(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】低消費電力で通信衝突を低減する無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231201BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20231201BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20231201BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G06K7/10 108
G06K19/07 230
H04B1/59
H04B5/02
(21)【出願番号】P 2021178161
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514031983
【氏名又は名称】凌通科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Generalplus Technology Inc.
【住所又は居所原語表記】No.19,Industry E.Rd.IV,Hsinchu Science Park,Hsinchu City 30077,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李仙耀
(72)【発明者】
【氏名】羅立聲
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-232488(JP,A)
【文献】特開平05-314029(JP,A)
【文献】特開平10-261983(JP,A)
【文献】特開2000-174658(JP,A)
【文献】特開2010-087737(JP,A)
【文献】特開2011-039730(JP,A)
【文献】特開2011-059877(JP,A)
【文献】特表2002-513490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0041695(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0220844(US,A1)
【文献】中国特許第101517599(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06K 7/00 - 7/14
G06K 19/00 - 19/18
H04B 1/59
H04B 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRFIDタグを識別するために用いられる無線周波数識別通信方法であって、
各RFIDタグは、前記複数のRFIDタグの異なる識別コードに基づいて異なる固定の起動遅延時間が設定されており、
予め設定された期間ごとにRFIDリーダーが起動してRFIDタグが存在するかどうか検知するステップであって、前記複数のRFIDタグの特定のRFIDタグが前記RFIDリーダーから無線周波エネルギーを受信した場合、前記特定のRFIDタグが前記特定のRFIDタグの固定の起動遅延時間の後に前記RFIDリーダーにデータを送信するために起動するステップと、
前記RFIDリーダーが、RFIDタグが存在することを検知した場合、衝突が発生したか否か判断するステップと、
前記RFIDリーダーが、衝突が発生したと判断した場合、待機モードに進んで無線周波エネルギーの供給を停止した後、前記RFIDリーダー
が無線周波エネルギーを供給する磁場上にあるRFIDタグがパワーオンリセットするように、通常モードに復帰するステップと、を含むことを特徴とする無線周波数識別通信方法。
【請求項2】
N個の異なるRFIDタグの第KのRFIDタグの固定の起動遅延時間は、前記RFIDリーダーの無線周波エネルギーの出力期間をN個の時間帯に分割した場合の第Kの時間帯(N及びKは自然数であり、KはN以下0超である)に対応していることを特徴とする請求項1に記載の無線周波数識別通信方法。
【請求項3】
前記RFIDタグは抵抗器及びコンデンサをさらに備え、前記抵抗器及び前記コンデンサの充放電により対応する起動遅延時間が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の無線周波数識別通信方法。
【請求項4】
前記RFIDタグはリアルタイムクロック生成回路をさらに備え、リアルタイムクロック生成回路が設定されることで異なる起動遅延時間が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の無線周波数識別通信方法。
【請求項5】
RFIDタグが、予定の起動遅延時間後の予定伝送時間内に通信を行う以外、残りの時間はスリープモードに入ってエネルギーの消耗を抑えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の無線周波数識別通信方法。
【請求項6】
異なる固定の起動遅延時間が設定されている複数のRFIDタグと、
各予定時間に起動され、且つRFIDタグが存在するかどうか検知するためのRFIDリーダーと、を備え、前記複数のRFIDタグの特定のRFIDタグが前記RFIDリーダーから無線周波エネルギーを受信した場合、前記特定のRFIDタグは、前記特定のRFIDタグの固定の起動遅延時間の後に前記RFIDリーダーにデータを送信するために起動し、
前記RFIDリーダーが、RFIDタグが存在していることを検知した場合、衝突が発生したか否か判断し、
前記RFIDリーダーが、衝突が発生したと判断した場合、待機モードに進んで無線周波エネルギーの供給を停止した後、前記RFIDリーダー
が無線周波エネルギーを供給する磁場上にある各RFIDタグがパワーオンリセットするように、通常モードに復帰することを特徴とする無線周波数識別通信システム。
【請求項7】
N個の異なるRFIDタグの第KのRFIDタグの固定の起動遅延時間は、前記RFIDリーダーの無線周波エネルギーの出力期間をN個の時間帯に分割した場合の第Kの時間帯(N及びKは自然数であり、KはN以下0超である)に対応していることを特徴とする請求項6に記載の無線周波数識別通信システム。
【請求項8】
前記RFIDタグは抵抗器及びコンデンサをさらに備え、前記抵抗器及び前記コンデンサの充放電により対応する起動遅延時間が設定されていることを特徴とする請求項7に記載の無線周波数識別通信システム。
【請求項9】
前記RFIDタグはリアルタイムクロック生成回路をさらに備え、リアルタイムクロック生成回路が設定されることで異なる起動遅延時間が設定されていることを特徴とする請求項7に記載の無線周波数識別通信システム。
【請求項10】
RFIDタグは予定の起動遅延時間後の予定伝送時間内に通信を行う以外、残りの時間はスリープモードに入ってエネルギーの消耗を抑えることを特徴とする請求項6に記載の無線周波数識別通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別の分野に関し、より詳しくは、低消費電力で通信衝突を低減する無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システム(A radio frequency identification communication method for collision reduction with low power consumption and a radio frequency identification communication system using the same)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(Radio Frequency IDentification、RFID)は無線通信技術であり、識別システムと特定の目標との間に機械的または光学的接触を構築せずとも無線電気信号により特定の目標を識別すると共に、関連データを読み書きする。多くの業界で無線周波数識別技術が運用されている。例えば、製造中の車両にタグを付設し、メーカーがその車両の製造ライン上での進捗度を追跡しやすくする、倉庫で薬品の位置を追跡可能にする、無線周波数識別のIDカードにより従業員が建物のロックされた区域に進入することを許可する、車両の周波数トランスポンダにより有料道路及び駐車場の費用を徴収する等である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の応用は全て非バッテリー式電源を採用したRFIDリーダーのものである。一般的な周波数識別読み取り装置は、RFIDタグが多すぎると通信の衝突が発生した。また、無線周波数識別の衝突防止メカニズムは一般的にランダムな遅延時間を提供し、RFIDタグが別々に起動するようにすることで通信の衝突を回避している。無線RFIDタグが少量である場合、無線RFIDタグのデータ及び数量をすぐに知ることができるが、無線RFIDタグが多い場合、通信が衝突しているデータを長時間処理せねばならず、余計にパワーを消耗し、これがバッテリーを使用するRFIDリーダーにとって非常に大きな負担となっていた。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0005】
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、低消費電力で衝突を低減する無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システムを提供することを目的とする。つまり、通信の衝突発生率を低下させ、且つパワーの消耗を減少させ、さらには読み取るタグの数量を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線周波数識別通信方法は、複数のRFIDタグを識別するために用いられ、この無線周波数識別通信方法は、識別コードが異なる各RFIDタグに基づいて異なる起動遅延時間を設定するステップと、各予定時間にRFIDリーダーを起動すると共に、RFIDタグが存在するかどうか検知するステップと、RFIDタグが存在することを検知した場合、通信の衝突が発生したか否か判断するステップと、通信の衝突が発生したと判断した場合、待機モードに進み、無線周波エネルギーの供給を停止した後、通常モードを回復して起動し、リーダーにある各RFIDタグを、RFIDリーダーを再起動した際にパワーオンリセットするステップと、を含む。
【0007】
また、本発明の別の態様は、無線周波数識別通信システムである。この無線周波数識別通信システムは、複数のRFIDタグ及びRFIDリーダーを含む。各RFIDタグには異なる起動遅延時間が設定されている。各予定時間にRFIDリーダーが起動され、且つRFIDタグが存在するかどうか検知する。RFIDリーダーがRFIDタグが存在することを検知し、且つ通信の衝突が発生した場合、待機モードに進んで無線周波エネルギーの供給を停止した後、通常モードを回復して起動し、RFIDリーダーにある各RFIDタグを、RFIDリーダーが再起動した際にパワーオンリセットする。
【0008】
本発明の好ましい実施形態に係る衝突を低減した無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システムにおいては、上述の識別コードが異なる各RFIDタグに基づいて異なる起動遅延時間を設定するステップは、RFIDリーダーのエネルギー出力期間をN個の時間帯に分割するステップと、N個の異なるRFIDタグの起動遅延時間をそれぞれ設定し、第KのRFIDタグの遅延時間が第Kの時間帯に対応するステップ(N及びKは自然数であり、KはN以下0超である)と、を含む。
【0009】
本発明の好ましい実施形態に係る衝突を低減した無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システムにおいては、上述のRFIDタグは抵抗器及びコンデンサをさらに備え、前記抵抗器及び前記コンデンサの充放電により対応する起動遅延時間を設定する。好ましい他の実施形態において、上述のRFIDタグはリアルタイムクロック生成回路をさらに備え、リアルタイムクロック生成回路を設定することで異なる起動遅延時間を設定する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態に係る衝突を低減した無線周波数識別通信方法及びそれを使用する無線周波数識別通信システムにおいては、上述の無線周波数識別通信方法は、RFIDタグが命令を受信した際に、予定の起動遅延時間後の予定伝送時間内に通信を行う以外、残りの時間はスリープモードに入ってエネルギーの消耗を抑えるステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の精神は、各タグに個別の起動遅延時間を予め設定し、且つ通信が衝突した場合、各タグへの電源の供給を停止し、リーダーが次回電源を供給する際に、各タグが自身の異なる遅延時間帯(time slot)に基づいて遅延起動を行う。こうして、本発明は複数のタグが設置されている場合でも、設置されているタグの識別コードを短時間で読み取り、衝突発生率を低下させ、パワーの消耗を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すシステムブロック図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すタイミング図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムが通信の衝突が発生したときのタイミング図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
【
図5A】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
【
図5B】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示す動作概略図である。
【
図6】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
【
図7】本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0014】
図1は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すシステムブロック図である。
図1を参照すれば、この無線周波数識別通信システムはRFIDリーダー(RFID Reader)100及び複数のRFIDタグ101を備えている。本実施例では、RFIDリーダー100は、例えば、おもちゃのようなバッテリーを使用した装置である。
【0015】
図2は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すタイミング図である。
図2に示すように、本実施例では、仮にシステム内にRFIDタグ101が7個あった場合(TAG1、TAG2、・・・TAG7)、RFIDリーダー100はスリープモードから作業モードに移ると、コイルにより周波数エネルギー(RF Power)を供給し、設置されたタグが周波数エネルギー(RF Power)を受信した際にすぐには起動せず、周波数タグが対応している遅延時間に基づいて起動する。例えば、タグTAG1は周波数エネルギーが供給された後に第一時間T1に起動し、タグTAG2は周波数エネルギーが供給された後に第二時間T2に起動し、タグTAG3は周波数エネルギーが供給された後に第三時間T3に起動し、以降のタグも同様に起動してゆく。
【0016】
換言すれば、本実施形態では、RFIDリーダー100のエネルギー出力期間を7個の時間帯に分割し、且つ各RFIDタグの起動遅延時間をそれぞれ設定し、RFIDタグが上述のエネルギー出力期間(周波数エネルギーの供給期間)内で異なる時間に別々にリーダーと通信する。
【0017】
上述の実施形態から分かるように、各タグTAG1~TAG7は全て対応する起動遅延時間を有している。これにより、タグが同じ時間に設置された場合でも、その起動時間が重ならず、よって通信の衝突が発生しない。しかしながら、本発明では、異なる時間に設置されても通信の衝突が発生する可能性がある。以下、1つの実施形態を例に通信の衝突が発生した場合に本発明がどのように解決するかについて説明する。
【0018】
図3は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムが通信の衝突が発生したときのタイミング図である。
図3に示すように、仮に最初に第二タグTAG2を設置し、第二タグTAG2が起動する時間範囲内に第一タグTAG1を設置した場合、第一タグTAG1が起動する時間が第二タグTAG2が起動する時間と重なってしまい、通信の衝突が発生する。この際、RFIDリーダー100が待機モードに進むと共に周波数エネルギー(RF Power)を停止する。リーダー100が次回起動して新たに周波数エネルギー(RF Power)を供給する際に、第一タグTAG1及び第二タグTAG2が同時にパワーオンリセットされる(Power On Reset、POR)。第一タグTAG1及び第二タグTAG2の起動遅延時間が最初に重ならないように設定されるため、パワーオンリセットを行った後には第一タグTAG1が先に起動(Active)し、その後に第二タグTAG2が起動する。よって、本発明は通信の衝突が発生しても、次回の起動後には通信の衝突が再度発生しなくなる。タグTAG1、TAG2は起動時間以外の他の時間はスリープモードに入る。タグTAG1、TAG2は指定の時間帯にのみウェイクアップし、よって、本発明は電力の消耗を大幅に抑制している。
【0019】
上述の実施形態において、各タグは予定を設定する方式により、1つの時間帯内に固定時間に分かれて起動(Active)する。この方式は電力を節約できるほか、RFIDリーダー100が同時に読み取り可能なタグの数量が大幅に増加する。また、本発明の実施形態に係る各RFIDタグは予定の起動遅延時間の後の予定伝送時間内に通信を行い、残りの時間はスリープモードに入ってエネルギーの消耗を抑えている。
【0020】
先行技術では、仮に1つのRFIDタグが0.4mAの電力を消費する場合、RFIDリーダー100に7個のRFIDタグを同時に設置すると2.8mAの電力を消費する。すなわち、RFIDリーダー100が十分な周波数エネルギー(RF Power)を供給することで、磁場上にある全てのRFIDタグが十分な電圧を取得し、正常に動作する。
【0021】
しかしながら、本発明の実施形態に係る上述のタグの電源制御メカニズムを組み合わせれば、RFIDタグが指定した時間にウェイクアップすると、データの伝送を完了した後にスリープモード(Sleep Mode)に入る。RFIDリーダー100が再度給電すると、RFIDタグICがパワーオンリセットした後、再度同期する。上述の動作を繰り返すことで非常に多くのパワーの消耗を抑えることができる。また、RFIDリーダー100は理想的には、同じ時間に0.4mAのエネルギーを供給するのみで、全てのRFIDタグの識別コードを読み取り可能である。
【0022】
本願出願人は本発明の技術を使用していない複数のRFIDタグをRFIDリーダーに設置して読み取る実験を行った。結果、RFIDタグの数量が約5個の場合、RFIDリーダーは読み取り不可能であった。本発明の実施形態に係るRFIDタグをRFIDリーダーに設置して読み取りを行った場合、同時に10個や15個のRFIDタグを設置しても、RFIDリーダーは全てのRFIDタグの識別コードをスムーズに読み取ることができた。
【0023】
図4は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
図4に示すように、本実施例では、RFIDタグ101はタグ集積回路401と、抵抗器R1と、コンデンサC1と、を備えている。抵抗器R1及びコンデンサC1はコモン電圧VSSとタグ集積回路401の入出力ポートIOとの間に並列して接続されている。本実施例では、抵抗器R1及びコンデンサC1の充放電により、対応する起動遅延時間が設定される。利点は各タグの時間順序を制御可能であり、欠点はコストが高いことである。
【0024】
図5Aは本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
図5Aに示すように、本実施例では、キースキャンウェイクアップ(Key Scan Wake Up)機能を有している集積回路を利用している。その主な目的は、スリープモード時にキーマトリクスウェイクアップをサポートすることである。キースキャンの入出力ポートI/Oは1つのキースキャンパルス(Key scan pulse)信号を提供し、このキースキャンの入出力ポートI/Oをウェイクアップ入出力ポートI/Oに接続し、キースキャンパルスの時間に基づいて、且つ計数機により計数することでタグをウェイクアップするかどうか決定している。
【0025】
図5Bは本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示す動作概略図である。
図5Bに示すように、一例を挙げると、仮にRFIDタグが1つのデータを伝送するのに17ms(34*0.5us)必要である場合、キースキャンパルスの間隔は7.7msであり、よって、RFIDタグTag2がデータを伝送する場合、第3のパルスが発生するのを待って(7.7ms*3=23.1ms>17ms)データを伝送し、以降も同様に処理し、Tag7は第18のパルスが発生した際にデータを伝送する。
【0026】
図6は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信システムを示すRFIDタグの回路図である。
図6に示すように、本実施例では、リアルタイムクロック生成回路RTCの機能を有しているRFIDタグを採用し、リアルタイムクロックRTCを利用して待機モード(Standby Mode)に進んだ後に計時を開始し、且つ予め設定した時間まで計数した後、タグが起動すると共にデータを伝送する。
【0027】
図7は本発明の好ましい実施形態に係る無線周波数識別通信方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、この無線周波数識別方法は下記ステップを含む。
<ステップS701>:識別コードが異なる各RFIDタグに基づいて異なる起動遅延時間を設定する。例えば、上述の実施形態に係る7個のRFIDタグは7個の異なる起動遅延時間をそれぞれ有している。すなわち、7個のRFIDタグが7個の時間帯にそれぞれ配置されている。
<ステップS702>:無線周波数タグが存在するかどうか検知し、且つタグの数字が1であるか否か判断する。タグが存在し、タグの数字が1であると判断した場合、ステップS706に進む。無線周波数タグが存在し、無線周波数タグの数量が1ではないと判断した場合、ステップS703に進む。
<ステップS703>:無線周波数タグの数量が1ではない場合、衝突が発生したことを示し、この場合は待機モードに進む。RFIDリーダー100が待機モードに進み、RFIDタグへの周波数エネルギー(RF Power)を供給を停止する。
<ステップS705>:ウェイクアップする。RFIDリーダー100がウェイクアップし、且つ周波数エネルギー(RF Power)の供給を開始する。この際、RFIDリーダー100に設置されているタグがパワーオンリセット(Power On Reset、POR)を開始し、且つそのRFIDタグの識別コードに基づいて対応する時間に起動(Active)する。
<ステップS706>:タグデータを受信する。
<ステップS707>:スリープモードに入る。
<ステップS708>:ステップS702に戻る。
【0028】
以上を総合すると、本発明の精神は、各RFIDタグに個別の起動遅延時間を予め設定し、且つ通信の衝突が発生した場合、各RFIDタグへの電源の供給を停止し、リーダーが次回電源を供給する際にRFIDタグを再起動する。各RFIDタグは自身の異なる遅延時間帯(time slot)に基づいて遅延起動を行う。よって、本発明は複数のRFIDタグを設置している場合でも、設置されているRFIDタグの識別コードを短時間で読み取り、通信の衝突発生率を低下させ、パワーの消耗を抑えている。
【0029】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
100 RFIDリーダー
101 RFIDタグ
TAG1 RFIDタグ
TAG2 RFIDタグ
TAG3 RFIDタグ
TAG4 RFIDタグ
TAG5 RFIDタグ
TAG6 RFIDタグ
TAG7 RFIDタグ
401 タグ集積回路
R1 抵抗器
C1 コンデンサ
RTC リアルタイムクロック生成回路
S701 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S702 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S703 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S704 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S705 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S706 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S707 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート
S708 本発明の一好ましい実施形態による無線周波数識別方法のフローチャート