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特許7400885前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
   D06P 5/00 20060101ALN20231212BHJP
   D06P 5/30 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
G06F3/12 337
G06F3/12 303
G06F3/12 344
G06F3/12 378
B41J29/00 G
B41J2/01 123
D06P5/00 Z
D06P5/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022108269
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2017252373の分割
【原出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2022164660
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】玉置 修一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健二
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-068947(JP,A)
【文献】特開2012-207338(JP,A)
【文献】特開2016-086444(JP,A)
【文献】特開2001-094767(JP,A)
【文献】特開2005-125572(JP,A)
【文献】特開2011-141405(JP,A)
【文献】特開2015-009377(JP,A)
【文献】特開2005-232633(JP,A)
【文献】特開2001-063109(JP,A)
【文献】国際公開第2009/123293(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/046599(WO,A1)
【文献】特開平10-202926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 2/01
D06P 5/00
D06P 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置のコンピュータに、
前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、
前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップと、
を実行させ、
前記特定ステップにより特定される前記前処理情報は、前記前処理装置による前処理を行う前処理範囲を含み、前記前処理範囲は前記前処理装置の構成によって決定される複数の単位範囲を含み、前記単位範囲の少なくとも一部分にプリンタにより画像が印刷される場合、その単位範囲の全範囲に前記前処理装置により前処理が実行されることを特徴とする前処理情報作成プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記特定ステップにて特定した前記前処理情報と前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データとを対応付けて記憶部に記憶させる記憶ステップを更に実行させること
を特徴とする請求項1に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
識別子を発行する発行ステップを更に実行させ、
前記記憶ステップにて、前記発行ステップにより発行された前記識別子を前記前処理情報と前記画像データとに対応付けて前記記憶部に記憶させること
を特徴とする請求項2に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項4】
前記特定ステップにて、前記前処理を行う前処理範囲を含む前記前処理情報を特定すること
を特徴とする請求項1~3の何れかの一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項5】
前記特定ステップにて、前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データが示す画像を所定倍率により拡大した拡大画像を覆う範囲を、前記前処理を行う前処理範囲として特定すること
を特徴とする請求項1~4の何れかの一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項6】
前記特定ステップにて、前記拡大画像を矩形形状で覆う範囲を、前記前処理を行う前処理範囲として特定すること
を特徴とする請求項5に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項7】
前記特定ステップにて、前処理範囲として前処理剤を塗布する塗布範囲、及び熱処理範囲を特定すること
を特徴とする請求項1~4何れかの一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項8】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える複数の前記前処理剤の塗布部の各単位塗布範囲で形成された前記塗布範囲を特定すること
を特徴とする請求項7に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項9】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える熱処理部の単位熱処理範囲で形成された前記熱処理範囲を特定すること
を特徴とする請求項7又は8に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項10】
前記特定ステップにて、前処理剤の種類と前記前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定すること
を特徴とする請求項1~9の何れか一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項11】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える熱処理部の、熱処理圧力、熱処理温度、熱処理時間、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定すること
を特徴とする請求項1~10の何れかの一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
前記被記録媒体の材質に関する情報である材質情報、及び製造に関する情報である製造情報の少なくとも一つを受け付ける第二受付ステップを更に実行させ、
前記特定ステップにて、前記第二受付ステップにて受け付けた前記材質情報、及び前記製造情報の少なくとも一つに基づき、前記前処理情報を特定すること
を特徴とする請求項1~11の何れかの一に記載の前処理情報作成プログラム。
【請求項13】
前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置の前処理情報作成方法であって、
前記前処理情報作成装置の制御部が前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、
前記制御部が前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップと、
を備え、
前記特定ステップにより特定される前記前処理情報は、前記前処理装置による前処理を行う前処理範囲を含み、前記前処理範囲は前記前処理装置の構成によって決定される複数の単位範囲を含み、前記単位範囲の少なくとも一部分にプリンタにより画像が印刷される場合、その単位範囲の全範囲に前記前処理装置により前処理が実行されることを特徴とする前処理情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷処理の前に前処理を行う前処理装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のインクジェット捺染装置は、捺染実行部と前処理部とを備えている。前処理部は、捺染実行部による被捺染材へのインクの吐出に先立って、被捺染材の皺伸ばし処理を行う。また、前処理部は、被捺染材への前処理剤としてのコート液の付着処理等の他の処理も行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-19083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前処理部が、前処理剤の定着のための熱処理を行うことも考えられる。前処理装置の操作者が、前処理剤の単位面積当たりの塗布量、塗布範囲、熱処理の時間、熱処理の温度等の前処理情報を前処理装置の操作部、又は前処理装置に接続されている端末装置を介して前処理の直前に指定することが考えられる。しかしながら、前処理の直前に前処理情報が指定されると、被捺染材への前処理の生産性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、被記録媒体の前処理の生産性が低下するのを低減可能な前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の前処理情報作成プログラムは、前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置のコンピュータに、前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップとを実行させることを特徴とする。
【0007】
前処理情報作成プログラムにより、画像データを受け付けたタイミングで、前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理情報を特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【0008】
前記コンピュータに、前記特定ステップにて特定した前記前処理情報と前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データとを対応付けて記憶部に記憶させる記憶ステップを更に実行させても良い。前処理情報作成プログラムにより、画像データと前処理情報とが対応付けられるので、前処理装置により、画像データに対応する画像が配置される範囲に対して、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0009】
前記コンピュータに、識別子を発行する発行ステップを更に実行させ、前記記憶ステップにて、前記発行ステップにより発行された前記識別子を前記前処理情報と前記画像データとに対応付けて前記記憶部に記憶させても良い。前処理情報作成プログラムにより、識別子により画像データと前処理情報とが対応付けられるので、前処理装置により、画像データに対応する画像が配置される範囲に対して、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0010】
前記特定ステップにて、前記前処理を行う前処理範囲を含む前記前処理情報を特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、画像データを受け付けたタイミングで、前処理範囲を含む前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理範囲を含む前処理情報を特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【0011】
前記特定ステップにて、前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データが示す画像を所定倍率により拡大した拡大画像を覆う範囲を、前記前処理を行う前処理範囲として特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、拡大画像を覆う範囲を前処理範囲とするので、前処理装置にて前処理が行われる際に、前処理範囲がずれたとしても、画像が配置される範囲に前処理が適切に行われる可能性が高くなる。
【0012】
前記特定ステップにて、前記拡大画像を矩形形状で覆う範囲を、前記前処理を行う前処理範囲として特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、円などの曲線から成る形状で拡大画像を覆うよりも適切に拡大画像を覆うことができる。従って、前処理装置により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0013】
前記特定ステップにて、前処理範囲として前処理剤を塗布する塗布範囲、及び熱処理範囲を特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、画像データを受け付けたタイミングで、塗布範囲、及び熱処理範囲を特定できるので、前処理の直前に塗布範囲、及び熱処理範囲を特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【0014】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える複数の前記前処理剤の塗布部の各単位塗布範囲で形成された前記塗布範囲を特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、塗布範囲が複数の塗布部の各単位塗布範囲で形成されるので、より適切に塗布範囲を特定できる。従って、前処理装置により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0015】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える熱処理部の単位熱処理範囲で形成された前記熱処理範囲を特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、熱処理範囲が単位熱処理範囲で形成されるので、より適切に熱処理範囲を特定できる。従って、前処理装置により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0016】
前記特定ステップにて、前処理剤の種類と前記前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、画像データを受け付けたタイミングで、前処理剤の種類と前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定できる。従って、前処理の直前に前処理剤の種類と前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【0017】
前記特定ステップにて、前処理装置が備える熱処理部の、熱処理圧力、熱処理温度、熱処理時間、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、画像データを受け付けたタイミングで、熱処理圧力、熱処理温度、熱処理時間、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定できる。従って、前処理の直前に熱処理圧力、熱処理温度、熱処理時間、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【0018】
前記コンピュータに、前記被記録媒体の材質に関する情報である材質情報、及び製造に関する情報である製造情報の少なくとも一つを受け付ける第二受付ステップを更に実行させ、前記特定ステップにて、前記第二受付ステップにて受け付けた前記材質情報、及び前記製造情報の少なくとも一つに基づき、前記前処理情報を特定しても良い。前処理情報作成プログラムにより、材質情報、及び製造情報の少なくとも一つに基づき前処理情報が特定できる。従って、前処理装置により、被記録媒体の特性に基づいたより適切な前処理が行われる可能性が高くなる。
【0019】
第二態様における前処理情報作成方法は、前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置の前処理情報作成方法であって、前記前処理情報作成装置の制御部が前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、前記制御部が前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を受付けた画像データごとに特定する特定ステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
前処理情報作成方法により、画像データを受け付けたタイミングで、前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理情報を特定するよりも前処理装置の生産性が低下することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】端末装置3を含むシステムのネットワーク構成図である。
図2】前処理装置10の概略構成を示す斜視図である。
図3】端末装置3の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
図4】第一設定画面91の例を示す図である。
図5】第二設定画面92の例における第一具体例を示す図である。
図6】第二設定画面92の例における第二具体例を示す図である。
図7】(A)は、第一テーブル81の例を示す図である。(B)は、第二テーブル82の例である。
図8】(A)は、塗布範囲CR1の例を示す図である。(B)は、熱処理範囲PR1,PR1-1の例を示す図である。
図9】第一メイン処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第一範囲特定処理の流れを示すフローチャートである。
図11】(A)は、第三設定画面93の例における第一具体例を示す図である。(B)は、第三設定画面93の例における第二具体例を示す図である。
図12】第二メイン処理の流れを示すフローチャートである。
図13】第三メイン処理の流れを示すフローチャートである。
図14】前処理範囲102の第一特定方法を説明する為の図である。
図15】第二範囲特定処理の流れを示すフローチャートである。
図16】前処理範囲102の第二特定方法を説明する為の図である。
図17】第三範囲特定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の前処理情報作成装置を、図面を参照して説明する。本実施形態の前処理情報作成装置は後述する端末装置3を例にして説明する。
【0023】
<システム構成>
図1に示す様に、一又は複数の前処理装置10、一又は複数のプリンタ1、サーバ2、及び一又は複数の端末装置3は、ネットワーク4を介して互いに接続されている。プリンタ1は印刷データに基づき被記録媒体の一例である布帛に印刷処理を実行する。印刷データはプリンタ1が布帛に印刷を行う為の情報である。ネットワーク4は、一例として、イントラネット、及びインターネット等である。また、一又は複数の前処理装置10、一又は複数のプリンタ1、サーバ2、及び一又は複数の端末装置3は、夫々がネットワーク4に接続されていなくても良く、例えば、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)ポート等のシリアルポートに接続可能なシリアルケーブルを介して、夫々接続されていても良い。更に、ネットワーク4を介した接続とシリアルケーブルを介した接続が混在していても良い。
【0024】
<前処理装置10>
図2の上方、下方、右下方、左上方、左下方、及び右上方が、各々、前処理装置10の上方、下方、前方、後方、右方、及び左方である。前処理装置10は、プリンタ1により布帛に印刷を行う前に、前処理を行う装置である。前処理の一例は、前処理剤の布帛への塗布、前処理剤を布帛に定着させるための高温での熱処理である。一例として、図2に示す様に、前処理装置10は、プラテン31、塗布部40、及び熱処理部50等を備える。
プラテン31は被記録媒体の一例である布帛を載置する。塗布部40は布帛に前処理剤を塗布する。熱処理部50は、布帛を高温で加圧して前処理剤を乾燥させることで、前処理剤の布帛への定着を向上させ、画質を向上させる。布帛の材質の一例は、綿、ポリエステル、綿とポリエステルとの混合等である。前処理剤は、カラーインクの発色を良くする。
前処理剤の一例は、CaCl等の金属塩を含む水溶液である。
【0025】
図2に示す様に、プラテン31のセット位置P1は、操作者が布帛をプラテン31に載置するときのプラテン31の位置であり、一例として、プラテン31が前側に一番移動した位置である。プラテン31は、上面が前後方向に長尺な略長方形の形状である。また、プラテン31は、下面の中央部に円筒状の連結部(不図示)を備えている。
【0026】
<プラテン搬送機構>
前処理装置10は、プラテン31の下方に、プラテン31を前後に搬送するプラテン搬送機構(不図示)を備える。プラテン搬送機構は、二本のガイド60、ベルト(不図示)、プーリー(不図示)、支持部(不図示)、及びプラテンモータ(不図示)等を備えている。二本のガイド60は、前処理装置10の前部から後方向に延設され、左右に並列に設けられている。ガイド60は一例として、円柱の金属製の棒である。プラテン31は、二本のガイド60に沿って、前後方向に移動する。プラテンモータは、一例として、ステッピングモータである。
【0027】
支持部は、プラテン31を支持し、プラテン31の連結部に連結されている。また、支持部は、二本のガイド60が挿入されている二つの挿入孔(不図示)を有する。従って、支持部が、プラテン搬送機構のベルトにより、前後方向に移動することに伴い、プラテン31は前後方向に移動する。
【0028】
<塗布部40>
塗布部40は、少なくとも一つのスプレー(不図示)、前処理剤用のタンク(不図示)、及びタンク内の前処理剤をスプレーに供給する為の流路(不図示)等を備えている。また、スプレーのノズル(不図示)は流路に各々接続されている。タンクが複数設けられている場合には、夫々のタンクには、異なる種類の前処理剤が蓄積されている。スプレーの噴霧面は、プラテン31の上面に対向している。スプレーは、後述する検出部(不図示)がプラテン31の塗布位置(不図示)への移動を検出した時に、布帛に対し前処理剤の噴霧を開始する。塗布位置は、塗布部40が前処理剤の塗布を開始する位置である。
【0029】
<熱処理部50>
熱処理部50は、塗布部40より後方向に離れて配置されている。熱処理部50は、一例として、近赤外線ヒータ、高温の空気を送風する送風装置、ヒートプレス装置、ヒートローラ等である。以下では、熱処理部50はヒートプレス装置であるとして説明する。熱処理部50は、プレス部51、プレス面駆動機構52、連結部53、及びプレス支持部54等を備える。プレス面駆動機構52は、プーリー(不図示)、及びプレスモータ(不図示)等を備える。プレス部51は、前後方向に長尺な略長方形の形状に形成されている。
プレス部51の下面はプレス面51Aとして機能する。
【0030】
プレス部51は、指定された温度に発熱する発熱機構(不図示)を内部に有し、プレス面駆動機構52により、上下に移動可能である。検出部がプラテン31の熱処理位置(不図示)への移動を検出した時に、プレス面駆動機構52によりプレス部51が降下し、プレス面51Aは、布帛に対しヒートプレスを開始する。以下、熱処理部50が下方向へのプレス動作を開始する位置を「熱処理位置」と言う。
【0031】
プレス面51Aは、プラテン31が熱処理位置に位置する時、プラテン31の上面に対し四方(前後左右)に大きい。従って、前処理装置10は、前処理剤が塗布された布帛の領域を一度でヒートプレスできる。
【0032】
<端末装置3の電気的構成>
図3に示す様に、端末装置3は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disc Drive)304、操作部305、表示部306、通信部307、及び出入力部308等を備え、バス309を介して互いに接続されている。端末装置3は、一例として、PC(Personal Computer)、高機能携帯、及びタブレット等である。
【0033】
CPU301は、端末装置3全体を制御し、HDD304から各種のプログラムを読み出し、RAM303をワーキングメモリとして使用して各種の処理を実行する。例えば、CPU301は、HDD304から後述する第一メイン処理用のプログラムを読み出して、第一メイン処理を実行する。
【0034】
HDD304は、第一メイン処理用のプログラム、第一範囲特定処理用のプログラム等の各種のプログラム、及び各種の情報を記憶している。HDD304は、後述する第一設定画面91、及び第二設定画面92の情報等の各種の設定画面の情報を記憶している。HDD304は、後述するプラテン31の領域を分割した領域と該領域の少なくも左前端部のXY座標を対応付けて夫々記憶している。HDD304は、接続されている前処理装置10毎に、熱処理部50がプラテン31の領域を分割した領域毎に熱処理可能であるか否かの情報を記憶している。プラテン31のXY座標は後述する。HDD304は、第二設定画面92で設定可能な製造情報毎に前処理範囲102を含まない前処理情報を対応付けて記憶している。HDD304は、後述する第一テーブル81、及び第二テーブル82等のテーブル(対応情報)類を記憶している。テーブルは対応情報の一例であり、本実施形態においてはテーブルを例に説明するが、対応情報の態様は任意である。
【0035】
操作部305は、キーボード等を備えている。キーボードは、例えば、ボタン等を備えている。操作者は、操作部305を操作して、所望の指示を端末装置3に与えることができる。表示部306は、周知のディスプレイ装置等で構成される。表示部306は、タッチパネルを備え、操作部305としても機能しても良い。
【0036】
通信部307は、無線モジュール(不図示)と有線モジュール(不図示)の内の少なくとも一方を有し、前処理装置10、プリンタ1、及びサーバ2とネットワーク4を介して接続可能である。通信部307は、例えば、サーバ2や他のサーバ等の外部装置から送信された画像データを受信する。通信部307は、画像データを受信すると、受信した画像データをCPU301に入力する。端末装置3は、通信部307の代わりに、USBポートに接続可能な無線モジュールにより、前処理装置10、プリンタ1、及びサーバ2とネットワーク4を介して接続されても良い。
【0037】
出入力部308は、SD(Secure Digital)メモリカードスロット、及びUSBポート等を備えている。出入力部308は、例えば、SDメモリカードスロットに挿入されたSDメモリカード、及びUSBポートに接続された外部装置等から画像データを受付ける。出入力部308は、画像データを受付けると、受付けた画像データをCPU301に入力する。画像データには、画像データに対応する画像101の前処理装置10のプラテン31における配置情報が付随していても良い。
【0038】
<第一設定画面91>
図4に示す様に、第一設定画面91は印刷枚数等の印刷情報を設定する為の印刷設定画面(不図示)、又は前処理情報を設定する為の第二設定画面92を表示部306の画面上に表示させる為の設定画面である。第一設定画面91中のウィンドウ100は通信部307等で受付けた画像データに対応する画像101を表示するウィンドウである。
【0039】
第一設定画面91中の"印刷設定ボタン110"が操作者により選択されると、"印刷設定ボタン110"が選択された旨の情報がCPU301に入力される。"印刷設定ボタン110"が選択された旨の情報が入力されると、CPU301は、表示部306を制御し、印刷設定画面を表示部306の画面上に表示させる。第一設定画面91中の"前処理情報設定ボタン111"が操作者により選択されると、"前処理情報設定ボタン111"が選択された旨の情報がCPU301に入力される。"前処理情報設定ボタン111"が選択された旨の情報が入力されると、CPU301は、表示部306を制御し、第二設定画面92を表示部306の画面上に表示させる。
【0040】
<第二設定画面92>
図5(A)に示す様に、第二設定画面92は、前処理範囲102を除く前処理情報を設定する為の設定画面の例である。第二設定画面92に表示された製造情報の各項目が、操作者により選択されることにより、CPU301は、選択された製造情報の各項目に対応する前処理情報を特定し、CPU301により特定された前処理情報の各項目が第二設定画面92の右側に表示される。
操作者により"OKボタン112"が選択されることで、前処理情報が設定される。設定された前処理情報は、CPU301に入力される。製造情報は、例えば、メーカー、ブランド、型番、及びロットである。メーカーは、被記録媒体に印刷を施した完成品の製造先の情報である。以下、完成品を製品と言う。ブランドは、メーカーが展開するブランドの情報である。型番は、製品のモデル毎に割り当てられる管理番号の情報である。ロットは、生産管理上の製品の製造単位の管理番号の情報である。
【0041】
前処理情報は、単位面積当たりの塗布量(mg/cm)、塗布範囲、前処理剤の種類、熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、熱処理温度(℃)、熱処理範囲、及び熱処理回数等である。単位面積当たりの塗布量(mg/cm)は、前処理剤の単位面積当たりの塗布量(mg/cm)の情報である。塗布範囲は、前処理剤を塗布する範囲の情報である。熱処理圧力(N/cm)は、熱処理部50がヒートプレス部やヒートローラ等、熱処理の対象である布帛に圧力を加える場合には、熱処理の際に加える圧力の値の情報である。従って、熱処理部50が近赤外線ヒータや送風装置等、布帛に非接触の場合には、ヌル(―)が設定されている。熱処理時間(sec)は熱処理を行う時間の情報である。熱処理温度(℃)は熱処理を行う温度の情報である。熱処理範囲は、熱処理を行う範囲の情報である。熱処理回数は、設定されている熱処理時間(sec)の熱処理を繰り返す回数の情報である。
【0042】
本実施形態の第二設定画面92は、製造情報の各項目が選択されることで、選択された製造情報の各項目に対応する前処理情報が自動で設定される。図5(A)は、製造情報として操作者により選択されたメーカー、ブランド、型番、及びロットは、夫々、MK2、BR1、TN2、及びRT2である場合を示す。この場合、設定される前処理情報の単位面積当たりの塗布量(mg/cm)、前処理剤の種類、熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、及び熱処理温度(℃)等は、夫々、C4、L4、P4、T4、及びTP4等となる。
【0043】
また、本実施形態の第二設定画面92は前処理情報を直接指定することも可能である。
図6は、前処理情報を直接指定した場合の例を示している。前処理情報を直接指定する場合には、操作者は第二設定画面92の手動設定を選択する。手動設定を選択することで、前処理情報の各項目の欄に所望の値や所望の前処理剤の種類を入力可能となる。操作者により、前処理情報の各項目の欄に所望の値や所望の前処理剤の種類が入力された後、"OKボタン112"が選択されると入力された前処理情報が設定される。設定された前処理情報は、CPU301に入力される。
【0044】
<第一テーブル81>
図7(A)に示す様に、第一テーブル81は、識別子、画像データ、及び前処理範囲102を含む前処理情報が対応付けられているテーブルである。識別子は、例えば、CPU301が生成する乱数等の一意的な識別記号の情報である。画像データは、通信部307、又は出入力部308が受信し、又は受付けた画像データである。前処理情報は、上述したので、ここでの説明は省略する。なお、前処理範囲102は、前処理を行う範囲の情報である。
【0045】
<第二テーブル82>
図7(B)に示す様に、第二テーブル82は、スプレー毎に塗布領域の左右方向(X軸方向)の塗布区間が対応付けられているテーブルである。図7(B)に示す第二テーブル82は、スプレーの数が七個の場合の例であり、プラテン31の左端がX軸の"0"となっている。例えば、スプレー(3)の塗布区間は[b,c]である。つまり、スプレー(3)は、塗布区間[b,c]に噴霧出来る。
【0046】
図8(A)は、具体例における塗布範囲CR1を示す図である。図8(A)の例では、塗布範囲CR1は、網掛けされた領域である。つまり、塗布範囲CR1は、((3),4~5)領域、((2)~(4),6~9)領域から成る領域である。プラテン31を分割した各領域は、前処理を実行する前処理装置10の塗布部40が備える各スプレーが一回の塗布で塗布可能な塗布範囲である。図8(B)は、具体例における熱処理範囲PR1,PR1-1を示す図である。図8(B)の例において、熱処理部50が近赤外線装置等、プラテン31を分割した各領域(図8の例では、7×18分割)に熱処理を行える構成であれば、この分割した各領域に対して、CPUの制御の下、熱処理部50が熱処理を行うことが可能である。この場合、熱処理部50は、網掛けされた領域を熱処理範囲PR1として熱処理する。つまり、この場合は、塗布範囲CR1と熱処理範囲PR1が同じ範囲になる。
【0047】
一方、CPUの制御の下、熱処理部50がヒートプレス装置、送風装置、又はヒートローラ等、プラテン31を分割した各領域(図8の例では、7×18分割)に熱処理を行えない構成であれば、熱処理部50は、例えば、太線枠で囲まれた((1)~(7)、4~9)領域を熱処理範囲PR1-1として熱処理を行う。すなわち、熱処理範囲PR1-1は熱処理部50の構成に依存した形状になり、例えば、図2に示すプレス面51Aがプラテン31と同一形状であれば、熱処理範囲PR1-1は、プラテン31と同じ形状になる。
【0048】
<第一メイン処理>
図9を参照して、第一メイン処理の流れを説明する。本第一メイン処理は、端末装置3の電源が投入されたことをトリガとして実行される。CPU301は、HDD304から第一メイン処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第一メイン処理を実行する。
【0049】
初めに、CPU301は、画像データを受付けたか判定する(S1)。一例として、CPU301は、通信部307又は出入力部308から画像データが入力された場合に、画像データを受付けたと判定し、通信部307又は出入力部308から画像データが入力されていない場合に、画像データを受付けていないと判定する。CPU301は、画像データを受付けていないと判定した場合には(S1:NO)、S1の処理を繰り返す。
【0050】
CPU301は、画像データを受付けたと判定した場合には(S1:YES)、第一設定画面91の"前処理情報設定ボタン111"が選択されたか判定する(S3)。一例として、CPU301は、"前処理情報設定ボタン111"が選択された旨の情報が入力されたか判定することで、"前処理情報設定ボタン111"が選択されたか判定する。CPU301は、"前処理情報設定ボタン111"が選択されていないと判定した場合には(S3:NO)、S3の処理を繰り返す。CPU301は、"前処理情報設定ボタン111"が選択されたと判定した場合には(S3:YES)、表示部306を制御し、第二設定画面92を画面上に表示させる(S5)。
【0051】
CPU301は、前処理情報を特定したか判定する(S7)。一例として、CPU301は、操作者により第二設定画面92の製造情報の各項目が設定されたか判定する。CPU301は、第二設定画面92の"OKボタン112"が選択された旨の情報が入力されたか判定することで、操作者により第二設定画面92の製造情報の各項目が設定されたか判定する。CPU301は、第二設定画面92の製造情報の各項目が設定されたと判定した場合に、設定された製造情報の各項目に対応する前処理情報を特定する。CPU301は、特定した前処理情報が入力されたか判定することで、前処理情報を特定したか判定する。また、CPU301は、操作者により第二設定画面92において設定された前処理情報が入力された場合に、前処理情報を特定したと判定する。CPU301は、前処理情報を特定していないと判定した場合には(S7:NO)、S7の処理を繰り返す。CPU301は、前処理情報を特定したと判定した場合には(S7:YES)、後述する範囲特定処理を実行する(S9)。範囲特定処理は、前処理範囲102を特定する処理である。
【0052】
CPU301は、識別子を発行する(S11)。一例として、CPU301は、乱数等の一意的な識別記号を発行し、RAM303に発行した識別記号(識別子)を記憶する。
CPU301は、第一テーブル81の行を追加する(S13)。一例として、CPU301は、第一テーブル81の最下段の行の下に行を追加する。CPU301は、画像データ、前処理範囲102を含む前処理情報、及び識別子を、夫々、第一テーブル81の追加した行の対応する欄に格納する(S15)。CPU301は、S1の処理に戻る。
【0053】
<第一範囲特定処理>
図10を参照して、第一範囲特定処理の流れを説明する。本第一範囲特定処理は、第一メイン処理のS9の処理のサブルーチンである。CPU301は、HDD304から第一範囲特定処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第一範囲特定処理を実行する。
【0054】
初めに、CPU301は、受付けた画像データに付随するプラテン31における画像101の配置情報に基づき、画像データに対応する画像101の外縁のXY座標を特定する(S21)。CPU301は、画像101の外縁の各点のXY座標を含む領域(図8の例では、プラテン31の領域を7×18分割した領域)を夫々特定する(S23)。一例として、CPU301は、HDD304に記憶されているプラテン31の領域を分割した領域と該領域の少なくも左前端部のXY座標との対応情報に基づき、分割した各領域のプラテン31における配置位置を特定することにより、画像101の外縁の各点のXY座標を含む領域を夫々特定し、RAM303に特定した領域を記憶する。
【0055】
CPU301は、特定した領域で囲まれた範囲を塗布範囲として特定する(S25)。
CPU301は、RAM303に特定した塗布範囲を記憶する。CPU301は、前処理装置10の熱処理部50はプラテン31の領域を分割した領域毎に熱処理が可能であるか判定する(S27)。一例として、CPU301は、HDD304が記憶している、接続されている前処理装置10毎に、熱処理部50がプラテン31の領域を分割した領域毎に熱処理が可能であるか否かの情報に基づき、前処理を実行する前処理装置10の熱処理部50がプラテン31を分割した領域毎に熱処理が可能であるか判定する。
【0056】
CPU301は、分割した領域毎に熱処理が可能であると判定した場合には(S27:YES)、S25の処理で特定した塗布範囲を熱処理範囲として特定する(S29)。CPU301は、RAM303に特定した熱処理範囲を記憶する。CPU301は、第一メイン処理のS5の処理に進む。分割した領域毎に熱処理が可能でないと判定した場合には(S27:NO)、塗布範囲を含む全ての行範囲から成る範囲を熱処理範囲として特定する(S31)。CPU301は、RAM303に特定した熱処理範囲を記憶する。CPU301は、第一メイン処理のS5の処理に進む。
【0057】
<第一実施形態の主な作用、及び効果>
上記第一実施形態における端末装置3は、画像データを受付け、受付けた画像データに対し、前処理情報を特定する。故に、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理情報を特定するよりも前処理装置10の生産性が低下することを低減できる。
【0058】
上記第一実施形態における端末装置3は、前処理範囲102を含む前処理情報を特定する。故に、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、前処理範囲102を含む前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理範囲102を含む前処理情報を特定するよりも前処理装置10の生産性が低下することを低減できる。
【0059】
上記第一実施形態における端末装置3は、HDD304に記憶されている第一テーブル81に受付けた画像データと特定した前処理情報とを対応付けて格納する。故に、画像データと前処理情報とが対応付けられるので、前処理装置10により、画像データに対応する画像101が配置される範囲に対して、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0060】
上記第一実施形態における端末装置3は、識別子を発行し、HDD304に記憶されている第一テーブル81に発行した識別子と受付けた画像データと特定した前処理情報とを対応付けて格納する。故に、識別子により画像データと前処理情報とが対応付けられるので、誤って異なる前処理情報に基づく前処理が行われる可能性が低減される。従って、前処理装置10により、画像データに対応する画像101が配置される範囲に対して、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0061】
上記第一実施形態における端末装置3は、前処理範囲102として塗布範囲、及び熱処理範囲を特定する。故に、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、塗布範囲、及び熱処理範囲を特定できるので、前処理の直前に塗布範囲、及び熱処理範囲を特定するよりも前処理装置10の生産性が低下することを低減できる。
【0062】
上記第一実施形態における端末装置3は、受付けた画像データに対応する画像101の外縁の各点を含むプラテン31の領域を分割した領域を夫々特定し、特定した領域で囲まれた範囲を塗布範囲として特定する。プラテン31の領域を分割した領域のX軸方向の区間は各スプレーの塗布範囲のX軸方向の区間に対応している。故に、端末装置3は、塗布範囲が複数のスプレーの各塗布範囲で形成されるので、より適切に塗布範囲を特定できる。従って、前処理装置10により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0063】
上記第一実施形態における端末装置3は、前処理を実行する前処理装置10の熱処理部50がプラテン31の領域を分割した領域毎に、熱処理できる場合には、塗布範囲を熱処理範囲として特定する。故に、端末装置3は、熱処理範囲が熱処理を実行する前処理装置10の熱処理部50により熱処理が可能な単位範囲(プラテン31の領域を分割した範囲)で形成されるので、より適切に熱処理範囲を特定できる。従って、前処理装置10により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0064】
上記第一実施形態における端末装置3は、製造情報を受付け、受付けた製造情報に基づき、製造情報に対応する前処理情報を特定する。従って、前処理装置10により、被記録媒体の特性に基づいたより適切な前処理が行われる可能性が高くなる。
【0065】
上記第一実施形態における端末装置3は、前処理を行う前処理装置10の熱処理部50がプラテン31の領域を分割した領域毎に、熱処理できない場合には、塗布範囲を含む全ての行範囲から成る範囲を熱処理範囲として特定する。故に、端末装置3は、前処理を行う前処理装置10に応じてより適切な熱処理範囲を特定できる。また、端末装置3は、前処理を行う前処理装置10のエラーを低減可能な熱処理範囲を特定できる。
【0066】
<第二実施形態>
第二実施形態におけるネットワーク4の構成、端末装置3の構成は第一実施形態の場合とほぼ同じである。従って、異なる部分を説明し、同じ部分の説明は省略する。第二実施形態では、HDD304は、第一設定画面91、及び第三設定画面93を記憶している。
HDD304は、第三設定画面93で設定可能な材質情報毎に前処理範囲102を含まない前処理情報を対応付けて記憶している。HDD304は、後述する第二メイン処理用のプログラムを記憶している。
【0067】
<第三設定画面93>
図11(A)に示す様に、第三設定画面93は、前処理範囲102を除く前処理情報を設定する為の設定画面の別の例である。第三設定画面93においては、製造情報の代わりに材質情報が、操作者により選択される。第三設定画面93の右側に選択された材質情報に対応する前処理情報の各項目が表示される。操作者により"OKボタン112"が選択されることで、前処理情報が設定される。設定された前処理情報は、CPU301に入力される。
【0068】
材質情報は、例えば、生地の厚さ、素材、編み/織り、及び色である。メーカーは、被記録媒体に印刷を施した完成品の製造先の情報である。以下、完成品を製品と言う。ブランドは、メーカーが展開するブランドの情報である。生地の厚さは、単位面積当たりの生地の重量の情報である。素材は、綿、ポリエステル、及び綿とポリエステルの混合等の被記録媒体の生地の材料の情報である。編み/織りは、生地の編み方法、又は織り方法の情報である。色は、被記録媒体の色の情報である。
【0069】
本実施形態の第三設定画面93は、材質情報の各項目が選択されることで、選択された材質情報の各項目に対応する前処理情報が自動で設定される。図11(A)は、材質情報として操作者により選択された生地の厚さ、素材、編み/織り、及び色が、夫々、TH2、MT1、WE2、及びCL2の場合を示す。この場合、CPU301は、選択された材質情報の各項目に対応する前処理情報の単位面積当たりの塗布量(mg/cm)、前処理剤の種類、熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、及び熱処理温度(℃)等が、夫々の欄に表示される。
【0070】
また、本実施形態の第三設定画面93は前処理情報を直接指定することも可能である。
図11(B)は、前処理情報を直接指定した場合の例を示している。前処理情報を直接指定する場合には、操作者は第三設定画面93の手動設定を選択する。手動設定を選択することで、前処理情報の各項目の欄に所望の値や所望の前処理剤の種類を入力可能となる。
操作者により、前処理情報の各項目の欄に所望の値や所望の前処理剤の種類が入力された後、"OKボタン112"が選択されると入力された前処理情報が設定される。設定された前処理情報は、CPU301に入力される。
【0071】
<第二メイン処理>
図12を参照して、第二メイン処理の流れを説明する。本第二メイン処理は、端末装置3の電源が投入されたことをトリガとして実行される。CPU301は、HDD304に記憶されている第二メイン処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第二メイン処理を実行する。
【0072】
初めに、第二メイン処理のS1~S3,S7~S15の処理は、図9に示す第一メイン処理のS1~S3,S7~S15の処理と同じであるので、説明は省略する。なお、S7の処理では、第一メイン処理の製造情報の代わりに材質情報の各項目が選択される。
【0073】
CPU301は、S3の処理において、"前処理情報設定ボタン111"が選択されたと判定された場合には(S3:YES)、表示部306を制御し、第三設定画面93を表示部306の画面上に表示させる(S5A)。CPU301は、S7~S15の処理を実行する。CPU301は、S15の処理を実行後、S1の処理に戻る。
【0074】
<第二実施形態の主な作用、及び効果>
上記第二実施形態における端末装置3は、画像データを受付け、受付けた画像データに対し、前処理情報を特定する。故に、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理情報を特定するよりも前処理装置10の生産性が低下することを低減できる。
【0075】
上記第二実施形態における端末装置3は、材質情報を受付け、受付けた材質情報に基づき、材質情報に対応する前処理情報を特定する。従って、前処理装置10により、被記録媒体の特性に基づいたより適切な前処理が行われる可能性が高くなる。
【0076】
上記第二実施形態における端末装置3は、受付けた画像データと発行した識別子と特定した前処理範囲102とを対応付けた第一情報を、通信部307を介して、外部装置、例えば、サーバ2に送信する。端末装置3は、特定した前処理情報を発行した識別子と対応付けた第二情報を、外部装置、例えば、サーバ2に送信する。故に、端末装置3は、識別子と画像データと前処理範囲102と前処理情報とを対応付けた対応情報を外部装置、例えば、サーバ2に保持させることができる。従って、端末装置3は、第一テーブル81を保持する必要が無いので、記憶装置を有効活用でき、端末装置3のコストを低減できる。
【0077】
<第三実施形態>
第三実施形態におけるネットワーク4の構成、端末装置3の構成は第一実施形態の場合とほぼ同じである。従って、異なる部分を説明し、同じ部分の説明は省略する。第三実施形態では、HDD304が、後述する第三メイン処理用のプログラムを記憶している。
【0078】
<第三メイン処理>
図13を参照して、第三メイン処理の流れを説明する。本第三メイン処理は、端末装置3の電源が投入されたことをトリガとして実行される。CPU301は、HDD304から第三メイン処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第三メイン処理を実行する。
【0079】
初めに、第三メイン処理のS1~S3,S7~S11の処理は、図9に示す第一メイン処理のS1~S3,S7~S11の処理と同じであるので、説明は省略する。
【0080】
CPU301は、S3の処理において、"前処理情報設定ボタン111"が選択されたと判定された場合には(S3:YES)、表示部306を制御し、第二設定画面92、又は第三設定画面93を表示部306の画面上に表示させる(S5B)。CPU301は、S7~S11の処理を実行する。CPU301は、画像データと前処理範囲102を含む前処理情報と識別子とを対応付けた対応情報を、外部装置、例えば、サーバ2に記憶させる為に、通信部307を介し、送信する(S14)。CPU301は、S1の処理に戻る。
【0081】
<第三実施形態の主な作用、及び効果>
上記第三実施形態における端末装置3は、画像データを受付け、受付けた画像データに対し、前処理情報を特定する。故に、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、前処理情報を特定できるので、前処理の直前に前処理情報を特定するよりも前処理装置10の生産性が低下することを低減できる。
【0082】
<第四実施形態>
第四実施形態におけるネットワーク4の構成、端末装置3の構成は第一実施形態の場合とほぼ同じである。従って、異なる部分を説明し、同じ部分の説明は省略する。第四実施形態では、HDD304は、第二範囲特定処理用のプログラムを記憶している。また、HDD304が、第三所定倍率z(z>1)を記憶している。
【0083】
<前処理範囲102の第二特定方法>
図14を参照して、前処理範囲102の第二特定方法について説明する。前処理範囲102の第二特定方法は、第二範囲特定処理で実行される。受付けた画像データに対応する画像101は、図14に示す様に、黒色の星であるものとする。前処理範囲102の第二特定方法では、CPU301は、画像101をHDD304が記憶している第三所定倍率zにより拡大する。CPU301は、拡大後の画像101-1の外縁の各点のプラテン31におけるXY座標を特定する。CPU301は、拡大後の画像101-1の外縁の各点のプラテン31におけるXY座標のX座標、及びY座標の値の最小値と最大値を特定する。CPU301は、最小値、又は最大値を有する全てのXY座標を領域に含む矩形形状の前処理範囲102を特定する。
【0084】
この際、CPU301は、拡大後の画像101-1がプラテン31の領域からはみ出ている場合には、拡大後の画像101-1の外縁の各点のプラテン31におけるXY座標のX座標、及びY座標の値の最小値、又は最大値を有する全てのXY座標がプラテン31の領域に含まれる様に、画像101-1を縮小する。CPU301は、縮小後の画像101を領域に含みプラテン31の領域からはみ出ない矩形形状の前処理範囲102を特定する。
【0085】
拡大後の画像101-1が、プラテン31の領域からはみ出るとは、拡大後の画像101-1の外縁の各点のXY座標の何れかが負の値である場合を意味する。また、拡大後の画像101-1の外縁の各点のXY座標の何れかのX座標、及びY座標の値の内で少なくとも一つが、HDD304に記憶されているプラテン31の右前端点と左後端点のXY座標におけるX座標、又はY座標の値を超えている場合を意味する。
【0086】
なお、プラテン31のXY座標は、X軸と左右方向が平行であり、左から右の方向がX軸の正方向である。また、Y軸と前後方向が平行であり、前から後の方向がY軸の正方向である。原点は、プラテン31の左前端点である。
【0087】
<第二範囲特定処理>
図15を参照して、第二範囲特定処理の流れを説明する。本第二範囲特定処理は、第一メイン処理~第三メイン処理のS9の処理のサブルーチンである。CPU301は、HDD304から第二範囲特定処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第二範囲特定処理を実行する。
【0088】
初めに、CPU301は、画像データに対応する画像101を第三所定倍率zにより拡大後のプラテン31における配置情報を求める(S41)。一例として、CPU301は、画像データに付随するプラテン31における画像101の配置情報に基づき、拡大後の画像101-1の外縁の各点のプラテン31におけるXY座標を特定し、RAM303に記憶する。CPU301は、拡大後の画像101-1の外縁のX座標、及びY座標の最小値、及び最大値を特定する(S43)。一例として、CPU301は、拡大後の画像101-1の外縁の各点のプラテン31におけるXY座標のX座標、及びY座標の値の最小値、及び最大値を特定し、RAM303に特定したX座標、及びY座標の値の最小値、及び最大値を記憶する。
【0089】
CPU301は、拡大後の画像101-1がプラテン31の領域からはみ出ているか判定する(S45)。一例として、CPU301は、特定したX座標、及びY座標の値の最小値、又は最大値を有する全てのXY座標がプラテン31の領域に含まれているか判定することで、拡大後の画像101-1がプラテン31の領域からはみ出ているか判定する。
CPU301は、HDD304がプラテン31の少なくとも右前端点と左後端点のXY座標を記憶しているので、拡大後の画像101-1がプラテン31の領域からはみ出ているか判定できる。
【0090】
CPU301は、プラテン31の領域からはみ出ていないと判定した場合には(S45:NO)、拡大後の画像101-1を領域に含む前処理範囲102を特定する(S47)。一例として、CPU301は、拡大後の画像101-1を領域に含み且つプラテン31の領域からはみ出ない矩形形状の前処理範囲102を特定し、RAM303に特定した前処理範囲102を記憶する。CPU301は、第一メイン処理~第三メイン処理の内の実行中のS5の処理に進む。
【0091】
CPU301は、プラテン31の領域からはみ出ていると判定した場合には(S45:YES)、拡大した画像101-1を縮小する(S49)。一例として、CPU301は、特定した最小値、又は最大値を有する全てのXY座標がプラテン31の領域に含まれる様に拡大した画像101-1を縮小する。CPU301は、縮小後の画像101を領域に含む前処理範囲102を特定する(S51)。一例として、CPU301は、縮小後の画像101を領域に含み且つプラテン31の領域からはみ出ない様に矩形形状の前処理範囲102を特定し、RAM303に特定した前処理範囲102を記憶する。CPU301は、第一メイン処理~第三メイン処理の内の実行中のS5の処理に進む。
【0092】
<第四実施形態の主な作用、及び効果>
上記第四実施形態における端末装置3は、受付けた画像データに対応する画像101を第三所定倍率zで拡大し、拡大後の画像101-1を領域に含む前処理範囲102を特定する。故に、端末装置3は拡大後の画像101-1を含む範囲を前処理範囲102とするので、前処理装置10にて前処理が行われる際に、前処理範囲102がずれたとしても、画像101が配置される範囲に前処理が適切に行われる可能性が高くなる。
【0093】
上記第四実施形態における前処理範囲102は矩形形状である。故に、端末装置3は、円などの曲線から成る形状により拡大した画像101-1を含む領域を特定するよりも適切に拡大した画像101-1を含む領域を特定できる。従って、前処理装置10により、より適切に前処理が行われる可能性が高くなる。
【0094】
上記第四実施形態における端末装置3は、拡大後の画像101-1がプラテン31の領域からはみ出ている場合には、拡大後の画像101-1をプラテン31の領域からはみ出ない様に縮小し、縮小後の画像101を領域に含む前処理範囲102を再度特定する。故に、端末装置3は、プラテン31の領域からはみ出た前処理範囲102を特定しないので、前処理装置10のエラーを低減可能な前処理範囲102を特定できる。
【0095】
<第五実施形態>
第四実施形態におけるネットワーク4の構成、端末装置3の構成は第一実施形態の場合とほぼ同じである。従って、異なる部分を説明し、同じ部分の説明は省略する。第五実施形態では、HDD304が、後述する第三範囲特定処理用のプログラムを記憶している。
HDD304は、プラテン31(図16参照)における後述するXY座標の内で、プラテン31の少なくとも右前端点と左後端点のXY座標を記憶している。
【0096】
<前処理範囲102の第二特定方法>
図16を参照して、前処理範囲102の第二特定方法を説明する。前処理範囲102の第二特定方法は、後述する第三範囲特定処理で実行される。画像データに対応する画像101は、図16に示す様に、黒色の星であるものとする。前処理範囲102の第一設定方法は、画像101を領域に含む矩形形状の余白領域103を設定する。余白領域103の縦Lと幅Wの比は予め設定され、該比の情報はHDD304に記憶されている。余白領域103の縦Lと幅Wの比は、プラテン31の長尺方向(前後方向)の長さと短尺方向(左右方向)の長さの比と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0097】
CPU301は、設定した余白領域103の縦Lを第一所定倍率n(n>1)により、幅Wを第二所定倍率m(m>1)により拡大する。第一所定倍率nと第二所定倍率mは等しくても良いし、異なっていても良い。第一所定倍率nと第二所定倍率mの値は予め設定され、HDD304に記憶されている。CPU301は、拡大後の領域を前処理範囲102として特定する。この際、CPU301は、特定した前処理範囲102が、プラテン31の領域からはみ出ている場合には、プラテン31の領域からはみ出た部分を、設定した前処理範囲102から除去した範囲を前処理範囲102として特定する。
【0098】
特定した前処理範囲102が、プラテン31の領域からはみ出るとは、特定した前処理範囲102の四つの角のXY座標の何れかが負の値である場合を意味する。また、特定した前処理範囲102の四つの角のXY座標の何れかのX座標、及びY座標の値の内で少なくとも一つが、HDD304に記憶されているプラテン31の右前端点と左後端点のXY座標におけるX座標、又はY座標の値を超えている場合を意味する。
【0099】
<第三範囲特定処理>
図17を参照して、第三範囲特定処理の流れを説明する。本第三範囲特定処理は、第一メイン処理~第三メイン処理のS9の処理のサブルーチンである。CPU301は、HDD304から第三範囲特定処理用のプログラムを読み出して、RAM303をワーキングメモリとして使用し、本第三範囲特定処理を実行する。
【0100】
初めに、CPU301は、受付けた画像データに付随する画像101の配置情報に基づき、画像101の外縁の各点におけるXY座標を特定する(S61)。なお、画像101の配置情報は、プラテン31における画像データに対応する画像101の配置情報である。CPU301は、画像101を領域に含む矩形形状の余白領域103を設定する(S63)。一例として、CPU301は、画像101の外縁の各点におけるXY座標に基づき、画像101のX座標の最小値、及び最大値、及びY座標の最小値、及び最大値を特定する。CPU301は、特定したX座標、及びY座標の最小値、及び最大値を領域内に全て含む余白領域103を設定し、RAM303に設定した余白領域103の情報を記憶する。
【0101】
CPU301は、設定した余白領域103に基づき、前処理範囲102を特定する(S65)。一例として、CPU301は、設定した余白領域103の縦L(前後方向)を第一所定倍率nにより、幅W(左右方向)を第二所定倍率mにより拡大する。CPU301は、拡大後の余白領域103を前処理範囲102として特定する。
【0102】
CPU301は、特定した前処理範囲102がプラテン31の領域からはみ出ているか判定する(S67)。一例として、CPU301は、特定した前処理範囲102の四つの角のXY座標の何れかが負の値であるか判定することで、特定した前処理範囲102はプラテン31の領域からはみ出ているか判定する。更に、CPU301は、特定した前処理範囲102の四つの角のXY座標の何れかのX座標、及びY座標の値の内で少なくとも一つが、HDD304に記憶されているプラテン31の右前端点と左後端点のXY座標におけるX座標、及びY座標の値を超えているか判定することで、特定した前処理範囲102はプラテン31の領域からはみ出ているか判定する。
【0103】
CPU301は、はみ出ていると判定した場合には(S67:YES)、プラテン31の領域に基づき、前処理範囲102を再度特定する(S69)。一例として、CPU301は、プラテン31の領域からはみ出ている範囲を除去した領域を前処理範囲102として特定する。CPU301は、第一メイン処理~第三メイン処理の内の実行中のS5の処理に進む。CPU301は、はみ出ていないと判定した場合には(S67:NO)、第一メイン処理~第三メイン処理の内の実行中のS5の処理に進む。
【0104】
<第五実施形態の主な作用、及び効果>
上記第五実施形態における端末装置3は、画像101を領域に含む余白領域103を設定し、設定した余白領域103に基づき、前処理範囲102を特定する。故に、端末装置3は、操作者により前処理範囲102が指定されなくても、余白領域103に基づき前処理範囲102が特定できる。
【0105】
上記第五実施形態における端末装置3は、特定した前処理範囲102がプラテン31の領域からはみ出ている場合には、プラテン31の領域からはみ出ている範囲を除去した領域を前処理範囲102として再度特定する。故に、端末装置3は、プラテン31の領域からはみ出た前処理範囲102を特定しないので、前処理装置10のエラーを低減可能な前処理範囲102を特定できる。
【0106】
<変形例>
第一メイン処理~第三メイン処理の各ステップは、矛盾が生じない範囲で順番を入れ替えても良い。また、第一メイン処理の~第三メイン処理の各ステップは、矛盾が生じない範囲で組み替えても良いし、組み合わせても良い。
【0107】
例えば、第一メイン処理~第三メイン処理のS3~S7の処理をS11の後に行っても良いし、S13の後に行っても良い。
【0108】
第一メイン処理、及び第二メイン処理において、端末装置3は、製造情報、又は材質情報に基づき前処理情報を特定すると説明したが、これに限定されるわけではなく、製造情報、及び材質情報とに基づき前処理情報を特定しても良い。従って、端末装置3は、製造情報、及び材質情報の少なくとも一方に基づき前処理情報を特定する。製造情報、及び材質情報の少なくとも一方を含む情報を「メディア情報」と言う。
【0109】
第一前処理特定処理は、第一メイン処理のみではなく、第二メイン処理、及び第三メイン処理にも適用できる。
【0110】
前処理範囲102の第一特定方法において、CPU301は、受付けた画像データに対応する画像101を領域に含む矩形形状の前処理範囲102を特定した。しかしながら、これに限定されるわけではなく、例えば、CPU301は、画像101を領域に含む円や楕円等の他の形状の前処理範囲102を特定しても良い。
【0111】
前処理範囲102の第二特定方法において、CPU301は、拡大後の画像101がプラテン31の領域からはみ出ているか判定した後に、拡大後の画像101を領域に含む前処理範囲102を特定した。しかしながら、これに限定されるわけではなく、例えば、CPU301は、拡大後の画像101を領域に含む前処理範囲102を特定した後に、特定した前処理範囲102がプラテン31の領域からはみ出ているか判定しても良い。
【0112】
前処理範囲102の第二特定方法において、CPU301は、プラテン31を分割した領域毎に前処理装置10の熱処理部50が熱処理できない場合に、塗布範囲を含む全ての行範囲から成る領域を熱処理範囲とすると説明した。しかしながら、これに限定されるわけではなく、例えば、CPU301は、塗布範囲を含む全ての列範囲から成る領域を熱処理範囲として特定しても良い。
【0113】
図8に示す具体例による、熱処理範囲の特定方法の説明において、CPU301は、前処理を行う前処理装置10が備える熱処理部50がプラテン31の領域を分割した領域毎に、熱処理できる場合には、塗布範囲を熱処理範囲として特定すると説明した。しかしながら、これに限定されるわけではなく、CPU301は、受付けた画像データに対応する画像101の外縁の各点を含む熱処理部50が熱処理できる単位範囲を特定し、特定した単位範囲で囲まれた範囲を熱処理範囲として特定しても良い。
【0114】
前処理情報作成装置として端末装置3を例にし、各実施形態を説明したが、前処理情報作成装置は、前処理装置10、又はプリンタ1であっても良い。
【0115】
上記各実施形態において前処理情報に含まれる前処理剤の塗布量として、単位面積当たりの塗布量(mg/cm)であるとして説明した。しかしながら、これに限定されるわけではなく、例えば、所定面積の塗布量であっても良いし、前処理範囲102の塗布量であっても良い。
【0116】
第一メイン処理~第三メイン処理のS12の処理で表示される第二設定画面92により前処理情報を特定する際、又はS14Aの処理において前処理情報を特定する際に、CPU301は、前処理情報の塗布情報として前処理剤の種類、及び前処理剤の塗布量の少なくとも一方を特定しても良い。この様にすることで、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、前処理剤の種類と前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定できる。
従って、前処理装置10は、前処理の直前に前処理剤の種類と前処理剤の塗布量の少なくとも一つを特定するよりも生産性が低下することを低減できる。
【0117】
第一メイン処理~第三メイン処理のS12の処理で表示される第二設定画面92により前処理情報を特定する際、又はS14Aの処理において前処理情報を特定する際に、CPU301は、前処理情報の熱処理情報として熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、熱処理温度(℃)、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定しても良い。この様にすることで、端末装置3は、画像データを受け付けたタイミングで、熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、熱処理温度(℃)、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定できる。従って、前処理装置10は、前処理の直前に熱処理圧力(N/cm)、熱処理時間(sec)、熱処理温度(℃)、及び熱処理回数の少なくとも一つを特定するよりも生産性が低下することを低減できる。
【0118】
メイン処理等を実行する為のプログラム等は、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等に記憶し、端末装置3、は各種のプログラムをダウンロード等しても良い。
【0119】
実施形態または変形例に応じて、端末装置3は、ROM、RAM以外の他の種類の記憶装置を利用しても良い。例えば、端末装置3は、CAM(Content Addressable Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置を有しても良い。
【0120】
実施形態または変形例に応じて、端末装置3の電気的構成は図3と異なっていても良く、図3に例示した規格・種類以外のその他のハードウェアが端末装置3に適用できる。
【0121】
例えば、図3に示す端末装置3の制御部は、ハードウェア回路で実現しても良い。具体的には、CPU301の代わりに、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のリコンフィギュラブル回路、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で、制御部は実現しても良い。CPU301とハードウェア回路の双方で、制御部は実現しても良い。
【0122】
<その他>
CPU301は、本発明の「コンピュータ」の一例である。CPU301は、本発明の「制御部」の一例である。HDD304は、本発明の「記憶部」の一例である。プラテン31の領域を分割した領域は、本発明の「単位塗布範囲」又は「単位熱処理範囲」である。端末装置3は、本発明の「前処理情報作成装置」の一例である。スプレーは、本発明の「塗布部」の一例である。第一メイン処理~第三メイン処理のS1は、本発明の「第一受付ステップ」の一例である。第一メイン処理~第三メイン処理のS7、及びS9は、本発明の「特定ステップ」の一例である。第一メイン処理、及び第二メイン処理のS13、及びS15は、本発明の「記憶ステップ」の一例である。第一メイン処理~第三メイン処理のS11は、本発明の「発行ステップ」の一例である。第一メイン処理、及び第二メイン処理のS7は、本発明の「第二受付ステップ」の一例である。
【符号の説明】
【0123】
3 端末装置
10 前処理装置
301 CPU
304 HDD
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17