(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20231212BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20231212BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20231212BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231212BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231212BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20231212BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20231212BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B1/14
G02F1/1333
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
G09F9/30 308Z
G09F9/30 349E
B32B27/34
G02B1/111
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2021547386
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 KR2020001895
(87)【国際公開番号】W WO2020166933
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0018017
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イム,ゴ サン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンヒ
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0068252(KR,A)
【文献】特表2018-536034(JP,A)
【文献】特開2018-159913(JP,A)
【文献】特開2018-028073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003504(US,A1)
【文献】特開2015-112811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 1/14
G02F 1/1333
G09F 9/00
G09F 9/30
B32B 27/34
G02B 1/111
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、前記ポリイミドフィルムよりも屈折率が低い低屈折層を有するフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムであって、
前記低屈折層の厚さは、30nm以上であり、130nm/低屈折層の屈折率以下であり、
前記ウィンドウフィルムは、下記の数学式1~3を満たす、フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
〔数学式1〕
A-B≦0.55(%)
〔数学式2〕
黄色度(YI)≦2.0
〔数学式3〕
グリーン視感透過率(Y)≧92%
前記式中、
Aは、540nmにおける透過率(%)であり、
Bは、480nmにおける透過率(%)である。
【請求項2】
前記ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は2.0を超える、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項3】
前記低屈折層の屈折率は1.5以下である、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項4】
前記低屈折層の屈折率は、前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根-0.1以上から前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根+0.2以下までの範囲である、請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項5】
前記低屈折層は、低屈折材料、透光性樹脂、
及び光開始
剤を含む低屈折層形成用組成物から形成される、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項6】
前記低屈折材料は、中空シリカナノ粒子を含む、請求項5に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項7】
前記ポリイミドフィルムと低屈折層との間にハードコーティング層を更に含む、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム、及び前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムの一方の面に積層された光学層を含む、光学積層体。
【請求項9】
前記光学層は、偏光板及びタッチセンサのうちの一つ以上を含む、請求項8に記載の光学積層体。
【請求項10】
請求項8に記載の光学積層体が備えられた画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム、これを含む光学積層体、及び画像表示装置に係り、より詳しくは、黄色度が高いポリイミドフィルムを用いても、ウィンドウフィルム全体の色相をニュートラルに調整して低い黄色度を有し且つ高い透過率を有することができるフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム、これを含む光学積層体、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示画像を含む情報を表示可能な表示装置が活発に開発されつつある。前記表示装置は、液晶表示(liquid crystal display:LCD)装置、有機発光表示(organic light emitting display:OLED)装置、プラズマ表示(plasma display panel:PDP)装置、及び電界放出表示(field emission display:FED)装置などを含む。
【0003】
前記表示装置において、例えば、LCDパネル及びOLEDパネルのような表示パネルの上部に外部環境から前記表示パネルを保護するためのウィンドウ基板又はウィンドウフィルムが配設されることがある。前記ウィンドウ基板又はウィンドウフィルムは、ガラス材質のベース基板を含むことがあり、近年、フレキシブルディスプレイの開発に伴い、前記ベース基板として透明プラスチック材質が活用されている。
【0004】
フレキシブルディスプレイに適用するための従来のウィンドウカバーガラス(Window Cover Glass)を代替し得る透明プラスチックフィルムは、高い硬度(hardness)と光学的特性を満たす必要がある。
【0005】
一方、ポリイミド(polyimide、PI)は、高い熱安定性、機械的物性、耐化学性、そして電気的特性を持っている高性能の高分子材料であって、フレキシブルディスプレイ用基板素材として関心が増大しつつある。しかしながら、ポリイミド素材のフィルムは黄色度が高いため、透明性が要求されるウィンドウフィルムへの適用の際にその補正が要求されている。
【0006】
大韓民国公開特許第2018-0089860号には、ポリイミドフィルムの黄色度を補正するために少なくとも1種の青み剤を含有するポリイミドフィルムが開示されている。しかしながら、前記ポリイミドフィルムは、青み剤の投入によってフィルム全体の透過率が低下するという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国公開特許第2018-0089860号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、黄色度が高いポリイミドフィルムを用いても、ウィンドウフィルム全体の色相をニュートラルに調整して低い黄色度を有し且つ高い透過率を有することができるフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムを含む光学積層体を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記光学積層体が備えられた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一方で、本発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、前記ポリイミドフィルムよりも屈折率が低い低屈折層を有するフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムであって、
前記ウィンドウフィルムは、下記の数学式1~3を満たす、フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムを提供する。
〔数学式1〕
A-B≦0.55(%)
〔数学式2〕
黄色度(YI)≦2.0
〔数学式3〕
グリーン視感透過率(Y)≧92%
前記式中、
Aは、540nmにおける透過率(%)であり、
Bは、480nmにおける透過率(%)である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、2.0を超えてよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層の屈折率は、1.5以下であり、好ましくは、前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根-0.1以上から前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根+0.2以下までの範囲であってよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層の厚さは、30nm以上130nm/低屈折層の屈折率以下であってよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層は、低屈折材料、透光性樹脂、光開始剤、及び溶剤を含む低屈折層形成用組成物から形成されるものであってよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記低屈折材料は、中空シリカナノ粒子を含んでよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムは、前記ポリイミドフィルムと低屈折層との間にハードコーティング層を更に含んでよい。
【0018】
他の一方で、本発明は、前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム、及び前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムの一方の面に積層された光学層を含む光学積層体を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記光学層は、偏光板及びタッチセンサのうちの一つ以上を含んでよい。
【0020】
また他の一方で、本発明は、前記光学積層体が備えられた画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムは、黄色度(YI)が2.0を超えるポリイミドフィルムを用いても、ウィンドウフィルム全体の色相をニュートラルに調整して低い黄色度(YI)を有し且つ低屈折層の反射防止効果にて高い透過率を併せて有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例及び比較例に係るウィンドウフィルムとポリイミドフィルムの透過率スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0024】
本発明の一実施形態は、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、前記ポリイミドフィルムよりも屈折率が低い低屈折層を有するフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムであって、
前記ウィンドウフィルムは、下記の数学式1~3を満たす、フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムに関する。
〔数学式1〕
A-B≦0.55(%)
〔数学式2〕
黄色度(YI)≦2.0
〔数学式3〕
グリーン視感透過率(Y)≧92%
前記式中、
Aは、540nmにおける透過率(%)であり、
Bは、480nmにおける透過率(%)である。
【0025】
前記黄色度(Yellowness Index、YI)とは、黄色の度合いを示す指標であって、無色又は白色(低いYI)に対する黄色(高いYI)として試験サンプルの色相を記述する分光光度データから計算された値である。本発明において、黄色度は、ASTM E313-73に規定された方法に従い測定されてよい。
【0026】
前記グリーン視感透過率(Y)は、可視光領域の透過率を測定してCIE 1931に従い計算された値である。本発明において、グリーン視感透過率(Y)は、分光色差計で測定されてよく、具体的には、後述する実験例に記載された方法に従い測定されてよい。
【0027】
本発明の一実施形態では、ブルー領域での相殺干渉が最大になるようにしてブルー領域の透過率を向上させて前記数学式1を満たすように、すなわち、540nmにおける透過率(A)と480nmにおける透過率(B)との差(A-B)が0.55%以下になるように調節することで、ポリイミドフィルム基材自体の低いブルー領域の透過率を補償することができる。これによって、本発明の一実施形態に係るウィンドウフィルムは、黄色度(YI)が2.0を超えるポリイミドフィルムを用いても、ウィンドウフィルム全体の色相をニュートラルに調整して低い黄色度(YI)を有し且つ低屈折層の反射防止効果にて高い透過率を併せて有することができる。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記540nmにおける透過率(A)と480nmにおける透過率(B)との差(A-B)、黄色度及びグリーン視感透過率は、低屈折層の屈折率と厚さを調整することで調節が可能である。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層は、ポリイミドフィルムの屈折率よりも屈折率が低い層であって、低屈折層表面の反射光と、低屈折層とポリイミドフィルムの界面における反射光とが互いに相殺干渉を起こすように形成された層である。
【0030】
前記低屈折層の屈折率は、効果的な薄膜干渉を起こすために1.5以下であり、好ましくは、前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根-0.1以上から前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根+0.2以下までの範囲であってよく、より好ましくは、前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根-0.05以上から前記ポリイミドフィルムの屈折率の正の二乗根+0.15以下までの範囲であってよい。前記低屈折層の屈折率が上述した範囲を外れる場合、相殺干渉性能が低下するだけでなく、特に下限の範囲を外れる場合、低屈折層の機械的強度が低下することがある。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層の厚さは、ブルー領域において相殺干渉効果を最大化するために30nm以上130nm/低屈折層の屈折率以下であってよい。前記低屈折層の厚さが30nm未満の場合には、相殺干渉領域がUV領域において最大化してブルー領域の相殺干渉効果が微々たるものになり、130nm/低屈折層の屈折率を超える場合には、相殺干渉現象が600nm以上で最大化してグリーンやレッド領域の透過率が大きく上昇することがある。この場合、コーティングフィルムの黄色度が大きく増加してフィルムが黄色く見えることがある。
【0032】
本発明の一実施形態に係るフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムは、ポリイミドフィルム及び前記ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、前記ポリイミドフィルムよりも屈折率が低い低屈折層を有する。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記ポリイミドフィルムは、ウィンドウフィルムの基材としての役割をする。
【0034】
前記ポリイミドフィルムは、黄色度(YI)が2.0を超えるものであって、市販中のものを入手して用いても、又は直接製造して用いてもよい。
【0035】
前記ポリイミドフィルムの厚さは特に制限されず、例えば、30~100μmであってよく、好ましくは、40~80μmであってよい。前記ポリイミドフィルムの厚さが30μm未満であると、下部層に対する保護性能が低下し且つ取り扱いが難しくなることがあり、また100μm超であると、屈曲特性が低下することがある。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層は、低屈折層形成用組成物を前記ポリイミドフィルムに塗布して形成してよい。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層形成用組成物は、低屈折材料、透光性樹脂、光開始剤、及び溶剤を含んでよい。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記低屈折材料は、屈折率が1.5以下の材料であり、代表的な材料としてMgF2のような含フッ素材料、中空シリカナノ粒子のような中空形状のナノ粒子、シリコン系材料などがある。
【0039】
前記低屈折材料は、特に制限されないが、前記低屈折層形成用組成物の全体100重量部に対し1~80重量部の範囲で含まれてよい。前記低屈折材料の含量が1重量部未満であると、屈折率低下効果が微々たるものになり、また80重量部超であると、機械的強度が低下することがある。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記透光性樹脂は光硬化型樹脂であり、前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はモノマーを含んでよい。
【0041】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、通常、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用い、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物を触媒存在下で反応させて製造してよい。前記分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリトリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物、及びジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群より選択された1種以上であってよい。また前記イソシアネート基を有する化合物の具体的な例としては、1,4-ジイソシアナートブタン、1,6-ジイソシアナートヘキサン、1,8-ジイソシアナートオクタン、1,12-ジイソシアナートドデカン、1,5-ジイソシアナート-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナートヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、及びトリメタンプロパノールアダクトのトルエンジイソシアネートからなる群より選択された1種以上であってよい。
【0042】
前記モノマーは、通常用いられるものであれば制限されることなく用いてよく、光硬化型官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有するモノマーが好ましく、その中でも(メタ)アクリロイル基を有するモノマーが好ましい。
【0043】
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、具体的な例として、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群より選択された1種以上であってよい。
【0044】
前記例示した透光性樹脂である光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及びモノマーは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0045】
前記透光性樹脂は、特に制限されないが、前記低屈折層形成用組成物の全体100重量部に対し1~80重量部の範囲で含まれてよい。1重量部未満であると十分な硬度向上を図り難く、また80重量部を超えるとカーリングがひどくなるという問題がある。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記光開始剤は、当該技術分野において用いられるものであれば制限されることなく用いてよい。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素引抜型光開始剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を用いてよい。
【0047】
前記光開始剤としては、具体的に、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]2-モルホリンプロパノン-1、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも1種を用いてよい。
【0048】
前記光開始剤は、前記低屈折層形成用組成物の全体100重量部に対し0.1~10重量部、好ましくは、1~5重量部の範囲で含まれてよい。前記光開始剤の含量が0.1重量部未満であると、組成物の硬化速度が遅く未硬化が発生して機械的物性が劣化することがあり、また10重量部を超えると、過硬化によって塗膜にクラックが生じることがある。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記溶剤は、前述した組成を溶解又は分散させ得るもので当該技術分野において溶剤として知られたものであれば制限されることなく用いてよい。
【0050】
一例として、前記溶剤は、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、アセテート系(エチルアセテート、プロピルアセテート、ノルマルブチルアセテート、tert-ブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル系(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)が好ましく用いられてよい。前記例示された溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0051】
前記溶剤の含量は、前記低屈折層形成用組成物の全体100重量部に対し10~95重量部の範囲で含まれてよい。前記溶剤が10重量部未満であると、粘度が高くなって作業性に劣り、また95重量部を超えると、乾燥過程で時間が多く掛かり経済性に劣るという問題がある。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記低屈折層形成用組成物は、前記した成分の他に、当該技術分野において一般に用いられる成分、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、熱的高分子化禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などが更に含まれてよい。
【0053】
前記低屈折層は、前記低屈折層形成用組成物をポリイミドフィルムの一方の面又は両面に塗布し乾燥した後、UV硬化させて形成してよい。
【0054】
前記低屈折層形成用組成物は、ダイコーター、エアーナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア、スピンコーティングなどの公知の方式を適宜使用して、塗工(Coating Process)してよい。
【0055】
前記低屈折層形成用組成物をポリイミドフィルムに塗布した後は、30~150℃の温度で10秒~1時間、より具体的には、30秒~30分間揮発物を蒸発させ乾燥させた後、UV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、具体的に約0.01~10J/cm2であってよく、より具体的に、0.1~2J/cm2であってよい。
【0056】
本発明の一実施形態に係るウィンドウフィルムは、前記ポリイミドフィルムと低屈折層との間に機械的強度の補強のためのハードコーティング層を更に含んでよい。
【0057】
ハードコーティング層が更に含まれる場合、前記ウィンドウフィルムは、ポリイミドフィルム/ハードコーティング層/低屈折層の順に積層されてよい。
【0058】
また、前記ポリイミドフィルムの裏面にも、ハードコーティング層及び/又は低屈折層が更に積層されてよい。この場合、前記ウィンドウフィルムは、ハードコーティング層/ポリイミドフィルム/ハードコーティング層/低屈折層、あるいは低屈折層/ハードコーティング層/ポリイミドフィルム/ハードコーティング層/低屈折層の順に積層されてよい。
【0059】
前記ハードコーティング層には帯電防止機能などが付加されてよい。
【0060】
本発明の一実施形態は、上述したフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルム、及び前記フレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムの一方の面に積層された光学層を含む光学積層体に関する。
【0061】
前記光学層は、偏光板及びタッチセンサのうちの一つ以上を含んでよい。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記偏光板は、偏光子及び必要に応じて前記偏光子の少なくとも一方の面に積層された保護フィルムを含んでよい。
【0063】
また、前記タッチセンサは、キャリア基板上に分離層を形成してタッチセンサ形成工程を行ない、キャリア基板と分離されると、分離層が配線被覆層として用いられるようにするタッチセンサであってよい。例えば、前記タッチセンサは、フィルム状を有するフィルムタッチセンサであってよい。
【0064】
本発明の一実施形態は、上述した光学積層体が備えられた画像表示装置に関する。
【0065】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、ディスプレイパネルのいずれか一方の面に貼り付けられた前記光学積層体を含む。
【0066】
前記画像表示装置の種類は特に限定されず、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、電界発光表示装置、陰極線管表示装置などであってよい。
【0067】
前記ディスプレイパネルは特に限定されず、当該分野において通常用いられる構成であってよく、その他、当該分野において通常用いられる構成を更に含んでよい。
【0068】
以下、実施例、比較例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例及び実験例は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
【実施例】
【0069】
製造例1:低屈折層形成用組成物の製造
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート2重量部、中空シリカ(日揮触媒化成株式会社製、THRULYA4320、固形分20%)6重量部、光開始剤(BASF社製、イルガキュア184)0.5重量部、プロピレングリコール91.2重量部、及びレベリング剤(BYK社製、BYK-UV3570)0.3重量部を混合して低屈折層形成用組成物を製造した。
【0070】
前記低屈折層形成用組成物の硬化後の屈折率は1.35であった。
【0071】
実施例1~3及び比較例1~3:ウィンドウフィルムの製造
40μmの透明ポリイミドフィルム(住友化学社製、YI:2.33、屈折率:1.54)上に前記製造例1で収得した低屈折層形成用組成物を下記の表1に表したそれぞれのメイヤーバーを用いてコーティングした後、90℃で3分間乾燥させた。次いで、窒素パージ下において高圧水銀ランプを用いて600mJ/cm2のUVを照射し、下記の表1に表したそれぞれの乾燥厚さを有する低屈折層を形成して、ウィンドウフィルムを製造した。
【0072】
【0073】
実験例1:
前記のように製造されたウィンドウフィルムに対して下記のように物性を測定し、その結果を下記の表2に表した。
【0074】
1)透過率スペクトル
製作されたウィンドウフィルムの透過率スペクトルをコニカミノルタ分光測色計(CM-3600d)を用いてSCIモードで測定した。その結果を
図1に示した。540nmにおける透過率(A)と480nmにおける透過率(B)との差(A-B)を計算した。
【0075】
2)黄色度(YI)
製作されたウィンドウフィルムの黄色度をコニカミノルタ分光測色計(CM-3600d)を用いてSCIモードで測定し、ASTM E313-73標準方式を適用して測定した。
【0076】
3)グリーン視感透過率(Y)
製作されたウィンドウフィルムのグリーン視感透過率(Y)をコニカミノルタ分光測色計(CM-3600d)を用いてSCIモードで測定した。
【0077】
【0078】
前記表2から分かるように、540nmにおける透過率(A)と480nmにおける透過率(B)との差(A-B)が0.55%以下になるように調節された実施例1~3のウィンドウフィルムは、ブルー領域での透過率が上昇して2.0以下の低い黄色度(YI)を有するだけでなく、フィルム全体のグリーン視感透過率Yが低屈折層形成用組成物をコーティングしていないポリイミドフィルムに比べて上昇して92%以上の値を有することを確認した。
【0079】
一方、540nmにおける透過率(A)と480nmにおける透過率(B)との差(A-B)が0.55%を超える比較例1~3のウィンドウフィルム、及び低屈折層形成用組成物をコートしていないポリイミドフィルムの場合、ブルー領域で急峻な傾きを有して2.0を超える高い黄色度(YI)を有することを確認した。
【0080】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0081】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。