IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストライカー・ユーロピアン・ホールディングス・I,リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

特許7404248細長部材を医療器具に固定するための機器及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】細長部材を医療器具に固定するための機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20231218BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20231218BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61B17/16
A61B17/32
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020542087
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019016510
(87)【国際公開番号】W WO2019152924
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】62/626,440
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514318275
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・ホールディングス・I,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】カッシェン,パトリック・オーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ウィットフォード,アラン・ピーター
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-104144(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022277(US,A1)
【文献】特開2013-013740(JP,A)
【文献】特開昭50-152582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0234297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0255272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61B 17/16
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置であって、
ライナーと、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、
接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置され、
前記ライナーは、前記接着剤に取外し可能に連結され、
前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されており、
前記基部は、前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口を包囲する凹部を更に備えている、
取付装置。
【請求項2】
前記取付装置は、前記取付装置を前記医療器具に取り付ける方法を表す標識を更に備える、請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記ライナーは、第1のライナー部分及び第2のライナー部分を更に備え、
前記第1のライナー部分は、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に少なくとも部分的に配置され、
前記第2のライナー部分は、前記第1のライナー部分から分離可能であり、
前記第1のライナー部分は、前記第2のライナー部分が取り外された時に前記接着剤に連結された状態で残るように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記基部は、略楕円形状を有する、請求項1-3のいずれか1つに記載の取付装置。
【請求項5】
前記接着剤は、医療等級接着剤から構成されている、請求項1-4のいずれか1つに記載の取付装置。
【請求項6】
前記ライナーは、第1のライナー開口及び第2のライナー開口を更に備え、
前記第1のライナー開口は、前記第1の基部開口と真っすぐに並び、
前記第2のライナー開口は、前記第2の基部開口と真っすぐに並んでいる、
請求項1-5のいずれか1つに記載の取付装置。
【請求項7】
前記第1の基部開口は、第1の直径によって画定され、前記第1のライナー開口は、第2の直径によって画定され、
前記第2の直径は、前記第1の直径よりも大きい、
請求項6に記載の取付装置。
【請求項8】
前記ライナーは、前記取付装置が前記医療器具に取り付けられる時、前記細長部材が前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口によって画定された軸に沿って軸方向に移動することを可能にするように、構成されている、請求項1-7のいずれか1つに記載の取付装置。
【請求項9】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置アセンブリであって、
取付装置であって
ライナーと、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、
前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置された接着剤と、
を備え、
前記ライナーは、前記接着剤に取外し可能に連結され、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されており、前記基部は、前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口を包囲する凹部を更に備えている、
取付装置と、
前記取付装置に取外し可能に連結されたインジケータタブであって、前記取付装置を前記医療器具に取り付ける方法を表す標識を備える、インジケータタブと、
を備える、取付装置アセンブリ。
【請求項10】
前記ライナーは、第1のライナー部分及び第2のライナー部分を更に備え、
前記第1のライナー部分は、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に少なくとも部分的に配置され、
前記第1のライナー部分は、前記第2のライナー部分が取り外された時に前記接着剤に連結された状態で残るように構成されている、
請求項9に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項11】
前記第2のライナー部分は、前記インジケータタブと一体に形成されている、請求項10に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項12】
灌注を容易にするために医療器具と共に用いられる取付装置アセンブリであって、
取付装置であって、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部であって、前記基部は、前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口を包囲する凹部を更に備えている、基部と、
前記基部に配置された接着剤と、
を備える、取付装置と、
前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口内に縫い込まれる細長部材と、
ライナーであって、前記接着剤が前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置されるように、前記接着剤に取外し可能に連結されている、ライナーと、
を備え、
前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されている、
取付装置アセンブリ。
【請求項13】
前記ライナーは、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置する、請求項12に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項14】
前記細長部材は、第1の端及び反対側の第2の端を更に備え、
前記第1の端は、前記細長部材を前記医療器具に連結するように構成された第1のカプラーを備え、
前記第2の端は、前記細長部材を流体源に連結するように構成された第2のカプラーを備える、
請求項12または請求項13に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項15】
前記ライナーは、前記基部が前記接着剤によって前記医療器具に連結される時に前記細長部材と真っすぐに並ぶように構成されている、請求項12に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項16】
前記ライナーの近くで前記接着剤の区域に取外し可能に連結されたインジケータタブを更に備え、前記インジケータタブは、前記取付装置を前記医療器具に取付ける方法を表す標識を備える、請求項15に記載の取付装置アセンブリ。
【請求項17】
組織を切除するように構成された医療器具であって、ユーザーによって保持されるように構成された本体を有する、医療器具と、
細長部材と、
前記細長部材を前記医療器具に取外し可能に連結するように構成された取付装置であって、
ライナーと、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、
前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置された接着剤と、
を備え、
前記ライナーは、前記接着剤に取外し可能に連結され、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されている、
取付装置と、
を備える灌注システムであって、
前記細長部材は、前記細長部材の一部が前記医療器具の前記本体に隣接するように、前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口内に縫い込まれている、灌注システム。
【請求項18】
前記取付装置は、前記ライナーの近くで前記接着剤の区域に取外し可能に連結されたインジケータタブを更に備え、前記インジケータタブは、前記取付装置を前記医療器具に取付ける方法を表す標識を備えるように構成されている、請求項17に記載の灌注システム。
【請求項19】
細長部材を医療器具に連結する方法であって、
取付装置を準備するステップであって、前記取付装置は、
ライナーと、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、
接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置され、
前記ライナーは、前記接着剤に取外し可能に連結され、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されている、
ステップと、
前記細長部材を引っ張ることによってインジケータタブを前記接着剤から分離させるステップであって、前記インジケータタブは、前記取付装置を前記医療器具に連結する方法を表す標識を備えるように構成されている、ステップと、
細長部材が軸方向において前記ライナーと真っすぐに並ぶように、前記細長部材を前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口内に縫い込むステップと、
前記取付装置を前記医療器具に接着させるステップであって、前記細長部材が前記取付装置と前記医療器具との間に少なくとも部分的に配置されるように、前記接着剤の露出部分が前記取付装置を前記医療器具に取外し可能に連結する、ステップと、
含む方法。
【請求項20】
前記取付装置が前記医療器具に連結される時に前記細長部材がぴんと張るように、前記細長部材を前記ライナーに沿って軸方向に摺動させるステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ライナーの第2の部分を前記接着剤から取り外すステップであって、前記ライナーの前記第2の部分の除去によって、前記取付装置を前記医療器具に取外し可能に連結するように構成された前記接着剤の前記露出部分を露出させるステップを更に含む、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記取付装置を前記医療器具に押し付けた後に前記細長部材を引っ張ることによって、前記取付装置を前記医療器具から分離させるステップを更に含む、請求項19-21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置であって、
ライナーと、
第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、
接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、前記基部と前記ライナーとの間に少なくとも部分的に配置され、
前記ライナーは、前記接着剤に取外し可能に連結され、前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に位置する前記接着剤は、前記ライナーによって被覆されており、
前記ライナーは、第1のライナー開口及び第2のライナー開口を更に備え、
前記第1のライナー開口は、前記第1の基部開口と真っすぐに並び、
前記第2のライナー開口は、前記第2の基部開口と真っすぐに並んでおり、
前記第1の基部開口は、第1の直径によって画定され、前記第1のライナー開口は、第2の直径によって画定され、
前記第2の直径は、前記第1の直径よりも大きい、
取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2018年2月5日に出願された米国出願第62/626,440号の優先権及び利得を主張するものであり、その開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来の医療処置では、医療専門家が局所的な外科部位に接近し、その部位を観察、処理又は治療するを助長するために、外科工具及び/又は医療器具が常時用いられる。医療器具の用途によっては、例えば、高速ドリル、回転バー、開窓シェーバ、等を用いる用途では、外科部位に熱及び/又は破片が必ず蓄積する。ここで、外科システムは、医療器具と組み合わせて灌注システムを用いる。灌注システムは、典型的には、流体源と柔軟な導管又はチューブを備えている。柔軟な導管又はチューブは、医療器具に連結され、流体源から流体を供給するように構成されている。従って、細長部材又はチューブを医療器具に連結するための取付装置であって、従来の灌注チューブ連結機構の種々の欠点を解消するように構成された取付装置が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、概して、柔軟な導管又はチューブのような細長部材を医療器具に取外し可能に固定する機器及び方法に関する。機器は、灌注を促進するために管腔を備える細長部材を医療器具に固定するように構成された取付装置を備えている。
【0004】
機器の1つの例示的な構成として、基部とライナーとの間に少なくとも部分的に配置された接着剤を備える取付装置が提供される。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を備え、ライナーは、接着剤に隣接して前記第1及び第2の基部開口間に少なくとも部分的に配置されている。取付装置は、柔軟な導管又はチューブのような細長部材を基部開口内に縫込み、接着剤の露出部分を医療器具に接着させることによって、細長部材を医療器具に取外し可能に固定するように構成されている。
【0005】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置の他の例示的な構成では、取付装置は、ライナー、基部、及び接着剤を備えている。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を更に備えている。接着剤は、基部とライナーとの間に少なくとも部分的に配置されている。ライナーは、接着剤に隣接して第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置するように、配置されている。
【0006】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置の更に他の例示的な形態では、取付装置は、第1のライナー、第2のライナー、基部、及び接着剤を備えている。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を備えている。接着剤は、基部、第1のライナー、及び第2のライナー間に少なくとも部分的に配置されている。第1のライナーは、第1の基部開口に隣接して配置され、第2のライナーは、第2の基部開口に隣接して配置されている。第1のライナー及び第2のライナーは、第1の基部開口及び第2の基部開口によって画定された長軸と軸方向において真っすぐに並んでいる。
【0007】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置の更に他の例示的な構成では、取付装置は、上面、底面、第1の基部開口、及び第2の基部開口を有する基部を備えている。取付装置は、基部の底面に第1の基部開口と前記基部開口との間に位置しないように少なくとも部分的に配置される接着剤を更に備えている。
【0008】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置の更に他の例示的な構成では、取付装置は、ライナー、基部、及び接着剤を備えている。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を備えている。ライナーは、第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置するように、基部上の接着剤上に配置されている。
【0009】
細長部材を医療器具に固定するための取付装置アセンブリの例示的構成は、取付装置を備えている。取付装置は、ライナー、基部、及び接着剤を備えている。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を備えている。接着剤は、基部とライナーとの間に少なくとも部分的に配置されている。ライナーは、第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置し、接着剤に隣接している。取付装置アセンブリは、取付装置に取外し可能に連結されたインジケータタブであって、取付装置を医療器具に取り付ける方法を表す標識を備える、インジケータタブを更に備えている。
【0010】
灌注を容易にするために医療器具と共に用いられる取付装置の他の例示的な構成では、取付装置アセンブリは、取付装置を備えている。取付装置は、第1の基部開口及び第2の基部開口を有する基部を備えている。取付装置は、基部上に配置された接着剤を備えている。取付装置アセンブリは、第1の基部開口及び第2の基部開口内に縫い込まれる細長部材を更に備えている。
【0011】
例示的な灌注システムは、組織を切断するように構成された医療器具であって、ユーザーによって保持されるように構成された本体を有する、医療器具を備えている。灌注システムは、細長部材と、細長部材を医療器具に取外し可能に連結するように構成された取付装置とを更に備えている。取付装置は、ライナー、基部、及び接着剤を備えている。基部は、第1の基部開口及び第2の基部開口を備えている。接着剤は、基部とライナーとの間に少なくとも部分的に配置されている。ライナーは、第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置し、接着剤に隣接している。細長部材は、細長部材の一部が医療器具の本体に隣接するように、第1の基部開口及び第2の基部開口内に縫い込まれている。
【0012】
細長部材を医療器具に連結する方法は、取付装置を準備するステップを含んでいるとよい。取付装置は、ライナーと、第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、接着剤を備えている。接着剤は、基部とライナーとの間に少なくとも部分的に配置され、ライナーは、第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置し、接着剤に隣接している。この方法は、細長部材がライナーと軸方向において真っすぐに並ぶように、細長部材を第1の基部開口及び第2の基部開口に縫い込むステップを更に含んでいるとよい。この方法は、取付装置を医療器具に接着させるステップであって、細長部材が取付装置と医療器具との間に少なくとも部分的に配置されるように、接着剤の露出部分が取付装置を医療器具に取外し可能に連結する、ステップも含んでいるとよい。
【0013】
細長部材を医療器具に取外し可能に連結するための取付装置を製造する方法は、上面及び反対側の底面を有する基部材料を準備するステップを含んでいるとよい。この方法は、接着剤を基部材料の底面に塗布するステップを更に含んでいるとよい。この方法は、ライナーが第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に配置されるように、ライナーを接着剤に取外し可能に連結し、基部材料、接着剤、及びライナーに第1の基部開口及び第2の基部開口を切込むステップも含んでいるとよい。
【0014】
本開示のこれらの及び他の実施形態、特徴、及び利点は、当業者にとって明らかであろう。本開示は、これらの実施形態、特徴、及び利点に制限されるものではなく、又はこれらの実施形態、特徴、及び利点によって制限されるものでもない。
【0015】
図面を参照すると、例示的な実例が詳細に示されている。図面は、概略的な実施形態を表しているが、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態の斬新な態様を良好に図示且つ説明するために、一部の特徴が誇張されることがある。更に、本明細書に記載される例示的な実例は、排他的であることを意図しておらず、又は図面に示され且つ以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成を制限するものではなく又はこれらに限定するものでもない。
【0016】
本開示の利点は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参照することによってよく理解されたなら、速やかに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】細長部材を医療器具に固定するための取付装置の上面図である。
図2図1の取付装置の斜視図である。
図3】取付装置の種々の要素の例示的な構成を示す、図1の取付装置の断面図である。
図4A】ライナーの第1の実施形態を示す、図1の取付装置の底面図である。
図4B】ライナーの第1の実施形態を備える図4Aの取付装置の回転断面図である。
図5A】ライナーの第2の実施形態を示す、図1の取付け装置の底面図である。
図5B】ライナーの第2の実施形態を備える図5Aの取付装置の回転断面図である。
図6A】ライナーの第3の実施形態を示す、図1の取付装置の底面図である。
図6B】ライナーの第3の実施形態を備える図6Aの取付装置の回転断面図である。
図7】インジケータタブ及び図1の取付装置を備える取付装置アセンブリの上面図である。
図8図7の取付装置アセンブリの部分的分解図である。
図9】取付装置を用いて細長部材を医療器具に固定する方法を表す標識の実例を含むインジケータタブの上面図である。
図10】細長部材及び灌注スリーブを備える部分的に分解され、部分的に組立られた取付装置アセンブリの斜視図である。
図11】細長部材及び灌注スリーブを備える図10の組み立てられた取付装置アセンブリの上面図及び底面図である。
図12A図1の取付装置を用いて細長部材を医療器具に固定する方法の斜視図である。
図12B図1の取付装置を用いて細長部材を医療器具に固定する図12Aの方法の斜視図である。
図12C図1の取付装置を用いて細長部材を医療器具に固定する図12Aの方法の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
医療専門家は、切開の大きさ及び侵襲性医療処置の後に必要とされる回復時間を低減させるために努力し、種々の医療処置に用いられる医療器具が小さくなってきている。種々の医療処置に用いられる医療器具の例として、高速ドリル、回転バー、開窓シェーバ、等のような切断アクセサリが挙げられる。例示的な医療器具が、1999年8月24日に認可された米国特許第5,941,891号に開示されている。この文献の開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。これらの切断アクセサリの多くは、外科部位において熱を低下させ及び/又は破片を除去するために、灌注又は吸引の使用を必要とする。同様に、灌注は、切断アクセサリを潤滑するために用いられることがある。概して、細長部材、例えば、管腔を備える細長部材は、灌注源から外科部位及び/又は切断アクセサリに向かって流体を導くために用いられる。細長部材は、滅菌プロセスの一部として廃棄されるので、医療器具に一時的にのみ取付けられる。灌注をもたらすための細長部材のような追加的な要素の導入によって、医療器具の大きさ、輪郭、及び/又は全体的な嵩張りが増大する。灌注システムから切断アクセサリに延在する緩んだ細長部材は、医療処置中の医療器具の操作中に医療専門家の視野を妨げ及び/又は医療専門家を惑わせることがある。医療器具に対する細長部材の位置決めは、同様に医療器具の使い勝手に影響を及ぼし、医療器具を扱う医療専門家の能力を抑制することがある。従って、医療専門家は、細長部材を医療器具に固定するための取付装置及び/又は取付装置アセンブリ、例えば、図1,2に示される取付装置を利用するとよい。
【0019】
図1,2,3を参照すると、取付装置10の1つの例示的な構成が示されている。具体的には、取付装置10は、基部12、接着剤14、及びライナー16を備え、医療器具48に取付けられるように構成されている。取付装置10は、積層体として構成され、基部12、接着剤14、及びライナー16は、各々、図3に示されるように取付装置10の種々の層を構成し、互いに直接隣接して配置されている。例えば、図2,3を参照すると、取付装置10は、上下方向に互いに重ねられた基部12、接着剤14、及びライナー16を備えている。代替的に、基部12、接着剤14、及びライナー16は、個々の要素として構成されてもよく、これらの個々の要素は、基部12及びライナー16を相互接続するように接着剤14を用いて組み立てられるとよい。
【0020】
基部12は、柔軟性及び耐引裂き性を有する材料から構成されている。例えば、基部は、プラスチック又は複合材料から構成されているとよい。同様に、基部12は、医療現場、例えば、病院又は手術室において利用される時、耐劣化性又は耐浸食性を有しているとよい。例えば、基部12は、以下に述べるような相補的な形状の1つ又は複数の開口(18a,18B)を画定する種々の形状、例えば、図1,2,3に示されるような略楕円形状に切り取られているとよい。略楕円形状は、取付装置10を略凸状面を有する医療器具に連結する時 仮にその輪郭が制限されていても、必要な構造的特性をもたらすことができる。図示されないが、基部12は、用途に応じて種々の形状及び/又は形態に切り取られてもよい。例えば、基部12は、正方形、矩形、又は同様の多角形状に切り取られてもよい。これは、取付装置10を略平坦面に連結する時に代替的な構造的特性及び/又は利点をもたらす。しかし、前述の例は、制限することを意図するものではなく、例えば、多角形状の基部が凸面に連結されもよく、略円形状の基部12が平坦面に連結されてもよい。
【0021】
基部12は、テキスト及び/又は図形が基部12の一部に印刷されるように、少なくとも部分的に半透明で印刷可能となるように処理されているとよい。例えば、基部12は、印刷された識別マーク又は識別図形並びに取付装置10を用いるための指示を表す標識を備えていてもよい。また、基部12は、書込み可能になっていてもよい。すなわち、基部12は、書込面を備え、医療専門家が典型的な筆記具、例えば、ペン、マーカー、又は鉛筆を用いて、使用日又は設置日を基部12上に書き込むことができるようになっていてもよい。
【0022】
接着剤14は、概して、接着剤14の一部が基部12とライナー16との間に位置するように、基部12の少なくとも1つの面に配置されている。例えば、接着剤14は、基部12の少なくとも1つの面、例えば、底面の全領域上に塗布されるか又は全領域を被覆するとよく、ライナー16は、基部12に配置された接着剤の一部を露出させながら接着剤14の画定された領域を被覆するように構成されているとよい。(ライナー16によって被覆されない)接着剤14の露出部分は、取付装置10を(以下に詳細に述べる)医療器具48に取外し可能に連結するように構成されている。換言すれば、ライナーは、取付装置が医療器具48に固定された後、取付装置10に残ることになる。
【0023】
接着剤14は、基部12をライナー16及び/又は医療器具48に付着させるように構成された化合物、例えば、ペースト、シリコーン、膠、ゴムセメント、又は同様の接着物質から構成されている。同様に、接着剤14は、基部12及びライナー16の両方への付着を可能にする接着テープ、例えば、接着剤が両面に施された両面テープとして構成されてもよい。例えば、接着剤14は、3MTMによって製造される医療等級接着剤、例えば、3MTM9865ポリエチレン片面医学テープであってもよい。接着剤14は、湿った及び/又は汚れた環境での使用に適し、ヒトの皮膚への取付に対して安全であるように、構成されている。
【0024】
ライナー16は、基部12の反対側において接着剤14に隣接、例えば、直接隣接して接着剤に連結されるように構成されている。ライナー16は、接着剤14の一部又は画定された領域を覆うように、接着剤14上に配置されていてもよい。ライナー16は、取付装置10の接着剤14に取外し可能に連結されていてもよい。ライナー16は、接着剤14からの容易な取外しを可能にする化合物によって処理された材料から構成されていてもよい。例えば、ライナー16に対してワックス又はTeflonTM皮膜が施されているとよい。ライナー16は、ステッカーの裏当てと同様のものであるとよく、具体的には、接着剤14に連結された状態を維持しながら、接着剤14から容易に取外し可能又は分離可能であるとよい。しかし、取付装置が医療器具に固定される時、ライナー16の少なくとも一部が取付装置上に残っているとよい。
【0025】
図1,2,3に示されるように、取付装置10は、基部12に形成された第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを備えている。図面は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを備える取付装置10の構成を示しているが、取付装置10は、単一の基部開口又は3つ以上の基部開口を有するように構成されていてもよいことを理解されたい。なお、以下に詳細に説明するように、基部開口18A,18Bの位置、形状、及び/又は数に依存して、接着剤14及び/又はライナー16の位置及び構成、例えば、それらの開口の位置及び構成が変更されてもよい。
【0026】
また、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bは、図1に示されるように、長軸Lを画定するように構成されている。例えば、長軸Lは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを二等分している。以下に述べる取付装置10の構成の1つ又は複数において、ライナー16は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bによって画定された長軸Lと実質的に真っすぐに並ぶように構成されている。1つの態様では、「真っすぐに並ぶ(aligned)」という用語は、ライナー16の長軸が長軸Lと平行であることを意味している。更に一般的には、いくつかの態様では、ライナー16の少なくとも一部は、第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に位置するように接着剤14上に配置されている。換言すれば、いくつかの態様では、ライナー16は、長軸L及び/又は第1及び第2の基部開口18A,18Bに対して他の形態で配置されてもよいことになる。
【0027】
取付装置10は、接着剤14に形成された接着剤開口19A,19Bも備えている。接着剤開口19A,19Bは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bと真っすぐに並ぶように、例えば、同軸になるように構成されている。ライナー16がライナー開口21A,21Bを備えてもよいことも更に考慮されている。ライナー開口21A,21Bは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18B及び/又は接着剤開口19A,19Bと真っすぐに並んでいるとよく、例えば、同軸になっているとよい。従って、1つの態様では、基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、及びライナー開口21A,21Bは、それぞれの開口の中心が真っすぐに並ぶように、連携して配置されているとよい。しかし、他の態様では、基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、及びライナー開口21A,21Bは、細長部材が貫通することができるように部分的に真っすぐに並んでいてもよい。基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、又はライナー開口21A,21Bの形状及び/又は大きさは、同じであってもよいし、又は異なっていてもよい。例えば、図1-3に示されるように、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさは、基部開口18A,18Bを貫通する対象物への接着剤14の転移を防ぐために、ライナー開口21A,21Bよりも大きくなるように設定されていてもよい。
【0028】
代替的に、取付装置10の他の構成では、基部12は、基部開口18A,18Bを包囲する基部12の対向面間に凹部20、斜面、面取り、フィレット、又は同様の移行部を更に備えていてもよい。開口18A,18Bを包囲する凹部20は、開口18A,18Bの周囲における基部12への応力又は歪を低減するように構成されているとよい。
【0029】
図4A,4Bを参照すると、第1のライナー16Aの例示的な構成が示されている。第1のライナー16Aの例示的な構成では、ライナー16Aは、ライナー16Aの少なくとも一部が基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置するように、接着剤14に取外し可能に連結されるように構成されている。また、ライナー16Aは、基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置する接着剤12の領域を超えて延在するように構成されている。例えば、ライナー16Aは、図4A,4Bに示されるように、基部12の第1及び第2の基部開口18A,18Bを包囲する接着剤14の一部を覆うように構成されているとよい。従って、接着剤14は、基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に露出しないことになる。このライナー16Aの構成では、ライナー16Aは、ライナー開口21A,21Bを備えている。
【0030】
図4Bに示される断面図は、基部開口18A,18B及び接着剤開口19A,19Bの各々が略等しい直径を備える取付装置10を示している。ライナー開口21A,21Bは、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bのそれぞれの大きさに対して小さくなるように構成されている。これは、基部開口18A,18Bを通る対象物への接着剤の転移を防ぐためである。図示されないが、取付装置10のライナー開口21A,21Bの大きさは、基部開口18A,18B及び/又は接着剤19A,19Bの大きさと同じであってもよい。例えば、基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、及び/又はライナー開口21A,21Bは、等しい大きさ、例えば、取付装置10を貫通する等しい直径を有するように構成されていてもよい。また、第1の基部開口18A、第1のライナー開口19A、及び第1の接着剤開口21Aが、それぞれ、第2の基部開口18B、第2のライナー開口19B、及び第2の接着剤開口21Bと異なる大きさ及び/又は形状を有していてもよいことも考慮されている。
【0031】
基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、及びライナー開口21A,21Bは、基部12、接着剤14、及び/又はライナー16が上下方向に互いに重ねられた時に概して真っすぐに並ぶように、例えば、同軸になるように配置されているとよく、これによって、基部開口18A,18B、接着剤開口19A,19B、及びライナー開口21A,21Bは、取付装置10を貫通する連続的な開口を形成する。代替的に、各開口の大きさ、形状、及び/又は位置が互いに異なっていてもよいことも考慮されている。例えば、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの中心は、ライナー開口21A,21Bの中心からずれていてもよい。更に他の構成では、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの形状は、ライナー開口21A,21Bの形状と異なっていてもよい。例えば、ライナー開口21A,21Bは、円として構成され、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bは、楕円として構成されてもよい。この構成は、細長部材36への接着剤14の転移を防ぐのを助長する。
【0032】
他の構成では、接着剤14の一部が基部開口18A,18Bを包囲する基部12の領域から除去され、これによって、接着剤開口19A,19Bの大きさ、例えば、直径を増大させてもよい。換言すれば、この場合、基部開口18A,18Bを包囲する基部12の一部は、接着剤14と直接接触しない。ライナー開口21A,21Bに対する基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさ、形状、及び/又は位置を増大させる利点は、細長部材36が取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる時に細長部材36上への接着剤14の滲出又は転移を防ぐことにある。
【0033】
図5A,5Bを参照すると、第2のライナー16Bの例示的な構成が示されている。第2のライナー16Bの例示的な構成では、ライナー16Bは、ライナー16Bの少なくとも一部が基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置する接着剤14に連結されるように構成されている。第2のライナー16Bの構成では、接着剤14に連結されたライナー16Bの一部は、第1及び第2の基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bを包囲しない。図5A,5Bに示されるライナー16Bは、基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置する接着剤の部分に連結される帯片状、ベルト状、ストラップ状、バンド状、又はリボン状の材料として構成されている。
【0034】
ライナー16Bの長さ及び幅は、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさ並びに細長部材36の寸法に基づいて設定されている。また、ライナー16Bの長さ及び幅は、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19B間の距離に基づいて設定されている。必ずしも必要ではないが、ライナー16Bの幅は、典型的には、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさよりも少なくとも大きいとよい。例えば、ライナー16Bの幅は、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの直径と同じか又は大きいとよい。ライナー16Bの長さも、接着剤開口19A,19Bの大きさに依存している。例えば、基部12の基部開口18A,18B間の領域を覆う接着剤14の一部が露出するのを防ぐために、ライナー16Bの縁は、基部12の基部開口18A,18B間に位置する接着剤14の少なくとも一部を覆うように構成されているとよい。図5A,5Bに示されるように、ライナー16Bの長さは、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bのそれぞれの縁間の距離よりも長いとよい。このようなライナー16Bは、基部開口18A,18B及び/又は接着剤19A,19Bの一部に延び、該部分を覆うことになる。代替的に、もし接着剤14が基部開口18A,18Bと同一平面を成しているなら、ライナー16Bは、同様に、基部開口18A,18Bの縁間に延在するように構成されるとよく、これによって、ライナー16Bは、基部開口18A,18Bの縁と同一の面を成す。しかし、もし基部開口18A,18Bを包囲する接着剤14の一部が除去されたなら、ライナー16Bの長さが短縮されるので、ライナー16Bは、基部12の接着剤14に接触する基部開口18A,18B間の領域しか覆わないことになる。
【0035】
図6A,6Bを参照すると、第3のライナー16Cの例示的な構成が示されている。図4A-5Bに示されるライナー16A,16Bの構成と同じように、この例示的な構成の第3のライナー16Cは、接着剤14に連結され、基部開口18A,18Bに隣接して配置されている。ライナー16Cは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口16Bを二等分する長軸Lと実質的に平行に又は長軸Lに沿って延在するように、接着剤14の一部に連結されている。ライナー16Cは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bによって画定された長軸Lと実質的に真っすぐに並ぶように構成されているとよい。「真っすぐに並ぶ(aligned)」という用語は、ライナー16の長軸が長軸Lと平行であることを意味している。図6A,6Bに示されるように、ライナー16Cは、第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置する接着剤14の部分上に配置される必要がない。図6A,6Bに示される例示的構成では、ライナー16Cは、多数片から構成されている。これらの多数片は、それぞれ、基部開口18A,18Bに隣接して配置されている。ライナー16Cのこれらの多数片は、取付装置10の中心に対して基部開口18A,18Bから位置ずれしている。代替的に、ライナー16Cは、(基部12の第1及び第2の基部開口18A,18B間に位置せず)第1及び第2の基部開口18A,18Bに隣接して位置する接着剤14の部分上に配置されてもよい。
【0036】
ライナー16Cの大きさ及び/又は位置は、少なくとも部分的に基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさ及び/又は位置並びに細長部材36の寸法に基づいている。ライナー16Cの長さ及び幅も、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19B間の距離及び/又は取付装置10の外縁に基づき設定されている。必ずしも必要ではないが、ライナー16Cの幅は、典型的には、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの大きさよりも少なくとも大きいとよい。例えば、ライナー16Cの幅は、基部開口18A,18B及び接着剤開口19A,19Bの直径と同じかまた又は大きいとよい。また、ライナー16Cの長さも、接着剤開口19A,19Bの大きさに依存している。例えば、基部12の基部開口18A,18B間の領域及び取付装置10の外縁を覆う接着剤の部分が露出するのを防ぐために、ライナー16Cの外縁は、基部12の基部開口18A,18B間の領域及び取付装置10の外縁に位置する接着剤14の部分を少なくとも覆うように構成されているとよい。図6A,6Bに示されるように、ライナー16Cの長さは、基部開口18A,18Bの縁間の距離及び取付装置10の外縁よりも長いとよい。このようなライナー16Cは、基部開口18A,18B及び/又は接着剤開口19A,19Bの一部に延び、該部分を覆うことになる。代替的に、もし接着剤14が基部開口18A,18Bと同一面を成しているなら、ライナー16Cは、同様に、基部開口18A,18Bの縁間に延在するように構成されるとよく、これによって、ライナー16Cは、基部開口18A,18Bの縁と同一の面を成す。しかし、もし基部開口18A,18Bを包囲する接着剤の一部が除去されたなら、ライナー16Cの長さが短縮されるので、ライナー16Cは、基部12の基部開口18A,18B間の領域及び接着剤14に接触しない取付装置10の外縁しか覆わないことになる。
【0037】
ライナー16の種々の構成について説明してきたが、取付装置10は、ライナーを備えないように構成されてもよいことを理解されたい。ライナーを備えない取付装置10の実施形態では、ライナーが取付装置10から取り外された部分と同一の位置及び/又は形状の部分を除いて接着剤が全体的に配置されるとよい。例えば、取付装置10は、上面及び下面を有する基部12を備えるように構成されているとよい。また、前述したように、取付装置10は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを同様に備えているとよい。接着剤14は、基部12の第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間の領域が接着剤を有しないように、基部12の底面に少なくとも部分的に配置されるとよい。取付装置10は、基部12の接着剤のない領域が前述の接着剤がライナーによって覆われる領域に対応するように、構成されているとよい。
【0038】
図7,8を参照すると、取付装置アセンブリ30の例示的な構成が示されている。取付装置アセンブリ30は、前述の取付装置10とインジケータタブ32とを備えている。インジケータタブ32は、第2のライナー22を備えている。第2のライナー22は、取付装置10のライナー16によって覆われていない接着剤10に取外し可能に連結するように構成されている。第2のライナー22及びライナー16は、同様又は同一の材料から構成されている。ライナー16及び第2のライナー22は、単一材料片から一体に形成されてもよく、この場合、単一材料片がライナー16及び第2のライナー22を形成するように切断されるとよい。具体的には、ライナー16及び第2のライナー22は、取付装置10がインジケータタブ22から取外される時及び/又は分離される時、ライナー16が取付装置10の接着剤14に連結された状態で残るように、切断されるとよい。例えば、図8に示されるように、第2のライナー22は、取付装置10に連結された状態で残るライナー16の形状に対応する第2のライナー開口24を備えている。インジケータタブ32を取付装置10から分離させることによって第2のライナー22が取り外されると、(第2のライナー22に対応する)取付装置10の基部12の接着剤14の一部が露出する。接着剤14のこの露出部分は、取付装置10を他の対象物、例えば、医療器具48に固定するように構成されている。
【0039】
第2のライナー22は、取付装置アセンブリ30のインジケータタブ32と一体に形成されるとよい。しかし、図示されないが、第2のライナー22がインジケータタブ32の1つの要素として構成されてもよい。例えば、インジケータタブ32は、前述の取付装置10と同様のラミネート材料又はラミネート層から構成されてもよい。この例示的構成では、インジケータタブ32は、基部インジケータ層、接着剤インジケータ層、及び第2のライナーを備え、第2のライナーは、接着剤インジケータ層に取外し可能に連結されるようになっている。
【0040】
取付装置アセンブリ30のインジケータタブ32は、標識部分34を更に備えている。標識部分34は、取付装置10の基部12と同様、テキスト及び/又は図形が標識部分34に印刷されるように、少なくとも部分的に半透明で印刷可能となるように処理されているとよい。例えば、標識部分34は、取付装置10を用いるための指示を表す印刷された識別マーク、イラスト、テキスト、又は図形を有しているとよい。また、標識部分34は、書込み可能になっているとよく、これによって、医療専門家が典型的な筆記具、例えば、ペン、マーカー、又は鉛筆を用いて、使用日又は設置日を標識部分34上に書き込むことが可能になる。図9を参照すると、インジケータタブ32の標識部分34の例示的なイラストが示されている。
【0041】
図10,11に示さているのは、前述の取付装置アセンブリ30内に縫い込まれる細長部材36を備える灌注アセンブリ50の例示的構成である。細長部材36は、プラスチック、ポリマー、又は同様の耐久性のある柔軟材料から構成されているとよい。また、細長部材36は、流体の流れを可能にする管路、導管、又は通路を形成するように構成された管腔を備えているとよい。例えば、細長部材36は、細長部材36を通して流体を外科部位に供給するために、又は細長部材36を通して破片を外科部位から吸引するために用いられるとよい。細長部材36は、ナビゲーションシステム又は制御コンソールのナビゲーショントラッカーに対応するように構成されているとよい。
【0042】
細長部材は、遠位端38及び近位端40を更に備えている。近位端38は、外科システム、例えば、(図示されない)灌注システムに連結されるように構成されている。近位端40は、近位側カプラー42を備えている。近位側カプラー42は、近位端40を外科システムに連結するように構成されている。近位側カプラー42は、有刺コネクタ、ルアーコネクタ、電気コネクタ、又は同様の取付具から構成されているとよい。近位側カプラー42は、多数の異なる方法、例えば、超音波連結、粘着、セメント連結、エポキシ接着、プラスチック融合、等によって、細長部材36の近位端40に連結されるとよいことを理解されたい。また、近位側カプラー42が省略され、細長部材36が外科システムに直接連結されてもよいことを理解されたい。
【0043】
遠位端38は、医療器具アクセサリ44、例えば、灌注スリーブに連結されるように構成されている。医療器具と共に用いられる例示的な灌注スリーブは、2017年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/536,733号に開示されている。この文献は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。細長部材の遠位端38は、細長部材36を医療器具アクセサリ44に連結するように構成された有刺コネクタ、ルアーコネクタ、又は同様の取付具から構成されているとよい。代替的に、医療器具アクセサリ44が、細長部材36の遠位端38を受け入れるように構成されたアクセサリカプラー46を備えていてもよい。アクセサリカプラー46は、多数の異なる方法、例えば、超音波連結、粘着、セメント連結、エポキシ接着、プラスチック融合、等によって、細長部材36の遠位端38に連結されるとよい。また、アクセサリカプラー46が省略され、細長部材36が医療器具アクセサリ44の近傍に配置され、流体を外科部位に直接供給するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0044】
前述したように、取付装置10は、多数の基部開口18A,18Bを備えている。基部開口18A,18Bは、取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる細長部材36を受け入れるように、構成されている。基部開口18A,18Bの寸法及び/又は厚みは、細長部材36が基部開口18A,18B内に縫い込まれた時に基部12及び/又は細長部材36への応力又は歪みを低減させるように設定されるとよい。基部開口18A,18Bの直径及び/又は基部開口18A,18B間の距離は、細長部材36が基部開口18A,18Bに縫い込まれた時に細長部材36に対して摩擦嵌合をもたらすように設定されるとよい。これによって、追加的な力が細長部材36に加えられない限り、例えば、医療専門家が細長部材36を1つの方向又は他の方向に引っ張らない限り、細長部材36は、適所に保持される。代替的に、前述したように、基部は、凹部20を備えていてもよい。基部開口18A,18Bを包囲する凹部20の寸法及び/又は厚みは、細長部材36が基部開口18A,18B内に縫い込まれた時に基部12及び/又は細長部材36への応力又は歪みを低減させるように設定されるとよい。
【0045】
前述したように、多数の異なるライナー16A,16B,16Cの構成を利用することができる。しかし、ライナー16A,16B,16Cの構成は、細長部材36が取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる方向及び方位を指示するようになっているとよい。図10,11を参照すると、取付装置10に対する細長部材36の縫込み構成は、図4A-5Bに示されるライナー16A,16Bの縫込み構成に対応する。ライナー16A,16Bは、接着剤14に隣接して基部開口18A,18B間に少なくとも部分的に位置するように、配置されている。細長部材36は、基部開口18A,18B間に位置する細長部材36の中間部分がライナー16A,16Bに隣接するように、取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる。図11は、基部開口18A,18B間をライナー16に沿って延びる細長部材36を示している。ライナー16の多くの機能の1つは、細長部材36が接着剤14に連結しないように防ぎ、これによって、保護部材36が医療器具48に取付けられる時に軸方向に摺動することを可能にすることにある。
【0046】
代替的に、細長部材36の縫込み構成は、図6A,6Bに示されるライナー16Cに対応するように構成されてもよい。これは、図10,11に示される細長部材36の縫込み構成と逆である。図6A,6Bに示されるライナー16Cの構成では、ライナー16Cは、基部開口18A,18Bのそれぞれに隣接して配置された2つの個別片から構成されている。しかし、この構成では、ライナー16Cは、基部開口18A,18B間に位置していない。細長部材36を基部開口18A,18B内に縫い込む時、細長部材36は、基部開口18A,18B間に位置する細長部材36の中間部分が基部12に沿って、すなわち、取付装置10の上面に沿って延びながら、取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる。細長部材36の両端は、ライナー16Cの個別片に隣接して位置することになる。
【0047】
図示されないが、追加的な縫込み構成を可能にする追加的な基部開口18A,18Bの構成及び/又はライナーの構成も考えられることを理解されたい。基部開口18A,18B及び/又はライナー16の個別片の数に関わらず、細長部材36が基部開口18A,18B内に縫い込まれる時、ライナー16の個別片は、典型的には、接着剤14への細長部材36の露出を防ぐために、接着剤14と細長部材36との間に位置することを理解されたい。
【0048】
代替的に、取付装置10の要素としてライナー16を備える代わりに、ライナー16の位置に対応する接着剤14の部分が基部12から除去されてもよい(図4A-6Bに示されるライナー16A,16B,16C参照)。図示されるライナー16A,16B,16Cの位置に対応する接着剤14の部分を除去することによって、ライナー16A,16B,16Cが不要になるので、ライナー16A,16B,16Cが取付装置10から省略されてもよい。
【0049】
図12A,12B,12Cを参照すると、外科システム60の例示的な構成が示されている。外科システム60は、医療器具48と前述の灌注アセンブリ50とを備えるように構成されている。医療器具48は、医療器具アクセサリ44、例えば、切断アクセサリ又は灌注スリーブを備えている。灌注アセンブリ50の細長部材36は、取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれており、遠位端38は、医療器具アクセサリ44に連結されている。
【0050】
図12Bを参照すると、取付装置10がインジケータタブ32から取り外され、ライナー16によって覆われていない接着剤14の部分又は領域を露出させる。次いで、取付装置10は、接着剤14の露出部分を介して医療器具48に取外し可能に連結される。取付装置10は、図12Cに示されるように、医療器具48の本体52に沿った任意の点に連結される。例えば、取付装置10は、医療器具アクセサリ44の近くで医療器具48の本体52に連結されるとよい。代替的に、取付装置10は、医療器具アクセサリ44から離れて医療器具48の本体に連結されてもよい。医療専門家は、取付装置10を医療器具48に連結する箇所を選択することができる。例えば、医療専門家は、取付装置10を医療器具48に連結する箇所を選択する時、細長部材の大きさ、行われる医療処置の種類、医療器具48の人間工学的な握り、等を考慮するとよい。
【0051】
図12Cに示されるように、細長部材36は、医療器具の本体52に取付けられる時、ライナー16Aと軸方向に真っすぐに並ぶように、取付装置10の基部開口18A,18B内に縫い込まれる。細長部材36の一部は、取付装置10が医療器具48に連結される時、ライナー16Aと医療機48の本体52との間に位置する。接着剤14と細長部材36との間のライナー16Aの存在によって、細長部材36を医療器具48に取付ける間に軸方向に摺動させることが可能になる。これによって、医療専門家は、必要に応じて、細長部材36を緊張させるように又は追加的に弛緩させるように調整することが可能になる。
【0052】
[細長部材を医療器具に固定する方法]
図12A,12B,12Cは、取付装置10を用いて細長部材36を医療器具48に取付ける例示的な方法の種々のステップを更に示している。細長部材36を医療装置に取付ける方法は、取付装置10及び/又は取付装置アセンブリ30を準備するステップを含んでいる。取付装置10は、ライナー16と、基部12と、基部12及びライナー16間に少なくとも部分的に配置された接着剤14とを備えている。取付装置10は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを更に備えている。ライナー16は、接着剤14に隣接して配置されている。具体的には、ライナー16は、接着剤に隣接して第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に少なくとも部分的に配置されている。この方法は、細長部材36を取付装置10の第1の基部開口18A及び第2の基部開口18B内に縫い込むステップであって、細長部材36がライナー16と軸方向において真っすぐに並んでいる、ステップを更に含んでいる。代替的に、図6A,6Bに示されるライナー16Cの構成を参照して前述したように、ライナー16Cは、基部開口18A,18Bの近傍において接着剤14に隣接して配置されてもよい。ライナー16Cは、基部開口18A,18Bによって画定された長軸と真っすぐに並ぶように配置されるとよい。
【0053】
細長部材36を固定する方法は、取付装置10を医療器具48に接着することを更に含んでいる。取付装置10は、接着剤14の露出部分を医療器具48の本体52に押し付けることによって医療器具48の本体52に取外し可能に連結され、これによって、細長部材36は、取付装置10と医療器具48との間に少なくとも部分的に配置される。例えば、取装置10を医療器具48に固定するために、開口18A,18B内に縫い込まれた細長部材36を含む取付装置10が、基部52に押し付けられるとよい。
【0054】
この方法は、前述の取付装置アセンブリ30のインジケータタブ32を接着剤14から分離させるステップを更に含んでいる。インジケータタブ32は、アセンブリ30の取付装置10内に縫い込まれた細長部材36を引っ張ることによって、分離されるか又は取り外されるとよい。インジケータタブ32は、取付装置10を医療器具48に連結する方法を表す標識34を備えるように構成されているとよい。
【0055】
この方法は、取付装置10が医療器具48に連結される時に細長部材36がぴんと張られるように、細長部材36をライナー16に沿って軸方向に摺動させるステップを更に含んでいる。例えば、細長部材36の近位端40を引っ張ることによって、細長部材36の遠位端の弛みを取ることができる。これによって、外科システム60の輪郭又は嵩を低減させることができる。また、これによって、医療器具48の操作中に細長部材36が異物に捕捉されるか又は細長部材36が絡まるのを防ぐことができる。代替的に、細長部材36に更なる弛みを生じさせるために、細長部材36をその遠位端38を引っ張ることによって摺動させてもよい。
【0056】
この方法は、第2のライナー22を接着剤14から取り外すステップであって、第2のライナー22の取外しによって、取付装置10を医療器具48に取外し可能に連結するように構成された接着剤14の一部を露出させる、ステップも含んでいる。
【0057】
取付装置10を医療器具48に接着させた後、この方法は、細長部材36を引っ張ることによって、取付装置10を医療器具48から分離させるステップを含んでいる。例えば、細長部材36の近位端40を引っ張ることによって、取付装置10を医療器具48から取外し及び/又は離脱させることができる。医療処置後に、細長部材及び取付装置10は、滅菌プロセスの一部として廃棄されることになる。
【0058】
[製造の方法]
前述の取付装置10及び/又は取付装置アセンブリ30を製造する方法は、上面及び反対側の下面を有する基部12を準備するステップを含んでいる。1つ又は複数の基部開口18A,18Bが、基部12に切り込まれる。例えば、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを切込むために、型抜きプロセスが利用されるとよい。接着剤14が基部12の底面に塗布される。接着剤14は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bと同一平面になるように、基部12上に塗布されるとよい。代替的に、接着剤14は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bを包囲する基部12の一部に接着剤14が付着しないように、基部12に塗布されてもよい。
【0059】
この方法は、ライナー16A,16Bを接着剤14に取外し可能に連結するステップであって、ライナー16A,16Bが基部12の第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に少なくとも部分的に配置される、ステップを更に含んでいる。代替的に、前述したように、ライナー16Cは、第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に位置しないように構成されてもよい。
【0060】
この方法は、基部12の上面に第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの各々を包囲するように構成された凹部20、斜面、面取り、フィレット、又は同様の移行部を切込むステップも含んでいる。凹部20は、任意の形状、例えば、円形状の第2の切口を作ることによって、形成されるとよい。第2の切込みによって形成される凹部20の形状は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの形状に対応するとよい。代替的に、凹部20の形状は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの形状と異なっていてもよい。一般的に、第2の切込みによって形成される凹部20の大きさ及び/又は寸法は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの大きさ及び/又は寸法よりも大きいとよい。例えば、凹部20を形成するための第2の切込みが円形の場合、この第2の切込みは、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの各々の中点を中心とし、その直径は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの直径よりも大きいとよい。凹部を形成するように構成された第2の切込みは、「キスカット」又は「逃げカット」とも呼ばれる。
【0061】
取付装置10を予組立材料片から製造することも更に考慮されている。予組立材料は、基部12と、基部12の1つの面に塗布された接着剤14と、接着剤14に除去可能に連結されたライナー16A,16B,16Cとを備えている。この構成では、取付装置10を製造する方法は、基部12、接着剤14、及びライナー16A,16B,16Cに1つ又は複数の基部開口18A,18Bを切込むことを含んでいる。この方法は、ライナー16A,16Bが基部12の第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に少なくとも部分的に配置されるように、ライナー16A,16B,16Cを切り取ることを更に含んでいる。代替的に、前述したように、ライナー16Cの場合、このライナー16Cは、第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に位置しないように切り取られるとよい。また、この方法は、基部12の上面に第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bの各々を包囲するように構成された凹部20、斜面、面取り、フィレット、又は同様の移行部を切り抜くことも含んでいる。凹部20は、任意の形状、例えば、円形状の第2の切込みを作ることによって形成されるとよい。前述したように、第2の切込みによって形成される凹部の大きさ及び/又は寸法は、第1の基部開口18A及び第2の基部開口18Bの大きさ及び/又は寸法よりも大きいとよい。凹部を形成するように構成された第2の切込みは、「キスカット」又は逃げカットとも呼ばれている。
【0062】
この方法は、細長部材36を第1の基部開口18A及び第2の基部開口18B内に縫い込むステップを更に含んでいる。図4A-5Bに示されるライナー16A,16Bの構成を用いる場合、細長部材36を基部12の上面に配置し、細長部材36を第1の基部開口18A内に挿入し、細長部材36をライナー16A,16Bに沿って延ばし、細長部材36を第2の基部開口18B内に挿入することによって、細長部材36が取付装置10に縫い込まれるとよい。代替的に、図6A,6Bに示されるライナー16Cの構成を用いる場合、細長部材36をライナー16Cに沿って配置し、細長部材36を第1の基部開口18A内に挿入し、細長部材36を基部12の上面に沿って延ばし、細長部材36を第2の基部開口18B内に挿入することによって、細長部材36が取付装置10内に縫い込まれるとよい。
【0063】
この方法は、インジケータタブ32をライナー16の近傍の接着剤14に取外し可能に連結するステップを含んでいる。インジケータタブ32は、取付装置10を医療器具に連結する前記方法を表す標識34を備えるように構成されている。標識34は、細長部材36を医療器具に連結する方法を表すテキスト、図形、及び/又はイメージを含んでいる。標識34は、取付装置10及び/又は取付装置アセンブリ30を製造する方法の一部として、インジケータタブ32上に印刷される。例えば、図9を再び参照すると、インジケータタブ32上に印刷された標識34の例が示されている。標識34は、細長部材36を切断アクセサリに取付けるステップ、取付装置10を用いて細長部材36を医療器具48に固定するステップ、及び細長部材36を医療システム、例えば、灌注システムに接続するステップを示す図形及び/又は数字を含んでいる。
【0064】
前述したように、ライナー16は、第2のライナー22を備えている。第2のライナー22は、インジケータタブ32に一体的に形成されている。製造時に、取付装置アセンブリ30、ライナー16、及び第2のライナー22は、最初、ライナー16,22の単一の一体片から構成される。しかし、インジケータタブ32が取り外される時にライナー16が接着剤14に連結された状態で残るように構成されているので、取付装置10がインジケータタブ32から取り外される時、ライナー16と第2のライナー22との容易な分離を可能にするためにライナー16,22を切断する必要がある。従って、取付装置10を製造する方法は、第2のライナー22がライナー16から分離可能となるように、ライナー16,22を切断するステップであって、ライナー16が第1の基部開口18Aと第2の基部開口18Bとの間に少なくとも部分的に配置された状態で残るステップを更に含んでいるとよい。
【0065】
この方法は、ライナー開口21A,21Bをライナー16に切り抜くステップであって、ライナー開口21A,21Bが基部開口18A,21Bと真っすぐに並んでいる、ステップも含んでいる。基部開口18A,18Bは、第1の直径によって画定され、ライナー開口21Aは、第2の直径によって画定される。取付装置10は、第1及び第2の直径が等しくなるように構成されているとよい。しかし、第2の直径は、第1の直径よりも大きくてもよいし、又は第1の直径が第2の直径よりも大きくてもよい。
【0066】
[更なる保護のための条項]
I.細長部材を医療器具に固定するための取付装置であって、第1のライナーと、第2のライナーと、第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、前記基部、前記第1のライナー、及び前記第2のライナー間に少なくとも部分的に配置される接着剤とを備え、前記第1のライナーは、前記第1の基部開口に隣接し、前記第2のライナーは、前記第2の基部開口に隣接し、前記第1のライナー及び前記第2のライナーは、前記第1の基部開口及び前記第2の基部開口によって画定された長軸と軸方向に真っすぐに並んでいる、取付装置。
【0067】
II.細長部材を医療器具に固定するための取付装置であって、上面、底面、第1の基部開口、及び第2の基部開口を備える基部と、前記基部の前記底面に少なくとも部分的に配置された接着剤とを備え、前記基部の前記底面の前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に接着剤が存在しない、取付装置。
【0068】
III.細長部材を医療器具に固定するための取付装置であって、ライナーと、第1の基部開口及び第2の基部開口を備える基部と、接着剤とを備え、前記ライナーは、前記基部の前記第1の基部開口と前記第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置する前記接着剤上に配置されている、取付装置。
【0069】
IV.細長部材を医療器具に取外し可能に連結するための取付装置を製造する方法であって、上面及び反対側の底面を有する基部材料を準備するステップと、接着剤を基部材料の底面に塗布するステップと、ライナーが第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に位置するように、ライナーを接着剤に取外し可能に連結するステップと、第1の基部開口及び第2の基部開口を基部材料、接着剤、及びライナーに切り込むステップとを含む、方法。
【0070】
V.第1の基部開口及び第2の基部開口の各々を包囲するように構成された凹部を基部材料の上面に切り込むステップを更に含む、条項IVに記載の方法。
【0071】
VI.細長部材を第1の基部開口及び第2の基部開口内に縫い込むステップを更に含む、条項IV又はVのいずれか1つに記載の方法。
【0072】
VII.基部材料は、略楕円形状を備える、条項IV,V,又はVIのいずれか1つに記載の条項。
【0073】
VIII.ライナーの近くでインジケータタブを接着剤に取外し可能に連結させるステップであって、インジケータタブは、取付装置を医療器具に連結する前記方法を表す標識を備えるステップを更に含む、条項IV,V,VI,又はVIIのいずれか1つに記載の条項。
【0074】
IX.ライナーを第1のライナー部分及び第2のライナー部分を備えるように切り込むステップであって、第2のライナー部分は、第1のライナー部分から分離可能となるように構成され、第1のライナー部分は、第1の基部開口と第2の基部開口との間に少なくとも部分的に配置された状態で残るようになっている、条項IV-VIIIのいずれか1つに記載の方法。
【0075】
X.第1のライナー開口をライナーに切り込むステップであって、第1のライナー開口は、第1の基部開口と真っすぐに並び、第1の基部開口は、第1の直径によって画定され、第1のライナー開口は、第2の直径によって画定され、第2の直径は、第1の直径よりも大きいステップを更に備える、条項IV-IXのいずれか1つに記載の方法。
【0076】
以上、いくつかの実施形態について検討してきた。しかし、ここで検討した実施形態は、排他的であることを意図するものではなく、又は取付装置10、取付装置アセンブリ30、及び/又は外科システム60をどのような特定の形態に制限することも意図するものではない。用いられた専門用語は、制限するというよりもむしろ説明することが意図されている。上記の示唆に照らして多くの修正及び変更が可能であり、システムは、具体的に記載される手順以外の手順によって実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C