(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】熱伝導性シート
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240209BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240209BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240209BHJP
C08K 7/06 20060101ALI20240209BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240209BHJP
C09K 5/14 20060101ALI20240209BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240209BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C08J5/18 CFH
C08L83/04
C08K3/04
C08K7/06
C08K3/22
C09K5/14 E
H01L23/36 D
H01L23/36 M
(21)【出願番号】P 2023518421
(86)(22)【出願日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2023010860
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2022050134
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 祐希
(72)【発明者】
【氏名】向 史博
(72)【発明者】
【氏名】北爪 琢哉
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/065522(WO,A1)
【文献】特開2022-037609(JP,A)
【文献】特開2015-029071(JP,A)
【文献】国際公開第2021/241714(WO,A1)
【文献】特開2022-036692(JP,A)
【文献】特開2015-216387(JP,A)
【文献】特開2018-022923(JP,A)
【文献】特開2018-046073(JP,A)
【文献】特開2012-023335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
C08L 83/04
C08K 3/04
C08K 7/06
C08K 3/22
C09K 5/14
H01L 23/34-23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンと熱伝導性フィラーとを含有する樹脂組成物からなり、
50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm
2以下であり、
前記樹脂組成物は、前記熱伝導性フィラーとして少なくとも炭素繊維とグラファイト粉末とアルミナ粒子とを含み、
熱伝導性シートにおける前記炭素繊維と前記グラファイト粉末と前記アルミナ粒子との合計含有量は、50体積%以上70体積%以下であり、
熱伝導性シートにおける前記グラファイト粉末の含有量は、3体積%以上15体積%以下であり、
熱伝導性シートにおける前記グラファイト粉末と前記アルミナ粒子との合計含有量は、10体積%以上35体積%以下である、熱伝導性シート。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、シリコーンとしてポリジメチルシロキサンを含有する、請求項1に記載の熱伝導性シート。
【請求項3】
熱伝導性シートにおける前記グラファイト粉末の含有量は3体積%以上
10体積%以下である、請求項1に記載の熱伝導性シート。
【請求項4】
熱伝導性シートにおける前記炭素繊維と前記グラファイト粉末と前記アルミナ粒子との合計含有量は、55体積%以上70体積%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の熱伝導性シート。
【請求項5】
50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.55N/mm
2以下である、請求項
1~3のいずれかに記載の熱伝導性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シートに関する。
本出願は、2022年3月25日出願の日本出願第2022-050134号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップ等の発熱部材には、通常、熱伝導材(TIM:Thermal Interface Material)を介してヒートシンク等の放熱部材が取り付けられ、発熱部材で発生した熱は、上記熱伝導材を介して放熱部材に伝導される。
【0003】
上記熱伝導材として、例えば、樹脂マトリックス中に、熱伝導性フィラーとして、球状のアルミナと炭素繊維とが配合された熱伝導性シートが提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/244890号
【文献】特開2014-31501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICチップに使用する熱伝導性シートは、当該熱伝導性シートをICチップに取り付ける際の圧縮荷重値に許容値が定められており、所定の圧縮荷重を掛けて取り付けた際に高い熱伝導性を発揮できる必要がある。そのため、熱伝導性シートは、柔らかくて、熱伝導性が高いことが求められる。
特許文献1、2に記載された熱伝導性シートでは、柔軟性を確保しようとすると、熱伝導性が不十分になってしまう。熱伝導性を高めるために熱伝導性フィラーの配合量を多くすると、熱伝導性シートが硬くなり過ぎてしまう。
即ち、従来の熱伝導性シートでは、柔らかさと高い熱伝導性とを両立させることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、このような状況のもと鋭意検討を重ね、柔軟で、かつ熱伝導性に優れた熱伝導性シートを完成した。
【0007】
(1)本発明の熱伝導性シートは、シリコーンと熱伝導性フィラーとを含有する樹脂組成物からなり、
50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm2以下であり、
上記樹脂組成物は、上記熱伝導性フィラーとして少なくとも炭素繊維とグラファイト粉末とアルミナ粒子とを含み、
上記熱伝導性シートにおける上記炭素繊維と上記グラファイト粉末と上記アルミナ粒子との合計含有量は、50体積%以上70体積%以下である。
【0008】
上記熱伝導性シートによれば、3種類の熱伝導性フィラーを含有し、それらの合計含有量が50体積%以上70体積%以下であるため、柔軟性と、良好な熱伝導性とが両立される。
また、上記熱伝導性シートは、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm2以下であるため、ICチップの放熱シートとして好適に用いられる。
【0009】
(2)上記(1)の熱伝導性シートにおいて、上記樹脂組成物は、シリコーンとしてポリジメチルシロキサンを含有することが好ましい。
ポリジメチルシロキサンは、柔軟性に優れた熱伝導性シートを構成する樹脂成分として適している。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の熱伝導性シートにおける上記グラファイト粉末の含有量は、3体積%以上30体積%以下が好ましい。
(4)上記(1)~(3)のいずれかの熱伝導性シートにおける上記グラファイト粉末と上記アルミナ粒子との合計含有量は、10体積%以上35体積%以下が好ましい。
これらの場合、柔軟性を損なうことなく、良好な熱伝導性を確保するのにより適している。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの熱伝導性シートは、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.55N/mm2以下である、ことが好ましい。
この場合、ICチップに使用する熱伝導性シートとして、更に好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱伝導性シートは、柔軟で、かつ熱伝導性に優れる。
上記熱伝導性シートは、ICチップ等の電子部品の放熱に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートを介してヒートシンクが取り付けられたICチップを模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートの一例を模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、
図2(a)のA-A線断面における部分拡大図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートの製造で使用する押出機の先端部分及びTダイの断面概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートの製造方法の別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態は、下記の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態において、「熱伝導性シート」には、押出成型等で成形した後のブロック状物、及び、当該ブロック状物を適宜切断して得られる切断物(スライスしたシート状物を含む)のいずれもが含まれる。
ここでは、スライスしたシート状物を例にして、上記熱伝導性シートの実施形態を説明する。
【0015】
本発明の実施形態に係る熱伝導性シート1は、ICチップとヒートシンクとの間に設けられる部材である。上記熱伝導性シートは、シリコーンと、熱伝導性フィラーとを含有する樹脂組成物からなる。ここで、シリコーンとは、シロキサン結合による主骨格を有する高分子化合物である。
図1は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートを介してヒートシンクが取り付けられたICチップを模式的に示す断面図である。
図2(a)は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートの一例を模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、
図2(a)のA-A線断面における部分拡大図である。
なお、本願図面において、
図1~4はいずれも模式図であり、各部材の実寸法を正確に反映したものではない。
【0016】
熱伝導性シート1は、
図1に示すように、ICチップ11とヒートシンク12との間に配置される。熱伝導性シート1は、一方の面をICチップ11に接触させ、他方の面をヒートシンク12に接触させて使用する。これにより、ヒートシンク12は熱伝導性シート1を介してICチップ11に取り付けられる。そのため、ICチップ11が発する熱はヒートシンク12によって筐体(図示せず)の外部へ放熱される。
【0017】
熱伝導性シート1は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、マトリックス成分2と、熱伝導性フィラー4とを含有する。熱伝導性シート1は、熱伝導性フィラー4として、炭素繊維4Cとグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとを含有する。
熱伝導性シート1は、上述した3種類の熱伝導性フィラー4を含有することを特徴の1つとする。
【0018】
熱伝導性シート1では、炭素繊維4C及びグラファイト粉末4Gが熱伝導性シート1のほぼ厚さ方向に配向している。また、アルミナ粒子4Aが熱伝導性シート1全体に分散している。なお、熱伝導性シート1は、ほぼ厚さ方向にウェルドラインが形成されることもある。
本発明の実施形態に係る熱伝導性シートでは、熱伝導性フィラー以外の成分をまとめてマトリックス成分と称する。
【0019】
マトリックス成分2は、シリコーンを含有する。そのため、熱伝導性シート1は耐熱性に優れる。
本発明の実施形態において、上記シリコーンは、シリコーンの架橋物(以下、架橋シリコーンともいう)を含んでいてもよいが、良好な柔軟性を確保しやすい観点から未架橋のシリコーンを主成分とすることが好ましい。
ここで、未架橋のシリコーンを主成分とするとは、シリコーン全体に占める未架橋のシリコーンの割合が50質量%以上であることを意味する。
上記シリコーンは、未架橋のシリコーンのみで構成されていてもよい。
【0020】
未架橋のシリコーンとしては、側鎖が全てメチル基で不飽和基を含まないシリコーンであるポリジメチルシロキサンが好ましい。
上記シリコーンは、上記ポリジメチルシロキサンを50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましい。
上記ポリジメチルシロキサンは、反応性が乏しく、安定性に優れたポリマーである。そのため、シリコーン中の上記ポリジメチルシロキサンが占める割合を高めることによって、熱伝導性シートの柔軟性を向上させることができる。
【0021】
上記ポリジメチルシロキサンは、オイルであってもよいし、ミラブルタイプであってもよいが、ミラブルタイプのポリジメチルシロキサンが好ましい。後述の方法によって熱伝導性シートを製造する際の成形性が良好だからである。
【0022】
上記ポリジメチルシロキサンの分子量は、質量平均分子量MWとして、6万以上70万以下であることが好ましい。
上記ポリジメチルシロキサンの質量平均分子量MWが6万未満では、熱伝導性シート1からポリジメチルシロキサンがブリードしやすくなる。一方、ポリジメチルシロキサンの質量平均分子量MWが70万を超えると、熱伝導性シート1を製造する際の成形性や加工性に劣る傾向にある。
【0023】
上記ポリジメチルシロキサンの質量平均分子量MWは、JIS-K7252-1:2008年「プラスチック-サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方-第1部:通則」に準拠し、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した質量平均分子量である。
【0024】
上記ポリジメチルシロキサンの動粘度は、ウッベローデ粘度計で測定した25℃の動粘度で、10000cps以上100000cps以下が好ましい。
上記動粘度が10000cps未満では、ポリジメチルシロキサンが熱伝導性シートからブリードし易くなる。一方、上記動粘度が100000cpsを超えると、熱伝導性シートの硬度が高くなり、ICチップとヒートシンクとの間に配置した際に、ICチップやヒートシンクとの接触面における密着性や追従性に劣る場合がある。
【0025】
上記シリコーンが架橋シリコーンを含有する場合、当該架橋シリコーンは、過酸化物架橋されたものであってもよいし、付加反応型の架橋により架橋されたものであってもよいが、過酸化物架橋されたものが好ましい。過酸化物架橋によって架橋された架橋シリコーンの方が耐熱性に優れるからである。
上記架橋シリコーンとしては、例えば、側鎖(末端も含む)の一部にビニル基を有するシリコーンを架橋させたものが挙げられる。
【0026】
上記シリコーンは、ビニル基等の架橋性官能基を有するシリコーンが、未架橋の状態で含まれていてもよい。
【0027】
マトリックス成分2は、熱伝導性シート1の要求特性を損なわない範囲で、他のエラストマー成分等を含有していてもよい。
【0028】
マトリックス成分2は、難燃剤、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、粘着付与剤、帯電防止剤、練り込み接着剤、カップリング剤等の一般的な添加剤を含有していてもよい。
上記難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、白金系化合物、トリアゾール系化合物、べんがら、黒鉄などの酸化鉄等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
熱伝導性シート1は、熱伝導性フィラー4を含有する。
熱伝導性フィラー4は、少なくとも炭素繊維4C、グラファイト粉末4G、及びアルミナ粒子4Aである。
これらの3種類の熱伝導性フィラーを同時に含有することにより、柔軟で、かつ熱伝導性に優れた熱伝導性シートとなる。
【0030】
炭素繊維4Cの平均繊維長は、20μm以上が好ましい。上記平均繊維長が20μm未満では、熱伝導パスが形成しにくく、熱伝導性シート1の熱伝導性に劣る場合がある。
一方、炭素繊維4Cの平均繊維長の好ましい上限は、炭素繊維の熱伝導性シートへの充填し易さの観点から500μmである。
炭素繊維4Cの平均繊維長は、50μm以上300μm以下がより好ましい。
【0031】
炭素繊維4Cの平均繊維径は、5μm以上が好ましい。上記平均繊維径が5μm未満では、熱伝導パスが形成されにくく、熱伝導性シート1の熱伝導性に劣る場合がある。
炭素繊維4Cの平均繊維径の好ましい上限は、熱伝導性シート1を作製する際の加工性の観点から20μmである。
【0032】
本発明の実施形態において、炭素繊維4Cの「平均繊維長」とは、炭素繊維4Cの顕微鏡画像を用いて求めた繊維方向の長さの平均値をいう。
炭素繊維4Cの「平均繊維径」とは、炭素繊維4Cの顕微鏡画像を用いて求めた径方向の寸法の平均値をいう。
「平均繊維長」及び「平均繊維径」は、炭素繊維4Cの顕微鏡画像を取得した後、その画像から無作為に20本の炭素繊維4Cを選択し、選択した炭素繊維の繊維方向の長さ及び径方向の寸法を測定し、その測定結果に基づいて求められる。
【0033】
グラファイト粉末4Gの形状は特に限定されないが、球状以外の形状が好ましく、鱗片状がより好ましい。この場合、熱伝導性シート1の厚さ方向に配向させ、厚さ方向の熱伝導性を高めるのに適している。
【0034】
グラファイト粉末4Gの粒径は、5μm以上50μm以下が好ましい。グラファイト粉末4Gの粒径が5μm未満では、熱伝導パスが形成されにくい。一方、グラファイト粉末4Gの粒径が50μmを超えると、緻密に充填することが難しい。
グラファイト粉末4Gの粒径は、10μm以上30μm以下が好ましい。
【0035】
本発明の実施形態において、グラファイト粉末4Gの粒径とは、レーザ回折・散乱法を用いて測定したメジアン径(d50)の値をいう。
【0036】
アルミナ粒子4Aの形状は特に限定されないが、球状が好ましい。
この場合、他の形状に比べて熱伝導性シートにアルミナ粒子4Aを充填し易く、また、アルミナ粒子4Aが製造装置の構成部材にダメージを与えにくいためである。
【0037】
アルミナ粒子4Aの粒径は、1μm以上10μm以下が好ましい。アルミナ粒子4Aの粒径が1μm未満では、熱伝導パスが形成されにくい。一方、アルミナ粒子4Aの粒径が10μmを超えると、炭素繊維4C、グラファイト粉末4Gの配向を阻害しやすくなる。また、アルミナ粒子4Aが製造装置の鋼製部材にダメージを与えやすくなる。
【0038】
本発明の実施形態において、アルミナ粒子4Aの粒径とは、レーザ回折・散乱法を用いて測定したメジアン径(d50)の値をいう。
【0039】
熱伝導性シート1における熱伝導性フィラー4の含有量は、炭素繊維4Cとグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとの合計含有量が、50体積%以上70体積%以下である。
炭素繊維4Cとグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとの合計含有量が50体積%未満では、充分な熱伝導性を確保できないことがある。一方、上記合計含有量が70体積%を超えると、柔軟性が損なわれ、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値を0.65N/mm2以下にするのが難しい。また、熱伝導性シートを作製する際の加工が困難になることがある。
熱伝導性シート1において、炭素繊維4Cとグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとの合計含有量は、55体積%以上70体積%以下が好ましい。良好な柔軟性と熱伝導性とを両立するのにより適している。
【0040】
熱伝導性シート1中のグラファイト粉末4Gの含有量は、3体積%以上30体積%以下が好ましい。
3種類の熱伝導性フィラーの合計含有量を50体積%以上70体積%以下にしつつ、グラファイト粉末4Gの含有量を上記範囲にすることにより、良好な熱伝導性を維持したまま、熱伝導性シート1を柔軟にすることができる。
一方、グラファイト粉末4Gの含有量が3体積%未満の場合は、良好な熱伝導性が発現できないことがある。また、グラファイト粉末4Gの含有量が30体積%を超えると、柔軟性が損なわれることがある。
【0041】
熱伝導性シート1中のグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとの合計含有量は、10体積%以上35体積%以下が好ましい。
この場合、良好な熱伝導性を維持したまま、熱伝導性シート1の柔軟性を高めるのにより適している。
熱伝導性シート1中のグラファイト粉末4Gとアルミナ粒子4Aとの合計含有量は、25体積%以上35体積%以下がより好ましい。
【0042】
熱伝導性シート1は、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm2以下である。
そのため、熱伝導性シート1は、ICチップ11を冷却するための放熱シートとして、好適に用いることができる。
ICチップ11に熱伝導性シート1を貼り付ける際には、所定の荷重を掛けて熱伝導性シート1をICチップ11に圧着する。このとき、熱伝導性シート1の柔軟性が不十分な場合には、熱伝導性シート1とICチップ11とが密着せず、両者の間に隙間が生じてしまうことがある。また、熱伝導性シート1を貼り付ける際の荷重を大きくすれば、熱伝導性シート1とICチップ11との密着性が高まる可能性があるが、その場合、ICチップ11が破損するおそれがある。
これに対して、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm2以下の熱伝導性シート1であれば、ICチップ11を破損することなく、ICチップ11に密着させるのに適している。
【0043】
熱伝導性シート1は、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.55N/mm2以下が好ましい。この場合、より小さい荷重で熱伝導性シート1をICチップに密着させることができる。
一方、熱伝導性シート1は、ICチップ11等の相手材に貼り付いた状態を維持することができれば、どれほど柔らかくてもよい。そのため、熱伝導性シート1の50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値の下限は限定されない。
熱伝導性シート1の50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値は、通常、0.1N/mm2以上であるが、0.1N/mm2より小さくてもよい。
【0044】
熱伝導性シート1の50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値は、測定器として万能試験機(例えば、Instron5969(Instron社製))を使用し、圧縮速度:5mm/minで熱伝導性シート1を厚さ方向に「測定前厚さ×0.5」の厚さまで圧縮し、その時の荷重値を測定する。更に、得られた測定値に基づいて、単位面積(mm2)当たりの圧縮荷重値を算出する。
【0045】
熱伝導性シート1の厚さは特に限定されないが、例えば、0.05mm以上3.0mm以下である。この場合、熱伝導性シート1は、ICチップ11とヒートシンク12との間で熱を効率良く伝達する部材として好適に使用することができる。
熱伝導性シート1の厚さは、0.05mm以上2.5mm以下が好ましい。ICチップ11やヒートシンク12の接触面に対する追従性を確保しつつ、より優れた放熱性能を確保することができる。一方、熱伝導性シート1の厚さが0.05mm未満ではICチップ11やヒートシンク12の接触面に追従しきれないことがある。また、上記厚さが2.5mmを超えるとシート自体の熱抵抗によって放熱性に劣ることがある。
【0046】
熱伝導性シート1の平面視形状は、例えば、矩形である。
この場合、熱伝導性シート1の縦寸法及び横寸法は、ICチップ11等の熱伝導性シート1を貼り付ける部材の寸法を考慮して決定すればよく、例えば、縦寸法及び横寸法ともにそれぞれ独立して10mm以上120mm以下である。
熱伝導性シート1の平面視形状は、矩形に限定されず、円形や楕円形など、矩形以外の形状であってもよい。円形の場合は、例えば直径が10mm以上120mm以下である。楕円形の場合は、例えば長径又は短径が10mm以上120mm以下である。
【0047】
次に、熱伝導性シート1を製造する方法について説明する。
熱伝導性シート1は、例えば、下記(a)~(c)の工程を行う第1の製造方法により製造することができる。
(a)未架橋のシリコーンと、炭素繊維と、グラファイト粉末と、アルミナ粒子と、難燃剤等の任意成分とを含有するシリコーン系組成物を調製する工程、
(b)調製したシリコーン系組成物を成形する工程、及び、
(c)成形されたシリコーン系組成物をシート状にスライス加工する工程。
【0048】
まず、シリコーン系組成物を調製する工程(a)を行う。
ここでは、例えば、未架橋のシリコーン、熱伝導性フィラー(炭素繊維、グラファイト粉末、及びアルミナ粒子)、更には、必要に応じて添加する各種添加剤を2本ロールで練り込む等によってシリコーン系組成物を調製する。
このとき、各成分はコンパウンドにして供給してもよい。
【0049】
次に、調製したシリコーン系組成物を成形する工程(b)と、成形物をシート状にスライス加工する工程(c)とを行う。
上記シリコーン系組成物の成形は、例えば、押出機を用いて行えばよい。
図3は、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートの製造で使用する押出機の先端部分及びTダイの断面概略図を示す。
押出機30に投入された上記シリコーン系組成物は、スクリュー34によって撹拌・混練され、流路31に沿ってTダイの第1ギャップ32に導入される。
【0050】
押出機30で攪拌・混錬されたシリコーン系組成物は、まず、第1ギャップ32によって上下方向(厚さ方向)にしぼり込まれて薄い帯状となる。
このとき、シリコーン系組成物中に混合されている異方性の熱伝導性フィラーがシリコーン系組成物の流れ方向(押出方向)に配向する。従って、第1ギャップ32を通過して成形された厚さの薄い樹脂シート40は、異方性の熱伝導性フィラーが樹脂シート40の面方向に配向している。
本発明の実施形態では、例えば炭素繊維や鱗片状のグラファイト粉末など、球状ではない熱伝導性フィラーが異方性の熱伝導性フィラーに相当する。
【0051】
熱伝導性フィラーが配向した厚さの薄い樹脂シート40が第1ギャップ32を完全に通過すると、押出方向に限定されていたシートの流れ方向が解放されて、当該流れ方向が押出方向に対してほぼ垂直な方向に変化する。
シートの流れ方向が押出方向に対してほぼ垂直となる方向に変化した樹脂シート40は、第1ギャップ32を完全に通過した後、更に第2ギャップ33に向かって押し出される。その結果、第2ギャップ33内には、押出方向に対してほぼ垂直となった樹脂シート40が折り畳まれるように積層される。その際に異方性の熱伝導性フィラー(炭素繊維及びグラファイト粉末)の多くは樹脂シート40の面方向に配向しているので、第2ギャップ33内で積層された状態の樹脂シート40における異方性の熱伝導性フィラーは、厚さ方向(
図3中、上下方向)に沿って配向させられる。
【0052】
このように、工程(b)では、シリコーン系組成物を押出成形し、押出方向に異方性の熱伝導性フィラーが配向した樹脂シート40を成形した後、この樹脂シート40を折り畳みながら積層させ、ブロックを作製する。
【0053】
その後、工程(c)に進み、厚さの薄い樹脂シート40が積層されたブロックを厚さ方向に垂直な方向にスライス加工する。その結果、所定の厚さを有し、異方性の熱伝導性フィラーが厚さ方向にほぼ配向した熱伝導性シートを得ることができる。
なお、工程(b)で作製した樹脂シート40のブロック自体も熱伝導性シートとして用いることができる。
【0054】
上記Tダイにおいて、第1ギャップ32及び第2ギャップ33の奥行(即ち、
図3において紙面に垂直な方向における第1ギャップ32及び第2ギャップ33の寸法)は、Tダイの全体にわたってほぼ同一である。また、上記第1ギャップ及び上記第2ギャップの奥行の寸法は特に限定されず、熱伝導性シートの製品幅に応じて種々の設計変更が可能である。
【0055】
熱伝導性シート1の製造方法は、上述した第1の製造方法に限定されず、例えば、下記(d)~(f)の工程を行う第2の製造方法であってもよい。
図4は、第2の製造方法を説明する図である。
【0056】
(d)未架橋のシリコーンと、炭素繊維と、グラファイト粉末と、アルミナ粒子と、難燃剤等の任意成分とを含有するシリコーン系組成物を調製する工程、
(e)調製したシリコーン系組成物を成形する工程、及び、
(f)成形されたシリコーン系組成物をシート状にスライス加工する工程。
【0057】
まず、シリコーン系組成物を調製する工程(d)を行う。
ここでは、例えば、未架橋のシリコーン、熱伝導性フィラー(炭素繊維、グラファイト粉末、及びアルミナ粒子)、更には、必要に応じて添加する各種添加剤を2本ロール51で混錬する。その後、シート出しを行い、樹脂シート50を作製する(
図4(a)参照)。
このとき、各成分はコンパウンドにして供給してもよい。
【0058】
次に、シリコーン系組成物を成形する工程(e)を行う。
この工程(e)では、シリコーン系組成物からなる樹脂シート50を折り畳みながら、樹脂シート50同士が密着するように積層する(
図4(a)参照)。例えば、周期的な往復運動を繰り返すテーブル53上に樹脂シート50を連続的に供給することにより、樹脂シート50が折り畳まれながら積層された積層体を得ることができる。
このとき、異方性の熱伝導性シートは、樹脂シート50の面方向に配向している。
【0059】
その後、樹脂シート50の折り返し部分をカッター54を用いて切断し、除去する(
図4(b)参照)。
その結果、互いに繋がっていない複数枚の樹脂シート50の積層体55が得られる。
【0060】
次に、得られた積層体55を樹脂シート50の面方向に垂直な方向にカッター57を用いてスライス加工する工程(f)を行う(
図4(c)参照)。これにより、熱伝導性シート1を得ることができる(
図4(d)参照)。
このような工程を経ることによっても、熱伝導性シート1を製造することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例によって本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例及び比較例で使用した原材料は、以下の通りである。
(シリコーン)
・シリコーンA:質量平均分子量14万のポリジメチルシロキサン
・シリコーンB:質量平均分子量1万のポリジメチルシロキサン
【0063】
(熱伝導性フィラー)
・炭素繊維:日本グラファイトファイバー株式会社、XN-100-20M(繊維状、平均繊維長:200μm/平均繊維径:10μm)
・グラファイト粉末:日本黒鉛工業株式会社製、CPB(鱗片状、粒径:22μm)
・アルミナ粒子:デンカ株式会社製、DAW-03(球状、粒径:5μm)
【0064】
(実施例1)
本実施例では、第2の製造方法によって熱伝導性シートを製造した。
シリコーンA(質量平均分子量14万のポリジメチルシロキサン)110質量部、炭素繊維210質量部、グラファイト粉末35質量部、アルミナ粒子380質量部、を2本ロール51で練り込んだ後、シート出しすることで、厚さ約1.0~1.2mmのシリコーン系組成物からなる樹脂シート50を作製した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は30体積%、グラファイト粉末の体積分率は5体積%、アルミナ粒子の体積分率は30体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は65体積%である。
【0065】
次に、作製した樹脂シート50を折り畳みながら、シート同士が密着するように積層する(
図4(a)参照)。このとき、炭素繊維とグラファイト粉末は、積層した樹脂シート50の面方向に配向している。
【0066】
次に、得られた積層体における、樹脂シート50の折り返し部分をカッター54で切断除去する。これにより、互いに繋がっていない複数枚の樹脂シート50の積層体55となる(
図4(b)参照)。
その後、積層体55を樹脂シート50の面方向に垂直な方向にスライスして(
図4(c参照))、炭素繊維とグラファイト粉末とが厚さ方向に配向した厚さ2mmの熱伝導性シー1を完成した(
図4(d)参照)。
【0067】
(実施例2)
下記の方法で厚さ約1.0~1.2mmのシリコーン系組成物からなる樹脂シート50を作製した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを完成した。
シリコーンA110質量部、炭素繊維185質量部、グラファイト粉末62質量部、アルミナ粒子221質量部を2本ロールで練り込み、厚さ約1.0~1.2mmの樹脂シート50を作製した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は30体積%、グラファイト粉末の体積分率は10体積%、アルミナ粒子の体積分率は20体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は60体積%である。
【0068】
(実施例3)
炭素繊維の配合量を165質量部とし、グラファイト粉末の配合量を82質量部とし、アルミナ粒子の配合量を99質量部とした以外は、実施例2と同様にして熱伝導性シートを完成した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は30体積%、グラファイト粉末の体積分率は15体積%、アルミナ粒子の体積分率は10体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は55体積%である。
【0069】
(実施例4)
炭素繊維の配合量を165質量部とし、グラファイト粉末の配合量を110質量部とし、アルミナ粒子の配合量を49質量部とした以外は、実施例2と同様にして熱伝導性シートを完成した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は30体積%、グラファイト粉末の体積分率は20体積%、アルミナ粒子の体積分率は5体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は55体積%である。
【0070】
(実施例5)
炭素繊維の配合量を99質量部とし、グラファイト粉末の配合量を123質量部とし、アルミナ粒子の配合量を44質量部とした以外は、実施例2と同様にして熱伝導性シートを完成した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は20体積%、グラファイト粉末の体積分率は25体積%、アルミナ粒子の体積分率は5体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は50体積%である。
【0071】
(実施例6)
下記の方法で厚さ約1.0~1.2mmのシリコーン系組成物からなる樹脂シート50を作製した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを完成した。
シリコーンB(質量平均分子量1万のポリジメチルシロキサン)110質量部、炭素繊維270質量部、グラファイト粉末25質量部、アルミナ粒子420質量部を2本ロールで練り込み、厚さ約1.0~1.2mmの樹脂シート50を作製した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は35体積%、グラファイト粉末の体積分率は3体積%、アルミナ粒子の体積分率は30体積%であり、これら3種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は68体積%である。
【0072】
(比較例1)
下記の方法で厚さ約1.0~1.2mmのシリコーン系組成物からなる樹脂シート50を作製した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを完成した。
シリコーンA110質量部、炭素繊維250質量部、アルミナ粒子385質量部を2本ロールで練り込み、厚さ約1.0~1.2mmの樹脂シート50を作製した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は35体積%、アルミナ粒子の体積分率は30体積%であり、これら2種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は65体積%である。
【0073】
(比較例2)
下記の方法で厚さ約1.0~1.2mmのシリコーン系組成物からなる樹脂シート50を作製した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを完成した。
シリコーンA110質量部、炭素繊維190質量部、グラファイト粉末110質量部を2本ロールで練り込み、厚さ約1.0~1.2mmの樹脂シート50を作製した。
本実施例において、樹脂シート50全体に対する炭素繊維の体積分率は35体積%、グラファイト粉末の体積分率は20体積%であり、これら2種類の熱伝導性フィラーの体積分率の合計は55体積%である。
【0074】
[評価試験]
(1)50%圧縮時の荷重値
実施例及び比較例で作製した熱伝導性シートを更に裁断し、直径12mm、厚さ2mmの円板状の評価サンプルを作製した。
測定器として、Instron5969(Instron社製)を使用し、圧縮速度:5mm/minでシートを「測定前厚さ×0.5」の厚さまで圧縮(50%圧縮)し、その時の荷重値(N/113mm2)を測定した。結果を表1に示した。
【0075】
(2)20%圧縮時の熱抵抗値
実施例及び比較例で作製した熱伝導性シートを更に裁断し、直径33mm、厚さ2mmの評価サンプルを作製した。
測定器として、TIMtester1400(AnalysisTech社製)を使用し、シートを「測定前厚さ×0.8」の厚みまで圧縮(20%圧縮)し、その状態で熱抵抗を測定した。結果を表1に示した。
【0076】
【符号の説明】
【0077】
1 熱伝導性シート
2 マトリックス成分
4 熱伝導性フィラー
4A アルミナ粒子
4C 炭素繊維
4G グラファイト粉末
11 ICチップ
12 ヒートシンク
30 押出機
31 流路
32 第1ギャップ
33 第2ギャップ
34 スクリュー
40、50 樹脂シート
51、52
53 テーブル
54、57 カッター
55 積層体
【要約】
シリコーンと熱伝導性フィラーとを含有する樹脂組成物からなり、50%の圧縮変形に必要な圧縮荷重値が0.65N/mm2以下である熱伝導性シートであり、前記樹脂組成物は、前記熱伝導性フィラーとして少なくとも炭素繊維とグラファイト粉末とアルミナ粒子とを含み、熱伝導性シートにおける前記炭素繊維と前記グラファイト粉末と前記アルミナ粒子との合計含有量は、50体積%以上70体積%以下である、熱伝導性シート。