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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】光制御装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20240109BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240109BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240109BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/13 505
F21S2/00 480
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020019701
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021124664
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 多惠
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】三井 雅志
【審査官】廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-115299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0070491(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0320684(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/13
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状に配置された複数の第1電極を備える第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、
同心円状に配置された複数の第2電極を備えた第3基板と、前記第3基板に対向する第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、
前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置された偏光変換素子と、を備え、
前記第1液晶層及び前記第2液晶層の各々は、
入射光のうち、第1方向に沿った第1偏光面を有する第1偏光成分を散乱し、入射光のうち、前記第1方向に交差する第2方向に沿った第2偏光面を有する第2偏光成分を透過する第1領域と、
入射光のうち、前記第1偏光成分を透過し、入射光のうち、前記第2偏光成分を散乱する第2領域と、を有し、
前記偏光変換素子は、前記第1領域及び前記第2領域に重畳し、入射光の前記第1偏光成分を前記第2偏光成分に変換し、入射光の前記第2偏光成分を前記第1偏光成分に変換する、光制御装置。
【請求項2】
前記第1電極の中心、及び、前記第2電極の中心は、平面視において、重畳している、請求項1に記載の光制御装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備え、
前記第2基板は、第2配向膜を備え、
前記第3基板は、前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備え、
前記第4基板は、第4配向膜を備え、
前記第1乃至第4配向膜は、垂直配向膜である、請求項1に記載の光制御装置。
【請求項4】
前記第1基板は、前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備え、
前記第2基板は、第2配向膜を備え、
前記第3基板は、前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備え、
前記第4基板は、第4配向膜を備え、
前記第1配向膜及び前記第3配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は平行であり、
前記第2配向膜及び前記第4配向膜は、垂直配向膜である、請求項1に記載の光制御装置。
【請求項5】
前記第2基板は、同心円状に配置された複数の第3電極を備え、
前記第4基板は、同心円状に配置された複数の第4電極を備え、
前記第1電極の中心、前記第2電極の中心、前記第3電極の中心、及び、前記第4電極の中心は、平面視において、重畳している、請求項1に記載の光制御装置。
【請求項6】
前記偏光変換素子は、第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備え、
前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、
前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項7】
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、
同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、
第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、
前記第1乃至第4配向膜は、垂直配向膜であり、
前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、
前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、
前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる、光制御装置。
【請求項8】
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、
同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、
第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、
前記第1配向膜及び前記第3配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は平行であり、
前記第2配向膜及び前記第4配向膜は、垂直配向膜であり、
前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、
前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、
前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる、光制御装置。
【請求項9】
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、同心円状に配置された複数の第3電極及び前記複数の第3電極を覆う第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、
同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、同心円状に配置された複数の第4電極及び前記複数の第4電極を覆う第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、
第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、
前記第1電極の中心、前記第2電極の中心、前記第3電極の中心、及び、前記第4電極の中心は、平面視において、重畳し、
前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、
前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、
前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる、光制御装置。
【請求項10】
光源と、
前記光源から出射された光を制御するように構成された請求項1乃至9のいずれかに記載の光制御装置と、
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光制御装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶セルを用いた光制御装置が提案されている。このような光制御装置は、主として、一偏光成分を集束させたり発散させたりするものである。一例では、複数の輪帯電極を備えた液晶レンズが提案されている。また、他の例としては、扇状の複数の分割領域に配置された透明電極を備えた液晶レンズも提案されている。
液晶セルを用いた光制御装置の一使用例において、入射光を効率よく散乱することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-76926号公報
【文献】特開2016-57541号公報
【文献】特表2013-515969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、散乱効率を向上することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の光制御装置は、
同心円状に配置された複数の第1電極を備える第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、同心円状に配置された複数の第2電極を備えた第3基板と、前記第3基板に対向する第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置された偏光変換素子と、を備え、前記第1液晶層及び前記第2液晶層の各々は、入射光のうち、第1方向に沿った第1偏光面を有する第1偏光成分を散乱し、入射光のうち、前記第1方向に交差する第2方向に沿った第2偏光面を有する第2偏光成分を透過する第1領域と、入射光のうち、前記第1偏光成分を透過し、入射光のうち、前記第2偏光成分を散乱する第2領域と、を有し、前記偏光変換素子は、前記第1領域及び前記第2領域に重畳し、入射光の前記第1偏光成分を前記第2偏光成分に変換し、入射光の前記第2偏光成分を前記第1偏光成分に変換する。
本実施形態の光制御装置は、
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、前記第1乃至第4配向膜は、垂直配向膜であり、前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる。
【0006】
本実施形態の光制御装置は、
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、前記第1配向膜及び前記第3配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は平行であり、前記第2配向膜及び前記第4配向膜は、垂直配向膜であり、前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる。
本実施形態の光制御装置は、
同心円状に配置された複数の第1電極及び前記複数の第1電極を覆う第1配向膜を備える第1基板と、同心円状に配置された複数の第3電極及び前記複数の第3電極を覆う第2配向膜を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備える第1液晶セルと、同心円状に配置された複数の第2電極及び前記複数の第2電極を覆う第3配向膜を備える第3基板と、同心円状に配置された複数の第4電極及び前記複数の第4電極を覆う第4配向膜を備える第4基板と、前記第3基板と前記第4基板との間に保持された第2液晶層と、を備える第2液晶セルと、第5配向膜を備えた第5基板と、第6配向膜を備えた第6基板と、前記第5基板と前記第6基板との間に保持された第3液晶層と、を備える偏光変換素子と、を備え、前記第1電極の中心、前記第2電極の中心、前記第3電極の中心、及び、前記第4電極の中心は、平面視において、重畳し、前記偏光変換素子は、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとの間に配置され、前記第5配向膜及び前記第6配向膜は、水平配向膜であり、それぞれの配向処理方向は交差し、前記第3液晶層は、ツイスト配向した液晶分子を含んでいる。
本実施形態の照明装置は、
光源と、前記光源から出射された光を制御するように構成された上記の光制御装置と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。
図2図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。
図3図3は、図2に示した第1基板SUB1の導電線CD13に沿った断面図である。
図4図4は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
図5図5は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
図6図6は、光制御装置200の分解斜視図である。
図7図7は、第1液晶セル10の一構成例を説明するための図である。
図8図8は、光制御装置200の第1構成例を示す図である
図9図9は、第1液晶セル10の他の構成例を説明するための図である。
図10図10は、光制御装置200の第2構成例を示す図である。
図11図11は、光制御装置200の第3構成例を示す分解斜視図である。
図12図12は、第1液晶セル10の他の構成例を説明するための図である。
図13図13は、光制御装置200の第3構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、照明装置100に含まれる基板に平行な方向に相当し、また、第3方向Zは、照明装置100の厚さ方向に相当する。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
照明装置100は、光源LSと、光源LSから出射された光を制御するように構成された光制御装置200と、制御部CTと、を備えている。光源LSは、第3方向Zに沿って光を出射する。光源LSから出射される光は、例えば、自然光である。光制御装置200は、第3方向Zにおいて光源LSに重畳している。光制御装置200は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、偏光変換素子PCと、を備えている。第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、実質的に同一の構成要素を有するものであるが、異なる構成要素を有するものであってもよい。偏光変換素子PCは、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置されている。
【0011】
第1液晶セル10は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、第1液晶層LC1と、を備えている。第1基板SUB1は、絶縁基板11と、絶縁基板11上に配置された複数の第1電極E1と、第1電極E1を覆う第1配向膜AL1と、を備えている。光源LSは、第3方向Zにおいて絶縁基板11と対向するように配置されている。第2基板SUB2は、絶縁基板12と、絶縁基板12を覆う第2配向膜AL2と、を備えている。なお、第2基板SUB2は、第1液晶層LC1を介して複数の第1電極E1と対向する共通電極を備えていてもよい。第1液晶層LC1は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に接触している。第1液晶層LC1は、シールSE1によって封止されている。
【0012】
第2液晶セル20は、第3基板SUB3と、第4基板SUB4と、第2液晶層LC2と、を備えている。第3基板SUB3は、絶縁基板21と、絶縁基板21上に配置された複数の第2電極E2と、第2電極E2を覆う第3配向膜AL3と、を備えている。第2電極E2は、第3方向Zにおいて第1電極E1に重畳するように形成されている。第4基板SUB4は、絶縁基板22と、絶縁基板22を覆う第4配向膜AL4と、を備えている。なお、第4基板SUB4は、第2液晶層LC2を介して複数の第2電極E2と対向する共通電極を備えていてもよい。第2液晶層LC2は、第3基板SUB3と第4基板SUB4の間に保持され、第3配向膜AL3及び第4配向膜AL4に接触している。第2液晶層LC2は、シールSE2によって封止されている。このような第2液晶セル20において、第3基板SUB3は第1基板SUB1と同一の構成要素を有し、第4基板SUB4は第2基板SUB2と同一の構成要素を有し、第2液晶層LC2の構成は、第1液晶層LC1の構成と同一である。
【0013】
偏光変換素子PCは、第5基板SUB5と、第6基板SUB6と、第3液晶層LC3と、を備えている。第5基板SUB5は、絶縁基板31と、絶縁基板31を覆う第5配向膜AL5と、を備えている。第6基板SUB6は、絶縁基板32と、絶縁基板32を覆う第6配向膜AL6と、を備えている。第3液晶層LC3は、第5基板SUB5と第6基板SUB6との間に保持され、第5配向膜AL5及び第6配向膜AL6に接触している。第3液晶層LC3は、シールSE3によって封止されている。第5配向膜AL5及び第6配向膜AL6は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜であり、所定の方向に配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。第5配向膜AL5の配向処理方向は、第6配向膜AL6の配向処理方向に交差している。第3液晶層LC3は、第5配向膜AL5と第6配向膜AL6との間でツイスト配向した液晶分子LM3を含んでいる。このような偏光変換素子PCは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20のような電極を備えていない。したがって、第3液晶層LC3には電界は形成されず、液晶分子LM3の配向状態は、第5配向膜AL5及び第6配向膜AL6の配向規制力によって維持される。
【0014】
絶縁基板11及び12、絶縁基板21及び22、及び、絶縁基板31及び32は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。
第1電極E1及び第2電極E2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。
第1配向膜AL1、第2配向膜AL2、第3配向膜AL3、及び、第4配向膜AL4の構成例については後述する。
【0015】
偏光変換素子PCは、第3方向Zにおいて第1液晶セル10の上に重畳している。絶縁基板12と絶縁基板31とは、透明な接着層AD1によって互いに接着されている。接着層AD1の屈折率は、絶縁基板12及び31の屈折率と同等である。
第2液晶セル20は、第3方向Zにおいて偏光変換素子PCの上に重畳している。絶縁基板32と絶縁基板21とは、透明な接着層AD2によって互いに接着されている。接着層AD2の屈折率は、絶縁基板32及び21の屈折率と同等である。
【0016】
制御部CTは、光源制御部LCTと、電圧制御部DCT1及びDCT2と、を備えている。光源制御部LCTは、例えば光源LSを駆動する電流値を制御する。電圧制御部DCT1は、第1液晶セル10において第1電極E1の各々に印加すべき電圧を制御する。電圧制御部DCT2は、第2液晶セル20において第2電極E2の各々に印加すべき電圧を制御する。
【0017】
図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。なお、図2においては、第1液晶セル10の主要部のみを図示している。
第1液晶セル10の第1基板SUB1は、複数の給電線PL11乃至PL14と、複数の導電線CD11乃至CD18と、複数の電極群EG1乃至EG3と、を備えている。給電線PL11乃至PL14、及び、導電線CD11乃至CD18は、同一層に配置されている。導電線CD11乃至CD18と電極群EG1乃至EG3との間には、後述する絶縁膜が介在している。図2において、2層の導電層が重畳する位置の四角は、絶縁膜の下方に位置する導電層と絶縁膜の上方に位置する導電層とが絶縁膜を貫通するコンタクトホールにおいて互いに電気的に接続された接続部を示している。
【0018】
給電線PL11乃至PL14は、周辺領域A2において、第1方向Xに並んでいる。これらの給電線PL11乃至PL14の各々は、端子部A3に延出している。端子部A3は、詳述しないが、給電線PL11乃至PL14の各々と接続された複数の端子を備え、フレキシブル配線基板などと電気的に接続される。
導電線CD11乃至CD18は、有効領域A1において、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに並んでいる。また、導電線CD11乃至CD18は、周辺領域A2に延出し、給電線PL11乃至PL14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、導電線CD13は、給電線PL14と一体的に形成されている。また、導電線CD11は、接続線CN11を介して給電線PL11と電気的に接続されている。同様に、導電線CD12は接続線CN12を介して給電線PL13と接続され、導電線CD14は接続線CN13を介して給電線PL12と接続されている。これらの接続線CN11乃至CN13は、電極群EG1乃至EG3と同一層に配置された導電層である。
【0019】
電極群EG1乃至EG3の各々は、同心円状に形成された複数の第1電極E1によって構成されている。例えば、電極群EG1は、8個の第1電極E11乃至E18によって構成されている。第1電極E11乃至E17は、いずれも円環状に形成され、同等の幅を有している。また、電極群EG1のほぼ中心に位置する第1電極E18は、円形状に形成されている。第1電極E11乃至E17は、半径方向において略等ピッチで第1電極E18に向かって並んでいる。
【0020】
導電線CD11乃至D14は、第1電極E11乃至E18と交差している。第1電極E11及びE15は、導電線CD11と電気的に接続されている。第1電極E12及びE16は、導電線CD14と電気的に接続されている。第1電極E13及びE17は、導電線CD12と電気的に接続されている。第1電極E14及びE18は、導電線CD13と電気的に接続されている。
電極群EG2及びEG3も電極群EG1と同様に構成されている。
なお、各電極群を構成する第1電極の個数は、図示した例に限らない。
【0021】
これらの電極群EG1乃至EG3は、X-Y平面において、最密構造を形成するように配置されている。
【0022】
電極E41は、電極群EG1乃至EG3によって囲まれた内側に位置している。つまり、電極E41は、最密構造を形成するように配置された電極群EG1乃至EG3の隙間に配置されている。電極E41は、第1電極E11よりも小さい円環状に形成されている。電極E41の電位は、隣接する電極の電位とは異なるように設定される。
電極E42は、電極E41の内側に位置し、導電線CD14と電気的に接続されている。電極E42の電位は、電極E41の電位とは異なるように設定される。
【0023】
図3は、図2に示した第1基板SUB1の導電線CD13に沿った断面図である。給電線PL11乃至PL14、及び、導電線CD13は、絶縁基板11の上に配置され、絶縁膜ILによって覆われている。第1電極E11乃至E18は、絶縁膜ILの上に配置され、第1配向膜AL1によって覆われている。図示した例では、導電線CD13は、給電線PL14に直接接続されている。また、第1電極E14及びE18は、絶縁膜ILを貫通するコンタクトホールにおいて導電線CD13に接続されている。
給電線PL11乃至PL14は、例えば金属材料によって形成されている。第1電極E11乃至E18は、上記の通り、透明導電材料によって形成されている。導電線CD13は、例えば、透明導電材料によって形成されているが、金属材料によって形成されてもよい。
【0024】
図2及び図3においては、第1液晶セル10の一構成例について説明したが、第2液晶セル20の第3基板SUB3も、第1基板SUB1と同様に構成されている。
【0025】
図4は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。図4に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、四角形状の第1基板SUB1が1つの電極群EG1を備えた点で相違している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、矩形枠状のシールSE1によって接着されている。第1基板SUB1は、電極群EG1を構成する複数の第1電極E11乃至E18を備えている。図示した例では、第1基板SUB1のコーナー部近傍に位置する第1電極E11及びE12は円弧状に形成され、第1電極E13乃至E17は円環状に形成され、第1電極E18は円形状に形成されている。
【0026】
図5は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。図5に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、円形状の第1基板SUB1が1つの電極群EG1を備えた点で相違している。第1基板SUB1は、電極群EG1を構成する複数の第1電極E11乃至E18を備えている。図示した例では、第1電極E11乃至E17は円環状に形成され、第1電極E18は円形状に形成されている。
【0027】
図6は、光制御装置200の分解斜視図である。なお、図6では、主要部のみを図示している。
第1液晶セル10は同心円状に配置された複数の第1電極E1を備え、第2液晶セル20は同心円状に配置された複数の第2電極E2を備えている。例えば、第1電極E1及び第2電極E2の各々について、直径、幅、ピッチ、電極数は同等である。また、第1電極E1の中心O1、及び、第2電極E2の中心O2は、X-Y平面の平面視において、重畳している。つまり、第1電極E1及び第2電極E2は、各々の中心がX-Y平面内で一致するように形成されている。
【0028】
第1電極E1を備える第1基板SUB1、及び、第2電極E2を備える第3基板SUB3は、例えば同一のマザー基板から切り出されたものであり、同一仕様で形成されている。これらの第1基板SUB1及び第3基板SUB3の各々は、アライメントマークAMを備えている。第1基板SUB1及び第3基板SUB3は、各々のアライメントマークAMに基づいて位置合わせされ、第1電極E1と第2電極E2とが重畳するように配置される。
【0029】
《第1構成例》
図7は、第1液晶セル10の一構成例を説明するための図である。図7においては、説明に必要な構成のみを図示している。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、第1液晶セル10の法線に沿った配向規制力を有する垂直配向膜である。第1液晶層LC1は、例えば負の誘電率異方性を有するネガ型であり、液晶分子LM1を有している。なお、第1液晶層LC1は、正の誘電率異方性を有するポジ型であってもよい。
【0030】
図7の(A)は、第1電極E11乃至E14に電圧が印加されていないオフ状態(OFF)を示している。つまり、隣接する第1電極間において、電位差は形成されていない。第1液晶層LC1に含まれる液晶分子LM1は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向規制力により、垂直配向している。
【0031】
図7の(B)は、第1電極E11乃至E14に電圧が印加されたオン状態(ON)を示している。電圧制御部DCT1は、隣接する第1電極間において電位差が形成されるように、第1電極E11乃至E14にそれぞれ所定の電圧を供給する。第1電極E11及びE12の間、第1電極E12及びE13の間、及び、第1電極E13及びE14の間には、第1基板SUB1の主面(X-Y平面)にほぼ平行な電界が形成される。第1液晶層LC1がネガ型であるため、液晶分子LM1は、図中に点線で示す電界が形成された状態では、その長軸が電界に交差するように配向する。なお、第1液晶層LC1は、数十μm~数百μmの厚さを有しており、第1電極E11乃至E14に電圧が印加された状態では、第1基板SUB1の近傍に電界が形成されるものの、第2基板SUB2の近傍には電界が及びにくい。このため、第1基板SUB1の近傍に位置する液晶分子LM1は、電界の影響を受けて配向するが、第2基板SUB2の近傍に位置する液晶分子LM1は、オフ状態と同様の配向状態に維持される。第1液晶層LC1がポジ型である場合、液晶分子LM1は、その長軸が電界に沿うように配向する。
【0032】
液晶分子LM1は、屈折率異方性Δnを有している。このため、オン状態の第1液晶層LC1は、液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、第1液晶層LC1は、第1液晶層LC1の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布を有する。このような屈折率分布、または、リタデーションの分布は、液晶レンズLL1を形成する。すなわち、ここでの液晶レンズLL1とは、第1液晶層LC1に形成される屈折率分布型レンズに相当するものである。このような液晶レンズLL1が形成された第1液晶セル10は、入射光を屈折(集束、発散)することによって入射光を散乱する光学的作用を発生する。散乱の度合い(変調率)は、第1液晶層LC1に印加される電圧によって制御される。つまり、第1液晶セル10における変調率は、電圧制御部DCT1によって制御される。
【0033】
ここでは、第1液晶セル10について説明したが、上記の通り、第2液晶セル20は第1液晶セル10と同一の構成要素を有している。すなわち、第3配向膜AL3及び第4配向膜AL4は垂直配向膜であり、第2液晶層LC2はネガ型である。このような第2液晶セル20においても、オン状態では、図7を参照して説明した液晶レンズLL1と同様の液晶レンズを形成することができる。第2液晶セル20における変調率は、電圧制御部DCT2によって制御される。電圧制御部DCT1及び電圧制御部DCT2は、同一の電圧条件で制御してもよいし、異なる電圧条件で制御してもよい。
【0034】
図8は、光制御装置200の第1構成例を示す図である。図8では、第1液晶セル10及び第2液晶セル20にそれぞれ電圧が印加されたオン状態(ON)での液晶分子の配向状態を示し、また、各液晶セルの下段には電圧が印加されていないオフ状態(OFF)での液晶分子の配向状態を示している。
【0035】
図7に示したように、第1液晶セル10において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は垂直配向膜である。第1液晶層LC1の液晶分子LM1は、オフ状態において、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間で垂直配向している。
また、図7に示した第1液晶セル10と同様に、第2液晶セル20において、第3配向膜AL3及び第4配向膜AL4は垂直配向膜である。第2液晶層LC2の液晶分子LM2は、オフ状態において、第3配向膜AL3と第4配向膜AL4との間で垂直配向している。
【0036】
偏光変換素子PCにおいて、第5配向膜AL5の配向処理方向AD5は第2方向Yに平行であり、第6配向膜AL6の配向処理方向AD6は第1方向Xに平行である。つまり、偏光変換素子PCにおいて、配向処理方向AD5は、配向処理方向AD6に直交している。第3液晶層LC3は、正の誘電率異方性を有するポジ型であり、液晶分子LM3を有している。オフ状態において、液晶分子LM3は、第5配向膜AL5と第6配向膜AL6との間で90°ツイスト配向している。液晶分子LM3のうち、第5配向膜AL5の近傍の液晶分子LM31は第2方向Yに沿って配向し、第6配向膜AL6の近傍の液晶分子LM32は第1方向Xに沿って配向し、中間層に位置する複数の液晶分子LM3はツイスト配向している。
【0037】
本実施形態では、偏光変換素子PCは、入射光の偏光成分(直線偏光)の偏光面を90°回転させる旋光能を有している。例えば、偏光変換素子PCは、入射光のうちの第1偏光成分を第2偏光成分に変換し、入射光のうちの第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。第1偏光成分の偏光面は、第2偏光成分の偏光面と直交するものである。光の進行方向が第3方向Zに沿う場合に、第1方向Xに沿った偏光面を有する偏光成分を第1偏光(P偏光)POL1と称し、第2方向Yに沿った偏光面を有する偏光成分を第2偏光(S偏光)POL2と称する。例えば、第1偏光成分は第1偏光POL1であり、第2偏光成分は第2偏光POL2である。
【0038】
以下に、各液晶セルの光学的作用について説明する。
【0039】
第1液晶セル10は、第1電極E1の中心O1から第1方向Xに広がる領域(第1領域)A11と、中心O1から第2方向Yに広がる領域(第2領域)A12と、領域A11及びA12の間の領域A13と、を有している。領域A11乃至A13の各々において、オフ状態の液晶分子LM1は、いずれも同様に垂直配向している。
オン状態において、第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM11は図中に点線で示し、第2配向膜AL2の近傍の液晶分子LM12は図中に実線で示している。オン状態では、領域A11乃至A13の各々において、隣接する第1電極E1の間の電界が第1電極E1の半径方向に沿って形成される。
【0040】
領域A11では、液晶分子LM11は、電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。液晶分子LM12は、電界の影響をほとんど受けず、垂直配向した状態に維持される。領域A11では、電界によって形成された屈折率分布により光学的作用が発生する。このような領域A11は、入射光のうちの第1偏光成分(P偏光)を光学的作用によって散乱する。また、領域A11は、入射光のうちの第2偏光成分(S偏光)をほとんど散乱することなく透過する。
領域A12では、液晶分子LM11は、電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。液晶分子LM12は、電界の影響をほとんど受けず、垂直配向した状態に維持される。領域A12では、電界によって形成された屈折率分布により光学的作用が発生する。このような領域A12は、入射光のうちの第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。また、領域A12は、入射光のうちの第2偏光成分を光学的作用によって散乱する。
領域A13では、液晶分子LM11は電界の影響を受けて配向し、液晶分子LM12は垂直配向した状態に維持される。つまり、オン状態では、第1電極E1に重畳する第1液晶層LC1のうち、液晶分子LM11は、中心O1から放射状に配向する。
【0041】
偏光変換素子PCは、領域A11乃至A13に重畳している。すなわち、偏光変換素子PCは、領域A11に重畳する領域(第3領域)A31と、領域A12に重畳する領域(第4領域)A32と、領域A13に重畳する領域A33と、を有している。つまり、領域A11の透過光は領域A31への入射光となり、領域A12の透過光は領域A32への入射光となり、領域A13の透過光は領域A33への入射光となる。
領域A31乃至A33の各々において、液晶分子LM3は、いずれも同様にツイスト配向している。液晶分子LM21は図中に点線で示し、オン状態の液晶分子LM22は図中に実線で示している。
【0042】
領域A31は、領域A11の透過光である入射光のうち、第2偏光成分の偏光面を90度回転して第1偏光成分に変換する。また、領域A31は、領域A11で散乱された第1偏光成分を第2偏光成分に変換する。
領域A32は、領域A12の透過光である入射光のうち、第1偏光成分の偏光面を90度回転して第2偏光成分に変換する。また、領域A32は、領域A12で散乱された第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。
領域A33でも同様に、領域A13の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を第2偏光成分に変換し、また、第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。
【0043】
第2液晶セル20は、第2電極E2の中心O2から第1方向Xに広がる領域A21と、中心O2から第2方向Yに広がる領域A22と、領域A21及びA22の間の領域A23と、を有している。領域A21は領域A31に重畳し、領域A22は領域A32に重畳し、領域A23は領域A33に重畳している。つまり、領域A31の透過光は領域A21への入射光となり、領域A32の透過光は領域A22への入射光となり、領域A33の透過光は領域A23への入射光となる。
領域A21乃至A23の各々において、オフ状態の液晶分子LM2は、いずれも同様に垂直配向している。
オン状態において、第3配向膜AL3の近傍の液晶分子LM21は図中に点線で示し、第4配向膜AL4の近傍の液晶分子LM22は図中に実線で示している。オン状態では、領域A21乃至A23の各々において、隣接する第2電極E2の間の電界が第2電極E2の半径方向に沿って形成される。
【0044】
領域A21では、液晶分子LM21は、電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。液晶分子LM22は、電界の影響をほとんど受けず、垂直配向した状態に維持される。領域A21では、電界によって形成された屈折率分布により光学的作用が発生する。このような領域A21は、領域A31の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を光学的作用によって散乱する。また、領域A21は、入射光のうちの第2偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。
領域A22では、液晶分子LM21は、電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。液晶分子LM22は、電界の影響をほとんど受けず、垂直配向した状態に維持される。領域A22では、電界によって形成された屈折率分布により光学的作用が発生する。このような領域A22は、領域A32の透過光である入射光のうち、第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。また、領域A22は、入射光のうちの第2偏光成分を光学的作用によって散乱する。
領域A23では、液晶分子LM21は電界の影響を受けて配向し、液晶分子LM22は垂直配向した状態に維持される。つまり、オン状態では、第2電極E2に重畳する第2液晶層LC2のうち、液晶分子LM21は、中心O2から放射状に配向する。
【0045】
以上説明したように、第1構成例によれば、第1液晶セル10の領域A11への入射光のうち、第1偏光成分は散乱されるが、第2偏光成分はほとんど散乱されない。領域A11を透過した第2偏光成分は、偏光変換素子PCの領域A31において第1偏光成分に変換された後に、第2液晶セル20の領域A21において散乱される。したがって、光制御装置200の領域A11、領域A31、及び、領域A21を順に透過した光は、その第1偏光成分及び第2偏光成分のいずれも散乱される。
また、領域A12への入射光のうち、第2偏光成分は散乱されるが、第1偏光成分はほとんど散乱されない。領域A12を透過した第1偏光成分は、領域A32において第2偏光成分に変換された後に、領域A22において散乱される。したがって、光制御装置200の領域A12、領域A32、及び、領域A22を順に透過した光は、その第1偏光成分及び第2偏光成分のいずれも散乱される。さらに、光制御装置200の領域A13、領域A33、及び、領域A23を順に透過した光も同様に、その第1偏光成分及び第2偏光成分のいずれも散乱される。
これにより、散乱効率を向上することができる。
【0046】
《第2構成例》
図9は、第1液晶セル10の他の構成例を説明するための図である。図9においては、説明に必要な構成のみを図示している。第1配向膜AL1は水平配向膜であり、第2配向膜AL2は垂直配向膜である。第1配向膜AL1は、所定の方向に配向処理されている。第1液晶層LC1は、例えばポジ型であり、液晶分子LM1を有している。なお、第1液晶層LC1は、ネガ型であってもよい。
【0047】
図9の(A)は、オフ状態(OFF)を示しており、隣接する第1電極間において、電位差は形成されていない。水平配向膜である第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM1は、第1配向膜AL1の表面に沿ってほぼ水平に配向している。垂直配向膜である第2配向膜AL2の近傍の液晶分子LM1は、第2配向膜AL2の表面に対してほぼ垂直に配向している。このような液晶分子LM1の初期配向は、ハイブリッド配向と称される。
【0048】
図9の(B)は、オン状態(ON)を示している。電圧制御部DCT1は、隣接する第1電極間において電位差が形成されるように、第1電極E11乃至E14にそれぞれ所定の電圧を供給する。第1電極E11及びE12の間、第1電極E12及びE13の間、及び、第1電極E13及びE14の間には、第1基板SUB1の主面(X-Y平面)にほぼ平行な電界が形成される。第1液晶層LC1がポジ型であるため、第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM1は、図中に点線で示す電界が形成された状態では、その長軸が電界に沿うように配向する。このような液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布、または、リタデーションの分布は、液晶レンズLL1を形成する。
【0049】
第2液晶セル20においても同様に、第3配向膜AL3は水平配向膜であり、第4配向膜AL4は垂直配向膜であり、第2液晶層LC2はポジ型である。このような第2液晶セル20においても、オン状態では、図9を参照して説明した液晶レンズLL1と同様の液晶レンズを形成することができる。
【0050】
図10は、光制御装置200の第2構成例を示す図である。図10に示す第2構成例は、図8に示した第1構成例と比較して、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の構成が相違している。
【0051】
第1液晶セル10において、水平配向膜である第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は、第2方向Yに平行であり、第2配向膜AL2は垂直配向膜である。オフ状態において、液晶分子LM1は、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間でハイブリッド配向している。液晶分子LM1のうち、第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM11は第2方向Yに沿って配向し、第2配向膜AL2の近傍の液晶分子LM12は垂直配向している。なお、配向処理方向AD1は、X-Y平面において第2方向Yとは異なる方向であってもよい。
【0052】
第2液晶セル20において、水平配向膜である第3配向膜AL3の配向処理方向AD3は、第2方向Yに平行であり、第4配向膜AL4は垂直配向膜である。オフ状態において、液晶分子LM2は、第3配向膜AL3と第4配向膜AL4との間でハイブリッド配向している。液晶分子LM2のうち、第3配向膜AL3の近傍の液晶分子LM21は第2方向Yに沿って配向し、第4配向膜AL4の近傍の液晶分子LM22は垂直配向している。なお、配向処理方向AD3は、X-Y平面において第2方向Yとは異なる方向であってもよいが、配向処理方向AD1と平行である。
【0053】
第1構成例と同様に、第1液晶セル10は領域A11乃至領域A13を有し、第2液晶セル20は領域A21乃至領域A23を有し、偏光変換素子PCは領域A31乃至領域A33を有している。第1液晶セル10、偏光変換素子PC、及び、第2液晶セル20が順に積層された際に、領域A31は領域A11及びA21の間に位置し、領域A32は領域A12及びA22の間に位置し、領域A33は領域A13及びA23の間に位置している。
【0054】
オン状態の第1液晶セル10において、領域A11では、液晶分子LM11は、電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。このような領域A11は、入射光のうちの第1偏光成分を散乱し、入射光のうちの第2偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。
領域A12では、液晶分子LM11は、電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。このような領域A12は、入射光のうちの第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過し、入射光のうちの第2偏光成分を散乱する。
【0055】
偏光変換素子PCにおいて、領域A31は、領域A11の透過光である入射光のうち、第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。また、領域A31は、領域A11で散乱された第1偏光成分を第2偏光成分に変換する。
領域A32は、領域A12の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を第2偏光成分に変換する。また、領域A32は、領域A12で散乱された第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。
【0056】
オン状態の第2液晶セル20において、領域A21では、液晶分子LM21は、電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。このような領域A21は、領域A31の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を散乱し、入射光のうちの第2偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。
領域A22では、液晶分子LM21は、電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。このような領域A22は、領域A32の透過光である入射光のうち、第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過し、入射光のうちの第2偏光成分を散乱する。
【0057】
このような第2構成例によれば、上記の第1構成例と同様に、散乱効率を向上することができる。
【0058】
《第3構成例》
図11は、光制御装置200の第3構成例を示す分解斜視図である。なお、図11では、主要部のみを図示している。
第1液晶セル10において、第1基板SUB1は同心円状に配置された複数の第1電極E1を備え、第2基板SUB2は同心円状に配置された複数の第3電極E3を備えている。第1液晶セル10においては、第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、第1電極E1と第3電極E3とが重畳するように配置される。
第2液晶セル20において、第3基板SUB3は同心円状に配置された複数の第2電極E2を備え、第4基板SUB4は同心円状に配置された複数の第4電極E4を備えている。第2液晶セル20においては、第3基板SUB3及び第4基板SUB4は、第2電極E2と第4電極E4とが重畳するように配置される。
【0059】
例えば、第1電極E1、第2電極E2、第3電極E3、及び、第4電極E4の各々について、直径、幅、ピッチ、電極数は同等である。また、第1電極E1の中心O1、第2電極E2の中心O2、第3電極E3の中心O3、及び、第4電極E4の中心O4は、X-Y平面の平面視において、重畳している。つまり、第1電極E1、第2電極E2、第3電極E3、及び、第4電極E4は、各々の中心がX-Y平面内で一致するように形成されている。
【0060】
図12は、第1液晶セル10の他の構成例を説明するための図である。図12においては、説明に必要な構成のみを図示している。第1配向膜AL1は第1電極E11乃至E14を覆い、第2配向膜AL2は第3電極E31乃至E34を覆っている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、水平配向膜である。第1配向膜AL1の配向処理方向は、第2配向膜AL2の配向処理方向と交差している。第1液晶層LC1は、例えばポジ型であり、液晶分子LM1を有している。
【0061】
図12の(A)は、オフ状態(OFF)を示しており、隣接する第1電極間において電位差は形成されず、隣接する第2電極間においても電位差は形成されていない。液晶分子LM1は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向規制力により、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間でツイスト配向している。
【0062】
図12の(B)は、オン状態(ON)を示している。電圧制御部DCT1は、隣接する第1電極間において電位差が形成されるように、第1電極E11乃至E14にそれぞれ所定の電圧を供給する。また、電圧制御部DCT1は、隣接する第3電極間において電位差が形成されるように、第3電極E31乃至E34にそれぞれ所定の電圧を供給する。
第1配向膜AL1の近傍においては、第1電極E11及びE12の間、第1電極E12及びE13の間、及び、第1電極E13及びE14の間には、第1基板SUB1の主面にほぼ平行な電界が形成される。第2配向膜AL2の近傍においては、第3電極E31及びE32の間、第3電極E32及びE33の間、及び、第3電極E33及びE34の間には、第2基板SUB2の主面にほぼ平行な電界が形成される。第1液晶層LC1がポジ型であるため、第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM1、及び、第2配向膜AL2の近傍の液晶分子LM1は、図中に点線で示す電界が形成された状態では、その長軸が電界に沿うように配向する。このような液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布、または、リタデーションの分布は、液晶レンズLL1を形成する。
【0063】
第2液晶セル20においても同様に、第3配向膜AL3及び第4配向膜AL4は水平配向膜であり、第2液晶層LC2はポジ型である。このような第2液晶セル20においても、オン状態では、図12を参照して説明した液晶レンズLL1と同様の液晶レンズを形成することができる。
【0064】
図13は、光制御装置200の第3構成例を示す図である。図13に示す第2構成例は、図8に示した第1構成例と比較して、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の構成が相違している。
【0065】
第1液晶セル10において、第1配向膜AL1の配向処理方向AD1は第2方向Yに平行であり、第2配向膜AL2の配向処理方向AD2は第1方向Xに平行である。つまり、配向処理方向AD1は、配向処理方向AD2に直交している。オフ状態において、液晶分子LM1は、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間で90°ツイスト配向している。液晶分子LM1のうち、第1配向膜AL1の近傍の液晶分子LM11は第2方向Yに沿って配向し、第2配向膜AL2の近傍の液晶分子LM12は第1方向Xに沿って配向し、中間層に位置する複数の液晶分子LM1はツイスト配向している。
【0066】
第2液晶セル20において、第3配向膜AL3の配向処理方向AD3は第2方向Yに平行であり、第4配向膜AL4の配向処理方向AD4は第1方向Xに平行である。つまり、配向処理方向AD3は、配向処理方向AD4に直交している。オフ状態において、液晶分子LM2は、第3配向膜AL3と第4配向膜AL4との間で90°ツイスト配向している。液晶分子LM2のうち、第3配向膜AL3の近傍の液晶分子LM21は第2方向Yに沿って配向し、第4配向膜AL4の近傍の液晶分子LM22は第1方向Xに沿って配向し、中間層に位置する複数の液晶分子LM2はツイスト配向している。
【0067】
第1構成例と同様に、第1液晶セル10は領域A11乃至領域A13を有し、第2液晶セル20は領域A21乃至領域A23を有し、偏光変換素子PCは領域A31乃至領域A33を有している。第1液晶セル10、偏光変換素子PC、及び、第2液晶セル20が順に積層された際に、領域A31は領域A11及びA21の間に位置し、領域A32は領域A12及びA22の間に位置し、領域A33は領域A13及びA23の間に位置している。
【0068】
オン状態の第1液晶セル10において、領域A11の液晶分子LM11は、主に第1電極E1の電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。また、領域A11の液晶分子LM12は、主に第3電極E3の電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。つまり、オン状態においては、液晶分子LM11及びLM12の配向方向はほぼ平行となる。このような領域A11は、入射光のうちの第1偏光成分を散乱し、入射光のうちの第2偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。
領域A12の液晶分子LM11は、主に第1電極E1の電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。また、領域A12の液晶分子LM12は、主に第3電極E3の電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。このような領域A12は、入射光のうちの第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過し、入射光のうちの第2偏光成分を散乱する。
【0069】
偏光変換素子PCにおいて、領域A31は、領域A11の透過光である入射光のうち、第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。また、領域A31は、領域A11で散乱された第1偏光成分を第2偏光成分に変換する。
領域A32は、領域A12の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を第2偏光成分に変換する。また、領域A32は、領域A12で散乱された第2偏光成分を第1偏光成分に変換する。
【0070】
オン状態の第2液晶セル20において、領域A21の液晶分子LM21は、主に第2電極E2の電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。また、領域A21の液晶分子LM22は、主に第4電極E4の電界の影響を受けて第1方向Xに配向する。このような領域A21は、領域A31の透過光である入射光のうち、第1偏光成分を散乱し、入射光のうちの第2偏光成分をほとんど散乱することなく透過する。
領域A22の液晶分子LM21は、主に第2電極E2の電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。また、領域A22の液晶分子LM22は、主に第4電極E4の電界の影響を受けて第2方向Yに配向する。このような領域A22は、領域A32の透過光である入射光のうち、第1偏光成分をほとんど散乱することなく透過し、入射光のうちの第2偏光成分を散乱する。
【0071】
このような第3構成例によれば、上記の第1構成例と同様に、散乱効率を向上することができる。
【0072】
なお、第3構成例において、第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、ツイストネマティック液晶素子である場合について説明したが、これに限らない。例えば、第1液晶層LC1及び第2液晶層LC2の各々は、第1構成例の如く垂直配向した液晶分子を含んでいてもよいし、第2構成例の如くハイブリッド配向した液晶分子を含んでいてもよいし、水平配向した液晶分子を含んでいてもよい。
【0073】
上記の各構成例において、偏光変換素子PCは、電極を備えないツイストネマティック液晶素子である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、偏光変換素子PCは、入射光の第1偏光成分を第2偏光成分に変換するとともに、入射光の第2偏光成分を第1偏光成分に変換する機能を有する他の素子であってもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、散乱効率を向上することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することができる。
【0075】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100…照明装置 200…光制御装置
10…第1液晶セル SUB1…第1基板 E1…第1電極 AL1…第1配向膜
SUB2…第2基板 AL2…第2配向膜 LC1…第1液晶層
20…第2液晶セル SUB3…第3基板 E2…第2電極 AL3…第3配向膜
SUB4…第4基板 AL4…第4配向膜 LC2…第2液晶層
PC…偏光変換素子 SUB5…第5基板 AL5…第5配向膜
SUB6…第6基板 AL6…第6配向膜 LC3…第3液晶層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13