IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】液体レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/14 20060101AFI20240213BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240213BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240213BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240213BHJP
【FI】
G02B3/14
G02B7/02 F
G02B7/04 Z
G03B17/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019543096
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 US2018017228
(87)【国際公開番号】W WO2018148283
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】62/457,076
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】カラム,レイモンド ミラー
(72)【発明者】
【氏名】イン,ミン
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】井口 猶二
【審判官】大▲瀬▼ 裕久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0276491(US,A1)
【文献】特表2006-527388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/14
G02B 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体レンズであって、
容積を有するチャンバーと、
前記チャンバー内に収容された第1の流体と、
前記チャンバー内に収容された第2の流体であって、前記第1の流体と前記第2の流体とは実質的に不混和性であり、前記第1の流体と前記第2の流体との間に流体界面を形成する、第2の流体と、
前記第1の流体及び前記第2の流体から絶縁された1つ以上の第1の電極と、
前記第1の流体と電気的に連通する1つ以上の第2の電極であって、前記流体界面の位置が、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧に少なくとも部分的に基づくように、前記液体レンズが構成されている、第2の電極と、
光軸に沿って光を透過するように構成された窓部と、
前記窓部を前記光軸に沿って軸方向に変位させ、前記チャンバーの前記容積を変化させるように構成された屈曲部であって、前記窓部と同じ材料で構成された屈曲部と、
を備え
少なくとも1つの凹部を有する前記屈曲部は、前記窓部の厚さの範囲内に前記窓部と一体形成されていることを特徴とする液体レンズ。
【請求項2】
前記窓部及び前記屈曲部がガラスで構成されていることを特徴とする、請求項1記載の液体レンズ。
【請求項3】
ガラス板が前記窓部及び前記屈曲部を含み、前記屈曲部が、前記窓部を囲む複数の同心円の前記凹部を含み、前記複数の同心円の凹部が、前記ガラス板の交互の面に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の液体レンズ。
【請求項4】
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部が、前記屈曲部の曲がりから屈曲部変位距離だけ軸方向に変位し、前記窓部が、該窓部の曲がりから窓部湾曲距離だけ軸方向に変位し、前記屈曲部変位距離が前記窓部湾曲距離より大きいことを特徴とする、請求項1~3いずれか1項記載の液体レンズ。
【請求項5】
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部湾曲距離に対する前記屈曲部変位距離の比が少なくとも2対1であることを特徴とする、請求項4記載の液体レンズ。
【請求項6】
前記窓部の前記厚さが、前記屈曲部の厚さより厚いことを特徴とする、請求項1~5いずれか1項記載の液体レンズ。
【請求項7】
1℃当たり0.1ジオプター以下の熱誘導屈折力変化率を有することを特徴とする、請求項1~6いずれか1項記載の液体レンズ。
【請求項8】
1℃当たり少なくとも0.02ジオプターの熱誘導屈折力変化率を有することを特徴とする、請求項7記載の液体レンズ。
【請求項9】
カメラシステムであって、
請求項1~8いずれか1項記載の液体レンズと、
カメラモジュールであって、
イメージセンサー、及び
前記イメージセンサーに光を誘導するように構成された、1つ以上の固定レンズであって、前記カメラモジュールを動作させると、前記1つ以上の固定レンズの焦点距離を変化させる熱が発生する、固定レンズを有するモジュールと、
を備え、
前記カメラモジュールからの熱が、前記液体レンズに伝達されるように、前記液体レンズが前記カメラモジュールに熱的に連結され、前記液体レンズに伝達された熱が、前記窓部を屈曲させて前記液体レンズの焦点距離を変化させ、前記カメラモジュール内の1つ以上の固定レンズの前記焦点距離の変化に少なくとも部分的に対抗することを特徴とするカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本願は、参照により、全体が本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する、2017年2月9日出願の「LIQUID LENSES」と題する、米国仮特許出願第62/457,076号の米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
引用
2015年12月1日に発行された、「LIQUID LENS ARRAYS」と題する米国特許第9,201,174号(「‘174号特許明細書」)が、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。2016年10月13日公開の「METHOD TO PREVENT EMULSION IN A LIQUID LENS」と題する米国特許出願公開第2016/0299264(「‘264号公開明細書」)が、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。2016年11月15日に発行された、「ROOM TEMPERATURE GLASS-TO-GLASS,GLASS-TO-PLASTIC AND GLASS-TO-CERAMIC/SEMICONDUCTOR BONDING」と題する米国特許第9,492,990号(「‘990号特許明細書」)が、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本明細書に開示の一部の実施形態は液体レンズに関連している。
【背景技術】
【0004】
様々な液体レンズが知られているが、液体レンズを改良する必要性が依然として残っている。
【発明の概要】
【0005】
特定の例示的な実施形態が、例示を目的として以下に要約してある。実施形態は、本明細書に記載の特定の実装形態に限定されるものではない。実施形態は、幾つかの新規な機能を有することができ、そのいずれも、本明細書に記載の望ましい属性に必須又は単独で貢献するものではない
本明細書に記載の一部の実施形態は、液体レンズに関連することができ、液体レンズは、容積を有するチャンバー、チャンバー内に収容された第1の流体、及びチャンバー内に収容された第2の流体を有することができる。第1の流体と第2の流体とは、実質的に不混和性であって、第1の流体と第2の流体との間に流体界面を形成することができる。液体レンズは、第1及び第2の流体から絶縁された1つ以上の第1の電極、及び第1の流体と電気的に連通する1つ以上の第2の電極を有することができる。流体界面の位置が、第1及び第2の電極間に印加される電圧に少なくとも部分的に基づくように、液体レンズを構成することができる。液体レンズは、(例えば、光軸に沿って)光を透過するように構成された窓部を有することができる。液体レンズは、(例えば、光軸に沿って軸方向に)窓部を変位させてチャンバーの容積を変化させるように構成された屈曲部を備えることができる。
【0006】
一部の実施形態において、屈曲部は窓と同じ材料で構成されている。屈曲部は窓部と一体成形することができる。窓部及び屈曲部はガラスで構成することができる。ガラス板は窓部及び屈曲部を含むことができ、屈曲部は、窓部を囲む複数の同心円の凹部を含むことができる。複数の同心円の凹部は、ガラス板の交互の面に形成することができる。
【0007】
液体レンズが屈曲状態にあるとき、窓部が、屈曲部の曲がりから屈曲部変位距離だけ(例えば、軸方向に)変位することができ、窓部は、窓部の曲がりから窓部湾曲距離だけ(例えば、軸方向に)変位することができる。屈曲部変位距離は窓部湾曲距離より大きくてよい。窓部湾曲距離に対する屈曲部変位距離の比は少なくとも2対1、少なくとも4対1、及び/又は12対1以下とすることができる、但し、本明細書に記載の様々な別の値を使用することができる。窓部は柔軟であってよい。一部の実施例において、屈曲部は窓部より更に柔軟であってよい。窓部は、実質的に球形の曲率又は実質的に放物面の曲率を有するように屈曲することができる。窓部の厚さは、屈曲部の厚さより大きくてよい。屈曲部は、屈曲部に入射した光が液体レンズを透過するのを阻止することができる。
【0008】
液体レンズは、1℃当たり0.1ジオプター以下の熱誘導屈折力変化率を有することができる。液体レンズは、少なくとも1℃当たり0.02ジオプターの熱誘導屈折力変化率を有することができる。本明細書に記載のように、様々な別の値を使用することができる。
【0009】
一部の実施形態はカメラシステムに関連することができ、カメラシステムは、液体レンズとカメラモジュールとを備えることができ、カメラモジュールは、イメージセンサー、及びイメージセンサーに光を誘導する1つ以上の固定レンズを有することができる。カメラモジュールを動作させると、1つ以上の固定レンズの焦点距離を変化させる熱が発生し得る。カメラモジュールからの熱が液体レンズに伝達されるように、液体レンズをカメラモジュールに熱的に連結することができる。前記液体レンズに伝達された熱によって、窓部が屈曲して液体レンズの焦点距離が変化し、カメラモジュール内の1つ以上の固定レンズの焦点距離の変化に少なくとも部分的に対抗することができる。
【0010】
本明細書に開示の一部の実施形態は、液体レンズに関連することができ、この液体レンズは、容積を有するチャンバーと、チャンバー内に収容された第1の流体と、チャンバー内に収容された第2の流体とを備えることができる。第1の流体と第2の流体とは実質的に不混和性であって、第1の流体と第2の流体との間に流体界面を形成することができる。液体レンズは、第1の流体及び第2の流体から絶縁された1つ以上の第1の電極と、第1の流体と電気的に連通する1つ以上の第2の電極を有することができる。流体界面の位置が、第1及び第2の電極間に印加される電圧に少なくとも部分的に基づくように、液体レンズを構成することができる。液体レンズは、(例えば、光軸に沿って)光を透過するように構成された窓部を有することができる。液体レンズは、窓部を(例えば、光軸に沿って軸方向に)変位させて空洞の容積を変化させるように構成することができる屈曲部を有することができる。
【0011】
一部の実施形態において、液体レンズが屈曲状態にあるとき、窓部の周辺部が屈曲部変位距離だけ(例えば、軸方向に)変位するように、屈曲部が湾曲することができる。液体レンズが屈曲状態にあるとき、窓部の中心部が屈曲部変位距離より大きい合計窓変位距離だけ(例えば、軸方向に)変位するように、窓部を湾曲させることができる。屈曲部変位距離が、合計窓変位距離の60%~95%であってよい。屈曲部変位距離が、合計窓変位距離の70%~90%であってよい。屈曲部変位距離が、合計窓変位距離の80%~85%であってよい。
【0012】
本明細書に開示の様々な実施形態は、液体レンズに関連することができ、液体レンズは第1の端部及び第2の端部を有する空洞を備えることができる。光軸が第1の端部から第2の端部まで延びることができる。液体レンズは空洞内に複数の流体を有することができ、複数の流体は少なくとも1つの流体界面を形成している。光軸が少なくとも1つの流体界面を通して延びることができる。液体レンズは支持構造体を有することができ、支持構造体は、空洞の第1の端部の半径方向外側に配置することができる。材料板は窓部を有することができ、窓部は空洞の第1の端部の上方に配置することができる。光軸は窓部を通して延びることができる。板は取付部を有することができ、取付部は窓部の半径方向外側に配置することができる。取付部は支持構造体に取り付けることができる。板は屈曲部を有することができ、屈曲部は窓部と取付部との間であってよい。
【0013】
屈曲部は窓部より薄くてよい。窓部、取付部、及び屈曲部を有する材料板は、ガラス板であってよい。屈曲部は複数の同心円の凹部を有することができる。材料板は第1の面及び第1の面に対向する第2の面を有することができる。屈曲部は板の第1の面に第1の凹部を有し、第1の凹部に隣接する第2の凹部を有することができる。第2の凹部は板の第2の面に位置することができる。屈曲部は第2の凹部に隣接する第3の凹部であって、板の第1の面に位置することができる凹部を有することができる。屈曲部は第3の凹部に隣接する第4の凹部であって、板の第2の面に位置することができる凹部を有することができる。
【0014】
屈曲部はガラスで構成することができ、屈曲部の少なくとも一部が0.1マイクロメートル~0.5マイクロメートル、0.15マイクロメートル~0.4マイクロメートル、0.2マイクロメートル~0.3マイクロメートルの厚さを有することができる、但し、本明細書に記載の様々な別の値を使用することができる。屈曲部は、窓部の厚さの5%~40%、又は窓部の厚さの10%~30%の厚さを有することができる、但し、本明細書に記載の様々な値を使用することができる。材料板は、空洞に面する窪みを有することができる。窪みは、屈曲部の少なくとも一部及び/又は窓部の少なくとも一部にわたって延びることができる。
【0015】
一部の実施形態において、屈曲部は1つ以上の起伏、例えば、少なくとも2つの起伏を有することができる。屈曲部は非線形パターンの繰り返しを含む断面形状を有することができる。屈曲部は環状屈曲部であってよい。屈曲部は窓部を囲むことができる。屈曲部は、第1及び第2の流体のうちの少なくとも一方と流体連通するように構成することができる。液体レンズは更なる窓部を有することができ、更なる窓部は(例えば、光軸に沿って)光を透過するように構成することができる。窓部は更なる窓部と平行であってよい。第1の流体は極性流体であってよい。第1の流体は水溶液であってよい。第1の流体は導電性流体であってよい。第2の流体は絶縁性流体であってよい。第2の流体は油であってよい。
【0016】
液体レンズは、液体レンズ内の圧力変化によって第1の窓が変位したとき、液体レンズの1つ以上の光学特性を実質的に維持することができる。1つ以上の光学特性は、液体レンズの焦点距離を含むことができる。実質的に維持される1つ以上の光学特性は、球面収差量を含むことができる。一部の実施形態において、液体レンズは、屈曲状態において、非屈曲状態と比較してより短い焦点距離を有することができる。
【0017】
一部の実施形態において、カメラシステムが液体レンズ及び液体レンズと光学的に連通するカメラモジュールを備えることができる。カメラモジュールは、(例えば、カメラモジュールに発生した)熱が液体レンズに伝達されるように、液体レンズと伝熱連通することができる。カメラモジュールはイメージセンサーを有することができる。カメラモジュールは、イメージセンサーに光を誘導するように構成された1つ以上の集束光学要素を有することができる。1つ以上の集束光学要素は1つ又は複数の固定レンズを含むことができる。カメラモジュールは電気回路を有することができる。
【0018】
液体レンズは、第1の窓を変位させて、カメラモジュール内の熱膨張によるカメラモジュールの光学特性の変化に少なくとも部分的に対抗することができる。液体レンズは、カメラモジュールの光学特性の変化の50%以内の相違で光学特性の変化に対抗することができる。液体レンズは、カメラモジュールの光学特性の変化の25%の以内の相違で光学特性の変化に対抗することができる。光学特性は焦点距離又は屈折力であってよい。一部の実施形態において、(例えば、カメラモジュールの動作によって発生した)熱が、カメラモジュールの焦点距離を長くし、(例えば、カメラモジュールから液体レンズに伝達された)熱が、液体レンズの焦点距離を短くすることができる。カメラモジュールの焦点距離は、第1の量だけ長くなり、液体レンズの焦点距離は、第2の量だけ短くなる。第2の量は、第1の量の50%以内の相違とすることができる。第2の量は第1の量の25%以内の相違とすることができる。
【0019】
一部の実施形態は、液体レンズの窓アセンブリに関連することができる。窓アセンブリは、透明窓要素及び可撓性部材を含むことができ、可撓性部材は透明窓を移動させるように構成することができる。可撓性部材は、透明窓と同じ材料で構成することができる。透明窓及び可撓性部材はガラスで構成することができるが、本明細書記載の別の材料も使用することができる。
【0020】
一部の実施形態は、液体レンズの窓アセンブリに関連することができる。窓アセンブリは可撓性透明窓要素及び可撓性部材を含むことができ、可撓性部材は透明窓を変位させるように構成することができる。可撓性部材は、可撓性透明窓と比較して、より柔軟であってよい。窓アセンブリは、窓要素が屈曲して、実質的に球面又は放物面曲率を有するように構成することができる。
【0021】
一部の実施形態は、カメラシステムに関連することができ、カメラシステムはイメージセンサーを有するカメラモジュールを備えることができる。カメラモジュールを動作させると熱が発生し、カメラモジュールの光学特性が変化し得る。一部の実施例において、例えば、カメラモジュールからの熱が液体レンズに伝達されるように、液体レンズをカメラモジュールに熱的に連結することができる。液体レンズは、(例えば、液体レンズに伝達された、及び/周囲温度からの)熱によって、カメラモジュールの光学特性の変化に少なくとも部分的に対抗する、液体レンズの光学特性の変化が生じるように構成することができる。カメラモジュールの光学特性は、カメラモジュールの1つ又は複数の集束光学要素の焦点距離であってよい。液体レンズの光学特性は液体レンズの焦点距離であってよい。
【0022】
一部の実施形態は、本明細書に開示の様々な液体レンズ、カメラシステム、窓要素、又は他の装置のいずれかを製造する方法に関連することができる。一部の実施形態は、本明細書に開示の様々な液体レンズ、カメラシステム、窓要素、又は他の装置のいずれかを使用する方法に関連することができる。
【0023】
一部の実施形態は、カメラモジュールに使用される液体レンズアセンブリを設計する方法に関連することができる。本方法は、カメラモジュールを加熱するステップ、カメラモジュールの加熱ステップ中にカメラモジュールの光学特性を監視するステップ、光学特性とカメラモジュールの温度との関係を測定するステップ、及びカメラモジュールの光学特性とカメラモジュールの温度との関係に少なくとも部分的に基づいて、液体レンズ設計の物理パラメータを設定するステップを含むことができる。
【0024】
本方法は、カメラモジュールと一緒に動作している、液体レンズの設計に関わる物理パラメータを有する液体レンズを試験するステップを含むことができる。本方法は、少なくとも部分的に試験に基づいて、液体レンズ設計の物理パラメータを調整するステップを含むことができる。カメラモジュールと一緒に動作している液体レンズの試験には、液体レンズをカメラモジュールに伝熱連通させるステップを含むことができる。カメラモジュールと一緒に動作している液体レンズの試験には、コンピューターを使用して、液体レンズの光学特性に与える温度変化の影響をモデル化するステップを含むことができる。カメラモジュールを加熱するステップは、カメラモジュールを動作させて熱を発生させるステップを含むことができる。カメラモジュールを加熱するステップは、外部熱源からカメラモジュールに熱を加えるステップを含むことができる。
【0025】
光学特性とカメラモジュールの温度との関係を測定するステップは、各々が対応する温度における光学パラメータの測定値に対応する複数の点を記録するステップを含むことができる。関係を測定するステップは、複数の点に、曲線を当てはめるステップを含むことができる。液体レンズの物理パラメータを設定するステップは、液体レンズの窓要素の厚さを設定するステップを含むことができる。液体レンズの物理パラメータを設定するステップは、液体レンズの窓要素の形状を設定するステップを含むことができる。液体レンズの物理パラメータを設定するステップは、液体レンズの可撓性部材の弾性を設定するステップを含むことができる。液体レンズの物理パラメータを設定するステップは、液体レンズの絶縁層の厚さを設定するステップを含むことができる。液体レンズの物理パラメータを設定するステップは、液体レンズの空洞の高さを設定するステップを含むことができる。光学特性は焦点距離を含むことができる。光学特性は屈折力を含むことができる。
【0026】
一部の実施形態は、液体レンズアセンブリを設計する方法に関連することができる。本方法は、液体レンズアセンブリを加熱するステップ、液体レンズアセンブリの加熱中に、液体レンズアセンブリの光学特性を監視するステップ、光学特性と液体レンズアセンブリの温度との関係を測定するステップ、及び液体レンズアセンブリの光学特性と温度との関係に少なくとも部分的に基づいて、液体レンズアセンブリの物理パラメータを設定するステップを含むことができる。
【0027】
本方法は、物理パラメータを有する液体レンズアセンブリの光学特性を試験することを含むことができ、場合によって、少なくとも部分的に、試験に基づいて液体レンズアセンブリの物理パラメータを調整するステップを含むことができる。光学特性は、液体レンズアセンブリの焦点距離又は屈折力を含むことができる。液体レンズアセンブリの物理パラメータは、窓要素及び液体レンズの温度変化に応じて窓要素を移動するように構成された可撓性部材を有する窓アセンブリの構成を含むことができる。
【0028】
一部の実施形態は、液体レンズアセンブリを設計する方法に関連することができる。本方法は、液体レンズアセンブリの光学特性と温度との関係を受け取るステップ、及び液体レンズアセンブリの光学特性と温度との関係に少なくとも部分的に基づいて、液体レンズアセンブリの物理的パラメータを設定するステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
同様の機構には同様の参照番号が付してある、以下の図面を参照して、特定の実施形態について詳細に説明する。図面は例示を目的とするものであって、実施形態は図に示す特定の実装形態に限定されるものではない。
図1A】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図1B】屈曲状態の屈曲部を有する、液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図2A】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図2B】屈曲状態の屈曲部を有する、液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図3】屈曲状態の屈曲部を有する、液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図4】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図5】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図6】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図7】カメラシステムの例示的な実施形態を示す図。
図8】液体レンズを設計するための例示的な方法を示すフローチャート。
図9】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図10】屈曲部を有する液体レンズの例示的な実施形態の断面図。
図11】液体レンズの窓部要素の例示的な実施形態の1/4を示す図。
図12】液体レンズの窓部要素の例示的な実施形態の1/4の断面図。
図13】屈曲状態の液体レンズの窓部要素の例示的な実施形態の1/4を示す図。
図14】液体レンズの柔軟な窓部要素の1/4の例を示す図。
図15】液体レンズの窓部要素の例示的な実施形態の上面斜視図。
図16】液体レンズの窓部要素の下面斜視図。
図17】液体レンズの窓部要素の上面図。
図18】液体レンズの窓部要素の下面図。
図19】液体レンズの窓部要素の断面図。
図20】液体レンズの窓部要素の屈曲部を含む部分断面図。
図21】屈曲形態状態の屈曲部及び窓部の1/4を示す図。
図22】屈曲形態状態の屈曲部及び窓部の1/4を示す図。
図23】液体レンズの例示的な実施形態を示す図。
図24】屈曲部の例示的な実施形態を示す図。
図25】窓部要素の例示的な実施形態の断面図。
図26】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図27】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図28】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図29】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図30】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図31】窓部要素の別の例示的な実施形態の断面図。
図32】液体レンズの試験データを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
液体レンズは、(例えば、液体レンズに封入された流体の)熱膨張及び/又は収縮に対応する等、膨張及び/又は収縮するように構成された空洞又はチャンバーを備えることができる。液体レンズに関連付けられたカメラモジュールの動作や周囲温度の変化等に起因して液体レンズに加わる熱によって、液体レンズの空洞に含まれる1つ以上の流体等、液体レンズが熱膨張する可能性がある。液体レンズは、液体レンズの圧力変化を緩和するために、屈曲又は撓むように構成された窓部(例えば、上部窓部及び/又は下部窓部)を備えることができる。一部の実施例において、屈曲した窓部の曲率によって液体レンズの屈折力が変化し、液体レンズを用いて生成した画像の焦点がずれることがある。一例として、一部の実装形態において、窓部の部分が30マイクロメートル(例えば、非球形に)偏位する可能性があり、窓部が屈曲することによって屈折力が数ジオプター変化し得る。窓部が屈曲すると、液体レンズを用いて生成した画像に光学収差(球面収差や非球面収差等)が生じる可能性もある。一部の実施例において、屈曲した窓部は、非球形曲率、略ガウス曲率、3次若しくは4次曲率、又は不規則な曲率を有し得る。液体レンズの光学画像安定化(OIS)機能を用いている場合等において、窓部が屈曲すると画像に影が生じ得る。一部の実施例において、例えば、レンズに十分な熱が加わり、窓部が偏位して破損する点まで流体が膨張した場合等、窓部が屈曲すると、液体レンズの構造的完全性が損なわれる可能性もある。
【0031】
一部の実施形態において、光学収差及び/又は焦点ボケを抑制又は回避するために、屈曲して膨張又は収縮に対応する代わりに、窓部が(例えば、液体レンズの光軸に沿って軸方向に)変位するように液体レンズを構成することができる。一部の実施例において、液体レンズは、ガラスの窓部と一体成形することができる波形の環状ガラス屈曲部を有することができる。別の屈曲部構造を用いることもできる。例えば、金属又は他の材料で構成された屈曲部を、参照により本明細書に組み込まれる '990特許明細書に開示の室温接合技術等を用いて、ガラスの窓部に接合することができる。窓部の半径方向外側又は窓部の外側の周囲に可撓性部材を配置することができ、可撓性部材は、屈曲せずに、窓部が(例えば、光軸に沿って軸方向に)平行移動するように又は制御された屈曲で変形して、液体レンズの空洞内の容積の膨張を補正することができる。一部の実装形態において、窓部は、例えば、可撓性部材より少ない量(例えば、球形に)屈曲又は湾曲することができる。窓部は、屈曲した窓部の曲率の形状を制御するために、異なる厚さ及び/又は異なる材料の領域(例えば、同心円領域)を有することができる。液体レンズの熱量に起因して屈曲した窓部の形状によって、対応する熱量によってカメラモジュールに内に生じた屈折力の変化に、少なくとも部分的に対抗する屈折力の変化がもたらされるように窓部を設計することができる。
【0032】
図1Aは液体レンズ100の例示的な実施形態の断面図である。図1の液体レンズ100、及び本明細書に記載の他の液体レンズは、‘174号特許明細書、及び‘264号公開明細書に開示の液体レンズと同じ又は同様の機構を有し、‘174号特許明細書、‘264号公開明細書、及び‘990号特許明細書に開示の技法と同様の技法を用いて構成することができる。液体レンズは、極性流体104及び非極性流体106等、流体界面105を形成する少なくとも2つの実質的に不混和性の流体を含む、空洞又はチャンバー102を備えることができる。2つの流体104及び106は十分に不混和性であり、流体界面105は、屈曲すると、レンズとしての屈折力で光を屈折させることができる。空洞102は錐台又は円錐台形状を有する部分を備えることができる。空洞102は、傾斜した側壁を有することができる。空洞は、側壁が互いに接近している狭い部分と、側壁がより離れている広い部分とを有することができる。図示の向きにおいて、狭い部分が空洞の下端にあり、広い部分が空洞の上端にあってよいが、本明細書に開示の液体レンズ100は、様々な他の向きに配置することができる。透明板を有することができる下部窓部108は空洞102の下方にあってよく、透明板を有することができる上部窓部110は空洞102の上方にあってよい。下部窓部108は、空洞102の狭い部分又はその近傍に配置することができ、上部窓部110は空洞102の広い部分又はその近傍に配置することができる。第1の1つ又は複数の電極112は、絶縁材料114によって空洞内の流体から絶縁することができる。第2の1つ又は複数の電極116は、極性流体104と電気的に連通することができる。第2の1つ又は複数の電極116は、極性流体104に接触することができる。一部の実施形態において、第2の1つ又は複数の電極116は、極性流体104に容量結合することができる。例えば、液体レンズの焦点距離を変えるために、電極112と116の間に電圧を印加して、流体104と106の間の流体界面105の形状を制御することができる。例えば、図1Aは、(例えば、駆動電圧がないことに対応する静止位置であってよい)第1の位置にある、流体インターフェース105を備えた液体レンズ100を示し、図1Bは、(例えば、第1の駆動電圧値に対応することができる)第2の位置にある、流体インターフェース105を備えた液体レンズ100を示している。液体レンズ100は、駆動電圧を変えることによって、異なる量の屈折力を生成することができる。
【0033】
液体レンズ100は、図1Bから分かるように、変形することによって、窓部110が(例えば、対称軸及び/又は液体レンズ100の光軸103に沿って軸方向に)移動することができるように構成することができる、屈曲部又は可撓性部材120を有することができる。図1Bの実施形態において、窓部110が、軸方向外側に距離124だけ押圧されている。例えば、液体レンズ100に熱が加わると、液体レンズ100の構成要素(例えば、流体104及び106の一方又は両方)が(例えば、熱膨張によって)膨張する可能性があり、それによって上部窓部110が軸方向外側に距離124だけ押圧され得る。より少ない熱が加わると、窓部110はより小さい距離偏位し、より多くの熱が加えられると、窓部110はより大きい距離偏位する。
【0034】
屈曲部又は可撓性部材120は空洞102の縁部、上部窓部110の周囲、及び/又は上部窓部110から半径方向外側に配置することができる。可撓性部材120は、液体レンズの光軸を中心に回転対称であってよい。可撓性部材120は、360度完全に広がることができ、上部窓部110を囲むことができる。一部の実施形態において、可撓性部材120は、上部窓部110と同じ材料(例えば、ガラス材料)で構成することができる。可撓性部材120は、本明細書に記載のように、可撓性部材120が変形することができるように、窓部110の厚さより薄い厚さを有することができる。例えば、可撓性部材120は、窓部110の厚さの70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の2つによって区切られた任意の範囲の厚さを有することができる、但し、一部の実装形態では、これ等の範囲以外の他の値を使用することができる。
【0035】
可撓性部材120は、図1A及び1Bから分かるように、1つ以上の起伏を有することができ、これによって、屈曲部120の変形を促して上部窓部110を変位させることができる。可撓性部材の一部の実装形態において、1、2、3、4、5、又はそれ以上の起伏を有することができる。一部の実施形態において、可撓性部材120は、図2A及び2Bから分かるように、起伏を有していない。一部の実施形態において、可撓性部材120は、窓部110の半径方向外側縁部に直接隣接配置された可撓性領域である。一部の実施形態において、屈曲部又は可撓性部材120は、窓部110の内側部分より薄い、窓部110の外側部分であってよい。
【0036】
可撓性部材120は、液体レンズ100に入射及び/又は対応するカメラモジュールのセンサーに到達する迷光の量を低減するバッフルとして機能することができる。可撓性部材120は、迷光を反射し、迷光を吸収し、迷光を拡散し、センサー等に衝突しない経路に沿って迷光を誘導することができる。
【0037】
一部の実施形態において、上部窓部110は、変位しても実質的に平面のままであって、例えば、液体レンズ100の屈折力が、変位した上部窓部110の形状によって実質的に変化しない。一部の実施形態において、温度が20℃~60℃に変化すると、5ジオプター、4ジオプター、3ジオプター、2ジオプター、1ジオプター、0.5ジオプター、0.25ジオプター、これ未満、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の屈折力の変化をもたらすように、液体レンズ110を構成することができる、但し、一部の実施例では、他の値を使用することができる。上部窓部110は、20mm、15mm、12mm、10mm、8mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、これ未満、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の直径を有することができる、但し、一部の実装形態では、他の値を使用することができる。
【0038】
図3に示す一部の実施形態において、窓部110は、屈曲部又は可撓性部材120と同様に、屈曲するように構成することができる。窓部110は、可撓性部材120よりも可撓性が低くてよい。屈曲したとき、可撓性部材120からの軸方向変位距離124は、屈曲した窓部110の軸方向変位距離126より大きくてよい。窓部110からの軸方向変位距離126に対する屈曲部120からの軸方向変位距離124の比は、1対1、1.5対1、2対1、2.5対1、3対1、4対1、5対1、6対1、8対1、10対1、12対1、これ等の間の任意の値、又はこれらの比の任意の組み合わせによって区切られた任意範囲の比であってよい、但し、一部の実施形態は別の比も可能である。窓部110の軸方向変位距離126の曲がりに対する軸方向変位距離の合計(例えば、距離124と126の合計)の比は、2対1、2.5対1、3対1、4対1、5対1、6対1、8対1、10対1、12対1、15対1、これ等の間の任意の値、又はこれ等の比の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲であってよい、但し、一部の実施形態は別の比も可能である。屈曲部120の曲がり(例えば、距離124)によって、例えば、軸方向に、窓部の全変位(例えば、距離124+距離126)の50%、60%、70%、80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲を生成することができる、但し、別の実装形態も可能である。
【0039】
一部の実施形態において、窓部110の曲率が実質的に球形、実質的に放物面、又は三次若しくは二次曲率形状を有するように、可撓性部材120及び/又は窓部110を構成することができる。屈曲した窓部110の別の曲率形状も可能である。液体レンズによって生成された画像に、実質的に球面収差、及び場合によって、実質的に光学収差をもたらすことなく、窓部110が変位(例えば、一部の実施形態において屈曲)することができるように、可撓性部材120及び/又は窓部110を構成することができる。液体レンズ100は、20℃~60℃の間で動作させると、1マイクロメートル、0.7マイクロメートル、0.5マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.1マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の波面誤差が生じる可能性がある、但し、一部の実施形態では他の値もあり得る。
【0040】
図4において、液体レンズ100は加工窓部110を備えることができる。窓部110は、異なる厚さ及び/又は窓部110が屈曲したときに特定の形状(例えば、実質的に球形、実質的に放物面等)を成すように選択された異なる材料の領域(例えば、同心円領域)を有することができる。窓部110は、厚さが連続的に変化する領域を有することができる。窓部110の一方又は両方の表面は、静止時湾曲を成すことができる。図4の実施形態において、窓部は実質的に平坦な上面又は外面、及び凹状の下面又は内面を有する平凹である。この構成によって、窓部110が、より薄い中央領域でより大きく屈曲し、より厚い外側領域でより少なく屈曲することができる。多くの変形が可能である。窓部110は、図5に示すように、例えば、実質的に平坦な上面又は外面、及び凸状の下面又は内面を有する平凸であってよい。平凸窓部110は、窓部110のより厚い中央部分が、より薄い外側部分と比較して屈曲が少なくなるようにすることができる。一部の実施例において、特に窓部110の材料が極性流体104の屈折率に近い屈折率を有している場合、平坦な上面又は外面が、(例えば、極性流体と窓部の湾曲下面又は内面との間の界面が光を大きく屈折させないように)、窓部110によって屈曲されていないときにもたらされる屈折力を低減することができる。一部の実施例において、上面又は外面及び下面又は内面の両方が湾曲を成す(例えば、両凹面、両凸面、又はメニスカス形状を有する)ことができる。窓部110の所望の屈曲に応じて、様々な異なる窓部形状を使用することができる。図6の実施形態等、一部の実施形態において、別個の屈曲部又は可撓性部材120を省略することができる。窓部110自体が、別個の可撓性部材120なしで屈曲されたときに、窓部110が所望の形状を成すように構成された厚さ及び/又は材料を有することができる。
【0041】
一部の実施形態において、熱が発生したとき、窓部110が屈曲して屈折力をもたらし、対応するカメラモジュールで生じた屈折力の変化を補償することができる。図7は、カメラシステム200の例示的な実施形態を示す図である。カメラシステム200は、本明細書に開示の液体レンズのいずれかに関連して説明する機構を有することができる液体レンズ100、及びカメラモジュール202を備えることができる。カメラモジュール202は、イメージセンサー(例えば、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサー)、及び電子回路を備えることができる。一部の実施形態において、カメラモジュール202は、1つ以上の固定レンズ(例えば、レンズスタック)及び/又は1つ以上の可動レンズ、又は他の集束光学素子を備えることができる。一部の実施形態において、液体レンズ100は、カメラモジュールと一緒に動作して、可変焦点及び/又は光学画像手振れ補正を提供することができる。一部の実施形態において、カメラモジュール202の動作によって、電子回路及び/又は可動レンズ等の可動要素等から熱が発生し得る。カメラモジュール202から発生した熱は、液体レンズ100に伝達され、熱膨張が生じ得る。本明細書に記載のように、液体レンズ100は、(例えば、窓部110を変位及び/又は屈曲させることによって)熱膨張に対応することができる。
【0042】
一部の実施例において、カメラモジュール202からの熱は、カメラモジュール202の1つ以上の光学特性に影響を与える可能性がある。例えば、熱によって、1つ以上の固定又は可動レンズ等のカメラモジュールの構成要素に熱膨張が生じる可能性がある。カメラモジュール202が動作して熱が発生するにつれ、カメラモジュール202の屈折力が変化する可能性がある。例えば、熱によって熱膨張が生じ、1つ以上のレンズの膨張及び/又は取付部品による1つ以上のレンズの位置ずれが生じる可能性がある。一部の実施例において、カメラモジュール202からの熱によって、カメラモジュールの焦点距離が長くなる可能性がある。これが、カメラモジュール202によって生成された画像に多少のボケをもたらし得る。カメラモジュール202の熱によって、多くの光学的効果が生じる可能性がある。一部の実施例において、熱によって、カメラモジュールの焦点距離が短くなり得る。
【0043】
前述のように、カメラモジュール202からの熱は、対応する液体レンズ100に伝達され、窓部110を移動(例えば、屈曲)させ、液体レンズ100の1つ以上の光学特性に影響を及ぼす可能性がある。液体レンズ100に伝達されたカメラモジュール202からの熱による光学的効果によって、カメラモジュール202の熱によってカメラモジュール202内に生成された光学的効果に少なくとも部分的に対抗することができる。例えば、カメラモジュール202の熱量によって、カメラモジュールの1つ以上のレンズの焦点距離が長くなった場合、液体レンズ100に伝達された対応する熱によって、液体レンズの焦点距離を短くすることができる。カメラモジュール202の熱量によって、カメラモジュールの1つ以上のレンズの焦点距離が短くなった場合、液体レンズ100に伝達される対応する熱によって、液体レンズの焦点距離を長くすることができる。カメラモジュール202の熱量によって、カメラモジュールの屈折力がある量(例えば、1ジオプター)変化した場合、液体レンズ100に伝達される対応する熱によって、液体レンズの屈折力が、逆の対応する量(例えば、-1ジオプター)変化するように、液体レンズ100を構成することができる。一部の実施形態において、液体レンズ100内における熱の光学的効果によって、カメラモジュール202内の対応する熱の光学的効果に対し、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲内の相違で対抗することができる、但し、一部の実装形態において、これ等の範囲以外の値を使用することができる。例えば、1ジオプターの屈折力の変化をもたらすカメラモジュールの熱によって、窓部が移動して屈折力を-0.5ジオプター、-0.75ジオプター、-1ジオプター、-1.25ジオプター、-1.5ジオプター、又はこれ等の間の任意の値変化させる熱を液体レンズに生じさせることができる。
【0044】
図8は、カメラモジュール202内の熱によって生じた光学効果に対抗するように構成された窓部110を有するように、液体レンズ100を設計するための例示的な方法300を示すフローチャートである。ブロック302において、カメラモジュール202を動作させて、カメラモジュール202内に熱を発生させることができる。一部の実施形態において、カメラモジュール202の周囲温度を上昇させる等、外部の熱源から熱を加えることができる。ブロック304において、発生した熱によって温度が変化するにつれ、カメラモジュール202の焦点距離及び/又は屈折力を監視することができる。図8の例は、屈折力又は焦点距離の変化に関するものであるが、同様の方法を適用して、発生した熱に起因する他の光学的特性の変化を補償することができる。ブロック306において、温度変化に対する焦点距離又は屈折力の変化の関数をプロットすることができるこれにより、液体レンズ100における所望の対応する応答を示すことができる。
【0045】
ブロック308において、液体レンズ100を設計することができる。一部の実施形態において、液体レンズ100の様々な側面が、アプリケーションパラメータによって制約され得るか、又はブロック308の前に設計されている可能性がある。ブロック308において、熱が液体レンズ100に伝達されるにつれ、ブロック306でプロットした屈折力又は焦点距離の変化に少なくとも部分的に対抗するように、液体レンズ100の1つ以上の側面(例えば、窓部110及び/又は可撓性部材120)を設計することができる。一部の実施形態において、特定の窓部形状が液体レンズ100の温度変化にどのように反応するか予測する等、コンピュータモデリングを利用して、液体レンズ100の1つ以上の側面を設計することができる。一部の実施形態において、液体レンズ100の温度は、カメラモジュール202の温度と異なり得る。例えば、一部の熱は外気に失われる可能性があり、液体レンズ100がカメラモジュール202に連結される方法によって、カメラモジュール202から液体レンズ100に伝達される熱量に影響を与える可能性がある。一部の実施形態において、カメラモジュール202から液体レンズ100に対する予測熱伝達を用いて、液体レンズ100の設計に影響を及ぼすことができる。例えば、比較的少量の熱が、カメラモジュール202から液体レンズ100に伝達される場合には、比較的少量の熱のみが液体レンズ100に伝達さたとき、窓部110が十分に屈曲して、十分な対抗屈折力を与えることができるように、より薄く設計することができる。コンピュータモデリングを利用して、カメラモジュール202から液体レンズ100に対する熱伝達を予測又は推定することができる。熱による屈折力の変化を制御するために調整することができる液体レンズ100のパラメータの例には、窓部110の厚さ、屈曲部120の厚さ、屈曲部120の起伏数、窓部110のサイズ(例えば、直径)、空洞102のサイズ、窓部110及び/又は屈曲部120に使用される材料、及び本明細書に記載の液体レンズ100の他の機構が含まれる。
【0046】
ブロック310において、液体レンズ100を試験することができる。一部の実施例において、液体レンズを製造して物理的に試験することができる。例えば、液体レンズ100及びカメラモジュール202をそれぞれ接合することができ、カメラモジュール202を動作させて熱を発生させることができる。熱が発生し温度が上昇する際、カメラモジュール202及び液体レンズ100の両方を含むカメラシステム200の焦点距離又は屈折力を監視することができる。ブロック312において、ブロック310における試験結果を考慮して、必要に応じ、液体レンズ100の構成を調整することができる。カメラモジュールによって熱が発生したとき、カメラシステム200の焦点距離又は屈折力が必要以上に変化した場合、液体レンズ100の構成を調整して、カメラモジュール内の熱の光学的効果によりよく対抗することができる。一部の実施形態において、ブロック310において、カメラモジュール202なしで液体レンズ100を試験することができる。液体レンズに熱を加えることができ、屈折力又は焦点距離の変化を監視して、カメラモジュール202の屈折力又は焦点距離の変化と比較することができる。一部の実施形態において、液体レンズ310は、製造したサンプルを経験的に試験するのではなく、コンピュータモデリングを利用して試験することができる。方法300の様々なブロックを繰り返すことができる。液体レンズ試験(ブロック310)及び液体レンズ構成の調整(ブロック312)を複数回実施することができる。一部の実施形態において、同様に又は代わりに、カメラモジュール202に対して調整を行うことができ、及び/又は液体レンズ100をカメラモジュール202に連結するための取り付け機構に対して調整を行う(例えば、液体レンズ100伝達される熱量を増減する)ことができる。一部の実施形態において、複数のカメラモジュール202及び液体レンズ100を試験して、試験精度を向上させることができる。例えば、ブロック302及び304を複数回(例えば、20、50、100回、又はそれ以上)実施して、様々な結果をブロック306のプロットに組み合わせる(例えば、平均する)ことができる。同様に、複数の液体レンズを製造及び試験して、試験精度を向上させることができる。
【0047】
多くの変形が可能である。例えば、本方法は、ブロック306における焦点距離又は屈折力の変化の関数プロットをスキップすることができる。ブロック306におけるプロットを生成せずに、コンピュータモデリングプログラムは、カメラモジュール202の試験データを使用して、推奨される液体レンズを設計するか、設計パラメータを生成することができる。一部の実施形態において、調整が必要ない場合等には、ブロック312をスキップすることができる。一部の実施形態において、コンピュータモデリングを利用して、すべての試験及び設計を実施することができる。
【0048】
本明細書において、上部窓部110に関連する様々な実施形態が記載されているが、これ等の機構は下部窓部108にも適用することができる。本明細書に記載のように、一部の実施形態において、上部窓部110及び下部窓部108のいずれか一方又は両方が、屈曲部又は可撓性部材120を有することができ、及び/又は屈曲するように構成することができる。図9は、下部窓部108が(例えば、軸方向下方に)変位して、熱による熱膨張に対応することができるように、屈曲部120に連結された下部窓部108(例えば、空洞102の狭い端部又はその近傍)を有する液体レンズ100の例示的な実施形態を示す図である。図10は、両方の窓部108及び110が(例えば軸方向に)変位して(例えば、 流体104及び106)の熱膨張に対応することができるように、上部窓部110及び下部窓部108の両方が屈曲部120を有する液体レンズ100の例示的な実施形態を示す図である。下部窓部108及び上部窓部110は、温度の変化に応じて、反対方向に移動するように構成することができる。下部窓部108及び上部窓部110は、温度の変化に応じて、同量又は異なる量移動するように構成することができる。下部窓部108は、温度の変化に応じて、上部窓部110が(例えば、軸方向)移動する距離の50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、又は150%の距離(例えば、軸方向に)移動することができる。窓部108及び/又は110が移動する距離は、窓部108及び/又は110の最も変位した部分(例えば、湾曲窓部形状の頂点)で測定することができる。本明細書に記載の様々な機構、パラメータ、方法等は、上部窓部110のみの屈曲部120、下部窓部108のみの屈曲部、又は上部窓部110及び下部窓部108の両方の屈曲部120実現することができる。空洞又はチャンバー102の容積を増大させて熱膨張に対応することに関連して、様々な実施形態が記載されているが、本明細書に記載の液体レンズ100は、空洞又はチャンバー102の容積を減少させて、熱収縮(例えば、冷却温度による)に対応することができるように構成することもできる。例えば、窓部110を(例えば、軸方向に)流体インターフェース105に向けて、又は空洞102内に変位させることができ、これによって、空洞102の容積を減少させることができる。流体インターフェース105に向けて窓部110を内側に湾曲させ、チャンバー又は空洞102の容積を減少させることもできる。
【0049】
図11は、液体レンズ窓部要素の部分斜視図である。図12は、液体レンズ窓部要素の断面図である。図13は、屈曲形態の液体レンズ窓部要素の部分斜視図である。図11~13は、窓部要素の1/4を示している。本明細書に開示の窓部要素の実施形態は、上部窓部110及び/又は下部窓部108に使用することができるが、概して、説明を簡単にするために、上部窓部110に関連して説明する。窓部要素は、透明窓部110、屈曲部120、及び取付部128を有することができる。透明窓部110を中央領域に配置することができ、屈曲部120が透明窓部110から半径方向外側に配置され、及び/又は取付部128が屈曲部120から半径方向外側に配置されている。取付部128は、窓部要素の周辺に配置することができる。取付部128は、(例えば、‘990号特許明細書に開示の室温接合技術、接着剤、留め具、又はその他の適切な方法を使用して)基板又は他の下部支持構造若しくは材料に取り付けて、例えば、図1A図6に見られるように、液体レンズ100上に窓部要素を配置することができる。屈曲部120によって、取付部128を透明窓部110に連結することができる。屈曲部120は、透明窓部110及び/又は取付部128より柔軟であってよい。屈曲部120は、透明窓部110及び/又は取付部128より薄くすることができる。例えば、屈曲部120の材料は、透明窓部110及び取付部128のいずれか一方又は両方の厚さ132の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲である厚さ130を有することができる、但し、一部の実装形態において、別の値も使用することができる。一部の実施例において、透明窓部110及び取付部が同じ厚さを有するか、又はどちらか一方が5%、10%、15%、20%、25%、30%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲において、他方より厚い又は薄い厚さを有することができる。
【0050】
屈曲部120は、透明窓部110及び/又は取付部128と同じ材料(例えば、ガラス材料)で、例えば、1つの一体部品として一体的に形成することができる。ガラス、セラミック、ガラスセラミック、又は高分子材料等、様々な種類の透明材料を使用することができる。例えば、透明材料は、ケイ酸塩ガラス(例えば、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス)、石英、アクリル(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート等を含むことができる。窓部要素は、厚さ132を有する透明材料(例えば、ガラス)片(例えば、板)から形成することができる。材料を除去して、屈曲部120のより薄い(例えば、厚さ130を有する)領域を形成することができる。エッチング、フォトリソグラフィ、レーザーアブレーション、ミリング、コンピューター数値制御(CNC)ミリング、又はその他の適切な技術を使用することができる。驚いたことに、ガラスは概して脆弱な材料であるにもかかわらず、例えば図13に示すように、薄いガラス屈曲部120が破損せずに屈曲することが見出された。
【0051】
屈曲部120は、窓部110を囲むリング屈曲部であってよい。1つ以上の環状凹部134a~dを材料に形成することができる。凹部134a~dは、360度にわたって完全に延び、円等の閉じた形状を形成することができるが、楕円、正方形、長方形、又は他の多角形等の他の形状を使用することもできる。凹部134a~dは、同じ中心点を有し、異なる半径又は異なる幅を有する等の同心円であってよい。第1の凹部134aは、透明窓部110に隣接配置することができる。凹部134aの半径方向内側の縁が、透明窓部110の外周を画成することができる。凹部134a~dは、半径方向に各々隣接する凹部から実質的に等距離に離間させることができる。半径方向外側に移動して、交互の面に凹部134a~dを配置することができる。例として、第1の凹部134aを上面に配置し、第2の凹部134bを下面に配置し、第3の凹部134cを上面に配置し、第4の凹部134dを下面に配置することができる。凹部134a~dは、例えば、図12から分かるように、1つ以上の起伏を形成することができる。屈曲部120は、反復する非線形パターンを含む断面形状を有することができる。1つの凹部134aを隣接する(例えば、反対の面に形成される)凹部134bから分離する壁は、厚さ130を有することができる。凹部134a~dは、凹部の底部の材料が、隣接する凹部134a~d間の壁の厚さ130と実質的に同じ厚さを有し得る深さを有することができる。一部の実施形態において、底部と壁との厚さの相違は5%、10%、15%、20%、25%、30%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲であってよいが、別の構成も可能である。凹部134a~dは、実質的に同じ断面形状、断面サイズ、及び/又は深さを有することができる。凹部134a~dは、台形の断面形状を有することができるが、半円、部分楕円、三角形、正方形、長方形、又は他の多角形等の別の形状を使用することができる。凹部134a~dの位置の半径又は幅が異なり得ることを除き、凹部134a~dは、同じサイズ及び形状を有することができる。
【0052】
図13は、液体レンズ100等の熱膨張によって誘発され得る屈曲状態の屈曲部120及び透明窓部110を示す図である。屈曲部120は透明窓部110より薄くて柔軟であるため、屈曲部120は透明窓部110より大きく変形する。本明細書に記載のように、屈曲部120の変位距離124が、透明窓部110の変位距離126より大きくてよい。図14は、屈曲部120を有さない液体レンズ窓部110の例を示している。図14は、液体レンズ等の熱膨張によって誘発され得る屈曲位置にある窓部110を示している。可撓性窓部110は、全体にわたり実質的に一定の厚さを有することができる。図13の窓部110の軸方向変位126は、図13の屈曲部120の変形によって、かなりの量の膨張に対応することができるため、図14の窓部110の軸方向変位126よりも大幅に小さくすることができる。また、図13の窓部110は、(例えば、図14において、専用の屈曲部120なしで熱膨張に対応できるように、窓部110全体がより薄く柔軟に構成されているため)図14の窓部110より厚くすることができ、その結果、図13の窓部110の変形が少なくなる。図14の窓部110の半径方向内側部分(例えば、図13の窓部110と同じ半径を有する部分)の軸方向変位のみを考慮した場合、図13の実施形態では、窓部変位126が更に少ない。図14のアプローチと比較して、図13の実施形態では、光センサーに到達して画像を生成する光を透過する窓部110部分の変形を少なくすることができる。従って、図13の実施形態は、温度変化による屈折力の変化をより小さくすることができる。図14の窓部は、屈曲すると概してガウス形状になる。図13の窓部は、概して球形又は放物線形状を有することができ、図14のガウス形状より、生成される光学収差を少なくすることができる。
【0053】
図15は、液体レンズ窓部要素の例示的な実施形態の上面斜視図である。図16は、液体レンズ窓部要素の下面斜視図である。図17は、液体レンズ窓部要素の上面図である。図18は、液体レンズ窓部要素の下面図である。図19は、液体レンズ窓部要素の断面図である。図20は、液体レンズ窓部要素の屈曲部120を含む部分断面図である。図21及び図22は、屈曲形態の屈曲部120及び窓部110の1/4を示す図である。液体レンズ窓部要素について、液体レンズ100の上部窓部110に関連して説明するが、同様の窓部要素を液体レンズ100の下部窓部要素108として使用することができる。図15~22の窓部要素は、図11~13の窓部要素と同様であってよく、図11~13に関連して説明した特徴は、繰り返さないが、図15~22の実施形態に適用することができる。
【0054】
半径方向内側の凹部134a(例えば、第1の凹部134a)は、下面(例えば、液体レンズ100の空洞102に面する側)に形成することができる。第2の凹部134bは、上面(例えば、液体レンズ100の空洞102と反対の側)に形成することができる。第3の凹部134cは下面に形成することができる。第4の凹部134d(例えば、半径方向外側の凹部134d)は上面に形成することができる。凹部134a~dは、半円形の断面形状を有することができる。凹部134a~dは、エッチングによって形成することができるが、本明細書に記載のものを含む様々な別の技術を用いて凹部134a~dを形成することができる。凹部134a~dの側面が湾曲形状であるため、隣接する凹部134a~d間の壁は様々な厚さを有し得る。例えば、凹部の縁部136において、隣接する凹部間の壁は比較的厚くなり得る。凹部134a~dの深さの約半分において(例えば、図20の位置138において)、隣接する凹部間の壁は比較的薄くなり得る。図20に示すように、隣接する凹部間(例えば、凹部134cと134dとの間)の壁は、薄い部分において厚さ130aを有し得る。凹部134a~dは、凹部134a~dの基部の材料が厚さ130bを有し得る深さを有することができる。壁の厚さ130a及び基部の厚さ130bは実質的に同じであってよい。壁の厚さ130aと基部の厚さ130bとの相違は5%、10%、15%、20%、25%、30%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲であってよいが、別の構成も可能である。
【0055】
図21及び22は、屈曲形態の屈曲部120及び窓部110を示す図である。屈曲部120は、窓部110より(例えば、窓部の頂点又は最も変位した部分で測定したとき)多く軸方向に変位することができる。窓部110の軸方向変位距離126の曲げに対する軸方向変位距離の合計(例えば、距離124と126の合計)の比は、2対1、2.5対1、3対1、4対1、5対1、6対1、8対1、10対1、12対1、15対1、これ等の間の任意の値、又はこれ等の比の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲であってよい、但し、一部の実施形態は別の比をもたらすこともできる。
【0056】
一部の実施形態において、空洞102に面した窓部要素の面(例えば、上部窓部110の下面)は、窪み140を有することができる。窪み140は、屈曲部120の一部又は全部にわたって延びることができる。窪み140は、透明窓部110の一部又は全部にわたって延びることができる。取付部128は、窓部110より厚くすることができる。取付部128は、屈曲部120の高さ(例えば、凹部134a~dによって形成された起伏の高さ)より厚くすることができる。例えば、図20に示すように、取付部128は厚さ142を有することができ、窓部110は厚さ144を有することができる。屈曲部120は、窓部110の厚さと同じ高さ144を有することができる。窪み140は、図20に示すように、深さ146を有することができる。一部の実施例において、透明窓部110及び/又は屈曲部120の高さは、取付部128の厚さより5%、10%、15%、20%、25%、30%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲小さくてよい。窪み140は、凹部134a~dの前又は後に形成することができる。例えば、窪み140は、(例えば、エッチング又は他の適切な技術を用いて)ガラス板の片面に形成することができる。凹部134a及び134cは、(例えば、エッチング又は他の任意の適切な技術を用いて)窪み140の基部に形成することができる。凹部134b及び134Dは、窪み140及び/又は凹部134a及び134cの前又は後のいずれかにおいて、ガラス板の反対の面に(例えば、エッチング又は他の任意の適切な技術を用いて)形成することができる。一部の実施例において、窪み140は、凹部134a及び134cの後に形成することができる。例えば、一部の実装形態において、窪み140を形成することによって、凹部134a及び134cの深さが減少するであろう。
【0057】
窪み140は、屈曲部120及び/又は窓部110と液体レンズ100の下部構造との間に間隙を形成することができる。この間隙は、屈曲部120及び/又は窓部110が下部構造に接触するのを妨げることができる。間隙によって、電極と液体レンズ内の流体との間に電気的接続を形成することができる。図23は、上部窓部110の窓部要素の下面に窪み140を有する液体レンズ100の例示的な実施形態を示す図である。円錐台形構造が、窓部要素の取付部128のレベルまで延びることができる。窪み140は、屈曲部120及び/又は窓部110が、円錐台形構造の上面又は端部に触れることを妨げることができる。一部の実施例において、第2の電極116が、円錐台形構造の上方位置、又は円錐台形構造の上面に位置する極性流体104に接触することができる。第2の電極116は、屈曲部120の真下の位置において極性流体104と接触することができる。窪み140は、極性流体104が屈曲部120の下方の領域を満たし、第2の電極116に接触することができるように間隙を生成することができる。一部の実施例において、図23から分かるように、屈曲部120の一部又は全部を、空洞102の円錐台部分の半径方向外側に配置することができる。
【0058】
(例えば、ガラス板から形成された)窓部要素は、0.5マイクロメートル、0.7マイクロメートル、1.0マイクロメートル、1.2マイクロメートル、1.4マイクロメートル、1.5マイクロメートル、1.7マイクロメートル、2.0マイクロメートル、2.5マイクロメートル、3マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さ(例えば、図12の厚さ132又は図20の厚さ142)を有することができる、但し、一部の実施形態において、(例えば、より規模の大きい液体レンズに対し)別のサイズを使用することもできる。一部の実施例において、取付部128及び/又は窓部110は、0.5マイクロメートル、0.7マイクロメートル、1.0マイクロメートル、1.2マイクロメートル、1.4マイクロメートル、1.5マイクロメートル、1.7マイクロメートル、2.0マイクロメートル、2.5マイクロメートル、3マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さを有することができる、但し、一部の実施形態において、(例えば、より規模の大きい液体レンズに対し)別のサイズを使用することもできる。窓部110は(例えば、取付部128の厚さ142と同じ)板の全厚又は窪み140の厚さ146によって減少した厚さ144を有することができる。一部の実施例において、窪み140は、0.1マイクロメートル、0.15マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.25マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.35マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.45マイクロメートル、0.5マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さ146を有することができる、但し、別のサイズも使用することができる。隣接する凹部間(例えば、凹部134cと134dの間)の壁は、0.1マイクロメートル、0.15マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.25マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.35マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.45マイクロメートル、0.5マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さ130aを有することができる、但し、別のサイズも使用することができる。凹部134a~dの基部は、0.1マイクロメートル、0.15マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.25マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.35マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.45マイクロメートル、0.5マイクロメートル、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さ130bを有することができる、但し、別のサイズも使用することができる。本開示は、本明細書に記載、及び/又は図面に示す様々な機構の様々な寸法間の比及び比較を含むものと考えている。
【0059】
多くの変形が可能である。例えば、一部の実施形態において、窪み140を省略することができる。例えば、図24は、図20と同様の屈曲部120及び窓部110を示しているが、窪み140はない。図24の実施形態は、取付部128と係合する棒又は別の隆起構造を有する液体レンズ100と共に使用することができる。図24の実施形態は、空洞102の円錐台形部分の上方に懸架された屈曲部120を有する液体レンズ100と共に使用することができる(例えば、図1A及び1B参照)。
【0060】
図25に示す一部の実施形態において、窓部110の一部又は全部は窪み140を有していない。窪み140は、屈曲部120の一部又は全部にわたって延びることができるが、窓部110にわたって延びてはいない。窪み140は、窓部110を囲むことができる環状窪みであってよい。一部の実施例において、窪み140は、窓部110の一部に重なることができるが、窓部110の中央領域までは延びていない(例えば、センサーに到達して画像を生成する光を透過する窓部110の部分までは延びていない)。屈曲部120は、窓部110の厚さよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲より小さい高さ(例えば、起伏の高さ)を有することができる。
【0061】
本明細書に開示の屈曲部120は、任意の適切な数の凹部及び/又は起伏を有することができる。4つの凹部134a~134dを備えたいくつかの実施形態が示してあるが、別の凹部数を使用することもできる。図26は、6つの凹部134a~fを有する屈曲部120の例示的な実施形態を示す図である。図27は、3つの凹部134a~cを有する屈曲部120の例示的な実施形態を示す図である。屈曲部120は、1、2、3、4、5、6、8、10、12、それ以上、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の凹部134を有することができる、但し、別の構成も可能である。屈曲部120は、1、2、3、4、5、6、それ以上、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の起伏を有することができる、但し、別の構成も可能である。
【0062】
一部の実施形態において、屈曲部120は起伏を有していない。屈曲部120は比較的薄い領域を有することができる。凹部134を材料(例えばガラス)に形成して、屈曲部120の薄い領域を形成することができる。図28は、図20と同様であるが、単一の凹部134が薄い屈曲部120形成している例示的な実施形態を示している。片側の窪み140a及び反対側の凹部134によって、薄い屈曲部120を形成することができる。屈曲部120は、透明窓部110及び取付部128のいずれか一方又は両方の厚さの10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の厚さを有することができる、但し、一部の実装形態において別の値も使用することができる。窪み140の深さは、凹部134の厚さの10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲とすることができる、但し、一部の実装形態において別の値も使用することができる。
【0063】
図29に示す一部の実施形態において、窪み140を省略することができる。屈曲部120は、上部窓部110について図29に示すように、液体レンズの空洞の反対側に面する窓部要素の面に形成された凹部134等によって形成することができる。一部の実施例において、屈曲部120は、図30の上部窓部110に示すように、液体レンズの空洞に面する窓部要素の面に形成された凹部134等によって形成することができる。図31において、第1の凹部134aと第2の凹部134bとを材料の反対側に配置して、2つの凹部134ab間の材料に屈曲部120を形成することができる。凹部134a及び134bは、例えば、同じ形状、深さ、サイズ、及び/又は位置を有する、少なくとも部分的に対称とすることができる。
【0064】
図15~22による上部窓部110及び屈曲部120を使用して、液体レンズの試験を実施した。図32は、温度が22℃~60℃に変化したときのジオプターで測定した屈折力の変化を示す図である。この試験では、液体レンズを50ボルトで駆動した。線Aは、図15~22による屈曲部120を有する液体レンズに対して行った試験のデータを示している。線Bは、屈曲部120を有さない液体レンズ(例えば、図14と同様)に対して行った試験のデータを示している。屈曲部120を有する液体レンズ(線A)に関し、屈折力が約18.7ジオプターから約22.1ジオプターに変化し、変化量が約3.4ジオプターであった。屈曲部120を有さない液体レンズ(線B)に関し、屈折力が約15.5ジオプターから約21.8ジオプターに変化し、変化量が約6.3ジオプターであった。従って、屈曲部120は、温度が変化したときの熱膨張から生じる屈折力の変化を低減することができる。本明細書に開示の屈曲部120を有する液体レンズは、1℃当たり0.15ジオプター、1℃当たり0.14ジオプター、1℃当たり0.13ジオプター、1℃当たり0.12ジオプター、1℃当たり0.11ジオプター、1℃当たり0.1ジオプター、1℃当たり0.09ジオプター、1℃当たり0.08ジオプター、1℃当たり0.07ジオプター、1℃当たり0.06ジオプター、1℃当たり0.05ジオプター、1℃当たり0.04ジオプター、1℃当たり0.03ジオプター、1℃当たり0.02ジオプター、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意の範囲の熱誘導屈折力変化率を有し得る。液体レンズは、20mmの直径、15mm、12mm、10mm、8mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、これ以下、これ等の間の任意の値、又はこれ等の値の任意の組み合わせによって区切られた任意範囲の直径を有する窓部110を備えることができる、但し、一部の実装形態において、別のサイズを使用することができる。
【0065】
本開示は特定の実施形態及び実施例を含んでいるが、当業者は、範囲が具体的に開示された実施形態を超えて他の代替実施形態及び/又は使用、並びにその明白な改良及びその均等物に及ぶことを理解するであろう。加えて、実施形態のいくつかの変形を詳細に示し、説明したが、当業者には、本開示に基づいて、他の改良が容易に明らかになるであろう。また、実施形態の特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ又は小組み合わせが可能であり、それも本開示の範囲に属するものと考えている。当然のことながら、開示した実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は置換して、実施形態の各種の態様を構成することができる。本明細書に開示のいずれの方法も、列挙された順序で実行する必要はない。従って、前述の特定の実施形態によって、範囲が限定されるべきではないことを意図している。
【0066】
別に明記しない限り、又は使用される文脈上別に解釈されない限り、特に「can」、「could」、「might」、又は「may」等の条件用語は、概して、特定の実施形態は、特定の機構、要素、及び/又はステップを含むが、別の実施形態は含んでいないことを暗示することを意図している。従って、かかる条件用語は、概して、1つ以上の実施形態に機構、要素、及び/又はステップが何等かの形で必要であること、又は特定の実施形態において、ユーザー入力又はプロンプトの有無に関わらず、これ等の機構、要素、及び/又はステップを実行するか否かを決定するロジックを、1つ以上の実施形態が必ず含んでいることを示唆するものではない。本明細書における見出しは、読者の便宜を図るためだけのものであって、範囲を限定することを意味するものではない。
【0067】
更に、本明細書に記載の装置、システム、及び方法は、様々な改良及び代替形態が容易であるが、その特定の例を図面に示し、本明細書に詳述してある。しかし、当然のことながら、本開示は、開示した特定の形態又は方法に限定されるものではなく、反対に、説明した様々な実装形態の精神及び範囲に属するすべての改良、均等部、代替形態を網羅するものである。更に、1つの実装形態又は実施形態に関連する特定の機能、態様、方法、特徴、特性、品質、属性、要素等の本明細書における開示は、本明細書に記載の別のすべての実装形態又は実施形態において使用することができる。本明細書に開示の方法は、列挙された順序で実行する必要はない。本明細書に開示の方法は、専門家が取る特定の行動を含むことができるが、これ等の行動の任意のサードパーティーの命令も、明示的又は暗示的に含むことができる。
【0068】
本明細書に開示の範囲は、ありとあらゆる重複、部分範囲、及びこれ等の組み合わせも含む。「以下」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「間の」等の用語は、記述された数字を含む。「約」や「略」等の用語が前に付いている数字は、記述された数字を含み、状況に基づいて(例えば、±5%、±10%、±15%等、その状況下において合理的に可能な限り)正確に解釈する必要がある。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を含む。「実質的に」等の用語が先行する語句は、記述された語句を含み、状況に基づいて(例えば、その状況下において合理的に可能な限り)解釈する必要がある。例えば、「実質的に一定」は「一定」を含む。別に明記しない限り、すべての測定値は、周囲温度及び圧力を含む標準条件におけるものである。
【0069】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0070】
実施形態1
液体レンズであって、
容積を有するチャンバーと、
前記チャンバー内に収容された第1の流体と、
前記チャンバー内に収容された第2の流体であって、前記第1の流体と前記第2の流体とは実質的に不混和性であり、前記第1の流体と前記第2の流体との間に流体界面を形成する、第2の流体と、
前記第1の流体及び前記第2の流体から絶縁された1つ以上の第1の電極と、
前記第1の流体と電気的に連通する1つ以上の第2の電極であって、前記流体界面の位置が、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧に少なくとも部分的に基づくように、前記液体レンズが構成されている、第2の電極と、
光軸に沿って光を透過するように構成された窓部と、
前記窓部を前記光軸に沿って軸方向に変位させ、前記チャンバーの前記容積を変化させるように構成された屈曲部であって、前記窓部と同じ材料で構成された屈曲部と、
を備えた液体レンズ。
【0071】
実施形態2
前記屈曲部が前記窓部と一体成形されている、実施形態1及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0072】
実施形態3
前記窓部及び前記屈曲部がガラスで構成されている、実施形態1~2及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0073】
実施形態4
ガラス板が前記窓部及び前記屈曲部を含み、前記屈曲部が、前記窓部を囲む複数の同心円の凹部を含み、前記複数の同心円の凹部が、前記ガラス板の交互の面に形成されている、実施形態1~3及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0074】
実施形態5
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部が、前記屈曲部の曲がりから屈曲部変位距離だけ軸方向に変位し、前記窓部が、該窓部の曲がりから窓部湾曲距離だけ軸方向に変位し、前記屈曲部変位距離が前記窓部湾曲距離より大きい、実施形態1~4及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0075】
実施形態6
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部湾曲距離に対する前記屈曲部変位距離の比が少なくとも2対1である、実施形態5記載の液体レンズ。
【0076】
実施形態7
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記屈曲部変位距離と前記窓部湾曲距離との比が少なくとも4対1である、実施形態5記載の液体レンズ。
【0077】
実施形態8
前記比が12対1以下である実施形態6又は7記載の液体レンズ。
【0078】
実施形態9
前記窓部が柔軟であり、前記屈曲部が前記窓部より更に柔軟である、実施形態1~8及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0079】
実施形態10
前記窓部が、実質的に球形の曲率又は実質的に放物面の曲率を有するように屈曲する、実施形態9記載の液体レンズ。
【0080】
実施形態11
前記窓部の厚さが、前記屈曲部の厚さより厚い、実施形態1~10及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0081】
実施形態12
前記屈曲部が前記窓部の外周の周囲に配置された実施形態1~11及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0082】
実施形態13
前記屈曲部が、該屈曲部に入射した光が前記液体レンズを透過するのを阻止する、実施形態1~12及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0083】
実施形態14
1℃当たり0.1ジオプター以下の熱誘導屈折力変化率を有する、実施形態1~13及び17~19いずれか1項記載の液体レンズ。
【0084】
実施形態15
1℃当たり少なくとも0.02の熱誘導屈折力変化率を有する、実施形態14記載の液体レンズ。
【0085】
実施形態16
カメラシステムであって、
実施形態1~15及び17~19いずれか1項記載の液体レンズと、
カメラモジュールであって、
イメージセンサー、及び
前記イメージセンサーに光を誘導するように構成された、1つ以上の固定レンズであって、前記カメラモジュールを動作させると、前記1つ以上の固定レンズの焦点距離を変化させる熱が発生する、固定レンズを有するモジュールと、
を備え、
前記カメラモジュールからの熱が、前記液体レンズに伝達されるように、前記液体レンズが前記カメラモジュールに熱的に連結され、前記液体レンズに伝達された熱が、前記窓部を屈曲させて前記液体レンズの焦点距離を変化させ、前記カメラモジュール内の1つ以上の固定レンズの前記焦点距離の変化に少なくとも部分的に対抗する、カメラシステム。
【0086】
実施形態17
液体レンズであって、
容積を有するチャンバーと、
前記チャンバー内に収容された第1の流体と、
前記チャンバー内に収容された第2の流体であって、前記第1の流体と前記第2の流体とは実質的に不混和性であって、前記第1の流体と前記第2の流体との間に流体界面を形成する、第2の流体と、
前記第1の流体及び前記第2の流体から絶縁された1つ以上の第1の電極と、
前記第1の流体と電気的に連通する1つ以上の第2の電極であって、前記流体界面の位置が、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧に少なくとも部分的に基づくように、前記液体レンズが構成されている、第2の電極と、
光軸に沿って光を透過するように構成された窓部と、
前記窓部を前記光軸に沿って軸方向に変位させ、前記チャンバーの前記容積を変化させるように構成された屈曲部と、
を備え、
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部の周辺部が屈曲部変位距離だけ軸方向に変位するように、前記屈曲部が湾曲し、
前記液体レンズが屈曲状態にあるとき、前記窓部の中心部が前記屈曲部変位距離より大きい合計窓変位距離だけ軸方向に変位するように前記窓部が湾曲し、
前記屈曲部変位距離が、前記合計窓変位距離の60%~95%である、
液体レンズ。
【0087】
実施形態18
前記屈曲部変位距離が、前記合計窓変位距離の70%~90%である、実施形態17記載の液体レンズ。
【0088】
実施形態19
前記屈曲部変位距離が、前記合計窓変位距離の80%~85%である、実施形態17記載の液体レンズ。
【0089】
実施形態20
液体レンズであって、
第1の端部及び第2の端部を有する空洞であって、光軸が前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる空洞と、
前記空洞内の複数の流体であって、少なくとも1つの流体界面を形成し、光軸が前記少なくとも1つの流体界面を通して延びる、複数の流体と、
前記空洞の前記第1の端部の半径方向外側に配置された支持構造体と、
材料板であって、
前記空洞の前記第1の端部の上方に配置された窓部であって、該窓部を通して前記光軸が延びる窓部、
前記窓部の半径方向外側に配置された取付部であって、前記支持構造に取り付けられた取付部、及び
前記窓部と前記取付部との間の屈曲部であって、前記窓部より薄い屈曲部
を有する材料板と、
を備えた液体レンズ。
【0090】
実施形態21
前記窓部、前記取付部、及び前記屈曲部を有する前記材料板が、ガラス板である、実施形態20記載の液体レンズ。
【0091】
実施形態22
前記屈曲部が複数の同心円の凹部を有する、実施形態20又は21記載の液体レンズ。
【0092】
実施形態23
前記材料板が、第1の面及び該第1の面に対向する第2の面を有し、前記屈曲部が、
前記板の前記第1の面に第1の凹部を有し、
前記第1の凹部に隣接する第2の凹部であって、前記板の前記第2の面に位置する凹部を有する、実施形態20~22いずれか1項記載の液体レンズ。
【0093】
実施形態24
前記屈曲部が、
前記第1の面に、前記第2の凹部に隣接する第3の凹部、及び
前記第2の面に、前記第3の凹部に隣接する第4の凹部を有する、実施形態23記載の液体レンズ。
【0094】
実施形態25
前記屈曲部がガラスで構成され、前記屈曲部の少なくとも一部が、0.1マイクロメートル~0.5マイクロメートルの厚さを有する、実施形態20~24いずれか1項記載の液体レンズ。
【0095】
実施形態26
前記屈曲部がガラスで構成され、前記屈曲部の少なくとも一部が、0.15マイクロメートル~0.4マイクロメートルの厚さを有する、実施形態20~24いずれか1項記載の液体レンズ。
【0096】
実施形態27
前記屈曲部がガラスで構成され、前記屈曲部の少なくとも一部が、0.2マイクロメートル~0.3マイクロメートルの厚さを有する、実施形態20~24いずれか1項記載の液体レンズ。
【0097】
実施形態28
前記屈曲部が、前記窓部の厚さの5%~40%の厚さを有する、実施形態20~27いずれか1項記載の液体レンズ。
【0098】
実施形態29
前記屈曲部が、前記窓部の厚さの10%~30%の厚さを有する、実施形態20~27いずれか1項記載の液体レンズ。
【0099】
実施形態30
前記材料板が、前記空洞に面する窪みを有し、該窪みが、前記屈曲部の少なくとも一部及び前記窓部の少なくとも一部にわたって延びる、実施形態20~29いずれか1項記載の液体レンズ。
【符号の説明】
【0100】
100 液体レンズ
102 空洞(チャンバー)
104 極性流体
105 流体界面
106 非極性流体
108 下部窓部
110 上部窓部
112 第1の電極
114 絶縁材料
116 第2の電極
120 屈曲部
124 屈曲部の軸方向変位距離
126 窓部の軸方向変位距離
128 取付部
134a~f 凹部
140 窪み
202 カメラモジュール
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32