(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】補助タイルシート及びこの補助タイルシートを張り付けるカウンタの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20231228BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E04F13/08 102A
A47K1/00 L
(21)【出願番号】P 2019202349
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝邉 哲成
(72)【発明者】
【氏名】速水 沙織
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-317545(JP,A)
【文献】実開平03-011843(JP,U)
【文献】特開2017-186897(JP,A)
【文献】特開平05-098768(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218797(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイルをシート状に連結したタイルシートが張り付けられる張付け面に隣接する面に張り付けられる補助タイルシートであって、前記タイルと異なる形状の異形タイルをシート状に連結し
、隣合う前記異形タイルの間を埋める目地と、前記補助タイルシートの外縁の側面を覆う目地と、を有し、
上方から見た平面視において、前記補助タイルシートの外縁の側面を覆う目地のうち少なくとも前記タイルシートに隣合う部分の幅は、隣合う前記異形タイルの間を埋める目地の幅よりも狭い補助タイルシート。
【請求項2】
前記タイルと同じ外形である複数のタイルを一方向に並べた列を少なくとも一列有している請求項1に記載の補助タイルシート。
【請求項3】
平面視において、前記タイルは正方形状であり、前記異形タイルは長方形状であり、
前記異形タイルにおいて、前記タイルと向かい合う一辺の長さは、前記タイルの一辺の長さと等しい請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の補助タイルシート。
【請求項4】
複数のタイルをシート状に連結したタイルシートを張り付ける張付け面に隣接する面に、前記タイルと異なる形状の異形タイルをシート状に連結した補助タイルシートを張り付ける手順を含
み、
前記補助タイルシートは、隣合う前記異形タイルの間を埋める目地と、前記補助タイルシートの外縁の側面を覆う目地と、を有し、
上方から見た平面視において、前記補助タイルシートの外縁の側面を覆う目地のうち少なくとも前記タイルシートに隣合う部分の幅は、隣合う前記異形タイルの間を埋める目地の幅よりも狭いカウンタの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は補助タイルシート及びこの補助タイルシートを張り付けるカウンタの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のタイルピースが裏面材によって複数並べて配置されて一体化されたタイルシートと、タイル張り作業が容易に行えるように工程図が印刷された印刷物とが同時に包装袋に包装されたモザイク状タイルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものは、タイルシートを張り付ける張付け面において、タイルシートを構成する一つのタイルピースの外形寸法未満の領域が生じる場合、この領域に合わせてタイルピースを1つずつ切断してタイルピースを施工することになる。このため、特許文献1のものは、タイルピースの施工に手間が係る場合がある。
【0005】
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、タイルシートを張り付ける張付け面において、タイルシートを張り付ける領域以外の領域に良好に張り付けることができる補助タイルシート、及びこの補助タイルシートを張り付けるカウンタの施工方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つ目の開示の補助タイルシートは、複数のタイルをシート状に連結したタイルシートが張り付けられる張付け面に隣接する面に張り付けられる補助タイルシートであって、前記タイルと異なる形状の異形タイルをシート状に連結している。
【0007】
2つ目の開示のカウンタの施工方法は、複数のタイルをシート状に連結したタイルシートを張り付ける張付け面に隣接する面に、前記タイルと異なる形状の異形タイルをシート状に連結した補助タイルシートを張り付ける手順を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のカウンタを上方から見た平面図である。
【
図6】
図6は、壁面にカウンタ本体の小口を当接させて、カウンタ本体を壁面に取り付けたブラケットに載置した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、カウンタ本体の上面にタイルシート、及び補助タイルシートを配置する様子を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、カウンタ本体の上面に配置したタイルシートを第1目地に沿って切断し、タイルを取り除く様子を示す平面図である。
【
図9】
図9は、タイルを取り除いた領域に補助タイルシートを配置した様子を示す平面図である。
【
図10】
図10は、タイルシート、及び補助タイルシートが貼着されたカウンタ本体に手洗器、及び水栓金具を取り付ける様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、本開示のカウンタの製造方法及びカウンタを具体化した実施形態1について
図1から10を参照しつつ説明する。以下の説明において、
図2における上方、下方にあらわれる向き、及び
図3における左方、右方にあらわれる向きを、上方、下方と定義する。
【0010】
〔カウンタの構成〕
実施形態1のカウンタ10は、例えば、
図2に示すように、壁面W1に取り付けられたブラケット90に載置して、互いに直角をなす壁面W1,W2に取り付けられる。カウンタ10は、洗面室に設置される手洗い用のカウンタである。
【0011】
カウンタ10は、
図3に示すように、カウンタ本体10A、タイルシート50,50D、補助タイルシート70、及び隠蔽部材10Bを備えている。カウンタ本体10Aは、四角形状をなした平板である。カウンタ本体10Aは、例えば、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード、ランバーコア、プライウッド、フラッシュ構造材、及びハニカムコア材等の木質の材料が用いられる。カウンタ本体10Aには、第1貫通孔10C、及び第2貫通孔10Eが貫通して形成されている(
図4、5参照。)。カウンタ本体10Aにおいて、第1貫通孔10Cの上側(上下は、
図2における上側、下側であり、
図3における、左側、右側である。)には、下側の内径より小さい内径の第1縮径部10Dが形成されている(
図4参照。)。カウンタ本体10Aにおいて、第2貫通孔10Eの上側は、下側の内径より小さい内径の第2縮径部10Fが形成されている(
図5参照。)。第1貫通孔10Cには、給排水機器である手洗器30の排水管30Bが挿通されている(
図4参照。)。第2貫通孔10Eには、給排水機器である水栓金具31の挿通管31Eが挿通されている(
図5参照。)。
【0012】
タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70はカウンタ本体10Aの上面に貼着されている。タイルシート50,50Dは、
図1に示すように、複数のタイル50A、第1目地50B、及び第2目地50Cを有している。タイルシート50,50Dは、複数のタイル50Aがシート状に連結されている。各タイル50Aは、例えば、磁器質である。各タイル50Aの表面(
図1における手前側の面)は装飾面であり、裏面(
図1における奥側の面)は平らな面である。各タイル50Aは、装飾面を正面から見ると正方形状をなした平板であり、互いに同じ外形である。各タイル50Aは、対向する辺同士が平行にされ、第1目地50Bが通し目地を形成するように碁盤目状に並べられている。タイルシート50,50Dの外形は、装飾面を正面から見ると一対の長辺と一対の短辺とによって形成された長方形状をなしている。タイルシート50の長辺及び短辺の寸法は予め定められた大きさに設定されている。
【0013】
第1目地50Bは、隣り合うタイル50Aの間を埋め、各タイル50Aを連結する。各第1目地50Bの幅は同じであることが好ましい。第1目地50Bは、例えば、可撓性を有する合成樹脂や、ゴム等で形成されている。本実施形態では、耐候性等の観点からシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0014】
第2目地50Cはタイルシート50,50Dの各々の四辺に位置するタイル50Aの側面を覆っている。第2目地50Cは第1目地50Bと同じ材質である。第2目地50Cの材質は第1目地50Bと異なるものとしてもよい。第2目地50Cの幅は第1目地50Bの幅よりも狭いことが好ましい。
【0015】
タイルシート50には、
図4、5に示すように、第1挿通孔50E、及び第2挿通孔50Fが貫通して形成されている。第1挿通孔50E、及び第2挿通孔50Fの各々は、タイルシート50をカウンタ本体10Aの上面の所定の位置に配置した際における第1貫通孔10C、及び第2貫通孔10Eに連通する位置に形成されている。第1挿通孔50Eの内径は、第1縮径部10Dの内径と同じである。第1挿通孔50Eの内径は、第1縮径部10Dの内径に比べて大きくてもよい。第1挿通孔50Eには、手洗器30の排水管30Bが挿通されている。第2挿通孔50Fの内径は、第2縮径部10Fの内径と同じである。第2挿通孔50Fの内径は、第2縮径部10Fの内径に比べて大きくてもよい。第2挿通孔50Fには、水栓金具31の挿通管31Eが挿通されている。
【0016】
タイルシート50Dは、第1挿通孔50E、及び第2挿通孔50Fが形成されていないタイルシート50を長辺に直交する方向に伸びる第1目地50Bに沿って切断することによって形成したものである。第1目地50Bはシリコーン樹脂製の通し目地である。このため、タイルシート50は、カッターナイフ等を用いて第1目地50Bに沿って一直線状に容易に切断することができる。このように切断すれば、タイルシート50Dの長辺の寸法は、タイルシート50の長辺の寸法よりも短くなる。
【0017】
タイルシート50,50Dは、
図1、3に示すように、各々の短辺に位置する第2目地50Cのうちの一つを互いに向かい合わせて、カウンタ本体10Aの上面に貼着されている。向かい合う第2目地50Cの間には所定の隙間が形成されており、この隙間に充填剤Fが充填されている。
【0018】
補助タイルシート70は、複数のタイル50A、複数の異形タイル70A、第3目地70B、及び第4目地70Cを有している。補助タイルシート70において、各タイル50Aは、対向する辺同士を平行にして一列に並べられている。
【0019】
各異形タイル70Aは、例えば、タイル50Aのいずれかの辺に平行にタイル50Aを切断したものである。つまり、異形タイル70Aは、タイルシート50,50Dのタイル50Aと異なる外形である。各異形タイル70Aは、装飾面を正面から見ると一対の長辺と一対の短辺とによって形成された長方形状をなしている。具体的には、異形タイル70Aの長辺は、タイル50Aの一辺と同じ寸法である。異形タイル70Aの短辺は、タイル50Aの一辺よりも短い寸法である。各異形タイル70Aは、短辺同士を平行に向かい合わせて一列に並べられている。各異形タイル70Aは、一方の長辺をタイル50Aの一つの辺に対して平行に向かい合わせて配置されている。つまり、異形タイル70Aにおいて、タイル50Aと向かい合う一辺の長さは、タイル50Aの一辺の長さと等しい。各異形タイル70Aの他方の長辺には、タイル50Aを切断した際の切断面が位置している。
【0020】
第3目地70Bは、タイル50A、及び異形タイル70Aの間の隙間を埋め、タイル50A、及び異形タイル70Aを連結する。第3目地70Bは通し目地である。第3目地70Bは、第1目地50B、及び第2目地50Cと同じ材質であることが好ましい。第3目地70Bの幅は第1目地50Bの幅と同じであることが好ましい。
【0021】
第4目地70Cは、補助タイルシート70の三辺を囲うように配置されている。具体的には、第4目地70Cは、各異形タイル70Aの他方の長辺には配置されていない。第4目地70Cは、第1目地50B、第2目地50C、及び第3目地70Bと同じ材質が好ましい。第4目地70Cの幅は、第3目地70Bの幅よりも狭いことが好ましい。第4目地70Cの幅は、第2目地50Cの幅と同じであることが好ましい。補助タイルシート70はタイル50A、及び異形タイル70Aがシート状に連結されている。
【0022】
補助タイルシート70は、タイルシート50に向かい合っていないタイルシート50Dの短辺に位置する第2目地50Cに対して、タイル50Aの一列に並んだ側面に位置する第4目地70Cを向かい合わせてカウンタ本体10Aの上面に貼着されている。つまり、補助タイルシート70は、タイルシート50Dの張り付け領域に隣接する領域R(
図8参照)に張り付けられている。向かい合う第2目地50Cと第4目地70Cとの間には所定の隙間が形成されており、この隙間に充填剤Fが充填されている。
【0023】
隠蔽部材10Bは、所定の厚みを有し帯状をなしている。隠蔽部材10Bは、カウンタ本体10Aの小口、及び隠蔽部材10Bに隣合うタイルシート50Dの端に位置する第2目地50Cの側面、及び補助タイルシート70の端に位置する第4目地70Cの側面を隠蔽する。タイルシート50Dの端に位置する第2目地50Cの側面、及び補助タイルシート70の端に位置する第4目地70Cの側面は、まとめてタイルシート50Dの側面と捉えてもよい。本実施形態における隠蔽部材10Bのカウンタ本体10Aの上方に突出する寸法公差の中央値は、タイル50A及び異形タイル70Aの厚みと同じになるように設定されている。具体的には、この寸法が、公差範囲において最も低くなる側に振れても、タイル50A及び異形タイル70Aの側面よりも隠蔽部材10Bのほうが高くなるように設計されている。このため、タイル50A及び異形タイル70Aの側面は、露出することがない。さらに、隠蔽部材10Bは、平面視において、タイル50Aの少なくとも一部を隠蔽する。隠蔽部材10Bは、例えば、人造大理石、人工大理石、木質の材料、及び合成樹脂等が用いられる。隠蔽部材10Bは、カウンタ本体10Aの周囲の四辺のうちの壁面W1,W2に対向しない小口、この小口に沿って配置されるタイルシート50,50Dの第2目地50Cの側面、及び補助タイルシート70の第4目地70Cの側面を隠蔽するようにカウンタ本体10Aの小口に取り付けられる。
【0024】
隠蔽部材10Bは、カウンタ本体10Aの四つの小口のうちの隣合う二つの小口に取り付けられている。隠蔽部材10Bと、隠蔽部材10Bに向かい合う第2目地50C、及び隠蔽部材10Bに向かい合う第4目地70Cとの間には所定の隙間が形成されており、この隙間に充填剤Fが充填されている。壁面W1,W2と、壁面W1,W2に向かい合う第2目地50C、及び壁面W1,W2に向かい合う第4目地70Cとの間にも所定の隙間が形成されており、この隙間にも充填剤Fが充填されている。
【0025】
手洗器30は、
図4に示すように、手洗器本体30M、及び排水管30Bを有している。手洗器本体30Mは、カウンタ10に取り付けられた状態において、下方に向かい縮径する椀状をなしている。手洗器本体30Mの下端には排水口30Aが開口して形成されている。排水管30Bは、円筒状をなしており排水口30Aに挿通されている。排水管30Bの一端には径方向に突出した鍔部30Cが形成されている。鍔部30Cは、手洗器本体30Mの内側に配置されている。手洗器本体30Mは、排水管30Bに挿通された第1パッキン30D及び第2パッキン30Eによって排水口30Aの表面側と裏面側とが挟み込まれている。排水管30Bには第2パッキン30Eの下端に隣接して第1ワッシャ30Fが挿通されている。排水管30Bの他端から一端部の外周面には、ねじ山が形成されている。手洗器本体30Mの裏面から下方に突出した排水管30Bの他端から第1ナット30Gを締めこむことによって、排水管30Bは手洗器本体30Mに連結されている。手洗器本体30Mの下端と、タイルシート50の上面との間には片面接着シート30K及びシリコーン樹脂30Lが挟み込まれている。
【0026】
第2パッキン30E、第1ワッシャ30F、及び第1ナット30Gは、第1縮径部10Dより下方に突出していない。排水管30Bには第2ワッシャ30Hが挿通されている。第2ワッシャ30Hは、第2パッキン30E、第1ワッシャ30F、及び第1ナット30Gを覆うように第1縮径部10Dの下端に当接している。カウンタ本体10Aの下方に突出した排水管30Bの他端から第2ナット30Jを締め込むことによって、手洗器30は、カウンタ10に連結されている。第2ワッシャ30H、及び第2ナット30Jは、第1貫通孔10Cより下方に突出していない。
【0027】
水栓金具31は、
図5に示すように、水栓本体31Aがカウンタ10に取り付けられた状態において、鉛直方向に伸びている。水栓本体31Aの上端部には、水栓本体31Aが伸びる方向に対して交差する方向に筒状をなして伸び、先端部に吐水口31Dが形成された吐水部31Bが設けられている。水栓本体31Aの上端部には、操作ハンドル31Cが設けられている。水栓本体31Aの下端部にはカウンタ本体10Aの第2貫通孔10E及びタイルシート50の第2挿通孔50Fに挿通する挿通管31Eが設けられている。挿通管31Eの外周面には、ねじ山が形成されている。
【0028】
カウンタ10は、挿通管31Eに挿通された第3パッキン31Fと第4パッキン31Gとによって、第2挿通孔50Fの周囲の上面と第2縮径部10Fの周囲の下面とが挟み込まれている。挿通管31Eには第4パッキン31Gの下端に隣接して第3ワッシャ31Hが挿通されている。カウンタ本体10Aの下方に突出した挿通管31Eの他端から第3ナット31Jを締め込むことによって、水栓金具31はカウンタ10に連結されている。第4パッキン31G、第3ワッシャ31H、及び第3ナット31Jは、第2貫通孔10Eより下方に突出していない。
【0029】
〔カウンタの施工方法〕
次に、カウンタ10の施工方法について説明する。カウンタ本体10Aの小口には、例えば、カウンタ本体10Aを製造する工場等において隠蔽部材10Bが張り付けられる。隠蔽部材10Bは、カウンタ本体10Aの四つの小口のうちの隣合う二つの小口に取り付けられる。カウンタ本体10Aの所定の位置には、カウンタ本体10Aを製造する工場等において第1貫通孔10C、及び第2貫通孔10Eが予め貫通して形成される。
【0030】
タイルシート50に対して、例えば、タイルシート50を製造する工場等において、手洗器30及び水栓金具31を挿通する第1挿通孔50E、及び第2貫通孔10Eが形成される。具体的には、第1挿通孔50Eは第1貫通孔10Cに連通し、第2挿通孔50Fは第2貫通孔10Eに連通するようにタイルシート50に貫通して形成される。
【0031】
次に、隠蔽部材10Bが張り付けられたカウンタ本体10Aを所定の場所(以下、施工場所ともいう)に設置する。具体的には、先ず、カウンタ10を施工する施工業者は、ブラケット90を、壁面W1に対してねじ留めする(
図2参照。)。ねじ留めには、ねじSを用いる。ブラケット90は、カウンタ本体10Aを支持するためのものである。次に、
図6に示すように、施工業者は、壁面W1に取り付けられたブラケット90に、カウンタ本体10Aを載置する。このとき、施工業者は、カウンタ本体10Aの長手方向の寸法が施工場所に対して適正な寸法であるかを確認する。
【0032】
確認した結果、カウンタ本体10Aの長手方向の寸法を調整する必要がある場合、施工業者は、隠蔽部材10Bが張り付けられた状態のカウンタ本体10Aを隠蔽部材10Bと共に切断する切断手順を現場にて実行する。この時点において、カウンタ本体10Aには、タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70が貼着されていない。このため、カウンタ本体10Aは、タイルを切断するための工具を用いることなく、電動のこぎり等を用いて容易に切断することができる。
【0033】
次に、隠蔽部材10Bが張り付けられていない二つの小口の各々を壁面W1,W2に当接させた状態を維持して、カウンタ本体10Aをブラケット90に対してねじTを用いてねじ留めする(
図2参照。)。
【0034】
次に、張付け手順、及び補助タイルシート張付け手順を実行する。張付け手順では、施工業者は、複数のタイル50Aをシート状に連結したタイルシート50,50Dをカウンタ本体10Aの表面に張り付ける。補助タイルシート張付け手順では、施工業者は、タイルシート50,50Dのタイル50Aと異なる形状の異形タイル70Aをシート状に連結した補助タイルシート70をタイルシート50Dの張り付け領域に隣接する領域Rに張り付ける。
【0035】
具体的には、
図7に示すように、施工業者がカウンタ本体10Aの上面にタイルシート50,50D、及び補助タイルシート70を貼着する。先ず、施工業者は、隠蔽部材10Bの上面や外側の面、及び壁面W1,W2にマスキングテープを張り付ける。施工業者は、壁面W1,W2の各々に当接する隠蔽部材10Bの上端同士を水平方向に繋ぐようにマスキングテープを張り付ける。ただし、マスキングテープを張り付けた状態は、図示しない。
【0036】
次に、施工業者は、タイルシート50,50Dをカウンタ本体10Aの上面に配置して、カウンタ本体10Aに対するタイルシート50,50Dの寸法を確認する。具体的には、タイルシート50,50Dの第2目地50Cと隠蔽部材10Bとの間、タイルシート50,50Dの第2目地50Cと壁面W1との間、及び隣合う第2目地50C同士の間に所定の隙間が形成されるようにタイルシート50,50Dをカウンタ本体10Aの上面に配置する。
【0037】
このとき、壁面W2と、壁面W2に向かい合う第2目地50Cとの間の隙間がタイル50Aの一辺の寸法より短く且つ所定の隙間よりも広い場合や、所定の隙間自体が設けられない場合(つまり、所定の隙間にならない場合)、壁面W2に隣合い一列をなすタイルシート50Dのタイル50Aを第1目地50Bに沿ってカッターナイフ等を用いて取り除く(
図8参照。)。これによって、タイルシート50Dの張り付け領域に隣接する領域Rを設ける。
【0038】
次に、施工業者は、タイルシート50Dを切断してタイル50Aを取り除いたことによって露出したカウンタ本体10Aの上面の領域Rに補助タイルシート70を配置する。補助タイルシート70は、
図9に示すように、異形タイル70Aの短辺の寸法が異なるものが予め複数種類用意されている。これら補助タイルシート70の中から、タイルシート50Dの第2目地50Cと第2目地50Cに向かい合う第4目地70Cとの間の隙間、及び壁面W2と壁面W2に向かい合う異形タイル70Aのとの間の隙間が所定の隙間に最も近くなるものを選び、露出したカウンタ本体10Aの上面の領域Rに配置する。
【0039】
次に、施工業者は、タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70をカウンタ本体10Aの上面に貼着する。具体的には、施工業者は、カウンタ本体10Aの上面にシリコーン樹脂を満遍なく塗布する。そして、施工業者は、シリコーン樹脂が硬化する前にタイルシート50,50D、及び補助タイルシート70をシリコーン樹脂が塗布されたカウンタ本体10Aの上面に配置する。このとき、タイルシート50,50Dの側面は隠蔽部材10Bによって隠蔽されることになる。つまり、隠蔽手順は、張付け手順と同一の工程によって実現される。補助タイルシート70は、領域Rに張り付けられる。
【0040】
次に、施工業者は、手洗器30をカウンタ10に取り付ける。先ず、
図10に示すように、施工業者は、手洗器本体30Mの下端の排水管30Bの周囲を囲む位置に片面接着シート30Kを貼着する。片面接着シート30Kは、例えば、合成樹脂製であり、片面に接着剤が塗布され、接着剤へのごみの付着を防止するごみ付着防止シートが予め接着面に張り付けられている。ただし、ごみ付着防止シートは図示しない。手洗器本体30Mの下端に接着剤が露出した側の面を当接させることによって片面接着シート30Kは、手洗器本体30Mに貼着される。
【0041】
次に、施工業者は、タイルシート50の第1挿通孔50Eの周囲の装飾面にシリコーン樹脂30Lを塗布する。次に、施工業者は、手洗器30の排水管30Bを第1挿通孔50E及び第1貫通孔10Cに挿通する。このとき、接着剤が露出した片面接着シート30Kの他方の面にシリコーン樹脂30Lが接触する。次に、施工業者は、カウンタ本体10Aの下方に突出した排水管30Bに第2ワッシャ30Hを挿通させて、第2ナット30Jを締め込む(
図4参照。)。こうして、手洗器30はカウンタ10に連結される。
【0042】
次に、施工業者は、水栓金具31をカウンタ10に取り付ける。先ず、施工業者は、挿通管31Eに第3パッキン31Fを挿通する。次に、施工業者は、挿通管31Eを第2挿通孔50F及び第2貫通孔10Eに挿通する。次に、施工業者は、カウンタ本体10Aの下方に突出した挿通管31Eに第4パッキン31G及び第3ワッシャ31Hを挿通させて、第3ナット31Jを締め込む(
図5参照。)。こうして、水栓金具31はカウンタ10に取り付けられる。
【0043】
次に、施工業者は、タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70にマスキングテープを張り付ける。具体的には、施工業者は、第2目地50C、及び第4目地70Cに沿うようにタイルシート50,50D、及び補助タイルシート70の装飾面にマスキングテープを張り付ける。ただし、マスキングテープを張り付けた状態は図示しない。次に、施工業者は、タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70の互いの間の隙間、タイルシート50,50D、及び補助タイルシート70と壁面W1,W2及び隠蔽部材10Bとの間の隙間に充填剤Fを充填する(
図1参照。)。次に、施工業者は、シリコーン樹脂が硬化する前にマスキングテープを取り除く。こうして、カウンタ10は施工場所に施工される。
【0044】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0045】
本開示の補助タイルシート70は、複数のタイル50Aをシート状に連結したタイルシート50,50Dが張り付けられる張付け面に隣接する面に張り付けられる補助タイルシート70であって、タイル50Aと異なる形状の異形タイル70Aをシート状に連結している。この構成によれば、補助タイルシート70は異形タイル70Aが予めシート状に連結されているため、タイルシート50,50Dが張り付けられる張付け面に隣接する面に対して、施工業者がタイル50Aを切断して作製した異形タイル70Aを1つずつ貼着する手間がかからない。
【0046】
本開示の補助タイルシート70は、タイル50Aと同じ外形である複数のタイル50Aを一方向に並べた列を一列有している。この構成によれば、タイルシート50,50Dを構成するタイル50Aの外形より小さい領域だけでなく、タイルシート50Aの外形より大きい領域も良好に埋めることができる。
【0047】
本開示の補助タイルシート70は、平面視において、タイル50Aが正方形状であり、異形タイル70Aにおいて、タイル50Aと向かい合う一辺の長さは、タイル50Aの一辺の長さと等しい。この構成によれば、タイルシート50,50Dを構成するタイル50Aの一辺と同じ寸法の異形タイル70Aの辺をタイル50Aの一辺に向かい合わせることによって、タイルシート50,50Dにおけるタイル50Aの並び方のパターンを崩すことなく、タイルシート50,50Dが張り付けられる張付け面に隣接する面を埋めることができる。
【0048】
本開示のカウンタの施工方法は、複数のタイル50Aをシート状に連結したタイルシート50,50Dを張り付ける張付け面に隣接する面に、タイル50Aと異なる形状の異形タイル70Aをシート状に連結した補助タイルシート70を張り付ける手順を含む。この構成によれば、シート状に連結された補助タイルシート70を用いるため、施工業者がタイル50Aを1つずつ切断して異形タイル70Aを製作する手間がかからない。
【0049】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、正方形状のタイルを連結している。これに限らず、長方形状のタイルを連結してもよい。この場合、第1目地が通し目地を形成するように碁盤目状にタイルを並べることが好ましい。
(2)実施形態1では、カウンタ本体の小口のうちの二辺に隠蔽部材を取り付けている。これに限らず、カウンタ本体の長辺の小口の一方にのみ隠蔽部材を取り付けてもよい。これによって、カウンタ本体の短辺の小口の各々において、長辺方向の長さを調整することができる。さらに、カウンタ本体の小口のうちの三辺に隠蔽部材を取り付けてもよい。
(3)実施形態1では、カウンタ本体の長辺方向の長さを調整している。これに限らず、カウンタ本体の短辺方向の長さを調整してもよい。
(4)実施形態1では、タイルの材質が磁器質である。タイルの材質はこれに限定されない。
(5)実施形態1では、カウンタ本体の小口、及びタイルの側面を隠蔽部材を用いて隠蔽している。これに限らず、タイルの側面のみを隠蔽部材を用いて隠蔽してもよい。具体的には、カウンタ本体の上面の外周縁に沿うように隠蔽部材を貼着することが考えられる。
(6)実施形態1では、補助タイルシートは、タイルシートのタイルと同じ外形のタイルを一方向に並べた列を一列有している。これに限らず、タイルシートのタイルと同じ外形のタイルを一方向に並べた列を二列以上有してもよい。
(7)補助タイルシートの長辺に沿った第4目地は、補助タイルシートのタイル側に設けなくてもよい。
(8)カウンタの設置場所は、洗面室に限られず、例えば、玄関などでもよい。
(9)カウンタの用途は、手洗いに限られず、例えば、洗面用などでもよい。
【0050】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0051】
50,50D…タイルシート、50A…タイル、70…補助タイルシート、70A…異形タイル