(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231205BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2020184674
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】柴野 巧
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-077124(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064155(WO,A1)
【文献】特開2018-018250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176195(US,A1)
【文献】特開2020-154915(JP,A)
【文献】特開2020-027429(JP,A)
【文献】特開2014-39388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置から前記ユーザの移動の希望に関する情報を取得するとともに、前記ユーザが利用可能な少なくとも一部の移動手段に電力を供給する配電網に関する情報を取得するインタフェースと、
前記ユーザの移動の希望に関する情報と前記配電網に関する情報とに基づいて前記ユーザに提案する移動手段を決定し、前記端末装置に出力する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ユーザが利用した移動手段で消費された電力のうち前記配電網に電力を供給する再生可能エネルギー発電設備
で発電された電力の割合に基づいて、前記ユーザにインセンティブを付与する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザが利用した移動手段で消費された電力のうち前記配電網に電力を供給する再生可能エネルギー発電設備で発電された電力の割合が大きいほど、前記ユーザに付与するインセンティブの価値を大きくする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ユーザに提案すると決定した移動手段に関する情報であり、前記ユーザに提案すると決定した移動手段で前記ユーザが移動する場合の出発時刻又は到着時刻を特定する提案情報を生成し、
前記提案情報で特定される出発時刻又は到着時刻に基づいて、前記ユーザに提案すると決定した移動手段を前記ユーザが利用する時間帯である利用時間帯を推定し、
前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が所定値以上である場合に、前記ユーザに提案する移動手段として、前記ユーザが利用する際に電力を消費する移動手段を決定し、
前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が前記所定値未満である場合に、前記ユーザに提案する移動手段として、前記ユーザが利用する際に電力を消費する移動手段以外の移動手段を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が小さいほど、前記ユーザに提案する移動手段として消費電力が小さい移動手段を決定する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザから移動手段の利用予約を受け付け、前記ユーザが前記利用予約のとおりに移動した場合に前記ユーザにインセンティブを付与する、請求項1
から4までのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザの利用予約に基づいて、前記移動手段の運行スケジュールを決定する、請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ユーザが予約した移動手段が充電可能な電動移動体を含む場合、前記ユーザの予約に基づいて前記充電可能な電動移動体の充電スケジュールを決定する、請求項
5又は
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の情報処理装置と、前記端末装置とを備える情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置が、ユーザの端末装置から前記ユーザの移動の希望に関する情報を取得することと、
前記情報処理装置が、前記ユーザが利用可能な少なくとも一部の移動手段に電力を供給する配電網に関する情報を取得することと、
前記情報処理装置が、前記ユーザの移動の希望に関する情報と前記配電網に関する情報とに基づいて前記ユーザに提案する移動手段を決定し、前記端末装置に出力することと、
前記情報処理装置が、前記ユーザが利用した移動手段で消費された電力のうち前記配電網に電力を供給する再生可能エネルギー発電設備
で発電された電力の割合に基づいて、前記ユーザにインセンティブを付与することと
を含む、情報処理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、前記ユーザが利用した移動手段で消費された電力のうち前記配電網に電力を供給する再生可能エネルギー発電設備で発電された電力の割合が大きいほど、前記ユーザに付与するインセンティブの価値を大きくすることを更に含む、請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記情報処理装置が、前記ユーザに提案すると決定した移動手段に関する情報であり、前記ユーザに提案すると決定した移動手段で前記ユーザが移動する場合の出発時刻又は到着時刻を特定する提案情報を生成することと、
前記情報処理装置が、前記提案情報で特定される出発時刻又は到着時刻に基づいて、前記ユーザに提案すると決定した移動手段を前記ユーザが利用する時間帯である利用時間帯を推定することと、
前記情報処理装置が、前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が所定値以上である場合に、前記ユーザに提案する移動手段として、前記ユーザが利用する際に電力を消費する移動手段を決定することと、
前記情報処理装置が、前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が前記所定値未満である場合に、前記ユーザに提案する移動手段として、前記ユーザが利用する際に電力を消費する移動手段以外の移動手段を決定することと
を更に含む、請求項9又は10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記情報処理装置が、前記利用時間帯における前記配電網の電力予備率が小さいほど、前記ユーザに提案する移動手段として消費電力が小さい移動手段を決定することを更に含む、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記情報処理装置が、前記ユーザから移動手段の利用予約を受け付けることと、
前記情報処理装置が、前記ユーザが前記利用予約のとおりに移動した場合に前記ユーザにインセンティブを付与することと
を更に含む、請求項9
から12までのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記情報処理装置が、前記ユーザの利用予約に基づいて、前記移動手段の運行スケジュールを決定することを更に含む、請求項
13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記情報処理装置が、前記ユーザが予約した移動手段が充電可能な電動移動体を含む場合、前記ユーザの予約に基づいて前記充電可能な電動移動体の充電スケジュールを決定することを更に含む、請求項
13又は
14に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバッテリの充電に関する構成として、例えば特許文献1には、所与の地域における将来の電気自動車の充電量を予測して、前記地域での電力需要を正確に予測すると共に、自然エネルギー発電の利用度を高めてスマートコミュニティの品質向上に寄与することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力供給の安定性の向上が求められる。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、電力供給の安定性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、インタフェースと、制御部とを備える。前記インタフェースは、ユーザの端末装置から前記ユーザの移動の希望に関する情報を取得する。前記インタフェースは、前記ユーザが利用可能な少なくとも一部の移動手段に電力を供給する配電網に関する情報を取得する。前記制御部は、前記ユーザの移動の希望に関する情報と前記配電網に関する情報とに基づいて前記ユーザに提案する移動手段を決定し、前記端末装置に出力する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理システムは、前記情報処理装置と、前記端末装置とを備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、ユーザの端末装置から前記ユーザの移動の希望に関する情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記ユーザが利用可能な少なくとも一部の移動手段に電力を供給する配電網に関する情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記ユーザの移動の希望に関する情報と前記配電網に関する情報とに基づいて前記ユーザに提案する移動手段を決定し、前記端末装置に出力することを含む。
【0009】
本開示の一実施形態に係る端末装置は、制御部を備える。前記制御部は、ユーザから移動の希望に関する情報の入力を受け付けて情報処理装置に出力する。前記制御部は、前記情報処理装置から、前記ユーザの移動の希望に関する情報と、前記ユーザが利用可能な少なくとも一部の移動手段に電力を供給する配電網に関する情報とに基づいて提案された移動手段を取得し、前記ユーザに通知する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び端末装置によれば、電力供給の安定性が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】ユーザに移動手段を地図形式で提案する画面の一例を示す図である。
【
図4】ユーザに移動手段を一覧形式で提案する画面の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る情報処理方法の手順例を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態に係る端末制御方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(情報処理システム1の構成例)
図1及び
図2に示されるように、一実施形態に係る情報処理システム1は、サーバ10と、ユーザ80によって利用される端末装置70とを備える。
【0013】
情報処理システム1は、ユーザ80が移動を希望する場合、ユーザ80の移動の希望に関する情報を取得し、その情報に基づいてユーザ80に移動手段20の利用を提案する。ユーザ80の移動の希望に関する情報は、移動情報とも称される。移動情報は、ユーザ80の出発地点61(
図3参照)及び目標地点62(
図3参照)を特定する情報を含む。移動情報は、出発時刻又は到着時刻を特定する情報を含んでもよい。
【0014】
移動手段20の少なくとも一部は、配電網50から供給される電力を消費して駆動される。情報処理システム1は、少なくとも一部の移動手段20に電力を供給する配電網50に関する情報に更に基づいて、ユーザ80に移動手段20の利用を提案する。配電網50に関する情報は、配電網情報とも称される。配電網情報は、配電網50における電力需要に関する情報を含む。配電網情報は、配電網50において供給可能な最大電力に関する情報を含んでもよい。配電網情報は、供給可能な最大電力に対する電力需要の割合を含んでもよい。供給可能な最大電力に対する電力需要の割合は、電力使用率とも称される。配電網情報は、供給可能な最大電力と実際の電力需要との差を含んでもよい。供給可能な最大電力と実際の電力需要との差は、予備供給力とも称される。配電網情報は、供給可能な最大電力に対する予備供給力の割合を含んでもよい。供給可能な最大電力に対する予備供給力の割合は、電力予備率とも称される。
【0015】
情報処理システム1は、配電網情報、又は、配電網情報に含まれる電力使用率若しくは電力予備率等に基づいて、ユーザ80に電力を消費する移動手段20の利用を提案するか電力を消費しない移動手段20の利用を提案するか決定してよい。情報処理システム1は、配電網情報、又は、配電網情報に含まれる電力使用率若しくは電力予備率等に基づいて、ユーザ80に電力を多く消費する移動手段20の利用を提案するか電力をあまり消費しない移動手段20の利用を提案するか決定してよい。
【0016】
つまり、情報処理システム1は、移動情報及び配電網情報に基づいて、ユーザ80に利用を提案する移動手段20を決定する。以下、情報処理システム1の構成例が説明される。
【0017】
<サーバ10>
サーバ10は、サーバ制御部12と、サーバインタフェース14とを備える。サーバインタフェース14は、サーバI/F14とも称される。
【0018】
サーバ制御部12は、サーバ10の各構成部を制御する。サーバ制御部12は、単に制御部とも称される。サーバ制御部12は、1つ以上のプロセッサを含んで構成されてよい。本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であるが、これらに限られない。サーバ制御部12は、1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。サーバ制御部12は、プロセッサの代わりに専用回路を含んで構成されてもよいし、プロセッサとともに専用回路を含んで構成されてもよい。
【0019】
サーバ10は、記憶部を更に備えてよい。記憶部は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよい。記憶部は、サーバ10の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してもよい。記憶部は、サーバ制御部12に含まれてもよい。
【0020】
サーバI/F14は、サーバ制御部12から情報又はデータ等を出力したり、サーバ制御部12に情報又はデータ等を入力したりする。サーバI/F14は、単にインタフェース又はI/Fとも称される。
【0021】
サーバI/F14は、ネットワーク30を介して移動手段20と通信可能に構成される通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよいが、これらに限られない。サーバI/F14は、通信モジュールに接続可能に構成されてもよい。
【0022】
サーバ10は、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置を含んでよい。サーバ10は、情報処理装置とも称される。
【0023】
<端末装置70>
端末装置70は、ユーザ80によって利用可能に構成される。端末装置70は、ユーザ80によって所持されていてよい。端末装置70は、例えばスマートフォン等の携帯端末を含んでよい。端末装置70は、ノートPC(Personal Computer)又はタブレットPC等のPCを含んでよい。端末装置70は、これらの例に限られず、種々の機器を含んでよい。
【0024】
端末装置70は、端末制御部72と、端末インタフェース74とを備える。端末インタフェース74は、端末I/F74とも称される。
【0025】
端末制御部72は、端末装置70の各構成部を制御する。端末制御部72は、単に制御部とも称される。端末制御部72は、サーバ10のサーバ制御部12と同一又は類似に構成されてよい。端末制御部72は、1つ以上のプロセッサを含んで構成されてよい。端末制御部72は、1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよい。専用回路は、例えば、FPGA又はASICを含んでよい。端末制御部72は、プロセッサの代わりに専用回路を含んで構成されてもよいし、プロセッサとともに専用回路を含んで構成されてもよい。
【0026】
端末装置70は、記憶部を更に備えてよい。端末装置70の記憶部は、サーバ10の記憶部と同一又は類似に構成されてよい。記憶部は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよい。記憶部は、端末装置70の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してもよい。記憶部は、端末制御部72に含まれてもよい。
【0027】
端末I/F74は、端末制御部72から情報又はデータ等を出力したり、端末制御部72に情報又はデータ等を入力したりする。端末I/F74は、単にインタフェース又はI/Fとも称される。
【0028】
端末I/F74は、サーバI/F14と同一又は類似に構成されてよい。端末I/F74は、ネットワーク30を介して移動手段20と通信可能に構成される通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよいが、これらに限られない。端末I/F74は、通信モジュールに接続可能に構成されてもよい。
【0029】
端末装置70は、入力部76を更に備えてよい。入力部76は、ユーザ80から情報又はデータ等の入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成される。入力デバイスは、例えば、タッチパネル若しくはタッチセンサ、又はマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、物理キーを含んで構成されてもよい。入力デバイスは、マイク等の音声入力デバイスを含んで構成されてもよい。
【0030】
端末装置70は、出力部78を更に備えてよい。出力部78は、ユーザ80に対して情報又はデータ等を出力する出力デバイスを含んで構成される。出力デバイスは、例えば、画像又は文字若しくは図形等の視覚情報を出力する表示デバイスを含んでよい。表示デバイスは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ若しくは無機ELディスプレイ、又は、PDP(Plasma Display Panel)等を含んで構成されてよい。表示デバイスは、これらのディスプレイに限られず、他の種々の方式のディスプレイを含んで構成されてよい。表示デバイスは、LED(Light Emission Diode)又はLD(Laser Diode)等の発光デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、例えば、音声等の聴覚情報を出力するスピーカ等の音声出力デバイスを含んでよい。出力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んでよい。
【0031】
情報処理システム1が備える端末装置70の数は、1つに限られず、2つ以上であってよい。
【0032】
<移動手段20>
情報処理システム1は、ユーザ80が移動するために利用可能に構成される種々の移動体を、ユーザ80に利用を提案する移動手段20として決定してよい。移動手段20は、例えば、電車又は路線バス等の所定の経路に沿って運行する移動体を利用した移動を含んでよい。移動手段20は、例えば、オンデマンドバス又はタクシー等のユーザ80の要求に応じて運行する移動体を利用した移動を含んでよい。移動手段20は、例えば、シェアリングカー若しくはレンタカー又はレンタルサイクル等のユーザ80に貸し出してユーザ80自身に操作させる移動体を利用した移動を含んでよい。移動手段20は、ユーザ80が移動体を利用せずに徒歩等で移動することを含んでもよい。
【0033】
移動手段20は、電力を消費して駆動される電動移動体22と、電力を消費せずに駆動される非電動移動体とに分類される。電動移動体22は、配電網50から供給される電力を消費して駆動される。電動移動体22は、配電網50から供給される電力をそのまま消費して駆動されてもよい。電動移動体22は、配電網50から供給される電力をバッテリに充電してバッテリから放電される電力を消費して駆動されてもよい。非電動移動体は、例えばガソリン若しくはガス等の化石燃料又は他のエネルギー源を消費して駆動される。非電動移動体は、ユーザ80自身によって駆動されてもよい。
【0034】
移動手段20の運行は、情報処理システム1によって管理されてもよい。情報処理システム1は、例えば、路線バス又は電車等の所定の経路に沿って運行する移動体の運行スケジュールを管理してよい。情報処理システム1は、例えば、オンデマンドバス又はタクシー等の運行をユーザ80の要求に応じて管理してよい。情報処理システム1は、例えば、シェアリングカー若しくはレンタカー又はレンタルサイクル等の貸し出し状況を管理してよい。
【0035】
情報処理システム1による管理対象となる移動手段20の種類の数は、1つに限られず、2つ以上であってもよい。移動手段20は、自動運転又は自動操作によって移動する移動体を含んでもよい。移動手段20が車両である場合、自動運転は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1からレベル5までのいずれかのレベルで実施されてよい。自動運転は、例示した定義に限られず、他の定義に基づいて実施されてもよい。
【0036】
<配電網50>
配電網50は、発電設備52等の電力供給元と、電動移動体22等の電力供給先との間を電気的に接続する。本実施形態において、配電網50は、発電設備52と電動移動体22との間を電気的に接続し、発電設備52から電動移動体22に電力を供給可能に構成される。
【0037】
発電設備52は、例えば火力発電、水力発電、原子力発電、又は再生可能エネルギー発電等の種々の形態で発電する発電所を含む。再生可能エネルギー発電は、例えば太陽光発電、風力発電、地熱発電、又は水力発電等を含む。
【0038】
本実施形態において、情報処理システム1は、配電網サーバ54とネットワーク30を介して通信可能に接続されるとする。配電網サーバ54は、サーバ10と同一又は類似に構成されてよい。配電網サーバ54は、配電網情報を取得する。配電網情報は、配電網50の電力供給先において需要がある電力量に関する情報を含む。配電網サーバ54は、配電網50の電力供給先の電力需要を満たすことができるように、電力供給元としての発電設備52に対して発電する電力量を指示する情報を生成し、発電設備52に出力してよい。
【0039】
配電網サーバ54は、CEMS(Community Energy Management System)として機能し得る。CEMSは、地域全体における電力等のエネルギーを管理する。具体的には、CEMSは、地域内の発電設備52から供給される電力と、地域全体において消費される電力とを管理する。つまり、CEMSは、地域全体において電力の需要と供給とを管理する。
【0040】
配電網サーバ54は、発電設備52の状態に関する情報を取得してよい。配電網サーバ54は、発電設備情報に基づいて、発電設備52に対して発電する電力量を指示する情報を生成してよい。発電設備52の状態に関する情報は、発電設備情報とも称される。発電設備情報は、発電設備52が現時点で出力可能な電力量に関する情報を含んでよいし、発電設備52が今後出力可能であると推定される電力量に関する情報を含んでよい。具体的には、発電設備情報は、太陽光発電又は風力発電等の再生可能エネルギーによって発電される電力の予測結果等を含んでよい。発電設備情報は、火力発電等の発電計画に関する情報を含んでもよい。
【0041】
(情報処理システム1の動作例)
情報処理システム1は、ユーザ80に対して移動手段20を提案するサービスを提供する。情報処理システム1は、移動手段20の提案を希望するユーザ80から、サービスへの登録を受け付けてよい。情報処理システム1は、サービスに登録したユーザ80に対して移動手段20を提案してよい。情報処理システム1は、サービスに登録していないユーザ80に対して移動手段20を提案してもよい。
【0042】
情報処理システム1において、サーバ10のサーバ制御部12は、ユーザ80のサービスへの登録の有無にかかわらず、サービスを利用するユーザ80に関する情報を取得して記憶部に格納してよい。サービスを利用するユーザ80に関する情報は、利用ユーザ情報とも称される。
【0043】
端末装置70は、ユーザ80の移動の希望に関する情報、つまり移動情報を取得する。端末装置70は、入力部76又は端末I/F74によって、ユーザ80による移動情報の入力を受け付けてよい。端末装置70は、移動情報をサーバ10に出力する。サーバ10は、サーバI/F14によって、端末装置70から移動情報を取得する。移動情報は、利用ユーザ情報に関連づけられてよいし、利用ユーザ情報を含んでもよい。
【0044】
配電網サーバ54は、移動手段20に電力を供給する配電網50の電力需給に関する情報、つまり配電網情報を生成してサーバ10に出力する。サーバ10は、サーバI/F14によって、配電網サーバ54から配電網情報を取得する。
【0045】
サーバ制御部12は、サーバI/F14によって取得した移動情報及び配電網情報に基づいて、ユーザ80に提案する移動手段20を決定する。具体的には、サーバ制御部12は、移動情報で特定される出発地点61と目標地点62とを結ぶ少なくとも1つの経路を生成する。サーバ制御部12は、ユーザ80が経路に沿って移動するために利用可能な移動手段20を抽出する。サーバ制御部12は、抽出した移動手段20をユーザ80に提案してもよい。ユーザ80に提案する情報は、提案情報とも称される。言い換えれば、提案情報は、サーバ制御部12がユーザ80に提案すると決定した移動手段20に関する情報を含む。サーバ制御部12は、経路と移動手段20とを関連づけた情報を提案情報としてユーザ80に提案してもよい。サーバ制御部12は、提案情報を端末装置70に出力して端末装置70からユーザ80に通知させることによって、ユーザ80に移動手段20を提案する。提案情報は、ユーザ利用情報に関連づけられちょい。
【0046】
サーバ制御部12は、提案情報として、生成した経路と抽出した移動手段20とを関連づけた情報を生成して端末装置70に出力してもよい。サーバ制御部12は、提案情報として、経路と移動手段20とを関連づけた情報に、ユーザ80がその移動手段20を利用した場合にかかる時間又は費用を更に関連づけた情報を生成して端末装置70に出力してもよい。
【0047】
サーバ制御部12は、抽出した移動手段20が電動移動体22を含む場合、ユーザ80がその移動手段20を利用して移動した場合の消費電力に関する情報を取得する。消費電力に関する情報は、消費電力情報とも称される。サーバ制御部12は、提案情報として、経路と移動手段20とを関連づけた情報に、消費電力情報を更に関連づけた情報を生成して端末装置70に出力してもよい。
【0048】
サーバ制御部12は、提案情報で特定される出発時刻又は到着時刻に基づいて、ユーザ80が移動手段20を利用する時間帯を推定してよい。ユーザ80が移動手段20を利用する時間帯は、利用時間帯とも称される。
【0049】
サーバ制御部12は、推定した利用時間帯における配電網情報に基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。サーバ制御部12は、例えば、電力予備率に基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。具体的には、サーバ制御部12は、推定した利用時間帯における電力予備率が所定値以上である場合に、ユーザ80に提案する移動手段20として、電力を消費する移動手段20を決定してよい。サーバ制御部12は、電力を消費する移動手段20のうち電車のようにユーザ80の利用にかかわらず運行している移動手段20をユーザ80に提案する場合、電力予備率の大きさにかかわらずにその移動手段20を提案してよい。つまり、サーバ制御部12は、電力を消費する移動手段20のうちユーザ80が利用する際に電力を消費する移動手段20をユーザ80に提案する条件として、推定した利用時間帯における電力予備率が所定値以上であるか判定してよい。
【0050】
サーバ制御部12は、推定した利用時間帯より前の時間帯における配電網情報に基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。サーバ制御部12は、例えば、推定した利用時間帯より前に電力予備率が所定値以上である時間帯が存在するかに基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。具体的には、サーバ制御部12は、推定した利用時間帯より前の時間帯のうち電力予備率が所定値以上である時間帯にバッテリを充電できる移動手段20を、ユーザ80に提案してもよい。つまり、サーバ制御部12は、電力予備率が所定値以上である間にあらかじめ充電した電力をユーザ80の利用のために消費する移動手段20を、ユーザ80に提案してよい。
【0051】
サーバ制御部12は、推定した利用時間帯又はその前の時間帯において電力予備率が所定値未満である場合、電力を消費しない移動手段20をユーザ80に提案してもよい。サーバ制御部12は、推定した利用時間帯又はその前の時間帯において電力予備率が所定値未満である場合、ユーザ80の利用によって電力を消費する移動手段20以外の移動手段20をユーザ80に提案してもよい。
【0052】
サーバ制御部12は、推定した利用時間帯における電力予備率が小さいほど、消費電力が小さい移動手段20をユーザ80に提案してよい。サーバ制御部12は、推定した利用時間帯より前の時間帯における電力予備率が小さいほど、充電する電力が少なくても利用できる移動手段20をユーザ80に提案してよい。
【0053】
以上説明してきたように、サーバ制御部12は、移動情報と配電網情報とに基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定することによって、移動手段20の運行が配電網50の電力需要に及ぼす影響が予測され得る。その結果、配電網50の電力需要の予測精度が向上し得る。また、サーバ制御部12は、配電網50の電力需要を平準化して電力需要のピークを低くするように、ユーザ80に提案する移動手段20を決定できる。配電網50の電力需要のピーク時の電力予備率がゼロに近づきにくくなる。その結果、配電網50の電力供給の安定性が向上し得る。
【0054】
<提案する移動手段20の表示>
サーバ制御部12は、提案情報を端末装置70に出力する。端末装置70は、提案情報をユーザ80に認識させるように、出力部78又は端末I/F74によって出力する。
【0055】
端末装置70は、表示デバイスとして構成されている出力部78に提案情報を表示させてよい。具体的には、出力部78は、ユーザ80の出発地点61と目標地点62とを特定するとともに、出発地点61と目標地点62とを結ぶ少なくとも1つの経路を特定する提案画面60を表示する。
【0056】
出力部78は、例えば
図3に示されるように、出発地点61と目標地点62とを結ぶ少なくとも1つの経路と、各経路で利用可能な移動手段20とを地図上に表示する態様で提案画面60を表示してよい。地図上に表示する態様は、地図形式とも称される。
図3において、ユーザ80に提案される3本の提案経路41、42及び43が表示されている。ユーザ80に提案される経路の数は、3本に限られず、2本以下であってもよいし4本以上であってもよい。各経路は、出発地点61から目標地点62までの間に少なくとも1つの中継地点63を含んでよい。中継地点63の数は、2つ以上であってもよいし、ゼロであってもよい。
【0057】
出力部78は、ユーザ80が各地点間を移動するために利用可能な移動手段20を提案画面60に表示してユーザ80に提案する。
【0058】
提案経路41に沿って移動するための移動手段20として、徒歩アイコン64と、バスアイコン66と、タクシーアイコン68とが表示されている。つまり、提案経路41は、移動手段20として徒歩とバスとタクシーとに関連づけられている。ユーザ80は、提案経路41に沿って移動する場合に、移動手段20として徒歩とバスとタクシーとを利用できる。バスは、路線バスであるとする。バスは、オンデマンドバスであってもよい。タクシーは、オンデマンドバスに置き換えられてもよい。
【0059】
提案経路42に沿って移動するための移動手段20として、自転車アイコン65と、電車アイコン67とが表示されている。つまり、提案経路42は、移動手段20として自転車と電車とに関連づけられている。ユーザ80は、提案経路42に沿って移動する場合に、移動手段20として自転車と電車とを利用できる。自転車は、レンタルサイクルであるとする。
【0060】
提案経路43に沿って移動するための移動手段20として、徒歩アイコン64と、乗用車アイコン69とが表示されている。つまり、提案経路43は、移動手段20として徒歩と乗用車とに関連づけられている。ユーザ80は、提案経路43に沿って移動する場合に、移動手段20として徒歩と乗用車とを利用できる。乗用車は、レンタカー又はシェアカーであるとする。乗用車は、オンデマンドバスに置き換えられてもよい。
【0061】
端末装置70は、各経路又は各移動手段20に関する更に詳細な情報を出力してもよい。端末装置70は、例えば、提案されている経路の中からユーザ80が入力によって指定した経路に関する詳細な情報を出力してよい。経路に関する詳細な情報は、例えば、各経路を利用した移動にかかる時間又は各経路を利用するために必要な費用等を含んでよい。端末装置70は、例えば、提案されている移動手段20の中からユーザ80が入力によって指定した移動手段20に関する詳細な情報を出力してよい。移動手段20に関する詳細な情報は、例えば、各移動手段20を利用した移動にかかる時間、各移動手段20を利用するために必要な費用、又は、各移動手段20を利用するために必要な条件等を含んでよい。
【0062】
出力部78は、例えば
図4に示されるように、各経路と各経路で利用可能な移動手段20とを一覧で表示する態様で提案画面60を表示してよい。一覧で表示する態様は、一覧形式とも称される。具体的には、端末装置70は、例えば、提案経路41、42及び43それぞれで利用可能な移動手段20、つまり各経路に関連づけられている移動手段20を1つの行に並べて表示してよい。端末装置70は、各経路を利用した移動にかかる時間又は各経路を利用するために必要な費用等を、各経路を表示する行又は隣接する行若しくは近傍の行に表示してもよい。端末装置70は、ユーザ80に提案する経路とその経路で利用可能な移動手段20とを、これらの例に限られず、テキスト形式等の他の種々の形式で表示してもよい。
【0063】
<ユーザ80による移動手段20の選択及び予約>
ユーザ80は、提案画面60に表示された情報に基づいて経路を選択できる。端末装置70は、入力部76又は端末I/F74によって、提案経路41、42及び43の中からいずれか1つの経路を選択する入力をユーザ80から受け付ける。端末装置70は、経路を地図上に表示している場合、地図上に表示されている経路をユーザ80が直接指定する入力を受け付けてよい。端末装置70は、経路を一覧形式で表示している場合、経路を表示する行をユーザ80が指定する入力を受け付けてよい。端末装置70は、経路を他の種々の形式で表示している場合、表示している形式に応じてユーザ80に経路を選択させる入力を受け付けてよい。端末装置70は、ユーザ80から経路を選択する入力を受け付けた場合、ユーザ80が選択した経路で利用する移動手段20をユーザ80が選択したとみなしてよい。端末装置70は、ユーザ80が選択した経路に2つ以上の利用可能な移動手段20が関連づけられている場合、関連づけられている全ての利用可能な移動手段20をユーザ80が一括で選択したとみなしてよい。端末装置70は、ユーザ80が選択した経路に関連づけられている2つ以上の移動手段20の中から、ユーザ80が移動手段20を更に絞り込んで選択する入力を受け付けてもよい。
【0064】
ユーザ80は、提案画面60に表示された情報に基づいて移動手段20を選択できる。端末装置70は、入力部76又は端末I/F74によって、提案経路41、42及び43のいずれかに含まれる移動手段20を選択する入力をユーザ80から受け付ける。端末装置70は、移動手段20を地図上に表示している場合、地図上に表示している移動手段20のアイコンをユーザ80が直接指定する入力を受け付けてよい。端末装置70は、移動手段20をテーブル形式で表示している場合、移動手段20を表示しているセルをユーザ80が指定する入力を受け付けてよい。端末装置70は、移動手段20を他の種々の形式で表示している場合、表示している形式に応じてユーザ80に移動手段20を選択させる入力を受け付けてよい。
【0065】
端末装置70は、ユーザ80が経路又は移動手段20を選択する入力を受け付けた場合、ユーザ80が選択した移動手段20をサーバ10に出力する。
【0066】
サーバ10のサーバ制御部12は、ユーザ80が選択した移動手段20に対してユーザ80が利用を予約したとみなして、その移動手段20の利用予約を設定してもよい。端末装置70は、ユーザ80が移動手段20を選択した場合、その移動手段20の利用を予約する入力を更に受け付けて、予約に関する情報をサーバ10に出力してもよい。サーバ制御部12は、端末装置70から予約に関する情報を取得し、移動手段20の利用予約を設定してもよい。
【0067】
サーバ制御部12は、ユーザ80の移動手段20の利用予約に基づいて、移動手段20の消費電力を推定する。サーバ制御部12は、移動手段20の消費電力の推定結果に基づいて、配電網50の電力需要を推定する。
【0068】
サーバ制御部12は、ユーザ80が移動手段20を予約どおりに利用した場合、ユーザ80にインセンティブを付与してよい。このようにすることでユーザ80が予約を変更したりキャンセルしたりする頻度が少なくなり得る。予約の変更又はキャンセルが少なくなることによって、移動手段20の運行の予測精度が向上し得る。その結果、サーバ制御部12による電力需要の予測精度が向上し得る。
【0069】
サーバ制御部12は、ユーザ80の予約に基づいて移動手段20の運行スケジュールを決定してよい。具体的には、サーバ制御部12は、移動手段20の利用の予約が無い期間にその移動手段20を運行しないように運行スケジュールを決定してよい。サーバ制御部12は、移動手段20の利用の予約が少ない期間にその移動手段20の運行頻度を減らすように運行スケジュールを決定してよい。サーバ制御部12は、移動手段20の利用の予約が少ない期間に、予約を他の期間に振り替えるとともに、その移動手段20を運行しないように運行スケジュールを決定してもよい。移動手段20は、その運行スケジュールが予約に基づいて決定されることによって効率的に運行され得る。その結果、移動手段20の消費電力が低減され得る。
【0070】
<インセンティブの付与>
サーバ制御部12は、ユーザ80が選択した移動手段20の利用予約に関する情報を端末装置70に出力する。端末制御部72は、利用予約に関する情報を出力部78に表示させることによってユーザ80に通知してよい。ユーザ80は、利用予約に基づいて移動手段20を利用してよい。端末制御部72は、ユーザ80による移動手段20の利用結果に関する情報をサーバ10に出力する。利用結果に関する情報は、ユーザ80が利用予約のとおりに移動手段20を利用したことを特定する情報を含んでよい。利用結果に関する情報は、ユーザ80が利用予約をキャンセルしたり変更したりしたことを特定する情報を含んでよい。つまり、利用結果に関する情報は、ユーザ80が利用予約のとおりに移動手段20を利用しなかったことを特定する情報を含んでよい。
【0071】
サーバ制御部12は、利用結果に関する情報として、ユーザ80が利用予約のとおりに移動手段20を利用したことを特定する情報を取得した場合、ユーザ80にインセンティブを付与してよい。具体的には、サーバ制御部12は、端末装置70にインセンティブに関する情報を出力することによって、ユーザ80にインセンティブを付与してよい。サーバ制御部12は、利用ユーザ情報にインセンティブに関する情報を関連づけることによって、移動手段20の利用予約を設定したユーザ80にインセンティブに関する情報を付与してもよい。
【0072】
インセンティブは、例えば、ポイントとして付与されてよい。インセンティブは、例えば、移動手段20の利用料金の支払いに適用できるポイントとして付与されてもよい。インセンティブは、電子マネーとして付与されてもよい。インセンティブは、有価物又は有償サービスと交換可能なポイントとして付与されてもよい。ポイントは、足湯の利用チケットと交換可能とされてよい。ポイントは、移動手段20の利用チケットと交換可能とされてよい。ポイントは、これらの例に限られず他の種々の有価物又は有償サービスと交換可能とされてよい。
【0073】
ユーザ80が利用予約のとおりに移動手段20を利用した場合にインセンティブを付与することによって、移動手段20が予約どおりに利用されやすくなる。その結果、配電網50における電力需要の管理が容易になる。
【0074】
<情報処理方法の手順例>
サーバ制御部12は、
図5に例示されるフローチャートの手順を含む情報処理方法を実行してもよい。情報処理方法は、サーバ制御部12を構成するプロセッサに実行させる情報処理プログラムとして実現されてもよい。
【0075】
サーバ制御部12は、端末装置70から移動情報を取得する(ステップS1)。サーバ制御部12は、配電網サーバ54から配電網情報を取得する(ステップS2)。サーバ制御部12は、移動情報と配電網情報とに基づいて提案情報を生成し、出力する(ステップS3)。サーバ制御部12は、端末装置70から、ユーザ80が提案情報に基づいて移動手段20を選択した結果を取得する(ステップS4)。サーバ制御部12は、ユーザ80が選択した移動手段20に、ユーザ80が利用する予約を設定する(ステップS5)。ステップS5の手順において、サーバ制御部12は、設定した予約に関する情報を端末装置70に出力してよい。サーバ制御部12は、移動手段20の利用の予約に基づいて、移動手段20の運行スケジュールを決定する(ステップS6)。ステップS6の手順において、サーバ制御部12は、既に決定されていた運行スケジュールを更新してもよい。
【0076】
サーバ制御部12は、端末装置70からユーザ80が移動手段20を利用した結果に関する情報を取得し、移動手段20が予約どおりに利用されたか判定する(ステップS7)。サーバ制御部12は、移動手段20が予約どおりに利用されなかった場合(ステップS7:NO)、
図5のフローチャートの手順の実行を終了する。サーバ制御部12は、移動手段20が予約どおりに利用された場合(ステップS7:YES)、ユーザ80にインセンティブを付与する(ステップS8)。具体的には、サーバ制御部12は、ユーザ80が所持する端末装置70にインセンティブに関する情報を出力してよい。サーバ制御部12は、ステップS8の手順の実行後、
図5のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0077】
<端末制御方法の手順例>
端末装置70の端末制御部72は、
図6に例示されるフローチャートの手順を含む端末制御方法を実行してもよい。端末制御方法は、端末制御部72を構成するプロセッサに実行させる端末制御プログラムとして実現されてもよい。
【0078】
端末制御部72は、ユーザ80から移動情報の入力を受け付け、サーバ10に出力する(ステップS11)。端末制御部72は、サーバ10から提案情報を取得し、出力部78に表示する(ステップS12)。端末制御部72は、ユーザ80から移動手段20を選択する入力を受け付け、サーバ10に出力する(ステップS13)。ステップS13の手順において、さらに、端末制御部72は、ユーザ80が移動手段20の利用を予約する入力を受け付けてサーバ10に出力してもよい。端末制御部72は、サーバ10から、ユーザ80が移動手段20を利用するための予約設定情報を取得する(ステップS14)。端末制御部72は、ユーザ80が移動手段20を利用した結果を出力する(ステップS15)。具体的には、端末制御部72は、ユーザ80が予約どおりに移動手段20を利用したかを特定する情報を出力する。端末制御部72は、ユーザ80が移動手段20を利用したことに応じてユーザ80に付与されるインセンティブに関する情報をサーバ10から取得する(ステップS16)。具体的には、端末制御部72は、ユーザ80が予約どおりに移動手段20を利用した場合に、サーバ10からインセンティブに関する情報を取得してよい。端末制御部72は、ステップS16の手順の実行後、
図6のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0079】
<小括>
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザ80の移動の希望に関する情報と配電網50に関する情報とに基づいて、ユーザ80に移動手段20を提案できる。このようにすることで、電力需要が平準化され得る。その結果、配電網50の電力供給の安定性が向上し得る。また、情報処理システム1は、移動手段20の運行スケジュールを、ユーザ80の利用予約に基づいて決定してよい。このようにすることで、移動手段20が効率的に運行され得る。その結果、移動手段20の消費電力が低減され得る。また、情報処理システム1は、ユーザ80の利用結果に基づいてインセンティブを付与してよい。このようにすることで、移動手段20が予約どおりに利用されやすくなる。その結果、配電網50における電力需要の管理が容易になる。また、電力供給の安定性が向上され得る。
【0080】
(他の実施形態)
<配電網情報に基づく移動手段20の提案>
サーバ制御部12は、上述したように、配電網情報に基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。サーバ制御部12は、配電網50の電力予備率に限られず、他の情報に基づいてユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。例えば、サーバ制御部12は、配電網50に電力を供給する再生可能エネルギー発電設備の発電スケジュールに基づいて、ユーザ80に提案する移動手段20を決定してよい。サーバ制御部12は、移動手段20が再生可能エネルギー発電設備で発電された電力を消費して運行できる場合に、その移動手段20の利用をユーザ80に提案してよい。サーバ制御部12は、移動手段20が消費する電力のうち再生可能エネルギー発電設備で発電された電力の割合が大きくなるように、移動手段20の利用をユーザ80に提案してよい。サーバ制御部12は、ユーザ80が再生可能エネルギー発電設備の発電電力を消費する移動手段20を利用した場合、その移動手段20の消費電力のうち再生可能エネルギー発電設備の発電電力の割合に基づいて、ユーザ80にインセンティブを付与してよい。
【0081】
<配電網情報に基づく移動手段20に対する電力供給の管理>
サーバ制御部12は、配電網情報に基づいて、電力を消費する移動手段20、例えば電動移動体22に対する電力の供給を管理してよい。例えば、サーバ制御部12は、配電網情報に基づいて電動移動体22の運行スケジュールを決定してよい。つまり、サーバ制御部12は、電動移動体22の消費電力を管理することによって、電動移動体22に対する電力の供給を管理してよい。具体的には、サーバ制御部12は、配電網50から供給される電力を充電せずにすぐに消費して動作する電動移動体22を、電力予備率が大きいと予測される期間に運行させる一方で、電力予備率が小さいと予測される期間に停止させてよい。サーバ制御部12は、電力予備率が大きいほど、運行させる電動移動体22の数を増やすように電動移動体22の運行スケジュールを決定してもよい。サーバ制御部12が配電網情報に基づいて電動移動体22に対する電力の供給を管理することによって、電力需要が平準化され得る。
【0082】
電動移動体22は、バッテリを備え、バッテリに充電した電力で駆動されてもよい。つまり、電動移動体22は、充電可能に構成されてよい。サーバ制御部12は、充電可能に構成される電動移動体22の充電スケジュールを決定することによって電動移動体22に対する電力の供給を管理してもよい。
【0083】
サーバ制御部12は、ユーザ80の利用予約に基づいて、電動移動体22の充電スケジュールを決定してよい。例えば、サーバ制御部12は、ユーザ80の移動手段20の利用予約に基づいて、充電可能に構成される電動移動体22の充電スケジュールを決定してもよい。具体的には、サーバ制御部12は、ユーザ80が移動手段20の利用を予約した時刻より前にその移動手段20の充電を完了できるように充電スケジュールを決定してよい。
【0084】
サーバ制御部12は、配電網情報に更に基づいて、電動移動体22の充電スケジュールを決定してよい。例えば、サーバ制御部12は、電力予備率が大きい期間に電動移動体22を充電するように電動移動体22の充電スケジュールを決定してよい。
【0085】
サーバ制御部12は、再生可能エネルギー発電設備の発電スケジュールに基づいて電動移動体22の充電スケジュールを決定してもよい。例えばサーバ制御部12は、再生可能エネルギー発電設備の発電量が多い期間に電動移動体22を充電するように電動移動体22の充電スケジュールを決定してよい。また、サーバ制御部12は、所定地域内に位置する再生可能エネルギー発電設備の発電スケジュールに基づいて電動移動体22の充電スケジュールを決定してもよい。このようにすることで、再生可能エネルギー発電設備で発電した電力の損失が低減され得る。
【0086】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 情報処理システム
10 サーバ(12:サーバ制御部、14:サーバI/F)
20 移動手段(22:電動移動体)
30 ネットワーク
50 配電網
52 発電設備
54 配電網サーバ
60 提案画面(41~43:提案経路、61:出発地点、62:目標地点、63:中継地点、64~69:各移動手段のアイコン)
70 端末装置(72:端末制御部、74:端末I/F、76:入力部、78:出力部)
80 ユーザ