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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20231205BHJP
   B60H 3/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G08B21/00 U
B60H3/00 F
A61L9/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020159072
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052597
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】石河 雄太
(72)【発明者】
【氏名】石渡 和之
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-020367(JP,A)
【文献】特開平03-140833(JP,A)
【文献】特開2019-113420(JP,A)
【文献】特開2015-210660(JP,A)
【文献】特開2017-137010(JP,A)
【文献】特開2019-168815(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039223(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0168711(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111476977(CN,A)
【文献】特開2011-95212(JP,A)
【文献】特開2014-237383(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039222(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00
B60H 3/00
A61L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内の臭いに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された情報にもとづいて、臭いの発生源が前記車両の運転者であるか否か推定する推定部と、
前記推定部の推定結果に応じて運転者への通知内容を決定する決定部と、
を備え
前記通知内容は、臭いの発生源に応じた対処方法を含み、
臭いの発生源が運転者である場合の前記対処方法は、運転者から発生する臭いを軽減するための指示を含む、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記取得部は、車室内のそれぞれ異なる位置に配置された複数の臭いセンサから臭いの強度を取得し、
前記推定部は、前記複数の臭いセンサのうちいずれの臭いセンサから最大強度の臭いが取得されたかにもとづいて、臭いの発生源が運転者であるか否か推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取得部は、車室内の臭いの強度を定期的に取得し、
前記推定部は、前記車両に乗客が存在しない場合、取得された臭いの強度がしきい値以上である期間が所定期間以上であれば、臭いの発生源が運転者であると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
臭いの発生源が運転者である場合の前記対処方法は、着替える指示、シャワーを浴びる指示、制汗剤の使用指示の少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記通知内容は、臭いの発生源が運転者であるか否かを含み、
臭いの発生源が運転者ではない場合の前記対処方法は、前記車両の窓を開ける指示、車載の空気清浄機を臭い除去モードに切り替える指示、車載の脱臭器を作動させる指示、消臭スプレーの使用指示、車室内の清掃指示の少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記車両に乗客が存在しない場合に限り、決定された通知内容を示す音声を出力する出力部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
車両の車室内の臭いに関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された情報にもとづいて、臭いの発生源が前記車両の運転者であるか否か推定する推定ステップと、
前記推定ステップでの推定結果に応じて運転者への通知内容を決定する決定ステップと、
を備え
前記通知内容は、臭いの発生源に応じた対処方法を含み、
臭いの発生源が運転者である場合の前記対処方法は、運転者から発生する臭いを軽減するための指示を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内の臭いの情報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車室内の残存臭を除去する車両用空気浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、乗員の乗車前に臭いセンサで車室内の臭いを検出し、臭いが存在する場合、空気清浄機で臭いを除去すると共に、香り発生器を作動させ、芳香を放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-168074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タクシーには、乗客によりタバコ臭、食事臭などの臭いが持ち込まれることがある。また、運転者が自分の体臭などに気付かない可能性もある。このような車室内の臭いを効果的に軽減することが望まれる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室内の臭いを効果的に軽減するための行動を運転者に取らせやすくできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理システムは、車両の車室内の臭いに関する情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された情報にもとづいて、臭いの発生源が前記車両の運転者であるか否か推定する推定部と、前記推定部の推定結果に応じて運転者への通知内容を決定する決定部と、を備える。前記通知内容は、臭いの発生源に応じた対処方法を含み、臭いの発生源が運転者である場合の前記対処方法は、運転者から発生する臭いを軽減するための指示を含む。
【0007】
本発明の別の態様は、情報処理方法である。この方法は、車両の車室内の臭いに関する情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得された情報にもとづいて、臭いの発生源が前記車両の運転者であるか否か推定する推定ステップと、前記推定ステップでの推定結果に応じて運転者への通知内容を決定する決定ステップと、を備える。前記通知内容は、臭いの発生源に応じた対処方法を含み、臭いの発生源が運転者である場合の前記対処方法は、運転者から発生する臭いを軽減するための指示を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車室内の臭いを効果的に軽減するための行動を運転者に取らせやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の情報処理システムの機能構成を示す図である。
図2図1の端末装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施の形態の情報処理システム1の機能構成を示す。情報処理システム1は、一例としてタクシーとその運転者に利用される。情報処理システム1は、第1臭いセンサ10a、第2臭いセンサ10b、タクシーメータ12、車載装置14および端末装置16を備える。第1臭いセンサ10aと第2臭いセンサ10bをまとめて臭いセンサ10とよぶ。
【0011】
臭いセンサ10、タクシーメータ12および車載装置14は、タクシーである車両90に搭載される。
【0012】
端末装置16は、たとえばスマートフォンやタブレットなどの携帯端末装置であり、車両90の運転者に利用される。端末装置16は、カーナビゲーションシステムなどの車載装置に含まれてもよい。端末装置16は、無線通信または有線通信で車載装置14に接続する。無線通信の規格は特に限定されないが、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信規格を含む。
【0013】
車載装置14は、通信部20を備える。端末装置16は、通信部30、第1取得部32、第2取得部34、比較部36、通知部38、出力部40、推定部42および決定部44を備える。
【0014】
車載装置14と端末装置16の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
第1臭いセンサ10aは、たとえば車両90の車室内の運転席上の天井に取り付けられ、車室内の運転席付近の臭いを検知する。第2臭いセンサ10bは、たとえば後部座席上の天井に取り付けられ、車室内の後部座席付近の臭いを検知する。第1臭いセンサ10aが運転席付近の臭いを検知でき、第2臭いセンサ10bが後部座席付近の臭いを検知できれば、取り付け位置は特に限定されない。第1臭いセンサ10aは、ステアリングホイールまたは運転席側ドアの内側に取り付けられてもよい。第2臭いセンサ10bは、後部座席のドアの内側に取り付けられてもよい。第1臭いセンサ10aと第2臭いセンサ10bは、複数ずつ設けられてもよい。
【0016】
第1臭いセンサ10aは、臭いを検知して、得られた第1臭いデータを車載装置14に出力する。第2臭いセンサ10bは、臭いを検知して、得られた第2臭いデータを車載装置14に出力する。第1臭いデータと第2臭いデータをまとめて臭いデータとよぶ。
【0017】
タクシーメータ12は、車両90の運転席付近に取り付けられ、運賃を計算する。図示しないが、タクシーメータ12は、運賃の計算開始を指示するための第1指示ボタン、運賃の計算終了を指示するための第2指示ボタンを含む。乗客が乗車した場合、運転者は第1指示ボタンを操作する。第1指示ボタンが操作されると、タクシーメータ12は、運賃の計算を開始し、第1指示ボタンが操作されたことを示す第1操作情報を車載装置14に出力する。目的地に到着した場合、運転者は第2指示ボタンを操作する。第2指示ボタンが操作されると、タクシーメータ12は、運賃の計算を終了し、第2指示ボタンが操作されたことを示す第2操作情報を車載装置14に出力する。
【0018】
通信部20は、臭いセンサ10から出力された臭いデータを定期的に端末装置16に送信する。臭いデータを送信する頻度は、実験などにより適宜定めることができる。
【0019】
通信部20は、タクシーメータ12から第1操作情報または第2操作情報が出力されると、その情報を端末装置16に送信する。
【0020】
端末装置16の通信部30は、車載装置14の通信部20から送信された臭いデータ、第1操作情報および第2操作情報を受信し、受信した臭いデータを第1取得部32に出力し、受信した第1操作情報と第2操作情報を第2取得部34に出力する。
【0021】
第1取得部32は、通信部30から出力された臭いデータにもとづいて車両90の車室内の臭いの強度を取得し、取得した臭いの強度を比較部36に出力する。第1取得部32は、第1臭いデータをもとに第1の臭いの強度を取得し、第2臭いデータをもとに第2の臭いの強度を取得し、取得した臭いの強度を比較部36に出力する。臭いの強度の取得には周知の技術を用いることができる。
【0022】
比較部36は、第1取得部32から出力された第1の臭いの強度と第2の臭いの強度のそれぞれを所定のしきい値と比較し、第1の臭いの強度と第2の臭いの強度を比較し、それらの比較結果を推定部42に出力する。しきい値は、実験などにより適宜定めることができ、たとえば複数の被験者のそれぞれが不快感を示す臭いの強度のしきい値にもとづいて設定できる。
【0023】
第2取得部34は、通信部30から出力された第1操作情報と第2操作情報にもとづいて、車両90の乗客の有無を取得し、取得した乗客の有無を示す情報を推定部42に出力する。第2取得部34は、第1操作情報が供給された場合、車両90に乗客が存在することを取得する。第2取得部34は、第2操作情報が供給されてから所定時間が経過した場合、車両90に乗客が存在しないことを取得する。所定時間は、実験などにより適宜定めることができ、たとえば、乗客が運賃の支払いに要する平均的な時間より長く設定してよい。
【0024】
あるいは、第2取得部34は、車両90のドアの開閉センサ(図示せず)の検知データを車載装置14から取得し、第2操作情報が供給された後、ドアの開閉が行われたことを示す検知データが供給された場合、車両90に乗客が存在しないことを取得してもよい。第2取得部34は、第2操作情報が供給された後、クレジットカードや電子マネーによる運賃の決済が完了したことを示す情報を車載装置14から取得した場合、車両90に乗客が存在しないことを取得してもよい。
【0025】
推定部42は、第2取得部34の乗客の有無を示す情報と比較部36の比較結果にもとづいて、乗客が存在せず、かつ、第1の臭いの強度または第2の臭いの強度がしきい値以上である場合、臭いの発生源が車両90の運転者であるか否か推定し、推定結果を決定部44に出力する。推定部42は、乗客が存在する場合、または、第1の臭いの強度と第2の臭いの強度のそれぞれがしきい値未満である場合、推定を実行しない。
【0026】
推定部42は、複数の臭いセンサ10のうちいずれの臭いセンサ10から最大強度の臭いが取得されたかにもとづいて、臭いの発生源が運転者であるか否か推定する。推定部42は、第1臭いセンサ10aから最大強度の臭いが取得された場合、臭いの発生源が運転者であると推定する。推定部42は、第2臭いセンサ10bから最大強度の臭いが取得された場合、臭いの発生源が運転者ではないと推定する。
【0027】
決定部44は、推定部42の推定結果に応じて運転者への通知内容を決定し、決定した通知内容を通知部38に出力する。決定部44は、推定部42で推定が実行されない場合、通知内容を決定しない。通知内容は、臭いが存在すること、臭いの発生源が運転者であるか否か、および、臭いの発生源に応じた対処方法を含む。
【0028】
運転者が発生源の場合の対処方法は、予め定められており、たとえば着替える指示、シャワーを浴びる指示、デオドラント効果を有する制汗剤の使用指示の少なくともいずれかを含む。運転者が発生源の場合の対処方法は、窓を開ける指示、車載の空気清浄機を臭い除去モードに切り替える指示、車載の脱臭器を作動させる指示、消臭スプレーの使用指示の少なくともいずれかをさらに含んでもよい。
【0029】
運転者が発生源ではない場合の対処方法は、予め定められており、たとえば窓を開ける指示、車載の空気清浄機を臭い除去モードに切り替える指示、車載の脱臭器を作動させる指示、消臭スプレーの使用指示、車室内の清掃指示の少なくともいずれかを含む。乗客が車室内で食事した場合、車室内の清掃により、フロアマットやシートに残った食べかすを除去して、臭いを軽減できる。
【0030】
通知部38は、決定された通知内容を出力部40を介して車両90の運転者に通知する。出力部40は、通知内容を示す音声を出力するスピーカを含む。音声が出力されることで、運転中や作業中の運転者が通知に気づきやすくなる。出力部40は、通知内容を文字で示す画像を出力するディスプレイをさらに含んでもよい。
【0031】
臭いの発生源が運転者であるか否かに応じて決定された通知内容により、臭いを効果的に軽減するための行動を運転者に取らせやすくできる。よって、次の乗客に車室内の臭いによる不快感を抱かせにくくできる。
【0032】
臭いに対する運転者の敏感さによっては、運転者はしきい値以上の強度の臭いの存在に気付かない可能性がある。その場合にも、通知を受けた運転者は、他者が不快に感じうる臭いの存在を容易に認識できる。
【0033】
たとえば、運転者が比較的長時間にわたり車両に乗車している場合、汗をかくことなどにより勤務開始時よりも体臭や汗臭さが強くなっている可能性がある。臭いの原因が運転者の体臭や汗臭さなどである場合、臭いの存在を通知するだけでは、運転者が自分の体臭などに気付かない可能性がある。自分の体臭などに気付かない運転者は、窓を開ける、空気清浄機を臭い除去モードに切り替える、脱臭器を作動させる、消臭スプレーを使用するなどの臭いを軽減するための一般的な行動を取りやすいが、これにより一時的に車室内の臭いは軽減しうるものの、再び臭いが強くなる。
【0034】
実施の形態では、自身が臭いの発生源でありうることを運転者が認識できるので、通知内容に含まれる対処方法に応じて、運転者が着替えること、シャワーを浴びること、制汗剤を使用することの少なくとも1つを実行することで、運転者から発生する臭いを軽減でき、車室内の臭いを効果的に軽減できる。
【0035】
また、乗客が臭いの発生源でありうることを運転者が認識できるので、通知内容に含まれる対処方法に応じて、たとえば窓を開けること、車載の空気清浄機を臭い除去モードに切り替えること、車載の脱臭器を作動させること、消臭スプレーを使用すること、車室内の清掃の少なくとも1つを実行することで、臭いを効果的に軽減できる。乗客がタバコ臭、食事臭などの臭いを車内に持ち込んだ場合、乗客が降車すれば、このような対処方法で臭いを軽減できる。
【0036】
また、乗客が降車してから車室内の臭いの存在を運転者に通知するので、運転者が気付きやすい音声で通知しても乗客の気分を害する恐れがない。
【0037】
通知部38は、臭いの存在などを通知した場合、取得された臭いの強度がしきい値未満になると、臭いが低減したことを出力部40を介して運転者に通知する。これにより、運転者は、臭いを除去または軽減するための行動を止めてよいことを容易に把握できる。
【0038】
図2は、図1の端末装置16の処理を示すフローチャートである。図2の処理は、定期的に実行される。第1取得部32は車両90の車室内の第1の臭いの強度と第2の臭いの強度を取得し(S10)、第1の臭いの強度または第2の臭いの強度がしきい値以上でなければ(S12のN)、処理を終了する。第1の臭いの強度または第2の臭いの強度がしきい値以上である場合(S12のY)、乗客が存在すれば(S14のY)、処理を終了する。乗客が存在しない場合(S14のN)、推定部42は臭いの発生源が運転者であるか推定し(S16)、臭いの発生源が運転者であれば(S18のY)、通知部38は、臭いの存在、臭いの発生源が運転者であること、および、対処方法を通知し(S20)、処理を終了する。臭いの発生源が運転者ではない場合(S18のN)、通知部38は、臭いの存在、臭いの発生源が運転者ではないこと、および、対処方法を通知し(S22)、処理を終了する。
【0039】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、強い臭いの継続期間にもとづいて臭いの発生源を推定することが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
臭いセンサ10は1つでよく、車室内の臭いを検知できる位置に設置される。その他の情報処理システム1の機能構成は図1と同じである。第1取得部32は、車室内の臭いの強度を定期的に取得する。
【0041】
通知部38は、取得された臭いの強度がしきい値以上であり、かつ、乗客が存在する場合、乗客が降車してから車室内の臭いの存在を出力部40を介して車両90の運転者に通知する。通知により臭いの存在を認識した運転者は、窓を開けること、車載の空気清浄機を臭い除去モードに切り替えること、車載の脱臭器を作動させること、消臭スプレーを使用することなどの行動を取れる。この時点では、臭いの発生源を推定できない。
【0042】
臭いの発生源が運転者であった場合、窓を開けることなどにより一時的に車室内の臭いは軽減しうるが、臭いは発生し続けるため、臭いの強度がしきい値未満には低減しにくい。
【0043】
推定部42は、乗客が降車した場合、すなわち車両90に乗客が存在しない場合、取得された臭いの強度がしきい値以上である期間が所定期間以上であれば、臭いの発生源が運転者であると推定する。所定期間は、実験により適宜設定される。たとえば所定期間は、乗客が臭いの発生源である場合に乗客の降車と臭いを軽減するための運転者の行動により車室内の臭いの強度がしきい値未満に下がる時間にもとづいて設定され、たとえば10分から数十分程度であってよい。
【0044】
推定部42で臭いの発生源が運転者であると推定された場合、決定部44は、臭いの発生源が運転者であること、および、運転者が発生源の場合の対処方法を含む通知内容を決定する。通知部38は、決定された通知内容を運転者に通知する。これにより、運転者は、自身が臭いの発生源でありうることを認識でき、通知内容に含まれる対処方法を実行することで車室内の臭いを効果的に軽減できる。
【0045】
一方、臭いの発生源が乗客であった場合、乗客は降車しているため、窓を開けることなどにより比較的短時間で車室内の臭いが軽減しやすく、所定期間内に臭いの強度がしきい値未満に低減しうる。
【0046】
推定部42は、乗客が降車した場合、すなわち車両90に乗客が存在しない場合、取得された臭いの強度がしきい値以上である期間が所定期間未満であれば、臭いの発生源が運転者ではないと推定する。つまり、所定期間内に臭いの強度がしきい値未満になった場合、推定部42は、臭いの発生源が運転者ではないと推定する。
【0047】
推定部42で臭いの発生源が運転者ではないと推定された場合、決定部44は、臭いの発生源が運転者ではないこと、および、臭いが軽減したことを含む通知内容を決定する。通知内容は、臭いの発生源が運転者ではないことを含まなくてもよい。通知部38は、決定された通知内容を運転者に通知する。通知により、運転者は、臭いを軽減するための行動を止めてよいことを把握できる。
【0048】
本実施の形態によれば、臭いセンサ10の数を減らすことができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0050】
実施の形態では、端末装置16が第1取得部32、第2取得部34、比較部36、通知部38、推定部42、決定部44を備えるが、これらは車載装置14に設けられてもよい。この場合、車載装置14の通知部38は、通信部20、端末装置16の通信部30と出力部40を介して、車室内の臭いの存在を運転者に通知する。また、車載装置14は第1取得部32と第2取得部34を備え、比較部36、通知部38、推定部42、決定部44は端末装置16に設けられてもよい。車載装置14は第1取得部32、第2取得部34、比較部36、推定部42、決定部44を備え、通知部38は端末装置16に設けられてもよい。これらの変形例では、情報処理システム1の構成の自由度を向上できる。
【0051】
端末装置16と車載装置14は、カーナビゲーションシステムなどの車載装置として一体に構成されてもよい。この変形例でも、情報処理システム1の構成の自由度を向上できる。
【0052】
通知内容は、臭いが存在すること、および、臭いの発生源が運転者であるか否かのみを含んでもよいし、臭いが存在すること、および、対処方法のみを含んでもよい。この変形例では、処理を簡素化できる。
【0053】
第1の実施の形態において、乗客の有無によらず、臭いの強度がしきい値以上であると判定されたタイミングで通知内容を通知してもよい。この場合、出力部40は、音声を用いず、振動と画像により通知することが好ましい。乗客に画像を見られないように、端末装置16は携帯端末であることが好ましい。この変形例では、情報処理システム1の処理を簡素化した上で、乗客の気分を害しにくくできる。また、運転者が信号待ちなどで通知を確認できれば、乗客の乗車中に窓を開けるなどの対処ができる。
【0054】
第1および第2の実施の形態は、配車型または同乗型のライドシェアサービスに適用してもよい。ライドシェアサービスでは、車両にタクシーメータが設けられていない。この場合、第2取得部34は、ユーザが指定した乗車位置と降車位置の間を車両90が走行中、車両90に乗客が存在することを取得してよい。あるいは、車両90の助手席と後部座席に着座センサを設け、第2取得部34は、着座センサの検知データをもとに車両90に乗客が存在するか否かを取得してよい。
【符号の説明】
【0055】
1…情報処理システム、10…臭いセンサ、10a…第1臭いセンサ、10b…第2臭いセンサ、12…タクシーメータ、14…車載装置、16…端末装置、20,30…通信部、32…第1取得部、34…第2取得部、36…比較部、38…通知部、40…出力部、42…推定部、44…決定部、90…車両。
図1
図2