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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】保冷物品の配送方法及び配送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240214BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240214BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240214BHJP
   G06Q 10/0832 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G61/00 550
B65G1/00 521A
G06Q10/0832
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020047646
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147149
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】305062549
【氏名又は名称】ヤマト運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 翔平
(72)【発明者】
【氏名】菅間 隆弘
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112226(JP,A)
【文献】特開2017-171469(JP,A)
【文献】特表2011-511745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
B65G 61/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配輸送される保冷物品を移動体に積載して受取人に配送する方法であって、
保冷物品の取り扱い拠点に保冷室を設け、この保冷室内に自動倉庫設備を配置するとともに、自動倉庫設備の受け入れ口にピッキング情報の表示器を装備した仕分け棚を配置し、
前記自動倉庫設備と仕分け棚の作動を制御する制御手段の配送情報ファイルに、保冷物品の管理情報に紐付けて、当該保冷物品の配送先に関する情報と配送に用いる移動体の物品配送ルートに関する情報を入力し、
前記取り扱い拠点に移送された保冷物品をその物品の管理情報を情報入力端末に読み込んで前記制御手段に入力し、
同一の物品配送ルートの保冷物品を保冷容器に収納するとともに、前記保冷容器を自動倉庫設備に入庫し、
前記自動倉庫設備に入庫された保冷容器のうち、同一の荷物配送ルートに沿って保冷物品が配送される保冷容器を自動倉庫設備の送り出し口へと移送し、
前記送り出し口に移送された保冷容器を同一の運搬用ユニットに積み入れ、
この運搬用ユニットを配達エリア拠点に移送するとともに、配達エリア拠点の物品配送ルートを運行する移動体にそのまま積み込んで受取人への保冷物品の配送に供することを特徴とする保冷物品の配送方法。
【請求項2】
空の保冷容器が開閉口を開放状態で自動倉庫設備内に予め入庫され、
取り扱い拠点に移送された保冷物品が仕分け棚に配置されて物品配送ルート別に仕分けるときに、前記入庫された保冷容器が自動倉庫設備の送り出し口に移送されることを特徴とする請求項1に記載の保冷物品の配送方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配送方法により、宅配輸送される保冷物品を移動体に積載して受取人に配送するためのシステムであって、
保冷物品の取り扱い拠点の保冷倉庫内に設けられた自動倉庫設備と、
発光表示器を装備した仕分け棚と、
保冷物品に設定された物品の識別情報を読み取る情報入力端末と、
前記情報入力端末から入力される情報を配送情報として処理する配送情報処理装置とを有し、
前記配送情報処理装置は、自動倉庫設備と仕分け棚の作動を制御する機能を有するとともに、少なくとも前記配送する保冷物品に設定された物品の識別情報と保冷物品の配送先に関する情報と移動体の物品配送ルートに関する情報とが入力された配送情報ファイルを記憶部に備えることを特徴とする保冷物品の配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷物品を保冷荷物として宅配輸送により受取人に配送するための方法とそのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配業者における荷物の配送は、依頼人から預かった荷物を集荷店であるエリア拠点に集め、これをそのエリア拠点が属する地域の荷物の集積・集約拠点に送り、荷物の配達先が遠方の場合はその配達先の地域の集積・集約拠点へと送り、集積・集約拠点において管轄地域内の配達を担当するエリア拠点毎に荷物を仕分けた後、仕分けされた荷物を前記配達担当のエリア拠点に送り、さらにそのエリア拠点において管轄地域内を区分けした配送ルート別に荷物を仕分け、仕分けた荷物を配送車両に積載して受取人宅へと配達する処理を経て行われる。
【0003】
前記集積・集約拠点における荷物の仕分けは、地域内のエリア拠点や別の集積・集約拠点から送られてきた荷物を自動仕分け機に供給して行き先別に設定されたシュートコンベアへと移送し、移送されてきた物品を仕分けるために付与された数字や記号、マークなどの仕分コード(以下、単に「仕分けコード」ともいう。)や、物品に貼られた配送伝票の届け先の記載を仕分け作業者が目視により確認して、シュートコンベアの脇に配置された任意のグループ別のロールボックスパレット(以下、単に「パレット」ともいう。)のうち、その荷物の配達を受け持つエリア拠点のパレットに荷物を積み込んで行っている。
この場合に、シュートコンベアに荷物が移送されてきた順にパレットに積み込むようにしているため、例えば複数の比較的小さな荷物を積み込んだ後に嵩張った荷物や重い荷物をパレットに積み込むとき、或いはパレットへの積み付けが悪いときなどには、積み込み済みの荷物を一旦パレットの外に取り出し、後から移送されてきた荷物をパレットに積み込んでから再び積み込むなどの積み直し作業が必要となることがあり、パレットへの荷物の積み込みに手間取ることがあった。また、繁忙期などの配送する荷物が多量にあるときには、仕分け作業者がシュートコンベアに移送されてきた荷物を取り違えて、配達を受け持つエリア拠点のパレットとは別のエリア拠点のパレットに荷物を積み込んでしまうこともあった。
【0004】
また、エリア拠点では、集積・集約拠点でパレットに積載され、配送車両に積まれて送られてきた荷物を、パレットから取り出して所内の仕分け台上に並べた状態で配送ルート別に仕分け、さらに仕分けた荷物を配達に用いる配送車両の荷室の床面上や床面に敷いたすのこの上に載せるようにしている。
そのため、これら荷物の再仕分けと配送車両への積み替えを行うための人手を必要とし、配送車両で荷物を配達する前の、配達準備のための作業に多くの工数を費やさざるを得ないのが実状であった。
【0005】
従来の技術として、配達を担当するエリア拠点での仕分け作業を不要とし、配送車両への積載作業の効率化を企図して、宅配荷物の配送にあたり、配送する荷物を取り扱う拠点に自動倉庫設備を導入し、この自動倉庫設備を利用して当該取り扱い拠点から配達担当のエリア拠点に送る荷物を、そのエリア拠点における配送ルート別に仕分けてパレットに積載した状態で前記エリア拠点に移送し、エリア拠点で移送されたパレットをそのまま配送車両に積み込んで、荷物の配達に出向くようにした配送手続が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-112226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生鮮食料品などの輸送中に温度管理を必要とする保冷荷物は、温度管理が不要な一般の常温荷物と同様の配送工程を経て配達されるが、全配送工程で荷物が保冷状態に維持されている必要がある。通常、保冷荷物は、保冷庫に入れられて依頼人先から荷物を集荷するエリア拠点、エリア拠点が属する地域の荷物の集積・集約拠点、配達先の地域の集積・集約拠点、配達を担当するエリア拠点へと順次移送され、配達を担当するエリア拠点において、管轄地域内を区分けした配送ルート別に保冷荷物を仕分けて保冷容器に収納し、これを配送車両に積載して受取人宅に配達するようにしている。
【0008】
前記のとおり、荷物の取り扱い拠点に自動倉庫設備を導入し、これを利用して配達を担当するエリア拠点の管轄地域内に区分けした配送ルート別に仕分けておくことで、そのエリア拠点における荷物の再仕分けや配送車両への積み替えなどの作業工数を減らすことができるが、保冷荷物の配送にあってはエリア拠点で配送ルート別に仕分けたり配送車両に積み替えたりする作業が必要となることに変わりはない。保冷荷物は保冷用ボックス内に入れて移送され、エリア拠点に移送された保冷荷物は、温度保持のため、エリア拠点内の床や床に置いたすのこの上に直に置くことはせずに、一時保冷用のコンテナに移され、そこから配送ルート別に配送車両の冷蔵庫に移し替える手間も要する。
また、エリア拠点における保冷荷物の仕分け作業は、荷物に貼られた配送伝票の送り先の記載を作業者が目視で確認して行っているため、夏場や歳末などの常温と保冷の両荷物の取扱量が増える繁忙期には、前記配送伝票の送り先の記載を誤認して仕分けミスが発生しやすく、間違った配送ルートに先に保冷荷物を仕分けて配達の遅れを生じさせ、ひいては保冷荷物の品質を劣化させてしまう危険もあった。
【0009】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、保冷荷物の配送にあたり、集積・集約拠点と配達を担当するエリア拠点に於ける仕分け作業などの効率化を図り、集積・集約拠点から配達を担当するエリア拠点に送られた保冷荷物をそのまま配送処理に供することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題の解決手段として、常温の荷物の仕分け作業の効率化を図ったときと同様に、荷物の集積・集約拠点に保冷荷物用の自動倉庫設備を導入し、この自動倉庫設備に入庫した保冷荷物を、配達エリア拠点の配送ルート別に仕分けた上で配達エリア拠点に荷物を送ることにより配達エリア拠点での作業を削減することが考えられる。
【0011】
ここで、宅配荷物はその取扱量の8割から9割程度が常温の荷物であり、通常、保冷荷物の取り扱い量はそれほど多くはないが、前記のとおり、夏場や歳末の繁忙期には保冷荷物の取扱量は飛躍的に増す。
自動倉庫設備で保冷荷物を仕分けする場合に、導入する自動倉庫設備を繁忙期に取り扱う保冷荷物の全量を入庫して保管することができる規模にしたのでは、繁忙期以外の保冷荷物の取り扱い量が少ない時期で自動倉庫設備の稼働率が極めて低くなり、導入した設備やその設置スペースの効活用が図れず、費用対効果は小さくなる。
中・小規模の自動倉庫設備で取り扱い量の変動がある保冷荷物の仕分けを効率的に行うには、常温の荷物を自動倉庫設備で仕分ける場合とは異なる運用手段が必要である。
【0012】
そこで本発明では、保冷荷物の取り扱い拠点に自動倉庫設備を設置して受取人へと配達される保冷荷物の仕分けを行うが、自動倉庫設備の一つの物品収容空間に保冷荷物を一つだけ収容するのではなく、自動倉庫設備に入庫する前に、保冷荷物を配送ルート別に仕分ける処理を行い、配送ルートが同じ保冷荷物を保冷容器にまとめて収納し、この保冷容器を自動倉庫設備に入庫して保管し、この保冷容器を自動倉庫設備から出庫し、配達の際に該当の配送ルートを運行する配送車両に積み込んで保冷荷物が受取人に配達されるように構成した。
【0013】
本発明の保冷物品の配送方法は、宅配輸送される保冷物品を移動体に積載して受取人に配送する方法であって、
保冷物品の取り扱い拠点に保冷室を設け、この保冷室内に自動倉庫設備を配置するとともに、自動倉庫設備の受け入れ口にピッキング情報の表示器を装備した仕分け棚を配置し、
前記自動倉庫設備と仕分け棚の作動を制御する制御手段の配送情報ファイルに、保冷物品の管理情報に紐付けて、当該保冷物品の配送先に関する情報と配送に用いる移動体の物品配送ルートに関する情報を入力し、
前記取り扱い拠点に移送された保冷物品をその物品の管理情報を情報入力端末に読み込んで前記制御手段に入力し、
同一の物品配送ルートの保冷物品を保冷容器に収納するとともに、前記保冷容器を自動倉庫設備に入庫し、
前記自動倉庫設備に入庫された保冷容器のうち、同一の荷物配送ルートに沿って保冷物品が配送される保冷容器を自動倉庫設備の送り出し口へと移送し、
前記送り出し口に移送された保冷容器を同一の運搬用ユニットに積み入れ、
この運搬用ユニットを配達エリア拠点に移送するとともに、配達エリア拠点の物品配送ルートを運行する移動体にそのまま積み込んで受取人への保冷物品の配送に供することを特徴とする。
【0014】
前記保冷荷物の配送方法において、空の保冷容器が開閉口を開放状態で自動倉庫設備内に予め入庫され、取り扱い拠点に移送された保冷物品が仕分け棚に配置されて物品配送ルート別に仕分けるときに、前記入庫された保冷容器が自動倉庫設備の送り出し口に移送されるように処理することができる。
【0015】
また、前記配送方法の実施をするために利用される配送システムは、
保冷物品の取り扱い拠点の保冷倉庫内に設けられた自動倉庫設備と、
発光表示器を装備した仕分け棚と、
保冷物品に設定された物品の識別情報を読み取る情報入力端末と、
前記情報入力端末から入力される情報を配送情報として処理する配送情報処理装置とを有し、
前記配送情報処理装置は、自動倉庫設備と仕分け棚の作動を制御する機能を有するとともに、少なくとも前記配送する保冷物品に設定された物品の識別情報と保冷物品の配送先に関する情報と移動体の物品配送ルートに関する情報とが入力された配送情報ファイルを記憶部に備えることを特徴とする。
【0016】
前記物品の配送方法及び配送システムにおいて、移動体とは、保冷物品の配送に利用される移動手段をいい、物品を積み込むスペースを備えた車両や、列車、飛行機などを含む。リヤカーや手押し車、台車などの荷車も含む。
保冷物品の管理情報とは、保冷物品に設定された伝票番号など物品の識別情報をいう。
【0017】
また、エリア拠点とは、物品を集配する拠点をいい、エリア拠点のうち、出発エリア拠点は受取人宛てに配送される物品を依頼人から受け取るエリア拠点、到着エリア拠点は受取人への物品の配達を担当するエリア拠点をいう。出発エリア拠点には、配送業者の店舗の他に業務提携して宅配物品の受け付けを行うコンビニエンスストアなどの代理店、宅配ロッカー、一時的な取次施設(例えば、物流倉庫やイベント会場)なども含まれる。エリア拠点は、集荷営業所や配達営業所、或いは発センターや着センター店などとも呼ばれる。
集積・集約拠点は、各出発エリア拠点で集荷した物品を集めて配達を担当するエリア拠点別に仕分け、或いは受取人の居住地が遠方な場合はその地方の集積・集約拠点宛てに物品を仕分けて送る拠点をいう。配達を担当するエリア拠点別に仕分ける物品には、他の集積・集約拠点から移送されてきた物品が含まれる。集積・集約拠点は、ベース店やターミナル、ハブセンターなどと呼ばれる。
なお、物品の取り扱い拠点には、前記出発エリア拠点や配達エリア拠点、集積・集約拠点が含まれる。
【0018】
前記集積・集約拠点、或いは物品の取り扱い拠点に設置される自動倉庫設備は、同拠点に集められた物品を保管する領域を備えていて、この領域に物品を入庫して保管する機能や保管した物品を出庫する機能、物品を各々受取人に配達するエリア拠点別に仕分けて入庫又は出庫する機能、保管した物品を所定の条件で保管領域から取り出す機能などを設備が好適に用いられる。
運搬用のユニットは、複数個の物品を収納して移動体に積み降ろすことができる容器をいい、ロールボックスパレットやワゴン、台車、キャスター付きパレット、運搬用台車などが含まれる。
また、後述する配送伝票や貼り札、ラベル、ユニットには、バーコードや二次元コード、QRコード(登録商標)のような光学式マーク認識に用いられる識別子が付される。バーコードや二次元コードに代えて、RFIDタグやICタグのような非接触で情報を書き込んだり読み取ったりすることのできる媒体を前記識別子として用いてユニットなどに装備させることもできる。この場合に、例えばユニットに装備される前記媒体への情報の書き込みと読み込みは、集積・集約拠点内や仕分け設備、受け入れ・配達を担当する各エリア拠点などの、ユニットを取り扱う各拠点に設けられたリーダ/ライタ設備により行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、配達エリア拠点の移動体に積み込む保冷物品の仕分けが集積・集約拠点で行われ、当該拠点で運搬用ユニットに積まれた保冷物品を、配達エリア拠点でその運搬用ユニットをそのまま移動体に積み込んで物品配送に供することができるので、集積・集約拠点と配達エリア拠点間の仕分け作業や移動体への積載作業の効率化を図ることが可能である。
集積・集約拠点に移送された保冷物品は、保冷室内で配達エリア拠点の配送ルート別に仕分けられて保冷容器に収容され、この保冷容器が、同じく保冷室内に設置された自動倉庫設備に入庫されて保管されるので、仕分けや積み替え中も保冷温度に保たれ、さらに、自動倉庫設備から出庫された前記保冷容器が運搬用ユニットに収納されて配達エリア拠点の移動体に積載されて受取人に配達されるので、集積・集約拠点から配達エリア拠点、受取人まで配送される過程で適切な保冷温度に保持することができ、保冷温度の逸脱による物品の品質低下の抑止に極めて有効である。
【0020】
前記自動倉庫内に保冷容器を、保冷物品の収容前に予め入庫して冷蔵又は冷凍温度下で冷却して、当該容器の芯温を十分に冷やしておくことで、収容する保冷物品を効率的に冷やすことができ、これにより容器を構成する断熱材の削減が可能となって容器の製作コストを低廉にすることができ、また、保冷容器が軽量化されて取り扱いがしやすいものとなる。
また、本発明によれば、移動体が冷蔵庫などの保冷のための冷蔵・冷凍設備を装備していない場合でも、保冷物品の運搬が可能である。これにより、保冷設備の取り付けやメンテナンスにかかるコストが不要となるとともに、移動体の積載量に合わせて、積載効率の高い配送が可能である。
【0021】
また、保冷物品は、前記集積・集約拠点に移送され、自動倉庫設備内の保冷容器に収容される前に、配達エリア拠点の配送ルート別の仕分けが行われる。このように、自動倉庫設備に入庫する前に、配達目的地である保冷物品の受取人までの配送ルート別に仕分けておくことで、自動倉庫設備から出庫した保冷物品を同じ保冷容器に収容した状態で、配達エリア拠点の受取人へと配達することが可能であり、自動倉庫設備に入庫した後は保冷物品を仕分けしたり運搬用ユニットに積み合わせしたりする作業は一切不要であり、配送処理の手間や業務負荷を分散させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態の配送情報処理システムの概略構成図である。
図2】保冷荷物の取り扱い拠点に設ける保冷室の一例のレイアウトを示した図である。
図3】着センター店の集配配送ルートを説明するための図である。
図4】車両情報ファイルの構成を例示した図である。
図5】配送ルート別車両情報ファイルの構成を例示した図である。
図6】保冷容器の一例の形態の外観図である。
図7】仕分け棚の一例の形態の外観図である。
図8図7の仕分け棚を構成するラック部の外観図である。
図9図7の仕分け棚を構成するゲート部の外観図である。
図10図7の仕分け棚を構成する作動部の外観図である。
図11】配送伝票の一例の外観図である。
図12】予め保冷容器を自動倉庫設備に入庫する態様の一例を示す図である。
図13】着ベース店における保冷荷物の受け入れ処理の一例を説明するための図である。
図14】ラックに保冷荷物を仮置きした状態を説明するための図である。
図15】仕分け棚に保冷荷物を仮置きした状態を説明するための図である。
図16】保冷荷物を仕分けて保冷容器に収容する処理の一例を説明するための図である。
図17】保冷容器に添付するラベルの一例の外観図である。
図18】保冷容器をパレットに収容した状態の一例の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な一実施形態を、図面を参照して説明する。
図示した形態は、依頼人(荷送人)が受取人(荷受人)に対して保冷物品である保冷荷物を送る態様であり、以下では、配送業者が依頼人から配送依頼を受けた荷物を運搬用台車と配送車両を用いて受取人へと配送する処理について説明する。
【0024】
図1は、本形態の配送情報処理システムの一例の概略構成を示しており、図中、符番1は配送情報処理装置、2,3,4,5は荷物の取り扱い拠点である発センター店、発ベース店、着ベース店、着センター店に各々設置される情報処理端末、6は前記各店に設置されていて荷物の集配や仕分け作業をする作業者が携行する携帯情報処理端末、7は着ベース店に設置される自動倉庫設備、8は荷物の配送依頼主である依頼人が所持する情報処理端末を各々示している。
【0025】
ここで、発センター店は出発エリア拠点であり、依頼人が出した荷物の集荷を管轄する受け入れ営業所、着センター店は到着エリア拠点であり、荷物を受け取る受取人が居住する地域の荷物の配送を管轄し、受取人への荷物の配達を担当する配達営業所である。また、発ベース店と着ベース店は、発ベース店は出発集積・集約拠点であり、発センター店が属する地域、着ベース店は到着集積・集約拠点であり、着センター店が属する地域の、ともに配送荷物の集積・集約拠点である。
これら各店を介して、荷物の配送は次のように行われる。すなわち、発センター店で依頼人から集荷した荷物は発ベース店へと移送され、発ベース店は発センター店から運び込まれた荷物を配送方面別に振り分け、各着ベース店毎の貨物自動車に積載して着ベース店に輸送する。着ベース店では移送されてきた荷物を、地域毎で集配を管轄する着センター店毎に仕分け、仕分けた荷物を各着センター店へと移送し、着センター店で送られてきた荷物を配送車両9に積載して持ち出し、受取人宅まで運んで配達する(図1参照)。なお、本形態では、荷物が収納される運搬用台車としてコールドボックスを用いている。
なお、依頼人は保冷荷物を出荷してその配送を配送業者に委託する者をいい、通信販売をとおしてユーザーから冷菓や冷蔵食品などの保冷荷物の注文を受け付け、注文したユーザー宅やユーザーが指定した受取人宛てに保冷荷物を届けて販売する食品販売業者が含まれる。
【0026】
前記配送情報処理装置1と前記各情報処理端末は、専用回線やインターネット、携帯電話網などの有線通信又は無線通信による通信回線Nを介して接続し、相互に各種データや情報の送受信が可能な通信ネットワークを構成している。
集配作業者が所持する携帯情報処理端末6は、通信回線Nを介して配送情報処理装置1にデータを送受信できるように構成されていても、発センター店、発ベース店、着ベース店及び着センター店の各情報処理端末2,3,4,5とBLUETOOTH(登録商標)などの他の通信手段を介して接続し、携帯情報処理端末6のデータが前記各情報処理端末2,3,4,5を経由して配送情報処理装置1に送信されるように構成されていてもよい。また、着ベース店に設置された自動倉庫設備7は通信手段を具備し、着ベース店の情報処理端末4との間で相互に各種データや情報の送受信が可能なように構成してある。
なお、図示した形態は、荷物の配送を依頼する依頼人が、自身の情報処理端末8を利用して、荷物の配送依頼とともに荷物の届け先情報などを配送情報処理装置1に直接入力し、併せて荷物に貼り付ける配送伝票を発行する構成を示している。依頼人が、自身の所在地に近い発センター店に配送荷物の集荷を依頼し、発センター店の集配作業者の携帯情報処理端末6や発センター店の情報処理端末2から通信回線Nを介して配送情報処理装置1に荷物の配送に関する情報が入力されるように構成されていてもよい。
【0027】
配送情報処理装置1は、通信回線Nを介して接続した前記各情報処理端末にファイルやデータなどを提供する機能を有するコンピュータであり、例えば、キーボードやマウス、或いはスキャナーなどのデータ入力部と、データを表示するモニタなどの表示部と、通信回線Nを介してデータを送受信する通信部と、後述する配送情報を処理するための各種のデータやファイル及び処理プログラムを格納して記憶する記憶装置1aと、記憶装置1aに格納された処理プログラムに従って前記処理部を制御する制御部などの各処理部を備えた構成とすることができる。また、配送情報処理装置1は、通信回線Nの一つであるインターネットを通じてWeb情報を発信するWebサーバとしての機能を備え、インターネット上に開設したウェブサイトを通じ或いは電子メールの送受信を通じて、Web閲覧機能を備えた前記各情報処理端末との間でファイルやデータなどを送受信することができるように構成することができる。
配送情報処理装置1と記憶装置1aは、それぞれ通信回線Nを介して接続された複数のコンピュータ、或いはサーバの集合体、複数の記憶装置の集合体により構成されていていてもよい。
【0028】
発センター店、発ベース店、着ベース店及び着センター店の各店に設置される情報処理端末2,3,4,5は、例えば、キーボードやマウス、バーコードリーダ、スキャナーなどのデータ入力部と、データを表示するモニタや印字するプリンタなどの表示出力部と、通信回線Nを介してデータを送受信する通信部と、各種のデータやファイル及び処理プログラムを記憶して格納する記憶部と、記憶部に格納された処理プログラムに従って前記処理部を制御する制御部などの各処理部を備え、さらにWeb閲覧機能によりインターネットを通じてファイルやデータなどを送受信する機能を備えた構成とすることができる。依頼人の情報処理端末8も上記と同様な構成のものを用いることができる。
【0029】
携帯情報処理端末6は、例えば、データの入力機能や記憶機能、表示出力機能、バーコードや二次元バーコードを読み取るバーコードリーダ機能、画像撮影機能、通話機能、通信回線Nに接続してデータを送受信する機能、データをラベル印字出力する機能などを備えた持ち運び可能なデータの読み取り・収集端末であり、公知のハンディターミナルのような携帯用端末を用いることができる。
依頼人が発センター店に手書きの配送伝票を添付した配送荷物を持ち込んで荷物配送を依頼する態様では、携帯情報処理端末6は、荷物に貼られた配送伝票の伝票番号をバーコードリーダで読み取り、読み取ったデータを数字データに変換して配送情報処理装置1に送信するとともに、配送伝票に表示された届け先情報のうち、例えば受取人の所在地である郵便番号を入力することで、前記読み込んだ伝票番号と届け先情報をコード変換して二次元コードに変換し、このコードと着センター店の仕分けコードを表示したラベルに印字出力するように構成することができる。印字出力されたラベルは、配送伝票とともに荷物に貼り付けられる。
【0030】
これら配送情報処理装置1、発センター店、発ベース店、着ベース店及び着センター店の各店に設置される情報処理端末2,3,4,5及び携帯情報処理端末6は、各々その記憶部に、後述する荷物の配送処理を行うためのアプリケーションプログラムが格納され、これを動作させることで各種データの処理手段を構成し、各装置及び端末間で荷物の配送情報を送受する処理がなされるようになっている。
【0031】
着ベース店に設置された自動倉庫設備7は、荷物が収納される所定の大きさの収納空間部である多数の荷物収納庫を有する立体自動倉庫であり、後述する配送情報処理装置1から入力される荷物仕分け情報に基づいてレールやコンベアなどからなる搬送機構を作動制御して、その荷物受け入れ口に投入された荷物を前記荷物収納庫に移送して収納するとともに収納された荷物を荷物収納庫から取り出して荷物送り出し口に移送するように構成してある。
自動倉庫設備7の作動を制御する制御手段は、主として前記配送情報処理装置1により構成されるが、自動倉庫設備7が装備する制御装置により構成されていてもよく、制御手段に配送情報処理装置1に通信回線Nを介して接続した前記各店の情報処理端末2,3,4,5が含まれていてもよい。
【0032】
図2は、着ベース店内の自動倉庫設備7の設置レイアウトの一例を示しており、自動倉庫設備7は着ベース店内の一角に設けられた保冷室10に配置してある。
詳しくは、保冷室10は、その内部が冷蔵物品の保冷庫である冷蔵室10aと冷凍物品の保冷庫である冷凍室10bと前室10cと作業エリア10dとに仕切られており、冷蔵室10aと冷凍室10bに自動倉庫設備7,7が配置されており、作業エリア10dに設けた荷物受け入れ口7aから倉庫内に荷物を移送して入庫し、入庫された荷物を出庫して荷物送り出し口7bへと移送することができるように設けてある。
【0033】
前記配送情報処理装置1の記憶装置1aには、保冷荷物の配送処理に必要な各種のマスタデータがデータベース化されて登録してある。本形態では、後述する荷物の届け先に関する情報と取扱店情報、車両管理情報、担当地域及び車両紐付け情報、荷物の仕分け情報などの各種情報のデータファイルが記憶装置1aのデータベースに登録されている。
【0034】
取扱店情報は、発センター店、発・着ベース店、着センター店の名称や住所や連絡先、各店の仕分けコードからなる各配送拠点を特定するデータ、郵便番号と仕分けコードの対応データなどからなっている。
【0035】
配送車両の担当地域情報は、各センター店が荷物の集配を管轄する地域内における集配作業を行うコース(荷物の配送ルート)とその区域の情報からなる。
例えば、図3に示されるように、ある着センター店が集配を管轄する地域がA、B、C、D、Eの五つのコースに別れており、そのうちのAコースは区域(イ)-区域(ロ)-区域(ハ)-区域(ニ)-区域(ホ)-区域(ヘ)と分けて登録する。区域(イ)から区域(ヘ)は、配送車両が荷物を配送するための運行順に相当する。担当地域情報は、各センター店が集配を管轄する全ての区域について登録される。
【0036】
車両管理情報は、各センター店に配備されている配送車両を特定する情報とその配送車両に積み込まれるパレットに関する情報からなり、例えば図4に示されるように、センター店を特定する数字や記号、マーク(以下、「店所コード」という。)と、そのセンター店で使用される車両の識別コードである管理番号(W1234等)と当該車両に積み込まれるパレットの種類(60BOX等)、車両に複数のパレットを積み込む場合は枝番(0001等)などの情報により構成されている。
【0037】
担当地域及び車両紐付け情報は、各センター店で前記区域順に沿って運行する配送車両の情報を、登録されたコースに関連付けた情報からなり、例えば図5に示されるように、センター店を特定する店所コードとコースナンバーとコース名(〇〇〇コース等)、各コースで使用する配送車両の識別コードである管理番号(W1234000等)などの情報により構成されている。一つの車番に複数のコースを設定した場合に、コース毎の優先順位を設定した情報も含まれる。同図に示されるように、A、B、Cのコースで、順に「1、2、3」の優先順位を設定した場合は、図3に示された集配の管轄区域内で、同一の配送車両(管理番号1234000)を使用して、イ、ロ、ハの区域の順で車両を運行し、集配作業をすることになる。
【0038】
荷物の仕分け情報は、自動倉庫設備7で荷物の自動仕分け処理をするのに必要な情報であり、配送する荷物に貼られた配送伝票の伝票番号、荷物の配達希望日時、受取人の名称や届け先である住所や郵便番号、連絡先などの情報と、受取人宛ての荷物の配送を管轄する着センター店の前記配送車両の担当地域情報と車両管理情報と担当地域及び車両紐付け情報とを含んで構成されている。本形態では、少なくとも前記伝票番号と住所を含む情報があれば仕分けから配達までが可能となっている。
【0039】
本形態では、依頼人が保冷荷物の配送に関する情報を自身の情報処理端末8を操作して配送情報処理装置1に入力するため、配送伝票を発行することで、その荷物の仕分け情報が作成されて、配送情報処理装置1の記憶装置1aに登録される。依頼人が手書きの配送伝票を用いて荷物を配送する態様では、荷物の集荷の際に、集配作業者の携帯情報処理端末6から伝票番号と受取人の居所である届け先の郵便番号の情報が入力され、不足の情報やデータは着ベース店でその情報処理端末4や携帯情報処理端末6から入力される。着センター店の配送車両の担当地域情報などは、配送伝票に記載された郵便番号と届け先の住所の入力に伴って、予め記憶装置1aに登録されたこれら情報ファイルを参照し、管轄の着センター店と荷物を配達するコース・区域を特定して自動で設定される。
【0040】
図6は、保冷荷物を収容する保冷容器の一例の形態を示している。
保冷容器11は、断熱材を用いて箱形に形成されており、上部を方形に開口した容器本体11aに蓋体11bを被せて内部を密閉し、蓋体11bを取り外して容器本体11a内に収容した荷物を取り出すことができるように形成してある。
【0041】
図7は、前記着ベース店内に設けられた保冷室10内に配置される仕分け棚の一例の形態を示し、この仕分け棚12は、着ベース店に移送された保冷荷物を一時的に仮置きしておくラック13と、ラック13の正面側に重ね合わせて保冷荷物のピックアップ装置を構成するゲート14により構成されている。
【0042】
詳しくは、ラック13は、図8に示されるように、下部にキャスターが取り付けられたロールボックスパレット13a内に、保冷荷物が載る棚板13bを複数枚架設してパレット13a内を上下多段に仕切り、ラック13の前方から各棚板13b上に保冷荷物を載せることができるように構成してある。
各棚板13bの前部には、棚板に荷物を載せたときにその位置を特定するロケーション情報を一次元又は二次元のコードに変換したバーコードラベル15が貼られており、また、図示しないが、ラック13の適宜な位置にその個体コードをコードに変換したバーコードラベルが設けてある。
【0043】
また、ゲート14は、図9に示されるように、下部にキャスターが取り付けられた左右の縦桟14a,14a間に、ピッキング操作のための作動部14cが複数取り付けられてなる横桟14bを、上下多段に架設して構成してある。横桟14bの架設位置と作動部14cの取り付け位置は、前記ラック13の棚板13bの架設位置とバーコードラベル15の貼り付け位置にそれぞれ対応している。
ゲート14の各作動部14cは、図10に示されるように、ピッキングする位置を特定する表示器14c1とピッキング完了を通知するための押動スイッチ14c2を備えるとともに、前記配送情報処理装置1と有線又は無線で情報の送受信が可能なように構成されており、後述のとおり、配送情報処理装置1からのロケーション情報を受信して表示器の点灯及び消灯動作が制御され、また、押動スイッチを操作することでピッキング完了の通知が作動部14bから配送情報処理装置1に送信されるように設けてある。
また、図示しないが、ゲート14の適宜な位置にその個体コードをコードに変換したバーコードラベルが設けてある。
【0044】
次に、このように構成された配送情報処理システムを用いた保冷荷物の配送処理の手順を、情報を処理するステップに分けて説明する。
【0045】
(事前設定)
先ず、予め着センター店が配送を管轄する地域内における配送車両の担当地域情報、着センター店に配備されている配送車両の識別コードとその車両に積載されるロールボックスパレットに関する情報及び前記担当地域情報に沿って運行する配送車両に関する情報を、着センター店の情報処理端末5から配送情報処理装置1に送信して、配送情報処理装置1の記憶装置1aに登録する。
【0046】
(依頼人による配送依頼)
依頼人が受取人宛てに保冷荷物を送るときに、依頼人は自身が所有する情報処理端末8を配送情報処理装置1がインターネット上に開設する荷物配送の依頼受け付けWebサイトに接続し、同サイト上で、出荷する保冷荷物の品名や受取人の氏名や住所などの届け先に関する情報、荷物の発送予定日時、配達希望日と時間帯などの荷物配送に必要な情報を入力し、配送情報処理装置1に送信して荷物配送を依頼する。配送情報処理装置1が受信した情報は配送情報として記憶装置1aに登録される。
【0047】
また、配送情報処理装置1に前記情報が入力されることにより、配送する保冷荷物の伝票番号が設定されて依頼人の情報処理端末8へと送信され、依頼人は自身の情報処理端末8を操作して荷物に貼り付ける配送伝票を発行する。
図11は、依頼人において発行する配送伝票の一例の形態を示し、配送伝票には、依頼人の名前や住所、郵便番号などを含む依頼人に関する情報、受取人の名前や住所、郵便番号などを含む届け先に関する情報、伝票番号などともに、伝票番号のバーコード、伝票番号と届け先に関する情報を含む識別コードが表示される。
配送伝票の発行により、配送情報処理装置1において荷物の仕分け情報が作成され、作成された情報は前記配送情報とともに伝票番号に紐付けされて記憶装置1aに登録される。
また、前記受取人の届け先に関する情報に基づいて、その保冷荷物を配送する配送車両の荷物配送ルートに関する情報が特定され、その情報が伝票番号に紐付けされて記憶装置1aに登録される。
【0048】
(発センター店における処理)
前記依頼人から荷物配送の依頼があった旨は、配送情報処理装置1から依頼人の居住地域の集配を管轄する発センター店の情報処理端末2又は携帯情報処理端末6に通知され、集配作業者は依頼人宅に出向いて依頼人が出した荷物を受け取る。
この際、集配作業者は荷物に貼り付けられた配送伝票11の伝票番号を携帯情報処理端末6で読み込み、読み込まれた情報を携帯情報処理端末6から配送情報処理装置1に送信する。配送情報処理装置1は、受信した伝票番号の情報を日時データとともに集荷作業情報として伝票番号に紐付けして配送情報の集荷データに登録する。
集荷した保冷荷物はコールドボックスに収納して配送車両に積載され、発センター店から発ベース店へと送られる。
【0049】
(発ベース店における処理)
発ベース店に運ばれた保冷荷物は、当該ベース店の保冷室で届け先地域別に仕分けされる。この際、荷物の伝票番号が発ベース店の情報処理端末3に取り込まれて配送情報処理装置1へと送信される。届け先地域別に仕分けられた保冷荷物は、コールドボックスに収納されて発ベース店から着ベース店へと送られる。
【0050】
(着ベース店における処理)
発ベース店から着ベース店に運ばれた保冷荷物は、先ず、前記保冷室10内で荷物の受け入れ処理が行われる。
なお、荷物の受け入れ処理の前に、図12に示されるように、保冷容器11をその容器本体11aから蓋11bを外し、容器本体11aの上部を開放した状態で冷蔵室10aと冷凍室10bの両自動倉庫設備7に入庫して、保冷容器11の内部を予冷しておく。
【0051】
保冷荷物の受け入れ処理は、図13に示されるように、着ベース店に移送されたコールドボックス17から保冷荷物16を取り出し、荷物に貼られた配送伝票に記載された伝票番号などの情報を携帯情報処理端末6に取り込むとともに、取り出した保冷荷物16をラック13の棚板13b上に移し代える。このとき、棚板13bに貼られたバーコードラベル15の記載情報も携帯情報処理端末6に取り込む。
携帯情報処理端末6に取り込まれた情報は配送情報処理装置1に入力され、伝票番号に紐付けされて記憶装置1aに登録される。
【0052】
図14に示されるように、コールドボックス17に収容されていた全ての保冷荷物16をラック13に移し代えたなら、ラック13の個体コードを携帯情報処理端末6に取り込み、配送情報処理装置1に送信する。配送情報処理装置1は、受信した情報と前記バーコードラベル15の情報からラック13に配置された保冷荷物16のロケーション情報ファイルを作成して記憶部1aに登録する。
【0053】
次いで、図15に示されるように、前記保冷荷物16が棚板13b上に仮置きされたラック13の前面にゲート14を組み付け、ラック13とゲート14の個体コードを携帯情報処理端末6に取り込み、配送情報処理装置1に入力する。
これにより前記保冷荷物16を配送ルート別の仕分ける準備が整い、配送情報処理装置1は、自動倉庫設備7に作動信号を送信して作動を制御して、図16に示されるように、入庫されていた保冷容器11を荷物送り出し口7bへと移送せしめる。
【0054】
保冷室10の作業エリア10dに保冷容器11が移送されたならば、保冷荷物16の仕分け処理を行う。
具体的には、配送情報処理装置1は、保冷荷物16の配送伝票の伝票番号に紐付けて登録された荷物配送ルートに関する情報から、ラック13に配置された保冷荷物16のうち、同じ荷物配送ルートとなるものを特定し、それらを同一の保冷容器11に収容するべく、前記ロケーション情報ファイルを参照して、それらの保冷荷物16のラック13の配置を特定し、その位置に対応するゲート14の作動部14cを制御して、ピックアップする保冷荷物16を特定するために、表示器を点灯して仕分け作業者に通知する。
仕分け作業者は、表示器が点灯した位置の保冷荷物16を取り出し、保冷容器11内に収納する。保冷容器11への移し替えが完了したならば、仕分け作業者は、前記作動部14cの押動スイッチを押す。すると、ピックアップが完了した旨が作動部14cから配送情報処理装置1に入力される。
保冷容器11内に同じ荷物配送ルートの保冷荷物16が収納されたならば、配送情報処理装置1は、自動倉庫設備7に作動信号を送信して作動を制御して、保冷荷物16が収納された保冷容器11を再び自動倉庫設備7内に移送して入庫せしめる。
仕分け棚12に仮置きされていた全ての保冷荷物16を保冷容器11に移し代え、保冷容器11を自動倉庫設備7内に再入庫したならば、荷物配送ルート別の仕分け処理が完了する。
【0055】
保冷容器11に収容されて自動倉庫設備7に保管されている保冷荷物16は、着ベース店から着センター店に常温の荷物とともに移送される際に自動倉庫設備7から出庫される。
この際、配送情報処理装置1が前記保冷室10の作業エリア10dに設置されたプリンタから、図17に示される、保冷容器11に収容された全ての保冷荷物16の情報を二次元コードに変換して表示したラベル18を印字出力せしめ、このラベル18が保冷容器11の側面に添付される。
そして、図18に示されるように、パレット19に前記保冷容器11が収容され、配送車両で着ベース店から着センター店へと送られる。
【0056】
(着センターにおける処理)
着ベース店から着センター店に保冷荷物16が収容された保冷容器11が到着したならば、着センター店の携帯情報処理端末6で保冷容器11に添付された前記ラベル18のバーコードを読み込み、読み込んだ情報を配送情報処理装置1へと送信する。そして、保冷容器11が収容された前記パレット19をそのまま、該当の配送車両に積み込み、配送車両を運行して受取人宅に荷物を配達する。
この際、携帯情報処理端末6から送信された前記ラベル18の記載情報を受信した配送情報処理装置1は、その保冷容器11に収容された保冷荷物の伝票番号と届け先の住所などに関する情報を携帯情報処理端末6へと送信し、その記憶部に格納される。そして、集配作業者が、受取人宅の軒先作業で携帯情報処理端末6に荷物配達完了情報を入力すると、配達する荷物の届け先に関する情報が当該情報処理端末に表示出力され、その表示を見て次の受取人先を確認し、配送車両を運転して配達に向かうことができるようなっている。
【0057】
なお、図示した情報処理システムの構成は一例であり、本発明は他の適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 配送情報処理装置、2,3,4,5.8 情報処理端末、6 携帯情報処理端末、7 自動倉庫設備、9 配送車両、10 保冷室、11 保冷容器、12 仕分け棚、13 ラック、14 ゲート、15 バーコードラベル、16 保冷荷物、17 コールドボックス、18 ラベル、19 パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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