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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ロール網戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/54 20060101AFI20240208BHJP
   E06B 9/52 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/52 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020124554
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021135
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】植竹 智英
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-180062(JP,A)
【文献】特開2009-299444(JP,A)
【文献】特開2016-132920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/42-9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網体を巻き取って収納する収納枠と、
前記収納枠から引き出される前記網体の先端に取り付けられる框部材と、
前記框部材の両端部を前記収納枠に対して接離する方向に摺動可能に支持するガイド枠と、を備え、
前記収納枠は、
巻き取られた前記網体の室内側を覆う室内側見付け面と、
前記室内側見付け面の内側端部に接続され、前記ガイド枠に向けて傾斜状に延びる傾斜面と、
前記傾斜面の室外側端部に接続され、前記傾斜面に対して前記収納枠の内部に向けて窪んだ段差を形成する窪み部と、を有する、ロール網戸。
【請求項2】
前記框部材は、室内側に突出する引手部を有し、
前記窪み部と前記傾斜面との接続部の見込み方向の位置は、前記引手部の先端部の見込み方向の位置に対応している、請求項1に記載のロール網戸。
【請求項3】
前記室内側見付け面の幅をW1、前記傾斜面の見付け方向の幅をW2、前記窪み部と前記傾斜面との前記接続部と前記引手部の前記先端部との間の見付け方向の幅をW3、前記窪み部の見付け方向の幅をW4としたとき、
W1:W1+W2+W3は、黄金比を示し、
W1:W1+W2+W4は、白銀比を示す、請求項2に記載のロール網戸。
【請求項4】
前記窪み部は、前記傾斜面との接続部から見込み方向に沿って延びる平坦面を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のロール網戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網体を巻き取って収納する収納枠と、収納枠から引き出される網体の先端に取り付けられる框部材と、框部材の両端部を収納枠に対して接離する方向に摺動可能に支持するガイド枠と、を備え、窓の室内側に取り付けられるロール網戸が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
框部材は、室内側に向けて突出する引手部を有し、網体が収納枠内に完全に巻き取られた際に、収納枠に隣接して配置される。網体を収納枠から引き出す場合、ユーザは、室内側から収納枠と引手部との間に挿入した手先を引手部に掛け、框部材を収納枠から離隔させるように摺動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-32199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
網体の長さは、窓の幅寸法に対応している。そのため、窓の幅寸法が大きくなる程、巻き取られた網体の外径は拡大し、収納枠のサイズは見付け方向及び見込み方向に拡大する。収納枠のサイズが拡大すると、収納枠と引手部との間に手先を挿入するためのクリアランスが縮小し、框部材を操作する際に手先が収納枠に接触するおそれがある。したがって、収納枠のサイズが拡大する場合には、収納枠と引手部との間に手先を挿入可能な一定のクリアランスが確保されるように、収納枠を形成することが必要である。
【0006】
しかしながら、収納枠と引手部との間のクリアランスを維持したまま収納枠のサイズを拡大させると、外径が小さい網体を収納するロール網戸の収納枠と、外径が大きい網体を収納するロール網戸の収納枠と、を室内側から見たときに、両者の意匠性の相違が目立ち、ユーザに対して見た目の違和感を与えるおそれがある。そのため、同じ建物でサイズが異なる複数の窓にそれぞれロール網戸を取り付けた場合に、各ロール網戸の収納枠の意匠的な統一性が得られない問題がある。
【0007】
したがって、発明者は、収納される網体の外径が異なっても、収納枠と引手部との間に十分なクリアランスを確保できるとともに、収納枠の意匠的な統一性を図ることができるようにするという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るロール網戸は、網体を巻き取って収納する収納枠と、前記収納枠から引き出される前記網体の先端に取り付けられる框部材と、前記框部材の両端部を前記収納枠に対して接離する方向に摺動可能に支持するガイド枠と、を備え、前記収納枠は、巻き取られた前記網体の室内側を覆う室内側見付け面と、前記室内側見付け面の内側端部に接続され、前記ガイド枠に向けて傾斜状に延びる傾斜面と、前記傾斜面の室外側端部に接続され、前記傾斜面に対して前記収納枠の内部に向けて窪んだ段差を形成する窪み部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ロール網戸の正面図である。
図2】窓に取り付けられたロール網戸を図1中のA-A線に沿って切断した横断面図である。
図3】ロール網戸の収納枠を拡大して示す横断面図である。
図4】比較例1に係るロール網戸の収納枠を拡大して示す横断面図である。
図5】比較例2に係るロール網戸の収納枠を拡大して示す横断面図である。
図6】比較例3に係るロール網戸の収納枠を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のロール網戸の実施形態について図面を参照して説明する。ロール網戸1は、矩形状の開口部100の左右に配置される一対の縦枠を構成する収納枠2及び戸当たり枠3と、上下一対の横枠を構成するガイド枠4,5とを、開口部100を取り囲むように矩形に枠組みすることによって構成される。一対のガイド枠4,5の間には、収納枠2に対して平行に配置される框部材6が納められる。框部材6の室内側見付け面6aには、室内側に向けて突出する引手部61が、框部材6の延び方向に沿って設けられている。
【0011】
ロール網戸1は、図2に示すように、建物躯体に設けられる窓200の枠体201の室内側見付け面201aに取り付けられる。窓200は、矩形の枠体201に、障子202が開閉可能に納められる。窓200の室内側には、ロール網戸1を取り囲むように、額縁部材203が設けられる。
【0012】
図2に示す窓200は、障子202が、上端に設けられる図示しない横軸を中心にして室外側に向けて辷り出しながら開くように構成される横辷り出し窓である。しかし、ロール網戸1が取り付けられる窓200は、縦辷り出し窓等の他の構造の窓であってもよい。
【0013】
図中におけるX1はロール網戸1の室外側を示し、X2はロール網戸1の室内側を示す。本明細書において、見込み方向は、ロール網戸1の室内外方向に沿う方向であり、見込み面は、室内外方向に沿って配置される面を指す。見付け方向は、ロール網戸1の室内外方向に直交する方向であり、見付け面は、室内外方向に直交し、室内側及び室外側にそれぞれ面するように配置される面を指す。ロール網戸1において、外側とは、開口部100の中央に対して見付け方向に遠い側を指し、内側とは、開口部100の中央に対して見付け方向に近い側を指す。
【0014】
ロール網戸1の収納枠2は、図2及び図3に示すように、ガイド枠4,5の一端部に配置される。収納枠2は、ロール状に巻き取られた網体7を引き出し可能に収納する。収納枠2の具体的な構成については後述する。
【0015】
網体7は、例えば樹脂製の糸を網状に織った網材からなる。網体7は左右方向に長尺の帯状に形成され、巻取軸71に巻き取られることによってロール状に形成される。巻取軸71は、渦巻ばね等の図示しない付勢部材によって、網体7を巻き取る方向に付勢されている。網体7の先端は、ガイド枠4,5に臨んで配置される引出し口20から収納枠2の外部に引き出され、框部材6に取り付けられている。図示される框部材6は、網体7が巻取軸71に完全に巻き取られることによって、収納枠2の引出し口20に最も近接して配置されている。
【0016】
ガイド枠4,5は、収納枠2の上下両端部から横方向に平行に延びている。ガイド枠4,5は、框部材6の上下両端部を摺動可能に支持する。框部材6が収納枠2から離隔する方向に摺動することによって、網体7が収納枠2の引出し口20から引き出されて展張される。框部材6が収納枠2に向けて接近する方向に摺動することによって、網体7は巻取軸71に巻き取られ、収納枠2内に収納される。
【0017】
収納枠2は、図3に示すように、網体7を収納可能な縦長箱状の枠部材である。収納枠2は、ガイド枠4,5の一端部に取り付けられる収納枠本体21と、収納枠本体21に対して開閉可能に取り付けられるカバー部材22と、を有する。
【0018】
収納枠本体21は、上下端部を閉塞する端板部211と、上下の端板部211に亘って延びる側板部212と、によって構成される。側板部212は、平面視L型に形成され、収納枠2の室外側見付け面2a及び収納枠2の外側見込み面2bを構成する。室外側見付け面2a及び外側見込み面2bのそれぞれの横幅は、巻き取られた網体7の外径よりも大きい。側板部212は、網体7の室外側及び外側を覆い隠している。
【0019】
側板部212の室外側見付け面2aは、ガイド枠4,5の室外側見付け面5aと面一状に配置される。巻き取られた網体7の外径は、ガイド枠4,5の室内外方向に沿う奥行寸法よりも大きいため、収納枠本体21は、ガイド枠4,5よりも室内側に向けて大きく張り出している。
【0020】
カバー部材22は、上下の端板部211に亘って延びて網体7の室内側を覆うように配置されている。カバー部材22は、側板部212の室内側端部に上下方向に沿って設けられる取付軸213に回動可能に取り付けられる。これによって、カバー部材22は、収納枠本体21に対して開閉可能に設けられる。カバー部材22が開くことによって、収納枠2に収納される網体7の交換等を行うことができる。
【0021】
カバー部材22は、図3に示すように、網体7の室内側を覆う室内側見付け面221と、室内側見付け面221の内側端部221aに接続される傾斜面222と、傾斜面222の室外側端部222aに接続される窪み部223と、を有する。室内側見付け面221は、収納枠2の室外側見付け面2aに対して平行に配置され、取付軸213からロール網戸1の内周側に向けて延びている。傾斜面222は、室内側見付け面221の内側端部221aからガイド枠4,5に向けて室外側に傾斜状に延びている。
【0022】
窪み部223は、傾斜面222の室外側端部222aから引出し口20に向けて室外側に延びている。窪み部223は、傾斜面222に対して収納枠2の内部に向けて窪んでいる。詳しくは、窪み部223は、傾斜面222との接続部である室外側端部222aから見込み方向に沿って室外側に延びる第1面223aと、第1面223aの室外側端部から傾斜面222とほぼ同じ方向に傾斜して室外側に延びる第2面223bと、を有する。これによって、窪み部223は、傾斜面222に対して収納枠2の内部に向けて窪んだ段差を形成する。
【0023】
窪み部223は、第2面223bの室外側端部からさらに室外側に向けて延びる内側見込み面224によって、ガイド枠4,5の一端部の室内側見付け面5bに繋がっている。第1面223aと内側見込み面224は、いずれも収納枠2の外側見込み面2bに対して平行に配置される平坦面である。内側見込み面224の室外側端部には、L型の横断面形状を有する係止部225が設けられる。係止部225は、収納枠本体21に対して係止することによって、カバー部材22を閉鎖状態に保持する。
【0024】
収納枠2に窪み部223が設けられることによって、図3に示すように、窪み部223と框部材6の引手部61との間が室内側に広く開放される。これによって、窪み部223と引手部61との間に、手掛け用の手先挿入空間Sが形成される。窪み部223と傾斜面222との接続部である室外側端部222aの見込み方向の位置は、引手部61の先端部61aの見込み方向の位置に対応している。
【0025】
次に、本開示のロール網戸1が収納枠2に窪み部223を有することによる効果について、さらに図4図6を参照して詳しく説明する。図4図6は、それぞれ比較例のロール網戸1A~1Cを示す。本開示のロール網戸1と同一の構成部位には同一の符号を付している。ロール網戸1A~1Cの収納枠は、符号の末尾にA~Cを付すことによって区別している。
【0026】
図4に示すロール網戸1Aは、本開示のロール網戸1よりも横幅寸法が小さい。そのため、収納枠2Aに収納される網体7は、ロール網戸1の収納枠2に収納される網体7よりも外径が小さい。このロール網戸1Aの収納枠2Aにおいて、室内側見付け面221と傾斜面222とが交差する角度θは、本開示のロール網戸1の収納枠2の角度θと同一である。カバー部材22には窪み部が設けられていない。傾斜面222の室外側端部222aは、内側見込み面224に直接接続されている。収納枠2Aに収納される網体7の外径が小さいことによって、引手部61の先端部61aは、傾斜面222の見込み方向の略中央部に配置されている。そのため、収納枠2Aと引手部61との間には、手先を容易に挿入可能な十分なクリアランスが確保されている。
【0027】
このロール網戸1Aに対し、本開示のロール網戸1の収納枠2は、窪み部223を有することによって、室内側からの見た目をロール網戸1Aの収納枠2Aと同等にすることができる。すなわち、収納枠2を室内側から見たときの室内側見付け面221から傾斜面222に至る連続性は、窪み部223との接続部である傾斜面222の室外側端部222aによって途切れる。そのため、収納枠2は、収納枠2Aに対して大型化しているにもかかわらず、収納枠2の室内側見付け面221の幅寸法W1と傾斜面222の見付け方向の幅寸法W2との割合を、ロール網戸1Aの収納枠2Aの幅寸法W11と幅寸法W12との割合に近づけることができる。その結果、本開示のロール網戸1の収納枠2は、ロール網戸1Aの収納枠2Aに対して意匠的な統一性を維持することができる。これによって、同一の建物内にロール網戸1とロール網戸1Aとが並んで配置されていても、そこに居住するユーザに見た目の違和感を与えるようなことはない。
【0028】
さらに、本開示のロール網戸1の窪み部223と引手部61との間に形成される手先挿入空間Sの入り口の幅寸法W3は、収納枠2がロール網戸1Aの収納枠2Aよりも大型化しているにもかかわらず、ロール網戸1Aの収納枠2Aと引手部61との間の入り口の幅寸法W13と大きな差がない。したがって、本開示のロール網戸1によれば、窪み部223を設けたことによって、収納枠2と引手部61との間に手先を挿入するのに十分なクリアランスを確保することができる。
【0029】
これに対して、図5に示すロール網戸1Bの収納枠2Bは、本開示のロール網戸1の収納枠2に収納される網体7と同じ外径を有する網体7を収納する。したがって、この収納枠2Bは、ロール網戸1Aの収納枠2Aに対して拡大されている。ロール網戸1Bにおける収納枠2Bの室内側見付け面221と傾斜面222とが交差する角度θは、本開示のロール網戸1の収納枠2における角度θと同一である。カバー部材22には窪み部が設けられていない。傾斜面222の室外側端部222aは、収納枠2Bの内側見込み面224に直接接続されている。内側見込み面224の見込み方向の幅は、引手部61の突出方向の幅よりも大きい。傾斜面222の見付け方向の幅寸法W22は、収納枠2Aの傾斜面222の見付け方向の幅寸法W12と同一である。そのため、収納枠2Bの室内側見付け面221の幅寸法W21は、網体7の外径が大きいことによって、収納枠2Aの室内側見付け面221の幅寸法W11よりも拡大されている。
【0030】
ロール網戸1Bの収納枠2Bの傾斜面222は、ロール網戸1Aの収納枠2Aの傾斜面222と同一構造である。そのため、網体7の外径が拡大したことに伴って、収納枠2Bの室内側見付け面221の幅寸法W21が、収納枠2Aの室内側見付け面221の幅寸法W11よりも拡大している。これによって、ロール網戸1Bの収納枠2Bを室内側から見た場合、室内側見付け面221の大きさが目立ち、ロール網戸1Aの収納枠2Aとの意匠的な統一性が得られない。しかも、内側見込み面224の見込み方向の幅は、引手部61の突出方向の幅よりも大きいため、ロール網戸1Bの収納枠2Bと引手部61との間の入り口の幅寸法W23は、ロール網戸1Aの幅寸法W13よりも縮小する。したがって、収納枠2Bと引手部61との間に手先を挿入するのに十分なクリアランスも確保されない。
【0031】
図6に示すロール網戸1Cの収納枠2Cは、本開示のロール網戸1の収納枠2に収納される網体7と同じ外径を有する網体7を収納する。したがって、この収納枠2Cは、ロール網戸1Aの収納枠2Aに対して拡大されている。ロール網戸1Cにおける収納枠2Cの室内側見付け面221と傾斜面222とが交差する角度θは、本開示のロール網戸1の収納枠2における角度θと同一である。カバー部材22には窪み部が設けられていない。傾斜面222の室外側端部222aは、収納枠2Bの内側見込み面224に直接接続されている。収納枠2Cの室内側見付け面221の幅寸法W31は、ロール網戸1Aの収納枠2Aの室内側見付け面221の幅寸法W11と同一である。そのため、収納枠2Cの傾斜面222の見付け方向の幅寸法W32は、網体7の外径が拡大したことに伴って、収納枠2Aの傾斜面222の見付け方向の幅寸法W12に対して拡大している。これによって、引手部61の先端部61aは、収納枠2Cの傾斜面222の見込み方向の略中央部に配置されている。そのため、収納枠2Cと引手部61との間には、手先を容易に挿入可能な十分なクリアランスが確保される。しかし、収納枠2Cの傾斜面222の見付け方向の幅寸法W32が拡大したことによって、ロール網戸1Cの収納枠2Cを室内側から見た場合、傾斜面222の大きさが目立ち、ロール網戸1Aの収納枠2Aとの意匠的な統一性が得られない。
【0032】
このように、本開示のロール網戸1によれば、収納される網体7の外径が拡大しても、ロール網戸1B,1Cでは達成することができなかったロール網戸1Aの収納枠2Aとの意匠的な統一性の維持と手先を挿入するための十分なクリアランスの確保とを両立することができる。
【0033】
本開示のロール網戸1において、窪み部223と傾斜面222との接続部である傾斜面222の室外側端部222aの見込み方向の位置は、引手部61の先端部61aの見込み方向の位置に対応している。そのため、ロール網戸1の収納枠2を室内側から見た場合に、窪み部223を目立たせることなく、手先挿入空間Sの入り口側の開口部を広く視認させることができる。
【0034】
本開示のロール網戸1において、窪み部223は、傾斜面222との接続部である傾斜面222の室外側端部222aから見込み方向に沿って延びる平坦面からなる第1面223aを有する。これによって、ロール網戸1の収納枠2を室内側から見た場合に、窪み部223をさらに視認しにくくすることができる。
【0035】
本開示のロール網戸1において、図3に示すように、収納枠2の室内側見付け面221の幅をW1、傾斜面222の見付け方向の幅をW2、窪み部223と傾斜面222との接続部である傾斜面222の室外側端部222aと引手部61の先端部61aとの間の見付け方向の幅をW3、窪み部223の見付け方向の幅をW4としたとき、W1:W1+W2+W3は、黄金比を示し、W1:W1+W2+W4は、白銀比を示すことが望ましい。これによれば、収納されるロール状の網体7の外径が拡大しても、収納枠2の意匠的な統一性を維持しつつ、さらに意匠性を向上させることができる。
【0036】
W2:W3は、1:0.8~1:1.2であることが望ましい。これによって、窪み部223と引手部61との間の手先挿入空間Sの視認性がより良好になる。そのため、ロール網戸1の使用勝手がさらに向上する。
【0037】
以上説明したロール網戸1の収納枠2は、ロール網戸1の縦枠を構成している。しかし、収納枠は、ロール網戸の上枠及び下枠のいずれかを構成してもよい。この場合、ガイド枠は、左右の縦枠を構成する。網体は、収納枠から上下方向に引き出される。
【0038】
以上説明したロール網戸1の収納枠2は、開口部100の左右両側部のうちの一側部のみに配置されている。しかし、ロール網戸1は、開口部100の左右両側部にそれぞれ収納枠2を配置した両引きタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ロール網戸、 2 収納枠、 221 室内側見付け面、 222 傾斜面、 222a 室外側端部(接続部)、 223 窪み部、 223a 第1面(平坦面)、 4,5 ガイド枠、 6 框部材、 61 引手部、 61a 先端部、 7 網体
図1
図2
図3
図4
図5
図6