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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240123BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652F
H01L29/78 652H
H01L29/78 652P
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019177613
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057410
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 祐人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 秀太
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/029951(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/107742(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/155553(WO,A1)
【文献】特開2008-091749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体層と、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に交互に形成された第1導電型の第1カラム領域および第2導電型の第2カラム領域を有するSJ領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第2カラム領域の不純物濃度を超える不純物濃度を有する第2導電型の低抵抗領域と、
前記主面の上に形成され、前記低抵抗領域の一部を露出させるように前記低抵抗領域を被覆する領域絶縁層と、
前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成された第1パッド電極と、
前記主面の上に形成され、前記第2カラム領域および前記低抵抗領域に電気的に接続された第2パッド電極と、を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記低抵抗領域は、前記ドリフト領域の表層部において前記SJ領域の一部の領域に形成されており、
前記第1パッド電極は、前記SJ領域および前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記領域絶縁層は、前記低抵抗領域の周縁部を露出させており、
前記第2パッド電極は、前記低抵抗領域の周縁部に電気的に接続されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記低抵抗領域は、前記第2カラム領域に接続された周縁部を有しており、
前記第2パッド電極は、前記低抵抗領域の周縁部および前記第2カラム領域に電気的に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記低抵抗領域は、前記第2カラム領域よりも浅く形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1カラム領域の表層部に形成された第2導電型のチャネル領域、前記チャネル領域に接するゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を介して前記チャネル領域に対向するゲート電極を有するFET構造をさらに含み、
前記第1パッド電極は、前記ゲート電極に電気的に接続され、
前記第2パッド電極は、前記チャネル領域に電気的に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記FET構造は、前記低抵抗領域外の領域に形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
平面視において前記SJ領域を取り囲むように前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のFL領域をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記低抵抗領域は、前記主面の表層部において前記FL領域に取り囲まれた領域内に形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記低抵抗領域は、前記FL領域から間隔を空けて形成されている、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記低抵抗領域は、前記FL領域の不純物濃度を超える不純物濃度を有している、請求項8~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記FL領域は、前記第2カラム領域よりも浅く形成されている、請求項8~11のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項13】
主面を有する半導体層と、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に交互に形成された第1導電型の第1カラム領域および第2導電型の第2カラム領域を有するSJ領域と、
平面視において前記SJ領域を取り囲むように前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のFL領域と、
前記ドリフト領域の表層部において前記FL領域に取り囲まれた領域内に形成され、前記FL領域の不純物濃度を超える不純物濃度を有する第2導電型の低抵抗領域と、
前記主面の上に形成され、前記低抵抗領域の一部を露出させるように前記低抵抗領域を被覆する領域絶縁層と、
前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成された第1パッド電極と、
前記主面の上に形成され、前記第2カラム領域および前記低抵抗領域に電気的に接続された第2パッド電極と、を含む、半導体装置。
【請求項14】
前記低抵抗領域は、前記FL領域から間隔を空けて形成されている、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記低抵抗領域は、前記ドリフト領域の表層部において前記SJ領域の一部の領域に形成されており、
前記第1パッド電極は、前記SJ領域および前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成されている、請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記領域絶縁層は、前記低抵抗領域の周縁部を露出させており、
前記第2パッド電極は、前記低抵抗領域の周縁部に電気的に接続されている、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記低抵抗領域は、前記第2カラム領域に接続された周縁部を有しており、
前記第2パッド電極は、前記低抵抗領域の周縁部において、前記低抵抗領域の周縁部および前記第2カラム領域に電気的に接続されている、請求項13~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記低抵抗領域は、前記第2カラム領域よりも浅く形成されている、請求項13~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1カラム領域の表層部に形成された第2導電型のチャネル領域、前記チャネル領域に接するゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を介して前記チャネル領域に対向するゲート電極を有するFET構造をさらに含み、
前記第1パッド電極は、前記ゲート電極に電気的に接続され、
前記第2パッド電極は、前記チャネル領域に電気的に接続されている、請求項13~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SJ(Super Junction)領域を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体基板、SJ(Super Junction)領域、p型層、n型ソース領域、層間絶縁層、ゲート電極(第1パッド電極)およびソース電極(第2パッド電極)を含む半導体装置を開示している。SJ領域は、半導体基板の表層部に交互に形成されたn型カラム領域およびp型カラム領域を含む。p型層は、SJ領域の上に形成されている。n型ソース領域は、p型層内に形成されている。層間絶縁層は、p型層を被覆している。ゲート電極は、層間絶縁層を挟んでp型層を被覆している。ソース電極は、半導体基板の上に配置され、p型カラム領域、p型層およびn型ソース領域に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-84912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の逆回復動作時では、逆回復電流がp型層を介してソース電極に流れ込む。とりわけ、p型層のうちゲート電極の直下に位置する領域は、比較的大きな電流経路を逆回復電流に提供している一方で、比較的大きな抵抗値を有している。そのため、逆回復電流に起因してp型層の発熱量が増加する結果、半導体層におけるゲート電極の直下の領域を起点に半導体装置の逆回復時の破壊耐量が低下する。
【0005】
本発明の一実施形態は、逆回復電流に起因する破壊耐量の低下を抑制できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に交互に形成された第1導電型の第1カラム領域および第2導電型の第2カラム領域を有するSJ領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第2カラム領域の不純物濃度を超える不純物濃度を有する第2導電型の低抵抗領域と、前記主面の上に形成され、前記低抵抗領域の一部を露出させるように前記低抵抗領域を被覆する領域絶縁層と、前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成された第1パッド電極と、前記主面の上に形成され、前記第2カラム領域および前記低抵抗領域に電気的に接続された第2パッド電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
この半導体装置によれば、半導体層において第1パッド電極(領域絶縁層)の直下に位置する領域を低抵抗領域によって低抵抗化できる。これにより、第1パッド電極の直下の領域を流れる逆回復電流に起因する温度上昇を抑制できる。よって、逆回復電流に起因する破壊耐量の低下を抑制できる半導体装置を提供できる。
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に交互に形成された第1導電型の第1カラム領域および第2導電型の第2カラム領域を有するSJ領域と、平面視において前記SJ領域を取り囲むように前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のFL領域と、前記ドリフト領域の表層部において前記FL領域に取り囲まれた領域内に形成され、前記FL領域の不純物濃度を超える不純物濃度を有する第2導電型の低抵抗領域と、前記主面の上に形成され、前記低抵抗領域の一部を露出させるように前記低抵抗領域を被覆する領域絶縁層と、前記低抵抗領域に重なるように前記領域絶縁層の上に形成された第1パッド電極と、前記主面の上に形成され、前記第2カラム領域および前記低抵抗領域に電気的に接続された第2パッド電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0008】
この半導体装置によれば、半導体層において第1パッド電極(領域絶縁層)の直下に位置する領域を低抵抗領域によって低抵抗化できる。これにより、第1パッド電極の直下の領域を流れる逆回復電流に起因する温度上昇を抑制できる。よって、逆回復電流に起因する破壊耐量の低下を抑制できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す半導体層の第1主面の構造を示す平面図である。
図3図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。
図4図4は、図2に示す領域IVの拡大図である。
図5図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図5の要部拡大図である。
図9図9は、図8に対応する図であって、比較例に係る半導体装置を電気的構造と共に示す要部拡大図である。
図10図10は、di/dt耐量およびイオン注入量の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。図2は、図1に示す半導体層2の第1主面3の構造を示す平面図である。図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。図4は、図2に示す領域IVの拡大図である。図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。図8は、図5の要部拡大図である。
【0011】
図1および図2を参照して、半導体装置1は、SJ-MISFET(Super Junction - Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を含む半導体スイッチングデバイスである。SJ-MISFETは、SJ-MOSFET(Super Junction - Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と称されてもよい。
半導体装置1は、直方体形状に形成されたシリコン製の半導体層2を含む。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する4つの側面5A、5B、5C、5Dを含む。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状にそれぞれ形成されている。第1主面3は、研削面であってもよい。第2主面4は、研削面であってもよい。
【0012】
4つの側面5A~5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。
【0013】
図2を参照して、半導体層2は、外側領域6およびセル領域7を含む。外側領域6は、半導体層2の周縁部に形成され、SJ-MISFETに対する耐圧構造が形成された領域である。セル領域7は、SJ-MISFETの主要部が形成された領域であり、外側領域6によって区画されている。
外側領域6は、具体的には、パッド領域8および帯領域9を含む。パッド領域8は、この形態では、平面視において第1側面5Aの中央部に沿う部分に形成されている。パッド領域8は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。帯領域9は、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成されている。帯領域9は、具体的には、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成され、半導体層2の内方を4方向から区画している。セル領域7は、外側領域6によって当該外側領域6の平面形状に対応した平面形状に区画されている。
【0014】
半導体装置1は、半導体層2の第2主面4の表層部に形成されたn型のドレイン領域10を含む。ドレイン領域10は、第2主面4の表層部の全域に形成され、第2主面4を形成している。ドレイン領域10は、この形態では、n型の半導体基板からなる。ドレイン領域10のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0015】
ドレイン領域10の法線方向Zに沿う厚さは、50μm以上400μm以下であってもよい。ドレイン領域10の厚さは、50μm以上100μm以下、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、または、300μm以上400μm以下であってもよい。ドレイン領域10の厚さは、100μm以上であることが好ましい。
半導体装置1は、半導体層2の第1主面3の表層部に形成されたn型のドリフト領域11を含む。ドリフト領域11は、第1主面3の表層部の全域に形成され、第1主面3を形成している。ドリフト領域11は、ドレイン領域10に電気的に接続されている。ドレイン領域10およびドリフト領域11の境界は、第1主面3に対して平行に延びている。
【0016】
ドリフト領域11は、この形態では、半導体基板の上に形成されたn型のエピタキシャル層からなる。ドリフト領域11は、ドレイン領域10のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。ドリフト領域11のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であってもよい。
ドリフト領域11の法線方向Zに沿う厚さは、ドレイン領域10の厚さ未満である。ドリフト領域11の厚さは、10μm以上50μm以下であってもよい。ドリフト領域11の厚さは、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。
【0017】
図3図8を参照して、半導体装置1は、ドリフト領域11の表層部に形成されたSJ領域12を含む。SJ領域12は、この形態では、ドリフト領域11の表層部の全域に亘って一様に形成されている。すなわち、SJ領域12は、外側領域6およびセル領域7に亘って一様に形成されている。
SJ領域12は、ドリフト領域11の表層部に交互に形成されたn型の複数の第1カラム領域13およびp型の複数の第2カラム領域14を含む。図3図8では、第2カラム領域14がハッチングによって示されている。複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14は、平面視においてストライプ状に形成されている。
【0018】
複数の第1カラム領域13は、具体的には、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第1カラム領域13は、一方側の一端部、他方側の他端部、ならびに、一端部および他端部の間を帯状に延びる帯部をそれぞれ有している。各第1カラム領域13の一端部は、外側領域6において第3側面5Cに沿う領域に位置している。各第1カラム領域13の他端部は、外側領域6において第4側面5Dに沿う領域に位置している。
【0019】
各第1カラム領域13のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であってもよい。各第1カラム領域13は、この形態では、ドリフト領域11の一部を利用して形成されている。各第1カラム領域13は、ドリフト領域11のn型不純物濃度と等しいn型不純物濃度を有している。
各第1カラム領域13の第2方向Yの幅は、1μm以上10μm以下であってもよい。各第1カラム領域13の第2方向Yの幅は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0020】
複数の第2カラム領域14は、具体的には、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第2カラム領域14は、1つの第1カラム領域13を第2方向Yの両サイドから挟み込む態様で、複数の第1カラム領域13と交互に形成されている。
複数の第2カラム領域14は、一方側の一端部、他方側の他端部、ならびに、一端部および他端部の間を帯状に延びる帯部をそれぞれ有している。各第2カラム領域14の一端部は、外側領域6において第3側面5Cに沿う領域に位置している。各第2カラム領域14の他端部は、外側領域6において第4側面5Dに沿う領域に位置している。
【0021】
各第2カラム領域14は、ドリフト領域11よりも浅い。すなわち、各第2カラム領域14は、ドリフト領域11の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。各第2カラム領域14は、ドリフト領域11との間でpn接合部を形成している。これにより、第2カラム領域14をアノードとし、ドリフト領域11をカソードとして有するpn接合ダイオードが形成されている。
【0022】
各第2カラム領域14は、この形態では、カラムトレンチ15およびp型ポリシリコン16を含むトレンチ構造を有している。カラムトレンチ15は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。カラムトレンチ15は、側壁および底壁を含む。カラムトレンチ15の底壁は、ドリフト領域11の底部に対して第1主面3側に位置している。カラムトレンチ15の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていてもよい。カラムトレンチ15の側壁および底壁は、ドリフト領域11を露出させている。
【0023】
p型ポリシリコン16は、カラムトレンチ15内に一体物として埋設されている。p型ポリシリコン16は、カラムトレンチ15から露出するポリシリコン面を有している。ポリシリコン面は、第1主面3に連なっている。ポリシリコン面は、第1主面3に対して面一に形成されていてもよい。ポリシリコン面は、第1主面3との間で1つの研削面を形成していてもよい。
【0024】
各第2カラム領域14(p型ポリシリコン16)のp型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であってもよい。各第2カラム領域14の第2方向Yの幅は、1μm以上10μm以下であってもよい。各第2カラム領域14の第2方向Yの幅は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。各第2カラム領域14の第2方向Yの幅は、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
【0025】
各第2カラム領域14の法線方向Zに沿う厚さ(カラムトレンチ15の深さ)は、ドリフト領域11の厚さ未満である。各第2カラム領域14の厚さは、10μm以上40μm以下であってもよい。各第2カラム領域14の厚さは、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、または、30μm以上40μm以下であってもよい。各第2カラム領域14の厚さは、10μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0026】
半導体装置1は、ドリフト領域11の表層部において外側領域6に形成されたp型のFL(Field Limit)領域21を含む。FL領域21のp型不純物濃度は、1.0×1016cm-3以上1.0×1018cm-3以下であってもよい。FL領域21のp型不純物濃度は、第2カラム領域14のp型不純物濃度を超えていてもよい。
各FL領域21は、第2カラム領域14の厚さ未満の厚さを有している。各FL領域21の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよい。各FL領域21の厚さは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。各FL領域21の厚さは、1μm以上4μm以下であることが好ましい。
【0027】
この形態では、複数のFL領域21を含むFL領域群が外側領域6に形成されている。複数のFL領域21は、外側領域6の帯領域9に形成されている。外側領域6のパッド領域8を通過する1つまたは複数のFL領域21が形成されていてもよい。複数のFL領域21は、セル領域7から離れる方向に間隔を空けて外側領域6に形成されている。FL領域21の個数は、緩和すべき電界に応じて調整される。FL領域21の個数は、1個以上40個以下であってもよい。
【0028】
複数のFL領域21は、外側領域6に沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のFL領域21は、具体的には、平面視において外側領域6に沿って延びる環状(この形態では四角環状)にそれぞれ形成されている。つまり、各FL領域21は、FLR(Field Limit Ring)領域として形成されている。これにより、複数のFL領域21は、平面視においてセル領域7を4方向から区画し、SJ領域12を取り囲んでいる。
【0029】
図3および図4を参照して、複数のFL領域21は、第1方向Xに沿って延びる第1領域22、および、第2方向Yに沿って延びる第2領域23をそれぞれ含む。各第1領域22は、平面視において第2カラム領域14に重なり、第2カラム領域14に沿って延びている。つまり、複数のFL領域21(第1領域22)は、複数の第2カラム領域14と等しいピッチで形成されている。
【0030】
各第2領域23は、平面視において複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14に交差(より具体的に直交)するように延びている。各FL領域21において第2カラム領域14に重なる部分のp型不純物濃度は、各FL領域21において第1カラム領域13に重なる部分のp型不純物濃度を超えている。
図3を参照して、半導体装置1は、外側領域6においてドリフト領域11の表層部に形成されたp型の低抵抗領域31を含む。図3では、低抵抗領域31がドット状のハッチングによって示されている。
【0031】
低抵抗領域31のp型不純物濃度は、第2カラム領域14の不純物濃度を超えている。また、低抵抗領域31のp型不純物濃度は、FL領域21の不純物濃度を超えている。低抵抗領域31のp型不純物濃度は、1×1017cm-3を超えて1×1018cm-3以下であることが好ましい。低抵抗領域31のp型不純物濃度は、4×1017cm-3以上であることが特に好ましい。
【0032】
低抵抗領域31は、第2カラム領域14の厚さ未満の厚さを有している。低抵抗領域31の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよい。低抵抗領域31の厚さは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。低抵抗領域31の厚さは、1μm以上4μm以下であることが好ましい。低抵抗領域31の厚さは、FL領域21の厚さと等しくてもよい。
【0033】
低抵抗領域31は、外側領域6においてFL領域21に取り囲まれた領域内に形成されている。低抵抗領域31は、具体的には、セル領域7およびFL領域21の間の領域に介在されている。低抵抗領域31は、SJ領域12の一部の領域に重なっている。つまり、低抵抗領域31は、複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14に重なっている。
【0034】
低抵抗領域31において第2カラム領域14に重なる部分のp型不純物濃度は、低抵抗領域31において第1カラム領域13に重なる部分のp型不純物濃度を超えている。低抵抗領域31は、このような態様によって外側領域6の抵抗成分を低減させている。低抵抗領域31は、具体的には、FL領域21およびセル領域7の間に形成される電流経路の抵抗成分を低減させている。低抵抗領域31は、さらに具体的には、外側領域6のパッド領域8に形成され、パッド領域8の抵抗成分を低減させている。低抵抗領域31は、この形態では、パッド領域8のほぼ全域に形成されている。
【0035】
低抵抗領域31は、この形態では、パッド領域8から帯領域9に引き出さ、帯領域9の抵抗成分を低減させている。低抵抗領域31は、帯領域9において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を4方向から区画している。低抵抗領域31は、帯領域9において第1~第4側面5A~5Dのうちの少なくとも1つに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を少なくとも1方向から区画していてもよい。
【0036】
低抵抗領域31は、外側領域6からセル領域7内に引き出されている。これにより、低抵抗領域31は、外側領域6内に位置する外周縁部およびセル領域7内に位置する内周縁部を含む。低抵抗領域31の外周縁部は、FL領域21からセル領域7側に間隔を空けて形成されている。低抵抗領域31のパッド領域8側の内周縁部は、セル領域7内の第2カラム領域14に接続されている。低抵抗領域31の帯領域9側の内周縁部は、セル領域7内の第1カラム領域13および第2カラム領域14に接続されている。
【0037】
半導体装置1は、ドリフト領域11の表層部において外側領域6の最外周に形成されたn型のチャネルストップ領域32を含む。チャネルストップ領域32は、FL領域21から間隔を空けて第1~第4側面5A~5DおよびFL領域21の間の領域に形成されている。
チャネルストップ領域32は、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って帯状に延びている。チャネルストップ領域32は、具体的には、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。チャネルストップ領域32は、セル領域7から拡がる空乏層が第1~第4側面5A~5Dに到達することを抑制する。チャネルストップ領域32は、第1~第4側面5A~5Dから露出していてもよい。
【0038】
図8を参照して、半導体装置1は、セル領域7において第1主面3の表層部に形成されたp型のチャネル領域41を含む。チャネル領域41は、ボディ領域とも称される。チャネル領域41は、セル領域7の全域に形成され、セル領域7の本体を形成している。チャネル領域41の周縁は、低抵抗領域31の内周縁部に接続されている。
これにより、チャネル領域41は、平面視においてSJ領域12の一部の領域に重なっている。チャネル領域41は、具体的には、平面視において第1カラム領域13および第2カラム領域14に重なっている。
【0039】
チャネル領域41は、第2カラム領域14のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。チャネル領域41のp型不純物濃度は、低抵抗領域31のp型不純物濃度未満のp型不純物濃度を有している。チャネル領域41のp型不純物濃度は、1.0×1016cm-3以上1.0×1017cm-3以下であってもよい。
半導体装置1は、セル領域7において第1主面3に形成された複数のトレンチゲート構造42を含む。複数のトレンチゲート構造42は、複数の第1カラム領域13内にそれぞれ形成されている。これにより、複数のトレンチゲート構造42は、1つの第2カラム領域14を第2方向Yの両サイドから挟み込む態様で、複数の第1カラム領域13に形成されている。
【0040】
複数のトレンチゲート構造42は、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチゲート構造42は、平面視において第2方向Yに沿って延びるストライプ状に形成されている。各トレンチゲート構造42は、ゲートトレンチ43、ゲート絶縁層44およびゲート電極45を含む。
ゲートトレンチ43は、第1主面3を第2主面4に掘り下げることによって形成されている。ゲートトレンチ43は、チャネル領域41を貫通し、ドリフト領域11に至っている。ゲートトレンチ43は、側壁および底壁を含む。ゲートトレンチ43の側壁は、チャネル領域41およびドリフト領域11を露出させている。ゲートトレンチ43の底壁は、第2カラム領域14の底部(カラムトレンチ15の底壁)に対して第1主面3側に位置し、ドリフト領域11を露出させている。
【0041】
ゲートトレンチ43は、第2カラム領域14の幅(カラムトレンチ15の幅)未満の幅を有している。ゲートトレンチ43の幅は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。ゲートトレンチ43の幅は、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。ゲートトレンチ43の幅は、0.15μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0042】
ゲートトレンチ43は、第2カラム領域14の厚さ(カラムトレンチ15の深さ)未満の深さを有している。ゲートトレンチ43の深さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。ゲートトレンチ43の深さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。ゲートトレンチ43の深さは、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0043】
ゲート絶縁層44は、ゲートトレンチ43の内壁に沿って膜状に形成されている。ゲート絶縁層44は、ゲートトレンチ43内においてリセス空間を区画している。ゲート絶縁層44は、100nm以上200nm以下の厚さを有していてもよい。
ゲート絶縁層44は、SiO層、SiN層、SiON層、AlO層、HfSiO層およびHfSiON層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。ゲート絶縁層44は、SiO層、SiN層、AlO層、SiON層、HfSiO層またはHfSiON層からなる単層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層44は、SiO層、SiN層、AlO層、SiON層、HfSiO層およびHfSiON層のうちの少なくとも2つの層を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層44は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0044】
ゲート電極45は、ゲート絶縁層44を挟んでゲートトレンチ43に埋設されている。ゲート電極45は、具体的には、ゲートトレンチ43内においてゲート絶縁層44によって区画されたリセス空間内に埋設されている。ゲート電極45は、p型ポリシリコンまたはn型ポリシリコンを含む。ゲート電極45は、この形態では、n型ポリシリコンを含む。
【0045】
半導体装置1は、チャネル領域41の表層部に形成されたn型の複数のソース領域46を含む。ソース領域46のn型不純物濃度は、ドリフト領域11のn型不純物濃度を超えている。ソース領域46のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。
複数のソース領域46は、チャネル領域41の表層部において複数のゲートトレンチ43に沿う領域にそれぞれ形成されている。各ソース領域46の底部は、チャネル領域41の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。各ソース領域46は、第2カラム領域14からゲートトレンチ43側に間隔を空けて形成されている。各ソース領域46は、ゲートトレンチ43の側壁を被覆し、ゲート絶縁層44を挟んでゲート電極45に対向している。
【0046】
各ソース領域46は、チャネル領域41内においてドリフト領域11との間でSJ-MISFETのチャネルを画定する。チャネルは、チャネル領域41においてゲート絶縁層44に沿う領域に形成される。このように、セル領域7において互いに隣り合う複数の第2カラム領域14の間の領域には、チャネル領域41、トレンチゲート構造42およびソース領域46を含むFET構造47が形成されている。
【0047】
半導体装置1は、セル領域7において第1主面3の表層部に形成されたp型の複数のコンタクト領域48を含む。コンタクト領域48は、インベース領域とも称される。コンタクト領域48は、第2カラム領域14のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。コンタクト領域48のp型不純物濃度は、チャネル領域41のp型不純物濃度を超えている。コンタクト領域48のp型不純物濃度は、低抵抗領域31のp型不純物濃度を超えている。コンタクト領域48のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0048】
各コンタクト領域48は、第1主面3においてゲートトレンチ43から第2カラム領域14側に間隔を空けてゲートトレンチ43の側方に形成されている。各コンタクト領域48は、具体的には、各第2カラム領域14に重なるように形成され、各第2カラム領域14に沿って延びる帯状に形成されている。
各コンタクト領域48は、各第2カラム領域14よりも幅広に形成されている。各コンタクト領域48は、各第2カラム領域14を被覆する被覆部、および、各第2カラム領域14から露出する露出部を含む。各コンタクト領域48の露出部は、各ソース領域46に接続されている。
【0049】
図8を参照して、半導体装置1は、セル領域7において低抵抗領域31の内周縁部に近接する領域に形成されたダミーFET構造49を含む。ダミーFET構造49は、ソース領域46を含まない点を除いて、FET構造47と同様の構造を有している。ダミーFET構造49は、低抵抗領域31に近接する領域におけるnpn型の寄生バイポーラトランジスタの形成を抑制する。これにより、低抵抗領域31を流れる電流が寄生バイポーラトランジスタによって増幅されることを抑制できる。
【0050】
ダミーFET構造49は、低抵抗領域31の内周縁部によって被覆されていることが好ましい。これにより、低抵抗領域31の内周縁部におけるnpn型の寄生バイポーラトランジスタの形成を適切に抑制できる。むろん、ダミーFET構造49は、低抵抗領域31の内周縁部から間隔を空けて形成されていてもよい。
図5図7を参照して、半導体装置1は、外側領域6において第1主面3を被覆する領域絶縁層51を含む。領域絶縁層51は、外側領域6(パッド領域8および帯領域9)のほぼ全域を被覆し、セル領域7を露出させている。つまり、領域絶縁層51においてパッド領域8を被覆する部分は、平面視において四角形状に形成されている。また、領域絶縁層51において帯領域9を被覆する部分は、第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を4方向から区画している。
【0051】
領域絶縁層51は、外側領域6においてSJ領域12および低抵抗領域31を被覆している。領域絶縁層51は、具体的には、外側領域6において複数の第1カラム領域13、複数の第2カラム領域14、低抵抗領域31および複数のFL領域21を被覆している。領域絶縁層51は、低抵抗領域31の一部(内周縁部)を露出させている。
領域絶縁層51は、SiO層およびSiN層のいずれか一方または双方を含む単層構造または積層構造を有していてもよい。領域絶縁層51は、複数のSiO層を含む積層構造を有していてもよい。領域絶縁層51は、SiO層の一例としてのUSG(Undoped Silicate Glass)層、PSG(Phosphor Silicate Glass)層およびBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0052】
領域絶縁層51は、1μm以上10μm以下の厚さを有していてもよい。領域絶縁層51の厚さは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。領域絶縁層51の厚さは、2μm以上5μm以下であることが好ましい。領域絶縁層51の厚さは、ゲート絶縁層44の厚さを超えていることが好ましい。
【0053】
図5図7を参照して、半導体装置1は、セル領域7において第1主面3を被覆する主面絶縁層52を含む。主面絶縁層52は、ゲートトレンチ43から露出するゲート絶縁層44に連なっている。主面絶縁層52は、セル領域7から外側領域6に引き出され、領域絶縁層51に連なっている。主面絶縁層52は、低抵抗領域31の内周縁部を被覆している。主面絶縁層52は、領域絶縁層51の厚さ未満の厚さを有している。主面絶縁層52は、100nm以上200nm以下の厚さを有していてもよい。
【0054】
図5図7を参照して、半導体装置1は、外側領域6において領域絶縁層51の上に形成されたゲート配線層61を含む。ゲート配線層61は、p型ポリシリコンまたはn型ポリシリコンを含む。ゲート配線層61は、この形態では、n型ポリシリコンを含む。ゲート配線層61は、領域絶縁層51の上に選択的に引き回され、ゲート信号をゲート電極45に伝達する。
【0055】
ゲート配線層61は、平面視においてFL領域21からセル領域7側に間隔を空けて形成されている。つまり、ゲート配線層61は、領域絶縁層51を挟んでFL領域21とは対向していない。ゲート配線層61は、領域絶縁層51を挟んで低抵抗領域31に対向している。ゲート配線層61の全域が、領域絶縁層51を挟んで低抵抗領域31に対向していてもよい。
【0056】
ゲート配線層61は、領域絶縁層51の上から主面絶縁層52の上に引き出されている。これにより、ゲート配線層61は、主面絶縁層52を挟んで複数の第1カラム領域13、複数の第2カラム領域14および低抵抗領域31に対向している。
ゲート配線層61は、具体的には、パッド配線部62および帯配線部63を含む。パッド配線部62は、領域絶縁層51(主面絶縁層52)においてパッド領域8を被覆する部分の上に形成されている。パッド配線部62は、領域絶縁層51(主面絶縁層52)を挟んで複数の第1カラム領域13、複数の第2カラム領域14および低抵抗領域31に対向している。
【0057】
帯配線部63は、パッド配線部62から領域絶縁層51(主面絶縁層52)において帯領域9を被覆する部分の上に引き出されている。帯配線部63は、この形態では、第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を4方向から区画している。帯配線部63は、第1~第4側面5A~5Dのうちの少なくとも2つに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を少なくとも2方向から区画していてもよい。
【0058】
帯配線部63は、パッド配線部62の幅未満の幅を有していてもよい。帯配線部63は、領域絶縁層51(主面絶縁層52)を挟んで複数の第1カラム領域13、複数の第2カラム領域14および低抵抗領域31に対向している。
帯配線部63において第3側面5C(第4側面5D)に沿って延びる部分は、平面視において複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14に交差(より具体的に直交)している。帯配線部63において第3側面5C(第4側面5D)に沿って延びる部分は、主面絶縁層52の上からトレンチゲート構造42に向けて引き出された引き出し部64を含む(図6参照)。ゲート配線層61の引き出し部64は、ゲート電極45に接続されている。
【0059】
図5図7を参照して、半導体装置1は、外側領域6において領域絶縁層51の上に形成された等電位配線層65を含む。等電位配線層65は、p型ポリシリコンまたはn型ポリシリコンを含む。等電位配線層65は、この形態では、n型ポリシリコンを含む。等電位配線層65は、ゲート配線層61から第1~第4側面5A~5D側に間隔を空けて形成されている。等電位配線層65は、この形態では、領域絶縁層51の外周縁部の上に形成されている。
【0060】
等電位配線層65は、第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成されている。等電位配線層65は、具体的には、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。等電位配線層65は、平面視において低抵抗領域31から第1~第4側面5A~5D側に間隔を空けて形成されている。等電位配線層65は、領域絶縁層51を挟んでSJ領域12に対向している。等電位配線層65は、領域絶縁層51を挟んで1つまたは複数のFL領域21に対向していてもよい。
【0061】
図5図9を参照して、半導体装置1は、第1主面3の上に形成された中間絶縁層66を含む。中間絶縁層66は、外側領域6において領域絶縁層51を被覆し、セル領域7において主面絶縁層52を被覆している。中間絶縁層66は、外側領域6においてゲート配線層61および等電位配線層65を被覆している。
中間絶縁層66は、SiO層およびSiN層のいずれか一方または双方を含む単層構造または積層構造を有していてもよい。中間絶縁層66は、複数のSiO層を含む積層構造を有していてもよい。中間絶縁層66は、SiO層の一例としてのUSG層、PSG層およびBPSG層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。中間絶縁層66は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0062】
中間絶縁層66は、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。中間絶縁層66の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。中間絶縁層66の厚さは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。中間絶縁層66の厚さは、主面絶縁層52の厚さを超えていることが好ましい。中間絶縁層66の厚さは、領域絶縁層51の厚さ未満であってもよい。
【0063】
中間絶縁層66は、第1開口71、第2開口72、第3開口73、第4開口74および第5開口75を含む。第1開口71、第2開口72、第3開口73、第4開口74および第5開口75の個数や形状は任意である。
第1開口71は、ゲート配線層61を露出させている。第2開口72は、低抵抗領域31の内周縁部を露出させている。第2開口72は、より具体的は、低抵抗領域31の内周縁部、第2カラム領域14およびコンタクト領域48を露出させている。第2開口72は、この形態では、チャネル領域41も露出させている。
【0064】
第3開口73は、セル領域7に複数形成されている。各第3開口73は、セル領域7において対応する第2カラム領域14、ソース領域46およびコンタクト領域48を露出させている。第4開口74は、チャネルストップ領域32を露出させている。第4開口74は、この形態では、第1~第4側面5A~5Dに連通している。第5開口75は、等電位配線層65を露出させている。
【0065】
半導体装置1は、外側領域6において中間絶縁層66の上に形成されたゲートパッド電極81(第1パッド電極)およびゲートフィンガー電極82を含む。ゲートパッド電極81は、導線(たとえばボンディングワイヤ)が接続される外部端子として機能する。
ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66においてパッド領域8を被覆する部分の上に形成されている。ゲートパッド電極81は、平面視においてパッド領域8の全域を被覆している。パッド領域8は、この形態では、外側領域6においてゲートパッド電極81に対向する領域によって画定されている。ゲートパッド電極81は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0066】
ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66を挟んでSJ領域12の一部に対向している。つまり、ゲートパッド電極81は、複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14に対向している。また、ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66を挟んで低抵抗領域31に対向している。ゲートパッド電極81は、平面視においてチャネルストップ領域32からセル領域7側に間隔を空けて形成されている。ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66を挟んで1つまたは複数のFL領域21に対向していてもよい。
【0067】
ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66の上から第1開口71に入り込んでいる。ゲートパッド電極81は、第1開口71内においてゲート配線層61に電気的に接続されている。
ゲートフィンガー電極82は、ゲートパッド電極81から中間絶縁層66において帯領域9を被覆する部分の上に引き出されている。ゲートフィンガー電極82は、帯領域9に沿って帯状に延びている。ゲートフィンガー電極82は、この形態では、第1~側面5A~5Dに沿って延び、半導体層2の内方(セル領域7)を4方向から区画している。
【0068】
つまり、ゲートパッド電極81は、平面視において外側領域6に沿って延びる環状(具体的には、四角環状)に形成されている。ゲートフィンガー電極82は、第1~第4側面5A~5Dのうちの少なくとも1つに沿って延びる帯状に形成され、セル領域7を少なくとも1方向から区画していてもよい。
ゲートフィンガー電極82は、中間絶縁層66を挟んでSJ領域12の一部に対向している。つまり、ゲートフィンガー電極82は、複数の第1カラム領域13および複数の第2カラム領域14に対向している。また、ゲートフィンガー電極82は、中間絶縁層66を挟んで低抵抗領域31に対向している。ゲートフィンガー電極82は、平面視においてチャネルストップ領域32からセル領域7側に間隔を空けて形成されている。ゲートパッド電極81は、中間絶縁層66を挟んで1つまたは複数のFL領域21に対向していてもよい。
【0069】
ゲートフィンガー電極82は、中間絶縁層66の上から第1開口71に入り込んでいる。ゲートフィンガー電極82は、第1開口71内においてゲート配線層61に電気的に接続されている。ゲートパッド電極81に印加されたゲート信号は、ゲート配線層61に直接伝達されると同時に、ゲートフィンガー電極82を介してゲート配線層61に伝達される。これにより、ゲート信号がゲート配線層61を介してゲート電極45に伝達され、SJ-MISFETのチャネルがオンオフ制御される。
【0070】
半導体装置1は、セル領域7において第1主面3の上に形成されたソースパッド電極83(第2パッド電極)を含む。ソースパッド電極83は、導線(たとえばボンディングワイヤ)が接続される外部端子として機能する。ソースパッド電極83は、ゲートパッド電極81およびゲートフィンガー電極82から間隔を空けて中間絶縁層66の上に形成されている。
【0071】
ソースパッド電極83は、中間絶縁層66の上においてゲートパッド電極81およびゲートフィンガー電極82によって区画された領域を被覆している。ソースパッド電極83は、この形態では、セル領域7の平面形状に整合する平面形状を有している。つまり、ソースパッド電極83は、第1側面5A側の辺の一部が第2側面5Bに向けて窪んだ形状に形成されている。
【0072】
ソースパッド電極83は、セル領域7から外側領域6に引き出された引き出し部84を含む。ソースパッド電極83の引き出し部84は、中間絶縁層66を挟んで領域絶縁層51を被覆している。また、ソースパッド電極83の引き出し部84は、中間絶縁層66を挟んでゲート配線層61に対向している。
ソースパッド電極83は、中間絶縁層66の上から第2開口72に入り込んでいる。ソースパッド電極83は、第2開口72内において低抵抗領域31に電気的に接続されている。ソースパッド電極83は、この形態では、第2開口72内において第2カラム領域14、低抵抗領域31、チャネル領域41およびコンタクト領域48に電気的に接続されている。つまり、低抵抗領域31は、ソース接地されており、第2カラム領域14等と同電位に固定されている。
【0073】
また、ソースパッド電極83は、中間絶縁層66の上から第3開口73に入り込んでいる。ソースパッド電極83は、第3開口73内においてチャネル領域41、ソース領域46およびコンタクト領域48に電気的に接続されている。ソースパッド電極83に印加されたソース信号(たとえば基準電圧)は、第2カラム領域14、低抵抗領域31、チャネル領域41、ソース領域46およびコンタクト領域48に伝達される。
【0074】
半導体装置1は、外側領域6において第1主面3の上に形成された等電位電極85を含む。等電位電極85は、ゲートパッド電極81から第1~第4側面5A~5D側に間隔を空けて中間絶縁層66の上に形成されている。
等電位電極85は、具体的には、平面視において低抵抗領域31から第1~第4側面5A~5D側に間隔を空けて形成されている。等電位電極85は、第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる帯状に形成されている。等電位電極85は、具体的には、平面視において第1~第4側面5A~5Dに沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0075】
等電位電極85は、中間絶縁層66の上から第4開口74および第5開口75に入り込んでいる。等電位電極85は、第4開口74内においてチャネルストップ領域32に電気的に接続されている。等電位電極85は、第5開口75内において等電位配線層65に電気的に接続されている。
ゲートパッド電極81、ゲートフィンガー電極82、ソースパッド電極83および等電位電極85は、第1主面3側からこの順に積層されたバリア電極層96および本体電極層97を含む積層構造をそれぞれ有している。バリア電極層96は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1を含むことが好ましい。本体電極層97は、バリア電極層96の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体電極層97は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。本体電極層97の厚さは、バリア電極層96の厚さを超えている。
【0076】
図5を参照して、半導体装置1は、領域絶縁層51およびゲートパッド電極81の間の領域に介在され、ゲートパッド電極81の一部を第1主面3から引き離す離間絶縁層91を含む。離間絶縁層91は、ゲートパッド電極81および半導体層2の間に形成される容量成分を低減し、外側領域6の電界を緩和する。
離間絶縁層91は、具体的には、ゲートパッド電極81および低抵抗領域31の間の容量成分を低減する。また、離間絶縁層91は、ゲートパッド電極81およびFL領域21の間の容量成分を低減する。これにより、低抵抗領域31やFL領域21を流れる電流に起因する不所望な電界集中を抑制できるから、耐圧を向上できる。
【0077】
離間絶縁層91は、この形態では、中間絶縁層66およびゲートパッド電極81の間に介在されている。ゲートパッド電極81のうち離間絶縁層91の上に位置する部分は、ゲートパッド電極81のうち中間絶縁層66の上に位置する部分よりも上方に位置している。この形態では、ゲートパッド電極81のうち離間絶縁層91に接する部分が、ゲートパッド電極81のうち中間絶縁層66に接する部分よりも上方に位置している。
【0078】
図6および図7を参照して、離間絶縁層91は、この形態では、領域絶縁層51およびゲートフィンガー電極82の間の領域にも介在されている。これにより、ゲートフィンガー電極82の一部は、離間絶縁層91によって第1主面3から引き離されている。離間絶縁層91は、ゲートフィンガー電極82および半導体層2の間に形成される容量成分を低減し、外側領域6の電界を緩和している。
【0079】
図5図7を参照して、半導体装置1は、半導体層2の第2主面4の上に形成されたドレインパッド電極92を含む。ドレインパッド電極92は、ドレイン領域10との間でオーミック接触を形成している。ドレインパッド電極92は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
ドレインパッド電極92は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2種を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。ドレインパッド電極92は、オーミック電極としてのTi層を含むことが好ましい。ドレインパッド電極92は、第2主面4側からこの順に積層されたTi層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層を含む積層構造を有していてもよい。
【0080】
図9は、図8に対応する図であって、比較例に係る半導体装置101を電気的構造と共に示す要部拡大図である。図9において図8に示された構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9を参照して、比較例に係る半導体装置101は、低抵抗領域31に代えて高抵抗領域102を有している。高抵抗領域102は、第2カラム領域14のp型不純物濃度以下のp型不純物濃度を有している。また、高抵抗領域102は、FL領域21のp型不純物濃度以下のp型不純物濃度を有している。
【0081】
SJ-MISFETの逆回復動作時では、ソースパッド電極83およびドレインパッド電極92の間に逆バイアス電圧VRが印加され、ドレインパッド電極92からソースパッド電極83に逆回復電流IRが流れる。逆回復電流IRは、複数の第2カラム領域14を介してソースパッド電極83に流れ込む第1逆回復電流IR1、および、低抵抗領域31を介してソースパッド電極83側に流れ込む第2逆回復電流IR2を含む。
【0082】
第2逆回復電流IR2は、高抵抗領域102がゲートパッド電極81(領域絶縁層51)によって遮蔽されているという構造上、ソースパッド電極83に排出されるまでに比較的長い電流経路を有する高抵抗領域102を通過せざるを得ない。
その結果、第2逆回復電流IR2に起因する高抵抗領域102の局所的な温度上昇によって、半導体層2の破壊耐量であるdi/dt耐量が低下する。高抵抗領域102の局所的な温度上昇は、ソースパッド電極83の周縁部において第1逆回復電流IR1および第2逆回復電流IR2に起因して発生する傾向がある。
【0083】
そこで、半導体装置1では、半導体層2においてゲートパッド電極81(領域絶縁層51)の直下の領域を低抵抗領域31によって低抵抗化している。低抵抗領域31は、第2カラム領域14のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。また、低抵抗領域31は、FL領域21のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。また、低抵抗領域31は、ソースパッド電極83に電気的に接続されている。
【0084】
これにより、低抵抗領域31を介してソースパッド電極83に逆回復電流IRを流し込むことができるから、半導体層2におけるゲートパッド電極81(領域絶縁層51)の直下の領域の温度上昇を抑制できる。また、ソースパッド電極83の周縁部での局所的な温度上昇を抑制できる。よって、di/dt耐量(逆回復電流IRに起因する破壊耐量)の低下を抑制できる半導体装置1を提供できる。
【0085】
また、低抵抗領域31は、第2カラム領域14に接続された内周縁部を有している。また、ソースパッド電極83は、低抵抗領域31の内周縁部および第2カラム領域14に電気的に接続されている。これにより、逆回復電流IRの排出路における抵抗成分を適切に抑制できるから、局所的な温度上昇を適切に抑制できる。
また、半導体装置1は、離間絶縁層91を含む。離間絶縁層91は、領域絶縁層51およびゲートパッド電極81の間の領域に介在され、ゲートパッド電極81の一部を第1主面3から引き離す。離間絶縁層91によれば、ゲートパッド電極81および半導体層2の間に形成される容量成分を低減し、外側領域6の電界を緩和できる。これにより、外側領域6を流れる電流に起因する不所望な電界集中を抑制できるから、耐圧を向上できる。
【0086】
低抵抗領域31のイオン注入量およびdi/dt耐量の関係を測定した結果を図10に示す。図10は、di/dt耐量およびイオン注入量の関係を示すグラフである。図10において縦軸は逆回復動作時におけるdi/dt耐量[A/μs]を示し、横軸は低抵抗領域31のイオン注入量[cm-2]を示している。
図10を参照して、低抵抗領域31のイオン注入量を1×1014cm-2から2×1015cm-2まで増加させると、di/dt耐量が200A/μsから900A/μsまで向上した。5×1014cm-2以上のイオン注入量でdi/dt耐量が飽和したのは、測定限界のためである。
【0087】
低抵抗領域31は、1×1014cm-2を超えて2×1015cm-2以下のイオン注入量を有していることが好ましい。このイオン注入量を低抵抗領域31のp型不純物濃度に変換すると、2×1016cm-3を超えて1×1018cm-3以下である。低抵抗領域31は、3×1014cm-2以上2×1015cm-2以下のイオン注入量を有していることが特に好ましい。このイオン注入量を低抵抗領域31のp型不純物濃度に変換すると、2×1017cm-3以上2×1018cm-3以下である。このp型不純物濃度を有する低抵抗領域31によれば、比較的高いdi/dt耐量を実現できる。
【0088】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。
前述の実施形態では、カラムトレンチ15およびp型ポリシリコン16を含むトレンチ構造を有する第2カラム領域14が形成された例について説明した。しかし、第2カラム領域14は、イオン注入法によってカラム状に形成されていてもよい。また、第2カラム領域14は、イオン注入法およびエピタキシャル成長法を交互に繰り返すマルチエピタキシャル成長法によってカラム状に形成されていてもよい。
【0089】
前述の実施形態では、セル領域7にトレンチゲート構造42が形成された例について説明した。しかし、トレンチゲート構造42に代えてプレーナゲート構造が形成されてもよい。この場合、第1主面3を被覆するゲート絶縁層44、および、ゲート絶縁層44を挟んでチャネル領域41およびソース領域46に対向するゲート電極45が、第1カラム領域13の上に形成される。
【0090】
前述の実施形態では、パッド領域8のほぼ全域に低抵抗領域31が形成された例について説明した。しかし、低抵抗領域31は、パッド領域8の一部の領域(低抵抗化すべき領域)に形成されていてもよい。パッド領域8の一部の領域は、たとえば、低抵抗領域31が存在しない場合に、パッド領域8において温度上昇が顕著にみられる領域であってもよい。また、低抵抗領域31は、パッド領域8の周縁に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【0091】
また、前述の実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0092】
1 半導体装置
2 半導体層
3 第1主面
11 ドリフト領域
12 SJ領域
13 第1カラム領域
14 第2カラム領域
21 FL領域
31 低抵抗領域
41 チャネル領域
44 ゲート絶縁層
45 ゲート電極
47 FET構造
51 領域絶縁層
81 ゲートパッド電極
83 ソースパッド電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10