(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】人体用微細水放出装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20240220BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20240220BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20240220BHJP
B05B 15/60 20180101ALI20240220BHJP
【FI】
A61H33/12 P
A61H33/12 G
A61H33/12 A
A45D44/22 E
B05B17/00 102
B05B15/60
(21)【出願番号】P 2019139694
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 謡子
(72)【発明者】
【氏名】井上 慎介
(72)【発明者】
【氏名】平野 明良
(72)【発明者】
【氏名】宮部 晶之
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176658(JP,A)
【文献】特開2017-116130(JP,A)
【文献】特開2016-131569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00-37/00
A45D 44/22
B05B 17/00-17/08
B05B 15/60-15/68
A61M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸湿する吸湿状態となり、該吸湿した水分を温度上昇により前記導電性高分子膜から微細水として放湿する放湿状態となる複数の微細水発生部を備え、人体に向けて微細水を放出する人体用微細水放出装置であって、
前記複数の微細水発生部へ個別に送風可能となるように前記複数の微細水発生部のそれぞれに対応して配置され、前記微細水発生部に対し、空気が流通するように送風する送風部と、
通電有無により前記微細水発生部の温度が変化するように、前記複数の微細水発生部へ個別に通電可能な通電部と、
前記複数の微細水発生部が前記吸湿状態と前記放湿状態とを個別に切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御可能な制御部と、
を備え、
前記複数の微細水発生部は、前記送風部の送風により互いに他の前記微細水発生部を通過させることなく微細水を放出するように、前記送風部の送風による空気の流通方向を横切る方向に並んで配置されており、
前記制御部は、前記複数の微細水発生部が所定の順番で前記放湿状態になると共に送風により微細水を放出する所定の放湿モードで前記通電部と前記送風部とを制御し、前記複数の微細水発生部のうち少なくとも1つが前記吸湿状態にある間に、前記送風部が前記放湿モードの微細水発生部のうち少なくとも1つの微細水発生部に送風することにより途切れなく微細水を放出する
人体用微細水放出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人体用微細水放出装置であって、
複数の放湿モードのうち1の放湿モードの選択を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記所定の放湿モードと、前記複数の微細水発生部が一斉に前記放湿状態になると共に送風により微細水を放出する放湿モードとを含む前記複数の放湿モードのうち選択された放湿モードで、前記通電部と前記送風部とを制御する
人体用微細水放出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人体用微細水放出装置であって、
前記制御部は、前記放湿モードでの運転を終了する前に、前記複数の微細水発生部への通電が停止された状態で一斉に送風するように、前記通電部と前記送風部とを制御する
人体用微細水放出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の人体用微細水放出装置であって、
装置本体に旋回可能に取り付けられ、先端にヘッドが取り付けられたアームを備え、
前記複数の微細水発生部は、各々が前記ヘッドから微細水を放出可能となるように前記ヘッドに並列に配置されている
人体用微細水放出装置。
【請求項5】
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸湿する吸湿状態となり、該吸湿した水分を温度上昇により前記導電性高分子膜から微細水として放湿する放湿状態となる複数の微細水発生部を備え、人体に向けて微細水を放出する人体用微細水放出装置であって、
前記複数の微細水発生部は、並列に配置されており、
前記微細水発生部に対し、空気が流通するように送風する送風部と、
通電有無により前記微細水発生部の温度が変化するように、前記複数の微細水発生部へ個別に通電可能な通電部と、
前記複数の微細水発生部が前記吸湿状態と前記放湿状態とを個別に切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御可能な制御部と、
装置本体に旋回可能に取り付けられ、先端にヘッドが取り付けられたアームと、
を備え、
前記複数の微細水発生部は、各々が前記ヘッドから微細水を放出可能となるように前記ヘッドに並列に配置されていると共に、前記ヘッドの中心に対して対称に複数対配置されており、
前記制御部は、各対の前記微細水発生部が同じタイミングで前記吸湿状態と前記放湿状態とを切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御する
人体用微細水放出装置。
【請求項6】
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸湿する吸湿状態となり、該吸湿した水分を温度上昇により前記導電性高分子膜から微細水として放湿する放湿状態となる複数の微細水発生部を備え、人体に向けて微細水を放出する人体用微細水放出装置であって、
前記複数の微細水発生部は、並列に配置されており、
前記微細水発生部に対し、空気が流通するように送風する送風部と、
通電有無により前記微細水発生部の温度が変化するように、前記複数の微細水発生部へ個別に通電可能な通電部と、
前記複数の微細水発生部が前記吸湿状態と前記放湿状態とを個別に切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御可能な制御部と、
を備え、
前記複数の微細水発生部が複数の組に分けられており、
前記制御部は、前記組毎に前記吸湿状態と前記放湿状態とを切り替えて送風することにより微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御する
人体用微細水放出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体用微細水放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の顔などの施術対象に向けて水分を放出可能な装置が知られている。例えば、特許文献1には、タンク内に貯留された水をヒータにより加熱して発生させた蒸気を、蒸気導入管を介して施術対象に放出する装置が記載されている。また、特許文献2には、空気中の水分を吸湿する吸湿状態と、吸湿した水分を放湿する放湿状態とに変化することで微細水を発生させる複数の吸放湿ユニットを、空気の流れの方向に沿って直列(一列)に並べて配置した装置が記載されている。この装置では、各吸放湿ユニットをそれぞれ独立して吸湿状態または放湿状態となるように制御して、微細水を施術対象に放出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭57-74041
【文献】特開2017-116130
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献2の装置では、特許文献1の装置のように、タンクに水を補給する手間がなく、また、高温の蒸気を放出しないから各部を耐熱構造にする必要もない。しかし、吸放湿ユニットが直列に並んでいるため、空気の上流側の吸放湿ユニットから放湿された微細水が、下流側の吸放湿ユニットで吸湿されないようにする必要がある。このため、各吸放湿ユニットを吸湿状態とした上で、上流側の吸放湿ユニットから下流側の吸放湿ユニットへ順に放湿状態としていき、放湿が完了した吸放湿ユニットを再び吸湿状態とするように制御している。ただし、最も下流側の吸放湿ユニットが最後に放湿状態とされて放湿が完了してから、その吸放湿ユニットが吸湿状態となって吸湿が完了するまで上流側の吸放湿ユニットから放湿するのを待つ必要がある。このように、吸放湿ユニットを複数備えていても運転に制約が生じることがあるから、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、微細水の発生部を複数備えるものにおいて、運転の制約を抑えて施術対象に適した運転を可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の人体用微細水放出装置は、
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸湿する吸湿状態となり、該吸湿した水分を温度上昇により前記導電性高分子膜から微細水として放湿する放湿状態となる複数の微細水発生部を備え、人体に向けて微細水を放出する人体用微細水放出装置であって、
前記複数の微細水発生部は、並列に配置されており、
前記微細水発生部に対し、空気が流通するように送風する送風部と、
通電有無により前記微細水発生部の温度が変化するように、前記複数の微細水発生部へ個別に通電可能な通電部と、
前記複数の微細水発生部が前記吸湿状態と前記放湿状態とを個別に切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御可能な制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の人体用微細水放出装置は、複数の微細水発生部が並列に配置されており、通電有無により微細水発生部の温度が変化するように複数の微細水発生部へ個別に通電可能な通電部を備え、複数の微細水発生部が個別に吸湿状態と放湿状態とを切り替えて送風により微細水を放出するように通電部と送風部とを制御可能である。これにより、複数の微細水発生部は、他の微細水発生部の状態に拘わらず任意のタイミングで放湿状態に切り替えることが可能となり、運転の制約を抑えることができるから、顔や頭髪などの人体の施術対象(放出対象)に適した運転が可能となる。なお、微細水発生部は、導電性高分子膜から、無帯電且つ粒径が50ナノメートル以下の微細水として放湿するものなどとする。そのようにすると、施術対象に微細水を放出した際に、微細水が肌や髪の毛などに浸透し易く、保湿効果を高めることができる。また、肌や髪の毛に薬剤を塗った場合には、肌や髪の毛に対し、薬剤の浸透効果を高めることができる。
【0009】
本発明の人体用微細水放出装置において、前記送風部として、前記複数の微細水発生部のそれぞれに対応して配置された複数のファンを備えるものとすることもできる。こうすれば、複数の微細水発生部へ個別に送風可能な構成を簡易な構成とすることができる。なお、1の微細水発生部と1のファンとをユニット化した放出ユニットが、並列に複数配置されるように構成するものとしてもよい。
【0010】
本発明の人体用微細水放出装置において、前記送風部は、前記複数の微細水発生部へ個別に送風可能であり、前記制御部は、前記複数の微細水発生部が所定の順番で前記放湿状態になると共に送風により微細水を放出する所定の放湿モードで、前記通電部と前記送風部とを制御するものとすることもできる。こうすれば、微細水を継続的に放出しやすくなるから、施術対象へ微細水を安定的に供給することができる。
【0011】
本発明の人体用微細水放出装置において、複数の放湿モードのうち1の放湿モードの選択を受け付ける受付部を備え、前記制御部は、前記所定の放湿モードと、前記複数の微細水発生部が一斉に前記放湿状態になると共に送風により微細水を放出する放湿モードとを含む前記複数の放湿モードのうち選択された放湿モードで、前記通電部と前記送風部とを制御するものとすることもできる。複数の微細水発生部が一斉に放湿状態になる放湿モードでは、施術対象の周囲に多量の微細水が存在する状態を作ることができるから、施術対象に微細水を十分に供給することが可能となる。また、複数の放湿モードのうち、施術対象に合わせて1の放湿モードを選択することができるから、施術対象により適した運転が可能となる。なお、各放湿モードでは、放湿状態では微細水を放出する所定方向に送風するように送風部を制御し吸湿状態では所定方向とは逆方向に送風するように送風部を制御してもよいし、吸湿状態と放湿状態のいずれも所定方向に送風するように送風部を制御してもよい。
【0012】
本発明の人体用微細水放出装置において、前記制御部は、前記放湿モードでの運転を終了する前に、前記複数の微細水発生部への通電が停止された状態で一斉に送風するように、前記通電部と前記送風部とを制御するものとすることもできる。こうすれば、運転終了前に施術対象に向けて比較的低温の風を送風することになるから、人体の肌の引き締め効果などを発揮すると共に運転終了を報知することができる。また、導電性高分子膜の温度を低下させて吸湿状態とするから、次の運転の準備も行うことができる。
【0013】
本発明の人体用微細水放出装置において、装置本体に旋回可能に取り付けられ、先端にヘッドが取り付けられたアームを備え、前記複数の微細水発生部は、各々が前記ヘッドから微細水を放出可能となるように前記ヘッドに並列に配置されているものとすることもできる。こうすれば、施術対象と各微細水発生部とを近付けた状態で施術対象に微細水を放出することができるから、施術対象に微細水を効率よく供給することができる。
【0014】
本発明の人体用微細水放出装置において、前記複数の微細水発生部は、前記ヘッドの中心に対して対称に複数対配置されており、前記制御部は、各対の前記微細水発生部が同じタイミングで前記吸湿状態と前記放湿状態とを切り替えて送風により微細水を放出するように、前記通電部と前記送風部とを制御するものとすることもできる。こうすれば、施術対象の周囲に微細水が分散するように放出することができるから、施術対象に微細水を満遍なく供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】微細水放出装置10の正面図および側面図である。
【
図3】微細水放出装置10の構成の概略を示す構成図である。
【
図5】微細水放出ユニット40の構成の概略を示す構成図である。
【
図6】微細水発生カートリッジ42の構成の概略を示す構成図である。
【
図7】微細水放出ユニット40の制御パターンの一例を示す説明図である。
【
図8】微細水放出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】順番放湿モードの運転サイクルの一例を示す説明図である。
【
図10】一斉放湿モードの運転サイクルの一例を示す説明図である。
【
図11】順番放湿モードで運転する様子の説明図である。
【
図12】変形例の微細水放出装置10Bの構成の概略を示す構成図である。
【
図13】変形例の微細水放出ユニット140の構成の概略を示す構成図である。
【
図14】微細水放出装置10Bを順番放湿モードで運転する様子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、微細水放出装置10の外観斜視図であり、
図2は、微細水放出装置10の正面図および側面図であり、
図3は、微細水放出装置10の構成の概略を示す構成図である。なお、
図2(a)が正面図、
図2(b)が側面図である。本実施形態の微細水放出装置10は、顔の肌や頭髪などの人体の施術対象に向けて微細水を放出する美容用途や医療用途などに用いられる。この微細水放出装置10は、
図1~
図3に示すように、装置本体20と、可動アーム21と、放出ヘッド30とを備える。可動アーム21は、装置本体20の上部に上下方向に伸縮可能で水平方向に旋回可能に取り付けられた第1アーム21aと、第1アーム21aの先端に水平方向に旋回可能に取り付けられた第2アーム21bとにより構成されている。第2アーム21bの先端には、放出ヘッド30の保持アーム34が水平方向に旋回可能に取り付けられている。このため、放出ヘッド30は、装置本体20に対して上下、左右、前後方向に移動や旋回が可能となり、施術対象に適した位置に調整することができる。
【0018】
放出ヘッド30は、側面視で円弧状に湾曲したヘッド本体32と、ヘッド本体32を保持すると共に第2アーム21bに取り付けられヘッド本体32の上面に沿って湾曲した保持アーム34と、ヘッド本体32内に複数配置された微細水放出ユニット40と、を備える。
図4は、放出ヘッド30の斜視図であり、
図5は、微細水放出ユニット40の構成の概略を示す構成図であり、
図6は、微細水発生カートリッジ42の構成の概略を示す構成図である。
図4(a)は、放出ヘッド30の外観の全体斜視図であり、
図4(b)は、放出ヘッド30の内部の部分斜視図である。また、
図6(a)は、微細水発生カートリッジ42の構成を示す斜視図であり、
図6(b)は、微細水発生素子44の構成を示す断面図である。この放出ヘッド30のヘッド本体32には、
図4(a)に示すように、微細水放出ユニット40が並列に複数(例えば8個)配置されている。8個の微細水放出ユニット40は、隣接する2個を1組として4組配置されると共に、放出ヘッド30の中心C(旋回中心)に対し点対称となる位置に2個ずつ対となって配置されている。この2個一対の微細水放出ユニット40を、それぞれ微細水放出ユニット40(1),(2),(3),(4)とする。微細水放出ユニット40は、
図5に示すように、それぞれ、1の微細水発生カートリッジ42と、1のファン45と、フィルタ47a,47bとを備える。
【0019】
微細水発生カートリッジ42は、略円筒状のケース43内に微細水発生素子44が収容されており、ケース43の一端側にフィルタ47aが取り付けられると共に他端側にフィルタ47bが取り付けられている。ファン45は、図示しないモータにより回転駆動するプロペラファンであり、略円筒状のケース46内に収容されている。なお、ファン45は、シロッコファンなどとしてもよい。微細水発生カートリッジ42のケース43と、ファン45のケース46とは、略同じ内径に形成されており、放出ヘッド30内で一の円筒状の流路41を形成する。ファン45は、モータの正回転により、フィルタカバー35を介してケース46の一端の吸入口41aから流路41内に空気を吸入する。流路41内に吸入された空気は、フィルタ47aと微細水発生カートリッジ42の微細水発生素子44とフィルタ47bとを流通し、ケース43の一端の吐出口41bからフィルタカバー36を介して外部に送風される。なお、各微細水放出ユニット40は、軸中心がヘッド本体32の円弧に直交するように配置されている。このため、複数のファン45は、それぞれ流路41から円弧中心O(
図2参照)に向けて送風する。また、
図4(b)に示すように、ヘッド本体32には、隣接する2個1組の微細水放出ユニット40のフィルタカバー36の周りに、中央が括れた長円形状の1個のLEDライト38が設けられている。このため、ヘッド本体32が施術対象者の顔に対向するように位置が調整された場合、施術対象者はLEDライト38の光を視認することができる。
【0020】
微細水発生カートリッジ42の微細水発生素子44は、
図6に示すように、基材44aと、基材44aの表面に形成された導電性高分子膜44bとにより構成されている。基材44aは、ステンレス系金属や銅系金属などの金属材料、炭素材料、導電性セラミックス材料などの導電性を有する材料で形成されている。本実施形態では、アルミニウムが添加されたステンレス鋼の金属箔を用いる。なお、微細水発生素子44は、空気を流通可能であって基材44a(導電性高分子膜44b)の表面積ができるだけ大きくなるように、平板状に形成された複数枚の基材44aにより構成されてもよいし、ハニカム状や渦巻き状などに形成された基材44aにより構成されてもよい。
【0021】
導電性高分子膜44bは、チオフェン系の導電性高分子などの導電性を有する高分子化合物で形成されている。本実施形態では、チオフェン系の導電性高分子のうち、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸))で形成されている。PEDOT/PSSは、PEDOTのコアと、水素結合可能な酸性官能基であるスルホン酸基のシェルとを有するコアシェル構造である。また、導電性高分子膜44b中では、PEDOT/PSSのシェルが整列した積層構造をとり、各シェルの間に例えば2ナノメートルなどのナノメートルサイズの流路であるナノチャンネルを形成する。このナノチャンネル内には、スルホン酸基が多く存在するため、導電性高分子膜44bの表面に存在する水分は、表面の水分量が多く内部の水分量が少ない場合に、表面と内部の濃度差によってナノチャンネル内のスルホン酸基を伝って内部に移動する。これにより、導電性高分子膜44bが水分を吸湿(吸着)する。また、内部に水分が吸湿された状態で、表面の水分量が少なく内部の水分量が多い場合に、水分は表面と内部の濃度差によってナノチャンネル内のスルホン酸基を伝って表面に移動する。これにより、導電性高分子膜44bから水分が微細水として放湿される。また、後述する電源部24からの通電により導電性高分子膜44bの温度を上昇させると、濃度差のみで移動する場合に比して水分(微細水)の速やかな放湿が促され、電源部24からの通電を停止した状態でファン45の送風を行って導電性高分子膜44bの温度を低下させると、濃度差のみで移動する場合に比して水分の速やかな吸湿が促される。このように、微細水発生カートリッジ42(微細水発生素子44)は、温度低下により導電性高分子膜44bに空気中の水分を吸湿する吸湿状態に変化し、吸湿した水分を温度上昇により導電性高分子膜44bから放湿する放湿状態に変化することになる。なお、導電性高分子膜44bの厚みは、必要な微細水の吸湿量(放湿量)に応じて適宜定めることができる。例えば、導電性高分子膜44bの厚みが1~30マイクロメートルなどとなるように形成される場合、10秒から数10秒程度の時間で、微細水を放出するのに十分な水分を吸湿することができるものとなる。
【0022】
また、微細水発生カートリッジ42は、微細水発生素子44の導電性高分子膜44bから、水粒子の粒径が50ナノメートル以下、例えば粒径が2ナノメートル以下であって、無帯電の微細水を発生させる。このような粒径となる理由は、ナノチャンネルのサイズが2ナノメートルまたはそれ以下のサイズであるため、導電性高分子膜の温度上昇によるナノチャンネル内の水の運動性向上や圧力上昇により、ナノチャンネルから水分が飛び出す現象のためと考えられる。また、飛び出した後に水粒子同士が凝集しても、その粒径は50ナノメートル以下の範囲に分布するものとなっている。このような微細水発生カートリッジ42(導電性高分子膜44b)の微細水発生の詳細な説明は、本願出願人の特願2018-172166号の明細書などに記載されているため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0023】
装置本体20は、制御部22と、電源部24と、操作部28とを備える。操作部28は、装置本体20の上面に設けられ、電源のオンオフや運転モードの選択、省エネの選択などを行う複数の操作スイッチや操作ボタンにより構成されている。電源部24は、AC100Vなどの電力が供給され、ファン45のモータや微細水発生カートリッジ42(微細水発生素子44)、LEDライト38などの各部の駆動に適した電力に必要に応じて変換して出力する電源回路25と、各部への通電有無を切り替える切替スイッチ26、27とを備える。制御部22には、操作部28からの操作信号が入力される。また、制御部22は、各微細水放出ユニット40の微細水発生カートリッジ42(微細水発生素子44)への通電有無をそれぞれ切り替える切替スイッチ26を制御したり、各微細水放出ユニット40のファン45の作動有無をそれぞれ切り替える切替スイッチ27を制御したりする。なお、
図5では、LEDライト38への通電有無を切り替える構成の図示は省略する。
【0024】
ここで、
図7は微細水放出ユニット40の制御パターンの一例を示す説明図である。
図7(a)は、ファン45を正回転および逆回転させる双方向回転制御のパターンであり、
図7(b)は、ファン45を逆回転させずに正回転させる一方向回転制御のパターンである。
図7(a)の双方向回転制御では、微細水発生カートリッジ42(微細水発生素子44)への通電を停止してファン45を逆回転させることで、微細水発生素子44の冷却と、冷却により比較的低温となった導電性高分子膜44bに水分を吸湿させる。次に、ファン45を停止して微細水発生カートリッジ42に通電することで、微細水発生素子44を昇温する加熱を行う。そして、微細水発生カートリッジ42に通電してファン45を正回転させることで、比較的高温となった導電性高分子膜44bから微細水を放湿させて、送風により外部に放出する。このように、冷却、吸湿、加熱、放湿を1サイクルとし、このサイクルの繰り返しで各微細水放出ユニット40を制御する。また、双方向回転制御では、放湿時に施術対象に向けて送風するものの、冷却時や吸湿時、加熱時には施術対象に向けて送風しないものとなる。なお、微細水発生素子44の温度状態などによっては、冷却中に吸湿が行われ、加熱中に放湿が行われることになる。一方、
図7(b)の一方向回転制御では、微細水発生カートリッジ42への通電を停止してファン45を正回転させることで冷却と吸湿とを行う。また、放湿だけでなく加熱でもファン45を正回転させる。このため、冷却と吸湿は同じ作動内容となり、加熱と放湿も同じ作動内容となる。このように、一方向回転制御では、放湿時だけでなく冷却時や吸湿時、加熱時にも施術対象に向けて送風することになる。なお、加熱時において、双方向回転制御と同様にファン45を停止させて(点線参照)、送風しないものとしてもよい。
【0025】
次に、こうして構成された微細水放出装置10の動作について説明する。
図8は微細水放出処理の一例を示すフローチャートである。微細水放出処理は、微細水放出装置10の電源がオンされた場合に実行される。この微細水放出処理では、制御部22は、まず、施術者や使用者などの操作部28の操作により、モード選択操作がなされたか否か(S100)、省エネ選択操作がなされたか否か(S110)、運転開始操作がなされたか否か(S120)、をそれぞれ判定する。
【0026】
S100でモード選択操作がなされたと判定すると、順番放湿モードが選択されたか否かを判定し(S130)、順番放湿モードが選択されたと判定すると、順番放湿モードを設定し(S140)、順番放湿モードでなく一斉放湿モードが選択されたと判定すると一斉放湿モードを設定する(S150)。順番放湿モードは、2個一対の微細水放出ユニット40(1)~(4)を、その順番(所定の順番)に放湿状態として微細水を放出するモードであり、一斉放湿モードは、使用する微細水放出ユニット40の全てを一斉(同時)に放湿状態として微細水を放出するモードである。なお、デフォルトでは順番放湿モードに設定されている。また、S110で省エネ選択操作がなされたと判定すると、省エネオフが選択されたか否かを判定し(S160)、省エネオフが選択されたと判定すると通常運転を設定し(S170)、省エネオフでなく省エネオンが選択されたと判定すると省エネ運転を設定する(S180)。通常運転では、十分な微細水を供給するために微細水放出ユニット40を全数(計8個)用いて運転を行い、省エネ運転では、電力消費を抑えつつ必要な微細水を供給するために2個一対の微細水放出ユニット40(1)~(4)のうちそれぞれ一方を停止させて他方を用いて半数(計4個)で運転を行う。なお、デフォルトでは通常運転(省エネオフ)に設定されている。
【0027】
そして、S120で運転開始操作がなされたと判定すると、運転モードの設定が順番放湿モードであるか否か(S190)、省エネオフであるか否か(S200,S210)、をそれぞれ判定する。順番放湿モードの通常運転(省エネオフ)であると判定すると、微細水放出ユニット40を全数用いて順番放湿モードで運転を開始すると共に(S220)、LEDライト38の点灯を開始する(S230)。また、順番放湿モードの省エネ運転(省エネオン)であると判定すると、微細水放出ユニット40を半数用いて順番放湿モードで運転を開始する(S240)。一方、一斉放湿モードの通常運転であると判定すると、微細水放出ユニット40を全数用いて一斉放湿モードで運転を開始すると共に(S250)、LEDライト38の点灯を開始する(S230)。また、一斉放湿モードの省エネ運転であると判定すると、微細水放出ユニット40を半数用いて一斉放湿モードで運転を開始する(S260)。S230では、LEDライト38は、例えば、その配置に対応する微細水放出ユニット40が放湿(放出)の場合に点灯しそれ以外の場合に消灯するものとしたり、対応する微細水放出ユニット40が放湿の場合に第1の点灯色で点灯しそれ以外の場合に第2の点灯色で点灯するものとする。あるいは、微細水放出ユニット40の運転状態に拘わらず、所定の点灯態様でLEDライト38を点灯したり、モード毎に異なる点灯態様でLEDライト38を点灯したりしてもよい。LEDライト38の点灯により、施術中の演出効果を高めて、施術者をリラックスさせるなどの効果を奏する。なお、省エネ運転では、運転中にLEDライト38を点灯させないものとしたが、これに限られず、LEDライト38を点灯させてもよい。
【0028】
こうして運転を開始すると、運転停止タイミングとなるのを待つ(S270)。S270では、施術者や使用者などの操作部28の操作により、運転停止が指示された場合や図示しないタイマで設定された運転時間に到達した場合に、運転停止タイミングと判定する。運転停止タイミングとなると、運転に用いた各微細水放出ユニット40の微細水発生素子44への通電を停止した状態でファン45を正回転させることで、運転に用いた各微細水放出ユニット40から冷風を一斉に送風させる仕上げ冷風制御を行ってから運転を停止して(S280)、微細水放出処理を終了する。
【0029】
ここで、
図9は順番放湿モードの運転サイクルの一例を示す説明図であり、
図10は一斉放湿モードの運転サイクルの一例を示す説明図であり、
図11は順番放湿モードで運転する様子の説明図である。
図9,
図10のユニットNo(1)~(4)は、2個一対の微細水放出ユニット40(1)~(4)を示す。順番放湿モードでは、
図9に示すように、微細水放出ユニット40(1)~(4)のサイクルを同期させずに時間ΔTずつずらしながら、双方向回転制御で各ユニットを制御する。時間ΔTは、微細水放出ユニット40(1)~(4)のいずれかが常に放湿して、微細水の放出が途切れないような時間に定められている。このため、放出ヘッド30では、微細水放出ユニット40(1)(
図11(a))、微細水放出ユニット40(2)(
図11(b))、微細水放出ユニット40(3)(
図11(c))、微細水放出ユニット40(4)(
図11(d))の順に、温風の送風による微細水の放出が連続的に行われる。なお、順番放湿モードにおいて一方向回転制御で制御してもよく、冷却時および吸湿時の冷風が施術対象に向けて送風されてもよい。
【0030】
一方、
図10の一斉放湿モードでは、微細水放出ユニット40(1)~(4)のサイクルを合わせて(同期させて)、一方向回転制御で各ユニットを制御する。即ち、一斉放湿モードでは、複数の微細水発生カートリッジ42が個別に吸湿(冷却・吸湿)と放湿(加熱・放湿)とを切り替えながら、常に施術対象に向けて送風するのである。このため、加熱・放湿時の温風と、冷却・吸湿時の冷風とが交互に施術対象に送風されることになる。なお、いずれのモードも、通常運転では、2個一対の微細水放出ユニット40(1)~(4)をそれぞれ同じタイミングで、冷却、吸湿、加熱、放湿を切り替えるものとなる。また、いずれのモードも、運転停止前に仕上げ冷風制御が行われる。このように複数の放湿モードを切り替えるから、施術対象や施術目的に適した運転や施術者の好みに応じた運転が可能となる。
【0031】
以上説明した本実施形態の微細水放出装置10では、複数の微細水発生カートリッジ42が並列に配置され、各微細水発生カートリッジ42が個別に吸湿(冷却・吸湿)と放湿(加熱・放湿)とを切り替え可能である。このため、各微細水発生カートリッジ42を任意のタイミングで放湿に切り替えて微細水を放出することができ、運転の制約を抑えて自由度を高めることができる。したがって、施術対象に適した運転が可能となる。
【0032】
また、順番放湿モードでは、各微細水発生カートリッジ42を順番に放湿状態とし、微細水の放出が途切れるのを抑えて、施術対象へ微細水を安定して供給することが可能となる。一方、一斉放湿モードでは、各微細水発生カートリッジ42を一斉に放湿状態とし、施術対象の周囲に多量の微細水が存在する状態を作ることができるから、施術対象に微細水を十分に供給することが可能となる。また、一斉放湿モードでは、温風と冷風とが交互に送風されるから、温風のみが送風される場合に比して、施術対象の周囲の温度上昇を抑えて快適な施術空間を提供することができる。また、複数の放湿モードのうち1の放湿モードの選択を受け付けて運転するから、施術対象などに応じて、より適切に運転することができる。なお、上述したように、順番放湿モードでも、常に施術対象に向けて送風することで温風と冷風とが交互に送風されるものとしてもよい。
【0033】
また、各微細水発生カートリッジ42は、可動アーム21の先端の放出ヘッド30に並列に配置されているから、施術対象と各微細水発生カートリッジ42とを近付けて、施術対象に微細水を効率よく供給することができる。また、各微細水発生カートリッジ42は、放出ヘッド30の中心Cに対して対称に複数対配置され、各対の微細水発生カートリッジ42をタイミングを合わせて吸湿と放湿とに切り替える。このため、各対の微細水発生カートリッジ42は同じタイミングで微細水を放出するから、施術対称の周囲(施術空間)に微細水を均一に分散させて施術対象に微細水を満遍なく供給することができる。
【0034】
また、運転を停止する前に仕上げ冷風制御を行うから、施術対象の肌の引き締め効果などを発揮すると共に運転終了(施術終了)を報知することができる。また、導電性高分子膜44bを低温状態として吸湿を促すから、次の施術の準備も行うことができる。
【0035】
また、1の微細水発生カートリッジ42と1のファン45とを1組として、並列に配置される複数組の微細水放出ユニット40を備えるから、各微細水発生カートリッジ42へ個別に送風可能な構成を簡易に実現することができる。
【0036】
実施形態では、複数の微細水放出ユニット40(微細水発生カートリッジ42)が放出ヘッド30の中心Cに対して対称に複数対配置されており、各対の微細水発生カートリッジ42を同じタイミングで吸湿と放湿とに切り替えるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、各対の微細水発生カートリッジ42を異なるタイミングで吸湿と放湿とに切り替えてもよいし、2個1組の微細水発生カートリッジ42を同じタイミングで吸湿と放湿とに切り替えてもよい。また、放出ヘッド30に並列に複数配置されていれば対象の配置でなくてもよく、施術対象や施術目的に応じて、放出ヘッド30のいずれかの領域に微細水放出ユニット40が偏って配置されてもよい。
【0037】
実施形態では、運転を停止する前に仕上げ冷風制御を行うものとしたが、これに限られず、仕上げ冷風制御を行わないものとしてもよい。
【0038】
実施形態では、順番放湿モードと一斉放湿モードとの2つの放湿モードのうち、いずれか1の放湿モードを選択するものを例示したが、これに限られず、順番放湿モード(所定の放湿モード)を含む複数の放湿モードのうち、いずれか1の放湿モードを選択するものとしてもよい。あるいは、放湿モードを選択可能なものに限られず、予め定められた1の放湿モード、例えば順番放湿モードで運転するものとしてもよい。
【0039】
実施形態では、省エネ運転の場合、2個一対の微細水放出ユニット40(1)~(4)のうちそれぞれ一方を停止させて他方を用いて運転を行うものとしたが、これに限られず、通常運転よりも運転に用いる微細水放出ユニット40の数を少なくして運転するものであればよい。例えば、省エネ運転の場合、微細水放出ユニット40(1)~(4)のうち微細水放出ユニット40(1),(2)のみを用いたり、放出ヘッド30の右半分あるいは左半分の4個の微細水放出ユニット40を用いたりすればよい。
【0040】
実施形態では、可動アーム21の先端に取り付けられた放出ヘッド30に複数の微細水放出ユニット40が配置されるものとしたが、これに限られず、装置本体20などに固定された放出ヘッドに複数の微細水放出ユニット40が配置されるものとしてもよい。あるいは、装置本体20内に複数の微細水放出ユニット40が配置されるものとしてもよい。
図12は変形例の微細水放出装置10Bの構成の概略を示す構成図であり、
図13は変形例の微細水放出ユニット140の構成の概略を示す構成図である。なお、変形例では、実施形態と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。変形例の微細水放出装置10Bは、
図12に示すように、複数(例えば4個)の微細水放出ユニット140と、施術対象に向けて送風する送風ダクト121とを備え、装置本体120内に微細水貯留室(微細水貯留部)149が形成されている。微細水放出ユニット140は、図示の都合上、4個隣接して配置されるものとするが、例えば上面視で同一円周上に等間隔に並んで配置されるものなどとしてもよい。
【0041】
微細水放出ユニット140は、実施形態の微細水放出ユニット40と同様に、ファン45と微細水発生カートリッジ42とフィルタ47a,47bとを備え、流路41内に吸入口41aから空気を吸入させて吐出口41bから吐出させる。各微細水放出ユニット140は、いずれも吐出口41bが微細水貯留室149に連通しており、吐出口41bの開閉を切り替え可能な開閉切替部148が設けられている。開閉切替部148は、図示しないモータの駆動により作動する切替板148aを有し、通常は吐出口41bを閉じる位置(
図13中の点線)に切替板148aが位置しており、モータの駆動により吐出口41bを開く位置(
図13中の実線)まで切替板148aを上方に回動するように作動させる。この開閉切替部148は、制御部22により開閉制御される。微細水貯留室149は、送風ダクト121に連通しており、各微細水放出ユニット140から放出された微細水を一時的に貯留可能となっている。送風ダクト121は、先端の吐出口121aの位置を上下、左右、前後に調整することができるように、例えば可撓性を有する蛇腹状のダクトなどで構成されている。この送風ダクト121は、微細水放出ユニット140から放出されて微細水貯留室149に一時的に貯留された微細水を施術対象に向けて放出する。なお、複数の微細水放出ユニット140は、実施形態と同様に、冷却、吸湿、加熱、放湿のサイクルを繰り返すものであり、加熱の際にファン45を停止させる一方向回転制御(
図7(b)の点線参照)で制御される。
【0042】
図14は微細水放出装置10Bを順番放湿モードで運転する様子の説明図である。図示するように、各微細水放出ユニット140(1)~(4)は、冷却、吸湿、加熱、放湿のサイクルを合わせることなく、ずらしながら運転するように制御される。また、微細水放出ユニット140(1)~(4)の開閉切替部148は、放湿時に切替板148aが吐出口41bを開き、冷却時、吸湿時、加熱時に切替板148aが吐出口41bを閉じるように制御される。このため、冷却時や吸湿時には、ファン45の駆動により送風された空気は切替板148aで跳ね返されて微細水貯留室149に流入することはなく、放湿時には微細水が微細水貯留室149に放出される(流入する)ことになる。各微細水放出ユニット140(1)~(4)は、いずれかのユニットから常に微細水貯留室149に微細水を放出しながら、微細水貯留室149内の微細水を送風ダクト121から施術対象に途切れることなく放出(送風)することができる。このため、微細水の放出ムラを抑えて、施術対象に微細水を安定して供給することができる。なお、この変形例でも、順番放湿モードと一斉放湿モードとを選択可能とし、運転停止前に微細水放出ユニット140(1)~(4)から冷風を一斉に送風させる仕上げ冷風制御を行うものなどとしてもよい。
【0043】
変形例では、開閉切替部148が上方に回動するように作動する切替板148aにより吐出口41bを開閉するものとしたが、これに限られず、水平方向にスライドするように作動するシャッターにより吐出口41bを開閉するものとしてもよい。また、複数の微細水放出ユニット140が同一円周上に等間隔に並んで配置されると共に、各吐出口41bの開閉を切替可能な円盤状のシャッターが配置されるものとしてもよい。このシャッターは、同一円周上に少なくとも1の開口が形成され、開口が各吐出口41bに対応する位置に順次移動して吐出口41bを開放するように、中心軸周りに回転可能に構成されるものなどとすればよい。
【0044】
また、実施形態や変形例おいて、そのような円盤状のシャッターを、1のファン45と複数の微細水発生カートリッジ42との間に設けておき、1のファン45からの送風がいずれかの微細水発生カートリッジ42に選択的に流通するように切り替え可能に構成してもよい。即ち、微細水放出ユニット40,140は、1のファン45と1の微細水発生カートリッジ42とを1組として構成するものとしたが、複数の微細水発生カートリッジ42と1のファン45とファン45の送風先を切り替えるシャッターなどの切替部とを1組として構成してもよい。また、そのような1組のユニットを、複数組備えてもよいし、1組のみ備えてもよい。
【0045】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、ファン45が「送風部」に相当し、導電性高分子膜44bが「導電性高分子膜」に相当し、8個の微細水発生カートリッジ42が複数の「微細水発生部」に相当し、電源部24(電源回路25と切替スイッチ26)が「通電部」に相当し、制御部22が「制御部」に相当し、微細水放出装置10が「人体用微細水放出装置」に相当する。操作部28が「受付部」に相当する。装置本体20が「装置本体」に相当し、可動アーム21が「アーム」に相当し、放出ヘッド30が「ヘッド」に相当する。
【0046】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0047】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、人体用微細水放出装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10、10B 微細水放出装置、20,120 装置本体、21 可動アーム、21a 第1アーム、21b 第2アーム、22 制御部、24 電源部、25 電源回路、26,27 切替スイッチ、28 操作部、30 放出ヘッド、32 ヘッド本体、34 保持アーム、35,36 フィルタカバー、38 LEDライト、40,40(1)~40(4),140,140(1)~140(4) 微細水放出ユニット、41 流路、41a 吸入口、41b 吐出口、42 微細水発生カートリッジ、43 ケース、44 微細水発生素子、44a 基材、44b 導電性高分子膜、45 ファン、46 ケース、47a,47b フィルタ、121 可動ダクト、121a 吐出口、148 開閉切替部、148a 切替板、149 微細水貯留室。