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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】判別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/08 20060101AFI20240214BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N19/08 C
A61J3/00 310E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020067237
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021162546
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸治
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-259530(JP,A)
【文献】特開2013-056208(JP,A)
【文献】実開平07-008760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 19/00-19/10
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸形状の表面と平坦な裏面とを有する薬剤収容体の表裏を判別する判別装置であって、
第1のセンサと、
第2のセンサと、
前記薬剤収容体に接触する接触部と、前記第1のセンサおよび/または前記第2のセンサにより検知される被検知部とを有する、接触ユニットと、
前記第1のセンサが前記被検知部を検知した結果と、前記第2のセンサが前記被検知部を検知した結果とに基づいて、前記薬剤収容体の表裏を判別する、判別部と、を備え
前記接触ユニットは、各々が前記接触部と前記被検知部とを有するアームを複数含み、
前記判別部は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとのいずれか一方が前記被検知部を検知しいずれか他方が前記被検知部を検知しない検知結果に基づいて、前記薬剤収容体の前記裏面を判別し、
前記判別部は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとの両方が前記被検知部を検知する検知結果に基づいて、前記薬剤収容体の前記表面を判別する、判別装置。
【請求項2】
複数の前記アームは、並んで配置され、
前記接触部における隣り合う前記アームの間隔が、前記被検知部における隣り合う前記アームの間隔よりも大きい、請求項に記載の判別装置。
【請求項3】
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは、各々が光を出す投光部と光を受ける受光部とを有する、光電センサである、請求項1または請求項に記載の判別装置。
【請求項4】
前記被検知部は、光非透過性を有する、請求項に記載の判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-259530号公報(特許文献1)には、錠剤シートの凹凸形状に係るデータを検出し、この検出データに基づいて錠剤シートの表裏を判別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-259530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献には、錠剤シートの凹凸形状に係るデータとして、錠剤シートに対向しかつ錠剤シートに含まれる錠剤の間隔よりも小さい間隔で設けられた複数の磁気センサの各々のオン/オフ信号を検出すること、および、錠剤シートに対向する超音波センサの出力信号のレベルを検出することが提案されているが、データを取得するために複雑な構成が必要である。
【0005】
本開示では、簡単な構成で薬剤収容体の表裏を判別できる判別装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、凹凸形状の表面と平坦な裏面とを有する薬剤収容体の表裏を判別する判別装置が提案される。判別装置は、第1のセンサと、第2のセンサと、接触ユニットと、判別部とを備えている。接触ユニットは、薬剤収容体に接触する接触部と、第1のセンサおよび/または第2のセンサにより検知される被検知部とを有している。判別部は、第1のセンサが被検知部を検知した結果と、第2のセンサが被検知部を検知した結果とに基づいて、薬剤収容体の表裏を判別する。
【0007】
上記の判別装置において、接触ユニットは、各々が接触部と被検知部とを有するアームを複数含んでいてもよい。
【0008】
上記の判別装置において、判別部は、第1のセンサと第2のセンサとのいずれか一方が被検知部を検知しいずれか他方が被検知部を検知しない検知結果に基づいて、薬剤収容体の裏面を判別し、第1のセンサと第2のセンサとの両方が被検知部を検知する検知結果に基づいて、薬剤収容体の表面を判別してもよい。
【0009】
上記の判別装置において、複数のアームは、並んで配置され、接触部における隣り合うアームの間隔が、被検知部における隣り合うアームの間隔よりも大きくてもよい。
【0010】
上記の判別装置において、第1のセンサと第2のセンサとは、各々が光を出す投光部と光を受ける受光部とを有する、光電センサであってもよい。被検知部は、光非透過性を有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る判別装置に従えば、簡単な構成で薬剤収容体の表裏を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】薬剤収容体の外観を示す平面図である。
図2図1に示されるII-II線に沿う薬剤収容部の断面図である。
図3】実施形態に係る判別装置の概略構成を示す斜視図である。
図4】接触ユニットの構造の詳細を示す平面図である。
図5】判別装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6図3に示される接触ユニットの配置に対応する、センサと被検知部との配置を示す模式図である。
図7】判別装置による薬剤収容体10の表面の判別を示す斜視図である。
図8図7に示される接触ユニットの配置に対応する、センサと被検知部との配置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
(薬剤収容体10)
まず、実施形態に係る判別装置によって判別される判別対象物である、薬剤収容体の構成について説明する。図1は、薬剤収容体10の外観を示す平面図である。図2は、図1に示されるII-II線に沿う薬剤収容体10の断面図である。
【0015】
図1および図2に示されるように、薬剤収容体10は、薬剤収容シート11と蓋シート12とを含んでいる。薬剤収容シート11は、平坦な平面部11fと、平面部11fから膨出して薬剤1を収容する収容部11pとを有している。蓋シート12は、平面部11fと貼り合わされて、薬剤1を収容部11pに閉じ込める。
【0016】
薬剤収容体10は、薬剤収容シート11と蓋シート12とが一体に貼り合わされて形成された、いわゆるPTP(Press Through Packing)シートである。薬剤収容シート11には、複数の収容部11pが設けられている。複数の収容部11pの各々に、1つの薬剤1が収容されている。収容部11pに収容される薬剤1は、たとえば固形の薬剤である。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤などが挙げられる。薬剤収容シート11は、ポリプロピレンなどの樹脂で形成されている。蓋シート12は、アルミニウムまたはプラスチックなどで形成されている。
【0017】
薬剤収容体10は、薬剤1が予め包装されて構成されるシート状の薬剤包装体である。薬剤収容体10は、薬剤収容シート11側の表面を押圧して蓋シート12を破ることにより薬剤1を取り出し可能に、薬剤1を包装している。複数の薬剤1、典型的には同種類の複数の薬剤1が、一体の薬剤収容体10に収容されている。実施形態の薬剤収容体10は、図1に示されるように、10個の薬剤1を収容している。薬剤収容体10は、隣り合う収容部11p間を切断することで、少ない錠数単位に細分化することが可能である。
【0018】
薬剤収容体10は、薬剤収容シート11側の表面に凹凸形状を有しており、蓋シート12側の表面は平坦である。以下では、薬剤収容体10の薬剤収容シート11側の表面を薬剤収容体10の「表面」と称し、薬剤収容体10の蓋シート12側の表面を薬剤収容体10の「裏面」と称する。
【0019】
薬剤収容体10は、PTPシートに限られない。凹凸形状の表面と平坦な裏面とを有するシート状の収容体全般が、実施形態の薬剤収容体10に該当し得る。たとえば薬剤収容体10は、軟膏を詰めたプラスチックケース、散剤を包装した包装シートなどであってもよい。
【0020】
(判別装置20の構成)
図3は、実施形態に係る判別装置20の概略構成を示す斜視図である。判別装置20は、薬剤収容体10の表裏を判別する。判別装置20は、判別対象物である薬剤収容体10の表面と裏面とを判別する。図3に示される薬剤収容体10は、蓋シート12が上を向き薬剤収容シート11が下を向き、したがって、平坦な裏面が上を向き凹凸形状の表面が下を向くように、配置されている。
【0021】
図3に示されるように、判別装置20は、筐体21を備えている。筐体21は中空に形成されている。筐体21の内部に、第1のセンサ30と、第2のセンサ40とが収容されている。第1のセンサ30は、光を出す第1投光部32と、第1投光部32の発した光を受ける第1受光部34と、を有する、光電センサである。第1投光部32と第1受光部34は、向き合って配置されている。第2のセンサ40は、光を出す第2投光部42と、第2投光部42の発した光を受ける第2受光部44(図3には不図示)と、を有する、光電センサである。第2投光部42と第2受光部44とは、向き合って配置されている。
【0022】
第1のセンサ30と第2のセンサ40とは、並んで配置されている。第1投光部32と第2投光部42とは、並んで配置されている。第1受光部34と第2受光部44とは、並んで配置されている。実施形態の第1のセンサ30は、第1投光部32と第1受光部34とを一体的に保持する構成であるが、第1投光部32と第1受光部34とは別体として構成されていてもよい。実施形態の第2のセンサ40は、第2投光部42と第2受光部44とを一体的に保持する構成であるが、第2投光部42と第2受光部44とは別体として構成されていてもよい。
【0023】
筐体21は、その一部が突出した形状の支持部22を有している。判別装置20は、接触ユニット50を備えている。接触ユニット50は、支持部22によって支持されている。接触ユニット50は、複数のアーム51~55を有している。各々のアーム51~55は、薄板形状を有しており、板を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。各々のアーム51~55の貫通孔を貫いて、軸部58が設けられている。各々のアーム51~55は、軸部58を中心として揺動可能である。軸部58は、支持部22に取り付けられている。各々のアーム51~55は、支持部22に対して相対回転可能に、支持部22によって支持されている。
【0024】
第1のアーム51は、その一方の端部に、薬剤収容体10に接触する接触部51Aを有しており、その他方の端部に、第1のセンサ30および/または第2のセンサ40により検知される被検知部51Bを有している。同様に、第2のアーム52は、一方の端部に接触部52Aを有し、他方の端部に被検知部52Bを有している。第3のアーム53は、一方の端部に接触部53Aを有し、他方の端部に被検知部53Bを有している。第4のアーム54は、一方の端部に接触部54Aを有し、他方の端部に被検知部54Bを有している。第5のアーム55は、一方の端部に接触部55Aを有し、他方の端部に被検知部55Bを有している。
【0025】
図3に示される、アーム51~55の接触部51A~55Aはいずれも、薬剤収容体10の蓋シート12に接触しており、薬剤収容体10の平坦な裏面に接触している。アーム51~55は揃って並んで配置されている。アーム51~55の被検知部51B~55Bはいずれも、第2のセンサ40の第2投光部42と第2受光部44との間に配置されている。被検知部51B~55Bは、第2投光部42から出る光を遮り、第2投光部42の発した光が第2受光部44で受光されないような配置とされている。
【0026】
アーム51~55の、少なくとも被検知部51B~55Bは、光非透過性を有している。各々のアーム51~55の全体が、光非透過性の材料で形成されていてもよい。アーム51~55のうち、被検知部51B~55Bを含む一部分のみが、光非透過性の材料で形成されていてもよい。または、アーム51~55自体は光透過性の材料で形成され、被検知部51B~55Bを含む一部分に光非透過性を付与する加工を施してもよい。被検知部51B~55Bに、たとえば黒色などの、適切な着色が施されてもよい。被検知部51B~55Bに、光を吸収するまたは反射する物質を含むペーストが塗布されてもよい。
【0027】
図4は、接触ユニット50の構造の詳細を示す平面図である。図4には、平面視した判別装置20のうち、接触ユニット50を構成するアーム51~55および軸部58のみが模式的に図示されている。アーム51、アーム52、アーム53、アーム54およびアーム55は、この順に、図4中の下から上へ向かって並んで配置されている。各々のアーム51~55は、図4中の右端に接触部51A~55Aを有し、図4中の左端に被検知部51B~55Bを有している。
【0028】
アーム53は、平板状の形状を有している。アーム52は、屈曲部52Cを有しており、屈曲部52Cにおいてアーム53から離れる方向(図4においては下方向)に屈曲している。アーム51は、屈曲部51Cを有しており、屈曲部51Cにおいてアーム53から離れる方向(図4においては下方向)に、屈曲部52Cよりも大きく屈曲している。アーム54は、屈曲部54Cを有しており、屈曲部54Cにおいてアーム53から離れる方向(図4においては上方向)に屈曲している。アーム55は、屈曲部55Cを有しており、屈曲部55Cにおいてアーム53から離れる方向(図4においては上方向)に、屈曲部54Cよりも大きく屈曲している。
【0029】
このようにアーム51,52,54,55が屈曲していることで、接触部51A~55Aにおける隣り合うアーム51~55の間隔が、被検知部51B~55Bにおける隣り合うアーム51~55の間隔よりも、大きくなっている。接触部51A~55Aは、略等間隔に並んで配置されている。被検知部51B~55Bは、略等間隔に並んで配置されている。接触部51Aと接触部55Aとの間隔は、被検知部51Bと被検知部55Bとの間隔よりも、大きくなっている。
【0030】
図5は、判別装置20の電気的構成を示すブロック図である。判別装置20は、コントローラ60を備えている。コントローラ60は、各種演算処理および制御を実行する。コントローラ60は、記憶部61を有している。記憶部61は、判別装置20の各種の動作を実行するためのプログラムを格納するとともに、必要な情報を記憶する領域として設けられている。コントローラ60は、記憶部61に格納されているプログラムおよび情報に基づいて、判別装置20の動作を制御する。
【0031】
コントローラ60は、投光制御部62を有している。投光制御部62は、第1のセンサ30の第1投光部32による投光と、第2のセンサ40の第2投光部42による投光とを制御する。投光制御部62は、第1投光部32へ制御信号を送信する。制御信号を受けた第1投光部32は、投光を開始する、または投光を停止する。投光制御部62は、第2投光部42へ制御信号を送信する。制御信号を受けた第2投光部42は、投光を開始する、または投光を停止する。
【0032】
判別装置20は、駆動部70を備えている。駆動部70は、薬剤収容体10を移動させる駆動力を発生する。コントローラ60は、駆動制御部64を有している。駆動制御部64は、駆動部70による薬剤収容体10の搬送を制御する。駆動制御部64は、駆動部70へ制御信号を出力する。駆動部70は、図3中の矢印に示されるように、薬剤収容体10を移動させて、薬剤収容体10の表面または裏面に接触部51A~55Aを接触させる。薬剤収容体10が所定距離移動した後、駆動部70は薬剤収容体10を停止させる。
【0033】
薬剤収容体10を移動しているときに薬剤収容体10に接触部51A~55Aの少なくともいずれか1つが接触することで、第2のセンサ40が、遮られていない状態から、被検知部51B~55Bのいずれかによって遮られた状態に変化する。このように第2のセンサ40の状態が変化してから、所定距離または所定時間移動した後、駆動部70は薬剤収容体10を停止させてもよい。または駆動部70は、薬剤収容体10ではなく判別装置20を移動させてもよい。
【0034】
コントローラ60は、判別部66を有している。判別部66は、第1のセンサ30が各アーム51~55の被検知部51B~55Bを検知した結果と、第2のセンサ40が各アーム51~55の被検知部51B~55Bを検知した結果と、に基づいて、薬剤収容体10の表裏を判別する。判別部66は、第1のセンサ30の第1受光部34から、第1投光部32が発した光を第1受光部34が受光したか否かを示す検出信号の入力を受ける。判別部66は、第2のセンサ40の第2受光部44から、第2投光部42が発した光を第2受光部44が受光したか否かを示す検出信号の入力を受ける。判別部66は、第1受光部34および第2受光部44から入力された検出信号に基づいて、薬剤収容体10の表裏を判断する。
【0035】
判別装置20は、出力部80を備えている。出力部80は、判別部66による薬剤収容体10の表裏の判別の結果を出力する。コントローラ60は、出力制御部68を有している。出力制御部68は、出力部80に、出力すべき判別の結果を示す信号を送信する。出力部80は、情報を表示可能なディスプレイまたは情報を印刷するプリンタにより構成されてもよい。または出力部80は、外部装置と通信可能なインタフェースであり、外部装置へ薬剤収容体10の表裏の判別の結果を送信してもよい。外部装置は、薬剤収容体10の表裏の判別の結果に従って、薬剤収容体10を取り出したり、薬剤収容体10を表裏反転させたりすることができる。
【0036】
(薬剤収容体10の表裏の判別)
図6は、図3に示される接触ユニット50の配置に対応する、第1のセンサ30および第2のセンサ40と被検知部51B~55Bとの配置を示す模式図である。
【0037】
図3を参照して説明したように、アーム51~55の接触部51A~55Aはいずれも、薬剤収容体10の蓋シート12に接触しており、薬剤収容体10の平坦な裏面に接触している。アーム51~55の被検知部51B~55Bはいずれも、第2のセンサ40の第2投光部42と第2受光部44との間に配置されている。被検知部51B~55Bは、第2投光部42から出る光を遮り、第2投光部42の発した光が第2受光部44で受光されないような配置とされている。
【0038】
他方、第1のセンサ30の第1投光部32と第1受光部34との間には、アーム51~55の被検知部51B~55Bは配置されていない。第1投光部32から出る光は、被検知部51B~55Bによって遮られることはなく、第1受光部34で受光される。
【0039】
図3および図6に示される接触ユニット50の配置では、第2のセンサ40は、第2投光部42と第2受光部44との間に、いずれかの被検知部51B~55Bがあることを検知する。第1のセンサ30は、第1投光部32と第1受光部34との間に被検知部51B~55Bがあることを検出しない。第1のセンサ30は、いずれの被検知部51B~55Bも第1投光部32と第1受光部34との間にはないことを検出する。
【0040】
これらの検知結果が、第1のセンサ30(第1受光部34)と第2のセンサ40(第2受光部44)とから、判別部66に入力される。判別部66は、入力された検知結果に基づいて、各アーム51~55の接触部51A~55Aがいずれも薬剤収容体10の平坦な裏面に接触しており、したがって薬剤収容体10は裏面が上になるように配置されている、と判別する。
【0041】
図7は、判別装置20による薬剤収容体10の表面の判別を示す斜視図である。図7に示される薬剤収容体10は、図3と異なり、薬剤収容シート11が上を向き蓋シート12が下を向くように配置されている。したがって薬剤収容体10は、凹凸形状の表面が上を向き平坦な裏面が下を向くように、配置されている。
【0042】
図7に示される、アーム51~55の接触部51A~55Aはいずれも、薬剤収容体10の薬剤収容シート11に接触しており、薬剤収容体10の凹凸形状の表面に接触している。図7に示される接触ユニット50のうち、アーム52の接触部52A、アーム53の接触部53A、およびアーム54の接触部54Aは、薬剤収容シート11の平面部11fに接触している。アーム51の接触部51Aとアーム55の接触部55Aとは、薬剤収容シート11の収容部11pに接触している。
【0043】
図8は、図7に示される接触ユニット50の配置に対応する、第1のセンサ30および第2のセンサ40と被検知部51B~55Bとの配置を示す模式図である。
【0044】
図7および図8に示されるように、アーム51の被検知部51Bとアーム55の被検知部55Bとは、第2のセンサ40の第2投光部42と第2受光部44との間に配置されている。被検知部51B,55Bは、第2投光部42から出る光を遮り、第2投光部42の発した光が第2受光部44で受光されないような配置とされている。
【0045】
アーム52の被検知部52B、アーム53の被検知部53B、およびアーム54の被検知部54Bは、第1のセンサ30の第1投光部32と第1受光部34との間に配置されている。被検知部52B,53B,54Bは、第1投光部32から出る光を遮り、第1投光部32の発した光が第1受光部34で受光されないような配置とされている。
【0046】
図7および図8に示される接触ユニット50の配置では、第1のセンサ30は、第1投光部32と第1受光部34との間に、いずれかの被検知部51B~55Bがあることを検知する。第2のセンサ40もまた、第2投光部42と第2受光部44との間に、いずれかの被検知部51B~55Bがあることを検知する。
【0047】
これらの検知結果が、第1のセンサ30(第1受光部34)と第2のセンサ40(第2受光部44)とから、判別部66に入力される。判別部66は、入力された検知結果に基づいて、各アーム51~55の接触部51A~55Aのうちの少なくとも1つが薬剤収容体10の表面の凸形状部に接触しており、接触部51A~55Aのうちの少なくとも1つが薬剤収容体10の表面の凹形状部に接触しており、したがって薬剤収容体10は凹凸形状の表面が上になるように配置されている、と判別する。
【0048】
以上説明したように、実施形態の判別装置20において、判別部66は、第1のセンサ30が被検知部51B~55Bを検知した結果と、第2のセンサ40が被検知部51B~55Bを検知した結果とに基づいて、薬剤収容体10の表裏を判別する。薬剤収容体10に接触部51A~55Aが接触し、接触部51A~55Aと一体の被検知部51B~55Bが接触部51A~55Aの位置に従って配置を変えて、その被検知部51B~55Bの配置が第1のセンサ30および/または第2のセンサ40によって検知される。したがって、簡単な構成で薬剤収容体10の表裏を判別することができる。
【0049】
図3,4に示されるように、接触ユニット50は、各々が接触部と被検知部とを有する複数のアーム51~55を含んでいる。複数のアーム51~55の各々の接触部51A~55Aが薬剤収容体10に接触し、複数のアーム51~55の各々の被検知部51B~55Bが接触部51A~55Aの位置に従って配置を変えて第1のセンサ30および/または第2のセンサ40によって検知される。したがって、簡単な構成で薬剤収容体10の表裏を判別することができる。
【0050】
図3,6に示されるように、判別部66は、第1のセンサ30と第2のセンサ40とのいずれか一方が被検知部51B~55Bを検知しいずれか他方が被検知部51B~55Bを検知しない検知結果に基づいて、薬剤収容体10の裏面を判別する。図7,8に示されるように、判別部66は、第1のセンサ30と第2のセンサ40との両方がいずれかの被検知部51B~55Bを検知する検知結果に基づいて、薬剤収容体10の表面を判別する。
【0051】
凹凸形状の薬剤収容体10の表面に接触部51A~55Aが接触するとき、複数の被検知部51B~55Bのうちの一部が第1のセンサ30によって検知され、残りの被検知部51B~55Bが第2のセンサ40によって検知される。平坦な形状の薬剤収容体10の裏面に接触部51A~55Aが接触するとき、複数の被検知部51B~55Bのすべてが第1のセンサ30と第2のセンサ40とのいずれか一方のみによって検知される。このような検知結果に基づいて、判別部66は、確実に薬剤収容体10の表裏を判別することができる。
【0052】
図4に示されるように、複数のアーム51~55は、並んで配置されている。接触部51A~55Aにおける隣り合うアーム51~55の間隔が、被検知部51B~55Bにおける隣り合うアーム51~55の間隔よりも大きい。
【0053】
凹凸形状の薬剤収容体10の表面を正確に判別するには、複数のアーム51~55のうちの少なくとも1つが薬剤収容シート11の収容部11pに接触し、かつ少なくとも1つが薬剤収容シート11の平面部11fに接触することが求められる。接触部51A~55Aにおける隣り合うアーム51~55の間隔を広げ、接触部51A~55Aの全体の幅を大きくすることで、薬剤収容シート11の収容部11pと平面部11fとの両方に接触部51A~55Aを確実に接触させることができる。
【0054】
被検知部51B~55Bにおける隣り合うアーム51~55の間隔を小さく保つことで、判別装置20の筐体21を小型化することができる。第1のセンサ30および第2のセンサ40が、投光部と受光部とが一体の市販品の光電センサである場合にも、投光部と受光部との間隔に合わせて、被検知部51B~55Bを確実に投光部と受光部との間に配置することができる。
【0055】
図6,8に示されるように、第1のセンサ30と第2のセンサ40とは、各々が光を出す投光部と光を受ける受光部とを有する、光電センサである。市販品の光電センサを使用して、安価な構成で薬剤収容体10の表裏を判別することができる。
【0056】
被検知部51B~55Bが光非透過性を有することにより、受光部と投光部との間に配置された被検知部51B~55Bを、光電センサによって確実に検知することができる。
【0057】
これまでの実施形態においては、各々のアーム51~55が軸部58を中心として揺動可能である例について説明した。各々のアーム51~55は、薬剤収容体10に接触する接触部51A~55Aの位置に従って被検知部51B~55Bが配置を変えて第1のセンサ30および/または第2のセンサ40が被検知部51B~55Bを検知できる構成であれば、どのような構成であってもよい。たとえば、各々のアーム51~55は、上下方向にスライド移動可能であってもよい。
【0058】
実施形態においては、アーム51~55の端部に第1のセンサ30および/または第2のセンサ40により検知される被検知部51B~55Bが設けられる例について説明した。第1のセンサ30および第2のセンサ40は、アーム51~55の動きに連動するアクチュエータの動きを検出してもよく、この場合判別装置20の全体としての小型化が可能になる。
【0059】
実施形態においては、第1のセンサ30と第2のセンサ40が光電センサである例について説明した。第1のセンサ30および第2のセンサ40は、他の種類のセンサであってもよい。たとえば第1のセンサ30および第2のセンサ40は、接触式スイッチであってもよい。
【0060】
実施形態においては、接触ユニット50が複数のアーム51~55を有する例について説明した。接触ユニット50は、複数のアームを必ずしも有しなくてもよい。たとえば、駆動部(図5)を、図3,7中に示される矢印方向に加えて、薬剤収容体10の幅方向(図1においては左右方向)にも薬剤収容体10を移動させることが可能な構成にし、アームを薬剤収容体10に接触させてセンサで検出した後に、薬剤収容体10を幅方向に移動させて再度センサで検出し、センサの検出結果が変化するか否かを判断する。このようにすれば、1本のアームを有する接触ユニット50が薬剤収容体10の表裏を判別することができる。
【0061】
実施形態で説明した判別装置20が、他の装置と組み合わされて使用されてもよい。たとえば、処方箋に応じて薬剤1を払い出す薬剤払出装置の、薬剤収容体10を取り出す取出装置に実施形態の判別装置20が設けられて、薬剤収容体10を取り出すときに薬剤収容体10の表裏を判別するようにしてもよい。
【0062】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 薬剤、10 薬剤収容体、11 薬剤収容シート、11f 平面部、11p 収容部、12 蓋シート、20 判別装置、21 筐体、22 支持部、30 第1のセンサ、32 第1投光部、34 第1受光部、40 第2のセンサ、42 第2投光部、44 第2受光部、50 接触ユニット、51,52,53,54,55 アーム、51A,52A,53A,54A,55A 接触部、51B,52B,53B,54B,55B 被検知部、51C,52C,54C,55C 屈曲部、58 軸部、60 コントローラ、61 記憶部、62 投光制御部、64 駆動制御部、66 判別部、68 出力制御部、70 駆動部、80 出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8