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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20231129BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J2/17 201
B41J2/165 101
B41J2/01 401
B41J2/165 207
B41J2/165 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019226697
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021094756
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】小川 幹生
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-044175(JP,A)
【文献】特開2012-035503(JP,A)
【文献】特開2000-043280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
上記ヘッドに当接して上記ノズルを被覆可能なキャップ、及び液体を受ける液体受けを有するメンテナンス機構と、
上記液体受けから液体が流通する第1流路と、
上記キャップから液体が流通する第2流路と、
上記第1流路と上記第2流路が合流するジョイント部と、
吸引ポンプと、
上記ジョイント部と上記吸引ポンプとに接続し、液体が流通する第3流路と、
上記第1流路を開閉する開閉機構と、
上記ヘッド及び上記メンテナンス機構の少なくとも一方を移動させることで、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させる相対移動機構と、を備え、
上記相対移動機構は、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させることで、上記キャップを、上記ノズルが被覆された被覆位置と、上記ヘッドから離間して上記ノズルが露出された離間位置と、に位置付け、
上記開閉機構は、上記相対移動機構により上記キャップが上記被覆位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を閉じて液体の流通を遮断する閉塞状態になり、上記相対移動機構により上記キャップが上記離間位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を開けて液体の流通を許容する開放状態になり、
上記メンテナンス機構は、複数の上記キャップを備え、
上記第2流路は、上記キャップの各々に対応して複数設けられている液体吐出装置。
【請求項2】
上記第1流路は、チューブで構成されており、
上記開閉機構と上記チューブは、上記相対移動機構による上記相対移動によって、互いに接離し、
上記開閉機構は、上記閉塞状態へ状態変化する過程において上記チューブを押圧して変形させることによって上記第1流路を閉じる請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記ヘッドは、上記メンテナンス機構の上方に上記メンテナンス機構と対向しており、
上記相対移動機構は、上記ヘッド及び上記メンテナンス機構と、上記開閉機構及び上記チューブとを、上下方向に相対移動させ、
上記第1流路における上記開閉機構に押圧される部分は、上記第2流路より上方に位置する請求項に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
上記ヘッドに当接して上記ノズルを被覆可能なキャップ、及び液体を受ける液体受けを有するメンテナンス機構と、
上記液体受けから液体が流通する第1流路と、
上記キャップから液体が流通する第2流路と、
上記第1流路と上記第2流路が合流するジョイント部と、
吸引ポンプと、
上記ジョイント部と上記吸引ポンプとに接続し、液体が流通する第3流路と、
上記第1流路を開閉する開閉機構と、
上記ヘッド及び上記メンテナンス機構の少なくとも一方を移動させることで、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させる相対移動機構と、を備え、
上記相対移動機構は、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させることで、上記キャップを、上記ノズルが被覆された被覆位置と、上記ヘッドから離間して上記ノズルが露出された離間位置と、に位置付け、
上記開閉機構は、上記相対移動機構により上記キャップが上記被覆位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を閉じて液体の流通を遮断する閉塞状態になり、上記相対移動機構により上記キャップが上記離間位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を開けて液体の流通を許容する開放状態になり、
上記第1流路は、チューブで構成されており、
上記開閉機構と上記チューブは、上記相対移動機構による上記相対移動によって、互いに接離し、
上記開閉機構は、上記閉塞状態へ状態変化する過程において上記チューブを押圧して変形させることによって上記第1流路を閉じ、
上記ヘッドは、上記メンテナンス機構の上方に上記メンテナンス機構と対向しており、
上記相対移動機構は、上記ヘッド及び上記メンテナンス機構と、上記開閉機構及び上記チューブとを、上下方向に相対移動させ、
上記第1流路における上記開閉機構に押圧される部分は、上記第2流路より上方に位置する液体吐出装置。
【請求項5】
上記ヘッドは、上記ノズルが開口されたノズル面を有し、
上記液体受けは、上記キャップよりも下方に位置する受け面を有し、
上記メンテナンス機構は、上記受け面に対向し、且つ、上記受け面よりも上記ヘッド側に位置し、上記ノズル面を払拭するワイパを備える請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
上記ヘッドに当接して上記ノズルを被覆可能なキャップ、及び液体を受ける液体受けを有するメンテナンス機構と、
上記液体受けから液体が流通する第1流路と、
上記キャップから液体が流通する第2流路と、
上記第1流路と上記第2流路が合流するジョイント部と、
吸引ポンプと、
上記ジョイント部と上記吸引ポンプとに接続し、液体が流通する第3流路と、
上記第1流路を開閉する開閉機構と、
上記ヘッド及び上記メンテナンス機構の少なくとも一方を移動させることで、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させる相対移動機構と、を備え、
上記相対移動機構は、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させることで、上記キャップを、上記ノズルが被覆された被覆位置と、上記ヘッドから離間して上記ノズルが露出された離間位置と、に位置付け、
上記開閉機構は、上記相対移動機構により上記キャップが上記被覆位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を閉じて液体の流通を遮断する閉塞状態になり、上記相対移動機構により上記キャップが上記離間位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を開けて液体の流通を許容する開放状態になり、
上記ヘッドは、上記ノズルが開口されたノズル面を有し、
上記液体受けは、上記キャップよりも下方に位置する受け面を有し、
上記メンテナンス機構は、上記受け面に対向し、且つ、上記受け面よりも上記ヘッド側に位置し、上記ノズル面を払拭するワイパを備える液体吐出装置。
【請求項7】
上記相対移動機構は、上記ノズル面に平行な平行方向に、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させ、
上記ワイパは、上記ノズル面と接触した状態で、上記相対移動機構により上記ヘッドと上記メンテナンス機構が上記平行方向に相対移動させられることで、上記ノズル面を払拭する請求項5または6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
上記液体受けは、上記キャップよりも下方に位置する受け面を有する請求項1からのいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項9】
上記ヘッドは、上記ノズルから液体を吐出するフラッシング処理を行うことが可能であり、
上記フラッシング処理では、上記ノズルから上記液体受けに向けて液体が吐出される請求項1からのいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
上記ヘッドに当接して上記ノズルを被覆可能なキャップ、及び液体を受ける液体受けを有するメンテナンス機構と、
上記液体受けから液体が流通する第1流路と、
上記キャップから液体が流通する第2流路と、
上記第1流路と上記第2流路が合流するジョイント部と、
吸引ポンプと、
上記ジョイント部と上記吸引ポンプとに接続し、液体が流通する第3流路と、
上記第1流路を開閉する開閉機構と、
上記ヘッド及び上記メンテナンス機構の少なくとも一方を移動させることで、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させる相対移動機構と、を備え、
上記相対移動機構は、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させることで、上記キャップを、上記ノズルが被覆された被覆位置と、上記ヘッドから離間して上記ノズルが露出された離間位置と、に位置付け、
上記開閉機構は、上記相対移動機構により上記キャップが上記被覆位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を閉じて液体の流通を遮断する閉塞状態になり、上記相対移動機構により上記キャップが上記離間位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を開けて液体の流通を許容する開放状態になり、
上記ヘッドは、上記ノズルから液体を吐出するフラッシング処理を行うことが可能であり、
上記フラッシング処理では、上記ノズルから上記液体受けに向けて液体が吐出される液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドのノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドのノズル面に開口されたノズルから液体を吐出する液体吐出装置が知られている。液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置では、シートへの印刷が実行されていないときに、メンテナンス機構によってヘッドのメンテナンスが実行される。メンテナンスにおいて、ノズルからインクが強制的に吐出される所謂空吐出が実行される。
【0003】
メンテナンスにおいて空吐出が実行されたヘッドのノズル面は、メンテナンス機構が備えるワイパによって拭き取られる。ワイパがヘッドのノズル面に当接した状態で、メンテナンス機構がノズル面に対して相対的に移動することによって、ノズル面に付着したインクが拭き取られる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-199597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノズル面に多量のインクが付着している場合、当該インクを拭き取ったワイパには、多量のインクが付着する。すると、ワイパに付着したインクがワイパから垂れ、垂れたインクがメンテナンス機構のワイパ以外の部分に溜まり、溜まったインクがメンテナンス機構の周辺に配置された部材に付着するおそれがある。
【0006】
また、例えば、ワイパを清掃するためにワイパに洗浄液を吹き付けるクリーナを備えた液体吐出装置の場合、ワイパに多量の洗浄液が付着する。すると、上記のインクの場合と同様に、ワイパに付着した洗浄液がワイパから垂れるおそれがある。
【0007】
これを防止するために、ワイパから垂れたインクや洗浄液を吸収するためのスポンジなどの吸収部材をメンテナンス機構に配置することが考えられる。しかしながら、小さな吸収部材は、インクや洗浄液を吸収可能な量が少ない。また、大きな吸収部材は、配置するために大きなスペースが必要であり、メンテナンス機構が大型化してしまう。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス機構に付着した液体を確実に回収することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、上記ヘッドに当接して上記ノズルを被覆可能なキャップ、及び液体を受ける液体受けを有するメンテナンス機構と、上記液体受けから液体が流通する第1流路と、上記キャップから液体が流通する第2流路と、上記第1流路と上記第2流路が合流するジョイント部と、吸引ポンプと、上記ジョイント部と上記吸引ポンプとに接続し、液体が流通する第3流路と、上記第1流路を開閉する開閉機構と、上記ヘッド及び上記メンテナンス機構の少なくとも一方を移動させることで、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させる相対移動機構と、を備える。上記相対移動機構は、上記ヘッドと上記メンテナンス機構を相対移動させることで、上記キャップを、上記ノズルが被覆された被覆位置と、上記ヘッドから離間して上記ノズルが露出された離間位置と、に位置付ける。上記開閉機構は、上記相対移動機構により上記キャップが上記被覆位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を閉じて液体の流通を遮断する閉塞状態になり、上記相対移動機構により上記キャップが上記離間位置に位置付けられる移動に連動して、上記第1流路を開けて液体の流通を許容する開放状態になる。
【0010】
上記構成によれば、キャップがノズルから離間しているとき、第1流路は開閉機構によって閉塞されていない。この状態で、ポンプが駆動されることにより、液体受けに溜まっている液体を第2流路、ジョイント部、及び第3流路を介して吸引して回収することができる。
【0011】
キャップがノズルを被覆しているとき、第1流路は開閉機構によって閉塞されている。この状態で、ポンプが駆動されることにより、ノズルの液体をキャップ、第1流路、ジョイント部、及び第3流路を介して吸引することができる。また、当該状態では、第1流路が閉塞されているため、ポンプの吸引力がキャップと液体受けとに分散されない。これにより、ノズルの液体を効率よく吸引することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メンテナンス機構に付着した液体を確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置100の外観斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第1回動位置であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図3図3は、図2において上筐体31が開位置となった状態を示す断面図である。
図4図4は、ヘッド38の底面図である。
図5図5は、第2回動位置の第1支持機構51及び第2支持機構52の平面図である。
図6図6は、第2回動位置の第1支持機構51及びメンテナンス機構60の正面図である。
図7図7は、第2回動位置の第1支持機構51と第2支持機構52とメンテナンス機構60の平面図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII断面を示す断面図である。
図9図9は、第2回動位置の第1支持機構51と第2支持機構52とメンテナンス機構60とワイパクリーニング機構80の平面図である。
図10図10は、ワイパクリーニング機構80と支持部材46の下部との正面図である。
図11図11は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2回動位置であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図12図12は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2回動位置であり、メンテナンス機構60が待機位置とメンテナンス位置の間の位置である状態を示す。
図13図13は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2回動位置であり、メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持された位置である状態を示す。
図14図14は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被キャッピング位置であり、第1支持機構51が第1回動位置であり、メンテナンス機構60がメンテナンス位置である状態を示す。
図15図15は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被ワイピング位置であり、第1支持機構51が第1回動位置であり、メンテナンス機構60がワイピング位置である状態を示す。
図16図16は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第1回動位置であり、メンテナンス機構60がクリーニング終了位置である状態を示す。
図17図17は、画像記録装置100のブロック図である。
図18図18は、ギヤの噛合処理を説明するためのフローチャートである。
図19図19は、図7のVIII-VIII断面を示す断面図であって、メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持された状態を示す。
図20図20は、図7のVIII-VIII断面を示す断面図であって、メンテナンス機構60が第2支持機構52に支持された状態を示す。
図21図21は、図7のVIII-VIII断面を示す断面図であって、メンテナンス機構60が第1支持機構51及び第2支持機構52に支持された状態を示す。
図22図22は、メンテナンス機構60とワイパクリーニング機構80を模式的に示す断面図であり、(A)はメンテナンス機構60が待機位置の状態を示し、(B)は突起159,160が第1カム面171に当接した状態を示す。
図23図23は、メンテナンス機構60とワイパクリーニング機構80を模式的に示す断面図であり、(A)はメンテナンス機構60がクリーニング開始位置の状態を示し、(B)はメンテナンス機構60がクリーニング終了位置の状態を示す。
図24図24は、メンテナンス機構60とワイパクリーニング機構80を模式的に示す断面図であり、(A)は突起159,160がそれぞれ凸部168,169より前方に位置する状態を示し、(B)は突起159,160が第3カム面173に当接した状態を示す。
図25図25は、変形例におけるヘッド38とメンテナンス機構60を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像記録装置100について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0015】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートS(被吐出媒体の一例)に画像を記録する。
【0016】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置100は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置100は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。
【0017】
図2に示されるように、上筐体31は、右面31R及び左面31Lと、上面31Uと、前面31F及び後面31Bと、を有する。これにより、上筐体31の内部空間31A(図2参照)が外部から区画される。右面31R及び左面31Lは、左右方向9に互いに離れて位置する。上面31Uは、右面31Rの上端と左面31Lの上端とを繋ぐ。前面31F及び後面31Bは、前後方向8に互いに離れて位置する。
【0018】
下筐体32は、右面32R及び左面32Lと、下面32Dと、前面32F及び後面32Bと、を有する。これにより、下筐体32の内部空間32A(図2参照)が外部から区画される。右面32R及び左面32Lは、左右方向9に互いに離れて位置する。下面32Dは、右面32Rの下端と左面32Lの下端とを繋ぐ。前面32F及び後面32Bは、前後方向8に互いに離れて位置する。
【0019】
図2及び図3に示されるように、上筐体31は、下筐体32によって回動可能に支持されている。上筐体31は、後下端部に設けられ且つ左右方向9に延びる回動軸15周りに、図2に示される閉位置と、図3に示される開位置とに回動可能である。なお、上筐体31が回動する構成は、回動軸15によるものに限らず、例えば蝶番などによって回動してもよい。
【0020】
図2に示されるように、上筐体31が閉位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して遮蔽される。図3に示されるように、上筐体31が開位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して露出される。
【0021】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(図2参照)が排出される。
【0022】
上筐体31の前面31Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。
【0023】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、内部空間31A,32Aには、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッド38、第1支持機構51、定着部39、支持部材46、第2支持機構52、CIS25、カッターユニット26、タンク34、メンテナンス機構60、及びワイパクリーニング機構80が配置されている。図2には示されていないが、内部空間32Aには、コントローラ130が配置されている(図17参照)。コントローラ130は、画像記録装置100の動作を制御するものである。
【0024】
内部空間32Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間32Aの後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cは、隔壁41、下筐体32(具体的には、後面32B、下面32D、右面32R、及び左面32L)により包囲され、ヘッド38などから隔離された空間である。
【0025】
シート収容空間32Cには、ロール体37が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。シートSは、画像記録装置100が画像を記録可能な最小幅から最大幅までの幅をとり得る。すなわち、シート収容空間32Cには、幅が異なる複数種類のロール体37が収容可能である。なお、ロール体37は、芯管を有さず、シートSがホルダ35に装着可能にロール状に巻回されていてもよい。また、シート収容空間32Cには、ファンフォールド紙が収容可能であってもよい。
【0026】
図2に示されるように、シート収容空間32Cには、左右方向9に沿って延びるホルダ35が位置する。ホルダ35には、複数種類の中から選ばれた1種類のロール体37が装着可能である。装着時、ロール体37の芯管の軸芯が左右方向9に沿い、且つロール体37が軸芯の周方向に周りに回転可能に、ホルダ35はロール体37を支持する。また、シートSの幅方向中心は、搬送路43の左右方向9における中心(以下、「通紙中心」とも称する。)に位置する。ホルダ35は、搬送モータ53(図17参照)から駆動力が伝達されて回転する。ホルダ35の回転に伴って、ホルダ35に支持されているロール体37も回転する。なお、図1に示されるように、下筐体32の右面32Rには、右カバー35Aが位置する。右カバー35Aの開閉により、シート収容空間32Cに位置するホルダ35等が露出したり遮蔽されたりする。
【0027】
図2に示されるように、シート収容空間32Cは、後部において上方へ向かって開口している。詳細には、隔壁41と後面32Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、搬送ローラ対36,40が回転することで、ロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0028】
テンショナ45は、内部空間32Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0029】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。テンショナ45は、周知の手法により、シートSにテンションを与える。
【0030】
なお、テンショナ45は、図2に示す構成、すなわち、バネなどの付勢部材により後方への付勢力をローラに与える構成に限らず、他の周知技術を適用してもよい。
【0031】
テンショナ45の前方には、搬送ローラ対36が位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップDを形成する。
【0032】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップを形成する。
【0033】
搬送ローラ36A,40Aは、搬送モータ53(図17参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0034】
図2に示されるように、内部空間32Aには、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。詳細には、搬送路43は、搬送向き8A及び左右方向9に拡がり且つ搬送向き8Aに長い搬送面43Aに沿っている。なお、図2では、搬送面43Aは、搬送路43を示す二点鎖線で示されている。搬送路43は、上下方向7に離れて位置するガイド部材(不図示)や、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部材46、定着部39などによって区画されている。すなわち、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部材46、及び定着部39は、搬送路43に沿って位置する。
【0035】
ヘッド38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aから、インクが搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出される。これにより、シートSに画像が記録される。ヘッド38の構成は、後に詳細に説明される。
【0036】
第1支持機構51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。第1支持機構51は、ヘッド38の下方に、ヘッド38と対向している。第1支持機構51は、搬送ベルト101と支持部104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッド38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。支持部104は、メンテナンス機構60を支持可能である。第1支持機構51の構成は、後に詳細に説明される。
【0037】
定着部39は、搬送路43の上方においてヘッド38よりも搬送向き8Aの下流であって搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの上流に位置する。定着部39は、左右方向9に長尺の概ね直方体形状の紫外線照射器である。定着部39は、筐体39Aを有する。筐体39Aの下壁に、左右方向9に沿った開口39Bが形成されている。定着部39は、開口39Bを通じて紫外光を開口39Bの直下を通過するシートS及び/又はシートS上のインクへ輻射する。本実施形態において、インクは、紫外線により硬化する樹脂を含有する。よって、紫外光を輻射されたインクはシートSに定着する。
【0038】
なお、定着部39は、紫外線照射器に限らない。例えば、定着部39は、左右方向9に長尺の概ね直方体形状のハロゲンヒータであってもよい。この場合、定着部39は、開口39Bを通じて赤外光を輻射し、開口39Bの直下を通過するシートS及び/またはシートS上のインクを加熱する。これにより、インクはシートSに定着する。
【0039】
支持部材46は、搬送路43の下方に位置している。支持部材46は、ヘッド38及び第1支持機構51よりも搬送向き8Aの下流に位置する。支持部材46の後部は、定着部39と対向している。支持部材46の前部は、搬送ローラ40Aと対向している。支持部材46は、第1支持機構51の搬送ベルト101によって搬送向き8Aに搬送されてきたシートSを支持する。
【0040】
支持部材46は、下筐体32によって左右方向9に延びる軸(不図示)周りに回動可能に支持されている。図3に示されるように、上筐体31が開位置のとき、支持部材46は、図3に実線で示される倒伏位置と、図3に破線で示される起立位置とに回動可能である。
【0041】
支持部材46が倒伏位置のとき、支持部材46の回動先端46Bは、回動基端46Aよりも前方(搬送向き8Aの下流)に位置している。支持部材46が倒伏位置のとき、支持部材46は、搬送路43の一部を構成しており、搬送ベルト101によって搬送向き8Aに搬送されてきたシートSを支持可能である。支持部材46が起立位置のとき、支持部材46の回動先端46Bは支持部材46が倒伏位置のときよりも上方に位置しており、メンテナンス機構60が外部に露出可能である。
【0042】
第2支持機構52は、支持部材46の下方に位置しており、下筐体32に支持されることによって下筐体32の内部に固定されている。第2支持機構52は、メンテナンス機構60を支持可能である。第2支持機構52の構成は、後に詳細に説明される。
【0043】
なお、本実施形態では、支持部材46の軸は、支持部材46の後端部に設けられており、左右方向9に延びているが、当該軸はこのような構成に限らない。例えば、支持部材46の軸は、支持部材46の前端部に設けられて且つ左右方向9に延びていてもよい。また、例えば、支持部材46の軸は、前後方向8に延びていてもよい。
【0044】
CIS25は、搬送路43の上方において搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの下流に位置する。CIS25は、LEDなどの光源から照射されてシートで反射された反射光が、屈折率分布型レンズによりラインセンサに集光されることによって、ラインセンサが受光した反射光の強度に応じた電気信号を出力するものである。これにより、CIS25は、シートの印刷面の画像を読み取ることができる。CIS25は、左右方向9が読取りラインとなるように配置されている。
【0045】
カッターユニット26は、搬送路43の上方においてCIS25よりも搬送向き8Aの下流に位置する。カッターユニット26は、カッターキャリッジ27にカッター28が搭載されたものである。カッターキャリッジ27は、不図示のベルト駆動機構などによって、搬送路43を左右方向9に移動する。カッター28は、搬送路43を上下方向7に横切るように位置しており、カッターキャリッジ27の移動に伴って、搬送路43を左右方向9に移動する。カッター28の移動によって、搬送路43に位置するシートSが左右方向9に沿って切断される。
【0046】
タンク34は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクは、顔料を均一に分散させるに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。タンク34から不図示のチューブを通じてインクがヘッド38に供給される。上述したように、インクは、紫外線により硬化する樹脂を含有するが、当該樹脂を含有していなくてもよい。インクが当該樹脂を含有していない場合、定着部39は、紫外線照射器以外、例えばハロゲンヒータで構成される。
【0047】
メンテナンス機構60は、ヘッド38のメンテナンスを行うためのものである。メンテナンス機構60は、移動可能に構成されており、ヘッド38のメンテナンスが行われるときにヘッド38の直下に移動される(図14参照)。
【0048】
ヘッド38のメンテナンスは、フラッシング処理、パージ処理、及びワイピング処理などである。フラッシング処理は、メンテナンス機構60(詳細には、メンテナンス機構60の後述する液体受け)へ向けてインクを吐出する処理である。パージ処理は、図14に示されるように、メンテナンス機構60の後述するキャップ62によってノズル38Aを被覆した上で吸引ポンプ74によってノズル38Aからインクを吸引する処理である。ワイピング処理は、図15に示されるように、メンテナンス機構60の後述するワイパ63によってヘッド38の後述する吐出モジュール49の下面50を払拭する処理である。メンテナンス機構60の構成は、後に詳細に説明される。
【0049】
図16に示されるように、ワイパクリーニング機構80は、メンテナンス機構60のワイパ63を清掃するためのものである。メンテナンス機構60は、ワイパ63の清掃が行われるときにワイパクリーニング機構80の直下に移動される。ワイパクリーニング機構80の構成は、後に詳細に説明される。
【0050】
[ヘッド38]
図2及び図4に示されるヘッド38は、概ね左右方向9に長い直方体形状である。図2及び図4に示されるように、ヘッド38は、フレーム48と、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cと、カム71と、凸部72とを備えている。以下、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cを総称して、吐出モジュール49とも称する。なお、吐出モジュール49の数は、3つに限らず、例えば1つでもよい。
【0051】
フレーム48は、下筐体32に固定されている。図4に示されるように、フレーム48は、搬送路43よりも右から搬送路43よりも左に亘って配置されている。
【0052】
図2及び図4に示されるように、吐出モジュール49は、フレーム48によって支持されている。フレーム48の下面48Aには、3つの開口が形成されている。各吐出モジュール49A,49B,49Cは、その下面が当該開口に位置するように配置される。これにより、吐出モジュール49の下面は、下方に露出される。吐出モジュール49は、左右方向9において搬送路43内に配置されている。
【0053】
図4に示されるように、吐出モジュール49A,49Bは、搬送向き8Aにおいて同位置に配置されている。吐出モジュール49A,49Bは、左右方向9に間隔を空けて配置されている。吐出モジュール49Cは、吐出モジュール49A,49Bよりも搬送向き8Aの下流側に配置されている。吐出モジュール49Cは、左右方向9において隣り合う2個の吐出モジュール49A,49Bの間に配置されている。吐出モジュール49Cの左端は、吐出モジュール49Aの右端より左方に位置している。吐出モジュール49Cの右端は、吐出モジュール49Bの左端より右方に位置している。つまり、左右方向9において、吐出モジュール49Cの端部と、吐出モジュール49A,49Bの端部とは重複している。
【0054】
各吐出モジュール49A,49B,49Cは、複数のノズル38Aを備えている。各ノズル38Aは、各吐出モジュール49A,49B,49Cの下面50に開口されている。下面50は、前後方向8、及び左右方向9に拡がる面である。上述したように、複数のノズル38Aから、インクが第1支持機構51の搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出されて、シートSに画像が記録される。なお、複数のノズル38Aの配置や数は、図2及び図4に示された配置や数に限らない。
【0055】
図4に示されるように、カム71は、フレーム48の下面48Aから下方へ突出している。カム71は、左右方向9における吐出モジュール49の外側において、前後方向8に延びている。カム71は、後述するメンテナンス機構60のシャッタ64の突起64A(図7参照)に上方から当接可能である。
【0056】
凸部72は、フレーム48の下面48Aから下方へ突出している。凸部72は、後述するメンテナンス機構60の凸部158(図7参照)と上下に対向可能である。
【0057】
ヘッド38は、上下方向7に沿って、図2図11図13、及び図16に示される記録位置、図14に示される被キャッピング位置、図15に実線で示される被ワイピング位置、及び図15に破線で示される上退避位置に移動する。記録位置は、搬送ベルト101に支持されたシートSに画像を記録するときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、吐出モジュール49がメンテナンス機構60のキャップ62によって覆われるときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、記録位置より上方の位置(記録位置よりも第1支持機構51から離れた位置)である。被ワイピング位置は、メンテナンス機構60のワイパ63が吐出モジュール49の下面50を払拭するときのヘッド38の位置である。被ワイピング位置は、被キャッピング位置より上方の位置である。上退避位置は、ヘッド38をメンテナンス機構60から完全に離間させるときのヘッド38の位置である。上退避位置は、被ワイピング位置より上方の位置である。
【0058】
図2に示されるように、ヘッド38は、ボールネジ29(相対移動機構の一例)によって移動される。ボールネジ29は、ネジ軸29Aとナット部材29Bとを備える。ネジ軸29Aは、下筐体32によって、上下方向7に沿った軸周りに回転可能に支持されている。ネジ軸29Aは、ヘッドモータ54(図17参照)から駆動力を伝達されることによって回転する。ナット部材29Bは、ネジ軸29Aに螺合されている。ナット部材29Bは、ヘッド38に固定されている。ナット部材29Bは、ネジ軸29Aの正転によって上方へ移動し、ネジ軸29Aの逆転によって下方へ移動する。ヘッド38は、ナット部材29Bと一体に上下動する。なお、ボールネジ29の回転によってヘッド38が回転することを防止するために、ヘッド38を挟む一対の板が内部空間32Aに配置されている。また、ヘッド38が上下動するための構成は、ボールネジ29を用いた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
【0059】
[第1支持機構51]
図2図5、及び図6に示されるように、第1支持機構51は、搬送ベルト101、駆動ローラ102、従動ローラ103、支持部104、ギヤ105、及びギヤ106を備えている。なお、各図において、ギヤ105,106の歯の図示は省略されている。
【0060】
駆動ローラ102及び従動ローラ103は、支持部104によって回転可能に支持されている。駆動ローラ102及び従動ローラ103は、前後方向8(搬送向き8A)に互いに離間している。搬送ベルト101は、無端ベルトである。搬送ベルト101は、駆動ローラ102、及び従動ローラ103に張架される。搬送ベルト101は、左右方向9において、搬送路43内に配置されている。
【0061】
駆動ローラ102は、搬送モータ53(図17参照)によって与えられる駆動力により回転し、搬送ベルト101を回動させる。搬送ベルト101の回動に伴い、従動ローラ103が回転する。搬送ベルト101は、搬送面108を有している。搬送面108は、搬送ベルト101の外周面における上側の部分であり、搬送向き8Aに沿って延びている。搬送面108は、搬送路43を挟んでヘッド38のノズル38Aと対向している。搬送面108が搬送向き8Aへと移動するように、駆動ローラ102は回転する。また、搬送面108は、搬送ローラ対36,40の間で搬送されるシートSを下方から支持しつつ、シートSに搬送力を与える。これによって、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを搬送面108に沿う搬送向き8Aに搬送する。
【0062】
図2及び図5に示されるように、支持部104は、軸109Aを備えている。軸109Aは、下筐体32によって回転可能に支持されている。軸109Aは、左右方向9(搬送向き8Aと直交し且つ下面50と平行な方向)に延びている。軸109Aは、駆動ローラ102より搬送向き8Aの上流に設けられている。軸109Aは、搬送ローラ対36より下方に位置している。
【0063】
軸109Aは、軸モータ59(図17参照)から駆動力が伝達されて回転する。軸109Aが回転することによって、支持部104は軸109A周りに回動する。支持部104が回動することによって、搬送ベルト101、駆動ローラ102、従動ローラ103、ギヤ105、及びギヤ106も回動する。つまり、第1支持機構51が回動する。第1支持機構51の回動先端51Aは、軸109Aよりも搬送向き8Aの下流に位置している。
【0064】
なお、支持部104が回動する構成は、上述した構成に限らない。例えば、下筐体32が軸109Aを備えており、軸109Aが支持部104に設けられた孔に嵌合することによって、支持部104が軸109A周りに回動する構成であってもよい。この場合、支持部104は、仮想的な軸を備える。
【0065】
第1支持機構51は、図2図14図16に示される第1回動位置と、図11図13に示される第2回動位置に回動可能である。
【0066】
図2に示されるように、第1支持機構51が第1回動位置のとき、搬送ベルト101の搬送面108は前後方向8に沿って延びている。これにより、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを前方に搬送して、定着部39と支持部材46との間に送ることが可能である。
【0067】
図11図13に示されるように、第1支持機構51が第2回動位置のとき、第1支持機構51の回動先端51Aが第1回動位置のとき(図2参照)よりも下方に位置している。これにより、搬送ベルト101の搬送面108は、前方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜方向6に沿って延びている。なお、傾斜方向6は、左右方向9に直交し且つ搬送向き8Aと交差する向きである。
【0068】
図5及び図6に示されるように、支持部104は、本体109と、立壁110,111とを備えている。なお、以下の支持部104の説明では、第1支持機構51が第2回動位置であるとする。本体109は、概ね板状の部材であり、軸109Aを備えている。立壁110は、本体109の左端部から上方へ立設されている。立壁111は、本体109の右端部から上方へ立設されている。立壁110,111は、傾斜方向6に沿って延びている。
【0069】
立壁110,111は、左右方向9において、搬送路43外に配置されている。立壁110,111は、駆動ローラ102及び従動ローラ103を回転可能に支持している。
【0070】
立壁110は、上面110Aを備える。立壁111は、第1上面111Aと第2上面111Bとを備える。第2上面111Bは、左右方向9において、第1上面111Aと異なる位置にある。上面110A及び第1上面111Aは、メンテナンス機構60を支持して、メンテナンス機構60の移動をガイドする。図5及び図8に示されるように、第2上面111Bは、メンテナンス機構60のラックギヤ154Bと対向可能な位置にある。第2上面111Bに、開口112が形成されている。開口112からギヤ105Aの一部が突出している。ギヤ105は、対向する位置にあるラックギヤ154Bと噛合可能である。
【0071】
図6に示されるように、ギヤ105,106は、第1支持機構51によって回転可能に支持されている。ギヤ105は、左右方向9に沿って並んだギヤ105A,105Bで構成されている。ギヤ105A,105Bは、同軸であるが個別に回転する。ギヤ105Bは、ギヤ106と噛合している。ギヤ106は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第1モータ55(図17参照)と繋がっており、第1モータ55から駆動力を付与される。
【0072】
図8に示されるように、ギヤ105Aは、孔113を有している。孔113は、ギヤ105Aを左右方向9に貫通している。なお、孔113はギヤ105Aを貫通していなくてもよい。孔113は、ギヤ105Aの周方向に沿って延びている。ギヤ105Bは、突起114を有している。突起114は、ギヤ105Bの左面からギヤ105Aへ向けて左方へ突出しており、孔113へ入り込んでいる。突起114の当該周方向に沿った長さは、孔113の当該周方向に沿った長さよりも短い。これにより、ギヤ105Bは、ギヤ105Aに対して周方向へいわゆる遊びを有して係合されている。
【0073】
つまり、ギヤ105Bが回転するときに、突起114の移動向き側において、突起114と孔113を区画する面との間に隙間がある場合、突起114が当該面に当接するまでの間、ギヤ105Bはギヤ105Aに対して空転する。そして、突起114が当該面に当接すると、突起114が当該面を押すことにより、ギヤ105Bとギヤ105Aとは一体回転する。つまり、ギヤ105Bからギヤ105Aへ駆動力が伝達される。
【0074】
[第2支持機構52]
図2に示されるように、第2支持機構52は、全体として傾斜方向6に延びた状態で配置されている。
【0075】
図2及び図5に示されるように、第2支持機構52は、本体115と、立壁116,117と、ギヤ118,119,120とを備えている。なお、各図において、ギヤ118,119,120の歯の図示は省略されている。
【0076】
本体115は、概ね板状の部材であり、下筐体32に固定されている。立壁116は、本体115の左端部から上方へ立設されている。立壁117は、本体115の右端部から上方へ立設されている。立壁116,117は、傾斜方向6に沿って延びている。
【0077】
立壁116は、左右方向9において、第1支持機構51の立壁110と同位置である。立壁117は、左右方向9において、第1支持機構51の立壁111と同位置である。
【0078】
立壁116は、上面116Aを備える。立壁117は、第1上面117Aと第2上面117Bとを備える。第2上面117Bは、左右方向9において、第1上面117Aと異なる位置にある。
【0079】
第1支持機構51が第2回動位置のとき、第1上面117Aは、第1支持機構51の立壁111の第1上面111Aと傾斜方向6に沿って並んでおり、且つ第1上面111Aと同位置平面上にある(図8参照)。つまり、第1上面117A及び第1上面111Aは、直線的に並んでいる。第1支持機構51が第2回動位置のとき、第2上面117Bは、第1支持機構51の立壁111の第2上面111Bと傾斜方向6に沿って並んでおり、且つ第2上面111Bと同一平面上にある(図8参照)。つまり、第2上面117B及び第2上面111Bは、直線的に並んでいる。
【0080】
同様に、第1支持機構51が第2回動位置のとき、上面116Aは、第1支持機構51の立壁110の上面110Aと傾斜方向6に沿って並んでおり、且つ上面110Aと同一平面上にある。つまり、上面116A及び上面110Aは、直線的に並んでいる。
【0081】
上面116A及び第1上面117Aは、メンテナンス機構60を支持して、メンテナンス機構60の移動をガイドする。図5及び図8に示されるように、第2上面117Bは、メンテナンス機構60のラックギヤ154Bと対向可能な位置にある。第2上面117Bに、開口123,124が形成されている。開口124は、開口123より前方に位置している。開口123からギヤ118の一部が突出している。開口124からギヤ119の一部が突出している。ギヤ118,119は、対向する位置にあるラックギヤ154Bと噛合可能である。
【0082】
図2図5、及び図8に示されるように、ギヤ118,119,120は、第2支持機構52によって回転可能に支持されている。ギヤ118は、左右方向9に沿って並んだギヤ118A,118Bで構成されている。ギヤ118A,118Bは、同軸であるが個別に回転する。ギヤ119は、左右方向9に沿って並んだギヤ119A,119Bで構成されている。ギヤ119A,119Bは、同軸であるが個別に回転する。ギヤ120は、ギヤ118B,119Bに噛合している。これにより、ギヤ120が回転したときに、ギヤ118,119は同方向に回転する。ギヤ120は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第2モータ56(図17参照)と繋がっており、第2モータ56から駆動力を付与される。
【0083】
図8に示されるように、ギヤ118A,119Aは、それぞれ孔125,126を有している。孔125,126は、それぞれギヤ118A,119Aを左右方向9に貫通している。なお、孔125,126はギヤ118A,119Aを貫通していなくてもよい。孔125は、ギヤ118Aの周方向に沿って延びている。孔126は、ギヤ119Aの周方向に沿って延びている。ギヤ118B,119Bは、それぞれ突起127,128を有している。突起127は、ギヤ118Bの左面からギヤ118Aへ向けて左方へ突出しており、孔125へ入り込んでいる。突起128は、ギヤ119Bの左面からギヤ119Aへ向けて左方へ突出しており、孔126へ入り込んでいる。突起127,128の周方向に沿った長さは、それぞれ孔125,126の周方向に沿った長さよりも短い。これにより、ギヤ118B,119Bは、それぞれギヤ118A,119Aに対して周方向へいわゆる遊びを有して係合されている。
【0084】
つまり、ギヤ118Bが回転するときに、突起127の移動向き側において、突起127と孔125を区画する面との間に隙間がある場合、突起127が当該面に当接するまでの間、ギヤ118Bはギヤ118Aに対して空転する。そして、突起127が当該面に当接すると、突起127が当該面を押すことにより、ギヤ118Bとギヤ118Aとは一体回転する。つまり、ギヤ118Bからギヤ118Aへ駆動力が伝達される。
【0085】
また、ギヤ119Bが回転するときに、突起128の移動向き側において、突起128と孔126を区画する面との間に隙間がある場合、突起128が当該面に当接するまでの間、ギヤ119Bはギヤ119Aに対して空転する。そして、突起128が当該面に当接すると、突起128が当該面を押すことにより、ギヤ119Bとギヤ119Aとは一体回転する。つまり、ギヤ119Bからギヤ119Aへ駆動力が伝達される。
【0086】
ここで、孔125,126の周方向の長さ及び周方向における位置、並びに突起127,128の周方向の長さ及び周方向における位置は、ギヤ118Bとギヤ118Aとが一体回転開始するタイミングと、ギヤ119Bとギヤ119Aとが一体回転するタイミングとが同じとなるような長さ及び位置とされている。
【0087】
[メンテナンス機構60]
図6及び図7に示されるように、メンテナンス機構60は、本体61、3つのキャップ62、3つのワイパ63、2つのシャッタ64、チューブ65,66,67、及びジョイント部68を備えている。なお、以下のメンテナンス機構60の説明では、メンテナンス機構60が第2回動位置の第1支持機構51及び第2支持機構52によって支持されているとする。
【0088】
本体61は、上方が開放された箱形形状であり、底板151と、底板151の周縁から上方へ立設された縁板152と、突壁153,154と、立壁155,156と、区画壁157と、凸部158とを備えている。
【0089】
突壁153は、底板151の左端から下方へ突出している。突壁154は、底板151の右端から下方へ突出している。突壁153,154は、傾斜方向6に沿って延びている。
【0090】
図6に示されるように、突壁153は、下面153Aを備える。突壁154は、下面154Aとラックギヤ154Bとを備える。ラックギヤ154Bは、左右方向9において、下面154Aと異なる位置にある。
【0091】
図11に示されるように、ラックギヤ154Bの傾斜方向6の長さL1は、第2回動位置の第1支持機構51の傾斜方向6の長さL2より短い。換言すると、図14に示されるように、第1支持機構51が第1回動位置のとき、ラックギヤ154Bの前後方向8の長さL1は、第1支持機構51の前後方向8の長さL2より短い。なお、長さL1は、長さL2と同じ長さであってもよい。
【0092】
図6に示されるように、下面153Aは、第1支持機構51の立壁110の上面110Aに上方から当接可能である。下面154Aは、第1支持機構51の立壁111の第1上面111Aに上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第1支持機構51によって支持可能である。
【0093】
下面153Aは、第2支持機構52の立壁116の上面116Aに上方から当接可能である。下面154Aは、第2支持機構52の立壁117の第1上面117Aに上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第2支持機構52によって支持可能である。
【0094】
ラックギヤ154Bは、第1支持機構51の立壁111の第2上面111Bと上下に対向可能である。ラックギヤ154Bは、第2上面111Bの開口112から突出したギヤ105Aと噛合可能である。ラックギヤ154Bとギヤ105Aとが噛合した状態でギヤ105Aが回転することによって、メンテナンス機構60は、第1支持機構51に対して上面110A及び第1上面111Aに沿って摺動する。つまり、メンテナンス機構60の移動は、第1支持機構51の上面110A及び第1上面111Aによってガイドされる。
【0095】
ラックギヤ154Bは、第2支持機構52の立壁117の第2上面117Bと上下に対向可能である。ラックギヤ154Bは、第2上面117Bの開口123から突出したギヤ118A、及び第2上面117Bの開口124から突出したギヤ119Aと噛合可能である。ラックギヤ154Bとギヤ118A及びギヤ119Aの少なくとも一方が噛合した状態でギヤ105Aが回転することによって、メンテナンス機構60は、第2支持機構52に対して上面116A及び第1上面117Aに沿って摺動する。つまり、メンテナンス機構60の移動は、第2支持機構52の上面116A及び第1上面111Aによってガイドされる。
【0096】
これにより、メンテナンス機構60は、後述するように、図2及び図11に示される待機位置、図16に示されるクリーニング終了位置、図14に示されるメンテナンス位置、及び図15に示されるワイピング位置に移動可能である。メンテナンス位置及びワイピング位置のメンテナンス機構60は、ヘッド38の吐出モジュール49の下面50と上下方向7に対向している。
【0097】
図6及び図7に示されるように、立壁155,156は、底板151から上方へ立設されている。立壁155,156は、縁板152よりも高い壁である。立壁155,156は、左右方向9に間隔を空けて対向配置されている。立壁155,156は、左右方向9において、搬送ベルト101より外側に位置している。つまり、搬送ベルト101は、左右方向9において、立壁155,156の間に位置する。立壁155,156は、それぞれ突起159,160を備えている。突起159,160は、立壁155の左面から左方へ突出しており、立壁156の右面から右方へ突出している。図8に示されるように、突起160は、突起159よりも前方且つ上方に位置している。
【0098】
図7に示されるように、区画壁157は、底板151から上方へ立設されている。区画壁157は、立壁155,156よりも低い壁である。区画壁157は、縁板152よりも低い壁であるが、縁板152以上の高さであってもよい。
【0099】
区画壁157は、左右方向9において、立壁155,156の間に位置している。区画壁157は、3つのキャップ62が配置されていない位置にある。区画壁157は、底板151の所定領域を囲むように延設されている。本実施形態では、区画壁157は、平面視においてH形状に延設されている。区画壁157と、平面視における区画壁157の内側の底板151(所定領域の底板151)とによって、インクなどの液体を受ける液体受けが構成されている。つまり、底板151及び区画壁157は、液体受けの一例である。液体受けは、受け面を備えている。受け面は、平面視における区画壁157の内側の底板151の上面151Aによって構成されている。なお、所定領域は、図7に示された領域に限らない。例えば、所定領域は、底板151の上面151Aの全面に亘った領域であってもよい。
【0100】
区画壁157の前左端部に、区画壁157を左右方向9に貫通する貫通孔73が形成されている。貫通孔73は、区画壁157の下端部に形成されている。チューブ65の一端が貫通孔73に接続されている。
【0101】
凸部158は、底板151から上方へ突出している。本実施形態では、凸部158は、左右方向9において、立壁155より左方に位置している。なお、凸部158の位置は、図7に示された位置に限らない。凸部158は、チューブ65を支持する。
【0102】
[キャップ62]
図7に示されるように、キャップ62は、底板151の上面151Aに支持されている。つまり、キャップ62は、受け面よりも上方に位置している。
【0103】
キャップ62は、複数設けられている。本実施形態では、キャップ62は、3つのキャップ62A,62B,62Cで構成されている。以下、3つのキャップ62A,62B,62Cを総称して、キャップ62とも称する。キャップ62Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。キャップ62Bは、吐出モジュール49Bに対応しており、吐出モジュール49Bと上下方向7に対向可能である。キャップ62Cは、吐出モジュール49Cに対応しており、吐出モジュール49Cと上下方向7に対向可能である。つまり、キャップ62A,62B,62C相互間の位置関係は、吐出モジュール49A,49B,49C相互間の位置関係と同様である。すなわち、キャップ62A,62Bは、左右方向9において間隔を空けて位置しており、キャップ62Cは、キャップ62A,62Bより前方に位置しており、左右方向9においてキャップ62A,62Bの間に位置している。なお、キャップ62の数は、3つに限らず上述したヘッド38の吐出モジュール49の数に合わせて設定される。
【0104】
キャップ62は、ゴムやシリコンなどの弾性体で構成されている。各キャップ62A,62B,62Cは、上方が開放された箱形形状である。各キャップ62A,62B,62Cの底板69には、孔70が形成されている。チューブ66の一端が孔70に接続されている。
【0105】
図14に示されるように、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に位置するとき、上下方向7において、キャップ62Aは吐出モジュール49Aと対向し、キャップ62Bは吐出モジュール49Bと対向し、キャップ62Cは吐出モジュール49Cと対向する。また、メンテナンス機構60がメンテナンス位置へ移動する過程において、ヘッド38は被キャッピング位置に移動する。つまり、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に位置するとき、ヘッド38は被キャッピング位置に位置している。このとき、各キャップ62の上端が、それぞれ各吐出モジュール49の下面50に圧接して、下面50に開口したノズル38Aを下方から覆う。つまり、ヘッド38を移動させるボールネジ29は、ヘッド38をメンテナンス機構60に対して相対移動させることによって、キャップ62をノズル38Aを覆う被覆位置に位置付ける。
【0106】
一方、図15に示されるように、ヘッド38が被ワイピング位置や上退避位置に位置するとき、各キャップ62は、下面50から離間している。つまり、ボールネジ29は、ヘッド38をメンテナンス機構60に対して相対移動させることによって、キャップ62をノズル38Aから離間した離間位置に位置付ける。キャップ62が離間位置のとき、ノズル38Aは露出されている。
【0107】
[ワイパ63]
図2及び図7に示されるように、ワイパ63は、底板151における区画壁157の内側から上方へ立設されている。つまり、ワイパ63は、受け面に対して上下方向7に対向し、且つ受け面よりも上方に位置している。ワイパ63は、3つ(ワイパ63A,63B,63C)設けられている。各ワイパ63A,63B,63Cは、各キャップ62の後方(各キャップ62より搬送向き8Aの上流)に位置している。なお、以下の説明において、ワイパ63A,63B,63Cを総称してワイパ63とも称される。
【0108】
ワイパ63Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。ワイパ63Bは、吐出モジュール49Bに対応しており、吐出モジュール49Bと上下方向7に対向可能である。ワイパ63Cは、吐出モジュール49Cに対応しており、吐出モジュール49Cと上下方向7に対向可能である。つまり、ワイパ63A,63B,63C相互間の位置関係は、吐出モジュール49A,49B,49C相互間の位置関係と同様である。すなわち、ワイパ63A,63Bは、左右方向9において間隔を空けて位置しており、ワイパ63Cは、ワイパ63A,63Bより前方に位置しており、左右方向9においてワイパ63A,63Bの間に位置している。なお、ワイパ63の数は、3つに限らず上述したヘッド38の吐出モジュール49の数に合わせて設定される。
【0109】
ワイパ63は、ゴムや布などの弾性体で構成されている。後述するように、ワイパ63は、ヘッド38の吐出モジュール49の下面50に対して摺動することによって、下面50を払拭する。
【0110】
[シャッタ64]
図7に示されるように、シャッタ64は、底板151における区画壁157の内側に配置されている。シャッタ64は、2つ設けられている。各シャッタ64は、不図示の弾性部材(例えばコイルバネ)を介して底板151に接続されている。これにより、各シャッタ64は、底板151から上方へ立設されている。
【0111】
2つのシャッタ64の一方は、キャップ62A,62Bより後方であって、キャップ62A,62Bの後方に設けられたワイパ63A,63Bより前方に位置している。2つのシャッタ64の他方は、キャップ62Cより後方であって、キャップ62Cとキャップ62A,62Bとの間に設けられたワイパ63Cより前方に位置している。各シャッタ64は、左右方向9において、ワイパ63より両外側まで延びている。
【0112】
シャッタ64は、外部から力を付与されていない状態において、ワイパ63より上方まで延びている(図2図11図13、及び図16参照)。
【0113】
各シャッタ64は、左右両端部に突起64Aを備えている。これにより、シャッタ64の左右両端部は、シャッタ64の他の部分よりも高くなっている。メンテナンス機構60がメンテナンス位置からワイピング位置へ至る範囲に位置しているとき(図14及び図15参照)、ヘッド38のカム71が上方から突起64Aに当接して下方へ押す。これにより、シャッタ64は、弾性部材の付勢力に抗して下方へ移動する。その結果、シャッタ64の上端の位置は、ワイパ63の上端の位置よりも低位置となる。
【0114】
[チューブ65,66,67及びジョイント部68]
図7に示されるように、チューブ65の一端は、区画壁157の左方から、つまり平面視における区画壁157の外側から貫通孔73に接続されている。チューブ65の他端は、ジョイント部68に接続されている。チューブ65は、底板151上に配設されている。チューブ65の内部空間は第1流路を構成している。つまり、液体受けに溜まったインクは、第1流路を液体受けからジョイント部68へ流通する。なお、チューブ65は、立壁155に形成された貫通孔を貫通している。
【0115】
チューブ66の一端は、各キャップ62に形成された孔70に接続されている。つまり、チューブ66は、各キャップ62に対応して複数設けられている。チューブ66の他端は、ジョイント部68に接続されている。チューブ66は、底板151上に配設されている。チューブ66の内部空間は第2流路を構成している。つまり、キャップ62に溜まったインクは、第2流路をキャップ62からジョイント部68へ流通する。
【0116】
本実施形態において、キャップ62Aに連結されたチューブ66と、キャップ62Bに連結されたチューブ66とは、ジョイント部68の手前で合流している。なお、キャップ62Aに連結されたチューブ66と、キャップ62Bに連結されたチューブ66とは、立壁155に形成された貫通孔を貫通している。キャップ62Cに連結されたチューブ66は、キャップ62A,62Bに連結されたチューブ66とは別に配設されている。なお、チューブ66の配設は、図7に示される配設に限らない。例えば、図7では、チューブ66は、キャップ62A,62Bに連結されたものと、キャップ62Cに連結されたものとの2本配設されているが、各キャップ62A,62B,62Cについて1本ずつ配設されていてもよい。つまり、3本のチューブ66が配設されていてもよい。
【0117】
チューブ67の一端は、ジョイント部68に接続されている。チューブ67の他端は、不図示の廃液タンクに接続されている。チューブ67の内部空間は第3流路を構成している。つまり、ジョイント部68内のインクは、第3流路をジョイント部68から廃液タンクへ流通する。
【0118】
チューブ67は、左右方向9において、第2支持機構52よりも左方に位置している。また、チューブ67は、左右方向9において支持部材46及びワイパクリーニング機構80(図2参照)よりも左方に位置している。図2に示されるように、チューブ67は、メンテナンス機構60から前方斜め下方に引き出されて、前方から後方へUターンして吸引ポンプ74へ至っている。内部空間32Aにおける第2支持機構52の前方斜め下方であってタンク34の上方には、チューブ67が配管されるためのスペースが設けられている。図11図16に示されるように、メンテナンス機構60が各位置に移動する過程において、チューブ67は、湾曲位置を変えつつメンテナンス機構60の移動に追随して移動する。また、当該過程において、チューブ67は、メンテナンス機構60より上方に膨らむことが抑制されている。
【0119】
ジョイント部68は、接続されたチューブ65,66,67の内部空間を相互に連通させている。つまり、ジョイント部68は、第1流路、第2流路、及び第3流路を相互に連通させている。すなわち、第1流路及び第2流路は、ジョイント部68において合流している。
【0120】
図2に示されるように、チューブ67の一端と他端との間に、吸引ポンプ74が配置されている。吸引ポンプ74は、内部空間32Aにおいて固定配置されている。吸引ポンプ74は、例えば、ロータリー式のチューブポンプである。吸引ポンプ74は、ポンプモータ58(図17参照)によって駆動される
【0121】
チューブ65の一部は、底板151から上方へ突出した凸部158に支持されている。つまり、チューブ65における凸部158の支持された部分は、チューブ65の他の部分(底板151上に配設された部分)よりも高位置にある。また、チューブ65における凸部158の支持された部分は、底板151上に配設されたチューブ66よりも高位置にある。凸部158及び上述した凸部72によって、開閉機構が構成されている。後述するように、開閉機構は、第1流路を開閉する。
【0122】
[ワイパクリーニング機構80]
図2に示されるように、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46の直下に配置されている。換言すると、ワイパクリーニング機構80の少なくとも一部は、上下方向7において(平面視において)、支持部材46と重複している。
【0123】
図9及び図10に示されるように、ワイパクリーニング機構80は、本体163と、第1付勢部材164と、第2付勢部材165と、フォーム166とを備えている。
【0124】
本体163は、一対の凸部162を備えている。一対の凸部162は、本体163の上部の左右両端から左右方向9の外側へ突出している。一対の凸部162は、傾斜方向6(図10の紙面奥行き方向)に延びている。
【0125】
本体163には、一対の凹部167が形成されている。一対の凹部167は、本体163の下面の左右両端部から上方へ凹んでいる。一対の凹部167は、本体163の傾斜方向6の一端から他端に亘って形成されている。一対の凹部167の左右方向9の外側を区画する面には、凸部168,169が形成されている。凸部169は、凸部168より前方且つ上方に形成されている。凸部168,169は、同形状である。凸部168は、左右方向9及び上下方向7において、突起159と同位置にある。凸部169は、左右方向9及び上下方向7において、突起160と同位置にある。
【0126】
凸部168,169は、それぞれ第1カム面171、第2カム面172、及び第3カム面173を有している。つまり、第1カム面171、第2カム面172、及び第3カム面173は、それぞれ傾斜方向6に沿って間隔を空けて2つずつ設けられている。また、2つの第1カム面171、2つの第2カム面172、及び2つの第3カム面173は、それぞれ傾斜方向6において異なる位置に設けられており、それぞれ直交方向1において異なる位置に設けられている。直交方向1は、傾斜方向6及び左右方向9に直交する方向である。
【0127】
図22(A)に示されるように、第1カム面171は、凸部168,169の後部において上方を向く面であり、傾斜方向6に沿って前方へ向かうにしたがって上方へむかうように、傾斜方向6に対して傾斜した面である。第2カム面172は、第1カム面171の前端と連続しており、傾斜方向6に沿った前方斜め下方の向きである前傾斜向き5へ向かう面である。第3カム面173は、第1カム面171の裏面である。つまり、第3カム面173は、傾斜方向6において第1カム面171と同位置である。第3カム面173は、傾斜方向6に沿って後方へ向かうにしたがって下方へ向かうように、傾斜方向6に対して傾斜した面である。
【0128】
本実施形態において、図9及び図10に示される第1付勢部材164及び第2付勢部材165は、弾性部材であり、本実施形態においてコイルバネである。第1付勢部材164は、引きバネである。第2付勢部材165は、圧縮バネである。第2付勢部材165の付勢力は、第1付勢部材164の付勢力より大きい。
【0129】
図10に示されるように、第1付勢部材164及び第2付勢部材165は、本体163と支持部材46との間に配置されている。第1付勢部材164及び第2付勢部材165の一端は、本体163の上面163Aに接続されている。第1付勢部材164及び第2付勢部材165の他端は、支持部材46に当接している。なお、上記とは逆に、第1付勢部材164及び第2付勢部材165の一端が、本体163に当接されており、第1付勢部材164及び第2付勢部材165の他端は、支持部材46に接続されていてもよい。また、第1付勢部材164及び第2付勢部材165の両端が、それぞれ本体163及び支持部材46に接続されていてもよい。
【0130】
図9及び図10に示されるフォーム166は、ワイパ63に付着したインクなどの液体を拭い取り吸収するものであり、例えば多孔質材料である。フォーム166は、3つ設けられている(フォーム166A,166B,166C)。フォーム166Aは、ワイパ63Aに対応しており、ワイパ63Aと直交方向1に対向可能である。フォーム166Bは、ワイパ63Bに対応しており、ワイパ63Bと直交方向1に対向可能である。フォーム166Cは、ワイパ63Cに対応しており、ワイパ63Cと直交方向1に対向可能である。つまり、フォーム166A,166B,166C相互間の位置関係は、ワイパ63A,63B,63C相互間の位置関係と同様である。つまり、フォーム166A,166Bは、左右方向9において間隔を空けて位置しており、フォーム166Cは、フォーム166A,166Bより前方に位置しており、左右方向9においてフォーム166A,166Bの間に位置している。なお、フォーム166の数は、3つに限らずワイパ63の数に合わせて設定される。
【0131】
ワイパクリーニング機構80は、図11に示される離間位置、図16に実線で示される当接位置、及び図16に破線で示される退避位置に直交方向1に沿って移動可能である。当接位置は、離間位置より後方斜め下方に位置している。退避位置は、離間位置より前方斜め上方に位置している。つまり、退避位置は、離間位置に対して当接位置の反対に位置している。ワイパクリーニング機構80は、外部から力を付与されていない状態において離間位置に位置する。ワイパクリーニング機構80は、外部からの力によって第1付勢部材164が伸長することによって離間位置から当接位置に移動する。ワイパクリーニング機構80は、外部からの力によって第2付勢部材165が収縮することによって離間位置から退避位置に移動する。
【0132】
ワイパクリーニング機構80は、支持部材46に対して着脱可能である。
【0133】
以下に詳述する。図10に示されるように、支持部材46は、倒伏位置のときの下部に、左右方向9の外側へ向けて沿って凹み且つ傾斜方向6に延びた凹部を有しており、ワイパクリーニング機構80を着脱可能に保持する保持部161を有している。保持部161の凹部は、倒伏位置の支持部材46の前端(回動先端46B)まで延びている。凸部162が保持部161に挿入された状態で、ワイパクリーニング機構80は倒伏位置の支持部材46に支持されている(図2参照)。
【0134】
ワイパクリーニング機構80は、以下の手順で支持部材46から脱抜される。最初に、上筐体31が閉位置(図2参照)から開位置(図3参照)へ回動される。これにより、支持部材46が外部に露出される。このとき、支持部材46が、図3に実線で示される倒伏位置である。次に、支持部材46が倒伏位置から図3に破線で示される起立位置へ回動される。このとき、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46と一体に回動される。つまり、ワイパクリーニング機構80は、図3に実線で示される位置から図3に破線で示される位置へ回動される。
【0135】
支持部材46が起立位置に位置するとき、保持部161は、支持部材46の上端まで前方斜め上方の向き3へ延びている。ここで、向き3は、支持部材46の回動基端46Aから回動先端46Bへ向かう向きである。ワイパクリーニング機構80は、支持部材46に対して向き3へスライドされて、支持部材46から脱抜される。
【0136】
ワイパクリーニング機構80は、以下の手順で支持部材46に装着される。最初に、上筐体31が開位置、且つ支持部材46が起立位置とされる。次に、ワイパクリーニング機構80の凸部162が支持部材46の回動先端46Bから保持部161へ挿入され、後方斜め下方の向き(向き3の逆向き)に沿ってスライドされる。これにより、ワイパクリーニング機構80が支持部材46に装着される。その後、支持部材46が起立位置から倒伏位置へ回動され、上筐体31が開位置から閉位置へ回動される。
【0137】
以上より、起立位置の支持部材46の保持部161は、向き3に沿ってワイパクリーニング機構80を挿抜可能に保持している。
【0138】
なお、本実施形態では、ワイパクリーニング機構80の全体が、支持部材46に対して着脱可能であるが、ワイパクリーニング機構80の一部のみが支持部材46に対して着脱可能であってもよい。例えば、ワイパクリーニング機構80のうち、フォーム166以外の部分が支持部材46に固定されており、フォーム166のみがワイパクリーニング機構80のフォーム166以外の部分に対して着脱可能であってもよい。
【0139】
[コントローラ130]
図17に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0140】
ASIC135には、搬送モータ53、ヘッドモータ54、第1モータ55、第2モータ56、ポンプモータ58、及び軸モータ59が接続されている。
【0141】
ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。コントローラ130は、搬送モータ53の駆動を制御して、ホルダ35、搬送ローラ36A、搬送ローラ40A、及び駆動ローラ102を回転させる。コントローラ130は、ヘッドモータ54の駆動を制御して、ネジ軸29Aを回転させ、ヘッド38を上下方向7に沿って移動させる。コントローラ130は、第1モータ55の駆動を制御して、第1支持機構51のギヤ106を回転させる。コントローラ130は、第2モータ56の駆動を制御して、第2支持機構52のギヤ120を回転させる。コントローラ130は、ポンプモータ58の駆動を制御して、吸引ポンプ74を駆動させる。コントローラ130は、軸モータ59の駆動を制御して、第1支持機構51を回動させる。
【0142】
また、ASIC135には、圧電素子57が接続されている。圧電素子57は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子57への給電を制御し、複数のノズル38Aから選択的にインク滴を吐出させる。
【0143】
[メンテナンス機構60の移動]
メンテナンス機構60は、第2支持機構52に支持された状態で第2支持機構52に対して摺動することによって傾斜方向6に沿って待機位置とクリーニング終了位置とに移動可能である。つまり、第2支持機構52は、待機位置、クリーニング終了位置、及び前記の両位置の間に位置するメンテナンス機構60を支持可能である。
【0144】
図2に示されるように、待機位置のメンテナンス機構60は、第1支持機構51の回動先端51Aよりも前方(搬送向き8Aの下流)に位置している。換言すると、待機位置のメンテナンス機構60は、第1支持機構51の回動先端51Aに対して第1支持機構51の軸109Aの反対に位置する。
【0145】
待機位置のメンテナンス機構60は、第2支持機構52に支持されている。このとき、ラックギヤ154Bは、ギヤ118,119双方と噛合している。この状態で第2モータ56が駆動されて、ギヤ120が図2において時計回りに回転すると、ギヤ118,119が図2において反時計回りに回転する。これにより、待機位置のメンテナンス機構60は、前傾斜向き5へ移動し、クリーニング終了位置に到達する(図16参照)。
【0146】
図16に示されるように、クリーニング終了位置のメンテナンス機構60は、第2支持機構52に支持されている。このとき、ラックギヤ154Bは、ギヤ119と噛合している一方でギヤ118から離間している。メンテナンス機構60がクリーニング終了位置より前傾斜向き5の下流側に位置する状態で第2モータ56が駆動されて、ギヤ120が図2において反時計回りに回転すると、ギヤ118,119が図2において時計回りに回転する。これにより、メンテナンス機構60は、傾斜方向6に沿って後方斜め上方の向きである後傾斜向き4へ移動し、待機位置に到達する(図2参照)。メンテナンス機構60がクリーニング終了位置より前方斜め下方に位置する状態において、ラックギヤ154Bは、ギヤ119と噛合している一方でギヤ118から離間している。つまり、本実施形態では、ギヤ119が設けられていることによって、クリーニング終了位置より前方斜め下方に位置するメンテナンス機構60をギヤ119によって待機位置へ向けて移動させることができる。
【0147】
メンテナンス機構60が待機位置からクリーニング終了位置へ移動する過程において、ワイパクリーニング機構80によるワイパ63の清掃が実行される。ワイパクリーニング機構80によるワイパ63の清掃は、後に詳細に説明される。
【0148】
メンテナンス機構60は、第2支持機構52と第2回動位置の第1支持機構51との間で受け渡しされることによって待機位置とメンテナンス位置とに移動可能である。待機位置は、メンテナンス位置から退避した位置である。
【0149】
図2に示されるように、第2支持機構52は、待機位置のメンテナンス機構60を支持する。図14に示されるように、第1支持機構51は、メンテナンス位置のメンテナンス機構60を支持する。図12に示されるように、メンテナンス機構60は、第2支持機構52と第2回動位置の第1支持機構51との間で受け渡しされるとき、第1支持機構51及び第2支持機構52の双方によって支持される。一方、メンテナンス機構60は、第2支持機構52と第1回動位置の第1支持機構51との間で受け渡しできない。つまり、第1支持機構51が第1回動位置のとき、メンテナンス機構60は第1支持機構51及び第2支持機構52の双方に同時に支持される状態とはならない。
【0150】
図2に示されるように、待機位置のメンテナンス機構60は、第2支持機構52に支持されている。このとき、ラックギヤ154Bは、ギヤ118,119双方と噛合している。この状態で第2モータ56(図17参照)が駆動されて、ギヤ120が図2において反時計回りに回転すると、ギヤ118,119が図2において時計回りに回転する。これにより、待機位置のメンテナンス機構60は、後傾斜向き4へ移動する。
【0151】
ここで、上述したように、第1支持機構51が第2回動位置のとき、第2支持機構52の第1上面117Aは、第1支持機構51の第1上面111Aと傾斜方向6に沿って並んでおり、第2支持機構52の第2上面117Bは、第1支持機構51の第2上面111Bと傾斜方向6に沿って並んでおり、第2支持機構52の上面116Aは、第1支持機構51の上面110Aと傾斜方向6に沿って並んでいる。
【0152】
また、図11に示されるように、ラックギヤ154Bの長さL1は、ギヤ118とギヤ105との中心間距離L3より長い。なお、長さL1は、中心間距離L3と同じ長さであってもよい。
【0153】
よって、メンテナンス機構60の後傾斜向き4への移動過程において、メンテナンス機構60は、第2支持機構52にのみ支持された状態(図11参照)から、第2支持機構52及び第1支持機構51の双方に支持された状態(図12参照)を経て、第1支持機構51のみに支持された状態(図13参照)となる。
【0154】
なお、当該移動過程において、メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持されるより前のタイミングで、第1モータ55(図17参照)が駆動されて、ギヤ105,106がメンテナンス機構60を後傾斜向き4に移動させる回転向きに回転される。
【0155】
また、当該移動過程において、ラックギヤ154Bは、ギヤ118及びギヤ105の少なくとも一方と噛合した状態を維持される。そのため、当該移動過程において、ラックギヤ154Bとギヤ118,105との噛合が解除されることによって、メンテナンス機構60の移動が停止することはない。
【0156】
メンテナンス機構60が第1支持機構51のみに支持された状態において、軸モータ59(図17参照)が駆動されることによって、第1支持機構51が第2回動位置から第1回動位置へ回動される。これにより、メンテナンス機構60は、メンテナンス位置に位置する(図14参照)。メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、ヘッド38と第2回動位置の第1支持機構51との間に位置している。
【0157】
メンテナンス機構60がメンテナンス位置から待機位置へ移動するときは、上記と逆の動作が実行される。つまり、最初に、軸モータ59(図17参照)が駆動されることによって、第1支持機構51が第1回動位置から第2回動位置へ回動される(図13参照)。次に、第1モータ55及び第2モータ56(図17参照)が駆動されて、ギヤ106,120が図13において時計回りに回転すると、ギヤ105,118,119が図13において反時計回りに回転する。これにより、第2回動位置の第1支持機構51に支持されたメンテナンス機構60は、前傾斜向き5へ移動して、待機位置へ到達する(図11参照)。
【0158】
なお、メンテナンス機構60が第2支持機構52と第2回動位置の第1支持機構51との間で受け渡しされる際に、ギヤ106,118,119とラックギヤ154Bとを確実に噛合させるための処理が実行されるが、当該処理は後に詳細に説明される。
【0159】
メンテナンス機構60は、第1支持機構51に支持された状態で第1支持機構51に対して摺動することによってメンテナンス位置とワイピング位置とに移動可能である。ワイピング位置は、メンテナンス位置よりも前方(待機位置側)の位置である。つまり、第1支持機構51は、メンテナンス位置、ワイピング位置、及び前記の両位置の間に位置するメンテナンス機構60を支持可能である。
【0160】
図14に示されるように、メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、第1支持機構51に支持されている。このとき、ラックギヤ154Bは、ギヤ105と噛合している。この状態で第1モータ55が駆動されて、ギヤ106が図14において時計回りに回転すると、ギヤ105が図14において反時計回りに回転する。これにより、メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、前後方向8(搬送向き8A)に沿って前方(搬送向き8Aの下流)へ移動し、ワイピング位置に到達する(図15参照)。メンテナンス位置及びワイピング位置の間のメンテナンス機構60の移動距離L4(図15参照)は、ラックギヤ154Bの長さL1(図11参照)未満である。
【0161】
メンテナンス機構60がメンテナンス位置からワイピング位置へ移動する過程において、ワイパ63はヘッド38の吐出モジュール49の下面50に当接しつつ移動する。つまり、ワイパ63は下面50に対して摺動する。これにより、ワイパ63によって吐出モジュール49の下面50の払拭が実行される。
【0162】
図15に示されるように、メンテナンス機構60がワイピング位置のとき、メンテナンス機構60の前端である搬送向き8Aの下流端60Aは、定着部39の後端39C(搬送向き8Aの上流端)よりも前方(搬送向き8Aの下流)に位置する。
【0163】
メンテナンス機構60がワイピング位置のとき、第1モータ55が駆動されて、ギヤ106が図15において反時計回りに回転すると、ギヤ105が図15において時計回りに回転する。これにより、ワイピング位置のメンテナンス機構60は、後方(搬送向き8Aの上流)へ移動し、メンテナンス位置に到達する(図14参照)。
【0164】
[ギヤの噛合処理]
メンテナンス機構60が第2支持機構52と第2回動位置の第1支持機構51との間で受け渡しされる際に、ギヤ106,118,119とラックギヤ154Bとを確実に噛合させるための処理が説明される。
【0165】
以下に、第1支持機構51に支持されておりメンテナンス位置に位置するメンテナンス機構60(図14参照)が待機位置(図11参照)へ移動するときの処理が、図18(A)のフローチャートが参照されつつ説明される。
【0166】
最初に、コントローラ130は、軸モータ59(図17参照)を駆動して、第1支持機構51を第1回動位置(図14参照)から第2回動位置(図13及び図19参照)へ回動させる(S110)。
【0167】
次に、コントローラ130は、第1モータ55(図17参照)を駆動して、ギヤ106を図13及び図19における時計回りに回転させる。これにより、ギヤ106に噛合するギヤ105のギヤ105B(図5及び図19参照)がギヤ106と逆向き(図13及び図19における反時計回り)に回転する(S120)。このギヤ105Bの回転向きが第2回転向きに相当する。このとき、ギヤ105Bの突起114がギヤ105Aの孔113を区画する面を押すことによって(図19参照)、ギヤ105Aも回転する。なお、ギヤ105Aの回転開始タイミングは、ギヤ105Bが回転開始したときの突起114と当該面との間隔に基づく。ギヤ105Aが回転することによって、ギヤ105Aと噛合するラックギヤ154Bを有するメンテナンス機構60がメンテナンス位置から待機位置へ向けて前傾斜向き5へ移動する。
【0168】
コントローラ130は、第2モータ56(図17参照)を駆動して、ギヤ120を図13及び図19における反時計回りに所定量だけ回転させる。これにより、ギヤ120に噛合するギヤ118,119のギヤ118B,119B(図5及び図19参照)がギヤ106と逆向き(図13及び図19における時計回り)に所定量だけ回転する(S130)。このギヤ118B,119Bの回転向きが第1回転向きに相当する。所定量は、ギヤ118B,119Bとギヤ118A,119A間の遊びの量以上であって当該遊びの量に近い量である。ステップS130が実行されることにより、ギヤ118B,119Bの突起127,128とギヤ118A,119Aの孔125,126を区画する面との間に隙間121が生じる(図19参照)。そのため、ギヤ118A,119Aは、ギヤ118B,119Bに対して図13及び図19における反時計回りに所定量を空転可能である。
【0169】
なお、図18(A)では、ステップS130は、ステップS120の次に実行されているが、ステップS130は、ステップS120で移動を開始したメンテナンス機構60のラックギヤ154Bが第2支持機構52のギヤ118Aと噛合するまでに実行されればよい。つまり、ステップS130は、ステップS120より前に実行されてもよいし、ステップS120と並行して実行されてもよい。
【0170】
次に、コントローラ130は、ラックギヤ154Bがギヤ118Aに噛合しているか否かを判断する(S140)。当該判断は、センサによる第1支持機構51の位置の認識や、ロータリエンコーダによるギヤ120の回転量の認識などの公知の手段によって実行される。
【0171】
ラックギヤ154Bがギヤ118Aと噛合するとき、ラックギヤ154Bの歯とギヤ118Aの歯とに周方向のズレがあっても、ギヤ118Aが空転することによって、当該ズレを是正してラックギヤ154Bとギヤ118Aとが噛合される。
【0172】
図8に示されるように、ラックギヤ154Bがギヤ118Aに噛合すると(S140:Yes)、コントローラ130は、第2モータ56(図17参照)を駆動して、ギヤ120を図8における時計回りに回転させる。これにより、ギヤ120に噛合するギヤ118,119のギヤ118B,119B(図5及び図8参照)がギヤ120と逆向き(図8における反時計回り)に回転する(S150)。このギヤ118B,119Bの回転向きが第2回転向きに相当する。このとき、ギヤ118B,119Bが所定量空転した後に、ギヤ118B,119Bの突起127,128がギヤ118A,119Aの孔125,126を区画する面を押すことによって、ギヤ118A,119Aも回転する。これにより、第1支持機構51が更に前傾斜向き5へ移動して、待機位置へ到達する(図11参照)。
【0173】
以下に、第2支持機構52に支持されており待機位置に位置するメンテナンス機構60(図11参照)がメンテナンス位置(図14参照)へ移動するときの処理が、図18(B)のフローチャートが参照されつつ説明される。
【0174】
最初に、コントローラ130は、軸モータ59(図17参照)を駆動して、第1支持機構51を第1回動位置(図20の破線参照)から第2回動位置(図11及び図20の実線参照)へ回動させる(S210)。なお、ステップS210は、ステップS220で移動を開始するメンテナンス機構60が第1支持機構51の回動領域内へ進入するより前に、第1支持機構51が第2回動位置へ到達することができるタイミングであることを条件として、ステップS220以降のタイミングで実行されてもよい。
【0175】
次に、コントローラ130は、第2モータ56(図17参照)を駆動して、ギヤ120を図11及び図20における反時計回りに回転させる。これにより、ギヤ120に噛合するギヤ118,119のギヤ118B,119B(図5及び図20参照)がギヤ120と逆向き(図11及び図20における時計回り)に回転する(S220)。このギヤ118B,119Bの回転向きが第1回転向きに相当する。このとき、ギヤ118B,119Bの突起127,128がギヤ118A,119Aの孔125,126を区画する面を押すことによって(図20参照)、ギヤ118A,119Aも回転する。なお、ギヤ118A,119Aの回転開始タイミングは、ギヤ118B,119Bが回転開始したときの突起127,128と当該面との間隔に基づく。ギヤ118A,119Aが回転することによって、ギヤ118A,119Aと噛合するラックギヤ154Bを有するメンテナンス機構60が待機位置からメンテナンス位置へ向けて後傾斜向き4へ移動する。
【0176】
コントローラ130は、第1モータ55(図17参照)を駆動して、ギヤ106を図11及び図20における時計回りに所定量だけ回転させる。これにより、ギヤ106に噛合するギヤ105のギヤ105B(図5及び図20参照)がギヤ106と逆向き(図11及び図20における反時計回り)に所定量だけ回転する(S230)。このギヤ105Bの反回転向きが第2回転向きに相当する。所定量は、ギヤ105Bとギヤ105A間の遊びの量以上であって当該遊びの量に近い量である。ステップS230が実行されることにより、ギヤ105Bの突起114とギヤ105Aの孔113を区画する面との間に隙間122が生じる(図20参照)。そのため、ギヤ105Aは、ギヤ106Bに対して図11及び図20における時計回りに所定量を空転可能である。
【0177】
なお、図18(B)では、ステップS230は、ステップS220の次に実行されているが、ステップS230は、ステップS220で移動を開始したメンテナンス機構60のラックギヤ154Bが第1支持機構51のギヤ105Aと噛合するまでに実行されればよい。つまり、ステップS230は、ステップS220より前に実行されてもよいし、ステップS220と並行して実行されてもよい。
【0178】
次に、コントローラ130は、ラックギヤ154Bがギヤ105Aに噛合しているか否かを判断する(S240)。当該判断は、上述した公知の手段によって実行される。
【0179】
ラックギヤ154Bがギヤ105Aと噛合するとき、ラックギヤ154Bの歯とギヤ105Aの歯とに周方向のズレがあっても、ギヤ105Aが空転することによって、当該ズレを是正してラックギヤ154Bとギヤ105Aとが噛合される。
【0180】
図21に示されるように、ラックギヤ154Bがギヤ105Aに噛合すると(S240:Yes)、コントローラ130は、第1モータ55(図17参照)を駆動して、ギヤ106を図21における反時計回りに回転させる。これにより、ギヤ106に噛合するギヤ105のギヤ105B(図5及び図21参照)がギヤ106と逆向き(図21における時計回り)に回転する(S250)。このギヤ105Bの回転向きが第1回転向きに相当する。このとき、ギヤ105Bが所定量空転した後に、ギヤ105Bの突起114がギヤ105Aの孔113を区画する面を押すことによって、ギヤ105Aも回転する。これにより、メンテナンス機構60が更に後傾斜向き4へ移動して、第1支持機構51に支持される(図13参照)。
【0181】
次に、コントローラ130は、軸モータ59(図17参照)を駆動して、第1支持機構51を第2回動位置(図13参照)から第1回動位置(図14参照)へ回動させる(S260)。これにより、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に到達する(図14参照)。
【0182】
[画像記録処理]
以下に、シートSに画像が記録されるときの処理(画像記録処理)が説明される。
【0183】
画像記録処理が実行されていないとき、画像記録装置100は待機状態である。待機状態のとき、図14に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1回動位置に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル38Aを覆っている。
【0184】
コントローラ130は、操作パネル44や、画像記録装置100とLANなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートSに画像を記録する旨の命令を受け取ると、メンテナンス機構60をメンテナンス位置から待機位置へ移動させる。詳述すると、コントローラ130は、第1支持機構51を第1回動位置から第2回動位置へ回動させてから(図13参照)、メンテナンス機構60を前傾斜向き5へ移動させることにより、メンテナンス機構60を待機位置へ移動させる(図11参照)。
【0185】
次に、コントローラ130は、第1支持機構51を第2回動位置から第1回動位置へ回動させる。
【0186】
次に、コントローラ130は、ヘッド38を下方へ移動させることによって被キャッピング位置から記録位置へ移動させる(図16参照)。そして、シートSの搬送を開始して、当該シートSがヘッド38の直下に位置する状態でノズル38Aからインクを吐出する。これによりシートSに画像が記録される。シートS上に付着したインクは、定着部39を通過する際に紫外光を照射されることによってシートSに定着する。更に搬送されたシートSは、CIS25によって記録された画像をチェックされた後、カッターユニット26によって所定のサイズに切断されて排出される。
【0187】
なお、コントローラ130は、ヘッド38を被キャッピング位置から記録位置へ移動させる前に、シートSをカッターユニット26まで搬送させてもよい。このとき、当該シートSの先端部がカッターユニット26によって切断された後、当該シートSは搬送路43上をヘッド38よりも上流まで逆走される。その後、ヘッド38を被キャッピング位置から記録位置へ移動され、上述した手順でシートSへの画像記録が実行される。
【0188】
[ワイピング処理]
以下に、ワイパ63がヘッド38の吐出モジュール49の下面50を払拭するワイピング処理が説明される。
【0189】
画像記録処理が実行されていないとき、画像記録装置100が待機状態である。待機状態のとき、図14に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1回動位置に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル38Aを覆っている。
【0190】
コントローラ130は、ワイピング処理を、所定期間毎にまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からワイピング処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0191】
ワイピング処理において、コントローラ130は、最初に、ヘッド38を上方へ移動させることによって被キャッピング位置(図14参照)から図15に実線で示される被ワイピング位置へ移動させる。これにより、キャップ62が吐出モジュール49の下面50から離間する。
【0192】
次に、コントローラ130は、メンテナンス機構60をメンテナンス位置からワイピング位置へ移動させる。詳述すると、コントローラ130は、メンテナンス機構60を前後方向8に沿って前方へ移動させることにより、メンテナンス機構60をワイピング位置へ移動させる(図15参照)。
【0193】
メンテナンス機構60がメンテナンス位置からワイピング位置へ移動する過程において、ワイパ63の先端部(上端部)が吐出モジュール49の下面50に当接しつつ下面50に対して摺動する。詳細には、ワイパ63Aが吐出モジュール49Aの下面50に対して摺動し、ワイパ63Bが吐出モジュール49Bの下面50に対して摺動し、ワイパ63Cが吐出モジュール49Cの下面50に対して摺動する。これにより、各吐出モジュール49A,49B,49Cの下面50が払拭される。その結果、下面50及び下面50に開口されたノズル38Aに付着した異物などが取り除かれる。
【0194】
払拭されたインクや異物は、ワイパ63に付着する。ワイパ63に付着したインクや異物の一部は、ワイパ63に沿って下方へ流れて液体受けに溜まる。液体受けに溜まったインクは、後述する液体受け吸引処理によって廃液タンクに排出される。また、ワイパ63が後述するクリーニング処理によって清掃されることによって、ワイパ63に付着したインクや異物は取り除かれる。
【0195】
なお、メンテナンス機構60がメンテナンス位置、ワイピング位置、及び前記の両位置の間に位置するとき、カム71(図4参照)が上方からシャッタ64を押圧してシャッタ64をワイパ63よりも低位置へ移動させている。そのため、シャッタ64が吐出モジュール49Aの下面50に当接することはない。
【0196】
次に、コントローラ130は、ヘッド38を上方へ移動させることによって図15に実線で示される被ワイピング位置から図15に破線で示される上退避位置へ移動させる。これにより、吐出モジュール49Aの下面50は、ワイパ63及びシャッタ64よりも上方に位置するようにある。
【0197】
次に、コントローラ130は、メンテナンス機構60を前後方向8に沿って後方へ移動させることにより、メンテナンス機構60をワイピング位置からメンテナンス位置へ移動させる。
【0198】
[ノズル吸引処理、液体受け吸引、及びフラッシング処理]
以下に、ノズル38Aからインクを吸引するノズル吸引処理、液体受けに溜まったインクを吸引する液体受け吸引処理、及びインクを液体受けへ吐出するフラッシング処理が説明される。
【0199】
画像記録処理が実行されていないとき、画像記録装置100が待機状態である。待機状態のとき、図14に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1回動位置に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル38Aを覆っている。
【0200】
待機状態のときに、コントローラ130は、ノズル吸引処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からノズル吸引処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0201】
ノズル吸引処理において、コントローラ130は、吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、ノズル38A内のインクが吸引されて、キャップ62と吐出モジュール49の下面50とによって形成された空間からチューブ66,67を経て廃液タンクに排出される。
【0202】
図7に示されるように、画像記録装置100が待機状態のとき、ヘッド38の凸部72が上方から凸部158に近接した位置となっている。これにより、チューブ65における凸部158に支持された部分が凸部72に押圧されることによって変形されて閉塞された閉塞状態となっている。つまり、チューブ65の内部空間である第1流路が閉じられて、第1流路を介したインクの流通が不可能となっている。すなわち、ノズル吸引処理では、ノズル38A内のインクが吸引される一方で、液体受けに溜まったインクは吸引されない。
【0203】
なお、チューブ65における凸部158に支持された部分の近傍には、チューブ66が位置している。しかし、チューブ66は当該部分より下方に位置しているため、チューブ66が凸部72に押圧されることはない。
【0204】
待機状態のときに、コントローラ130は、液体受け吸引処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部から液体受け吸引処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0205】
液体受け吸引処理において、コントローラ130は、最初に、ヘッド38を被キャッピング位置から被ワイピング位置または上退避位置へ移動させる。これにより、キャップ62が吐出モジュール49から離間する。また、これにより、ヘッド38の凸部72が凸部158から離れるため、チューブ65が変形されていない開放状態となって、第1流路が開かれるこれにより、第1流路を介したインクの流通が許容されている。
【0206】
次に、コントローラ130は、吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、液体受けに溜まったインクが吸引されて、チューブ65,67を経て廃液タンクに排出される。なお、このとき、キャップ62に溜まったインクも吸引されて、チューブ66,67を経て廃液タンクに排出される。
【0207】
なお、液体受け吸引処理は、画像記録装置100が待機状態以外の状態のときにも実行可能である。画像記録装置100が待機状態でないときにはキャップ62は吐出モジュール49から離間しているため、コントローラ130は、液体受け吸引処理を実行する旨の命令を受け取ると、吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、液体受けに溜まったインクが吸引されて、チューブ65,67を経て廃液タンクに排出される。
【0208】
コントローラ130は、フラッシング処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からフラッシング処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0209】
フラッシング処理において、コントローラ130は、最初に、ヘッド38を被ワイピング位置または上退避位置へ移動させる。
【0210】
次に、コントローラ130は、メンテナンス機構60をメンテナンス位置から前方へ移動させる。ここで、待機状態のときにはノズル38Aはキャップ62と上下に対向しているが、メンテナンス機構60が前方へ移動することによって、ノズル38Aは液体受けと上下に対向するようになる。コントローラ130は、ノズル38Aが液体受けと上下に対向する位置でメンテナンス機構60を停止させる。
【0211】
次に、コントローラ130は、ノズル38Aからインクを吐出させる。吐出されたインクは液体受けに溜まる。液体受けに溜まったインクは、上述した液体受け吸引処理によって廃液タンクに排出される。
【0212】
[ワイパ63のクリーニング処理]
以下に、ワイパ63が清掃されるときのクリーニング処理が説明される。
【0213】
画像記録処理が実行されていないとき、画像記録装置100が待機状態である。待機状態のとき、図14に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1回動位置に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル38Aを覆っている。
【0214】
コントローラ130は、クリーニング処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からクリーニング処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0215】
クリーニング処理において、コントローラ130は、最初に、画像記録処理の場合と同様の手順によって、メンテナンス機構60を待機位置へ移動させる。詳述すると、コントローラ130は、第1支持機構51を第1回動位置から第2回動位置へ回動させてから(図13参照)、メンテナンス機構60を前傾斜向き5へ移動させることにより(図12参照)、メンテナンス機構60を待機位置へ移動させる(図11参照)。
【0216】
メンテナンス機構60が図11に示される待機位置のとき、各ワイパ63A,63B,63Cは、それぞれ対応するフォーム166A,166B,166Cよりも上前傾斜向き5の上流側に位置しており、直交方向1において対応するフォーム166A,166B,166Cと対向していない。
【0217】
また、メンテナンス機構60が図11に示される待機位置のとき、図22(A)に示されるように、突起159は凸部168に当接していないが凸部168の近傍に位置しており、突起160は凸部169に当接していないが凸部169の近傍に位置している。
【0218】
コントローラ130は、メンテナンス機構60を図22(A)に示される待機位置から更に前傾斜向き5へ移動させる。これにより、図22(B)に示されるように、突起159が凸部168の第1カム面171に当接し、突起160が凸部169の第1カム面171に当接する。なお、突起160は凸部168より上方に位置するため、メンテナンス機構60が図22に示される待機位置から更に前傾斜向き5へ移動するとき、突起160は凸部168と接触することなく凸部168よりも前傾斜向き5の下流側へ移動可能である。
【0219】
コントローラ130は、メンテナンス機構60を図22(B)に示される位置から更に前傾斜向き5へ移動させる。すると、突起159,160が第1カム面171を押圧する。これにより、メンテナンス機構の60の前傾斜向き5の移動が、突起159,160及び第1カム面171を介してワイパクリーニング機構80が離間位置から当接位置へ位置付けられる移動に変換される。その結果、ワイパクリーニング機構80は、離間位置から当接位置へ向けて移動する。つまり、第1カム面171は、ワイパクリーニング機構80を離間位置から当接位置へガイドする。このとき、第1付勢部材164は、その付勢力に抗して伸長する。
【0220】
メンテナンス機構60が前傾斜向き5に移動するにしたがって、突起159,160は、第1カム面171から第2カム面172へ案内される。図23(A)に示されるように、突起159,160が第2カム面172の後端部に到達すると、ワイパクリーニング機構80は当接位置に到達する。このときのメンテナンス機構60の位置がクリーニング開始位置である。メンテナンス機構60の位置がクリーニング開始位置のとき、直交方向1においてワイパ63と当接位置のワイパクリーニング機構80のフォーム166の前傾斜向き5の上流端部とが対向しており、フォーム166はワイパ63の先端部に接触している。詳細には、フォーム166Aの前傾斜向き5の上流端部がワイパ63Aの先端部に接触しており、フォーム166Bの前傾斜向き5の上流端部がワイパ63Bの先端部に接触しており、フォーム166Bの前傾斜向き5の上流端部がワイパ63Aの先端部に接触している。なお、ワイパクリーニング機構80の当接位置から離間位置への移動は、突起159,160が第2カム面172に当接することによって阻害されている。
【0221】
コントローラ130は、メンテナンス機構60を図23(A)に示される位置から更に前傾斜向き5へ移動させる。これにより、突起159,160は、第2カム面172に沿って案内される。この過程において、ワイパ63は、フォーム166に対して摺動する。これにより、ワイパ63の先端部は清掃され、ワイパ63の先端部に付着したインクや異物は取り除かれる。その後、図23(B)に示されるように、突起159,160は、第2カム面172の前端部に到達する。このときのメンテナンス機構60の位置がクリーニング終了位置である。
【0222】
メンテナンス機構60の位置がクリーニング終了位置のとき、直交方向1においてワイパ63と当接位置のワイパクリーニング機構80のフォーム166の前傾斜向き5の下流端部とが対向しており、フォーム166はワイパ63の先端部に接触している。詳細には、フォーム166Aの前傾斜向き5の下流端部がワイパ63Aの先端部に接触しており、フォーム166Bの前傾斜向き5の下流端部がワイパ63Bの先端部に接触しており、フォーム166Bの前傾斜向き5の下流端部がワイパ63Aの先端部に接触している。なお、ワイパクリーニング機構80の当接位置から離間位置への移動は、突起159,160が第2カム面172に当接することによって阻害されている。つまり、第2カム面172は、ワイパクリーニング機構80を当接位置に保持する。
【0223】
コントローラ130は、メンテナンス機構60を図23(B)に示される位置から更に前傾斜向き5へ移動させる。これにより、図24(A)に示されるように、突起159,160は、第2カム面172よりも前傾斜向き5の下流側に位置する。すると、ワイパクリーニング機構80は、第1付勢部材164の付勢力によって当接位置から離間位置へ移動する。これにより、フォーム166は、ワイパ63から離間する。
【0224】
コントローラ130は、メンテナンス機構60を図24(A)に示される位置から後傾斜向き4へ移動させる。すると、突起159,160は、第3カム面173と当接する。突起159,160が第3カム面173と当接した位置から、メンテナンス機構60が更に後ろ傾斜向き4へ移動されると、突起159,160が第3カム面173を押圧する。これにより、メンテナンス機構の60の後傾斜向き4の移動が、突起159,160及び第3カム面173を介してワイパクリーニング機構80が離間位置から退避位置へ位置付けられる移動に変換される。その結果、ワイパクリーニング機構80は、離間位置から退避位置へ向けて移動する(図24(B)参照)。つまり、第3カム面173は、ワイパクリーニング機構80を離間位置から退避位置へガイドする。このとき、第2付勢部材165は、その付勢力に抗して収縮する。ワイパクリーニング機構80が退避位置へ移動することによって、突起159,160は、第3カム面173を通過して凸部168,169よりも後方に位置するようになり、メンテナンス機構60は待機位置に戻る。また、これにより、突起159,160が凸部168,169から離間すると、ワイパクリーニング機構80は、第2付勢部材165の付勢力によって退避位置から離間位置へ移動する。
【0225】
[画像記録装置100の作用効果]
上記実施形態によれば、キャップ62がノズル38Aから離間しているとき、チューブ65の内部空間である第1流路は凸部72,158によって閉塞されていない。この状態で、吸引ポンプ74が駆動されることにより、区画壁157と底板151とによって区画された液体受けに溜まっているインクを、チューブ66の内部空間である第2流路、ジョイント部68、及びチューブ67の内部空間である第3流路を介して吸引して回収することができる。
【0226】
キャップ62がノズル38Aを被覆しているとき、第1流路は凸部72,158によって閉塞されている。この状態で、吸引ポンプ74が駆動されることにより、ノズル38Aのインクをキャップ62、第1流路、ジョイント部68、及び第3流路を介して吸引することができる。また、当該状態では、第1流路が凸部72,158によって閉塞されているため、吸引ポンプ74の吸引力がキャップ62と液体受けとに分散されない。これにより、ノズル38Aのインクを効率よく吸引することができる。
【0227】
また、メンテナンス機構60が複数のキャップ62を備え、各キャップ62に対応して第2流路が設けられていることによって、ヘッド38が広範囲に亘って多数のノズル38Aを有する場合であっても、ノズル38Aのインクを効率よく吸引することができる。
【0228】
また、凸部72,158という単純な構成で第1流路を開閉することができる。
【0229】
また、凸部72は上下方向7に移動され、第1流路における凸部72に押圧される部分は、凸部158に支持されることによって第2流路より上方に位置している。これにより、凸部72は少ない移動量で第1流路を開閉することができる。また、凸部72が誤って第2流路を閉塞してしまうことを防止できる。
【0230】
また、ワイパ63が液体受けに対向して設けられているため、ワイパ63が吐出モジュール49の下面50を払拭することによってワイパ63から垂れたインクを液体受けで受けることができる。
【0231】
また、フラッシング処理で吐出されたインクを液体受けで受けることができるため、インクが画像記録装置100内の他の部分に付着することを防止できる。
【0232】
[変形例]
上記実施形態では、開閉機構は、凸部72,158によって構成されており、凸部72がチューブ65を押圧して変形させることによって第1流路を閉塞し、チューブ65への当該押圧を解除することによって第1流路を開放するものであった。しかし、開閉機構は、このようなものに限らない。例えば、開閉機構は、ヘッド38の上下動に連動して上下動することで貫通孔73を開閉する開閉扉であってもよい。また、このような開閉扉が、チューブ65における貫通孔73とジョイント部68の間のいずれかの箇所に設けられていてもよい。
【0233】
上記実施形態では、第1支持機構51は、後部に形成された左右方向9に延びる軸109A周りに、前端である回動先端51Aが上下に移動するように回動していた。しかし、第1支持機構51の回動は、これに限らない。例えば、第1支持機構51は、前部に形成された左右方向9に延びる軸109A周りに、後端である回動先端51Aが上下に移動するように回動してもよい。また、例えば、第1支持機構51は、右部に形成された前後方向8に延びる軸109A周りに、左端である回動先端51Aが上下に移動するように回動してもよい。
【0234】
上記実施形態では、第1支持機構51が回動可能である一方、第2支持機構52が固定されていた。つまり、第1支持機構51が第2支持機構52に対して相対移動した。しかし、上記実施形態とは逆に、第2支持機構52が回動可能である一方、第1支持機構51が固定されていてもよい。つまり、第2支持機構52が第1支持機構51に対して相対移動してもよい。また、第1支持機構51及び第2支持機構52の一方が回動可能に構成される一方で、第1支持機構51及び第2支持機構52の一方が移動(例えば回動やスライド)可能に構成されていてもよい。
【0235】
上記実施形態では、第1上面117A及び第1上面111Aと、第2上面117B及び第2上面111Bと、上面116A及び上面110Aとは、それぞれ傾斜方向6に沿って直線的に並んでいた。しかし、第2支持機構52と第2回動位置の第1支持機構51との間でメンテナンス機構60を受け渡しできることを条件として、前述の各面は傾斜方向6に沿って直線的に並んでいなくてもよい。例えば、第1上面117Aが傾斜方向6に沿って延びている一方で、第1上面111Aは傾斜方向6に対して傾斜した方向に沿って延びていてもよい。
【0236】
上記実施形態では、第1支持機構51のギヤ106は第1モータ55から駆動力を付与され、第2支持機構52のギヤ120は第2モータ56から駆動力を付与されていた。つまり、ギヤ106,120は異なるモータから駆動力を付与されていた。しかし、ギヤ106、120は同一のモータから駆動力を付与されていてもよい。この場合、各ギヤ106,120と当該同一のモータとの間に公知の駆動切替機構が配置されることにより、各ギヤ、120の個別の駆動有無や、駆動開始タイミングや、駆動停止タイミングなどがコントローラ130によって制御される。
【0237】
上記実施形態では、ヘッド38がメンテナンス機構60に対して上下方向7に相対移動したが、メンテナンス機構60がヘッド38に対して上下方向7に相対移動してもよいし、ヘッド38及びメンテナンス機構60の双方が相手方に対して上下方向7に相対移動してもよい。
【0238】
上記実施形態では、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46に着脱可能に保持されていたが、支持部材46以外(例えば、下筐体32)に着脱可能に保持されていてもよい。
【0239】
上記実施形態では、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46の直下に配置されていたが、ワイパクリーニング機構80の位置は、支持部材46の直下に限らない。例えば、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46より上方に配置されていてもよい。また、例えば、ワイパクリーニング機構80は、支持部材46の直下でなく、第1支持機構51の直下に配置されていてもよい。
【0240】
上記実施形態では、メンテナンス機構60が突起159,160を備えており、ワイパクリーニング機構80が凸部168,169を備えていた。しかし、上記実施形態とは逆に、ワイパクリーニング機構80が突起159,160を備えており、メンテナンス機構60が凸部168,169を備えていてもよい。
【0241】
上記実施形態では、ワイパクリーニング機構80がメンテナンス機構60に対して直交方向1に相対移動していたが、上記実施形態とは逆に、メンテナンス機構60がワイパクリーニング機構80に対して直交方向1に相対移動してもよい。また、ワイパクリーニング機構80及びメンテナンス機構60の双方が、直交方向1に移動可能に構成されていてもよい。
【0242】
上記実施形態では、第1支持機構51は、シートSを搬送する搬送ベルト101を備えていた。しかし、第1支持機構51は、シートSを搬送するものとして搬送ベルト101以外のもの、例えばローラ対を備えていてもよい。また、第1支持機構51は、搬送ベルト101などのシートSを搬送するためのものを備えていなくてもよい。また、搬送ローラ対36,40の代わりに、別の搬送機構(例えば搬送ベルト)が設けられていてもよい。
【0243】
上記実施形態では、メンテナンス機構60がメンテナンス位置からワイピング位置へ前後方向8に沿って移動する過程において、ワイパ63が吐出モジュール49の下面50に対して摺動することによって、ワイパ63が下面50を払拭していた。しかし、下面50を払拭する手段は、これに限らない。
【0244】
例えば、図25(A)に示されるように、メンテナンス機構60がメンテナンス位置(図25(A)に実線で示される位置)からワイピング位置(図25(A)に破線で示される位置)へ前後方向8に沿って移動する過程において、メンテナンス機構60の本体61の縁板152が下面50に対して摺動することによって、縁板152が下面50を払拭してもよい。この場合、縁板152は、キャップ62より高く構成される必要がある。
【0245】
また、例えば、図25(B)に示されるように、メンテナンス機構60が前端が後端より下方に位置するように斜めに移動された状態で(例えばメンテナンス機構60が傾斜方向6に沿って延びた状態で)、メンテナンス機構60が図25(B)に実線で示される位置から図25(B)に破線で示される位置へ前後方向8に沿って移動する過程において、メンテナンス機構60の本体61の縁板152が下面50に対して摺動することによって、縁板152が下面50を払拭してもよい。この場合、縁板152は、キャップ62より低く構成されていてもよい。
【0246】
上記実施形態(図11図13参照)や上記変形例(図25(B)参照)に示されるように、メンテナンス機構60がその前端が後端より下方に位置するように斜めに配置される構成の場合、メンテナンス機構60が前後方向8に沿って配置されている構成よりも、メンテナンス機構60が占めるスペースを前後方向8に短くすることができる。これにより、画像記録装置100を前後方向8に小型化することができる。
【0247】
また、メンテナンス機構60がその前端が後端より下方に位置するように斜めに配置されることによって、下筐体32の内部空間32Aにおけるメンテナンス機構60の後方斜め下方の空きスペースを大きくすることができる。これにより、メンテナンス機構60が、メンテナンス機構60の後方斜め下方に配置されているロール体37(図2参照)と干渉することを回避しつつ、画像記録装置100を上下方向7に小型化することができる。
【0248】
つまり、画像記録装置100の前後方向8及び上下方向7の双方に小型化を両立することができる。
【0249】
上記実施形態では、ヘッド38がシートSに画像を記録する方式は、ラインヘッド型のインクジェット記録方式であったが、これに限らず、例えば、シリアル型のインクジェット記録方式であってもよい。
【0250】
上記実施形態では、シートSが被吐出媒体の一例として説明されているが、画像記録装置100が画像を記録する媒体はシートSに限らない。例えば、画像記録装置100によって画像を記録される被吐出媒体は、スマートフォンのケース等に利用される樹脂部材や、プリント基板や、布帛や、ビニールなどであってもよい。
【0251】
上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、画像記録時にインクに先立ってシートSなどに吐出される前処理液や、ヘッド38を洗浄するための水が、液体に相当していてもよい。
【0252】
上記実施形態では、画像記録装置100は、インクジェット記録方式でシートSなどの被吐出媒体に画像を記録するものであったが、インクジェット記録方式に限らない。例えば、画像記録装置100は、電子写真方式でシートSなどの被吐出媒体に画像を記録するものであってもよい。この場合、上述した前処理液が被吐出媒体への画像記録前に被吐出媒体へ吐出される。
【符号の説明】
【0253】
29・・・ボールネジ(相対移動機構)
38・・・ヘッド
38A・・・ノズル
62・・・キャップ
65・・・チューブ(第1流路)
66・・・チューブ(第2流路)
68・・・ジョイント部
72・・・凸部(開閉機構)
74・・・吸引ポンプ
100・・・画像記録装置(液体吐出装置)
151・・・底板(液体受け)
157・・・区画壁(液体受け)
158・・・凸部(開閉機構)
S・・・シート(被吐出媒体)
図1
図2
図3
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