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特許7431907膜型人工肺を用いた低圧酸素化のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】膜型人工肺を用いた低圧酸素化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240207BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61M1/16 107
A61M1/36 185
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022135314
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2019506402の分割
【原出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2022177019
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】62/369,278
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519037773
【氏名又は名称】キース・ギプソン
【氏名又は名称原語表記】Keith GIPSON
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】キース・ギプソン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/012536(WO,A1)
【文献】特開昭63-257573(JP,A)
【文献】国際公開第2015/047927(WO,A1)
【文献】特表平06-503725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧酸素化のためのシステムであって、
流体源と、
前記流体源に流体接続され、前記流体源からの前記流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、
前記流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、
前記流体源に流体接続され、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、
前記人工肺に流体接続され、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成された人工肺流入センサと、
工肺流入流コントローラと、を備え
前記人工肺流入センサは、前記人工肺と前記人工肺流入流コントローラとの間にある、システム。
【請求項2】
前記人工肺流入センサは、麻酔薬気化器からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記人工肺流入流コントローラは、前記麻酔薬気化器に流体接続され、前記麻酔薬気化器からの流体の流量を制御するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人工肺流入センサは、前記流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記人工肺流入流コントローラは、前記流体源に流体接続され、前記流体源からの流体の流量を制御するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体源および前記人工肺に流体接続されたスイープガスリザーバをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記人工肺流入センサは、前記スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記人工肺流入流コントローラは、前記スイープガスリザーバに流体接続され、前記スイープガスリザーバからの流体の流量を制御するように構成される、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記人工肺に流体接続され、前記酸素化された流体から、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流出センサと、
前記人工肺に流体接続され、前記人工肺からの流体の流量を制御するように構成された流出流コントローラと、をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記人工肺は、膜型人工肺、拡散膜型人工肺、中空糸微多孔膜型人工肺、または密閉されたハウジングを有する微多孔膜型人工肺である、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記人工肺は、通気口を含むスイープガス出口マニホールドを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
通気口が、医療グレード材料のベルト、ブーツまたは箱、前記人工肺を囲むチャンバ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせによって閉じられ、または、
開口部が、他の装置を備えた前記人工肺のアタッチメントに干渉しない、シリコーン、ゴム、またはプラスチックなどの医療グレード材料の特別に装着されたベルトによって閉塞される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体は、酸素、二酸化炭素、麻酔薬、空気、窒素、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせである、および/または、
血液が前記システム内を流れる、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記人工肺は、前記人工肺の出口に流体接続されている陽圧リリーフ弁をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記人工肺に流体接続され、前記低大気圧を提供するように構成された真空調整器をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記流入センサ、前記人工肺流入センサ、および前記流出センサのうちの2つ以上で測定された特性間の差を決定するように構成され、そして前記差に応じて、前記流入流コントローラ、前記人工肺流入流コントローラ、または前記流出流コントローラのうちの1つまたは複数における流れを調整するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記流入センサおよび前記人工肺流入センサの2つ以上で測定された特性間の差を決定するように構成され、そして前記差に応じて、前記流入流コントローラおよび前記人工肺流入流コントローラのうちの1つまたは複数における流れを調整するように構成される、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年8月1日に出願された米国仮特許出願第62/369,278号に基づく優先権を主張し、その内容はその全体が参照により本明細書に含まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、膜酸素化を用いる低圧酸素化(hypobaric oxygenation)に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓手術中など人工的な手段によって心臓および肺の機能を置き換える必要がある。また、より重篤な肺不全、心不全、または腎不全中におけるように、より慢性的な病状においても、移植用の臓器が利用可能になるまで、様々な人工的な手段によって生命の維持を支援することができる。多くの臨床状況では、人工臓器が組み込まれている体外回路が必要とされている。
【0004】
気泡は血液中に容易に形成され、体外循環中に生物の循環内に押し出される。気泡は、キャビテーション、温度勾配、および被験体自身の血液と入ってくる血液との間での溶存ガスの量の差、ならびに外科的操作または液体の非経口的投与中の介護人による気泡の血液中への不注意な物理的導入を含む多くの原因から形成される。心臓手術の場合、体外回路は、例えば酸素化および二酸化炭素の除去用に使用されるガス交換装置、例えば人工肺(oxygenator)を含む。人工肺内の血液とガスとの間の密接な接触は、循環血液中への気泡の不注意な侵入の重大な危険性をもたらす。
【0005】
現在、心臓手術中の気泡形成を回避するために、気泡型人工肺の代わりに膜型人工肺が使用され、高い温度勾配が回避され、術野における吸引の使用を制御する。人工心肺(Heart-lung machines)は、人工心肺を制御する人に小さな気泡の出現を警告し、より大きな気泡が現れた場合には主要ポンプを直ちに停止する気泡センサを含む。典型的には、気泡センサは、約0.3ミリメートル(mm)以上の直径を有する気泡を識別することができ、3~5mmの直径を有する気泡が認識された場合には主要ポンプを停止する。
【0006】
心臓手術は、しばしば、医療費を増加させるとともに、機能的能力および生活の質を低下させる、術後の神経認知障害を併発する。この重大な公衆衛生問題への多元的な原因として、ガス状微小塞栓(GME)が含まれることが考えられる。膜酸素化および動脈フィルタの使用にもかかわらず、心肺バイパス(CPB)の間、動脈循環は直径10~40マイクロメートル(μm)の何千ものGMEを受容する。血管閉塞性GMEは、脳および他の末端器官(末端臓器 end organs)において組織虚血を引き起こし、内皮を露出させ、血管拡張、透過性の増大、血小板および凝固カスケードの活性化、ならびに炎症の補体および細胞メディエータの漸増をもたらす。
【0007】
現在の灌流法は、空気による希釈によって人工肺スイープガス中の酸素分圧を低下させることによって、CPB中の軽度に高酸素の血液ガスを目指しているが、それは血液中に窒素を溶解させるという不必要な副作用を生じさせる。このように溶存ガスで飽和した血液は、GMEのように気泡の形で存在するガスを溶かすことがほとんどできない。
【0008】
それにもかかわらず、気泡の発生、例えば心臓手術中の気泡の形成を防止または低減する必要性が残っている。血液気泡では、液気界面に、約40~100オングストローム(Å)(4~10ナノメートル)のリポタンパク質の層があるが、これは、異物、例えばガスとの直接接触により変性する。次に、ハーゲマン因子が活性化され、凝固を開始すると共に、それに付随して、手術創からの出血を防ぐために使用される凝固を促進する因子の不都合な消費を開始する。
【0009】
これらの状況における循環補助のための人工心肺の使用は、神経学的障害および他の末端臓器損傷または機能不全の徴候と関連している。人工心肺から患者の動脈循環へのガス塞栓の送達を含む、幾つかの潜在的なメカニズムが働いている可能性があり、それは患者の微小血管および末端臓器に損傷を与える可能性がある。したがって、患者へのガス状微小塞栓の送達を減少させるためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本明細書には、膜酸素化を用いる低圧酸素化のためのシステムおよび方法が開示されている。本システムおよび方法は、常圧(すなわち、大気圧)酸素化を用いる既存の酸素化システムとは異なる動作原理を組み込んでいる。一実施形態では、システムおよび方法は、人工肺の入口、人工肺の出口、麻酔薬気化器、スイープガスリザーバの入口または出口、あるいはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を含む、酸素化システム内の幾つかの場所のいずれかでの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画(oxygen fraction)、二酸化炭素分画(carbon dioxide fraction)、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの分析、制御、またはその両方を可能にする。この分析および制御は、酸素化プロセスのより多くの管理ならびに血液および他の流体からのガス塞栓の改善された排除を可能にする。
【0011】
低圧酸素化のためのシステムであって、流体源と、前記流体源に流体接続され、前記流体源からの前記流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、前記流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、前記流体源に流体接続され、低大気圧つまり大気圧より低い気圧)(subatmospheric pressure)を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、前記流体源および前記人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、前記人工肺に流体接続され、任意のスイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成された人工肺流入センサと、前記スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続されており、前記スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、前記人工肺に流体接続され、前記スウィープガスから、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された任意の流出センサと、前記人工肺に流体接続され、前記人工肺からの流体の流量を制御するように構成された任意の流出流コントローラと、前記流入センサ、前記人工肺流入センサ、前記流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、前記流入流コントローラ、前記人工肺流入流コントローラ、または前記流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備えるシステムが提供される。
【0012】
麻酔を提供する方法であって、膜型人工肺システム内に低大気圧を提供することと、圧力調整器および流量制限器を介して人工肺に麻酔薬含有流体を導入することと、麻酔を提供するために、蒸気ベースの麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)0と2~4との間で(つまり、蒸気ベースの麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)が0と2~4との間になるように)麻酔薬の分圧を制御することとを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示の幾つかの構成部分を具体化し、その説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0014】
図1】使用可能な人工肺の概略図である。
【0015】
図2】低圧酸素化システムの概略図である。
【0016】
図3】密閉用の例示的なチャンバ例を示す。
【0017】
図4】密閉用の例示的なチャンバ例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の開示は、膜型人工肺を使用する低圧酸素化のための方法およびシステムを提供する特定の実施形態を詳述する。本明細書で使用される機構および方法の概要が提供される。低圧酸素化は、流体システム(流体系)中のガス状微小塞栓(GME)を減少させるのに役立つ。
【0019】
本明細書で使用されるように、「流体」および「血液」は、他に注記がない限り、互換的に使用される。本システムおよび方法は、血液、または代用血液、人工血液、血漿,血小板,アルブミン,血漿濃縮物などの血液製剤、または食塩水などの晶質液(crystalloids)、乳酸リンゲル液、ノルモゾル、プラズマライト、ヘタスターチ、または他の流体に使用できることを理解されたい。本システムおよび方法は、酸素、空気、二酸化炭素、または他のガスなどの、ガスである流体に使用できることを理解されたい。特に明記しない限り、ガスは「流体」の定義に含まれる。流体は、溶存ガスを含む液体であり得る。
【0020】
流体源は、動物、例えばヒト、または他の哺乳動物などの被験体由来であり得る。流体源は、流体リザーバであり得るか、または被験体の外部の供給源からであり得る。被験体は、治療または評価を受けている患者であり得る。
【0021】
圧力、流速、あるいは流量などの、流体源から人工肺に入って人工肺から出る流体の量および流れ特性は、電子制御付きまたは電子制御のないニードル弁、質量流量コントローラ、ソレノイド流量コントローラ、ポンプ、クランプ、部分閉塞クランプ、または他の流量コントローラまたは流量制限器などの流量コントローラによって制御することができる。ポンプは、当技術分野で知られているように、遠心ポンプまたはローラ閉塞ポンプであり得る。本明細書でさらに説明されるように、流量コントローラは、独立して制御することができる、またはシステムの他の構成部分を制御するように構成されたコントローラによって制御することができる。一実施形態では、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、および任意の(optional)流出流コントローラの少なくとも1つは、コントローラから信号を受信するように構成された質量流量コントローラである。
【0022】
一実施形態では、前記流入流コントローラおよび前記人工肺流入流コントローラは、人工肺への一定のスイープガス供給を維持するように、かつ、それらの間にある気化器がほぼ大気圧で機能することを可能にするように調整される。一実施形態では、麻酔薬気化器が前記システムおよび方法で使用される。例えばECMO回路には、麻酔薬気化器が常に存在するわけではない。
【0023】
気化器の動作のために、流量コントローラのシステムがほぼ大気圧で一定のスイープガス供給を維持するためには、流入流コントローラと人工肺流入流コントローラとの間にスイープガスリザーバを使用することが望ましい、あるいは必要である。スイープガスリザーバは任意の構成要素である。リザーバは、完全に弾性的、完全に剛性的、または部分的に剛性かつ部分的に弾性的であり得る。リザーバは、周囲の室内空気から隔離して酸素、窒素、二酸化炭素、および麻酔薬蒸気を収容することができる。流入流コントローラを通る流れと人工肺流入流コントローラを通る流れとの間の一時的な違いを和らげることを目的としているため、リザーバは、スイープガス処理システムの適切な機能を可能にするのに必要な任意のサイズであり得る。使用される場合、スイープガスリザーバ、または流入流コントローラと人工肺流入流コントローラとの間の接続部は、圧力計、陰圧警報、陽圧リリーフ弁、および陰圧リリーフ弁を含むことができる。気化器の麻酔薬アウトプットはその動作圧力に依存するので、システムのこの部分における圧力の精密な制御が保証される。一実施形態では、陰圧アラームおよび陰圧リリーフ弁は、周囲圧力に対して-50mmHgまたはその付近でトリガされる。一実施形態では、陰圧アラームは、陰圧リリーフ弁に取り付けられた笛または他の適切な電子機器または機械的機器である。一実施形態では、陰圧リリーフ弁は、室内空気の望ましくない引き込み(entrainment)を回避するために補助酸素源に取り付けられる。一実施形態では、陽圧リリーフ弁は、周囲圧力に対して+50mmHgまたはその付近で開く。
【0024】
システム内の流体の1つまたは複数の特性を測定するためにセンサが使用される。センサをシステム内の任意の望ましいまたは有用な位置に使用して、流量、流体組成、圧力、温度、ヘマトクリット、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、抗凝固剤または他の薬剤の濃度、酸素、窒素、二酸化炭素、空気などのガスの濃度、血中酸素飽和度、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを決定することができる。システムは、1つまたは複数の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含むことができる。これらのセンサは、当業者に知られている複数の一般的なセンサのうちのいずれでもよい。
【0025】
実施形態では、センサは流体源の後の位置に導入され、センサは流体が人工肺に入る前の位置に導入され、任意のセンサは流体が人工肺から通過した後の位置に導入される。当技術分野で知られているものと同じセンサを使用することができ、流体経路は流入と流出、またはその一部分を別個に含むことができる。当業者に知られているように、フィルタをシステム内の任意の適切な場所で使用して、任意の所望の物質、例えば気泡、微粒子、二酸化炭素などの特定のガス、または任意の他の所望の物質などを除去することができる。フィルタは、ポリエステルなどの任意の適切な材料から作製することができる。二酸化炭素吸収剤は、ソーダライム、バラライム、またはアモソルブなどの任意の適切な物質であり得、スイープガスの循環または再循環システム(系)の一部として使用され得る。
【0026】
人工肺は、膜型人工肺、拡散膜型人工肺、または中空糸微多孔膜(microporous membrane)型人工肺などの複数の装置のうちのいずれであってもよい。一実施形態では、人工肺は、密閉されたハウジングを有する微多孔膜型人工肺である。流体と人工肺との間、流体とスイープガス源との間、流体と静脈リザーバとの間、および流体と被験体との間の接続、および他の接続は、過度の実験なしに当業者に知られているものである。人工肺の動作(操作)は、過度の実験なしに当業者に知られている。
【0027】
一実施形態では、人工肺は低大気圧を有するように構成される。市販の人工肺は、スイープガス入口と、本明細書ではスイープガス入口マニホールドと呼ばれるスイープガスファイバ束の上流端との間が気密であり、本明細書での低大気圧の適用は、変更せずに達成可能である。本明細書でスイープガス出口マニホールドと呼ばれる、スイープガスファイバ束の下流端からスイープガス出口まで、市販の人工肺は典型的には、圧力を逃がすための1つまたは複数の通気口を有する。これらの通気口の閉塞は、人工肺ファイバ束への低大気圧の適用を成功させるために不可欠である。通気口の閉塞は、多くの人工肺モデルにおいて達成するのが困難である。人工肺用の密閉されたハウジングを提供するために、任意の適切な方法を使用することができる。一実施形態では、市販の膜型人工肺が使用され、既存のポートの幾つかは、例えばパテ、ワックス、またはストッパで閉じられるか、または密閉される。一実施形態では、他の装置を含む人工肺のアタッチメント(付属品 attachment)に干渉しない、シリコーン、ゴム、またはプラスチックなどの医療グレード材料の特別に装着されたベルトによって、複雑な通気口のアレイが閉塞される。一実施形態では、人工肺のハウジングは、シリコーン、プラスチック、ポリカーボネート、ポリマー、ガラス、金属、またはゴムなどの医療グレード材料の、ブート(トランク、荷物入れ、boot)または箱に似た外付けチャンバを使用して密閉される。一実施形態では、チャンバは、血液入口および出口チューブ、スイープガス入口および出口チューブ、水熱交換器入口および出口チューブ、血液リザーバ、人工心肺、またはIVポールへの物理的アタッチメント、心停止ライン、血液サンプルライン、エアパージライン、温度センサケーブル、カプノグラフィサンプルライン、またはシャントラインのうちの1つまたは複数を含む必要なアタッチメント用の気密入口および出口ポートを可能にする。一実施形態では、チャンバは人工肺全体を囲む。一実施形態では、チャンバは、人工肺の胴または中央部分の比較的滑らかな部分、または人工肺の他の適切な部分の周囲にシールを形成し、スイープガス出口マニホールドおよびその通気口を含む人工肺の端部を囲む。一実施形態では、チャンバは、人工肺の通気口を室内の空気から隔離することによって、人工肺に陰圧をかけることを可能にする。一実施形態では、チャンバは完全に可撓性である。一実施形態では、チャンバは、必要な構成要素を用いて気密シールを形成するのに必要な場合を除いて、完全に剛性である。一実施形態では、チャンバは、利用の容易さを支援しながら、また人工肺のアタッチメントの幾つかに脅威を及ぼし得る真空下での変形に抵抗しながら、通気ポートの隔離を容易にするための剛性および可撓性構成要素の組み合わせを有する。一実施形態では、可撓性部分は、剛性部分上の溝に挿入またはスナップ嵌合する隆起部を含み、組み立てを容易にしかつ真空下での漏れに抵抗する。一実施形態では、チャンバは1つまたは複数の陽圧リリーフ弁を含む。一実施形態では、チャンバは、人工肺のスイープガス出口に真空源を適用する代わりに、真空源を取り付けるための取り付け具を提供する。幾つかの人工肺にチャンバを適用することは、血液リザーバまたは人工心肺の他の支持構成要素から人工肺を取り外すことを必要とし得る。一実施形態では、チャンバは、人工肺をその支持体、または人工心肺の他の構成要素もしくはその機器に再装着するための取り付け具を含む。一実施形態では、取り付け具は、フック、ループ、ピン、ワイヤ、ストリング、チェーン、弾性バンド、成形プラスチック取り付け具、クランプ、クリップ、接着剤、または人工心肺または機器上の同様の取り付け具用のレセプタクルのうちの1つまたは複数を含む。一実施形態では、チャンバは、人工肺の視認を可能にするための透明部分を有する。一実施形態では、チャンバは、人工肺および関連構成要素との組み立て、適用、または密閉を可能にするために複数の部分から構成される。一実施形態では、チャンバは、気密取り付けを容易にするためにOリング、シール、ワッシャ、またはブッシュを使用する。一実施形態では、チャンバは真空計を含む。一実施形態では、チャンバは外部真空計用のアタッチメントを有する。一実施形態では、人工肺は微小孔を含まない。
【0028】
人工肺ハウジングが直接またはチャンバによって密閉されると、排気スイープガスの副流分析が可能になる。この分析の結果は、ユーザによってまたは自動化システムにおける電子制御によって、人工心肺を制御するために使用され得る。一実施形態では、ガス/蒸気サンプリング用の副流ポートは、スイープガス出口に流体接続され、出口上、チャンバ上、チャンバ出口上、またはスイープガス出口の下流の真空装置上、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせに配置することができる。一実施形態では、排気スイープガス中の酸素の測定値を使用して、人工肺のスイープガス隔室またはスイープガス混合物に印加される圧力の量を制御する。一実施形態では、人工肺は、1つの流体源からのスイープガスを使用して、異なる流体源からの血液を酸素化する。一実施形態では、排気スイープガス中の二酸化炭素の測定値を使用して、スイープガス流量を制御する。一実施形態では、麻酔薬蒸気の測定値を使用して、麻酔薬気化器またはスイープガス中の麻酔薬蒸気の量を制御する。一実施形態では、システムは麻酔薬気化器を含む。一実施形態では、人工肺内の低大気圧の測定値を使用して、麻酔薬気化器、スイープガス中の麻酔薬蒸気の量、または人工肺のスイープガス隔室に印加される圧力の量、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御する。一実施形態では、測定された麻酔薬蒸気は、人工肺内の低大気圧のレベルに対して調整されて、麻酔薬蒸気の有効分圧の値を提供し、これを使用して、麻酔薬気化器、スイープガス中の麻酔薬蒸気の量、または人工肺のスイープガス隔室に印加される圧力の量、またはこれらの少なくとも1つの組み合わせを制御する。例えば、0.5絶対気圧で送達される2%セボフルラン蒸気は、麻酔薬の分圧が低大気圧によって低下するので、大気圧で送達される1%セボフルラン蒸気と同じくらい効果的である。一実施形態では、制御は、ユーザが測定値を読み取り、それに反応することを含む。一実施形態では、制御は、回路構成要素およびプログラム可能ソフトウェアのコンピュータ制御を含む。一実施形態では、ユーザは、ソフトウェア内の酸素、二酸化炭素、または麻酔薬蒸気の濃度または圧力について目標濃度を入力することができる。
【0029】
血液中で測定された酸素化値を用いて、あるいは酸素張力(oxygen tension)または二酸化炭素張力(carbon dioxide tension)の測定を含む連続的もしくは間欠的(断続的)な血液ガスを介して測定された酸素化値を用いて、酸素化パラメータを制御することも可能である。一実施形態では、患者からの動脈または静脈の戻りライン上の酸素濃度計からの読み出しを使用して、酸素不飽和化が固定レベルまたはユーザが決定したレベルを下回る場合に、ファイバ束内の低大気圧を遮断または調整する。一実施形態では、間欠的または連続的な血液ガスからの酸素読み出しを使用して、ファイバ束内の低大気圧を調整し、患者の酸素化目標を達成する。一実施形態では、間欠的または連続的な血液ガスからの二酸化炭素の読み取り値を使用して、ファイバ束内のスイープガスの流量を調整して、患者の二酸化炭素除去およびpH目標を達成する。一実施形態では、制御は、ユーザが測定値を読み取り、それに反応することを含む。一実施形態では、制御は、回路構成要素およびプログラム可能ソフトウェアのコンピュータ制御を含む。一実施形態では、ユーザは、ソフトウェア内の酸素、二酸化炭素、pH、または任意の他の所望のパラメータの濃度または圧力についての目標濃度を入力することができる。
【0030】
流体が人工肺を通過した後、流体は、例えば、保存されるか、あるいは被験体または患者に再注入されるか、あるいは人工心肺を通して再循環され得る。
【0031】
システムのパラメータは、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、流出流コントローラ、流入センサ、人工肺流入センサ、流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラによって制御することができる。システムの各パラメータは、手動ダイヤルまたは手動弁の使用などによって、独立して制御することもできる。一実施形態では、コントローラは、プロセッサと、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令とを含む。一実施形態では、コントローラはパラメータを無線で制御する。
【0032】
一実施形態では、コントローラおよび他の電子機器は、システムから分離することができる装置に統合されている。一実施形態では、コントローラおよび他の電子機器は、IVポールまたは他の位置に取り付けることができる箱または装置に一体化することができる。一実施形態では、コントローラは、センサからの特性が表示され、それに応じて人工肺に出入りする流体の流れ、圧力、または他のパラメータが調整される看護ステーションなど、遠隔で使用することができる。一実施形態では、コントローラはコンピュータシステムの一部であり、調整はコンピュータプログラムで行うことができる。一実施形態では、コントローラは、流入センサ、人工肺流入センサ、または流出センサで測定された特性間の差を決定するように構成され、またその差に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラにおける流れを調整するように構成される。
【0033】
一実施形態では、室内空気、圧縮空気、酸素、二酸化炭素、麻酔薬、または他のガスまたは蒸気が流体源に導入され、二酸化炭素、または他のガスまたは蒸気の濃度が流出センサで測定される。室内空気中の二酸化炭素および他のガスの量は既知であり、人工肺からの二酸化炭素および他のガスの量は、人工肺からの流体中のガスの濃度を決定するために既知の関係を用いて計算できる。流体源は既知の濃度のガスを有することができ、あるいはガスの濃度は流入センサまたは人工肺流入センサで評価することができる。
【0034】
一実施形態では、人工肺内の圧力は低大気圧であり、0.1~1絶対気圧の圧力を有することができる。一実施形態では、システムは、人工肺に流体接続され、低大気圧を提供するように構成された真空調整器を含む。一実施形態では、人工肺内の圧力は通常大気圧の10~100パーセントである。一実施形態では、人工肺の流出口における酸素濃度は85~100%である。一実施形態では、出口での窒素の分圧はゼロであるか、ゼロに近いか、または最小化されている。
【0035】
人工肺に入る流体は様々な薬剤またはガスで、濾過、冷却、温め、強化することができ、またはその他の方法で処理することができる。流体は、酸素化される流体、例えば血液であり得るか、または酸素を提供する流体、例えばスイープガスであり得る。一実施形態では、人工肺の流出口における酸素分圧は50~800mmHgである。一実施形態では、人工肺の流出口における酸素分圧は100~700mmHgである。一実施形態では、人工肺の流出口における酸素分圧は75~650mmHgである。一実施形態では、人工肺の流出口における酸素分圧は150~250mmHgである。一実施形態では、人工肺の流出口における二酸化炭素分圧は0~100mmHgである。一実施形態では、出口における窒素分圧はゼロである。一実施形態では、出口における窒素分圧は最小にされる。一実施形態では、出口における窒素分圧は、最大約600mmHgまでの非ゼロレベルである。
【0036】
流体源は、1つまたは複数の流体を組み合わせるように構成されたブレンダ(混合器)とすることができる。本システムは、血液、血液製剤、代用血液、酸素、二酸化炭素、麻酔薬、空気、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせなど、幾つかの異なる流体に使用することができる。一実施形態では、血液がシステム内を流れる。
【0037】
一実施形態では、人工肺は、凝縮物を集めるための凝縮物出口ポートまたは凝縮キャビティをさらに備える。一実施形態では、凝縮物出口ポートは、ドレン穴つまり排出口、または水もしくは他の凝縮のための別個のリザーバを有する。一実施形態では、凝縮キャビティは人工肺ハウジングの一部である。一実施形態では、凝縮キャビティは、人工肺ハウジング内のスイープガス出口またはスイープガス出口マニホールド付近にある。一実施形態では、凝縮キャビティは、人工肺ハウジングの下垂部分(すなわち、重力により、低い位置)にある。一実施形態では、凝縮物出口ポートは凝縮キャビティの下垂部分に生じる。一実施形態では、凝縮物出口ポートは、オペレータによって手動で開閉することができるストッパなどの閉塞装置を伴う、または伴わないドレン穴(排出口)である。一実施形態では、凝縮物出口ポートは、シリンジまたはチューブを取り付けるためのルアーロック接続を有する。一実施形態では、凝縮物出口ポートは、ユーザが凝縮キャビティまたはスイープガス出口マニホールドまたは人工肺ハウジングを排出することを可能にするための三方活栓を含む。一実施形態では、スイープガス出口は、人工肺ハウジングの下垂部分に配置されて、凝縮物を凝縮キャビティ内または真空チューブもしくは装置内に逃がすことを可能にする。一実施形態では、凝縮キャビティは、注射器および針を使用して凝縮物を除去することを可能にするための貫通可能な隔膜(diaphragm)を含む。一実施形態では、貫通可能な隔膜は、ゴム、シリコーン、プラスチック、ポリマー、または他の適切な物質で作製される。
【0038】
一実施形態では、人工肺は、人工肺の出口に流体接続されている陽圧リリーフ弁をさらに含む。陽圧リリーフ弁は、例えば真空障害の場合に、設定限界を超えてシステム内の圧力を解放することを可能にする。一実施形態では、陽圧リリーフ弁はブートフラッパ弁(boot flapper valve)である。一実施形態では、陽圧リリーフ弁は、スイープガス出口に流体接続された人工肺内の小さなオリフィスであり、大気圧付近での陽圧および通常のスイープガス流量での通気を可能にし、一方、より高い流量が可能である真空源からの陰圧の生成を阻止しない。このオリフィスはまた、人工肺の外部にある装置の一部としてスイープガス出口に流体接続されてもよい。このオリフィスは、その意図的または偶発的な閉塞の危険性を最小限に抑えることができる数、形状、または位置に存在してもよい。
【0039】
一方向弁、逆止め弁、または圧力リリーフ弁は、バーズビーク(bird-beak)、クラッパ(clapper)、またはボール弁の設計、または例えば、周囲(大気圧)圧力を超える0~15水銀柱ミリメートル(mmHg)の圧力で毎分0~10リットル(L/分)の流量で圧力逃しを可能にする任意の他の適切な設計を採用し得る。
【0040】
一方向弁を人工肺ハウジングに組み込んでもよい。偶発的または意図的な閉塞または障害を防ぐために、このような弁が複数あってもよい。
【0041】
麻酔を提供する方法であって、膜型人工肺システム内に低大気圧を提供することと、圧力調整器および流量制限器を介して人工肺に麻酔薬含有流体を導入することと、麻酔を提供するために、蒸気ベースの麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)0と2~4との間で麻酔薬の分圧を制御することとを含む方法がさらに提供される。一実施形態では、セボフルランが麻酔薬として使用される。一実施形態では、この方法を使用して、セボフルランの分圧を0~60mmHgに制御する。一実施形態では、イソフルランが麻酔薬として使用される。一実施形態では、この方法を使用して、イソフルランの分圧を0~40mmHgに制御する。一実施形態では、デスフルランが麻酔薬として使用される。一実施形態では、この方法を使用して、デスフルランの分圧を0~100mmHgに制御する。一実施形態では、ハロタンが麻酔薬として使用される。一実施形態では、この方法を使用して、ハロタンの分圧を0~30mmHgに制御する。
【0042】
本方法の一実施形態では、膜型人工肺システムは、流体源と、流体源に流体接続された流入流コントローラであって、流体源からの流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、流入センサであって、流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、流体源に流体接続された人工肺であって、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、流体源および人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、人工肺に流体接続された人工肺流入センサであって、スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された人工肺流入センサと、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続された人工肺流入流コントローラであって、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、人工肺に流体接続された任意の流出センサであって、酸素化された流体からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流出センサと、人工肺に流体接続された任意の流出流コントローラであって、人工肺からの流体の流量を制御するように構成された流出流コントローラと、コントローラであって、流入センサ、人工肺流入センサ、流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備える。
【0043】
本システムおよび方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/047927号明細書に記載されているシステムを含む、任意の心肺バイパス(CPB)システムまたは回路と共に使用することができる。一実施形態では、本システムおよび方法は、例えば酸素が血液に加えられ、二酸化炭素が除去される酸素化/通気システムで使用される。そのような酸素化/通気システムの1つは体外膜酸素化(ECMO)システムである。
【0044】
ここで図面を参照するが、本開示を通して、同じ参照番号は同じ要素を指すのに使用されている。
【0045】
図1は、使用可能な例示的人工肺を示す。一実施形態では、人工肺の1つまたは複数のポートを、ブートなどの、本明細書でさらに説明するような材料で密閉し、栓をし、または覆って、低大気圧を発生させることができる。
【0046】
図1では、使用可能な例示的人工肺を示す。図1では、人工肺は、ハウジング、血液入口および血液出口、スイープガス入口およびスイープガス出口、ならびにスイープガス入口マニホールドおよびスイープガス出口マニホールド(通気口を含む)を備えている。人工肺はファイバ束を有する。熱交換用の水コネクタも示されている。人工肺は、当業者に知られているように、ポリプロピレン、または他の材料などの任意の適切な膜を使用することができる。
【0047】
図2は、膜酸素化を用いる酸素化システムの例示的実施形態の概略図を示す。流体源1からの流体(ガス、液体、溶存ガス、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る)は、任意の流入流コントローラ2に入る。流入流コントローラ2は流体源1から流入センサ3に入る流体の流量、体積、および他の特性を制御する。流入センサ3からの流体は任意の気化器4に入り、麻酔薬蒸気を受けて体積が増加し、次いで任意のスイープガスリザーバ6に入る。回路のこの部分は、警報付きまたは警報なしの陰圧リリーフ弁5、圧力計7、および陽圧リリーフ弁8を含む。人工肺流入流コントローラ9は、スイープガスがセンサ10を通過して人工肺11に流入する場合の圧力降下を可能にする流量制限器を含み、人工肺11は、スイープガス入口マニホールド12、膜ファイバ束13、およびスイープガス出口マニホールド14を含む。人工肺11は、酸素を流体に加えると共に二酸化炭素を除去するのに有用な複数の装置またはシステムのいずれでもよい。人工肺11からの流体の体積、流量、または他のパラメータは、流出センサ19によって感知することができる。人工肺11からの流体の流れは、流出流コントローラ18によって制御することができる。膜ファイバ束13と流出流コントローラ18との間の回路の部分は、1つまたは複数の警報付きまたは警報なしの陽圧リリーフ弁15、真空計16、および真空障害の場合の手動または自動開口弁17を含む。真空調整器20は真空源21を取り付けて人工肺に低大気圧を提供する。流入流コントローラ2、流入センサ3、人工肺流入流コントローラ9、人工肺流入センサ10、流出センサ19、流出流コントローラ18、気化器4、真空調整器20を含むシステムの構成部分および人工肺11の構成部分は、コントローラ22によって制御することができる。図2では、流入センサが流入流コントローラの後に並んで示され、人工肺流入センサが人工肺流入流コントローラの後に並んで示されており、流出センサが流出流コントローラの後に並んで示されているが、これらの構成要素は逆にすることができる。すなわち、流入センサを流入流コントローラの前に並べて配置することができ、人工肺流入センサを人工肺流入流コントローラの前に並べて配置することができ、流出センサを流出流コントローラの前に並べて配置することができる。あるいはそれらの任意の組み合わせが可能である。図2ではコントローラ22はシステムの様々な構成部分に物理的に接続されているように示されているが、コントローラ22はシステムの1つまたは複数の構成要素に無線で接続することができることを理解されたい。
【0048】
図3および図4は、例示的な人工肺チャンバを示す。図3は、剛性の真空室に入る静脈血供給源を示す。既存の接続用の可撓性シールが示されている。チャンバスイープガス出口、陽圧リリーフ弁、およびスイープガス出口マニホールドが示されている。人工肺の周りの可撓性シールが示されている。パージラインおよび血液リザーバアタッチメント (付属品 attachments)が示されている。スイープガス入口マニホールドを有する人工肺ファイバ束が示されている。
【0049】
図4は異なる人工肺を示す。静脈血リザーバは、血液リザーバアタッチメントを介して人工肺に取り付けられている。パージラインが示されている。スイープガス入口、スイープガス入口マニホールド、および人工肺ファイバ束が示されている。人工肺の周りの可撓性シールが示されている。チャンバスイープガス出口、スイープガス出口マニホールド、および陽圧リリーフ弁を備えた、人工肺に取り付けられた剛性真空チャンバが示されている。熱交換器接続具として示される、既存の接続具用の可撓性シールが示される。
【0050】
本システムは、血液を酸素化するための体外システムの一部として提供することができ、ポンプで血液を循環させ、人工肺が血液に酸素を供給し、血液から二酸化炭素を除去し、酸素化血液を被験体に提供することができる。
【0051】
実施形態
本願の方法およびシステムは、非限定的である以下の実施形態によってさらに説明される。
【0052】
実施形態1:低圧酸素化のためのシステムであって、流体源と、前記流体源に流体接続され、前記流体源からの前記流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、前記流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、前記流体源に流体接続され、低大気圧(subatmospheric pressure)を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、前記流体源および前記人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、前記人工肺に流体接続され、前記スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成された人工肺流入センサと、前記スイープガスリザーバ(これが存在する場合)または麻酔薬気化器に流体接続されており、前記スイープガスリザーバまたは前記麻酔薬気化器からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、前記人工肺に流体接続され、前記酸素化された流体から、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された任意の流出センサと、前記人工肺に流体接続され、前記人工肺からの流体の流量を制御するように構成された任意の流出流コントローラと、前記流入センサ、前記人工肺流入センサ、前記流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、前記流入流コントローラ、前記人工肺流入流コントローラ、または前記流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備えるシステム。
【0053】
実施形態2:前記流体源がスイープガス供給源である、実施形態1のシステム。
【0054】
実施形態3:前記人工肺が、膜型人工肺、拡散膜型人工肺、または中空糸微多孔膜型人工肺である、実施形態1または2のシステム。
【0055】
実施形態4:前記人工肺が、密閉されたハウジングを有する微多孔膜型人工肺である、実施形態1~3のいずれかのシステム。
【0056】
実施形態5:前記人工肺が、スイープガス隔室からの通気口を含み得る1つまたは複数の開口部を備える、実施形態1~5のいずれかのシステム。
【0057】
実施形態6:1つまたは複数の開口部が、医療グレード材料の固定ストッパ、ベルト、ブートまたは箱、人工肺を囲むチャンバ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせによって閉じられる、実施形態1~5のいずれかのシステム。
【0058】
実施形態7:他の装置を備えた人工肺のアタッチメントに干渉しない、シリコーン、ゴム、またはプラスチックなどの医療グレード材料の特別に装着されたベルトによって、複雑な通気口のアレイ(a complex array of vents)が閉塞される、実施形態1~6のいずれかのシステム。
【0059】
実施形態8:人工肺のハウジングは、シリコーン、プラスチック、ポリカーボネート、ポリマー、ガラス、金属、またはゴムなどの医療グレード材料の、ブートまたは箱に似た外付けチャンバを使用して密閉される、実施形態1~7のいずれかのシステム。
【0060】
実施形態9:流体が酸素、二酸化炭素、麻酔薬、空気、窒素、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせである、実施形態1~8のいずれかのシステム。
【0061】
実施形態10:流体源は、1つまたは複数の流体を組み合わせるように構成されたブレンダ(混合器)である、実施形態1~9のいずれかのシステム。
【0062】
実施形態11:血液がシステム内を流れる、実施形態1~19のいずれかのシステム。
【0063】
実施形態12:前記人工肺が凝縮物を集めるための凝縮物出口ポートまたは凝縮キャビティをさらに備える、実施形態1~11のいずれかのシステム。
【0064】
実施形態13:凝縮物出口ポートはドレン穴または別個のリザーバを含む、実施形態1~12のいずれかのシステム。
【0065】
実施形態14:凝縮キャビティが貫通可能な隔膜を含む、実施形態1~13のいずれかのシステム。
【0066】
実施形態15:前記人工肺が、該人工肺の出口に流体接続されている陽圧リリーフ弁をさらに備える、実施形態1~14のいずれかのシステム。
【0067】
実施形態16:前記流入流コントローラ、前記人工肺流入流コントローラ、および前記流出流コントローラの少なくとも1つが、質量流量コントローラ、ソレノイド流量コントローラ、ニードル弁、またはコントローラから信号を受信するように構成された他の適切な流量コントローラである、実施形態1~15のいずれかのシステム。
【0068】
実施形態17:前記人工肺に流体接続され、低大気圧を提供するように構成された真空調整器をさらに含む、実施形態1~16のいずれかのシステム。
【0069】
実施形態18:前記コントローラが、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されるソフトウェア命令とを含む、実施形態1~17のいずれかのシステム。
【0070】
実施形態19:前記コントローラは、前記流入センサ、前記人工肺流入センサ、及び前記流出センサのうちの2つ以上で測定された特性間の差を決定するように構成され、またその差に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラのうちの1つまたは複数における流れを調整するように構成されている、実施形態1~18のいずれかのシステム。
【0071】
実施形態20:麻酔を提供する方法であって、膜型人工肺システム内に低大気圧を提供することと、圧力調整器および流量制限器を介して人工肺に麻酔薬含有流体を導入することと、麻酔を提供するために、蒸気ベースの麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)が0と2~4との間になるように麻酔薬の分圧を制御することとを含む、方法。
【0072】
実施形態21:前記膜型人工肺システムは、流体源と、前記流体源に流体接続され、前記流体源からの前記流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、前記流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、前記流体源に流体接続され、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、前記流体源および前記人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、前記人工肺に流体接続され、前記スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成された人工肺流入センサと、前記スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続されており、前記スイープガスリザーバまたは前記麻酔薬気化器または前記流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、前記人工肺に流体接続され、前記酸素化された流体から、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された任意の流出センサと、前記人工肺に流体接続され、前記人工肺からの流体の流量を制御するように構成された任意の流出流コントローラと、前記流入センサ、前記人工肺流入センサ、前記流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、前記流入流コントローラ、前記人工肺流入流コントローラ、または前記流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備える、実施形態20の方法。
【0073】
前述の実施形態のいずれかにおいて、人工肺が、膜型人工肺、拡散膜型人工肺、または中空糸微多孔膜型人工肺であり、および/または人工肺が、密閉されたハウジングを有する微多孔膜型人工肺であり、および/または人工肺が、スイープガス隔室からの通気口を含み得る1つまたは複数の開口部を備え、および/または開口部は、医療グレード材料のベルト、ブートまたは箱、人工肺を囲むチャンバ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせによって閉じられ、および/または開口部が、他の装置を備えた人工肺のアタッチメントに干渉しない、シリコーン、ゴム、またはプラスチックなどの医療グレード材料の特別に装着されたベルトによって閉塞され、および/または人工肺がハウジングを備え、人工肺のハウジングは、シリコーン、プラスチック、ポリカーボネート、ポリマー、ガラス、金属、またはゴムなどの医療グレード材料の、ブートまたは箱に似た外付けチャンバを使用して密閉され、および/または流体が、酸素、二酸化炭素、麻酔薬、空気、窒素、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせであり、および/または流体源が、1つまたは複数の流体を組み合わせるように構成されたブレンダであり、および/または血液がシステム内を流れ、および/または人工肺が凝縮物を集めるための凝縮物出口ポートまたは凝縮キャビティをさらに備え、および/または凝縮物出口ポートは、ドレン穴(排出口)、または別個のリザーバを備え、および/または凝縮キャビティは、貫通可能な隔膜を含み、および/または人工肺が、人工肺の出口に流体接続されている陽圧リリーフ弁をさらに備え、および/または流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、および流出流コントローラの少なくとも1つが、質量流量コントローラ、ソレノイド流量コントローラ、ニードル弁、またはコントローラから信号を受信するように構成された他の適切な流量コントローラであり、および/またはシステムは、人工肺に流体接続され、低大気圧を提供するように構成された真空調整器をさらに含み、および/またはコントローラが、プロセッサと、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令とを含み、および/または、コントローラは、流入センサ、人工肺流入センサ、または流出センサのうちの2つ以上で測定された特性間の差を決定するように構成され、またその差に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラのうちの1つまたは複数における流れを調整するように構成され、および/または膜型人工肺システムは、流体源と、流体源に流体接続された流入流コントローラであって、流体源からの流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、流入センサであって、流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、流体源に流体接続された人工肺であって、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、流体源および人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、人工肺に流体接続された人工肺流入センサであって、スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された人工肺流入センサと、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続された人工肺流入流コントローラであって、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、人工肺に流体接続された任意の流出センサであって、酸素化された流体からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流出センサと、人工肺に流体接続された任意の流出流コントローラであって、人工肺からの流体の流量を制御するように構成された流出流コントローラと、コントローラであって、流入センサ、人工肺流入センサ、流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備える。
【0074】
低圧酸素化のためのシステムであって、流体源と、流体源に流体接続された流入流コントローラであって、流体源からの流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、流入センサであって、流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、流体源に流体接続された人工肺であって、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、流体源および人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、人工肺に流体接続された人工肺流入センサであって、スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせのうちの1つまたは複数を測定するように構成された人工肺流入センサと、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続された人工肺流入流コントローラであって、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、人工肺に流体接続された任意の流出センサであって、酸素化された流体からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流出センサと、人工肺に流体接続された任意の流出流コントローラであって、人工肺からの流体の流量を制御するように構成された流出流コントローラと、コントローラであって、流入センサ、人工肺流入センサ、流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備える、システムがさらに開示される。
【0075】
麻酔を提供する方法であって、膜型人工肺システム内に低大気圧を提供することと、圧力調整器および流量制限器を介して人工肺に麻酔薬含有流体を導入することと、麻酔を提供するために、蒸気ベースの麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)0と2~4との間で麻酔薬の分圧を制御することとを含む方法がさらに開示される。
【0076】
前述の実施形態のいずれかにおいて、人工肺が、膜型人工肺、拡散膜型人工肺、または中空糸微多孔膜型人工肺であり、および/または人工肺が、密閉されたハウジングを有する微多孔膜型人工肺であり、および/または人工肺が、スイープガス隔室からの通気口を含み得る1つまたは複数の開口部を備え、および/または開口部は、医療グレード材料のベルト、ブートまたは箱、人工肺を囲むチャンバ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせによって閉じられ、および/または開口部が、他の装置を備えた人工肺のアタッチメントに干渉しない、シリコーン、ゴム、またはプラスチックなどの医療グレード材料の特別に装着されたベルトによって閉塞され、および/または人工肺がハウジングを備え、人工肺のハウジングは、シリコーン、プラスチック、ポリカーボネート、ポリマー、ガラス、金属、またはゴムなどの医療グレード材料の、ブートまたは箱に似た外付けチャンバを使用して密閉され、および/または流体が、酸素、二酸化炭素、麻酔薬、空気、窒素、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせであり、および/または流体源が、1つまたは複数の流体を組み合わせるように構成されたブレンダであり、および/または血液がシステム内を流れ、および/または人工肺が凝縮物を集めるための凝縮物出口ポートまたは凝縮キャビティをさらに備え、および/または凝縮物出口ポートは、排出口、または別個のリザーバを備え、および/または凝縮キャビティは、貫通可能な隔膜を含み、および/または人工肺が、人工肺の出口に流体接続されている陽圧リリーフ弁をさらに備え、および/または流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、および流出流コントローラの少なくとも1つが、質量流量コントローラ、ソレノイド流量コントローラ、ニードル弁、またはコントローラから信号を受信するように構成された他の適切な流量コントローラであり、および/またはシステムは、人工肺に流体接続され、低大気圧を提供するように構成された真空調整器をさらに含み、および/またはコントローラが、プロセッサと、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令とを含み、および/または、コントローラは、流入センサ、人工肺流入センサ、または流出センサのうちの2つ以上で測定された特性間の差を決定するように構成され、またその差に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラのうちの1つまたは複数における流れを調整するように構成され、および/または膜型人工肺システムは、流体源と、流体源に流体接続された流入流コントローラであって、流体源からの流体の流量を制御するように構成された流入流コントローラと、流入センサであって、流体源からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流入センサと、流体源に流体接続された人工肺であって、低大気圧を有するように構成され、別個の流体源からの血液および他の流体を酸素化するように構成された人工肺と、流体源および人工肺に流体接続された任意のスイープガスリザーバと、人工肺に流体接続された人工肺流入センサであって、スイープガスリザーバからの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された人工肺流入センサと、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源に流体接続された人工肺流入流コントローラであって、スイープガスリザーバまたは麻酔薬気化器または流体源からの流体の流量を制御するように構成された人工肺流入流コントローラと、人工肺に流体接続された任意の流出センサであって、酸素化された流体からの、流量、流体組成、圧力、温度、酸素分画、二酸化炭素分画、化学組成、麻酔薬濃度、麻酔薬分圧またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを測定するように構成された流出センサと、人工肺に流体接続された任意の流出流コントローラであって、人工肺からの流体の流量を制御するように構成された流出流コントローラと、コントローラであって、流入センサ、人工肺流入センサ、流出センサ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせの測定に応じて、流入流コントローラ、人工肺流入流コントローラ、または流出流コントローラ、またはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを制御するように構成されたコントローラとを備える。
【0077】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が個別におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されるのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」および類似の指示対象の使用は、以下の場合を除き、本明細書に示されるか、または文脈により明らかに否定されない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈される。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む、含有する(containing)」は、特に断りのない限り、非制限用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、これらに限定されるものではない」を意味する)。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指定がない限り、単にその範囲内に含まれる各個別の値を個々に指す簡単な方法として機能することを意図している。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにするためのものであり、特に請求の範囲がない限り本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0079】
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含めて、本発明の例示的実施形態を本明細書に記載する。これらの実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになる。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、そして本発明者らは本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙されている主題のすべての変形形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
図1
図2
図3
図4