(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】変形性関節症の感受性試験の組成物、装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
G01N33/53 Q
(21)【出願番号】P 2021139244
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2018512982の分割
【原出願日】2016-09-10
【審査請求日】2021-09-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517167236
【氏名又は名称】バイオメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOMERICA, INC.
【住所又は居所原語表記】17571 VON KARMAN AVENUE, IRVINE, CALIFORNIA 92614, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イラニ‐コーヘン,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】レーダーマン,エリザベス
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/077808(WO,A1)
【文献】R S Panush ,Food induced ("allergic") arthritis: clinical and serologic studies,J Rheumatol,1990年03月,Vol.17 No.3,Page.291-294
【文献】Panush Richard S.,Food‐induced (allergic) arthritis. Inflammatory arthritis exacerbated by milk,Arthritis & Rheumatism,1986年,Vol.29 No.2,Page.220-226
【文献】Carini C,Immune complexes in food-induced arthralgia,Annals of allergy,1987年10月,Vol.59 No.6,Page.422-428
【文献】D N Golding,Is there an allergic synovitis?,Journal of the Royal Society of Medicine,1990年05月,Vol.83,Page.312-314
【文献】Lunardi C,[Arthralgia, arthritis and food intolerance]. Artralgia, artrite e intolleranza alimentare,Recenti progressi in medicina,1987年11月,Vol.78 No.11,Page.483-486,ISSN:0034-1193
【文献】Richard S. Panush,Does Food Cause or Cure Arthritis?,Rheumatic Disease Clinics of North America,1991年05月,Vol. 17 No.2,Page.259-272
【文献】Qiang Zeng,Variable Food-Specific IgG Antibody Levels in Healthy and Symptomatic Chinese Adults,PLoS ONE,2013年01月03日,Vol.8 No.1,Page.e53612
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形性関節症を有すると診断されるか、または、変形性関節症を有すると疑われる患者における食物不耐性を試験するための試験パネルを作成する方法であって、
複数の異なる食物調製物についてIgG免疫アッセイ測定値を得る工程であって、前記IgG免疫アッセイ測定値は、前記複数の異なる食物調製物の各食物調製物に、変形性関節症を有すると診断されるか、または、変形性関節症を有すると疑われる患者
試験コホートの体液を接触させること、
前記複数の異なる食物調製物の各食物調製物に変形性関節症を有すると診断されない、または、変形性関節症を有すると疑われない対照試験コホートの体液を接触させることを含むプロセスによって得られる、工程、
変形性関節症を有すると診断されるか、または、変形性関節症を有すると疑われる前記患者試験コホートからの異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイ測定値と、変形性関節症を有すると診断されない、または、変形性関節症を有すると疑われない前記対照試験コホートからの前記異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイ測定値を比較する工程、
複数の食物調製物を選択する工程であって、前記複数の食物調製物は、前記IgG免疫アッセイ測定値に基づいて、変形性関節症に関する≦0.07の未調整p値、または、前記IgG免疫アッセイ測定値に基づいて、変形性関節症に関する≦0.10の偽陽性率(FDR)多重度調整p値を示す、工程、
前記選択された複数の食物調製物を個別にアドレス指定可能な方法で固体担体に固定して試験パネルを作成する工程であって、前記固体担体に結合された食物調製物のすべてが前記選択された食物調製物である、工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月9日に出願の米国仮特許出願第62/216272号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本明細書に開示される主題の技術分野は、食品不耐性に関する感受性試験であって、特に、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において、食品材料が症状を悪化または増悪させる食品である場合、あるいは取り除くことで症状を軽減する食品である場合に行う、試験および選択された食品の可能な除外に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景技術の記載には、本開示を理解する上で有用となり得る情報が含まれている。これは、背景技術に記載の情報のいずれもが先行技術または本開示に関連するものであるということ、あるいは具体的または暗示的に参照される刊行物のいずれもが先行技術であるということを認めることではない。
【0004】
食品感受性、特に変形性関節症(一種の炎症性疾患)に関するものは、しばしば、上肢および下肢において、関節痛、こわばり、関節腫脹、可動域減少およびしびれを呈し、変形性関節症の根本的な原因は、医学界において十分には理解されていない。最も一般的には、変形性関節症は、医学画像試験および他の試験によって診断され、医学画像試験および他の試験は、他の問題の裏付けまたは除外のいずれかを行うために用いられることがある。変形性関節症の治療には、いくつかの薬物の併用や関節手術が推奨されているが、残念ながら、変形性関節症の中核症状を直接的に治療する薬物は存在しない。一つまたは複数のいずれかの食品材料の除外もまた、少なくとも発症率および/または症状の重症度を低下させるものであると有望視されている。しかしながら、変形性関節症は、しばしば、症状を誘発または悪化させる食料品に関しては極めて多様な差があり、症状を悪化または増悪させる、あるいはそれを取り除くことが合理的な信頼度をもって症状の緩和に繋がると判っている誘発食品材料の特定に有用な標準化された試験は存しておらず、罹患患者への対応はその多くが手探り状態のままである。
【0005】
食品アレルギーを引き起こす食品の特定に資する市販の試験法および研究施設はいくつか存在するが、市販の試験法は、変形性関節症との関連において食物アレルゲンを調べることを特に意図したものではない。さらにまた、これらの研究施設からもたらされる試験結果の質は、消費者活動グループの報告にあるように、概して低い(例えば、非特許文献1:http://www.which.co.uk/news/2008/08/food-allergy-tests-could-risk-your-health-154711/)。特筆すべき点として、これらの試験および研究施設に関連する問題は、偽陽性率の高さ、偽陰性率の高さ、患者内での変動の大きさ、および研究施設間での変動の大きさであり、これらの試験をほとんど無用なものとならしめている。同様に、より不確実かつ極めて様々に変化する試験結果も、他で報告されており(非特許文献2:Alternative Medicine Review、第9巻、第2号、2004年、198~207頁)、著者は、この状況が多くの異なる機序によって生じる食品反応および食品感受性に起因し得ると帰結している。例えば、すべての変形性関節症患者が、食品Aに陽性反応を示すわけではなく、すべての変形性関節症患者が、食品Bに陰性反応を示すというわけではない。したがって、一人の変形性関節症患者が食品Aに陽性反応を示したとしても、患者の食事から食品Aを取り除くことが、患者の変形性関節症の症状を緩和させない場合もある。換言すれば、現在利用可能な試験で用いられている食物アレルゲンが、これら食物アレルゲンへの感受性と変形性関節症との高い相関性に基づいて適切に選択されているかどうかは、十分には断定されていない。
【0006】
本明細書で取り上げられるすべての刊行物は、各々の個別の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されることが示唆されるごとく、参照により組み込まれている。組み込まれた参照における用語の定義または用法が、本明細書に示される前記用語の定義とは一貫していないか反対である場合、本明細書に示される前記用語の定義を適用し、参照に記載の用語の定義は適用しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】http://www.which.co.uk/news/2008/08/food-allergy-tests-could-risk-your-health-154711/
【文献】Alternative Medicine Review、第9巻、第2号、2004年、198~207頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、食品感受性に関して様々な試験が当該分野では既知であるが、それらのすべてまたはほぼすべてが一つ以上の不都合な点を抱えている。前記の理由から、特に、変形性関節症が確認されたまたは疑われた患者の症状を憎悪または悪化させる食品の特定および可能な除外を行うために、食品感受性試験に用いる組成物、装置および方法には、依然としてさらなる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載される主題は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性を試験するためのシステムおよび方法を提供するものである。本開示の一つの態様は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐症を特定する試験キットである。試験キットには、個別にアドレス可能な別々の固体担体と結合する複数の異なる食品調製物が含まれている。前記複数の異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合の≦0.07の識別上有効な(discriminatory)平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有する。いくつかの実施形態において、前記識別上有効な平均p値は、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求める。
【0010】
本明細書に記載の実施形態の別の態様は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性を試験するための方法である。該方法は、少なくとも一つの成分を有する食品調製物を、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の体液と接触させる工程を含む。体液は、免疫グロブリン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE)を含み、性別認識と関連している。一つの実施形態において、接触させる工程は、体液から得た免疫グロブリンが食品調製物の少なくとも一つの成分と結合することが可能な条件下で行われる。方法では、食品調製物の少なくとも一つの成分と結合した免疫グロブリンを測定する工程を継続してシグナルを取得し、次いで、シグナルを、性別認識を用いて食品調製物に関する性別で層別化した基準値と比較して、結果を得る。また、該方法は、得られた結果を用いてレポートを更新または作成する工程をも含む。
【0011】
本明細書に記載の実施形態のさらに別の態様は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性の試験を行うための方法を含む。該方法は、複数の異なる食品調製物関する試験結果を得る工程を含む。試験結果は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の体液、ならびに変形性関節症と診断されなかったまたは疑われない対照群の体液とを基準にしたものである。該方法はまた、異なる食品調製物の各々に関して試験結果を性別で層別化する工程をも含む。次いで、該方法は、異なる食品調製物の各々に
対して、所定のパーセンタイル順位に男性患者と女性患者別に異なるカットオフ値を割り付ける工程により継続される。
【0012】
本明細書に記載の実施形態のさらに別の態様は、変形性関節症の診断において、個別にアドレス可能な別々の固体担体に結合した複数の異なる食品調製物の使用を含む。複数の異なる食品調製物は、それらの未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値に基づいて選択される。
【0013】
本明細書に記載の実施形態の様々な目的、特徴、態様および利点は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付の図面とともに、様々な実施形態の以下の詳細な記述からより明らかとなるであろう。
【0014】
即ち、本発明は、以下を提供する。
【0015】
変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性を試験するための試験キットであって、
個別にアドレス可能な別々の固体担体と結合する複数の異なる食品調製物を含み、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる試験キット。
【0016】
好ましくは、 前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも4種類の食品調製物を含む、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも8種類の食品調製物を含む、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも12種類の食品調製物を含む、
前記複数の異なる食品調製物は、前記未調整p値で求めた場合に≦0.05の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.08の識別上有効な平均p値を有する、
前記複数の異なる食品調製物が、前記未調整p値で求めた場合に≦0.025の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有する、
前記FDR多重性調整p値が、年齢および性別の少なくとも一方に関して調整される、
前記FDR多重性調整p値が、年齢および性別に関して調整される、
前記複数の異なる食品調製物の少なくとも50%が、単一の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有する、
前記複数の異なる食品調製物の少なくとも70%が、単一の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有する、
前記複数の異なる食品調製物のすべてが、単一の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有する、
前記複数の異なる食品調製物が、粗製の水性抽出物である、
前記複数の異なる食品調製物が、処理された水性抽出物である、
前記固体担体が、マルチウェル(multiwall)プレートのウェル、ビーズ、電気センサー、化学センサー、マイクロチップ、または、吸着フィルムである、
【0017】
変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性を試験するための方法であって、
少なくとも一つの成分を有する食品調製物を変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の体液と接触させるステップであって、前記体液が免疫グロブリンを含み、前記体液が性別認識と関連しており、前記接触させるステップが、前記免疫グロブリンの少なくとも一部分を前記少なくとも一つの成分と結合可能にする条件下で実施されるステップと、
前記食品調製の前記少なくとも一つの成分と結合する前記免疫グロブリンの前記一部分を測定してシグナルを取得するステップと、
前記シグナルを、前記食品調製に関して性別層別化した基準値と、前記性別認識を用いて比較し結果を得るステップと、
前記結果を用いてレポートを更新または作成するステップとを含む方法。
【0018】
好ましくは、前記患者の前記体液が、全血、血漿、血清、唾液または糞便懸濁液である、
前記食品調製物に接触させるステップが、複数の異なる食品調製物から成る多重アッセイで実施される、
前記複数の異なる食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.05の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.08の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.025の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物のすべてが、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記食品調製物が、固体の表面上に、任意にはアドレス可能となるように、固定されている、
前記食品調製物の前記少なくとも一つの成分に結合した前記免疫グロブリンの前記部分を測定する前記ステップが、免疫測定試験によって実施される、
前記食品調製物に関する前記性別層別化された基準値が、少なくとも90パーセンタイル値である。
【0019】
変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性の試験を行うための方法であって、
複数の異なる食品調製物に関する試験結果を得るステップであって、前記試験結果は、前記複数の異なる食品調製物を、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者試験群の男性および女性から得た体液と、変形性関節症と診断されずまたは疑われてもいない対照群の男性および女性から得た体液とに接触させることを含む処理から導き出されるステップと、
前記複数の異なる食品調製物に関する前記試験結果を性別ごとに層別化するステップと、
所定のパーセンタイル順位で、前記患者群の男性および前記患者群の女性に関する異なるカットオフ値を、前記複数の異なる食品調製物に割り当てるステップとを含む方法。
【0020】
好ましくは、前記試験結果が抗体に基づく結果である、
前記複数の異なる食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも2種類の食品調製物を含む、
前記複数の異なる食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも6種類の食品調製物を含む、
前記複数の異なる食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.05の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.08の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.025の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記患者の前記体液が、全血、血漿、血清、唾液または糞便懸濁液である、
前記所定のパーセンタイル順位が、少なくとも90パーセンタイル順位である、
前記患者群の男性および女性における前記カットオフ値が、少なくとも10%(絶対値)の差を有する、
各々の前記試験結果を各々の患者の総免疫グロブリンに対して正規化するステップをさらに含む、
各々の前記試験結果を各々の患者の食品固有の免疫グロブリンの結果の全体平均に対して正規化するステップをさらに含む、
患者の亜集団を特定するステップをさらに含み、前記食品調製物に対する患者の前記亜集団の感受性が、≦0.01という未調整p値または識別上有効な平均p値によって変形性関節症の原因となる、
前記食品調製物の数を判定するステップをさらに含み、前記食品調製物の前記数が、≦0.01という未調整p値または識別上有効な平均p値によって、変形性関節症を確認するために用いることができる、
【0021】
変形性関節症の診断において、個別にアドレス可能な別々の固体担体に結合した複数の異なる食品調製物の使用であって、前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる使用。
【0022】
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも2種類の食品調製物を含む、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも4種類の食品調製物を含む、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも8種類の食品調製物を含む、
前記複数の食品調製物が、表1の食品材料から調製される、あるいはチョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より、および任意にオヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから成る群より選択される、少なくとも12種類の食品調製物を含む、
前記複数の異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合に≦0.05の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.08の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、未調整p値で求めた場合に≦0.025の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記FDR多重性調整p値が、年齢および性別の少なくとも一方に関して調整される、
前記FDR多重性調整p値が、年齢および性別に関して調整される、
前記複数の異なる食品調製物の少なくとも50%が、一方の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物の少なくとも70%が、一方の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物のすべてが、一方の性に関して調整された場合に、前記未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、前記FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有し、前記識別上有効な平均p値が、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった患者試験群から求められる、
前記複数の異なる食品調製物が、粗製の濾過水性抽出物である、
前記複数の異なる食品調製物が、処理された水性抽出物である
前記固体担体が、マルチウェルプレートのウェル、ビーズ、電気センサー、化学センサー、マイクロチップ、または、吸着フィルムである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】
図1Aは、チョコレートを用いた試験での男性の変形性関節症患者および対照群のELISAシグナルスコアを示す。
【
図1B】
図1Bは、チョコレートを用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える男性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図1C】
図1Cは、チョコレートを用いて試験を行った女性対照群から求めた場合の、95パーセンタイルカットオフ値に従う女性患者のシグナル分布を示す。
【
図1D】
図1Dは、チョコレートを用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える女性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図2A】
図2Aは、グレープフルーツを用いた試験での男性の変形性関節症患者および対照群のELISAシグナルスコアを示す。
【
図2B】
図2Bは、チョコレートを用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える男性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図2C】
図2Cは、グレープフルーツを用いて試験を行った女性対照群から求めた場合の、95パーセンタイルカットオフ値に従う女性患者のシグナル分布を示す。
【
図2D】
図2Dは、グレープフルーツを用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える女性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図3A】
図3Aは、蜂蜜を用いた試験での男性の変形性関節症患者および対照群のELISAシグナルスコアを示す。
【
図3B】
図3Bは、蜂蜜を用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える男性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図3C】
図3Cは、蜂蜜を用いて試験を行った女性対照群から求めた場合の、95パーセンタイルカットオフ値に従う女性患者のシグナル分布を示す。
【
図3D】
図3Dは、蜂蜜を用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える女性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図4A】
図4Aは、麦芽を用いた試験での男性の変形性関節症患者および対照群のELISAシグナルスコアを示す。
【
図4B】
図4Bは、麦芽を用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える男性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図4C】
図4Cは、麦芽を用いて試験を行った女性対照群から求めた場合の、95パーセンタイルカットオフ値に従う女性患者のシグナル分布を示す。
【
図4D】
図4Dは、麦芽を用いた試験での90および95のパーセンタイルを超える女性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示す。
【
図5A】
図5Aは、90パーセンタイルで誘発食品と特定された食品数別の、変形性関節症被験者の分布を示す。
【
図5B】
図5Bは、95パーセンタイルで誘発食品と特定された食品数別の、変形性関節症被験者の分布を示す。
【
図6B】
図6Bは、表5Aに示されたデータのノッチ付き箱髭図を示す。
【
図6D】
図6Dは、表5Bに示されたデータのノッチ付き箱髭図を示す。
【
図7A】
図7Aは、表12Bに示された統計データに対応するROC曲線を示す。
【
図7B】
図7Bは、表12Bに示された統計データに対応するROC曲線を示す。
【
図8】[表1]表1は、食品調製物の調製が可能な食品材料のリストを示す。
【
図9】[表2]表2は、両側のFDR多重性調整p値の順にランク付けされた食品の統計データを示す。
【
図10】[表3]表3は、食品および性別ごとのELISAスコアの統計データを示す。
【
図11】[表4]表4は、所定のパーセンタイル順位に関する食品のカットポイント値を示す。
【
図12A】[表5A]表5Aは、変形性関節症患者と対照群の未処理データを、90パーセンタイルに基づいた陽性結果の数で示す。
【
図12B】[表5B]表5Bは、変形性関節症患者と対照群の未処理データを、95パーセンタイルに基づいた陽性結果の数で示す。
【
図13A】[表6A]表6Aは、表5Aで示された変形性関節症患者集団の未処理データを集計した統計データを示す。
【
図13B】[表6B]表6Bは、表5Bで示された変形性関節症患者集団の未処理データを集計した統計データを示す。
【
図14A】[表7A]表7Aは、表5Aで示された対照群の未処理データを集計した統計データを示す。
【
図14B】[表7B]表7Bは、表5Bで示された対照群の未処理データを集計した統計データを示す。
【
図15A】[表8A]表8Aは、表5Aで示された変形性関節症患者集団の未処理データを対数変換により変換させて集計した統計データを示す。
【
図15B】[表8B]表8Bは、表5Bで示された変形性関節症患者集団の未処理データを対数変換により変換させて集計した統計データを示す。
【
図16A】[表9A]表9Aは、表5Aで示された対照群の未処理データを対数変換により変換させて集計した統計データを示す。
【
図16B】[表9B]表9Bは、表5Bで示された対照群の未処理データを対数変換により変換させて集計した統計データを示す。
【
図17A】[表10A]表10Aは、変形性関節症標本と非変形性関節症標本との間で90パーセンタイルに基づいた陽性食品の幾何平均数を比較するための、独立したt検定の統計データを示す。
【
図17B】[表10B]表10Bは、変形性関節症標本と非変形性関節症標本との間で95パーセンタイルに基づいた陽性食品の幾何平均数を比較するための、独立したt検定の統計データを示す。
【
図18A】[表11A]表11Aは、変形性関節症標本と非変形性関節症標本との間で90パーセンタイルに基づいた陽性食品の幾何平均数を比較するための、マン・ホイットニー検定の統計データを示す。
【
図18B】[表11B]表11Bは、変形性関節症標本と非変形性関節症標本との間で95パーセンタイルに基づいた陽性食品の幾何平均数を比較するための、マン・ホイットニー検定の統計データを示す。
【
図19A】[表12A]表12Aは、表5A、表6A、表7A、表8A、表9A、表10A、表11Aに示されたデータの受信者動作特性(ROC)曲線分析の統計データを示す。
【
図19B】[表12B]表12Bは、表5B、表6B、表7B、表8B、表9B、表10B、表11Bに示されたデータの受信者動作特性(ROC)曲線分析の統計データを示す。
【
図20A】[表13A]表13Aは、90パーセンタイルに基づいた陽性食品の数から、女性患者における変形性関節症の状況を予測する場合の能力指標の統計データを示す。
【
図20B】[表13B]表13Bは、90パーセンタイルに基づいた陽性食品の数から、男性患者における変形性関節症の状況を予測する場合の能力指標の統計データを示す。
【
図21A】[表14A]表14Aは、95パーセンタイルに基づいた陽性食品の数から、女性患者における変形性関節症の状況を予測する場合の能力指標の統計データを示す。
【
図21B】[表14B]表14Bは、95パーセンタイルに基づいた陽性食品の数から、男性患者における変形性関節症の状況を予測する場合の能力指標の統計データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者で誘発食品を特定するために食品試験で用いられる食品調製物が、等しく十分には予測が不可能であり、かつ/あるいは変形性関節症や変形性関節症の症状と関連していることを発見した。実際に、様々な実験により、多種多様な食品材料のうち、一定の食品材料は極めて予測可能であり、変形性関節症と関連しているものの、他の食品は、変形性関節症とは統計的に有意な関連性を有しないことが判明している。本明細書で用いられる場合、用語「誘発食品」または「誘発している食品」とは、変形性関節症の兆候および/または症状と関連しているが必ずしも原因とはなってはおらず、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の食事から除外すると、変形性関節症の兆候および/または症状を軽減または緩和させる食品を指す。
【0025】
さらに意外なことに、本発明者らは、食品材料での大きなばらつきに加えて、試験での反応に関する性別によるばらつきが、食品材料と変形性関節症との関連性の判定において重要な役割を為していることを発見した。結果として、本発明者の所見と更なる意図に基づくことにより、試験キットおよび方法は、今日、変形性関節症の兆候および症状を軽減するうえで除外すべき食品材料の選択における予測能力を大幅に向上させている。
【0026】
以下の考察では、多くの例示的な実施形態について記載する。各々の実施形態は、ある一定の要素の単一の組合せを示しているが、本明細書に記載の概念は、開示された要素のすべての可能な組合せを含むものと考えられる。したがって、一つの実施形態が要素A、BおよびCを含み、第2の実施形態が要素BとDを含む場合、本明細書に記載される実施形態はまた、たとえ明示的に開示されない場合でも、A、B、CまたはDの他の残りの組合せをも含むものと考えられる。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示の一定の実施形態について説明し、権利を主張するために用いられる量または範囲を表す数字は、いくつかの例において「およそ」という用語によって変更されることを、理解するべきである。したがって、いくつかの実施形態において、明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、特定の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメーターは、報告される数値の有効桁という観点から、通常の丸め技法を適用して解釈すべきである。本発明のいくつかの実施形態で広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは近似値ではあるが、固有の実施例に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。本開示のいくつかの実施形態に示される数値は、それら別々の試験測定値に見出される標準偏差に由来する一定の誤差を含む場合がある。反対の文脈が示されない限り、本明細書に示されるすべての範囲は、それらの終端点を含むものと解釈されるべきであり、制限のない範囲は、商業上実用的な値のみを含むものと解釈されるべきである。同様に、値のリストはすべて、反対の意図が示されない限り、中間値を含むものと考えられるべきである。
【0028】
本明細書の記載ならびに後述の特許請求の範囲の全体で用いられる場合、不定冠詞「一つ」および定冠詞「該(前記)」は、別段の明確な意図が示されない限り、複数の参照を含む。また、本明細書の記載に用いられる場合、「において」の意味は、別段の明確な意図が示されない限り、「の中に」および「の上において」の意味を含む。
【0029】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の記載がない限り、または文脈において明確に否定されていない限り、任意の適切な順番で実行することが可能である。本明細書において、一定の実施形態に関して示される任意またはすべての実施例、または例示的な文言(例えば、「など」)は、単に本発明をより明確に説明することを意図したものにすぎず、別段の主張がない限り、本発明の範囲に制限を設けるものではない。本明細書のいかなる文言も、任意の非請求の要素を、本明細書に記載されている本発明の実施に必須のものと指摘していると解釈されるべきではない。
【0030】
本明細書に開示される代替的な要素または実施形態の群化は、制限を設けることと解釈されるものではない。各々の群の構成部材については、その群の他の構成部材と、または本明細書に見出される他の要素との任意の組合せにおいて、個別に言及および主張することが可能である。群の一つ以上の構成部材は、便宜上および/または特許可能性の理由から、一つの群に含めるか、または除外することが可能である。かかる組入れや除外が生じる場合、本明細書では、群が変更されて包含されるものとみなされるため、添付の特許請求の範囲に用いられるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすことになる。
【0031】
一態様において、本発明者らは、上記の理由から、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の場合の食品不耐性試験に適した試験キットまたは試験パネルを意図している。かかる試験キットや試験パネルは、個別にアドレス可能な(例えば、アレイまたはマイクロウェルプレートの形態の)別々の固体担体に結合した複数の異なる食品調製物(例えば、濾過してもしなくてもよい、未処理または処理済みの抽出物、任意に補助溶剤を用いた水性抽出物等)であって、異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合に≦0.07の識別上有効な平均p値を有し、または、FDR多重性調整p値で求めた場合に≦0.10の識別上有効な平均p値を有するものであることが意図されている。本明細書で用いる場合、処理済みの抽出物は、(例えば、みじん切り、加熱、沸騰、発酵、燻製等)機械的または化学的に変更された食品材料から作られた食品抽出物を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、含有物の量、濃度、反応条件等の特性、その他を表す数字は、本開示の一定の実施形態について説明し、権利を主張するために用いられ、いくつかの例において「およそ」という用語によって変更されることを、理解するべきである。したがって、いくつかの実施形態において、明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、特定の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメーターは、報告される数値の有効桁という観点から、通常の丸め技法を適用して解釈すべきである。本発明のいくつかの実施形態で広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは近似値ではあるが、固有の実施例に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。本開示のいくつかの実施形態に示される数値は、それら別々の試験の測定値に見出される標準偏差に由来する一定の誤差を含む場合がある。また、反対の文脈が示されない限り、本明細書に示されるすべての範囲は、それらの終端点を含むものと解釈されるべきであり、制限のない範囲は、商業上実用的な値のみを含むものと解釈されるべきである。同様に、値のリストはすべて、反対の意図が示されない限り、中間値を含むものと考えられるべきである。
【0033】
本明細書に記載の実施形態を制限するものではないが、食品調製物は、典型的には、一般に変形性関節症の兆候または症状を誘発させることが既知のあるいは疑われる食品から選び出される。特に適切な食品調製物は、以下に概説される実験手順によって特定するこ
とができる。したがって、食品材料は、本明細書に記載される食材に限られる必要はなく、本明細書に提示の方法によって特定可能なすべての食品材料が意図されていると理解すべきである。上記の理由から、例示的な食品調製物は、チョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ(cantaloupe)、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから調製された少なくとも1種類、少なくとも2種類、少なくとも4種類、少なくとも8種類、または少なくとも12種類の食品調製物を含む。さらに意図される食品調製物は、オヒョウ、キャベツ、オレンジ、米(例えば、玄米、精白米等)、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから調製される。調製物の調製が可能なさらに特に意図される食品材料および食品添加物は、表1に列記している。
【0034】
変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者ならびに健常な対照群の被験者(すなわち、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった被験者)から得た体液を用いて、多数の更なる食品材料が特定されてもよい。かかる特定された食品材料は高い識別能を有し、したがって未調整p値で求めた場合のp値が≦0.15、または≦0.10、または≦0.05であり、ならびに/もしくは偽発見率(FDR)多重性調整p値で求めた場合のp値が≦0.10、または≦0.08、または≦0.07である。
【0035】
したがって、試験パネルが複数の食品調製物を有する場合、複数の異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値が≦0.05であるか、またはFDR多重性調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値が≦0.08であるか、または未調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値が≦0.025であるか、またはFDR多重性調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値が≦0.07であることが意図されている。一態様において、FDR多重性調整p値は、年齢および性別の少なくとも一方に関して調整されてもよく、時として、年齢および性別の両方に関して調整されてもよいことが理解されるべきである。一方で、試験キットまたは試験パネルが一方の性で用いるべく層別化される場合、試験キットあるいは試験パネルでは、一方の性に関して調整された場合に、複数の異なる食品調製物の少なくとも50%(そして、より典型的には70%またはすべて)が、未調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値は≦0.07であり、またはFDR多重性調整p値で求めた場合の識別上有効な平均p値が≦0.10であることも意図されている。さらに、それ以外の層別化(例えば、食事の好み、民族性、常住地、遺伝素因または家族歴等)についても意図されており、当業者であれば層別化の適切な選択について容易に判断するものであると理解されるべきである。
【0036】
本明細書における値の範囲の記載は、範囲内に収まる別々の値にそれぞれ個別に言及するための簡便な表記となることを意図したものにすぎない。本明細書において別段の示唆がない限り、各々の個別の値はそれぞれ、本明細書で個別に引用されるように、本明細書に組み込まれている。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段示唆されることがなく、明確に文脈と矛盾しない限り、あらゆる適切な順番で行うことが可能である。本明細書の特定の実施形態で用いられるあらゆる例または例示的な文言(例えば「など」)は、単に本発明をより明確に説明することを意図したものにすぎず、本発明の範囲に制限を設けるものではない。明細書中のいかなる文言も、任意の非請求の要素を、本発明の実施形態の実施に必須のものと指摘していると解釈されるべきではない。
【0037】
無論、試験キットまたは試験パネルの詳細なフォーマットは、大幅に変化させてもよく、意図されるフォーマットには、マイクロウェルプレート、マイクロ流体装置、計量棒、膜結合アレイ等が含まれる点に留意するべきである。結果的に、食品調製物が結合する固体担体は、マルチウェル(multiwall)プレートのウェル、マイクロ流体装置、
(例えば、色分けまたは磁性の)ビーズ、または吸着フィルム(例えば、ニトロセルロースもしくはミクロ/ナノ多孔性の重合体フィルム)、化学センサー、または電気センサー(例えば、プリント銅センサーやマイクロチップ)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、分子吸収および光検出器(例えば、表面プラズモン共鳴等)によるシグナル検出に適した固体担体が利用可能であることも意図されている。
【0038】
結果として、本発明者らはまた、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性を試験するための方法についても意図している。最も典型的には、かかる方法は、食品調製物を変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の体液(例えば、全血、血漿、血清、唾液、または糞便懸濁液)と接触させる工程を含むものであり、前述の場合、体液は性別認識と関連するものである。先に述べたように、接触の工程は、体液から得た免疫グロブリン(IgG、IgE、IgA、IgM、またはそれらの任意の組合せ)が食品調製物の少なくとも一つの成分と結合可能となる条件下で行い、次いで、食品調製物の成分(複数)と結合した免疫グロブリンを定量化/測定することによりシグナルを得る。一実施形態では、シグナルを、次いで、性別認識を用いて、食品調製物に関して性別で層別化された基準値(例えば、少なくとも90パーセンタイル値)と比較し、結果を得た後、得られた結果を用いてレポートの更新または作成を行う。一実施形態では、個別のアッセイの結果の集約結果としてレポートを作成することが可能である。
【0039】
最も一般的には、かかる方法は、単一の食品調製物に限られるものではなく、多様な異なる食品調製物を採用するものであろう。先に述べたように、適切な食品調製物は、後述するように、様々な方法を用いて特定することが可能であるが、食品調製物の一つの例示的な群には、チョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブが含まれる。さらに意図される食品調製物は、オヒョウ、キャベツ、オレンジ、米(例えば、玄米、精白米等)、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから調製される。食品調製物の調製が可能なさらに特に意図される食品材料および食品添加物を、表1に列記している。上記でも述べたように、少なくともいくつか、またはすべての異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合は識別上有効な平均p値が≦0.07(もしくは≦0.05、もしくは≦0.025)であり、ならびに/またはFDR多重性調整p値で求めた場合は識別上有効な平均p値が≦0.10(もしくは≦0.08、もしくは≦0.07)であることが、意図されている。
【0040】
食品調製物が、未処理の粗抽出液または未処理の濾過抽出物として単一の食品材料から調製されることが意図されている一方で、食品調製物は、複数の食品材料の混合物(例えば、レモン、オレンジおよびグレープフルーツを含む柑橘類の混合物、パン酵母およびビール酵母を含む酵母の混合物、玄米と精白米を含む米の混合物、蜂蜜、麦芽および甘蔗糖を含む糖類の混合物から調製可能であることも意図されている。いくつかの実施形態では、食品調製物が、精製された食品抗原または組換え型食品抗原から調製可能であることも意図されている。
【0041】
食品調製物は、固体の表面で(典型的には、所在の特定が可能となるように)固定化されるものと意図されている一方で、食品調製物の成分に結合したIgGまたは他の種類の抗体を測定する工程が、免疫測定試験(例えば、ELISA試験、抗体捕捉酵素免疫法、その他の種類の抗体捕捉アッセイ等)によって実施可能である。
【0042】
異なる視野から見ると、本発明らはまた、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者において食品不耐性の試験を行うための方法についても意図している。試験が変形性関
節症と既に診断されたまたは疑われた患者に適用されることから、著者は、該方法が変形性関節症の診断を主たる目的とするとは考えていない。むしろ、該方法は、変形性関節症と既に診断されたまたは疑われた患者において誘発食品材料を特定するためのものである。かかる試験は、典型的に、様々な異なる食品調製物に関して、一つ以上の試験(例えば、ELISA、抗体捕捉酵素免疫法の)の結果を得る工程を含むものであり、試験結果は変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者の体液(例えば、血液、唾液、糞便懸濁液)と、変形性関節症と診断されなかったまたは疑われなかった対照群の体液とに基づいて得られる。一実施形態では、試験結果を、次いで、異なる食品調製物の各々に関して性別で層別化し、異なる食品調製物の各々に対して男性患者および女性患者別に異なるカットオフ値(例えば、カットオフ値は、男性患者と女性患者とで少なくとも10%(絶対値)の差がある)が、所定のパーセンタイル順位(例えば、90または95パーセンタイル)に割り当てられる。
【0043】
先に述べたように、また本明細書に記載の実施形態を制限するものではないが、異なる食品調製物は、チョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブから成る群より選択される食品材料から調製される少なくとも2種類(または6種類、または10種類、または15種類)の食品調製物を含むことが意図されている。さらに意図される食品調製物は、オヒョウ、キャベツ、オレンジ、米(例えば、玄米、精白米等)、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターから調製される。食品調製物の調製が可能なさらに特に意図される食品材料および食品添加物を、表1に列記している。一方では、新たな食品材料を試験する場合、異なる食品調製物は、チョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブ以外の材料から調製される食品調製物を含むことが理解されるべきである。食品材料の特定の選択にかかわらず、一般的に、異なる食品調製物は、未調整p値で求めた場合は識別上有効な平均p値が≦0.07(もしくは≦0.05、もしくは≦0.025)であるか、またはFDR多重性調整p値で求めた場合は識別上有効な平均p値が≦0.10である(もしくは≦0.08、もしくは≦0.07)であることが意図されている。例示的な態様および実験計画書、ならびに考察は、以下の実験的記述に記載されている。
【0044】
このように、本明細書に記載される信頼性の高い検査システムを有することにより、偽陽性および偽陰性の割合は、特に、試験のシステムおよび方法が以下に示すように性別で層別化されるか性差に関して調整された場合に、顕著に低下させることが可能であると理解されるべきである。かかる利点は、これまで認識されることがなかったが、本明細書に示されるシステムおよび方法は、変形性関節症と診断されたまたは疑われた患者に対する食品感受性試験の予測能力を大幅に向上させるものと期待される。
【実施例】
【0045】
実験
食品調製物の生成に関する総合実験計画書
各別々の未加工の食品の可食部分から調製された市販の食品抽出物(バイオメリカ社、郵便番号92614、カリフォルニア州アーバイン、フォンカルマン通り17571より購入)を用い、メーカーの説明書に従ってELISAプレートを調製した。
【0046】
一定の実施形態において、いくつかの食品抽出物に関して、本発明者らは、食品抽出物生成の固有の手順で調製された食品抽出物が、変形性関節症患者においてIgG反応性が
高いことを検出する際に、市販の食品抽出物と比べより望ましい結果をもたらすことを発見している。例えば、穀物およびナッツ類については、食品抽出物生成での3段階の手順が望ましい。第1の工程は、脂肪を除去する工程である。この工程では、穀物およびナッツ類の粉末を無極性溶媒と接触させ、残留物を回収することで、穀物およびナッツ類から脂質が抽出される。次に、脱脂された穀物またはナッツの粉末は、粉末を高いpHに接触させて混合物を得、混合物から固体を除去して液体抽出物を得ることにより、抽出物を取り出す。一旦液体抽出物が生成されたら、液体抽出物に水性製剤を添加して安定させる。一実施形態では、水性製剤は、糖アルコール、金属キレート化剤、プロテアーゼ阻害薬、ミネラル塩、およびpH4~9の緩衝剤の20mM~50mMの緩衝成分を含んでいる。製剤を-70℃で長期保存させ、活性を損なわないように複数回の凍結融解を行う。
【0047】
別の実施例に関して、ある一定の実施形態では、肉および魚の場合、2段階の工程で食品抽出物を生成することが望ましい。第1の工程は、抽出工程である。この工程では、未加工、未調理の肉または魚からの抽出物が、未加工、未調理の肉または魚を高衝撃圧プロセッサにおいて水性緩衝剤で乳化させることで生成されている。次いで、固体物質を除去して液体抽出物を得る。一旦液体抽出物が生成されたら、液体抽出物に水性製剤を添加して安定させる。一実施形態において、水性製剤は、糖アルコール、金属キレート化剤、プロテアーゼ阻害薬、ミネラル塩、およびpH4~9の緩衝剤の20mM~50mMの緩衝成分を含んでいる。製剤を-70℃で長期保存させ、活性を損なわないように複数回の凍結融解を行う。
【0048】
さらに別の実施例では、果菜類の場合、2段階の手順で食品抽出物を生成することが望ましい。第1の工程は、抽出工程である。この工程では、果物または野菜の液体抽出物を、抽出器(例えば、粉砕ジューサ等)を用いて食品を破砕し液を抽出することで、生成している。次いで、固体物質を除去して液体抽出物を得る。一旦液体抽出物が生成されたら、液体抽出物に水性製剤を添加して安定させる。一つの実施形態では、水性製剤は、糖アルコール、金属キレート化剤、プロテアーゼ阻害薬、ミネラル塩およびpH4~9の緩衝剤の20mM~50mMの緩衝成分を含む。製剤を-70℃で長期保存させ、活性を損なわないように複数回の凍結融解を行う。
【0049】
ELISAプレートのブロッキング
シグナルノイズ比を最適化するために、プレートを、専用のブロッキング緩衝剤を用いてブロックした。一定の実施形態では、ブロッキング緩衝剤は、pH4~9の20mMから50mMの緩衝剤、動物由来の蛋白(例えば、牛肉、鶏肉)の蛋白および短鎖アルコール(例えば、グリセリン)を含んでいる。前述の基準を満たさなかった数種類の市販の調製物を含む他のブロッキング緩衝剤の利用も試みたが、十分なシグナルノイズ特性は得られず、求められる低い乖離度も得られなかった。
【0050】
ELISA調製物と標本の試験
食物抗原調製物を、メーカーの説明書に従って別々のマイクロタイターウェル上に固定した。アッセイでは、食品抗原を、患者の血清に存在する抗体と反応させ、過剰な血清蛋白を、洗浄工程によって除去した。結合しているIgG抗体を検出するために、酵素標識抗IgG抗体複合体を、抗原抗体複合体と反応させた。連結酵素と反応する基質を添加することによって発色が生じた。色彩強度を測定すると、特定の食品抗原に固有のIgG抗体の濃度と正比例していた。
【0051】
変形性関節症被験者と対照被験者とを区別するELISAシグナルの能力順に食品リストのランク付けを決定する方法
当初の選択(例えば、100種類の食品材料、または150種類の食品材料、あるいはそれ以上)から、対象とする集団での消費量が低いものは、分析前に標本を除外すること
が可能である。また、特に先の試験で、総括的な群内で(いくつかの実施形態における両方の性のみならず、他の実施形態における一方の性に対する相関性にも適した)異なる種の間の相関性が確立されている場合は、特定の食品材料をより多くのより総括的な食品群の代表として用いることが可能である。例えば、「トウガラシ」食品群の代表としてピーマンを優先して、トウガラシを除外する、あるいは「チーズ」食品群の代表としてアメリカンチーズを優先して、チェダーチーズを除外することが可能であろう。さらに別の一定の実施形態では、最終的な食品リストは、50種類の食品材料より少なく、また一定の実施形態では、40種類以下の食品材料になる。
【0052】
最終的に食品不耐性パネルに選ばれた食品は、固有の性に特化したものではないため、一定の実施形態では、性別的に中立な食品リストが望ましい。観測が行われた標本が性別によって不均等(例えば、対照群:女性72%、変形性関節症群:女性68%)であったため、厳密な性別によるELISAシグナルの幅度の相違は、一定の実施形態において、2標本t検定を用いて性別に対するシグナルスコアをモデル化し、残りのシグナルスコアを保存しさらに分析を行うことで、排除した。試験を行った食品の各々については、50,000回の再サンプリングによる2標本t検定で並べ替え検定を用いて、残りのシグナルスコアを変形関節症群と対照群との間で比較した。サッタースウェイト近似を分母の自由度に用いて分散の等質性の欠如を考慮すると、両側並び替えp値は、各々の食品の未調整p値を示した。比較間の偽発見率(FDR)は、任意の受け入れ可能な統計手法(例えば、Benjamini-Hochberg法、ファミリー基準過誤率(FWER)、比較基準過誤率(PCER)等)によって調整した。
【0053】
食品を、次いで、食品の両側FDR多重性調整p値の順に並べた。調整p値が望ましいFDR閾値以下の食品は、変形性関節症群において対照被験者より有意に高いシグナルスコアを有するとみなされるため、食品不耐性パネルに含める候補と考えた。統計手技の結果を代表する典型的な結果を、表2に示している。表2では、食品の順位は、FDRを調整した両側並べ替えt検定p値に従っている。
【0054】
特に一定の実施形態において、本発明者らは、試験が行われた同じ食品調製物に対してさえも、少なくとも数種類の食品材料に関するELISAスコアが劇的に変化することを発見しており、例示的な未処理のデータを表3に示している。したがって、容易に理解されるように、一定の実施形態では、性別で層別化されていないデータは、同じカットオフ値が男性のデータおよび女性のデータに関する未処理のデータに適用される場合、有意な説明能力を失うことになるであろう。かかる実施形態におけるかかる不利点を克服するために、本発明者らは、後述するように、データを性別で層別化した。
【0055】
個々の食品に関するカットポイントを選択するための統計的方法
どのELISAシグナルスコアが「陽性」反応を構成するかの判定は、対照被験者内のシグナルスコアの分布を集計することによって行った。一定の実施形態では、個々の食品に関して、対照被験者の分布の選択された四分位点以上のスコアが認められた変形性関節症被験者を、「陽性」と見なした。カットポイント判定においていずれか一人の被験者の影響を軽減するために、個々の食品に固有でありかつ性別に固有なデータセットは、ブートストラップで1000回再サンプリングした。個々のブートストラップ反復推定値の中で、対照群のシグナルスコアの90パーセンタイルおよび95パーセンタイルを求めた。ブートストラップ標本の個々の変形性関節症被験者を90パーセンタイルおよび95パーセンタイルと比較して、その被験者が「陽性」反応を示したかどうかを判定した。最終的な90パーセンタイルおよび95パーセンタイルに基づいた、個々の食品および性別に対するカットポイントを、1000の標本全体での、最終90パーセンタイルおよび95パーセンタイルの平均値として算出した。個々の変形性関節症被験者が「陽性」と評価された食品の数は、食品全体のデータを合併して算出した。かかる方法を用いることで、ここ
で本発明者らは、表4から分かるように、多くの場合に大きく異なる所定のパーセンタイル順位で、カットオフ値を特定することが可能となった。
【0056】
チョコレートに対する血中のIgG反応の性差に関する典型的な例は、
図1A、
図1B、
図1C、
図1Dに示しており、
図1Aは、男性の対照集団から求めた95パーセンタイルカットオフに従う男性におけるシグナル分布を示している。
図1Bは、90パーセンタイルおよび95パーセンタイルを超える男性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示しており、一方
図1Cは、女性の対照集団から求めた95パーセンタイルカットオフに従う女性でのシグナル分布を示している。
図1Dは、90パーセンタイルおよび95パーセンタイルを超える女性の変形性関節症被験者の百分率の分布を示している。同じ様式で、
図2A、
図2B、
図2C、
図2Dは、グレープフルーツに対する反応差を例示的に表している。
図3A、
図3B、
図3C、
図3Dは、蜂蜜に対する反応差を例示的に表しており、
図4A、
図4B、
図4C、
図4Dは、麦芽に対する反応差を例示的に表している。
図5A、
図5Bは、90パーセンタイルで(
図5A)および95パーセンタイル(
図5B)で誘発食品と特定された食品の数別に変形性関節症被験者の分布を示している。本発明者らは、特定の食品材料に関係なく、男性と女性での反応が、顕著に異っていたと考えている。
【0057】
当該分野では、変形性関節症と関連する性別で層別化された予測可能な食品群はいずれからも提供されていない点に留意するべきである。したがって、性別ごとに異なる反応を示す食品材料の発見は、本発明者らが期待していなかった予想外の結果である。換言すると、性別層別化に基づく食品材料の選択が、予想外の技術的効果をもたらすことで、男性または女性の変形性関節症患者内で誘発食品とされる特定の食品材料に関する統計的有意性が有意に改善されている。
【0058】
IgG反応データの正規化
患者のIgG反応結果の未処理データは、所定の食品の中で反応の強さを比較するのに使用可能であるが、患者のIgG反応結果は、正規化されかつ索引付けされて、所定の食品に対する反応の相対強度を比較するための単位のない数値を生成することも意図される。例えば、患者の食品特異的IgGの結果(例えば、麦芽に特異的なIgGおよびグレープフルーツに特異的なIgG)の一つ以上を、患者の総IgGに対して正規化することが可能である。麦芽に特異的な患者のIgGの正規化された値は、0.1となるはずであり、グレープフルーツに特異的な患者のIgGの正規化された値は、0.3となるはずである。この流れにおいて、患者のグレープフルーツに対する反応の相対強度は、麦芽と比較して3倍高くなる。そこで、患者のグレープフルーツおよび麦芽に対する感受性を、そのように索引付けすることが可能である。
【0059】
他の実施例では、患者の食品特異的IgGの結果(例えば、ロブスターに特異的なIgGおよび豚肉に特異的なIgG)の一つ以上を、その患者の食品特異的IgGの結果の全体平均に対して正規化することが可能である。患者の食品特異的IgGの全体平均値は、患者の食品特異的IgGの総量によって測定可能である。この流れにおいて、ロブスターに特異的な患者のIgGを、患者のすべての食品特異的IgGの平均(例えば、ロブスター、豚肉、イチョウガニ、鶏肉、エンドウ豆等に対するIgGレベルの平均)に対して正規化することが可能である。ただし、患者の食品特異的IgGの全体平均が、複数の試験を経て、食品の特定の種類に対する患者のIgGレベルによって、測定可能であることも意図されている。患者が、過去に、自己の感受性に関して、ロブスターで5回、豚肉で7回試験を行っている場合は、ロブスターまたは豚肉に対する患者の新たなIgG値を、ロブスターでの5回の試験結果の平均値か、または、豚肉での7回の試験結果の平均値に対して正規化する。ロブスターに特異的な患者のIgGの正規化された値は、6.0となるはずであり、豚肉に特異的な患者のIgGの正規化された値は、1.0となるはずである。この流れにおいて、患者は、今回は、ロブスターに対する自己の平均的な感受性と比べ
て、6倍高い感受性を示しているが、豚肉の場合と実質的に同程度の感受性である。そこで、ロブスターおよび豚肉に対する患者の感受性は、かかる比較に基づいて索引付けすることができる。
【0060】
変形性関節症の原因となる食品感受性を有する変形性関節症患者の亜集団を決定する方法
食品感受性が、変形性関節症の兆候および症状において重要な役割を果たす場合がある点が疑われる一方で、変形性関節症の原因となる食品感受性を有していない変形性関節症患者がいることもある。それらの患者では、変形性関節症の兆候および症状を治療するための食事療法の効果は得られない。かかる患者の亜集団を判定するために、変形性関節症患者および非変形性関節症患者の体液標本を、24種類の食品標本を備えた試験装置を用いてELISA試験により試験することが可能である。
【0061】
表5Aおよび表5Bは、例示的な未処理のデータを示している。容易に理解されるように、データは、90パーセンタイル値(表5A)または95パーセンタイル値(表5B)に基づいた90種類の標本食品から得た陽性結果の数を示す。第1列は、変形性関節症(n=120)であり、第2列は、ICD-10コードによる非変形性関節症(n=120)である。陽性食品の数の平均値および中央を、変形性関節症患者および非変形性関節症患者に関して計算した。表5Aおよび表5Bに示される未処理データから、陽性食品の数の平均および標準偏差を、変形性関節症患者および非変形性関節症患者に関して計算した。さらに、陽性食品がゼロの患者の数および百分率を、変形性関節症および非変形性関節症の両方に関して計算した。変形性関節症集団における陽性食品がゼロの患者の数および百分率は、90パーセンタイル値(表5A)に基づく場合、非変形性関節症集団で確認された数の半分未満(それぞれ15.8%と34.2%)であり、95パーセンタイルに基づくと、変形性関節症集団における陽性食品がゼロの患者の数および百分率もまた、非変形性関節症集団で確認された数の半分未満(それぞれ20.8%と47.5%)であった(表5B)。このことから、感受性を示す陽性食品がゼロの変形性関節症患者は、変形性関節症の自己の兆候および症状の原因となる食品感受性を有する可能性が低いことが、容易に理解されよう。
【0062】
表6Aおよび表7Aは、表5Aに示される二つの患者集団の未処理データを集計した例示的な統計データを示している。統計データは、変形性関節症集団および非変形性関節症集団における、陽性食品の数を表わす平均値および中央値に関する正規性、算術平均、中央値、パーセンタイルおよび95%信頼区間(CI)を含んでいる。表6Bおよび表7Bは、表5Bに示す二つの患者集団の未処理データを集計した例示的な統計データを示している。統計データは、変形性関節症集団および非変形性関節症集団における、陽性食品の数を表わす平均値および中央値に関する正規性、算術平均、中央値、パーセンタイルおよび95%信頼区間(CI)を含んでいる。
【0063】
表8Aおよび表9Aは、表5Aに示す二つの患者集団の未処理データを集計した別の例示的な統計データを示している。表8Aおよび表9Aでは、未処理データが対数変換によって変換されて、データの解読性を向上が図られている。表8Bおよび表9Bは、表5Bに示す二つの患者集団の未処理データを集計した別の例示的な統計データを示している。表8Bおよび表9Bでは、未処理データが対数変換によって変換されて、データの解読性を向上が図られている。
【0064】
表10Aおよび表11Aは、独立したt検定(表10A、対数変換されたデータ)とマン・ホイットニー検定(表11A)の例示的な統計データを示して、変形性関節症標本と非変形性関節症標本とでの陽性食品の幾何平均数を比較している。表10Aおよび表11Aに示されるデータは、変形性関節症集団と非変形性関節症集団とでの陽性食品の数の幾何平均値において、統計的に有意な差を示している。両方の統計的検定で、90種類の食
品標本での陽性反応の数は、非変形性関節症集団より変形性関節症集団において優位に高く、識別上有効な平均p値が≦0.0001であることが示されている。これらの統計データはまた、
図6Aでは箱髭図として、
図6Bではノッチ付き箱髭図として図示されている。
【0065】
表10Bおよび表11Bは、独立したt検定(表10A、対数変換されたデータ)とマン・ホイットニー検定(表11B)の例示的な統計データを示して、変形性関節症標本と非変形性関節症標本とでの陽性食品の幾何平均数を比較している。表10Bおよび表11Bに示されるデータは、変形性関節症集団と非変形性関節症集団とでの陽性食品の数の幾何平均値において、統計的に有意な差を示している。両方の統計的検定で、90種類の食品標本での陽性反応の数は、非変形性関節症集団より変形性関節症集団において優位に高く、識別上有効な平均p値が≦0.0001であることが示されている。これらの統計データはまた、
図6Cでは箱髭図として、
図6Dではノッチ付き箱髭図として図示されている。
【0066】
表12Aは、表5A~表11Aに示されたデータの受信者動作特性(ROC)曲線分析の例示的な統計データを示して、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者の区別において、表5の試験で用いられる診断能力を決定している。6種類を超える陽性食品のカットオフ基準を用いる場合、試験がデータを生じる際の感受性は72.4%で特異度は72.2%となり、曲線下面積(AUROC)は0.771である。ROCに関するp値は、<0.0001のp値において有意である。
図7Aは、表12Aに示される統計データに対応するROC曲線を示す。試験成績を陽性(食品)数6でカットオフする場合、変形性関節症集団と非変形性関節症集団の間で統計差が有意であることから、患者の試験で陽性となった食品の数を、変形性関節症の一次臨床診断ならびに食品感受性が患者の変形性関節症の兆候および症状の原因となっていると考えられるかどうかの確認に用いることが可能であろう。したがって、上記の試験は、変形性関節症の診断における現在利用可能な臨床基準に追加する別の『組入れ』試験として用いることが可能である。
【0067】
表5A~表12Aおよび
図7Aに示すように、90パーセンタイルのデータに基づくと、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者の対比で見られる陽性食品の数は、データの幾何平均値または中央値のいずれを比較しても、有意に異なっている。一人の人間が有する陽性食品の数は、被験者における変形性関節症の存在を示唆している。試験は、感受性約53%と特異度約81%での、変形性関節症を検出するための識別能力を有する。さらに、陽性食品がゼロの被験者の絶対数および百分率もまた、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者の対比において極めて異なっており、変形性関節症被験者では、陽性食品がゼロの百分率は非変形性関節症被験者(34%)に比してはるかに低い(16%)。データは、変形性関節症患者の亜集団が、食事以外の別の要因により変形性関節症に罹患しており、食事制限によって利益を得る可能性がないことを示唆している。
【0068】
表12Bは、表5B~表11Bに示されたデータの受信者動作特性(ROC)曲線分析の例示的統計データを示しており、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者を識別するため、表5で用いられる試験の診断能力を決定している。6種類を超える陽性食品のカットオフ基準を用いる場合、試験がデータを生じる際の感受性は67%で特異度は65%となり、曲線下面積(AUROC)は0.713となる。ROCに関するp値は、<0.0001のp値において有意である。
図7Bは、表12Bに示された統計データに対応するROC曲線を示す。試験成績を陽性(食品)数6でカットオフする場合、変形性関節症集団と非変形性関節症集団の間で統計差が有意であることから、患者の試験で陽性となった食品の数を、変形性関節症の一次臨床診断ならびに食品感受性が患者の変形性関節症の兆候および症状の原因となっていると考えられるかどうかの確認に用いることが可能であろう。したがって、上記の試験は、変形性関節症の診断における現在利用可能な臨床基準
に追加する別の『組入れ』試験として用いることが可能である。
【0069】
表5B~表12Bおよび
図7Bに示すように、95パーセンタイルのデータに基づくと、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者の対比で見られる陽性食品の数は、データの幾何平均値また中央値のいずれを比較しても、有意に異なっている。一人の人間が有する陽性食品の数は、被験者における変形性関節症の存在を示唆している。試験は、感受性約67%と特異度約65%での、変形性関節症を検出するための識別能力を有する。さらに、陽性食品がゼロの被験者の絶対数および百分率もまた、変形性関節症被験者と非変形性関節症被験者の対比において極めて異なっており、変形性関節症被験者では、陽性食品がゼロである百分率は非変形性関節症被験者(48%)に比してはるかに低い(20%)。データは、変形性関節症患者の亜集団が、食事以外の別の要因により変形性関節症に罹患しており、食事制限によって利益を得る可能性がないことを示唆している。
【0070】
「陽性」と断定された食品の一人当たりの数の分布を判定する方法
「陽性」食品の一人当たりの数の分布判定し、診断能力を測定するために、変形性関節症患者が最も多く陽性反応を示した表1の食品材料から90種類を選び、分析を実施した。90種類の食品には、チョコレート、グレープフルーツ、蜂蜜、麦芽、ライ麦、パン酵母、ビール酵母、ブロッコリー、コーラナッツ、タバコ、マスタード、ピーマン、ソバ、アボカド、甘蔗糖、カンタループ、ニンニク、キュウリ、カリフラワー、ヒマワリ種子、レモン、イチゴ、ナス、小麦、オリーブ、オヒョウ、キャベツ、オレンジ、米、サフラワー、トマト、アーモンド、オート麦、オオムギ、桃、ブドウ、ジャガイモ、ホウレンソウ、シタビラメおよびバターが含まれる。この分析においていずれか一人の被験者の影響を軽減するために、個々の食品に固有でありかつ性別に固有なデータセットは、ブートストラップで1000回再サンプリングした。次いで、ブートストラップ標本の各食品材料に関して、性別固有のカットポイントを、対照集団の90パーセンタイルおよび95パーセンタイルを用いて求めた。一旦性別固有のカットポイントを求めたら、性別固有のカットポイントを、対照群と変形関節症被験者の両方において、観測したELISAシグナルスコアと比較した。この比較において、観測されたシグナルがカットポイント値以上である場合は、「陽性」食品と判定し、観測されたシグナルがカットポイント値未満である場合は、「陰性」食品と判定した。
【0071】
一旦すべての食品材料について陽性か陰性の判定を行ったら、各々の被験者における180(食品90種類×二つのカットポイント)評定の結果を、各々のブートストラップ反復推定値内に保存した。そして、各々の被験者に関して、90の判定を、90パーセンタイルをカットポイントとして用いて集計し、「陽性食品数(90パーセンタイル)」を求め、残りの90評定を、95パーセンタイルをカットポイントとして用いて集計し、「陽性食品数(95パーセンタイル)」を求めた。次いで、各反復推定値内で、「陽性食品数(90パーセンタイル)」および「陽性食品数(95パーセンタイル)」を、被験者全体で集計し、以下のように、各反復推定値に対して記述統計を求めた。1)全体平均値は平均値群の平均と等しく、2)全体標準偏差は標準偏差の平均値と等しく、3)全体中央値は中央値の平均と等しく、4)全体最小値は最小値群中の最小値と等しく、5)全体最大値は最大値群中の最大値と等しい。本分析では、本著者らは、非整数の「陽性食品数」を回避するために、度数分布およびヒストグラムを計算する際に、元のデータセットの1000回の反復が、同じ規模の実際には999組の新たな被験者が元の標本に追加されたように模した。データの集計を行った後、度数分布およびヒストグラムを、「陽性食品数(90パーセンタイル)」および「陽性食品数(95パーセンタイル)」の両方に関して、プログラム「a_pos_foods.sas、a_pos_foods_by_dx.sas」を用いて、両方の性別ごとに、および変形性関節症被験者と対照被験者の両方に対して作成した。
【0072】
診断性能を測定する方法
個々の食品材料について各々の被験者に行う診断の性能を測定するために、上記の各々のブートストラップ反復推定値内の各々の被験者に対して、「陽性食品数(90パーセンタイル)」および「陽性食品数(95パーセンタイル)」のデータを用いた。この分析では、カットポイントを、1に設定した。したがって、被験者の「陽性食品数(90パーセンタイル)」が1以上の場合、被験者を「変形性関節症有り」と評定する。被験者の「陽性食品数(90パーセンタイル)」が1未満の場合、被験者は「変形性関節症なし」と評定する。すべての評定が終了したら、評定を実際の診断と比較して、評定が真陽性(TP)、真陰性(TN)、偽陽性(FP)または偽陰性(FN)のいずれであるかを判定した。比較を被験者全体で集計し、「陽性食品数(90パーセンタイル)」および「陽性食品数(95パーセンタイル)」の両方に関して、カットポイントを各方法において1に設定した時の、感受性、特異度、陽性予測値および陰性予測値の能力指標を求めた。(感受性、1-特異度)の個々のペアは、この反復推定値に関するROC曲線上の一点になる。
【0073】
精度を高めるべく、上記の分析を、カットポイントを2から24まで増加させることによって繰り返し、1000のブートストラップ反復推定値の各々に対して繰り返した。次いで、1000のブートストラップ反復推定値全体で能力指標を、プログラム「t_pos_foods_by_dx.sas」を用いて平均値を計算することによって、集計した。女性および男性における診断性能の結果は、表13(90パーセンタイル)および表14(95パーセンタイル)に示している。
【0074】
無論、本明細書に記載される主題の一般的な範囲を改変しない限りにおいて、食品調製物の一定の変更が可能であるということを認識するべきである。例えば、食品材料が黄タマネギであった場合、食品材料はまた、試験で同等の能力を有することが示された他のタマネギの種類をも含むものと理解されるべきである。実際に、本発明者らは、各々の試験した食品調製物に関して、一定の他の関連する食品調製物も同様または等価の方法(データ省略)で試験したことを記す。したがって、各々の試験されたおよび特許請求される食品調製物が、試験において同等または等価の反応が実証された等価の関連の調整物を有するであろう点を認識するべきである。
【0075】
すでに記載されるもの以外にさらに多くの変更が、本明細書に記載の概念を逸脱しない限りにおいて可能であることは、当業者には明白である。本発明の主題は、したがって、添付の特許請求の範囲の精神の範囲内にある限り、制限されるものではない。また、本明細書および特許請求の範囲の解釈において、すべての用語は、文脈と矛盾しない限りにおいて最も広義に解釈されるべきである。特に、用語「comprises(含む)」や「comprising(から成る)」は、要素、成分、または工程を非排他的に記載するものであって、それらの参照された要素、成分、または工程が、明示的には参照されていない、他の要素、成分、工程とともに存在する、利用する、または組み合わせることが可能であることを示していると解釈するべきである。明細書、特許請求の範囲が、A、B、C・・・Nから成る群より選択される少なくとも一つの何かについて言及している場合、本文の記載は、群からの1つの要素のみを要件としており、Aに加えてN、またはBに加えてNなどの複数の要素を要件とするものではないと、解釈されるべきである。