように受信器をアクティブに維持させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記追加のデータパケットを前記端末装置に送信することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記親装置からの情報の同期受信を行うための前記パラメータは、前記親装置と前記端末装置との間の情報を同期するためのチャネルを示す指標、前記端末装置が前記親装置との同期を維持する最大時間を示す指標、またはその両方を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記親要求メッセージは、メッシュリンク確立(MLE:Mesh Link Establishment)親要求メッセージである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
親装置として構成されたメッシュネットワーク装置であって、前記メッシュネットワーク装置は、
メッシュネットワークにおいて通信するように構成されたメッシュネットワークインターフェイスと、
受信マネージャアプリケーションを実装するためのメモリおよびプロセッサのシステムとを備え、
前記受信マネージャアプリケーションは、
端末装置から親要求メッセージを受信し、
前記親要求メッセージの受信に応答して、前記親装置からの情報の同期受信のためのパラメータを前記端末装置に決定させるための、前記親装置のクロック精度を示す指標を含む親応答メッセージを送信し、
前記親装置からの情報の同期受信を行うための前記パラメータを含む子要求メッセージを受信し、
前記子要求メッセージの受信に応答して、前記パラメータに基づいて情報を前記端末装置に送信し、
情報の同期受信を行うための前記パラメータに基づいて、前記端末装置への前記情報の送信を中断することを決定するように構成されている、メッシュネットワーク装置。
【請求項12】
同期受信を行うための前記パラメータは、前記端末装置によって計算された同期休止時間値を含み、
前記受信マネージャアプリケーションは、同期休止時間値のタイマの満了に基づいて、前記端末装置への前記情報の送信を中断することを決定するように構成されている、請求項11に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項13】
前記受信マネージャアプリケーションは、
前記親装置からの前記情報の受信を再同期するための再同期メッセージを前記端末装置から受信し、
前記再同期メッセージの受信に応答して、同期された情報を前記端末装置に送信するようにさらに構成されている、請求項11または12に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項14】
前記受信マネージャアプリケーションは、前記再同期メッセージの受信に応答して、同期休止時間値のタイマをリセットするようにさらに構成されている、請求項13に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項15】
前記受信マネージャアプリケーションは、データを前記端末装置に送信することを前記親装置にさせるポーリングメッセージを、前記端末装置から定期的に受信するようにさらに構成されている、請求項11~14のいずれか1項に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項16】
情報を前記端末装置に送信することは、前記端末装置が受信器を起動して前記情報を受信する時間ウィンドウにおいて行われる、請求項11~15のいずれか1項に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項17】
前記受信マネージャアプリケーションは、
前記端末装置への追加のデータパケットが前記親装置においてキューイングされることを示す指標をデータパケットに含め、
前記データパケットを前記端末装置に送信するようにさらに構成され、
前記送信することは、前記端末装置に、前記追加のデータパケットを受信するように受信器をアクティブに維持させる、請求項11~16のいずれか1項に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項18】
前記受信マネージャアプリケーションは、前記追加のデータパケットを前記端末装置に送信するようにさらに構成されている、請求項17に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項19】
前記親装置からの情報の同期受信を行うための前記パラメータは、前記親装置と前記端末装置との間の情報を同期するためのチャネルを示す指標、前記端末装置が前記親装置との同期を維持する最大時間を示す指標、またはその両方を含む、請求項11~18のいずれか1項に記載のメッシュネットワーク装置。
【請求項20】
前記親要求メッセージは、メッシュリンク確立(MLE:Mesh Link Establishment)親要求メッセージである、請求項11~19のいずれか1項に記載のメッシュネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
環境条件を検知し、機器を制御し、およびユーザに情報および警告を提供するために、ワイヤレスメッシュネットワークを介して、装置を互いに接続し且つクラウドサービスに接続することは、ますます普及している。ワイヤレスメッシュネットワーク上の多くの装置がバッテリ電力で長時間動作するように設計されているため、装置の利用可能なコンピューティング、ユーザインターフェイスおよび無線リソースが制限される。
【0002】
また、一部のワイヤレスメッシュネットワーク装置は、電力消費を低減するために定期的にスリープすることがあり、データパケットを受信するようにメッシュネットワークに常時無線接続していない。スリープ中のメッシュネットワーク装置は、定期的にウェイクアップし、親メッシュネットワーク装置にポーリングすることによって、スリープ中のメッシュネットワーク装置へのデータがキューイングされているか否かを判断することができる。エリア内のワイヤレスメッシュネットワーク装置の密度が増加するにつれて、ポーリングトラフィックが増加するため、ネットワーク輻輳を引き起こし、通信遅延を増加させる可能性がある。
【0003】
バッテリ駆動の場合、スリープ中のメッシュネットワーク装置は、ポーリングに依存して保留データを確認するため、スリープ中のメッシュネットワーク装置へのデータが保留されていなくても、限られたバッテリ電力を使用してポーリング要求を送信する。スリープ中の端末装置のアプリケーションが短い通信遅延を必要とする場合、ポーリングメッセージをより頻繁に送信するため、バッテリ電力がより早く消費される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
この概要は、一般的にワイヤレスメッシュネットワークにおいて端末装置が親装置からのデータを同期受信することに関連する、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための簡略概念を紹介するために提供される。簡略概念は、以下の詳細な説明においてさらに説明される。この概要は、この概要は、請求される主題の本質的な特徴を特定することを意図しておらず、請求される主題の範囲を限定することを意図していない。
【0005】
一態様において、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための方法、装置、システム、および手段が記載される。この場合、端末装置は、親要求メッセージを親装置に送信する。親要求メッセージは、端末装置がアイドル時受信器オフモードで動作していることを示す。親要求メッセージに応答して、端末装置は、親装置のクロック精度を示す指標(indication)を含む親応答メッセージを受信する。端末装置は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に部分的に基づいて、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを決定する。端末装置は、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを含む子要求メッセージを送信する。これによって、親装置は、パラメータに基づいて、端末装置に情報を送信する。
【0006】
1つ以上の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明白になるであろう。この概要は、詳細な説明および図面においてさらに説明される主題を紹介するために提供される。したがって、この概要は、請求される主題の本質的な特徴を説明するものと見なされるべきではなく、請求される主題の範囲を限定するように使用されるべきでもない。
【0007】
ワイヤレスメッシュネットワークにおいてアイドル時受信器オフモードで動作する端末装置による情報の受信を同期するための方法が提供される。この方法は、端末装置が親要求メッセージを親装置に送信することを含む。この方法は、親要求メッセージに応答して、親装置のクロック精度を示す指標を含む親応答メッセージを親装置から受信することをさらに含む。この方法は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に部分的に基づいて、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを決定することをさらに含む。この方法は、端末装置が、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを含む子要求メッセージを送信することとを含む。これによって、親装置は、パラメータに基づいて、端末装置に情報を送信する。
【0008】
この方法は、同期受信を行うためのパラメータに基づいて、端末装置が、親装置からの情報を受信するために、時間ウィンドウにおいて受信器を定期的に起動することをさらに含んでもよい。
【0009】
受信器は、受信された親装置のクロック精度を示す指標と、過去の同期以降の時間とに基づいて起動されてもよい。
【0010】
この方法は、親装置からの情報の受信に基づいて、端末装置への追加データが親装置上でキューイングされていることを判断することと、ポーリングメッセージを親装置に送信することによって、親装置に追加データを送信させることとをさらに含んでもよい。
【0011】
この方法は、親装置からの情報の受信に基づいて、端末装置への追加データが親装置上にキューイングされていることを判断することと、追加データを受信するために、受信器をオンに維持することとをさらに含んでもよい。
【0012】
この方法は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に少なくとも部分的に基づいて、親装置からの情報の受信が現在では同期されていないことを判断することと、情報の受信が現在では同期されていないという判断に基づいて、再同期メッセージを親装置に送信することによって、親装置からの情報の受信を再同期することとをさらに含んでもよい。
【0013】
この方法は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に少なくとも部分的に基づいて、親装置からの情報の受信が現在では同期されていないと判断することと、端末装置へのデータを受信するために、定期的にポーリングメッセージを親装置に送信することとをさらに含んでもよい。
【0014】
端末装置内のアプリケーションは、時刻、スケジュール、占有状態、スマートホームシステムにおける構造物の状態、端末装置の状態、アラーム条件、端末装置のセンサ読み取り値の変化、センサ読み取り値が閾値を超えること、環境状態、端末装置のユーザから入力を受信すること、端末装置との相互作用を受信すること、情報の受信により高いスループットレートが必要であるという判断、より高いネットワーク容量が必要であるという判断、端末装置へのデータがサーバまたは親装置にキューイングされているという判断、またはより短い通信遅延が必要であるという判断のうち、少なくとも1つに基づいて、情報の受信を親装置と同期することを決定することができる。
【0015】
親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータは、親装置と端末装置との間の情報を同期するためのチャネルを示す指標、端末装置が親装置との同期を維持する最大時間を示す指標、またはその両方を含んでもよい。
【0016】
子要求メッセージは、メッシュリンク確立(MLE)子ID要求メッセージまたはMLE子更新要求メッセージであってもよい。
【0017】
また、端末装置として構成されたメッシュネットワーク装置が提供される。メッシュネットワーク装置は、ワイヤレスメッシュネットワークで通信するように構成された確認通知メッシュネットワークインターフェイスと、受信マネージャアプリケーションを実装するためのメモリおよびプロセッサシステムとを備える。受信マネージャアプリケーションは、メッシュネットワークインターフェイスを使用して、親要求メッセージを親装置に送信するように構成され、親要求メッセージは、端末装置がアイドル時受信器オフモードで動作していることを示す。受信マネージャアプリケーションは、親要求メッセージに応答して、親装置のクロック精度を示す指標を含む親応答メッセージを受信するようにさらに構成される。受信マネージャアプリケーションは、受信された親装置のクロック精度を示す指標に部分的に基づいて、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを決定するようにさらに構成される。受信マネージャアプリケーションはさらに、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを含む子要求メッセージを送信するように構成され、この送信によって、親装置は、パラメータに基づいて、端末装置に情報を送信する。
【0018】
受信マネージャアプリケーションは、親装置からの情報を受信するために、時間ウィンドウにおいてメッシュネットワークインターフェイスの受信器を定期的に起動するように構成されている。
【0019】
受信器は、受信された親装置のクロック精度を示す指標と、過去の同期以降の時間とに基づいて起動されてもよい。
【0020】
受信マネージャアプリケーションは、親装置からの情報の受信に基づいて、端末装置への追加データが親装置上でキューイングされていることを判断し、ポーリングメッセージを親装置に送信することによって、親装置に追加データを送信させるようにさらに構成されている。
【0021】
受信マネージャアプリケーションは、親装置からの情報の受信に基づいて、端末装置への追加データが親装置上にキューイングされていると判断し、追加データを受信するために、受信器をオンに維持するようにさらに構成されている。
【0022】
受信マネージャアプリケーションは、受信された親装置のクロック精度を示す指標に少なくとも部分的に基づいて、親装置からの情報の受信が現在では同期されていないと判断し、情報の受信が現在では同期されていないという判断に基づいて、再同期メッセージを親装置に送信することによって、親装置からの情報の受信を再同期するようにさらに構成されている。
【0023】
受信マネージャアプリケーションは、受信された親装置のクロック精度を示す指標に少なくとも部分的に基づいて、親装置からの情報の受信が現在では同期されていないと判断し、端末装置へのデータを受信するために、定期的にポーリングメッセージを親装置に送信するようにさらに構成される。
【0024】
親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータは、親装置と端末装置との間の情報を同期するためのチャネルを示す指標、端末装置が親装置との同期を維持する最大時間を示す指標、またはその両方を含む。
【0025】
また、メッシュネットワークシステムが提供される。メッシュネットワークシステムは、親装置と端末装置とを備える。端末装置は、親要求メッセージを親装置に送信するよう
に構成され、親要求メッセージは、端末装置が受信器オフアイドリングモードで動作していることを示す。端末装置は、親要求メッセージに応答して、親装置のクロック精度を示す指標を含む親応答メッセージを受信するようにさらに構成される。端末装置は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に部分的に基づいて、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを決定するようにさらに構成される。端末装置はさらに、親装置からの情報の同期された受信のためのパラメータを含む子要求メッセージを送信するように構成され、この送信によって、親装置は、パラメータに基づいて、端末装置に情報を送信する。
【0026】
以下、図面を参照して、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を説明する。図面全体を通して、同様の特徴および構成要素は、同様の番号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための様々な態様を実施することができる例示的なメッシュネットワークシステムを示す図である。
図2】メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための様々な態様を実施することができる例示的な環境を示す図である。
図3a】本明細書に記載された技術の態様に従って、送信器と受信器との例示的な同期を示す図である。
図3b】本明細書に記載された技術の態様に従って、送信器と受信器との別の例示的な同期を示す図である。
図4】本明細書に記載された技術の態様に従って、親装置と端末装置との間の例示的なデータおよび制御トランザクションを示す図である。
図5】本明細書に記載された技術の態様に従って、一般的にメッシュネットワークにおける親装置と端末装置との間の同期受信を確立することに関連するメッシュネットワークにおいて同期受信を行うための例示的な方法を示す図。
図6】本明細書に記載された技術の態様に従って、メッシュネットワークを実装することができる例示的な環境を示す図である。
図7】本明細書に記載された技術の1つ以上の態様に従って、メッシュネットワーク環境に実装され得る例示的なメッシュネットワーク装置を示す図である。
図8】メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を実施することができる例示的な装置を含む例示的なシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本明細書は、ワイヤレスメッシュネットワーク内の装置間の情報を同期するための技術および装置を記載する。一定の期間にスリープする(例えば、ワイヤレスメッシュネットワークと通信しない)必要に基づいて、端末装置は、ワイヤレスメッシュネットワーク内の親装置に対して、端末装置が同期受信モードで動作したいことを知らせる。これに応答して、親装置は、親装置のクロック精度を示す指標を送信する。端末装置は、親装置のクロック精度を用いて、同期受信を行うためのパラメータを決定し、親装置に送信する。端末装置は、これらのパラメータに基づいて、受信器を起動して親装置からデータを受信する。
【0029】
ワイヤレスメッシュネットワークは、ワイヤレスノードを備える通信ネットワークである。これらのワイヤレスノードは、メッシュネットワークにおいて、データトラフィックに信頼できる且つ豊富な通信経路を提供するメッシュトポロジーに従って接続される。ワイヤレスメッシュネットワークは、複数の無線リンクまたはホップを使用して、メッシュネットワーク内の装置間にデータトラフィックを転送する。したがって、単一の無線リンクによってカバーされる区域よりも大きな区域をカバーすることができる。
【0030】
ワイヤレスメッシュネットワークは、専有技術または標準技術に準拠することができる。例えば、ワイヤレスメッシュネットワークは、メッシュネットワーキングスタックのうち、上位層内のアプリケーションによって使用される物理(PHY)層およびメディアアクセス制御(MAC)層の特徴およびサービスを定義するIEEE802.15.4規格に準拠することができる。上位層アプリケーションは、これらの標準定義サービスに依存して、パケットデータのアドレス指定およびルーティングをサポートすることによって、メッシュネットワーク全体のアプリケーションレベル通信およびメッシュネットワークと外部ネットワークとの間のアプリケーションレベル通信をサポートする。同様に、ブルートゥース(登録商標)、Thread(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)、ブルートゥーススマート(Bluetooth(登録商標)Smart)、およびブルートゥースメッシュ(Bluetooth Mesh)などの他のワイヤレスメッシュネットワーク技術は、同様の層状ネットワーキングスタックを有する。
【0031】
クラウドベースサービスに依存するアプリケーションは、メッシュネットワーク装置にパケットを送信し、メッシュネットワーク装置からパケットを受信する。これらのパケットは、様々な技術を使用する多数のネットワークを通過する。低電力動作を促進するために、メッシュネットワークは、低データレートを使用する低電力無線技術を使用して、エネルギーを節約する。また、メッシュネットワークからクラウドベースサービスへのネットワーク接続は、データを送信する帯域幅およびコストが制約されるセルラワイヤレスシステムを含むことができる。
【0032】
多くのメッシュネットワーク装置、例えばセンサは、数月または数年などの長期間に亘って低電力のバッテリで動作するように設計されている。長いサービス寿命を達成するために、バッテリ駆動のメッシュ装置は、一定の期間に、多くの装置機能、例えば無線インターフェイスおよびネットワークインターフェイスをオフにするまたはスリープにすることがある。スリープ期間中、メッシュ装置は、メッシュネットワークを介して、当該メッシュ装置に送信されるパケットを受信することができない。これらのスリープ中のメッシュ装置は、親装置に接続されている。メッシュ装置がスリープしており、メッシュネットワーク上でアクティブでないときに、親装置は、スリープ中のメッシュ装置に代わって応答することができる。親装置は、子装置へのパケットをバッファリングし、子装置に代わって応答する。
【0033】
いくつかの態様において、クラウドベースサービスおよび様々なメッシュネットワーク装置は、分散型応用または使用事例に参加することがある。各使用事例は、メッシュネットワーク上でまたはクラウドベースサービスとメッシュネットワーク装置との間に異なるレベルの通信遅延または利用可能性を必要とする。例えば、クラウドベースサービスおよび/またはメッシュネットワーク装置は、メッシュネットワーク装置が設置されているスマートホームまたは構造物のビルディングオートメーションアプリケーションに関連するモードまたは状態を判断することができる。例示的なモードまたは状態は、構造物の占有状態、構造物のアラーム条件、構造物または構造物内のメッシュネットワーク装置に関連するユーザ相互作用、構造物の環境条件、構造物に関連するスケジュールなどを含んでもよい。
【0034】
端末装置の状態、例えば、閾値を超えるセンサ読み取り値、端末装置との相互作用に応答して、または特定の状態もしくはモードにおいて、端末装置は、通信遅延を減少させ、電力消費を減少させ、および/またはネットワーク利用率を向上させるために、親装置との同期受信モードで動作することができる。端末装置は、一定の期間中にまたは特定の状態もしくはモード時に、同期受信モードで動作し、その期間が終了した後、データのポー
リング(例えば、間接送信)に戻ることができる。
【0035】
記載されたメッシュネットワークにおいて同期受信を行うための装置、システム、および方法の特徴および概念は、任意の数の異なる環境、システム、装置、および/または様々な構成において実装されよい。以下、例示的な装置、システムおよび構成を用いて、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を説明する。
【0036】
図1は、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための様々な態様を実施することができる例示的なシステムとしてのメッシュネットワーク100を示す。メッシュネットワーク100は、ルータ102、ルータ適格端末装置104および端末装置106を含むワイヤレスメッシュネットワークである。ルータ102、ルータ適格端末装置104および端末装置106の各々は、メッシュネットワーク上で通信するためのメッシュネットワークインターフェイスを含む。ルータ102は、各々のメッシュネットワークインターフェイスを介して、パケットデータを送受信する。また、ルータ102は、メッシュネットワーク100の全体においてトラフィックをルーティングする。
【0037】
ルータ適格端末装置104は、メッシュネットワークトポロジーのリーフノード(leaf
node)に位置し、メッシュネットワーク100の他のノードにトラフィックを能動的に
ルーティングしないルータ適格端末装置を表す。ルータ適格装置104は、追加のメッシュネットワーク装置に接続されると、ルータ102になる。端末装置106は、メッシュネットワーク100を介して通信することができるが、単にパケットをその親ルータ102に転送するのみであり、メッシュネットワーク100においてトラフィックをルーティングする機能を有しない装置である。例えば、バッテリ駆動のセンサは、一種類の端末装置106である。
【0038】
一部の端末装置106は、動作している時間のうち一部の時間に、一部の動作またはハードウェアを停止する(すなわち、スリープする)ことができる。例えば、端末装置106は、メッシュネットワーク100に接続する必要がある動作間の電力を節約するために、無線機またはネットワークインターフェイスを停止することができる。例えば、バッテリ駆動の温度センサは、温度を報告する時のみ、定期的にウェイクアップし、次の報告までの間にスリープする。端末装置106は、スリープすると、メッシュネットワーク100に能動的に接続されていないため、指定クエリに応答することができず、メッシュネットワーク100を介してデータパケットを受信することができない。
【0039】
図2は、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための様々な態様および技術を実装することができる例示的な環境200を示す。環境200は、メッシュネットワーク100を含む。メッシュネットワーク100内のいくつかのルータ102は、特定の機能を行う。
【0040】
(ゲートウェイおよび/またはエッジルータとも知られている)境界ルータ202は、複数のルータ102のうちの1つである。境界ルータ202は、メッシュネットワークインターフェイスと共に、メッシュネットワーク100の外側の外部ネットワークと通信するための第2のインターフェイスを含む。境界ルータ202は、外部ネットワークを介してアクセスポイント204に接続される。アクセスポイント204は、例えば、イーサネット(登録商標)ルータ、WiFi(登録商標)アクセスポイント、セルラ基地局、または異なる種類のネットワークを相互接続するための任意の他の適切な装置であってもよい。図2は、明瞭性のために1つのみの境界ルータ202を示しているが、メッシュネットワーク100は、任意の数の外部ネットワークに接続することができる任意の数の境界ルータ202を含んでもよい。別の実装形態において、端末装置106は、境界ルータ202として動作してもよい。この場合、境界ルータ202として動作している端末装置は、
メッシュネットワーク100と外部ネットワークとの間のトラフィックをルーティングするが、他のメッシュネットワーク装置間のトラフィックをルーティングしない。
【0041】
アクセスポイント204は、インターネットなどの通信ネットワーク206に接続される。通信ネットワーク206に接続されているクラウドサービス208は、メッシュネットワーク100内の装置に関連するサービスおよび/またはメッシュネットワーク100内の装置を使用するサービスを提供する。限定ではなく一例として、クラウドサービス208は、スマートフォン、タブレットなどのエンドユーザ装置をメッシュネットワーク100内の装置に接続する用途、メッシュネットワーク100から取得されたデータを処理してエンドユーザに提示する用途、1つ以上のメッシュネットワーク100内の装置をクラウドサービス208のユーザアカウントにリンクする用途、メッシュネットワーク100内の装置を提供および更新する用途などを提供する。代替的にまたは選択的に、クラウドサービス208に関連するサービスは、クラウドサービス208と、メッシュネットワーク装置が配置されている構造物に配置されたハブ装置(例えば、境界ルータ202、セキュリティハブなど)との間に完全にまたは部分的に分散されてもよい。メッシュネットワーク装置の特性、リソースおよびインターフェイスまたは構造物に関連する情報の格納場所は、クラウドサービス208とハブ装置との間に任意の適切な方法で動的に分散されてもよい。
【0042】
複数のルータ102のうち、1つのルータは、メッシュネットワーク100のリーダ210として機能する。リーダ210は、ネットワーク構成情報の主要なアービタであり、ルータ識別子の割り当てを管理し、メッシュネットワーク100のネットワーク構成情報を含むネットワークデータを伝達する。
【0043】
同期受信
以下で詳細に説明するように、端末装置は、親装置に接続される時にまたは後の時点で確立され得る同期受信モードで動作する、または動作するように構成されている。図3aは、親装置302(例えば、ルータ102またはルータ適格端末装置104)および端末装置304(例えば、端末装置106)の送信器と受信器との間の例示的な同期300を示す。以下、図4を参照して詳細に説明するように、端末装置304は、同期受信スケジュールを確立して、例えばIEEE802.15.4CSL(Coordinated Sampled Listening)を使用して親装置302に送信する。図示のように、端末装置304は、間隔3
20および受信ウィンドウ322における、310、312、314、316、および318で、受信器を定期的に起動する。
【0044】
親装置302は、端末装置304に送信すべきデータを保存している場合、図示のように324および326でデータを送信する。端末装置304は、受信ウィンドウ322において受信器を起動する。受信ウィンドウ322は、ワイヤレスメッシュネットワーク100において予想長さまたは最大長さのデータパケットを送信するための時間328よりも長いように選択される。図示のように、330で、予想送信時間328よりも長い時間ウィンドウにおいて端末装置304の受信器を起動することによって、親装置302および端末装置304のクロックがドリフトしても、通信は、クロックドリフトに関わらず成功するだろう。
【0045】
図3bは、一般的に親装置302と端末装置304との間の無線通信の経時的なクロックドリフトに関連して、送信器と受信器との別の例示的な同期350を示している。まず、親装置302と端末装置304との間の同期受信を確立した後、図示のように、352で親装置302からの送信は、受信ウィンドウ322の中央に位置している。一定の期間の後、親装置302および端末装置304のクロックは、離れるようにドリフトする。図示のように、354において親装置302からの送信は、受信ウィンドウ322の中央に
位置していない。354において、親装置のクロックが端末装置304のクロックよりも速い(周波数のドリフトがより高い)場合、親装置302の送信は、受信ウィンドウ322の早い時点で発生する。代替的に、親装置のクロックが端末装置304のクロックよりも遅い(周波数のドリフトがより低い)場合、親装置302の送信は、受信ウィンドウ322の遅い時点で発生する。
【0046】
356において、親装置302のクロックおよび端末装置304のクロックが十分に大きくドリフトすることになり、親装置302からの送信の一部または全部は、受信ウィンドウ322の外側になる。この時点で、端末装置304は、同期受信モードで親装置からの送信を受信することができない。同期受信を続けて使用するために、親装置302および端末装置304は、再同期するか、または端末装置304は、親装置302にポーリングすることによって、親装置302によってキューイングされたデータを取得するための間接送信に戻ることができる。
【0047】
図4は、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための様々な態様に従って、親装置302と端末装置304との間の通信に関与する例示的なデータおよび制御トランザクションを示す。405において、端末装置304は、マルチキャストアドレスを用いて、親装置302を含むメッシュネットワーク100内の装置にMLE(Mesh Link Establishment)親要求メッセージを送信する。MLE親要求メッセージは、端末装置304が
アイドル時受信器オフ(例えば、アイドル時rxオフ)モードおよび/または同期受信モードで動作するように構成されていることを示す指標を含む。この指標は、例えば、無線でウェイクアップ動作モードを示すように設定されたTLV値(Mode Type-Length-Value:モードの種類を示す長さ値)のビット、または端末装置304がアイドル時rxオフモードで動作していることを示すように設定されたTLV値のビットであってもよい。
【0048】
410において、親装置302は、親要求メッセージに応答して、CSL精度TLVを含むMLE親応答メッセージを送信する。CSL精度TLVは、親装置302のクロック精度を示す指標を含む。例えば、CSL精度TLVは、同期受信タイミングを設定するために親装置302によって使用されるクロックの百万分率(ppm)単位で表される16ビットCSL精度値を含む。
【0049】
415において、端末装置304は、受信したCSL精度値を使用して、親装置302との同期受信を用いて通信するためのパラメータを決定する。パラメータは、CSL同期休止時間値を含む。例えば、端末装置304は、CSL精度値および他の情報、例えば、端末装置304のクロック精度、メディアアクセス(MAC)層プロトコルデータユニット(PDU)の最大長を使用して、親装置302の送信器と端末装置304の受信器とが同期されていないことを示すCSL同期休止時間値を決定する。CSL同期休止時間値は、秒単位の32ビット符号なし整数値であってもよい。
【0050】
420において、端末装置304は、親装置302と親子関係を確立するためのパラメータを含むMLE子ID要求を親装置302に送信する。MLE子ID要求は、425で同期受信を確立するために、CSL通信用の1つ以上のチャネルを示すCSLチャネルTLV、および/またはCSL同期休止時間TLVを含むことができる。代替的に、CSLチャネルTLVおよび/またはCSL同期休止時間TLVを含むことによって、MLE子ID要求がMAC PDU(MPDU)の最大サイズを超える場合、端末装置304は、同期受信を確立するために、親装置302へのMLE子更新要求メッセージにCSLチャネルTLVおよび/またはCSL同期休止時間TLVを含む。
【0051】
追加的にまたは選択的に、端末装置304は、同期受信が確立されている間に、間接送信(親装置302をポーリングすること)を使用してもよい。親装置302上で端末装置
304への追加データパケットがキューイングされていることを示す指標を含むデータパケットを親装置302から受信すると、端末装置304は、間接送信を使用して、キューイングされたデータパケットを取得することができる。別の態様において、キューイングされたデータが存在する場合、端末装置304は、受信器をオンにすることを親装置302に知らせることができる。これによって、端末装置304によるデータパケットの受信に成功した後に、親装置302は、キューイングされたデータを続けて送信することができる。
【0052】
代替的に、端末装置304は、親装置302との同期受信を構成することなく、親子関係を確立してもよい。後で、端末装置304は、CSL通信用のチャネルを示すCSLチャネルTLVおよび/またはCSL同期休止時間TLVを含むMLE子更新要求を親装置302に送信することによって、425で同期受信を確立する。
【0053】
図3に示すように、親装置302および端末装置304は、同期を確立してから、同期エラーが成功した同期受信動作の閾値を超えることまたは同期エラーが未知であることを示すCSL同期休止時間が終了するまで、同期受信を用いて通信することができる。親装置302および端末装置304は、それぞれ430および435において、CSL休止時間が終了したか否かを判断する。親装置302は、CSL休止時間が終了したと判断する場合、440において、CSL送信を一時停止する。
【0054】
端末装置304は、CSL休止時間が終了したと判断した場合、450において間接送信によってデータを受信すること(すなわち、親装置302にポーリングすることによって、キューイングされた端末装置304へのデータパケットを取得すること)に戻るかまたは親装置302と再同期するかを、445において判断する。例えば、以下で説明するように、端末装置304内のアプリケーションは、アプリケーション状態、センサ読み取り値などに基づいて、同期受信を再確立するか否かを判断することができる。
【0055】
同期受信を再確立するために、端末装置304は、455において、親装置302への再同期メッセージにCSL情報要素(IE)を含む。これによって、460において同期受信を再確立する。例えば、端末装置304は、同期受信を再同期するように、親装置302へのメッシュリンク再確立メッセージまたはデータパケットにCSL IEを含む。親装置302へのメッセージにCSL IEを含むことによって、親装置302および端末装置304のCSL休止時間をリセットする。図4は、CSL休止時間が終了した後の再同期を示すが、端末装置304は、同期受信が確立されている間に、任意の時間でCSL IEを送信してもよい。これによって、同期受信を使用して継続的に動作するように、親装置302および端末装置304は、再同期される。
【0056】
例示的な応用および使用事例
いくつかの態様において、1つ以上のクラウドベースサービスおよび様々なメッシュネットワーク装置は、分散型応用または使用事例に参加することができる。各使用事例は、メッシュネットワーク上でまたはクラウドベースサービスとメッシュネットワーク装置との間に、異なるレベルの通信遅延または利用可能性を必要とする。以下の応用および使用事例は、限定ではなく例示として提供される。
【0057】
クラウドベースサービスおよび/またはメッシュネットワーク装置は、メッシュネットワーク装置が設置されているスマートホームまたは構造物のビルディングオートメーションアプリケーションに関連するモードまたは状態を判断することができる。例えば、構造物の占有状態は、構造物が占有されていること、または居住者がいない時に構造物が占有されていないことを示すことができる。構造物が占有されているときに、または占有されていない状態から占有されている状態に移行するときに、望ましくは、サーモスタットお
よび温度センサなどの様々なメッシュネットワーク装置は、閉ループHVAC制御を行うために、より低い通信遅延およびより速い応答時間を提供するように、同期受信を使用して動作する。
【0058】
メッシュネットワーク装置は、アラーム条件に基づいて、同期受信に移行することができる。例えば、メッシュネットワーク端末装置は、別のメッシュネットワーク装置からアラーム条件を示す指標を受信することができ、別のメッシュネットワーク装置によって転送されたアラーム条件を示す指標を受信することができ、またはメッシュネットワーク端末装置自体は、メッシュネットワーク端末装置内のセンサ読み取り値が閾値を超える場合、アラーム条件が存在すると判断することができる。アラーム条件に応答して、端末装置は、アラーム条件が存在する間により早く応答するために、同期受信を確立(または再確立)することによって、より低い通信遅延で動作することができる。端末装置は、アラーム条件が存在する間に、同期受信を確立(または再確立)することによって、データのポーリングを一時停止することができる。これによって、潜在的な干渉を低減し、および/またはアラームに応答して通信する他のメッシュネットワーク装置およびサービスのネットワーク利用可能性および容量を増加することができる。
【0059】
メッシュネットワーク装置は、同期受信に移行することによって、データ受信スループットを増加させることができる。例えば、メッシュネットワーク端末装置は、同期受信を確立(または再確立)することによって、通常のデータダウンロードよりも大きなデータダウンロードのため、例えばソフトウェア更新を受信するため、ネットワークスループットを増加させることができる。同期受信を使用することによって、端末装置は、スループットを増加させると共に、ポーリングを使用して親装置からソフトウェア更新を取得する場合に消費された電力よりも少ない電力を消費することができる。さらなる例示において、メッシュネットワーク端末装置は、定期的にクラウドベースサービスに連絡することによって、キューイングされたデータパケットを取得することができる。メッシュネットワーク端末装置は、同期受信を確立(または再確立)するによって、キューイングされたデータパケットをダウンロードするため、ネットワークスループットを増加させることができる。
【0060】
メッシュネットワーク装置は、スケジュールに基づいて同期受信に移行することができる。メッシュネットワーク装置が設置されているスマートホームまたは構造物のビルディングオートメーションアプリケーションに関連するモードまたは状態に対して、スケジュールを作成することができる。メッシュネットワーク端末装置は、モードまたは状態のスケジュールに基づいて同期受信を確立(または再確立)することができる。例えば、オフィスビルなどの構造物の占有状態を使用して、占有期間(例えば、通常のビジネス時間)を示すことができる。占有期間中に、端末装置は、オフィスを占有するユーザからの入力により早く応答するために、より低い通信遅延の同期受信を使用して動作することができる。
【0061】
メッシュネットワーク装置は、同期受信を使用して、メッシュネットワーク容量を増加させることができる。多くのメッシュネットワーク装置は、商業ビルディングオートメーションシステムに配置されてもく、住宅所有者は、スマートホームネットワークのサイズを経時的に増大してもよい。メッシュネットワークの規模が増大する場合、ネットワークトラフィックの干渉および衝突が増加する。これによって、ユーザがメッシュネットワーク装置およびアプリケーションと相互作用するときの応答が影響され得る。例えば、チャネル状態、ネットワーク統計、メッシュネットワーク内の装置の数、構成パラメータなどの評価に基づいて、端末装置は、同期受信を確立(または再確立)して、メッシュネットワークの動作チャネル上でポーリングおよび受信通知の送信を低減することによって、メッシュネットワークの全体的な容量および利用可能性を増加させることができる。
【0062】
メッシュネットワーク装置は、環境状態に基づいて異なる通信遅延を必要とする。例えば、太陽電池駆動サンシェードなどの太陽電池駆動装置は、太陽エネルギーから電気を作り出すことができる晴天または高温のときに、同期受信を確立(または再確立)することによって、短い遅延の動作を提供することができる。環境条件が変化して、例えば夜間になるときに、サンシェードは、ユーザの相互作用に迅速に応答する必要がないため、より長い通信遅延の間接送信を使用して動作してもよい。
【0063】
メッシュネットワーク装置は、メッシュネットワーク装置との相互作用または別のメッシュネットワーク装置との相互作用に基づいて同期受信に移行することができる。例えば、メッシュネットワーク装置は、ユーザによるボタン押下、動きまたは近接の検出、接点開閉の感知などの相互作用を受信することができる。メッシュネットワーク装置は、相互作用に応答して、同期受信を確立(または再確立)することができる。これによって、相互作用に応答して受信され得るコマンドに対する応答時間を改善することができる。別の例では、カメラなどの別の装置は、相互作用の画像またはビデオを捕捉することができ、捕捉された画像、ビデオ、または捕捉された画像またはビデオに適用された顔または画像認識に基づいて、メッシュネットワーク装置は、相互作用または後続の相互作用から生じたコマンドに対する応答性を改善するように、同期受信を確立(または再確立)することができる。
【0064】
例示的な方法
例示的な方法500は、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための1つ以上の態様に従って、図5を参照して説明する。通常、本明細書に記載されたコンポーネント、モジュール、方法、および動作は、いずれもソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、固定論理回路)、手動処理、またはそれらの任意の組合せを用いて実装されてもよい。例示的な方法の一部の動作は、コンピュータ処理システムに対してローカルおよび/またはリモートであるコンピュータ可読記憶メモリに記憶された実行可能な命令の一般的な文脈で説明されてもよく、実装形態は、ソフトウェアアプリケーション、プログラム、関数などを含んでもよい。代替的にまたは追加的に、本明細書に記載されたいずれかの機能は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SoC)、複合プログラマブルロジック装置(CPLD)などを含むがこれらに限定されない1つ以上のハードウェア論理構成要素によって、少なくとも部分的に実行されてもよい。
【0065】
図5は、一般的に、メッシュネットワークにおいて親装置と端末装置との間の同期受信を確立することに関連するメッシュネットワークにおいて同期受信を行うための例示的な方法500を示す。記載された方法ブロックの順序は、限定として解釈されるべきではない。方法または代替的な方法を実装するために、説明された方法ブロックのうち、任意の数の方法ブロックを任意の順序で組み合わせることができ、または任意の数の方法ブロックをスキップすることができる。
【0066】
ブロック502において、端末装置(例えば、端末装置304)は、親要求メッセージ(例えば、MLE親要求メッセージ)を親装置(例えば、親装置302)に送信する。
【0067】
ブロック504において、親要求メッセージに応じて、端末装置は、親装置のクロック精度を示す指標(例えば、CSL精度TLV)を含む親応答(例えば、MLE親応答メッセージ)を親装置から受信する。
【0068】
ブロック506において、端末装置は、受信された親装置のクロック精度を示す指標に
部分的に基づいて、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータを決定する。
【0069】
ブロック508において、端末装置は、親装置からの情報の同期受信を行うためのパラメータ(例えば、CSLチャネルTLVおよび/またはCSL同期休止時間TLV)を含む子要求メッセージ(例えば、MLE子ID要求メッセージまたはMLE子更新要求メッセージ)を親装置に送信し、親装置は、これらのパラメータに基づいて、情報を端末装置に送信する。
【0070】
ブロック510において、端末装置は、CSL同期休止時間を示す時間が終了したことか否かを判断する。CSL同期休止時間が終了した場合、端末装置は、ブロック512において、親装置からの情報の受信を再同期するか否かを決定する。親装置からの情報の受信を再同期すると決定した場合、端末装置は、ブロック514において、再同期メッセージを親装置に送信し、そうでない場合、端末装置は、ブロック516において、間接送信に戻り、親装置からキューイングされたデータパケットを受信する。
【0071】
例示的な環境および装置
図6は、(図1を参照して説明した)メッシュネットワーク100およびメッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を実施することができる環境例600を示す。一般的に、環境600は、任意の数のメッシュネットワーク装置を備えるスマートホームまたは他の構造物の一部として実装されたメッシュネットワーク100を含み、これらのメッシュネットワーク装置は、メッシュネットワークにおいて通信するように構成されている。例えば、メッシュネットワーク装置は、サーモスタット602、(例えば、煙および/または一酸化炭素などの)危険検出装置604、(例えば、屋内および屋外の)カメラ606、(例えば、屋内および屋外の)照明ユニット608、および(例えば、スマートホーム環境内の)構造物612の内部および/または外部に実装された任意の他の種類のメッシュネットワーク装置610を含むことができる。この例において、メッシュネットワーク装置はまた、前述した装置、例えば境界ルータ202、ルータ装置102および/または端末装置106として実装された装置を含むことができる。
【0072】
環境600において、任意の数のメッシュネットワーク装置は、無線で互いに通信し、相互作用する無線相互接続として実装することができる。メッシュネットワーク装置は、多種多様の有用なスマートホーム目的および実装を提供するために、互いにおよび/または中央サーバもしくはクラウドコンピューティングシステムと共にシームレスに統合することができるモジュール装置、インテリジェント装置、マルチセンシング装置、またはネットワーク接続装置である。本明細書に記載された装置として実装され得るメッシュネットワーク装置の例は、図7に示され、図7を参照して説明される。
【0073】
実装形態において、サーモスタット602は、スマートホーム環境の周囲気候特性(例えば、温度および/または湿度)を検出し、HVACシステム614を制御するためのネスト(登録商標)ラーニングサーモスタットを含むことができる。ラーニングサーモスタット602および他のスマート装置は、居住者が装置に入力した設定値を取り込むことによって「学習する」。例えば、サーモスタットは、朝および夜の好ましい温度設定値、構造物の居住者が寝ているときまたは起きているときの好ましい温度設定値、および居住者が在宅していないときまたは在宅しているときの好ましい温度設定値を学習する。
【0074】
危険検出装置604は、危険物質または危険物質を示す物質(例えば、煙、火、または一酸化炭素)の存在を検出するように実装されてもよい。ワイヤレス相互接続の例において、危険検出装置604は、構造物内の火災を示す煙の存在を検出することができ、最初に煙を検出した危険検出装置は、接続された全てのメッシュネットワーク装置に低電力ウェイクアップ信号を放送することができる。他の危険検出装置604は、放送されたウェ
イクアップ信号を受信すると、危険を検出するためおよび無線通信の警告メッセージを受信するために、高電力状態に移行することができる。また、照明ユニット608は、放送されたウェイクアップ信号を受信すると、危険を検出した領域を照明し、問題区域を特定するために、作動することができる。別の例において、照明ユニット608は、構造物内の問題区域または領域を示すように、例えば検出した火災または不法侵入を示すように1つの照明色で作動することができ、または安全区域および/または構造物から逃げる経路を示すように異なる照明色で作動することができる。
【0075】
様々な構成において、メッシュネットワーク装置610は、玄関インターフェイス装置616を含むことができる。玄関インターフェイス装置616は、ネットワークに接続されたドアロックシステム618と協働して、1つの場所、例えば構造物612の外側ドアに接近する人またはそこから出発する人を検出し、応答する。玄関インターフェイス装置616は、人がスマートホーム環境に接近するまたは進入することに基づいて、他のメッシュネットワーク装置と相互作用することができる。玄関インターフェイス装置616は、ドアベル機能を制御して、音声または視覚的手段によって人の接近または出発を報知することができ、居住者が帰宅するときにセキュリティシステムを解除し、居住者が離開するときにセキュリティシステムを起動するように、セキュリティシステムを制御することができる。また、メッシュネットワーク装置610は、例えば、周囲照明条件を検出し、(例えば、占有センサ620を用いて)部屋占有状態を検出し、および1つ以上の照明灯の全光状態および/または調光状態を制御する他のセンサおよび検出装置を含むことができる。場合によって、センサおよび/または検出器は、天井ファン622などの電力状態または速度を制御することができる。また、センサおよび/または検出装置は、部屋または構造物の占有状況を検出し、部屋または構造物が占有されていない場合に、例えば電気コンセント624への電力供給を制御することができる。
【0076】
また、メッシュネットワーク装置610は、冷蔵庫626、ストーブ、オーブン、洗濯機、乾燥機、空調機、プールヒータ628、灌漑システム630、セキュリティシステム632などの接続器具および/または制御システム、およびテレビ、娯楽システム、コンピュータ、インターホンシステム、車庫ドア開閉装置634、天井ファン622、コントロールパネル636などの他の電子装置およびコンピューティング装置を含むことができる。上述したように、器具、装置またはシステムは、メッシュネットワークに差し込まれると、メッシュネットワークにそれ自体を報知することができ、スマートホーム内のメッシュネットワークの制御および装置と自動的に統合することができる。なお、メッシュネットワーク装置610は、物理的に構造物の外部に配置され、ワイヤレス通信範囲に位置する装置、例えばスイミングプールヒータ628または灌漑システム630を制御する装置を含んでもよい。
【0077】
上述したように、メッシュネットワーク100は、メッシュネットワーク100の外部に位置する外部ネットワークと通信するための境界ルータ202を含む。境界ルータ202は、アクセスポイント204に接続され、アクセスポイント204は、インターネットなどの通信ネットワーク206に接続される。通信ネットワーク206に接続されているクラウドサービス208は、メッシュネットワーク100内の装置に関連するおよび/または使用するサービスを提供する。一例として、クラウドサービス208は、スマートフォン、タブレットなどのエンドユーザ装置638をメッシュネットワーク100内の装置に接続するアプリケーション、メッシュネットワーク100から取得されたデータを処理してエンドユーザに提示するアプリケーション、1つ以上のメッシュネットワーク100内の装置をクラウドサービス208のユーザアカウントにリンクするアプリケーション、メッシュネットワーク100内の装置を提供および更新するアプリケーションなどを含むことができる。例えば、ユーザは、ネットワーク接続されたコンピュータまたは携帯装置、例えば携帯電話またはタブレット装置を使用して、スマートホーム環境内のサーモスタ
ット602および他のメッシュネットワーク装置を制御することができる。また、メッシュネットワーク装置は、境界ルータ202およびアクセスポイント204を介して、中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムに情報を通信することができる。データ通信は、様々なカスタムもしくは標準ワイヤレスプロトコル(例えば、WiFi、低電力用のZigBee、6LoWPAN、Threadなど)のいずれかおよび/または様々なカスタムもしく
は標準ワイヤードプロトコル(CAT6イーサネット、HomePlugなど)のいずれかを用いて実施されてもよい。
【0078】
メッシュネットワーク100内のメッシュネットワーク装置は、スマートホーム環境内のメッシュネットワーク100を構成するための低電力ノードおよび通信ノードとして機能することができる。ネットワーク内の各々の低電力ノードは、検知しているものに関するメッセージを定期的に送信することができ、環境内の他の低電力ノードは、それ自体のメッセージを送信することに加えて、上記メッセージを複製することができるため、メッシュネットワーク全体を通してノードからノードへ(すなわち、装置から装置へ)上記メッセージを通信することができる。メッシュネットワーク装置は、特にバッテリで駆動されているときに、低電力通信プロトコルを利用して、メッセージを受信し、メッセージを他の通信プロトコルに変換し、変換したメッセージを他のノードおよび/または中央サーバもしくはクラウド計算システムに送信することによって、電力を節約するように実装することができる。例えば、占有センサおよび/または周囲光センサは、室内の居住者を検出すると共に周囲光を測定し、周囲光センサ640によって室内が暗いことを検出したときおよび占有センサ620によって人が室内にいることを検出したときに、光源を作動させることができる。また、センサは、部屋の占有状況および部屋内の光量に関するメッセージ(占有センサ620によって人が室内にいることを検出した瞬間メッセージを含む)を定期的に送信する低電力無線通信チップ(例えば、ZigBeeチップ)を含むことができる。上述したように、これらのメッセージは、メッシュネットワークを介して、スマートホーム環境内でノードからノードへ(すなわち、スマート装置からスマート装置へ)無線で送信されてもよく、インターネットを介して中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムに無線で送信されてもよい。
【0079】
他の構成において、各々のメッシュネットワーク装置は、スマートホーム環境内のアラームシステムの「トリップワイヤ」として機能することができる。例えば、侵入者が構造物または環境の窓、ドアおよび他の進入口に配置されたアラームセンサによる検出を回避した場合、アラームは、依然として、メッシュネットワーク内の1つ以上の低電力メッシュノードから、占有状況、動き、熱、音などのメッセージを受信することによって作動される。他の実装形態において、人が構造物内の一部屋から別の部屋に移動するときに、メッシュネットワークは、照明ユニット608を自動的にオンおよびオフにすることができる。例えば、メッシュネットワーク装置は、構造物における人の移動を検出し、メッシュネットワークのノードを介して、対応するメッセージを通信することができる。占有されている部屋を示すメッセージに応じて、メッセージを受信した他のメッシュネットワーク装置が起動および/または停止することができる。上述したように、メッシュネットワークは、適切な照明ユニット608をオンにして、安全な出口を示すことによって、緊急時に出口の照明を提供することができる。また、照明ユニット608をオンにすることによって、人が構造物から安全に脱出するための脱出経路の移動方向を示すことができる。
【0080】
また、様々なメッシュネットワーク装置は、例えば、装着型コンピューティング装置642と通信するように統合され、構造物の居住者を識別および特定し、それに応じて温度、照明、サウンドシステムなどを調整するように、実装されてもよい。他の実装形態において、RFID感知(例えば、人がRFIDブレスレット、ネックレース、またはキーフォブを装着している場合)、合成視覚技術(例えば、ビデオカメラおよび顔認識プロセッサ)、音声技術(例えば、声または音パターン、振動パターンの識別)、超音波感知/画
像化技術、および赤外線または近距離通信(NFC)技術(例えば、人が赤外線またはNFC対応スマートフォンを装着している場合)は、規則ベース(rule-based)推論エンジンまたは人工知能技術と共に使用され、感知された情報から有用な結論、例えば居住者が構造物または環境内にいる位置を引き出すことができる。
【0081】
他の実装形態において、個人快適領域ネットワーク、個人健康領域ネットワーク、個人安全領域ネットワークおよび/または他の人間向けサービスロボット機能は、より良い性能を達成するために、規則ベース推論技術または人工知能技術に従って、環境内の他のメッシュネットワーク装置およびセンサと論理的に統合することによって強化されてもよい。個人健康領域に関する例において、システムは、規則ベース推論および人工知能技術と共に、(例えば、メッシュネットワーク装置およびセンサのいずれかを用いて)ペットが居住者の現在位置に向かって移動しているか否かを検出することができる。同様に、危険検知サービスロボットは、環境内の煙レベルの小さな増加が料理作りに起因するものであり、本当の危険に起因していない可能性が高いという推論に基づいて、キッチンの温度および湿度が上昇しており、煙検知閾値などの危険検知閾値を一時的に超えることを知らせることができる。任意の種類の監視、検知および/またはサービスを行うように構成された任意のサービスロボットは、ワイヤレス相互接続プロトコルに準拠して、メッシュネットワーク上で通信を行うためのメッシュノード装置として実装されてもよい。
【0082】
また、メッシュネットワーク装置610は、スマートホーム環境内の構造物にいる各居住者のために提供されたスマートアラームクロック644を含むことができる。例えば、居住者は、アラームクロックをカスタマイズして、次の日または次の週の起床時間を設定することができる。人工知能は、アラームをオフにした居住者の応答を考慮し、好ましい睡眠パターンを経時的に推論することができる。また、メッシュネットワーク装置内に配置されたセンサ、例えば超音波センサ、パッシブIRセンサなどから得られたデータに基づいて判断された各居住者の固有シグネチャに基づいて、メッシュネットワーク内でその居住者を追跡することができる。居住者の固有シグネチャは、動きパターン、音声、身長、体重、および顔認識の組み合わせを含む。
【0083】
ワイヤレス相互接続の例において、個人の起床時間をサーモスタット602に関連付けることができる。これによって、予め構造物を所望の睡眠温度設定値または起床温度設定値に温めるまたは冷やすように、HVACシステムを効率的に制御することができる。好ましい設定値は、例えば、人が睡眠前および起床時にサーモスタットに設定した温度を収集することによって、経時的に学習することができる。また、収集されたデータは、呼吸パターン、心拍数、動きなどの人の生体計測指標を含むことができる。これらのデータと、人が実際に起きていることを示すデータとの組み合わせに基づいて、推論を導くことができる。他のメッシュネットワーク装置は、データを使用して、他のスマートホーム目的、例えば、環境を所望の設定値に予め温めるまたは冷やすようにサーモスタット602を調整することおよびライト608を点灯または消灯することを達成することができる。
【0084】
実装形態において、メッシュネットワーク装置を利用して、音、振動および/または動きを感知することによって、スマートホーム環境における流水を検出し、水の使用および消耗のアルゴリズムおよびマッピングに基づいて、水の使用を推定することができる。これを用いて、「水使用音声フィンガープリント」とも呼ばれる家庭内の各水源のシグネチャまたはフィンガープリントを決定することができる。同様に、メッシュネットワーク装置を利用して、望ましくない有害生物、例えば、マウスおよび他の齧歯類動物ならびにシロアリ、カクトロチおよび他の昆虫の僅かな音、振動および/または動きを検出することができる。システムは、早期検出および予防のために、例えば警告メッセージを用いて、疑わしい有害生物が環境内に存在していることを居住者に通知することができる。
【0085】
環境600は、ハブ646として機能する1つ以上のメッシュネットワーク装置102を含むことができる。ハブ646は、汎用のホームオートメーション(home automation
)ハブであってもよく、または特定用途向けハブ、例えばセキュリティハブ、エネルギー管理ハブ、HVACハブであってもよい。また、ハブ646の機能は、スマートサーモスタット装置または境界ルータ202などの任意のメッシュネットワーク装置102に統合されてもよい。構造物612内のハブ646のホスティング機能は、ユーザのインターネット接続が信頼できないときに信頼性を向上させることができ、クラウドサービス208に接続する動作の遅延時間を低減することができ、メッシュネットワーク装置102間のローカルアクセスに関するシステムおよび制御制約を満たすことができる。
【0086】
さらに、例示的な環境600は、スマートスピーカ648を含む。スマートスピーカ648は、スマートホーム装置の音声制御を含む音声アシスタントサービスを提供する。ハブ646の機能は、スマートスピーカ648にホストされてもよい。スマートスピーカ648は、メッシュネットワーク、WiFi、またはその両方を介して通信するように構成されてもよい。
【0087】
図7は、本明細書に記載されたメッシュネットワークにおいて同期受信を行うための1つ以上の態様に従って、メッシュネットワーク内の任意のメッシュネットワーク装置として実装され得る例示的なメッシュネットワーク装置700を示す。装置700は、電子回路、マイクロプロセッサ、メモリ、入出力(I/O)論理制御、通信インターフェイスおよびコンポーネント、ならびにメッシュネットワーク内の装置を実装する他のハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアと統合されてもよい。また、メッシュネットワーク装置700は、図8に示された例示的な装置を参照してさらに説明されるように、様々な構成要素、例えば任意の数および任意の組み合わせの異なる構成要素を用いて実装されてもよい。
【0088】
この例において、メッシュネットワーク装置700は、実行可能命令を処理するための低電力マイクロプロセッサ702および高電力マイクロプロセッサ704(例えば、マイクロコントローラまたはデジタル信号プロセッサ)を含む。また、この装置は、(例えば、電子回路を含む)入出力(I/O)論理制御706を含む。マイクロプロセッサは、集積回路、プログラマブルロジック装置、1つ以上の半導体を用いて形成されたロジック装置、ならびにシステムオンチップ(SoC)として実装されたプロセッサおよびメモリシステムなどの他のシリコンおよび/またはハードウェア実装コンポーネントを含むことができる。代替的にまたは追加的に、この装置は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または処理回路および制御回路によって実装され得る固定論理回路のいずれか1つまたは組み合わせで実装されてもよい。また、低電力マイクロプロセッサ702および高電力マイクロプロセッサ704は、装置の1つ以上の異なる機能をサポートすることができる。例えば、高出力マイクロプロセッサ704は、計算集約的な処理を実行することができ、低出力マイクロプロセッサ702は、複雑でない処理、例えば1つ以上のセンサ708による危険または温度の検出を管理することができる。また、低電力プロセッサ702は、計算集約的な処理を行うための高電力プロセッサ704をウェイクアップまたは初期化することができる。
【0089】
1つ以上のセンサ708は、様々な特性、例えば、加速度、温度、湿度、水、供給電力、近接度、外部動き、装置動き、音声信号、超音波信号、光信号、火災、煙、一酸化炭素、グローバル測位衛星(GPS)信号、無線周波数(RF)信号、他の電磁信号または電磁場を検出するように実装されてもよい。したがって、センサ708は、温度センサ、湿度センサ、危険関連センサ、他の環境センサ、加速度計、マイクロフォン、光センサ、カメラ(例えば、電荷結合装置またはビデオカメラ)、能動または受動放射線センサ、GPS受信器、および無線周波数検出装置のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含むこ
とができる。実装形態において、メッシュネットワーク装置700は、1つ以上の一次センサと、1つ以上の二次センサとを含むことができる。一次センサは、装置の重要な動作(例えば、サーモスタットによる温度の検知または煙検出装置による煙の検知)に関するデータを検出し、二次センサは、エネルギー効率またはスマート操作などの目的を達成するために使用することができる他の種類のデータ(例えば、動き、光または音)を検出することができる。
【0090】
メッシュネットワーク装置700は、メモリ装置コントローラ710と、任意の種類の不揮発性メモリおよび/または他の適切な電子データ記憶装置などのメモリ装置712とを含む。また、メッシュネットワーク装置700は、様々なファームウェアおよび/またはソフトウェア、例えば、コンピュータ実行可能な命令としてメモリによって記憶され、マイクロプロセッサによって実行されるオペレーティングシステム714を含むことができる。また、この装置ソフトウェアは、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を実施する受信マネージャアプリケーション716を含むことができる。また、メッシュネットワーク装置700は、別の装置または周辺構成要素とインターフェイスするための装置インターフェイス718と、構成要素間のデータ通信を行うためにメッシュネットワーク装置の様々な構成要素を結合するための統合データバス720とを含む。メッシュネットワーク装置内のデータバスは、異なるバス構造および/またはバスアーキテクチャのいずれか1つまたは組み合わせとして実装されてもよい。
【0091】
装置インターフェイス718は、(例えば、ユーザインターフェイスとして)ユーザから入力を受信し、および/またはユーザに情報を提供することができ、受信した入力を用いて、設定を決定することができる。また、装置インターフェイス718は、ユーザ入力に応答する機械コンポーネントまたは仮想コンポーネントを含むことができる。例えば、ユーザは、摺動または回転可能なコンポーネントを機械的に動かすことができ、またはタッチパッドに沿った動きを検出することができる。これらの動きは、装置の設定調整に対応する。物理的および仮想的な可動ユーザインターフェイスコンポーネントを介して、ユーザは、見掛け連続体の一部に沿って設定を入力することができる。また、装置インターフェイス718は、任意の数の周辺機器、例えば、ボタン、キーパッド、スイッチ、マイクロフォン、およびイメージャ(例えば、カメラ装置)から入力を受信することができる。
【0092】
メッシュネットワーク装置700は、例えばメッシュネットワーク内の他のメッシュネットワーク装置と通信するためのメッシュネットワークインターフェイス、およびインターネットを介してネットワークと通信するための外部ネットワークインターフェイスなどのネットワークインターフェイス722を含むことができる。また、メッシュネットワーク装置700は、複数の異なるワイヤレス通信システムに配置され、メッシュネットワークインターフェイスを介して他のメッシュネットワーク装置とワイヤレス通信するためのワイヤレス無線システム724を含む。ワイヤレス無線システム724は、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、モバイルブロードバンド、BLE、および/またはポイントツーポイントIEEE802.15.4を含むことができる。異なる無線システムの各々は、特定の無線通信のために実装された無線装置、アンテナ、およびチップセットを含むことができる。また、メッシュネットワーク装置700は、バッテリなどの電源726を含むおよび/または線路電圧に接続される。AC電源を用いて、装置のバッテリを充電することができる。
【0093】
図8は、例示的な装置802を含む例示的なシステム800を示す。例示的な装置802は、図1~7を参照して説明したように、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を実施するメッシュネットワーク装置のいずれかとして実装されてもよい。例示的な装置802は、任意の種類のコンピューティング装置、クライアント装置、モバ
イルフォン、タブレット、通信装置、娯楽装置、ゲーム装置、メディア再生装置、および/または他の種類の装置であってもよい。また、例示的な装置802は、メッシュネットワーク上で通信するように構成された任意の他の種類のメッシュネットワーク装置、例えば、サーモスタット、危険検出装置、カメラ、照明ユニット、代理装置、ルータ、境界ルータ、接続ルータ、接続装置、端末装置、リーダ、アクセスポイント、および/または他のメッシュネットワーク装置として実装されてもよい。
【0094】
装置802は、通信装置804を含み、通信装置804は、メッシュネットワーク内の装置間に通信されたデータ、受信されたデータ、放送をスケジュールしたデータ、データのデータパケット、装置間に同期されたデータなどの装置データ806の有線および/または無線通信を可能にする。装置データは、任意の種類の通信データ、および装置上で実行されるアプリケーションによって生成された音声データ、映像データおよび/または画像データを含むことができる。また、通信装置804は、携帯電話通信および/またはネットワークデータ通信を行うためのトランシーバを含むことができる。
【0095】
また、装置802は、入力/出力(I/O)インターフェイス808、例えば、当該装置、データネットワーク(例えば、メッシュネットワーク、外部ネットワーク)と、他の装置との間の接続および/または通信リンクを提供するデータネットワークインターフェイスを含む。I/Oインターフェイスは、装置を任意の種類のコンポーネント、周辺機器および/またはアクセサリ装置に接続することができる。また、I/Oインターフェイスは、データ入力ポートを含み、これらのデータ入力ポートを介して、任意の種類のデータ、メディアコンテンツおよび/または入力、例えば、装置へのユーザ入力、任意の種類の通信データ、および任意のコンテンツおよび/またはデータソースから受信された音声データ、映像データおよび/または画像データを受信することができる。
【0096】
装置802は、例えば、実行可能な命令を処理する任意の種類のマイクロプロセッサ、コントローラなどを用いて少なくとも部分的にハードウェアで実装され得る処理システム810を含む。この処理システムは、集積回路、プログラマブルロジック装置、1つ以上の半導体を用いて形成されたロジック装置、ならびにシステムオンチップ(SoC)として実装されたプロセッサおよびメモリシステムなどの他のシリコンおよび/またはハードウェア実装のコンポーネントを含むことができる。代替的にまたは追加的に、装置は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または処理回路および制御回路で実装され得る固定論理回路のいずれか1つまたは組み合わせで実装されてもよい。装置802は、装置内の様々なコンポーネントを結合する任意の種類のシステムバスまたは他のデータおよびコマンド転送システムをさらに含んでもよい。システムバスは、異なるバス構造およびアーキテクチャ、ならびに制御ラインおよびデータラインのいずれか1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0097】
また、装置802は、コンピュータ可読記憶メモリ812、例えば、コンピューティング装置によってアクセスすることができ、データおよび実行可能命令(例えば、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、プログラムおよび機能など)を持続的に記憶するデータ記憶装置を含む。本明細書に記載されたコンピュータ可読記憶メモリは、信号の伝搬を除外する。コンピュータ可読記憶メモリの例は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、固定および移動可能な媒体装置、コンピューティング装置にアクセスされるデータを記憶する任意の適切なメモリ装置または電子データストレージを含む。コンピュータ可読記憶メモリは、様々なメモリ装置構成を有するランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、および他の種類の記憶メモリの様々な実装を含むことができる。
【0098】
コンピュータ可読記憶メモリ812は、ソフトウェアアプリケーションとしてコンピュ
ータ可読記憶メモリに記憶され、処理システム810によって実行されるオペレーティングシステムなどの、装置データ806および様々な装置アプリケーション814の記憶を提供する。装置アプリケーションは、制御アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、信号処理および制御モジュール、特定の装置に固有のコード、特定の装置用のハードウェア抽象化層などの形にした装置マネージャを含むことができる。この例において、装置アプリケーションは、本明細書に説明したように例示的な装置802がメッシュネットワーク装置のいずれかとして実装されるときに、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を実施する受信マネージャアプリケーション816を含む。
【0099】
また、装置802は、音声装置820のために音声データを生成し、および/または表示装置822のために表示データを生成するための音声および/または映像システム818を含む。音声装置および/または表示装置は、音声データ、映像データ、表示データおよび/またはデジタル写真の画像コンテンツなどの画像データを処理、表示および/またはレンダリングする任意の装置を含む。実装形態において、音声装置および/または表示装置は、例示的な装置802の統合コンポーネントである。代替的には、音声装置および/または表示装置は、例示的な装置の外部の周辺コンポーネントである。態様において、説明されたメッシュネットワークにおける同期受信技術の少なくとも一部は、分散システム上に、例えば「クラウド」824上のプラットフォーム826に実装されてもよい。クラウド824は、サービス828および/またはリソース830からなるプラットフォーム826を含むおよび/または代表する。
【0100】
プラットフォーム826は、(例えば、サービス828として含まれた)サーバ装置および/または(例えば、リソース830として含まれた)ソフトウェアリソースなどのハードウェアの基礎機能を抽象化し、例示的な装置802を他の装置、サーバなどに接続する。リソース830は、コンピュータ処理が例示的な装置802から離れたサーバ上で実行されるときに利用され得るアプリケーションおよび/またはデータを含むことができる。さらに、サービス828および/またはリソース830は、例えばインターネット、セルラネットワークまたはWiFiネットワークを介して、加入者ネットワークサービスを容易にすることができる。また、プラットフォーム826は、システム800の全体に分散された機能を有する相互接続された装置において、プラットフォームを介して実装されたリソース830の需要を満たすために、リソースを抽象化およびスケーリングすることができる。例えば、クラウド824の機能を抽象化するプラットフォーム826を介して、例示的な装置802の機能を部分的に実装することができる。
【0101】
メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための態様を、特徴および/または方法に特有の用語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲の主題は、必ずしも、記載された特定の特徴または方法に限定されない。むしろ、特定の特徴および方法は、メッシュネットワークにおいて同期受信を行うための例示的な実装形態として開示され、他の同等の特徴および方法は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。さらに、様々な異なる態様が記載されたが、記載された各態様が、独立して実装されてもよく、または記載された1つ以上の他の態様と共に実装されてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8