(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231212BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231212BHJP
B65H 7/04 20060101ALI20231212BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20231212BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J29/38 206
G03G21/00 388
B65H7/04
B65H37/04 D
B41J29/38 204
B41J29/38 701
B41J29/13 103
(21)【出願番号】P 2019203522
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今西 洋介
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-278526(JP,A)
【文献】特開2004-205949(JP,A)
【文献】特開2006-082965(JP,A)
【文献】特開2014-061964(JP,A)
【文献】特開2019-142634(JP,A)
【文献】特開2016-182739(JP,A)
【文献】特開2002-268502(JP,A)
【文献】特開平09-151022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B65H 7/04
B65H 37/04
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後処理部材を収容したカートリッジが挿入される挿入口と前記挿入口を覆う第1カバーとを備える後処理装置を設置可能な印刷装置であって、
前記後処理装置は、
第1カバーが開いた状態から閉じた状態への変化に応じて、初期化要求を前記印刷装置に対して送信し、
前記印刷装置から初期化命令を受信することで前記カートリッジが挿入口に挿入されているかを確認する初期化動作を実行し、前記カートリッジが挿入されていない場合はカートリッジ無フラグ信号を前記印刷装置に対して送信し、
前記印刷装置は、
画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を実行する前記後処理装置に対して命令を行う制御部と、
前記初期化要求と
前記カートリッジ無フラグ信号とを、前記後処理装置から受信する通信部と、
記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記カートリッジ無フラグ信号を受信した場合において前記カートリッジ無フラグを前記記憶部に記憶させ、
前記印刷部の待機状態中
に前記通信部により前記初期化要求を受信した場合において
前記記憶部に前記カートリッジが前記挿入口に挿入されていないことを示すカートリッジ無フラグが記憶されているとき、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、
前記印刷部の待機状態中に前記通信部により前記初期化要求を受信した場合において前記記憶部に前記カートリッジ無フラグが記憶されていないとき前記初期化命令を送信せず、前記待機状態から印刷指示を受けて印刷状態に移行した際に
前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記後処理装置は、
前記後処理を行う後処理部と、前記印刷装置と前記後処理装置とをつなぐ連結口から前記後処理部へ前記記録媒体が搬送される搬送経路を覆う第2カバーと、を更に備え、
前記第2カバーが開いた状態から閉じた状態への変化に応じて、前記印刷装置に対して初期化要求を送信し、
前記通信部は、
前記初期化要求を受信し、
前記制御部は、
前記第1カバーが閉じた状態において、前記通信部による前記初期化要求の受信の有無に関わらず前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記待機状態中に印刷指示を受け、
前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴う場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、
前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴わない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信部を介して前記後処理装置からの前記初期化要求の受信に応じて初期化フラグを前記記憶部に記憶させ、前記後処理装置の前記初期化動作の実行完了に応じて前記初期化フラグを消去させ、
前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴い、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されている場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、
前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴い、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されていない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない、
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記後処理装置は、
前記カートリッジに収容された前記後処理部材の残量を検知する残量センサを有し、
前記初期化動作の実行時に、前記残量センサの検知結果を前記印刷装置へ出力し、
前記制御部は、
前記残量センサにより検知された前記後処理部材の残量が所定量未満の場合、前記後処理部材の残量不足を示すエンプティフラグを前記記憶部に記憶させ、
前記待機状態中において、前記記憶部に前記エンプティフラグが記憶されている状態においては、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されたことに応じて、前記後処理装置へ前記初期化動作の実行を指示すること、
を特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、
電源が供給された後に、前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じられていることを検知する状態においては、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、
前記第1カバー及び前記第2カバーのうち少なくとも一方が開いていることを検知する状態においては、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信せずに、前記印刷部の待機状態に移行させること、
を特徴とする請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記後処理装置の前記第1カバー及び前記第2カバー以外に関するエラー状態を通常状態に復帰の際において、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されている場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されていない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しないこと、
を特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置を設置可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置と、用紙後処理装置とを備えた画像形成システムがある(特許文献1参照)。特許文献1の画像形成システムでは、画像形成装置により用紙の表面に画像を形成した後、画像が形成された用紙を用紙後処理装置側へ排出して、用紙後処理装置によって所定の後処理を実施する。
【0003】
所定の後処理としては、ステープル処理、パンチ処理等がある。このような後処理を適切に実施するためには、後処理を実施する前に、用紙後処理装置に設けられた各種ユニット(ステープルユニット、パンチユニット等)をホームポジションに戻すといったイニシャル動作の制御を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置(印刷装置に相当)と用紙後処理装置(後処理装置に相当)とを備えた画像形成システムでは、用紙後処理装置に設けられたドアの開閉がセンサにより検知された場合に、イニシャル動作を実施するようにしている。このため、例えばユーザが予期せずドアを開閉した場合であっても、イニシャル動作が不必要に実行されてしまう。このように、イニシャル動作の制御に改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、後処理装置による初期化動作を良好に制御可能な印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る印刷装置は、後処理部材を収容したカートリッジが挿入される挿入口と前記挿入口を覆う第1カバーとを備える後処理装置を設置可能な印刷装置であって、画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を実行する前記後処理装置に対して命令を行う制御部と、前記第1カバーが開いた状態から閉じた状態への変化に応じて、前記後処理装置による初期化動作を実行させる初期化命令を前記後処理装置に対して送信するように要求する初期化要求を、前記後処理装置から受信する通信部と、記憶部と、を備えている。
【0008】
前記制御部は、前記印刷部の待機状態中、前記通信部により前記初期化要求を受信した場合において、前記記憶部に前記カートリッジが前記挿入口に挿入されていないことを示すカートリッジ無フラグが記憶されているとき、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記記憶部に前記カートリッジ無フラグが記憶されていないとき、前記初期化命令を送信せず、前記待機状態から印刷指示を受けて印刷状態に移行した際に、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信する、ことを特徴とする。
【0009】
上記した構成によれば、制御部は、印刷部の待機状態中、通信部により初期化要求を受信した場合において、記憶部にカートリッジ無フラグが記憶されていないとき、後処理装置から初期化要求を受信したとしても、後処理装置に対して初期化命令を送信しない。後処理装置の挿入口にカートリッジが挿入されており、第1カバーが開いた状態から閉じた状態へ変化した場合、ユーザの手が予期せずに第1カバーに触れた等の偶発的な第1カバーの開閉によるものである可能性が高い。この場合、後処理装置が第1カバーの開閉に伴う初期化要求を印刷装置に対して送信したとしても、後処理装置が初期化動作を実行する必要がない。そこで、このような場合には、印刷装置は、後処理装置から初期化要求を受信したとしても、後処理装置に対して初期化命令を送信しないことで、後処理装置の無駄な初期化動作を減らすことができる。
【0010】
本発明の態様2に係る印刷装置では、上記態様1において、前記後処理装置は、前記後処理を行う後処理部と、前記印刷装置と前記後処理装置とをつなぐ連結口から前記後処理部へ前記記録媒体が搬送される搬送経路を覆う第2カバーと、を更に備えている。前記通信部は、前記第2カバーが開いた状態から閉じた状態への変化に応じて、前記後処理装置から前記初期化要求を受信する。前記制御部は、前記第1カバーが閉じた状態において、前記通信部による前記初期化要求の受信の有無に関わらず前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない。
【0011】
上記した構成によれば、第1カバーが閉じた状態において、後処理装置の第2カバーが開閉したとしても、後処理装置が初期化動作を実行しなくてもよいため、通信部による初期化要求の受信の有無に関わらず後処理装置に対して初期化命令を送信しないことによって、後処理装置の無駄な初期化動作を減らすことができる。
【0012】
本発明の態様3に係る印刷装置では、上記態様2において、前記制御部は、前記待機状態中に印刷指示を受け、前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴う場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴わない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない。
【0013】
上記した構成によれば、印刷指示が後処理装置への記録媒体の排出を伴わない場合、後処理装置に対して初期化命令を送信しないことで、不要な初期化動作を削減できる。また、印刷部の待機状態中において、印刷装置は初期化命令を送信していないので、後処理装置が初期化動作を実行していない場合も想定される。このため、印刷指示が後処理装置への記録媒体の排出を伴う場合は、印刷装置は、通信部を介して初期化命令を後処理装置に送信することで、後処理装置の初期化動作を適切に実行できる。
【0014】
本発明の態様4に係る印刷装置では、上記態様3において、前記制御部は、前記通信部を介して前記後処理装置からの前記初期化要求の受信に応じて初期化フラグを前記記憶部に記憶させ、前記後処理装置の前記初期化動作の実行完了に応じて前記初期化フラグを消去させる。前記制御部は、前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴い、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されている場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記印刷指示が前記後処理装置への前記記録媒体の排出を伴い、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されていない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない。
【0015】
上記した構成によれば、印刷指示が後処理装置への記録媒体の排出を伴う場合で、初期化フラグが記憶部に記憶されている場合、印刷装置は、通信部を介して後処理装置に対して初期化命令を送信する。このように、後処理装置が初期化動作を行ってから印刷指示があるまでの間に、第1カバー又は第2カバーのいずれかが開いた状態から閉じた状態へ変化したことがある場合、カートリッジ交換、又は後処理装置のモジュールの位置がずれた可能性がある。従って、印刷装置は、後処理装置に対して初期化命令を送信することで、後処理装置の初期化動作を適切に実行できる。
【0016】
一方、印刷指示が後処理装置への記録媒体の排出を伴う場合で、初期化フラグが記憶部に記憶されていない場合、すなわち、後処理装置が初期化動作を行ってから印刷指示をあるまでの間に、第1カバー又は第2カバーのいずれかが開いた状態から閉じた状態へ変化してない場合、カートリッジ交換、又は後処理装置のモジュールの位置がずれた可能性が少ない。この場合、印刷装置は、後処理装置に対して通信部を介して初期化命令を送信しないことで、後処理装置が無駄な初期化動作の実行を減らすことができる。
【0017】
本発明の態様5に係る印刷装置では、上記態様4において、前記後処理装置は、前記カートリッジに収容された前記後処理部材の残量を検知する残量センサを有し、前記初期化動作の実行時に、前記残量センサの検知結果を前記印刷装置へ出力する。前記制御部は、前記残量センサにより検知された前記後処理部材の残量が所定量未満の場合、前記後処理部材の残量不足を示すエンプティフラグを前記記憶部に記憶させ、前記待機状態中において、前記記憶部に前記エンプティフラグが記憶されている状態においては、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されたことに応じて、前記後処理装置へ前記初期化動作の実行を指示する。
【0018】
上記した構成によれば、カートリッジに収容された後処理部材が所定量未満である場合には、ユーザが偶発的にカバーを開閉したことよりもカートリッジを交換した可能性が高いことから、エンプティフラグを記憶部に記憶させておき、初期化フラグが記憶部に記憶されたことに応じて、印刷装置が後処理装置へ初期化命令を送信する。これにより、後処理装置への記録媒体の排出を伴う印刷指示に伴う場合に、事前に後処理の実施に関する準備をすることができる。
【0019】
本発明の態様6に係る印刷装置は、上記態様4または態様5において、前記制御部は、電源が供給された後に、前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じられていることを検知する状態においては、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記第1カバー及び前記第2カバーのうち少なくとも一方のカバーが開いていることを検知する状態においては、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信せずに、前記印刷部の待機状態に移行させる。
【0020】
上記した構成によれば、制御部は、電源が供給された後、第1カバー及び第2カバーが閉じていることを検知する状態において、印刷装置は、後処理装置に対して初期化命令を送信する。一方、制御部は、第1カバー又は第2カバーが開いている場合には、後処理装置に初期化動作を実行させないことで、後処理装置による無駄な初期化動作をなくすことができる。また、第1カバー又は第2カバーが開いている場合に、印刷部の待機状態に移行させることにより、ユーザが後処理装置の記録媒体の排出を伴う印刷を除く、他の処理を行うことが可能となる。
【0021】
本発明の態様7に係る印刷装置は、上記態様4から態様6のいずれかにおいて、前記制御部は、前記後処理装置の前記第1カバー及び前記第2カバー以外に関するエラー状態を通常状態に復帰の際において、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されている場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信し、前記記憶部に前記初期化フラグが記憶されていない場合、前記通信部を介して前記後処理装置に対して前記初期化命令を送信しない。
【0022】
上記した構成によれば、第1カバー及び第2カバー以外に関するエラー状態から後処理装置を通常状態へ復帰させる動作の実行時に、記憶部に初期化フラグがない場合、後処理装置に初期化動作を実行させない。これにより、紙詰まり等のエラー状態からの復帰時に、後処理装置へ初期化動作の実行を不要に指示しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、後処理装置による初期化動作を良好に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る後処理装置に接続された印刷装置の全体構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る印刷装置の上部に設置された後処理装置の側面断面図である。
【
図3】実施形態に係る後処理装置のステープルカバーが開放された状態を示す図である。
【
図4】実施形態に係る印刷装置及び後処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る後処理装置のステープルカバーに関する初期化要求の送信の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る後処理装置のジャムカバーに関する初期化要求の送信の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る後処理装置の初期化動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る印刷装置による電源オン時の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る印刷装置による待機状態の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図9のフローチャートのエラー処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る印刷装置による印刷状態の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態における後処理装置2に接続された印刷装置1について、
図1~
図11を参照して説明する。
【0026】
[印刷装置及び後処理装置の構成]
図1は、実施形態に係る後処理装置2に接続された印刷装置1の全体構成を示す図である。以下、説明の便宜上、
図1に示すように、後処理装置2が印刷装置1の上部に設けられた状態を基準として、後処理装置2の前後、左右、上下の各方向を規定する。
図2は、印刷装置の上部に設置された後処理装置の側面断面図である。後処理装置2は、印刷装置1の上部に設置されており、印刷装置1から排出された記録媒体Pに対してジョガー処理(紙揃え処理)及びステープル処理等を施す機能を有している。
【0027】
印刷装置1には、
図2に示すように、印刷装置1と後処理装置2とをつなぐ連結口5が設けられている。後処理装置2は、搬送経路R1を有している。印刷装置1は、記録媒体Pを搬送経路R2に沿って搬送する。後処理装置2の搬送経路R1の下端部は、印刷装置1における搬送経路R2と連結口5において接続されている。後処理装置2は、印刷装置1から搬送される記録媒体Pを搬送経路R1に沿って搬送する。
【0028】
後処理装置2の搬送部28は、第1搬送ローラ281,282、第2搬送ローラ283,284、及び排出ローラ285,286を有している。第1搬送ローラ281,282は、印刷装置1から搬送経路R1に沿って搬送される記録媒体Pを、搬送経路R2に沿って搬送する。第1搬送ローラ281,282よりも下流側には、搬送経路R1に沿って記録媒体Pを搬送する第2搬送ローラ283,284が設けられている。排出ローラ285,286は、搬送経路R1の最下流に設けられ、記録媒体Pを搬送経路R1から後処理装置2の外部へ向けて搬送する。
【0029】
後処理装置2の後面には、ジャムカバー200(第2カバーの一例)が設けられている。ジャムカバー200が開放されると、ユーザは、後処理装置2の後方から搬送経路R2を目視することができ、搬送経路R2にて紙詰まりを起こした記録媒体Pを取り除くことができる。
【0030】
ジョガー部22(後処理部の一例)は、排出トレイ4の上方に設けられている。ジョガー部22は、
図1に示すように、後処理装置2の左側に配置される左ジョガー221と、後処理装置2の右側に配置される右ジョガー222とから構成される。左ジョガー221及び右ジョガー222は、幅方向(左右方向)に移動可能に構成されている。左ジョガー221及び右ジョガー222は、互いに近接して記録媒体Pを支持する近接位置と、互いに離間して記録媒体Pを支持しない離間位置との間で変位可能になっている。
【0031】
左ジョガー221及び右ジョガー222は、近接位置に変位しているときに後処理装置2の外部に記録媒体Pが搬送されると、記録媒体Pの幅方向の両側端部を揃えた状態で支持する。この状態から左ジョガー221及び右ジョガー222が互いに離れるように幅方向に移動して離間位置に変位すると、左ジョガー221および右ジョガー222による記録媒体Pの幅方向の両側端部の支持が解除される。
【0032】
支持部3は、ジョガー部22の後方側、且つ、排出トレイ4の上側に配置される。支持部3は、前方に向かって上方へ傾斜した支持面31と、支持面31から上方へ突出した後端揃え面32とを有し、これら支持面31及び後端揃え面32により後処理装置2の外部へ排出された記録媒体Pを支持するトレイ部材である。支持部3は、前後方向に変位可能に構成されている。具体的には、支持部3は、記録媒体Pの後端部を支持する位置(第1位置)と、記録媒体Pの後端部の支持を解除した位置(第2位置)との間で変位可能に構成されている。
【0033】
支持部3は、第1位置に変位したときに後処理装置2の外部に排出された記録媒体Pの搬送方向における上流側の端部となる後端部を支持するように構成されている。また、支持部3は、第2位置に変位したときに、記録媒体Pの後端部の支持を解除する。
【0034】
後処理装置2においては、後処理装置2の外部に排出された記録媒体Pは、第1位置に変位した支持部3と、近接位置に変位した左ジョガー221及び右ジョガー222とに支持された状態から、支持部3が第2位置に変位すると共に左ジョガー221及び右ジョガー222が離間位置に変位して記録媒体Pの支持が解除された状態になると、下方に落下して排出トレイ4に支持される。
【0035】
後処理装置2は、第1位置に変位した支持部3の右方に設けられ、支持部3及び左ジョガー221及び右ジョガー222に支持された記録媒体Pにステープル処理を行うためのステープル部21(後処理部の一例)が設けられている。ステープル部21は、搬送部14及び搬送部28によって当該ステープル部21まで搬送された印刷済みの記録媒体Pを、所定枚数ずつ束ねてステープル針213(後処理部材の一例)により綴じるステープル処理を実行するための部材である。
【0036】
[後処理装置のステープルカバーの開放]
図3は、後処理装置2のステープルカバー212が開放された状態を示す図である。後処理装置2には、挿入口210が設けられ、ステープルカバー212(第1カバーの一例)が挿入口210を覆う構成となっている。挿入口210には、カートリッジ211が挿入される。カートリッジ211には、ステープル針213が収容されている。
【0037】
カートリッジ211は、所定量(例えば千本程度)のステープル針213が収容可能である。カートリッジ211は、後処理装置2の右側面上部に形成された挿入口210に、着脱自在に挿入される。ステープル部21には、挿入口210を閉鎖するためのステープルカバー212が設けられている。ステープルカバーセンサ24がステープルカバー212の開閉を検知する(
図4参照)。
【0038】
[後処理装置及び印刷装置の電気的構成]
図4は、実施形態に係る印刷装置1及び後処理装置2の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示す印刷装置1は、プリント機能を有する。
【0039】
印刷装置1は、
図4に示すように、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)10と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13(記憶部の一例)と、搬送部14と、印刷部15と、通信インターフェース(I/F)16(通信部の一例)と、USBインターフェース(I/F)17と、LANインターフェース(I/F)18と、液晶ディスプレイからなる表示部19と、を備えている。ASIC10には、CPU(Central Processing Unit)11(制御部の一例)が内蔵されている。CPU11は、印刷装置1の各部に対する全般的な制御を行う。CPU11は、通信インターフェース16を介して、後処理装置2から信号を受信する。CPU11は、通信インターフェース16を介して、後処理装置2に対して命令を行う。
【0040】
ROM12には、印刷装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。RAM13は、後述する初期化フラグ131、エンプティフラグ132、カートリッジ無フラグ133等を一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU11は、ROM12から読み出した制御プログラムに基づいて、搬送部14、印刷部15、及び表示部19等を制御する。
【0041】
搬送部14は、モータ(不図示)と、給送ローラ、搬送ローラ、及び排出ローラ等の複数のローラ(不図示)とを有する。CPU11からの制御によってモータが駆動し、そのモータの駆動によって給送ローラ及び搬送ローラは、給送トレイに収容された用紙等の記録媒体Pを印刷部15まで搬送する。排出ローラは、印刷部15により印刷された記録媒体Pを、排出トレイ6(
図1参照)へ排出するか、又は後処理装置2の連結口5へ搬送する。
【0042】
USBインターフェース(I/F)17には、USBメモリやUSBケーブルが接続される。USBインターフェース17にUSBメモリが接続された場合、USBメモリに記憶された画像データを、USBインターフェース17を介して受信することができる。USBインターフェース17にUSBケーブルが接続された場合、USBインターフェース17は、USBケーブルに接続されたPC(パーソナルコンピュータ)から印刷指示(印刷ジョブ)を受信することができる。同様にLANインターフェース18にLANケーブルが接続された場合、LANインターフェース18に接続されたPCから印刷指示を受信することができる。なお、本実施形態では、USBインターフェース17、LANインターフェース18を例示したが、無線通信を用いて印刷指示を受信してもよい。
【0043】
CPU11は、USBインターフェース17やLANインターフェース18を介して印刷指示を受信すると、印刷部15を用いることによって、印刷指示(印刷ジョブ)に基づき記録媒体Pに画像を印刷する。画像印刷の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。また、記録媒体Pに印刷される画像は、カラー印刷が可能であってもよいし、モノクロ印刷専用であってもよい。
【0044】
CPU11には、通信インターフェース16が接続される。通信インターフェース16は、後処理装置2と通信を行うために用いられるインターフェースである。通信インターフェース16は、後処理装置2の通信インターフェース29に電気的に接続される。
【0045】
通信インターフェース16は、後処理装置2から後述する初期化要求を受信する。CPU11は、通信インターフェース16を介して初期化要求を受信すると、RAM13に初期化フラグ131を記憶する。通信インターフェース16は、後処理装置2からカートリッジ211に収容されたステープル針213のエンプティフラグ書込信号を受信する。CPU11は、通信インターフェース16を介してエンプティ書込信号を受信すると、RAM13にエンプティフラグ132を記憶する。通信インターフェース16は、後処理装置2からエンプティフラグ消去信号を受信すると、CPU11は、RAM13からエンプティフラグ132を消去する。
【0046】
通信インターフェース16は、後処理装置2の挿入口210にカートリッジ211が未挿入であることを示すカートリッジ無フラグ書込信号を受信すると、CPU11は、RAM13にカートリッジ無フラグ133を記憶する。通信インターフェース16は、後処理装置2からカートリッジ無フラグ消去信号を受信すると、CPU11は、RAM13からカートリッジ無フラグ133を消去する。
【0047】
CPU11は、後述するように、通信インターフェース16を介してステープルカバー212が開いた状態であるか否かを、後処理装置2の通信インターフェース29を介して制御部20に問い合わせを行い、その問い合わせの結果からステープルカバー212が開いた状態であるか否かを常時、検知できるようにしている。
【0048】
ステープルカバー212の場合と同様に、CPU11は、後述するように、通信インターフェース16を介してジャムカバー200が開いた状態であるか否かを、後処理装置2の通信インターフェース29を介して制御部20に問い合わせを行い、その問い合わせの結果からジャムカバー200が開いた状態であるか否かを常時、検知できるようにしている。
【0049】
図4にも示すように、後処理装置2は、制御部20と、ステープル部21と、ジョガー部22と、支持部3と、排出トレイ4と、残量センサ23と、ステープルカバーセンサ24と、ジャムカバーセンサ25と、ROM26と、RAM27と、搬送部28と、通信インターフェース(I/F)29と、モータ30と、を備えている。
【0050】
制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1からの命令を受信し、後処理装置2の各部に対する全般的な制御を行う。ROM26には、後処理装置2を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。制御部20は、ROM26から読み出した制御プログラムに基づいて、ステープル部21、ジョガー部22、及び搬送部28等を制御する。
【0051】
制御部20には、通信インターフェース29が接続される。通信インターフェース29は、印刷装置1と通信を行うために用いられるインターフェースである。通信インターフェース29は、印刷装置1の通信インターフェース16に電気的に接続される。
【0052】
ステープル部21には、残量センサ23が設けられている。残量センサ23は、カートリッジ211に収容されたステープル針213の残量を検知するためのセンサである。残量センサ23は、ステープル針213の残量が所定量(例えば20本程度)以上の場合、オン信号を制御部20へ出力し、ステープル針213の残量が所定量未満の場合、オフ信号を制御部20へ出力する。
【0053】
ステープルカバーセンサ24は、ステープルカバー212が開いている状態及び閉じている状態を検知するためのセンサである。ステープルカバーセンサ24は、ステープルカバー212が開いている状態では、オン信号を制御部20へ出力し、ステープルカバー212が閉じている状態では、オフ信号を制御部20へ出力する。
【0054】
ジャムカバーセンサ25は、ジャムカバー200が開いている状態及び閉じている状態を検知するためのセンサである。ジャムカバーセンサ25は、ジャムカバー200が開いている状態では、オン信号を制御部20へ出力し、ジャムカバー200が閉じている状態では、オフ信号を制御部20へ出力する。
【0055】
制御部20は、印刷装置1からの問い合わせに応じて、ステープルカバー212が開いている状態であるか否かの情報、及びジャムカバー200が開いている状態であるか否かの情報を、通信インターフェース29を介して印刷装置1に送信する。
【0056】
なお、制御部20は、ステープルカバー212、ジャムカバー200が開いた状態から閉じた状態への変化や、ステープルカバー212、ジャムカバー200が閉じた状態から開いた状態への変化に応じて、ステープルカバー212が開いている状態であるか否かの情報、及びジャムカバー200が開いている状態であるか否かの情報を、通信インターフェース29を介して印刷装置1に送信してもよい。
【0057】
後処理装置2のジョガー処理においては、搬送部28によりジョガー部22まで搬送された記録媒体Pに対し、左ジョガー221及び右ジョガー222を初期位置から近接位置に変位させることにより、記録媒体Pの幅方向の両側端部を揃えた状態にする。ジョガー処理が終了すると、左ジョガー221及び右ジョガー222を離間位置に変位させることにより、記録媒体Pの幅方向の両側端部の支持が解除される。
【0058】
制御部20は、ジョガー部22に対する指示に応じて、左ジョガー221及び右ジョガー222を近接位置や離間位置等に変位させる。
【0059】
搬送部28は、第1搬送ローラ281,282、第2搬送ローラ283,284、排出ローラ285,286に加えて、更にモータ30(
図4参照)を有している。制御部20は、搬送部28のモータ30に対して駆動を指示する。制御部20からの指示によってモータ30が駆動し、そのモータ30の駆動によって第1搬送ローラ281,282、第2搬送ローラ283,284、及び排出ローラ285,286は、記録媒体Pを搬送経路R1に沿って搬送する。
【0060】
[後処理装置が実行する初期化動作について]
後処理装置2が印刷装置1に対して送信する初期化要求と、後処理装置2が実行する初期化動作とについて、
図5、
図6、及び
図7を参照して説明する。なお、
図5、
図6、及び
図7は、後処理装置2の制御部20が実行するフローチャートである。
図5~
図7に示すフローチャートは一例であり、これに限定されない。
【0061】
後処理装置2が実行する初期化動作とは、制御部20が左ジョガー221及び右ジョガー222を初期位置に戻すようにジョガー部22に対して実行するように指示すること(
図7のS62参照)と、カートリッジ211が挿入口210に挿入されているかを確認することと、カートリッジ211に収容されているステープル針213が所定量未満であるか否かを確認する動作を行うこと(
図7のS63)と、の3つを少なくとも含む。
【0062】
後処理装置2は、ステープルカバー212、又はジャムカバー200が開いた状態から閉じた状態に変位した場合、印刷装置1に対して通信インターフェース29を介して初期化要求を送信する。印刷装置1のCPU11は、後処理装置2からの初期化要求を、通信インターフェース16を介して受信する。今度は、印刷装置1のCPU11が、初期化要求の受信に応じて、通信インターフェース16を介して初期化命令を後処理装置2に送信する。次に、後処理装置2の制御部20が通信インターフェース29を介して初期化命令を受信することで上述した初期化動作を実行する。
【0063】
なお、印刷装置1のCPU11は、初期化要求の受信に応じて、直ちに通信インターフェース16を介して初期化命令を後処理装置2に送信するものに限らない。本発明の特徴的な構成である印刷装置1のCPU11による制御動作については、後述する
図8以降で詳細に説明する。
【0064】
図5は、後処理装置2のステープルカバー212に関する初期化要求の送信の流れを示すフローチャートである。後処理装置2の制御部20は、ステープルカバーセンサ24からのオン信号及びオフ信号に基づいて、ステープルカバー212が開いているか否かの判定を行う(S41)。
【0065】
ステープルカバー212が開いていない場合、すなわち、ステープルカバー212が閉じている限り、制御部20は、本フローチャートの処理を待機する(S41:NO)。ステープルカバー212が閉じた状態から開いた状態へ変位すると(S41:YES)、ステープルカバー212が開いている限り、制御部20は、本フローチャートの処理を待機する(S42:NO)。
【0066】
ステープルカバー212が開いた状態から閉じた状態へ変位すると(S42:YES)、制御部20は、印刷装置1に対して、上述したように通信インターフェース29を介して初期化要求を送信する(S43)。
【0067】
印刷装置1のCPU11は、通信インターフェース16を介して初期化要求を受信すると、RAM13に初期化フラグ131を記憶する。
【0068】
後処理装置2の制御部20は、後処理装置2の電源がオフされるまで、繰り返し本フローチャートの処理を実行する。
【0069】
なお、S43の替わりに、RAM27に初期化フラグ131を記憶させておいて、印刷装置1のCPU11からの問い合わせに応じて、後処理装置2の制御部20が、通信インターフェース29を介して初期化要求を送信してもよい。その場合、印刷装置1のCPU11は、定期的に後処理装置2に対して問い合わせを行い、後処理装置2からの初期化要求を、通信インターフェース16を介して受信してもよい。
【0070】
図6は、後処理装置2のジャムカバー200に関する初期化要求の送信の流れを示すフローチャートである。後処理装置2の制御部20は、ジャムカバーセンサ25からのオン信号及びオフ信号に基づいて、ジャムカバー200が開いているか否かの判定を行う(S51)。
【0071】
ジャムカバー200が開いていない場合、すなわち、ジャムカバー200が閉じている限り、制御部20は、本フローチャートの処理を待機する(S51:NO)。ジャムカバー200が閉じた状態から開いた状態へ変位すると(S51:YES)、ジャムカバー200が開いている限り、制御部20は、本フローチャートの処理を待機する(S52:NO)。
【0072】
ジャムカバー200が開いた状態から閉じた状態へ変位すると(S52:YES)、制御部20は、印刷装置1に対して、上述したように通信インターフェース29を介して初期化要求を送信する(S53)。
【0073】
印刷装置1のCPU11は、通信インターフェース16を介して初期化要求を受信すると、RAM13に初期化フラグ131を記憶する。
【0074】
後処理装置2の制御部20は、後処理装置2の電源がオフされるまで、繰り返し本フローチャートの処理を実行する。
【0075】
なお、S53の替わりに、RAM27に初期化フラグ131を記憶させておいて、印刷装置1のCPU11からの問い合わせに応じて、後処理装置2の制御部20が、通信インターフェース29を介して、初期化要求を送信してもよい。その場合、印刷装置1のCPU11は、定期的に後処理装置2に対して問い合わせを行い、後処理装置2からの初期化要求を、通信インターフェース16を介して受信してもよい。
【0076】
次に、後処理装置2の初期化動作の流れについて、
図7を参照して説明する。
図7は、後処理装置2の制御部20が実行する処理である。
【0077】
制御部20は、印刷装置1から送信される初期化命令を、通信インターフェース29を介して初期化命令を受信したか否かの判定を行う(S61)。
【0078】
制御部20は、初期化命令を受信しない場合(S61:NO)、処理を待機する。通信インターフェース29を介して初期化命令を受信した場合(S61:YES)、制御部20は、左ジョガー221及び右ジョガー222を初期位置に戻すようにジョガー部22に対して実行するように指示する(S62)。
【0079】
S62の後、制御部20は、ステープル部21の初期化動作を実行する(S63)。ステープル部21の初期化動作とは、カートリッジ211が挿入口210に挿入されているかを確認することと、カートリッジ211に収容されているステープル針213が所定量未満であるか否かを確認する動作を少なくとも含む。
【0080】
続いて、制御部20は、S63のステープル部21の初期化動作の結果、挿入口210にカートリッジ211が正しく挿入されているか否かの判定を行う(S64)。
【0081】
カートリッジ211が挿入口210に挿入されていない場合(S64:NO)、制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1に対してエンプティフラグ消去信号を送信する(S65)。
【0082】
次に、制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1に対して、後処理装置2の挿入口210にカートリッジ211が未挿入であることを示すカートリッジ無フラグ書込信号を送信する(S66)。
【0083】
カートリッジ211が挿入口210に挿入されている場合(S64:YES)、制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1に対してカートリッジ無フラグ消去信号を送信する(S67)。
【0084】
S68において、S63のステープル部21の初期化動作の結果に基づいてカートリッジ211に収容されたステープル針213の残量が所定量未満か否かの判定を行う。所定量は、例えば、ステープル針213が20本程度のことである。
【0085】
カートリッジ211に収容されたステープル針213の残量が所定量未満の場合(S68:YES)、制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1に対してエンプティフラグ書込信号を送信する(S69)。
【0086】
カートリッジ211に収容されたステープル針213の残量が所定量以上の場合(S68:NO)、制御部20は、通信インターフェース29を介して、印刷装置1に対してエンプティフラグ消去信号を送信する(S70)。
【0087】
後処理装置2の制御部20は、後処理装置2の電源がオフされるまで、
図7のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
図5、
図6、及び
図7のフローチャートの各処理は、制御部20によって並行に処理される。
【0088】
なお、本実施形態において、ステープル針213の残量が所定量未満である状態は、エラー状態ではなく警告状態として扱う。この警告状態では、例えば表示部19にカートリッジ211の交換を促す旨を表示することにより、ユーザに対する警告が行われる。以上により、CPU11は、初期化処理を終了させる。
【0089】
なお、本実施形態において、挿入口210にカートリッジ211が挿入されていない状態、又は、ステープル針213の残量が所定量未満の状態は、エラー状態ではなく警告状態として扱う。印刷装置1のCPU11は、RAM13にカートリッジ無フラグ133、又はエンプティフラグ132を記憶されない限り、すなわち、RAM13からカートリッジ無フラグ133、又はエンプティフラグ132が消去されない限り、表示部19にカートリッジ211が挿入されていない旨、又はステープル針213の残量不足である旨を表示する。この表示部19の表示により、ユーザに対する警告が行われる。
【0090】
[印刷装置の各種制御について]
印刷装置1のCPU11が実行する処理の流れについて、
図8、
図9、
図10、及び
図11を参照して説明を行う。なお、
図8~
図11に示すフローチャートは一例であり、これに限定されない。
【0091】
(電源オン時の制御処理)
図8は、実施形態に係る電源オン時の印刷装置1による制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、印刷装置1の電源がオンされると、まず、CPU11は、後処理装置2のステープルカバー212又はジャムカバー200が開いているか否かの判定を行う(S1)。CPU11は、通信インターフェース16を介して、ステープルカバー212、又及び、ジャムカバー200が開いた状態であるか否かを、後処理装置2の通信インターフェース29を介して制御部20に定期的に問い合わせを行い、その問い合わせの結果から、ステープルカバー212が開いた状態であるか否か、及び、ジャムカバー200が開いた状態であるか否かを検知できるようにしている。
【0092】
CPU11は、ステープルカバー212及びジャムカバー200が閉じている場合(S1:NO)、RAM13に初期化フラグ131が記憶されているか否かの判定を行う(S2)。
【0093】
ここで、「初期化フラグ」とは、印刷装置1が後処理装置2から通信インターフェース16を介して初期化要求を受信した場合に、初期化要求を受信したことを示すフラグとしてRAM13に記憶するフラグである。
【0094】
一方、CPU11は、ステープルカバー212又はジャムカバー200が開いている場合(S1:YES)、電源オン時の制御処理を終了させて、
図9に示す処理へ進む。
【0095】
RAM13に初期化フラグ131が記憶されている場合(S2:YES)、CPU11は、通信インターフェース16を介して、後処理装置2に対して初期化命令を送信し(S3)、RAM13から初期化フラグ131を消去する(S4)。CPU11は、通信インターフェース16を介して後処理装置2と信号のやり取りを行い、後処理装置2の初期化動作が実行完了するまで(S5:NO)、処理を待機する。CPU11は、後処理装置2の初期化動作の実行完了に応じて(S5:YES)に応じて、S1に戻る。
【0096】
一方、RAM13に初期化フラグ131が記憶されていない場合(S2:NO)、CPU11は、電源オン時の制御処理を終了させて、
図9に示す処理へ進む。
【0097】
(待機状態の制御処理)
次に、実施形態における印刷装置1による待機状態の制御処理の流れについて、
図9を参照して説明する。
図9は、実施形態に係る印刷装置1による待機状態の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
印刷装置1が待機状態に移行すると、まず、CPU11は、RAM13にエンプティフラグ132が記憶されているか否かを判定する(S11)。RAM13にエンプティフラグ132が記憶されていない場合(S11:NO)、CPU11は、RAM13にカートリッジ無フラグ133が記憶されているか否かの判定を行う(S12)。
【0099】
RAM13にエンプティフラグ132が記憶されている場合(S11:YES)、又は、RAM13にカートリッジ無フラグ133が記憶されている場合(S12:YES)、CPU11は、ステープルカバー212が開いているか否かの判定を行う(S13)。
【0100】
一方、RAM13にエンプティフラグ132が記憶されておらず(S11:NO)、且つ、カートリッジ無フラグ133が記憶されていない場合(S12:NO)、S14へ進む。すなわち、後処理装置2の挿入口210に、カートリッジ211のステープル針213の残量が所定量以上であって、且つ、カートリッジ211が挿入されている状態においては、S13のステープルカバー212が開いているか否かの判定を行わない。
【0101】
ステープルカバー212が開いていない場合(S13:NO)、CPU11は、ステープルカバー212及びジャムカバー200以外のエラーであるか否かの判定を行う(S14)。
【0102】
ステープルカバー212が開いている場合(S13:YES)、又は、ステープルカバー212及びジャムカバー200以外のエラーが発生している場合(S14:YES)、CPU11は、
図10に示すエラー処理を行い(S15)、S11へ戻る。
【0103】
ステープルカバー212が閉じている(S13:NO)、且つ、ステープルカバー212及びジャムカバー200以外のエラーが発生していない場合(S14:NO)、印刷指示があったか否かの判定を行う(S16)。印刷指示がない場合(S16:NO)、S11へ戻り、印刷指示があった場合(S16:YES)、CPU11は、待機状態の制御処理を終了させ、
図11に示す印刷状態の制御処理に移行する。
【0104】
(エラー処理)
次に、実施形態における印刷装置1によるエラー処理の流れについて、
図10を参照して説明する。
図10に示すように、まず、CPU11は、印刷装置1及び後処理装置2における全てのエラーが解除されたか否かの判定を行う(S21)。印刷装置1及び後処理装置2における全てのエラーが解除された場合(S21:YES)、CPU11は、解除したエラーがステープルカバー212又はジャムカバー200のエラーを含むか否かの判定を行う(S22)。一方、印刷装置1及び後処理装置2における全てのエラーが解除されていない場合(S21:NO)、CPU11は、繰り返してS21を行う。
【0105】
ステープルカバー212又はジャムカバー200のエラーを含む場合(S22:YES)、CPU11は、RAM13に初期化フラグ131が記憶されているか否かの判定を行う(S23)。RAM13に初期化フラグ131が記憶されている場合(S23:YES)、S26へ進み、RAM13に初期化フラグ131が記憶されていない場合(S23:NO)、CPU11は、エラー処理を終了させる。
【0106】
ステープルカバー212又はジャムカバー200のエラーを含まない場合(S22:NO)、CPU11は、RAM13に初期化フラグ131が記憶されているか否かの判定を行う(S24)。RAM13に初期化フラグ131が記憶されている場合(S24:YES)、CPU11は、ステープルカバー212及びジャムカバー200が閉じているか否かの判定を行う(S25)。
【0107】
ステープルカバー212及びジャムカバー200が閉じている場合(S25:YES)、CPU11は、通信インターフェース16を介して、後処理装置2に対して初期化命令を送信する(S26)。そして、CPU11は、RAM13に記憶された初期化フラグ131を消去する(S27)。
【0108】
RAM13に初期化フラグ131が記憶されていない場合(S24:NO)、又は、ステープルカバー212及びジャムカバー200のうち少なくとも一方が閉じていない場合(S25:NO)、CPU11は、エラー処理を終了させる。
【0109】
S27の後、CPU11は、後処理装置2による初期化動作が実行完了したか否かの判定を行う(S28)。後処理装置2による初期化動作が実行完了していない場合(S28:NO)、CPU11は、繰り返してS28の判定を行う。一方、後処理装置2による初期化動作が実行完了した場合(S28:YES)、エラー処理を終了させる。
【0110】
(印刷状態の制御処理)
次に、実施形態における印刷装置1による印刷状態の制御処理の流れについて、
図11を参照して説明する。印刷状態とは、待機状態(
図9参照)の終了に伴って移行した
図11に示す制御処理が行われている状態である。
図11に示す印刷状態の制御処理において、まず、CPU11は、USBインターフェース17、又は、LANインターフェース18を介してPCから受信した印刷指示が、後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴うか否かの判定を行う(S31)。後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴う場合(S31:YES)、CPU11は、ステープルカバー212又はジャムカバー200が開いているか否かの判定を行う(S32)。
【0111】
ステープルカバー212又はジャムカバー200が開いている場合(S32:YES)、CPU11は、上述した
図10に示すエラー処理を実行する(S33)。エラー処理(S33)が完了すると、再度、S31に戻る。
【0112】
次に、ステープルカバー212及びジャムカバーが閉じている場合(S32:NO)、CPU11は、RAM13に初期化フラグ131が記憶されているか否かの判定を行う(S34)。RAM13に初期化フラグ131が記憶されている場合(S34:YES)、CPU11は、後処理装置2に対して初期化命令を送信し(S35)、RAM13に記憶された初期化フラグ131を消去する(S36)。そして、CPU11は、後処理装置2により初期化動作が実行完了したか否かの判定を行う(S37)。一方、RAM13に初期化フラグ131が記憶されていない場合(S34:NO)、S38へ進む。
【0113】
CPU11は、後処理装置2の初期化動作が終了していない場合(S37:NO)、繰り返してS37を行い、後処理装置2の初期化動作が終了した場合(S37:YES)、S38へ進む。
【0114】
S38において、CPU11は、印刷部15を制御することにより、第1印刷処理を実行する。この第1印刷処理では、印刷部15によって画像が印刷された記録媒体Pが搬送経路R2を後処理装置2の搬送経路R1へ搬送される。S38の後、後処理装置2の搬送部28によって、印刷装置1から後処理装置2の外部における後処理部位置まで搬送され、ジョガー処理及びステープル処理等の後処理が施される。
【0115】
一方、後処理装置2側への記録媒体Pの排出を伴わない場合(S31:NO)、CPU11は、第2印刷処理を実行する(S39)。この第2印刷処理では、印刷部15により印刷された記録媒体Pは、印刷装置1の排出トレイ6に排出される。
【0116】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る印刷装置1によれば、CPU11は、カートリッジ211が挿入口210に挿入されていると検知された情報を、後処理装置2から通信インターフェース16が受信した状態であり(S12:NO)、且つ、印刷部15の待機状態中である場合、後処理装置2から初期化要求を受信したとしても、
図10に示すエラー処理(S15)を実行せず、後処理装置2に対して初期化命令を送信しない(
図9参照)。
【0117】
ここで、後処理装置2の挿入口210にカートリッジ211が挿入されて、ステープルカバー212が開いた状態から閉じた状態へ変化した場合、ユーザの手が予期せずにステープルカバー212に触れた等の偶発的なステープルカバー212の開閉によるものである可能性が高い。この場合、後処理装置2がステープルカバー212の開閉に伴う初期化要求を印刷装置に対して送信したとしても、後処理装置2が初期化動作を実行する必要がない。
【0118】
そこで、このような場合には、印刷装置1は、後処理装置2から初期化要求を受信したとしても、後処理装置2に対して初期化命令を送信しないことで、後処理装置2の無駄な初期化動作を減らすことができる。これにより、後処理装置2の不要な初期化動作による機械音の発生によって、ユーザに煩わしさを与えることを防止できる。
【0119】
また、ステープルカバー212が閉じた状態において(S13:NO)、後処理装置2のジャムカバー200が開閉したとしても(S14:NO)、後処理装置2が初期化動作を実行しなくてもよいため、
図10に示すエラー処理(S15)を実行せず、通信インターフェース16による初期化要求の受信の有無に関わらず後処理装置2に対して初期化命令を送信しないことによって、後処理装置2の無駄な初期化動作を減らすことができる。
【0120】
また、印刷指示が後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴わない場合、後処理装置2に対して初期化命令を送信しないことで、不要な初期化動作を削減できる。また、印刷部15の待機状態中において、印刷装置1は初期化命令を送信していないので、後処理装置2が初期化動作を実行していない場合も想定される。このため、印刷指示が後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴う場合は、印刷装置1は、通信インターフェース16を介して初期化命令を後処理装置2に送信することで、後処理装置2の初期化動作を適切に実行できる。
【0121】
また、印刷指示が後処理装置2への記録媒体の排出を伴う場合で、初期化フラグが記憶されている場合、印刷装置1は、通信インターフェース16を介して後処理装置2に対して初期化命令を送信する。このように、後処理装置2が初期化動作を行ってから印刷指示があるまでの間に、第1カバー又は第2カバーのいずれかが開いた状態から閉じた状態へ変化したことがある場合、カートリッジ交換、又は後処理装置2のモジュールの位置がずれた可能性があるので、印刷装置1は、後処理装置2に対して初期化命令を送信する。
【0122】
一方、印刷指示が後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴う場合で、初期化フラグ131が記憶されていない場合、すなわち、後処理装置2が初期化動作を行ってから印刷指示をあるまでの間に、ステープルカバー212又はジャムカバー200のいずれかが開いた状態から閉じた状態へ変化したことがない場合、カートリッジ交換、又は、後処理装置2のモジュールの位置がずれた可能性が低い。この場合、印刷装置1は、後処理装置2に対して通信インターフェース16を介して初期化命令を送信しないことで、後処理装置2が無駄な初期化動作の実行を減らすことができる。
【0123】
また、カートリッジ211に収容されたステープル針213が所定量未満である場合には、ユーザが偶発的にステープルカバー212を開閉したことよりもカートリッジ211を交換した可能性が高いことから、エンプティフラグ132をRAM13に記憶させておき、初期化フラグ131がRAM13に記憶されたことに応じて、印刷装置1が後処理装置2へ初期化命令を送信する。これにより、後処理装置2への記録媒体Pの排出を伴う印刷指示を伴う場合に、事前に後処理の実施に関する準備をすることができる。
【0124】
また、CPU11は、電源が供給された後、ステープルカバー212及びジャムカバー200が閉じていることを検知する状態において、印刷装置は、後処理装置2に対して初期化命令を送信する。一方、CPU11は、ステープルカバー212又はジャムカバー200が開いている場合には、後処理装置2に初期化動作を実行させないことで、後処理装置2による無駄な初期化動作をなくすことができる。また、ステープルカバー212及びジャムカバー200が開いている場合に、印刷部15の待機状態に移行させることにより、ユーザが後処理装置の記録媒体の排出を伴う印刷を除く他の処理を行うことが可能となる。
【0125】
また、ステープルカバー212及びジャムカバー200以外に関するエラー状態から後処理装置2を通常状態へ復帰させる動作の実行時に、RAM13に初期化フラグ131がない場合、後処理装置2に初期化動作を実行させない。これにより、印刷装置1側での紙詰まり等のエラー状態からの復帰時に、後処理装置2へ初期化動作の実行を不要に指示しないようにすることができる。
【0126】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1 印刷装置
2 後処理装置
5 連結口
11 CPU(制御部)
13 RAM(記録部)
15 印刷部
16 通信インターフェース(通信部)
21 ステープル部
22 ジョガー部
23 残量センサ
24 ステープルカバーセンサ
25 ジャムカバーセンサ
131 初期化フラグ
132 エンプティフラグ
133 カートリッジ無フラグ
200 ジャムカバー(第2カバー)
210 挿入口
211 カートリッジ
212 ステープルカバー(第1カバー)
213 ステープル針(後処理部材)
R1 搬送経路
P 記録媒体