(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】蓄電ユニットおよび車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20231205BHJP
B60L 50/64 20190101ALI20231205BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231205BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231205BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
H01M50/211
B60L50/64
H01M50/244 A
H01M50/249
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2021060813
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真史
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243449(JP,A)
【文献】国際公開第2010/098418(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0091352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0210470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0225093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/209
H01M 50/249
B60L 50/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において各々が一対の長辺部および一対の短辺部を含み、矩形形状を有する複数の蓄電装置を備え、
前記複数の蓄電装置は、車両に搭載された搭載状態において車両の幅方向と平行となる第1方向の一方側に配置される複数の第1蓄電装置と、前記第1方向の他方側に配置される複数の第2蓄電装置と、前記第1方向において前記複数の第1蓄電装置と前記複数の第2蓄電装置との間に配置される1つ以上の第3蓄電装置と、を含み、
前記複数の第1蓄電装置、前記複数の第2蓄電装置、および前記1つ以上の第3蓄装置の各々は、互いに同一の前記蓄電装置によって構成されており、
前記複数の第1蓄電装置および前記複数の第2蓄電装置は、前記搭載状態において前記短辺部が車両の前後方向と平行となる第2方向に平行となり、かつ前記長辺部が前記第1方向に平行となるように、横置きで前記第2方向に並んで配置されており、
前記1つ以上の第3蓄電装置は、前記短辺部が前記第1方向に平行となり、かつ、前記長辺部が前記第2方向に平行となるように、縦置きで配置されている、蓄電ユニット。
【請求項2】
前記複数の第1蓄電装置および前記複数の第2蓄電装置は、前記第2方向にn個(nは2以上の整数)並んで配置され、
前記1つ以上の第3蓄電装置に含まれる複数の前記長辺部のうち、最も前記複数の第1蓄電装置側に位置する前記長辺部は、前記複数の第1蓄電装置に含まれる複数の前記一対の短辺部のうち前記第1方向の前記他方側において前記第2方向に並ぶn個の前記短辺部に対向しており、
前記1つ以上の第3蓄電装置に含まれる複数の前記長辺部のうち、最も前記複数の第2蓄電装置側に位置する前記長辺部は、前記複数の第2蓄電装置に含まれる複数の前記一対の短辺部のうち前記第1方向の前記一方側において前記第2方向に並ぶn個の前記短辺部に対向している、請求項1に記載の蓄電ユニット。
【請求項3】
前記短辺部と前記長辺部との長さの比は、1:n(nは2以上の整数)である、請求項2に記載の蓄電ユニット。
【請求項4】
前記複数の第1蓄電装置、前記複数の第2蓄電装置、および前記1つ以上の第3蓄電装置を含む単位ユニットが、前記第2方向に複数並んで配置された、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電ユニット。
【請求項5】
前記複数の蓄電装置の各々は、正極外部端子部と負極外部端子部とを含み、
前記複数の第1蓄電装置および前記複数の第2蓄電装置における前記正極外部端子部と前記負極外部端子部との配置パターンは、同一であり、
前記1つ以上の第3蓄電装置における前記正極外部端子部と前記負極外部端子部の配置パターンは、前記複数の第1蓄電装置および前記複数の第2蓄電装置における前記正極外部端子部と前記負極外部端子部との配置パターンと異なる、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄電ユニットが搭載された、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される蓄電ユニットおよび当該蓄電ユニットを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電ユニットとして、特開2010-244760号公報(特許文献1)には、長辺と短辺の長さの比が2:1とした複数の蓄電装置を、縦置きと横置きとを混在させて配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電ユニットにおいては、搭載状態において、車両の幅方向の少なくとも一方側に、蓄電装置が縦置きに配置される場合がある。このように、蓄電ユニットが、幅方向の一方側に、縦置きに配置された蓄電装置を含む場合には、車両が側突された場合に、側突への蓄電ユニットの耐久性が不十分となることが懸念される。
【0005】
一方で、上記特許文献1には、行方向に並ぶ複数の蓄電装置が、車両の前後方向に平行となるように配置した場合には、車両の幅方向の両側において、蓄電装置が横置きに配置される。しかしながら、当該態様においては、車両の幅方向の全てにおいて蓄電装置が横置きに配置されるため、所望のサイズを有する車幅に対応して適切に蓄電装置を配置できないことが起こり得る。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、車両に搭載された搭載状態において、所望の車幅に対応して配置できるとともに、車両が側突された場合に耐久性を向上させることができる蓄電ユニットおよび当該蓄電ユニットを備えた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電ユニットは、平面視において各々が一対の長辺部および一対の短辺部を含み、矩形形状を有する複数の蓄電装置を備える。上記複数の蓄電装置は、車両に搭載された搭載状態において車両の幅方向と平行となる第1方向の一方側に配置される複数の第1蓄電装置と、上記第1方向の他方側に配置される複数の第2蓄電装置と、上記第1方向において上記複数の第1蓄電装置と上記複数の第2蓄電装置との間に配置される1つ以上の第3蓄電装置と、を含む。上記複数の第1蓄電装置および上記複数の第2蓄電装置は、上記搭載状態において上記短辺部が車両の前後方向と平行となる第2方向に平行となり、かつ上記長辺部が上記第1方向に平行となるように、横置きで上記第2方向に並んで配置されている。上記1つ以上の第3蓄電装置は、上記短辺部が上記第1方向に平行となり、かつ、上記長辺部が上記第2方向に平行となるように、縦置きで配置されている。
【0008】
上記構成においては、第1方向の両側に位置する複数の第1蓄電装置および複数の第2蓄電装置は、それぞれ、短辺部が第2方向に平行となり、かつ長辺部が第1方向に平行となるように横置きで、第2方向に並んで配置されている。
【0009】
このため、側突によって衝撃が入力される場合には、第2方向に並んで配置される複数の長辺部が支持壁部として機能する。
【0010】
一方で、複数の第1蓄電装置および複数の第2蓄電装置が、それぞれ縦置きで第2方向に並んで配置される場合には、第2方向に並んで配置される複数の短辺部が支持壁部として機能する。
【0011】
したがって、複数の第1蓄電装置および複数の第2蓄電装置が、横置きで第2方向に並んで配置される場合には、縦置きで第2方向に並んで配置される場合と比較して、支持壁部の数を多くすることができる。これにより、側突によって入力される衝撃を複数の支持壁部に分散させることができ、1つあたりの支持壁部に入力される衝撃を低減させることができる。この結果、側突に対する蓄電ユニットの耐衝撃性を向上させることができる。
【0012】
また、第3蓄電装置の個数を所望のサイズを有する車幅に応じて1つ以上配置することにより、所望のサイズを有する車幅に対応して適切に蓄電装置を配置することができる。
【0013】
上記本開示に基づく蓄電ユニットにあっては、上記複数の第1蓄電装置および上記複数の第2蓄電装置は、上記第2方向にn個(nは2以上の整数)並んで配置されてもよい。この場合には、上記1つ以上の第3蓄電装置に含まれる複数の上記長辺部のうち、最も上記複数の第1蓄電装置側に位置する上記長辺部は、上記複数の第1蓄電装置に含まれる複数の上記一対の短辺部のうち上記第1方向の上記他方側において上記第2方向に並ぶn個の上記短辺部に対向していることが好ましい。また、上記1つ以上の第3蓄電装置に含まれる複数の上記長辺部のうち、最も上記複数の第2蓄電装置側に位置する上記長辺部は、上記複数の第2蓄電装置に含まれる複数の上記一対の短辺部のうち上記第1方向の上記一方側において上記第2方向に並ぶn個の上記短辺部に対向していることが好ましい。
【0014】
上記構成においては、側突への蓄電ユニットの耐衝撃性を向上させつつ、複数の蓄電装置の設置スペースを有効に活用することができる。
【0015】
上記本開示に基づく蓄電ユニットにあっては、上記短辺部と上記長辺部との長さの比は、1:n(nは2以上の整数)であってもよい。
【0016】
上記構成においては、複数の蓄電装置をさらに効率良く配置することができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0017】
上記本開示に基づく蓄電ユニットにあっては、上記複数の第1蓄電装置、上記複数の第2蓄電装置、および上記1つ以上の第3蓄電装置を含む単位ユニットが、上記第2方向に複数並んで配置されていてもよい。
【0018】
上記構成においては、単位ユニットが第2方向に複数並んで配置されるため、側突への耐久性を向上させつつ、蓄電ユニットの容量を大きくすることができる。
【0019】
上記本開示に基づく蓄電ユニットにあっては、上記複数の蓄電装置の各々は、正極外部端子部と負極外部端子部とを含む。この場合において、上記複数の第1蓄電装置および上記複数の第2蓄電装置における上記正極外部端子部と上記負極外部端子部との配置パターンは、同一であってもよい。また、上記1つ以上の第3蓄電装置における上記正極外部端子部と上記負極外部端子部の配置パターンは、上記複数の第1蓄電装置および上記複数の第2蓄電装置における上記正極外部端子部と上記負極外部端子部との配置パターンと異なっていてもよい。
【0020】
上記構成においては、異なる配置パターンの蓄電装置の種類を少なくしつつ、複数の蓄電装置を直列に接続することが可能となる。
【0021】
本開示に基づく車両は、上記蓄電ユニットが搭載されている。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、車両に搭載された搭載状態において、効率良く複数の蓄電を配置できるとともに、車両が側突された場合に耐久性を向上させることができる蓄電ユニットおよび当該蓄電ユニットを備えた車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る蓄電ユニットを搭載した車両を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る蓄電ユニットに具備される蓄電装置を模
式的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る蓄電装置に具備される蓄電モジュールおよび導電部材などを模式的に示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る蓄電ユニットの上面図である。
【
図6】実施の形態2に係る蓄電ユニットの上面図である。
【
図7】実施の形態3に係る蓄電ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る蓄電ユニットを搭載した車両を模式的に示す図である。
図1を参照して、実施の形態1に係る蓄電ユニット200が搭載された車両300について説明する。
【0026】
車両300は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両である。
【0027】
車両300は、前部シート361、後部シート362、フロアパネル370、および蓄電ユニット200を備える。
【0028】
フロアパネル370は、車両300の本体の底部を構成している。前部シート361および後部シート362は、車両300の室内に配置されている。前部シート361および後部シート362は、車両の前後方向離れて配置されている。前部シート361および後部シート362は、フロアパネル370の上方に配置されている。
【0029】
蓄電ユニット200は、フロアパネル370に搭載されている。蓄電ユニット200は、後部シート362の下方に配置されており、より特定的には、後部シート362とフロアパネル370の間に配置されている。
【0030】
蓄電ユニット200は、車両駆動用の電動機に電力を供給する。回生制動などによって電動機で発電された電力は蓄電ユニット200に充電される。蓄電ユニット200は、複数の蓄電装置100(
図2参照)を含む。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る蓄電ユニットに具備される蓄電装置を模
式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す
III-III線に沿った断面図である。
図4は、実施の形態1に係る蓄電装置に具備される蓄電モジュールおよび導電部材などを模式的に示す斜視図である。
図2から
図4を参照して、蓄電装置100について説明する。
【0032】
図2に示すように、蓄電装置100は、略直方体形状を有し、平面視した場合には、長手方向Lおよび短手方向Sを含む略矩形形状を有する。蓄電装置100は、平面視において一対の長辺部81および
一対の短辺部82を含む。蓄電装置100は、収容ケース2と、正極外部端子部3と、負極外部端子部4とを備える。
【0033】
収容ケース2は、略直方体形状に形成されている。収容ケース2は、天板10と、底板11と、側壁12,13と、端壁14,15とを含む。側壁12および側壁13は短手方向Sに配列しており、側壁12および側壁13は長手方向Lに延びるように形成されている。端壁14および端壁15は長手方向Lに配列しており、端壁14および端壁15は短手方向Sに延びるように形成されている。
【0034】
正極外部端子部3および負極外部端子部4は、天板10の上面に設けられている。正極外部端子部3および負極外部端子部4は短手方向Sに間隔をあけて配置されている。
【0035】
図3に示すように、蓄電装置100は、蓄電モジュール20と、蓄電モジュール20に接続された導電部材21,22と、膨張吸収材23,24と、絶縁部材25,26と、絶縁膜27とを含む。
【0036】
蓄電モジュール20は、積層方向Hに積層された複数の蓄電セル30,31,32と、複数の接続部材33,34とを含む。なお、蓄電モジュール20に含まれる蓄電セルの個数は、3つに限定されず、2つ以上、あるいは、4つ以上等適宜変更することができる。
【0037】
また、蓄電セル31,32は蓄電セル30と実質的に同一の構成であることから蓄電セル30について説明する。
【0038】
図2および
図3に示すように、蓄電セル30は、電極体35と、外装体36と、正極集電板37と、負極集電板38とを含む。
【0039】
外装体36は、アルミラミネートフィルムなどによって形成されている。外装体36は、電極体35と、図示されていない電解液を内部に収容している。
【0040】
外装体36は、上側フィルム39Aおよび下側フィルム39Bを含む。上側フィルム39Aは電極体35を上方から覆うように配置されており、下側フィルム39Bは電極体35を下方から覆うように設けられている。
【0041】
上側フィルム39Aの外周縁部と、下側フィルム39Bの外周縁部とは図示されていない接着剤によって接着されている。
【0042】
電極体35は直方体形状に形成されている。電極体35は、積層方向Hに積層された複数の正極シートと、複数のセパレータと、複数の負極シートとを含む。正極シートおよび負極シートの間にセパレータが配置されている。
【0043】
正極シートは、アルミニウム箔と、アルミニウム箔の表裏面に形成された正極合材層とを含む。負極シートは、銅箔と、銅箔の表裏面に形成された負極合材層とを含む。
【0044】
正極シートを構成するアルミニウム箔は、電極体35の一方の側面側に引き出されており、負極シートを構成する銅箔は、電極体35の他方の側面側に引き出されている。なお、一方の側面および他方の側面は短手方向Sに配列しており、長手方向Lに延びるように形成されている。
【0045】
正極集電板37はアルミニウムなどによって形成されている。正極集電板37は、上記一方の側面側(短手方向Sの一方側)に配置されている。正極集電板37には、正極シートを構成するアルミニウム箔が複数溶接されている。
【0046】
正極集電板37の上面には接着剤52が形成されており、接着剤52は上側フィルム39Aと正極集電板37とを接着している。正極集電板37の下面には接着剤53が形成されており、接着剤53は下側フィルム39Bと正極集電板37とを接着している。なお、接着剤52,53は短手方向Sにおいて外装体36の外側にまで延び出ている。
【0047】
正極集電板37は、短手方向Sの一方側において、外装体36および接着剤52,53よりも外側に突出している。正極集電板37は、正極集電板37は、外装体36および接着剤52,53から露出する露出部50を含む。
【0048】
負極集電板38は銅などによって形成されている。負極集電板38は上記他方の側面側(短手方向Sの他方側)に配置されている。負極集電板38には、負極シートを構成する銅箔が複数溶接されている。
【0049】
負極集電板38の上面には接着剤54が形成されており、接着剤54は負極集電板38および上側フィルム39Aを接着している。負極集電板38の下面には接着剤55が形成されており、接着剤55は、負極集電板38および下側フィルム39Bを接着している。なお、接着剤54,55は短手方向Sにおいて外装体36の外側にまで延び出ている。
【0050】
負極集電板38は短手方向Sにおいて外装体36および接着剤54,55から外部に突出しており、負極集電板38は外装体36および接着剤54,55から露出する露出部51を含む。
【0051】
図3に示すように、蓄電セル31は、正極集電板60と、負極集電板61と、外装体62とを含み、外装体62内には電極体および電解液が収容されている。正極集電板60は正極集電板37と同様に、露出部63を含む。負極集電板61は、負極集電板38と同様に、露出部64を含む。
【0052】
蓄電セル32は、正極集電板70と、負極集電板71と、外装体72とを含み、外装体72内には電極体および電解液が収容されている。正極集電板70は正極集電板37と同様に、露出部73を含む。負極集電板71は、負極集電板38と同様に、露出部74を含む。
【0053】
正極集電板37と、負極集電板61と、正極集電板70とは、積層方向Hに配列している。同様に、負極集電板38と、正極集電板60と、負極集電板71とは、積層方向Hに配列している。すなわち、複数の蓄電セル30、31、32は、積層方向Hに正極集電板と負極集電板が交互並ぶように、積層されている。
【0054】
接続部材33は、正極集電板37の露出部50と、負極集電板61の露出部64とを接続するように配置されている。接続部材34は、正極集電板60の露出部63と、負極集電板71の露出部74とを接続するように設けられている。
【0055】
導電部材21は、負極集電板38の露出部51の上面に溶接されている。導電部材22は、正極集電板70の露出部73の下面に溶接されている。
【0056】
図4に示すように、導電部材21は、接続板65と、縦壁66と、台座67と、突起68とを含む。接続板65は露出部51の上面に溶接されている。接続板65は長手方向Lに延びるように形成されており、蓄電モジュール20よりも端壁14側に突出している。接続板65は、長手方向Lにおいて、負極集電板38の一端から他端に亘って配置されている。
【0057】
縦壁66は端壁14側に位置する接続板65の端部に接続されている。縦壁66は、接続板65の端部から上方に向けて延びるように形成されている。
【0058】
台座67は縦壁66の上端部に形成されており、突起68は台座67から突出するように形成されている。なお、突起68の上端部は、
図1に示す負極外部端子部4に接続されている。
【0059】
導電部材22は、接続板75と、縦壁76と、台座77と、突起78とを含む。接続板75は、正極集電板70の露出部73の下面に溶接されている。接続板75は長手方向Lに延びるように形成されており、蓄電モジュール20よりも端壁14側に突出している。接続板75は、長手方向Lにおいて、正極集電板70の一端から他端に亘って配置されている。
【0060】
台座77は縦壁76の上端部に形成されており、突起78は台座77から突出するように形成されている。なお、突起78の上端部は、
図1に示す正極外部端子部3に接続されている。
【0061】
再び図3に示すように、膨張吸収材23は、蓄電モジュール20の上面と、収容ケース2の天板10との間に配置されている。膨張吸収材24は、蓄電モジュール20の下面と、収容ケース2の底板11との間に配置されている。各膨張吸収材23,24は、包装体と、包装体内に充填されたダイラタンシー材とを含む。
【0062】
絶縁部材25は、側壁12から蓄電モジュール20に達するように充填されている。なお、正極集電板37の露出部50と、負極集電板61の露出部64と、接続部材33と、導電部材22の少なくとも一部とは、絶縁部材25内に位置している。
【0063】
絶縁部材26は、側壁13から蓄電モジュール20に達するように充填されている。なお、導電部材21の少なくとも一部と、負極集電板38の露出部51と、正極集電板60の露出部63と、負極集電板71の露出部74とは、絶縁部材26内に位置する。
【0064】
上記のように構成された蓄電装置100が充放電すると、蓄電モジュール20は積層方向Hに膨らむように変形する。この際、膨張吸収材23,24が変形して、蓄電モジュール20が膨らむように変形することを許容する。これにより、蓄電モジュール20が膨らむように変形したとしても、膨張吸収材23,24を通して、収容ケース2に加えられる荷重を小さく抑えることができる。そして、収容ケース2の変形を抑制することができる。
【0065】
また、車両300が、走行などすると、蓄電装置100に振動が加えられる場合がある。たとえば、蓄電装置100の長手方向Lの中央が、振動の腹部となるように、蓄電装置100が振動する場合がある。
【0066】
この際、蓄電装置100の中央部の変位速度は、充放電時に蓄電モジュール20が膨らむ速度よりも速い。膨張吸収材23,24は、ダイラタンシー材を含むため、速度の速い変形に対する剛性は高い。そのため、膨張吸収材23,24は変形し難くなり、蓄電装置100の振動が抑制される。
【0067】
蓄電装置100が充放電する際に、蓄電モジュール20の温度が高くなる。この際、絶縁部材25は、露出部50,64,73と、接続部材33と、導電部材22の少なくとも一部とを覆うように形成されている。露出部50,64,73と接続部材33と導電部材22とは、金属材料によって形成されているため、蓄電モジュール20内の熱は、絶縁部材25に良好に放熱される。絶縁部材25に伝達された熱は、側壁12から放熱される。
【0068】
絶縁部材26は、導電部材21の少なくとも一部と、露出部51,63,74と、接続部材34とを覆うように形成されている。導電部材21と、露出部51,63,74と、接続部材34とは金属材料によって形成されているため、蓄電モジュール20内の熱は、絶縁部材26に良好に放熱される。絶縁部材26に伝達された熱は、側壁13から放熱される。このように、蓄電モジュール20を良好に冷却することができる。
【0069】
上述のように、
図4において、導電部材21の接続板65は、負極集電板38に接続されると共に長手方向Lに延びるように形成されている。長手方向Lにおいて、接続板65は、負極集電板38の一端から他端に亘って形成されている。
【0070】
このため、本実施の形態のように負極外部端子部4が端壁14側に設けられている場合には、接続板65の端壁14側の端部に、縦壁66などを接続することで簡単に、負極外部端子部4に接続することができる。
【0071】
同様に、導電部材22の接続板75は、長手方向Lに延びるように形成されている。そして、長手方向Lにおいて、接続板75は負極集電板38の一端側から他端側に亘って配置されている。
【0072】
このため、本実施の形態のように正極外部端子部3が端壁14側に設けられている場合には、接続板75の端壁14側の端部に、縦壁76などを接続することで簡単に、正極外部端子部3に接続することができる。
【0073】
図5は、実施の形態1に係る蓄電ユニットの上面図である。
図5を参照して、実施の形態1に係る蓄電ユニット200について説明する。
【0074】
蓄電ユニット200は、複数の蓄電装置100、および複数のバスバ110を備える。複数の蓄電装置100は、複数の第1蓄電装置101、複数の第2蓄電装置102、および第3蓄電装置103を含む。
【0075】
複数の第1蓄電装置101は、第1方向DR1の一方側に配置される。第1方向DR1は、蓄電ユニット200が車両300に搭載された搭載状態において、車両の幅方向と平行となる。
【0076】
複数の第1蓄電装置101は、第2方向DR2方向に並んで配置されている。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交する方向であり、上記搭載状態において、車両の前後方向と平行となる。
【0077】
複数の第1蓄電装置101の各々は、短辺部82が第2方向DR2に平行となり、かつ長辺部81が第1方向DR1に平行となるように横置きで配置されている。実施の形態1においては、2つの第1蓄電装置101が、横置きで第2方向DR2に並ぶように配置されている。
【0078】
複数の第2蓄電装置102は、第1方向DR1の他方側に配置されている。複数の第2蓄電装置102の各々は、短辺部82が第2方向DR2に平行となり、かつ長辺部81が第1方向DR1に平行となるように横置きで配置されている。実施の形態1においては、第1蓄電装置101と同数の2つの第2蓄電装置102が、横置きで第2方向DR2に並ぶように配置されている。
【0079】
第3蓄電装置103は、第1方向DR1において、複数の第1蓄電装置101と複数の第2蓄電装置102との間に配置されている。第3蓄電装置103は、短辺部82が第1方向DR1に平行であり、かつ長辺部81が第2方向DR2に平行となるように、縦置きで配置されている。
【0080】
第3蓄電装置103に含まれる長辺部81のうち、最も複数の第1蓄電装置101側に位置する長辺部81は、複数の第1蓄電装置101に含まれる複数の一対の短辺部82のうち第1方向DR1の他方側において第2方向DR2に並ぶ2個の短辺部82に対向している。
【0081】
第3蓄電装置103に含まれる長辺部のうち、最も複数の第2蓄電装置102側に位置する長辺部81は、複数の第2蓄電装置102に含まれる複数の一対の短辺部82のうち第1方向DR1の一方側において第2方向DR2に並ぶ2個の短辺部82に対向している。
【0082】
このように、第3蓄電装置103を配置することにより、複数の蓄電装置100の設置スペースを有効に活用することができる。
【0083】
上述のように、2個の第1蓄電装置101および2個の第2蓄電装置102が第2方向に並んで配置される場合には、短辺部82と長辺部81の長さの比は、1:2であることが好ましい。このような長さ比とすることにより、複数の蓄電装置100をさらに効率よく配置することができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0084】
なお、上記においては、蓄電装置100が冷却装置を備えておらず、蓄電装置100を平面視した場合において、収容ケース2の外形における短辺部および長辺部の長さの比が1:2とする場合を例示するが、これに限定されず、側壁12および/または側壁13に接触するように冷却装置が設けられている場合には、当該冷却装置を含めた外形における短辺部および長辺部の長さ比が、1:2であってもよい。また、複数の蓄電装置100を並べて配置する場合には、互いに隣り合う蓄電装置100の間の隙間には、空冷あるいは液冷するためにある程度の空間が設けられるため、この隙間を調整することにより、短辺部および長辺部の長さ比が、1:2でない場合にも本開示の構成を適用することは可能である。
【0085】
複数のバスバ110は、互いに隣り合う蓄電装置100において、負極外部端子部4と正極外部端子部3とを接続する。これにより、複数の蓄電装置100が直列に接続される。
【0086】
ここで、第2蓄電装置102は、第1蓄電装置101を180度回転させて配置したものであり、複数の第1蓄電装置101および複数の第2蓄電装置102における正極外部端子部3および負極外部端子部4との配置パターンは、同一である。
【0087】
一方で、第3蓄電装置103は、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102と回転対称ではなく、第3蓄電装置103における正極外部端子部3と負極外部端子部4との位置は、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102における正極外部端子部3と負極外部端子部4との位置と反対となっている。すなわち、第3蓄電装置103における正極外部端子部3と負極外部端子部4との配置パターンは、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102における正極外部端子部3と負極外部端子部4との配置パターンと異なっている。
【0088】
具体的には、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102においては、正極外部端子部3と負極外部端子部4とが第1方向DR1の他方側に位置するように第1蓄電装置101および第2蓄電装置102を配置した場合には、第2方向DR2の一方側に正極外部端子部3が配置され、第2方向DR2の他方側に負極外部端子部4が配置される。
【0089】
一方で、第3蓄電装置103においては、正極外部端子部3と負極外部端子部4とが第1方向DR1の他方側に位置するように第3蓄電装置103を配置した場合には、第2方向DR2の一方側に負極外部端子部4が配置され、第2方向DR2の他方側に正極外部端子部3が配置される。
【0090】
第1蓄電装置101、第2蓄電装置102、および第3蓄電装置103において、正極外部端子部3と負極外部端子部4との配置パターンを上記のようにすることにより、異なる配置パターンの蓄電装置の種類を少なくしつつ、複数の蓄電装置100を直列に接続することが可能となる。
【0091】
ここで、上記蓄電ユニット200が、車両300に搭載された場合に、車両300が側突した場合には、複数の第1蓄電装置101側、あるいは、複数の第2蓄電装置102側から衝撃が入力される。
【0092】
複数の第1蓄電装置101および複数の第2蓄電装置102は、それぞれ、上述のように、短辺部82が第2方向DR2に平行となり、かつ長辺部81が第1方向DR1に平行となるように横置きで、第2方向DR2に並んで配置されている。
【0093】
このため、側突によって衝撃が入力される場合には、第2方向DR2に並んで配置される複数の長辺部81が支持壁部として機能する。
【0094】
一方で、複数の第1蓄電装置101および複数の第2蓄電装置102が、それぞれ縦置きで第2方向DR2に並んで配置される場合には、第2方向DR2に並んで配置される複数の短辺部82が支持壁部として機能する。
【0095】
したがって、複数の第1蓄電装置101および複数の第2蓄電装置102が、横置きで第2方向DR2に並んで配置される場合には、縦置きで第2方向DR2に並んで配置される場合と比較して、支持壁部の数を多くすることができる。これにより、側突によって入力される衝撃を複数の支持壁部に分散させることができ、1つあたりの支持壁部に入力される衝撃を低減させることができる。この結果、蓄電ユニット200の側突に対する耐衝撃性を向上させることができる。
【0096】
また、本実施の形態においては、第3蓄電装置103の個数を1つにすることにより、たとえば車幅が1200mm程度以下の車両に好適に蓄電ユニット200を搭載することができる。
【0097】
なお、第3蓄電装置103の個数は、1つ以上であればよく、車幅に応じて適宜変更することにより、所望のサイズを有する車幅に対応して適切に蓄電装置を配置することができる。
【0098】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る蓄電ユニットの上面図である。
図6を参照して、実施の形態2に係る蓄電ユニット200Aについて説明する。
【0099】
図6に示すように、実施の形態2に係る蓄電ユニット200Aは、実施の形態1に係る蓄電ユニット200と比較した場合に、第3蓄電装置103の個数が相違する。具体的には、第3蓄電装置103の個数は、3個となっている。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0100】
このように構成される場合であっても、実施の形態2に係る蓄電ユニット200Aにあっては、実施の形態1に係る蓄電ユニット200とほぼ同様の効果が得られる。また、実施の形態2に係る蓄電ユニット200Aにあっては、実施の形態1よりも車幅の大きい車両300に好適に搭載することができ、具体的には、たとえば、車幅が1700mm程度以下の車両300に好適に搭載することができる。
【0101】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る蓄電ユニットの上面図である。
図7を参照して、実施の形態3に係る蓄電ユニット200Bについて説明する。
【0102】
図7に示すように、実施の形態3に係る蓄電ユニット200Bは、実施の形態1に係る蓄電ユニット200と比較して、第1方向DR1のサイズ、および第2方向DR2のサイズが大きくなっており、フロアパネル370の下方に配置される。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0103】
この場合において、実施の形態1に示す2つの第1蓄電装置101、2つの第2蓄電装置102、および1つの第3蓄電装置103によって構成される単位ユニット201が、第2方向DR2に複数並んで配置されている。具体的には、4つの単位ユニット201が、第2方向DR2に並んで配置されている。
【0104】
この場合においても、実施の形態1同様に、第3蓄電装置103における正極外部端子部3と負極外部端子部4との配置パターンは、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102における正極外部端子部3と負極外部端子部4との配置パターンと異なっている。
【0105】
このように構成される場合であっても、実施の形態3に係る蓄電ユニット200Bにあっては、実施の形態1に係る蓄電ユニット200とほぼ同様の効果が得られる。また、単位ユニット201が第2方向DR2に複数並んで配置されるため、側突への耐久性を向上させつつ、蓄電ユニット200Bの容量を大きくすることができる。
【0106】
また、実施の形態1、2、および実施の形態3の単位ユニット201においては、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102が、第2方向DR2に2個並んで配置される場合を例示して説明したが、これに限定されず、第1蓄電装置101および第2蓄電装置102の個数は、それぞれ、n個(nは2以上の整数)以上であってもよい。
【0107】
この場合には、1つ以上の第3蓄電装置103に含まれる複数の長辺部81のうち、最も複数の第1蓄電装置101側に位置する長辺部81は、複数の第1蓄電装置101に含まれる複数の一対の短辺部82のうち第1方向DR1の他方側において第2方向DR2に並ぶn個の短辺部82に対向していてもよく、1つ以上の第3蓄電装置103に含まれる複数の長辺部81のうち、最も複数の第2蓄電装置102側に位置する長辺部81は、複数の第2蓄電装置102に含まれる複数の一対の短辺部82のうち第1方向DR1の一方側において第2方向DR2に並ぶn個の短辺部82に対向していてもよい。
【0108】
さらに、短辺部82と長辺部81との長さの比は、1:n(nは2以上の整数)としてもよい。これにより、蓄電装置100を効率的に配置することができる。
【0109】
なお、上述した実施の形態1から3においては、蓄電モジュール20に含まれる蓄電セルが、外装フィルム内に電解液と電極体35が収容されたラミネート型の電池である場合を例示して説明したがこれに限定されず、外装フィルム内に電解液が収容されず、固体状の電解質が用いられたラミネート型の全固体電池であってもよい。
【0110】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0111】
2 収容ケース、3 正極外部端子部、4 負極外部端子部、10 天板、11 底板、12,13 側壁、14,15 端壁、20 蓄電モジュール、21,22 導電部材、23,24 膨張吸収材、25,26 絶縁部材、27 絶縁膜、30,31,32 蓄電セル、33,34 接続部材、35 電極体、36 外装体、37 正極集電板、38 負極集電板、39A 上側フィルム、39B 下側フィルム、50,51 露出部、52,53,54,55 接着剤、60 正極集電板、61 負極集電板、62 外装体、63,64 露出部、65 接続板、66 縦壁、67 台座、68 突起、70 正極集電板、71 負極集電板、72 外装体、73,74 露出部、75 接続板、76 縦壁、77 台座、78 突起、81 長辺部、82 短辺部、100 蓄電装置、101 第1蓄電装置、102 第2蓄電装置、103 第3蓄電装置、110 バスバ、200,200A,200B 蓄電ユニット、201 単位ユニット、300 車両、361 前部シート、362 後部シート、370 フロアパネル。