(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20231205BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20231205BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0645
(21)【出願番号】P 2018174934
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-01-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 博康
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】辻村 寛子
(72)【発明者】
【氏名】大塚 光歩
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
(72)【発明者】
【氏名】後藤 淳
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-86282(JP,A)
【文献】特開2003-44979(JP,A)
【文献】特開2017-76262(JP,A)
【文献】特開2013-54537(JP,A)
【文献】特開2018-81617(JP,A)
【文献】特開2016-95750(JP,A)
【文献】特開2003-6295(JP,A)
【文献】特開2018-116703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を実行する制御部を備
え、
前記制御部は、直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する、情報提供装置。
【請求項2】
前記情報には、前記移動体の利用料金に関する情報が含まれる、
請求項
1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記利用料金は、直近の利用終了からの経過時間に応じて決定される、
請求項
2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記利用料金は、前記移動体の位置に応じて決定される、
請求項
2または
3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記利用料金は、前記移動体の周囲に存在する他の移動体の数に応じて決定される、
請求項
2から
4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記利用料金は、前記移動体の周囲に存在する潜在的な利用者の数に応じて決定される、
請求項
2から
5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭
的メリットを受けられる旨とが含まれる、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を実行する制御部を備え、
前記情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる、情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータにより、ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供示方法であって、
前記コンピュータは、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を含む処理を実行
し、
前記コンピュータは、直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する、情報提供方法。
【請求項10】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
をコンピュータに実行さ
せ、
直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定することを前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが利用申請を行って利用する移動体(シェアカーなど)に関する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、広告データをFM多重放送により車両に送信し、当該車両が広告データを車両内に設置された広告表示装置に表示することで、車外の人に宣伝を行うことが開示されている。特許文献1で想定されている広告の内容は、レストランやスーパー等の店舗に関するものであり、車両の利用を広告することは想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ユーザが利用申請を行って利用する移動体(例えば、シェアカー)の利用を効果的に促進可能なように情報提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との直接または間接的な通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
を実行する制御部を備える、情報提供装置である。
【0006】
本発明の第二の態様は、
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供方法であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との直接または間接的な通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
を含む方法である。
【0007】
本発明の第三の態様は、
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との直接または間接的な通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
をコンピュータに実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが利用申請を行って利用する移動体の利用を効果的に促進可能なように情報提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るカーシェアリングシステムのシステム概略図。
【
図2】一実施形態における各装置の機能構成を示すブロック図。
【
図3】一実施形態においてユーザが車両を利用する際の処理の流れを示す図。
【
図4】一実施形態における情報提供処理を示すフローチャート。
【
図5】一実施形態において提示される情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年、乗り捨て型カーシェアリングサービスが普及しつつある。ここで、乗り捨て型カーシェアリングサービスとは、シェアカーを返却する場所が特定の場所(ステーションや駐車枠など)に限定されず、サービス範囲内であれば任意の場所に停車して利用を終了できるカーシェアリングサービスである。このような乗り捨て型カーシェアリングサービスでは、ユーザは、スマートフォンなどを用いて利用可能な車両の停車位置を検索したり、目視でシェアカーを発見したりすることが想定されている。
【0011】
ここで、シェアカーの外観をできるだけ通常の車両と同様としたいという要望もある。そうすると、ユーザは路上に停車している車両がシェアカーなのか否かを目視では簡単に判断できないという問題が生じる。スマートフォン上でのアプリを用いてシェアカーか否かを判断可能であるが、アプリの起動を行わなければならずユーザにとっては手間がかかる。
【0012】
上記を考慮して、本実施形態では、ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を効果的に提供して、当該移動体の利用を促進する。
【0013】
本実施形態に係る情報提供装置は、移動体が利用中ではない場合、当該移動体が利用可能である旨を示す情報を、当該移動体が有する表示部に表示する。これにより、ユーザは、路上に駐車されている移動体が、利用可能である旨を容易に把握できるようになる。
【0014】
より具体的には、本実施形態は、ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、を実行する制御部を備える。「移動体が利用中」とは、当該移動体が利用中のユーザ以外によって利用できない状況を意味してもよい。また、「移動体が利用可能である旨を示す情報」は、当該案内を見たユーザが移動体を利用可能であると把握可能な情報であればどのような情報であってもよい。案内は、例えば「利用可能」という文言を明示的に含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、サービス名称やロゴを含む情報を表示するだけでも、当該案内を見たユーザは移動体が利用可能であると把握できるので、サービス名称やロゴのみを含む案内も「移動体が利用可能である旨を示す情報」に該当する。
【0015】
本実施形態によれば、シェアカーのような複数のユーザが利用申請して利用する移動体において、ユーザが利用可能な場合だけ情報提供を行い、ユーザが利用中には情報提供を行わないようにできる。したがって、利用中の移動体の外観を通常の車両と同様にするという要望と、利用可能な移動体を容易に識別可能とするという要望の両方を満足することができる。
【0016】
本実施形態において、表示部は、移動体外部から視認可能であれば、移動体内部に設置されても移動体外装に設置されてもよい。ユーザ装置は、スマートフォンのような通信機能付きのポータブルコンピュータであってもよいし、非接触型のICカードであってもよい。移動体は、ユーザを移動させることが可能な任意の装置であってよく、例えば、車両(二輪車を含む)、船舶、飛行体を含む。
【0017】
本実施形態において、直近の利用終了からの経過時間に応じて、提供情報の内容を決定してもよい。例えば、経過時間が長くなるほどより目立つ内容の案内を行ってもよいし、経過時間が短い間はサービス名やロゴ等のみを表示し、経過時間が長くなるとより積極的に移動体の利用を促す宣伝を表示するようにしてもよい。このようにすれば、経過時間、すなわち移動体が利用されていない期間に応じて、より強力に移動体の利用を促すことができる。
【0018】
本実施形態における提供情報には、移動体の利用料金に関する情報が含まれてもよい。利用料金に関する情報とは、利用料金の金額自体であってもよいし、通常の利用料金からの割引率や割引額であってもよいし、割引適用がある旨の通知であってもよい。利用料金は、例えば、移動体が利用される確率が低いと推定されるほど安くなるように決定してもよい。例えば、利用料金は、移動体の直近の利用終了からの経過時間に応じて決定されてもよく、この場合、経過時間が長いほど利用料金が安くなるようにするとよい。また、利用料金は、移動体の位置に応じて決定されてもよく、この場合、移動体の利用頻度実績が少ない位置ほど利用料金が安くなるようにするとよい。また、利用料金は、当該移動体の周囲に存在する他の移動体の数や、当該移動体の周囲に存在する潜在的な利用者の数に応じて決定されてもよい。これらの場合、移動体の数が多いほど、また、潜在的な利用者の数が少ないほど、利用料金が安くなるようにするとよい。このように、利用料金を決定することで、より積極的に移動体の利用を促すことが可能となる。
【0019】
また、本実施形態における提供情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれてもよい。移動先は、典型的には、移動体の利用需要が高いが移動体の数が少ない地点である。また、金銭的メリットは、利用料金の割引であってもよいし、あるいは移動に対する報酬であってもよい。このように移動先を指定して金銭的メリットを与えることで、本来であればサービス事業者が行うべき移動体の回送を、ユーザに行ってもらうことができる。
【0020】
<第1実施形態>
(システム概要)
図1は、本実施形態に係るカーシェアリングシステム1(以下、システム1と称する)の概略構成を示す図である。
図1の例では、システム1は、車両100、利用者(ユーザ)が有する端末であるユーザ端末200、車両管理サーバ300を含む。車載装置100、ユーザ端末200、および車両管理サーバ300は、ネットワークN1によって相互に接続される。
図1において、車両100及びユーザ端末200を1つずつしか記載していないが、それぞれ複数存在してもよい。
【0021】
ユーザは、ユーザ端末200を用いて車両管理サーバ300にアクセスして車両100の予約を行うと共に、ユーザ端末200と車両100の近接通信により車両100を解錠して車両100を利用する。
【0022】
車両管理サーバ300は、ユーザ端末200から予約を受け付ける。また、車両管理サーバ300は、車両100との間で通信を行って、予約状況を車両100に通知したり、車両100の状態を取得したりする。車両管理サーバ300は、また、車両100が提供
する情報の内容を決定して車両100に通知してもよい。
【0023】
車両100は、ユーザ端末200との近距離通信により施解錠を行う。また、車両100は、車両100の利用が開始された/終了した、あるいは利用中である/利用中ではないといった情報や、現在の位置などに関する情報を車両管理サーバ300に送信する。車両100は、後述するように車両100の外部から視認可能なディスプレイを有しており、車両100が利用されていない場合には当該ディスプレイから情報提供(表示)を行う。
【0024】
(装置構成)
図2は、車両100、ユーザ端末200、車両管理サーバ300の構成をより詳細に説明する図である。
【0025】
車両100は、制御部101、車両制御部102、GPS装置103、表示装置104、近距離通信部105、施解錠管理装置106、通信部107を備える。制御部101は、プロセッサ、主記憶部、補助記憶部などから構成されるコンピュータ(情報処理装置)であり、車両100のカーシェアリングサービスに関する制御全般を司る。車両制御部102もプロセッサ、主記憶部、補助記憶部などから構成されるコンピュータ(情報処理装置)であり、車両制御を司る。GPS装置103は、GPS衛星からの信号に基づいて位置情報を取得する。表示装置104は、車両100の外部から視認が可能なように設置される。表示装置104は、車両100の内部に設置されてもよいし、車両の外装に設置されてもよい。また、車両100の外装(外壁)自体を表示装置104により構成してもよい。近距離通信部105は、ユーザ端末200(近距離通信部204)と近距離通信を行う。なお、本実施形態において近距離通信は、通信距離が1メートル程度以下の無線通信方式一般を意味し、特定の通信方式を意味するものではない。近距離通信方式の具体的には、近接場型の無線通信(NFC)、Bluetooth(登録商標)やZigBee等の無線通信が含
まれる。施解錠管理装置106は、車両100のドアの施解錠や車両のキーを格納するグローブボックスの施解錠を管理する装置である。通信部107は、ネットワークN1を介してユーザ端末200や車両管理サーバ300と通信する。通信部107の具体的な通信方式は特に限定されない。
【0026】
ユーザ端末200は、制御部201、入出力部202、認証データ記憶部203、近距離通信部204、通信部205を備える。制御部201は、プロセッサ、主記憶部、補助記憶部などから構成されるコンピュータ(情報処理装置)であり、ユーザ端末200の制御全般を司る。入出力部202は、例えば、タッチスクリーンであるが、これに限定されず既存の任意の入力装置および出力装置から構成されてもよい。認証データ記憶部203は、ユーザ端末200のユーザを識別するための認証データを記憶する。認証データは近距離通信部204を介して車両100に送信され、車両100の施解錠が実行される。近距離通信部204および通信部205は、車両100が備える近距離通信部105および通信部107と同様であるため説明を省略する。制御部201は、また、車両管理サーバ300にアクセスして車両100の検索や予約を行うためのアプリケーションプログラムを実行してもよい。
【0027】
車両管理サーバ300は、制御部301および通信部302を備える。制御部301は、プロセッサ、主記憶部、補助記憶部などから構成されるコンピュータ(情報処理装置)であり、車両管理サーバ300の制御全般を司る。車両管理サーバ300は、主に、ユーザ端末200に対して車両100の検索や予約を行うサービスを提供する。また、車両管理サーバ300は、車両100に対する予約情報の送信、車両100の利用状態や位置情報の管理、車両100の利用料金や提供情報の決定及び送信、等の処理を行う。
【0028】
上述の制御部101,201,301は、CPUやDSP等のプロセッサ、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリやSDカード等のフラッシュメモリ、あるいは、CD-ROMやDVDディスク、ブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。補助記憶部には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。プロセッサは、補助記憶部に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行する。プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に果たす各機能部を実現することができる。ただし、一部または全部の機能部はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。ただし、制御部101,201,301は必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0029】
(車両利用時の処理フロー)
図3を参照して、ユーザが車両100を利用する際の処理の流れを説明する。
【0030】
ステップS11において、ユーザはユーザ端末200を介して、車両管理サーバ300にアクセスをして車両100の予約を行う。なお、予約処理は、ユーザ端末200にインストールされたカーシェアリングサービス利用のための専用アプリを用いて行ってもよいし、車両管理サーバ300が提供するウェブサイトにアクセスすることにより行ってもよい。車両管理サーバ300は、利用可能車両の検索機能も提供し、ユーザは検索された車両を指定して予約が行える。また、ユーザ端末200は、車両100と近距離通信を行って車両100を識別して、識別された車両100を指定して予約してもよい。
【0031】
ステップS12において、車両管理サーバ300は、車両100と通信して、車両100が予約されたことを通知する。
【0032】
ステップS13において、ユーザは、ユーザ端末200を車両100に近接させて近距離通信を行う。ユーザ端末200の近距離通信部204は、認証データ記憶部203に格納されている認証データを車両100の近距離通信部105に送信する。車両100は、受け取った認証データが予約者のものであるか認証し、認証に成功したら施解錠管理装置106により車両100を解錠する。これにより、ユーザは、車両100に乗り込めるようになり、車両100のグローブボックス内に格納されている車両のキーを用いて車両100の運転を開始できる。
【0033】
ステップS14において、車両100の制御部101は、通信部107を介して車両管理サーバ300に、車両100が利用されたことを通知する。車両管理サーバ300は、これにより、車両100が利用開始されたことを把握できる。
【0034】
ユーザが車両を返却する際には、ステップS15において、車両100のキーをグローブボックスに戻してから、ユーザ端末200を車両100に近接させて近距離通信を行って、車両100の施錠を行う。車両100の制御部101は、ユーザの認証に成功したら施解錠管理装置106により車両100を施錠する。
【0035】
ステップS16において、車両100の制御部101は、通信部107を介して車両管理サーバ300に、車両100の利用が終了したことを通知する。車両管理サーバ300は、これにより、車両100の利用が終了したことを把握できる。
【0036】
ステップS17において、車両100の制御部101は、車両100の利用が終了され
たことを把握できるので、表示装置104を用いた車両100に関する情報の情報提供処理を行う。情報提供処理の詳細については後述する。
【0037】
なお、車両100は、通信部107を介して定期的に位置情報を車両管理サーバ300に送信しており、車両管理サーバ300は、車両100の位置を把握可能である。
【0038】
(情報提供処理)
次に、
図4を参照して、車両100における情報提供処理について説明する。
【0039】
ステップS100において、車両100の制御部101は、ユーザによる車両100の利用が終了したか判断し、利用終了を検知すると(S100-YES)と処理はステップS102に進む。上述したように本実施形態では、ユーザ端末200を用いた近距離通信による車両100の施錠が行われたことをもって、車両100の利用終了と判断する。制御部101は、車両100の利用が終了した時刻を記憶する。
【0040】
ステップS102において、制御部101は、車両100の直近の利用終了からの経過時間を取得する。この経過時間は、現在時刻と利用終了時刻の差として求めることができる。
【0041】
ステップS104において、制御部101は、直近の利用終了からの経過時間に応じて提供情報の内容を決定する。一例として、経過時間に応じて、最初はサービス名やロゴ等のみの表示、次は車両100が利用可能である旨の表示、さらに時間がたつと利用料金などの詳細情報を含む表示、といったように提供情報を切り替えることが考えられる。経過時間に応じてどのような提供情報を採用するかは、予め定義しておけばよい。なお、利用終了からの経過時間に応じて提供情報を変更せずに、常に同一の情報を表示してもよく、例えば、常に、車両100が利用可能である旨と利用料金とを含む情報を表示してもよい。提供情報の決定は、車両100で行ってもよいし、車両管理サーバ300で行ってもよいし、その他の装置で行ってもよい。提供情報の決定を車両管理サーバ300やその他の装置で行う場合には、制御部101が当該装置にアクセスして提供情報の決定を依頼して取得するようにすればよい。
【0042】
ステップS106において、制御部101は、ステップS104で決定された提供情報を、表示装置104に表示する。
図5は、表示装置104に表示される提供情報51を示す。なお、
図5に示す提供情報は一例に過ぎず、上述したように車両100がシェアカーとして利用可能であることがユーザに伝わる内容であれば特に限定されない。
【0043】
ステップS108において、制御部101は、車両100がユーザによって利用開始されたか否かを判断する。なお、車両の利用開始は、ユーザ端末200と車両100とが近接通信をして車両100が解錠されたタイミング(
図3のステップS13)としてもよいし、車両100が予約されたタイミング(
図3のステップS11~S12)としてもよい。車両100が利用されない間はステップS102からS106の間の処理を繰り返す。車両100の利用開始が検知されると処理はステップS110に進む。ステップS110において、制御部101は、表示装置104の情報の表示を終了する。
【0044】
(利用料金決定処理)
ここで、提供情報に車両100の利用料金が含まれ、かつ、当該利用料金が動的に決定される実施形態において、どのように利用料金を決定するかを説明する。なお、利用料金の決定処理は、車両管理サーバ300(制御部301)において行われてもよいし、車両100(制御部101)によって行われてもよいし、その他の装置によって行われてもよい。
【0045】
利用料金の第1の決定方法は、車両100の直近の利用終了からの経過時間に応じて決定する方法である。この場合、利用終了からの経過時間が長いほど利用料金が安く決定される。なお、利用料金は、経過時間に対して連続的に変化する必要はなく、不連続に変化してもよい。また、利用料金は、経過時間に対して線形に変化する必要はなく、非線形に変化してもよい。このことは、経過時間以外の要素に応じて利用料金を決定する場合にも当てはまる。
【0046】
利用料金の第2の決定方法は、車両100の駐車位置に応じて決定する方法である。この場合、例えば、過去の利用頻度実績が少ない位置ほど利用料金が安く決定される。ここでいう利用実績は、車両管理サーバ300が管理する車両全体についての利用実績とするとよい。上述のように車両100は状況情報を車両管理サーバに適時送信しているので、車両管理サーバ300は、それぞれの車両100についていつどこで利用が開始されたかを把握可能である。
【0047】
利用料金の第3の決定方法は、車両100の周囲に存在する他の車両の数に応じて決定する方法である。この場合、周囲の他の車両の数が多いほど利用料金が安く決定される。なお、ここでいう他の車両は、車両管理サーバ300によって管理される車両、言い換えるとユーザがシェアカーとして利用可能な車両である。また、上述のように車両100は利用状況およい位置情報を車両管理サーバに適時送信しているので、車両管理サーバ300は、利用可能な車両100がどこに位置しているかを把握可能である。
【0048】
利用料金の第4の決定方法は、車両100の周囲に存在する潜在的なユーザの数に応じて決定する方法である。この場合、周囲に存在する潜在的なユーザの数が少ないほど利用料金が安く決定される。なお、ここでいう潜在的なユーザは、車両100を利用可能なユーザを指し、典型的にはカーシェアリングサービスの登録ユーザを意味する。どの地域にどれだけの潜在ユーザが存在するかは、例えば、あらかじめ調査してデータとして車両管理サーバ300内に保持しておいてもよい。あるいは、車両管理サーバ300が、潜在ユーザのユーザ端末200から位置情報をリアルタイムに受信して、その位置を把握してもよい。
【0049】
以上のいずれの方法においても、車両100が利用されていない期間が長いほど、あるいは利用されていない期間が長いと推測されるほど、利用料金を安くしている。すなわち、需要が少ない、あるいは少ないと予測される場合に利用料金を安くしている。これにより、利用される見込みが低い車両100の利用をより積極的に促すことで、不必要な値下げを回避できると共に、車両稼働率の向上が見込める。
【0050】
以上の方法は、複数組み合わせて採用することも可能である。その場合、複数の方法によって得られた利用料金のいずれか(たとえば、最大値や最小値)を最終的な利用料金としてもよいし、複数の方法によって得られた利用料金に基づく料金(例えば、単純平均値、加重平均値)を最終的な利用料金としてもよい。
【0051】
また、表示装置104に表示する情報の内容は、利用料金の金額自体を含んでもよいし、通常料金からの割引額あるいは割引率を含んでもよいし、これらの複数を含んでもよい。
図5の例では、割引率と金額が提供情報として表示されている。
【0052】
(車両移動へのインセンティブ提示)
車両100が表示する提供情報(案内)に、車両100を特定の場所に移動させた場合に、ユーザに対して金銭的メリットを提供する旨の表示を含めることも考えられる。乗り捨て型のカーシェアリングサービスでは、利用可能な車両の位置に偏りが生じるため、定
期的に車両の回送が必要となる。この回送をユーザ自身に行ってもらうために、車両100を特定の場所に移動させれば金銭的メリットを提供するという通知を表示する。ここで、金銭的メリットとは、利用料金の割引であってもよいし、現金またはポイントの付与であってもよい。
【0053】
車両管理サーバ300は、どの位置にどれだけの利用可能な車両が存在するべきであるか、言い換えると、位置ごとに必要な最小車両台数をあらかじめ格納するように構成される。車両管理サーバ300は、ある位置における車両台数が最小値を下回った場合には、当該位置(以下、移動先とも称する)に車両を移動することを促す案内(情報)を提示すると決定する。このような案内を提示する対象の車両は、車両管理サーバ300が管理する全ての車両であってもよいが、移動先に近い車両のみに限定してもよい。車両管理サーバ300は、車両100から提供する情報(案内)の内容を取得するリクエストを受けた場合に、当該車両が移動先から所定距離以内である場合に、移動先まで車両100を移動した場合に金銭的メリットを与えるという案内内容を決定して、車両100に送信する。この場合、ユーザに付与する金銭的メリットの決定方法は特に限定されず、固定であってもよいし、移動距離やその他の条件に応じて決定されてもよい。
【0054】
(本実施形態の有利な効果)
本実施形態によれば、乗り捨て型のカーシェアリングサービスにおいて、車両の外観にロゴやサービス名などが含まれていなくても、駐車されている車両がシェアカーとして利用可能であることをユーザが容易に把握できる。
【0055】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0056】
実施形態における車両の利用方法は、上記で説明した例に限定されない。例えば、ユーザは、車両100を予約しなくても、ユーザ端末200と車両100を近接通信することにより利用可能としてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、ユーザ端末200と車両100が直接通信を行って、車両利用の開始および終了を車両100に通知している。しかしながら、ユーザ端末200と車両100が間接的に通信を行って、車両利用の開始および終了を車両100に通知してもよい。たとえば、ユーザ端末200は車両管理サーバ300に対して車両利用の開始および終了を申請し、車両管理サーバ300から車両100に対して利用の開始および終了を通知してもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、ユーザ端末200と車両100の近接通信により車両100のドアが解錠され、ユーザはダッシュボード内のキーを取りだして車両100を始動している。しかしながら、例えば、ユーザ端末200から車両管理サーバ300にアクセスして車両100の利用申請を行うと、車両管理サーバ300あるいは鍵管理サーバから、電子キーがユーザ端末200に送信され、この電子キーを用いて車両の施解錠や始動を行うようにしてもよい。
【0059】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0060】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハード
ウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0061】
本発明は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0062】
100:車両 200:ユーザ端末 300:車両管理サーバ
101:制御部 102:車両制御部 103:GPS装置
104:表示装置 105:近距離通信部 106:施解錠管理装置 107:通信部