(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】放射線検出器
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20231218BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20231218BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20231218BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G01T1/20 L
G01T7/00 A
G01T1/20 E
H01L27/144 K
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2020153897
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】高須 勲
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】和田 淳
(72)【発明者】
【氏名】相賀 史彦
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕子
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145292(JP,A)
【文献】特開2017-116283(JP,A)
【文献】特開2015-004551(JP,A)
【文献】特開2013-072721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
H01L 27/144
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を含む基体であって、前記第1面は、第1部分領域及び第2部分領域を含む、前記基体と、
前記第1部分領域に固定された第1放射線検出素子と、
前記第2部分領域に固定された第1検出部を含む第2放射線検出素子と、
を備え、
前記第1検出部は、第1端部と第2端部とを含み、
前記第1端部から前記第2端部への第2方向は、前記第1面と交差し、
前記第2端部は、前記第2方向において前記第1端部と前記第2部分領域との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第1端部と重ならず、
前記
第1面は、第3部分領域をさらに含み、
前記第2放射線検出素子は、第2検出部をさらに含み、
前記第2検出部は、前記第3部分領域に固定され、
前記第2検出部は、第3端部と第4端部とを含み、
前記第3端部から前記第4端部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4端部は、前記第2方向において前記第3端部と前記第3部分領域との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第3端部と重なら
ず、
前記第2検出部は、前記第1検出部と不連続であり、
前記第1放射線検出素子は、前記第2方向において、前記第1端部を基準にして後退している、放射線検出器。
【請求項2】
前記第1部分領域は、前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にある、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
第1保持部材をさらに備え、
前記第1保持部材は第1固定部及び第2固定部を含み、
前記第1固定部は、前記第1検出部を保持し、
前記第2固定部は、前記基体に固定され
た、
請求項1
または2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第1検出部は、前記第1面に沿う方向を回転軸として回転可能である、請求項
3記載の放射線検出器。
【請求項5】
第1面を含む基体であって、前記第1面は、第1部分領域及び第2部分領域を含む、前記基体と、
前記第1部分領域に固定された第1放射線検出素子と、
前記第2部分領域に固定された第1検出部を含む第2放射線検出素子と、
第1保持部材と、
を備え、
前記第1検出部は、第1端部と第2端部とを含み、
前記第1端部から前記第2端部への第2方向は、前記第1面と交差し、
前記第2端部は、前記第2方向において前記第1端部と前記第2部分領域との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第1端部と重ならず、
前記第1保持部材は第1固定部及び第2固定部を含み、
前記第1固定部は、前記第1検出部を保持し、
前記第2固定部は、前記基体に固定され
、
前記第1検出部は、前記第1面に沿う方向を回転軸として回転可能である、放射線検出器。
【請求項6】
第1面を含む基体と、
前記第1面の一部に固定された第1放射線検出素子と、
前記第1面の別の一部に固定された第2放射線検出素子と、
を備え、
前記第2放射線検出素子は、互いに連続した第1検出部及び第2検出部を含み、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第1検出部と前記第2検出部との間にあり、
前記第1検出部は、第1端部と第2端部とを含み、
前記第1端部から前記第2端部への第2方向は、前記第1面と交差し、
前記第2端部は、前記第2方向において前記第1端部と前記第1面との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第1端部と重ならず、
前記第2検出部は、第3端部と第4端部とを含み、
前記第3端部から前記第4端部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4端部は、前記第2方向において前記第3端部と前記第1面との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1面に沿う方向において、前記第3端部と重ならず、
前記第1放射線検出素子は、前記第2方向において、前記第1端部を基準にして後退している、放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、放射線検出器により、放射能による汚染などが検出できる。より正確な検出が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、より正確な検出が可能な放射線検出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、放射線検出器は、基体と、第1放射線検出素子と、第2放射線検出素子と、を含む。前記基体は、第1面を含む。前記第1面は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第2部分領域への第1方向は、前記第1面に沿う。前記第1放射線検出素子は、前記第1部分領域に固定されることが可能である。前記第2放射線検出素子は、前記第2部分領域に固定されることが可能な第1検出部を含む、前記第1検出部は、第1端部と第2端部とを含む。前記第1端部から前記第2端部への第2方向は、前記第1面と交差する。前記第2端部は、前記第2方向において前記第1端部と前記第2部分領域との間にある。前記第1放射線検出素子は、前記第1方向において、前記第1端部と重ならない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
図1(a)は、
図1(b)のA1-A2線断面図である。
図1(b)は、平面図である。
図1(b)においては、図が見やすくなるように、放射線検出器に含まれる一部の要素が省略されている。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、実施形態に係る放射線検出器110は、基体50sと、第1放射線検出素子10と、第2放射線検出素子20と、を含む。
図1(a)に示すように、放射線検出器110は、筐体55を含んでも良い。例えば、筐体55の中に、基体50sの少なくとも一部が設けられても良い。
【0010】
基体50sは、第1面F1を含む。第1面F1は、例えば、下面である。第1面F1は、第1部分領域51及び第2部分領域52を含む。第1部分領域51から第2部分領域52への第1方向は、第1面F1に沿う。
【0011】
第1面F1に対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。第1面F1は、例えば、X-Y平面に沿う。第1方向は、例えば、X軸方向である。
【0012】
図1(a)に示すように、第1放射線検出素子10は、第1部分領域51に固定されることが可能である。この例では、第1放射線検出素子10は、第1部分領域51に固定されている。
【0013】
第2放射線検出素子20は、第1検出部21を含む。第1検出部21は、第2部分領域52に固定されることが可能である。この例では、第1検出部21は、第2部分領域52に固定されている。
【0014】
図1(a)に示すように、第1検出部21は、第1端部21aと第2端部21bとを含む。第1端部21aから第2端部21bへの第2方向は、第1面F1と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。第2端部21bは、第2方向(Z軸方向)において第1端部21aと第2部分領域52との間にある。
【0015】
実施形態においては、第1放射線検出素子10は、第1方向(X軸方向)において、第1端部21aと重ならない。
【0016】
例えば、第1放射線検出素子10は、第2方向(Z軸方向)において、第1端部21aを基準にして後退している。例えば、第1端部21aは、基体50sを基準にして、第1放射線検出素子10よりも突出している。第1放射線検出素子10の下に、空間SPがある。
【0017】
例えば、放射線検出器110は、対象物80からの放射線を検出する。放射線は、例えばβ線などを含む。例えば、第1端部21aを対象物80に接触させて、対象物80からの放射線を第1放射線検出素子10により検出できる。第1端部21aを対象物80に接触させることで、対象物80と第1放射線検出素子10との間の空間SPの高さが安定して固定される。第2放射線検出素子20は、例えば、距離を安定化させるスペーサとして機能できる。
【0018】
図1(a)及び
図1(b)に示す矢印ARのように、対象物80と放射線検出器110との相対的な位置を、第1面F1に平行な平面に沿って変更して、検出を行っても良い。
【0019】
対象物80に放射性物質が付着していると、第1端部21aを対象物80に接触させたときに放射性物質が第1端部21aに転写される場合がある。第1端部21aに放射性物質が転写されると、第1端部21aの放射性物質が、別の場所に転写される場合がある。転写などにより、放射性物質が拡散する。このような場合、対象物80の放射能を適切に検出することが困難になる。
【0020】
実施形態においては、第2放射線検出素子20が設けられる。第2放射線検出素子20により第1端部21aに付着した放射性物質を検出できる。例えば、第2放射線検出素子20で検出される放射線がしきい値を越えた場合に、第1端部21aを洗浄して、第1端部21aに付着した放射性物質を除去しても良い。または、第2放射線検出素子20で検出される放射線がしきい値を越えた場合に、第2放射線検出素子20を交換しても良い。
【0021】
実施形態によれば、例えば、放射性物質の拡散が抑制できる。実施形態によれば、より正確な検出が可能な放射線検出器を提供できる。
【0022】
実施形態において、第2放射線検出素子20は、基体50sと着脱可能でも良い。第2放射線検出素子20が汚染されたときに、第2放射線検出素子20を容易に交換できる。
【0023】
実施形態において、第1検出部21の高さは適切に設定される。例えば、
図1(a)に示すように、第1放射線検出素子10は、第2面F2と第3面F3とを含む。第3面F3は、第2面F2と第1部分領域51との間にある。第3面F3は、第1部分領域51に対向する。第2面F2は、第3面F3の反対側の面である。
【0024】
図1(a)に示すように、第2方向(Z軸方向)における第1端部21aの位置と、第2方向における第2面F2の位置と、の間の第2方向に沿う距離を距離d1とする。実施形態においては、距離d1は、2mm以上30mm以下である。このような距離において、例えば、対象物80からのβ線を比較的正確に検出できる。距離d1は、種々の規格などに応じて定めても良い。例えば、1つの例において、距離d1は、5mm(4.5mm以上5.5mm以下)である。
【0025】
実施形態において、第1検出部21のサイズが十分に大きい場合、第1検出部21が設けられるだけで、対象物80と第1放射線検出素子10との間の距離が安定する。第1検出部21以外に別の検出部が設けられることで、この距離は、より安定になる。
【0026】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、この例では、基体50sは、第3部分領域53をさらに含む。第2放射線検出素子20は、第2検出部22をさらに含む。第2検出部22は、第3部分領域53に固定されることが可能である。この例では、第2検出部22は、第3部分領域53に固定されている。第2検出部22は、第3端部22cと第4端部22dとを含む。第3端部22cから第4端部22dへの方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。第4端部22dは、第2方向(Z軸方向)において、第3端部22cと第3部分領域53との間にある。
【0027】
第1放射線検出素子10は、第1方向(X軸方向)において、第3端部22cと重ならない。第1端部21aと第3端部22cとが設けられることで、これらの端部が対象物80と接したときに、対象物80と第1放射線検出素子との間の距離がより安定になる。第2検出部22もスペーサとして機能できる。
【0028】
この例では、第1部分領域51は、第1方向(X軸方向)において、第2部分領域52と第3部分領域53との間にある。第1放射線検出素子10の第1方向における位置は、第1検出部21のX軸方向における位置と、第2検出部22のX軸方向における位置と、の間にある。
【0029】
図1(b)に示すように、この例では、第2検出部22は、第1検出部21と連続している。
図1(b)に示す例のように、第2放射線検出素子20は、第2方向(Z軸方向)を中心軸とする環状でも良い。
【0030】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的平面図である。
これらの図には、第1放射線検出素子10及び第2放射線検出素子20が描かれている。
【0031】
図2(a)に示すように、実施形態に係る放射線検出器110aにおいては、第2放射線検出素子20は、第1検出部21及び第2検出部22に加えて、第3検出部23及び第4検出部24を含む。第3検出部23から第4検出部24への方向は、第1検出部2
1から第2検出部22への方向と交差する。第1~第4検出部21~24は、互いに不連続でも良い。
【0032】
図2(b)に示すように、実施形態に係る放射線検出器110bにおいては、第2部分領域52は、第1方向(X軸方向)において、第3部分領域53と第1部分領域51との間にある。第1検出部21のX軸方向における位置は、第2検出部22のX軸方向における位置と、第1放射線検出素子10のX軸方向における位置と、の間にある。
【0033】
放射線検出器110a及び放射線検出器110bにおいても、対象物80と第1放射線検出素子との間の距離が安定する。
【0034】
以下、第1放射線検出素子10及び第2放射線検出素子20の例について説明する。
図3~
図5は、第1実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、第1放射線検出素子10は、例えば、第1電極11、第2電極12及び有機半導体部13を含む。第2電極12は、第1電極11と第1部分領域51との間に設けられる。有機半導体部13は、第1電極11と第2電極12との間に設けられる。第1電極11は、例えば光透過性でも良い。第1電極11は、例えば、金属(例えばSn、ZnまたはInなど)の酸化物を含んでも良い。第2電極12は、例えば、光反射性でも良い。
【0035】
この例では、第1放射線検出素子10は、シンチレータ部15をさらに含む。第1電極11は、シンチレータ部15と有機半導体部13との間にある。シンチレータ部15に入射した放射線(例えばβ線)がシンチレータ部15において、光(例えば、可視光)に変換される。光が有機半導体部13に入射し、有機半導体部13において、光が電気信号に変換する。電気信号を検出することで、放射線が検出できる。
【0036】
図4に示すように、第2放射線検出素子20の第1検出部21は、例えば、有機半導体層21Eを含む。この例では、有機半導体層21Eは、第1方向(X軸方向)に沿う。例えば、有機半導体層21Eは、X-Y平面に沿う。第1検出部21は、第1導電部材21A及び第2導電部材21Bを含む。第1導電部材21Aと第2部分領域52との間に第2導電部材21Bが設けられる。第1導電部材21Aと第2導電部材21Bとの間に有機半導体層21Eが設けられる。
【0037】
第1検出部21は、シンチレータ層21Pをさらに含んでも良い。有機半導体層21Eは、第2方向(Z軸方向)において、シンチレータ層21Pと第2部分領域52との間にある。例えば、第1導電部材21Aは、シンチレータ層21Pと有機半導体層21Eとの間にある。
【0038】
図5に示すように、第2放射線検出素子20の第2検出部22は、例えば、有機半導体層22Fを含む。この例では、有機半導体層22Fは、第1方向(X軸方向)に沿う。例えば、有機半導体層22Fは、X-Y平面に沿う。第2検出部22は、第3導電部材22C及び第4導電部材22Dを含む。第3導電部材22Cと第3部分領域53との間に第4導電部材22Dが設けられる。第3導電部材22Cと第4導電部材22Dとの間に有機半導体層22Fが設けられる。
【0039】
第2検出部22は、シンチレータ層22Qをさらに含んでも良い。有機半導体層22Fは、第2方向(Z軸方向)において、シンチレータ層22Qと第3部分領域53との間にある。例えば、第3導電部材22Cは、シンチレータ層22Qと有機半導体層22Fとの間にある。
【0040】
第3導電部材22Cは、第1導電部材21Aと連続しても良い。第4導電部材22Dは、第2導電部材21Bと連続しても良い。有機半導体層22Fは、有機半導体層21Eと連続しても良い。シンチレータ層22Qは、シンチレータ層21Pと連続しても良い。
【0041】
図6は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る放射線検出器111は、第1保持部材31をさらに含む。放射線検出器111における、基体50s、第1放射線検出素子10及び第2放射線検出素子20の構成は、放射線検出器110、110a及び110bなどと同様で良い。以下、第1保持部材31の例について説明する。
【0042】
第1保持部材31は、第1固定部31a及び第2固定部31bを含む。第1固定部31aは、第1検出部21を保持可能である。第2固定部31bは、基体50sに固定されることが可能である。第1保持部材31は、例えば、第1検出部21を固定する固定部材として機能する。第1保持部材31は、スペーサとして機能しても良い。
【0043】
図6に示すように、実施形態に係る放射線検出器111は、第2保持部材32をさらに含んでも良い。第2保持部材32は、第3固定部32c及び第4固定部32dを含む。第3固定部32cは、第2検出部22を保持可能である。第4固定部32dは、基体50sに固定されることが可能である。第2保持部材32は、例えば、第2検出部22を固定する固定部材として機能する。第2保持部材32は、スペーサとして機能しても良い。
【0044】
第1保持部材31及び第2保持部材32における固定は、例えば、凸部と凹部との組み合わせによる固定などを含んでも良い。第1保持部材31及び第2保持部材32における固定は、例えば、ねじなどによる固定を含んでも良い。
【0045】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る放射線検出器120は、基体50s、第1放射線検出素子10及び第2放射線検出素子20に加えて、第1保持部材31を含む。この例では、第2保持部材32がさらに設けられている。放射線検出器120における、基体50s、第1放射線検出素子10及び第2放射線検出素子20の構成は、放射線検出器110、110a及び110bなどと同様で良い。
【0046】
第1保持部材31は、第1固定部31a及び第2固定部31bを含む。第1固定部31aは、第1検出部21を保持する。第1検出部21は、例えば、回転可能である。第1検出部21は、第1面F1に沿う方向(この例ではY軸方向)を回転軸として回転可能である。
【0047】
第2保持部材32は、第3固定部32c及び第4固定部32dを含む。第3固定部32cは、第2検出部22を保持する。第2検出部22は、例えば、回転可能である。第2検出部22は、第1面F1に沿う方向(この例ではY軸方向)を回転軸として回転可能である。
【0048】
このような構成により、放射線検出器120は、対象物80の上を移動し易い。
【0049】
例えば、第1検出部21は、被固定部21fと、被固定部21fの周りの環状の外側部21rと、を含む。被固定部21fは、第1固定部31aに保持される。外側部21rは、被固定部21fの周りを回転可能である。
【0050】
放射線検出器120において、第2部分領域52は、第1方向(X軸方向)において、第3部分領域53と第1部分領域51との間にあっても良い。
【0051】
図8は、第2実施形態に係る放射線検出器の一部を例示する模式的断面図である。
図8は、第1検出部21を例示している。
図8に示すように、第1検出部21は、有機半導体層21Eを含む。有機半導体層21Eは、被固定部21fの周りに設けられる。例えば、被固定部21fの周りに第2導電部材21Bが設けられる。第2導電部材21Bの周りに有機半導体層21Eが設けられる。有機半導体層21Eの周りに、第1導電部材21Aが設けられる。
【0052】
この例では、第1検出部21は、シンチレータ層21Pを含む。シンチレータ層21Pは、有機半導体層21Eの周りに設けられる。この例では、第1導電部材21Aとシンチレータ層21Pとの間に、樹脂部材21Sが設けられている。樹脂部材21Sは、光透過性である。樹脂部材21Sは、光透過性のフィルムである。シンチレータ層21Pは、例えば樹脂を含んでも良い。シンチレータ層21Pは、例えば、プラスチックシンチレータである。
【0053】
実施形態に係る放射線検出器130(
図8参照)は、第1導電部材21Aと、第2導電部材21Bと、有機半導体層21Eと、を含む。第1導電部材21Aは、第2導電部材21Bの周りに設けられる。有機半導体層21Eは、第1導電部材21Aと第2導電部材21Bとの間に設けられる。放射線検出器130においては、種々の方向から放射線検出器130に入射する放射線を検出できる。
【0054】
放射線検出器130は、シンチレータ層21Pをさらに含んでも良い。シンチレータ層21Pは、第1導電部材21Aの周りに設けられる。より高い感度で放射線を検出できる。
【0055】
第1実施形態及び第2実施形態に係る放射線検出器において、有機半導体部または有機半導体層は、例えば、p形半導体材料及びn形半導体材料を含む。1つの例において、p形半導体材料は、例えば、P3HT(Poly(3-hexylthiophene))などを含んでも良い。1つの例において、n形半導体材料は、例えば、フラーレンを含んでも良い。フラーレンは、例えば、PC61BM([6,6]-phenyl C61 butyric acid methyl ester)を含む。
【0056】
実施形態において、光電変換部は、シリコンなどを含んでも良い。光電変換部が、有機半導体部または有機半導体層を含むことで、例えば、β線を検出する際に、γ線などの他の放射線の影響を抑制し易い。
【0057】
シンチレータ部15は、例えば、ポリビニルトルエン、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1つを含む材料を含む。シンチレータ部15に含まれる上記の材料の割合は、シンチレータ部15の50重量%を越える。シンチレータ部15は、例えば、プラスチックシンチレータである。
【0058】
シンチレータ層21P及びシンチレータ層22Qの少なくともいずれかは、例えば、ポリビニルトルエン、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1つを含む材料を含む。シンチレータ層21P及びシンチレータ層22Qの少なくともいずれかに含まれる上記の材料の割合は、これらの層の1つの50重量%を越える。シンチレータ層21P及びシンチレータ層22Qの少なくともいずれかは、例えばプラスチックシンチレータである。
【0059】
第1導電部材21A及び第3導電部材22Cの少なくともいずれかは、例えば、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン及びグラフェンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0060】
第2導電部材21B及び第4導電部材22Dの少なくともいずれかは、例えば、アルミニウム、銀及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0061】
第1電極11は、例えば、金属(例えばSn、ZnまたはInなど)の酸化物を含んでも良い。第1電極11は、例えば光透過性でも良い。
【0062】
第2電極12は、例えば、アルミニウム、銀及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2電極12は、例えば、光反射性でも良い。
【0063】
樹脂部材21Sは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー及びポリイミドよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、ポリイミドは、光透過性である。
【0064】
基体50sは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド及びガラスよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、ポリイミドは、光透過性である。
【0065】
実施形態において、対象物80は、床、天井、地面または壁などを含んで良い。
【0066】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1面を含む基体であって、前記第1面は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第2部分領域への第1方向は、前記第1面に沿う、前記基体と、
前記第1部分領域に固定されることが可能な第1放射線検出素子と、
前記第2部分領域に固定されることが可能な第1検出部を含む第2放射線検出素子と、
を備え、
前記第1検出部は、第1端部と第2端部とを含み、
前記第1端部から前記第2端部への第2方向は、前記第1面と交差し、
前記第2端部は、前記第2方向において前記第1端部と前記第2部分領域との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1方向において、前記第1端部と重ならない、放射線検出器。
【0067】
(構成2)
前記第1放射線検出素子は、前記第2方向において、前記第1端部を基準にして後退している、構成1記載の放射線検出器。
【0068】
(構成3)
前記基体は、第3部分領域をさらに含み、
前記第2放射線検出素子は、第2検出部をさらに含み、
前記第2検出部は、前記第3部分領域に固定されることが可能であり、
前記第2検出部は、第3端部と第4端部とを含み、
前記第3端部から前記第4端部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4端部は、前記第2方向において前記第3端部と前記第3部分領域との間にあり、
前記第1放射線検出素子は、前記第1方向において、前記第3端部と重ならない、構成1または2に記載の放射線検出器。
【0069】
(構成4)
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にある、構成3記載の放射線検出器。
【0070】
(構成5)
前記第2検出部は、前記第1検出部と連続している、構成4記載の放射線検出器。
【0071】
(構成6)
前記第2放射線検出素子は、前記第2方向を中心軸とする環状である、構成3~4のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0072】
(構成7)
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第1部分領域との間にある、構成3記載の放射線検出器。
【0073】
(構成8)
前記第2放射線検出素子は、前記基体と着脱可能である、構成1~7のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0074】
(構成9)
前記第1検出部は、有機半導体層を含み、
前記有機半導体層は、前記第1方向に沿う、構成1~8のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0075】
(構成10)
前記第1検出部は、シンチレータ層をさらに含み、
前記有機半導体層は、前記第2方向において、前記シンチレータ層と前記第2部分領域との間にある、構成9記載の放射線検出器。
【0076】
(構成11)
第1保持部材をさらに備え、
前記第1保持部材は第1固定部及び第2固定部を含み、
前記第1固定部は、前記第1検出部を保持可能であり、
前記第2固定部は、前記基体に固定されることが可能であり、
構成1~7のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0077】
(構成12)
前記第1固定部は、前記第1検出部を保持し、
前記第1検出部は、前記第1面に沿う方向を回転軸として回転可能である、構成11記載の放射線検出器。
【0078】
(構成13)
前記第1検出部は、被固定部と、前記被固定部の周りの環状の外側部と、を含み、
前記被固定部は、前記第1固定部に保持され、
前記外側部は、前記被固定部の周りを回転可能である、構成11または12に記載の放射線検出器。
【0079】
(構成14)
前記第1検出部は、有機半導体層を含み、
前記有機半導体層は、前記被固定部の周りに設けられた、構成13記載の放射線検出器。
【0080】
(構成15)
前記第1検出部は、シンチレータ層を含み、
前記シンチレータ層は、前記有機半導体層の周りに設けられた、構成14記載の放射線検出器。
【0081】
(構成16)
前記第1放射線検出素子は、
第1電極と、
前記第1電極と前記第1部分領域との間に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機半導体部と、
を含む、構成1~15のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0082】
(構成17)
前記第1放射線検出素子は、シンチレータ部をさらに含み、
前記第1電極は、前記シンチレータ部と前記有機半導体部との間にある、構成16記載の放射線検出器。
【0083】
(構成18)
前記第1放射線検出素子は、第2面と第3面とを含み、
前記第3面は、前記第2面と前記第1部分領域との間にあり、
前記第2方向における前記第1端部の位置と、前記第2方向における前記第2面の位置と、の間の前記第2方向に沿う距離は、2mm以上30mm以下である、構成1~17のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0084】
(構成19)
第1導電部材と、
第2導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2導電部材の周りに設けられた、前記第2導電部材と、
前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた有機半導体層と、
を備えた、放射線検出器。
【0085】
(構成20)
シンチレータ層をさらに備え、
前記シンチレータ層は、前記第1導電部材の周りに設けられた、構成19記載の放射線検出器。
【0086】
実施形態によれば、より正確な検出が可能な放射線検出器が提供できる。
【0087】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0088】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、放射線検出器に含まれる導電部材、電極、有機半導体材料及びシンチレータなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0089】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0090】
本発明の実施の形態として上述した放射線検出器を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての放射線検出器も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0091】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10…第1放射線検出素子、 11、12…第1、第2電極、 13…有機半導体部、 15…シンチレータ部、 20…第2放射線検出素子、 21…第1検出部、 21A、21B…第1、第2導電部材、 21E…有機半導体層、 21P…シンチレータ層、 21S…樹脂部材、 21a、21b…第1、第2端部、 21f…被固定部、 21r…外側部、 22…第2検出部、 22C、22D…第3、第4導電部材、 22F…有機半導体層、 22Q…シンチレータ層、 22c、22d…第3、第4端部、 23、24…第3、第4検出部、 31、32…第1、第2保持部材、 31a、31b…第1、第2固定部、 32c、32d…第3、第4固定部、 50s…基体、 51~53…第1~第3部分領域、 55…筐体、 80…対象物、 110、110a、110b、111、120、130…放射線検出器、 AR…矢印、 F1~F3…第1~第3面、 SP…空間、 d1…距離