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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/34 20060101AFI20240105BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20240105BHJP
   H03F 1/30 20060101ALI20240105BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H03F3/34 220
G01D5/12 C
H03F1/30 210
H03F3/45 220
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018213086
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080486
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 明宏
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-188516(JP,A)
【文献】特開2007-49220(JP,A)
【文献】特開2004-235797(JP,A)
【文献】特開2006-174122(JP,A)
【文献】特開昭60-87509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
G01D5/14-5/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1オペアンプと、
第2オペアンプと、
前記第1オペアンプの出力端と前記第1オペアンプの反転入力端とを接続する第1抵抗と、
前記第2オペアンプの出力端と前記第2オペアンプの反転入力端とを接続する第2抵抗と、
前記第1オペアンプの反転入力端と前記第1抵抗とが接続される第1接続ノードと、前記第2オペアンプの反転入力端と前記第2抵抗とが接続される第2接続ノードとを接続する第3抵抗と、
前記第1オペアンプの出力と前記第2オペアンプの出力を差動増幅する後段アンプと、
前記第3抵抗の中点に所定電圧を印加させるための電圧印加端と、
を有し、
前記中点と前記第1オペアンプの非反転入力端は、非接続であり、
前記中点と前記第2オペアンプの非反転入力端は、非接続であり、
前記後段アンプは、
第3オペアンプと、
前記第1オペアンプの前記出力端に接続される一端を含む第1後段抵抗と、
前記第1後段抵抗の他端と前記第3オペアンプの非反転入力端とに接続される一端と、参照電圧を印加可能な他端と、を含む第2後段抵抗と、
前記第2オペアンプの前記出力端に接続される一端を含む第3後段抵抗と、
前記第3後段抵抗の他端と前記第3オペアンプの反転入力端とに接続される一端と、前記第3オペアンプの出力端に接続される他端と、を含む第4後段抵抗と、
を有し、
前記電圧印加端は、半導体チップに設けられるパッドであり、前記中点に直接的に接続され、
前記第1オペアンプ、前記第2オペアンプ、前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗、前記第3オペアンプ、前記第1後段抵抗、前記第2後段抵抗、前記第3後段抵抗、および、前記第4後段抵抗は、前記半導体チップに含まれる、増幅器において、
前記第2オペアンプの非反転入力端または前記第1オペアンプの非反転入力端に印加させる電圧と略同一の電圧を前記中点に前記電圧印加端によって印加する第1工程と、
前記後段アンプの出力端または前記後段アンプの参照電圧印加端の電圧をモニタする第2工程と、
を含み、
第1イネーブル信号によって前記第1オペアンプをパワーダウンさせ、第2イネーブル信号によって前記第2オペアンプをパワーオンさせ、第3イネーブル信号によって前記第3オペアンプをパワーダウンさせた状態において、前記第2オペアンプの非反転入力端と前記電圧印加端に略同一の電圧を印加させた状態で、前記後段アンプの出力端の電圧をモニタすることで、前記第2オペアンプの単体でのオフセットを測定する工程と、
前記第1イネーブル信号によって前記第1オペアンプをパワーオンさせ、前記第2イネーブル信号によって前記第2オペアンプをパワーダウンさせ、前記第3イネーブル信号によって前記第3オペアンプをパワーダウンさせた状態において、前記第1オペアンプの非反転入力端と前記電圧印加端に略同一の電圧を印加させた状態で、前記参照電圧印加端の電圧をモニタすることで、前記第1オペアンプの単体でのオフセットを測定する工程と、
を含む、オペアンプのオフセット測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な計装用アンプ(インスツルメンテーションアンプとも呼ばれる)が提案されている。例えば、特許文献1には、加速度センサから出力される微小な差動出力電圧を増幅して出力する計装用アンプが開示されている。
【0003】
ここで、従来の計装用アンプの一構成例を図11に示す。図11に示す計装用アンプIAは、第1前段アンプAP11と、第2前段アンプAP12と、後段アンプAP2と、を備える。また、計装用アンプIAは、入力端子Tinp,Tinnと、出力端子Toutと、参照端子Trefと、を更に備える。
【0004】
第1前段アンプAP11は、第1オペアンプA1と、抵抗R1と、抵抗R3と、から非反転増幅回路として構成される。第1オペアンプA1の非反転入力端(+)には、入力端子Tinpから入力される入力電圧VINPが印加される。第1オペアンプA1の出力端は、抵抗R1を介して第1オペアンプA1の反転入力端(-)に帰還接続される。抵抗R1と第1オペアンプA1の反転入力端とが接続される接続ノードN1には、抵抗R3の一端が接続される。
【0005】
第2前段アンプAP12は、第2オペアンプA2と、抵抗R2と、抵抗R3と、から非反転増幅回路として構成される。第2オペアンプA2の非反転入力端には、入力端子Tinnから入力される入力電圧VINNが印加される。第2オペアンプA2の出力端は、抵抗R2を介して第2オペアンプA2の反転入力端に帰還接続される。抵抗R2と第2オペアンプA2の反転入力端とが接続される接続ノードN2には、抵抗R3の他端が接続される。
【0006】
第1前段アンプAP11は、抵抗R1,R3の抵抗値で決まるゲインで入力電圧VINPを増幅して第1オペアンプA1の出力端から出力する。第2前段アンプAP12は、抵抗R2,R3の抵抗値で決まるゲインで入力電圧VINNを増幅して第2オペアンプA2の出力端から出力する。第1前段アンプAP11と第2前段アンプA12は、同じゲイン値に設定される。なお、抵抗R1~R3は、可変抵抗により構成してもよい。
【0007】
後段アンプAP2は、第3オペアンプA3と、抵抗R4~R7と、から差動増幅回路として構成される。抵抗R4の一端は、第1オペアンプA1の出力端に接続される。抵抗R4の他端は、第3オペアンプA3の非反転入力端に接続される。抵抗R4と第3オペアンプA3の非反転入力端との接続ノードN3は、抵抗R6の一端に接続される。抵抗R6の他端は、参照端子Trefに接続される。参照端子Trefには、参照電圧VREFが印加される。
【0008】
抵抗R5の一端は、第2オペアンプA2の出力端に接続される。抵抗R5の他端は、第3オペアンプA3の反転入力端に接続される。抵抗R5と第3オペアンプA3の反転入力端との接続ノードN4は、抵抗R7の一端に接続される。抵抗R7の他端は、第3オペアンプA3の出力端とともに出力端子Toutに接続される。
【0009】
第1前段アンプAP11および第2前段アンプA12のそれぞれから出力される増幅後の電圧は、後段アンプAP2に差動入力として入力され、後段アンプAP2によって増幅されて出力端子Toutから出力電圧Voutとして出力される。抵抗R4~R7の抵抗値によって後段アンプAP2のゲインが決定される。但し、抵抗R4とR5の抵抗値は等しく、抵抗R6とR7の抵抗値は等しい。なお、抵抗R4~R7を可変抵抗として、後段アンプAP2のゲインを変更可能としてもよい。
【0010】
ここで、上記のような計測用アンプIAにおいて、各オペアンプA1~A3はオフセットを有し、各オペアンプA1~A3の各入力オフセットをA,B,Cとすれば、後段アンプAP2の出力、すなわち計測用アンプIA全体としての出力における出力オフセットOFFSET_OUTは、下記式のように表される。
OFFSET_OUT = GAIN×((Gain_Pre×(A-B))+C)
但し、Gain_Pre:第1前段アンプAP11および第2前段アンプAP12のゲイン、GAIN:後段アンプAP2のゲイン
【0011】
従って、各オペアンプA1,A2の各入力オフセットA,Bを等しくなるように、且つオペアンプA3の入力オフセットCを0に近づけるように調整すれば、出力オフセットOFFSET_OUTを小さくすることができる。各オペアンプA1~A3は、外部より入力されるオフセット調整信号OFSTIP,OFSTIN,OFST2によってオフセットを調整可能である。そこで、従来は、上記出力オフセットOFFSET_OUTをモニタしつつ、オフセット調整信号OFSTIP,OFSTIN,OFST2を調整することで、出力オフセットOFFSET_OUTを0に近づける調整を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2006-174122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、図12は、周囲温度とオペアンプのオフセットとの関係の一例を示すグラフである。図12においてオフセットが0mV、+10mV、-10mVのそれぞれで3つの直線で示しているのは、3つのオペアンプの個体差によるバラツキである。このように、オフセット調整機能を有するオペアンプは、オフセットを0付近に調整したほうがオフセットの温度依存性が小さくなる。
【0014】
しかしながら、上述した従来の出力オフセットOFFSET_OUTの調整方法では、入力オフセットA,Bは等しくはなるが0付近ではない値に調整されている可能性があった(例えば、A=B=10mV等)。従って、従来では、計装用アンプIAのオフセット調整に際して温度依存性までは適正化されていない可能性があった。
【0015】
なお、特許文献1には、オフセット電圧調整回路の開示はあるが、上述のような前段側のオペアンプにおけるオフセット調整に関する課題を解決するものではなかった。
【0016】
上記状況に鑑み、本発明は、オフセット調整に際して温度依存性の適正化を図ることのできる増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る増幅器は、
第1オペアンプと、
第2オペアンプと、
前記第1オペアンプの出力端と前記第1オペアンプの反転入力端とを接続する第1抵抗と、
前記第2オペアンプの出力端と前記第2オペアンプの反転入力端とを接続する第2抵抗と、
前記第1オペアンプの反転入力端と前記第1抵抗とが接続される第1接続ノードと、前記第2オペアンプの反転入力端と前記第2抵抗とが接続される第2接続ノードとを接続する第3抵抗と、
前記第1オペアンプの出力と前記第2オペアンプの出力を差動増幅する後段アンプと、
前記第3抵抗の中点に所定電圧を印加させるための電圧印加端と、
を有する(第1の構成)。
【0018】
また、上記第1の構成において、前記電圧印加端は、半導体チップに設けられるパッドであり、前記中点に直接的に接続されることとしてもよい(第2の構成)。
【0019】
また、上記第1の構成において、前記電圧印加端は、第1スイッチを介して前記中点に接続されることとしてもよい(第3の構成)。
【0020】
また、上記第3の構成において、前記電圧印加端は、リードフレームであることとしてもよい(第4の構成)。
【0021】
また、上記第4の構成において、前記電圧印加端は、前記第1オペアンプの非反転入力端に接続される入力端子、または前記第2オペアンプの非反転入力端に接続される入力端子であることとしてもよい(第5の構成)。
【0022】
また、上記第4の構成において、前記中点と第2スイッチを介して接続されるモニタ用端子を更に有することとしてもよい(第6の構成)。
【0023】
また、上記第4の構成において、前記電圧印加端は、前記第1オペアンプの非反転入力端に接続される第1入力端子であり、
当該増幅器は、前記第2オペアンプの非反転入力端に接続される第2入力端子を更に有し、
前記第1入力端子と前記第1オペアンプの非反転入力端とが接続される第3接続ノードは、前記第1スイッチの一端に接続され、
前記第1スイッチの他端は、第3スイッチの一端に接続され、
前記第2入力端子と前記第2オペアンプの非反転入力端とが接続される第4接続ノードは、前記第3スイッチの他端に接続され、
前記第1スイッチと前記第3スイッチとが接続される第5接続ノードは、前記中点に接続されることとしてもよい(第7の構成)。
【0024】
また、上記第3の構成において、前記電圧印加端には、前記半導体チップの内部電圧が印加されることとしてもよい(第8の構成)。
【0025】
また、上記第8の構成において、前記電圧印加端は、第4スイッチを介して前記第1オペアンプの非反転入力端または前記第2オペアンプの非反転入力端に接続されることとしてもよい(第9の構成)。
【0026】
また、上記第8の構成において、前記第1スイッチの一端は、前記第1オペアンプの非反転入力端と接続され、
前記第1スイッチの他端は、第5スイッチの一端と接続され、
前記第5スイッチの他端は、前記第2オペアンプの非反転入力端と接続され、
前記第1スイッチと前記第5スイッチとが接続される第6接続ノードは、前記中点に接続され、
前記電圧印加端は、第6スイッチを介して前記第1オペアンプの非反転入力端と接続されることとしてもよい(第10の構成)。
【0027】
また、上記第3から第10のいずれかの構成において、リードフレームである出力端子を更に有し、前記出力端子は、第4スイッチを介して前記後段アンプの出力端に接続されることとしてもよい(第11の構成)。
【0028】
また、本発明の他の一態様は、センサから出力される入力電圧を入力可能な上記いずれかの構成の増幅器を有するセンサ信号処理装置である(第12の構成)。
【0029】
また、本発明の他の一態様は、上記第12の構成のセンサ信号処理装置と、前記センサ信号処理装置から出力される処理済のセンサ信号を入力されるプロセッサを有するECU(電子制御ユニット)と、を有する車両制御システムである(第13の構成)。
【0030】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかの構成の増幅器において、前記第2オペアンプの非反転入力端または前記第1オペアンプの非反転入力端に印加させる電圧と略同一の電圧を前記中点に前記電圧印加端によって印加する第1工程と、前記後段アンプの出力端または前記後段アンプの参照電圧印加端の電圧をモニタする第2工程と、を含むオペアンプのオフセット測定方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、オフセット調整に際して温度依存性の適正化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】車両制御システムの一構成例を示すブロック図である。
図2】センサAFE(アナログフロントエンド)用ICの一構成例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図4】第2実施形態に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図5】第3実施形態に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図6】第4実施形態に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図7】第5実施形態に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図8】第1変形例に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図9】第2変形例に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図10】第3変形例に係る計装用アンプの構成を示す回路図である。
図11】従来の計装用アンプの一構成例を示す回路図である。
図12】周囲温度とオペアンプのオフセットとの関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明の用途の一例として車載用を例に挙げて説明する。なお、本発明の用途としては、車載用に限らず、産業機械用、民生用等としてもよい。
【0034】
<1.車両制御システム>
図1は、車両制御システムの一構成例を示すブロック図である。図1に示す車両制御システム5は、センサモジュール1と、センサ2と、ECU(電子制御ユニット)3と、各種アクチュエータ4と、各種ECU301と、を有し、これらの各構成部は車両に搭載される。
【0035】
センサモジュール1は、センサ11と、センサAFE12と、を含む。センサ11は、圧力センサ、磁気センサ、赤外線センサ等により構成される。センサAFE(アナログフロントエンド)12は、センサ11により検出される微弱な検出信号をECU3のMPU(マイクロプロセッサユニット)31で処理できる信号に増幅・変換する回路である。
【0036】
センサ2は、センサ1と同様に、圧力センサ、磁気センサ、赤外線センサ等により構成される。ECU3は、MPU31とともにセンサAFE32を有する。すなわち、センサAFEは、センサAFE12のようにECU3の外部においてセンサモジュール1の構成部として設けてもよいし、センサAFE32のようにセンサ2とは別としてECU3の内部に設けてもよい。センサAFE32は、センサ2により検出される微弱な検出信号をMPU31で処理できる信号に増幅・変換する回路である。
【0037】
なお、センサAFE12およびセンサAFE32は、後述するように本発明の一実施形態に係る増幅器を有する。
【0038】
また、図1ではセンサモジュール1とセンサ2を図示しているが、いずれか一方のみでもよいし、更にセンサモジュールとセンサの少なくともいずれかを追加して設けるようにしてもよい。センサ11およびセンサ2は、圧力センサであった場合は、例えば高効率ガソリンエンジン制御、ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム)制御、排ガス浄化制御、パワースライドドア制御等に用いられる。センサ11およびセンサ2は、磁気センサであった場合は、例えば自動変速トランスミッション制御、高効率ガソリンエンジン制御、ABS制御、ステアリングバイワイヤ制御、スロットルバイワイヤ制御等に用いられる。センサ11およびセンサ2は、赤外線センサであった場合は、例えばオートエアコン制御、オートライト制御等に用いられる。
【0039】
ECU3は、パワートレイン制御、車両制御、ボデー制御等の用途ごとに構成され、1つの車両に例えば50~100ユニットが配置される。ECU3は、MPU31と、センサAFE32と、EEPROM33と、駆動部34と、通信インタフェース35と、を有する。なお、ECU3は、他にも電源IC等の不図示の構成部を有する。
【0040】
MPU31は、A/Dコンバータ31Aと、シリアル通信部31Bと、を含む。A/Dコンバータ31Aは、センサAFE12またはセンサAFE32によってセンサ11またはセンサ2の検出信号から変換・出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する。シリアル通信部31Bは、センサAFE12またはセンサAFE32によってセンサ11またはセンサ2の検出信号から変換されたデジタル信号をシリアル通信により受信する。MPU31は、A/Dコンバータ31Aおよびシリアル通信部31Bによって取得したセンサの検出信号に基づいて各種の処理を行う。
【0041】
EEPROM33は、プログラムコードや各種データ等を記憶する。駆動部34は、少なくとも1つのドライバ34Aを含み、MPU31からの指令に基づいて各種アクチュエータ4を駆動する。
【0042】
通信インタフェース35は、ECU3とは別の各種ECU301と、例えば、LIN(Local Interconnect Network)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)等のプロトコルによるネットワークを介して通信を行う。
【0043】
<2.センサAFE用IC>
ここで、センサAFEの具体的な構成例について述べる。図2は、センサAFE用IC(センサ信号処理装置)の一構成例を示すブロック図である。なお、図2に示すセンサAFE用IC6は、先述した図1で説明したセンサAFE12またはセンサAFE32に相当する。
【0044】
センサAFE用IC6は、D/A部60と、計装用アンプ(増幅器)61と、A/D部62と、温度センサ63と、デジタルブロック64と、D/A部65と、有して、これらの構成部を1つのチップに集積化して構成される半導体ICである。
【0045】
センサAFE用IC6は、図2に示すようにセンサヘッド部7から入力される検出信号を処理する。センサヘッド部7は、抵抗R71~R74によるホイートストンブリッジから構成され、上述した図1で説明したセンサ11またはセンサ2に含まれる。すなわち、センサヘッド部7は、圧力センサ、磁気センサ、赤外線センサ等の一部である。
【0046】
抵抗R71の一端と抵抗R73の一端とは、接続ノードN71で接続される。抵抗R71の他端と抵抗R72の一端は、接続ノードN73で接続される。抵抗R73の他端と抵抗R74の一端は、接続ノードN74で接続される。抵抗R72の他端と抵抗R74の他端は、接続ノードN72で接続される。接続ノードN72には、グランド電位が印加される。
【0047】
センサヘッド部7は、抵抗R71~R74の抵抗値変化を接続ノードN73、N74間の出力電圧として検出する。接続ノードN73の電圧が入力電圧VINPとして、接続ノードN74の電圧が入力電圧VINNとして計装用アンプ61へ入力される。
【0048】
ドライバ60は、D/Aコンバータ60Aと、LNA(ローノイズアンプ)60Bと、を含む。D/Aコンバータ60Aは、デジタルブロック64に含まれるドライブコントローラ64Aから出力されるデジタル信号をD/A変換してアナログ信号をLNA60Bに出力する。LNA60Bは、入力されるアナログ信号を増幅してDC電圧としてのドライブ信号DRVを接続ノードN71へ出力する。これにより、D/A部60は、安定したDC電圧をセンサヘッド部7へ出力することができる。なお、D/A部60に限らず、DC電流源やAC信号源を用いてもよい。
【0049】
計装用アンプ61は、後に詳述するように前段側と後段側で構成される。計装用アンプ61にセンサヘッド部7から入力された入力電圧VINP,VINNは、前段側によってそれぞれ増幅され、後段側によって更に差動増幅されて出力電圧VOUTとして出力される。
【0050】
A/D部62は、セレクタ62Aと、A/Dコンバータ62Bと、を含む。セレクタ62Aは、計装用アンプ61から出力される出力電圧VOUTと、温度センサ63から出力される温度検出信号のいずれかを選択してA/Dコンバータ62Bへ出力する。A/Dコンバータ62Bは、セレクタ62Aから入力されるアナログ信号をA/D変換して、デジタル信号をデジタルブロック64へ出力する。
【0051】
デジタルブロック64に含まれる温度補正部64Bは、A/Dコンバータ62Bから出力されるデジタル信号としての出力電圧VOUTおよび温度検出信号に基づき、計測結果である出力電圧VOUTに対して温度補正演算を行う。MPUインタフェース64Cは、温度補正部64Bによる補正後の計測結果をシリアル信号としてMPU31(図1)に出力する。
【0052】
D/A部65は、D/Aコンバータ65Aと、LNA65Bと、を含む。D/Aコンバータ65Aは、温度補正部64Bによる補正後の計測結果をD/A変換して、アナログ信号を出力する。LNA65Bは、D/Aコンバータ65Aから入力されるアナログ信号を増幅してDC電圧を出力する。出力されたDC電圧は、MPU31(図1)へ入力される。
【0053】
このように、センサAFE用IC6は、センサヘッド部7による計測結果に対して増幅処理等を行い、デジタル信号またはアナログ信号として出力する。
【0054】
<計装用アンプの第1実施形態>
次に、上述した計装用アンプ61の第1実施形態について述べる。図3は、第1実施形態に係る計装用アンプ611の構成を示す回路図である。
【0055】
図3に示す半導体チップ6CPは、パッケージ品としてのセンサAFE用IC6に含まれる。計装用アンプ611は、上述した図11で示した計装用アンプIAと同様の構成を有する。すなわち、計装用アンプ611は、第1オペアンプA1、第2オペアンプA2、第3オペアンプA3、および抵抗R1~R7を有し、第1オペアンプA1により第1前段アンプAP11が構成され、第2オペアンプA2により第2前段アンプAP12が構成され、第3オペアンプA3により後段アンプAP2が構成される。
【0056】
第1オペアンプA1、第2オペアンプA1、および第3オペアンプA3はそれぞれ、オフセット調整信号OFSTIP、OFSTIN、OFST2によってオフセットを調整可能である。オペアンプ内部の差動入力段における1対のトランジスタの特性の差によってオフセットが生じるので、オフセット調整信号によって差動入力段における電流調整を行うことで、オフセットを調整できる。
【0057】
計装用アンプ611は、入力用パッドPinp、入力用パッドPinn、入力端子Tinp、入力端子Tinn、調整用電圧用パッド(電圧印加端)Pvcm、出力用パッドPout、参照電圧用パッドPref、および参照端子Trefを更に有する。
【0058】
半導体チップ6CPには、第1オペアンプA1、第2オペアンプA2、第3オペアンプA3、および抵抗R1~R7とともに、入力用パッドPinp、入力用パッドPinn、調整用電圧用パッドPvcm、出力用パッドPout、および参照電圧用パッドPrefが含まれる。なお、図3では図示しないが、半導体チップ6CPには、その他の図2で示したセンサAFE用IC6の各構成(ドライバ60等)も含まれる。以降の実施形態の図面についても同様である。
【0059】
入力用パッドPinpは、第1オペアンプA1の非反転入力端に接続される。入力用パッドPinnは、第2オペアンプA2の非反転入力端に接続される。
【0060】
調整用電圧用パッドPvcmは、抵抗R3の中点に接続される。ここで、調整用電圧用パッドPvcmは、後述する他の実施形態のスイッチ等は介さずに抵抗R3の中点に接続される。すなわち、調整用電圧用パッドPvcmは、直接的に上記中点に接続される。
【0061】
出力用パッドPoutは、第3オペアンプA3の出力端に接続される。参照電圧用パッドPrefは、抵抗R6の一端に接続される。出力用パッドPoutは、セレクタ62A(図2)に接続される。
【0062】
入力端子Tinp、入力端子Tinn、および参照端子Trefは、パッケージ品としてのセンサAFE用IC6のリードフレームとして構成される。入力端子Tinpと入力用パッドPinp、入力端子Tinnと入力用パッドPinn、参照端子Trefと参照電圧用パッドPrefとは、それぞれボンディングワイヤによって接続される。
【0063】
ここで、パッケージ品であるセンサAFE用IC6の製造工程においては、半導体ウエハにおいて所望の回路を構成した後に、個片の半導体チップ6CPに切り出すダイシング工程が行われる。また、個片に切り出す前の状態の半導体チップ6CPを検査するEDS(Electric Die Sort)工程が行われる。本実施形態では、EDS工程において、各オペアンプA1~A3のオフセット測定およびオフセット調整が行われる。以下、これについて述べる。
【0064】
イネーブル信号P_ENによって第1オペアンプA1をパワーダウンさせ、イネーブル信号PGA_ENによって第3オペアンプA3をパワーダウンさせ、イネーブル信号N_ENによって第2オペアンプA2をパワーオンした状態において、入力用パッドPinnと調整用電圧用パッドPvcmにそれぞれ、同電位の電圧VINN、VOM(VINN=VCOM)を不図示のプローブにて印加させる。この状態で、出力用パッドPoutの電圧VOUTを不図示のプローブにてモニタすることで、第2オペアンプA2の単体でのオフセットを測定することができる。
【0065】
そして、第2オペアンプA2のオフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFSTINが調整されることで、第2オペアンプA2のオフセットが調整される。ここでは、例えば、ヒューズの切断調整によってオフセット調整信号OFSTINが調整される。
【0066】
一方、イネーブル信号P_ENによって第1オペアンプA1をパワーオンさせ、イネーブル信号PGA_ENによって第3オペアンプA3をパワーダウンさせ、イネーブル信号N_ENによって第2オペアンプA2をパワーダウンさせた状態において、入力用パッドPinpと調整用電圧用パッドPvcmにそれぞれ、同電位の電圧VINP、VOM(VINP=VCOM)を不図示のプローブにて印加させる。この状態で、参照電圧用パッドPrefの電圧VREFを不図示のプローブにてモニタすることで、第1オペアンプA1の単体でのオフセットを測定することができる。
【0067】
そして、第1オペアンプA1のオフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFSTIPが調整されることで、第1オペアンプA1のオフセットが調整される。ここでは、例えば、ヒューズの切断調整によってオフセット調整信号OFSTIPが調整される。
【0068】
上述のように第1オペアンプA1および第2オペアンプA2のオフセット調整がされた後に、第3オペアンプA3のオフセット測定が行われる。具体的には、調整用電圧用パッドPvcmの電位はオープンとし、入力用パッドPinpと入力用パッドPinnとに同電位の電圧VINP,VINNを印加した状態で、出力用パッドPoutの電圧をモニタすることで、第3オペアンプA3のオフセットを測定することができる。そして、オフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFST2が調整されることで、第3オペアンプA3のオフセットが調整される。ここでは、例えば、ヒューズの切断調整によってオフセット調整信号OFST2が調整される。
【0069】
このように、本実施形態では、第1オペアンプA1と第2オペアンプA2のそれぞれ単体でのオフセット測定およびオフセット調整が可能となり、それぞれのオフセットを0付近に調整することができる。これにより、上述した図12に例えば示すように、オフセットの周囲温度への依存性を適正化することができる。更に、計装用アンプ61全体としてのオフセットを抑制することができる。
【0070】
なお、本実施形態のようにEDS工程においてオフセット調整を行う場合は、図12の例に示す常温T0のように、常温でオフセット調整を行うことが望ましい。これにより、使用温度範囲におけるオフセットを抑制することができる。
【0071】
上述のようなEDS工程におけるオフセット調整の後、半導体チップ6CPの入力用パッドPinp、入力用パッドPinn、および参照電圧用パッドPrefがそれぞれリードフレームである入力端子Tinp、入力端子Tinn、および参照端子Trefにボンディングワイヤにより接続され、モールド封止工程等を経て、パッケージ品としてのセンサAFE用IC6が製造される。
【0072】
センサAFE用IC6を製品として使用する際は、調整用電圧用パッドPvcmの電位はオープンとされ、センサヘッド部7(図2)から入力端子Tinpに入力電圧VINPが入力され、センサヘッド部7から入力端子Tinnに入力電圧VINNが入力され、参照端子Trefには参照電圧(例えばグランド電位)が印加される。
【0073】
<3.計装用アンプの第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る計装用アンプ612の構成を示す回路図である。ここでは、図4に示す計装用アンプ612の上述した第1実施形態(図3)との相違点について説明する。
【0074】
本実施形態で計装用アンプ612は、スイッチSW1、スイッチSW2、調整用端子(電圧印加端)Tvcm、および出力端子Toutを有する。調整用電圧用パッドPvcmは、スイッチSW1を介して抵抗R3の中点に接続されるとともに、ボンディングワイヤによってリードフレームとしての調整用端子Tvcmに接続される。出力用パッドPoutは、スイッチSW2を介して第3オペアンプA3の出力端に接続されるとともに、ボンディングワイヤによってリードフレームとしての出力端子Toutに接続される。
【0075】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、パッケージ品としてのセンサAFE用IC6が構成された状態で計装用アンプ612のオフセット調整が行われる。
【0076】
具体的には、スイッチSW1およびスイッチSW2をともにオンとした状態で、イネーブル信号P_ENによって第1オペアンプA1をパワーダウンさせ、イネーブル信号PGA_ENによって第3オペアンプA3をパワーダウンさせ、イネーブル信号N_ENによって第2オペアンプA2をパワーオンした状態とする。この状態で、入力端子Tinnと調整用端子Tvcmにそれぞれ、同電位の電圧VINN、VOM(VINN=VCOM)を印加させる。この状態で、出力端子Toutの電圧VOUTをモニタすることで、第2オペアンプA2の単体でのオフセットを測定することができる。
【0077】
そして、第2オペアンプA2のオフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFSTINが調整されることで、第2オペアンプA2のオフセットが調整される。ここでは、例えば、オフセット調整信号OFSTINを出力する不図示のD/Aコンバータに入力されるデジタル値が調整される。
【0078】
一方、スイッチSW1およびスイッチSW2をともにオンとした状態で、イネーブル信号P_ENによって第1オペアンプA1をパワーオンさせ、イネーブル信号PGA_ENによって第3オペアンプA3をパワーダウンさせ、イネーブル信号N_ENによって第2オペアンプA2をパワーダウンさせた状態とする。この状態で、入力端子Tinpと調整用端子Tvcmにそれぞれ、同電位の電圧VINP、VOM(VINP=VCOM)を印加させる。この状態で、参照端子Trefの電圧VREFをモニタすることで、第1オペアンプA1の単体でのオフセットを測定することができる。
【0079】
そして、第1オペアンプA1のオフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFSTIPが調整されることで、第1オペアンプA1のオフセットが調整される。ここでは、例えば、オフセット調整信号OFSTIPを出力する不図示のD/Aコンバータに入力されるデジタル値が調整される。
【0080】
上述のように第1オペアンプA1および第2オペアンプA2のオフセット調整がされた後に、第3オペアンプA3のオフセット測定が行われる。具体的には、スイッチSW1はオフとし、スイッチSW2はオンとし、入力端子Tinpと入力端子Tinnとに同電位の電圧VINP,VINNを印加した状態で、出力端子Toutの電圧をモニタすることで、第3オペアンプA3のオフセットを測定することができる。そして、オフセット測定結果に応じてオフセット調整信号OFST2が調整されることで、第3オペアンプA3のオフセットが調整される。ここでは、例えば、オフセット調整信号OFST2を出力する不図示のD/Aコンバータに入力されるデジタル値が調整される。
【0081】
このように、本実施形態であっても、第1オペアンプA1および第2オペアンプA2を個別に単体としてオフセットを0付近に調整することが可能となる。但し、調整用端子Tvcmに電圧を印加した際に、スイッチSW1に電流が流れるので、スイッチSW1のON抵抗によって、抵抗R3の中点での電圧に誤差が生じる。スイッチのON抵抗を小さくするには、素子サイズを大きくする必要がある。その観点では、スイッチが不要である先の第1実施形態のほうが有利である。
【0082】
なお、上記のように誤差を含んだ抵抗R3の中点での電圧と、入力端子Tinn,Tinpに印加する電圧VINN,VINPとの関係は、略同一であることに含まれる。
【0083】
また、本実施形態では、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、調整用端子Tvcm,出力端子Toutはともにオープンとしつつ、スイッチSW1,SW2はオフとする。これにより、センサAFE用IC6の外部からノイズが抵抗R3の中点側に、または第3オペアンプA3の出力端側に伝達されることを抑制できる。但し、スイッチSW1,SW2は必須ではない。スイッチSW1を設けない場合は、上述したような抵抗R3の中点での電位に誤差が生じることを抑制できる。
【0084】
<4.計装用アンプの第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係る計装用アンプ613の構成を示す回路図である。ここでは、図5に示す計装用アンプ613の上述した第2実施形態(図4)との相違点について説明する。
【0085】
本実施形態では、計装用アンプ613は、スイッチSW3を有する。入力用パッドPinnは、第2オペアンプA2の非反転入力端に接続されるとともに、スイッチSW3を介して抵抗R3の中点に接続される。
【0086】
第2オペアンプA2のオフセット測定時には、スイッチSW3はオン、スイッチSW2はオンとする。これにより、入力端子(電圧印加端)Tinnに電圧VINNを印加することで、抵抗R3の中点にも電圧を印加可能となる。一方、第1オペアンプA1のオフセット測定時には、スイッチSW3はオンとする。これにより、入力端子Tinpに入力端子Tinnに印加する電圧VINNと同じ電圧VINPを印加することで、抵抗R3の中点にも電圧を印加可能となる。
【0087】
また、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、スイッチSW3はオフとする。これにより、入力電圧VINNがセンサヘッド部7から入力された際でも抵抗R3の中点の電位をオープンとすることができる。
【0088】
このような本実施形態によれば、先の実施形態のような調整用電圧用パッドPvcmや調整用端子Tvcmが不要となる。なお、スイッチSW3を入力用パッドPinnの代わりに入力用パッドPinpに接続してもよい。
【0089】
<5.計装用アンプの第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係る計装用アンプ614の構成を示す回路図である。ここでは、図6に示す計装用アンプ614の上述した第2実施形態(図4)との相違点について説明する。
【0090】
本実施形態では、計装用アンプ614は、スイッチSW5,SW6、調整用電圧印加端子(電圧印加端)Tvf、調整用電圧印加パッドPvf、調整用電圧モニタ端子(モニタ用端子)Tvs、および調整用電圧モニタパッドPvsを有する。スイッチSW5,SW6、調整用電圧印加パッドPvf、および調整用電圧モニタパッドPvsは、半導体チップ6CPに含まれる。
【0091】
調整用電圧印加パッドPvfは、スイッチSW5を介して抵抗R3の中点に接続されるとともに、リードフレームとしての調整用電圧印加端子Tvfに接続される。調整用電圧モニタパッドPvsは、スイッチSW6を介して抵抗R3の中点に接続されるとともに、リードフレームとしての調整用電圧モニタ端子Tvsに接続される。
【0092】
本実施形態では、第2オペアンプA2のオフセットを測定する際に、スイッチSW5,SW6をともにオンとし、調整用電圧印加端子Tvfに電圧VCOM_Fを印加しつつ、調整用電圧モニタ端子Tvsの電圧VCOM_Sをモニタする。具体的には、入力端子Tinnに所定の電圧VINNを印加しつつ、調整用電圧モニタ端子Tvsの電圧が入力端子Tinnの電圧VINNと一致するように、調整用電圧印加端子Tvfに印加する電圧VCOM_Fを調整する。このとき、スイッチSW5に電流は流れるが、スイッチSW6に電流は流れないようにすることができる。これにより、抵抗R3の中点の電圧に誤差が生じることを抑制できる。
【0093】
一方、第1オペアンプA1のオフセットを測定する際に、スイッチSW5,SW6をともにオンとし、調整用電圧印加端子Tvfに電圧VCOM_Fを印加しつつ、調整用電圧モニタ端子Tvsの電圧VCOM_Sをモニタする。具体的には、入力端子Tinpに所定の電圧VINPを印加しつつ、調整用電圧モニタ端子Tvsの電圧が入力端子Tinpの電圧VINPと一致するように、調整用電圧印加端子Tvfに印加する電圧VCOM_Fを調整する。このとき、スイッチSW5に電流は流れるが、スイッチSW6に電流は流れないようにすることができる。これにより、抵抗R3の中点の電圧に誤差が生じることを抑制できる。
【0094】
なお、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、調整用電圧印加端子Tvfと調整用電圧モニタ端子Tvsはともにオープンとし、スイッチSW5,SW6はオフとする。これにより、外部からノイズが抵抗R3の中点側に伝達されることを抑制できる。
【0095】
<6.計装用アンプの第5実施形態>
図7は、第5実施形態に係る計装用アンプ615の構成を示す回路図である。ここでは、図7に示す計装用アンプ615の上述した第2実施形態(図4)との相違点について説明する。
【0096】
本実施形態では、計装用アンプ615は、スイッチSW7,SW8を有する。スイッチSW7,SW8は、半導体チップ6CPに含まれる。
【0097】
入力用パッドPinpと第1オペアンプA1の非反転入力端とが接続される接続ノードNPは、スイッチSW7の一端に接続される。入力用パッドPinnと第2オペアンプA2の非反転入力端とが接続される接続ノードNNは、スイッチSW8の一端に接続される。スイッチSW7の他端とスイッチSW8の他端とが接続される接続ノードNCは、抵抗R3の中点に接続される。
【0098】
本実施形態では、第2オペアンプA2のオフセットの測定時には、スイッチSW7,SW8をオンとし、入力端子(電圧印加端)Tinpに所定の電圧VINPを印加した状態で、入力端子Tinnの電圧VINNと出力端子Toutの電圧VOUTをモニタする。このとき、スイッチSW7には電流が流れるが、スイッチSW8は第2オペアンプA2の非反転入力端のゲート酸化膜に接続されるので、スイッチSW8に電流は流れない。これにより、抵抗R3の中点での電圧に誤差が生じることを抑制できる。
【0099】
一方、第1オペアンプA1のオフセットの測定時には、スイッチSW7,SW8をオンとし、入力端子(電圧印加端)Tinnに所定の電圧VINNを印加した状態で、入力端子Tinpの電圧VINPと参照端子Trefの電圧VREFをモニタする。このとき、スイッチSW8には電流が流れるが、スイッチSW7は第1オペアンプA1の非反転入力端のゲート酸化膜に接続されるので、スイッチSW7に電流は流れない。これにより、抵抗R3の中点での電圧に誤差が生じることを抑制できる。
【0100】
このような本実施形態によれば、第2実施形態(図4)や第4実施形態(図6)のような各種パッドPvcm,Pvf,Pvsや各種端子Tvcm,Tvf,Tvsを設ける必要がない。
【0101】
なお、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、スイッチSW7,SW8はオフとする。
【0102】
<7.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0103】
例えば、第1実施形態(図3)において、第2オペアンプA2のオフセットを調整した後、第1オペアンプA1のオフセットを調整する際には、第1オペアンプA1および第2オペアンプA2はパワーオンさせ、第3オペアンプA3はパワーダウンさせ、調整用電圧用パッドPvcmをオープンとし、入力用パッドPinp,Pinnに同電位の電圧VINP,VINNを印加した状態で、出力用パッドPoutの電圧VOUTと参照電圧用パッドPrefの電圧VREFをモニタし、電圧VREFが電圧VOUTと一致するように第1オペアンプA1のオフセット調整信号OFSTIPを調整してもよい。
【0104】
また、第2~第5実施形態(図4図7)において、第2オペアンプA2のオフセットを調整した後、第1オペアンプA1のオフセットを調整する際には、第1オペアンプA1および第2オペアンプA2はパワーオンさせ、第3オペアンプA3はパワーダウンさせ、スイッチSW1をオフとするなどにより抵抗R3の中点をオープンとし、入力端子Tinp,Tinnに同電位の電圧VINP,VINNを印加した状態で、出力端子Toutの電圧VOUTと参照端子Trefの電圧VREFをモニタし、電圧VREFが電圧VOUTと一致するように第1オペアンプA1のオフセット調整信号OFSTIPを調整してもよい。
【0105】
また、図8に第1変形例を示すように、スイッチSW1に半導体チップ6CP内の基準電圧Vrefを印加させてもよい。この場合、第2オペアンプA2のオフセットを測定する際は、スイッチSW1をオンとして、入力端子Tinnに基準電圧Vrefと同じ電圧VINNを印加する。第1オペアンプA1のオフセットを測定する際は、スイッチSW1をオンとして、入力端子Tinpに基準電圧Vrefと同じ電圧VINPを印加する。また、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、スイッチSW1をオフとすれば、抵抗R3の中点の電位をオープンとすることができる。なお、基準電圧Vrefの代わりに、例えばDACの出力をスイッチSW1に印加させてもよい。すなわち、いずれにしても、スイッチSW1に接続される電圧印加端に半導体チップ6CPの内部電圧を印加させる実施形態となる。
【0106】
また、図8の構成を更に変形して図9に示す第2変形例としてもよい。ここでは、スイッチSW9の一端に基準電圧Vrefの印加端を接続し、スイッチSW9の他端を第1オペアンプA1の非反転入力端に接続する。スイッチSW10の一端に基準電圧Vrefの印加端を接続し、スイッチSW10の他端を第2オペアンプA2の非反転入力端に接続する。第2オペアンプA2のオフセットを測定する際は、スイッチSW1およびSW10をオンとし、第2オペアンプA2の非反転入力端と抵抗R3の中点とに略同一の電圧を印加する。第1オペアンプA1のオフセットを測定する際は、スイッチSW1およびSW9をオンとし、第1オペアンプA1の非反転入力端と抵抗R3の中点とに略同一の電圧を印加する。また、センサAFE用IC6を製品として使用する際には、スイッチSW1,SW9,SW10をオフとする。
【0107】
また、図7の構成を変形して図10に示す第3変形例としてもよい。ここでは、スイッチSW11の一端に基準電圧Vref1の印加端を接続し、他端を接続ノードNPに接続する。スイッチSW12の一端に基準電圧Vref2の印加端を接続し、他端を接続ノードNNに接続する。第2オペアンプA2のオフセットの測定時には、スイッチSW7,SW8,SW11をオンとし、入力端子Tinnの電圧VINNと出力端子Toutの電圧VOUTをモニタする。第2オペアンプA1のオフセットの測定時には、スイッチSW7,SW8,SW12をオンとし、入力端子Tinpの電圧VINPと出力端子Trefの電圧VREFをモニタする。また、センサAFE用IC6を製品と使用する際には、スイッチSW7,SW8,SW11,SW12をオフとする。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば、車載用のセンサAFEに利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 センサモジュール
11 センサ
12 センサAFE
2 センサ
3 ECU
31 MPU
31A A/Dコンバータ
31B シリアル通信部
32 センサAFE
33 EEPROM
34 駆動部
34A ドライバ
35 通信インタフェース
4 各種アクチュエータ
301 各種ECU
5 車両制御システム
6 センサAFE用IC
60 ドライバ
60A D/Aコンバータ
60B LNA
61 計装用アンプ
62 A/D部
62A セレクタ
62B A/Dコンバータ
63 温度センサ
64 デジタルブロック
64A ドライブコントローラ
64B 温度補正部
64C MPUインタフェース
65 D/A部
65A D/Aコンバータ
65B LNA
6CP 半導体チップ
611~615 計装用アンプ
A1 第1オペアンプ
A2 第2オペアンプ
A3 第3オペアンプ
R1~R7 抵抗
AP11 第1前段アンプ
AP12 第2前段アンプ
AP2 後段アンプ
Pinp 入力用パッド
Pinn 入力用パッド
Pvcm 調整用電圧用パッド
Tvcm 調整用端子
Tinp 入力端子
Tinn 入力端子
Pout 出力用パッド
Pref 参照電圧用パッド
Tout 出力端子
Tref 参照端子
Pvf 調整用電圧印加パッド
Pvs 調整用電圧モニタパッド
Tvf 調整用電圧印加端子
Tvs 調整用電圧モニタ端子
SW1~SW12 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12