(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】排気構造およびインジェクタ取付部材
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240130BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240130BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20240130BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B
F01N13/08 Z
B01D53/94 222
B01D53/94 400
(21)【出願番号】P 2021200065
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2022-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 功
(72)【発明者】
【氏名】酒井 順司
(72)【発明者】
【氏名】上田 悠貴
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/115461(WO,A1)
【文献】特開2009-115057(JP,A)
【文献】特開2008-151088(JP,A)
【文献】特開2005-127271(JP,A)
【文献】米国特許第10508579(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
F01N 13/08
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排ガスが流れる排気管と、尿素水の噴射を行う尿素水インジェクタと、前記排気管内において前記尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、前記尿素水インジェクタを前記排気管に固定的に取り付けるためのインジェクタ取付部材と、を備えた排気構造であって、
前記インジェクタ取付部材は、
軸方向に貫通した筒状体であり、
一方の開口部に前記尿素水インジェクタの噴口が配置され、他方の開口部が前記SCR触媒よりも上流側の前記排気管内に面するように前記排気管に取り付けられ、
前記インジェクタ取付部材の内周面には、
前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう前記排ガスの流れを前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう流れに方向転換させるリブが設けられ、
前記リブは、前記軸方向に延伸しており、前記インジェクタ取付部材の内周面に対して垂直な壁面を有し、
前記軸方向に延伸している前記リブの端部のうち、前記一方の開口部に近い方の端部は、前記尿素水インジェクタの噴口から
前記他方の開口部方向に所定距離離間して設けられている、
排気構造。
【請求項2】
前記リブは、
前記インジェクタ取付部材の内周方向に沿って、所定間隔を空けて複数設けられている、
請求項1に記載の排気構造。
【請求項3】
前記排気管において前記SCR触媒よりも上流側かつ前記インジェクタ取付部材よりも下流側に接続され、前記排気管に前記排ガスを流入させる別の排気管をさらに備える、
請求項1又は2に記載の排気構造。
【請求項4】
内燃機関から排出された排ガスが流れる排気管と、尿素水の噴射を行う尿素水インジェクタと、前記排気管内において前記尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、を備えた排気構造で用いられ、前記尿素水インジェクタを前記排気管に固定的に取り付けるためのインジェクタ取付部材であって、
軸方向に貫通した筒状体であり、
一方の開口部に前記尿素水インジェクタの噴口が配置され、他方の開口部が前記SCR触媒よりも上流側の前記排気管内に面するように前記排気管に取り付けられ、
内周面には、前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう前記排ガスの流れを前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう流れに方向転換させるリブが設けられ、
前記リブは、前記軸方向に延伸しており、前記インジェクタ取付部材の内周面に対して垂直な壁面を有し、
前記軸方向に延伸している前記リブの端部のうち、前記一方の開口部に近い方の端部は、
前記尿素水インジェクタの噴口から
前記他方の開口部方向に所定距離離間して設けられている、
インジェクタ取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気構造およびインジェクタ取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関から排出された排ガスが流れる排気管と、排気管内に尿素水を噴射する尿素水インジェクタ(ドージングモジュールと言ってもよい)と、排気管内において尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、を備えた排気構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記排気構造では、尿素水インジェクタから噴射された尿素水は、排ガスの熱によって加水分解される。これにより発生したアンモニアはSCR触媒へ供給され、SCR触媒においてアンモニアにより排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素に還元される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記排気構造における排ガスの流れは、SCR触媒へ向かう流れが主流であるが、それとは逆に、尿素水インジェクタの噴口(ノズルまたは噴射口と言ってもよい)へ向かう流れが発生することがある。これにより、尿素水インジェクタから噴射された尿素水は、噴口の方向へと押し戻されてしまい、噴口付近に尿素(具体的には、アンモニア生成過程の副産物である白色系の固形物)が固着するおそれがある。
【0006】
本開示の一態様の目的は、噴口付近における尿素の固着を抑制することができる排気構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る排気構造は、内燃機関から排出された排ガスが流れる排気管と、尿素水の噴射を行う尿素水インジェクタと、前記排気管内において前記尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、前記尿素水インジェクタを前記排気管に固定的に取り付けるためのインジェクタ取付部材と、を備えた排気構造であって、前記インジェクタ取付部材は、軸方向に貫通した筒状体であり、一方の開口部に前記尿素水インジェクタの噴口が配置され、他方の開口部が前記SCR触媒よりも上流側の前記排気管内に面するように前記排気管に取り付けられ、前記インジェクタ取付部材の内周面には、前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう前記排ガスの流れを前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう流れに方向転換させるリブが設けられ、前記リブは、前記軸方向に延伸しており、前記インジェクタ取付部材の内周面に対して垂直な壁面を有し、前記軸方向に延伸している前記リブの端部のうち、前記一方の開口部に近い方の端部は、前記尿素水インジェクタの噴口から前記他方の開口部方向に所定距離離間して設けられている。
【0008】
本開示の一態様に係るインジェクタ取付部材は、内燃機関から排出された排ガスが流れる排気管と、尿素水の噴射を行う尿素水インジェクタと、前記排気管内において前記尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、前記尿素水インジェクタを前記排気管に固定的に取り付けるためのインジェクタ取付部材と、を備えた排気構造であって、前記インジェクタ取付部材は、軸方向に貫通した筒状体であり、一方の開口部に前記尿素水インジェクタの噴口が配置され、他方の開口部が前記SCR触媒よりも上流側の前記排気管内に面するように前記排気管に取り付けられ、前記インジェクタ取付部材の内周面には、前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう前記排ガスの流れを前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう流れに方向転換させるリブが設けられ、前記リブは、前記軸方向に延伸しており、前記インジェクタ取付部材の内周面に対して垂直な壁面を有し、前記軸方向に延伸している前記リブの端部のうち、前記一方の開口部に近い方の端部は、前記尿素水インジェクタの噴口から前記他方の開口部方向に所定距離離間して設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、噴口付近における尿素の固着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の比較例に係る排気構造を模式的に示す側断面図
【
図2】本開示の実施の形態に係る排気構造を模式的に示す側断面図
【
図3】本開示の実施の形態に係るインジェクタ取付部材の正面図
【
図4】本開示の実施の形態に係るインジェクタ取付部材の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本開示に至った知見>
まず、本開示に至った知見について、
図1を用いて説明する。
図1は、本開示の比較例としての排気構造1を模式的に示す側断面図である。
【0012】
排気構造1は、インジェクタ取付部材10、第1排気管11、第2排気管12、尿素水インジェクタ(図示略)、SCR触媒(図示略)を有する。
【0013】
第1排気管11および第2排気管12は、内燃機関(図示略)から排出された排ガスが流れる筒状体である。
【0014】
第1排気管11の上流側端部には、インジェクタ取付部材10(詳細は後述)が固定的に設けられている。また、第1排気管11には、第2排気管12(詳細は後述)が接続されている。また、図示は省略するが、第1排気管11には、第2排気管12が接続された位置よりも下流側に、SCR触媒が設けられている。例えば、SCR触媒は、第1排気管11の内径よりも径が大きいケース内に収容されている。
【0015】
第2排気管12の一端は、例えば排気マニホールド(図示略)に接続されている。第2排気管12の他端は、
図1に示すように、第1排気管11に接続されている。なお、
図1では、便宜上、第2排気管12が第1排気管11の下方に接続されるように図示したが、第2排気管12が接続される位置は、第1排気管11の下方に限定されない。
【0016】
図中の矢印bは、第2排気管12における排ガスの流れ方向を示している。すなわち、第2排気管12を流れる排ガスは、第1排気管11内に流入する。第1排気管11内に流入した排ガスは、第1排気管11内において、図の左から右へと流れる。
【0017】
インジェクタ取付部材10は、尿素水インジェクタを第1排気管11に固定的に取り付けるための部材である。図示は省略するが、尿素水インジェクタは、インジェクタ取付部材10のうち第1排気管11の外部に配置される部分(第1開口部13が設けられたフランジ部分)に固定されている。
【0018】
図1に示すように、インジェクタ取付部材10は、軸方向(図の左右方向)に貫通した筒状体であり、第1開口部13および第2開口部14を備える。すなわち、インジェクタ取付部材10には、その軸方向に沿って、第1開口部13、第2開口部14を両端とする貫通孔(符号略)が設けられている。この貫通孔は、尿素水の噴射路として用いられる。
【0019】
第1開口部13は、第1排気管11の外部に配置されている。第1開口部13には、尿素水インジェクタの噴口(図示略)が配置されている。図中の矢印aは、尿素水の噴射方向を示している。すなわち、尿素水インジェクタは、第2開口部14へ向けて貫通孔内に尿素水を噴射する。
【0020】
第2開口部14は、第1排気管11の内部に配置されている。言い換えれば、第2開口部14は、SCR触媒よりも上流側の第1排気管11の内部に面するように配置されている。
【0021】
第2開口部14から第1排気管11へ流入した尿素水は、排ガスの熱によって加水分解される。これにより発生したアンモニアは、SCR触媒へ供給される。そして、SCR触媒では、アンモニアにより排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素に還元される。
【0022】
次に、上記構成を備えた排気構造1における課題について説明する。
【0023】
上述したとおり、第2排気管12から第1排気管11へ流入した排ガスは、基本的には、第1排気管11において、図の左から右へ、すなわちSCR触媒へ向かうように流れる。しかし、この流れとは逆の流れが発生することがある。
【0024】
具体的には、排ガスの一部が、第1排気管11からインジェクタ取付部材10内へ流入し、旋回しながら尿素水インジェクタの噴口(第1開口部13と言ってもよい)へ向かうように流れる。図中の矢印cは、インジェクタ取付部材10内において噴口へ向かう排ガスの流れ方向を示している。この流れにより、矢印aの方向へ噴射された尿素水は、噴口の方向へと押し戻される。
【0025】
そして、インジェクタ取付部材10内に流入した排ガスは、継続的に第2開口部14からインジェクタ取付部材10内に流れ込む排ガスにより、インジェクタ取付部材10内に滞留する。図中の矢印dは、インジェクタ取付部材10内において滞留する排ガス(旋回流)を示している。
【0026】
このような排ガスの滞留により、尿素水インジェクタの噴口付近に尿素(具体的には、アンモニア生成過程の副産物である白色系の固形物)が固着するおそれがある。その結果、尿素水の噴射効率が低下し、SCR触媒に十分なアンモニアが供給されず、排ガスの浄化不良につながるおそれがある。
【0027】
以上のことから、本開示では、尿素水インジェクタの噴口付近における尿素の固着を抑制できるようにすることを目的とする。
【0028】
<本開示の実施の形態>
次に、本開示の実施の形態について、
図2~
図4を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付している。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る排気構造100を模式的に示す側断面図である。
図3は、本実施の形態に係るインジェクタ取付部材20の正面図である。
図4は、本実施の形態に係るインジェクタ取付部材20の側断面図である。
【0030】
図2に示す排気構造100は、例えば、内燃機関(図示略)を有する車両(図示略)に搭載される。内燃機関は、ディーゼルエンジンであってもよいし、ガソリンエンジンであってもよい。また、排気構造100は、車両の内燃機関に限らず、例えば、船舶または定置式の内燃機関に適用することも可能である。
【0031】
排気構造100は、インジェクタ取付部材20、第1排気管11、第2排気管12、尿素水インジェクタ(図示略)、SCR触媒(図示略)を有する。
【0032】
すなわち、排気構造100は、
図1に示した排気構造1と比べて、インジェクタ取付部材10の代わりに、インジェクタ取付部材20を備えた点が異なる。なお、排気構造100における第1排気管11、第2排気管12、尿素水インジェクタ、およびSCR触媒は、上述した排気構造1における第1排気管11、第2排気管12、尿素水インジェクタ、およびSCR触媒と同じであるので、以下では、それらの説明を省略し、主にインジェクタ取付部材20について説明する。
【0033】
インジェクタ取付部材20は、尿素水インジェクタを第1排気管11に固定的に取り付けるための部材である。図示は省略するが、尿素水インジェクタは、インジェクタ取付部材20のうち第1排気管11の外部に配置される部分(第1開口部21が設けられたフランジ部分)に固定されている。
【0034】
図2に示すように、インジェクタ取付部材20は、軸方向(図の左右方向)に貫通した筒状体であり、第1開口部21および第2開口部22を備える。すなわち、インジェクタ取付部材20には、その軸方向に沿って、第1開口部21、第2開口部22を両端とする貫通孔が設けられている。この貫通孔は、尿素水の噴射路として用いられる。
【0035】
第1開口部21は、第1排気管11の外部に配置されている。第1開口部21には、尿素水インジェクタの噴口(
図2、
図4の点線部分参照)が配置されている。尿素水インジェクタは、貫通孔内において矢印aに示す方向へ(すなわち、第2開口部22へ向けて)尿素水を噴射する。
【0036】
第2開口部22は、第1排気管11の内部に配置されている。言い換えれば、第2開口部22は、SCR触媒よりも上流側の第1排気管11の内部に面するように配置されている。
【0037】
第2開口部22から第1排気管11へ流入した尿素水は、排ガスの熱によって加水分解される。これにより発生したアンモニアは、SCR触媒へ供給される。そして、SCR触媒では、アンモニアにより排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素に還元される。
【0038】
ここで、比較例としての排気構造1の説明で述べたとおり、排気構造100においても、第1排気管11からインジェクタ取付部材10内へ流入し、尿素水インジェクタの噴口(第1開口部21と言ってもよい)へ向かう排ガスの流れが発生しうる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、インジェクタ取付部材20の内周面に、第2開口部22から第1開口部21へ向かう排ガスの流れを第1開口部21から第2開口部22へ向かう流れに方向転換させるリブ(突起部と言ってもよい)23を設けるようにした。
【0040】
図2~
図4に示すように、リブ23は、インジェクタ取付部材20の内周方向に沿って、所定間隔(
図3に示す矢印C参照)を空けて複数個設けられている。
【0041】
また、
図3に示すように、リブ23は、インジェクタ取付部材20の内周面から径方向へ突出するように設けられている。
【0042】
また、
図3に示すように、リブ23は、インジェクタ取付部材20の内周面に対して垂直な壁面(以下、垂直壁面という)23aを有する。換言すると、垂直壁面23aは、
図3に示すように、インジェクタ取付部材20を正面から見た場合における、インジェクタ取付部材20の内周円の接線xに対して直交する法線yに沿うように設けられている。
【0043】
また、
図2、
図4に示すように、リブ23は、インジェクタ取付部材20の軸方向に延伸している(
図2に示す矢印A参照)。
【0044】
また、
図2に示すように、軸方向に延伸しているリブ23の両端部のうち、第1開口部21に近い方の端部は、尿素水インジェクタの噴口から所定距離(
図2に示す矢印B参照)離間して設けられている。
【0045】
なお、本実施の形態では、
図2、
図4に示すように、インジェクタ取付部材20の貫通孔において、上流側の部分(具体的には、第1開口部21およびリブ23が設けられた部分)の径が、その部分よりも下流側の部分の径よりも小さい場合を例示したが、これに限定されない。
【0046】
次に、上述したリブ23の作用による排ガスの流れについて、
図4を用いて説明する。
【0047】
矢印eは、第2開口部22からインジェクタ取付部材20へ流入し、第1開口部21へ向かって流れる排ガスの旋回流を示している。
【0048】
旋回している排ガスは、リブ23(具体的には、
図3に示した垂直壁面23a)に当たる。これにより、排ガスは、直線流に整流されて、リブ23の延伸方向(
図4の左右方向)に沿って、矢印fに示す方向へ流れる。
【0049】
次に、排ガスは、矢印gに示すように、貫通孔の径方向中心に向かって流れる。このとき、排ガスは、
図2に示した矢印Bの部分(尿素水インジェクタの噴口とリブ23の端部との間)を流れる。
【0050】
次に、排ガスは、矢印hに示すように、第2開口部22に向かって流れる。このとき、排ガスは、
図3に示した矢印Cの部分(隣り合うリブ23同士の間)を流れる。
【0051】
リブ23を通過した排ガスは、矢印eで示した旋回流の中心に引き込まれ、第2開口部22から
図2に示した第1排気管11(
図4では図示略)へ流入する。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態の排気構造100は、内燃機関から排出された排ガスが流れる第1排気管11と、尿素水の噴射を行う尿素水インジェクタと、第1排気管11内において尿素水の噴射位置よりも下流側に設けられたSCR触媒と、尿素水インジェクタを第1排気管11に固定的に取り付けるためのインジェクタ取付部材20と、を備え、インジェクタ取付部材20は、軸方向に貫通した筒状体であり、第1開口部21に尿素水インジェクタの噴口が配置され、第2開口部22がSCR触媒よりも上流側の第1排気管11内に面するように第1排気管11に取り付けられ、インジェクタ取付部材20の内周面には、第2開口部22から第1開口部21へ向かう排ガスの流れを第1開口部21から第2開口部22へ向かう流れに方向転換させるリブ23が設けられていることを特徴とする。
【0053】
この特徴により、インジェクタ取付部材20内に排ガスが滞留することを防ぐことができるので、尿素水インジェクタの噴口付近における尿素の固着を抑制できる。その結果、尿素水の噴射効率の低下を抑制し、SCR触媒に十分なアンモニアを供給できるので、排ガスの浄化不良を防ぐことができる。
【0054】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の排気構造およびインジェクタ取付部材は、内燃機関からの排ガスを還元剤と触媒により浄化する技術に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1、100 排気構造
10、20 インジェクタ取付部材
11 第1排気管
12 第2排気管
13、21 第1開口部
14、22 第2開口部
23 リブ
23a 垂直壁面