(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】振込管理装置、為替システム、プログラムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240116BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2020031595
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045411(JP,A)
【文献】特開2020-035120(JP,A)
【文献】特開平02-244264(JP,A)
【文献】種子島 健吉,簡単・便利・安心 使いこなそう!インターネットバンキング 銀行振込も口座管理も家からできる!,日経PC21 ,日本,日経BP社,2001年08月28日,第6巻 第19号 ,P.85-97
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼人口座の残高が不足していることにより、
ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、
前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を
前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、
前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、
前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、
を備え、
前記振込データは振込期日を示す情報を含み、
前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、振込管理装置。
【請求項2】
前記残高取得部は、前記依頼人口座の残高の照会を定期的に行う、請求項
1に記載の振込管理装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来する前に、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、営業店端末に振込が停止されたことを示す通知を送信する、
請求項1に記載の振込管理装置。
【請求項4】
依頼人口座の残高が不足していることにより、
ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、
前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を
前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、
前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、
前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、
を備え、
前記振込データは振込期日を示す情報を含み、
前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、為替システム。
【請求項5】
コンピュータを、
依頼人口座の残高が不足していることにより、
ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、
前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を
前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、
前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、
前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、
を備え、
前記振込データは振込期日を示す情報を含み、
前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、振込管理装置として機能させるための、プログラム。
【請求項6】
依頼人口座の残高が不足していることにより、
ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶することと、
前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を
前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得することと、
前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認することと、
前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信することと、
を含み、
前記振込データは振込期日を示す情報を含み、
前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信すること、をさらに含む、コンピュータが実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振込管理装置、為替システム、プログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関では、営業店および集中センタが連携することで振込処理が行われる。例えば、依頼人が金融機関の営業店を訪れ、依頼人が所定の振込依頼書に必要事項を記入して当該振込依頼書を窓口に提出すると、窓口の受付端末のスキャナにより振込依頼書が読み取られ、当該読み取りにより得られた振込データが集中センタに送信される。そして、集中センタにおいて振込データに基づいて仕向電文が生成され、当該仕向電文がホストに送信されることで、振込が実行される。
【0003】
しかし、依頼人が振込依頼書を提出した時点で、依頼人口座に振込資金が確保されていない場合がある。ホストに資金管理機能がある場合、ホストは、仕向電文を受信した後、依頼人の口座の残高を確認し、依頼人の口座から振込資金を確保できた場合に振込を実行し得る。他の技術として、営業店端末にて依頼人口座の資金を管理する技術が特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1には、集中センタがホストへの仕向電文の送信を保留し、行員が営業店端末から依頼人口座の残高照会を定期的に行い、依頼人口座において振込資金の確保を確認でき次第に行員が営業店端末から集中センタへ仕向電文の発信指示を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では人手により作業が多いことから、営業店での事務負担が大きくなる。なお、ホストに資金管理機能を実装することは、膨大なコストとリスクを伴うので、現実的には難しい場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、振込に関する営業店での運用負荷を軽減することが可能な、新規かつ改良された振込管理装置、為替システム、プログラムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、依頼人口座の残高が不足していることにより、ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、を備え、前記振込データは振込期日を示す情報を含み、前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、振込管理装置が提供される。
【0009】
前記残高取得部は、前記依頼人口座の残高の照会を定期的に行ってもよい。
【0011】
前記送信部は、前記振込期日が到来しても、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、営業店端末に振込が停止されたことを示す通知を送信してもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、依頼人口座の残高が不足していることにより、ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、を備え、前記振込データは振込期日を示す情報を含み、前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、為替システムが提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、依頼人口座の残高が不足していることにより、ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する記憶部と、前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得する残高取得部と、前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認する確認部と、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信する送信部と、を備え、前記振込データは振込期日を示す情報を含み、前記送信部は、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信する、振込管理装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、依頼人口座の残高が不足していることにより、ホストにおいて処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶することと、前記振込データにより示される前記依頼人口座の残高を前記ホストに自動で照会し、前記ホストから照会結果を取得することと、前記照会結果が示す残高と前記振込に必要な金額とを比較し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であるか否かを確認することと、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認された場合に、前記ホストに前記振込の実行指示を送信することと、を含み、前記振込データは振込期日を示す情報を含み、前記振込期日の締め時間が到来し、前記照会結果が示す残高が前記振込に必要な金額以上であることが確認されない場合、前記ホストに振込の停止を指示する振込停止指示を送信すること、をさらに含む、コンピュータが実行する方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、振込に関する営業店での運用負荷を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による為替システムの構成を示す説明図である。
【
図2】振込依頼書40の具体例を示す説明図である。
【
図3】エントリ画面50の具体例を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態による為替サーバ20の構成を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態による為替システムの第1の動作例を示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態による為替システムの第2の動作例を示す説明図である。
【
図8】為替サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0019】
<1.為替システムの概要>
本発明の一実施形態は、金融機関に適用される為替システムに関する。まず、
図1~
図3を参照し、本発明の一実施形態による為替システムの概要を説明する。
【0020】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態による為替システムの構成を示す説明図である。
図1に示したように、本発明の一実施形態による為替システムは、営業店に配置される構成、集中センタに配置される構成、およびホスト30を有する。営業店と集中センタはネットワークを介して接続されている。営業店に配置される構成は、スキャナ11および営業店端末12を含む。集中センタに配置される構成は、為替サーバ20、共通クライアント(エントリ)26、共通クライアント(ベリファイ)27、共通クライアント(承認)28および通信ゲートウェイ29を含む。
【0021】
スキャナ11は、書面の読み取り、および書面に記載された文字の認識を行う。例えば、スキャナ11は、振込の依頼人により必要事項が記入された振込依頼書の読み取り、および文字認識を行う。結果、振込依頼書のイメージデータ、および振込依頼書の文字認識結果が得られる。ここで、
図2を参照して振込依頼書の具体例を説明する。
【0022】
図2は、振込依頼書40の具体例を示す説明図である。
図2に示したように、振込依頼書40は、振込先に関する事項を記入する欄、振込金額を記入する欄、依頼人口座など依頼人に関する事項を記入する欄を含む。また、振込依頼書40は、振込期日となる振込指定日を記入する欄を含んでもよい。
【0023】
また、振込依頼書40は、振込依頼時に依頼人口座の残高が振込に必要な金額以上であることが確認され、当該振込に必要な金額が確保(拘束)されているか否かを示す、資金確保状況に関する欄を含む。振込に必要な金額が確保済みである確保済み状況においては資金確保済みマーク欄42が行員によりマークされ、振込に必要な金額が未確保である未確保状況においては資金未確保マーク欄43が行員によりマークされる。
【0024】
営業店端末12は、営業店での窓口業務に従事する行員により利用される端末である。営業店端末12は、スキャナ11により得られた振込依頼書40のイメージデータおよび振込依頼書40の文字認識結果を含む振込データを集中センタに送信する。また、行員は、営業店端末12を用いて依頼人口座の残高を確認し、依頼人口座の残高が振込に必要な金額以上である場合には、営業店端末12を介してホスト30に振込資金の確保を要求する。振込資金を確保できた場合、行員は上述したように資金確保済みマーク欄42をマークし、振込資金が未確保である場合、行員は資金未確保マーク欄43をマークする。
【0025】
なお、営業店端末12は、
図1に示したように例えばPC(Pesonal Computer)であってもよい。また、
図1においてはスキャナ11と営業店端末12が別の装置である例を示したが、スキャナ11と営業店端末12の機能は1つの装置で一体的に実現されてもよい。
【0026】
為替サーバ20は、営業店端末12から送信された振込データを記憶する振込管理装置の一例である。為替サーバ20は、共通クライアント(エントリ)26、共通クライアント(ベリファイ)27および共通クライアント(承認)28などへの振込データの配信を管理する。
【0027】
共通クライアント(エントリ)26、共通クライアント(ベリファイ)27および共通クライアント(承認)28は、集中センタのオペレータによって利用される端末である。共通クライアント(エントリ)26のオペレータは、共通クライアント(エントリ)26に配信された振込データに含まれる振込依頼書および送付書のイメージデータを目視しながら、共通クライアント(エントリ)26に表示されるエントリ画面において、文字認識にて誤読、不読となったデータの補正操作を行う。この際、依頼人口座から振込金額を直接引き落とす取引においては、振込依頼書に記載された依頼人口座の情報(店番および口座番号など)も補正操作の対象となる。
【0028】
図3は、エントリ画面50の具体例を示す説明図である。
図3に示したように、エントリ画面50は、振込依頼書に含まれる複数の項目の各々に関して、項目イメージ表示欄(例えば依頼人電話番号イメージ表示欄500など)と、項目入力欄(例えば依頼人電話番号入力欄520など)とを含む。また、
図3に示したように、この複数の項目は、例えば依頼人電話番号、科目、口座番号、依頼人氏名、受取人氏名、振込先金融機関名、支店名、および金額などを含む。なお、項目入力欄には、為替サーバ20から受信される該当の項目の文字認識結果が自動的に入力され得る。また、項目入力欄では、オペレータが入力内容を編集可能である。
【0029】
共通クライアント(エントリ)26によりエントリが行われた後の振込データであるエントリデータは、直接または為替サーバ20を介して共通クライアント(ベリファイ)27に配信される。共通クライアント(ベリファイ)27のオペレータは、共通クライアント(ベリファイ)27に表示されるエントリデータに基づき、エントリデータの確認や重要項目の再入力を行う。
【0030】
エントリ/ベリファイ結果が不一致となった場合や、高額取引の場合には、共通クライアント(承認)28にエントリデータが配信され、共通クライアント(承認)28のオペレータにより承認操作が行われる。そして、ベリファイ操作または承認操作終了後に、通信ゲートウェイ29を介してホスト30に仕向電文が発信される。さらに、ホスト30が仕向電文の受信に基づいて振込を実行することにより、一件分の振込が完了する。
【0031】
(背景)
資金確保状況が確保済み状況である振込は、上述した一連の処理により完了する。しかし、資金確保状況が未確保状況である場合もあり、この場合、上述した一連の処理と異なる処理で振込が行われ得る。そこで、本発明の一実施形態による処理の説明に先立ち、資金確保状況が未確保状況である振込の比較例による処理を説明する。
【0032】
図4は、比較例による処理を示す説明図である。
図4に示したように、依頼人口座で振込資金が不足している状態で依頼人が振込を依頼し、営業店において振込依頼書などの読み取りが行われると、営業店端末が振込データを集中センタに送信する(S904)。そして、集中センタは、エントリおよびベリファイなどを行い、ホストに仕向電文を送信する(S908)。しかし、依頼人口座で振込資金が不足しているので、当該仕向電文に基づく振込は保留される(S912)。
【0033】
その後、営業店の行員は、人手により、定期的に依頼人口座の残高照会を行う。例えば、行員が営業店端末に残高照会操作を行い(S916)、営業店端末がホストに残高照会を行い(S920)、ホストが照会結果を送信し(S924)、行員が照会結果を確認する(S928)。ここでは、依頼人口座の残高が変更されておらず、振込資金が確保されない。そして、依頼人が依頼人口座に現金を入金した後に行員が依頼人口座の残高を確認し(S932~S944)、依頼人口座の残高が振込に必要な金額以上であることが確認された場合、すなわち、振込資金の確保が確認された場合(S948)、行員が営業店端末に振込指示操作を行い(S952)、営業店端末が集中センタに振込指示を送信し(S956)、集中センタがホストに振込指示を送信することにより(S960)、ホストにより振込が実行される(S964)。
【0034】
しかし、上述した比較例による処理では、行員の操作に基づいて営業店端末から定期的に残高照会が行われ、振込資金の確保が確認された場合には行員の操作に基づいて振込指示が送信されるので、営業店での事務負担が大きい。また、人手による確認および判断では、事務ミスが生じる恐れもあり、事務堅確性も十分でなかった。さらに、振込期日間近になっても振込資金が確保されない場合には、必要に応じて依頼人に連絡して依頼人口座への入金を督促するなどの手間も発生する。
【0035】
そこで、本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態による為替システムを創作するに至った。本発明の一実施形態による為替システムは、振込に関する営業店での運用負荷を軽減することが可能である。以下、このような本発明の一実施形態による為替システムに関する構成および動作を順次詳細に説明する。
【0036】
<2.為替サーバの構成>
図5は、本発明の一実施形態による為替サーバ20の構成を示す説明図である。
図5に示したように、為替サーバ20は、通信部240、記憶部250および制御部260を有する。
【0037】
通信部240は、他の端末と多様なデータを通信する。例えば、通信部240は、営業店端末12から振込データを受信し、振込データを共通クライアント(エントリ)26に配信する。また、本発明の一実施形態による通信部240は、仕向電文および振込の実行指示などを通信ゲートウェイ29を介してホスト30に送信する送信部としての機能も有する。
【0038】
記憶部250は、為替サーバ20における動作に用いられるデータを記憶する。例えば、記憶部250は、営業店端末12から受信された振込データを記憶する。特に、本発明の一実施形態による記憶部250は、依頼人口座の残高が不足していることにより処理が保留にされた振込に関する振込データを記憶する。
【0039】
制御部260は、為替サーバ20の動作全般を制御する。特に、本発明の一実施形態による為替サーバ20は、
図5に示したように、残高取得部262、資金確保確認部264および指示制御部266の機能を有する。
【0040】
残高取得部262は、ホスト30への口座の残高照会を制御する。例えば、残高取得部262は、処理が保留にされている振込の振込データを参照し、当該振込データにより示される依頼人口座の残高をホスト30に自動で照会し、ホスト30から通信部240を介して照会結果を取得する。残高取得部262は、このような残高照会を定期的に行う。
【0041】
資金確保確認部264は、残高取得部262により取得された照会結果が示す残高と、処理が保留にされている上記振込に必要な金額とを比較し、照会結果が示す残高が振込に必要な金額以上であるか否かを確認する。振込に必要な金額は、振込金額に加えて、振込のための手数料を含んでもよい。資金確保確認部264は、照会結果が示す残高が振込に必要な金額以上である場合、通信部240を介して、振込に必要な金額の確保(拘束)ホスト30に要求する。
【0042】
指示制御部266は、ホスト30への各種指示の送信を制御する。例えば、指示制御部266は、処理が保留にされている上記振込に関して、資金確保確認部264により振込資金が確保された場合に、通信部240にホスト30へ振込の実行指示(保留解除指示)を送信させる。
【0043】
<3.動作>
以上、本発明の一実施形態による為替サーバ20の構成を説明した。続いて、
図6および
図7を参照し、為替サーバ20を含む為替システムの幾つかの動作例を整理する。
【0044】
(第1の動作例)
図6は、本発明の一実施形態による為替システムの第1の動作例を示す説明図である。依頼人が営業店に訪れて、依頼人が所定の振込依頼書に必要事項を記入して当該振込依頼書を窓口に提出すると、
図6に示したように、行員がスキャナ11を用いて振込依頼書を読み取り、営業店端末12が振込データを為替サーバ20に送信する(S304)。ここで、当該振込の資金確保状況は、依頼人口座の残高が振込に必要な金額未満であり振込資金が確保されていない未確保状況であるものとする。
【0045】
為替サーバ20が振込データを受信すると、集中センタにおいてエントリおよびベリファイなどが行われた後に、為替サーバ20が仕向電文をホスト30に送信する(S308)。ホスト30は、当該仕向電文による振込を保留する(S312)。為替サーバ20は、保留にされた振込の振込データを記憶部250に記憶しておく(S316)。
【0046】
その後、為替サーバ20の残高取得部262が、保留にされた振込の振込データを参照し、当該振込データにより示される依頼人口座の残高をホスト30に定期的に自動で照会し(S320)、ホスト30から照会結果を得る(S324)。
【0047】
そして、依頼人が依頼人口座に振込資金を入金すると(S328)、その後に残高取得部262により行われた残高照会の照会結果が示す残高が振込に必要な金額以上であることが確認される(S332、S336、S340)。すると、残高取得部262は、通信部240を介して、振込に必要な金額の確保をホスト30に要求し(S342)、ホスト30は依頼人口座の資金を確保する(S344)。
【0048】
続いて、為替サーバ20の指示制御部266が、通信部240にホスト30へ振込の実行指示(保留解除指示)を送信させる(S346)。ホスト30は、当該実行指示に基づき、保留にしていた振込を実行する(S350)。
【0049】
このような第1の動作例によれば、為替サーバ20が自動的に振込資金の確保を確認し、振込指示を送信するので、営業店での運用負荷を大幅に軽減することが可能である。また、人手による作業が減ることから事務ミスの発生も減少し、事務堅確性を高めることが可能である。
【0050】
(第2の動作例)
第2の動作例は、振込期日(振込指定日)が記載された振込依頼書に基づく振込に関し、振込期日の締め時間が到来しても依頼人口座に振込資金が確保されない場合の動作である。なお、締め時間は、全銀ネットワークを利用できる時間帯の終了時間であってもよい。以下、
図7を参照して第2の動作例を具体的に説明する。
【0051】
図7は、本発明の一実施形態による為替システムの第2の動作例を示す説明図である。依頼人が営業店に訪れて、依頼人が所定の振込依頼書に必要事項を記入して当該振込依頼書を窓口に提出すると、
図7に示したように、行員がスキャナ11を用いて振込依頼書を読み取り、営業店端末12が振込データを為替サーバ20に送信する(S404)。ここで、当該振込の資金確保状況は、依頼人口座の残高が振込に必要な金額未満であり振込資金が確保されていない未確保状況であるものとする。
【0052】
為替サーバ20が振込データを受信すると、集中センタにおいてエントリおよびベリファイなどが行われた後に、為替サーバ20が仕向電文をホスト30に送信する(S408)。ホスト30は、当該仕向電文による振込を保留する(S412)。為替サーバ20は、保留にされた振込の振込データを記憶部250に記憶しておく(S416)。
【0053】
その後、為替サーバ20の残高取得部262が、保留にされた振込の振込データを参照し、当該振込データにより示される依頼人口座の残高をホスト30に自動で照会し、ホスト30から照会結果を得ることを、定期的に繰り返す(S420~S436)。
【0054】
そして、振込期日の締め時間が到来しても照会結果が示す残高が振込に必要な金額以上であることが確認されず、振込資金が確保されない場合、指示制御部266は、通信部240にホスト30へ振込の停止を指示する振込停止指示を送信させる(S440)。ホスト30は、当該振込停止指示に基づき、保留にしていた振込を停止する(S448)。
【0055】
また、為替サーバ20の制御部260は、振込資金が確保されなかったことにより振込が停止されたことを示す通知として、振込停止連絡票を通信部240に営業店へ送信させる(S452)。営業店では、営業店端末12に当該振込停止連絡票が表示される、または営業店プリンタから当該振込停止連絡票が出力されるなどして、振込が停止されたことを行員が把握する。このため、行員が、振込資金が確保されなかったことにより振込が停止されたことを依頼人に連絡することが可能となり、運用性に優れる。
【0056】
<4.ハードウェア構成>
以上、本発明の一実施形態を説明した。上述した残高照会の制御および資金確保の確認などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する為替サーバ20のハードウェアとの協働により実現される。
【0057】
図8は、為替サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。為替サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、為替サーバ20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インターフェース207と、入力装置208と、表示装置209と、音声出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、ネットワークインターフェース215とを備える。
【0058】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って為替サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。これらCPU201、ROM202およびRAM203とソフトウェアとの協働により、上述した残高取得部262、資金確保確認部264および指示制御部266などの機能が実現され得る。
【0059】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0060】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサー、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。為替サーバ20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、為替サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0061】
表示装置209は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0062】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる為替サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置211は、ストレージを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0063】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、為替サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203またはストレージ装置211に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0064】
ネットワークインターフェース215は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0065】
<5.むすび>
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、ホスト30に資金管理機能が無い場合でも、為替サーバ20が自動的に振込資金の確保を確認し、振込指示を送信するので、営業店での運用負荷を大幅に軽減することが可能である。また、人手による作業が減ることから事務ミスの発生も減少し、事務堅確性を高めることが可能である。さらに、振込期日間近になっても振込資金が確保されない場合には、為替サーバ20が自動的に振込停止指示をホスト30に送信し、かつ、振込停止連絡票を営業店端末12に送信するので、運用性に優れる。
【0066】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
例えば、上記では、振込資金が確保されていない振込についての仕向電文がホスト30に送信され、ホスト30において処理が保留される例を説明したが、為替サーバ20は、仕向電文をホスト30に送信せず、為替サーバ20において当該振込についての仕向電文の送信を保留にしておいてもよい。そして、為替サーバ20は、振込資金が確保された場合に仕向電文をホスト30に送信し、ホスト30は当該仕向電文に基づいて振込を実行してもよい。
【0068】
また、上述した残高取得部262による残高照会が定期的に行われる期間は特に限定されない。例えば、残高取得部262は、振込期日より前の日には残高照会を行わず、振込期日に残高照会を行ってもよい。また、残高取得部262は、期間によって異なる周期で残高照会を行ってもよい。例えば、残高取得部262は、振込期日には短周期(例えば、10分周期)で残高照会を行い、振込期日より前の日には長周期(例えば、2時間周期)で残高照会を行ってもよい。かかる構成により、残高照会の件数を抑制し、システムへの負荷を低減することが可能である。
【0069】
また、上記では金融機関向けの為替システムに本発明の実施形態が適用される例を説明したが、ホストが保有する口座情報に基づいて処理を行う他のシステム全般にも本発明の実施形態を適用可能である。
【0070】
また、本明細書の為替システムの処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、為替システムの処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0071】
また、営業店端末12および為替サーバ20などに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した営業店端末12および為替サーバ20などの各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0072】
11 スキャナ
12 営業店端末
20 為替サーバ
240 通信部
250 記憶部
260 制御部
262 残高取得部
264 資金確保確認部
266 指示制御部
26 共通クライアント(エントリ)
27 共通クライアント(ベリファイ)
28 共通クライアント(承認)
29 通信ゲートウェイ
30 ホスト