(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231207BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20231207BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20231207BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0962
H04R3/00 310
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2022028342
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 祐史
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 昌宣
(72)【発明者】
【氏名】友田 圭祐
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-103781(JP,A)
【文献】特開2005-333621(JP,A)
【文献】特開2021-162379(JP,A)
【文献】特開平07-113656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
29/10
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声を出力させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記案内音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御し、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記案内地点において前記車両が右折する場合に、前記案内地点において前記車両が左折する場合よりも早いタイミングで前記案内音声を出力させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、現在位置から前記案内地点までの距離に応じて前記音像の定位位置が移動するように、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記案内地点において前記車両が右折する場合には、前記現在位置から前記案内地点までの距離が近いほど前記音像の定位位置が右方向に移動するように、
前記案内地点において前記車両が左折する場合には、前記現在位置から前記案内地点までの距離が近いほど前記音像の定位位置が左方向に移動するように、
前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折する場合には、前記案内音声の再生開始時から再生終了時にかけて音像の定位位置が右方向に移動していくように前記音声出力装置に前記案内音声を出力させ、
前記案内地点において前記車両が左折する場合には、前記案内音声の再生開始時から再生終了時にかけて音像の定位位置が左方向に移動していくように前記音声出力装置に前記案内音声を出力させる
ことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
車両の傾斜角を示す情報を取得する傾き取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記傾斜角が所定の閾値以上である場合に、前記音像の定位位置が無定位となるように前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記車両である鞍乗型車両の制御ユニットから開始信号を受信する受信手段をさらに備え、
前記開始信号を受信したことに応じて、前記経路取得手段が前記誘導経路の取得を開始することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する工程と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声を出力させる工程と、
を備え、
前記案内音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御し、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが携帯する携帯端末を、
前記ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声を出力させる制御手段と、
として機能させるプログラムであって、
前記制御手段は、前記
案内音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御し、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、プログラム。
【請求項10】
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段、及び
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に出力させる、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声を送信する送信手段
を備える携帯端末と、
前記携帯端末から前記案内音声を受信する受信手段、及び
前記案内音声を、前記誘導経路に応じて設定される方向に定位させた音像で、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで出力する出力手段
を備える音声出力装置と、
を備えることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のユーザに音声により方向を提示する技術がある。特許文献1には、スピーカを介して、所定距離以内に障害物が接近している場合に、無定位の注意喚起音を出力し、次いで障害物方向に音像が定位する警告音を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、通話をする、又は音楽を聴くなどの携帯端末の機能を利用しながらバイクに乗るような使用環境を考慮していない。すなわち例えば、携帯端末による経路案内の案内音声を無線通信によりヘッドセットに出力させる場合などを考慮していない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声を出力させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記案内音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御し、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させることを特徴とする、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の右側の側面図。
【
図3】鞍乗型車両の制御装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る経路案内システムの概要を示す図。
【
図6】端末装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図7】音声出力装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図8】経路案内システムにおける音像の定位位置の決定処理を説明するための図。
【
図9】右折か左折かに応じた音声の出力タイミングを説明するための図。
【
図10】一実施形態に係る端末装置による処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、X方向は鞍乗型車両の前後方向、Y方向は鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)、Z方向は上下方向を示す。鞍乗型車両の左、右は前進方向で見た場合の左、右である。以下、鞍乗型車両の前後方向の前方または後方のことを単に前方または後方と呼ぶ場合がある。また、鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)の内側または外側のことを単に内側または外側と呼ぶことがある。
【0011】
本実施形態に係る情報処理装置は、車両のナビゲーションを行う経路案内システムにおいて用いられる。一実施形態に係る経路案内システムにおいては、ユーザが車両を利用する場合に、情報処理装置と音声出力装置とが無線通信により接続される。次いで、車両による誘導経路の走行中に、音声出力装置から出力される音声の音像が、誘導経路に応じて制御される。
【0012】
本実施形態に係るシステム(
図4で後述)においては、端末装置で実装される、経路案内アプリケーションに代表される各アプリケーションによる音声が音声出力装置に出力され、また音声出力装置へのユーザの入力により端末装置の操作を行うことが可能である。すなわち、携帯端末で実装可能な天気情報、ナビゲーション、電話、メッセージ、音楽再生、又はダッシュボードなどの機能の出力を音声出力装置において出力し、それらの操作を音声出力装置が備えるマイクやボタンを介して行うことができる。例えば経路案内システムにおいて音声出力装置を用いて出力される天気情報としてユーザの現在地又は目的地の天気情報が用いられるが、端末装置で実装可能な機能は特にこれらに限定されるわけではない。このような構成は、車両の走行中に運転操作を妨げることなく端末装置の機能を利用することを可能にする。
【0013】
[鞍乗型車両の概要]
まず、本実施形態に係るシステムにおける車両について説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1の右側の側面図、
図2は鞍乗型車両1の正面図である。
【0014】
鞍乗型車両1は、長距離の移動に適したツアラー系の自動二輪車であるが、本発明は他の形式の自動二輪車を含む各種の鞍乗型車両に適用可能であり、また、内燃機関を駆動源とする車両のほか、モータを駆動源とする電動車両にも適用可能である。以下、鞍乗型車両1のことを車両1と呼ぶ場合がある。
【0015】
車両1は、前輪FWと後輪RWとの間にパワーユニット2を備える。パワーユニット2は本実施形態の場合、水平対向六気筒のエンジン21と変速機22とを含む。変速機22の駆動力は不図示のドライブシャフトを介して後輪RWに伝達され、後輪RWを回転する。
【0016】
パワーユニット2は車体フレーム3に支持されている。車体フレーム3は、X方向に延設された左右一対のメインフレーム31を含む。メインフレーム31の上方には、燃料タンク5やエアクリーナボックス(不図示)が配置されている。燃料タンク5の前方には、ライダに対して各種の情報を表示する電子画像表示装置等を備えたメータパネルMPが設けられている。
【0017】
メインフレーム31の前側端部には、ハンドル8によって回動される操向軸(不図示)を回動自在に支持するヘッドパイプ32が設けられている。メインフレーム31の後端部には、左右一対のピボットプレート33が設けられている。ピボットプレート33の下端部とメインフレーム31の前端部とは左右一対のロワアーム(不図示)により接続され、パワーユニット2はメインフレーム31とロワアームとに支持される。メインフレーム31の後端部には、また、後方へ延びる左右一対のシートレール(不図示)が設けられており、シートレールはライダが着座するシート4aや同乗者が着座するシート4b及びリアトランク7b等を支持する。
【0018】
ピボットプレート33には、前後方向に延びるリアスイングアーム(不図示)の前端部が揺動自在に支持されている。リアスイングアームは、上下方向に揺動可能とされ、その後端部に後輪RWが支持されている。後輪RWの下部側方には、エンジン21の排気を消音する排気マフラ6がX方向に延設されている。後輪RWの上部側方には左右のサドルバック7aが設けられている。
【0019】
メインフレーム31の前端部には、前輪FWを支持するフロントサスペンション機構9が構成されている。フロントサスペンション機構9は、アッパリンク91、ロワリンク92、フォーク支持体93、クッションユニット94、左右一対のフロントフォーク95を含む。
【0020】
アッパリンク91及びロワリンク92は、それぞれメインフレーム31の前端部に上下に間隔を開けて配置されている。アッパリンク91及びロワリンク92の各後端部は、メインフレーム31の前端部に設けられた支持部に揺動自在に連結されている。アッパリンク91及びロワリンク92の各前端部は、フォーク支持体93に揺動自在に連結されている。アッパリンク91及びロアリンク92は、それぞれ前後方向に延びるとともに実質的に平行に配置されている。
【0021】
クッションユニット94は、コイルスプリングにショックアブソーバを挿通した構造を有し、その上端部は、メインフレーム31に揺動自在に支持されている。クッションユニット94の下端部は、ロワリンク92に揺動自在に支持されている。
【0022】
フォーク支持体93は、筒状をなすとともに後傾している。フォーク支持体93の上部前部には、アッパリンク21の前端部が回動可能に連結されている。フォーク支持体93の下部後部には、ロワリンク92の前端部が回動可能に連結されている。
【0023】
フォーク支持体93には操舵軸96がその軸回りに回転自在に支持されている。操舵軸96はフォーク支持体93を挿通する軸部(不図示)を有する。操舵軸96の下端部にはブリッジ(不図示)が設けられており、このブリッジには左右一対のフロントフォーク95が支持されている。前輪FWはフロントフォーク95に回転自在に支持されている。操舵軸96の上端部は、リンク97を介して、ハンドル8によって回動される操向軸(不図示)に連結されている。ハンドル8の操舵によって操舵軸96が回転し、前輪FWが操舵される。
【0024】
車両1は、前輪FWを制動するブレーキ装置19Fと後輪RWを制動するブレーキ装置19Fとを備える。ブレーキ装置19F、19Rはブレーキレバー8a又はブレーキペダル8bに対するライダの操作により作動可能に構成されている。ブレーキ装置19F、19Rは、例えば、ディスクブレーキである。ブレーキ装置19F、19Rを区別しない場合は、これらを総称してブレーキ装置19と呼ぶ。
【0025】
車両1の前部には、車両1の前方に光を照射するヘッドライトユニット11が配置されている。本実施形態のヘッドライトユニット11は右側の光照射部11Rと、左側の光照射部11Lとを左右対称に備える二眼タイプのヘッドライトユニットである。しかし、一眼タイプや三眼タイプのヘッドライユニット、或いは、左右非対称の二眼タイプのヘッドライトユニットも採用可能である。
【0026】
車両1の前部はフロントカウル12で覆われ、車両1の前側の側部は左右一対のサイドカウル14で覆われている。フロントカウル12の上方にはスクリーン13が配置されている。スクリーン13は走行中にライダが受ける風圧を軽減する風防であり、例えば、透明な樹脂部材で形成されている。
【0027】
フロントカウル12の側方には左右一対のサイドミラーユニット15が配置されている。サイドミラーユニット15にはライダが後方を視認するためのサイドミラー(不図示)が支持されている。
【0028】
本実施形態の場合、フロントカウル12は、カウル部材121~123により構成されている。カウル部材121はY方向に延在してフロントカウル12の本体を構成し、カウル部材122はカウル部材121の上側の部分を構成している。カウル部材123はカウル部材121から下方向に離間して配設されている。
【0029】
カウル部材121とカウル部材123との間、及び、左右一対のサイドカウル14の間に、ヘッドライトユニット11を露出させる開口が形成され、この開口の上縁はカウル部材121により画定され、下縁はカウル部材123により画定され、左右の側縁はサイドカウル14で画定される。
【0030】
フロントカウル12の背後には車両1の前方の状況を検知する検知デバイスとしてとして撮像ユニット16A及びレーダ16Bが配置されている。レーダ16Bは例えばミリ波レーダである。撮像ユニット16AはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子と、レンズ等の光学系とを含み、車両1の前方の画像を撮像する。撮像ユニット16Aはフロントカウル12の上部を構成するカウル部材122の背後に配置されている。カウル部材122には、これを貫通する開口122aが形成されており、撮像ユニット16Aは開口122aを通して車両1の前方の画像を撮像する。
【0031】
レーダ16Bはカウル部材121の背後に配置されている。カウル部材121の存在により、車両1の正面視で検知ユニット16の存在を目立たなくすることができ、車両1の外観が悪化することを回避することができる。カウル部材121は樹脂等、電磁波の透過が可能な材料で構成される。
【0032】
撮像ユニット16A及びレーダ16Bは、車両正面視でフロントカウル12のY方向の中央部に配置されている。撮像ユニット16A及びレーダ16Bを車両1のY方向の中央部に配置することで、車両1の前方の左右に、より広い撮像範囲、検知範囲を得ることができ、車両1の前方の状況をより見落としなく検知できる。また、一つの撮像ユニット16A及び一つのレーダ16Bにより車両1の前方を、左右均等に監視することができることから、撮像ユニット16A及びレーダ16Bをそれぞれ複数設けずに、一つずつ設けた構成において、特に有利である。
【0033】
[鞍乗型車両の制御装置]
図3は車両1の制御装置10のブロック図であり、後述する説明との関係で必要な構成のみが図示されている。車両1は制御ユニット(ECU)10aを備える。制御ユニット10aは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとの入出力インタフェース或いは通信インタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。制御ユニット10aは、車両1の各機能に対応したプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数組備えていてもよい。
【0034】
制御ユニット10aは、撮像ユニット16A及びレーダ16Bの検知結果を取得して、車両1の周辺の物標、道路状態を常時認識する。また、制御ユニット10aは、GPSセンサ17、通信装置18、地図情報データベースDBから情報を取得する。GPSセンサ17は、車両1の現在位置を示す位置情報を検知する。通信装置18は、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。また本実施形態においては、通信装置18が車両1を利用するユーザが携帯する端末装置と無線で通信が可能である。地図情報データベースDBには、高精度の地図情報を格納することができ、制御ユニット10aはこの地図情報等に基づいて、走行中の道路の形態や車線上の車両1の位置をより高精度に特定可能である。
【0035】
制御ユニット10aは、パワーユニット2やブレーキ19の各アクチュエータを制御可能である。本実施形態の場合、後述する速度制限処理を行う場合に制御ユニット10aはこれらを制御する。制御ユニット10aは、また、メータパネルMPの表示制御が可能である。本実施形態では、メータパネルMPに、ライダに対する各種の警報表示を行う。本実施形態では、警報の発動をメータパネルMPに対する画像の表示とするが、ランプの点灯或いは点滅、又は、音声による警報の発動であってもよい。音声による警報の発動は、ライダのヘルメットに設けられたスピーカから、無線通信により音声を出力するように制御するものであってもよい。
【0036】
[経路案内システム]
図4は、本実施形態に係る経路案内システムの構成の一例を示す図である。システム400においては、端末装置410が、音声出力装置420及び車両430とそれぞれ通信可能に接続されている。端末装置410は、ユーザが利用する車両430の経路案内が可能な情報処理装置であり、例えばスマートフォンである。端末装置410は、音声出力装置420に音声データを送信し、音声を出力させる。音声出力装置420に出力させる音声の内容は一般的な端末装置から出力可能な音声であれば特に限定はされないが、例えば経路案内アプリケーションなどを含むアプリケーションによる情報の通知を行う音声であってもよく、音楽であってもよく、通話音声であってもよい。本実施形態に係る端末装置410は、基本的には経路案内アプリケーションによる案内音声を音声出力装置420に出力させるものとして、以下の説明を行う。
【0037】
音声出力装置420は、端末装置410から受信した音声を出力する、ユーザが身に着ける装置である。音声出力装置420は、例えばヘルメットと一体化したヘッドセットであってもよく、無線のイヤホンであってもよく、端末装置410と無線で接続され音声が出力可能であれば特にその形態に限定はない。本実施形態に係る音声出力装置420は、Bluetooth(登録商標)による通信を可能とする通信ユニット(不図示)を備え、端末装置410と接続する。
【0038】
端末装置410は、車両430と接続し、経路案内アプリケーションの開始処理を行う。車両430は、
図1~
図3に示されるような車両であり、制御ユニット10aが、端末装置410で実装されるアプリケーションの開始信号を端末装置410に送信する。本実施形態においては、車両430は鞍乗型車両である。また車両430の通信装置18は、Bluetooth(登録商標)による通信を可能とする通信ユニットであり、端末装置410と無線で接続する。
【0039】
図5は、端末装置410のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。端末装置410は、処理部510、記憶部520、通信部530、及び表示部540を備えている。処理部510はCPUなどの中央処理装置であり、記憶部520に格納されているプログラムを実行して各処理を行う。記憶部520は、RAM、ROM、又はハードディスクなどの記憶装置である。記憶部520に格納されたプログラムには、本実施形態に係る経路案内システムによるナビゲーションサービスのアプリケーションプログラムが含まれる。このアプリケーションプログラムは、サーバからダウンロードされてもよく、CD-ROMなどの記憶媒体で配布されてもよい。
【0040】
また記憶部520は地図データを格納し、車両430の経路案内の際に用いることが可能である。記憶部520に格納される地図データは、交差点などの経路案内における案内地点を含む、道路網における結線点に対応するノードに関する情報、及びノードとノードとの間に形成される道路に対するリンクに関する情報など、経路の探索に関する情報を含んでいてもよい。
【0041】
通信部530は、音声出力装置420及び車両430と通信可能な無線の通信インタフェース、又は有線の通信インタフェースを含む。表示部540は、例えば液晶ディスプレイ又はタッチパネルであり、経路案内中の地図を現在地点とともに表示するなど、処理の結果を表示することが可能である。また表示部540は、タッチパネルへのユーザの接触などに基づき、ユーザの入力を取得することが可能である。ここで表示部540は、例えば経路案内システムにおいて使用する、後述するユーザの目的地又は位置情報などを取得してもよい。
【0042】
図6は、本実施形態に係る端末装置410の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る端末装置410は、位置取得部601、経路取得部602、判定部603、音像位置決定部604、及び制御部605を備えている。
【0043】
位置取得部601は、車両430のユーザの位置を取得することができる。本実施形態においては、位置取得部601は、GNSS(Global Navigation Satelite System)信号を受信して、受信したGNSS信号に基づいて現在位置を算出してもよく、又はユーザの入力に基づいて位置情報を取得してもよい。また位置取得部601は、車両430が備えるGPS17により取得された位置情報を、ユーザの位置情報として車両430から取得しても良い。位置取得部601は、任意の公知の手段を用いて位置情報を取得することが可能であり、詳細な説明は省略する。
【0044】
また位置取得部601は、経路案内システムにおいて使用する、ユーザによる目的地の入力を取得することができる。本実施形態においては、位置取得部601は、音声出力装置420が備えるマイクに対するユーザの音声入力に応じて設定される目的地を取得するものとするが、例えば端末装置410のタッチパネルに対するユーザの入力に基づき、ユーザの目的地を取得するなど異なる方法を用いることも可能である。またこの目的地は、経路案内アプリケーションの使用時にユーザの入力に基づいて取得されてもよく、予め設定されていてもよい。
【0045】
本実施形態に係るシステム400では、ユーザの音声入力によって目的地の検索が可能である。ここで目的地は、例えば名称で検索されてもよく、住所で検索が行われてもよく、ガソリンステーション又は駐車場などのカテゴリ検索が行われてもよい。ここで端末装置410は、サーバ上の地図情報を用いて目的地の検索を行うことができる。また、記憶部520目的地のお気に入り設定を(例えば、5つ)格納することができ、目的地の設定時にそれらがユーザに提案されるなど、ユーザにとって好ましい目的地を設定するための様々な処理を行うことが可能である。
【0046】
経路取得部602は、車両430の経路案内において使用する誘導経路を取得する。本実施形態に係る経路取得部602は、位置取得部601が取得するユーザの位置情報及び目的地に基づいて誘導経路を取得する。
【0047】
判定部603は、誘導経路中の案内地点において、車両430が右折又は左折するか否かを判定する。本実施形態に係る案内地点とは、経路取得部602が取得した誘導経路における、次に案内音声により車両430の経路案内を行う地点を指すものとする。例えば、案内地点は交差点であり、端末装置410は、車両430が交差点に到達する所定距離前の地点でその交差点における経路の案内音声を音声出力装置420に出力させることができる。
【0048】
音像位置決定部604は、経路取得部602が取得した誘導経路に基づいて、音声出力装置420に出力させる音声の音像の定位位置を決定する。音像位置決定部604は例えば、案内地点において車両430が右折するか左折するかに応じて音像の定位位置を決定することが可能である。音像の定位位置の決定処理の例については
図8及び
図9を参照して後述する。以下、単に「定位位置」とする場合、音像の定位位置を指すものとする。制御部605は、音像位置決定部604が決定した位置に音像が定位するように音声出力装置420の制御を行う。
【0049】
音像位置決定部604は、音声出力装置420により、音像が定位するよう定めた位置に音源が存在するかのようにユーザに知覚させることが可能である。そのために、音像位置決定部604は、音声出力装置420に出力させる音声の音量又はタイミングを左右で調整することにより、音像を定位させることができる。
【0050】
車両の運転を行うユーザに、環境音に加えて左右何れかの方向に音像が定位する案内音声を与えた場合、その音像が定位する方向に運転が傾けやすくなる感覚をユーザに与える場合がある。そのような観点から、右左折する案内地点においてその曲がる方向に音像が定位している案内音声をユーザに出力することにより、無定位の案内音声よりも自然に曲がりやすい、直感的に方向の理解がしやすい案内音声を提供することが可能となる。
【0051】
なお、車両430の車体をバンクさせている状態でさらに音像が定位した案内音声が出力された場合、必要以上に運転が傾き、バランスを乱す要因となる可能性も考えられる。このようなことを考慮して、音像位置決定部604は、車両430の傾斜角を示す情報を取得し、その傾斜角を所定の閾値以上である場合には、音声出力装置420に出力させる音声の音像を無定位にしてもよい。傾斜角に関する閾値は、例えば30度など、任意に設定することが可能である。
【0052】
音像位置決定部604は、車両430の傾斜角を、車両430から取得することができる。例えば、車両430が傾きを検知する不図示のバンク角センサを有しており、音像位置決定部604はバイク角センサによって測定された車両430の傾斜角を取得してもよい。また音像位置決定部604は、車両430の速度及びカーブなどに基づいて傾斜角を推定し、その推定値と閾値を比較してもよく、車両430の車体の傾きが評価できるのであれば任意の手法を用いることができる。また、車両430は車両430の備えるセンサによって取得される必要はなく、例えば音声出力装置420に内蔵されたジャイロセンサなどによって推定されてもよい。
【0053】
音声出力装置420は、
図4に示すようなヘルメットに内蔵されたヘッドセットであるものとして以下の説明を行うが、上述の通り端末装置410と無線で接続され音声が出力可能であれば特にその形態及び機能は限定されない。
図7は、音声出力装置420としてのヘッドセットの構成の一例を示すブロック図である。音声出力装置420は、通信部710、入力部720、出力部730、AIF731、DAC732、及びアンプ733を備えている。通信部710は、端末装置410及び車両430と無線通信を行うための通信ユニットであり、案内音声のデータを含む各種データを装置間で送受信する。
【0054】
入力部720は、端末装置410上で動作するアプリケーションに対するユーザの入力を取得する。本実施形態に係る入力部720は、例えば収音機(マイク)であり、目的地の入力などのためにユーザの音声入力を取得する。また入力部720は、例えばダイヤル式又はトグル式の機械式スイッチであり、出力される音量の調整、又は音声のオン/オフの設定などについてのユーザの入力を取得してもよい。
【0055】
AIF(Audio Interface)731は、端末装置410から受信した音声の信号を左右チャンネル毎にDAC732に送信する。DAC(Digtal to Analog Converter)732は、AIF731から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。アンプ733は、DAC732から入力されたアナログ信号を増幅してスピーカ730に供給する。これにより、端末装置410から受信した音声は、音像位置決定部604が決定した定位位置の音響としてスピーカ730から出力される。
【0056】
[音像位置決定処理]
図8は、本実施形態に係る経路案内システムにおいて音像位置決定部604が行う、出力する音声の定位位置を誘導経路に応じて決定する処理について説明するための図である。
図8においては、車両430が誘導経路に基づいた走行を行い、案内音声を行う対象となる交差点801に差し掛かろうとしている。ここでは、交差点801における誘導経路に応じた、定位位置の決定処理の具体例について説明する。
【0057】
音像位置決定部604は、交差点801で車両430が右折するか左折するかに応じて、音像の定位位置を決定してもよい。例えば音像位置決定部604は、交差点801で車両430が右折する場合には定位位置を車両430の正面より右方向に位置させてもよく、交差点801で車両430が左折する場合には定位位置を車両430の正面より左方向に位置させてもよい。このような処理によれば、右左折の方向を定位位置によって直感的に示すことが可能となり、また言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。以下、定位位置について単に「右方向」、又は「左方向」と表す場合、車両430の正面から見た右方向又は左方向を指すものとして説明を行う。なおこの場合、音像位置決定部604は、交差点801において車両430が直進する場合には、案内音声を無定位に出力させる。
【0058】
また
図8の例では、車両430は進入経路802の左車線を走行しており、例えば右折する場合にはまず右折専用レーンに入る必要があるなど、左折よりも右折を行う場合の方が準備に時間がかかるものと考えられる。そのような観点から、音像位置決定部604は、交差点801で車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで(この例では、右折の方が早いタイミングで)音声出力装置420に案内音声を出力させてもよい。
図8は左側走行を想定しているため、例えば右斜線の走行が義務付けられている場合などには、音像位置決定部604は、左折の方が早いタイミングで案内音声を出力させてもよい。また、音像位置決定部604は、この処理においては、「あと200m先で右折(左折)します」などの右左折の方向を示す案内音声を出力させるタイミングそのものを変化させてもよく、等間隔で出力させる案内音声について定位させるタイミングを変化させてもよい。
【0059】
また、音像位置決定部604は、車両430が右左折する場合に、交差点801までの距離に応じて定位位置が移動するように音声出力装置420に音声を出力させてもよい。すなわち、初期状態では出力させる音像の定位位置を中立(無定位)にしておき、右左折する交差点801に近くなるほど定位位置が(右折する場合には)右又は(左折する場合には)左側に移動していくようにしてもよい。
【0060】
図9は、進入経路802を走行する車両430について、右折を行う場合に案内音声が出力される地点901と左折を行う場合に案内音声が出力される地点902との一例を説明するための図である。交差点801において左折する場合には、交差点801からの距離がS1である地点901で車両の左方向に音像が位置する案内音声により「次の交差点で左折します」という指示がなされる。また交差点801において右折する場合には、交差点801からの距離がS1よりも大きいS2である地点902で、車両の右方向に音像が位置する案内音声により「次の交差点で右折します 右折専用レーンがあります ご注意ください」という指示がなされる。ここで、音像が定位する位置の決定方法は特に限定はされない。例えば音像位置決定部604は、経路案内が右折であるか左折であるかのみに基づいて定位位置を決定してもよく、車両430から交差点801までの距離に基づいてテーブルなどを参照して定位位置を決定してもよい。また例えば、音像位置決定部604は、地図データ上に設定された定位位置の決定用の基準位置を取得し、地図データ上での車両430の位置と取得した基準位置とに基づいて(例えば車両430の現在位置から基準位置方向に音像が定位するように)定位位置を算出してもよい。
【0061】
さらに音像位置決定部604は、案内音声の再生開始時から再生終了時にかけて音像の定位位置が移動していくように、音声出力装置420に音声を出力させてもよい。すなわち、例えば「次の交差点を右(左)折します」という案内音声を出力させる場合に、再生開始時には音像の定位位置を中立とし、再生終了時にかけて徐々に右(左)方向に定位位置が移動していく(二回目の出力時にはまた中立の定位位置から再生する)ように、音声の出力を行わせてもよい。中立から右又は左方向に音像が定位していくことにより、その音声の再生開始時と再生終了時とのコントラストによってユーザがより感覚的に右左折方向を把握することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態において音声出力装置420から出力される音声は、例えば交差点801での右左折方向と、現在位置から交差点801までの距離と、を示す案内音声である。しかしながら音像位置決定部604は、このような案内音声以外の音声の定位位置を決定し、音声出力装置420に出力させてもよい。例えば音像位置決定部604は、案内音声の定位位置の代わりに、通信中の外部端末との通話音声について音像の定位位置を決定してもよい。すなわち、端末装置410による通話機能の出力音声を音声出力装置420を介して出力している場合に、音像位置決定部604は、案内音声を出力する代わりに通話音声の音像の定位位置を変化させてもよい。また音像位置決定部604は、通話音声ではなく再生中の音楽の音像の定位位置を変化させてもよい。これらの処理によれば、通話や音楽再生などの端末装置410の機能に割り込んで案内音声を再生することなく、右左折の方向を示すことが可能となる。なお、通話機能及び音楽再生機能については、一般的なアプリケーションを用いた処理により実現可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
図10は、本実施形態に係るシステムにおいて、端末装置410が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
S1001で端末装置410は、車両430の制御ユニット10aから経路案内アプリケーションの開始信号を受信し、経路案内を開始する。ここで、制御ユニット10aは端末装置410へと、例えば車両430が起動したことに応じて開始信号を送信してもよく、アプリケーションを実行した端末装置410からの信号への応答として開始信号を送信してもよく、車両430をユーザが利用し始めた(例えば、跨った)ことを検知して開始信号を送信してもよい。この開始信号の送信処理は任意の手順により行うことが可能である。なお、
図10に示す処理では経路案内アプリケーションの案内音声について音像の定位位置が決定されるが、上述したように通話音声又は音楽の音像の位置が変更される処理としてもよい。
【0065】
S1002で位置取得部601は、ユーザの現在地と目的地との位置情報を取得する。上述したように、例えば位置取得部601は、GPS機能により各位置情報を取得し、ユーザの音声入力により目的地を設定することができる。S1003で経路取得部602は、S1002で取得した各位置情報に基づいて、誘導経路を取得する。
【0066】
S1004で判定部603は、S1003で取得した誘導経路において次に経路案内を行う案内地点を特定し、その案内地点で右折するか左折するか(又は直進するか)を判定する。S1005で音像位置決定部604は、S1004で特定した案内地点について、音声の定位位置を決定する。
【0067】
S1006で制御部605は、S1005で定位位置を決定した音声を音声出力装置420に送信し、出力させる。S1007で判定部603は、S1003で取得した誘導経路においてまだ案内地点が残っているか否かを判定する。残っている場合には処理がS1004へと戻り、そうでない場合には処理を終了する。
【0068】
このような構成によれば、車両による誘導経路の走行中に、誘導経路に応じた定位位置の音声を、ユーザが身に着ける音声出力装置に出力させることができる。したがって、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る経路案内システムにおいては案内地点における右左折の方向を示すために音声の定位位置が用いられるものとして説明を行ったが、それに加えてメータパネルによるラインLEDの点灯も用いてもよい。例えば、端末装置410は、定位位置を制御した右左折の案内音声出力とともに、車両430が備えるメータパネル又は音声出力装置420を内蔵するヘルメットが備えるパネルに、その右左折方向に発光表示を行わせることで、方向指示の補助を行うことができる。この発光表示は、例えば右又は左方向に偏りのある明滅表示であってもよく、右又は左方向に流れるような点灯表示であってもよく、特定方向への指示が可能であれば所望の表示方法を採用してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では、端末装置410と、音声出力装置420と、車両430と、が完全に別個の装置としてそれぞれの処理を行うものとして説明を行ったが、これらの装置が、一部又は全ての処理を他の装置と共有していてもよい。例えば、端末装置410が行う一部又は全ての処理を車両430が行うことも可能である。
【0071】
[実施形態のまとめ]
上記実施形態には少なくとも以下の情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステムを開示している。
【0072】
1.上記実施形態の情報処理装置(例えば410)は、
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に音声を出力させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御する。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。
【0073】
2.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声が前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内を行う案内音声である。
この実施形態によれば、経路案内を行う案内音声において、音像の定位位置によって右左折の方向を示すことが可能となる。
【0074】
3.上記実施形態の情報処理装置では、
前記制御手段は、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、前記案内地点において前記車両が右折するか左折するかに応じて異なるタイミングで、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させる。
この実施形態によれば、右折をするか左折をするかに基づいて、音像の定位位置が制御された案内音声を出力するタイミングを調整することが可能となる。
【0075】
4.上記実施形態の情報処理装置では、
前記制御手段は、前記案内地点において前記車両が右折する場合に、前記案内地点において前記車両が左折する場合よりも早いタイミングで前記案内音声を出力させる。
この実施形態によれば、左折よりも右折により準備に時間のかかる場合に、次の案内地点で右折を行う旨をより早く通知することが可能となる。
【0076】
5.上記実施形態の情報処理装置では、
前記制御手段は、前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折又は左折する場合に、現在位置から前記案内地点までの距離に応じて前記音像の定位位置が移動するように、前記音声出力装置に前記案内音声を出力させる。
この実施形態によれば、音像の定位位置によって、案内地点までの距離をより感覚的に把握しやすくすることが可能となる。
【0077】
6.上記実施形態の情報処理装置では、
前記制御手段は、
前記案内地点において前記車両が右折する場合には、前記現在位置から前記案内地点までの距離が近いほど前記音像の定位位置が右方向に移動するように、
前記案内地点において前記車両が左折する場合には、前記現在位置から前記案内地点までの距離が近いほど前記音像の定位位置が左方向に移動するように、
前記音声出力装置に前記案内音声を出力させる。
この実施形態によれば、音像の定位位置がより右又は左によるほど、その方向へ曲がる案内地点が近いことを示すことが可能となる。
【0078】
7.上記実施形態の情報処理装置では、
前記制御手段は、
前記誘導経路中の案内地点において前記車両が右折する場合には、前記案内音声の再生開始時から再生終了時にかけて音像の定位位置が右方向に移動していくように前記音声出力装置に前記案内音声を出力させ、
前記案内地点において前記車両が左折する場合には、前記案内音声の再生開始時から再生終了時にかけて音像の定位位置が左方向に移動していくように前記音声出力装置に前記案内音声を出力させる。
この実施形態によれば、案内音声の再生開始時と再生終了時とのコントラストによって、ユーザがより感覚的に右左折方向を把握することが可能となる。
【0079】
8.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声が、通信中の外部端末との通話音声を含む。
この実施形態によれば、端末装置の通話機能に割り込んで案内音声を再生することなく、案内地点における右左折方向をユーザに案内することが可能となる。
【0080】
9.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声が、再生中の音楽を含む。
この実施形態によれば、端末装置の音楽再生に割り込んで案内音声を再生することなく、案内地点における右左折方向をユーザに案内することが可能となる。
【0081】
10.上記実施形態の情報処理装置では、
車両の傾斜角を示す情報を取得する傾き取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記傾斜角が所定の閾値以上である場合に、前記音像の定位位置が無定位となるように前記音声出力装置に前記音声を出力させる。
この実施形態によれば、車体の傾きを検知して音像の定位位置を無定位とすることで、必要以上に運転が傾いてバランスを乱す要因となることを防止することができる。
【0082】
11.上記実施形態の情報処理装置では、
前記車両である鞍乗型車両の制御ユニットから開始信号を受信する受信手段をさらに備え、
前記開始信号を受信したことに応じて、前記経路取得手段が前記誘導経路の取得を開始する。
この実施形態によれば、車両との通信により経路案内を開始することが可能となる。
【0083】
12.上記実施形態の情報処理方法は、
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する工程と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に音声を出力させる工程と、
を備え、
前記音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御する。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。
【0084】
13.上記実施形態のプログラムは、
ユーザが携帯する携帯端末を、
前記ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に音声を出力させる制御手段と、
として機能させるプログラムであって、
前記制御手段は、前記音声の音像の定位位置を、前記誘導経路に応じて制御する。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。
【0085】
14.上記実施形態のシステムは、
ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段、及び
前記車両による前記誘導経路の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力装置に出力させる音声を送信する送信手段
を備える携帯端末と、
前記携帯端末から前記音声を受信する受信手段、及び
前記音声を、前記誘導経路に応じて設定される方向に定位させた音像を出力する出力手段
を備える音声出力装置と、
を備える。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用した経路案内において、右左折の方向をより直感的に理解しやすいようにユーザに示し、言語の意味が理解できなくても右左折の方向を示すことが可能となる。
【0086】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
601:位置取得部、602:経路取得部、603:判定部、604:音像位置決定部、605:制御部