(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】商品を輸送するための車両、及び取付け・支持アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60P 3/40 20060101AFI20231204BHJP
B62D 53/06 20060101ALI20231204BHJP
F03D 13/40 20160101ALI20231204BHJP
【FI】
B60P3/40 Z
B62D53/06 Z
F03D13/40
(21)【出願番号】P 2021517120
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 IB2019054444
(87)【国際公開番号】W WO2019229668
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】520467464
【氏名又は名称】フェイモンビル ディストリビューション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッピ ファブリツィオ
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01798104(EP,A2)
【文献】特表2013-524085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/40
B62D 53/06
F03D 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの積載デッキ及び1つの長手方向軸を有するシャーシと、
前記積載デッキの下に配置された複数の被操舵ボギー車と、
前記シャーシによって支持される、輸送対象の積荷を取り付けて支持するための取付け・支持アセンブリと
を備える、商品を輸送するための車両であって、
前記取付け・支持アセンブリは、
前記輸送対象の積荷を支持するための支持ヘッドと、
前記支持ヘッドを前記シャーシに結合する手段と、
前記シャーシに対して前記支持ヘッドを動かすように作動する手段と
を備え、
前記結合する手段は、水平かつ前記長手方向軸に対して
直交する方向に延びる第1の
可動ヒンジ軸を有する第1の
可動ヒンジを有し、
前記第1の
可動ヒンジ及び前記第1の
可動ヒンジ軸が前記シャーシに対して移動可能であ
り、
前記第1の可動ヒンジ軸が、第1の円形経路に沿って移動可能であり、
前記結合する手段が、第2の可動ヒンジも備え、
前記第2の可動ヒンジは、前記第1の可動ヒンジ軸に平行であり、前記第1の可動ヒンジ軸から前記長手方向軸に沿って離間し、前記第1の可動ヒンジ軸と共に移動可能である第2の可動ヒンジ軸を有し、
前記第2の可動ヒンジ軸が、前記第1の円形経路の半径とは異なる半径を有する第2の円形経路に沿って移動可能であり、
前記作動する手段が、前記支持ヘッドに作用するロッドを有するアクチュエータを備え、前記ロッドは、少なくとも前記支持ヘッドを実質的に水平な位置におけるその横倒しの荷重受け位置まで及びそこから動かす動作中に、前記シャーシに向かう引張力を前記支持ヘッドに及ぼすように構成されている
ことを特徴とする、車両。
【請求項2】
前記第1のヒンジ軸が2つの方向に移動可能であり、一方が前記長手方向軸に平行であり、他方が鉛直である
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2の円形経路の半径が前記第1の円形経路の半径よりも大きい
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記第1の可動ヒンジ軸が、前記支持ヘッドの横倒し位置及び傾斜位置にそれぞれ対応する第1及び第2の極端な移動端長手方向位置の間において前記第1の円形経路に沿って移動可能であり、前記第1及び第2の極端な長手方向位置の両方において、前記第1の可動ヒンジ軸が、前記積載デッキ又は前記積載デッキの延長線に沿って配置される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記第2の可動ヒンジ軸が、前記シャーシに対する前記支持ヘッドの位置に関わらず、前記第1の可動ヒンジ軸よりも上方に配置される
ことを特徴とする、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記支持ヘッドの対向し合う側に配置された一対の四節リンク運動システムを備え、
前記四節リンク運動システムの各々が、それぞれの第1のバー及びそれぞれの第2のバーを備え、
前記第2のバーが、前記第1のバーの長さとは異なる長さを有し、
前記第1及び第2のバーが、互いに平行で長手方向に離間した第1及び第2の固定ヒンジ軸をそれぞれ中心として回動するように前記シャーシに結合されたそれぞれの端部を有し、それぞれの対向する前記端部が、前記第1及び前記第2の可動ヒンジ軸をそれぞれ中心として回転するように前記支持ヘッドにヒンジ取付けされる
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記第1及び第2の固定ヒンジ軸の間の距離が、前記第1及び第2の可動ヒンジ軸の間の距離よりも大きい
ことを特徴とする、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記シャーシが、前記積載デッキに対して下降した支持面によって最上部が画定された下降部分を備え、前記取付け・支持アセンブリが、前記支持面上に配置され、前記下降部分に安定的に固定される
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記長手方向軸に沿って、前記下降部分の対向し合う長手方向部分に配置された2つの積載デッキを備える
ことを特徴とする、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記取付けアセンブリが、前記シャーシに安定的に接続されたインターフェース構造を備え、前記第1及び第2のバーが、前記第1及び第2の固定ヒンジ軸をそれぞれ中心として回転するように、前記インターフェース構造にヒンジ取付けされる
ことを特徴とする、請求項6又は7に記載の車両。
【請求項11】
輸送対象の積荷のための、輸送車両のシャーシに結合されるのに適した取付け・支持アセンブリであって、
前記取付け・支持アセンブリは、前記シャーシに接続されるのに適した取付け構造と、
前記輸送対象の積荷のための積荷支持ヘッドと、
前記支持ヘッドを前記取付け構造に結合する手段と、
前記取付け構造に対して前記支持ヘッドを動かすために前記支持ヘッドを作動させる手段とを備え、
前記結合する手段は、水平かつ長手方向軸に対して直交する方向に延びる第1の可動ヒンジ軸を有する第1の可動ヒンジを備え、前記第1の可動ヒンジ及び関連する前記第1の可動ヒンジ軸が前記取付け構造に対して移動可能であり、
前記第1のヒンジ軸が、第1の円形経路に沿って移動可能であり、
前記結合する手段が、第2の可動ヒンジも備え、
前記第2の可動ヒンジは、前記第1の可動ヒンジ軸に平行であり、前記第1の可動ヒンジ軸から前記長手方向軸に沿って離間し、前記第1の可動ヒンジ軸と共に移動可能である第2の可動ヒンジ軸を有し、
前記第2の可動ヒンジ軸が、前記第1の円形経路の半径とは異なる半径を有する第2の円形経路に沿って移動可能であり、
前記作動させる手段が、前記支持ヘッドに作用するロッドを有するアクチュエータを備え、前記ロッドは、少なくとも前記支持ヘッドを実質的に水平な位置におけるその横倒しの荷重受け位置まで及びそこから動かす動作中に、前記シャーシに向かう引張力を前記支持ヘッドに及ぼすように構成されている
ことを特徴とする、取付け・支持アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のヒンジ軸が2つの方向に移動可能であり、一方が長手方向であり、他方が鉛直であることを特徴とする、請求項11に記載の取付け・支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年5月29日出願のルクセンブルク特許出願第100809号からの優先権を主張し、その開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、商品を輸送するための車両に関する。
【0003】
特に、本発明は、特殊な積荷、具体的には、例えば風力タービンブレードなどの細長い物体を輸送するための車両に関する。以下の説明では、風力タービンブレードについて明示的に言及するが、それによって何ら一般性を失うことはない。
【背景技術】
【0004】
長さが70メートルに達することもある風力タービンブレードの輸送には、積載デッキ又は積載面を画定するシャーシと、積載デッキの下方に配置され、それぞれの鉛直軸第五車輪連結器を用いてシャーシに結合された複数の車輪付きボギー車又はキャリッジと、輸送対象の風力タービンブレードのための取付け・支持アセンブリとを備えるタイプの車輪付き車両を用いることが知られている。
【0005】
取付け・支持アセンブリは、積載プラットフォームの長手方向端部にわたって延び、シャーシに安定的に取り付けられた取付け構造と、輸送対象の風力タービンブレードの端部又は足部が取り付けられる支持ヘッドとを備える。したがって、風力タービンブレードはヘッドから片持ち式で延び、一部は残りの積載デッキの上方にあり、一部は車両を越える。
【0006】
ほぼ直線の経路に沿った輸送の間は、ブレードは水平に保たれ、好ましくは積載デッキ上に載置される。しかし、経路が曲がりくねっている場合、又は比較的限られたスペースでの操縦が輸送に必要な場合、又は経路沿いに大きな固定の障害物があることが予測される場合は、衝突を避けるためにブレードの自由端が積載デッキに対して持ち上げられる。
【0007】
このため、ヘッドは、固定水平ヒンジ軸を有するヒンジによって取付け構造にヒンジ取付けされ、一般的にはヘッドに押込み力を加えるように構成された線形油圧アクチュエータを用いて、固定ヒンジ軸を中心に回転される。
【0008】
積載デッキに対する風力タービンブレードの角度位置に関わらず、したがって風力タービンブレードの重心の高さに関わらず、車両の安定性を確保するために、固定の及び調整可能なバラスト又は安定化質量の両方が上記積載デッキ上に配置され、例えば、取付けヘッドに対して近づいたり離れたりするように動く。
【0009】
上述のタイプの既知の輸送車両は、使用されてはいるものの、回避できる障害物と輸送可能な積荷との両方に制限があるため、かなり不十分であることが判明している。
【0010】
上記のことは、一部は風力タービンブレードの取付け・支持アセンブリの構造特性に起因し、一部は積載デッキ上でのその位置に起因する。
【0011】
積載デッキ上で風力タービンブレードが回転すると、必然的に上記風力タービンブレードの重心が高くなる。重心が次第に上がるにつれて、結果として車両の安定性が徐々に低下する。風力タービンブレードがある特定の角度(一般的には約60°)となるまでは、積載デッキ上のバラスト質量を選択して配置する、又は傾斜の変化に応じて積載デッキ上のバラスト質量の長手方向位置を調整することにより、安定性が確保される。上記の傾斜のほか、バラスト重量がさらに増加すると、一方では輸送可能な荷重が減少し、他方では消費が増加し、すでに非常に複雑な操縦操作がより困難になる。
【0012】
これらの理由から、積載デッキに対する風力タービンブレードの傾斜角度は約60°~65°の妥協角度に制限されるが、走行経路に沿って発生し得るあらゆる障害物を回避することは不可能となる。
【0013】
これに加えて、風力タービンブレードの取付け・支持アセンブリは、その休止位置に配置された場合であっても、高さが特に扱いにくい。特に、既知の取付け・支持アセンブリの多くは、休止状態で、すなわち積荷が搭載されていない状態で、4メートルを超える高さとなる。この高さを上回っての輸送は例外的と見なされる。したがって、積荷なしでの移動中であっても、輸送は常に関連するコスト及び要件を伴う例外的な輸送と見なされることになる。それらのコスト及び要件は、よく知られているように、例外的でない移動の場合のコスト及び要件よりもはるかに負担となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、商品を輸送するための車両を提供することであり、これにより、上記の問題を簡単かつ経済的に解決することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、請求項1に記載のように、商品を輸送するための車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の定めに従って実現される、商品を輸送するための車両の好適な実施形態を、ブロック及び側面図で概略的かつ実質的に示す。
【
図2】
図1と同様の図であり、3つの異なる機能条件における
図1の車両を示す。
【
図3】
図1と同様の図であり、3つの異なる機能条件における
図1の車両を示す。
【
図4】
図1と同様の図であり、3つの異なる機能条件における
図1の車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、非限定的な実施形態の例を示す添付の図面を参照して、本発明を説明する。
添付の図において、符号1は、商品、特に風力タービンブレード2を輸送するための車両を全体として示す。以下の説明では、風力タービンブレード2について明示的に言及するが、それによって何ら一般性を失うことにはならない。
【0018】
特に、車両1は、それ自体は既知のトラクタ3と、同じく既知の方法によりトラクタ3に接続されたセミトレーラ4とを備える。
【0019】
セミトレーラ4は、それ自体の長手方向軸5を有し、シャーシ6を備える。シャーシ6は、トラクタ3から延びる前部構造7と、軸5に沿って前部構造7から長手方向に離間した後部構造8と、前部構造7を後部構造8に接続する中間構造9とを備える。中間構造9は、例えばピン10を用いて、解放可能なように構造7及び8に安定的に接続されている。
【0020】
概念的には互いに同じである前部構造7及び後部構造8は、結合されたそれぞれの複数の操縦可能なボギー車又はキャリッジ12及び13を保持し、その一部のみが添付の図に表示されている。これらは既知であり、詳細には説明しない。構造7及び8は、それぞれ14と15で示されるそれぞれの水平な積載デッキ又は積載面を画定する。積載デッキ又は積載面14及び15は同一平面上にある、すなわち、それらは地面から同じ高さに配置されている。
【0021】
中間構造9は、ボギー車又はキャリッジを有しない橋梁構造であり、構造7及び8に対して低くなっており、それ自体の水平な積載デッキ又は積載面16を有する。積載デッキ又は積載面16は、積載デッキ14及び15に対して低くなっている、すなわちデッキ14及び15よりも地面から低い高さに配置されている。好適には、積載デッキ16は、デッキ14及び15に対して50センチメートル低くなっている。
【0022】
車両1は、輸送対象の風力タービンブレード2のための取付け・支持アセンブリ18をさらに備える。
【0023】
アセンブリ18は、中間構造9の積載デッキ16上に配置され、構造9に安定的に接続されたそれ自体の取付け構造又はインターフェース構造20と、風力タービンブレード2のための支持・操作ヘッド21とを備える。ヘッド21は、好ましくは円筒形であり、それ自体の軸Aを有し、構造20に結合された端部21Aと、それ自体は既知であり詳細には説明しない、風力タービンブレード2の片持ち支持を提供するように風力タービンブレード2の足部22に結合するよう構成された21Bで示される反対側の端部とを備える(
図3及び
図4)。
【0024】
アセンブリ18は、ヘッド21の部分21Aを構造20に結合する四節リンク又は四辺形関節タイプのバー機構25をさらに備える。アセンブリ18は、以下でよりよく説明するように、部分21Aと構造9との間に挿入され、機構25と協働して、構造9及び20ならびに積載デッキ14、15及び16に対する回転並進運動をヘッド21に与える油圧ジャッキ26をさらに備える。
【0025】
好適には、機構25は、ジャッキ26の対向し合う側に配置された一対の四節リンク運動システム又は四辺形関節システム28を備える。
【0026】
四節リンク運動システム28の各々は、それぞれ30及び31で示される2つのそれぞれのバーを備える。バー31は、バー30よりも長い。
【0027】
バー30、31はレバー機能を実行し、それぞれの下端部30a及び31aが、それぞれ34及び35で示されるそれらの固定ヒンジ軸を中心に回動するように、それぞれのピン32及び33を介して取付け構造20にヒンジ取付けされる。
【0028】
一変形例によれば、アセンブリ18は取付け構造20を備えず、バー30及び31は構造9に直接ヒンジ取付けされる。
【0029】
いずれのソリューションにおいても、軸34及び35は、軸5に直交し、互いにかつデッキ14、16に平行であり、互いに距離Aを空けて配置される。
【0030】
バー30及び31は、部分30a及び31aの反対側にあり、38及び39で示されるそれぞれの可動ヒンジ軸を中心に回転するようにそれぞれのピン36及び37を用いてヘッド21にヒンジ取付けされた、それぞれの端部30b及び31bをさらに有する。
【0031】
可動軸38及び39は、互いにかつ軸34及び35に平行であり、互いに距離Aよりも短い距離Bを空けて配置される。
【0032】
添付の図、特に
図5を参照すると、油圧ジャッキ26は、2つの運動システム28の間においてデッキ16の上方に配置され、好適には、フォーク42を用いて後部シャーシ8に近い構造9の中間部分41にヒンジ取付けされたスリーブ40を有する。アクチュエータ26は、ピン36によってヘッド21にヒンジ取付けされたロッド43を有する。変形例によれば、ロッド43は、ピン36に平行な専用ピンによってヘッド21にヒンジ取付けされる。
【0033】
移動中、油圧ジャッキ26を作動させることにより、ヘッド21を2つの極端な長手方向移動端位置の間で動かすことが可能となる。一方は
図1に示す横倒し状態であり、他方は
図2に示す傾斜状態である。横倒し位置と傾斜位置との間での移行中に、可動ヒンジ軸38及び39の両方がそれぞれの円形軌道を描くことの結果として、ヘッド21は回転並進運動を行う。それらの円形軌道は、異なるそれぞれの半径と、それぞれの固定ヒンジ軸34、35上に各々位置するそれぞれの中心とを有する。したがって、可動ヒンジ軸38及び39は2つの方向に移動し、一方は軸5にかつデッキ14及び15に平行であり、他方は鉛直かつ上記デッキ14及び15に直交する。
【0034】
ヘッド21がその横倒し位置に配置されている場合、風力タービンブレード2はデッキ15の上方に延び、軸Aはデッキ14及び15に実質的に平行な位置で延び、部分21A及び21Bは両方、積載デッキ16のみに重なり、デッキ14及び15を越えて配置され、上記ヘッド21の部分21Aは、トラクタ3及び前部構造7に向けられ、上記デッキ14及び15の延長線に近づいて接する。
【0035】
同じくヘッド21が横倒し位置に配置されている場合、可動軸38及び39は、デッキ14及び15の前述の延長線に近づき、軸39は、
図1に示すように、軸38に対して高くなった位置に配置される。この横倒し位置において、機構25のバー30及び31は次いで、それらの延長線がデッキ14上方で互いに交差するように、互いに向かって、進行方向に対して前方に、かつ上方に向かって寄り集まる。
【0036】
さらに、ヘッド21が横倒し位置に配置されている場合、油圧ジャッキ26のロッド43は最大伸長状態にある。
【0037】
逆に、ヘッド21がその傾斜位置に配置されている場合、部分21Aは、デッキ14及び16に部分的に重なって面し、軸A、したがって風力タービンブレード2は、準鉛直の状態に達し、好ましくは、軸Aは、80°から90°の間で変動し好適には86°である角度Kをデッキ14と成す。引き続きヘッド21が傾斜位置にある状態において、可動軸39は可動軸38の上方に延びる。好適には、軸38及び39は、実質上鉛直な平面、又はデッキ14に直交してデッキ16と角度K1を成す平面内にある。好適には、角度K1は80°から110°の間で変動する。
【0038】
同じく傾斜位置において、バー30の各々の延長線は、それぞれのバー31と交差し、アクチュエータロッド43は、完全に収縮又は挿入された状態にある。
【0039】
以上のことから、第一に、ヘッド21を傾斜させている間、ロッド43はピーク荷重を実質上全く受けないことが明らかである。これは、ヘッドと風力タービンブレードとの組み合わせの重心が可動軸39を通過する鉛直面の右側に留まらない限り、ロッド43には張力がかかるためである。図示の例では、角度Kが約82°~85°未満に留まる限り、この条件が満たされる。しかしながら、この条件では、ロッド43は実質上収縮しており、そのためピーク荷重の影響を受けない。その結果、高い信頼性及び高い位置決め安定性が得られ、そしてとりわけ、ロッド43がそのストロークのほぼ全体にわたって常に張力下にあるために経時的に変動することのない効率が得られる。
【0040】
これに加えて、ヘッド21をシャーシ6に接続する特定の方法、具体的には、運動システム28の構成は、風力タービンブレード2を持ち上げることに限定を課すものではない。これは本質的に以下のことによる。すなわち、ヘッドが横倒し状態から傾斜状態へと移行する間、風力タービンブレード2及びヘッド21の重心の地面からの高さは、固定ヒンジ軸の既知のソリューションとは異なり、バー30が鉛直状態に到達しなくなるまでは増加するが(
図3及び
図4)、その後再び次第に減少するため、風力タービンブレード2が実質的に鉛直な状態にある場合でも、車両1の安定性の制御が容易になる。
【0041】
これに加えて、運動システムが車両1の積載デッキ14、15よりも低い平面上に置かれることにより、安定性の制御がしやすくなる。このように、ヘッド21がその横倒し位置にありブレード2が水平に配置されている場合、風力タービンブレード2及び取付け・支持アセンブリ18全体の重心が、やはり既知のソリューションに対して、積載デッキよりも低く配置されることは明らかである。
【0042】
取付け・支持アセンブリ18が積載デッキ14、15よりも低いデッキ16上に配置されていることにより、やはり既知のソリューションに対して、地面からの高さをより低くして積荷の輸送を行うことがさらに可能となる。また、積荷がなく、ヘッド21が横倒し位置にある場合、車両1の地上からの最大高さは4メートル未満に留まるため、既知のソリューションとは異なり、積荷なしでの移動が現在の陸上輸送規制による例外的な輸送のカテゴリーに分類されない。
【0043】
最後に、既存の輸送ソリューションよりもバラスト荷重が低減され、特に、シャーシ6のうちトラクタ3の上に張り出す部分に単一のバラスト質量Mを配置することにより、積載デッキ14及び15に対するブレード2の角度位置に関わらず、車両1の安定性が確保されることが実験的に確認されている。これは、既知のソリューションに対して、記載の車両1においては、ヘッド21及び輸送可能質量が積載デッキ14及び15よりも低いことにより可能となる。これは、一方では等しい安定性条件において輸送可能な荷重を増加させることができ、他方では、既知のソリューションではバラスト重量に使用される積載デッキ14及び15を車両1の他の用途で自由に利用できることを意味する。
【0044】
最後に、前述のことから、記載の車両1は、それによって特許請求の範囲に定義される保護範囲から逸脱しない限りにおいて、修正及び変形の対象としてよいことは明らかである。
【0045】
特に、セミトレーラ4のトラクタ3への取付け部分は、記載のセミトレーラを通常のトレーラとするように修正することができる。
【0046】
さらに、上記トラクタ3をなくすこともでき、車両1は、無線遠隔制御によって制御され得る自己推進式の車両又はユニットとして構成することもできる。この場合、アセンブリ18は、前方に突出し前部構造7から片持ちで延びるシャーシ6の延長部によって支持することもできる。
【0047】
いずれの場合でも、シャーシ6は、前部構造7のみを備えることもでき、構造20は、積載デッキ14上に配置され、アクチュエータ26のスリーブ40は、上記前部構造7に結合される。
【0048】
さらに、中間構造9の積載デッキ16を持ち上げて、支持デッキ14及び15と同一平面上にすることもできる。最後に、単一の油圧ジャッキ26を、記載のソリューションと同様にアセンブリ18に必要なスペースを確保するようにやはり2つの運動システムの間に配置されるか、又は示された位置とは異なる位置に配置される複数の油圧ジャッキで置き換えることもできる。
【0049】
加えて、ジャッキ26又は他の油圧ジャッキは、インターフェース構造20にヒンジ取付けされたスリーブを有するものとすることもできる。この場合、取付け・支持アセンブリ18は、シャーシ6とは別個で独立したユニットであり、したがって、車両を他の用途に適合させるため、又は、設けられた積載デッキに載せて固定することにより別の車両、例えば従来の車両のシャーシ上に配置するために、容易に取り外し可能である。
【0050】
また、ジャッキ及び運動システム28の一部は、回転並進運動でヘッドを動かすために、他のアクチュエータ機構、例えばねじナットシステムで置き換えることができる。
【0051】
最後に、記載の車両1は、風力タービンブレード以外の細長い物体の輸送に使用することもでき、輸送対象の細長い物体に場合により結合されるようにヘッド21の部分21Bを構成する。