(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】携帯用流体移送装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022124137
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2019568677の分割
【原出願日】2018-06-14
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ブレル,ディラン,エル
(72)【発明者】
【氏名】フドレストン,マシュー,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,ジョエッタ,レニー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524513(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014847(WO,A1)
【文献】特表2012-527950(JP,A)
【文献】特表2015-509421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体上に装着する注射装置を受容するように構成される支持面
を画定する基部と、注射装置内への流体の移送を制御するための弁と
、前記支持面の周縁の周囲に延在して、注射装置が前記支持面上に配置されるときに使用者が注射装置を把持するための優先把持領域を画定する位置決めリングとを備える
手持ち式の使い捨て移送装置であって、
前記位置決めリングは、さらに、前記注射装置が前記支持面上に配置されるときに使用者が注射装置を把持することを妨げるための干渉領
域を画定するように構成される、使い捨て移送装置。
【請求項2】
前記弁は、手動で調節可能な弁をさらに含む、請求項1に記載の使い捨て移送装置。
【請求項3】
前記支持面からから上方に延びて、注射装置が前記支持面上に受容されたときに液体を注射装置に移送するように構成される流体移送ポートと、
バイアルを受容するように構成されたバイアルアダプターと、
シリンジを受容するように構成されたシリンジアダプターと、
前記バイアルアダプターと前記シリンジアダプターとの間で選択的に連通して配置され、前記シリンジアダプターと前記流体
移送ポートとの間で選択的に連通して配置されるように構成される流体流路とをさらに備え、前記弁は前記流体流路と連通して、選択的に、前記バイアルアダプターを前記シリンジアダプターと連通して配置、または、前記シリンジアダプターを前記流体移送ポートと連通して配置するように構成されている、請求項1に記載の使い捨て移送装置。
【請求項4】
前記支持面に対向する下面をさらに備え、前記弁および前記流体流路が前記下面に接続されている、請求項3に記載の使い捨て移送装置。
【請求項5】
第2のバイアルを受け入れるように構成されて前記流体流路と連通する第2のバイアルアダプターをさらに備える、請求項
3に記載の使い捨て移送装置。
【請求項6】
前記干渉領域において前記位置決めリングの両側に配置されたハーネスマウントと、前記ハーネスマウントに固定されたときに注射装置を前記移送装置に連結するように構成された着脱可能なハーネスをさらに備える、請求項1に記載の使い捨て移送装置。
【請求項7】
前記ハーネスは、注射装置を前記移送装置の前記支持面に対して保持し、前記支持面上での前記注射装置の横方向の移動に抵抗するように構成されている、請求項6に記載の使い捨て移送装置。
【請求項8】
前記使い捨て移送装置に連結された位置に着脱可能に保持される注射装置と組み合わせた、請求項1に記載の使い捨て移送装置。
【請求項9】
前記注射装置は、さらに、内部の弾性な拡張可能部材と、液体を前記弾性な拡張可能部材内に導入する充填ポートを備え、前記移送装置はさらに、前記注射装置が前記移送装置に連結されるときに前記注射装置の前記充填ポート内に延びる流体移送ポートを備える、請求項8に記載の前記注射装置と組み合わせた使い捨て移送装置。
【請求項10】
前記支持面を画定し、前記干渉領域を画定する隆起した弓状のセグメントと前記優先把持領域を画定する前記隆起した弓状のセグメント間の空間とを含む基部をさらに備える、請求項1に記載の使い捨て移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる、2017年6月15日に出願された米国仮特許出願第62/520,335号および2017年10月12日に出願された米国仮特許出願第62/571,419号の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本主題は、一般に、供給源バイアルから注射装置に薬液を移送する、および/または薬剤を混合、希釈、または再構成し、得られた薬液を注射装置に移送する携帯移送装置またはモジュールに関する。
【0003】
一時的にまたは長期間、患者に装着される注射装置は、医療分野でよく知られている。本出願の主題は、特に、ただし排他的ではなく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2014年12月24日に公開されたPCT国際公開出願番号WO2014/204894に記載される注射装置とともに使用するための移送装置に関する。その注射装置は、装置が患者に装着されている間に、患者への皮下注射、典型的にはボーラス注射のために、薬物、抗生物質、生物製剤または他の注射可能な適切な注射可能な薬剤で満たされ得る内部弾性ブラダー(袋)を含む。
【0004】
この注射装置は、患者への注射の前に、所望の注射剤で(全体的または部分的に)満たされなければならない。上記のPCT国際公開は、1つまたは複数のバイアルなどの供給源から注射装置に注射剤を移送するためのさまざまな移送装置も開示している。状況によっては、注射剤を希釈または再構成する必要があり、それを達成するためのさまざまな装置が上記の出願に開示されている。本出願は、移送、希釈、および/または再構成のためのそのような移送装置について、製造コストの低減および廃棄物の廃棄の削減を可能にする追加の新規設計および改善を開示する。本明細書に記載された移送装置は、本明細書に記載されていない装置の構造または機能を制限することなく、移送モジュール、アクセサリ、アドオン、または他の適切な用語でさまざまに呼ばれることがある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【0006】
図2は、満杯状態の送達指示器を示す、充填された注射装置の上面図である。
【0007】
図3は、空の状態の送達指示器を示す、充填された注射装置の上面図である。
【0008】
図4は、テープおよび充填ポートが取り付けられた注射装置の下側を示す斜視図である。
【0009】
図5は、テープが取り外され、充填ポートおよび分注ポートが露出した状態の注射装置の下側を示す斜視図である。
【0010】
【0011】
図7は、安全装置が取り付けられた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の斜視図である。
【0012】
図8は、安全装置が取り外され、ボタンが発射前の状態にある、皮膚に取り付けられた注射装置の斜視図である。
【0013】
図9は、安全装置が取り外され、ボタンが押し下げられた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の斜視図である。
【0014】
図10は、発射前の状態でボタンを上げた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0015】
図11は、第1の発射状態でボタンを押し下げた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0016】
図12は、分注状態でボタンが押し下げられた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0017】
図13は、トリガーされていない送達終了指示器を示す、皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0018】
図14は、トリガーされた送達終了指示器を示す、皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0019】
図15は、発射後の状態でボタンがロックされた状態で皮膚に取り付けられた注射装置の断面図である。
【0020】
図16は、包帯が皮膚上に残った状態で皮膚から取り外された注射装置の斜視図である。
【0021】
図17は、充填状態で上部ハウジングが取り外された注射装置の斜視図である。
【0022】
【0023】
図19は、空の状態で上部ハウジングが取り外された注射装置の斜視図である。
【0024】
【0025】
図21は、バイアルから注射装置およびシリンジに注射剤を操作/移送するための上記の図に示される装置などの注射装置に一時的に結合するための移送装置の斜視図である。
【0026】
図22は、異なる角度から見た
図21の移送装置の斜視図である。
【0027】
【0028】
【0029】
図25は、シリンジアダプターを直接見た
図21の移送装置の端面図である。
【0030】
【0031】
【0032】
図28は、上記
図1~20に一般的に示されるような注射装置、それに一時的に結合された
図21~27のような移送装置、標準バイアルおよび標準シリンジを含む注射システムの斜視図である。
【0033】
【0034】
【0035】
図31は、複数のバイアルからの注射剤を注射装置に操作/移送するための上記の図に示される装置などの注射装置に一時的に結合するための移送装置の斜視図である。
【0036】
図32は、異なる角度から見た
図31の移送装置の斜視図である。
【0037】
【0038】
【0039】
図35は、シリンジアダプターを直接見た、
図31の移送装置の端面図であり、一部が取り除かれている。
【0040】
【0041】
【0042】
図38は、一対のバイアルアダプターを直接見た
図31の移送装置の端面図である。
【0043】
図39は、上記
図1~20に一般的に示される注射装置、それに一時的に結合される
図31~38に示される移送装置、一対の標準バイアルおよび標準シリンジを含む注射システムの斜視図である。
【0044】
【0045】
【0046】
図42は、第1の弁位置における
図39のシステムの導流の概略図である。
【0047】
図43は、第2の弁位置での
図39のシステムの導流の概略図である。
【0048】
【0049】
図45は、
図21~24に示されるような代替の1つのバイアル移送装置の底面図であるが、可動弁を使用せず、任意の疎水性フィルターを示す。
【0050】
図46a,46bは、上に示されている移送装置およびシステムの別の実施形態を示しており、相違点は注射装置7ではなく移送装置に本質的にある。
【0051】
図47は、
図46に示される移送装置およびシステムの分解斜視図である。
【0052】
図48は、システムが組み立てられたときに注射装置が載る移送装置基部の斜視図である。
【0053】
図49A,49Bは、移送装置基部に取り付けられ、システムが組み立てられたときに注射装置が入れ子になる位置決めリングの斜視図である。
【0054】
図50は、注射装置を移送装置基部に対して保持する保持具またはハーネスの斜視図である。
【0055】
図51Aは、シリンジ、バイアル、および注射装置の間の流体の流れを制御するための弁サブアセンブリの斜視図である。
【0056】
【0057】
図52は、薬剤のバイアルを受け入れるためのバイアルアダプターの斜視図である。
【0058】
図53A~53Oは、移送装置およびシステムの使用における選択された工程を示す絵図的フローチャートである。
【0059】
図54は、好ましくは患者に配置される注射装置の斜視図であり、注射状態指示器の視認を可能にする使用者の位置決めを促す人間工学的特徴を示している。
【0060】
図55は、携帯用移送装置、その上に取り付けられた注射装置、およびシリンジの斜視図であり、注射装置は、流体の流れを制御するための手動弁を有していない。
【0061】
図56は、
図55に示されている携帯用移送装置の底面図である。
【0062】
図57~60は、
図55,56の携帯用移送装置の潜在的な使用のいくつかの例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
注射装置
本出願の
図1~20およびこの段落から「移送装置」と題された章に及ぶ関連する説明は、ここに全体が参照として組み込まれる、主に以前に公開されたPCT出願WO2014/204894A2から取られている。
図1~3を参照すると、注射装置7は、任意の適切な構成であり得るが、図示されるように、上面75および下面76を備えた概して薄型の円盤形状の外側ハウジング74を有し、使用者によって操作されると、そこを通って注射針またはカニューレが突出する。上面75は、注射を開始するためのアクチュエータまたはボタン77と、患者または医療専門家が拡張可能部材78を見て装置7内の注射可能な流体79の量を確認できるようにするハウジング74の透明部80とを有する。たとえば、使用者は注射が開始または終了したかどうかを判断し得る。より好ましくは、拡張可能部材78および/またはハウジング74の透明部80は、ラインマーキング127などによって目盛りが付けられることができ、患者または医療専門家が、残っている注射可能な流体79の量を、より高い精度、たとえば、約50%完了や約75%完了などで、視覚的に決定できるようにする。さらに、拡張可能部材78自体は、外側ハウジング74上の特徴を含むか、またはそれと相互作用して、残っている注射可能な流体79の量を示すことができる。「注射可能な流体」、「注射剤」、「薬物」、「薬剤」および同様の用語は、本明細書で互換的に使用されることに留意されるべきである。例えば、注射装置7が薬剤79で満たされている場合、透明部80は、限定されないが緑色などの1つの色を示してもよい。注射装置7に薬剤79が入っていない場合、透明部80は、限定されるものではないが赤色などの異なる色を示し得る。分注の途中では、透明部80は色の組み合わせを示すことができる。
【0064】
図4~
図6を参照すると、注射装置7の下面76は、充填ポート81および分注ポート82を含む。充填ポート81は、移送装置充填管83が液体79を注射装置7に移送することを可能にするインターフェースである。分注ポート82はまた、拡張可能部材78から放出された注射剤79と針85との間に内部経路84を含む。充填ポート81および分注ポート79は、内部経路86を介して直接流体連通していてもよく、または単一のポートに組み合わされてもよい。
【0065】
図4~6を参照すると、注射装置は、注射装置7が移送装置から取り外され、充填ポート81が充填管83から取り外されたときに加圧された注射剤79が注射装置7から漏れないようにする逆止弁87を含む充填ポート81を含むことが好ましい。
【0066】
図4~6を参照すると、注射装置7は、シリンジの挿入を受け入れるように構成された充填ポート81も有することができる。このシリンジは、ルアーフィッティングまたは針で構成できる。この充填ポート81の構成は、使用者による注射装置の手動充填を可能にする。移送装置6は依然として使用され得るが、この構成では必要とされないであろう。
【0067】
図4~6を参照すると、注射装置7は、取り付けられた管または標準の針ポートを介して静脈カニューレに直接接続するように構成された分注ポート82も有することができる。
【0068】
図4~
図6を参照すると、注射装置7の下面76は、注射が完了するまで注射装置7を患者の皮膚に一時的に固定するための接着剤88を担持する。注射装置7の取り外し中、接着テープライナー89を自動的に取り外して、注射装置7を患者の皮膚に接着するために使用できる注射装置7の下面76の接着面88を露出させることができる。あるいは、テープライナー89は、使用者が注射装置7を皮膚に接着する前に手で取り外すために引っ張るタブ90を有してもよい。あるいは、このタブを移送装置4の表面に取り付けて、注射装置7を取り外すとテープライナーが自動的に取り外されるようにしてもよい。
【0069】
図4~6を参照すると、注射装置7は、下面基部76を越えて延びる接着テープフランジ91を有してもよい。接着テープ88のこのフランジ91は、注射装置7と皮膚表面との間の張力緩和として作用することができ、注射装置7が誤って皮膚から外れるリスクを低減する。言い換えると、コネクタに挿入されるワイヤのテーパー付き張力緩和と同様に、拡張された接着剤のフランジ91は、接着テープ88および皮膚界面での応力上昇を低減するために、接着テープ88と注射装置7の下面基部76の間の接続点の両側に荷重を分散するように作用する。
【0070】
図4~6を参照すると、注射装置7は、使用者のさらなる介入なしに、使用者が注射装置7を固定する際に接着テープ88を皮膚にしっかりと取り付けるために接着剤のフランジ91を押す先細りの下面98で構成されてもよい。注射装置7を皮膚に押し付けるときに人の皮膚の追従性を使用することにより、注射装置7のテーパー付き下面98は、接着テープ88のフランジ91を皮膚に効果的に押し付けるが、フランジ91の上部露出面の部分は露出した接着剤を有さないため、テーパー付きの下面98のその部分には取り付けられない。使用者は、注射装置7を皮膚に固定するために指をフランジ91の周りに動かす必要はなく、接着テープ88を取り付けるはるかに簡単な方法になる。
【0071】
図4~6を参照すると、注射装置7は、適用中に注射装置7を皮膚に適合させることにより改善された取り付けを可能にするために、剛性である代わりに可撓性または柔軟な下面76を有してもよい。
【0072】
図7~9を参照すると、注射装置7が皮膚99に配置または接着された後、安全機構またはロックアウト機構が自動的に解除され、注射装置7は発射(注射)の準備が整う。言い換えれば、注射装置7は、皮膚に対して配置されるまで作動されることを防止(ロックアウト)される。あるいは、使用者は、安全ピン、安全スリーブ、またはカラーなどの安全装置100を手動で取り外して、注射装置を解放して発射(注射)の準備をすることができる。注射装置7は、安全機構100が解放されるまで発射できないことが好ましい。安全機構100は、受動的または能動的であり、使用者によって手動でトリガーされるか、注射装置7によって自動的にトリガーされる。
【0073】
図7~9を参照すると、注射装置7は、アクチュエータまたはボタン77および視覚指示器101を組み合わせて使用して、移送装置から取り外された後の注射装置7の状態を画定することができる。例えば、ボタン77が上位置にあり、指示器101が限定されないが緑色のような1色を有する場合、これは、注射装置7が注射を開始する準備ができていることを示し得る。加えて、ボタン77は、その上部103とは異なる色の側壁102を有してもよい。ボタン77が押されると、使用者はボタン77の側壁102を見ることができない。 これは、注射装置7が使用中であることを示し得る。注射装置7は、薬物の注射が完了したときに使用者に警告してもよい。この警告は、視覚的な指示器、可聴音、機械的な動き、またはその組み合わせの形をとることができる。ボタン77は、理想的には、ボタン77がロックアウトされた位置に「ポップアップ」したときに、聴覚的、視覚的および触覚的なフィードバックを使用者に与えるように設計されている。注射装置7は、ボタン77が上位置にあり、注射装置が空であることを示す指示器窓101を用いて、分注が完了し、全用量が患者に送達されたことを使用者に示すことができる。例えば、ボタン77が上位置にあり、指示器101が限定ではなく赤色などの異なる色を示す場合、これは注射装置7が注射を完了したことを示し得る。
【0074】
図10~
図12を参照すると、注射装置7は、使用者が注射装置7を押して注射を開始するアクチュエータまたはボタン77を有することができる。ボタン77は、オン/オフスイッチであるように、すなわち、ライトスイッチなどの2つの状態、すなわち開閉のみを有するように構成されてもよい。これにより、使用者がボタン77を半押しして注射装置7を作動させないようにすることができる。起動されると、この「ライトスイッチ」タイプのボタン77は、ボタン77の使用者操作とは関係なく、針85を皮膚99に迅速に挿入する。別法として、ボタン77は連続的な動きをし得、使用者が針85を皮膚99にゆっくり挿入することを可能にすることができる。ボタン77は、好ましくは、接着剤104を使用して、ボタン77および針85を作製することにより、針85に直接結合され得る。
【0075】
図10~12を参照すると、注射装置7は、
図11に示すように最初に第1の位置または深さになり、
図12に示す第2の位置の深さに好ましくは自動的にわずかに後退するボタン77の作動時に、針85を皮膚99に移動させることができる。
図11に示される第1の深さは、作動中のボタン77のオーバートラベルから達成される。第1の深さは、注射装置7の基部106と直接接触するボタン77の機能部105によって制御されてもよい。針85の最終的な深さは、皮下注射に適している。あるいは、皮内注射のために針85の最終的な深さを減らすことができる。あるいは、筋肉内注射のために針85の最終的な深さを増加させてもよい。第1の深さに達すると、
図12に示すように、針85は後退して第2の深さに戻る。針の2番目の深さまでの後退距離は、0.1~2mmの範囲である。この引き込み機能は、初期挿入工程中に針85が組織によって閉塞されるのを防ぐために好ましい。この組織の閉塞は、注射装置7が薬物を送達するのを克服および防止するために非常に高い圧力を必要とする可能性がある。針85を第1の位置から第2の位置に引っ込めると、針先107の前方に開いたポケットができ、針85からの薬剤の流れを開始するための減圧が可能になる。注射装置7が注射中に比較的一定の圧力を維持するためには、針からの薬剤の流れを開始するためのこの減圧が好ましい。
【0076】
図10~12を参照すると、注射装置7は、側孔108を備えた針85を含むことができる。
図12に示すように、注射装置7のボタン77が完全に押し下げられると、針85は分注ポート82を通して皮膚99に完全に挿入され、注射装置7は注射剤の分注を開始する。ボタン77が完全に押し込まれるまで、側孔108、したがって針85の内腔は、分注ポート82の流体チャネル86と連通していない。側孔108と針先107の両方が隔壁109内に保持される。隔壁109内に側孔108および針先107が保持されているため、使用時まで薬物経路全体が無菌状態に保たれる。ボタン77が完全に押し下げられ、針85が分注位置にあるとき、針85の側孔108は分注ポート82の流体チャネル86と連通し、液体の注射が始まる。
【0077】
図10~12を参照すると、隔壁109は、分注の前後に注射可能から針先107および側孔108を封止するという利点を提供する。注射の終わりに針先端107および針85の側孔108を密封することは、分注の終了後および/または皮膚表面から除去された後の注射装置7からの注射剤の滴下を防止する特定の利点を有する。また、皮膚に作用する前に汚染物質が中空針に入るのを防ぐ。隔壁109は、針85が穿刺した後の密封を可能にする任意の適切な材料で作られていてもよい。隔壁109の材料組成は、好ましくはシリコーンであり得る。あるいは、隔壁の材料組成は、ブロモブチル、クロロブチル、イソプレン、ポリイソプレン、SBR、ポリブタジエン、EPDM、天然ゴムおよびシリコーンを含むがこれらに限定されない異なる材料のブレンドであってもよい。あるいは、分注ポート82を含む流体経路86は、前述の隔壁を生成するために金型上にシリコーンが注入された剛性プラスチックであってもよい。
【0078】
図10~
図12を参照すると、分注ポート82の隔壁109は、注射装置7の下面から皮膚表面99内にわずかに突出して、注射部位の皮膚表面99に圧力をかけることができる。針が引き込まれた後の分注ポート82による皮膚表面99へのこの圧力は、一般にブローバックと呼ばれる、注射部位からの注射剤の流出を排除することができる。
【0079】
図10~
図12を参照すると、注射装置7は、ボタン77と連動してロック機能を実行する一組のばねタブ110を含むことができる。
図10に示すように、ボタン77を第1の上位置または発射前位置に維持するために、ばねタブ110が付勢されてボタン77のアンダーカット111にロックされる。アンダーカット111およびばねタブ110の形状は、前述のライトスイッチの作動力を生成するのに役立つ。このライトスイッチの作動は、ばねタブ110に対するボタン77の並進および嵌合するアンダーカット111表面の形状によって達成される。
【0080】
図10~
図12を参照すると、注射装置7は、注射装置7のボタン77と相互作用して、ボタン77が第1の深さまで作動して第2の深さまたは分注位置までわずかに後退すると、ボタン77のアンダーカット機能部113が、注射装置7が分注を完了するまで、ばねタブ112がボタン77を分注位置に保持することを可能にするロック機能を実行するばねタブ112を含むことができる。
【0081】
図13~14を参照すると、注射装置7は、流体79のすべてが拡張可能部材78から排出され、注射装置7が分注を完了したことを感知する送達終了指示器または空指示器114を含むことができる。空指示器114は、すべての流体が排出された後に拡張可能部材78が収縮状態にあるときに、出口で拡張可能部材78上をスライドするスロットまたは他の開口部115を備えて構成され得る。空指示器には2つの状態がある。
図13に示すように、空指示器は、拡張可能部材78がその部分で流体79で満杯であり、スロットまたは開口部115内に含まれていないとき、第1の位置または外偏向状態にあり得る。この第1の位置は、拡張可能部材78の直径がその中に含まれる残留流体79によりその最小値よりも大きい場合、拡張可能部材78の空でない状態に変換される。
図14に示されるように、空指示器114は、拡張可能部材78がスロットまたは開口部115内に部分的または完全に収容されるとき、第2の位置または内偏向状態にあり得る。この第2の位置は、直径が最小のときに拡張可能部材78の空の状態に変換されるであろう。
【0082】
図13~14を参照すると、注射装置7は、分注の終わりに自動針引き込み機構を含むことができる。この機構は、前述のすべてのばねタブ112、ボタンのアンダーカット機能部113、および空指示器114の間の直接結合を含む。
図14に示されるように、拡張可能部材78が注射剤79で満たされ、ボタン77が第1の発射前位置から第2の分注位置まで押し下げられると、ボタン77のアンダーカット機能部113は、注射装置7が分注を完了するまで、ばねタブ112がボタン77を分注位置に保持することを可能にする。このばねタブ112は、当然のことながら第1の位置または外偏向状態にある空指示器114に直接結合されてもよい。ボタン77を第2の位置または分注位置に押す動きにより、ボタン77の発射後機能部116は、ばねタブ112に偏心または予張力を与え、空指示器114をその第2の位置または内偏向状態に押しやることができる。しかしながら、拡張可能部材78は最初は大きな直径において注射剤79で満たされているため、
図13に示すように、空指示器114は第2の位置または外偏向状態に移動することはできない。ボタン77が押し下げられた後、流体79は、前述のように針を通して拡張可能部材78から排出し始める。拡張可能部材78が流体79のすべてを放出し、最小直径になると、
図14に示すように、空指示器114は(ばねタブ112からの予張力下)第2の位置または内偏向状態に移動する。空指示器114に直接連結されたばねタブ112も、空指示器114とともに移動する。この動きにより、ボタン77のアンダーカット機能部113からばねタブ112が解放され、
図15に示すように、分注が完了した後、ボタン77(および針)が最終位置または発射後位置まで移動できるようになる。
【0083】
図15を参照すると、ロックアウトばねタブ117はまた、注射装置7のボタン77と相互作用して、注射が完了するとボタン77が解放され、ボタン77が戻しばねタブ118によって最終上位置または発射後位置にボタン77が押し上げられるようにロック機能を実行することができる。最終上位置または発射後位置(
図15に示す)にある注射装置7の上部に対するボタンの高さ77は、発射前位置(
図10に示す)よりも高くてもよい。ロックアウトばねタブ117の端部は、外側ハウジング74内のボタン77の外径面119まで移動して、ボタン77を上位置または発射後位置にロックし、ボタン77が再び作動するのを防ぐ。
【0084】
図15を参照すると、注射装置7は、ボタン77と相互作用して、ボタン77を第1の上位置または発射前位置に付勢する戻しばね118を含むことができる。ボタンが第2の深さまたは分注位置まで作動されると、戻しばね118が圧縮され、より多くの偏向または予荷重が生じる。分注期間の終わりに、ボタン77は第2の深さまたは分注位置(
図12に示す)からロック解除され、前述のように分注が完了した後、最終位置または発射後位置まで移動する。ボタン77を最終位置または発射後位置まで押し上げるのは、戻しばね118の偏向である。
【0085】
図15~16を参照すると、皮膚99から注射装置7を取り外すと、注射装置7は好ましくはロックアウトされ、針への非破壊的なアクセスまたは注射装置7の再使用を防止する。注射装置7は、全用量が送達されたことを使用者に示してもよい。この表示は、視覚的な指示器、可聴音、機械的な動き、または組み合わせの形をとることができる。
【0086】
図16を参照すると、皮膚99から注射装置7を除去すると、包帯120が注射装置7から解放され、皮膚表面35に留まり得る。これは、包帯を注射装置7に接着する接着剤よりも包帯を皮膚に強く接着する包帯部分に接着剤を使用することにより影響を受ける可能性がある。したがって、ハウジングが皮膚から持ち上げられたとき、包帯120は、ここに参照によって組み込まれる米国特許第7,637,891号と2009年12月4日に出願された米国特許出願第12/630996号に記載されているように、注射部位の上の所定の位置に留まる。
【0087】
図17~20を参照すると、注射装置7は、好ましくは、拡張可能部材78と充填ポート81および分注ポート82の両方に組み立てられ、拡張可能部材78と注射装置7の充填ポート8と分注ポート82との間の直接流体連通を提供するマニホールド121を含むことができる。マニホールド121は、拡張可能部材78に組み立てられる端部において直径が大きくなるように構成され、前述のように、拡張可能部材78からの流体79のすべての充填および排出を容易にする。マニホールド121は、好ましくは、拡張可能部材78の内外への流体の流れを可能にする内部通路122を含むことができる。
【0088】
マニホールド121は、注射剤流体経路122にフィルター123を備えて構成され、注射可能な79を濾過して、それが拡張可能部材78に導入される前後に微粒子を除去する。フィルター123は、膜、デプスフィルター、または好ましくない微粒子を除去するのに十分小さい細孔サイズまたは有効な細孔サイズの他の適切なろ過媒体であってよく、これには、注射剤79が移送装置によって再構成される場合、非溶解注射剤79が含まれるが、これに限定されない。
【0089】
マニホールド121はまた、空気を除去するためのフィルター123で構成されてもよい。そのような空気除去フィルター123は、拡張可能部材78に導入される前に注射剤流体経路122から空気を除去する気泡トラップ、空気ギャップまたは他の構成を注射剤流体経路122に含むことができる。この空気除去フィルター123は、疎水性フィルターまたは疎水性フィルターと親水性フィルターの組み合わせで構成されてもよい。疎水性フィルターは、液体の通過ではなく、移送装置からの空気の排出を可能にする。親水性フィルターを使用すると、液体は通過できるが、微粒子や空気は通過できない。空気除去フィルター123は、閉じ込められた空気の排出を可能にする逆止弁を有してもよい。あるいは、空気除去器およびフィルター123は、充填ポート81から針85までの流体経路内の任意の点に配置されてもよい。例えば、流体経路の最下流点は、拡張可能部材78の遠位端128である。内部マンドレル124は、拡張可能部材78の遠位端128に接続され得る。空気除去器またはフィルター123をこの下流点に統合して、注射装置7の充填中に閉じ込められた空気を排出できるようにしてもよい。さらに、マンドレル124は、その長さに沿って、充填工程中の空気の排出を助けるために下流フィルター123と連通するスロットを含むことができる。
【0090】
図17~20を参照すると、注射装置7は、エラストマー風船またはブラダーなどの弾性の拡張可能部材78を含むことができる。拡張可能部材78の材料組成は、好ましくはシリコーンであり得る。あるいは、拡張可能部材78の材料組成は、ブロモブチル、クロロブチル、イソプレン、ポリイソプレン、SBR、ポリブタジエン、EPDM、天然ゴムおよびシリコーンを含むがこれらに限定されない異なる材料のブレンドであってもよい。さらに、拡張可能部材78は、表面特性を改善するためにコーティングされてもよい。コーティングには、パリレン、シリコーン、テフロン、フッ素ガス処理が含まれる。あるいは、拡張可能部材78は、熱可塑性エラストマーから作られてもよい。
【0091】
図17~20を参照すると、注射装置7は、注射剤79が圧力下で移送される弾性拡張可能部材78を含むことができる。これにより、拡張可能部材78が拡大し、拡張可能部材78の弾性により、注射剤79を排出する傾向がある圧力が生じる。前述の移送装置の圧力室(または移送装置で使用できる他のポンプまたは加圧手段)は、圧力下で注射剤79を注射装置7に移送する。圧力下で注射剤79を拡張可能部材78に導入すると、直径および長さの両方で伸長および拡張する。これの例は、長くて細い風船を膨らますことである。注射装置7の容積範囲は、0.5から30ミリリットルであり得る。拡張すると、弾性の拡張可能部材78は、拡張可能部材78に含まれる注射剤79に1~200psiの範囲の放出圧力を加え、注射装置7は、前述のように使用者によってボタンが押し下げられることによってトリガーされると自動的に注射剤79を投与する準備が整う。
【0092】
移送装置
ここで移送装置および
図21~27に目を向けると、移送装置200の図示された変形例は、他の特徴の中でもとりわけ、注射装置嵌合または支持表面204を含む基部202、バイアルアダプター206、シリンジアダプター208、流量制御弁210(
図24の底面図を参照)、および流体流路セグメント212,214,216(
図24の底面図を参照)を含み得る。移送装置200はまた、移送装置200を注射装置7に一時的に固定するための保持ストラップまたはハーネス218を含んでもよい。
【0093】
移送装置は、少量、低コストの使い捨て性のために、一体成形されたプラスチック構造体で作られてもよい。あるいは、移送装置の1つ以上の特徴部分を別個に形成し、一緒に組み立てて、完全な移送装置を提供してもよい。
【0094】
支持面204は、様々な構成のいずれをとってもよい。図示された支持面は、注射装置7が支持面上に置かれたときに、注射装置7の充填口81内に延びるように中心を外れて位置する直立流体移送口220を含む全体的に円形の平坦面である。流体移送ポート220は、全体的に、比較的小さな直径の中空針またはカニューレ(偶発的な針刺しを回避するために鈍端を有してもよい)の形態であり、その下端は、支持面に対向する下面に接続された流路セグメント214と流体連通する。
【0095】
基部202は、使用者が注射装置7を、他の利点の中でも特に好ましい配向での患者への注射装置7の取り付けを可能にする特定の場所で把持することを可能にする対向する優先把持領域205(指の隙間または把持または保持ゾーン、領域または場所とも呼ばれる)を含むことができる。把持領域205は、基部の周縁部の周りに間隔を空けて配置され、例えば、実質的に180度離れていてもよい。優先把持領域の使用を促進するために、基部は、把持領域205の間に位置する干渉領域207(ゾーン、領域、または場所)を含むことができ、干渉領域は使用者が干渉領域で注射装置7を把持することと干渉する、または、潜在的に避けるように構成され、したがって、意図された優先把持領域205で注射装置7を把持または把持するように使用者に促す。この例では、基部202は、支持面204に隣接する好ましい把持領域205を含む。把持領域205は、基部202のその他の点ではほぼ円形の支持面204に沿った平坦なセグメントによって画定される。したがって、全体的に円形のセグメント207は、把持領域205の平坦なセグメント間に延在し、干渉領域を提示する。
【0096】
シリンジアダプター208は、標準シリンジの放出端に位置する通常の標準オスシリンジルアーポートと嵌合するように設計された標準寸法を有する標準中空雌ルアーロックアダプターとして示されている。ルアーアダプターの放射状突起または耳部222は、標準シリンジの雄ルアーポートの周りに位置するねじ付きカラーと協働し、相対回転が雄ルアー部分と雌ルアー部分を一緒に固定し、偶発的または早期の切断を回避する。シリンジアダプター208は、流体流路セグメント212の一端に流体接続されている。
【0097】
バイアルアダプター206は、注射剤の標準バイアルの端部の案内された受容のために、開放端部で外向きに広がっている外部カラー224を含む。
図22に見られるように、バイアルアダプターは、バイアルが挿入されたときに標準薬剤バイアルの端部を覆うゴム隔壁を突き刺すための1つ以上の細長い中空突き刺しスパイク、ピンまたはカニューレ226を含み得る。1つのカニューレが使用される場合、それは、液体がバイアルに出入りすることを可能にする少なくとも流体流管腔、および置換空気がバイアルに出入りすることを可能にする通気管腔を含み得る。あるいは、別個の貫通ピンまたはカニューレ、例えば、液体流用の1つのカニューレおよび置換空気用の別個のカニューレが使用されてもよい。後述するように、通気孔から液体が漏れるのを防ぎながら、バイアルに入る置換空気をろ過するために、疎水性膜などの微孔性フィルターを設けてもよい。後述するように、バイアルアダプター206の穿刺ピンまたはカニューレの流体流管腔は、基部の下側の流体流路セグメント216の一端に接続されている。
【0098】
注射装置7に一時的に連結された移送装置を保持するために、ハーネス218は、基部202の一方の側に枢動可能に取り付けられ、関連する注射装置7上で枢動して基部202および注射装置7にまたがって所定の位置に注射装置7を保持することができる。ハーネス218の自由端228は、注射装置7の上にハーネスを固定し、それを移送装置200の基部202に対して保持し、注射装置への流体の移送が完了した時ハーネス218および注射装置7を解放するための手動で接続および着脱可能なクリップまたはコネクタ230を含む。移送装置200に連結されたときに注射装置7の横方向の移動を回避するのを助けるために、ハーネス218は、注射装置7のアクチュエータボタン77の周りに延びるかまたは外接する中間リング232を有する。
【0099】
図示された移送装置200の流体導流は、
図24によりよく見られる。流体流路セグメント212,214,216は、一体型移送装置200の一部として成形されてもよく、またはプラスチック管セグメントなどの別個に形成されてもよく、基部202の下側に固定されてもよい。実際の流路構成も変更できる。
図24に見られるように、流体流路セグメント212、214,216は、3ポート弁または活栓の形態で示される中央に配置された流量制御弁210を通して連通する。より具体的には、流路セグメント212は、シリンジアダプター208の中空雌ルアーと弁210との間に延び、流路セグメント214は、流体移送ポート220の中空カニューレと弁210との間に延び、流路セグメント216は、バイアルアダプター206の中空流体流貫通スパイク、ピンまたはカニューレ226と弁210との間に延びる。3ポート弁210により、使用者は、シリンジアダプター208とバイアルアダプター206の間、およびシリンジアダプター208と流体移送ポート210の間の流れを指示/制御することができる。流量制御弁210がバイアルアダプター206と流体移送ポート220との間の流れを可能にすることも可能であるが、この配置は、移送装置200のこの変形例では通常使用されず、その位置への流量制御弁210の移動は使用者の誤操作を避けるために、適切な弁停止等によって防がれ得る。弁の位置と、流れ連通している流路セグメントの表示を提供するために、弁ハンドル236は、
図24に見られる三角形の指示器238などの視覚的および/または触覚的指示器を含んでもよい。
【0100】
フィルターはまた、所望の流体流セグメント212,214,216に配置され、液体が流路に沿って通過するときに注射可能な液体をろ過し、液体に伴われる可能性のある気泡を除去し、および/または、置換空気をバイアル内外に排気することを可能にすることができる。これらのフィルターは任意の適切なタイプのものであり得るが、平均孔径が0.22ミクロンなどの微孔質膜が有利な濾過のために使用され得る。そのようなフィルター膜は、液体が通過できるように親水性、または気体が通過し液体の流れを遮断できるように疎水性、または一部が親水性で一部が疎水性の組み合わせのフィルターであってもよい。フィルターの位置とタイプは目的に依存するが、1つの選択肢は、液体が通過するのを防ぎながら、通過する置換空気から病原体を除去するために、置換空気流路に疎水性微孔性フィルター膜を採用し、液体から粒子または病原体をろ過し、液体中に伴われるいかなる気泡も除去するために液体流路内に微孔性親水性膜を提供することである。必要に応じて、各流体流路セグメントに親水性の微孔性フィルターを設けてもよい。
【0101】
注射装置7および移送装置200を含む組み立てられたシステム244は、
図28~40に示され、標準的な注射剤バイアル240および標準的なシリンジ242に接続されている。移送装置200が注射装置7に固定される前または後に、バイアルおよび/またはシリンジを移送装置200に取り付けることができる。この構成により、使用者は、バイアル240からシリンジ242に液体の注射剤を引き出し、シリンジから注射装置に送達することが容易になる。流路セグメント212,216が排他的に連通し、流路セグメント214が遮断されるように流量制御弁210のハンドル236を配置することにより、シリンジのプランジャーを単に引き戻すことにより、注射剤をバイアル240からシリンジ242に引き込むことができる。次に、弁ハンドル236を回転させて、流路セグメント212,214が排他的に連通し、セグメント216が遮断されるようにすることができる。この位置では、シリンジプランジャーの押し下げにより、シリンジ242から注射装置7に液体の注射剤が押し込まれ、弾性ブラダー(拡張可能部材78)が注射剤を受容する際に拡張し、続いて生きている患者への注射のために注射装置を準備する。適切な投与量の必要に応じて、追加のバイアル240を取り付けて内容物を移すことができる。また、注射剤が希釈または再構成を必要とする場合、注射剤を希釈または再構成するために、シリンジ242に所望量の滅菌液体を事前に充填して備えてもよい。必要に応じて、バイアル240とシリンジ242が連通する位置に弁210を残し、シリンジプランジャーを繰り返しサイクリングしてバイアル240とシリンジ242の間で液体を前後に移動させることにより、混合または再構成を強化できる。
【0102】
この特定の実施形態の追加の特徴または態様は、バイアルから薬物を除去し、それをシリンジに入れ、次に注射装置に入れるためのコンパクトで効率的な方法を可能にする携帯用シリンジ移送システムが提供されることにおいて認識され得る。
【0103】
基本操作中、使用者は、移送装置200のバイアルアダプター206を用いてシステムバイアル244に薬剤のバイアルを取り付ける。薬物バイアル240は、13~20mmの首部仕上げで1~50mLの容量を有することができる。シリンジ242の容量は1~50mLであり得る。注射装置7の容量は1~50mLであり得る。使用者は、薬物バイアルをバイアルアダプターに取り付けてから、それをシステムに取り付けることができる。あるいは、バイアルアダプターはシステムの一部となり、使用者はバイアル240をシステムに挿入する。バイアルアダプター240は、ゴム栓を通して薬物バイアル240にアクセスするためのスパイク226を含むことができ、2つの流体経路を有する。1つは大気に通気され、もう1つは流路に接続されている。これにより、真空を生成せずにバイアル240から流体を簡単に引き出すことができる。シリンジ242は、バイアル240から流体を引き出し、流体を注射装置7に移送するために、反対側に接続されている。バイアル240およびシリンジ242がシステム244に取り付けられると、弁は、シリンジ242とバイアル240との間に流体経路を作製する状態を引き出すように配置される。シリンジのプランジャーを引くことにより、流体がバイアル240からシリンジ240に引き込まれる。患者の投与量に基づいて、バイアル240の全内容物または部分的な内容物が除去され得る。使用者は、複数のバイアル240を取り付けて1つのシリンジ242を満たし、必要な用量をシリンジ242に入れることができる。流体がシリンジ242から押し出されにくい場合、使用者は複数のシリンジ242を使用して、1つまたは複数のバイアル240から注射装置7に入れることができる。最終用量を決定する前に、シリンジ242内にいくらかの空気が存在する可能性がある。使用者は、シリンジ242内の過剰な空気をバイアル240に戻すことにより、シリンジ242をプライミングすることができる。
【0104】
所望の量の流体がバイアル240からシリンジ242内に除去されると、弁210は、充填するように切り替えられる。これにより、充填されたシリンジ242と注射装置7との間に流体経路が作製される。使用者は、シリンジ242のプランジャーを押して、シリンジ242の内容物を注射装置7に押し出す。移送中にシリンジ242内に空気が存在する場合、システム244は空気を濾過して、空気が注射装置7に移送されるのを防ぐことができる。シリンジ242と注射装置7との間の流体経路内のフィルターは、空気をろ過することができる。これは、上記のように、疎水性フィルターまたは親水性/疎水性フィルターの組み合わせで実現できる。保持ストラップまたはハーネス218のロックは解除され得、充填されたシリンジ242はシステム244から取り外され得る。あるいは、薬剤は予め充填されたシリンジ242に入ってもよい。したがって、弁ハンドル236は移送位置に移動し、薬物は注射装置7に押し込まれる。複数の予め充填されたシリンジ242を使用して、注射装置7を満たすことができる。注射装置7の充填が完了すると、移送装置200は、ほとんど無駄なく容易に取り外されて廃棄され、注射装置7が患者に適用される。
【0105】
図31~44は、再構成または希釈を必要とする注射剤に特に適した移送装置250の別の実施形態に関する。この移送装置250は、
図21~30に示される移送装置200の特徴と同様のいくつかの特徴を含むが、2つのバイアルアダプター262および必然的に異なる流路配置を含む。
図31に見られるように、この移送装置250は、注射装置7がそれに連結されたときに載る基部252を含む。基部252は、注射装置7の充填ポート81への挿入のために流体移送ポート256がそこから突出する支持面254を形成する。隆起した周壁258は、支持面254から上方に延び、一緒になって、注射装置7を受け入れるための入れ子またはドッキング部位を画定する。注射装置7は、移送装置250上の結合位置に一時的に、注射装置7を受け入れるために外向きに曲がり、円盤状の注射装置7の周縁部に引っ掛けて取り外し可能にそれを保持する対向する可撓性フック260によって保持され得る。代替的にまたは追加的に、移送装置250を注射装置7に一時的に結合するために、前述のハーネス構成が使用されてもよい。同様に、この実施形態の保持フック260は、従来の単一バイアル実施形態でも使用することができる。
【0106】
前の例のように、この例の基部252は、指の隙間または把持または保持ゾーン、領域または位置と呼ばれ、同様に使用者が注射を、他の利点の中でもとりわけ、好ましい配向において注射装置7の患者への取り付けを促進する特定の位置で把持することを可能にする、対向する優先把持領域255を含むことができる。把持領域255は、基部252の周縁部の周りに間隔を空けて配置され、例えば、実質的に180度離れていてもよい。優先把持領域255の使用を促進するために、基部は、把持領域255の間に位置する干渉領域(ゾーン、区域、または場所)を含むことができる。この例では、把持領域255は、基部252のさもなければ全体的に円形の支持面254に沿った平坦なセグメントによって画定され、干渉領域は、支持面254に隣接し、上方に延びる隆起周囲壁258によって画定される。したがって、平坦なセグメント255の間に延びる周囲壁258は、使用者が意図された優先把持領域255で注射装置7を把持または把持することを促進するために干渉領域を提供し、干渉領域は、その領域で使用者が注射装置7を把持することを妨害または潜在的に防止するように構成される。
【0107】
前述のように、移送装置250は、一対のバイアルアダプター262(262A、262B)、シリンジアダプター264、弁ハンドル266Aを有する流体流量制御弁266および他の図においてよりよく見られる関連する流路セグメントを含む。
図32を参照すると、各バイアルアダプター262は、単一バイアルの実施形態で上述したものと同様であり、外部カラー268と、標準的なバイアルの開口端を密閉する隔壁を貫通する中空の貫通ピンまたはカニューレ270を備えている。先の実施形態に関連して前述したように、各バイアルアダプター262は、置換空気がバイアルに出入りすることを可能にする通気機能を含むことができ、このような通気機能は、例えば、バイアル内外の間の通気用空気の移動に専ら用いられ、大気に通気する穿孔ピン270の追加管腔、または、追加の中空の貫通ピンまたはカニューレとして提供され得る。バイアルアダプター262内の図である
図38は、それぞれ2つの管腔270A、270Bを備えた穿孔スパイクを示している。1つは液体の導入と排出用、もう1つは通気用である。
【0108】
この移送装置250の流体流路配置の一例は、移送装置250の下側の図である
図34に見られる。図示されるように、ある長さのプラスチック管などの流体流路セグメント274は、流量制御弁266とシリンジアダプター264との間に延びる。流体流路セグメント276は、流量制御弁266と流体移送ポート256との間に延びている。流体流路セグメント278は、流量制御弁266と希釈剤バイアルアダプター262Aとの間に延び、流体流路セグメント280は、流量制御弁266と注射剤バイアルアダプター262Bとの間に延びる。
【0109】
ここでの流体の導流により、注射剤が再構成または希釈を必要とする場合に、移送装置250をすぐに使用することが可能になる。注射剤バイアルは、バイアルアダプター262Bの1つに取り付けられ得、再構成または希釈に使用される希釈剤は、他のバイアルアダプター262Aに取り付けられ得る。希釈剤および注射剤バイアル240A,240Bおよびシリンジ242が移送装置250に取り付けられた後、流量制御弁266の弁ハンドル266Aは、希釈剤バイアルアダプター262Aとシリンジ242の間の流れを可能にするように配置される。シリンジのプランジャーを引っ込めると、希釈剤が希釈剤バイアル240Aからシリンジ242に引き込まれる。次に、流量制御弁266の弁ハンドル266Aを再配置して、シリンジ242と注射剤バイアル240Bとを流体連通させ、希釈剤を注射剤バイアル240Bに注入して、注射剤を再構成する。前に説明したように、再構成は、アセンブリ全体を手動で振る、および/またはシリンジプランジャーを前後に循環させて、注射剤バイアル240Bから繰り返し流体を抜き出し、注射剤バイアル240Bに流体を注入し、希釈剤および注射剤の撹拌および混合を引き起こすことによって促進される。次いで、再構成された注射剤は、シリンジ242に収集される。これらのステップは、移送装置250を注射装置7に結合する前または後に実行することができ、必要に応じて投与量を増やすために追加の希釈剤および注射剤バイアル240A、240Bで繰り返すことができる。注射装置7の取り付け前に実施される場合、注射装置7は移送装置250に連結され、弁266は再び再配置され、シリンジ242(再構成された注射剤を含む)および流体移送ポート256を流体連通にし、シリンジプランジャーの押し下げは、流体移送ポート256および充填ポート81を介して注射装置7に再構成された注射剤を押し込み、弾性の拡張可能部材またはブラダー78を拡張し、注射装置を使用する準備をする。
【0110】
注射装置7および移送装置250を含む組み立てられた2バイアルシステム272は、
図39~41に示され、標準の注射剤含有バイアル240B、標準の希釈剤含有バイアル240Aおよび標準シリンジ242に接続されている。バイアル240A,240Bおよび/またはシリンジ242は、移送装置250が注射装置7に固定される前または後に移送装置250に取り付けられてもよい。この配置により、使用者は、注射剤の再構成または希釈を容易にし、注射装置7に送達することができる。
【0111】
追加の特徴または態様は、凍結乾燥薬物を再構成し、バイアルから薬物を除去し、それをシリンジに入れ、次に注射装置に入れるコンパクトで効率的な方法を可能にする携帯用再構成シリンジ移送システムが提供されるという点で認識され得る。基本操作中、使用者は、バイアルアダプターを使用して、凍結乾燥薬物バイアルおよび希釈液バイアルをシステムアセンブリ272に取り付ける。各薬剤および希釈剤バイアルの容量は1~50mLで、首部仕上げは13~20mmであり得る。シリンジ242の容量は1~50mLであり得る。注射装置7の容量は1~50mLであり得る。使用者は、凍結乾燥薬物バイアルおよび希釈剤バイアルをバイアルアダプター262に取り付けてから、システム272に取り付けることができる。あるいは、バイアルアダプターはシステム272の一部であり、使用者はシステム272にバイアルを挿入する。バイアルアダプター262は、ゴム栓を通してバイアルにアクセスするためのスパイク279を含み、2つの流体経路を有する。第1のバイアルアダプターは、1つは大気開放され、もう1つは流路に接続された流路を有する。これにより、真空にすることなくバイアルから液体を簡単に引き出すことができる。他のバイアルスパイクは、2つの独立した供給源の接続を可能にする。シリンジ242は、希釈剤バイアル240Aおよび/または再構成バイアル240Bのそれぞれから流体を引き抜き、流体を注射装置7に移送するために、反対側に接続されている。バイアルとシリンジがシステムに取り付けられると、弁266が状態1に配置され、希釈剤バイアル240Aとシリンジ242の間に流体経路が作製され、シリンジ242への希釈剤の回収が可能になる。シリンジのプランジャーを引くことにより、流体が希釈剤バイアル240Aからシリンジ242に引き出される。患者の用量に基づいて、希釈剤バイアル240Aの内容物全体を取り出すか、内容物の一部を取り出すことができる。使用者は、複数の希釈剤バイアルを取り付けて1本のシリンジ242を満たし、必要な用量をシリンジ242に入れることができる。使用者は弁を状態2に切り替えることができる。これにより、(希釈剤を含む)充填シリンジ242から凍結乾燥剤バイアル240Bへの流体経路が作製される。
【0112】
別の実施形態では、希釈剤は予め充填されたシリンジに入ってくる。この場合、希釈液を凍結乾燥剤バイアルに直接移すことができる。(これは、単一バイアルシステムでも実現できる)。使用者はシリンジのプランジャーを押して、シリンジの内容物を凍結乾燥剤バイアルに移すことができる。
【0113】
さらなる代替実施形態では、凍結乾燥剤バイアルは真空下にあってもよい。希釈バイアルと凍結乾燥剤バイアルを挿入することにより、凍結乾燥剤バイアルの真空が希釈液を凍結乾燥剤バイアルに自動的に引き込む。希釈液が凍結乾燥剤バイアルに移されると、再構成工程を開始できる。使用者は、粉末が溶液に完全に溶解するまで、希釈剤/粉末混合物を手動で攪拌できる。その後、使用者はシリンジプランジャーを引き戻して、処方された内容に応じて、混合溶液の内容物全体または一部を引き出すことができる。最終用量を決定する前に、シリンジ242内にいくらかの空気が存在する可能性がある。使用者は、シリンジ内の過剰な空気をバイアルに戻すことで、シリンジをプライミングできる。目的の量の液体がバイアルからシリンジに移されると、弁は状態3に切り替わる。これにより、充填されたシリンジ242と注射装置7との間に流体経路が作製される。使用者は、シリンジ242のプランジャーを押して、シリンジの内容物を注射装置7に押し出す。移送中に空気がシリンジ242に存在する場合、システムは空気をろ過して、空気が注射装置7に移送されるのを防ぐことができる。シリンジ242と注射装置との間の流体経路内のフィルターは、空気をろ過することができる。これは、疎水性フィルターまたは親水性/疎水性フィルターの組み合わせで実現できる。保持ストラップを使用する場合は、ロックを解除し、充填されたシリンジをシステムから取り外すことができる。
【0114】
図42,43は、シリンジ7(OBDD)と、シリンジ242、希釈剤バイアル(D)240A、注射剤バイアル(P)240Bに接続された三方弁266またはストップコックを含む二連バイアルシステム272を示す概略流れ図であり、このシステムはまた、流れを一方向のみに制限する逆止弁282および通気口284を備える。
図42は、希釈剤バイアル240Aからシリンジ242に希釈剤を引き込むための弁位置を示し、
図43は、希釈剤をシリンジ242から注射剤バイアル240Bに注射するために希釈剤がシリンジ242に引き込まれた後の弁位置を示す。同じく流れ概略図である
図44は、二連弁システム286を示しているが、中央弁またはストップコックはなく、代わりに流れを制御するためにのみ一方向弁282に依存している。このシステム286では、シリンジプランジャーを引き戻すことにより生成された真空は、希釈剤バイアル240Aから注射剤バイアル240Bを通ってシリンジ242に希釈剤を引き込む。このシステム286は、希釈のみを必要とする注射剤または希釈剤の存在下で容易に再構成する注射剤に特定の用途を見出すことができる。一方向弁282は、希釈剤バイアル240Aから注射剤バイアル240Bへ、注射剤バイアル240Bからシリンジ242へ、シリンジ242から注射装置7(OBDD)へ、システムを通る一方向の流体の流れのみを可能にする。
【0115】
図45は、
図21~24に示される装置200のように、1つのバイアルを受けるように構成されているが、可動弁を使用しない移送装置290の底面図である。したがって、
図45は、注射装置7を受け入れるように構成された支持面(この図には示されていない)に対向する下面を有する基部291を示している。移送装置290は、第1の例の移送装置200の把持領域205および干渉領域207と同様の方法で配置および画定された優先把持領域293および干渉領域295を含む。
【0116】
この移送装置290は、バイアルアダプター292およびシリンジアダプター294、ならびに、基部291の下面に接続されバイアルアダプター292、シリンジアダプター294および流体移送ポート(この図には示されていない)とそれぞれ連通する3つの分岐296,298,300に接続された流体流路も有する。分岐部296は、バイアルアダプター292からの方向にのみ分岐部を流れる流れを許可することができる一方向弁または逆止弁302を含む。これにより、シリンジアダプター294に接続されたシリンジが、バイアルアダプター292に取り付けられたバイアルから注射剤を引き出し、流体移動ポートを通して関連する注射装置に注射することができ、使用者は弁を動かす必要がない。この装置290は、分岐300および周囲環境と連通する任意の疎水性フィルター304も含むことができる。このフィルター304により、注射剤に先行する空気(「前端空気」)が外気に出たり、大気に放出されたりするので、そのような空気は注射装置に押し込まれない。疎水性フィルター膜は、注射剤がベント通路を通過するのを防ぎ、注射剤のすべてが注射装置に流れ込むようにする。そのようなフィルター304は、二重バイアル移送装置の流路セグメント276でも使用することができる。
【0117】
追加の実施形態
図46~52は、携帯用移送装置400およびシステム401の別の実施形態を示している。注射装置7、バイアル240およびシリンジ242の元の符号は保持され、この実施形態の他の特徴には新しい符号が使用される。
【0118】
図46a,46b,47を参照すると、これらの図は、バイアル240およびシリンジ242が移送装置400に取り付けられた、改良された移送装置400に取り付けられた注射装置7を含む組み立てられた移送システム401を示す。
図46a,46bは、異なる視野角から取られており、アセンブリを移送装置400の反対側から見ることができるようにしている。図に示されているように、図示された移送装置400は、
図46aに見られるように、その一方の側が
図47に示された支持面404を形成する基部402を含む。ハーネスまたは保持具406は、基部402に取り付けられた周辺位置決めリングまたはリング構造408内の移送装置基部402上に注射装置7を保持する。三方活栓弁アセンブリなどの弁410は、基部402の下側に取り付けられ、注射剤バイアル240、シリンジ242、および注射装置7がそれぞれ弁サブアセンブリ410、バイアルポート412、シリンジポート414、および、弁サブアセンブリ410に関連づけられている直立注射装置流体移送ポート416(
図47,51a,51bを参照)に固定されると、それらの間の選択的な流体連通を提供する。この実施形態における流体移動の基本的な動作原理は、前述のものと本質的に同じであり、以下の説明は、先行する実施形態と比較した特定の構造上の違いに焦点を当てる。
【0119】
この実施形態の移送装置400は、特に、患者/使用者の薬剤の注射に関連する様々な工程の間に適切な使用者の取り扱いと注射装置7の配置を促進する物理的なインターフェースを使用者に提供する、有用な人間工学的特徴を有する。一実施形態では、移送装置400は、使用者が特定の場所で注射装置を握ることを可能にする、反対の優先把持領域(指の隙間または握りまたは保持ゾーン、領域または場所とも呼ばれる)を含むことができ、これは、使用者に注射装置を、他の利点の中でも特に、好ましい配向での患者への注射装置7の取り付けを促進する位置で把持させる。把持領域は、基部の周縁部の周りに間隔を空けて配置され、例えば、実質的に180度離れていてもよい。優先把持領域の使用を促進するために、把持領域の間に位置する干渉領域(ゾーン、区域、または場所)が含まれる場合がある。干渉領域は、使用者が干渉領域において注射装置を把持することを妨害する、または、潜在的に避けるように構成され、よって使用者が意図された優先把持領域で注射装置7を把持または保持することを促進する。
【0120】
図47を参照すると、この実施形態における基部402の片側(便宜上、単に上側または上方側と呼ばれる場合がある)は、注射装置7が基部402に固定されたときに載置される平面支持面404を提供する。この例の基部402は、対向する優先把持領域403を含むことができ、これは同様に指の隙間または把持または保持ゾーン、区域または場所と呼ばれ、他の利点の中でも、好ましい配向で患者に注射装置7を取り付けることを促進する、特定の場所で使用者が注射装置7を把持できるようにする。把持領域403は、基部402の周縁部の周りに間隔を空けて配置され、例えば、実質的に180度離れていてもよい。この例では、把持領域403は、基部402の全体的に円形の支持面404に沿った平坦なセグメントによって規定される。したがって、全体的に円形のセグメント405は、把持領域403の平坦なセグメントの間に延び、干渉領域での注射装置7の使用者の把持を妨害または潜在的に防止して、使用者が意図された優先把持領域403において注射装置7を把持または把持することを促すように構成される干渉領域を提示する。
【0121】
図示の実施形態では、優先把持領域は、基部402に取り付けられた位置決めリングまたはリング構造408によって部分的にさらに規定される。位置決めリング408は、別個の部品として示され(しかし、任意で基部と単一部品として成形されてもよい)、基部の上面に配置され、少なくとも部分的に支持面404を取り囲む。使用者による適切な注射装置7の把持および配置を促進する人間工学的構成は、例えば、
図47,49a,49bに示されている。図示された位置決めリング408は、好ましい把持または保持領域、区域、または、位置418、420を画定し、使用者がその領域で注射装置7を把持することを強制、または、少なくとも促進し、それにより、注射装置7が基部402から取り外された時の患者上の注射装置7の好ましい適切な配置を導く。図示の実施形態では、把持領域または区域418,420は、親指と手の1本または複数本の指との間に注射装置7を使用者が保持するのを促進するために、間隔を空けて、好ましくは対向して、配置される(
図53B,53C)。
図47に見られるように、注射装置7の周辺は、注射装置7が基部402に取り付けられた時に所望の使用者をさらに奨励するために、リング408の好ましい把持領域418,420および基部402の好ましい把持領域403と位置合わせされて位置する対向する平坦部分または平坦部500を有してもよい。
【0122】
より具体的には、図示の構造(使用可能な構造を排除するものではない)において、位置決めリング408は、位置決めリング408の対向部分418,420の使用により、好ましい保持または把持領域または区域を規定し、それは位置決めリングまたはリング構造408がその上に取り付けられたときに支持面404と実質的に同一平面にある。保持領域418,420の間の位置決めリング408の部分は、干渉領域(ゾーンまたは区域)422,424を形成するように構成されており、これらの領域における移送装置400の把持を阻止または妨害する傾向がある。より具体的には、図示されるように、ロケーターイング408の干渉領域422,424は、支持面404から相対的に上昇または上行して、この領域において注射装置7の周囲端へのアクセスを防ぎ、または、少なくとも阻止して、代わりに、患者/使用者が注射装置を優先保持区域または把持領域418,420において把持することを促進するために、注射装置7の周囲端の高さ以上に配置される。
【0123】
図49a,49bを参照すると、位置決めリング408をよりよく見ることができ、適切な位置決めリング408の図示された(非限定的な)例は、完全に360度延び、対向する把持領域または保持区域418,420と対向する干渉領域420,424から構成される。あるいは、例えば、隆起した位置決めリングセグメント(例えば、限られた弧のみに延びるセグメント)が干渉領域で使用される可能性があり、把持領域にリング部分は提供されないだろう。優先把持領域と干渉領域の定義に役立つ他の構造も提供され得る。もちろん、これらの他の構造は、注射装置7を完全に取り囲むために360度完全に延びる位置決めリング408のすべての利点を備えていない場合がある。
【0124】
図示された位置決めリングまたはリング構造408は、基部402に接着または他の方法で取り付けられる適切なプラスチック材料で成型されており、注射装置7が入れ子型の関係で位置決めリング408内に配置されて基部402の全体的に平坦な支持面408上に載ることを許容するために、注射装置7よりもわずかに大きい大きさまたは直径である。基部402への取り付けのために、位置決めリング408は、基部402の周囲に位置する受容穴または開口部428(
図48参照)と一致する所定の非対称位置で下方に延びる接続ピン426を含む。これにより、位置決めリング408が基部402上の単一の特定の場所にのみ取り付けられ、位置決めリング408が基部402上に適切に配置されたときに接続ピン426が挿入される意図された受容開口部428と位置合わせされる。リング接続ピン426は、位置決めリング408を基部402上に保持するために端部が平坦化または熱スエージされた状態で、受容開口部428を通って延びてもよい。他のボンディングまたはアタッチメントの構成も使用できる。
【0125】
位置決めリング408の人間工学的な利点に加えて、図示されたリングの実施形態は、例えば落下試験に反映される可能性がある輸送および取り扱い中に注射装置7を保護するのにも役立つ。位置決めリング408は、衝撃から保護するのに役立ち、また、弁410から基部402を通って注射装置7内に延びる直立流体移送ポート416に過度の横方向の力が(衝撃時に)注射装置7によって加えられるのを防ぐのに役立つ。
【0126】
位置決めリング408の優先把持領域または保持領域418は、ほぼ平坦な構成を有することに留意されたい。以下により詳細に説明するように、この領域は、基部402上の特定の特徴と協働して、注射装置7を把持する際の使用者の親指の配置を導く領域を形成する。使用者の親指に予測可能な把持位置を提供することにより、使用者の腹部への注射装置7の適切な使用者配置をより予測可能に保証することができる。これについては、
図53A~53Oを参照して詳細に説明する。
【0127】
先の実施形態と同様に、注射装置7は、
図50に見られる保持具またはハーネス406によって基部402上に固定される。ハーネス406は、出荷、保管中、および注射前の多くの準備ステップ中に、シリンジを基部402上に保持する。さらに、ハーネスには他の利点もある。第1に、ハーネス406は、基部402からの注射装置7の不注意な取り外しを防止するのに役立つ。また、
図53Bにより明確に見られるように、ハーネス406は、注射装置の安全タブ504上に延びて保護するように配置される(注射装置のアクチュエータボタン77が押し下げられるのを防ぐ)。このようにして、ハーネス406は、使用者による安全タブ504の誤ったまたは不注意による早期の取り外しを防止するのに役立つ。
【0128】
ハーネス406を固定するために、位置決めリング408は、干渉領域422,424内の位置決めリング408の両側に位置するハーネスマウント430,432を有する。各ハーネスマウントは、一対の離間したハーネスピン受容部434,436と、それらの間の傾斜ハーネスランプラッチ438を含む。
【0129】
図50において、図示されたハーネス406は、位置決めリング408の一方の側から他方の側へ、注射装置7を支持面404に対して保持するために注射装置7の上部を横切って延びる単一の細長い成形プラスチック部材である。ハーネス406をリング408上のハーネスマウント430,432に固定するために、ハーネスコネクタ440がハーネス406の各端部に配置されている。各ハーネスコネクタ440は、位置決めリング408上に配置されたハーネスピン受容部434,436に収容するための一対のハーネス取付ピン442を有する。基部402上の横方向の移動に対して注射装置7を保持するのを助けるために、ハーネス406はまた、ハーネス406の端部間に注射装置インターフェース構造446を含むことができる。図示されるように、インターフェース構造446は、注射装置7のアクチュエータボタン77の周りに延びるループ(六角形として示されるが、任意の適切な周囲構成も適切である)として構成される。
【0130】
基部402は、
図48の斜視図で見ることができる。基部は一般に、隆起した平坦な支持面404の周りに延びる周辺端面またはフランジ448を有する。この実施形態では、リング接続ピン426の受容開口部428は、周辺フランジ448内に配置されている。基部402と位置決めリング408が一緒に組み立てられると、凹んだ周辺フランジ448は位置決めリング408と協働して、優先把持領域418,420を画定する。先に説明したように、位置決めリング408の優先把持または保持領域418,420の一方または両方は、平らなどの厚さであり、それにより、周辺フランジ448に載るとき、それらは一般に隆起した注射装置7が載る支持面404と面一になる。これにより、これらの領域で使用者が握りやすくなる。対照的に、位置決めリング408の干渉領域または区域422,424は、支持面404から上昇した高さで支持面404の周りに延びる。干渉領域では、位置決めリング408は、注射装置7が支持面404上に載っているときに、注射装置7の周縁にほぼ沿って延びている。干渉領域422,424における位置決めリング408のこの位置は、それらの干渉領域における注射装置7の周辺端部の使用者の把持を妨げる。
【0131】
先の実施形態と同様に、注射装置7が載る支持面404は、流体/薬剤が注射装置7に導入される流体移送ポート450と、注射装置7の下側にある皮膚圧縮突起(
図10~12の要素109を参照)を収容するためのより大きな中央開口部452とを有する。
【0132】
図51a,51bは、弁410の一実施形態を、任意の適切な方法で基部402の下側に固定することができることを示している。図示された弁410は、先に説明したように、バイアル240、シリンジ242、および注射装置7の間の流れを制御する三方活栓アセンブリである。
図51aを参照すると、弁またはストップコックアセンブリ410は、流体/薬物の注射のために基部402の支持面404内で流体移送ポート450を通って注射装置7内に延びる直立流体移送ポート管454を含む流体移送ポート416と、標準シリンジ242のようなシリンジを接続するための標準的なシリンジ雌ルアーロック接続ポート414と、バイアルスパイクアダプター456(
図52参照)を取り付けるための雄ルアーロックバイアルアダプター接続ポート412と、シリンジポート414を選択的にバイアルアダプター接続ポート412または流体移送ポート416に連通させるために弁ステム460を回転させるための弁ハンドル458とを含む。
図51bの分解図でよりよく分かるように、ナイロン膜またはメッシュフィルターなどの微粒子フィルター462を弁410に設けて、流体または薬物が流体移送ポート416に進入する際、注射装置7に注入される前に残留微粒子を除去してもよい。
【0133】
弁ハンドル458と移送装置400のポート412,414,416との相対的な位置決めは、使用者がアセンブリ全体を容易に把持および操作できるように構成されている。たとえば、バイアルアダプター接続ポート412およびシリンジポート414は反対方向に延び、弁ハンドル458はそれらの間に位置し、ポート412,414に対して直角に延びることに注意する。この配置により、使用者が自然かつ直感的な方法で弁410の操作および操作を容易にする方法で移送装置アセンブリ400を把持することが可能になる。
【0134】
図52は、ルアー型バイアルアダプター接続ポート412に取り付けるように構成された標準バイアルスパイクアダプター456を示している。バイアルアダプター456は、バイアル隔壁を穿刺するための内部スパイク464と、スパイク464の不注意な接触を防ぎ、バイアルをバイアルアダプター456に導くのを助ける外部シールド466を含む。
【0135】
図53A~53Oは、
図47に示されるシステム401と一致する移送装置400および関連する注射装置7の準備および使用を示す。
図53A~53Jは、注射装置7の取り付けに至る準備ステップを示す。左から右、上から下に、バイアルスパイクアダプター456は、それ自体のパッケージに個別の部品として提供される。使用者はパッケージを開き、汚染を避けるために無菌技術を使用して、所望のバイアル240をバイアルアダプター456に挿入する。次に、バイアル240が挿入されたバイアルアダプター456は、弁410のバイアルアダプター接続ポート412(基部402の下側に取り付けられている)に接続される。次いで、無菌技術を使用して、シリンジ242が弁410のシリンジ接続ポート414に接続される。これは、さらに言及する必要なく、準備全体を通して使用されると理解されるべきである。弁ハンドル458は、シリンジ242が薬または他の薬剤などの流体をバイアル240から引き出すことを可能にするように設定される。次いで、弁ハンドル458を回転させて、シリンジ242と、基部402を通って注射装置充填ポート81内に延びる直立管454を含む流体移送ポート416との間の流路を開く。シリンジプランジャーを押し下げて、複数のバイアル240を必要とする可能性がある所望の用量が導入されるまで、シリンジ242から注射装置7に流体を押し込む。
【0136】
図53A~53Jの準備の図を通して続けると、患者の腹部の注射部位の準備後、ハーネス406が解放され、注射装置7が優先把持または保持領域または領域で把持され(上記のように)、基部402から取り外される。除去は同時に、さらに使用者の操作なしで、注射装置7の下側の接着剤の層を覆う保護フィルムを除去できる。あるいは、保護フィルムは手動で除去されてもよい。次に、注射装置7を患者の皮膚に取り付け、注射装置7の下側の接着剤により、注射中に患者に注射装置7を一時的に保持する。最終準備の図に見られるように、注射装置7は、シリンジハウジング上の可動内部指示器またはゲージ468および目盛付きマーク470を含むことが好ましく、注射装置7の充填状態を示し、使用者に充填および/または注射の状態または進行を示す。これらの特徴は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/449,247号により完全に記載されている。上記の長さで論じた優先把持領域418および420は、使用者が自然にまたは本能的に腹部の皮膚にインジェクター装置7を配置し、インディケーターおよびマーキングが注射装置7の上側にあり、使用者が腹部に向かって下向きに見えるとき、使用者に容易に見えるように配置する。
【0137】
ここで、
図53K~53Oの「注射」図を参照し、
図54も参照すると、腹部上の優先保持領域418,420および結果として生じる注射装置7の自然な位置決めは、解放安全タブ504を注射装置7を保持していない使用者の自由な手の方向に指すようにも機能する。この人間工学的な利点により、使用者は安全タブ504を引いて取り外しながら注射装置7をつかんで固定し、注射の準備をするために安全タブ504を取り外した後、図示のように自由な手で注射ボタン77を押すことができ、この点で、注射針が患者の皮膚に挿入され、薬剤の流れが開始される。腹部に注射装置7を優先的に配置することにより、注射の進行を監視するために、患者に可動指示器および目盛り付きマーキングが容易に見えるようになる。
【0138】
「完了」の図に示されるように、注射が完了すると、接着性取り付け部材に関連付けられ、注射装置7での把持を容易にするために半径方向外側に延びるタブ506を含む注射装置7が把持される。皮膚から注射装置7を取り外すと、同時にタブ506が持ち上げられ、皮膚から接着部材が引っ張られる。
【0139】
さらなる代替の実施形態
図示の実施形態は、手動流量制御弁を備えたバイアルから注射装置への薬液の移送用に構成されているように示されているが、これらは本出願の携帯用移送装置の排他的用途ではない。
図55,56は、手動の流量制御弁のない携帯用移送装置を示している。
【0140】
図55は、携帯用移送装置600(手動流量制御弁なし)、その上に取り付けられた注射装置または注射器7、および移送装置600に固定された標準シリンジ242を含む組み立てられたシステムの斜視図である。移送装置600は、手動流量制御弁を有していないことを除いて、前述のものと本質的に同じである。
図56に最もよく見られるように、携帯用移送装置は、注射装置7内への薬剤流体の導入のために前述のように移送装置の支持面(図示せず)から延びる流体移送ポートアセンブリ606にフロー管604によって直接接続されるシリンジポート602を含む。流れ制御弁またはバイアルアダプターのバイアルポートは必要ない。
【0141】
図57~60は、携帯用移送装置600をどのように使用することができるかの概略例を示している。例えば、
図57では、薬液は事前に充填されたシリンジ242で提供され、注射装置7を導入するために移送装置600に直接注入され得る。このような構成では、バイアルポート、バイアルアダプター、または任意のタイプの手動流量制御弁は必要ない。図示された注射装置7は、注射装置7に配置されたリザーバからの医療流体の逆流を防ぐ内蔵の一方向弁を有しているため、この構成では、流体流量制御弁は不要である。
【0142】
あるいは、
図58では、シリンジ242は薬剤製造業者によって事前に充填されなくてもよいが、薬液は標準バイアルアダプターを介してバイアル240から直接シリンジ242に引き込まれ、その後、充填済みシリンジ242は バイアルアダプターから取り外して移送装置600に取り付け、移送装置600から医療装置に直接取り付けられた注射装置7に薬液を注射する。移送装置600には手動弁、バイアルポート、アダプターは必要ない。
【0143】
図59に示すさらなる代替の構成/方法は、手動弁を備えた移送装置を必要とせず、希釈剤で事前充填されたシリンジ242および粉末(例えば、凍結乾燥)または濃縮液体医療流体/薬物を備えたバイアル240を使用することができる。シリンジ242は、標準バイアルアダプターを使用してバイアル240に取り付けられ、バイアル240からの希釈剤で再構成または希釈された薬剤は、シリンジ242に引き込まれる。シリンジ242は、バイアルアダプターから取り外され、移送装置600に取り付けられ、再構成された医療用流体は、注射装置7に直接注入される。先に説明した代替案と同様に、この用途のために移送装置600に弁、バイアルポートまたはアダプターは必要ない。
【0144】
図60に示すように、移送装置600に弁を必要としない前述の例のさらなる変形は、2つのバイアル-希釈流体を含むバイアル240A、粉末または濃縮液体薬剤を含むバイアル240Bと、空のシリンジ242と各バイアルのバイアルアダプターを使用する。シリンジ242は、希釈剤バイアルアダプターを介して希釈剤バイアル240Aから希釈剤を引き出すために使用され得、次いで、希釈剤バイアルアダプターから切断した後、薬剤バイアルアダプターを介して薬剤バイアル240Bに取り付けられ得、それにより粉末薬物を再構成または濃縮薬物を希釈することができる。希釈または再構成された薬物/薬液はシリンジ242に引き込まれ、シリンジ242は薬物バイアルアダプターから切断され、携帯用移送装置600に直接取り付けられ、調製された薬物/薬液が注射装置7に直接注入される。
【0145】
これらは、本明細書に記載の携帯用移送装置の構成および/または使用に関する可能な変形例のほんの一部に過ぎない。たとえば、携帯用の移送装置には、接続されたバイアルアダプターが含まれ、弁がなくてもよい。
【0146】
本主題は、特定の構造、方法、および例を参照して本明細書に記載されているが、これは例示のみを目的とするものであり、本主題は、この主題を採用しながら、特定の構成と外観が異なる広範囲の装置およびシステムに適用可能であることが理解されるべきである。