(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】スクリーンゴルフ用スクリーン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20231129BHJP
G03B 21/60 20140101ALI20231129BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A63B69/36 515F
G03B21/60
D06M15/564
(21)【出願番号】P 2022567595
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 KR2021005660
(87)【国際公開番号】W WO2021225380
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0055147
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】315019182
【氏名又は名称】ゴルフゾン カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】735, YEONGDONG-DAERO, GANGNAM-GU, SEOUL, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン フン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジェオン ミン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0061382(KR,A)
【文献】実開昭50-152769(JP,U)
【文献】特開2003-207852(JP,A)
【文献】特開平6-235817(JP,A)
【文献】特開平9-244146(JP,A)
【文献】特開2007-57635(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0119721(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0238539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
G03B 21/132
G03B 21/56-21/64
D06M 15/564
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンゴルフのための映像を出力するプロジェクターから所定距離離れた位置に備えられ、前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーンゴルフ用スクリーンとして、
使用者がゴルフボールを打撃する打席の前方に備えられて打撃されたゴルフボールがその前面に衝突し、原糸によって製織されてその前面に前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーン前面部と、
前記スクリーン前面部の背面に形成されて前記スクリーン前面部の前面に前記ゴルフボールが衝突することによる衝撃を緩和するよう弾性を付与し、前記プロジェクターが出力する映像の光が前記スクリーン前面部を透過することを遮断することによって光反射率を高める弾性高分子化合物によってコーティングされる背面コーティング部と、
を含む、スクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項2】
前記スクリーン前面部は、ポリエステル原糸と、ポリエステルに二酸化チタン(TiO
2)を含有するヤーンを混用して製織されたスクリーンファブリックによって製造される、請求項1項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項3】
前記スクリーン前面部は、予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で前記スクリーンファブリックの両面を圧着加工して表面平坦化して製造される、請求項2項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項4】
前記スクリーン前面部は、ポリエステルに二酸化チタン(TiO
2)を含有するヤーンによって製織されたスクリーンファブリックの両面を予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で圧着加工して表面平坦化して製造される、請求項1項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項5】
前記背面コーティング部は、液体状態の弾性高分子化合物を前記スクリーン前面部の背面に塗布した後、圧着して凝固させることによって形成される、請求項1項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項6】
前記背面コーティング部は、前記スクリーン前面部の背面に金属またはセラミックを含む材質の反射薄膜層を形成し、前記反射薄膜層に前記弾性高分子化合物をコーティングして形成される、請求項1項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーン。
【請求項7】
スクリーンゴルフのための映像を出力するプロジェクターから所定距離離れた位置に備えられ、前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーンゴルフ用スクリーンの製造方法として、
使用者がゴルフボールを打撃する打席の前方に備えられて打撃されたゴルフボールがその前面に衝突し、その前面に前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーン前面部を、ポリエステル原糸及びポリエステルに二酸化チタン(TiO
2)を含むヤーンを混用して製織されたスクリーンファブリック、または前記ポリエステルに二酸化チタン(TiO
2)を含むヤーンによって製織されたスクリーンファブリックを利用して製造する段階と、
前記スクリーン前面部の背面に弾性高分子化合物をコーティングして、前記スクリーン前面部の前面に前記ゴルフボールが衝突することによる衝撃を緩和するよう弾性を付与し、前記プロジェクターが出力する映像の光が前記スクリーン前面部を透過することを遮断することによって前記映像の光反射率を高める段階と、
を含む、スクリーンゴルフ用スクリーンの製造方法。
【請求項8】
前記スクリーンファブリックを利用して製造する段階は、予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で前記スクリーンファブリックの両面を圧着加工して表面平坦化をする段階を含む、請求項7項に記載のスクリーンゴルフ用スクリーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がゴルフショットした結果をセンシングして映像でシミュレーション具現することで、仮想のゴルフプレイができるようにするスクリーンゴルフにおいて、使用者がゴルフショットをする前方に備えられ、ゴルフボールが衝突すると同時にプロジェクターから出力されるスクリーンゴルフのための映像を投影させるスクリーンゴルフ用スクリーン及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近ゴルフ人口が増加し、使用者が仮想ゴルフシミュレーション装置を利用してゴルフ練習および仮想ゴルフラウンドができるようにするいわゆるスクリーンゴルフシステムが登場するようになった。
【0003】
このようなスクリーンゴルフシステムは室内に設けられた空間に打席と、スクリーンと、ゴルフボールのセンシング装置などを設置して具現されたシステムで、スクリーンに仮想ゴルフ場に関する映像がディスプレイされる状態で使用者が打席でゴルフショットをしてスクリーンに向かってゴルフボールを打撃すれば、センシング装置がゴルフボールの動きをセンシングし、それによってスクリーン上の仮想ゴルフ場映像でゴルフボールが移動するシミュレーションが進行される。
【0004】
スクリーンゴルフは単純に室内で楽しむゴルフゲームの水準を越え、現実のゴルフ場でのゴルフラウンドをするような臨場感を使用者に提供するため、実際のゴルフ場でゴルフラウンドをするゴルファーとは別にスクリーンゴルフを楽しむ使用者がかなり増加している。
【0005】
このようなスクリーンゴルフシステムは、使用者が実際にゴルフ場でゴルフ試合を行うのと同じリアリティを提供するために、実際のゴルフ場と同じ仮想現実映像を提供し、ゴルフボールの打撃によるゴルフボールの移動映像も実際と同じように具現されるように提供している。
【0006】
したがって、スクリーンゴルフを利用する使用者たちはスクリーン上に投影される仮想のゴルフ場の全景を見ながらゴルフクラブでゴルフショットをする方式でスクリーンゴルフを楽しむことができる。
【0007】
従来には、前述のようなスクリーンゴルフシステムに利用されるスクリーンを主にポリエステルで作った原糸を利用して製織したファブリックで製造していた。 ところが、そのような従来のスクリーンゴルフ用スクリーンは、プロジェクターからスクリーンに出力される映像の光を相当部分透過させるため、光の反射率が落ちる。 そのため、前述の従来のスクリーンにプロジェクターが出力する映像が投影されれば、スクリーンを通じて現れる映像は全体的な明るさが低下し鮮明ではないという問題点があった。
【0008】
このような問題点を解決するための先行技術として、例えば韓国公開実用新案第20-2009-0009587号公報では厚い原緞にシリカ、メタノール、茶色剤を利用して基本コーティングをするなどの処理をして映像の華やかな色味と鮮明度を向上させるようにする技術について開示している。
【0009】
韓国公開実用新案第20-2009-0009587号公報で開示している方法は、厚いスクリーン生地の前面にシリカなどを利用してコーティングすることで色感と鮮明度を向上させる技術について開示している。
【0010】
ところが、スクリーンゴルフでは使用者がゴルフクラブにゴルフボールを打撃すると、その打撃されたゴルフボールは非常に速い速度で発射されてスクリーンに非常に強く衝突し、そのような強い衝突が非常に多くの使用者がゴルフショットをすることによって反復的に行われるため、ゴルフボールがスクリーンに衝突することによる影響は累積される。
【0011】
その上、スクリーン上の一定の位置に集中的な衝突が主に起きるため、スクリーンの前面に形成されたシリカなどのコーティング層は非常に早く磨耗したり破壊されたりするしかなく、そのようなスクリーンに映像を投影する場合、コーティングによる映像の色感と鮮明度の向上の効果は急速に消滅する問題点がある。
【0012】
他の先行技術文献として特許第4446703号公報が公開されている。特許第4446703号公報は、スクリーン上にポリオレフィン系樹脂含有フィルム層を形成させることで、スクリーンの光反射率を高める技術について開示している。しかし、該当特許公報に開示された技術もやはり多数の使用者の反復的なゴルフショットによってスクリーンに強い衝撃力が伝達され、その影響が相当累積されて速い速度でフィルム層が消滅したり破壊される問題点がある。
【0013】
また、他の先行技術文献として韓国公開特許第10-2013-0092198号公報ではプロジェクターがスクリーンに映像を出力する時に光を受けるスクリーンの表面で乱反射が行われるようにエンボス処理をする技術について開示している。しかし、韓国公開特許第10-2013-0092198号公報に開示された技術も同様にスクリーンに伝達されるゴルフボールの強い衝突と反復的な衝撃による影響の累積のためにエンボスが急速に毀損される問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0009587号公報
【文献】特許第4446703号公報
【文献】韓国公開特許第10-2013-0092198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はスクリーンゴルフに利用されるスクリーンにプロジェクターによって映像が出力される時、映像の光がスクリーンを透過することを抑制し、スクリーンの前面での光の反射率を高めて投影される映像の明るさと鮮明度を向上させることができ、多数の使用者の反復的なゴルフショットにもかかわらずスクリーンに投影される映像の明るさと鮮明度が毀損されないようにすることができるスクリーンゴルフ用スクリーン及びその製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、スクリーンゴルフのための映像を出力するプロジェクターから所定距離離れた位置に備えられ、前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーンゴルフ用スクリーンとして、使用者がゴルフボールを打撃する打席の前方に備えられて打撃されたゴルフボールがその前面に衝突し、原糸によって製織されてその前面に前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーン前面部と、前記スクリーン前面部の背面に形成されて前記スクリーン前面部の前面に前記ゴルフボールが衝突することによる衝撃を緩和するよう弾性を付与し、前記プロジェクターが出力する映像の光が前記スクリーン前面部を透過することを遮断することによって光反射率を高める弾性高分子化合物によってコーティングされる背面コーティング部を含む。
【0017】
好ましくは、前記スクリーン前面部は、ポリエステル原糸と、ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有するヤーンを混用して製織されたスクリーンファブリックによって製造される。
【0018】
好ましくは、前記スクリーン前面部は、予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で前記スクリーンファブリックの両面を圧着加工して表面平坦化して製造される。
【0019】
好ましくは、前記スクリーン前面部は、ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有するヤーンによって製織されたスクリーンファブリックの両面を予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で圧着加工して表面平坦化して製造される。
【0020】
好ましくは、前記背面コーティング部は、液体状態の弾性高分子化合物を前記スクリーン前面部の背面に塗布した後、圧着して凝固させることによって形成される。
【0021】
好ましくは、前記背面コーティング部は、前記スクリーン前面部の背面に金属またはセラミックを含む材質の反射薄膜層を形成し、前記反射薄膜層に前記弾性高分子化合物をコーティングして形成される。
【0022】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンの製造方法は、スクリーンゴルフのための映像を出力するプロジェクターから所定距離離れた位置に備えられ、前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーンゴルフ用スクリーンの製造方法として、使用者がゴルフボールを打撃する打席の前方に備えられて打撃されたゴルフボールがその前面に衝突し、その前面に前記プロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーン前面部を、ポリエステル原糸及びポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含むヤーンを混用して製織されたスクリーンファブリック、または前記ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含むヤーンによって製織されたスクリーンファブリックを利用して製造する段階と、前記スクリーン前面部の背面に弾性高分子化合物をコーティングして、前記スクリーン前面部の前面に前記ゴルフボールが衝突することによる衝撃を緩和するよう弾性を付与し、前記プロジェクターが出力する映像の光が前記スクリーン前面部を透過することを遮断することによって前記映像の光反射率を高める段階を含む。
【0023】
好ましくは、前記スクリーンファブリックを利用して製造する段階は、予め設定された温度に加熱されたホットプレスが予め設定された圧力で前記スクリーンファブリックの両面を圧着加工して表面平坦化をする段階を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明はスクリーンゴルフに利用されるスクリーンにプロジェクターによって映像が出力される時、映像の光がスクリーンを透過することを抑制し、スクリーン前面での光の反射率を高めて投影される映像の明るさと鮮明度を向上させることができ、多数の使用者の反復的なゴルフショットにもかかわらずスクリーンに投影される映像の明るさと鮮明度が毀損されないようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンが備えられたスクリーンゴルフシステムに関して示した図面である。
【
図2】
図1に示したスクリーンゴルフシステムで映像出力プロジェクターによって出力される映像が、本発明の一実施例によるスクリーンに投影される側面を示した図面である。
【
図3】本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンを製造する工程を説明するための図面である。
【
図4】本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンの光反射率の向上に関して説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によるスクリーンゴルフ用スクリーンおよびその製造方法に関する具体的な内容を図面を参照して説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンが備えられたスクリーンゴルフシステムに関して示した図面であり、
図2は
図1に示したスクリーンゴルフシステムで映像出力プロジェクターによって出力される映像が本発明の一実施例によるスクリーンに投影される側面を示した図面である。
【0028】
図1及び
図2に示したように、スクリーンゴルフシステムはゴルフのための所定の空間(GS)が設けられ、その空間(GS)の底に使用者(P)がゴルフスイングできるように打席(SP)が備えられ、使用者(P)がゴルフボール(B)を打撃する打席(SP)の前方に本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーン100が備えられる。
【0029】
そして、スクリーン100と所定距離離れた位置にスクリーンゴルフのための映像を出力してスクリーン100に投影するプロジェクター300が備えられる。
【0030】
スクリーンゴルフシステムを通じて使用者単独でまたは複数の使用者が順番に従って打席(SP)からゴルフボールをゴルフクラブに打撃し、その打撃されたゴルフボール(B)の動きはセンシング装置(未図示)によってセンシングされ、そのセンシング結果に基づいてスクリーン100に投影される映像がゴルフボールに対応する仮想ボールが仮想のゴルフコースでシミュレーションされることを見せながら仮想のゴルフ試合が進行されたり仮想のゴルフによるゴルフ練習が進行されることだ。
【0031】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーン100は、
図1及び
図2に示したように、プロジェクター300が出力する映像が投影されて使用者に見せると同時に、使用者のゴルフショットによって発射されたゴルフボール(B)が強く衝突する部分である。
【0032】
したがって、スクリーンゴルフ用スクリーン100は基本的に多数の使用者がゴルフショットによって打撃するゴルフボールが累積的に衝突することによって耐久性とその衝突に対する緩衝能力が良くなければならないと同時にプロジェクター300が出力する映像を投影して使用者に明るく鮮明な映像を提供できなければならない。
【0033】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、前述のように打撃されたゴルフボールが強く衝突しても緩衝ができながらもプロジェクター300によって投影される映像の明るさ及び鮮明度を向上させることができるようにする効果を持つ。
【0034】
このための本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンを製造する工程を
図3で概念的に示している。
【0035】
図3(c)に示したように、本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、原糸で製織され、その前面にプロジェクターが出力する映像が投影されるスクリーン前面部120と、そのスクリーン前面部120の後面に形成されてスクリーン前面部120の前面にゴルフボールが衝突することによる衝撃を緩和するよう弾性を付与し、プロジェクターが出力する映像の光がスクリーン前面部120を透過することを遮断することによって映像の光反射率を高める弾性高分子化合物によってコーティングされる背面コーティング部140を含むことを特徴とする。
【0036】
従来のスクリーンゴルフ用スクリーンは、ポリエステル(polyester)原糸を製織して作ったポリエステル原緞に難燃剤を染めることによって作られるが、プロジェクターが出力する映像の光を相当部分透過させてしまうため、ポリエステル原緞で作ったスクリーンに投影される映像が明るくなく鮮明度も落ちる問題点があり、繰り返されるゴルフショットでゴルフボールの衝突が累積することによって頻繁に破損する問題点がある。
【0037】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、前述したスクリーン前面部120を「ポリエステル原糸」と、「ポリエステルに二酸化チタン(titanium dioxide: TiO2)を含有したヤーン」を混用して製織したスクリーン・ファブリックを利用して製造することができる。 例えば、前述したヤーンはポリエステル原糸を二酸化チタン(TiO2)で染色して作ることができる。
【0038】
前述の「ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有したヤーン」はポリエステルに0.1~10重量%、より好ましくは1~3重量%の二酸化チタン(TiO2)を含有することができ、スクリーンファブリックの製織のための「ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有したヤーン」と「ポリエステル原糸」の混用の割合は1:9~5:5、またはポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有したヤーンの割合を50%以上とすることもできる。
【0039】
このように本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンのスクリーン前面部120は、「ポリエステル原糸」と、「ポリエステルに二酸化チタン(TiO2)を含有するヤーン」を混用して製織されたスクリーンファブリック110を利用して製造されことができる。
【0040】
スクリーン前面部120は、
図3(a)に示したように、前述のスクリーンファブリック110をホットプレス200で両面を圧縮加工する表面平坦化の過程を経て作ることができる。
【0041】
図3(a)で、ホットプレス200による圧搾加工が行われる前のスクリーンファブリック110と、スクリーンファブリック110をホットプレス200で圧搾加工して作られたスクリーン前面部120について示している。
【0042】
前述のホットプレス200は100~300℃、より好ましくは150~200℃の範囲で設定された温度に加熱されたローラーを利用して1~10kg/cm
2、より好ましくは2~5kg/cm
2の圧力でスクリーンファブリック110の両面を圧搾することで、表面平坦化を進める上で、このような表面平坦化が進む前のスクリーンファブリック110の繊維の状態と、前述の表面平坦化が進行された後のスクリーン前面部120の繊維の状態を
図3で示している。
【0043】
図3で、図面番号110aは、スクリーンファブリック110について150倍率で拡大して示した写真であり、図面番号110bは500倍率で拡大して示した写真だ。
【0044】
図3に示したスクリーンファブリック110の拡大倍率写真110a及び110bで見るように、スクリーンファブリック110の表面が不均一で粗いのでプロジェクタの映像の光が表面で部分的に乱反射され、全体的に投影される映像の鮮明度が下がりかねない。
【0045】
反面、
図3で、図面番号120aはホットプレス200による表面平坦化の過程を経た後のスクリーン前面部120について150倍率で拡大した写真であり、図面番号120bは表面平坦化されたスクリーン前面部120について500倍率で拡大した写真だ。
【0046】
図3に示したスクリーン前面部120の拡大倍率写真120a及び120bで見るように、表面平坦化によって繊維が圧搾されて周辺に広がり、空いた空間を埋めて表面が均一になるプロジェクターによる光を一定に反射させることがあるので表面に投影された映像の鮮明度をさらに向上させることができる。
【0047】
前述のようなホットプレス200による表面平坦化の工程は一回以上進行されることができる。
【0048】
前述のようなホットプレス200による表面平坦化が進められたスクリーン前面部120は表面平坦化によって表面の摩擦力が減少し、ゴルフボールの衝突によってゴルフボールとの摩擦によってスクリーン前面部120の表面の繊維が光を乱反射させるなど、鮮明度が低下する現象を防ぐことができるということからも望ましい。
【0049】
これと同じスクリーン前面部120は、前述のように「ポリエステル原糸」及び「ポリエステル原糸に二酸化チタンが0.1~10重量%含有されたヤーン」を所定の割合で混用して製織したことで、スクリーンファブリックを製造して、その製造されたスクリーンファブリックをホットプレスで表面平坦化のするが、ここでスクリーンファブリックを「ポリエステル原糸」と、「ヤーン」を混用して製織したのは、二酸化チタンを含有するヤーンがゴルフボールとの衝突による衝撃によって二酸化チタンが剥がれるなど毀損になったことにより、スクリーン前面部に投影される映像の明るさが低下することがあるためにこれを防止するためのものだ。
【0050】
ところで、スクリーンファブリックの製織において、前述の「ポリエステルに二酸化チタンを含有したヤーン」の含有量比率が高くなっても、前述のホットプレスによる表面平坦化の工程が1回以上遂行されると、ゴルフボールが強く衝突してスクリーン前面部に衝撃が大きく加えられても、二酸化チタンが剥がれるなどの現象が防止される可能性があることを確認することができた。
【0051】
したがって、前述のホットプレスによる表面平坦化が一回以上進行される場合には、スクリーンファブリックが「ポリエステルに二酸化チタンを含有したヤーン」だけで製織されても二酸化チタンが剥がれるなどの現象を防止できるので、投影映像の明るさを向上させることができる本発明の効果を得ることができる。
【0052】
一方、前述のように「ポリエステル原糸」と、「ポリエステル原糸に二酸化チタン(TiO
2)を含有したヤーン」を所定の割合で混用して製織したスクリーンファブリックまたは「ポリエステル原糸に二酸化チタン(TiO
2)を含有したヤーン」だけで製織したスクリクファブリックについてホットプレスを利用した表面平坦化の過程を経て、スクリーン前面部120を生成した後、
図3(b)に示したようにスクリーン前面部120の背面に液体状態の弾性高分子化合物130を塗布し、所定の圧力で圧搾して凝固させることで、
図3(c)に示したようにスクリーン前面部120の背面に背面コーティング部140を形成させることができる。
【0053】
図3(b)に示したように、液体状態の弾性高分子化合物130をスクリーン前面部120の背面に0.1~3mmの厚さで、10~50m/hourの速度で塗布しながら、100~300℃、好ましくは150~200℃の温度下で、1~10kg/cm
2、好ましくは2~5kg/cm
2の圧力で圧搾した後、これを凝固させることで、背面コーティング部140を形成させることができる。
【0054】
前述の弾性高分子化合物では、様々な化合物が利用できるものであるのに、例えば、弾性が優れた合成ゴムが利用されことができ、ポリウレタン(polyurethane)などの化合物が利用できる。
【0055】
前述のように弾性高分子化合物による背面コーティング部140を形成することで、スクリーン前面部120の全面にプロジェクタの映像の光が投影されるとき、光がスクリーン前面部120を透過することを弾性高分子化合物による背面コーティング部140が遮断することができ、これによってスクリーンの光反射率を高めてプロジェクタの映像が投影される時に投影された映像の全体的な明るさを向上させることができる。
【0056】
図4では、本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーン100の光反射率の向上のメカニズムを示している。
【0057】
図4に示したように、本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーン100のスクリーン前面部120の全面にプロジェクターから出力される映像の光Lpが投影されるとき、スクリーンの光反射率が高いために映像の全体的な明るさが向上する。
【0058】
スクリーン前面部120の全面で光が直接的に反射されることを「1次的反射」とすると、本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーン100のスクリーン前面部120は投影される映像の光に対する1次的反射による反射量を高めることができ、また、スクリーン前面部120を透過する光を背面コーティング部140が遮断することにより、「2次的反射」による反射量を高めることができるために、全体的にスクリーンの光反射率を高めることができる特徴がある。
【0059】
図4でスクリーン前面部120の全面に投影される光をLpとして反射する光をLrとするとき、1次的反射(スクリーン全面部の全面で直接反射)による反射光をLr1に、2次的反射(スクリーン全面部を透過して背面コーティング部で反射されるもの)による反射光をLr2でそれぞれ示している。
【0060】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、前述の1次的反射の反射率を高めながらも、前述の2次的反射の反射率も高めることにより、全体的な反射率を高め、プロジェクターによって投影される映像の全体的な明るさを向上させて鮮明度を向上させることができる。
【0061】
本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンのスクリーン前面部120は、前述のように光の反射率を高める二酸化チタン(TiO2)を含有するヤーンを混用して製織したスクリーンファブリックまたは前述のヤーンだけで製織したスクリーンファブリックを利用して製造することで、1次的反射の反射率を高めることができ、前述のスクリーンファブリックをホットプレスを利用して表面平坦化の工程を経ることにより投影される映像の鮮明度をさらに向上させることができる。
【0062】
そして、スクリーン全面部の背面に弾性高分子化合物をコーティングして背面コーティング部を形成することで、スクリーン全面部の全面に投影される映像の光がスクリーン全面部を透過することを背面コーティング部が遮断して2次的反射の反射率を高めることができる。
【0063】
また、スクリーン全面部の背面にコーティングされて形成された背面コーティング部の弾性によってスクリーン前面部にボールが衝突することによる緩衝性能も向上させることができる。
【0064】
一方、図面には現れなかったが、本発明の一実施例によるスクリーンゴルフ用スクリーンのスクリーン全面部の背面に金属またはセラミックを含む材質の反射薄膜層を形成させた後に前述の背面コーティング部を形成させることもできる。
【0065】
このようにスクリーン全面部の背面に金属またはセラミックを含む材質の反射薄膜層を形成させてその上に弾性高分子化合物を利用した背面コーティング部を形成させることで、スクリーン全面部の前面に照らす光が透過される時反射薄膜層での反射率を増加させて背面コーティング部でも反射されるため、2次的反射による反射率をもっと向上させることができる。
【0066】
以上説明したように、本発明によるスクリーンゴルフ用スクリーンは、スクリーン全面部の全面における反射率を高め、映像の鮮明度を高めるだけでなく、光がスクリーン全面部を透過するのを遮断して2次的反射による反射率を高め、スクリーンに投影される映像の全体的な明るさを向上させながらも、背面コーティング部の弾性によってゴルフボールの衝突による緩衝性能も向上させることができる長所がある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によるスクリーンゴルフ用スクリーン及びその製造方法は、ゴルフ練習に関する産業分野及び仮想のゴルフシミュレーションを基盤にゴルフプレイを可能にするいわゆるスクリーンゴルフ産業分野などに利用可能である。