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特許7406846快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
G01N33/48 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022163260
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】506292158
【氏名又は名称】国立台湾大学
【氏名又は名称原語表記】National Taiwan University
【住所又は居所原語表記】No. 1, Roosevelt Rd. Sec.4, Da‘an District, Taipei,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】孫▲啓▼光
(72)【発明者】
【氏名】バスカー ジョティ ボラー
(72)【発明者】
【氏名】曾耀▲チェン▼
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0286044(US,A1)
【文献】特開2014-002166(JP,A)
【文献】特開2021-039117(JP,A)
【文献】LUO, Teng et al.,Enhanced Visualization of Hematoxylin and Eosin Stained Pathological Characteristics by Phasor Approach,Analytical Chemistry,米国,American Chemical Society,2017年08月01日,Vol.89, No.17,pp.9224-9231
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マチン(H)やエオシン(E)或いは、ヘマチンとエオシン(HE)の染料によって着色され、切除された未定の、物理的に薄片化されていない生体試料に対して、組織病理学評価を行う、デジタルパソロジー(RFP)方法であって、
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査で、光学虚像を切り出し、H着色された核を視覚化するための非線形マルチハーモニック生成信号、E着色された組織病理特徴を視覚化するための非線形多光子励起蛍光信号と、を収集し、
なくとも1平方ミリメートル(mm2)の一枚の画像のフィールド・オブ・ビュー(FOV)において、有効デジタルの横置き解像度が、1ミクロン(μm)より小さく、
一枚の画像或いは、複数の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリアの範囲が、1mm2乃至400mm2の間にあり、
持続的な有効データ処理量が、少なくとも、各秒に、500メガビット(Mbps)であ
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、切除された未定の生体試料は、肝組織や乳腺組織、膵臓組織、脳組織、胸腺組織、前立腺組織、結腸組織、リンパ組織及び実体組織から得られ、不透明な完全体積組織であり、固定や、冷凍、物理スライス及び組織透明化が、行われていない、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
織着色の流れで、上記の、切除された未定の生体試料に対して、H-やE-或いはHE-着色を行う、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項4】
請求項3に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、組織着色の流れは、組織腔や組織容器において、上記の、切除された未定の生体試料に対して行われる、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項5】
請求項3に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、切除された未定の生体試料に対して、上記の、組織着色の流れを行うことは、
固定液で、短時間に固定することと、
Gillヘマチン溶液と/或いは、Mayerヘマチン溶液で、H着色を行うことと、
蒸留水と/或いは洗浄液で、洗浄行程を行うことと、
アンモニア水で、青みづけ行程を行うことと、
エオジン液で、E着色を行うことと、
アルコール溶液と/或いは洗浄溶液で、洗浄行程を行うことと、
カバーガラスで、上記の、切除された未定の生体試料を、カバーすることが、含まれる、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項6】
請求項3または請求項5に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、組織着色の流の時間、6分間より短い、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項7】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査は、2分間より少ない時間で、10×10平方ミリメートル領域の点スキャンを行い、また、170ナノメートル(nm)より小さい画素サイズを維持できる、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項8】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
1平方センチメートルの試料面積の表面に対して、オプティカルセクショニングのレーザラスタ走査を行い、消費する着色時間が、6分間より少なく、スキャン時間が、2分間より少ないため、切除された未定の生体試料に対して、総評価時間が8分間より少なくなる、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項9】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査は、
発光スペクトルが、1000nm到1100nmの範囲内にあって、繊維ベースのパルスレーザソースであり、H着色の第三調波生成(THG)信号と/或いはE着色の2光子励起蛍光(TPEF)信号を収集するか、
発光スペクトルが、1200nm乃至1300nmの範囲にある、クロムフォルステライト(Cr:F)ベースのパルスレーザソースであり、H着色の第三調波生成(THG)信号と/或いはE着色の3光子励起蛍光(3PEF)を収集する、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項10】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査に利用された集束レンズは、対物レンズの開口数が、少なくとも、0.7である、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項11】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査に利用されるレゾナントスキャナー或いは、ポリゴンスキャナは、少なくとも、4kHzのラインレートで、高速軸スキャンを行う、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【請求項12】
請求項1に記載のデジタルパソロジー方において、
上記の、複数の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリアは、補助として、2つの互いに垂直して連接される電子リニア移動ステージからなる、2次元のエレクトロンステージユニットが、設置される、
ことを特徴とするデジタルパソロジー方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格別な訓練を必要しなく、病理医に援助できる、H&Eを利用する、快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー方法(RFP)に関し、特に、ヘマチン(H)やエオシン(E)或いは、ヘマチンとエオシン(HE)の着色染料によって着色されて、切除された未定の生体試料に対して、組織病理学評価を行うことができる、快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー方法(RFP)に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)病理方法は、非常に高い信頼度を有するが、1-2日の処理時間を必要するため、術中腫瘍評価(ITA)に適用しない。また、凍結切片(FS)-病理方法は、そのサンプル処置や評価時間が比較的に短いため、ITAの世界標準になる。それから、冷凍切片の場合、サンプルの冷凍や切片、着色には、膨大な労働力を要し、また、単一の流れに、30分間の時間が消費され、ITAの実行回数が制限される。そして、FS生検の評価は、容易に、幾種類のアーチファクトによって影響される。そのため、FSの代替方案の開発が、重要視され、それは、切片を必要しなく、便利的に携帯でき、快速的且つ正確的、アーチファクトなし、新鮮標本に適用でき、FFPE生検と同じように信頼でき、そして、グローバルスタンダードである病理染料-H&E染料に基づくことにより、その技術がより信頼的になり、病理医は、格別な学習と/或いは訓練を必要しない。
【0003】
計算機使用のデジタルパソロジーの現代において、ホールスライドイメージング(WSI)とステッチ・パノラマ・バーチャルスライド(VS)が素早く発展しているため、デジタル形式で、数十億枚のFS/FFPE組織病理切片の画像を貯蓄することに有利で、これにより、何時でも、評価し直し、そして、病理医は、遠いところから、簡単に、WSI-VSに対して、快速的且つ遠隔的な評価を行うことができる。しかしながら、デジタルの元において、高い診断信頼度を維持するため、標本からデジタル表示システムの撮像経路において、優れた解像度を維持する。デジタルパソロジー協会の実務指針によれば、標準×20拡大倍率のWSI-VSは、0.5ミクロン(μm)デジタル分解能を有し、一般として、標準的な観察と判読に適用でき、また、標準×40拡大倍率では、ナイキスト0.25μmのデジタル分解能を有するため、24ビットの色深度を維持することが期待される。この場合、1×1平方ミリメートル(mm)の領域に、≧384メガビットが含まれ、1平方センチメートル(cm)の領域である場合、≧38.4Gビット或いは1.6 G画素までに広げる。このような、高い開口数(NA、1に近づく或いはより大きいもの)の×40乃至×20の対物レンズは、そのシステム視野(FOV)が、一般として、1mmより小さいように制限され、そのため、シリーズにアーチファクトなしのステッチ流れにより、診断の信頼度が影響されない。
【0004】
外科病理学ITAの環境において、快速的に評価することは、手術時間を最小化できるため、患者の安全が確保される。FS/FFPEの物理スライスと異なり、ITA能力を有するデジタルの画像診断法に関連する現有技術を利用して、より素早く光学虚像切り出しを評価できる。しかしながら、現有技術は、最新のWSI標準のナイキストや、十億画素の試料採取の半ミクロンデジタル分解能と/或いは、実時間の広視野、アーチファクトなしのステッチ/モーセ機能と/或いはサブミニュート十億画素採取やディジタル表示能力、そして、"標本からディジタル表示まで"の画素経路において、十分の解像度を有することに、満足できない恐れがある。また、国際において、ゴールドスタンダード-ヘマチンの代わりに、異なる核着色の染料を利用する時、病理医は、判読できるために、特定の訓練を受けなければならない。FS/FFPE生検に比べると、これにより、正確性が低下する恐れがある。しかし、不透明且つ細胞核がヘマチン染料によって着色された3 次元の生体試料に対して、オプティカルセクショニングを行うために、非線形マルチハーモニックの生成方法を利用して、高対比で細胞核を視覚化する。
【0005】
既存の物理スライスを必要しない快速ITA方法は、一部の特定の外科病理学に応用できる。誘導ラマン顕微鏡によって提供された化学情報で、細胞異常を検査できるが、ロ-信号雑音比(SNR)のため、快速的にセンチスケールサイズの検体を検測することに向いていない。光干渉断層撮影は、高速的に結像できるが、空間分解能や信号雑音比及び対比が悪い問題が残される。オプティカルセクショニングの有効方法として、光シート蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡及び紫外線表面励起顕微鏡が注目されるが、例えば、ゴールドスタンダード-ヘマチンであり、蛍光の無い染料に適用できなく、特に、生物サンプルの本質に、所定の厚さを有しながら、不透明の場合である。変えていえば、HE着色の生体試料全体に対して、オプティカルセクショニングを行う時、高解像度且つハイスループットなセンチスケールのレーザスキャンの下において、既存技術は、実用的とは言えない。
【0006】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、全試料表面結像(WSSI)のデジタルITA解決策として、RFP方法と略称される、快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジーを提案し、地球全体のFS生検標準と比べると、そのサンプルの評価速度が、4倍に高くなり、その中、RFPが、従来のFS-やFFPE-生検の標準のHとE染料との相性が良い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、ヘマチン(H)やエオシン(E)或いは、ヘマチンとエオシン(HE)の染料によって着色されて、切除された未定の生物サンプルに対して、組織病理学評価を行うRFP方法を提供し、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査で、光学虚像を切り出し、非線形マルチハーモニックと/或いは非線形多光子励起蛍光シグナルを収集して、H-やE-或いはHE-のマルチチャンネルのデジタル化とリアルタイムのディジタル表示の特定組織病理特徴とし、少なくとも、1平方ミリメートルのレーザラスタ走査による一枚のフィールド・オブ・ビュー(FOV)において、有効デジタルの横置き解像度が、1ミクロン(μm)より小さく、FOV解像度が、1000より大きくて、また、1mm 乃至400mm の範囲内の一枚の画像や複数枚の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリアに、少なくとも、各秒に500メガビット(Mbps)の持続的な有効データ処理量を有する。
【0009】
その中、切除された未定の生体試料は、肝組織や乳腺組織、膵臓組織、脳組織、胸腺組織、前立腺組織、結腸組織、リンパ組織及び実体組織から得られ、不透明な完全体積組織であり、固定や、冷凍、物理スライス及び組織透明化が、行わていない。
【0010】
RFP方法において、快速組織着色(RTS)の流れは、切除された未定の生体試料に対して、HやE或いはHE着色を行う。
【0011】
切除された未定の生体試料に対して、組織腔や組織容器において、RTSの流れを行う。切除された未定の生体試料に対して、RTSの流れを行うことには、
固定液で、固定する過程と、
Gillヘマチン溶液と/或いは、Mayerヘマチン溶液で、H着色を行う過程と、
蒸留水と/或いは洗浄液で、洗浄を行う過程と、
アンモニア水で、青みづけ行程を行う過程と、
エオジン液で、E着色を行う過程と、
アルコール溶液と/或いは洗浄溶液で、洗浄行程を行う過程と、
カバーガラスで、切除された未定の生物標本を、カバー処理を行う過程とが、含まれる。
而RTS流れ所消費的HE着色時間少於6分間。
【0012】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査は、2分間より少ない時間で、10×10mm領域の点スキャンを行い、また、170ナノメートル(nm)より小さい画素サイズを維持できる。また、RFP方法は、1cmサイズの標本の表面に対して、オプティカルセクショニングレーザラスタ走査を行い、消費する着色時間が、6分間より少なく、スキャン時間が、2分間より少ないため、切除された未定の生体試料に対して、総評価時間が、8分間より少なくなる。
【0013】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査は、
(1)発光スペクトルが、1000nm乃至1100nmの範囲内にあって、繊維ベースのパルスレーザソースであり、H着色の第三調波生成(THG)信号と/或いはE着色の2光子励起蛍光(TPEF)信号収集するか或いは、、
(2)発光スペクトルが、1200nm乃至1300nmの範囲にある、クロムフォルステライト(Cr:F)ベースのパルスレーザソースであり、その中、H着色から、THG信号を収集し、E着色から3光子励起蛍光(3PEF)信号を収集する。
【0014】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査に利用される集束レンズは、対物レンズの開口数が、少なくとも、0.7である。
【0015】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査に利用されるレゾナントスキャナー或いは、ポリゴンスキャナは、少なくとも、4kHzのラインレートで、高速軸スキャンを行う。
【0016】
複数の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリアは、補助として、2つの互いに垂直して連接される電子リニア移動ステージからなる、2次元のエレクトロンステージユニットが、設置される。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実行するための実施形態の特徴や構造を説明する。
【0019】
図1乃至図4は、RFP方法の概念図である。
【0020】
図1は、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査方法のRFP方法の概念図である。図2は、RTS方法の流れ(プロトコル、あるは、フローや手順、工程、アルゴリズムと言い換えてもよい)の概念図である。図3は、RFP法によって得られた画像例である。
【0021】
図のように、本発明は、ヘマチン(H)やエオシン(E)或いは、ヘマチンとエオシン(HE)の着色染料によって着色されて、切除された未定の生体試料に対して、組織病理学評価を行う、RFP方法[1]であり、
(a)マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査で、光学虚像を切り出し[15]、マルチチャンネルのデジタル化と、実時間の非線形マルチハーモニックと/或いは非線形多光子励起蛍光信号HやE或いはHE特定の組織病理特徴のディジタル表示に適用され[17][27]、
(b)少なくとも、1mm[162]のレーザラスタ走査による一枚のフィールド・オブ・ビュー(FOV)[161]において、有効デジタル分解能が、1ミクロン(μm)[163]より小さく、FOV解像度[164]が、1000より大きくて、
(c)一枚或いは複数の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリア[162]の範囲が、1mm乃至400mmの間にあり、持続的な有効データ処理量[165]が、少なくとも、各秒に、500メガビット(Mbps)である。
【0022】
切除された未定の生物標本[11]は、固定や、冷凍、物理スライス及び組織透明化が行わていなく、肝組織や乳腺組織、膵臓組織、脳組織、胸腺組織、前立腺組織、結腸組織、リンパ組織及び実体組織から得られた、不透明な完全体積組織である。
【0023】
RFP方法[1]において、RTS[3]の流れで、切除された未定の生体試料に対して、HやE或いはHE着色[13]を行う。RTS[3]の流れは、組織腔や組織容器[12]において、切除された未定の生体試料に対して行う。
【0024】
図2図3において、6分間以下のRTS流れのRFP[1]方法において、切除された組織が、顕微鏡スライドのiSpacerとによって形成された空間に設置される。短時間の固定[131]と両段階のH細胞核着色[132]、中間洗浄行程[133]、青みづけ行程[134]、E着色[135]及び最後洗浄[136]がふくまれて、RTS[3]の流れの総時間が、6分間以下である。RTS[3]の流れの終了後、カバーガラス[137]を加え、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査システム[33]において、結像する。
【0025】
RFP方法[1]は、1平方センチメートル試料面積の表面に対して、オプティカルセクショニングレーザラスタ走査する時、消費する着色時間が、6分間以下で、スキャン時間が、2分間より少ないため、切除された未定の生体試料の総評価時間が、8分間より少ない。
【0026】
また、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査[14]は、生成した非線形マルチハーモニックと/或いは非線形多光子励起蛍光シグナル[25]を検測して、マルチチャンネルのデジタル化と、実時間のHやE或いはHE特定の組織病理特徴[17]のディジタル表示に適用される。
【0027】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査[14]の特性は、
(1)レーザラスタ走査の一枚の画像FOV[161]は、少なくとも、1mmであり、有効デジタルの横置き解像度[163]が、1μmより小さく、FOV 解像度[164]が、1000より大きく、
(2)1mm乃至400mm の範囲内の一枚或いは複数の画像から組み合わせられた総撮像エリア[162]は、持続的な有効データ処理量[165]が、少なくとも、各秒に500メガビット(Mbps)であり、
(3)2分間以下の時間で、10×10mm領域の点スキャンを終了でき、同時に、170ナノメートル(nm)より小さい画素サイズ[166]を維持できる。また、多画像組合せ過程は、実時間のモーセステッチ[16]で行い、後処理ないセンチスケールレーザスキャン[26]に適用される。
【0028】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査に利用された集束レンズ[23]は、対物レンズの開口数が、少なくとも、0.7である。
【0029】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査[14]に利用されるレゾナントスキャナー或いは、ポリゴンスキャナ[22]は、少なくとも、4kHzのラインレートで、高速軸スキャンを行う。
【0030】
複数枚の画像から組み合わせられた蓄積撮像エリアは、補助として、2つの互いに垂直して連接される電子リニア移動ステージからなる、2次元のエレクトロンステージユニット[24]が、設置される。
【0031】
マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査[14]は、
(a)発光スペクトル範囲が、1000nm乃至1100nmである繊維ベースのパルスレーザソース[21]は、H着色と/或いはE着色からの2光子励起蛍光(TPEF)信号[25]を収集するか、
(b)発光スペクトルが、1200nm乃至1300nmの範囲にある、クロムフォルステライト(Cr:F)ベースのパルスレーザソース[21]は、H着色のTHG信号と/或いはE着色の3光子励起蛍光(3PEF)信号[25]を収集する。
【0032】
図4において、画像例は、新鮮なヒトグリオーマ組織に対して、RFP[1]方法を行うことによって得られる。センチスケールサイズの画像とその拡大画像には、特定の組織病理特徴が見られ、その中、(A)は、1.3Gigapixelの色変換された後のRFP画像であり、スケールバーが0.5mmで、FOVが6.4×5.6mmであり、44秒の総結像時間で、約30M/sの有効画素レートを有して、1mm/s の有効スキャン率より大きい。(B)-(I)は、(A)において、表記されたR1-8を、切り取って拡大したRegion of interest(ROI)で、その中、各ROIの画素数が、6700×3300で、スケールバーが150μmである。(J)-(Q)は、(B)-(I)において、表記されたR9-16が、切り取られて拡大されたRegion of interest(ROI)であり、その中、各ROIの画素数が、3200×2500で、スケールバーが、70μmである。細胞核や他の構造(例えば、血管)の分布や形状及びサイズは、(B)-(Q)において、視覚化された。白色破線によって、血管構造がマークされる。白色破線の円によって、細胞数が明白的に増加する領域が例示される。(K)や(M)、(N)及び(Q)において、典型的でない血管において、典型的でない細胞構造が明白的であるため、微小血管の増生現象が示される。
【0033】
本発明は、RFP方法と略称される、快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジーを導入し、標本全体の表面に結像できるデジタルITAの解決策であり、地球全体のFS生検標準と比べると、その評価速度が4倍に高くなり、また、RFPは、従来のFS/FFPE生検の標準のHとE染料との相性が良い。また、本技術は、50の人体脳部組織標本(正常や神経膠腫)の盲検試験により、100%の腫瘍判読正確率が表示されて、FS/FFPEに匹敵できる、正確性と100%の感度と特定の組織病理特徴が表される。
【0034】
本発明において、1cm面積の着色やスキャン及び表示の総時間が、約8分間であり、その中、快速着色の過程が、6分間以下で、その後のスキャンと表示過程が、2分間程度を消費する。後続の着色パラメーターの最適化により、蓄積評価時間が更に低下される。
【0035】
本発明に係るRFP方法は、特に、切除された新鮮的な人体脳部組織標本の腫瘍組織の研究に適用される。そして、柔らかく、損害しやすい新鮮な脳標本に優しく、RTS流れにおいて、従来のH&E染料を利用できる。また、RFPは、他のタイプの生体試料にも適用でき、例えば、乳房や前立腺及び皮膚等に限られず、快速的且つ正確的及び信頼的のITAを提供できる。以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー(RFP)方法の概念図である。
図2】マルチモーダル非線形光學レーザラスタ走査方法で、RFP方法を補助する場合の概念図である。
図3】快速的に組織を着色(RTS)方法の流れを表示する概念図である。
図4】RFP方法によって得られた画像例の図である。
【符号の説明】
【0037】
1 RFP方法
11 切除された未定の生体試料
12 組織腔や組織容器に収納する
13 HやE或いはHE着色を行う
131 短時間の固定
132 ヘマチン着色
133 洗浄
134 青みづけ
135 E着色
136 洗浄
137 カバーガラスで、カバーする
14 マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査システム
15 マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査で、光学虚像を切り出す
16 実時間のモーセステッチで多画像組合せ過程を行う
161 視野
162 結像領域
163 有効デジタルの横置き解像度
164 FOV解像度
165 有効データ処理量
166 ポイントスキャン
17 マルチチャンネルのデジタル化と、実時間の非線形マルチハーモニックと/或いは非線形多光子励起蛍光信号HやE或いはHE特定の組織病理特徴のディジタル表示
21 パルスレーザソース
22 スキャナ
23 集束レンズ
24 エレクトロンステージユニット
25 マルチモーダル検測システム
26 実時間のモーセステッチ
27 HやE或いはHE特定の組織病理特徴のリアルタイムのディジタル表示
3 RTS
33 マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査システム
【要約】
【課題】ヘマチン(H)やエオシン(E)或いは、ヘマチンとエオシン(HE)の染料によって着色されて切除された未定の生体試料を評価する、快速的且つ鮮やかなデジタルパソロジー(RFP)方法を提供する。
【解決手段】RFP方法は、快速組織着色(RTS)の流れにより、切除された未定の生体試料に対して、短時間固定やH着色、洗浄、青みづけ、E着色及び洗浄を行い、最後に、カバーガラスで、着色標本を覆う。RFP方法は、マルチモーダル非線形光レーザラスタ走査方法を補助として、非線形マルチハーモニックと/或いは非線形多光子励起蛍光シグナルを生成し、マルチチャンネルのデジタル化と、HやE或いはHEの特定の組織病理特徴のリアルタイムのディジタル表示に適され、同時に、センチスケール撮像エリアやサブミクロンのデジタル分解能及び、少なくとも、各秒500メガビット(Mbps)の持続的な有効データ処理量を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4