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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240124BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240124BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/63
A61K8/37
A61K8/891
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/46
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022511978
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021011904
(87)【国際公開番号】W WO2021200377
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020065241
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】竹下 志緒
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-019077(JP,A)
【文献】特開2019-210216(JP,A)
【文献】特開2016-160209(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003440(WO,A1)
【文献】特開2002-047129(JP,A)
【文献】特開2018-154603(JP,A)
【文献】特開2003-286126(JP,A)
【文献】特開2012-087084(JP,A)
【文献】Day Care Revolution C SPF30 PA+++,MintelGNPD,2017年03月,ID:4663247
【文献】Night Cream,MintelGNPD,2020年01月,ID:7199719
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D):
(A)アニオン性界面活性剤 0.3~5質量%
(B)自重に対する抱水力が140%以上である油剤
(C)フェニル変性シリコーン 2~9.5質量%
(D)炭素数12~22の高級アルコール 0.1質量%以上10質量%未満
を含有し、
前記成分(A)が、脂肪酸塩、N-アシルメチルタウリン又はその塩、N-アシルアミノ酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上を含有するものである、
水中油型乳化化粧料(ただし、ゴマ抽出物、ダイズ抽出物及びエンメイソウ抽出物、ナイアシンアミド、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、メチルフェニルポリシロキサン、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、セトステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコ-ルが配合された水中油乳化型クリームを除く。)
【請求項2】
(前記成分(C)/〔前記成分(A)+前記成分(D)〕)の含有質量割合が、0.4~2.5である、請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)が、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルから選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
前記成分(C)が、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1~3のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)が、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1~4のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
さらに成分(E)として、L-アスコルビン酸2-グルコシド、ナイアシンアミド、トラネキサム酸類から選ばれる1種又は2種以上を含有し、
前記トラネキサム酸類が、トラネキサム酸、トラネキサム酸の二量体、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体、トラネキサム酸のアミド体、トラネキサム酸のアルキルエステル、及びこれらの塩から選択される1種又は2種以上である、請求項1~5のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
即時的に肌を明るく演出させるために使用する、請求項1~6のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、女性がスキンケア化粧料を使用する目的は多様化しており、保湿を目的とした化粧料はもちろんのこと、美白、ブライトニング、しみ・しわの低減、ハリ感を与えるなどの効果を目的とした化粧料が広く受け入れられている。中でも、美白、ブライトニングは年代問わず求められる効果であり、各種の美白有効成分を配合した商品が多く提案されている。本来、有効成分による美白効果は、美白有効成分を配合した化粧料の長期連用により徐々に現れるものであり、化粧料を塗布した直後に、即時的な美白効果を感じることは困難である。
【0003】
そこで、即時的な美白効果感に代えて、即時的に肌を明るくみせる効果を演出するために、酸化チタンや酸化亜鉛などの白色顔料又は粉体により、化粧膜に白さや明るさを付与するという手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-526781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化化粧料を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ところで、スキンケア化粧料として、バニシングクリームと呼ばれるものが、古くより知られており、バニシングクリームとは、名称のとおり「vanish(消える)」のようにみえる水中油型乳化物であり、肌に塗布すると、初めは白くなり適度な摩擦抵抗感を与えるが、消えるように浸透し、さっぱりとしたマットな仕上がりを特徴とするものである(例えば、特許文献1参照)。バニシングクリームの多くは、高級脂肪酸や高級アルコールを含有するが、それら固形の界面活性(助)剤を多く配合すると、乳化滴の界面が固くなり乳化物の安定性は向上するものの、バニッシュしなくなる(消えなくなる)ので、白残りになり、肌のツヤ感又は浸透感が失われて硬い膜感が残るという傾向にあった。
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バニシングクリームの塗布時の白残りに着目し、さらに鋭意研究を重ねた結果、アニオン性界面活性剤、炭素数12~22の高級アルコール、自重に対する抱水力が140%以上である油剤、及びフェニル変性シリコーンの4成分を少なくとも組み合わせて配合してなる水中油型乳化化粧料にすることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。さらに、本発明者は、本発明の水中油型乳化化粧料に白色顔料を含ませなくとも、即時的に肌を明るくみせる効果を演出することもできることも見出した。さらに、本発明者は、より好適な態様として、即時的に肌を明るくみせる効果を演出し、かつ柔らかな化粧膜でツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化化粧料も提供することができることも見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)~(D):
(A)アニオン性界面活性剤
(B)自重に対する抱水力が140%以上である油剤
(C)フェニル変性シリコーン
(D)炭素数12~22の高級アルコール
を含有する水中油型乳化化粧料に関するものである。
【0009】
前記成分(A)が、脂肪酸塩、N-アシルメチルタウリン又はその塩、N-アシルアミノ酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上を含有するものであってもよい。
前記成分(B)が、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルから選ばれる1種又は2種以上を含有するものであってもよい。
前記成分(C)が、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含有するものであってもよい。
前記成分(D)が、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有するものであってもよい。
さらに成分(E)として、L-アスコルビン酸2-グルコシド、ナイアシンアミド、トラネキサム酸類から選ばれる1種又は2種以上を含有するものであってもよい。
前記成分(D)の含有量が、10質量%未満であるものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中油型乳化化粧料は、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化化粧料を提供することができる。なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について詳細に説明するが、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、各数値範囲(~)の上限値(以下)と下限値(以上)は、所望により、任意に組み合わせることができる。
【0012】
<1.本発明の水中油型乳化化粧料>
本発明は、次の成分(A)~(D):
(A)アニオン性界面活性剤
(B)自重に対する抱水力が140%以上である抱水性油剤
(C)フェニル変性シリコーン
(D)炭素数12~22の高級アルコール
を含有する、又は配合してなる、水中油型乳化化粧料を提供することができる。前記(A)~(D)に、さらに成分(E)ブライトニング成分を配合してなる組成物を提供することもできる。
【0013】
<1-1.成分(A)アニオン性界面活性剤>
本発明に用いられる成分(A)アニオン性界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、当該成分(A)アニオン性界面活性剤として、公知の製造方法にて得られたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0014】
前記成分(A)アニオン性界面活性剤として、例えば、セッケン用素地、ステアリン酸塩(例えばNa)、ラウリン酸塩(例えばNa)、パルミチン酸塩(例えばNa)等の脂肪酸塩(好適には高級脂肪酸塩);ラウリル硫酸Na、ラウリル硫酸K等の高級アルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸Na等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンNa等のN-アシルサルコシン酸;N-ミリストイル-N-メチルタウリンNa、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンNa、ステアロイルメチルタウリンNa等のN-アシルメチルタウリン又はその塩等の高級脂肪酸アミドスルホン酸又はその塩;POEオレイルエーテルリン酸Na、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸Na、ラウロイルエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸Na、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸Na等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸Na、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸Na等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸等のアシルグルタミン酸又はその塩等のアシルアミノ酸(N-アシルアミノ酸ともいう)又はその塩(例えばNa);α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸Na、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0015】
前記成分(A)における「高級脂肪酸」又は「アルキル」の炭素数は、特に限定されないが、その好適な下限値として好ましくは炭素数10以上、より好ましくは炭素数12以上であり、また、その好適な上限値として好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数22以下であり、また、より好ましくは炭素数12~24、さらに好ましくは炭素数12~22である。当該「高級脂肪酸」又は「アルキル」は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましく、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれでもよいが、飽和脂肪酸が好ましい。
【0016】
前記N-アシルメチルタウリンとして、特に限定されないが、好ましくはヤシ油脂肪酸メチルタウリン、N-カプロイルメチルタウリン、N-ラウロイルメチルタウリン、N-ミリストイルメチルタウリン、N-パルミトイルメチルタウリン、N-ステアロイルメチルタウリン、及びN-オレオイルメチルタウリン等から選ばれる1種又は2種以上であり、このうちN-ステアロイルメチルタウリンがより好ましい。
【0017】
前記N-アシルアミノ酸の「アシル」は、特に限定されないが、前記「脂肪酸塩」の「脂肪酸」又はそれらの混合脂肪酸を由来としたものが好ましく、直鎖脂肪酸又は直鎖脂肪酸の混合脂肪酸を由来としたものがより好ましく、その炭素数は、好ましくは炭素数12~24、より好ましくは炭素数12~22である。
【0018】
前記N-アシルアミノ酸におけるアシル基としては、炭素数8~24(好適には炭素数12~22)の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アシル基等が挙げられる。アシル基として、より具体的には、例えば、オカプリロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、及びココイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基(ヤシ油脂肪酸由来のアシル基)、パーム脂肪酸アシル基(パーム油脂肪酸由来のアシル基)等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上が好ましく、このうち、ステアロイル基がより好ましい。
また、前記アシルアミノ酸の「アミノ酸」部分としては、特に限定されないが、グルタミン酸、アスパラギン酸等から選択される1種又は2種以上が好ましく、このうちグルタミン酸が好ましい。また、当該アミノ酸は、L体であるのが好ましい。
【0019】
前記N-アシルアミノ酸のうち、N-アシルグルタミン酸又はその塩が、より好ましく、このうち、さらにN-ステアロイル-L-グルタミン酸がより好ましい。
なお、N-アシルアミノ酸は、公知の製造方法にて得ることができ、例えば、高級脂肪酸の塩化物とアミノ酸(好適にはグルタミン酸)とを縮合して得られるものである。
【0020】
ここで、本発明に用いられる「塩」としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等の無機塩でも、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等アミン塩等の有機塩であってもよく、例示に限定されることなく置換可能である。
また、脂肪酸塩又はN-アシルアミノ酸塩等は、予め中和したものを用いてもよいが、脂肪酸又はN-アシルアミノ酸等と、アルカリ剤とを別々に配合成分として用いて配合してなるものであってもよい。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該アルカリ剤は、無機塩又は有機塩を含む化合物であってもよく、当該化合物として水酸化物等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
成分(A)のこれらのなかでも、本発明においては、塗布時の白残りの持続性や化粧膜の柔らかさに優れる観点から、脂肪酸塩、N-アシルタウリン又はその塩、N-アシルアミノ酸又はその塩等から選択される1種又は2種以上が好ましく、さらに脂肪酸塩がより好ましく、前記成分(A)は、これらからの1種又は2種以上を含むことが好ましく、また、少なくとも脂肪酸塩を含むことがより好ましい。
【0022】
より具体的には、塗布時の白残り、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感の観点から、成分(A)は、ステアリン酸塩、N-ステアロイルメチルタウリン又はその塩、N-ステアロイルグルタミン酸又はその塩から選択される1種又は2種以上がより好ましく、このうち、さらにステアリン酸塩がより好ましい。
【0023】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、当該成分(A)の含有量の好適な下限値としては、塗布時の白残りをより良好に持続し、乳化安定性もより良好となることから、水中油型乳化化粧料中、0.3質量%(以下、単に「%」と略す)以上であることが好ましく、0.5%以上がより好ましく、1.0%以上がさらに好ましい。また、化粧膜の柔らかさがより良好であり、肌のツヤ感も良好であることから、成分(A)の含有量の好適な上限値としては、水中油型乳化化粧料中、5%以下であることが好ましく、3.8%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましく、さらに2.5%以下がより好ましく、2.2%以下がより好ましい。当該成分(A)の好適な数値範囲として、水中油型乳化化粧料中、好ましくは0.3~5%であり、より好ましくは0.5~3%である。
なお、成分(A)の含有量は、成分(A)がナトリウム塩の化合物であると仮定したときの質量(ナトリウム塩換算)にて算出するものであり、例えば脂肪酸もしくは脂肪酸塩の含有量又は含有質量割合などは、脂肪酸Naの質量(ナトリウム塩換算)として、算出することができる。
【0024】
本発明における成分(A)における脂肪酸塩、N-アシルメチルタウリン又はその塩、N-アシルアミノ酸又はその塩から選択される1種又は2種以上の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは5%以下、より好ましくは3.8%以下、さらに好ましくは3.5%以下、さらにより好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.2%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0025】
本発明における成分(A)における高級脂肪酸塩(好適にはステアリン酸塩)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは5%以下、より好ましくは3.8%以下、さらに好ましくは3.5%以下、さらにより好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.2%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0026】
<1-2.成分(B)自重に対する抱水力が所定以上である油剤>
本発明に用いられる成分(B)は、自重と等量以上の水を抱水できる油剤(以下、「抱水性油剤」ともいう)であって、即時的な白残りのより良好な持続性とより良好な肌のツヤ感の観点から、さらに自重に対する抱水力が所定以上有する油剤である。
【0027】
本明細書における「自重に対する抱水力」とは、油剤の自重の等量以上の水分(質量)を、油剤が抱水する力のことである。「油剤の自重に対する抱水力(%)」は、下記の試験方法において〔水が試料から排液してくるまでの水の添加量(質量)/油剤の自重(当初試料の質量)〕×100%にて算出することができる。例えば、油剤1gに、水を添加し抱えられた水の量が1.4gである場合、自重に対する抱水力は140%(以降、該単位(%)を省略することもある)となる。
【0028】
本発明において、成分(B)抱水性油剤における「自重に対する抱水力」の値(%)は、以下の試験方法により求めることができる。例えば「自重に対する抱水力が140%以上である抱水性油剤」とは、以下の試験方法にて、「抱水力」の値が140以上となるものである。
【0029】
<試験方法(抱水性油剤の抱水力の測定方法)>
試験方法:本発明の50℃において自重の等量以上の水分(質量)を抱水するか否かの抱水力試験方法としては、開始時の油剤(当初試料)20gを200mLビーカーに秤取り、50℃に加熱しデスパーミキサーにて3000rpmで撹拌しながら50℃の水を徐々に添加し、水が試料から排液してくるまで水を添加し、水が排液しない最大の水の質量(水の添加量)を測定し、この数値を油剤(当初試料)の質量(20g)で除し、100倍した値を「抱水力(%)」として算出した。
【0030】
上記試験方法について、より具体的には、添加している水が、撹拌されている油剤の上で、コロコロと弾かれているように目視観察されたときを、「水が排液されない」から「水が排液される」に変わった時点と、判断することができ、この変わった時点で水の添加を終了する。終了後、最大抱水させた油剤(最大抱水の試料)の上部に浮いている排液(水)を捨てる。排液(水)を捨てたビーカー内の最大抱水させた油剤(最大抱水の試料)の質量を測定し、この質量を「水が排液しない最大の水の質量」とすることができる。なお、この観察は、目視に限らず、画像センサを用いて行ってもよい。
【0031】
成分(B)抱水性油剤として、自重に対する抱水力が所定以上の抱水性油剤が好ましく、当該抱水力として、好適な下限値として、好ましくは125%以上、より好ましくは130%以上、さらにより好ましくは140%以上であり、成分(B)の抱水性油剤が所定以上の抱水力を有することで、水中油型乳化化粧料の塗布時の白残り感(持続性)を増し、塗布後の肌のツヤ感を向上させることができる。さらに、当該自重に対する抱水力の好適な上限値として、特に限定されないが、例えば、600%以下などが挙げられ、好ましくは510%以下、より好ましくは350%以下、さらに好ましくは220%以下或いは210%以下又は170%以下である。当該自重に対する抱水力のより好適な数値範囲は、塗布時の白残りの持続性、肌のツヤ感向上、化粧膜の柔らかさの観点から、より好ましくは140~510%、さらに好ましくは140~350%、さらにより好ましくは140~220%、より好ましくは140~170%である。
【0032】
このような成分(B)自重に対する抱水力が所定以上の抱水性油剤は、一般の化粧料などに使用できるものであればいずれのものも使用でき、植物油、動物油、また、脂肪酸エステル化合物(例えば、脂肪酸と、高級アルコール、ステロール、糖、多価アルコール、アミノ酸、ヒマシ油等から選択される1種又は2種以上のヒドロキシル基を有する成分とのエステル化合物)などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0033】
前記成分(B)自重に対する抱水力が所定以上である抱水性油剤として、具体的には、例えば、ヒマシ油、シア脂、牛脂、N-アシルアミノ酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ダイマー酸エステル、及びジペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。これらから選択される1種又は2種以上を適宜使用することができる。
【0034】
前記成分(B)自重に対する抱水力が所定以上である抱水性油剤として、さらに具体的には、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)等のN-アシルアミノ酸エステル;ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、(アジピン酸/2-エチルヘキサン酸/ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油等のグリセリン脂肪酸エステル;ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル等のダイマー酸エステル;(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(12-ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル;イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル等の脂肪酸コレステリルエステル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等の脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール脂肪酸エステル;などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0035】
前記成分(B)のうち、塗布時の白残りの持続性、肌のツヤ感向上、化粧膜の柔らかさの観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、脂肪酸コレステリルエステル、及び脂肪酸フィトステリルエステル等から選択される1種又は2種以上が好ましく、前記成分(B)はこれらからの1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0036】
成分(B)のこれらのなかでも、本発明においては、塗布時の白残りと塗布後の肌のツヤ感に優れる観点から、オレイン酸フィトステリル(抱水力:144)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル(抱水力:202)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)(抱水力:501)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(抱水力:336)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(抱水力:169)がより好ましく、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0037】
前記成分(B)のこれらのうち、本発明においては、塗布時の白残りの持続性、塗布後の肌のツヤ感及び化粧膜の柔らかさの観点から、オレイン酸フィトステリル及び/又はマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルが好ましく、前記成分(B)は、オレイン酸フィトステリル及び/又はマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルを含むことが好ましく、より好ましくはオレイン酸フィトステリルを少なくとも含むことである。
【0038】
このような成分(B)の市販品としては、オレイン酸フィトステリルの場合には例えばライステロールエステル(築野ライスファインケミカルズ社製)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルの場合には例えばPLANDOOR MAS(日本精化社製)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の場合には例えばエルデュウ PS-203(味の素社製)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルの場合には例えばコスモール 168ARN(日清オイリオグループ社製)、ヒドロキシステアリン酸コレステリルの場合には例えばサラコスHS(日清オイリオグループ社製)等がある。
【0039】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、当該成分(B)の含有量の好適な下限値としては、塗布時の白残りを持続する観点から、水中油型乳化化粧料中、0.2%以上であることが好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.4%以上がさらに好ましく、さらに0.5%以上がより好ましく、0.6%以上がより好ましい。また、当該成分(B)の含有量の好適な上限値としては、化粧膜の柔らかさの観点から、水中油型乳化化粧料中、5.5%以下であることが好ましく、4.5%以下がより好ましく、さらに3.5%以下がより好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.5%以下がより好ましい。当該成分(B)の好適な数値範囲として、水中油型乳化化粧料中、より好ましくは0.2~5.5%、さらに好ましくは0.4~3.5%である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0040】
前記成分(B)におけるグリセリン脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、脂肪酸コレステリルエステル、及び脂肪酸フィトステリルエステルから選択される1種又は2種以上の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.4%以上、さらに好ましくは0.8%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは5.5%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらにより好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.2%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0041】
前記成分(B)におけるオレイン酸フィトステリル又はマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルの各含有量は、特に限定されないが、それぞれ、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.1%以上、好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.4%以上、さらに好ましくは0.5%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは5.5%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらにより好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0042】
<1-3.成分(C)フェニル変性シリコーン>
本発明に用いられる成分(C)フェニル変性シリコーンは、ポリシロキサンの一部にフェニル基を有するものであり、塗布時の白残り(持続性)を減らすことなく、塗布後の化粧膜の柔らかさを付与する目的で配合されるものである。
成分(C)フェニル変性シリコーンとしては、具体的には、例えば、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0043】
成分(C)フェニル変性シリコーンの市販品としては、例えば、ジフェニルジメチコンとしてKF-54、KF-56、KF-54HV、(以上、信越化学工業社製)、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンとして、PH-1555 HRI Cosmetic Fluid、FZ-3156(以上東レ・ダウコ-ニング社製)等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。また、成分(C)は、公知の製造方法にて得られたものを用いてもよい。
【0044】
前記成分(C)のうち、本発明においては、塗布時の白残りの持続性という観点から、ジフェニルジメチコン、及び/又はジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好ましく、成分(C)はこれら1種又は2種を含むことが好ましい。
【0045】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、当該成分(C)の含有量の好適な下限値として、水中油型乳化化粧料中、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、さらに4%以上がより好ましい。また、当該成分(C)の含有量の好適な上限値として、水中油型乳化化粧料中、9.5%以下が好ましく、9%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、さらに7%以下がより好ましく、6%以下がより好ましい。当該成分(C)の好適な数値範囲として、水中油型乳化化粧料中、より好ましくは1~9%、さらに好ましくは2~8%である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0046】
前記成分(C)におけるジフェニルジメチコン及び/又はジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、さらにより好ましくは4%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、さらにより好ましくは6%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0047】
<1-4.成分(D)炭素数12~22の高級アルコール>
本発明に用いられる成分(D)炭素数12~22の高級アルコールは、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、当該成分(D)炭素数12~22の高級アルコールとして、公知の製造方法にて得られたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。成分(D)炭素数12~22の高級アルコールは、不飽和結合を含まない飽和高級アルコールであっても、不飽和高級アルコールであってもよい。
【0048】
前記成分(D)炭素数12~22の高級アルコールとして、具体的には、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール及びベヘニルアルコール等が挙げられる。また、2種のアルコールの混合物である、セトステアリルアルコール(セタノールとステアリルアルコールとの混合物)を用いることもできる。炭素数22のベヘニルアルコールや、2種のアルコールの混合物であるセトステアリルアルコールを、好ましく用いることができる。これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0049】
前記成分(D)のうち、本発明においては、塗布時の白残りの持続性、肌のツヤ感、化粧膜の柔らかさの観点から、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールから選択される1種又は2種以上が好ましく、セトステアリルアルコールがより好ましく、前記成分(D)は、これらからの1種又は2種以上を含むことが好ましく、また、少なくともセトステアリルアルコールを含むことがより好ましい。
【0050】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、当該成分(D)の含有量の好適な下限値としては、塗布時の白残りを持続し、乳化安定性も良好になる観点から、水中油型乳化化粧料中、0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましく、1.5%以上がさらにより好ましい。また、当該成分(D)の含有量の好適な上限値としては、化粧膜の柔らかさの観点から、水中油型乳化化粧料中、8%以下であることが好ましく、5%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、3%以下がさらにより好ましい。当該成分(D)の好適な数値範囲として、水中油型乳化化粧料中、より好ましくは0.1~8%、さらに好ましくは0.3~5%である。
【0051】
前記成分(D)におけるセタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールから選択される1種又は2種以上の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましは0.5%以上、さらにより好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは4%以下、さらにより好ましくは3%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0052】
前記成分(D)におけるセトステアリルアルコール又はベヘニルアルコールの各含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは0.3%以上、より好ましは0.5%以上、さらに好ましくは0.8%以上、さらにより好ましくは1%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2.5%以下又は2%以下である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0053】
<1-5.油剤>
本発明に用いられる油剤とは、25℃において液状ないし固体の油性物質(例えば、エステル油、ワックス類等)をいう。
油剤としては、通常皮膚外用剤又は化粧料に使用されるものであれば、特に制限されない。当該油剤として、例えば、動物油、植物油、鉱物油、合成油を問わず、炭化水素類、油脂類、ワックス類、硬化油類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油、ラノリン誘導体類、及び油溶性紫外線吸収剤等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることができる。
【0054】
本明細書の「油剤全体」は、成分(A)アニオン性界面活性剤等の界面活性剤を含めず、成分(B)自重に対する抱水力が所定以上である油剤、成分(C)フェニル変性シリコーン、及び成分(D)炭素数12~22の高級アルコールと、これら成分(B)~成分(D)以外の油剤との、水中油型乳化化粧料中に含有する油剤総質量のことである。
【0055】
本発明の水中油型乳化化粧料中における油剤全体、具体的には、水中油型乳化化粧料中の油剤の総含有量は、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上、より好ましくは10%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは20%以下、より好ましくは17%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは14%以下、より好ましくは13%以下であり、当該好適な数値範囲として、0.01~20%が好ましく、8~15%がより好ましい。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0056】
<1-6.各含有質量割合>
<〔前記成分(B)/油剤全体〕の含有質量割合>
本発明の油剤全体に対する成分(B)の含有質量割合又は使用質量割合(〔前記成分(B)/油剤全体〕)は、特に限定されないが、白残りの持続性とツヤ感の観点から、より好適な下限値として、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.04以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.055以上、さらにより好ましくは0.06以上であり、また、化粧膜の柔らかさの観点から、より好適な上限値として、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.14以下であり、さらにより好ましくは0.10以下、より好ましくは0.09以下、より好ましくは0.08以下である。〔成分(B)/油剤全体〕の当該好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~0.35であり、さらに好ましくは、0.05~0.10である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0057】
<(前記成分(C)/〔前記成分(A)+前記成分(D)〕)の含有質量割合>
本発明の成分(C)に対する(成分(A)と成分(D)の合計量)の含有質量割合又は使用質量割合(前記成分(C)/〔前記成分(A)+前記成分(D)〕)は、特に限定されないが、化粧膜の柔らかさとツヤ感の観点から、より好適な下限値として、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上であり、また、白残りの持続性の観点から、より好適な上限値として、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.1以下、さらにより好ましくは2.0以下、より好ましくは1.9以下、より好ましくは1.8以下、より好ましくは1.7以下、より好ましくは1.6以下、より好ましくは1.5以下である。(成分(C)/〔成分(A)+成分(D)〕)の含有質量割合の当該好適な数値範囲として、より好ましくは0.4~2.5、さらに好ましくは1.0~1.5である。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。なお、(成分(C)/〔成分(A)+成分(D)〕)における「成分(A)」の質量は、上述したようにナトリウム塩換算にて求めたものである。
さらに、本発明の水中油型乳化化粧料は、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感がより良好である観点から、前記〔成分(B)/油剤全体〕、前記(成分(C)/〔成分(A)+成分(D)〕)とを組み合わせることがより好適であり、さらに好ましくは前記〔成分(B)/油剤全体〕が0.01~0.35、かつ、前記(成分(C)/〔成分(A)+成分(D)〕)が0.4~2.5である。
【0058】
<1-5.任意成分>
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記成分(A)~(D)以外に、通常の皮膚外用剤に使用される成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、含有、配合又は使用することができる。当該成分として、例えば、成分(A)以外の界面活性剤、上記成分(B)~(D)以外の油剤、水溶性高分子、多価アルコール、低級アルコール等の水性成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗菌剤、防腐剤、保湿剤、pH調整剤、清涼剤、粉体、ビタミン類、美容成分、香料、ブライトニング成分、美白有効成分等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を適宜用いることがきでる。
【0059】
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記成分(A)~(D)以外に、さらに成分(E)として、L-アスコルビン酸2-グルコシド、ナイアシンアミド、及びトラネキサム酸類から選ばれる1種又は2種以上を、含有又は配合させてもよい。これらには、ブライトニング作用又は美白作用があるため、成分(E)として、ブライトニング成分及び/又は美白有効成分を、本発明の水中油型乳化化粧料に含有、配合又は使用してもよい。
【0060】
本明細書における「ブライトニング成分」とは、明るい肌にする薬効成分をいい、ブライトニング成分の区分には、美白有効成分を含めることができる。美白有効成分とは、肌に対して美白作用を発揮しうる化合物又は成分をいい、メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ作用などを発揮しうる成分又は化合物である。ブライトニング成分又は美白有効成分として、公知の製造方法にて得られたもの(例えば、合成成分、抽出成分など)であってもよく、また、市販品を用いてもよい。
【0061】
本発明に用いられる成分(E)のL-アスコルビン酸2-グルコシドは、L-アスコルビン酸の2位の位置にグルコース1分子が結合された分子であり、高い美白効果があることで知られている。
【0062】
本発明に用いられる成分(E)のナイアシンアミドは、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである公知の物質であり、天然物(米ぬかなど)から抽出されたり、或いは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているものを用いることができる。
【0063】
本発明に用いられる成分(E)のトラネキサム酸類として、トラネキサム酸及びこの誘導体などから選択される1種又は2種以上が挙げられ、これらは美白効果又は抗炎症効果を有する成分である。
トラネキサム酸は、トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、で示されるアミノ酸の一種であり、皮膚に対し美白効果や抗炎症効果を有する成分として知られているほか、止血剤としても用いられることがある。
本発明では、トラネキサム酸に代えて、又は、これとともに、トラネキサム酸の誘導体を使用することが可能である。
【0064】
前記トラネキサム酸の誘導体には、トラネキサム酸の二量体(例えば、塩酸トランス-4-(トランスアミノメチルシクロへキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス-4-アミノメチルシクロへキサンカルボン酸4’-ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2-(トランス-4-アミノメチルシクロへキサンカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸及びその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス-4-アミノメチルシクロへキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-(P-メトキシビンゾイル)アミノメチルシクロへキサンカルボン酸及びその塩、トランス-4-グアニジノアミノメチルシクロへキサンカルボン酸及びその塩)、トラネキサム酸のアルキルエステル及びその塩が含まれる。
【0065】
前記トラネキサム酸類として、具体的には、例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ミリスチルエステル、トラネキサム酸セチルエステル及びトラネキサム酸ステアリルエステル等が挙げられる。
また、誘導体としては塩の形態をとることも可能であり、種類としては塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩;シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩;炭酸塩などが挙げられる。
前記トラネキサム酸類のうち、色素沈着を改善又は抑制する美白有効成分として、トラネキサム酸が好ましい。
【0066】
本発明における成分(E)の含有量は、有効成分としての作用効果によっても異なるが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、1%以上であることが好ましく、2%以上であることが特に好ましく、また、好適な上限値として、10%以下であることが好ましく、9%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、7%以下であることがさらにより好ましい。
【0067】
前記成分(E)におけるL-アスコルビン酸2-グルコシド、ナイアシンアミド、及びトラネキサム酸類から選ばれる1種又は2種以上の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、好適な下限値として、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、さらにより好ましくは7%以下である。
【0068】
本発明は、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつ肌にツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化化粧料を提供することを第一目的とすることもでき、この第一目的を達成することができる。
【0069】
本発明の水中油型乳化化粧料には、肌を明るくみせる効果を得るために、透明で感触のよい粉体など粉体を含有又は配合させることも可能である。さらに、本発明には、粉体(特に白色顔料)を含有又は使用しなくとも、即時的に肌の明るさを演出することができるという優れた利点がある。
このため、本発明は、白色顔料を用いなくとも、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつ肌にツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化化粧料を提供することを第二目的とすることもでき、この第二目的を達成することができる。
前記「白色顔料」として、酸化亜鉛、酸化チタンなどから選択される1種又は2種以上が挙げられ、酸化亜鉛及び酸化チタンは一般的に紫外線を反射及び/又は散乱させる性質を有するものについては紫外線散乱剤ともいう。
このため、白色顔料の含有量は、水中油型乳化化粧料中、好ましくは5%以上含ませないようにすることができ、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは2%以上、より好ましくは1%以上含ませないようにすることができる。さらに、本発明であれば、白色顔料の含有量を、水中油型乳化化粧料中、0.5%以下、0.1%以下、0.05%以下、又は0.01%以下などといった実質含ませないようにすることができる。これにより、白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、肌のツヤ感をより良好にすることができる。
【0070】
さらに、本発明は、粉体(特に白色顔料)を用いなくとも、即時的に肌を明るくみせる効果を演出しながらも、塗布後に柔らかな化粧膜になる仕上がりかつ優れた肌にツヤのある仕上がりとなる、水中油型乳化化粧料を提供することを第三目的とすることもでき、各種成分及び各種含有量等を調整することで、この第三目的を達成することもできる。
【0071】
そして、本発明は、前記第三目的を達成することで、肌に使用したときに、塗布時の白残りがある程度長く持続するため、即時的な肌の明るさを演出することができ、さらに塗擦をすることで白残りは消失するが消失後に柔らかな化粧膜になる仕上がりとともに肌の明るさを演出できる肌にツヤのある仕上がりを得ることができる。
【0072】
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、即時的に肌を明るくみせる効果を演出できると共に、良好な使用感を有することもでき、かつ優れた経時安定性を有することもできる。
【0073】
さらに、本発明の水中油型乳化化粧料は、前記成分(A)~(D)とさらに成分(E)とを、配合成分として、含有、配合又は使用することで、使用時に白残りと仕上がりのツヤ感を演出することによって、即時的に肌を白く又は明るくみせることができ、そして当該化粧料を長期的又は継続的に使用することで肌に美白効果又はブライトニング効果をも発揮させることもできる。
このため、本発明の水中油型乳化化粧料は、好適にはスキンケア化粧料、より好適には美白化粧料、ブライトニング化粧料として、有用である。なお、「ブライトニング化粧料」とは、一般的に、肌を明るくみせるような化粧料、明るい肌にするために用いる化粧料又は皮膚外用剤である。
【0074】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず、当該水中油型乳化化粧料は常法により調製されうる。例えば、成分(A)~(D)又は成分(A)~(E)、及び必要に応じて他の添加剤等の任意成分を混合したものに、水と必要に応じて任意成分を混合したものを添加し、乳化させて得ることができる。
【0075】
本発明の水中油型乳化化粧料は、特に限定されないが、性状として液状、ゲル状、乳液状、クリーム状、半固形状、固形状のものが挙げられる。また、製品形態としては、マッサージ料、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの皮膚用化粧料などを例示することができる。このなかでも、塗布時の白残りにより、即時的な肌の明るさを実感しやすいという点から、顔に塗布する乳液やクリームや美容液が本発明の効果が発揮されやすい水中油型乳化化粧料である。またその使用方法としては、手に適量取って使用する方法が挙げられる。また、本発明の水中油型乳化化粧料は、水中油型乳化組成物、皮膚外用剤、医薬部外品等に適宜、適用してもよい。
【0076】
<2.本開示の組成物、使用方法など>
さらに、本発明の別の側面として、本開示は、成分(A)アニオン性界面活性剤及び成分(D)炭素数12~22の高級アルコールを用いた水中油型乳化組成物において、成分(B)抱水性油剤及び成分(C)フェニル変性シリコーンを組み合わせて配合すること又は併用することによって、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつツヤのある仕上がりに優れる水中油型乳化組成物を提供することができる。
【0077】
なお、本開示における説明において、上述した「1.本発明の水中油型乳化化粧料」の説明と重複する、成分(A)~(E)、油剤、各含有量、各含有質量割合、製造方法、各構成、各方法、各用語などの説明については適宜省略するが、上述した「1.水中油型乳化化粧料」の説明が、本実施形態にも当てはまり、適宜採用することができる。含有量、含有質量割合を、使用量、使用質量割合としてもよい。また、本開示の水中油型乳化組成物は、水中油型乳化化粧料等に適用してもよい。
【0078】
本開示は、前記成分(A)~前記成分(D)又は前記成分(A)~前記成分(E)を含有する水中油型乳化組成物を、肌に使用することによって、即時的に肌を明るく演出させる方法及び/又は肌にツヤのある仕上がり効果を向上させる方法、塗擦時に即時的に肌を明るくみせる効果を演出させ、さらなる塗擦後により肌にツヤのある仕上がりにする方法を提供することができる。
前記使用は、特に限定されないが、塗布、塗擦、又はマッサージ等によることが好適である。適用部位は、顔、腕、首、脚などから選択される1種又は2種以上が好適である。本開示の水中油型乳化組成物を用いれば、塗布、塗擦、マッサージ等によってバニッシュすることが可能であるため、コットン等の不織布又は織布による拭き取りなどの除去を特に行わなくともよいという利点もある。
【0079】
本開示は、前記成分(A)及び前記成分(D)を含む水中油型乳化組成物に、前記成分(B)抱水性油剤及び前記成分(C)フェニル変性シリコーンを使用することによって、前記成分(A)及び前記成分(D)を含む水中油型乳化組成物の即時的に肌を明るく演出させる方法、及び/又は、当該水中油型乳化化粧料のツヤのある仕上がりを向上させる方法を提供することができる。
【0080】
本技術は、以下の構成を採用することもできる。
〔1〕
次の成分(A)~(D):
(A)アニオン性界面活性剤
(B)自重に対する抱水力が130%以上(より好適には140%以上)である油剤
(C)フェニル変性シリコーン
(D)炭素数12~22の高級アルコール
を含有する水中油型乳化化粧料
〔2〕
前記成分(A)が、脂肪酸塩(好適には、脂肪酸の炭素数12~24)、N-アシルメチルタウリン又はその塩、及びN-アシルアミノ酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上を含有する前記〔1〕記載の水中油型乳化化粧料。より好適な前記成分(A)は、脂肪酸塩を少なくとも含むものである。さらに好適な前記成分(A)は、ステアリン酸塩、N-ステアロイルメチルタウリン又はその塩、及びその塩、N-ステアロイルグルタミン酸又はその塩から選択される1種又は2種以上を含むものである。
〔3〕
前記成分(B)が、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸コレステリルから選ばれる1種又は2種以上を含有する前記〔1〕又は〔2〕記載の水中油型乳化化粧料。
〔4〕
前記成分(C)が、ジフェニルジメチコン、及びジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含有する前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。
〔5〕
前記成分(D)が、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有する前記〔1〕~〔4〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。より好適には、前記成分(D)は、セトステアリルアルコール及び/又はベヘニルアルコールを含むものである。
〔6〕
さらに成分(E)ブライトニング成分を含有する前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。
〔7〕
前記成分(E)が、L-アスコルビン酸2-グルコシド、ナイアシンアミド、及びトラネキサム酸類から選ばれる1種又は2種以上を含有する前記〔6〕記載の水中油型乳化化粧料。
〔8〕
前記成分(D)の含有量が、10質量%未満である前記〔1〕~〔7〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。
〔9〕
〔前記成分(B)/油剤全体〕の含有質量割合が、0.01~0.35である、及び/又は、(前記成分(C)/〔前記成分(A)+前記成分(D)〕)の含有質量割合が、0.4~2.5である前記〔1〕~〔8〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。
〔10〕
白色顔料を5%以上含ませない前記〔1〕~〔9〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料。
〔11〕
前記〔1〕~〔10〕のいずれか1つ記載の水中油型乳化化粧料又は水中油型乳化組成物を肌に使用する、即時的に肌を明るく演出させる方法及び/又はツヤのある仕上がり効果を向上させる方法。当該使用は、塗布、塗擦、又はマッサージが好適である。
〔12〕
前記成分(B)抱水性油剤及び前記成分(C)フェニル変性シリコーンを含有する、前記成分(A)及び前記成分(D)を含む水中油型乳化組成物に対して、即時的に肌を明るく演出させるための及び/又はツヤのある仕上がりを向上させるための組成物又は剤。
〔13〕
前記成分(A)及び前記成分(D)を含む水中油型乳化組成物に対して、即時的に肌を明るく演出させるための及び/又はツヤのある仕上がり効果を向上させるための組成物又は剤を製造するための前記成分(B)抱水性油剤及び前記成分(C)フェニル変性シリコーン又はこれらの使用。
〔14〕
前記成分(A)及び前記成分(D)を含む水中油型乳化組成物に対して、即時的に肌を明るく演出させるために用いるための及び/又はツヤのある仕上がりを向上させるために用いるための、前記成分(B)抱水性油剤及び前記成分(C)フェニル変性シリコーンもしくはこれら混合組成物。又は、前記水中油型乳化組成物に対して、即時的に肌を明るく演出させるための及び/又はツヤのある仕上がりを向上させるための、前記成分(B)及び/又は前記成分(C)の使用。
【実施例
【0081】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。また、含有量は、特記しない限り、その成分が含有される化粧料に対する質量%で示す。
【0082】
実施例1~24及び試験例1~9:乳液
表1~表3に示す組成の乳液を下記の製造方法により製造し、イ:塗布時の白残り、ロ:化粧膜の柔らかさ感、ハ:ツヤ感について、以下に示す方法により評価判定した。結果を併せて表1、表2及び表3に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
(製造方法:実施例1~13及び試験例1~7)
A:成分(1)~(19)を70℃で均一に加熱溶解した。
B:成分(20)~(22)を70℃で均一に加熱溶液した。
C:70℃にてAにBを添加し、攪拌した。
D:室温にてCに(23)~(27)を添加し、撹拌することで乳液を得た。
【0087】
(製造方法:実施例14~24及び試験例8~9)
A:成分(1)~(11)を70℃で均一に加熱溶解した。
B:成分(12)~(14)を70℃で均一に加熱溶液した。
C:70℃にてAにBを添加し、攪拌した。
D:室温にてCに(15)~(20)を添加し、撹拌することで乳液を得た。
【0088】
なお、表1~表3中のステアリン酸及びN-ステアロイルグルタミン酸の含有量は、Na塩を含まないときの質量である。また、表1~表3中の配合成分の欄にある「A、B、C、D、E、油」は、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、油剤のことである。
【0089】
表1~表3中のオレイン酸フィトステリル(抱水力:144)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル(抱水力:202)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(抱水力:169)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(抱水力:336)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)(抱水力:501)、硬化ヤシ油(抱水力:125)、ワセリン(抱水力:104)の各抱水力(%)は、上記「試験方法(抱水性油剤の抱水力の測定方法)」にて、求めることができ、これらは抱水力100%以上であるので、抱水性油剤(自重と等量以上の水を抱水できる油剤)である。
また、表1~表3中の抱水性油剤は、市販品を使用し、例えば「オレイン酸フィトステリル(抱水力:144)」は、ライステロールエステル(築野ライスファインケミカルズ社製)を使用した。
【0090】
表1~表3中の〔(C)/(A)+(D)〕の含有質量割合を求める際に、(A)の含有量はナトリウム塩換算にて求めた。例えば、表1中のステアリン酸0.3%、1%、2%、3.5%は、ナトリウム塩換算((モル質量284.5+23.0)/モル質量284.5=1.08)に基づき、それぞれ0.32%、1.08%、2.16%、3.78%と算出することができる。
表1~表3中の〔(B)/油剤全体〕の「油剤全体(油剤総質量)」は、成分(B)、成分(C)及び成分(D)と、これら成分(B)~(D)以外の油剤との総質量であり、油剤には成分(A)及び界面活性剤は含まれない。
【0091】
(評価方法1)
(イ.塗布時の白残り)
前腕内側部に、さくらんぼ大の製剤(約2g)を塗布し、手のひらの付け根からひじまでの部分に製剤を一定速度(1秒間で1往復)で馴染ませ、製剤がすぐに肌になじみ消失せず、白く延び広がる時間をストップウォッチにて測定した。
<判定基準>
(判定):(評価)
◎:5秒以上白残りする:非常に良好
○:2~5秒白残りする:良好
△:1~2秒白残りする:やや不良
×:1秒以下しか白残りしない:不良
【0092】
より具体的な説明として、前腕内側部の肌上にさくらんぼ大の製剤(約2g)を載せ、塗擦を行う専門パネルは、手のひらの付け根から肘(肘の反対側の腕の内側のくぼみ)までの部分の間で、手のひらで、製剤を、一定速度(1秒間で1往復)で擦るように、往復させて塗布し、馴染ませる。製剤を往復させて塗擦することで、初めは製剤が肌に馴染まず白く延び広がるので肌が白くみえ、さらに塗擦をすることで製剤の白残り(白色)が消失する。白残りの判定を行う専門パネルは、この消失したときを、製剤が「馴染んだ」と判断する。白残りの判定を行う専門パネルは、塗擦を行う専門パネルの塗布開始時から、塗擦により製剤が肌に馴染んだときまでの期間(時間)を、ストップウォッチにて測定し、この時間を塗布時の白残りの時間とし、上記<判定基準>にて、塗布時の白残りの評価を行う。
【0093】
(評価方法2)
20代~40代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な専門パネルを10名選定した。該専門パネルは前腕に各試料を使用し、それぞれについて、使用時に感じる化粧膜の柔らかさ、また、塗布後の肌のツヤ感を、下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付けた。さらに化粧膜の柔らかさ及ツヤ感について、各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0094】
(ロ:化粧膜の柔らかさ)
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
5点:塗布後の膜硬さが無いと感じる
4点:塗布後の膜硬さが無いとやや感じる
3点:普通(良いとも悪いともどちらともいえない)
2点:塗布後の膜硬さがあるとやや感じる
1点:塗布後の膜硬さがあると感じる
<4段階判定基準>(以下の評価項目においても同様)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超える4.5点以下:良好
△ :1.5点を超える3.5点以下:やや不良
× :1.5点以下 :不良
【0095】
なお、塗布後の膜硬さが無いとは、化粧膜が柔らかく、硬さが無いことを意味し、膜の硬さが無いとやや感じるとは、化粧膜がやや柔らかいと感じることを意味する。膜硬さがあるとやや感じるとは、化粧膜がやや硬いと感じることを意味し、膜の硬さがあると感じるとは、化粧膜が硬いと感じることを意味する。柔らかな膜感とは、感じる化粧膜の柔らかさのことを意味する。
【0096】
(ハ:ツヤ感)
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
5点:肌のツヤ感があると感じる
4点:やや肌のツヤ感があると感じる
3点:普通(良いとも悪いともどちらともいえない)
2点:あまり肌のツヤ感があると感じない
1点:肌のツヤ感があると感じない
【0097】
表1~表3の結果から明らかなように、実施例1~24の乳液は、試験例1~9の乳液に比べ、即時的な白残り、塗布後の化粧膜の柔らかさ、ツヤ感において優れたものであった。そして、実施例1~24の乳液(水中油型乳化化粧料)は、塗擦することで白残りの持続により即時的に肌を白くみせる効果を良好に演出でき、さらに塗擦することで白残りはバニッシュし、良好な柔らかな化粧膜及び良好なツヤ感の仕上がりとなった。このとき、実施例1~24の乳液を用いた場合、仕上げ時に、コットン等の不織布又は織布による拭き取りなどは特に行わなくともよかった。
【0098】
一方、成分(A)を含有しない試験例1(比較例1)は、即時的な白残り(白さの演出、肌を明るくみせる効果)において劣っていた。
実施例1の成分(B)抱水性油剤の代わりに、自重に対する抱水力が104%のワセリン及び125%の硬化ヤシ油の混合物を用いた試験例2(比較例2)は、即時的な白残りとツヤ感において劣っていた。実施例1、試験例2及び実施例8を考慮すると、抱水性油剤のなかでも、少なくとも自重に対する抱水力が120%以上、より好ましくは140%以上である油剤を、即時的な白残りを演出するために含有又は使用することが重要であると本発明者は考えた。
成分(C)フェニル変性シリコーンの代わりに、フェニル基を有さないシリコーン油を用いた試験例3(比較例3)は、即時的な白残りがせずに即時的に肌を明るくみせる効果感に劣るものとなってしまった。
成分(D)を含有しない試験例4(比較例4)は、即時的な白残りに劣っていた。
また、試験例5では、即時的な白残りが非常に良好であり、つや感もやや不良なであったが、概ね肌を明るくみせる効果を演出することができた。試験例7では、即時的な白残りが非常に良好であり、つや感も非常に良好であった。
【0099】
さらに、表1及び表2の結果から、実施例1~24では、即時的な白残り及びツヤ感が良好であり、肌を明るくみえる効果を演出することができ、さらに柔らかな化粧膜が形成できるためより良好な使用感を得ることもできる。
【0100】
このことから、成分(A)アニオン性界面活性剤、成分(B)自重に対する抱水力が125%以上である抱水性油剤、成分(C)フェニル変性シリコーン、成分(D)炭素数12~22の高級アルコールを含有する水中油型乳化化粧料であれば、即時的に肌を明るくみせる効果を演出でき、かつツヤのある仕上がりに優れる効果を得ることができる。
【0101】
実施例1、実施例14が、経時的な白残り、柔らかな膜感、ツヤ感について、非常に優れていた。
【0102】
実施例1、実施例9、実施例10では、成分(A)として、ステアリン酸塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、N-ステアロイルメチルタウリン塩が好適であり、特にステアリン酸塩がより好適であった。また、成分(A)の含有量として、0.32%~3.78%が好適であると考えた。
【0103】
実施例1、実施例8などでは、成分(B)として、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、ヘキサ(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルが好適であり、これらは抱水力140%以上340%以下の油剤であった。また、実施例1~7、実施例11などからすると、オレイン酸フィトステリル及び/又はマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルがより好適であり、さらに少なくとも、オレイン酸フィトステリルを含むことが望ましい。成分(B)の含有量として、実施例1、実施例14、実施例17及び実施例18などからすると、0.2~5.5%がより好適であると考えた。
【0104】
実施例1、実施例3、及び実施例12などからすると、成分(C)として、ジフェニルジメチコン及び/又はジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好適であった。実施例1、実施例14、実施例19、実施例20などからすると、成分(C)の含有量として、2~9%がより好適であった。
【0105】
実施例1、実施例13、実施例21、実施例22などからすると、セトステアリルアルコール、及び/又はベヘニルアルコールが好適であった。実施例1、実施例14、実施例22、実施例23などからすると、成分(D)の含有量として、0.3~5%がより好適であった。
【0106】
実施例1、実施例14、実施例6、実施例7、実施例18などから、〔前記成分(B)/油剤全体〕の含有質量割合が、0.01~0.35がより好適、0.05~0.1がさらに好適であった。
実施例1、実施例14、実施例5、実施例19などから、〔前記成分(A)+前記成分(D)〕)の含有質量割合が、0.4~2.5がより好適、1.0~1.5がさらに好適であった。
【0107】
さらに、実施例1~24から、ブライトニング成分や美白有効成分を含ませても、即時的な白残り、肌のツヤ感が良好であるので、即時的な肌の明るさを演出できると共に、この水中油型乳化化粧料を長期的に使用することで、ブライトニング効果や美白効果も期待することができる。このため、本発明の水中油型乳化化粧料を使用することによって、使用者が肌の明るさを即時的求めたい場合にもその期待に応えることができると共に、長期使用による肌の明るさの改善又は維持の期待にも応えることができる。
【0108】
処方例1:水中油乳化型美容液
(成分) (質量%)
(1)N-ステアロイルメチルタウリンNa 0.8
(2)リン脂質 0.2
(3)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 0.5
(4)ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸
/ロジン酸)ジペンタエリスリチル 0.5
(5)ジメチコン 1
(6)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1.2
(7)メドウフォーム油 1
(8)ジカプリン酸PG 8
(9)ジフェニルジメチコン 4
(10)セトステアリルアルコール 1.5
(11)精製水 残量
(12)グリセリン 5
(13)キサンタンガム 0.02
(14)カラギーナン 0.01
(15)ジェランガム 0.01
(16)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル
(C10-30)クロスポリマー 0.1
(17)水酸化ナトリウム 0.03
(18)トラネキサム酸 2
(19)L-アスコルビン酸2-グルコシド 2
(20)L-セリン 0.05
(21)L-アルギニン 0.01
(22)加水分解ヒアルロン酸 0.01
(23)エチルヘキシルグリセリン 0.2
(24)エタノール 5
【0109】
(製造方法)
A:成分(1)~(10)を70℃で均一に混合溶解する。
B:成分(11)~(12)を70℃で均一に溶解混合する。
C:前記AにBを添加し70℃で乳化する。
D:前記Cを40℃まで冷却後、成分(13)~(24)を添加し均一に混合することで美容液を得た。
以上のようにして得られた処方例1の水中油乳化型美容液は、塗布時の白残りの持続性、化粧膜の柔らかさ、ツヤ感に優れるものであった。