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特許7431520電動外科用装置のための適応型抗収縮アルゴリズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電動外科用装置のための適応型抗収縮アルゴリズム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20240207BHJP
   A61B 17/068 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/068
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019131092
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2020014846
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】62/702,995
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/442,030
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ナップ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エシュバッハ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0036890(US,A1)
【文献】特開2011-036677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29
A61B 17/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用装置であって、
前記外科用装置は、ハンドルアセンブリとアダプタアセンブリとエンドエフェクタとを備え、
前記ハンドルアセンブリは、
コントローラと、
第1のモータと、
第2のモータと
を含み、
前記アダプタアセンブリは、
長手方向軸を画定する管状筐体であって、前記管状筐体は、前記ハンドルアセンブリに結合するように構成されている近位端部分と、遠位端部分とを有する、管状筐体と、
前記管状筐体内に配置されている第1の作動アセンブリであって、前記第1のモータに結合されている第1の作動アセンブリと、
前記管状筐体内に配置されている第2の作動アセンブリであって、前記第2のモータに結合されている第2の作動アセンブリと
を含み、
前記エンドエフェクタは、前記アダプタアセンブリの前記遠位端部分に結合するように構成されており、前記エンドエフェクタは、前記長手方向軸に対して垂直である関節動作軸の周りで前記エンドエフェクタを関節動作させる前記第1の作動アセンブリに結合されており、前記エンドエフェクタは、前記第2の作動アセンブリに結合されており、かつ、前記第2の作動アセンブリによって軸方向に移動可能である可撓性駆動ビームを含み、
前記エンドエフェクタは、アンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとを含み、前記可撓性駆動ビームは、前記アンビルアセンブリおよび前記カートリッジアセンブリを通って軸方向に移動することにより、前記アンビルアセンブリを枢動させるように構成されており、
前記コントローラは、前記可撓性駆動ビームの軸方向の移動に応答して、前記エンドエフェクタの初期関節動作位置を維持するように構成されており、前記コントローラは、メモリを含み、前記コントローラは、前記アンビルアセンブリが開いたとき、または、前記アンビルアセンブリが閉じたときの前記エンドエフェクタの関節動作位置を前記エンドエフェクタの前記初期関節動作位置として前記メモリに記憶し、前記コントローラは、前記初期関節動作位置を維持するために、前記可撓性駆動ビームの移動による前記初期関節動作位置の変化を補償するように前記第1のモータを調整するようにさらに構成されている、外科用装置。
【請求項2】
前記メモリは、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶し、前記複数の関節動作補正値は、前記第1のモータの位置を調整するためのものである、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第2のモータの回転に基づいて、前記関節動作補正値を決定するようにさらに構成されている、請求項2に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記外科用装置は、前記エンドエフェクタの関節動作位置を測定するように構成されている関節動作センサをさらに備える、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記測定された関節動作位置に基づいて、前記第1のモータを調整するようにさらに構成されている、請求項4に記載の外科用装置。
【請求項6】
外科用装置を動作させる方法であって、前記外科用装置は、コントローラを備え、前記方法は、
前記コントローラが、第1のモータを動作させることにより、エンドエフェクタを初期関節動作位置に関節動作させるように構成されている第1の作動アセンブリを作動させることであって、前記エンドエフェクタは、アンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとを含む、ことと、
前記コントローラが、第2のモータを動作させることにより、前記アンビルアセンブリおよび前記カートリッジアセンブリを通って可撓性駆動ビームを軸方向に移動させることにより、前記アンビルアセンブリを枢動させるように構成されている第2の作動アセンブリを作動させることと、
前記コントローラが、記可撓性駆動ビームの軸方向の移動に応答して、前記第1のモータを調整することによって、前記エンドエフェクタの前記初期関節動作位置を維持することと
を含み、
前記エンドエフェクタの前記初期関節動作位置は、前記メモリ内の、前記アンビルアセンブリが開いたとき、または、前記アンビルアセンブリが閉じたときの前記エンドエフェクタの関節動作位置である、方法。
【請求項7】
前記方法は、前記コントローラが、前記可撓性駆動ビームの移動中に前記エンドエフェクタの関節動作位置を測定することにより、測定された関節動作位置を取得することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記コントローラが、前記測定された関節動作位置に基づいて、前記エンドエフェクタの前記初期関節動作位置の変化を補償するように前記第1のモータを調整することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記コントローラが、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶することをさらに含み、前記複数の関節動作補正値は、前記第1のモータの位置を調整するためのものである、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/702,995号の利益および優先権を主張し、この米国仮特許出願の開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科用装置に関する。より具体的には、本開示は、関節動作式装填ユニットを有する電動外科用装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ファスナまたはステープルを組織に適用するための外科用ファスナ装置は、周知である。これらのファスナ装置は、1つ以上のステープルが事前装填されており、かつ単回使用後に処分可能である、単回使用装置を含む。複数回使用装置もまた、利用可能であり、複数のステープルが事前装填されている。複数回使用装置は、電気機械的に、例えば、電動または手動で作動されるハンドルアセンブリを含み得る。これらの装置は、単回使用装填ユニット(SULU)または複数回使用装填ユニット(MULU)と共に使用することができる。装填ユニットは、本体とエンドエフェクタとを含み、直接またはハンドルアセンブリに結合可能なアダプタアセンブリを介して、ハンドルアセンブリに取り付けられている。装填ユニットはまた、関節動作式エンドエフェクタを含み得る。モータを利用してエンドエフェクタを作動および/または関節動作させる電動外科用装置では、モータが不意にエンドエフェクタの望ましくない移動を引き起こす可能性がある。したがって、不意の移動の影響を最小化するおよび/または軽減する電動外科用装置が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態によれば、外科用装置は、コントローラと、第1のモータと、第2のモータと、を有する、ハンドルアセンブリを含む。外科用装置はまた、ハンドルアセンブリに結合するように構成された近位端部分および遠位端部分を有する長手方向軸を画定する、管状筐体と、管状筐体内に配置されており、かつ第1のモータに結合されている、第1の作動アセンブリと、管状筐体内に配置されており、かつ第2のモータに結合されている、第2の作動アセンブリと、を有する、アダプタアセンブリを含む。外科用装置は、アダプタアセンブリの遠位端部分に結合するように構成されたエンドエフェクタをさらに含む。エンドエフェクタは、長手方向軸に対して垂直である関節動作軸の周りでエンドエフェクタを関節動作させる第1の作動アセンブリに結合されている。エンドエフェクタはまた、第2の作動アセンブリに結合されており、かつ第2の作動アセンブリによって軸方向に移動可能な可撓性駆動ビームを含む。コントローラは、可撓性駆動ビームの軸方向の移動に応答して、エンドエフェクタの初期関節動作位置を維持するように構成されている。
【0005】
上記実施形態の一態様によれば、エンドエフェクタは、アンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリを含む。可撓性駆動ビームは、アンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリを通って軸方向に移動して、アンビルアセンブリをカートリッジアセンブリに対して枢動させるように構成されている。
【0006】
上記実施形態の別の態様によれば、コントローラは、可撓性駆動ビームの移動による初期関節動作位置の変化を補償するために、第1のモータを調整するようにさらに構成されている。
【0007】
上記実施形態のさらなる態様によれば、コントローラは、メモリを含み、エンドエフェクタの初期関節動作位置をメモリに記憶する。コントローラは、可撓性駆動ビームの移動による初期関節動作位置の変化を補償して、初期関節動作位置を維持するようにさらに構成されている。メモリは、可撓性駆動ビームの複数の長手方向位置値のうちの1つに各々が対応する、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶する。コントローラは、長手方向位置値に対応する関節動作補正値に基づいて、第1のモータを調整するようにさらに構成されている。コントローラは、第2のモータの回転に基づいて、長手方向位置値を決定するようにさらに構成されている。
【0008】
上記実施形態のさらに別の態様によれば、外科用装置は、エンドエフェクタの測定された関節動作位置を取得するように構成された関節動作センサをさらに含む。コントローラは、測定された関節動作位置に基づいて、第1のモータを調整するようにさらに構成されている。
【0009】
本開示の別の実施形態によれば、外科用装置を制御するための方法は、エンドエフェクタを初期関節動作位置に関節動作させるように構成された第1の作動アセンブリを作動させるために第1のモータを動作させることと、エンドエフェクタを通って可撓性駆動ビームを移動させるように構成された第2の作動アセンブリを作動させるために第2のモータを動作させることと、第2の作動アセンブリの作動および可撓性駆動ビームの移動に応答して、第1のモータを調整することによって、初期関節動作位置を維持することと、を含む。
【0010】
上記実施形態の一態様によれば、本方法は、可撓性駆動ビームの移動中にエンドエフェクタの関節動作位置を測定して、測定された関節動作位置を取得することをさらに含む。本方法は、測定された関節動作位置に基づいて、初期関節動作位置の変化を補償するように第1のモータを調整することをさらに含む。
【0011】
上記実施形態の別の態様によれば、本方法は、可撓性駆動ビームの複数の長手方向位置値のうちの1つに各々が対応する、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶することをさらに含む。本方法は、長手方向位置値に対応する関節動作補正値に基づいて、第1のモータを調整することと、第2のモータの回転に基づいて、長手方向位置値を決定することと、をさらに含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用装置であって、
コントローラ、
第1のモータ、および
第2のモータを含む、ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリに結合するように構成された近位端部分、および遠位端部分を有する、長手方向軸を画定する、管状筐体、
前記管状筐体内に配置されており、かつ前記第1のモータに結合されている、第1の作動アセンブリ、ならびに
前記管状筐体内に配置されており、かつ前記第2のモータに結合されている、第2の作動アセンブリを含む、アダプタアセンブリと、
前記アダプタアセンブリの前記遠位端部分に結合するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記長手方向軸に対して垂直である関節動作軸の周りで前記エンドエフェクタを関節動作させる前記第1の作動アセンブリに結合されており、前記エンドエフェクタが、前記第2の作動アセンブリに結合されており、かつ前記第2の作動アセンブリによって軸方向に移動可能である可撓性駆動ビームを含む、エンドエフェクタと、を備え、
前記コントローラが、前記可撓性駆動ビームの軸方向の移動に応答して、前記エンドエフェクタの初期関節動作位置を維持するように構成されている、外科用装置。
(項目2)
前記エンドエフェクタが、アンビルアセンブリおよびカートリッジアセンブリを含む、上記項目に記載の外科用装置。
(項目3)
前記可撓性駆動ビームが、前記アンビルアセンブリおよび前記カートリッジアセンブリを通って軸方向に移動して、前記アンビルアセンブリを前記カートリッジアセンブリに対して枢動させるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目4)
前記コントローラが、前記可撓性駆動ビームの移動による前記初期関節動作位置の変化を補償するために、前記第1のモータを調整するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目5)
前記コントローラが、メモリを含み、前記エンドエフェクタの前記初期関節動作位置を前記メモリに記憶し、前記コントローラが、前記可撓性駆動ビームの移動による前記初期関節動作位置の前記変化を補償して、前記初期関節動作位置を維持するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目6)
前記メモリが、前記可撓性駆動ビームの複数の長手方向位置値のうちの1つに各々が対応する、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目7)
前記コントローラが、長手方向位置値に対応する関節動作補正値に基づいて、前記第1のモータを調整するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目8)
前記コントローラが、前記第2のモータの回転に基づいて、前記長手方向位置値を決定するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目9)
前記エンドエフェクタの測定された関節動作位置を取得するように構成された関節動作センサをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目10)
前記コントローラが、前記測定された関節動作位置に基づいて、前記第1のモータを調整するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目11)
外科用装置を制御するための方法であって、
エンドエフェクタを初期関節動作位置に関節動作させるように構成された第1の作動アセンブリを作動させるために第1のモータを動作させることと、
前記エンドエフェクタを通って可撓性駆動ビームを移動させるように構成された第2の作動アセンブリを作動させるために第2のモータを動作させることと、
前記第2の作動アセンブリの作動および前記可撓性駆動ビームの移動に応答して、前記第1のモータを調整することによって、前記初期関節動作位置を維持することと、を含む、方法。
(項目12)
前記可撓性駆動ビームの移動中に前記エンドエフェクタの関節動作位置を測定して、測定された関節動作位置を取得することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記測定された関節動作位置に基づいて、前記初期関節動作位置の変化を補償するように前記第1のモータを調整することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記可撓性駆動ビームの複数の長手方向位置値のうちの1つに各々が対応する、複数の関節動作補正値を有するデータベースを記憶することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
長手方向位置値に対応する関節動作補正値に基づいて、前記第1のモータを調整することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記第2のモータの回転に基づいて、前記長手方向位置値を決定することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
外科用装置は、コントローラ、第1のモータ、および第2のモータを有する、ハンドルアセンブリを含む。外科用装置はまた、ハンドルアセンブリに結合するように構成された近位端部分および遠位端部分を有する長手方向軸を画定する、管状筐体、管状筐体内に配置されており、かつ第1のモータに結合されている、第1の作動アセンブリ、ならびに管状筐体内に配置されており、かつ第2のモータに結合されている、第2の作動アセンブリを有する、アダプタアセンブリを含む。外科用装置は、アダプタアセンブリの遠位端部分に結合するように構成されたエンドエフェクタをさらに含む。エンドエフェクタは、長手方向軸に対して垂直である関節動作軸の周りでエンドエフェクタを関節動作させる第1の作動アセンブリに結合されている。エンドエフェクタはまた、第2の作動アセンブリに結合されており、かつ第2の作動アセンブリによって軸方向に移動可能な可撓性駆動ビームを含む。コントローラは、可撓性駆動ビームの軸方向の移動に応答してエンドエフェクタの初期関節動作位置を維持するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面を参照しながら本開示の実施形態を本明細書に記載する。
【0013】
図1】本開示の一実施形態による、手持ち式外科用装置、アダプタアセンブリ、および外科用装填ユニットの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1のアダプタアセンブリとハンドルアセンブリとの接続を示す斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による、ハンドルアセンブリの内部構成要素の斜視図である。
図4】本開示の一実施形態による、図1の切断面「4-4」に沿って取られたアダプタアセンブリの断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、図1の切断面「5-5」に沿って取られたアダプタアセンブリの断面図である。
図6】本開示の一実施形態による、図1のアダプタアセンブリの部品を分離した斜視図である。
図7】本開示の一実施形態による、図1の外科用装填ユニットの部品を分離した斜視図である。
図8】本開示の一実施形態による、発射または引き込み中のエンドエフェクタの望ましくない移動を補償するように外科用装置を動作させるための方法のフローチャートである。
図9】本開示の別の実施形態による、発射または引き込み中のエンドエフェクタの望ましくない移動を補償するように外科用装置を動作させるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで本開示の実施形態が図面を参照して詳細に記載され、図面の中で同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一のまたは対応する要素を示す。本明細書に使用される際、「臨床医」という用語は、医師、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、医療支援従事者を含み得る。この説明全体を通して、「近位」という用語は、臨床医により近い装置またはその構成要素の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医からより遠い装置またはその構成要素の部分を指す。さらに、図面中および続く説明において、例えば、前側、後側、上側、下側、頂部、底部、および類似の方向性の用語などの用語は、単に説明の便宜のために使用されており、本開示を限定することを意図するものではない。以下の説明では、周知の機能または構成は、本開示を不必要に詳細に示して不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されていない。
【0015】
本開示は、ハンドルアセンブリと、アダプタアセンブリを介してハンドルアセンブリに相互接続される装填ユニットと、を含む、電動外科用装置を提供する。装填ユニットは、エンドエフェクタを含み、エンドエフェクタは、アダプタアセンブリによって画定された長手方向軸に対して垂直である関節動作軸の周りで関節動作するように構成されている。エンドエフェクタは、一対の顎部材、すなわち、アンビルアセンブリと、ステープルを含むカートリッジアセンブリと、を含む。実施形態では、エンドエフェクタは、長手方向軸に対してどちらの方向にも約45度まで関節動作することができる。ハンドルアセンブリは、所望の関節動作方向に対応するスイッチの押下などの臨床医の入力に応答して、その関節動作を含むエンドエフェクタを作動させるように構成された1つ以上のモータを含む。
【0016】
最初に、臨床医は、例えば、アダプタアセンブリを回転させること、および/またはエンドエフェクタを関節動作させることによって、エンドエフェクタを所望の位置に配向させる。エンドエフェクタが所望の組織領域の周りに配置された後、臨床医は、エンドエフェクタを作動させて組織の周りをクランプし、ステープルを組織の中に射出し、エンドエフェクタを通して可撓性駆動ビームを前進させることによって、組織を切断する。ステープル留めおよび切断が完了した後、可撓性駆動ビームは、顎部材を開いて組織を解放するために引き込められる。
【0017】
引き込み中に、可撓性駆動ビームは、可撓性駆動ビームによってエンドエフェクタに付与される横方向の力に起因して、エンドエフェクタの関節動作位置を不意に変化させ得る。したがって、可撓性駆動ビームの引き込み中に静止状態を維持するのではなく、エンドエフェクタが意図せずに移動され、すなわち「収縮」する。この収縮は、元の関節動作角度に応じて平均で約13.5度であり得る。さらに、エンドエフェクタが左側に関節動作されるとき、これは、アダプタアセンブリの関節動作リンクを近位に移動させること(例えば、関節動作リンクを引くこと)によって達成され得、この引き込み収縮は、関節動作リンクが移動した距離の増加と共に増大し得る。エンドエフェクタが右側に関節動作されるとき、これは、関節動作リンクを遠位に移動させること(例えば、関節動作リンクを押し込むこと)によって達成され、この引き込み収縮は、押し込み関節動作の急速な増大を引き起こし、その後、関節動作の徐々の減少が続いて、当初に設定した関節動作位置に戻る。この関節動作の変化の原因は、関節動作中の可撓性駆動ビームの曲げによって引き起こされる顎部内の正味のモーメントに起因し得る。
【0018】
本開示は、可撓性駆動ビームの引き込み中に関節動作モータを制御することによって、エンドエフェクタ内の正味のモーメントを打ち消すためのシステムおよび方法を提供する。ハンドルアセンブリは、関節動作モータおよび発射モータの動作を制御するコントローラを含む。コントローラは、抗収縮アルゴリズムを具現化する一組のコンピュータ可読命令を含むソフトウェアを実行するように構成されている。アダプタアセンブリは、コントローラにフィードバックを提供するために可撓性駆動ビームの引き込み中に関節動作作動アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された、歪みゲージなどの荷重感知アセンブリを含む。次に、コントローラは、閉ループ制御方式で収縮を補償するように関節動作モータを動作させることによって、引き込みに起因して検出された収縮を補正する。
【0019】
別の実施形態では、コントローラは、閉ループ制御方式に頼ることなく、代わりにエンドエフェクタの関節動作角度に対応する補正因子を含むデータを利用して、関節動作モータを動作させてもよい。データは、経験的に収集され得るか、または導出され得る。各関節動作位置のみならず可撓性駆動ビームの長手方向位置について、データは、事前設定された補正因子を含み、これによりコントローラは、関節動作モータが収縮を補償するように関節動作リンクを移動させる移動量を推定することができる。したがって、開ループ制御方式は、発射開始時の初期関節動作に対応する関節動作位置の変化を含む収集されたデータに基づくことができる。
【0020】
ハンドルアセンブリはまた、可撓性駆動ビームの発射中(例えば、遠位方向への移動中)のみならず駆動ビームの引き込み中に、エンドエフェクタの関節動作位置を維持するように構成されている。(例えば、左側への)引っ張り関節動作についてのセンサフィードバックに基づく閉ループアルゴリズムを使用している間、ハンドルアセンブリは、発射中の関節動作の度合いを徐々に減少させ、引き込み中に関節動作の度合いをその初期発射位置へと迅速に復元する。開ループ制御方式を使用して、関節動作位置は、収集されたデータに対応する事前プログラムされた抗収縮パターンを使用して、引き込みまたは発射中に調整されてもよい。
【0021】
図1を参照すると、電動外科用装置10は、アダプタアセンブリ30と選択的に接続するように構成されたハンドルアセンブリ20を含み、アダプタアセンブリ30は、次に、エンドエフェクタ44を有する装填ユニット40と選択的に接続するように構成されている。概して電動外科用装置と称されているが、外科用装置10は、手動で作動されてもよく、または様々な構成を含んでもよいと考えられる。
【0022】
ハンドルアセンブリ20は、下部筐体部分24を有するハンドル筐体22と、下部筐体部分24から延在するおよび/またはその部分24上に支持される中間筐体部分26と、中間筐体部分26の一部分から延在するおよび/またはその一部分上に支持される上部筐体部分28と、を含む。ハンドルアセンブリ20はまた、複数の制御部23を含み、その複数の制御部23は、臨床医が外科用装置10の動作を制御することを可能にするために、ボタン、タッチスクリーン、または任意の他のユーザ入力装置を含むことができる。
【0023】
図2に示すように、上側筐体部分28の遠位部分は、アダプタアセンブリ30の近位端部分30bを受け入れるように構成された突出部または接続部分28aを画定する。上側筐体部分28の接続部分28aは、複数の電気接点31を有する電気レセプタクル29を含み、これらは、ハンドルアセンブリ20の電子機器(例えば、コントローラ38)および電気部品(例えば、電源37)と電気通信する(図3)。アダプタアセンブリ30は、電気レセプタクル29と係合するように構成された対応する電気コネクタ32を含む。電気コネクタ32はまた、対応する電気接点31と係合して電気的に接続する複数の電気接点34を含む。
【0024】
図3を参照すると、ハンドルアセンブリ20は、電源37に結合されたモータ36a、36b、36cを含む。ハンドルアセンブリ20はまた、モータ36a、36b、36cと、ハンドルアセンブリ20、アダプタアセンブリ30、および装填ユニット40の他の電子部品と、を動作させるためのコントローラ38を含む。モータ36a、36b、36cは、対応する駆動シャフト39a、39b、39c(図2)に結合されており、駆動シャフト39a、39b、39cの回転が、ソケット33a、33b、33cに付与されるように、これらの駆動シャフトは、近位端部分30b上の各々のソケット33a、33b、33cと係合するように構成されている。
【0025】
コントローラ38は、任意の好適な論理コントローラ(例えば、FPGA)と、モータ36a、36b、36c、ならびに外科用装置10の他の構成要素を動作させるために論理コントローラによって実行可能なソフトウェア命令を記憶するメモリと、を含むことができる。コントローラ38のメモリはまた、ソフトウェア命令に加えて、様々なデータを記憶してもよい。コントローラ38はまた、制御部23に結合されており、制御部23を介したユーザ入力に応答して、モータ36a、36b、36cを動作させるように構成されている。
【0026】
図4図6を参照すると、アダプタアセンブリ30は、ハンドルアセンブリ20の接続部分28aに動作可能に接続するように構成された近位端部分30bと、装填ユニット40に動作可能に接続するように構成された反対側の遠位端部分30cとの間に延在する管状筐体30aを含む。アダプタアセンブリ30は、作動アセンブリ35a、35b、35cを含み、これらの作動アセンブリの各々は、ソケット33a、33b、33cのうちの1つに結合されている(図6)。作動アセンブリ35a、35b、35cは、ソケット33a、33b、33cの回転運動を直線運動および/または回転運動に変えるように構成されており、そのため、アダプタアセンブリ30は、ハンドルアセンブリ20によって提供される回転運動を、長手方向軸X-Xの周りでアダプタアセンブリ30を回転させるための軸方向並進に変換することと、装填ユニット40を関節動作させることと、組織をクランプすることと、ファスナを射出することと、および固定された組織を切断することと、を行うように構成されている。
【0027】
図6を参照すると、作動アセンブリ35aは、関節動作リンク57の遠位端部分に配置されたフック57aを有する関節動作リンク57を含む。関節動作リンク57の長手方向の移動は、長手方向軸X-Xに対して垂直である関節動作軸Y-Y(図1および図7)の周りでエンドエフェクタ44を関節動作させるために使用される。作動アセンブリ35bは、駆動部材56を含み、この駆動部材は、エンドエフェクタ44のアンビルアセンブリ46およびカートリッジアセンブリ48を動作させるために使用される。作動アセンブリ35cは、長手方向軸X-Xの周りでアダプタアセンブリ30を回転させるために使用される。
【0028】
図5に示すように、アダプタアセンブリ30はまた、管状筐体30a内に配置された関節動作センサ61を含む。関節動作センサ61は、長手方向軸X-Xに対するエンドエフェクタ44の関節動作位置を感知するように構成された任意の装置とすることができる。実施形態では、関節動作センサ61は、作動アセンブリ35aまたは関節動作を担う任意の他の機械的リンケージの移動距離を測定するように構成されたエンコーダとすることができる。さらなる実施形態では、関節動作センサ61は、エンドエフェクタ44上の点とアダプタアセンブリ30との間の距離を測定するように構成された近接センサであってもよい。エンドエフェクタ44は、磁石61a(図7)を含んでもよく、関節動作センサ61は、磁石61aの距離に基づいて、センサ信号を出力するホール効果センサを含んでもよい。
【0029】
関節動作センサ61は、電気レセプタクル29と係合するように構成された電気コネクタ32を介してコントローラ38に結合されている。これにより、関節動作センサ61は、関節動作位置に対応したセンサ信号を伝送することができる。コントローラ38は、閉ループ制御方式におけるフィードバックパラメータとしてセンサ信号を利用してもよい。
【0030】
図1および図7を参照すると、装填ユニット40の一実施形態が示される。装填ユニット40は、近位本体部分42と、エンドエフェクタ44と、を含む。近位本体部分42は、アダプタアセンブリ30の遠位端部分30cに解放可能に取り付けられ、エンドエフェクタ44は、近位本体部分42の遠位端に枢動可能に取り付けられている。エンドエフェクタ44は、アンビルアセンブリ46と、カートリッジアセンブリ48と、を含む。アンビルアセンブリ46は、カートリッジアセンブリ48に対して枢動可能であり、開位置または非クランプ位置と閉位置またはクランプ位置との間で移動可能である。近位本体部分42は、駆動アセンブリ50と、関節動作リンク52と、を含む。
【0031】
駆動アセンブリ50は、遠位端部分54aと、近位係合区分54bと、を有する、可撓性駆動ビーム54を含む。遠位端部分54aは、ナイフ55aを有するI字形ビーム55を含む。I字形ビーム55は、アンビルアセンブリ46およびカートリッジアセンブリ48を通って移動し、それによってアンビルアセンブリ46をカートリッジアセンブリ48に向かって押し、組織をクランプするように構成されている。近位係合区分54bは、直径方向に対向した内向きに延在するフィンガ54cを含み、このフィンガは、駆動部材56(図5および図6)と係合して駆動部材56を可撓性駆動ビーム54の近位端にしっかりと固定する。駆動部材56は、アダプタアセンブリ30の作動アセンブリ35bによって作動される。
【0032】
エンドエフェクタ44のカートリッジアセンブリ48は、キャリア60内に取り外し可能に支持されたステープルカートリッジ58を含む。ステープルカートリッジ58は、中央長手方向スロット58aと、中央長手方向スロット58aの両側に位置付けられた複数直線列のステープル保持スロット58bと、を画定する。ステープル保持スロット58bの各々は、単一のステープル62と、ステープルプッシャー64の一部分と、を受容する。外科用装置10の動作中、駆動アセンブリ50は、作動そり66に当接し、ステープルカートリッジ58を通して作動そり66を押す。作動そり66がステープルカートリッジ58を通って移動すると、作動そり66のカム楔は、ステープルプッシャー64と順次係合して、ステープルプッシャー64をステープル保持スロット58b内で垂直に移動させ、アンビルアセンブリ46のアンビルプレート46aに対する形成のためにそこから単一のステープル62を順次射出する。
【0033】
装填ユニット40の近位本体部分42は、アダプタアセンブリ30の作動アセンブリ35aに結合された対向する関節動作リンク57と係合する装填ユニット40の近位端から延在するフック付き近位端部分52aを有する関節動作リンク52を含む。関節動作リンク52は、エンドエフェクタ44に枢動可能に固定された遠位端部分52bを有する。関節動作リンク57がアダプタアセンブリ30の作動アセンブリ35aによって近位方向または遠位方向のいずれかに軸方向に移動されると、装填ユニット40の関節動作リンク52も同じ様態で移動される。関節動作リンク52の軸方向の移動は、次に、軸Y-Yを画定する枢動ピン59の周りでエンドエフェクタ44を関節動作させる(例えば、枢動させる)。
【0034】
図8を参照すると、可撓性駆動ビーム54の発射または引き込み中のエンドエフェクタ44の望ましくない移動を補償するために外科用装置10を動作させるための方法が示されている。本方法は、コントローラ38のメモリに記憶されたソフトウェアまたは任意の他のコンピュータ可読命令として具現化することができる。最初に、臨床医は、制御部23を作動させてエンドエフェクタ44を所望の位置に配向させ、これは、アダプタアセンブリ30を回転させること、および/またはエンドエフェクタ44を軸X-Xに対して関節動作させることを含み得る。エンドエフェクタが一旦所望の位置にくると、臨床医は、制御部23を作動させて、アンビルアセンブリ46を開くまたは閉める。実施形態では、臨床医は、可撓性駆動ビーム54を発射させるまたは引き込ませるために制御部23を作動させることができ、これは、最初にアンビルアセンブリ46を開くことまたは閉めることを含む。実施形態では、本方法は、可撓性駆動ビーム54の引き込み中のエンドエフェクタ44の望ましくない移動を補償することにも好適である。エンドエフェクタ44は組織の周りでクランプされるであろうことから、エンドエフェクタ44の位置決めは、不要であろう。
【0035】
制御部23を作動させた後、コントローラ38は、作動アセンブリ35bを移動させることによって、アンビルアセンブリ46を開くまたは閉めるように作動アセンブリ35bを移動させる。より具体的には、コントローラ38は、アンビルアセンブリ46を開くまたは閉めるために、所定の回転数だけ回転させるようにモータ36bに命令する。アンビルアセンブリ46を一旦開いたまたは閉めたら、コントローラ38は、次に、初期関節動作位置を取得する。コントローラ38は、関節動作位置を取得するために作動アセンブリ35bの移動を中断してもよい。実施形態では、初期関節動作位置は、コントローラ38のメモリに記憶されている最後に記憶された関節動作位置であってもよい。より具体的には、コントローラ38は、エンドエフェクタ44を関節動作させるために作動アセンブリ35aを動作させるモータ36aの回転数に対応する関節動作位置を連続的に記録する。これにより、コントローラ38は、最後に記録された関節動作位置を本方法の目的のための初期関節動作位置として使用することができるので、関節動作位置を連続的に追跡することができる。
【0036】
初期関節動作位置がメモリに一旦保存されると、コントローラ38は、可撓性駆動ビーム54を発射させることまたは引き込むことを進める。作動アセンブリ35bが移動されると、コントローラ38は、可撓性駆動ビーム54の現在位置に基づいて、エンドエフェクタ44の関節動作位置の変化を補償する。コントローラ38は、モータ36aの位置を調整するための関節動作補正値のデータベースをメモリに記憶し、これは、作動アセンブリ35aを移動させてエンドエフェクタ44を関節動作させることを担う。データベースはまた、モータ36bの複数の位置値を含み、これは、発射または引き込み中に可撓性駆動ビーム54を移動させる作動アセンブリ35bを移動させることを担う。可撓性駆動ビーム54の各位置値は、データベース内の関節動作補正値に対応する。データベースにおいて、関節動作補正値は、可撓性駆動ビーム54の発射および引き込み中の関節動作位置の変化を測定することによって、取得されてもよい。さらなる実施形態では、関節動作補正値は、発射および/または引き込み移動を関節動作位置と相関させる伝達関数を使用して導出されてもよい。
【0037】
可撓性駆動ビーム54が移動されると、コントローラ38は、対応する関節動作補正値に基づいて、作動アセンブリ35aの位置を調整する。より具体的には、コントローラ38は、(エンドエフェクタ44の関節動作を担う)作動アセンブリ35aを移動させることによって、(可撓性駆動ビーム54の移動を担う)作動アセンブリ35bの移動によるエンドエフェクタ44の関節動作位置の変化を補償する。モータ36bの各回転について、コントローラ38aは、モータ36aに回転数を与える関節動作補正値に基づいて、作動アセンブリ35aを作動させるようにモータ36aに命令する。可撓性駆動ビーム54が移動されると、コントローラ38は、可撓性駆動ビーム54の発射または引き込みが完了するまで、データベースに基づいて、関節動作位置を調整し続ける。
【0038】
図9は、可撓性駆動ビーム54の発射または引き込み中のエンドエフェクタ44の望ましくない移動による外科用装置10の動作を補償するための別の方法を示す。図9の方法は、関節動作センサ61からのセンサ信号を利用してモータ36aを移動させ、それによって作動アセンブリ35aを移動させてエンドエフェクタ44の望ましくない移動を補償する。図9の方法は図8の方法と類似しており、相違点のみを以下に説明する。
【0039】
アンビルアセンブリ46を閉めるまたは開くように制御部23を作動させた後、コントローラ38は、作動アセンブリ35bを移動させることによって、アンビルアセンブリ46を開くまたは閉めるように作動アセンブリ35bを移動させる。アンビルアセンブリ46を一旦開いたまたは閉めたら、コントローラ38は、次に、関節動作センサ61に問い合わせて関節動作位置を取得することによって、初期関節動作位置を取得する。コントローラ38は、初期関節動作位置を取得するために作動アセンブリ35bの移動を中断してもよい。
【0040】
初期関節動作位置がメモリに一旦保存されると、コントローラ38は、可撓性駆動ビーム54を発射させることまたは引き込むことを進める。作動アセンブリ35bが移動されると、コントローラ38は、関節動作センサ61からの読み取りに従って、エンドエフェクタ44の関節動作位置の変化に基づいて、エンドエフェクタ44の関節動作位置の変化を補償する。可撓性駆動ビーム54が移動されると、コントローラ38は、(エンドエフェクタ44の関節動作を担う)作動アセンブリ35aを移動させることによって、(可撓性駆動ビーム54を移動させることを担う)作動アセンブリ35bの移動によるエンドエフェクタ44の関節動作位置の変化を補償する。可撓性駆動ビーム54が移動されると、コントローラ38は、可撓性駆動ビーム54の発射または引き込みが完了するまで、データベースに基づいて、関節動作位置を調整し続ける。
【0041】
実施形態では、外科用装置10が関節動作補正値のデータベースのみならず関節動作センサ61を利用してハイブリッド補償方法を提供するように、図8および図9の方法を任意の好適な様態で組み合わせてもよい。関節動作センサ61は、エンドエフェクタ44の初期関節動作位置を取得し、モータ36aの調整を行うために関節動作センサ61からの読み取りと併せてデータベースを利用するために使用されてもよいことが想定される。代替的に、初期関節動作の読み取りは、最後に記憶された関節動作位置を使用することと、調整を行うために関節動作センサ61のみを使用することと、によって行われてもよい。
【0042】
本開示のアダプタアセンブリの実施形態に対して様々な改変がなされ得ることを理解されたい。したがって、上の説明は、限定するものではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲および趣旨内での他の改変を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9