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特許7432677排出量シミュレーションシステム、排出量シミュレーション方法、及び排出量シミュレーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】排出量シミュレーションシステム、排出量シミュレーション方法、及び排出量シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022160021
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 大介
(72)【発明者】
【氏名】仁平 百合菜
(72)【発明者】
【氏名】中松 幸治
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-159892(JP,A)
【文献】特開2011-141272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール部
を備える排出量シミュレーション装置
を備える排出量シミュレーションシステムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションシステムであって、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションにおいて、前記対象製品を構成する各部材について、各部材の物流過程におけるCO2排出量である物流過程排出量を、単位量当たりの各部材の物流過程におけるCO2排出量を示すデータである物流過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記対象製品排出量を算出し、
前記対象製品を構成する各部材に対応する物流過程排出量データは、前記対象製品を構成する各部材の製造拠点と、前記対象製品の製造拠点との間の距離に対応するデータであり、
前記対象製品を構成する対象部材のサプライヤとして第1サプライヤと第2サプライヤとがあり、前記製造過程排出量データと前記物流過程排出量データと前記排出コストデータとの各々には、前記第1サプライヤの対象部材に対応するデータと、前記第2サプライヤの対象部材に対応するデータとがある場合において、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションにおいて、
前記第1サプライヤの対象部材を含む対象製品である第1対象製品に対応する製造過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する物流過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第1対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第1対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第1サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第1対象製品に対応するCO2排出コストを算出し、
前記第2サプライヤの対象部材を含む対象製品である第2対象製品に対応する製造過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する物流過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第2対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第2対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第2サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第2対象製品に対応するCO2排出コストを算出する排出量シミュレーションシステム
【請求項2】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール部
を備える排出量シミュレーション装置
を備える排出量シミュレーションシステムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションシステムであって、
前記アドオンモジュール部は、
前記排出量シミュレーションの明細を示すデータの少なくとも一部を示すデータである共有データを示すレポートデータを生成し、生成したレポートデータを対象ユーザと共有し、
前記レポートデータを生成する際に、前記対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーションシステム
【請求項3】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール部
を備える排出量シミュレーション装置
を備える排出量シミュレーションシステムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションシステムであって、
前記排出量シミュレーションシステムは、さらに、
排出原単位データベースから最新の排出原単位データを取得するデータ管理部
を備える排出量管理装置
を備え、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量管理装置から最新の排出原単位データを取得し、
前記排出量シミュレーションシステムは、さらに、
ダッシュボード部
を備える通信装置
を備え、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションの明細を示すデータである明細データを前記排出量管理装置に送信し、
前記排出量管理装置のデータ管理部は、前記排出量シミュレーション装置から前記明細データを受信し、受信した明細データの少なくとも一部を示すデータである共有データを含むダッシュボードデータを生成し、生成したダッシュボードデータを前記通信装置に送信し、
前記ダッシュボード部は、前記排出量管理装置から前記ダッシュボードデータを受信し、受信したダッシュボードデータを表示し、
前記排出量管理装置のデータ管理部は、前記ダッシュボードデータを生成する際に、前記通信装置のユーザである対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーションシステム
【請求項4】
前記アドオンモジュール部は、製品データ管理システムのアドオンモジュールから成る請求項1から3のいずれか1項に記載の排出量シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションシステムのユーザによって入力されたデータであって、前記対象製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値を示すデータである入力データを受け付ける請求項1から3のいずれか1項に記載の排出量シミュレーションシステム。
【請求項6】
コンピュータが、対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行する排出量シミュレーション方法であって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーション方法であって、
前記コンピュータは、前記排出量シミュレーションにおいて、前記対象製品を構成する各部材について、各部材の物流過程におけるCO2排出量である物流過程排出量を、単位量当たりの各部材の物流過程におけるCO2排出量を示すデータである物流過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記対象製品排出量を算出し、
前記対象製品を構成する各部材に対応する物流過程排出量データは、前記対象製品を構成する各部材の製造拠点と、前記対象製品の製造拠点との間の距離に対応するデータであり、
前記対象製品を構成する対象部材のサプライヤとして第1サプライヤと第2サプライヤとがあり、前記製造過程排出量データと前記物流過程排出量データと前記排出コストデータとの各々には、前記第1サプライヤの対象部材に対応するデータと、前記第2サプライヤの対象部材に対応するデータとがある場合において、
前記コンピュータは、前記排出量シミュレーションにおいて、
前記第1サプライヤの対象部材を含む対象製品である第1対象製品に対応する製造過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する物流過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第1対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第1対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第1サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第1対象製品に対応するCO2排出コストを算出し、
前記第2サプライヤの対象部材を含む対象製品である第2対象製品に対応する製造過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する物流過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第2対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第2対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第2サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第2対象製品に対応するCO2排出コストを算出する排出量シミュレーション方法
【請求項7】
コンピュータが、対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行する排出量シミュレーション方法であって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーション方法であって、
前記コンピュータは、
前記排出量シミュレーションの明細を示すデータの少なくとも一部を示すデータである共有データを示すレポートデータを生成し、生成したレポートデータを対象ユーザと共有し、
前記レポートデータを生成する際に、前記対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーション方法
【請求項8】
コンピュータである排出量シミュレーション装置が、対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行する排出量シミュレーション方法であって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーション方法であって、
コンピュータである排出量管理装置が、排出原単位データベースから最新の排出原単位データを取得し、
前記排出量シミュレーション装置は、前記排出量管理装置から最新の排出原単位データを取得し、
前記排出量シミュレーション装置は、前記排出量シミュレーションの明細を示すデータである明細データを前記排出量管理装置に送信し、
前記排出量管理装置は、前記排出量シミュレーション装置から前記明細データを受信し、受信した明細データの少なくとも一部を示すデータである共有データを含むダッシュボードデータを生成し、生成したダッシュボードデータをコンピュータである通信装置に送信し、
前記通信装置は、前記排出量管理装置から前記ダッシュボードデータを受信し、受信したダッシュボードデータを表示し、
前記排出量管理装置は、前記ダッシュボードデータを生成する際に、前記通信装置のユーザである対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーション方法
【請求項9】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール処理
をコンピュータである排出量シミュレーション装置に実行させる排出量シミュレーションプログラムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションプログラムであって、
前記アドオンモジュール処理では、前記排出量シミュレーションにおいて、前記対象製品を構成する各部材について、各部材の物流過程におけるCO2排出量である物流過程排出量を、単位量当たりの各部材の物流過程におけるCO2排出量を示すデータである物流過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記対象製品排出量を算出し、
前記対象製品を構成する各部材に対応する物流過程排出量データは、前記対象製品を構成する各部材の製造拠点と、前記対象製品の製造拠点との間の距離に対応するデータであり、
前記対象製品を構成する対象部材のサプライヤとして第1サプライヤと第2サプライヤとがあり、前記製造過程排出量データと前記物流過程排出量データと前記排出コストデータとの各々には、前記第1サプライヤの対象部材に対応するデータと、前記第2サプライヤの対象部材に対応するデータとがある場合において、
前記アドオンモジュール処理では、前記排出量シミュレーションにおいて、
前記第1サプライヤの対象部材を含む対象製品である第1対象製品に対応する製造過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する物流過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第1対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第1対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第1サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第1対象製品に対応するCO2排出コストを算出し、
前記第2サプライヤの対象部材を含む対象製品である第2対象製品に対応する製造過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する物流過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第2対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第2対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第2サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第2対象製品に対応するCO2排出コストを算出する排出量シミュレーションプログラム
【請求項10】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール処理
をコンピュータである排出量シミュレーション装置に実行させる排出量シミュレーションプログラムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションプログラムであって、
前記アドオンモジュール処理では、
前記排出量シミュレーションの明細を示すデータの少なくとも一部を示すデータである共有データを示すレポートデータを生成し、生成したレポートデータを対象ユーザと共有し、
前記レポートデータを生成する際に、前記対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーションプログラム
【請求項11】
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール処理
をコンピュータである排出量シミュレーション装置に実行させる排出量シミュレーションプログラムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションプログラムであって、
排出原単位データベースから最新の排出原単位データを取得するデータ管理処理
をコンピュータである排出量管理装置に実行させ、
前記アドオンモジュール処理では、前記排出量管理装置から最新の排出原単位データを取得し、
前記アドオンモジュール処理では、前記排出量シミュレーションの明細を示すデータである明細データを前記排出量管理装置に送信し、
前記データ管理処理では、前記排出量シミュレーション装置から前記明細データを受信し、受信した明細データの少なくとも一部を示すデータである共有データを含むダッシュボードデータを生成し、生成したダッシュボードデータをコンピュータである通信装置に送信し、
前記排出量管理装置から前記ダッシュボードデータを受信し、受信したダッシュボードデータを表示するダッシュボード処理を前記通信装置に実行させ、
前記データ管理処理では、前記ダッシュボードデータを生成する際に、前記通信装置のユーザである対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する排出量シミュレーションプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排出量シミュレーションシステム、排出量シミュレーション方法、及び排出量シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的にカーボンニュートラルに対する取り組みが活発化しており、企業等がIT(Information Technology)システムを用いてCO2(Carbon Dioxide)の見える化等に取り組み始めている。カーボンニュートラルに対する取り組みにおいては、「製造プロセスで」又は「物流プロセスで」という個々の企業活動ではなく、企業活動全般においてカーボンニュートラルを目指すことが、国内及び海外の双方において主流になっている。
特許文献1は環境情報を集計分析するための技術を開示している。特許文献2は、製品を構成する部品単位等でCO2排出量を考慮して製品の環境負荷を評価する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3966109号公報
【文献】特許第4561357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品設計プロセスは、製品のライフサイクル全体のコスト要因の80%を決めると言われている。製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量も同様に製品設計プロセスにおいて概ね決まる。そのため、製品設計プロセスにおいて把握することができる情報に基づいて製品に対応するCO2排出量を把握し、把握したCO2排出量に基づいて製品の設計を適宜変更することが望ましい。ここで、製品設計プロセスにおいて把握することができる情報として、製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報が挙げられる。各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報は、具体例として排出原単位データである。また、製品の設計において製品のコストが重視されることから、CO2排出量に応じたコストが発生するものとみなし、CO2排出に関するコストに基づいて製品の設計を適宜変更することが望ましい。
しかしながら、特許文献1が開示する技術には、製品に対応するCO2排出量を算出する際に、製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報を活用しないという課題がある。また、特許文献2が開示する技術にはCO2排出に関するコストを考慮しないという課題がある。
【0005】
本開示は、製品設計プロセスにおいて製品に対応するCO2排出量を算出する技術において、製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報を活用することと、CO2排出に関するコストを考慮することとを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る排出量シミュレーションシステムは、
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール部
を備える排出量シミュレーション装置
を備える排出量シミュレーションシステムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、アドオンモジュール部が、対象製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報を活用して対象製品に対応するCO2排出量を算出する。また、アドオンモジュール部は対象製品に対応するCO2排出量に応じたコストを算出する。従って、本開示によれば、製品設計プロセスにおいて製品に対応するCO2排出量を算出する技術において、製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報を活用することができ、CO2排出に関するコストを考慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る排出量シミュレーションシステム90の構成例を説明する図。
図2】実施の形態1に係る排出量シミュレーションシステム90の構成例を説明する図。
図3】実施の形態1に係る排出量シミュレーションシステム90の構成例を説明する図。
図4】実施の形態1に係る排出量シミュレーションシステム90の構成例を説明する図。
図5】実施の形態1に係る排出量シミュレーション装置100のハードウェア構成例を示す図。
図6】実施の形態1に係る機能1を実現する動作を示すフローチャート。
図7】実施の形態1に係る排出量マスタ282と標準排出量マスタ184とを示す図。
図8】実施の形態1に係る機能2及び7を実現する動作を示すフローチャート。
図9】実施の形態1に係る機能2及び7を実現する動作を示すフローチャート。
図10】実施の形態1に係る部材マスタ181と構成マスタ182と顧客毎部材種別マッチングマスタ183と標準排出量マスタ184と顧客毎CO2コストマスタ最新187と部材取引先価格マスタ188とを示す図。
図11】実施の形態1に係るシミュレーション明細192とシミュレーションリスト193とを示す図。
図12】実施の形態1に係る機能3を実現する動作を示すフローチャート。
図13】実施の形態1に係る拠点距離マスタ185と物流排出量マスタ186とを示す図。
図14】実施の形態1に係る機能3を実現する動作を示すフローチャート。
図15】実施の形態1に係る拠点距離マスタ185とシミュレーション明細192とシミュレーションリスト193とを示す図。
図16】実施の形態1に係る機能4を実現する動作を示すフローチャート。
図17】実施の形態1に係る機能5を実現する動作を示すフローチャート。
図18】実施の形態1に係る機能5を説明する図であって、(a)はCO2排出量データを示す表、(b)はCO2排出量明細を示す表、(c)はScopeごとの排出量合計を示す表、(d)はマスキングしたCO2排出量明細を示す表。
図19】実施の形態1に係る機能5を説明する図であって、(a)はCO2排出量を示すグラフ、(b)はScope別排出割合を示すグラフ、(c)はCO2削減目標/実績を示すグラフ、(d)は部材別CO2排出量を示すグラフ。
図20】実施の形態1に係る機能6を実現する動作を示すフローチャート。
図21】実施の形態1の変形例に係る排出量シミュレーション装置100のハードウェア構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0010】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1から4は、本実施の形態に係る排出量シミュレーションシステム90の構成例を示している。排出量シミュレーションシステム90は、排出量シミュレーション装置100と、排出量管理装置200と、通信装置300とを少なくとも備える。
排出量シミュレーション装置100と排出量管理装置200とは通信可能に接続している。排出量シミュレーション装置100と排出量管理装置200とは適宜一体的に構成されてもよい。排出量管理装置200と通信装置300とは通信可能に接続している。
品番は、種類と形状と色等を区別して商品管理するために、各品目に対して付ける番号である。
品目は、部材という用語と同じ又は類似する概念を示し、「構成」又は「BOM(Bill of Material)」に対する「品目」を示す。品目は、親子関係に関係なく、製品、半製品、ユニット、アセンブリ、部材、又は部材等、付番されており管理対象である各アイテムである。
品名は、各品番を説明する名称である。品名に関して、設計者が次回の設計時に流用しやすいよう探しやすい名称にする場合、調達部門において手配しやすいように品名のルールが決められている場合、又は、設計部門と調達部門とにおいてある品番に対応する品名が別項目として管理されている場合等がある。
【0012】
排出量シミュレーション装置100は、データ管理部110と、アドオンモジュール部120とを備える。排出量シミュレーション装置100は、図1から4に示されている各システムと適宜一体的に構成されてもよい。データ管理部110は、製品ライフサイクル管理(PLM)システムと企業資源計画(ERP)システムとの各々と通信し、また、GHG(Greenhouse Gas)排出量シミュレーションシステムとも呼ばれる。排出量シミュレーション装置100は、具体例として、組み立て加工業者が利用する装置であり、製品データ管理(PDM)システムを運用する装置である。
製品は、具体例として、構成とBOMとの各々に対応する階層の最上位に通常は位置する品目と部材とを指す。なお、補修用部材、メンテンナンス用部材、又はセット品等、構成又はBOMに対応する階層の中間に通常は位置するような品目と部材とが製品として扱われることもある。
PLMシステムは製品設計支援(CAD)システムからデータを受信する。
ERPシステムとPLMシステムとCADシステムとの各々は一般的なパッケージソフトウェアによって実現されるシステムであってもよい。
企業の設計部門又は生産技術部門等に所属するユーザは、具体例として、通信端末にインストールされているWebブラウザ等を用いて排出量シミュレーション装置100にアクセスする。通信端末は、具体例としてPC(Personal Computer)又はスマートフォンである。
設計部門は、具体例として、E-BOM(Engineering BOM)を作成する部門であり、CO2(Carbon Dioxide)排出量のシミュレーションにおいて所定の性能及び品質と、製品仕様等を満たした上でCO2排出量が少なくなるよう製品を設計する部門である。
生産技術部門は、具体例として、M-BOM(Manufacturing BOM)を作成する部門であり、CO2排出量のシミュレーションにおいて部材コストと排出量コストとを加味した上でCO2排出量が少なくなるよう製品を設計する部門である。
ユーザは、排出量シミュレーションシステム90の利用者であり、具体例として、各マニュアル入力データの入手と、各マスタ系のデータの整備と、レポートの出力とを行う。マニュアル入力データは、排出量シミュレーションシステム90に対して手動で入力するデータである。
【0013】
データ管理部110は、典型的にはPDMシステムをカスタマイズすることによって実現される。PDMシステムは、Base-Right等の市販されているパッケージソフトウェアによって実現されるシステムであってもよい。PDMシステムのカスタマイズは、具体例として、PDMシステムにおいて用いられるデータの変更及び追加と、PDMシステムの機能の変更及び追加とである。
データ管理部110は、マスタ系のデータである部材マスタ181と構成マスタ182と顧客毎部材種別マッチングマスタ183と標準排出量マスタ184と拠点距離マスタ185と物流排出量マスタ186と顧客毎CO2コストマスタ最新187と部材取引先価格マスタ188と、トランザクション系のデータである削減目標履歴191とシミュレーション明細192とシミュレーションリスト193とを管理する。マスタ系のデータは、基本的にはユーザが更新することはないデータである。トランザクション系のデータは、ユーザの操作により更新され得るデータである。
【0014】
部材マスタ181及び構成マスタ182の各々は、データ管理部110がPLMシステムから取得したデータ、又は当該データを加工したデータである。データ管理部110がPLMシステムから取得するデータは、具体例として、PLMシステムが管理するE-BOMに含まれているデータである。部材マスタ181は、具体例として、製造過程排出量データとして、PLMシステムから取得した部材マスタに対してCO2排出量に関する項目を追加したデータである。CO2排出量に関する項目は、具体例として「調査実績排出量」である。「調査実績排出量」は、各部材のメーカー等が公表しているCO2排出量であって、各部材の製造過程におけるCO2排出量である。
顧客毎部材種別マッチングマスタ183は、顧客のデータベースにおける部材種別と、標準的な部材種別との対応関係を示すデータである。
標準排出量マスタ184は、製造過程排出量データを含み、また、公的な機関等が公表しているCO2排出量を示すデータであって、各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである。標準排出量マスタ184の「標準排出量」は、各部材の排出原単位データに対応するデータに当たる。標準排出量マスタ184は、排出原単位DB(Database)490に含まれているデータ、又は当該データに対応するデータから成る。排出原単位DB490は環境システム400において管理されているデータベースである。[参考文献1]は、排出原単位DB490の具体例である日本の環境省が公表している排出原単位DBを示している。環境システム400は排出原単位DB490を管理するシステムである。標準排出量マスタ184は、トレーサビリティ等のために古いバージョンの情報を記録していてもよい。
【0015】
[参考文献1]
“グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:算定時の参考資料”、[online]、環境省、[令和4年9月9日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate_tool.html>
【0016】
拠点距離マスタ185は、各部材のサプライヤの製造拠点と、設計対象である製品の製造拠点との距離を示すデータである。
物流排出量マスタ186は、物流過程排出量データを含み、また、各部材の物流過程における標準的なCO2排出量を示すデータである。
顧客毎CO2コストマスタ最新187は、排出コストデータを含み、また、顧客毎に設定されたCO2の排出に関する最新のコストを示すデータである。
部材取引先価格マスタ188は、各部材の標準的な価格を示すデータである。
削減目標履歴191は、各構成又は各部材等についてのCO2削減目標の履歴を示すデータである。CO2削減目標は、具体例としてCO2の削減量又は削減割合を示す。
シミュレーション明細192は、CO2排出量のシミュレーションにおける各設定値等を示すデータである。
シミュレーションリスト193は、CO2排出量のシミュレーションの一覧を示すデータである。
【0017】
アドオンモジュール部120は、典型的にはPDMシステムのアドオンモジュールから成り、また、GHG排出量シミュレーションシステムアドオンモジュールとも呼ばれる。アドオンモジュール部120は、ERPシステムと排出量管理装置200との各々と通信する機能を有し、また、他のシステムから適宜データを取り込む機能を有する。アドオンモジュール部120は、排出量管理装置200及びERPシステムと連携し、CO2排出量に関連するデータの入出力を行う。CO2排出量に関連するデータには、CO2排出に関する標準的なコストを示すデータが含まれてもよい。アドオンモジュール部120は排出量シミュレーションを実行する。排出量シミュレーションは、製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて対象製品排出量を算出するシミュレーションである。対象製品排出量は対象製品に対応するCO2排出量である。製造過程排出量は各部材の製造過程におけるCO2排出量である。物流過程排出量は各部材の物流過程におけるCO2排出量である。
また、対象製品を構成する対象部材のサプライヤとして第1サプライヤと第2サプライヤとがあり、製造過程排出量データと物流過程排出量データと排出コストデータとの各々には、第1サプライヤの対象部材に対応するデータと、第2サプライヤの対象部材に対応するデータとがある場合における排出量シミュレーションを説明する。この場合において、アドオンモジュール部120は、第1対象製品に対応する製造過程排出量を第1サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、第1対象製品に対応する物流過程排出量を第1サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、第1対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて第1対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、第1対象製品に対応する対象製品排出量と、第1サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて第1対象製品に対応するCO2排出コストを算出する。第1対象製品は第1サプライヤの対象部材を含む対象製品である。また、アドオンモジュール部120は、第2対象製品に対応する製造過程排出量を第2サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、第2対象製品に対応する物流過程排出量を第2サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、第2対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて第2対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、第2対象製品に対応する対象製品排出量と、第2サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて第2対象製品に対応するCO2排出コストを算出する。第2対象製品は第2サプライヤの対象部材を含む対象製品である。
また、アドオンモジュール部120は下記の機能を有する。
1.排出量管理装置200と連携することにより各部材の製造過程におけるCO2排出量を算出する機能。
2.ERPシステムと連携することにより各部材の物流過程におけるCO2排出量を算出する機能。
3.ユーザによる画面を用いたマニュアル入力であって、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績のマニュアル入力を受け付ける機能。
4.ユーザによる画面を用いたマニュアル入力であって、各部材の物流過程におけるCO2排出量の実績のマニュアル入力を受け付ける機能。
5.CO2排出量データ(レポート)を共有する機能。
【0018】
排出量管理装置200は、データ管理部210を備え、CO2排出量に関するデータを管理する機能を有し、具体例として工場において利用されるシステムである。排出量管理装置200は、クラウドシステムにおいて実現されてもよく、また、GHG排出量管理システムとも呼ばれる。
排出量管理装置200は、マスタデータであるCO2排出量データと、顧客毎のCO2排出量データとを収集し、収集したデータを管理する。また、排出量管理装置200は下記の機能を有する。
1.排出原単位DB490に含まれているデータを取得し、取得したデータを取り込む機能。
2.顧客毎の部材種別マッチングマスタである顧客毎部材種別マッチングマスタ291と、顧客毎のCO2削減目標の履歴を示す削減目標履歴293とを管理する機能。
3.CO2排出量に関するデータをダッシュボード部310へ提供する機能。
【0019】
データ管理部210は、排出原単位DB490から最新の排出原単位データを取得し、共通データとして、CO2コストマスタ281と排出量マスタ282とユーザリスト283とを格納する。共通データは各顧客に共通して用いられるデータである。また、データ管理部210は、顧客ごとのデータとして、顧客毎部材種別マッチングマスタ291と、顧客毎CO2コストマスタ履歴292と、削減目標履歴293と、シミュレーションリスト294とを管理する。なお、図4において顧客の数はN(Nは2以上の整数)であるものとする。
【0020】
CO2コストマスタ281は、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである。CO2排出のコストは、CO2排出量に応じて課される税金等によって定まるコストであってもよく、CO2排出量に応じたコストとしてメーカー等が自主的に設定した仮想的なコストであってもよい。
排出量マスタ282は、データ管理部210が排出原単位DB490から取得したデータから成るデータである。
ユーザリスト283は、各ユーザの属性又は所属等を示すデータから成り、ユーザであるメーカー及びサプライヤに係るデータを含む。
顧客毎部材種別マッチングマスタ291が示すデータは、顧客毎部材種別マッチングマスタ183が示すデータと同様である。
顧客毎CO2コストマスタ履歴292は、顧客毎のCO2排出に関するコストの履歴を示すデータである。
削減目標履歴293が示すデータは、削減目標履歴191が示すデータと同様である。
シミュレーションリスト294が示すデータは、シミュレーションリスト193が示すデータと同様である。
【0021】
通信装置300はダッシュボード部310を備える。通信装置300は、排出量管理装置200と通信する機能と、排出量管理装置200から受信したデータを表示する機能とを有し、具体例としてPC又はスマートフォンである。通信装置300は、クラウドシステムにおいて実現されてもよく、また、複数存在してもよい。図4において、M(Mは2以上の整数)個の通信装置300が存在する。
【0022】
ダッシュボード部310はダッシュボード機能を有する。ダッシュボード機能は、CO2排出量の実績を示すデータ等の排出量管理装置200が管理しているデータを、Web画面等を通じてステークホルダに提供する機能である。ステークホルダは、具体例として、企業の経営者と、製品の設計者と、資材部門の担当者と、メーカー又はサプライヤの担当者とである。ダッシュボード部310は顧客グループごとに用意されていてもよい。顧客グループはどのように定められたグループであってもよい。
資材部門は、具体例として、排出量シミュレーションにおいて、製品の製造前に、部材の調達先と、物流過程におけるCO2排出量とを示す参考データを排出量シミュレーションシステム90に提供する部門である。
【0023】
以下、排出量シミュレーションシステム90が有する主な機能を説明する。
【0024】
(機能1:排出原単位データ取り込み機能)
データ管理部210は、環境システム400から最新バージョンの排出原単位データを取得し、取得したデータを加工した上で排出量マスタ282に取り込む。排出原単位データは、排出原単位DB490に含まれているデータ、又は当該データを加工したデータである。
アドオンモジュール部120は、排出量管理装置200から最新の排出原単位データを取得する、即ち、標準排出量マスタ184を排出量マスタ282と同期する。
【0025】
(機能2:設計過程CO2排出量試算機能)
アドオンモジュール部120は、対象製品を構成する各部材について、製造過程排出量を製造過程排出量データに基づいて算出する。製造過程排出量データは、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータであり、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである。具体例として、アドオンモジュール部120は、部材マスタ181が示す各部材の情報と、標準排出量マスタ184が示す排出原単位データ等を参照して設計中の製品に対応するCO2排出量を試算する。この際、アドオンモジュール部120は各部材の情報と排出原単位データとを照合してもよい。
なお、工程の概念は基本的には本実施の形態の対象外であるため、製品の製造工程において実際に排出されるCO2は基本的には本機能の対象外である。また、対象の部材に対応する標準排出量と調査実績排出量との双方が存在する場合、アドオンモジュール部120は、CO2排出量の算出時に調査実績排出量を採用する。
なお、データ管理部110は、PLMシステムの部材マスタと、部材マスタ181とを周期的に連携してもよい。
【0026】
(機能3:物流過程CO2排出量試算機能)
アドオンモジュール部120は、対象製品を構成する各部材について、物流過程排出量を物流過程排出量データに基づいて算出する。物流過程排出量データは、単位量当たりの各部材の物流過程におけるCO2排出量を示すデータであり、具体例として、対象製品を構成する各部材の製造拠点と、対象製品の製造拠点との間の距離に対応するデータである。
通常は製品設計後のオーダーに紐づけて各部材を手配するものの、各部材を調達するサプライヤが決まった際に、アドオンモジュール部120は、あらかじめ入力された拠点間の距離に基づいて各部材の輸送過程におけるCO2排出量の目安を算出する。この際、アドオンモジュール部120は拠点間の距離を示すデータと排出原単位データとを照合してもよい。具体例として、資材部門の担当者が拠点等を入力する。
本機能により、設計部門以外の部門(資材部門等)においてもCO2排出量を考慮することができるため、トータルでのCO2排出量の削減につながる。また、アドオンモジュール部120は、CO2排出量の算出時に、発注数が一定ではない部材を考慮せず、複数購買の対象である部材を同一の調達先から混載で輸送する場合を考慮しない。これは発注単位で実績値が異なるためである。
排出量シミュレーション装置100は、ERPシステムが管理する拠点マスタと、拠点距離マスタ185とを周期的に連携してもよい。
【0027】
(機能4:CO2排出量公表値入力機能)
アドオンモジュール部120は入力データを受け付ける。入力データは、排出量シミュレーションシステム90のユーザによって入力されたデータであって、対象製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値を示すデータである。本機能により、ユーザは、排出量シミュレーション装置100が提供する画面等を操作することにより、サプライヤ又はメーカー等が公表している各部材の製造過程におけるCO2排出量をマニュアル入力することができる。入力されたデータは、部材マスタ181に登録される。
本機能を活用することにより、製品の設計時におけるCO2排出量の試算の精度と、製品の設計時におけるCO2排出量の削減量の試算の精度との各々を向上させることができる。
【0028】
(機能5:レポート出力機能)
アドオンモジュール部120は、CO2排出量に関するデータをレポートとして出力する。出力されたレポートは、メール等を通じて資材部門及び取引先等と共有される。
具体例として、アドオンモジュール部120は、レポートデータを生成し、生成したレポートデータを対象ユーザと共有する。対象ユーザは、具体例としてサプライヤ又は部材メーカーである。レポートデータは、排出量シミュレーションの明細を示すデータの少なくとも一部を示すデータである共有データを示すデータである。アドオンモジュール部120は、必要に応じて、レポートデータを生成する際に、他者データが共有データに含まれる場合に、対象ユーザと関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように他者データを加工する。他者データは、対象ユーザと、対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータであり、対象ユーザと関連ユーザとを除くユーザが明示又は暗示されているデータである。
【0029】
(機能6:ダッシュボード機能)
データ管理部210は、CO2排出量に関するデータのレポートと同様のデータをWeb等を経由してステークホルダと共有する。ダッシュボード部310は、データ管理部210が出力したデータを表示する。表示されたデータは、PDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルの確認等に用いられる。
具体例として、アドオンモジュール部120は、排出量シミュレーションの明細を示すデータである明細データを排出量管理装置200に送信する。データ管理部210は、排出量シミュレーション装置100から明細データを受信し、ダッシュボードデータを生成し、生成したダッシュボードデータを通信装置300に送信する。ダッシュボードデータは、受信した明細データの少なくとも一部を示すデータである共有データを含む。データ管理部210は、必要に応じて、ダッシュボードデータを生成する際に、通信装置300のユーザである対象ユーザと、対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが共有データに含まれる場合に、対象ユーザと関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように他者データを加工する。ダッシュボード部310は、排出量管理装置200からダッシュボードデータを受信し、受信したデータを表示する。
機能5及び機能6により、設計部門だけではなく、製品及び各部材に関連する部門と、メーカー及びサプライヤとがCO2排出量に関する情報を共有することができるため、ステークホルダ全体でCO2排出量の削減に取り組むことができる。なお、データ管理部110及びデータ管理部210は、取引先の情報の一部をマスキングすることにより取引先を特定することができないように加工したデータを出力してもよい。
【0030】
(機能7:CO2排出コスト試算機能)
機能7は、機能2に加え、機能2によって試算した結果に基づいてCO2排出に関するコストを試算する機能である。アドオンモジュール部120は、排出量シミュレーションにおいて、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータに基づいて対象製品排出量に応じたコストを算出する。単位量当たりのCO2排出のコストは、具体例として顧客毎CO2コストマスタ最新187に示されている。本機能の具体例として、アドオンモジュール部120は、機能2を用いて試算したCO2排出量と、顧客毎CO2コストマスタ最新187が示すCO2コストテーブルの値とに基づいて、CO2排出コストを加味して各設計に対応するコストを試算する。なお、製品の製造工程において排出されるCO2は基本的には本機能の対象外である。
【0031】
図5は、本実施の形態に係る排出量シミュレーション装置100のハードウェア構成例を示している。排出量シミュレーション装置100はコンピュータから成る。排出量シミュレーション装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
【0032】
排出量シミュレーション装置100は、本図に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、入出力IF(Interface)14と、通信装置15等のハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線19を介して適宜接続されている。
【0033】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
排出量シミュレーション装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
【0034】
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じて補助記憶装置13に保存される。
【0035】
補助記憶装置13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。補助記憶装置13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及び補助記憶装置13は一体的に構成されていてもよい。
【0036】
入出力IF14は、入力装置及び出力装置が接続されるポートである。入出力IF14は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子である。入力装置は、具体例として、キーボード及びマウスである。出力装置は、具体例として、ディスプレイである。
【0037】
通信装置15は、レシーバ及びトランスミッタである。通信装置15は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0038】
排出量シミュレーション装置100の各部は、他の装置等と通信する際に、入出力IF14及び通信装置15を適宜用いてもよい。
【0039】
補助記憶装置13は排出量シミュレーションプログラムを記憶している。排出量シミュレーションプログラムは、排出量シミュレーションシステム90が備える各装置の各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。排出量シミュレーション装置100において、排出量シミュレーションプログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。排出量シミュレーションシステム90が備える各装置の各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0040】
排出量シミュレーションプログラムを実行する際に用いられるデータと、排出量シミュレーションプログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。排出量シミュレーション装置100の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、補助記憶装置13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データという用語と情報という用語とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及び補助記憶装置13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0041】
排出量シミュレーションプログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。排出量シミュレーションプログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
排出量管理装置200と通信装置300との各々のハードウェア構成は、排出量シミュレーション装置100のハードウェア構成と同様であってもよい。
【0042】
***動作の説明***
排出量シミュレーションシステム90を構成する各装置の動作手順は排出量シミュレーション方法に相当する。また、排出量シミュレーションシステム90を構成する各装置の動作を実現するプログラムは排出量シミュレーションプログラムに相当する。
【0043】
図6は、機能1を実現する動作の一例を示すフローチャートである。図6を用いて機能1を説明する。なお、図6において本明細書に示すフローチャートにおける凡例を示している。なお、以下の説明において図7を適宜参照する。図7は、排出量マスタ282と標準排出量マスタ184との各々の具体例を示している。
【0044】
(ステップS11)
データ管理部210は、排出原単位DB490に含まれているデータを取得し、取得したデータを排出量マスタ282に格納する。データ管理部210は、格納した排出量マスタ282のバージョンを示すデータを管理してもよい。
【0045】
(ステップS12)
アドオンモジュール部120は、排出量マスタ282を参照して標準排出量マスタ184が示す排出原単位データのバージョンが最新であるか否かを判定する。この際、アドオンモジュール部120は、具体例として「バージョン」又は「更新日時」を標準排出量マスタ184と排出量マスタ282との間で比較する。当該バージョンが最新ではない場合、排出量シミュレーションシステム90はステップS13に進む。それ以外の場合、排出量シミュレーションシステム90は本フローチャートの処理を終了する。
アドオンモジュール部120は、具体例として、排出量マスタ282の「列コード」を標準排出量マスタ184の「標準部材種別コード」に対応させ、また、標準排出量マスタ184の「バージョン」が排出量マスタ282のバージョンと同じであるか否かを確認する。なお、図7に示す曲線は1まとまりのデータを分割して表示していることを示す。標準排出量マスタ184の「サブ情報」はデータの属性を表す。例えば、「サブ情報」には、部材を表す「産連表DB」と、輸送を表す「輸送(トンキロ法)」といったデータが設定される。なお、「産連表DB」及び「輸送(トンキロ法)」は、[参考文献1]でダウンロード可能な排出原単位DBにおいて用いられる用語である。標準排出量マスタ184の「単位種別」は、「物量」単位であることが望ましいが、部材の物量を正確に測定することができない場合において「金額換算」単位等であってもよい。
【0046】
(ステップS13)
アドオンモジュール部120は、排出量管理装置200の排出量マスタ282から最新の排出原単位データを取得し、取得した排出原単位データが示す排出原単位の数単位を標準排出量マスタ184の「単位」に合わせて加工し、加工した値を標準排出量マスタ184の「標準排出量」に登録する。
アドオンモジュール部120は、具体例として、対象部材に対応する「標準排出量」について、標準排出量マスタ184の「単位」がg(グラム)である場合に、対象部材に対応する排出原単位の数単位(「(1)物量ベースの排出原単位」に示す値)を、対象部材1単位当たりのCO2排出量であって、gによって表現したCO2排出量に変換する。
図7において、排出量マスタ282は、前述した通り、データ管理部210が排出原単位DB490から取得したデータから成るデータであり、図示しないが、排出原単位DB490との対応を表す「データ元」と「バージョン」と「サブ情報」等のデータを有する。排出量マスタ282の「列コード」と標準排出量マスタ184の「標準部材種別コード」とは対応し、排出量マスタ282の「部門名」と標準排出量マスタ184の「標準部材種別名」とは対応する。なお、対応する排出量マスタ282の項目と標準排出量マスタ184の項目とには必ずしも同じ体系のデータが設定されている必要はない。例えば、図示しないマスタにおいて「列コード」のデータ体系と「標準部材種別コード」のデータ体系との対応が登録されており、登録されている対応により、排出量マスタ282と標準排出量マスタ184との対応が紐づけられていてもよい。アドオンモジュール部120は、「データ元」と「バージョン」と「サブ情報」と「標準部材種別コード」と「単位種別」とをキーとし、排出量マスタ282から取得した最新の排出原単位を、標準排出量マスタ184の「単位」に合わせた排出量に変換し、変換した排出量を「標準排出量」に設定する。図7に示す例では、排出量マスタ282の「列コード」の「XXXXXXXX」と、標準排出量マスタ184の「標準部材種別コード」の「標準部材種別コードA」とが対応しており、「XXXXXXXX」における排出量1t-CO2eqに対応する物量が「0.863t」であることから、物量1tに対応する排出量は、1/0.863=1.16t-CO2eqである。物量1gに対応する排出量は1.16g-CO2eqであるから「標準排出量」に「1.16」と設定される。
【0047】
図8及び図9は、機能2及び機能7を実現する動作の一例を示すフローチャートである。図8及び図9を用いて機能2及び機能7を説明する。なお、以下の説明において図10及び図11を適宜参照する。図10及び図11は、データ管理部110が管理している各データの具体例を示している。図10に示す矢印は、参照被参照の関係又は対応関係等を示している。
なお、部材マスタ181において、対象部材に対応する複数のサプライヤが示されていてもよく、対象部材に対応する複数のサプライヤが示されている場合において、各サプライヤに対応する「調査実績排出量」が互いに異なってもよい。
標準排出量マスタ184の「標準排出量」は製造過程排出量データに当たる。図10に示す項目を有する標準排出量マスタ184の代わりに図7に示す項目を有する標準排出量マスタ184が用いられてもよい。
顧客毎CO2コストマスタ最新187の「標準コスト」及び「設定コスト」は排出コストデータに当たる。顧客毎CO2コストマスタ最新187の「設定コスト」は部材のサプライヤごとに異なってもよい。
図11のシミュレーション明細192及びシミュレーションリスト193は、部材のサプライヤが複数存在する場合において、部材のサプライヤごとに排出量シミュレーションを実行した結果を示している。図11のシミュレーション明細192において、「品番」P-002と「品番」P-003とは同じ部材を示してもよい。「品番」P-002と「品番」P-003とが同じ部材を示す場合において、「シミュレーションID」SIM-011に対応するシミュレーションは第1対象製品に対応する排出量シミュレーションに当たり、「シミュレーションID」SIM-012に対応するシミュレーションは第2対象製品に対応する排出量シミュレーションに当たる。
【0048】
(ステップS21)
データ管理部110は、部材マスタ181をPLMシステムの部材マスタと一定のタイミングで連携し、構成マスタ182をPLMシステムの構成マスタを一定のタイミングで連携する。
【0049】
(ステップS22)
ユーザは画面操作等によって機能2又は機能7を選択し、構成マスタ182から特定の親品番を選択し、選択した親品番に紐づく子品番を選択する。1つの親品番に紐づく子品番が複数あってもよい。各子品番は、別の子品番と代替えが可能であってもよい。子品番は、手動で選択されてもよく、自動で選択されてもよい。
また、アドオンモジュール部120は、選択された親品番に対して、選択された親品番に紐づく各子品番を代替えに置換した全てのパターンを作成してもよい。このとき、アドオンモジュール部120は、そのうちの1つのパターンについて、ステップS23からステップS33までの反復処理を繰り返してもよい。図10に示す構成マスタ182では、「代替コード」に同じコードが設定されている場合に代替えが可能である。即ち、「代替コード」に「X01」が設定されている子品番である子品番「P-002」と子品番「P-003」とが代替え可能である。そのため、選択された親品番「A-001」に紐づく各子品番を代替えに置換した全てのパターンとして、親品番「A-001」に子品番「P-001」と子品番「P-002」とが対応するパターンと、親品番「A-001」に子品番「P-001」と子品番「P-003」とが対応するパターンとがある。
【0050】
(ステップS23、ステップS33)
アドオンモジュール部120は、ステップS23からステップS33までの反復処理において、ステップS22で選択された子品番のうちまだ選択されていない子品番を処理対象の選択子品番として選択する。ここで、選択子品番に対応する部材を選択部材とする。
アドオンモジュール部120は、ステップS22において選択された親品番と同一の親品番に対応する子品番の個数分、反復処理を繰り返す。
【0051】
(ステップS24)
部材マスタ181において選択部材に対応する「調査実績排出量」のデータがある場合、排出量シミュレーション装置100はステップS25に進む。それ以外の場合、排出量シミュレーション装置100はステップS26に進む。
具体例として、図10において、選択部材が品番P-002に対応する部材である場合に選択部材に対応する「調査実績排出量」のデータがある。
【0052】
(ステップS25)
アドオンモジュール部120は、部材マスタ181が示す選択部材の「調査実績排出量」と、構成マスタ182が示す選択部材の「数量」とに基づいて選択部材単体に対応するCO2排出量を試算する。
【0053】
(ステップS26)
アドオンモジュール部120は、部材マスタ181の「品番」のうち選択子品番に対応する「品番」に紐づく「顧客部材種別」のデータを顧客毎部材種別マッチングマスタ291から取得し、取得したデータを顧客毎部材種別マッチングマスタ183に登録する。
【0054】
(ステップS27)
選択子品番に対応するデータが顧客毎部材種別マッチングマスタ183にある場合、排出量シミュレーション装置100はステップS29に進む。それ以外の場合、排出量シミュレーション装置100はステップS28に進む。
【0055】
(ステップS28)
ユーザは、顧客毎の「顧客部材種別」を顧客毎部材種別マッチングマスタ183に手動で登録する。
【0056】
(ステップS29)
アドオンモジュール部120は、標準排出量マスタ184が示す選択部材の「標準排出量」と、構成マスタ182が示す選択部材の「数量」とに基づいて選択部材単体に対応するCO2排出量を試算する。
【0057】
(ステップS30)
ステップS22において機能2が選択された場合、排出量シミュレーション装置100はステップS33に進む。ステップS22において機能7が選択された場合、排出量シミュレーション装置100はステップS31に進む。
【0058】
(ステップS31)
アドオンモジュール部120は、部材取引先価格マスタ188から選択子品番に紐づく「標準価格」を取得する。ここで、選択子品番に紐づく「標準価格」は選択部材のコストを示す。
【0059】
(ステップS32)
アドオンモジュール部120は、試算したCO2排出量と、顧客毎CO2コストマスタ最新187が示すCO2排出コストとに基づいて、CO2排出コストを算出する。CO2排出コストは、具体例として図10に示す顧客毎CO2コストマスタ最新187の「標準コスト」又は「設定コスト」である。顧客毎CO2コストマスタ最新187において「標準コスト」と「設定コスト」との双方のデータがある場合において、アドオンモジュール部120は「設定コスト」を優先的に採用してもよい。
【0060】
(ステップS34)
アドオンモジュール部120は、各子品番に対応するCO2排出量の総和を算出する。機能7が選択された場合において、アドオンモジュール部120は、製品のコストとして、各子品番に対応するCO2排出コストの総和と、各子品番に対応する部材のコストの総和との和を算出する。
アドオンモジュール部120は、各子品番に対応するCO2排出量の総和を画面表示する。機能7が選択された場合、アドオンモジュール部120は製品のコストを画面表示する。なお、アドオンモジュール部120は、各子品番に対応するCO2排出量とCO2排出コストと部材のコストとを画面表示してもよい。
【0061】
(ステップS35)
ユーザは、画面表示された情報を考慮し、また、部材マスタ181と、標準排出量マスタ184と、顧客毎CO2コストマスタ最新187と、シミュレーション明細192等を参照して製品の設計を適宜変更する。ユーザは、機能2を選択した場合にCO2排出量を他の構成との間で比較してもよく、機能7を選択した場合にCO2排出量に加えて部材コストとCO2排出コストとを他の構成との間で比較してもよい。
なお、ある部材と他の部材とが同じ「代替コード」を持つ場合、当該ある部材を当該他の部材に変更することができる。
【0062】
(ステップS36)
アドオンモジュール部120は、シミュレーション結果を、シミュレーション結果に対してシミュレーションID(Identifier)を付与した上でシミュレーションリスト193とシミュレーション明細192とにトランザクションデータとして記録する。シミュレーション結果は、機能2においてはCO2排出量の試算結果であり、機能7においてはCO2排出量とコストとの試算結果である。
なお、アドオンモジュール部120は、ステップS22で作成した全てのパターンであって、選択された親品番に紐づく子品番を代替えに変えた全てのパターンについて、ステップS23からステップS36までを繰り返し実行してもよい。
図11は、本ステップの実行結果の具体例を示す。シミュレーションリスト193及びシミュレーション明細192において、代替え可能な複数の子品番についてシミュレーションを実行した結果が記録されている。ここで、更新日が異なれば、元々「調査実績排出量」が空欄であったデータに「調査実績排出量」の値が追加されたり、サプライヤ・製造拠点が変わったりするため、同じ構成でシミュレーションを実行した場合であっても「行集計排出量」の値が変わる可能性がある。
【0063】
(ステップS37)
アドオンモジュール部120は、シミュレーションリスト193に登録したデータを、一定周期でシミュレーションリスト294に同期する。
【0064】
(ステップS38)
レポートを出力することによりシミュレーション結果を他者と共有する場合、排出量シミュレーション装置100はステップS39に進む。それ以外の場合、排出量シミュレーション装置100は本フローチャートの処理を終了する。
【0065】
(ステップS39)
排出量シミュレーション装置100は機能5の処理を実行する。
【0066】
図12は、機能3の一部を実現する動作であって、拠点距離マスタ185を整備する動作の一例を示すフローチャートである。図12を用いて機能3を説明する。なお、以下の説明において図13を適宜参照する。図13は、ERPシステムの取引マスタと、データ管理部110が管理している各データとを示している。
【0067】
(ステップS41)
アドオンモジュール部120は、ERPシステムの拠点マスタと、拠点距離マスタ185とを一定のタイミングで連携する。なお、アドオンモジュール部120は、拠点距離マスタ185の「場所コード」の値としてシステム固有の値を採番する。
【0068】
(ステップS42)
アドオンモジュール部120は、拠点距離マスタ185を画面表示する。
【0069】
(ステップS43)
ユーザは、サプライヤと製品の製造拠点との間の距離を排出量シミュレーション装置100が提供する画面にマニュアル入力する。アドオンモジュール部120は、マニュアル入力された距離を拠点距離マスタ185に登録する。
本ステップにおいて、具体例として図13に示す拠点距離マスタ185の「距離」が入力される。
【0070】
(ステップS44)
アドオンモジュール部120は、拠点距離マスタ185の「距離」と、物流排出量マスタ186の「標準排出量」と、所定の係数とを掛けた値を物流過程におけるCO2排出量として算出し、拠点距離マスタ185に反映する。拠点距離マスタ185の「@排出量」は、物流過程排出量データを示し、物流過程におけるCO2排出量を示し、また、部材の種類に応じた値であってもよく、部材の種類に関係なく一律の値であってもよい。図13に示す拠点距離マスタ185は、各サプライヤに対応するCO2排出量を示している。また、図13に示す拠点距離マスタ185において、サプライヤが同じであれば単位量当たりの部材の物流過程におけるCO2排出量は部材の種類に関わらず同じである。
具体例として、アドオンモジュール部120は[数式1]に示すように物流過程におけるCO2排出量を算出する。[数式1]は5tトラックに対応する。5tトラックは、ディーゼル車であり、積載率が60%であるものとする。また、[数式1]の各パラメータは下記の通りである。なお、[数式1]及び各パラメータは[参考文献1]でダウンロード可能な排出原単位DBに基づく。
輸送トンキロ=5t×輸送距離(km)
輸送トンキロ当たり燃料使用量[D]=トンキロ法燃料使用原単位(l/トンキロ)[D]=0.0867(営業車の車種別平均積載率60%に対応する値である)
単位発熱量(GJ/kl)[A]=37.7
排出係数(tCO2/GJ)[B]=0.0187
CO2排出原単位[tCO2/kl]=単位発熱量(GJ/kl)[A]×排出係数(tCO2/GJ)[B]×44/12=37.7×0.0187×44/12=2.58496333333333(4t以上のトラックのCO2排出原単位の参考値である)
従って、[数式1]に基づくCO2排出量(t)は[数式2]に示す通りである。
【0071】
[数式1]
CO2排出量(tCO2)=輸送トンキロ(トンキロ)×トンキロ法燃料使用原単位(l/トンキロ)[D]×0.001(kl/l)×単位発熱量(GJ/kl)[A]×排出係数(tCO2/GJ)[B]×44/12
[数式2]
CO2排出量(t)=5t×輸送距離(km)×0.0867×0.001(kl/l)×2.58496333333333
=0.00112×輸送距離(km)
【0072】
図14は、機能3の一部を実現する動作であって、物流過程におけるCO2排出量を試算する動作の一例を示すフローチャートである。図14を参照して機能3を説明する。以下、図15を適宜参照する。図15はデータ管理部110が管理している各データを示している。
【0073】
(ステップS51)
ユーザは、オーダーに紐づく部材を手配する際に、排出量シミュレーション装置100が提供する画面において各部材のサプライヤを入力する。
本ステップにおいて、具体例として図15に示すシミュレーション明細192の「サプライヤ・製造拠点」が入力される。
【0074】
(ステップS52)
アドオンモジュール部120は、設計データに対して、物流過程におけるCO2排出量の目安値を算出し、算出した目安値をシミュレーション明細192に追加する。
本ステップの目的は、製品の計画段階において、[参考文献2]に示すサプライチェーン排出量のScope3における目安データを得ることである。なお、[参考文献2]において、Scope1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼及び工業プロセスによる排出)である。Scope2は他社から供給された電気と熱と蒸気との使用に伴う間接排出である。Scope3は、Scope1及びScope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)を表し、輸送及び配送における排出を含む。
【0075】
[参考文献2]
“グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ”、[online]、環境省、[令和4年9月9日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html>
【0076】
(ステップS53)
アドオンモジュール部120は、設計過程における各部材に対応するCO2排出量と各部材の「数量」とを掛けた値と、物流過程における各部材に対応するCO2排出量と各部材の「数量」とを掛けた値との合計を各部材の「行集計排出量」として算出する。例えば、図15に示すシミュレーション明細192の「行ID」が「R002」である場合において、アドオンモジュール部120は、CO2排出量である「標準排出量」の「30」と部材の「数量」の「4」とを掛けた値である120と、物流過程における各部材に対応するCO2排出量である「@排出量」の「60」と部材の「数量」の「4」とを掛けた値である240との合計である360を「行集計排出量」として設定する。
【0077】
(ステップS54)
アドオンモジュール部120は、設計プロセスにおけるトータルのCO2排出量として、ステップS53において算出した各部材の「行集計排出量」の合計をシミュレーションリスト193の「トータル排出量」に設定し、また、当該合計を表示する。
【0078】
(ステップS55)
本ステップの処理は、ステップS38中のステップS39をステップS56に置き換えた処理である。
【0079】
(ステップS56)
本ステップはステップS39と同様である。
【0080】
図16は、機能4を実現する動作の一例を示すフローチャートである。図16を用いて機能4を説明する。
【0081】
(ステップS61)
アドオンモジュール部120は、「調査実績排出量」の入力画面を表示する。
【0082】
(ステップS62)
ユーザは、各部材の「調査実績排出量」として、サプライヤから提供されたCO2排出実績量、又は、各部材の製造実績から算出された各部材のCO2排出量の実績値等を入力する。
【0083】
(ステップS63)
アドオンモジュール部120は、入力された各部材の「調査排出実績量」を、部材マスタ181において各部材の「調査実績排出量」として登録する。
【0084】
図17は、機能5を実現する動作の一例を示すフローチャートである。図17を用いて機能5を説明する。
【0085】
(ステップS71)
アドオンモジュール部120は、標準排出量と調査実績排出量との少なくともいずれかに基づくCO2排出量を表示する。アドオンモジュール部120は、各部材に対応するCO2排出量を表示してもよく、各構成に対応するCO2排出量を表示してもよい。
【0086】
(ステップS72)
ユーザはCO2排出量の共有先を選択する。
【0087】
(ステップS73)
ステップS72において選択された共有先が社外取引相手である場合、排出量シミュレーション装置100はステップS75に進む。それ以外の場合、排出量シミュレーション装置100はステップS74に進む。
【0088】
(ステップS74)
アドオンモジュール部120は社内共有用項目を出力する。社内共有用項目にはCO2排出量に対応する項目が含まれている。
【0089】
(ステップS75)
アドオンモジュール部120は社外共有用項目を出力する。社外共有用項目にはCO2排出量に対応する項目が含まれている。社内共有用項目と社外共有用項目との各々は適宜選定されてよく、社内共有用項目と社外共有用項目とは同じであってもよい。
【0090】
(ステップS76)
社外共有用項目に匿名化対象データが含まれている場合、排出量シミュレーション装置100はステップS77に進む。匿名化対象データは、選択された共有先であるユーザと、当該ユーザの関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである。それ以外の場合、排出量シミュレーション装置100はステップS78に進む。
【0091】
(ステップS77)
アドオンモジュール部120は、社外共有用項目に含まれている匿名化対象データをマスキングし、マスキングした匿名化対象データを出力に追加する。なお、アドオンモジュール部120は、マスキングする代わりに仮名等に置換してもよい。
ここで、図18を用いてマスキングについて説明する。以下、CO2排出量の共有先である各ユーザは、経営者と設計者と資材部門と部材メーカーとサプライヤとのいずれかであるものとする。アドオンモジュール部120は、ユーザリスト283を参照することによって各ユーザがいずれのユーザであるかを把握することができる。経営者と設計者と資材部門とについては、社内のユーザであるためにマスキングしたデータを共有する必要はない。一方、部材メーカーとサプライヤとについては社外取引相手であるためにマスキングしたデータを共有する。
図18の(a)は、製品XのCO2排出量を示すデータを示す表である。図18の(b)は、製品XのシミュレーションSIM-003におけるCO2排出量明細を示す表である。図18の(c)は、図18の(b)に対応する表であり、Scopeごとの排出量合計を示す表である。図18の(d)は、マスキングしたCO2排出量明細を示す表である。ここで、図18の(d)に示すデータ以外はマスキングされていない。なお、図18に示す各項目は社外共有用項目に当たる。図18において、A社とB社とC社とD社との各々は部材メーカーであり、サプライヤ1とサプライヤ2とサプライヤ3とサプライヤ4との各々はサプライヤである。
ここで、図18の(b)に対応するマスキングの具体例を説明する。A社と共有するデータは、図18の(d)に示すように、部材AAAA以外の部材と、A社以外の部材メーカーと、サプライヤ1以外のサプライヤとを特定することができないようにマスキングされたデータである。即ち、サプライヤ1はA社の関連ユーザに当たる。また、部材AAAA以外の部材と、A社以外の部材メーカーと、サプライヤ1以外のサプライヤとを示すデータはA社に対応する匿名化対象データに当たる。サプライヤ1と共有するデータは、A社と共有するデータと同様にマスキングされたデータである。また、B社と共有するデータは、図18の(d)と同様に、部材BBBB以外の部材と、B社以外の部材メーカーと、サプライヤ2以外のサプライヤとを特定することができないようにマスキングされたデータである。サプライヤ2と共有するデータは、B社と共有するデータと同様にマスキングされたデータである。
【0092】
(ステップS78)
アドオンモジュール部120は、製品に対応するCO2排出量を含む情報をレポートとして出力する。
図19は、レポートの具体例であり、図18に示すデータに対応するグラフである。なお、図19はマスキングされていないデータを示しているが、匿名化対象データが存在する場合には匿名化対象データは適宜マスキングされる。図18に示すデータがレポートに含まれてもよい。
以下、CO2排出量を各ユーザと共有する効果について説明する。A社及びB社は「実績排出量」を提示しているが、C社及びD社は「実績排出量」を提示していないことが図18の(b)から分かる。そのため、図18の(b)には、C社及びD社に対して「実績排出量」を提示するように改善を促す効果がある。
部材BBBBについては、「合算」に対応するCO2排出量が相対的に多く、また、「Scope1,2」に対応するCO2排出量と「Scope3」に対応するCO2排出量との双方が相対的に少なくないことが図19の(d)から分かる。そのため、図19の(d)には、B社とサプライヤ2との双方に対してCO2排出量を減らす努力(改善)を促す効果がある。ここで、「合算」はScope1及び2に対応するCO2排出量と、Scope3に対応するCO2排出量との合計である。
部材CCCCについては、「合算」に対応するCO2排出量が相対的に多く、また、「Scope1,2」に対応するCO2排出量が相対的に多いものの「Scope3」に対応するCO2排出量が相対的に少ないことが図19の(d)から分かる。そのため、図19の(d)には、具体例としてC社に対して他の部材の「Scope1,2」に対応するCO2排出量と同水準までCO2排出量を減らす努力(改善)を促す効果がある。
部材DDDDについては、「Scope3」に対応するCO2排出量の比率が相対的に高いことが図19の(d)から分かる。そのため、図19の(d)には、サプライヤ4に対して「Scope3」に対応するCO2排出量を減らす努力(改善)を促す効果がある。
なお、図19に示すグラフは一例であり、サプライヤごと及びScopeごと等、さらに詳細に排出割合を表示することにより各ユーザに対して改善を促してもよい。
【0093】
(ステップS79)
アドオンモジュール部120はメーラーを起動する。
【0094】
(ステップS80)
アドオンモジュール部120は、共有用項目を示す新規メールを作成し、作成した新規メールを画面表示する。共有用項目は、社内共有用項目と社外共有用項目との総称である。新規メールにはステップS78において出力したレポートを示すファイル等を添付してもよい。
【0095】
(ステップS81)
ユーザは、画面表示された新規メールを確認し、その後新規メールを送信する。
【0096】
図20は、機能6を実現する動作の一例を示すフローチャートである。図20を用いて機能6を説明する。
【0097】
(ステップS91)
ダッシュボード部310は、ダッシュボード機能の初期画面を表示する。
【0098】
(ステップS92)
ユーザが社外取引相手である場合、ダッシュボード部310はステップS94を実行する。それ以外の場合、ダッシュボード部310はステップS93を実行する。
【0099】
(ステップS93)
ダッシュボード部310は、CO2排出量及びCO2削減量の推移と、CO2削減目標とを示すデータを取得する。
【0100】
(ステップS94)
ダッシュボード部310は、CO2排出量及びCO2削減量の推移と、CO2削減目標とを示すデータを取得する。ここで、取得したデータに含まれている匿名化対象データはステップS77において説明したようにマスキングされている。
【0101】
(ステップS95)
ダッシュボード部310は取得したデータを画面表示する。ダッシュボード部310は、取得したデータをグラフ化した上で画面表示してもよい。ダッシュボード部310は、図18及び図19に示すデータと同様のデータを表示する。
【0102】
***実施の形態1の効果の説明***
以下、従来の課題を説明する。
製品設計プロセスにおいて、CAD(Computer Aided Design)と、PLM(Product Lifecycle Management)と、PDM(Product Data Management)といったIT製品が活用される。しかしながら、従来、CO2低減のニーズが少なかったためにこれらのIT製品にはCO2を意識した設計を支援する機能が不足している。具体例として、日本では環境省がCO2排出量を算出するための基礎データを提供しているものの、これらのIT製品には当該基礎データと連携する機能がないという課題があった。
また、製品設計プロセスにおいて、設計部門はCO2排出量の削減に向けて資材部門及び取引先とも連携する必要があるが、設計部門以外の部門等においては連携してCO2排出量の削減を検討するためのデータを容易に入手することができないという課題があった。
【0103】
本実施の形態によれば、アドオンモジュール部120が、環境省が提供している排出原単位データと連携して各部材のCO2排出量を算出し、算出した各部材のCO2排出量に基づいて製品全体のCO2排出量を算出し、また、算出した製品全体のCO2排出量等を示すデータを他の部門等と共有する。そのため、本実施の形態によれば、従来の課題を解決することができる。さらに、本実施の形態は、企業活動全般におけるCO2排出量の見える化と、CO2排出量の削減アクション等に役立てることができる。
また、本実施の形態のレポート機能を活用することにより、製造業顧客等である設計者は、製品設計プロセスにおいて、資材部門及び取引先等と製品のCO2排出量を示すデータを共有し、CO2排出量の削減を考慮した設計を進めることができる。
また、本実施の形態のダッシュボード機能を活用することにより、株主と、投資家と、顧客等の製造業顧客全体に対して、CO2排出量の低減に向けた具体的なアクション等を報告することができる。
【0104】
本実施の形態によれば、部材のサプライヤが複数存在する場合において、部材のサプライヤごとの、調査実績排出量と、物流過程におけるCO2排出量と、CO2排出コストと、部材の価格とに基づいて排出量シミュレーションを実行することができる。そのため、本実施の形態によれば、具体例として、同じ部材であってもサプライヤが異なれば基本的にはCO2排出量が異なるので、同じ製品について、部材のサプライヤごとに排出量シミュレーションを実行することができる。
本実施の形態によれば、各サプライヤに対して、他のサプライヤを示す情報をマスキングした上でシミュレーション結果を提示することができる。そのため、本実施の形態によれば、各サプライヤに対して製品の計画段階において改善を促すことができる。
本実施の形態によれば、シミュレーション明細192は一定の周期で排出量管理装置200と同期される。そのため、本実施の形態によれば、各サプライヤは、最新のマスタに基づいて実行されたシミュレーション結果を通信装置300を通じて参照することができる。
【0105】
***他の構成***
<変形例1>
図21は、本変形例に係る排出量シミュレーション装置100のハードウェア構成例を示している。
排出量シミュレーション装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11と補助記憶装置13、あるいはプロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、排出量シミュレーション装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0106】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
排出量シミュレーション装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0107】
排出量シミュレーション装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0108】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、排出量シミュレーション装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
排出量管理装置200と通信装置300との各々のハードウェア構成は、本変形例に示すハードウェア構成であってもよい。
【0109】
***他の実施の形態***
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。フローチャート等を用いて説明した手順は適宜変更されてもよい。
【0110】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0111】
(付記1)
対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量である製造過程排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータである製造過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量に基づいて前記対象製品に対応するCO2排出量である対象製品排出量を算出し、前記対象製品排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータである排出コストデータとに基づいて前記対象製品に対応するCO2排出コストを算出するシミュレーションである排出量シミュレーションを実行するアドオンモジュール部
を備える排出量シミュレーション装置
を備える排出量シミュレーションシステムであって、
前記対象製品を構成する各部材に対応する製造過程排出量データは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである排出量シミュレーションシステム。
【0112】
(付記2)
前記アドオンモジュール部は、製品データ管理システムのアドオンモジュールから成る付記1に記載の排出量シミュレーションシステム。
【0113】
(付記3)
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションにおいて、前記対象製品を構成する各部材について、各部材の物流過程におけるCO2排出量である物流過程排出量を、単位量当たりの各部材の物流過程におけるCO2排出量を示すデータである物流過程排出量データに基づいて算出し、算出した各部材に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記対象製品排出量を算出し、
前記対象製品を構成する各部材に対応する物流過程排出量データは、前記対象製品を構成する各部材の製造拠点と、前記対象製品の製造拠点との間の距離に対応するデータである付記1又は2に記載の排出量シミュレーションシステム。
【0114】
(付記4)
前記対象製品を構成する対象部材のサプライヤとして第1サプライヤと第2サプライヤとがあり、前記製造過程排出量データと前記物流過程排出量データと前記排出コストデータとの各々には、前記第1サプライヤの対象部材に対応するデータと、前記第2サプライヤの対象部材に対応するデータとがある場合において、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションにおいて、
前記第1サプライヤの対象部材を含む対象製品である第1対象製品に対応する製造過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する物流過程排出量を前記第1サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第1対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第1対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第1対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第1サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第1対象製品に対応するCO2排出コストを算出し、
前記第2サプライヤの対象部材を含む対象製品である第2対象製品に対応する製造過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する製造過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する物流過程排出量を前記第2サプライヤの対象部材に対応する物流過程排出量データを用いて算出し、前記第2対象製品に対応する製造過程排出量と物流過程排出量とに基づいて前記第2対象製品に対応する対象製品排出量を算出し、前記第2対象製品に対応する対象製品排出量と、前記第2サプライヤの対象部材に対応する排出コストデータとに基づいて前記第2対象製品に対応するCO2排出コストを算出する付記3に記載の排出量シミュレーションシステム。
【0115】
(付記5)
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションシステムのユーザによって入力されたデータであって、前記対象製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値を示すデータである入力データを受け付ける付記1から4のいずれか1つに記載の排出量シミュレーションシステム。
【0116】
(付記6)
前記アドオンモジュール部は、
前記排出量シミュレーションの明細を示すデータの少なくとも一部を示すデータである共有データを示すレポートデータを生成し、生成したレポートデータを対象ユーザと共有し、
前記レポートデータを生成する際に、前記対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する付記1から5のいずれか1つに記載の排出量シミュレーションシステム。
【0117】
(付記7)
前記排出量シミュレーションシステムは、さらに、
排出原単位データベースから最新の排出原単位データを取得するデータ管理部
を備える排出量管理装置
を備え、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量管理装置から最新の排出原単位データを取得する付記1から6のいずれか1つに記載の排出量シミュレーションシステム。
【0118】
(付記8)
前記排出量シミュレーションシステムは、さらに、
ダッシュボード部
を備える通信装置
を備え、
前記アドオンモジュール部は、前記排出量シミュレーションの明細を示すデータである明細データを前記排出量管理装置に送信し、
前記排出量管理装置のデータ管理部は、前記排出量シミュレーション装置から前記明細データを受信し、受信した明細データの少なくとも一部を示すデータである共有データを含むダッシュボードデータを生成し、生成したダッシュボードデータを前記通信装置に送信し、
前記ダッシュボード部は、前記排出量管理装置から前記ダッシュボードデータを受信し、受信したダッシュボードデータを表示し、
前記排出量管理装置のデータ管理部は、前記ダッシュボードデータを生成する際に、前記通信装置のユーザである対象ユーザと、前記対象ユーザに関連するユーザである関連ユーザとを除くユーザの特定につながるデータである他者データが前記共有データに含まれる場合に、前記対象ユーザと前記関連ユーザとを除くユーザを特定することができないように前記他者データを加工する付記7に記載の排出量シミュレーションシステム。
【符号の説明】
【0119】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 補助記憶装置、14 入出力IF、15 通信装置、18 処理回路、19 信号線、90 排出量シミュレーションシステム、100 排出量シミュレーション装置、110 データ管理部、120 アドオンモジュール部、181 部材マスタ、182 構成マスタ、183 顧客毎部材種別マッチングマスタ、184 標準排出量マスタ、185 拠点距離マスタ、186 物流排出量マスタ、187 顧客毎CO2コストマスタ最新、188 部材取引先価格マスタ、191 削減目標履歴、192 シミュレーション明細、193 シミュレーションリスト、200 排出量管理装置、210 データ管理部、281 CO2コストマスタ、282 排出量マスタ、283 ユーザリスト、291 顧客毎部材種別マッチングマスタ、292 顧客毎CO2コストマスタ履歴、293 削減目標履歴、294 シミュレーションリスト、300 通信装置、310 ダッシュボード部、400 環境システム、490 排出原単位DB。
【要約】
【課題】製品設計プロセスにおいて製品に対応するCO2排出量を算出する技術において、製品を構成する各部材の製造過程におけるCO2排出量を示す情報を活用したく、また、CO2排出に関するコストを考慮したい。
【解決手段】排出量シミュレーション装置100は、対象製品を構成する各部材について、各部材の製造過程におけるCO2排出量を、単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータに基づいて算出し、算出した各部材のCO2排出量に基づいて対象製品に対応するCO2排出量を算出し、算出した対象製品に対応するCO2排出量と、単位量当たりのCO2排出のコストを示すデータとに基づいて対象製品に対応するCO2の排出コストを算出する。単位量当たりの各部材の製造過程におけるCO2排出量を示すデータは、各部材の排出原単位データに対応するデータと、各部材の製造過程におけるCO2排出量の実績値に対応するデータとのいずれかである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21