IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン エルエルシーの特許一覧

特許7419335トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計
<>
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図1
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図2
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図3A
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図3B
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図4A
  • 特許-トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計 図4B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】トロカールアセンブリ用の封止カートリッジのラッチ設計
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021500892
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 IB2019055964
(87)【国際公開番号】W WO2020012433
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】16/034,942
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホール・スティーブン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】モズルーム・ジュニア・ジョセフ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド・キャサリン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・ハリー・ランドルフ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05792113(US,A)
【文献】特開2016-093496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0237901(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカールアセンブリであって、
トロカールと、
前記トロカールに解放可能に連結されるように構成され、本体及びラッチリングを含む上部キャップを含む、封止カートリッジと、を備え、
前記ラッチリングは、環状体と、第2の固定部と、ラッチと、を有し、
前記第2の固定部は、前記環状体の円周方向における第1の位置に設けられ、前記本体の第1の固定部に固定されることで、前記ラッチリングを前記本体に取り付け、
前記ラッチは、前記環状体の前記円周方向における前記第1の位置とは異なる第2の位置に設けられ、前記本体に形成されたスロット内に受容され、前記環状体が存在する水平面に対して実質的に垂直に延び、
前記ラッチに径方向負荷を加えることにより、前記ラッチリングを、前記環状体の前記円周方向における前記第1の位置と前記第2の位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、トロカールアセンブリ。
【請求項2】
前記ラッチリングは、前記第2の固定部に対し、前記環状体の中心点を挟んで対向する位置にある第4の固定部を含み、前記第4の固定部は、前記本体の第3の固定部に固定されることで、前記ラッチリングを前記本体に取り付け、前記ラッチリングは、更に、前記ラッチに対し、前記環状体の前記中心点を挟んで対向する位置にある第2のラッチを含み、前記第2のラッチは、前記本体に形成された第2のスロット内に受容され、前記環状体が存在する前記水平面に対して実質的に垂直に延びる、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項3】
前記径方向負荷は、前記ラッチ及び前記第2のラッチに、対向する径方向で同時に加えられる、請求項2に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項4】
前記ラッチは、前記ラッチリングにおいて画定された半径で前記中間部分に移行する、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項5】
前記中間部分の断面形状及び断面積は、前記中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、前記第1の位置及び前記第2の位置のうちの一方又は両方における前記ラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項6】
前記ラッチリングは、前記第1の位置で前記本体に恒久的に固定されている、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項7】
前記ラッチリングは、前記第1の位置で前記本体に解放可能に固定されている、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項8】
前記トロカールは、トロカールハウジングと、前記トロカールハウジングから遠位に延びるカニューレと、を含み、前記トロカールアセンブリは、
前記トロカールハウジングの内周面上に画定された内側リップと、
前記ラッチによって画定され、前記内側リップと嵌合可能であって、前記封止カートリッジを前記トロカールに解放可能に連結する外側リップと、
前記内側リップ及び前記外側リップのうちの一方に画定された1つ以上の陥凹部と、
前記内側リップ及び前記外側リップのうちの他方に画定された1つ以上の突出部と、を更に備え、
前記1つ以上の突出部は、前記1つ以上の陥凹部内に受容可能であって、前記封止カートリッジが前記トロカールハウジングに対して回転することを防止する、請求項1に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上の突出部及び前記1つ以上の陥凹部のうちの一方又は両方の縁部は、角度を付けられているか、又は丸みを帯びている、請求項8に記載のトロカールアセンブリ。
【請求項10】
トロカールアセンブリ用の封止カートリッジであって、
1つ以上のシールを収容するフレームと、
前記フレームに連結され、本体及びラッチリングを含む、上部キャップと、を備え、
前記ラッチリングは、環状体と、第2の固定部と、ラッチと、を有し、
前記第2の固定部は、前記環状体の円周方向における第1の位置に設けられ、前記本体の第1の固定部に固定されることで、前記ラッチリングを前記本体に取り付け、
前記ラッチは、前記環状体の前記円周方向における前記第1の位置とは異なる第2の位置に設けられ、前記本体に形成されたスロット内に受容され、前記環状体が存在する水平面に対して実質的に垂直に延び、
前記ラッチに径方向負荷を加えることにより、前記ラッチリングを、前記環状体の前記円周方向における前記第1の位置と前記第2の位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、封止カートリッジ。
【請求項11】
前記第2の固定部は1つ以上の押圧ピンであり、前記第1の固定部は1つ以上の開口部である、請求項10に記載の封止カートリッジ。
【請求項12】
前記ラッチリングは、前記第2の固定部に対し、前記環状体の中心点を挟んで対向する位置にある第4の固定部を含み、前記第4の固定部は、前記本体の第3の固定部に固定されることで、前記ラッチリングを前記本体に取り付け、前記ラッチリングは、更に、前記ラッチに対し、前記環状体の前記中心点を挟んで対向する位置にある第2のラッチを含み、前記第2のラッチは、前記本体に形成された第2のスロット内に受容され、前記環状体が存在する前記水平面に対して実質的に垂直に延びる、請求項10に記載の封止カートリッジ。
【請求項13】
前記ラッチは、前記ラッチリングにおいて画定された半径で前記中間部分に移行する、請求項10に記載の封止カートリッジ。
【請求項14】
前記中間部分の断面形状及び断面積は、前記中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、前記第1の位置及び前記第2の位置のうちの一方又は両方における前記ラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる、請求項10に記載の封止カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹腔鏡手術中、1つ以上の小さな切開が患者の皮膚に形成され、トロカールアセンブリが切開を通して挿入されて、患者の腹部などの内部体腔へのアクセスを提供する。トロカールアセンブリは、様々な外科用器具及びツールを腹部内に導入するために使用することができる経路として動作する。
【0002】
トロカールアセンブリは、一般に、トロカールと、トロカールの一部に動作可能に連結されるか又はトロカールの一部を形成する封止アセンブリと、を含む。トロカールは、トロカールハウジングと、トロカールハウジングから遠位に延び、患者の腹部内に経路を提供するカニューレと、を含む。封止アセンブリは、貫入した体腔内への送気を維持するのに役立ち、また、トロカールを通って患者の腹部内に延びる外科用ツールの周りを封止するのにも役立つ、1つ以上のシールを含む。
【0003】
いくつかの用途では、封止アセンブリは、トロカールハウジング内に少なくとも部分的に受容され、解放可能に連結される封止カートリッジを含んでもよい。空間を最小限にするという制約のため、封止カートリッジをトロカールハウジングに単純かつ効率的に、解放可能に連結することが望ましい。封止カートリッジは、解放可能に連結されると、トロカールハウジング内で連続的かつ自由に回転することが可能であってもよく、又は、非連続的な複数の位置に回転可能であってもよく、これにより、トロカールハウジングの残りの部分に対する送気弁の複数の配向が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれるが、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
図1】本開示の原理を組み込むことができる例示的なトロカールアセンブリの等角図である。
図2図1のトロカールアセンブリの分解図である。
図3A図2の上部キャップの拡大等角図である。
図3B図2の上部キャップの拡大分解図である。
図4A】例示的な作動を示す、図3A及び図3Bのラッチリングの等角図である。
図4B】例示的な作動を示す、図3A及び図3Bのラッチリングの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、トロカールアセンブリに関し、より具体的には、封止アセンブリをトロカールに解放可能に連結するためにねじるように屈曲させるラッチを有する封止アセンブリに関する。
【0006】
本明細書で提供される実施形態では、トロカールと、トロカールに解放可能に連結されるように構成された封止カートリッジと、を含むトロカールアセンブリが説明される。封止カートリッジは、本体とラッチリングとを含んでよい上部キャップを含んでもよい。ラッチリングは、一対のラッチを含んでもよく、ラッチから角度的にオフセットされた角度位置で本体に固定されてもよい。ラッチに径方向負荷を加えると、ラッチリングは、ラッチリングの中間部分においてねじるように屈曲させられるように構成されていてもよい。この中間部分は、角度的にラッチと、ラッチリングが本体に固定されている角度位置との間にある。
【0007】
図1は、本開示の原理を組み込むことができる例示的なトロカールアセンブリ100の等角図である。図示されたトロカールアセンブリ100は、本開示の原理を好適に組み込むことができるトロカールアセンブリの一実施例にすぎない。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、トロカールアセンブリ100の多くの代替的な設計及び構成が採用されてもよい又は組み込まれてもよいことを容易に理解するであろう。
【0008】
図示されるように、トロカールアセンブリ100は、トロカール102と、トロカール102に解放可能に連結され得る封止カートリッジ104を含んでもよい。トロカール102は、トロカールハウジング106と、トロカールハウジング106から遠位に延びるカニューレ108と、を含む。いくつかの実施形態では、カニューレ108は、トロカールハウジング106の一体延長部を含んでもよい。他の実施形態では、トロカールハウジング106及びカニューレ108は、互いに恒久的に又は半恒久的に嵌合される2つの別個の構成要素を含んでいてもよい。トロカール102は、金属又はプラスチックなどの任意の剛性又は半剛性材料で作製されてもよい。
【0009】
封止カートリッジ104は、トロカールハウジング106内に少なくとも部分的に受容されてもよく、封止カートリッジ104をトロカール102に解放可能に連結する1つ以上の作動可能なラッチ110(1つは示され、1つは隠れている)を含む。図示の実施形態では、封止カートリッジ104は、封止カートリッジ104の円周(外周)の周りで互いに径方向に(角度的に)対向して位置付けられる2つのラッチ110(「タッチポイント」とも呼ばれる)を含む。他の実施形態では、2つより多いか又は少ない数のラッチ110が用いられてもよい。更に、ラッチ110は、本開示の範囲から逸脱することなく、互いに等しい距離で離間していてもよいし、互いに異なる距離で離間していてもよい。
【0010】
トロカールアセンブリ100はまた、患者の内部体腔(例えば、腹部)の内壁を上昇させるために使用される送気流体(例えば、二酸化炭素)の流入を調節するように動作可能な送気弁112(例えば、ストップコック弁)を含んでもよい。図示の実施形態では、送気弁112は、封止カートリッジ104に連結される、ないしは別様にその一体部分を形成する。しかしながら、他の実施形態では、送気弁112は、代替的に、トロカールハウジング106に連結されてもよく、又はその一体部分を形成してもよい。
【0011】
トロカールアセンブリ100がロボットシステムと共に使用されるように構成されている実施形態では、トロカール102は、トロカールハウジング106から径方向外側に延びるラグ114を更に含んでもよい。ロボット(図示せず)は、外科用ツールのトロカールアセンブリ100への正確な挿入を可能にするように、ラグ114上にラッチ係合するように構成されていてもよい。しかしながら、非ロボットの実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、ラグ114は省略されてもよい。
【0012】
図2は、図1のトロカールアセンブリ100の部分分解図である。より具体的には、封止カートリッジ104は、トロカール102から分解されて示されている。封止カートリッジ104をトロカール102に解放可能に連結するために、封止カートリッジ104のラッチ110(1つを図示)がトロカールハウジング106の内周面と係合して嵌合するまで、封止カートリッジ104をトロカールハウジング106内に少なくとも部分的に導入することができる。より具体的には、各ラッチ110には、外側リップ202が設けられているか、又は別様に画定されていてよく、外側リップ202は、トロカールハウジング106の内周面上に画定された対向する内側リップ204と嵌合するように構成されている。いくつかの実施形態では、外側リップ202及び内側リップ204は、互いに反対に角度を付けられていてよく、これにより、外側リップ202が内側リップ204と遠位方向に係合する際に、互いに補い合って、ラッチ110を径方向内向きに曲げるように付勢する。外側リップ202が内側リップ204を遠位方向に横断すると、ラッチ110は、径方向外側に曲がることができ、外側リップ202及び内側リップ204の対向する平坦面が係合して、封止カートリッジ104のトロカールハウジング106内での固定及び維持が補助される。封止カートリッジ104を取り外すには、ラッチ110を径方向内向きに曲げて、対向する平坦面同士を係合解除させることにより、封止カートリッジ104が近位方向に移動する際に、外側リップ202が内側リップ204を回避することが可能となる。
【0013】
いくつかの実施形態では、内側リップ204は、トロカールハウジング106の内周全体の周りに延びてもよい。その結果、外側リップ202と内側リップ204とを、実質的に任意の角度方向で嵌合させて、封止カートリッジ104を、トロカールハウジング106に解放可能に連結することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、トロカールアセンブリ100は、一旦封止カートリッジ104がトロカールハウジング106内に適切に受容されると、トロカールハウジング106に対して回転し難くなるようにする、回転防止機構を含んでもよい。より具体的には、図示されるように、1つ以上の突出部206又は「歯」が、外側リップ202に画定されていてもよく、また、1つ以上の陥凹部208が、内側リップ204に画定されていてもよい。図示の実施形態では、複数の突出部206及び陥凹部208が、外側リップ202及び内側リップ204に画定されている。しかしながら、本明細書では、外側リップ202に突出部206が1つだけ設けられ、内側リップ204に陥凹部208が1つだけ設けられる実施形態も想定されている。このような実施形態では、封止カートリッジ104は、1つの角度配向でトロカール102に対して回転的に固定されてもよい。
【0015】
突出部206の相対的間隔は、陥凹部208の相対的間隔と一致してもよく、これにより、既に概説したように、封止カートリッジ104がトロカールハウジング106内に受容され、外側リップ202が内側リップ204と嵌合すると、突出部206が陥凹部208と角度的に整列し、陥凹部208内に受容され得るようになっていてもよい。陥凹部208内に突出部206を受容させることにより、特定の非連続的な角度配向で封止カートリッジ104を拘束することが容易となり得る。
【0016】
異なる角度配向が所望される場合、ラッチ110に負荷(例えば、径方向負荷)を加えて、ラッチ110を径方向内向きに曲げることにより、突出部206を対向する陥凹部208から係合解除することができる。その後、所望の角度配向が達成されるまで、封止カートリッジ104を、角度方向のいずれか(すなわち、時計回り又は反時計回り)に回転させることができ、突出部206は、径方向に対向する陥凹208から回避される。所望の角度配向が達成されると、ラッチ110に加えていた負荷を取り除くことで、その新しい角度配向にて、突出部206を対向する陥凹部208と嵌合させることができる。したがって、少なくとも1つの実施形態において、ラッチ110は、封止カートリッジ104をトロカールハウジング106内に保持することと、トロカール102に対する封止カートリッジ104の回転を防止することの、2つの目的を有していてもよい。
【0017】
図示の実施形態では、陥凹部208は、トロカールハウジング106の内周全体の周りに画定され、互いに等距離に離間している。しかしながら、他の実施形態では、陥凹部208は、本開示の範囲から逸脱することなく、内周の周りに部分的にのみ延びてもよい。更なる他の実施形態では、陥凹部208は、トロカールハウジング106の内周の周りに所定の間隔で配置された群(陥凹部208のクラスタ)として画定されていてもよい。このような実施形態では、陥凹部の各群は、互いに等しい距離で離間していてもよいし、互いに異なる距離で離間していてもよい。
【0018】
図示された実施形態では、突出部206はラッチ110に画定され、陥凹部208はトロカールハウジング106の内側表面上に画定されているが、本明細書は反対の構成を想定している。より具体的には、別の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、突出部206をトロカールハウジング106の内側表面上に画定し、陥凹部208をラッチ110に画定してもよい。このような実施形態では、トロカール102に対する封止カートリッジ104の操作は、既に概説したものと同じであり得る。
【0019】
更に、図示された実施形態は、トロカールアセンブリ100の中心線に対して長手方向かつ略平行に延びる細長い特徴部として、突出部206及び陥凹部208を示しているが、本明細書では、様々な形状、サイズ、及び構成の突出部206及び陥凹部208を用いることが想定されている。いくつかの実施形態では、例えば、突出部206は、円形又は球形のボタンを含んでもよく、陥凹部208は、ボタンを受容するようにサイズ決めされた、対応する円形又は球形の空隙を画定してもよい。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、互いに嵌合する突出部206及び陥凹部208について、設計、サイズ、及び構成の複数のバリエーションを採用し得ることを容易に理解するであろう。
【0020】
いくつかの実施形態では、突出部206及び陥凹部208のうちの一方又は両方の画定された縁部は、角度を付けられているか、又は丸みを帯びていてよい。このような実施形態では、封止カートリッジ104をトロカールハウジング106に対して回転させると、封止カートリッジ104は、突出部206が角度的に隣接する陥凹部208と連続的に係合及び係合解除する際に、角度方向に「ラチェット動作(ratchet)」することが可能であり得る。角度付き又は丸みを帯びた縁部を有することにより、回転運動中における、突出部206と陥凹部208との容易な係合解除及び再係合の促進を補助する上で有利になり得る。更に、そのような実施形態では、突出部206を、対向する陥凹部208から解放するために、ラッチ110に径方向負荷を加える必要がない場合もある。むしろ、封止カートリッジ104をトロカール102に対して移動させる回転力により、突出部206を径方向に曲げて、連続し、かつ径方向に隣接する陥凹部208と係合させたり、係合解除させたりするように付勢するために、十分な力を提供することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、封止カートリッジ104は、2つ以上の構成要素を含んでもよい。より具体的には、封止カートリッジ104は、フレーム210と上部キャップ212を含んでもよい。フレーム210は、トロカールアセンブリ100を通って長手方向に延びた外科用ツール周りの送気及び封止の維持を補助するために使用される、1つ以上のシール(図示せず)が収容及び据え付けられるように構成されてもよい。フレーム210はまた、封止カートリッジ104がトロカールハウジング106内に受容されたときに、トロカール102の内側に対して封止されたインターフェースを提供する外部シール214を含んでもよい。
【0022】
上部キャップ212には、封止カートリッジ104内へのアクセスを提供する中央開口部216が設けられているか、又は別様に画定されていてよい。手術に使用される外科用ツールは、中央開口部216を介してトロカールアセンブリ100内に導入され、カニューレ108を通って遠位に延ばされてよい。いくつかの実施形態では、上部キャップ212は、フレーム210に解放可能に連結されてもよい。このような実施形態では、上部キャップ212は、1つ以上の押圧ピン及び対応するピン空隙、1つ以上の返し付き(barbed)ラッチ及び対応するラッチ空隙、締まり嵌め、又はこれらの任意の組み合わせなどの機械的連結によりフレーム210に固定されてもよい。他の実施形態では、上部キャップ212は、ねじ又はリベットなどの1つ以上の機械的締結具を使用してフレーム210に固定されてもよい。
【0023】
しかしながら、他の実施形態では、上部キャップ212は、上部キャップ212をフレーム210に恒久的に接合する、接着剤の使用、又は溶接操作などにより、フレーム210に恒久的に連結されてもよい。使用され得る例示的な溶接技術としては、超音波溶接、熱ジグ溶接(heated tool)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更なる他の実施形態では、上部キャップ212は、赤外線レーザー溶接操作によってフレーム210に恒久的に連結されてもよい。このような実施形態では、フレーム210は、赤外線源の電磁放射線が、ほとんど又は全く散逸なくフレーム210の材料を透過できるように、赤外線源の波長に対して透明又は半透明である材料で作製されてもよい。更に、このような実施形態では、上部キャップ212は、赤外線源の波長に対して不透明であるか、別様に赤外線エネルギーを吸収することで、赤外線源の電磁放射線を吸収又は部分的に吸収する、材料で作製されてもよい。このような実施形態では、フレーム210と上部キャップ212は、互いに密着して位置付けられてもよい。
【0024】
例示的な操作では、パルスレーザービーム又は連続レーザービームを、矢印Aで示すように、フレーム210の、上部キャップ212の対向する部分との境界になった(interface)部分を通るように方向付けてもよい。図示の実施形態では、レーザービームAは、フレーム210に画定された径方向リップ又は突出部218を通るように方向付けられており、径方向突出部218は、上部キャップ212の底部220との境界になっている。当業者には理解されるように、他の実施形態では、レーザービームAは、本開示の範囲から逸脱することなく、上部キャップ212の他の対向部分との境界になっている、フレーム210の他の部分を通るように方向付けられてもよい。
【0025】
レーザーの電磁放射線は、ほとんど又は全く散逸せずに径方向突出部218を透過するが、フレーム210の材料を透過した後、対向する上部キャップ212の材料によって吸収される。上部キャップ212の材料による電磁放射線の吸収により、その箇所での上部キャップ212とフレーム210との境界における温度が劇的に上昇し、その熱伝導によって両方の構成要素が加熱され、冷却されると、これら2つの部品間の溶接界面が形成される。このプロセスは、上部キャップ212をフレーム210に固定するために、封止カートリッジ104の円周の周りの様々な位置で複数回繰り返されてもよい。
【0026】
レーザーの波長に対して透明又は半透明な、フレーム210に好適な材料としては、赤外線エネルギーを部分的に透過する任意の熱可塑性材料又は熱可塑性複合材料、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、可視電磁放射線(例えば、自然光又は人工光)が、比較的遮られることなく通過できるように、フレーム210の材料は視覚的に透明であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、フレーム210の材料は視覚的に透明でなくてもよく、代わりにレーザービームAの波長に対してのみ透明であってもよい。
【0027】
レーザーの波長に対して概ね不透明な、上部キャップ212に好適な材料としては、赤外線エネルギーを完全に又は部分的に吸収する任意の熱可塑性材料又は熱可塑性複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。所望される場合には、材料の吸収特性を向上させるために添加剤又はコーティングを利用することができる。
【0028】
なお、フレーム210は、赤外線源の波長に対して透明又は半透明である材料で作製されており、上部キャップ212は、赤外線源の波長に対して不透明であるか、別様に赤外線エネルギーを吸収する材料で作製されているものとして上述されているが、本明細書では、入れ替えても同じ結果が達成されることが想定されていることに留意されたい。このような実施形態では、上部キャップ212は、赤外線源の波長に対して透明又は半透明である材料で作製されてもよく、フレーム210は、赤外線源の波長に対して不透明であるか、別様に赤外線エネルギーを吸収する材料で作製されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、封止カートリッジ104は、フレーム210の遠位端に連結されたシールリテーナ222を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、上部キャップ212とフレーム210との間の連結係合と同様に、シールリテーナ222は、例えば、本明細書に記載されるような、機械的連結を用いて、又は1つ以上の機械的締結具によって、フレーム210に解放可能に連結されてもよい。代替的には、シールリテーナ222は、接着剤、超音波溶接、又はレーザー溶接の使用などによって、フレーム210に恒久的に連結されていてもよい。
【0030】
シールリテーナ222がフレーム210にレーザー溶接される実施形態では、フレーム210は、レーザーの波長に対して透明又は半透明な、本明細書で言及される材料のうちのいずれかで作製されてもよく、シールリテーナ222は、レーザーの波長に対して不透明な、本明細書で言及される材料のうちのいずれかで作製されてもよい。例示的な操作では、矢印Bで示すように、パルスレーザービーム又は連続レーザービームを、シールリテーナ222との境界になっているフレーム210の一部分を通るように方向付けてもよい。上部キャップ212をフレーム210にレーザー溶接する上述のプロセスと同様に、レーザーBの電磁放射線は、ほとんど又は全く散逸することなくフレーム210の材料を通り抜けるが、シールリテーナ222の材料によって吸収され、これらの材料の一方又は両方の溶融が引き起こされ、冷却すると溶接界面がもたらされる。このプロセスは、シールリテーナ222をフレーム210に固定するために、シールリテーナ222の円周の周りの様々な位置で複数回繰り返されてもよい。
【0031】
図3A及び図3Bはそれぞれ、1つ以上の実施形態による、上部キャップ212の拡大等角図及び拡大分解図である。いくつかの実施形態では、図示のように、上部キャップ212は、2つ以上の構成要素を含んでもよい。より具体的には、上部キャップ212は、本体302(「上側シールリテーナ」とも呼ばれる)と、本体302に取り付けることができるラッチリング304と、を含んでもよい。
【0032】
本体302は、中央開口部216を画定する概ね円筒形の構造体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本体302は、第1の部分306aと、第1の部分306aに取り付けられているか、又は別様に第1の部分306aから延びる第2の部分306bと、を含んでもよい。このような実施形態では、本体302は、第2の部分306bが第1の部分306a上にオーバーモールドされてもよく、又はその逆であってもよい、二材成形構成要素を含んでもよい。更に、そのような実施形態では、第1の部分306a及び第2の部分306bは、同じ材料又は異なる材料で作製されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、本体302は、単一の成形プロセスで製造された、又は単一の材料片から製造されたモノリシック構造体を含んでもよい。
【0033】
本体302はまた、ラッチリング304が本体302に取り付けられたときにラッチ110を受容するようにサイズ決めされ、かつ別様にラッチ110を受容するように構成された(1つのみ見えている)スロット308を画定してもよい。理解されるように、スロット308の数は、ラッチ110の数に依存することとなる。更に、いくつかの実施形態では、本体302は、送気弁112(図1)を収容するための切り欠き部310を更に画定してもよい。
【0034】
ラッチリング304は、環状体312を含み、ラッチ110は、環状体312から遠位に延びてもよい。いくつかの実施形態では、ラッチ110は、環状体312が存在する水平面に対して実質的に垂直に延びる。あるいは、ラッチ110は、環状体312が存在する水平面に対して垂直にオフセットした角度で延びてもよい。本体302は、ラッチリング304が本体302に取り付けられたときに環状体312を受容するようにサイズ決めされた環状切り欠き部又は溝314を画定してもよい。
【0035】
ラッチリング304は、1つ以上の第1の角度(周方向)位置316で本体302に固定されてもよい。本明細書で使用するとき、用語「固定する(ground)」、「固定される(grounded)」、又はそれらの任意の変形は、環状体312が特定の角度位置で屈曲又は移動することを防止する、環状体312と本体302との間の連結係合を指す。対照的に、ラッチリング304は、第1の角度位置316から角度的にオフセットされた1つ以上の第2の角度位置318で本体302に固定されず、これにより、環状体312が第2の角度位置318で作動することを可能にする。ラッチ110及び第2の角度位置318は、その材料が半径方向に作動されたときに変形しない「剛体」と見なされてもよい。
【0036】
図示した実施形態では、ラッチリング304は、互いに角度をなして(すなわち、180°のオフセットで又は約180°のオフセットで)配置された2つの第1の角度位置316で本体302に固定されてもよい。ラッチ110は、第2の角度位置318に設けられてもよく、第1の角度位置316から90°オフセットされるように、角度的に第1の角度位置316の間にあってもよい。しかしながら、他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、1つの第1の角度位置316及び1つの第2の角度位置318のみがラッチリング304において画定されてもよい。
【0037】
ラッチリング304は、様々な手段又はプロセスによって、第1の角度位置316で本体302に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ラッチリング304は、例えば、接着剤、超音波溶接、レーザー溶接、1つ以上の永続的機械的取り付け機構、又はこれらの任意の組み合わせを使用して、第1の角度位置316で本体302に恒久的に固定されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、ラッチリング304は、第1の角度位置316で本体302に半永久的に又は解放可能に固定されてもよい。このような実施形態では、ラッチリング304は、例えば、1つ以上の機械的締結具(例えば、ねじ、リベット、ピンなど)、締まり嵌め、収縮嵌め、バヨネット嵌合、1つ以上の非恒久的機械的締結具(例えば、ラッチ、スナップなど)、又はこれらの任意の組み合わせを使用して、本体302に連結されてもよい。
【0038】
図示の実施形態では、ラッチリング304は、本体302に解放可能に(又は半永久的に)連結されてもよい。より具体的には、図3Bを参照すると、ラッチリング304には、環状体312から遠位に延びる1つ以上の押圧ピン320を設けるか、又は別様に画定してもよく、本体302には、押圧ピン320を受容するようにサイズ決めされた1つ以上の対応する開口部322を設けるか、又は別様に画定してもよい。ラッチリング304は、押圧ピン320を開口部322と角度的に整列させ、例えば、締まり嵌めを介して押圧ピン320を対応する開口部322内に受容することによって、本体302に取り付けられてもよい。
【0039】
図示した実施形態では、押圧ピン320の2つの群(クラスタ)は、ラッチリング304によって提供され、開口部322の2つの対応する群(クラスタ)は、本体302によって提供される。2つの押圧ピン320及び2つの対応する開口部322が各群(クラスタ)に示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、3つ以上又は1つの押圧ピン320及び開口部322が用いられてもよいことが理解されよう。
【0040】
2つの群は、第1の角度位置316で互いに角度的に対向して配置され、ラッチ110は、第2の角度位置318で2つの群の間にある。押圧ピン320を開口部322内に受容することにより、第1の角度位置316においてラッチリング304を効果的に固定することにより、環状体312は、それらの位置で屈曲又は移動することができない。対照的に、ラッチリング304は、第2の角度位置318において本体302に固定されず、これにより、ラッチ110が作動されるとき、環状体312がそれらの位置で作動することを可能にする。
【0041】
ラッチ110は、中心線に向かって反対側の径方向内側にラッチ110に径方向負荷を加えることによって作動されてもよい。径方向負荷は、ユーザによって(例えば、人差し指と親指との間でつまむことで)手動で、又はロボットアクチュエータによって加えられてもよい。径方向負荷は、ラッチ110をスロット308において本体302に対して径方向内側に回転させ、これによってラッチリング304の中間部分324をねじるように曲げる(屈曲させる)。中間部分324は、角度的に第1の角度位置316と第2の角度位置318との間にある環状体312の弧状区分(セグメント)を含み、したがって、ラッチ110のいずれかの角度側の中間の角度位置に位置する。
【0042】
中間部分324は、ラッチ110が作動されるときにねじれるように屈曲し、ラッチ110上の径方向負荷が取り除かれたときに弛緩状態に弾性的に戻る「リビングヒンジ」として特徴付けられてもよい。図示されるように、ラッチ110は、ラッチ110のいずれかの角度側で環状体312内に画定された半径326で中間部分324に移行してもよい。各角部の半径326は、ラッチ110に加えられた径方向負荷を中間部分324で想定されるねじり負荷に変換するのに有利であることが明らかとなってもよい。更に、半径326はまた、中間部分324が本体302に対して結合することなくよじれることを可能にしてもよい。
【0043】
中間部分324の断面形状及び断面積は、ラッチ110の理想的なばね速度及びタッチポイント触覚フィードバックを提供するように変更されてもよく、又は別様に最適化されてもよい。理解されるように、中間部分324の断面形状及び断面積は、ラッチ110を解放するために必要とされるねじれの量を決定してもよい。いくつかの実施形態では、中間部分324における環状体314の断面形状及び断面積は、この領域のねじれを促進及び制御するために、第1の角度位置316及び第2の角度位置318のうちの一方又は両方における環状体314の断面形状及び断面積とは異なってもよい。
【0044】
図4A及び図4Bは、例示的な作動を示す、図3A図3Bのラッチリング304の等角図である。より具体的には、図4A及び図4Bは、矢印X(図4B)によって示されるように、ヒンジ110の1つに径方向負荷を加えることによる有限要素分析(FEA)を示す。図4Aは、その弛緩状態にあるラッチリング304を示し、したがって、FEAデータは得られない。対照的に、図4Bは、径方向負荷Xがラッチ110に加えられたラッチリング304を示し、FEAデータは、環状体312の中間部分324における歪み形成を示す。ひずみのポケットは、ラッチ110が環状体312を接合し、径方向負荷Xを中間部分324で想定されるねじり負荷に構造的に変換する半径326において特に明らかである。FEA結果は、ラッチ110が押下げられているときに、ラッチリング304が、中間部分324においてねじれているそれ自体を中心としてよじれていることを示す。
【0045】
封止カートリッジのための従来のラッチは、典型的には、径方向負荷が加えられるときに直線的に曲がる片持ち梁として動作する。対照的に、提示されているラッチリング304は、直線的には曲がらず、むしろラッチ110における直線運動を容易にするためにそれ自体を中心としてねじれる。ラッチリング304の材料は、曲げ歪みではなく、ねじれるようになる。必要最小限の空間に起因して、ラッチリング304のねじり作動は、ラッチ110を作動させるための力においてより多くの空間又はバランスをとることを必要とする従来の直線屈曲ラッチよりも有利であってもよい。
【0046】
本明細書に開示される実施形態は、以下を含む。
A.トロカールアセンブリであって、トロカールと、トロカールに解放可能に連結されるように構成され、本体及びラッチリングを含む上部キャップを含む、封止カートリッジと、を含み、ラッチリングは、第1の角度位置で本体に固定され、第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有し、ラッチに径方向負荷を加えることにより、ラッチリングを、角度的に第1の角度位置と第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、トロカールアセンブリ。
【0047】
B.トロカールアセンブリ用の封止カートリッジであって、1つ以上のシールを収容するフレームと、フレームに連結され、かつ本体及びラッチリングを含む上部キャップと、を含み、ラッチリングは、第1の角度位置で本体に固定され、第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有し、ラッチに径方向負荷を加えることにより、ラッチリングを、角度的に第1の角度位置と第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、封止カートリッジ。
【0048】
C.トロカールアセンブリを使用する方法であって、トロカールのトロカールハウジング内に少なくとも部分的に封止カートリッジを受容することであって、封止カートリッジは、本体及びラッチリングを含む上部キャップを含み、ラッチリングは、第1の角度位置で本体に固定され、第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有する、ことと、ラッチに径方向負荷を加えることにより、ラッチリングを、角度的に第1の角度位置と第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させることと、を含む、方法。
【0049】
実施形態A、B、及びCのそれぞれは、以下の追加要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有してもよい。要素1:ラッチは、第1のラッチを含み、ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で本体に固定され、ラッチリングは、第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを更に含み、第1のラッチ及び第2のラッチは、角度的に2つの第1の角度位置の間にある。要素2:径方向負荷は、第1のラッチ及び第2のラッチに、対向する径方向で同時に加えられる。要素3:ラッチは、ラッチリングにおいて画定された半径で中間部分に移行する。要素4:中間部分の断面形状及び断面積は、中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、第1の角度位置及び第2の角度位置のうちの一方又は両方におけるラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる。要素5:ラッチリングは、第1の角度位置で本体に恒久的に固定されている。要素6:ラッチリングは、第1の角度位置で本体に解放可能に固定されている。要素7:トロカールは、トロカールハウジングと、トロカールハウジングから遠位に延びるカニューレと、を含み、トロカールアセンブリは、トロカールハウジングの内周面上に画定された内側リップと、ラッチによって画定され、内側リップと嵌合可能であって、封止カートリッジをトロカールに解放可能に連結する外側リップと、内側リップ及び外側リップのうちの一方に画定された1つ以上の陥凹部と、内側リップ及び外側リップのうちの他方に画定された1つ以上の突出部と、を更に備え、1つ以上の突出部は、1つ以上の陥凹部内に受容可能であって、封止カートリッジがトロカールハウジングに対して回転することを防止する。要素8:1つ以上の突出部及び1つ以上の陥凹部のうちの一方又は両方の縁部は、角度を付けられているか、又は丸みを帯びている。
【0050】
要素9:ラッチリングによって第1の角度位置で画定される1つ以上の押圧ピンと、本体によって第1の角度位置で画定されて、1つ以上の押圧ピンを受容することによって、ラッチリングを本体に固定させる、1つ以上の開口部と、を更に備える。要素10:ラッチは、第1のラッチを含み、ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で本体に固定され、ラッチリングは、第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを更に含み、第1のラッチ及び第2のラッチは、角度的に2つの第1の角度位置の間にある。要素11:本体は、ラッチリングが本体に取り付けられたときに第1のラッチ及び第2のラッチを受容するスロットを画定する。要素12:ラッチは、ラッチリングにおいて画定された半径で中間部分に移行する。要素13:中間部分の断面形状及び断面積は、中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、第1の角度位置及び第2の角度位置のうちの一方又は両方におけるラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる。
【0051】
要素14:ラッチは、第1のラッチを含み、ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で本体に固定され、ラッチリングは、第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを、第1のラッチ及び第2のラッチが、角度的に2つの第1の角度位置の間にあるように更に含み、ラッチに径方向負荷を加えることは、径方向負荷を、第1のラッチ及び第2のラッチに、対向する径方向に同時に加えることと、ラッチリングを、角度的に第1のラッチ及び第2のラッチと2つの第1の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させることと、を含む。要素15:径方向負荷を、ラッチが中間部分に移行する、ラッチリングにおいて画定された半径でねじり負荷に変換することを更に含む。要素16:内側リップは、トロカールハウジングの内周面上に画定され、外側リップは、ラッチによって画定され、内側リップと嵌合可能であって、封止カートリッジをトロカールに解放可能に連結し、封止カートリッジをトロカールハウジング内に少なくとも部分的に受容することは、内側リップ及び外側リップのうちの一方に画定された1つ以上の突出部を、内側リップ及び外側リップのうちの他方に画定された1つ以上の陥凹部と嵌合させることと、1つ以上の突出部が1つ以上の陥凹部と嵌合しているとき、封止カートリッジがトロカールハウジングに対して回転することを防止することと、を含む。要素17:ラッチに径方向負荷を加えることは、1つ以上の突出部を1つ以上の陥凹部から係合解除することと、封止カートリッジをトロカールハウジングに対して回転させることと、を更に含む。
【0052】
非限定的な例として、A、B、及びCに適用可能な例示的な組み合わせとしては、要素2を伴う要素1、要素8を伴う要素7、要素11を伴う要素10、及び要素17を伴う要素16が挙げられる。
【0053】
したがって、開示されるシステム及び方法は、言及された目的及び利点、並びに内在する固有の目的及び利点を達成するように、十分に適合されている。本開示の教示は、異なってはいるが本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな同等の方法で修正かつ実施されてもよいため、上記に開示された特定の実施形態は単なる例示である。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構成又は設計の詳細を、限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された特定の例示的実施形態は、変更、組み合わせ、又は修正されてもよく、またそのような全ての変形形態は、本開示の範囲内であると考えられる。本明細書に例示的に開示されたシステム及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、及び/又は本明細書に開示されたいずれかの任意選択の要素の不在下で適切に実施されてもよい。組成物及び方法は、種々の構成要素及び工程を「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、種々の構成要素及び工程「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」こともできる。上記に開示された全ての数及び範囲は、ある程度異なってもよい。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内に収まる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。詳細には、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a to b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a-b)の形態の」)値の全ての範囲は、広範囲の値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載していると理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によりそうではないことが明示的かつ明確に定義されない限り、平易かつ通常の意味を有する。更に、特許請求の範囲で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は2つ以上を意味するように定義される。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれてもよい1つ以上の特許又はその他の文書において単語又は用語の使用にいずれかの矛盾がある場合、本明細書と一致する定義を採用すべきである。
【0054】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、外科医、又は外科用ツールをロボットマニピュレータに機械的かつ電気的に連結するように構成されたインターフェースを有するロボット外科用システムに対して定義される。「近位」という用語は、外科医又はロボットマニピュレータにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医又はロボットマニピュレータからより離れた要素の位置を指す。更に、上、下、上方、下方、上向き、下向き、左、右などの方向用語の使用は、それらが図に示されるように代表的な実施形態に関連して使用され、上向き又は上方方向は、対応する図の頂部に向かっており、下向き又は下方方向は、対応する図の底部に向かっている。
【0055】
本明細書で使用するとき、一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のうちのいずれかを分離するための用語「及び(and)」又は「又は(or)」を伴うものであるが、一覧の各構成要素(すなわち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目の任意の項目のうちの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という語句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/又はA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つ、を意味する。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) トロカールアセンブリであって、
トロカールと、
前記トロカールに解放可能に連結されるように構成され、本体及びラッチリングを含む上部キャップを含む、封止カートリッジと、を備え、
前記ラッチリングは、第1の角度位置で前記本体に固定され、前記第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有し、
前記ラッチに径方向負荷を加えることにより、前記ラッチリングを、角度的に前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、トロカールアセンブリ。
(2) 前記ラッチは、第1のラッチを含み、前記ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で前記本体に固定され、前記ラッチリングは、前記第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを更に含み、前記第1のラッチ及び前記第2のラッチは、角度的に前記2つの第1の角度位置の間にある、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
(3) 前記径方向負荷は、前記第1のラッチ及び前記第2のラッチに、対向する径方向で同時に加えられる、実施態様2に記載のトロカールアセンブリ。
(4) 前記ラッチは、前記ラッチリングにおいて画定された半径で前記中間部分に移行する、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
(5) 前記中間部分の断面形状及び断面積は、前記中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、前記第1の角度位置及び前記第2の角度位置のうちの一方又は両方における前記ラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
【0057】
(6) 前記ラッチリングは、前記第1の角度位置で前記本体に恒久的に固定されている、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
(7) 前記ラッチリングは、前記第1の角度位置で前記本体に解放可能に固定されている、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
(8) 前記トロカールは、トロカールハウジングと、前記トロカールハウジングから遠位に延びるカニューレと、を含み、前記トロカールアセンブリは、
前記トロカールハウジングの内周面上に画定された内側リップと、
前記ラッチによって画定され、前記内側リップと嵌合可能であって、前記封止カートリッジを前記トロカールに解放可能に連結する外側リップと、
前記内側リップ及び前記外側リップのうちの一方に画定された1つ以上の陥凹部と、
前記内側リップ及び前記外側リップのうちの他方に画定された1つ以上の突出部と、を更に備え、
前記1つ以上の突出部は、前記1つ以上の陥凹部内に受容可能であって、前記封止カートリッジが前記トロカールハウジングに対して回転することを防止する、実施態様1に記載のトロカールアセンブリ。
(9) 前記1つ以上の突出部及び前記1つ以上の陥凹部のうちの一方又は両方の縁部は、角度を付けられているか、又は丸みを帯びている、実施態様8に記載のトロカールアセンブリ。
(10) トロカールアセンブリ用の封止カートリッジであって、
1つ以上のシールを収容するフレームと、
前記フレームに連結され、本体及びラッチリングを含む、上部キャップと、を備え、
前記ラッチリングは、第1の角度位置で前記本体に固定され、前記第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有し、
前記ラッチに径方向負荷を加えることにより、前記ラッチリングを、角度的に前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させる、封止カートリッジ。
【0058】
(11) 前記ラッチリングによって前記第1の角度位置で画定される1つ以上の押圧ピンと、
前記本体によって前記第1の角度位置で画定されて、前記1つ以上の押圧ピンを受容することによって、前記ラッチリングを前記本体に固定させる、1つ以上の開口部と、を更に備える、実施態様10に記載の封止カートリッジ。
(12) 前記ラッチは、第1のラッチを含み、前記ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で前記本体に固定され、前記ラッチリングは、前記第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを更に含み、前記第1のラッチ及び前記第2のラッチは、角度的に前記2つの第1の角度位置の間にある、実施態様10に記載の封止カートリッジ。
(13) 前記本体は、前記ラッチリングが前記本体に取り付けられたときに前記第1のラッチ及び前記第2のラッチを受容するスロットを画定する、実施態様12に記載の封止カートリッジ。
(14) 前記ラッチは、前記ラッチリングにおいて画定された半径で前記中間部分に移行する、実施態様10に記載の封止カートリッジ。
(15) 前記中間部分の断面形状及び断面積は、前記中間部分における局所的なねじれを促進かつ制御するために、前記第1の角度位置及び前記第2の角度位置のうちの一方又は両方における前記ラッチリングの断面形状及び断面積とは異なる、実施態様10に記載の封止カートリッジ。
【0059】
(16) トロカールアセンブリの使用方法であって、
トロカールのトロカールハウジング内に少なくとも部分的に封止カートリッジを受容することであって、前記封止カートリッジは、本体及びラッチリングを含む上部キャップを含み、前記ラッチリングは、第1の角度位置で前記本体に固定され、前記第1の角度位置から角度的にオフセットされた第2の角度位置に位置するラッチを有する、ことと、
前記ラッチに径方向負荷を加えることにより、前記ラッチリングを、角度的に前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させることと、を含む、方法。
(17) 前記ラッチは、第1のラッチを含み、前記ラッチリングは、互いに角度的に対向して位置する2つの第1の角度位置で前記本体に固定され、前記ラッチリングは、前記第1のラッチと角度的に対向して位置する第2のラッチを、前記第1のラッチ及び前記第2のラッチが、角度的に前記2つの第1の角度位置の間にあるように更に含み、前記ラッチに前記径方向負荷を加えることは、
前記径方向負荷を、前記第1のラッチ及び前記第2のラッチに、対向する径方向で同時に加えることと、
前記ラッチリングを、角度的に前記第1のラッチ及び前記第2のラッチと前記2つの第1の角度位置との間にある中間部分においてねじるように屈曲させることと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記径方向負荷を、前記ラッチが前記中間部分に移行する、前記ラッチリングにおいて画定された半径でねじり負荷に変換することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 内側リップは、前記トロカールハウジングの内周面上に画定され、外側リップは、前記ラッチによって画定され、前記内側リップと嵌合可能であって、前記封止カートリッジを前記トロカールに解放可能に連結し、前記封止カートリッジを前記トロカールハウジング内に少なくとも部分的に受容することは、
前記内側リップ及び前記外側リップのうちの一方に画定された1つ以上の突出部を、前記内側リップ及び前記外側リップのうちの他方に画定された1つ以上の陥凹部と嵌合させることと、
前記1つ以上の突出部が前記1つ以上の陥凹部と嵌合しているとき、前記封止カートリッジが前記トロカールハウジングに対して回転することを防止することと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記ラッチに前記径方向負荷を加えることは、
前記1つ以上の突出部を前記1つ以上の陥凹部から係合解除することと、
前記封止カートリッジを前記トロカールハウジングに対して回転させることと、を更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B