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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 17/00 20060101AFI20231205BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20231205BHJP
   F02D 17/02 20060101ALI20231205BHJP
   F02D 17/04 20060101ALI20231205BHJP
   F02D 41/18 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F02D17/00 B
F01N3/023 A
F02D17/02 P
F02D17/04 M
F02D41/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021071701
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166472
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】池田 悠人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 嵩允
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-220880(JP,A)
【文献】特開2019-190358(JP,A)
【文献】特開2020-23912(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004713(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 17/00
F02D 41/18
F01N 3/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有する内燃機関と、
前記複数の気筒からの排気が流通する排気通路と、
前記排気通路に配置され排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
を備える車両に適用され、前記内燃機関を制御対象とする制御装置であって、
前記車両が予め定められた第1条件を満たした場合に、前記複数の気筒のうちの特定の気筒での混合気の燃焼を停止する第1停止処理と、
前記車両が前記第1条件とは異なる条件として予め定められた第2条件を満たした場合に、すべての前記複数の気筒での混合気の燃焼を停止する第2停止処理と、
前記第1停止処理及び前記第2停止処理のどちらか一方を実行中に、実行中の前記第1停止処理または前記第2停止処理が開始されてからの前記内燃機関の吸入空気量の積算値を取得する積算処理と、
前記積算値が閾値以上となった場合に、実行中の前記第1停止処理または前記第2停止処理を中止して、すべての前記複数の気筒での混合気の燃焼を再開する再開処理と、
を実行し、
前記第1停止処理を実行中の前記閾値を第1閾値とし、前記第2停止処理を実行中の前記閾値を第2閾値としたとき、
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量が同じ場合での前記第1閾値及び前記第2閾値を比較した場合、前記第1閾値は前記第2閾値よりも大きい
制御装置。
【請求項2】
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を算出する閾値算出処理を実行し、
前記閾値算出処理では、前記第1停止処理の実行中に混合気の燃焼を停止する前記気筒の数が少ないほど、前記第1閾値を大きな値に算出する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を算出する閾値算出処理を実行し、
前記閾値算出処理では、前記第1停止処理または前記第2停止処理を開始するときに前記フィルタに堆積している前記粒子状物質の量が多いほど、前記第1閾値及び前記第2閾値が小さくなるように算出し、前記第1停止処理または前記第2停止処理を開始するときの前記フィルタの温度が高いほど、前記第1閾値及び前記第2閾値が小さくなるように算出する
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記再開処理を実行後、予め定められた一定の期間は前記第1停止処理及び前記第2停止処理の実行を禁止する
請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記一定の期間は、前記再開処理が実行されてからの前記積算値が、予め定められた規定値に達するまでの期間である
請求項4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両は、内燃機関と、排気通路と、フィルタと、を備えている。内燃機関は、複数の気筒を有している。排気通路は、各気筒からの排気の流通路である。排気通路は、内燃機関から延びている。フィルタは、排気通路の粒子状物質(以下、PMという。)を捕集する。フィルタは、排気通路の途中に位置している。また、当該車両は、制御装置を備えている。制御装置は、車両が特定の条件を満たした場合、クランクシャフトを回転させつつすべての気筒で混合気の燃焼を停止する。これにより、酸素を含む空気がフィルタに供給される。そして、フィルタに堆積しているPMが燃焼する。また、制御装置は、気筒での混合気の燃焼の停止を実行中に、吸入空気量の積算値が所定の値に到達した場合、各気筒での混合気の燃焼を再開する。これにより、PMの燃焼が中止され、フィルタが過熱することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-190358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両のようにすべての気筒での燃焼を停止するのではなく、特定の気筒でのみ混合気の燃焼を停止する技術が知られている。この場合、PM燃焼中のフィルタの温度の変化の仕方は、すべての気筒で燃焼を停止した場合と比較して異なっているはずである。したがって、特定の気筒でのみ混合気の燃焼を停止する処理を行った場合に、当該処理をどのようなタイミングで停止すべきか、という点についてさらなる検討の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の気筒を有する内燃機関と、前記複数の気筒からの排気が流通する排気通路と、前記排気通路に配置され排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、を備える車両に適用され、前記内燃機関を制御対象とする制御装置であって、前記車両が予め定められた第1条件を満たした場合に、前記複数の気筒のうちの特定の気筒での混合気の燃焼を停止する第1停止処理と、前記車両が前記第1条件とは異なる条件として予め定められた第2条件を満たした場合に、すべての前記複数の気筒での混合気の燃焼を停止する第2停止処理と、前記第1停止処理及び前記第2停止処理のどちらか一方を実行中に、実行中の前記第1停止処理または前記第2停止処理が開始されてからの前記内燃機関の吸入空気量の積算値を取得する積算処理と、前記積算値が閾値以上となった場合に、実行中の前記第1停止処理または前記第2停止処理を中止して、すべての前記複数の気筒での混合気の燃焼を再開する再開処理と、を実行し、前記第1停止処理を実行中の前記閾値を第1閾値とし、前記第2停止処理を実行中の前記閾値を第2閾値としたとき、前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量が同じ場合での前記第1閾値及び前記第2閾値を比較した場合、前記第1閾値は前記第2閾値よりも大きい制御装置である。
【0006】
上記構成では、第1停止処理中は、燃焼を停止していない気筒から排出される既燃ガスが、フィルタに供給される。既燃ガスがフィルタに供給されると、フィルタの熱が既燃ガスによって持ち去られる。したがって、第1停止処理を実行した場合は、第2停止処理を実行した場合よりもフィルタの温度が高くなりにくい。
【0007】
上記構成によれば、第1停止処理でフィルタの温度が高くなりにくいことを考慮して、第1閾値は、第2閾値よりも大きな値になっている。そのため、第1停止処理を実行した場合に、フィルタが過熱しておらず未だ第1停止処理を継続できるにも拘わらず、第1停止処理が中止されてしまう、といった事態は生じにくい。
【0008】
上記構成において、前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を算出する閾値算出処理を実行し、前記閾値算出処理では、前記第1停止処理の実行中に混合気の燃焼を停止する前記気筒の数が少ないほど、前記第1閾値を大きな値に算出する制御装置であってもよい。
【0009】
上記構成では、混合気の燃焼を停止する気筒の数が少ないほど、燃焼している気筒から排出される既燃ガスの量が多くなる。したがって、フィルタからより多くの熱が既燃ガスによって持ち去られるので、フィルタの温度が上昇しにくくなる。上記構成によれば、混合気の燃焼を停止する気筒の数に応じて第1閾値を算出するので、フィルタの過熱を防止しつつ第1停止処理をできるだけ長期間継続させることができる。
【0010】
上記構成において、前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を算出する閾値算出処理を実行し、前記閾値算出処理では、前記第1停止処理または前記第2停止処理を開始するときに前記フィルタに堆積している前記粒子状物質の量が多いほど、前記第1閾値及び前記第2閾値が小さくなるように算出し、前記第1停止処理または前記第2停止処理を開始するときの前記フィルタの温度が高いほど、前記第1閾値及び前記第2閾値が小さくなるように算出する制御装置であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、各停止処理において粒子状物質が燃焼することに伴う発熱量、及び各停止処理開始時の温度を、第1閾値及び第2閾値に反映できる。したがって、フィルタの過熱を防止するための正確な閾値を算出できる。
【0012】
上記構成において、前記再開処理を実行後、予め定められた一定の期間は前記第1停止処理及び前記第2停止処理の実行を禁止する制御装置であってもよい。
上記構成によれば、再開処理の実行後、各停止処理に伴いフィルタ内に多くの酸素が残留している状態で、各停止処理が再び実行されることはない。したがって、各停止処理の開始時に多くの酸素がフィルタ内に残留していることに起因して、フィルタが過熱されることは妨げる。
【0013】
上記構成において、前記一定の期間は、前記再開処理が実行されてからの前記積算値が、予め定められた規定値に達するまでの期間である制御装置としてもよい。
上記構成では、各停止処理の終了後、気筒から排出される既燃ガスと共にフィルタ内に残留している酸素が排出される。上記構成によれば、再開処理後の各停止処理の禁止期間を、フィルタ内の残留酸素の低下量と相関の高い吸入空気量で定めている。そのため、フィルタ内の酸素量が低下していく実際の速度に合わせた正確な禁止期間にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両の概略構成図。
図2】制御装置が実行する処理のフローチャート。
図3】吸入空気量に対する第1停止処理及び第2停止処理の時間変化の例を表したタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<車両の概略構成>
図1に示すように、車両は、内燃機関10と、吸気通路21と、排気通路22と、三元触媒30と、フィルタ40と、を備えている。
【0016】
内燃機関10は、車両の駆動源である。内燃機関10は、4つの気筒11と、4つの燃料噴射弁12と、クランクシャフト13と、を備えている。4つの燃料噴射弁12は、気筒11毎に存在している。各燃料噴射弁12は、各気筒11内に燃料を噴射する。クランクシャフト13は、各気筒11での混合気の燃焼により回転する。すなわち、クランクシャフト13の回転によって、車両の駆動力が発生する。
【0017】
吸気通路21は、各気筒11に接続している。吸気通路21は、各気筒11に吸気を導入するための通路である。排気通路22は、各気筒11に接続している。排気通路22は、各気筒11からの排気が流通する通路である。三元触媒30は、排気通路22の途中に位置している。三元触媒30は、排気中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を浄化する。また、三元触媒30は、酸素吸蔵能力を有している。フィルタ40は、排気通路22のうちの三元触媒30から視て下流側に位置している。フィルタ40は、排気中の粒子状物質(以下、PMと記載する。)を捕集する。
【0018】
車両は、クランク角センサ71と、エアフローメータ72と、車速センサ73と、水温センサ74と、空燃比センサ75と、を備えている。
クランク角センサ71は、クランクシャフト13の近傍に位置している。クランク角センサ71は、クランクシャフト13の回転速度NEを検出する。エアフローメータ72は、吸気通路21の途中に位置している。エアフローメータ72は、吸気通路21を流通する空気の流量である吸入空気量GAを検出する。車速センサ73は、車両の駆動輪の近傍に位置している。車速センサ73は、車両の走行速度である車速SPを検出する。水温センサ74は、内燃機関10のウォータジャケットの出口に位置している。水温センサ74は、冷却水の温度THWを検出する。空燃比センサ75は、排気通路22のうちの三元触媒30から視て、上流側に位置している。空燃比センサ75は、空燃比AFを検出する。
【0019】
<制御装置について>
車両は、制御装置100を備えている。制御装置100は、内燃機関10を制御対象とする。具体的には、制御装置100は、燃料噴射弁12から噴射される燃料量を制御する。制御装置100は、クランク角センサ71からの回転速度NEに関する信号を取得する。制御装置100は、エアフローメータ72から、吸入空気量GAに関する信号を検出する。制御装置100は、車速センサ73から車速SPに関する信号を取得する。制御装置100は、水温センサ74から冷却水の温度THWに関する信号を取得する。制御装置100は、空燃比センサ75から、空燃比AFに関する信号を取得する。
【0020】
制御装置100は、取得した回転速度NEと、吸入空気量GAとに基づいて、内燃機関10の吸入効率である充填効率ηを算出する。なお、充填効率ηとは、各気筒11に流入する吸気の質量であるシリンダ流入空気量を、シリンダの行程容積を占める標準大気状態の吸気の質量に対する比率で表したものである。
【0021】
また、制御装置100は、算出した充填効率ηと、取得した回転速度NEと、冷却水の温度THWとに基づいて、フィルタ40に堆積したPMの量、すなわちPM堆積量を算出する。具体的には、制御装置100は、回転速度NE、充填効率η及び冷却水の温度THWに基づいて排気通路22に排出される排気中のPMの量を算出する。そして、制御装置100は、回転速度NE及び充填効率ηに基づきフィルタ40の温度を算出する。その後、制御装置100は、排気中のPMの量やフィルタ40の温度に基づき単位時間当たりにフィルタ40が捕集するPMの量を算出する。これらの手順で、PM堆積量を算出する。なお、回転速度NEの値が高いほど、PM堆積量は大きな値となる。また、フィルタ40の温度も、回転速度NE及び充填効率ηの値が大きいほど、大きな値として算出される。
【0022】
制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、制御装置100は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0023】
<制御装置が実行する処理について>
制御装置100は、車両が予め定められた第1条件を満たした場合に、4つの気筒11のうちの特定の気筒11での混合気の燃焼を停止する第1停止処理を実行する。制御装置100は、第1停止処理を実行すると、4つの気筒11のうち、特定の1つの気筒11で燃料噴射を停止する。そして、制御装置100は、残りの3つの気筒11で燃料を噴射し、混合気の燃焼を実施する。
【0024】
制御装置100は、以下の5つの要件をすべて満たした場合に第1条件を満たしたものとして、第1停止処理を実行する。
1つ目の要件は、車速SPがゼロよりも大きいことである。2つ目の要件は、フィルタ40において、PMの堆積量が所定の値よりも大きいことである。なお、ここでの所定の値は、フィルタ40に堆積したPMの量が相応に大きく、PMを除去することが好ましい値として、例えば実験で定められている。3つ目の要件は、回転速度NEが所定の値以下の場合である。なお、ここでの所定の値は、後述する第2停止処理の実行条件との切り替えの値として定められている。4つ目の要件は、クランクシャフト13に発生するトルクが、車両が備える車輪からのトルクよりも大きい場合である。5つ目の要件は、後述する禁止フラグがオフであることである。したがって、禁止フラグがオンである状態は、第1条件の一部の要件が満たされてなく、第1停止処理の実行が禁止された状態である。
【0025】
制御装置100は、車両が第1条件とは異なる条件として予め定められた第2条件を満たした場合に、4つの気筒11での混合気の燃焼を停止する第2停止処理を実行する。すなわち、制御装置100は、第2停止処理を実行すると、4つの気筒11すべてにおいて、燃料噴射を停止する。
【0026】
制御装置100は、以下の5つの要件をすべて満たした場合に、第2条件を満たしたものとして、第2停止処理を実行する。1つ目の要件は、車速SPがゼロよりも大きいことである。2つ目の要件は、フィルタ40において、PMの堆積量が所定の値よりも大きいことである。なお、ここでの所定の値は、上述した第1条件と同じ値を採用する。3つ目の要件は、回転速度NEが所定の値より大きい場合である。4つ目の要件は、クランクシャフト13が無負荷で回転している状態である。5つ目の要件は、後述する禁止フラグがオフであることである。したがって、禁止フラグがオンである状態は、第2条件の一部の要件が満たされてなく、第2停止処理の実行が禁止された状態である。
【0027】
<第1停止処理及び第2停止処理実行中の制御>
以下、第1停止処理及び第2停止処理実行中の制御について説明する。制御装置100は、本制御を、第1停止処理または第2停止処理が開始される毎に実行する。なお、車両が、上述した第1停止処理及び第2停止処理の実行条件のいずれかを満たさない状態になった場合、以降の処理は中断される。
【0028】
図2に示すように、ステップS100では、制御装置100は、第1停止処理または第2停止処理を開始する時点での、フィルタ40のPM堆積量及びフィルタ40の温度を算出する。算出後、制御装置100の処理は、ステップS101に移行する。
【0029】
ステップS101では、制御装置100は、吸入空気量GAの積算を開始する。具体的には、制御装置100は、吸入空気量GAの積算を開始すると、エアフローメータ72から吸入空気量GAのデータの単位時間毎に取得する。また、制御装置100は、吸入空気量GAにデータを取得する毎に、前回までの積算値に、新たに取得した吸入空気量GAを積算し、新たな積算値を取得する。制御装置100は、ステップS101の処理以後、後述するステップS107の処理が開始されるまで、積算値の更新を継続する。なお、以降の説明で、本ステップから積算を開始した吸入空気量GAの積算値を「停止中積算値A1」として記載する。吸入空気量GAの積算を開始した後、制御装置100の処理は、ステップS102へ移行する。なお、ステップS101の処理は、停止中積算値A1を取得する積算処理である。
【0030】
ステップS102では、制御装置100は、第1停止処理が実行中であるか否かを確認する。第1停止処理が実行中でない場合(S102:NO)、すなわち、第2停止処理が実行中である場合、制御装置100の処理は、ステップS105へ移行する。
【0031】
ステップS105では、制御装置100は、第2停止処理での閾値である第2閾値X2を算出する。第2閾値X2は、停止中積算値A1に対して適用する閾値である。より具体的には、第2閾値X2は、実行中の第2停止処理を中止するか否かの判定値である。
【0032】
先ず、制御装置100は、ステップS100において算出したフィルタ40のPM堆積量及びフィルタ40の温度に基づいて、第2閾値X2を算出する。具体的には、制御装置100は、フィルタ40のPM堆積量が多いほど第2閾値X2が小さくなるように算出する。また、制御装置100は、フィルタ40の温度が高いほど第2閾値X2が小さくなるように算出する。第2閾値X2を算出した後、制御装置100の処理は、ステップS106へ移行する。
【0033】
ステップS106では、制御装置100は、最新の停止中積算値A1が、第2閾値X2以上であるか否かを判定する。最新の停止中積算値A1が、第2閾値X2より小さい場合(S106:NO)、制御装置100は、再びステップS106の処理を実行する。最新の停止中積算値A1が、第2閾値X2以上である場合(S106:YES)、制御装置100の処理はステップS107へ移行する。
【0034】
一方、ステップS102において、実行中の停止処理が第1停止処理であると判定した場合(S102:YES)、制御装置100の処理は、ステップS103へ移行する。
ステップS103では、制御装置100は、停止中積算値A1に対して適用する閾値として第1閾値X1を算出する。具体的には、第1閾値X1は、実行中の第1停止処理を中止するか否かの判定値である。
【0035】
制御装置100は、ステップS105と同様にして第2閾値X2を算出する。そして、制御装置100は、第2閾値X2に予め定められた係数を乗算することで、第1閾値X1を算出する。この係数は、1より大きい値に定められている。すなわち、制御装置100は、第1閾値X1を、PMの量が同一であるときに算出される第2閾値X2よりも大きい値に算出する。なお、上記係数は、実験又はシミュレーション等により、次のようにして定められる。例えば、第2停止処理を実行したときにフィルタ40が溶解する温度よりも所定の温度だけ小さい温度になったときの停止中積算値A1を実験により求める。そして、第1停止処理を実行したときに、フィルタ40が溶解する温度よりも上記と同じ所定の温度だけ小さい温度になったときの停止中積算値A1を実験により求める。上記係数は、第2停止処理における当該停止中積算値A1に対する、第1停止処理における当該停止中積算値A1の比として定められる。第1閾値X1を算出した後、制御装置100の処理は、ステップS104へ移行する。なお、ステップS103及びステップS105の処理は、フィルタ40に堆積したPMの量に基づいて閾値を算出する閾値算出処理である。
【0036】
ステップS104では、制御装置100は、最新の停止中積算値A1が、第1閾値X1以上であるか否かを判定する。最新の停止中積算値A1が、第1閾値X1より小さい場合(S104:NO)、制御装置100は、再びステップS104の処理を実行する。最新の停止中積算値A1が、第1閾値X1以上である場合(S104:YES)、制御装置100の処理はステップS107へ移行する。
【0037】
ステップS107では、制御装置100は、実行中の第1停止処理または第2停止処理を中止する。すなわち、制御装置100は、4つの気筒11での混合気の燃焼を再開する。また、制御装置100は、継続して算出していた停止中積算値A1をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、停止中積算値A1の算出を停止する。その後、制御装置100の処理はステップS108へ移行する。なお、ステップS104、ステップS106、及びステップS107の処理は、停止中積算値A1が閾値以上となった場合に、実行中の第1停止処理または第2停止処理を中止して、すべての気筒11での混合気の燃焼、すなわち通常運転を再開する再開処理である。
【0038】
ステップS108では、制御装置100は、ステップS101と同様にして、吸入空気量GAの積算を開始する。制御装置100は、ステップS108の処理以後、後述するステップS110の処理が開始されるまで、積算値の更新を継続する。なお、以降の説明では、本ステップから積算を開始した吸入空気量GAの積算値を「再開後積算値A2」として記載する。吸入空気量GAの積算を開始した後、制御装置100の処理は、ステップS109へ移行する。
【0039】
ステップS109では、制御装置100は、最新の再開後積算値A2が、予め定められた規定値Y以上であるか否かを判定する。規定値Yは、フィルタ40内に残存している酸素がフィルタ40から排出されるのに必要な吸入空気量GAの積算値として定められる値である。最新の再開後積算値A2が、規定値Yより小さい場合(S109:NO)、制御装置100の処理は、ステップS111へ移行する。
【0040】
ステップS111では、制御装置100は、禁止フラグをオンにする。ステップS111の開始時点において既に禁止フラグがオンである場合には、制御装置100は、禁止フラグをオンにした状態を継続する。なお、禁止フラグがオンになると、上述した第1条件及び第2条件が満たされなくなる。したがって、制御装置100は、第1停止処理及び第2停止処理の実行を禁止する。そして、制御装置100の処理は、再度ステップS109へ移行する。すなわち、制御装置100は、再開処理を実行後、禁止フラグがオンの間は第1停止処理及び第2停止処理の実行を禁止する。そして、禁止フラグがオンになっている期間とは、再開後積算値A2が規定値Yに達するまでの期間である。
【0041】
一方で、ステップS109において、最新の再開後積算値A2が、規定値Y以上である場合(S109:YES)、制御装置100の処理は、ステップS110へ移行する。
ステップS110では、制御装置100は、禁止フラグをオフにする。そして、制御装置100は、継続して算出していた再開後積算値A2をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、再開後積算値A2の算出を停止する。なお、禁止フラグがオフである場合には、第1条件の各要件及び第2条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件は満たされている。したがって、制御装置100は、第1条件の各要件及び第2条件の各要件のうち禁止フラグに関する要件以外の他の要件が満たされれば、第1停止処理及び第2停止処理を実行する。ステップS110の処理の後、制御装置100による一連の制御は終了する。
【0042】
<本実施形態の作用について>
図3に示すように、時刻T1において、第2条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件を満たしたとする。このとき、制御装置100は、第2停止処理の要求フラグをオンにする。この時刻T1の時点で禁止フラグがオフであれば、第2停止処理の要求フラグがオンになったことをうけて、制御装置100は、時刻T1で第2停止処理の実行を開始する。上述したように、第2停止処理が実行されると、制御装置100は、停止中積算値A1の算出を開始する。そして、時刻T1を開始時点として停止中積算値A1は徐々に増加する。
【0043】
その後、時刻T2において、停止中積算値A1が第2閾値X2以上になったものとする。このとき、制御装置100は、停止中積算値A1が第2閾値X2以上になったと判定して、停止中積算値A1をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、禁止フラグをオンにする。禁止フラグがオンであると、第2停止処理を実行するための5つの要件のうちの1つが満たされなくなる。すなわち、第2条件が満たされなくなる。これに伴い、制御装置100は、再開処理を実行することにより、第2停止処理の実行を中止する。また、制御装置100は、時刻T2において、再開処理を実行するのと共に再開後積算値A2の算出を開始する。そして、時刻T2を開始時点として再開後積算値A2は増加する。
【0044】
なお、時刻T2において、第2条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件が満たされていれば、第2停止処理の要求フラグは、オンのままである。すなわち、時刻T2の直後は、第2停止処理を実行したい状況であるものの、第2停止処理を終了してから一定の期間が経過していないことを原因として、第2停止処理の実行が禁止されている状況である。
【0045】
その後、時刻T3において、再開後積算値A2が規定値Y以上になったものとする。このとき、制御装置100は、再開後積算値A2をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、禁止フラグをオフにする。したがって、時刻T3の以後は、第2条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件が満たされていれば、再び第2停止処理が実行可能である。なお、図3に示す例では、時刻T3以後は、第2条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件のいずれかが満たされていないものとする。
【0046】
その後、時刻T4において、第1条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件を満たしたとする。このとき、制御装置100は、第1停止処理の要求フラグをオンにする。上述したとおり、時刻T4以前の時刻T3の時点で、禁止フラグはオフになっている。したがって、第1停止処理の要求フラグがオンになったことをうけて、制御装置100は、時刻T4で第1停止処理の実行を開始する。上述したように、第1停止処理が実行されると、制御装置100は、停止中積算値A1の算出を開始する。そして、時刻T4を開始時点として停止中積算値A1は徐々に増加する。
【0047】
その後、時刻T5において、停止中積算値A1が第1閾値X1になったものとする。このとき、制御装置100は、停止中積算値A1が第1閾値X1以上になったと判定して、停止中積算値A1をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、禁止フラグをオンにする。禁止フラグがオンであると、第1停止処理を実行するための5つの要件のうちの1つが満たされなくなる。すなわち、第1条件が満たされなくなる。これに伴い、制御装置100は、再開処理を実行することにより、第1停止処理の実行を中止する。また、制御装置100は、時刻T5において再開処理が実行されたことを条件に、再開後積算値A2の算出を開始する。そして、時刻T5を開始時点として再開後積算値A2は徐々に増加する。
【0048】
なお、時刻T5において、第1条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件が満たされていれば、第1停止処理の要求フラグは、オンのままである。すなわち、時刻T5の直後は、第1停止処理を実行したい状況であるものの、第1停止処理を終了してから一定の期間が経過していないことを原因として、第1停止処理の実行が禁止されている状況である。
【0049】
その後、時刻T6において、再開後積算値A2が規定値Y以上になったものとする。このとき、制御装置100は、再開後積算値A2をゼロにクリアする。そして、制御装置100は、第1停止処理の禁止フラグをオフにする。したがって、時刻T6の以後は、第1条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件が満たされていれば、再び第1停止処理が実行可能である。なお、図3に示す例では、時刻T6以後は、第1条件の各要件のうち、禁止フラグに関する要件以外の4つの要件のいずれかが満たされていないものとする。
【0050】
上記のような例において、時刻T1~時刻T2の期間は第2停止処理が実行される。この第2停止処理を実行した場合、4つの気筒11で燃料噴射を停止する。したがって、第2停止処理実行中において、フィルタ40に酸素が供給される。フィルタ40に堆積したPMは、フィルタ40に供給された酸素と反応して燃焼する。そのため、第2停止処理実行中は、フィルタ40の温度が上昇しやすくなる。
【0051】
一方、時刻T4~時刻T5の期間は第1停止処理が実行される。この第1停止処理を実行した場合、4つの気筒11のうち、特定の1つの気筒11で燃料噴射を停止する。そして、制御装置100は、残りの3つの気筒11で燃料を噴射し、混合気を燃焼させる。第1停止処理実行中も、第2停止処理と同様に、混合気が燃焼されない気筒11からフィルタ40に酸素が供給される。そのため、フィルタ40に堆積したPMが燃焼する。
【0052】
一方で、第1停止処理実行中では、3つの気筒11において混合気が燃焼するため、フィルタ40には既燃ガスが供給される。既燃ガスは、PMの燃焼には関与せず、そのままフィルタ40を通過する。そのため、フィルタ40の熱を既燃ガスが持ち去ることができる。その結果、第1停止処理実行時は、第2停止処理実行時よりも、フィルタ40の温度が上昇しにくくなる。
【0053】
<本実施形態の効果について>
(1)上記実施形態において、第1閾値X1は、第2閾値X2よりも大きな値である。上述したように、第1停止処理実行時は、既燃ガスの存在によりフィルタ40の温度が第2停止処理実行時よりも高くなりにくい。そのため、第1停止処理を実行した場合に、フィルタ40が過熱しておらず未だ第1停止処理を継続できるにも拘わらず、第1停止処理が中止されてしまう、といった事態は生じにくい。
【0054】
(2)上記実施形態において、制御装置100は、閾値算出処理で、第1停止処理実行開始したときのフィルタ40のPM堆積量が多いほど、第1閾値X1が小さくなるように算出する。また、制御装置100は、閾値算出処理で、第1停止処理実行開始したときのフィルタ40の温度が高いほど第1閾値X1が小さくなるように算出する。そして、制御装置100は、同様の傾向で第2閾値X2を算出する。このように、制御装置100は、PMが燃焼することに伴う発熱量、及び各停止処理開始時のフィルタ40の温度を、第1閾値X1及び第2閾値X2に反映できる。したがって、フィルタ40の過熱を防止するための正確な閾値を算出できる。
【0055】
(3)上記実施形態において、禁止フラグがオンの間は第1停止処理及び第2停止処理は実行されない。そのため、各停止処理に伴いフィルタ40内に多くの酸素が残留している状態で、各停止処理が再び実行されることはない。したがって、各停止処理の開始時に多くの酸素がフィルタ内に残留していることに起因して、フィルタ40が過熱されることは妨げる。
【0056】
(4)上記実施形態において、禁止フラグがオフになるまでの期間は、再開処理が実行されてからの再開後積算値A2が、予め定められた規定値Yに達するまでの期間としている。すなわち、上記実施形態では再開処理後の各停止処理の禁止期間を、フィルタ40内の残留酸素の低下量と相関の高い再開後積算値A2で定めている。そのため、フィルタ40内の酸素量が低下していく実際の速度に合わせた正確な禁止期間にできる。
【0057】
<変更例について>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・上記実施形態において、第1停止処理で、混合気の燃焼を停止する気筒11の数は1つに限定されない。上記実施形態のように、4つの気筒11を有する内燃機関10の場合、混合気の燃焼を停止する気筒11の数は、特定の2つでもよいし、特定の3つでもよい。
【0059】
・第1停止処理で混合気の燃焼を停止する特定の気筒11は、常に同じ気筒11でなくてもよい。例えば、すべての気筒11が1回ずつ燃焼行程を迎える機関を1単位機関とする。このとき一定の単位期間毎に、混合気の燃焼を停止する気筒11を変更してもよい。この場合でも、燃焼を停止する気筒11の変更順が予め決まっているならば、特定の気筒11での混合気の燃焼を停止しているといえる。
【0060】
・上記実施形態において、制御装置100は、第1停止処理の実行毎に、混合気の燃焼を停止する気筒11の数を変更してもよい。この場合、制御装置100は、混合気の燃焼を停止する気筒11の数が少ないほど第1閾値X1を大きな値に算出してもよい。
【0061】
この変更例では、混合気の燃焼を停止する気筒11の数が例えば1つである場合の方が、複数である場合よりも、燃焼している気筒11から排出される既燃ガスの量が多くなる。したがって、フィルタ40からより多くの熱が既燃ガスによって持ち去られるので、フィルタ40の温度が上昇しにくくなる。その結果、第1停止処理を長期間継続しても、フィルタ40が過熱しにくい。
【0062】
したがって、この変更例の構成によれば、混合気の燃焼を停止する気筒11の数に応じて第1閾値X1を算出するので、フィルタ40の過熱を防止しつつ第1停止処理をできるだけ長期間継続させることができる。
【0063】
・上記実施形態において、車両の構成は上記実施形態の例に限定されない。例えば、車両は、内燃機関10及びモータジェネレータを駆動源として走行するハイブリッド車両であってもよい。
【0064】
・上記実施形態において、フィルタ40の温度は、温度センサで検出してもよい。例えば、排気通路22におけるフィルタ40から視て下流側に温度センサを配置し、この温度センサの値をフィルタ40の温度としてもよい。
【0065】
・上記実施形態において、第1条件及び第2条件の各要件は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、第1条件及び第2条件は、フィルタ40からPMを燃焼除去する上で、車両の運転状態を規定できる内容になっていればよい。例えば、車両が、空燃比フィードバック制御を行い、空燃比センサ75が取得する空燃比AFの値が、予め定められた規定の範囲内に収まって、空燃比AFが安定している状態を、第1条件及び第2条件の要件の一つとしてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、制御装置100は、第1閾値X1が第2閾値X2よりも大きな値として算出するのであれば、算出方法は上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1閾値X1に、1より小さくゼロより大きい係数を乗算して第2閾値X2を算出してもよい。また、第1閾値X1は、第2閾値X2よりも予め定められた固定値だけ大きな値として算出してもよい。
【0067】
・上記実施形態において、第1閾値X1及び第2閾値X2は、フィルタ40のPM堆積量に基づいて算出されていればよい。すなわち、制御装置100は、フィルタ40の温度に基づいて第1閾値X1及び第2閾値X2を算出しなくてもよいし、その他のパラメータを各閾値の算出に適用してもよい。
【0068】
・第1閾値X1及び第2閾値X2のいずれか一方又は両方を、PMの量に拠らない固定値としてもよい。第1閾値X1を固定値、第2閾値X2を変動値とする場合、第2閾値X2の変動範囲より大きな値に第1閾値X1を予め定めればよい。第2閾値X2を固定値、第1閾値X1を変動値とする場合、第1閾値X1の変動範囲より小さな値に第2閾値X2を予め定めればよい。さらに、第1閾値X1及び第2閾値X2の両方を固定値とする場合、第1閾値X1を第2閾値X2よりも小さな値に予め定めればよい。これらの変更例においても、フィルタ40に堆積した粒子状物質の量が同じ場合での第1閾値X1及び第2閾値X2を比較した場合、第1閾値X1は第2閾値X2よりも大きい。
【0069】
・上記実施形態において、禁止フラグをオンとする期間を、上記実施形態とは異なる指標で決定してもよい。例えば、禁止フラグをオンとする期間を、吸入空気量GAの積算値で定めるのではなく、所定の秒数等、一定の時間として定めてもよい。
【0070】
・上記実施形態において、ステップS108以降の処理を省略してもよい。すなわち、禁止フラグのオン、オフに関する処理を省略してもよい。この場合、第1条件及び第2条件から、禁止フラグに関する処理を省略してもよい。この場合、第1条件及び第2条件から、禁止フラグに関する要件を削除すればよい。この変更例の場合であっても、第1閾値X1及び第2閾値X2が相当に小さな値として定められていれば、フィルタ40が過熱することを防げる。
【符号の説明】
【0071】
10…内燃機関
11…気筒
12…燃料噴射弁
21…吸気通路
22…排気通路
40…フィルタ
100…制御装置
X1…第1閾値
X2…第2閾値
Y…規定値
図1
図2
図3