(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】局部洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
E03D9/08 F
(21)【出願番号】P 2020037971
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 麻里
(72)【発明者】
【氏名】梶野 真一
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-30093(JP,A)
【文献】特開2013-72197(JP,A)
【文献】実開平5-71280(JP,U)
【文献】特開2010-261203(JP,A)
【文献】実開平4-61173(JP,U)
【文献】特開2015-55030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄位置と退避位置との間で進退移動させられると共に前記洗浄位置で人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを含む局部洗浄装置において、
外部から洗浄液が供給される
複数の洗浄液導入口を有すると共に前記洗浄ノズルの少なくとも一部を全周にわたって覆うシリンダを備え、
前記
複数の洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記シリンダと前記洗浄ノズルとの隙間に流入させると共に前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように前記シリンダに
軸方向に間隔をおいて形成され
、
複数の前記洗浄液導入口のうち、少なくとも前記シリンダの先端側に形成された前記洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように形成されている局部洗浄装置。
【請求項2】
洗浄位置と退避位置との間で進退移動させられると共に前記洗浄位置で人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを含む局部洗浄装置において、
外部から洗浄液が供給される少なくとも1つの洗浄液導入口を有すると共に前記洗浄ノズルの少なくとも一部を全周にわたって覆うシリンダを備え、
前記少なくとも1つの洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記シリンダと前記洗浄ノズルとの隙間に流入させると共に前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように前記シリンダに形成され
、
前記シリンダは、基端側の小内径部と、前記小内径部よりも大きい内径を有する先端側の大内径部とを含み、
前記洗浄液導入口は、前記小内径部および前記大内径部のそれぞれに形成されている局部洗浄装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の局部洗浄装置において、
前記大内径部の内周面と前記洗浄ノズルとの隙間には、汚物除去部材が移動自在に配置される局部洗浄装置。
【請求項4】
洗浄位置と退避位置との間で進退移動させられると共に前記洗浄位置で人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを含む局部洗浄装置において、
外部から洗浄液が供給される少なくとも1つの洗浄液導入口を有すると共に前記洗浄ノズルの少なくとも一部を全周にわたって覆うシリンダを備え、
前記少なくとも1つの洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記シリンダと前記洗浄ノズルとの隙間に流入させると共に前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように前記シリンダに形成され
、
前記シリンダは、便座を回動自在に支持するケーシングのベースプレート上に先端側が基端側よりも下方に位置するように固定され、
前記シリンダの先端部の外周面と前記ベースプレートとの間には、シール部材が配置され、
前記洗浄ノズルの基端部の外周面と前記シリンダの内周面との間には、シール部材が配
置されている局部洗浄装置。
【請求項5】
請求項1
から4の何れか一項に記載の局部洗浄装置において、
前記洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記シリンダの内周面の接線方向に沿って前記隙間に流入させるように前記シリンダに形成されている局部洗浄装置。
【請求項6】
請求項1
から5の何れか一項に記載の局部洗浄装置において、
前記シリンダは、前記洗浄ノズルの外周面に摺接するように先端部の内周面から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する複数の汚物除去突部を含む局部洗浄装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の局部洗浄装置において、前記シリンダには、超音波振動子が取り付けられている局部洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の局部洗浄装置において、
前記洗浄液は、水、気泡含有水、洗浄剤含有水および除菌水の少なくとも何れか1つである局部洗浄装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の局部洗浄装置において、前記シリンダの内部にエアを供給するエア供給ユニットを更に備える局部洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器に取り付けられる局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、局部洗浄孔から人体の局部に向けて洗浄水を吐出するノズルを有すると共に便座を回動自在に支持する本体部のノズルベースに取り付けられる局部洗浄ユニットと、ノズルの局部洗浄孔を洗浄するためのノズル洗浄部とを含む局部洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この局部洗浄装置において、ノズル洗浄部は、ノズルベースに対して設けられる洗浄ベースプレートと、当該洗浄ベースプレートに取り付けられる洗浄カバーと、洗浄ベースプレ-トと洗浄カバーとにより形成される内部空間にノズルの局部洗浄孔の周囲を覆うように配置される筒状体とを含む。筒状体には、ノズル洗浄孔が形成されており、ノズルの局部洗浄孔の周辺は、上記内部空間に外部から供給されてノズル洗浄孔から筒状体内に流入した洗浄水によって洗浄される。
【0003】
また、従来、便器後部上面のハウジングから突出して人体臀部を洗浄する使用姿勢と、ハウジング内に後退した退避姿勢とを採り得るように前後進するノズルを含む温水洗浄装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この温水洗浄装置は、ハウジング内に後退した退避姿勢にあるノズルを囲むケースと、ケース内にノズルを洗浄するための水を供給するノズル洗浄水供給手段と、ノズルの後端に連結されると共にケースの後面に設けられた開口に挿通される給水用パイプとを含む。そして、ノズルの後端には、フランジが設けられ、フランジの後面には、Oリングが装着されている。ノズルのフランジがケースの後面に当接するまで後退すると、Oリングがケースの後面に密着し、開口が水密的に閉鎖される。これにより、ケース内に退避させられたノズルを水に浸漬させて洗浄したり、ケース内のノズルに水を吹き付けて洗浄したりすることができる。
【0004】
更に、従来、洗浄ノズルの表面に洗浄泡を形成して汚物の付着を抑制する衛生洗浄装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。この衛生洗浄装置は、洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄ノズルを進退駆動する洗浄ノズル駆動部と、洗剤を含む洗浄泡を生成する泡発生部と、便器内面に洗浄水または洗浄泡を吐出する散布ノズルと、散布ノズルの吐出口の方向を回転駆動する散布ノズル駆動部と、散布ノズルへの水路を開閉する開閉弁とを含む。これにより、泡発生部で生成された洗浄泡を散布ノズルから洗浄ノズルの表面に吐出することで、当該洗浄ノズルを洗浄することができる。また、従来、便器本体と、便座と、殺菌剤または洗浄剤を含まない水を噴出する人体洗浄ノズルを含む洗浄便器が知られている(例えば、特許文献4参照)。この洗浄便器では、水の噴出中、噴出後あるいは噴出直前に、人体洗浄ノズルの表面にノズル洗浄ノズルから殺菌剤または洗浄剤を吹き掛けることによって当該人体洗浄ノズルが洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6260156号公報
【文献】特許第4211544号公報
【文献】特開2016-196732号公報
【文献】特開2012-052331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された局部洗浄装置では、ノズルを洗浄するための洗浄水が洗浄ベースプレ-トと洗浄カバーとにより形成される内部空間を介して当該ノズルを覆う筒状体内に導入される。このため、筒状体内における水流が弱くなり、ノズルに付着した汚物を充分に除去し得なくなることがある。また、特許文献2に記載された温水洗浄装置では、ケース内で停止した状態でノズルが洗浄されることから、ノズルから除去された汚物がケース内に残留して不衛生となることがあり、汚物がノズルの噴出孔に入り込んでしまうおそれもある。更に、特許文献3および4に記載された装置では、ノズルを洗浄するための水流が不足し、ノズルに吹き付けられた洗浄泡(洗剤)や殺菌剤等がノズルに付着したまま残ってしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本開示は、人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを衛生的に洗浄することができる局部洗浄装置の提供を主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の局部洗浄装置は、洗浄位置と退避位置との間で進退移動させられると共に前記洗浄位置で人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを含む局部洗浄装置において、外部から洗浄液が供給される少なくとも1つの洗浄液導入口を有すると共に前記洗浄ノズルの少なくとも一部を全周にわたって覆うシリンダを含み、前記少なくとも1つの洗浄液導入口が、前記洗浄液を前記シリンダと前記洗浄ノズルとの隙間に流入させると共に前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように前記シリンダに形成されているものである。
【0009】
本開示の局部洗浄装置において、洗浄ノズルの少なくとも一部は、外部から洗浄液が供給される少なくとも1つの洗浄液導入口を有するシリンダにより覆われる。また、当該少なくとも1つの洗浄液導入口は、洗浄液をシリンダと洗浄ノズルとの隙間に流入させると共に洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように当該シリンダに形成されている。これにより、洗浄ノズルを洗浄位置から退避位置に移動させる間あるいは洗浄ノズルを退避位置に移動させた状態で、少なくとも1つの洗浄液導入口に洗浄液を供給することで、シリンダの内部で洗浄ノズルの外周面に沿って旋回する洗浄液により当該洗浄ノズルに付着した汚物を剥ぎ取り、洗浄液と共にシリンダと洗浄ノズルとの隙間から外部に流出させることができる。更に、洗浄液を洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させることで当該洗浄液の流れの強さを充分に確保することが可能となり、洗浄ノズルの全周に亘って洗浄液を行き渡らせて汚物を良好に除去することができる。この結果、本開示の局部洗浄装置では、人体の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズルを衛生的に洗浄することが可能となる。
【0010】
また、前記少なくとも1つの洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記シリンダの内周面の接線方向に沿って前記隙間に流入させるように前記シリンダに形成されてもよい。これにより、洗浄ノズルの外周面に沿って旋回する洗浄液の流れの強さをより良好に確保することが可能となる。
【0011】
更に、前記シリンダは、前記洗浄ノズルの外周面に摺接するように先端部の内周面から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する複数の汚物除去突部を含むものであってもよい。かかる局部洗浄装置では、洗浄ノズルを洗浄位置から退避位置に移動させる際に、複数の汚物除去突部により洗浄ノズルの外周面に付着した汚物を物理的に剥ぎ取って隣り合う汚物除去突部同士の隙間から洗浄液と共に外部に流出させることができる。これにより、局部洗浄装置における洗浄ノズルに付着した汚物の除去性能をより向上させることが可能となる。
【0012】
また、前記シリンダには、複数の前記洗浄液導入口が軸方向に間隔をおいて形成されてもよく、複数の前記洗浄液導入口のうち、少なくとも前記シリンダの先端側に形成された前記洗浄液導入口は、前記洗浄液を前記洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させるように形成されてもよい。
【0013】
更に、前記シリンダは、基端側の小内径部と、前記小内径部よりも大きい内径を有する先端側の大内径部とを含むものであってもよく、前記洗浄液導入口は、前記小内径部および前記大内径部のそれぞれに形成されてもよい。これにより、シリンダの大内径部内で洗浄液を洗浄ノズルの外周面に沿って旋回させて当該洗浄ノズルに付着した汚物を良好に除去すると共に、小内径部に供給された洗浄液により汚物等を洗い流すことが可能となる。
【0014】
また、前記大内径部の内周面と前記洗浄ノズルとの隙間には、汚物除去部材が移動自在に配置されてもよい。これにより、シリンダの大内径部内で汚物除去部材を洗浄液と共に旋回させ、洗浄ノズルに付着した汚物を良好に除去することが可能となる。
【0015】
更に、前記シリンダには、超音波振動子が取り付けられてもよい。これにより、洗浄液導入口に洗浄液を供給して洗浄ノズルの全周に亘って洗浄液を行き渡らせた状態で超音波振動子を作動させることで、当該洗浄ノズルに付着した汚物をより効果的に除去することが可能となる。
【0016】
また、前記洗浄液は、水(温水を含む)、気泡含有水、洗浄剤含有水および除菌水の少なくとも何れか1つであってもよい。この場合、複数の洗浄液導入口には、互いに同一種類の洗浄液が供給されてもよく、互いに異なる種類の洗浄液が供給されてもよい。また、同一または異なる洗浄液導入口に時間をおいて互いに異なる種類の洗浄液が供給されてもよい。
【0017】
更に、前記局部洗浄装置は、前記シリンダの内部にエアを供給するエア供給ユニットを含むものであってもよい。これにより、洗浄液により洗浄ノズルを洗浄した後、エア供給ユニットからシリンダの内部にエアを供給することで、シリンダの内部および洗浄ノズルを速やかに乾燥させてカビの発生等を良好に抑制することが可能となる。
【0018】
また、前記シリンダは、便座を回動自在に支持するケーシングのベースプレート上に先端側が基端側よりも下方に位置するように固定されてもよく、前記シリンダの先端部の外周面と前記ベースプレートとの間には、シール部材が配置されてもよく、前記洗浄ノズルの基端部の外周面と前記シリンダの内周面との間には、シール部材が配置されてもよい。これにより、シリンダの外周面に外部からの汚物が付着するのを良好に抑制すると共に、シリンダの内部からケーシング内に洗浄液が漏れ出るのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の局部洗浄装置が取り付けられた便器を示す斜視図である。
【
図2】本開示の局部洗浄装置に含まれる洗浄ノズルおよびシリンダを示す斜視図である。
【
図3】本開示の局部洗浄装置の要部を示す概略構成図である。
【
図4】本開示の局部洗浄装置に含まれる洗浄ノズルおよびシリンダを示す縦断面図である。
【
図5】
図3におけるV-V線に沿った断面図である。
【
図6】本開示の局部洗浄装置に含まれる洗浄ノズルおよびシリンダを示す正面図である。
【
図7】本開示の局部洗浄装置に含まれる洗浄ノズルおよびシリンダを示す横断面図である。
【
図8】本開示の局部洗浄装置における洗浄ノズルの洗浄手順を例示するフローチャートである。
【
図9】本開示の局部洗浄装置に適用可能な他のシリンダを示す縦断面図である。
【
図10】
図9のシリンダを含む局部洗浄装置における洗浄ノズルの洗浄手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
図1は、本開示の局部洗浄装置10が取り付けられた便器1を示す斜視図である。同図に示す便器1は、洋式腰掛便器であり、局部洗浄装置10は、当該便器1の上面に固定される。図示するように、局部洗浄装置10は、ケーシング(本体)11と、当該ケーシング11により回動自在に支持された便座12と、当該便座12と同様にケーシング11により回動自在に支持された便蓋13と、操作パネル14とを含む。
【0022】
局部洗浄装置10のケーシング11は、便器1の上面に固定される樹脂製のベースプレート(ベース部材)110と、当該ベースプレート110に着脱自在に取り付けられる樹脂製のカバー111とを含む。ケーシング11(ベースプレート110およびカバー111)の内部には、それぞれ人体の局部に水または温水である洗浄水を噴出する人体洗浄ノズルとしてのおしり洗浄ノズル15およびビデノズル(図示省略)が配置されている。
【0023】
おしり洗浄ノズル15は、
図2および
図3に示すように、ベースプレート110に固定される略円筒状のシリンダ(筒体)20により軸方向に進退移動自在(摺動自在)に支持される。おしり洗浄ノズル15は、軸方向に延在する水供給路15Lと、当該水供給路15Lに連通すると共に外周面で開口する噴出孔15H(何れも
図4参照)とを内部に有する。シリンダ20は、おしり洗浄ノズル15の先端側の一部を除く概ね全体をその内部に収容可能なものであり、先端側(
図3における左端側)が基端側(
図3における右端側)よりも下方に位置するようにベースプレート110に固定される。
【0024】
更に、おしり洗浄ノズル15は、ケーシング11内の退避位置と便器1の便鉢部側の洗浄位置との何れかに位置するように、モータM、ギヤ機構G、ベルトB等を含むアクチュエータ17によりシリンダ20(ベースプレート110)に対して進退移動させられる。すなわち、モータMを一方向に回転させてギヤ機構Gを介してベルトBを押し出すことで、おしり洗浄ノズル15を洗浄位置にまで前進させることができる。これに対して、モータMを他方向(逆方向)に回転させてギヤ機構Gを介してベルトBを巻き取ることで、おしり洗浄ノズル15を退避位置にまで後退させることができる。図示しないビデノズルも、上記シリンダ20と同様の構成を有するシリンダにより軸方向に進退移動自在に支持され、上記アクチュエータ17と同様のアクチュエータによりケーシング11内の退避位置と便器1の便鉢部側の洗浄位置との間で軸方向に進退移動させられる。
【0025】
また、局部洗浄装置10のケーシング11には、
図3に示すように、可動式のシャッター18が設けられている。シャッター18は、アクチュエータ17等により洗浄位置へと移動させられるおしり洗浄ノズル15等により押圧されて開く。おしり洗浄ノズル15等が退避位置へと移動すると、シャッター18は、図示しないバネにより付勢されて閉じられ、おしり洗浄ノズル15およびビデノズルの先端を覆う。これにより、おしり洗浄ノズル15およびビデノズル、更にはその周辺部の汚れを抑制したり、両者を隠して美観を維持したりすることが可能となる。
【0026】
更に、ケーシング11の内部には、分岐水栓および給水ホースを介して水道配管(水源)に接続されたバルブユニットや、当該バルブユニットに接続された水タンク、おしり洗浄ノズル15、ビデノズルおよび水タンクに接続されたロータリーバルブ(水勢調整切替バルブ)等(何れも図示省略)が収容されている。バルブユニットは、ストレーナ、逆止弁、定流量弁、止水電磁弁、リリーフ弁等を含む。水タンクは、水道配管(水源)からの水を加熱するヒータや温度センサを有し、ヒータにより加熱された温水を貯留可能である。ロータリーバルブは、水タンクからの洗浄水の供給先をおしり洗浄ノズル15とビデノズルとで選択的に切り替えると共に、おしり洗浄ノズル15等に対する洗浄水の供給量を調整する。
【0027】
加えて、ケーシング11の内部には、ヒータおよびブロワ等を含む温風供給ユニット19(エア供給ユニット)および局部洗浄装置10の全体を制御する制御装置30が収容されている(何れも
図3参照)。制御装置30は、図示しないCPU,ROM,RAM等を含むマイクロコンピュータである。制御装置30は、操作パネル14や着座センサ、水タンクの温度センサ等からの信号等に基づいて、バルブユニット、水タンクのヒータ、おしり洗浄ノズル15およびビデノズルのアクチュエータ17等、ロータリーバルブ、温風供給ユニット19等を制御する。なお、局部洗浄装置10には、水タンクの代わりに、水源からの水を加熱するヒータを有する熱交換器が設けられてもよい。
【0028】
図4は、おしり洗浄ノズル15およびシリンダ20を示す断面図であり、
図5は、
図3におけるV-V線に沿った断面図である。これらの図面に示すように、シリンダ20は、第1シリンダ21(小内径部)と、当該第1シリンダ21とは別体の第2シリンダ22(大内径部)とを含む。第1シリンダ21は、例えば樹脂により比較的長尺の円筒状に形成されており、おしり洗浄ノズル15の外径よりも大きい一定の内径を有する。また、第1シリンダ21の先端側(図中左端側)には、基端側(図中右端側)の部分よりも大きい外径を有する拡径部210が形成されている。
【0029】
更に、第1シリンダ21の基端側の部分には、当該第1シリンダ21の内周面で開口する円筒状の洗浄液導入口215が形成されている。洗浄液導入口215は、
図6および
図7からわかるように、その軸心が第1シリンダ21(シリンダ20)の軸心を含む第1の平面P1と直交し、かつ第1シリンダ21(シリンダ20)の軸心を含むと共に当該第1の平面P1と直交する第2の平面P2から第1の平面P1に沿って一側(図中右側)にオフセットされるように第1シリンダ21と一体に形成されている。ただし、第1シリンダ21とは別体に形成された洗浄液導入口215が当該第1シリンダ21に固定されてもよい。
【0030】
第2シリンダ22は、例えば樹脂により短尺の円筒状に形成されており、第1シリンダ21の内径より大きい内径、より詳細には、第1シリンダ21の拡径部210の外径と概ね同一の内径を有する。また、第2シリンダ22の先端(図中左端)には、第1シリンダ21と概ね同一の内径を有する縮径部220が形成されている。縮径部220は、おしり洗浄ノズル15の外周面に摺接するように内周面から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する複数の汚物除去突部221を有する。各汚物除去突部221は、
図3において破線で示すように、それぞれ第2シリンダ22(シリンダ20)の軸心に対して傾斜する方向に延在する。
【0031】
図4および
図5に示すように、第2シリンダ22の縮径部220とは反対側の端部には、第1シリンダ21の拡径部210が同軸に嵌合または圧入されて当該第2シリンダ22に固定される。また、拡径部210の外周面には、環状の溝部が形成されており、当該溝部と第2シリンダ22の内周面との間に配置されるOリング等のシール部材23により第1および第2シリンダ21,22の隙間が封止される。また、第2シリンダ22の縮径部220(シリンダ20の先端部)の外周面とベースプレート110との間には、Oリング等のシール部材24が配置される。
【0032】
おしり洗浄ノズル15は、退避位置にあるときに、先端部が縮径部220から僅かに突出する状態で第1および第2シリンダ21,22を含むシリンダ20の内部に収容される。また、おしり洗浄ノズル15は、第1シリンダ21の拡径部210の内周部と、第2シリンダ22の縮径部220に形成された複数の汚物除去突部221とにより摺動自在に支持される。また、おしり洗浄ノズル15の基端部には、環状の溝部が形成されており、当該溝部と第1シリンダ21の内周面との間に配置される例えばXリング等のシール部材25によりおしり洗浄ノズル15と第1シリンダ21との隙間が封止される。
【0033】
図4および
図5に示すように、おしり洗浄ノズル15の外周面と第1シリンダ21の内周面との間には、洗浄液導入口215に連通する環状の隙間(内部空間)Xが画成される。更に、第1シリンダ21の拡径部210と第2シリンダ22の縮径部220との軸方向における間には、おしり洗浄ノズル15の外周面と第2シリンダ22の内周面とによって比較的短い軸長を有する隙間(内部空間)Yが画成される。本実施形態において、おしり洗浄ノズル15が退避位置にあるときに、当該おしり洗浄ノズル15の噴出孔15Hは、隙間Y内に位置する。また、隙間Yは、拡径部210の内周部に形成された溝を介して第1シリンダ21側の隙間Xに連通すると共に、縮径部220の隣り合う汚物除去突部221同士の隙間を介して外部に連通する。
【0034】
そして、第2シリンダ22には、上記隙間Yで開口する円筒状の洗浄液導入口225が上記洗浄液導入口215とシリンダ20の軸方向に間隔をおいて形成されている。洗浄液導入口225は、
図7に示すように、その軸心が第2シリンダ22(シリンダ20)の軸心を含む上記第2の平面P2と直交し、かつ当該第2の平面P2と直交する上記第1の平面P1から第2の平面P2に沿って一側(図中下側)にオフセットされるように第2シリンダ22と一体に形成される。また、本実施形態において、洗浄液導入口225は、
図7に示すように、第2シリンダ22の内周面の接線方向に延在する。ただし、第2シリンダ22とは別体に形成された洗浄液導入口225が当該第2シリンダ22に固定されてもよい。また、隙間Yの内部には、汚物除去部材としての球体26が移動自在に配置される。球体26は、
図7に示すように、第2シリンダ22の内周面の曲率半径とおしり洗浄ノズル15の外周面の曲率半径との差に応じた外径を有するものである。更に、第2シリンダ22の内周面には、隙間Y内の球体26を押圧可能となるように複数の突起222が周方向に間隔をおいて形成されている。なお、汚物除去部材は、球体26に限られるものではなく、楕円体や円柱体であってもよい。また、汚物除去部材の表面には、複数の図示しない突起が形成されてもよい。
【0035】
第1シリンダ21の洗浄液導入口215には、
図3に示すように、制御装置30により開閉制御されるバルブ27およびホース(図示省略)を介して水道配管(水源)からの水を選択的に供給することができる。また、洗浄液導入口215には、
図3に示すように、制御装置30により開閉制御されるバルブ28およびホース(図示省略)を介して、図示しないタンクに貯留された洗浄剤含有水を選択的に供給することができる。更に、第2シリンダ22の洗浄液導入口225には、
図3に示すように、制御装置30により開閉制御されるバルブ29およびホース(図示省略)を介して水道配管(水源)からの水を選択的に供給することができる。加えて、第1シリンダ21の内部すなわち隙間Xには、温風供給ユニット19からの温風を選択的に供給することができる。ただし、洗浄液導入口215,225は、バルブ27または29を介して、ヒータ等により加熱された温水の供給源に接続されてもよい。
【0036】
続いて、上述のように構成された局部洗浄装置10におけるおしり洗浄ノズル15等の洗浄手順について説明する。ここでは、ユーザにより操作パネル14に設けられた図示しないノズル洗浄スイッチが操作されたのに応じておしり洗浄ノズル15を洗浄する手順について説明する。なお、局部洗浄装置10では、ビデノズルに対しても上記シリンダ20と同様に構成を有するシリンダが設けられていることから、当該ビデノズルも以下に説明する手順に従って洗浄することができる。
【0037】
図8は、ユーザにより操作パネル14のノズル洗浄スイッチが操作されたのに応じて制御装置30により実行されるノズル洗浄ルーチンを例示するフローチャートである。同図に示すように、制御装置30は、ノズル洗浄スイッチが操作されると、おしり洗浄ノズル15を洗浄位置まで一旦前進させる(ステップS100)。次いで、制御装置30は、シリンダ20(第2シリンダ22)の先端側の洗浄液導入口225に水が供給されるようにバルブ29を開弁させると共に、おしり洗浄ノズル15が洗浄位置から退避位置まで後退するようにアクチュエータ17を制御する(ステップS110)。
【0038】
バルブ29の開弁に応じて洗浄液導入口225に供給された水は、第2シリンダ22とおしり洗浄ノズル15との隙間Yに流入する。上述のように、洗浄液導入口225は、上記第2の平面P2と直交し、かつ上記第1の平面P1から第2の平面P2に沿って一側(
図7中下側)にオフセットされている。従って、洗浄液導入口225から隙間Yに流入した水は、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回する。また、隙間Yに供給された水は、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回しながら流下し、縮径部220とおしり洗浄ノズル15との隙間、すなわち隣り合う汚物除去突部221同士の隙間を介して便器1の便鉢部(外部)に流出する。これにより、おしり洗浄ノズル15を洗浄位置から退避位置に移動させる間に、第2シリンダ22の内部すなわち隙間Y内で旋回する洗浄液としての水によりおしり洗浄ノズル15に付着した汚物を剥ぎ取り、当該水と共に隣り合う汚物除去突部221同士の隙間から便器1の便鉢部(外部)に流出させることができる。
【0039】
このように、隙間Y内でおしり洗浄ノズル15の外周面に沿って水を旋回させることで水流の強さを充分に確保することが可能となり、おしり洗浄ノズル15の全周に亘って水を行き渡らせて汚物を良好に除去することができる。また、局部洗浄装置10において、洗浄液導入口225は、洗浄液としての水を第2シリンダ22の内周面の接線方向に沿って隙間Yに流入させる。これにより、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回する水の流れの強さをより良好に確保することが可能となる。
【0040】
更に、第2シリンダ22の内周面には、複数の突起222が周方向に間隔をおいて形成されており、第2シリンダ22の内周面とおしり洗浄ノズル15との隙間Yには、汚物除去部材としての球体26が移動自在に配置されている。これにより、隙間Y内で球体26を複数の突起222によりおしり洗浄ノズル15の外周面に適宜押し付けながら水流により旋回(移動)させ(
図7参照)、おしり洗浄ノズル15に付着した汚物をより効果的に剥ぎ取ることが可能となる。ただし、第2シリンダ22の内周面から複数の突起222が省略されてもよい。すなわち、球体26を隙間Y内でおしり洗浄ノズル15の外周面に押し付けることなく洗浄液と共に旋回させても、おしり洗浄ノズル15に付着した汚物を良好に除去することができる。
【0041】
また、第2シリンダ22は、おしり洗浄ノズル15の外周面に摺接するように縮径部220(シリンダ20先端部)の内周面から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する複数の汚物除去突部221を含む。従って、局部洗浄装置10では、おしり洗浄ノズル15を洗浄位置から退避位置に移動させる際に、複数の汚物除去突部221によりおしり洗浄ノズル15の外周面に付着した汚物を物理的に剥ぎ取って隣り合う汚物除去突部221同士の隙間から水と共に便器1の便鉢部に流出させることができる。これにより、局部洗浄装置10におけるおしり洗浄ノズル15に付着した汚物の除去性能をより向上させることが可能となる。
【0042】
おしり洗浄ノズル15が退避位置に達すると、制御装置30は、アクチュエータ17を停止させる。更に、制御装置30は、第2シリンダ22の洗浄液導入口225への水の供給を停止させるべくバルブ29を閉弁させると共に、シリンダ20(第1シリンダ21)の基端側の洗浄液導入口215に洗浄剤含有水が供給されるようにバルブ28を所定時間だけ開弁させる(ステップS120)。
【0043】
洗浄液導入口215に供給された洗浄剤含有水は、第1シリンダ21とおしり洗浄ノズル15との隙間Xに流入する。上述のように、洗浄液導入口215は、上記第1の平面P1と直交し、かつ上記第2の平面P2から第1の平面P1に沿って一側(
図7中右側)にオフセットされている。従って、洗浄液導入口215から隙間Xに流入した洗浄剤含有水も、おしり洗浄ノズル15の外周面および第1シリンダ21の内周面とに沿って旋回する。また、隙間Xに流れ込んだ洗浄剤含有水は、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回しながら拡径部210の内周部に形成された溝を介して第2シリンダ22側の隙間Yに流下し、当該隙間Yから隣り合う汚物除去突部221同士の隙間を介して便器1の便鉢部(外部)に流出する。これにより、洗浄剤含有水をおしり洗浄ノズル15の全体並びに第1および第2シリンダ21,22の内周面の全体に行き渡らせて汚物をより一層良好に除去することができる。更に、洗浄液導入口215に洗浄剤含有水を供給することで、隙間Y内で旋回する際に作用する物理力で除去されなかった球体26の汚れや、シャッター18の裏面の汚れ、ノズル15の前面の汚れ等を洗浄剤含有水および/または当該洗浄剤含有水により形成される洗浄泡によって良好に除去することが可能となる。
【0044】
バルブ28を所定時間だけ開弁させた後、制御装置30は、当該バルブ28を閉弁させると共に、シリンダ20(第1シリンダ21)の基端側の洗浄液導入口215に水が供給されるようにバルブ27を所定時間だけ開弁させる(ステップS130)。洗浄液導入口215に供給された水は、隙間Xに流入しておしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回すると共に、第2シリンダ22側の隙間Yに流下し、縮径部220の隣り合う汚物除去突部221同士の隙間から便器1の便鉢部(外部)に流出する。これにより、おしり洗浄ノズル15の全体に水を行き渡らせ、隙間XおよびY内に残留する汚物や洗浄剤含有水(泡)を洗い流すことが可能となる。
【0045】
バルブ27を所定時間だけ開弁させた後、制御装置30は、当該バルブ27を閉弁させると共に、第1シリンダ21の内部に温風が供給されるように温風供給ユニット19を所定時間だけ作動させる(ステップS140)。このように、水や洗浄剤含有水によりおし洗浄ノズル15を洗浄した後、温風供給ユニット19からシリンダ20の内部に温風(エア)を供給することで、シリンダ20の内部およびおしり洗浄ノズル15を速やかに乾燥させてカビの発生等を良好に抑制することができる。温風供給ユニット19を所定時間だけ作動させた後、制御装置30は、温風供給ユニット19を停止させ、それにより、おしり洗浄ノズル15の洗浄が完了する。この結果、局部洗浄装置10では、人体の局部に洗浄水を噴出するおしり洗浄ノズル15(およびビデノズル)を衛生的に洗浄することが可能となる。
【0046】
また、局部洗浄装置10において、シリンダ20は、便座12を回動自在に支持するケーシング11のベースプレート110上に先端側が基端側よりも下方に位置するように固定され、第2シリンダ22の縮径部220の外周面とベースプレート110との間には、シール部材24が配置される。更に、おしり洗浄ノズル15の基端部の外周面と第1シリンダ21(シリンダ20)の内周面との間には、シール部材25が配置される。これにより、シリンダ20の外周面に外部からの汚物が付着するのを良好に抑制すると共に、シリンダ20の内部からケーシング11内に水や洗浄剤含有水が漏れ出るのを抑制することが可能となる。
【0047】
なお、上記シリンダ20において、洗浄液導入口215は、第1シリンダ21の内周面の接線方向に延在するように当該第1シリンダ21に形成されてもよい。ただし、洗浄液導入口225(215)の延在方向は、水等をおしり洗浄ノズル15等の外周面に沿って旋回するように隙間Y(X)に流入させることができるのであれば、必ずしも第2シリンダ22等の内周面の接線方向に完全に一致していなくてもよい。また、シリンダ20は、単一の筒体であってもよく、シリンダ20に洗浄液導入口が1つだけ形成されてもよく、シリンダ20に3つ以上の洗浄液導入口が軸方向に間隔をおいて形成されてもよい。更に、局部洗浄装置10において、隙間Yに配置される球体26が省略されてもよい。また、退避位置においておしり洗浄ノズル15の基端が第1シリンダ21(シリンダ20)の基端よりも先端側に位置するのであれば、シール部材25が省略されてもよい。更に、シリンダ20は、おしり洗浄ノズル15およびビデノズルの双方を収容可能に構成されてもよい。また、
図8のステップS120では、洗浄液導入口215に気泡含有水あるいは除菌水が洗浄液として供給されてもよい。更に、洗浄液導入口225に洗浄剤含有水、気泡含有水あるいは除菌水を選択的に供給可能である場合には、
図8のステップS110にて当該洗浄液導入口225に洗浄剤含有水等が供給されてもよい。また、
図8のルーチンにおいて、ステップS120およびステップS140の少なくとも何れか一方の処理が省略されてもよい。更に、
図8のルーチンにおける一部または全部の処理は、局部の洗浄後におしり洗浄ノズル15等を退避位置に戻す際に実行されてもよい。
【0048】
図9は、上述の局部洗浄装置10に適用可能な他のシリンダ20Bを示す断面図である。同図に示すシリンダ20Bは、おしり洗浄ノズル15等の外径よりも大きい一定の内径を有する単一の筒体であり、当該おしり洗浄ノズル15等の先端側の一部を除く概ね全体をその内部に収容可能なものである。図示するように、シリンダ20Bの図中下部には、軸方向における先端側(
図9における左端側)の概ね半分程度の範囲で開口する開口部20oと、当該開口部20oを塞ぐようにシリンダ20Bに固定される振動部材としての金属板200と、当該金属板200の外面に固定された超音波振動子50とを含む。超音波振動子50は、制御装置30によりオンオフ制御されるものである。
【0049】
また、シリンダ20Bには、それぞれ当該シリンダ20Bの内周面で開口する洗浄液導入口215および洗浄液導入口225が軸方向に間隔をおいて形成されている。洗浄液導入口215は、円筒状に形成されており、洗浄液導入口225よりもシリンダ20Bの基端側で、水等の洗浄液をおしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回させるように例えばシリンダ20Bの内周面の接線方向に延在する。洗浄液導入口215には、制御装置30により開閉制御されるバルブおよびホース(何れも図示省略)を介して水源からの水(あるいは温水)を選択的に供給することができる。また、洗浄液導入口225は、円筒状に形成されており、開口部20o(金属板200)の基端側の端部付近で、水等の洗浄液をおしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回させるように例えばシリンダ20Bの内周面の接線方向に延在する。洗浄液導入口225にも、制御装置30により開閉制御されるバルブおよびホース(何れも図示省略)を介して水源からの水(あるいは温水)を選択的に供給することができる。加えて、シリンダ20Bの内部には、温風供給ユニット19からの温風を選択的に供給可能である。また、シリンダ20Bの先端には、おしり洗浄ノズル15の外周面に摺接するように内周面から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する複数の汚物除去突部(図示省略)が形成されてもよい。
【0050】
図10は、シリンダ20Bを含む局部洗浄装置10において、ユーザにより操作パネル14のノズル洗浄スイッチが操作されたのに応じて制御装置30により実行されるノズル洗浄ルーチンを例示するフローチャートである。同図に示すように、制御装置30は、ノズル洗浄スイッチが操作されると、おしり洗浄ノズル15を退避位置まで後退させるか、あるいは退避位置に保持する(ステップS200)。次いで、制御装置30は、シリンダ20Bの先端側の洗浄液導入口225に水が供給されるように図示しないバルブを開弁させる(ステップS210)。洗浄液導入口225に供給された水は、シリンダ20Bとおしり洗浄ノズル15との隙間に流入し、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回しながら、当該隙間内をシリンダ20Bの先端(下端)に向けて流下していく。これにより、金属板200の周辺に充分に水を行き渡らせることができる。
【0051】
続いて、制御装置30は、超音波振動子50を所定時間だけ作動させる(ステップS220)。これにより、金属板200の周辺でおしり洗浄ノズル15の全周に亘って水を行き渡らせた状態で金属板200により水を振動させ、おしり洗浄ノズル15に付着した汚物をより効果的に除去することが可能となる。この間、剥ぎ取られた汚物は、シリンダ20Bの先端とおしり洗浄ノズル15との隙間から水と共に便器1の便鉢部(外部)に流出する。また、超音波振動子50を所定時間だけ作動させた後、制御装置30は、上記バルブを閉弁させて洗浄液導入口225への水の供給を停止させると共に、シリンダ20Bの基端側の洗浄液導入口215に水が供給されるように図示しないバルブを開弁させる(ステップS230)。洗浄液導入口215に供給された水は、シリンダ20Bとおしり洗浄ノズル15との隙間に流入し、おしり洗浄ノズル15の外周面に沿って旋回しながら、当該隙間内をシリンダ20Bの先端(下端)に向けて流下していく。これにより、おしり洗浄ノズル15の全体に水を行き渡らせ、隙間内に残留する汚物を洗い流すことができる。
【0052】
シリンダ20Bの基端側の洗浄液導入口215に水が供給されるように上記バルブを所定時間だけ開弁させた後、制御装置30は、当該バルブを閉弁させると共に、シリンダ20Bの内部に温風が供給されるように温風供給ユニット19を所定時間だけ作動させる(ステップS240)。これにより、シリンダ20Bの内部およびおしり洗浄ノズル15を速やかに乾燥させてカビの発生等を良好に抑制することができる。温風供給ユニット19を所定時間だけ作動させた後、制御装置30は、温風供給ユニット19を停止させ、それにより、おしり洗浄ノズル15の洗浄が完了する。この結果、シリンダ20Bを含む局部洗浄装置10においても、人体の局部に洗浄水を噴出するおしり洗浄ノズル15(およびビデノズル)を衛生的に洗浄することが可能となる。
【0053】
なお、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示の発明は、局部洗浄装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 便器、10 局部洗浄装置、11 ケーシング、110 ベースプレート、111 カバー、12 便座、13 便蓋、14 操作パネル、15 おしり洗浄ノズル、15H 噴出孔、15L 水供給路、17 アクチュエータ、18 シャッター、19 温風供給ユニット、20,20B シリンダ、20o 開口部、200 金属板、21 第1シリンダ、210 拡径部、215 洗浄液導入口、22 第2シリンダ、220 縮径部、221 汚物除去突部、222 突起、225 洗浄液導入口、23、24,25 シール部材、26 球体、27,28,29 バルブ、30 制御装置、50 超音波振動子、B ベルト、G ギヤ機構、M モータ、X,Y 隙間。