(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】組織チャンバ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/36 20060101AFI20231201BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G01N1/36
G01N1/28 J
(21)【出願番号】P 2021516537
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 US2019033535
(87)【国際公開番号】W WO2019226776
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520460683
【氏名又は名称】アプリケイト テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レヴィーン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, リチャード
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524913(JP,A)
【文献】特開2002-323416(JP,A)
【文献】特表2002-537573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0239195(US,A1)
【文献】特表2017-522573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織サンプルを保持するための容器であって、前記容器は、複数の特徴を備える表面を備え、前記複数の特徴は、組織サンプルに接触し、前記組織サンプルと前記表面との間の流体流を可能にするように構成され
、前記複数の特徴は、前記組織サンプルを前記表面から離間することによって、前記組織サンプルと前記表面との間の接触を低減するように構成された3次元構造を備え、前記複数の特徴は、有機溶媒の存在下で溶解する材料を備える、容器。
【請求項2】
前記複数の特徴は、前記組織サンプルの処理において使用されるべき流体の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記組織サンプルの処理において使用されるべき前記流体の屈折率は、分析されるべき前記組織サンプルの構造の屈折率にほぼ等しい、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記複数の特徴は、約1.5~約1.7の屈折率を有する材料を備える、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記複数の特徴は、約1.53~約1.60の屈折率を有する材料を備える、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記有機溶媒は、清澄液である、請求項
1に記載の容器。
【請求項7】
前記清澄液は、ベンジルアルコールおよび安息香酸ベンジル(BABB)である、請求項
6に記載の容器。
【請求項8】
前記表面に対向する前記組織サンプルの側上で前記組織サンプルに接触するように構成される多孔性圧縮性材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記多孔性圧縮性材料は、分析されるべき前記組織サンプルの屈折率にほぼ等しい屈折率を有する、請求項
8に記載の容器。
【請求項10】
前記表面の少なくとも一部は、前記組織サンプルの処理において使用されるべき流体の屈折率にほぼ等しい屈折率を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記組織サンプルの処理において使用されるべき前記流体の屈折率は、分析されるべき前記組織サンプルの構造の前記屈折率にほぼ等しい、請求項
10に記載の容器。
【請求項12】
前記表面の少なくとも一部は、約1.5~約1.7の屈折率を備える、請求項
10に記載の容器。
【請求項13】
酸に耐性がある材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項14】
有機溶媒に耐性がある材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項15】
アルコールに耐性がある材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項16】
最大摂氏約75度の温度に耐性がある材料を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項17】
前記表面は、
第1の領域を備え、前記第1の領域は、脆性である、請求項1に記載の容器。
【請求項18】
前記
第1の領域は、外周を画定する、請求項
17に記載の容器。
【請求項19】
前記
第1の領域は、前記外周の内側の
第3の領域に対して薄化された材料の
第2の領域を備える、請求項
18に記載の容器。
【請求項20】
前記複数の特徴と同一の側上の前記表面から延在する1つまたは複数のワックス留保部材をさらに備える、請求項1に記載の容器。
【請求項21】
前記複数の特徴に対向する前記表面の側から延在する1つまたは複数の位置決め部材をさらに備える、請求項1に記載の容器。
【請求項22】
前記表面は、前記組織サンプルを受け取るための空洞を少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載の容器。
【請求項23】
前記組織サンプルを受け取るための前記空洞および前記空洞の外側の空間と流体連通する1つまたは複数の流体ポートを備える、請求項
22に記載の容器。
【請求項24】
前記組織サンプルを受け取るための前記空洞は、
第1の領域を備え、前記第1の領域は、脆性である、請求項
22に記載の容器。
【請求項25】
前記
第1の領域は、表面が前記空洞をさらに画定する1つまたは複数の壁と交差する
表面の外周に位置する、請求項
24に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年5月22日に出願された仮出願第62/674,911号に対する優先権およびその利益を主張する2018年10月18日に出願された米国非仮出願第16/164,343号に対する優先権およびその利益を主張し、その各々の内容が、参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、単一のチャンバ内での撮像、着色、固定、ワックス包埋、およびワックス除去を含む組織サンプルの簡略化された位置付け、化学処理および/または撮像のための組織学的システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
組織学および病理組織学は、癌等の疾患を診断および監視するために、顕微鏡下の細胞および組織の研究を伴う。組織学的分析に関与する基本的技法のうちの多くは、100年以上の歴史があり、組織学的分析は、主として、訓練された医療専門家によって実施される。
【0004】
デジタル組織学的画像を作成すること等の標準的組織学的方法に関して、現在のステップは、流体アクセスを可能にする穿孔された壁を伴うプラスチックカセットの内側に組織サンプルを設置することと、組織の化学的固定を提供するために、経時的に組成が変化する流体環境にカセットを暴露することとを含む。組織は、最終的に脱水され、ワックスを融解させることによってカセットからワックス包埋試料を除去する前にワックスを用いて浸透される。処理ステップ毎に、組織サンプルは、概して、プラスチックカセットの床部および/または壁上に静置しており、攪拌を伴わないと、サンプルのそれらの部分に流体アクセス不良を提供する。
【0005】
ワックス浸透および除去後、試料は、融解ワックス中に再位置付けされ、再び冷却され、臨床解釈のために最適化される選択的平面において試料のスライスを切片化することを可能にする配向において試料を固定することを可能にされる。スライスは、次いで、スライド上に設置され、着色され、次いで、病理学者によって直接視認されるかまたはデジタル化のためにイメージャに提示されるかのいずれかである。
【0006】
上記のアプローチは、処理中の組織の操作を要求し、労働費用および多大な処理時間がかかる。さらに、小さい皮膚生検と配向が決定的に関連する消化管からの生検とを含む小さい試料は、カセットが、流体中に沈められ、攪拌または流動に暴露される間、自由に回転および屈曲し得る。それらの試料は、したがって、組織学的分析のために多大な操作および処理時間を要求し得る。
【0007】
加えて、上記に説明される一連の処理ステップは、病理学者が試料の実質的な分析を開始し得る前に完了されなければならず、それによって、労働費用がかかり、診断を遅延させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本発明は、サンプル処理(例えば、脱水、固定、着色、およびワックス包埋)のための単一チャンバ解決策を提供し、それによって、組織学的分析のために要求される費用、労力、および時間を削減する。さらに、本発明は、組織処理中の中間撮像ステップの効率的組み込みを可能にし、それによって、利益(例えば、診断情報へのより早いアクセス、ならびに、そのような活動の必要性が初期撮像結果に基づいて除外されることができる、手動切断、着色、およびスライド分配の費用がかかるステップを回避する潜在性)を提供する。
【0009】
本明細書に提供される単一チャンバ解決策は、ユーザが、最初に、撮像および/または切片化のための所望の位置においてチャンバ内にサンプルを配向し、次いで、再びサンプルに触れるまたは他の態様でサンプルを操作する必要性なく、固定および/または脱水、初期染色、撮像、ならびに最終ワックス包埋を含む全てのサンプル処理を実施することを可能にする。故に、本発明の組織チャンバは、本明細書に説明される種々の処理デバイスを使用して、自動的サンプル処理を可能にする。サンプルの全ての側への流体アクセス、交換、および/または流動を可能にするための容器表面上の特徴等の容器側面は、サンプルが、サンプルの攪拌または操作の必要性を伴うことなく正常に処理(例えば、脱水、固定、着色、清澄、およびワックス包埋)されることを可能にする。「自己シール」シリンジ注入ポート等のシール可能ポートは、撮像に影響を及ぼし得る潜在的気泡形成および閉じ込めを防止しながら、流体暴露、運動、および交換を可能にする。屈折率整合または溶媒感受性特徴は、有意な歪みを伴うことなく特徴を通した初期サンプル撮像を可能にする。加えて、搭載および/または位置付けのための実質的に非蛍光性および非反射性を有するスポンジの包含は、位置が維持されることを確実にすることに役立ち、組織圧縮のアーチファクトを防止し、試料の周囲の流体流を可能にし、改良された「湿潤」のための表面を提供する。適正に屈折率整合され、光学的に透過性であるとき、これはまた、第二次高調波発生として公知の多光子モダリティの使用のために特に価値がある、1つを上回る表面を通した撮像を可能にすることができる。
【0010】
米国第8796038号および米国第20080227144号(参照により本明細書に援用される)に説明される技法等の代替物が、ワックス包埋ステップにおける再位置付けが必要ではないように、組織処理中に小さい試料の位置を固定するために探求されている。しかしながら、それらの従来の方法のいずれも、清澄ステップの後の撮像を可能にせず、典型的には、胃腸または皮膚生検試料を含む全てのタイプの生検を配向するために機能せず、依然として、視覚的解釈またはデジタル走査に先立って、手動切断および着色による最終除去を必要とする。
【0011】
本発明は、試料が、化学処理(例えば、固定または脱水溶液への暴露)の前に組織学的分析のために容器内に設置され、脱水、着色、清澄、および撮像の全てのステップのために使用されることができる単一容器デバイス内で配向された位置において化学処理を受けることを可能にすることによって、既存の技法に優る有意な利点を提供する。さらに、本発明の組織チャンバは、次いで、ワックス包埋と、本発明の組織チャンバと協働するように構成されるワックス除去デバイスを使用するワックス包埋サンプルの自動化除去または機械支援除去とのために使用されることができる。
【0012】
本明細書に説明されるような単一チャンバ処理は、試薬使用を最小限にする付加的利点を提供することができる。上記のように、組織チャンバは、チャンバの床部および/または壁とサンプルとの間の接触面積を最小限にするように動作可能な特徴を含むことができ、それによって、固定剤、着色剤、脱水溶液、ワックス、および/または他の処理流体のためのサンプルの全ての面積への良好な流体アクセスを可能にする。チャンバの壁ならびに特徴は、光学的に清澄であることがある、および/または、清澄液ならびに/あるいは検査されるべきサンプルの構造(例えば、細胞小器官またはタンパク質)に屈折率整合されることができる。ある実施形態では、特徴は、特徴が、容器壁からサンプルを離間し、処理のためにサンプルの全ての部分に良好な流体接触を提供するが、チャンバ内でのサンプルの任意の初期撮像の前に溶解しており、したがって、撮像プロセスを妨害しないように、サンプル処理において使用されるある溶液(例えば、清澄液)の存在下で溶解する材料を備え得る。組織チャンバ自体の壁(またはその中の撮像窓部分)は、好ましい実施形態では、実質的に光学的に清澄である、および/または、清澄液ならびに/あるいは検査されるべきサンプルの構造に屈折率整合される。
【0013】
撮像のための固定位置におけるチャンバ内のサンプルの処理は、処理において使用されるチャンバおよび試薬の体積に対する厳密な制御を可能にする。従来技法のように組織の体積の数百倍であり得る流体環境に開放する組織を含有するカセットを設置する代わりに、本明細書に説明されるような単一のサンプル処理容器は、最小の死容積を有し、試薬への支出を削減することができる。試薬節約は、他の態様では特に蛍光マーカに関して法外であり得る染料費用を制御するために特に重要である。したがって、サンプル調整試薬容器は、未包埋試料の染色、特に、染料の費用が最も大きい費用構成要素であり得る蛍光染色を組み込む処理のために特に適している。
【0014】
本明細書に説明される単一チャンバ技法はまた、既存の方法に優って処理時間を低減させる。現在の方法では、組織プロセッサに装填する前に、十分なサンプルが受け取られて「総計」(カセットの中に設置)されるまで待機することが、より経済的である。単一チャンバアプローチは、例えば、チャンバの流体入口/出口と界面接触することを通して本開示の組織チャンバを受け取るように動作可能な特殊化された組織プロセッサと組み合わせられることができる。チャンバが試料を用いて装填されると、試料は、直ちにプラグ接続および処理され、試料が多重処理におけるように付加的サンプルを待機してアイドル状態にならなければならない時間を低減させることができる。同じことは、スライド対照、スライド着色、およびデジタル化のためのスライドの編成ならびに走査を含む、包埋に続くステップにも適用される。
【0015】
上記のように、本明細書に説明される単一チャンバシステムは、個々のサンプル幾何学形状により厳密に対応するように幾何学形状を変動させ、チャンバ死容積および試薬消費を低減させることを可能にする。チャンバは、サンプルが、試料を収納する最小サイズ容器に整合されるように設計されることができる。例えば、長いコア生検が、長く薄いチャネル内に設置されることができる。ある実施形態では、チャンバは、約2.5mm×75mm×10mmの寸法を伴う厚い一般的顕微鏡スライドのものとほぼ同じ幾何学形状を有する。
【0016】
容器は、サンプルおよび患者識別を提供し、組織プロセッサが使用されている組織チャンバの幾何学形状を自動的に認識し、それに応じて、入力体積を調節することを可能にし、それによって、無駄な試薬をさらに最小限にするために、(例えば、機械可読シンボル(例えば、マトリクスバーコード(QR)またはUPCコード)、あるいは、認識可能な形状、色、または反射パターンの任意のシンボルを用いて)コード化されることができる。種々の実施形態では、容器自体は、幾何学形状を示すために色分けされてもよい。同様に、顕微鏡走査および撮像時間もまた、サンプル特有サイズのチャンバを用いて低減されることができる。顕微鏡スライド走査装置は、スライド走査時間を最小限にするための種々のアプローチを使用するが、それらは、依然として、非効率的であり、様々な範囲で手動依存性である。現在のシステムは、典型的には、低出力画像を撮影し、組織の位置およびサイズを推定するための画像処理アルゴリズムを使用するが、それらは、制御困難なアーチファクト(例えば、搭載変動性、埃、および汚れ)によって悪影響を受ける。その結果、組織が見逃されず、大きい空の空間が撮像されないことを確実にするために、手動監督が、要求される。走査面積のオペレータ調節は、繰り返しの走査および高平均スライド走査時間をもたらし得るスライド走査の時間がかかる構成要素である。
【0017】
本明細書に説明されるようなコード化されたサンプルサイズ特有チャンバは、画像走査に関する効率を最大限にしながら、手動介入を回避することに役立つことができる。組織は、これが嵌合する最も小さいチャンバ内に設置され、イメージャは、走査する領域のサイズを判定するためにチャンバコーディングを読み取ることが可能であるため、可能性として考えられる組織場所領域全体が、撮像される。エラーの機会は、低減されることができ、オペレータ介入は、要求されないはずであり、低減された労働費用およびエラーを伴う効率的な撮像を提供する。
【0018】
組織チャンバは、サンプルと、サンプルの処理が行われる種々の処理流体とを含有するように定寸されたトラフ面積または空洞切り欠きを含んでもよい。トラフは、トラフに処理流体を提供するように動作可能な1つまたは複数の流体入口または出口と流体連通してもよい。組織チャンバは、種々の処理装置内でのチャンバの容易な操作および/または配向を可能にするために、トラフを囲繞する付加的材料を備えてもよい。組織チャンバは、種々の処理装置内の対応する陥凹内に嵌合し、それによって、流体入口/出口、撮像対物レンズ、ワックス除去ツール、または他のアイテムに対して組織チャンバを位置決めするように構成される1つまたは複数の位置決め部材(例えば、支柱)を含むことができる。種々の実施形態では、位置決め部材は、処理装置上にあってもよく、組織チャンバは、部材を受け取るための対応する陥凹を備えてもよい。
【0019】
組織チャンバは、トラフの床部または壁内に易壊性面積を備え、それへの十分な力の印加に応じて、組織チャンバの残部からの床部または壁の制御された分離を提供してもよい。そのような易壊性面積は、より薄いまたはより弱い材料の領域を備えてもよく、組織チャンバからの配向されたワックス包埋サンプルの効率的な機械分離を可能にすることができる。
【0020】
組織チャンバは、処理中にトラフ内のワックス包埋サンプルを安定化させるように構成されるワックス留保部材(例えば、返し)をトラフ内に含むことができる。
【0021】
本発明の側面は、組織サンプルを保持するための容器を含み、容器は、組織サンプルを受け取るための空洞またはトラフと、空洞に隣接する内面および外面を有する壁とを備える。いくつかの実施形態では、チャンバは、撮像側上に装填され、光学的に透明な撮像カバーまたはシートが、チャンバを液体および空気に対して実質的にシールされた状態にしながら、組織がいかなる方向にも容易に移動可能ではないような様式で組織装填後に添着されてもよい。別の実施形態では、組織は、撮像面に対向して撮像面の下側に隣接する表面上の空洞の中に装填されることができる。カバーが、組織をチャンバ内で実質的に移動できない状態にし、液体または空気に対してチャンバを実質的にシールするために、組織が装填された後に空洞にわたって設置されることができる。壁は、光学窓を含み得、窓は、内面上に複数の特徴を備え、複数の特徴は、組織サンプルに接触し、組織サンプルと窓との間の流体流を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、光学窓に対向する表面は、(例えば、また、光学的に透明であり、または具体的波長に透過性であり、撮像窓として使用されてもよい)。透過波長は、第二次高調波(第二次高調波発生)によって発生されるように、励起レーザ波長の精密に半分の波長(周波数の2倍)に対応するものであり得る。
【0022】
光学窓は、組織サンプルが撮像に先立って浸漬される流体(例えば、清澄液)の屈折率にほぼ等しい屈折率を含むことができる。清澄液の屈折率、または、組織サンプルの処理において使用されるべき他の流体の屈折率は、分析されるべき組織サンプルの構造の屈折率にほぼ等しくてもよい。光学窓は、約1.5~約1.7の屈折率を備えることができる。
【0023】
チャンバのサイズは、顕微鏡分析のための組織サンプルを収容する任意のサイズであってもよい。種々の実施形態では、チャンバの外部平面寸法は、ほぼ顕微鏡スライドのもの(概して、約2.5mm×75mmまたは1インチ×3インチ)である。チャンバの撮像部分は、いくつかの実施形態では、実質的により小さくてもよい。例えば、前立腺コア生検のためのチャンバの撮像部分は、約1mm×15mm~約3mm×40mmであり、それによって、標準的顕微鏡スライドの外部寸法を伴うチャンバ内に嵌合してもよい。いくつかの実施形態では、平面寸法は、上記に言及されるコア生検よりも大きい寸法を有する具体的試料タイプを収容するように、より大きくてもよい。例えば、眼球摘出試料の撮像に関して、チャンバは、約25mm×25mm~約50mm×50mmの寸法を有してもよい。他の実施形態では、撮像チャンバ寸法は、典型的には、平面寸法が約65mm×50mmの範囲内である大判組織学的試料または「全組織標本」と称される試料を収容するために十分に大きくあり得る。同様に、撮像チャンバ高さは、具体的試料タイプを収容するために要求される任意の高さであってもよい。例えば、高さは、約200μm~約15mmの任意のものであってもよい。いくつかの実施形態では、撮像チャンバは、細胞学試料および非常に小さい生検のために最適である、高さが約200μm~500μmであってもよい。他の実施形態では、チャンバ高さは、典型的には小さいコア生検のために最適である約500μm~1.5mmであってもよい。
【0024】
上記に議論されるようなスポンジ支持体の組み込みは、スポンジおよび試料の両方を収容するために、より背の高いチャンバ高さを要求してもよい。例えば、スポンジ支持体を組み込むチャンバは、小さいコア生検のために約1mm~約3mmの高さを有してもよい。他の実施形態では、チャンバ高さは、規則的な組織切片のために最適であり得る約3mm~約6mmであり得る。なおも他の実施形態では、チャンバ高さは、約6mm~15mmであり得、その寸法は、大判組織学的試料ならびに一般的な中型から大型の非切片化サンプルを収容し得る。
【0025】
チャンバを備える容器の外部寸法は、封入される組織チャンバの寸法に応じて変動し得、本明細書に説明されるような任意の要求される流体チャネルまたは外部ポートプラグを可能にするために十分に大きい。いくつかの実施形態では、容器の外部寸法は、約1mm~10mmの高さを含んでもよい。他の実施形態では、容器高さは、約500μm~1mmであってもよい。他の実施形態では、容器高さは、約10mm~20mmであり得る。
【0026】
複数の特徴は、組織サンプルが撮像に先立って浸漬される流体(例えば、清澄液)の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する材料を備え得る。ある実施形態では、清澄液の屈折率、または、組織サンプルの処理において使用されるべき他の流体の屈折率は、分析されるべき組織サンプルの構造の屈折率にほぼ等しくてもよい。
【0027】
複数の特徴は、約1.5~約1.7の屈折率を有する材料を備えることができる。複数の特徴は、約1.53~約1.60の屈折率を有する材料を備え得る。複数の特徴は、有機溶媒の存在下で溶解する材料を備えることができる。有機溶媒は、清澄液(例えば、ベンジルアルコールおよび安息香酸ベンジル(BABB))であってもよい。
【0028】
種々の実施形態では、容器は、光学的に清澄な窓に対向する側上で組織サンプルに接触するように構成される多孔性圧縮性材料を備え得る。いくつかの実施形態では、多孔性圧縮性材料は、プラスチックスポンジである。スポンジセルサイズは、圧縮を殆ど伴わない適正な組織支持を可能にする任意のサイズであってもよく、10μm~5mmの範囲内の任意のものであってもよい。スポンジセルサイズは、気泡閉じ込めを伴うことなく組織および光学表面の両方を湿潤させることに役立つ範囲内であってもよい。好ましい実施形態では、スポンジセルサイズは、乾燥しているときに50~500μmである。他の好ましい実施形態では、スポンジセルサイズは、50~200μmである。スポンジは、開放セルまたは閉鎖セルであってもよい。好ましい実施形態では、スポンジは、開放セルである。好ましい実施形態では、スポンジは、実質的に非蛍光性を有する。いくつかの実施形態では、スポンジは、約1.45~約1.7の屈折率を有する材料から加工される。いくつかの実施形態では、スポンジは、約1.53~1.60の屈折率を有する。スポンジ材料は、撮像されるべき清澄された組織サンプルの屈折率にほぼ整合するように選択されてもよい。
【0029】
容器は、組織サンプルを受け取るための空洞およびチャンバの外側の空間と流体連通する1つまたは複数の流体ポートを備えてもよい。好ましい実施形態では、チャンバは、2つのポートを含有する。2つのポートは、同一の表面上にあり、流体交換システムまたはプロセッサへの接続を容易にしてもよい。好ましい実施形態では、流体ポートは、針の導入を可能にするが針の除去に応じてシールするゴム引きのまたはシリコーンプラグもしくは表面を伴う等、自己シール型である。いくつかの実施形態では、自己シール型ポートは、管コネクタが取り付けられると開放する自己閉鎖弁を含むもの等の針なしコネクタである。
【0030】
容器は、酸に耐性がある材料、BABB等の有機溶媒に耐性がある材料、アルコールに耐性がある材料、および/または、最大摂氏約75度の温度に耐性がある材料を備えることができる。スポンジは、酸に耐性がある材料、BABB等の有機溶媒に耐性がある材料、アルコールに耐性がある材料、および/または、最大摂氏約75度の温度に耐性がある材料を備えることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、組織サンプルを受け取るための空洞は、易壊性面積を備えてもよい。易壊性面積は、空洞の壁の外周に位置することができる。易壊性面積は、空洞の壁の残部に対して薄化された材料の面積を備えてもよい。
【0032】
容器は、壁の内面から延在する1つまたは複数のワックス留保部材、および/または、壁の外面から延在する1つまたは複数の位置決め部材を備えてもよい。
【0033】
本発明の側面は、組織サンプルを分析するための方法を含み得、方法は、組織チャンバ内の組織サンプルを所望の位置に配向するステップ、組織チャンバ内の所望の位置において化学処理するために第1の溶液に組織サンプルを暴露するステップ、組織チャンバ内の所望の位置において組織サンプルが撮像に先立って浸漬される流体(例えば、清澄液)に組織を暴露するステップ、組織チャンバ内の所望の位置において組織サンプルを撮像するステップ、および/または、組織チャンバ内の所望の位置において組織サンプルをワックス包埋するステップを含む。
【0034】
清澄剤は、BABBであってもよい。第1の溶液は、脱水剤、固定剤、染料、および/または、固定剤が脱水剤であり得る場合を含むそれらのいくつかの組み合わせを含み得る。ある実施形態では、染料は、蛍光染料であってもよく、撮像するステップは、蛍光撮像するステップを含むことができる。所望の位置は、ワックス包埋組織サンプルの切片化および/または組織サンプルの撮像のための所望の位置であってもよい。組織チャンバは、複数の特徴を備えることができ、複数の特徴は、組織チャンバの内面上に配置され、組織サンプルに接触し、組織サンプルと内面との間の流体流を可能にするように構成される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
組織サンプルを保持するための容器であって、前記容器は、複数の特徴を備える表面を備え、前記複数の特徴は、組織サンプルに接触し、前記組織サンプルと前記表面との間の流体流を可能にするように構成される、容器。
(項目2)
前記複数の特徴は、前記組織サンプルの処理において使用されるべき流体の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目3)
前記組織サンプルの処理において使用されるべき前記流体の屈折率は、分析されるべき前記組織サンプルの構造の屈折率にほぼ等しい、項目2に記載の容器。
(項目4)
前記複数の特徴は、約1.5~約1.7の屈折率を有する材料を備える、項目3に記載の容器。
(項目5)
前記複数の特徴は、約1.53~約1.60の屈折率を有する材料を備える、項目4に記載の容器。
(項目6)
前記複数の特徴は、有機溶媒の存在下で溶解する材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目7)
前記有機溶媒は、清澄液である、項目6に記載の容器。
(項目8)
前記清澄液は、ベンジルアルコールおよび安息香酸ベンジル(BABB)である、項目7に記載の容器。
(項目9)
前記表面に対向する前記組織サンプルの側上で前記組織サンプルに接触するように構成される多孔性圧縮性材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目10)
前記多孔性圧縮性材料は、分析されるべき前記組織サンプルの屈折率にほぼ等しい屈折率を有する、項目9に記載の容器。
(項目11)
前記表面の少なくとも一部は、前記組織サンプルの処理において使用されるべき流体の屈折率にほぼ等しい屈折率を備える、項目1に記載の容器。
(項目12)
前記組織サンプルの処理において使用されるべき前記流体の屈折率は、分析されるべき前記組織サンプルの構造の前記屈折率にほぼ等しい、項目11に記載の容器。
(項目13)
前記表面の少なくとも一部は、約1.5~約1.7の屈折率を備える、項目11に記載の容器。
(項目14)
酸に耐性がある材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目15)
有機溶媒に耐性がある材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目16)
アルコールに耐性がある材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目17)
最大摂氏約75度の温度に耐性がある材料を備える、項目1に記載の容器。
(項目18)
前記表面は、易壊性面積を備える、項目1に記載の容器。
(項目19)
前記易壊性面積は、外周を画定する、項目18に記載の容器。
(項目20)
前記易壊性面積は、前記外周の内側の面積に対して薄化された材料の面積を備える、項目19に記載の容器。
(項目21)
前記複数の特徴と同一の側上の前記表面から延在する1つまたは複数のワックス留保部材をさらに備える、項目1に記載の容器。
(項目22)
前記複数の特徴に対向する前記表面の側から延在する1つまたは複数の位置決め部材をさらに備える、項目1に記載の容器。
(項目23)
前記表面は、前記組織サンプルを受け取るための空洞を少なくとも部分的に画定する、項目1に記載の容器。
(項目24)
前記組織サンプルを受け取るための前記空洞および前記空洞の外側の空間と流体連通する1つまたは複数の流体ポートを備える、項目23に記載の容器。
(項目25)
前記組織サンプルを受け取るための前記空洞は、易壊性面積を備える、項目23に記載の容器。
(項目26)
前記易壊性面積は、表面が前記空洞をさらに画定する1つまたは複数の壁と交差する前記表面の外周に位置する、項目25に記載の容器。
(項目27)
組織サンプルを分析するための方法であって、前記方法は、
組織チャンバ内の組織サンプルを所望の位置に配向することと、
前記組織チャンバ内の前記所望の位置において化学処理するために第1の溶液に前記組織サンプルを暴露することと、
前記化学的に処理された組織サンプルを前記組織チャンバ内の前記所望の位置において流体中に浸漬させることと、
配向後に前記組織サンプルを再位置付けすることなく、前記組織チャンバ内の前記所望の位置において前記浸漬された組織サンプルを撮像することと
を含む、方法。
(項目28)
前記組織チャンバ内の前記所望の位置において前記組織サンプルをワックス包埋することをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
配向後に前記組織チャンバ内の前記組織サンプルをシールすることをさらに含み、前記第1の溶液および前記流体は、シール可能ポートを通して前記組織チャンバに導入される、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記流体は、清澄剤を含む、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記清澄剤は、BABBである、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記第1の溶液は、脱水剤を含む、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記第1の溶液は、固定剤を含む、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記固定剤は、脱水剤である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記第1の溶液は、染料を含む、項目27に記載の方法。
(項目36)
前記染料は、蛍光染料であり、前記撮像することは、蛍光撮像することを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記所望の位置は、ワックス包埋組織サンプルの切片化のための所望の位置である、項目28に記載の方法。
(項目38)
前記所望の位置は、前記組織サンプルの撮像のための所望の位置である、項目27に記載の方法。
(項目39)
前記組織チャンバは、複数の特徴を備え、前記複数の特徴は、前記組織チャンバの内面上に配置され、前記組織サンプルに接触し、前記組織サンプルと前記内面との間の流体流を可能にするように構成される、項目27に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、トラフと流体入口および出口とを有する組織チャンバを示す。
【0036】
【
図2】
図2は、ワックス留保部材を有する組織チャンバの上面図を示す。
【0037】
【
図3】
図3は、位置決め部材およびワックス留保部材を伴う組織チャンバの裁断図を示す。
【0038】
【
図4】
図4は、チャンバ壁からサンプルを離間させるための複数の特徴を有する組織チャンバを示す。
【0039】
【
図5】
図5は、開放位置におけるワックス除去デバイスを示す。
【0040】
【
図6】
図6は、組織チャンバがその中に装填される、開放位置におけるワックス除去デバイスを示す。
【0041】
【
図7】
図7は、ワックス切断位置におけるワックス除去デバイスを示す。
【0042】
【
図8】
図8は、ワックス除去位置におけるワックス除去デバイスを示す。
【0043】
【
図9A】
図9Aは、組織チャンバがその中に装填される、開放位置におけるワックス除去デバイスの裁断図を示す。
【0044】
【
図9B】
図9Bは、ワックス切断位置におけるワックス除去デバイスの裁断図を示す。
【0045】
【
図9C】
図9Cは、ワックス除去位置におけるワックス除去デバイスの裁断図を示す。
【0046】
【
図10】
図10は、ある実施形態による、支持スポンジ1013を含む容器1001を図示する。
【0047】
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、処理中の手動介入、人間接触、および労働費用を低減させながら、化学処理(例えば、固定、脱水、乾燥、および着色)中およびワックス包埋中の組織の視覚組織学的分析のための装置、システム、および方法を提供する。システムおよび方法は、ワックス包埋および切片化ならびに/あるいは撮像のための好ましい配向における単一の容器内の組織サンプルの初期設置を可能にする。組織サンプルは、次いで、後続の再位置付けを伴うことなく単一の容器内で化学的に処理(固定、脱水、および/または乾燥)され、ワックス包埋されることができる。さらに、組織サンプルは、継続される高価な処理、包埋、切片化、着色、および分析の必要性を潜在的に否定する初期病理学的分析を提供するために、無傷で染色、清澄、および撮像されることができる。本発明のシステムおよび方法は、ミクロトームにおける切片化のために準備されるワックス包装サンプルの単純な機械分離を可能にする。
【0049】
図1は、組織サンプルを受け取って処理するためのトラフ107を有する組織チャンバ101を示す。サンプルは、例えば、外科手術、生検、微細針吸引、培養、または解剖中に取得されてもよく、好ましくは、組織学的分析のために取得される。組織チャンバ101および/またはその中のトラフ107は、種々のサイズにおいて提供されてもよく、マーク109(人間および/または機械可読)を含んでもよく、マーク109は、トラフ107またはチャンバ101サイズに対応し、かつ/または、それからサンプルが取得された対象、サンプルのタイプ、および/または実施されるべき分析のタイプに関する情報を提供することができる。機械または人間によって読み取られると、マーク109は、組織処理(例えば、試薬選択、試薬体積、または処理装置選択および構成)を調整するために、かつ/または、撮像データを標識化するために使用されてもよい。
【0050】
組織チャンバ101は、全体的サイズを増加させ、容易な操作を可能にするために、トラフ107を囲繞する残りの面積を含んでもよい。チャンバ101内の切り欠き103または開口部は、生産において要求される材料、生産の時間、およびそれらの関連付けられる費用を低減させるとともに、チャンバ101の質量を低減させることができる。1つまたは複数の流体入口/出口105が、トラフ107およびチャンバ101の外面と流体連通する。流体入口/出口107は、種々の処理装置内の対応する流体入口/出口と界面接触し、処理流体(例えば、固定剤、脱水流体、着色剤/染料、清澄液、または包埋のためのワックス)を提供および除去することができる。
【0051】
組織チャンバの壁またはその関連する部分(例えば、撮像窓)は、光学的に清澄であってもよい、および/または、清澄液ならびに/あるいは測定されるべきサンプル構造に屈折率整合されてもよい。組織チャンバ101は、それによって、例えば、蛍光染料ベースの撮像技法を含む無傷かつワックスのないサンプルの周期的撮像を可能にしながら、組織学的分析のための全ての処理ステップのために組織サンプルを含有するように動作可能である。染色、固定、脱水、および/または任意の他の処理ステップが、実施された後、ワックスが、切片化および後続の分析のために準備されるワックスのブロック内のワックス包埋サンプルを提供するために、流体入口/出口105を介してトラフ107に導入されることができる。
【0052】
故に、組織サンプルが、最初に、初期撮像および後の切片化の両方のために所望の位置においてトラフ107内で配向され、次いで、残りの処理、撮像、ワックス包埋、および除去ステップ全体を通して手付かずのままにされることができる。
【0053】
組織チャンバは、金属、プラスチック、環状オレフィンポリマー、またはガラス等の材料から構築されてもよい。好ましくは、チャンバ材料は、組織サンプルまたはその表面が接触する処理溶液のうちのどれとも反応しない。チャンバは、ある実施形態では、複数の材料から構築されることができる。例えば、トラフは、非反応性かつ屈折率整合材料から構築されてもよいが、費用を削減するために、チャンバの残部は、異なるより安価な材料から構築されてもよい。
【0054】
図2は、流体入口/出口205と切り欠き203とトラフ207とを伴う組織チャンバ201の上面図を示す。硬化されたワックスとその中に保持されるサンプルとをトラフ207の床部に位置決めおよび留保するように構成されるワックス留保部材209(例えば、返し付き支柱)が、トラフ207内に存在してもよい。トラフ207は、トラフ207の床部とチャンバ201の残部との間の剪断力の印加に応じて、易壊性面積211によって画定される線に沿ってトラフ207の床部がチャンバ201の残部から分離するように、例えば、より薄いまたはより弱い材料の面積から成る易壊性面積211をその床部上に含むことができる。易壊性面積211は、易壊性面積211に沿った分離に応じて、トラフ211の床部に結合されるワックス包装サンプルが、さらなる処理(例えば、ミクロトームにおける切片化)のためにチャンバ201の残部から除去されることができるように、トラフ207およびワックス留保部材209の床部を構成するように定寸され、位置することができる。ワックス留保部材209は、必要な場合に、関連するサンプルがトラフ207内でそれらの間に嵌合されることができるような様式で離間されることができる。
【0055】
図3は、組織チャンバ301の断面図を示し、示される流体入口/出口305が、チャンバ301の外面からトラフ307への流体アクセスを提供する。トラフ307は、上記に説明されるように、ワックス留保部材309および易壊性面積311を備える。トラフ307の底面は、位置決め部材313(例えば、支柱またはタブ(もしくはそのような部材を受け取るための対応する陥凹))を備えることができる。位置決め部材313は、種々の処理装置および撮像装置の表面上の相補的位置決め陥凹に対応してもよい。部材がチャンバ301上に存在すること、および、対応する陥凹が本装置上に存在することに関して本明細書に説明されるが、逆の配列もまた、同一の機能を提供することが容易に明白となる。位置決め部材313は、それらの対応する陥凹内に位置付けられると、例えば、流体入口/出口305のための流体結合、ワックス切断ブレード、易壊性面積311に沿ってトラフ307の床部を分離するためのプランジャ、撮像対物レンズ、光源、または種々の他の処理ツールに対して本装置内でチャンバ301およびトラフ307を位置決めする役割を果たしてもよい。
【0056】
ある実施形態では、位置決め部材313は、トラフ307の床部に取り付けられ、易壊性面積311における分離後にその状態のままであり、これは、ワックス留保部材309によってここでは分離されたトラフ307の床部に固着され、位置決め部材313によって位置決め可能なワックスブロック内のワックス包埋サンプルが、ワックス包埋サンプルを留保する表面に対向するトラフ床部307の表面から突出することをもたらす。位置決め部材313は、したがって、例えば、切片化のためのミクロトームにおける後続の処理のために、サンプルを含有するワックスブロックを位置決めするために使用されることができる。組織チャンバは、再使用可能または単回使用アイテムであってもよい。例えば、易壊性組織チャンバは、概して、単回使用アイテムと見なされる。
【0057】
図4は、チャンバ壁405からサンプルを離間させるための複数の特徴403を有する組織チャンバ401を示す。サンプルをチャンバ壁405の他の平坦な表面から離間させることは、処理溶液が(例えば、脱水、固定、清澄、および染料溶液)サンプルの全ての側にアクセスすることを可能にする。そのような特徴403の不在下では、サンプルは、チャンバ壁405の平坦な表面に対して静置し、これを流体から離れるようにシールし、処理時間を増加させ、処理有効性(および後続の分析品質)を低減させ、ならびに/あるいは、サンプルを再配向し、閉塞された表面を流体に暴露するための操作または攪拌を要求する。特徴は、円錐、角錐、針、円筒、球体、立方体、隆起、スパイク、または他の3次元形状を含む任意の形状であってもよい。特徴は、流体貫通またはアクセスを可能にするために、材料表面内に多孔性構造または陥凹を含んでもよい。特徴403は、サンプルと容器またはチャンバ壁405との間の表面積接触を低減させるように設計されるため、サンプルを支持する上部において接触点を殆ど伴わない、チャンバ壁405と接触する広い基部面積を提供する円錐または角錐等の形状が、好ましい。特徴403は、それらが、壁405の表面の上方でサンプルを依然として支持しながら、サンプルとの接触表面積を殆ど提供せず、サンプルを穿刺または他の態様で貫通しないように十分な重量分布を提供するように、成形および離間されるべきである。
【0058】
特徴は、流体が、支持されるサンプルとチャンバ壁の表面との間で流動することを可能にするために十分な高さまたは深さを有するべきである。種々の実施形態では、特徴は、約1μm~約5mmの高さまたは深さを有してもよい。
【0059】
そのような特徴403の明白な欠点は、撮像品質に対するそれらの有害な効果である。故に、種々の実施形態では、特徴は、チャンバ401の壁405に類似する材料から構築され、清澄液および/または検査されるべきサンプル構造に屈折率整合されてもよい。特徴403は、それによって、撮像中に殆ど歪みを提供しない。他の実施形態では、特徴403は、チャンバ401の壁405と異なる材料から構築されてもよく、その材料は、処理溶液(例えば、清澄液)のうちの1つまたは複数の存在下で溶解するように構成されてもよい。清澄液は、概して、撮像前に適用されるため、特徴403が、清澄液の存在下で溶解する場合、それらは、後続の撮像を歪めるように存在しない。清澄液は、ベンジルアルコールおよび安息香酸ベンジル(BABB)を含み得、故に、特徴403は、BABB中に溶解することが公知の材料を含み得る。
【0060】
本発明の処理デバイスは、本明細書に説明される組織チャンバを操作するように動作可能なワックス除去デバイスを含んでもよい。そのようなデバイスは、ばね荷重プラットフォームを伴う基部を備えることができ、その上に組織チャンバが設置され得る。組織チャンバの底部上の位置付け支柱に整合する位置付け孔を含むサンプルトラフの基部に整合するように成形される平坦域を収容するために、孔が、プラットフォームの中間に存在してもよい。上方から押圧されると、組織チャンバは、ばね荷重プラットフォームに対して降下されることができ、その結果、中心平坦域は、サンプルトラフの底部に対して押し上げられ、薄化された外周に沿ってこれを破壊し、したがって、チャンバからサンプルを解放する。
【0061】
ワックス除去デバイスはまた、上方からサンプルトラフの端部に向かって下に向く2つのナイフを保持する中心ピストンを含むことができる。降下されると、これらのナイフは、ワックスに切り込み、サンプルトラフ内のワックスの部分を、流体入口および出口に延在するワックスから分離する。
【0062】
ワックス除去デバイスは、3つの位置を通して動作可能であってもよい(作動機械またはハンドルを介して手動で)。アームが上昇される開放位置は、基部上への組織チャンバの設置を可能にするために十分に基部の上方に、中心ピストンおよびより大きいチャンバピストンの両方を持ち上げてもよい。ワックス切断位置は、中心ピストンにおけるナイフがワックスを通して切断している点まで、ピストンがアームによって連動して降下されている場所であり得る。基部のガイドレール上の止め具は、中心ピストンが組織チャンバ基部の中へそれ以上下降することを防止することができる。より大きいチャンバピストンが組織チャンバを押し下げるようにアームがさらに降下されるワックス除去位置は、サンプルトラフ基部を押進し、組織チャンバから離脱させることができる。ハンドルを中心ピストンに接続する挿入部上のばね機構は、中心ピストンが、静止したままであり、止め具に対して押圧されている間、ワックス除去位置への移動を可能にすることができる。
【0063】
ワックス除去位置に移動し、サンプルトラフを破壊した後、アームは、開放位置に戻るように上昇され、サンプル/ワックス/トラフ基部は、除去されてもよい。サンプルは、次いで、切断のためにミクロトームの中に設置できる状態である。
【0064】
図5~
図8は、本発明のある実施形態による、本明細書に説明される組織チャンバと協働するように構成されるワックス除去デバイスを示す。ワックス除去デバイスは、ワックス包埋の後に組織チャンバからワックス包埋サンプルを除去するために有用である。
図5は、その上への組織チャンバ509の設置のためにばね荷重プラットフォーム507へのアクセスを提供する、上昇位置におけるハンドル503を伴う開放位置におけるワックス除去デバイス501を図示する。ばね荷重プラットフォーム507は、外側部分から成り、そのサイズおよび形状は、概して、その上に設置される組織チャンバ509の寸法に共形化し、下方から該組織チャンバ509を支持するように構成される。ばね荷重プラットフォーム507はまた、内側部分を備え、そのサイズおよび形状は、概して、ワックス包埋サンプル511を含有する組織チャンバ509の易壊性トラフ部分の寸法に共形化する。
【0065】
内側部分は、下方からしっかりと支持される一方で、外側部分は、ばねによって下方から支持され得る、または、ばね荷重プラットフォーム507に対する下向き力に応答して、中心部分のレベルの下方に押下されることが他の態様で可能であり得る。
【0066】
ハンドル503は、ばね荷重プラットフォーム507に近位の端部にワックス切断ブレード517を有する中心部分513と動作可能に関連付けられる。ハンドル503は、中心部分513に対して下向き力を印加するように動作可能であり、それに応じて、ワックス切断ブレード517は、ばね荷重プラットフォーム507およびその上に設置される組織チャンバ509に向かう。組織チャンバ509、ばね荷重プラットフォーム507、およびワックス切断ブレード517は、ハンドル503が動作されると、ワックス切断ブレード517が、組織チャンバ509内のワックスの中にかつそのワックスを通して押勢され、組織チャンバ509内の周辺ワックスからワックス包埋サンプル511を切断するように、相互に対して位置する。ワックス除去デバイス501は、ワックス切断ブレード517が、組織チャンバ509の内側のワックスのみを通して切断するが、組織チャンバ509の床部を通して切断しないように、中心部分513の下向き運動およびワックス切断ブレード517によって到達される関連付けられる深さを限定するように動作可能な止め具505を備える。
【0067】
ハンドル503はまた、ばね荷重プラットフォーム507に近位の端部にプランジャ523を有する外側部分515と動作可能に関連付けられる。止め具505は、中心部分513の下向き運動を限定するが、外側部分515は、ハンドル503のさらなる動作に応答して、その下向き運動を継続することが可能である。プランジャ523は、概して、ばね荷重プラットフォーム507の外側部分の寸法に共形化し、ばね荷重プラットフォーム507の中心部分の寸法にサイズおよび形状において概して共形化する開口部を備える。故に、ばね荷重プラットフォーム507上の組織チャンバ509と接触するように下に押勢されると、プランジャ523は、ばね荷重プラットフォームの外側部分にのみ下向き圧力を印加し、これは、順に、堅く支持された内側部分のレベルの下方に押下される。内側部分は、それによって、ワックス包埋サンプル511を含有する組織チャンバ509の易壊性トラフ部分に上向き力を印加する一方で、プランジャは、トラフ部分を囲繞する組織チャンバ509の残部525に下向き力を印加する。これらの対向する力は、易壊性面積が、破壊され、組織チャンバ509から切断されたワックス包埋サンプル511を解放するように、薄化された面積または他の態様での易壊性面積において剪断力を生成する。
【0068】
故に、ハンドル503の完全運動は、中心部分513および外側部分515の両方をばね荷重プラットフォーム507に向かって下向きに移動させるように動作可能である。ワックス切断ブレード517は、ワックス包埋サンプル511を囲繞するワックスを切断し、停止される一方で、外側部分515および関連付けられるプランジャ523は、下向きに進み、切断されたワックス包埋サンプル511から離れるように組織チャンバの残部525を破壊し、残部525およびばね荷重プラットフォーム507の外側部分をここでは分離されたワックス包埋サンプル523のレベルの下方に押し下げ、これは、次いで、さらなる処理のためにワックス除去デバイス501から除去されることができる。
【0069】
図6は、組織チャンバ509がばね荷重プラットフォーム507上に位置付けられている、開放位置におけるワックス除去デバイス501を示す。ハンドル503は、依然として、上昇位置にある。
【0070】
図7は、ワックス切断位置におけるワックス除去デバイス501を示し、ワックス切断位置では、ハンドル503が、部分的に動作されており、その結果、止め具505が、中心部分513に対して作用しており、ワックス切断ブレード517が、ワックス包埋サンプル511を囲繞するワックスを切断しているが、プランジャ523が、組織チャンバ509の易壊性面積を破壊していない。
【0071】
図8は、ワックス除去位置におけるワックス除去デバイス501を示し、ワックス除去位置では、ハンドル503が、完全に動作されており、その結果、外側部分515が、プランジャ523を下向きに押勢しており、ばね荷重プラットフォーム507に対して下向きに、かつここでは別個のワックス包埋サンプル511から離れるように組織チャンバの残部525を破壊している。
【0072】
図9A~
図9Cは、本発明のある実施形態による、ワックス除去デバイスの裁断図を示す。ワックス除去デバイス501の中心部分513および外側部分515ならびにワックス切断ブレード517およびプランジャ523とのそれらの個別の関連付けが、示される。裁断図は、ばね荷重プラットフォーム507の内側および外側部分と、ワックス包埋サンプル511を切断し、さらなる処理のために組織チャンバの残部525からこれを分離するワックス除去デバイス501の機能とをさらに示す。
【0073】
図9A~
図9Cに示されるように、組織チャンバ509および/またはばね荷重プラットフォーム507は、位置決め支柱、タブ、または他の部材519と、該位置決めタブ、支柱、または他の部材を受けるための相補的陥凹とを備えてもよい。位置決め部材519および対応する陥凹は、その内側および外側部分に対して、また、ワックス切断ブレード517およびプランジャ523に対して、ばね荷重プラットフォーム507上で組織チャンバ509を位置決めする役割を果たすことができる。ワックス留保部材521(例えば、支柱または返し)もまた、組織チャンバ509の一部として
図9A-9Cに示される。ワックス留保部材521は、ワックス除去デバイス501の動作中に組織チャンバ509内にワックス包埋サンプル511を保持し、位置決めするように動作可能である。
【0074】
図9Aは、組織チャンバ509がばね荷重プラットフォーム507上に装填される、開放位置におけるワックス除去デバイス501を示す。
図9Bは、ワックス切断位置におけるワックス除去デバイス501を示し、ワックス切断位置では、止め具505が、中心部分513に対して作用しており、ワックス切断ブレード517が、ワックス包埋サンプル511を囲繞するワックスを切断しているが、プランジャ523が、組織チャンバ509の易壊性面積を破壊していない。
図9Cは、ワックス除去位置におけるワックス除去デバイス501を示し、ワックス除去位置では、外側部分515が、プランジャ523を下向きに押勢しており、組織チャンバの残部525をばね荷重プラットフォーム507に対して下向きに、かつここでは別個のワックス包埋サンプル511から離れるように破壊している。
【0075】
図10は、ある実施形態による、支持スポンジ1013を含む容器1001を図示する。容器1001は、組織サンプルを受け取るための試料チャンバ1005、ならびに、試料チャンバ1005に流体を導入し、試料チャンバ1005から流体を除去するための2つの流体ポート1007を含む。容器1001は、組織サンプルがその中に設置された後に試料チャンバ1005を封入するカバー1003を含む。流体ポート1007は、特に、カバー1003が、試料チャンバ1005内にシールされた環境を作成するために、容器1001の上部との流体および空気密封を形成するように動作可能である場合、自己シール型であってもよい。上記のように、自己シール型流体ポート1007は、針の導入を可能にするが針の除去に応じてシールする、ゴム引きのまたはシリコーンプラグあるいは表面を含んでもよい。いくつかの実施形態では、自己シール型ポートは、管コネクタが取り付けられると開放する自己閉鎖弁を含むもの等の針なしコネクタである。容器1001は、本明細書に議論されるようなスポンジ支持体1013または他の支持体を伴う底部カバー1015を含んでもよい。スポンジ支持体1013および/または底部カバー1015は、試料チャンバ1005の底部を形成し得、底部カバー1015内の光学的に透過性の窓1011等の光学的に透過性の、透明の、または屈折率整合される材料(例えば、撮像されるべき清澄された組織サンプルとほぼ同一の屈折率を有する)を備え得る。
【0076】
スポンジまたは他の多孔性圧縮性材料は、化学処理、清澄、および/または撮像のために組織チャンバ内に位置付けた後、組織サンプルに接触し、組織サンプルを定位置に保持するように構成される。いくつかの実施形態では、多孔性圧縮性材料は、プラスチックスポンジである。スポンジセルサイズは、圧縮を殆ど伴わない適正な組織支持を可能にする任意のサイズであってもよく、10μm~5mmの範囲内の任意のものであってもよい。スポンジセルサイズは、気泡閉じ込めを伴わずに組織および光学表面の両方を湿潤させることに役立つ範囲内であってもよい。好ましい実施形態では、スポンジセルサイズは、乾燥しているときに50~500μmである。他の好ましい実施形態では、スポンジセルサイズは、50~200μmである。スポンジは、開放セルまたは閉鎖セルであってもよい。好ましい実施形態では、スポンジは、開放セルである。好ましい実施形態では、スポンジは、実質的に非蛍光性を有する。いくつかの実施形態では、スポンジは、約1.45~約1.7の屈折率を有する材料から加工される。いくつかの実施形態では、スポンジは、約1.53~1.60の屈折率を有する。スポンジ材料は、撮像されるべき清澄された組織サンプルの屈折率にほぼ整合するように選択されてもよい。スポンジは、酸に耐性がある材料、BABB等の有機溶媒に耐性がある材料、アルコールに耐性がある材料、および/または最大摂氏約75度の温度に耐性がある材料を備えるができる。
【0077】
図11は、流体ポート1007から試料チャンバ1005につながる内部流体通路1017を含む、
図10に示される容器1001の内部構成のうちのいくつかを図示する。流体ポート1007は、随意に、それらが、流体交換中に試料チャンバ1005よりも高く配向され得るように、試料チャンバ1005のレベルからオフセットされる平面レベルに位置付けられる。処理流体に対する空気のより低い密度に起因して、そのような配向は、流体交換中に試料チャンバ1005からの空気の除去を支援し、染料および処理化学物質に対する最適な表面接触を確実にし、閉じ込められた空気に起因する撮像歪みを防止する。
【0078】
本発明の方法は、組織サンプルが、切片化のためのワックス包埋サンプルの除去までさらなる操作を伴うことなく、最初に、切片化および/または撮像のための所望の配向においてチャンバ内に位置付けられ得るように、単一チャンバでの化学処理、撮像、およびワックス包埋を含んでもよい。
【0079】
化学処理は、固定、脱水、清澄、乾燥、および、当技術分野で公知でありかつ無傷の組織撮像(例えば、蛍光着色および撮像)ならびに組織学的分析(例えば、ワックス包埋およびミクロトーム切片化)の両方のために有用な他のステップを含んでもよい。ある実施形態では、組織サンプルは、本明細書に説明されるように、単一の組織チャンバ内で1つまたは複数の着色剤、固定剤、脱水剤、および/または清澄剤に暴露されてもよい。いくつかの事例では、上記の着色剤、固定剤、脱水剤、および/または清澄剤のうちの1つまたは複数は、単一の溶液中で組み合わせられてもよい。化学処理溶液および技法の適した実施例が、米国公開第2016/0003716号および米国公開第20160003715号に説明されており、その各々の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0080】
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文書の参照および引用が、本開示全体を通して行われた。全てのそのような文書は、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0081】
均等物
本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明およびその多くのさらなる実施形態の種々の修正が、本明細書に引用される科学および特許文献の参照を含む、本書の全内容から当業者に明白となる。本明細書の主題は、その種々の実施形態およびその均等物における本発明の実践に適合されることができる重要な情報、例示、および指針を含有する。