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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】平角導線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20240220BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240220BHJP
   B23K 26/351 20140101ALI20240220BHJP
【FI】
H02G1/12 080
B23K26/00 H
B23K26/351
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021567735
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020049012
(87)【国際公開番号】W WO2021132677
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019234306
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛田 英晴
(72)【発明者】
【氏名】池田 道治
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 孝也
(72)【発明者】
【氏名】大野 弘行
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-070483(JP,A)
【文献】特開2004-072860(JP,A)
【文献】特開2016-047552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0191301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B23K 26/00
B23K 26/351
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、
前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、
前記第1面部及び前記第2面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記レーザ光を照射する第1工程と、
前記第4角部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第2姿勢にある状態で、前記第4角部を含む第2範囲に前記レーザ光を照射する第2工程と、を備える平角導線の製造方法。
【請求項2】
前記第3面部及び前記第4面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第3姿勢にある状態で、前記第3面部と、前記第3角部と、前記第4面部とを含む第3範囲に前記レーザ光を照射する第3工程を備える請求項1に記載の平角導線の製造方法。
【請求項3】
前記第2角部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第4姿勢にある状態で、前記第2角部を含む第4範囲に前記レーザ光を照射する第4工程を備える請求項2に記載の平角導線の製造方法。
【請求項4】
平角導線の絶縁膜に第1レーザ光及び前記第1レーザ光とは異なる第2レーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、
前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、
前記第1面部及び前記第2面部を前記第1レーザ光の第1照射部に対向させると共に、前記第1レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記第1レーザ光を照射する第1工程と、
前記第4角部を前記第2レーザ光を照射する第2照射部に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した状態で、前記第4角部を含む第2範囲に前記第2レーザ光を照射する第2工程と、を備える平角導線の製造方法。
【請求項5】
前記第3面部及び前記第4面部を前記第2照射部に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した状態で、前記第3面部と、前記第3角部と、前記第4面部とを含む第3範囲に前記第2レーザ光を照射する第3工程を備える請求項4に記載の平角導線の製造方法。
【請求項6】
前記第2角部を前記第1照射部に対向させると共に、前記第1レーザ光の光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記第1レーザ光の光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した状態で、前記第2角部を含む第4範囲に前記第1レーザ光を照射する第4工程を備える請求項4に記載の平角導線の製造方法。
【請求項7】
前記第2範囲は、一部が前記第3範囲の一部に重なると共に、他の一部が前記第1範囲の一部に重なる請求項2又は5に記載の平角導線の製造方法。
【請求項8】
前記第1範囲は、前記第4角部及び前記第2角部を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の平角導線の製造方法。
【請求項9】
平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、
前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、
前記第1面部及び前記第2面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記レーザ光を照射する第1工程を備え、
前記第1姿勢にある状態で、前記第1範囲は、前記第4角部を含む端部の範囲である第1端部範囲と、前記第2角部を含む端部の範囲である第2端部範囲と、を有し、前記第1端部範囲及び前記第2端部範囲は、前記第1範囲における前記第1端部範囲及び前記第2端部範囲以外の範囲よりも前記レーザ光の照射による入熱量が多い平角導線の製造方法。
【請求項10】
前記第3面部及び前記第4面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第2姿勢にある状態で、前記第3面部と、前記第3角部と、前記第4面部とを含む第2範囲に前記レーザ光を照射する第2工程を備え、
前記第2姿勢にある状態で、前記第2範囲は、前記第2角部を含む端部の範囲である第3端部範囲と、前記第4角部を含む端部の範囲である第4端部範囲と、を有し、前記第3端部範囲及び前記第4端部範囲は、前記第2範囲における前記第3端部範囲及び前記第4端部範囲以外の範囲よりも前記レーザ光の照射による入熱量が多い請求項9に記載の平角導線の製造方法。
【請求項11】
前記レーザ光は、第1照射部から照射される第1レーザ光であり、
前記第3面部及び前記第4面部を前記第1レーザ光とは異なる第2レーザ光を照射する第2照射部に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第3面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した状態で、前記第3面部と、前記第3角部と、前記第4面部とを含む第2範囲に前記第2レーザ光を照射する第2工程を備え、
前記状態で、前記第2範囲は、前記第2角部を含む端部の範囲である第3端部範囲と、前記第4角部を含む端部の範囲である第4端部範囲と、を有し、前記第3端部範囲及び前記第4端部範囲は、前記第2範囲における前記第3端部範囲及び前記第4端部範囲以外の範囲よりも前記レーザ光の照射による入熱量が多い請求項9に記載の平角導線の製造方法。
【請求項12】
前記鈍角は、120°以上、かつ、150°以下である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の平角導線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、レーザ光を照射して行う平角導線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気自動車等の車両に搭載される電動モータ等に使用されるステータコア等に巻かれる導線として、表面に絶縁膜が形成された平角導線が普及している。このような平角導線を使用する場合、電気的に接続する部分では絶縁膜を除去して芯線を露出させる必要がある。このため、平角導線の接続部分に対して、絶縁膜の除去作業が行われる。
【0003】
平角導線の絶縁膜の除去方法、即ち平角導線の製造方法としては、平角導線の4つの面部のそれぞれにレーザ光を照射して除去を行い、4つの角部に残った絶縁膜に対して同一面上の2つの角部ずつ別途レーザ光を照射する方法が行われてきた。しかしながら、この除去方法では、4つの面部にそれぞれレーザ光を照射するために4工程を要し、その後に同一面上の2つの角部ずつレーザ光を照射するために更に2工程を要し、合計で6工程が必要であった。これに対し、工程数を削減するために、予め平角導線の4つの角部にレーザ光を吸収する塗料を塗布する除去方法が開発されている(特許文献1参照)。この除去方法によれば、角部にレーザ光が吸収されて熱量が上がりやすくなるため、4つの面部にそれぞれレーザ光を照射する4工程のみで、各角部の熱量も上昇して角部の絶縁膜も除去しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-70483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の平角導線の製造方法では、平角導線にレーザ光を照射する前に吸収用の塗料を塗布しなければならず、塗布の作業や塗料のコストの削減が望まれていた。
【0006】
そこで、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる平角導線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本平角導線の製造方法は、平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、前記第1面部及び前記第2面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記レーザ光を照射する第1工程と、前記第4角部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第2姿勢にある状態で、前記第4角部を含む第2範囲に前記レーザ光を照射する第2工程と、を備える。
また、本平角導線の製造方法は、平角導線の絶縁膜に第1レーザ光及び前記第1レーザ光とは異なる第2レーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、前記第1面部及び前記第2面部を前記第1レーザ光の第1照射部に対向させると共に、前記第1レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記第1レーザ光を照射する第1工程と、前記第4角部を前記第2レーザ光を照射する第2照射部に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第4面部との交点において前記第3角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記第2レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第1角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した状態で、前記第4角部を含む第2範囲に前記第2レーザ光を照射する第2工程と、を備える。
また、本平角導線の製造方法は、平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を除去する平角導線の製造方法であって、前記平角導線の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部、第2面部、第3面部、第4面部とし、前記第1面部及び前記第2面部の間の角部を第1角部、前記第2面部及び前記第3面部の間の角部を第2角部、前記第3面部及び前記第4面部の間の角部を第3角部、前記第4面部及び前記第1面部の間の角部を第4角部とした場合に、前記第1面部及び前記第2面部を前記レーザ光の照射部に対向させると共に、前記レーザ光の光軸に平行な直線と前記第1面部との交点において前記第4角部側に形成される角度が鈍角であり、かつ、前記光軸に平行な直線と前記第2面部との交点において前記第2角部側に形成される角度が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部と、前記第1角部と、前記第2面部とを含む第1範囲に前記レーザ光を照射する第1工程を備え、前記第1姿勢にある状態で、前記第1範囲は、前記第4角部を含む端部の範囲である第1端部範囲と、前記第2角部を含む端部の範囲である第2端部範囲と、を有し、前記第1端部範囲及び前記第2端部範囲は、前記第1範囲における前記第1端部範囲及び前記第2端部範囲以外の範囲よりも前記レーザ光の照射による入熱量が多い。
【発明の効果】
【0008】
本平角導線の製造方法によると、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る平角導線を示す断面図。
図2】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図3A】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図3B】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図3C】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図3D】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図4A】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第3姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図4B】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第3工程で第3範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図4C】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第4姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図4D】第1の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第4工程で第4範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図5】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図6A】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図6B】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図6C】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第5工程で第1姿勢のまま第5範囲及び第6範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図7A】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図7B】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図7C】第2の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第6工程で第2姿勢のまま第7範囲及び第8範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図8】第3の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図9A】第3の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図9B】第3の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲、第5範囲、第6範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図9C】第3の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図9D】第3の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲、第7範囲、第8範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図10】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図11A】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図11B】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲に第1レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図11C】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲に第2レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図12A】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第3姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図12B】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第3工程で第3範囲に第1レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図12C】第4の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第4工程で第4範囲に第2レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図13】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図14A】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図14B】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲に第1レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図14C】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第5工程で第5範囲及び第6範囲に第1レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図15A】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲に第2レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図15B】第5の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第6工程で第7範囲及び第8範囲に第2レーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図16】第6の実施形態に係る平角導線の製造方法を示すフローチャート。
図17A】第6の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1姿勢に設置した状態の平角導線の概略の断面図である。
図17B】第6の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第1工程で第1範囲、第5範囲、第6範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
図17C】第6の実施形態に係る平角導線の製造方法において、第2工程で第2範囲、第7範囲、第8範囲にレーザ光を照射した状態の平角導線の概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本開示に係る平角導線の製造方法の第1の実施形態を、図1図4Dに沿って説明する。本実施形態では、平角導線は、電動モータのステータコアに巻回されるコイルとして使用される導線としている。
【0011】
[平角導線の構成]
まず、図1を参照して、平角導線1の構成について説明する。平角導線1は、断面矩形状の導線であり、芯線2の表面に、例えばエナメル被膜からなる絶縁膜3が形成されて構成されている。平角導線1は、外側部に4つの平面部を有している。各平面部は、隣り合った並び順に第1面部11、第2面部12、第3面部13、第4面部14とする。また、第1面部11及び第2面部12の間の角部を第1角部21とし、第2面部12及び第3面部13の間の角部を第2角部22とし、第3面部13及び第4面部14の間の角部を第3角部23とし、第4面部14及び第1面部11の間の角部を第4角部24とする。本実施形態では、これら角部21~24はいずれも断面円弧形状としている。尚、本実施形態では、角部21~24はいずれも角取りされた断面円弧形状としているが、これには限られず、例えば、面取りされた断面直線形状であってもよい。
【0012】
平角導線1をステータコアに巻回して使用するために、例えば端部などの電気的な接続部分では絶縁膜3を除去して芯線2を露出させる。このため、平角導線1の接続部分に、レーザ光を照射することで絶縁膜3を除去した除去部が形成されている。除去部を形成するために使用されるレーザ光は、特に限定されないが、例えばグリーンレーザやCOレーザやYAGレーザなどを使用することができる。本実施形態では、レーザ光を照射部から照射可能なレーザ照射装置を用いて、照射対象として設置した平角導線1の除去部を形成する部分にレーザ光を照射するようにしている。尚、本実施形態で利用したレーザ光の一例としての諸元は、以下の通りである。レーザ径:直径0.06mm、パルスエネルギ:1mJ、周波数:300KHz、パルス幅:240nsec、ピッチ幅:送り方向0.03mm、ラインオフセット量0.06mm。また、レーザ光の焦点距離は、特に限定されないが、例えば、傾斜した平角導線1の最上点(最短距離)から芯線2側にオフセットさせた位置とする。また、後述する図3A図4Dなどでは、レーザ照射装置の照射部5,6として便宜的にFθレンズを図示しているが、実際には照射部の全体を示すものとする。
【0013】
[平角導線の製造方法]
以下、本実施形態による平角導線1の製造方法を、図2に示すフローチャートと、図3A図4Dに示す工程図とに沿って説明する。尚、図3A図4Dにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0014】
まず、図3Aに示すように、平角導線1が、レーザ照射装置に第1姿勢で設置される(ステップS1)。本実施形態で第1姿勢とは、第1面部11及び第2面部12をレーザ光の照射部5に対向させると共に、レーザ光の光軸OA1に対して斜めに設置した姿勢である。ここで、光軸OA1とは、照射されたレーザ光に関する光軸OA1を意味する。即ち、第1姿勢とは、光軸OA1に平行な直線L11と第1面部11との交点P11において第4角部24側に形成される角度θ11が鈍角であり、かつ、光軸OA1に平行な直線L12と第2面部12との交点P12において第2角部22側に形成される角度θ12が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態においては、第1姿勢では、第1面部11及び第2面部12は、光軸OA1の方向と平行な直線L1との交点P1において、第1角部21側に形成される角度θ1が45°になるように設置されている。即ち、θ11=θ12=135°になるように設置されている。
【0015】
図3Bに示すように、レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS2、第1工程)。本実施形態では、第1範囲Ar1は、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12とからなる範囲としている。レーザ光はラインオフセット量を0.06mmとして、双方向に交互に照射するようにしている。これにより、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12との3か所を1工程により照射することができるので、例えば、第1面部11と第2面部12とを別々の2工程により照射する場合に比べて、工程数を抑えることができる。
【0016】
図3Cに示すように、平角導線1が、第1姿勢から180°回転されて、レーザ照射装置に第2姿勢で設置される(ステップS3)。本実施形態で第2姿勢とは、第3面部13及び第4面部14をレーザ光の照射部5に対向させると共に、レーザ光の光軸OA1に対して斜めに設置した姿勢である。即ち、第2姿勢とは、光軸OA1に平行な直線L13と第3面部13との交点P13において第2角部22側に形成される角度θ13が鈍角であり、かつ、光軸OA1に平行な直線L14と第4面部14との交点P14において第4角部24側に形成される角度θ14が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態においては、第2姿勢では、第3面部13及び第4面部14は、光軸OA1の方向と平行な直線L1との交点P2において、第3角部23側に形成される角度θ2が45°になるように設置されている。即ち、θ13=θ14=135°になるように設置されている。
【0017】
図3Dに示すように、レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS4、第2工程)。本実施形態では、第2範囲Ar2は、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14とからなる範囲としている。これにより、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14との3か所を1工程により照射することができるので、例えば、第3面部13と第4面部14とを別々の2工程により照射する場合に比べて、工程数を抑えることができる。
【0018】
上述した第1工程及び第2工程により、平角導線1の全周に亘って第1面部11、第2面部12、第3面部13、第4面部14にレーザ光を照射することができるので、絶縁膜3(図1参照)をほぼ全周に亘って除去することができる。しかしながら、各角部は断面円弧形状に形成されており、第2角部22と第4角部24とは先端部に対して側方からレーザ光が照射されているので、第2角部22と第4角部24との各先端部に絶縁膜が僅かに残ってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、第2角部22と第4角部24とについては、第1工程及び第2工程の実行後に、角部の先端側から更にレーザ光を照射するようにする。
【0019】
また、このときは、第2角部22及び第4角部24の先端部に残った可能性のある絶縁膜を除去するものであるので、第1工程及び第2工程よりもレーザ光を低出力にしても除去を実現できる。そこで、本実施形態では、第2工程の終了後、レーザ照射装置から平角導線1を取り外し、別の低出力のレーザ照射装置に設置して、以下の工程を実行するものとする。
【0020】
第2工程の終了後、図4Aに示すように、平角導線1が、第2姿勢から90°回転された状態で低出力のレーザ照射装置に第3姿勢で設置される(ステップS5)。本実施形態で第3姿勢とは、第2角部22をレーザ光の照射部6に対向させると共に、レーザ光の光軸OA2に対して斜めに設置した姿勢である。即ち、第3姿勢とは、光軸OA2に平行な直線L15と第2面部12との交点P15において第1角部21側に形成される角度θ15が鈍角であり、かつ、光軸OA2に平行な直線L16と第3面部13との交点P16において第3角部23側に形成される角度θ16が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態においては、第3姿勢では、第2面部12及び第3面部13は、光軸OA2の方向と平行な直線L1との交点P3において、第2角部22側に形成される角度θ3が45°になるように設置されている。即ち、θ15=θ16=135°になるように設置されている。
【0021】
図4Bに示すように、レーザ光を第3範囲Ar3に照射する(ステップS6、第3工程)。本実施形態では、第3範囲Ar3は第2角部22を含む範囲であり、第3範囲Ar3の一部Ar3aが第1範囲Ar1の一部である端部に重なると共に、第3範囲Ar3の他の一部Ar3bが第2範囲Ar2の一部である端部に重なっている。第3工程において第3範囲Ar3に照射するレーザ光は、第1工程で第1範囲Ar1に照射するレーザ光より低出力のレーザ光である。
【0022】
図4Cに示すように、平角導線1が、第3姿勢から180°回転されて、レーザ照射装置に第4姿勢で設置される(ステップS7)。本実施形態で第4姿勢とは、第4角部24をレーザ光の照射部6に対向させると共に、レーザ光の光軸OA2に対して斜めに設置した姿勢である。即ち、第4姿勢とは、光軸OA2に平行な直線L17と第4面部14との交点P17において第3角部23側に形成される角度θ17が鈍角であり、かつ、光軸OA2に平行な直線L18と第1面部11との交点P18において第1角部21側に形成される角度θ18が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態においては、第4姿勢では、第4面部14及び第1面部11は、光軸OA2の方向と平行な直線L1との交点P4において、第4角部24側に形成される角度θ4が45°になるように設置されている。即ち、θ17=θ18=135°になるように設置されている。
【0023】
図4Dに示すように、レーザ光を第4範囲Ar4に照射する(ステップS8、第4工程)。本実施形態では、第4範囲Ar4は第4角部24を含む範囲であり、第4範囲Ar4の一部Ar4aが第2範囲Ar2の一部である端部に重なると共に、第4範囲Ar4の他の一部Ar4bが第1範囲Ar1の一部である端部に重なっている。第4工程において第4範囲Ar4に照射するレーザ光は、第1工程で第1範囲Ar1に照射するレーザ光より低出力のレーザ光である。
【0024】
上述した第1工程~第4工程を実行することにより、表面に絶縁膜3(図1参照)が形成された平角導線1にレーザ光を照射して、絶縁膜3を除去することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢でレーザ光を照射している。このため、平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができる。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0026】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢でレーザ光を照射した後に、第2姿勢でレーザ光を照射している。第2姿勢でのレーザ光の照射によっても、平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができるので、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。
【0027】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1工程及び第2工程の実行後に第3工程及び第4工程を実行して第2角部22及び第4角部24にレーザ光を照射している。このため、各角部は断面円弧形状に形成されていることで第2角部22と第4角部24との各先端部に絶縁膜が僅かに残っていても、絶縁膜残りの発生を抑制することができる。しかも、その際のレーザ光は第1工程及び第2工程のレーザ光に比べると低出力で足りる。このため、第1工程及び第2工程と、第3工程及び第4工程とを別の生産ラインとし、第1工程及び第2工程の生産ラインでは高出力のレーザ照射装置を適用し、第3工程及び第4工程の生産ラインでは低出力のレーザ照射装置を適用するようにできる。これにより、生産時間を削減できると共に、第3工程及び第4工程の生産ラインに高出力のレーザ照射装置を適用する場合に比べてコストの増大を抑えることができる。
【0028】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第3工程でレーザ光を照射する第3範囲Ar3は、一部Ar3aが第1範囲Ar1の一部である端部に重なると共に、他の一部Ar3bが第2範囲Ar2の一部である端部に重なっている。また、第4工程でレーザ光を照射する第4範囲Ar4は、一部Ar4aが第2範囲Ar2の一部である端部に重なると共に、他の一部Ar4bが第1範囲Ar1の一部である端部に重なっている。これにより、第1範囲Ar1と第3範囲Ar3との境界部分、第3範囲Ar3と第2範囲Ar2との境界部分、第2範囲Ar2と第4範囲Ar4との境界部分、第4範囲Ar4と第1範囲Ar1との境界部分のそれぞれで、レーザ光の照射を隙間なく実行することができる。よって、絶縁膜3の除去を高精度に実現することができる。
【0029】
尚、上述した本実施形態においては、第1工程及び第2工程と、第3工程及び第4工程とを別の生産ラインとした場合について説明したが、これには限られない。例えば、第1工程及び第2工程と、第3工程及び第4工程とを連続した1つの生産ラインとしてもよく、この場合も絶縁膜残りの発生を抑制することができる。この場合、平角導線1を別のレーザ照射装置に設置し直す必要が無いので、作業性を向上することができる。また、この場合でも、第3工程及び第4工程でのレーザ光の出力は、第1工程及び第2工程でのレーザ光の出力よりも低くすることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、第1工程及び第2工程の実行後に第3工程及び第4工程を実行した場合について説明したが、これには限られず、第3工程及び第4工程の実行後に第1工程及び第2工程を実行してもよい。また、例えば、各角部が断面直角な形状である場合など、第1工程及び第2工程のみで絶縁膜残りの発生を抑制可能であれば、第3工程及び第4工程を省略してもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、第1範囲Ar1は、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12とからなる範囲である場合について説明しているが、これには限られず、例えば、第4角部24と、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12と、第2角部22とからなる範囲としてもよい。また、本実施形態においては、第2範囲Ar2は、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14とからなる範囲である場合について説明しているが、これには限られず、例えば、第2角部22と、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14と、第4角部24とからなる範囲としてもよい。これによれば、例えば、第4角部24及び第2角部22の形状が断面直角形状である場合など、第1工程及び第2工程の実行後に第4角部24及び第2角部22の各先端部に絶縁膜が残りにくい場合には、第1工程及び第2工程の2工程のみを実行することにより、第4角部24及び第2角部22を含めて平角導線1の絶縁膜3を全周に亘って除去することができる。
【0032】
また、本実施形態においては、第3範囲Ar3は、一部Ar3aが第1範囲Ar1の一部である端部に重なると共に、他の一部Ar3bが第2範囲Ar2の一部である端部に重なる場合について説明したが、これには限られない。例えば、第3範囲Ar3は、両端部がそれぞれ第1範囲Ar1及び第2範囲Ar2に重なることなく連続する範囲Ar30(図4B参照)としてもよい。同様に、本実施形態においては、第4範囲Ar4は、一部Ar4aが第2範囲Ar2の一部である端部に重なると共に、他の一部Ar4bが第1範囲Ar1の一部である端部に重なる場合について説明したが、これには限られない。例えば、第4範囲Ar4は、両端部がそれぞれ第1範囲Ar1及び第2範囲Ar2に重なることなく連続する範囲Ar40(図4D参照)としてもよい。これらの場合、第3工程あるいは第4工程においてレーザ光を照射する範囲を狭めることができるので、作業時間を短くすることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、第1姿勢で第1面部11及び第2面部12と光軸の方向と平行な直線L1との交点において第1角部21側に形成される角度θ1、第2姿勢で第3面部13及び第4面部14と光軸の方向と平行な直線L1との交点において第3角部23側に形成される角度θ2、第3姿勢で第2面部12及び第3面部13と光軸の方向と平行な直線L1との交点において第2角部22側に形成される角度θ3、第4姿勢で第4面部14及び第1面部11と光軸の方向と平行な直線L1との交点において第4角部24側に形成される角度θ4は、いずれも45°になるように設置されているが、これには限られない。
【0034】
これらの角度θ1~θ4が0°より大きく、90°未満であれば、平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの平面部を照射することができる。但し、光軸が垂直に近い方が平面部に対して高いエネルギ効率を与えられるが、1回の照射工程で照射する2つの平面部の一方が大きくなれば他方が小さくなってしまう。このため、これらの角度θ1~θ4は、0°より大きく、90°未満であればよく、1回の照射工程で照射する2つの平面部の各光軸に対する角度を考慮して、30°以上、かつ、60°以下であることが好ましく、45°であることが最も好ましい。
【0035】
同様に、本実施形態においては、直線L11と第1面部11との交点P11において第4角部24側に形成される角度θ11と、直線L12と第2面部12との交点P12において第2角部22側に形成される角度θ12と、直線L13と第3面部13との交点P13において第2角部22側に形成される角度θ13と、直線L14と第4面部14との交点P14において第4角部24側に形成される角度θ14と、直線L15と第2面部12との交点P15において第1角部21側に形成される角度θ15と、直線L16と第3面部13との交点P16において第3角部23側に形成される角度θ16と、直線L17と第4面部14との交点P17において第3角部23側に形成される角度θ17と、直線L18と第1面部11との交点P18において第1角部21側に形成される角度θ18とは、いずれも135°になるように設置されているが、これには限られない。
【0036】
これらの角度θ11~θ18が鈍角であれば、平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの平面部を照射することができる。但し、1回の照射工程で照射する2つの平面部の各光軸に対する角度を考慮して、これらの角度θ11~θ18は、120°以上、かつ、150°以下であることが好ましく、135°であることが最も好ましい。
【0037】
また、本実施形態においては、θ1=θ2=θ3=θ4=45°(θ11~θ18=135°)とした場合について説明したが、上述したようにこれには限られない。このため、例えば、第1工程の第1姿勢での角度θ1は30°で、第2工程の第2姿勢での角度θ2は60°のように、各角度を異ならせるようにしてもよい。従って、本実施形態では、第1姿勢から第2姿勢に変位する際に180°回転し、第2姿勢から第3姿勢に変位する際に90°回転し、第3姿勢から第4姿勢に変位する際に180°回転するようにしているが、これには限れず、θ1,θ2,θ3,θ4に合わせて回転角度を調整することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
次に、本開示に係る第2の実施形態を、図5図7Dを参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1工程の実行後に第1姿勢を維持したまま第4角部24を含む第5範囲Ar5と第2角部22を含む第6範囲Ar6とに更にレーザ光を照射し、第2工程の実行後に第2姿勢を維持したまま第2角部22を含む第7範囲Ar7と第4角部24を含む第8範囲Ar8とに更にレーザ光を照射する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施形態による平角導線1の製造方法を、図5に示すフローチャートと、図6A図7Cに示す工程図とに沿って説明する。尚、図6A図7Cにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0040】
まず、第1工程については、第1の実施形態と同様である。即ち、図6Aに示すように、平角導線1が、レーザ照射装置に第1姿勢で設置される(ステップS1)。続いて、図6Bに示すように、レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS2、第1工程)。ここでの第1範囲Ar1は、第4角部24と、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12と、第2角部22とからなる範囲とする。
【0041】
そして、図6Cに示すように、平角導線1が第1姿勢にある状態で、第4角部24を含む第5範囲Ar5と、第2角部22を含む第6範囲Ar6とに、レーザ光を照射する(ステップS11、第5工程)。第5範囲Ar5としては、少なくとも第4角部24を含んでいればよく、本実施形態では、第4角部24とこれに連続する第1面部11の端部とを含む範囲としている。第6範囲Ar6としては、少なくとも第2角部22を含んでいればよく、本実施形態では、第2角部22とこれに連続する第2面部12の端部とを含む範囲としている。即ち、第5範囲Ar5及び第6範囲Ar6は、それぞれ少なくとも一部が第1範囲Ar1の端部に重なっている。
【0042】
次に、第2工程については、第1の実施形態と同様である。即ち、図7Aに示すように、平角導線1は180°回転されて、第2姿勢で設置される(ステップS3)。続いて、図7Bに示すように、レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS4、第2工程)。ここでの第2範囲Ar2は、第2角部22と、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14と、第4角部24とからなる範囲とする。
【0043】
そして、図7Cに示すように、平角導線1が第2姿勢にある状態で、第2角部22を含む第7範囲Ar7と、第4角部24を含む第8範囲Ar8とに、レーザ光を照射する(ステップS12、第6工程)。第7範囲Ar7としては、少なくとも第2角部22を含んでいればよく、本実施形態では、第2角部22とこれに連続する第3面部13の端部とを含む範囲としている。第8範囲Ar8としては、少なくとも第4角部24を含んでいればよく、本実施形態では、第4角部24とこれに連続する第4面部14の端部とを含む範囲としている。即ち、第7範囲Ar7及び第8範囲Ar8は、それぞれ少なくとも一部が第2範囲Ar2の端部に重なっている。
【0044】
このように、第5工程及び第6工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に集中的にレーザ光を照射し、局所的に入熱量を増大している。このため、平角導線1が第1姿勢又は第2姿勢に設置されていても、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢でレーザ光を照射し、第2姿勢でレーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの両端の2つの角部とこれらの間の1つの角部とを照射することができ、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0046】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1工程の実行後、平角導線1が第1姿勢にある状態で、第5範囲Ar5と第6範囲Ar6とにレーザ光を照射する。また、第2工程の実行後、平角導線1が第2姿勢にある状態で、第7範囲Ar7と第8範囲Ar8とにレーザ光を照射する。このため、第5工程及び第6工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に集中的にレーザ光を照射し、局所的に入熱量を増大している。これにより、平角導線1を第1姿勢又は第2姿勢以外の姿勢に設置することなく、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制されるので、平角導線1の回転回数は1回で済むことになり、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0047】
尚、上述した第2の実施形態においては、第1工程の実行後に第5工程を実行し、第2工程の実行後に第6工程を実行した場合について説明したが、これには限られず、第5工程の実行後に第1工程を実行したり、第6工程の実行後に第2工程を実行するようにしてもよい。
【0048】
<第3の実施形態>
次に、本開示に係る第3の実施形態を、図8図9Dを参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1工程において第4角部24を含む第5範囲Ar5と第2角部22を含む第6範囲Ar6とに高出力のレーザ光を照射し、第2工程において第2角部22を含む第7範囲Ar7と第4角部24を含む第8範囲Ar8とに高出力のレーザ光を照射する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態による平角導線1の製造方法を、図8に示すフローチャートと、図9A図9Dに示す工程図とに沿って説明する。尚、図9A図9Dにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0050】
まず、図9Aに示すように、平角導線1が、レーザ照射装置に第1姿勢で設置される(ステップS1)。そして、図9Bに示すように、レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS21、第1工程)。ここでの第1範囲Ar1は、第4角部24と、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12と、第2角部22とからなる範囲とする。ここで、第1範囲Ar1の中で、第4角部24を含む第5範囲Ar5と、第2角部22を含む第6範囲Ar6とに、第1範囲Ar1の中の第5範囲Ar5及び第6範囲Ar6以外の範囲Ar1aより高出力のレーザ光を照射する。
【0051】
次に、図9Cに示すように、平角導線1は180°回転されて、レーザ照射装置に第2姿勢で設置される(ステップS3)。そして、図9Dに示すように、レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS22、第2工程)。ここでの第2範囲Ar2は、第2角部22と、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14と、第4角部24とからなる範囲とする。ここで、第2範囲Ar2の中で、第2角部22を含む第7範囲Ar7と、第4角部24を含む第8範囲Ar8とに、第2範囲Ar2の中の第7範囲Ar7及び第8範囲Ar8以外の範囲Ar2aより高出力のレーザ光を照射する。
【0052】
このように、第1工程及び第2工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に高出力のレーザ光を照射しているので、平角導線1が第1姿勢又は第2姿勢に設置されていても、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢でレーザ光を照射し、第2姿勢でレーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの両端の2つの角部とこれらの間の1つの角部とを照射することができ、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0054】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1工程において、第5範囲Ar5と第6範囲Ar6とに高出力のレーザ光を照射する。また、第2工程において、第7範囲Ar7と第8範囲Ar8とに高出力のレーザ光を照射する。このため、第1工程及び第2工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に高出力のレーザ光を照射し、局所的に入熱量を増大している。これにより、平角導線1を第1姿勢又は第2姿勢以外の姿勢に設置することなく、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制されるので、平角導線1の回転回数は1回で済むことになり、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0055】
<第4の実施形態>
次に、本開示に係る第4の実施形態を、図10図12Cを参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、レーザ照射装置が平角導線1を挟んで2つ設けられている点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0056】
図11A図11Cに示すように、第1レーザ光を照射する第1レーザ照射装置の第1照射部51と第2レーザ光を照射する第2レーザ照射装置の第2照射部52とは、互いに対向する方向にレーザ光を照射可能に配置されている。即ち、第1レーザ光の光軸OA1と第2レーザ光の光軸OA2とは、平行に配置されている。平角導線1は、第1照射部51と第2照射部52との間に配置されている。第1レーザ照射装置と第2レーザ照射装置とは、上述した第1の実施形態のレーザ照射装置と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0057】
以下、本実施形態による平角導線1の製造方法を、図10に示すフローチャートと、図11A図12Cに示す工程図とに沿って説明する。尚、図11A図12Cにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0058】
まず、図11Aに示すように、平角導線1が、第1照射部51及び第2照射部52の間に第1姿勢で設置される(ステップS31)。本実施形態で第1姿勢とは、第1面部11及び第2面部12を第1照射部51に対向させると共に、第1レーザ光の光軸OA1に対して斜めに設置した姿勢である。即ち、第1姿勢とは、光軸OA1に平行な直線L11と第1面部11との交点P11において第4角部24側に形成される角度θ11が鈍角であり、かつ、光軸OA1に平行な直線L12と第2面部12との交点P12において第2角部22側に形成される角度θ12が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態では、第1姿勢では、第1面部11及び第2面部12は、第1レーザ光の光軸OA1の方向と平行な直線L1との交点P1において、第1角部21側に形成される角度θ1が45°になるように設置されている。即ち、θ11=θ12=135°になるように設置されている。
【0059】
また、第1姿勢において、第3面部13及び第4面部14を第2照射部52に対向させると共に、第2レーザ光の光軸OA2に対して斜めに設置している。即ち、第1姿勢において、光軸OA2に平行な直線L23と第3面部13との交点P23において第2角部22側に形成される角度θ23が鈍角であり、かつ、光軸OA2に平行な直線L24と第4面部14との交点P24において第4角部24側に形成される角度θ24が鈍角であるように設置している。本実施形態では、第1姿勢では、第3面部13及び第4面部14は、第2レーザ光の光軸OA2の方向と平行な直線L2との交点P2において、第3角部23側に形成される角度θ2が45°になるように設置されている。即ち、θ23=θ24=135°になるように設置されている。
【0060】
図11Bに示すように、第1照射部51から第1レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS32、第1工程)。本実施形態では、第1範囲Ar1は、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12とからなる範囲としている。その後、平角導線1を回転させることなく、図11Cに示すように、第2照射部52から第2レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS33、第2工程)。本実施形態では、第2範囲Ar2は、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14とからなる範囲としている。
【0061】
上述した第1工程及び第2工程により、平角導線1の全周に亘って第1面部11、第2面部12、第3面部13、第4面部14にレーザ光を照射することができるので、絶縁膜3(図1参照)をほぼ全周に亘って除去することができる。しかしながら、各角部は断面円弧形状に形成されており、第2角部22と第4角部24とは先端部に対して側方からレーザ光が照射されているので、第2角部22と第4角部24との各先端部に絶縁膜が僅かに残ってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、第2角部22と第4角部24とについては、第1工程及び第2工程の実行後に、角部の先端側から更にレーザ光を照射するようにする。
【0062】
また、このときは、第2角部22及び第4角部24の先端部に残った可能性のある絶縁膜を除去するものであるので、第1工程及び第2工程よりもレーザ光を低出力にしても除去を実現できる。そこで、本実施形態では、第2工程の終了後、レーザ照射装置から平角導線1を取り外し、別の低出力のレーザ照射装置に設置して、以下の工程を実行するものとする。
【0063】
図12A図12Cに示すように、低出力の第1レーザ光を照射する第1レーザ照射装置の第1照射部61と低出力の第2レーザ光を照射する第2レーザ照射装置の第2照射部62とは、互いに対向する方向にレーザ光を照射可能に配置されている。即ち、第1レーザ光の光軸OA1と第2レーザ光の光軸OA2とは、平行に配置されている。平角導線1は、第1照射部61と第2照射部62との間に配置されている。低出力の各レーザ照射装置は、上述した第1の実施形態の低出力のレーザ照射装置と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0064】
第2工程の終了後、図12Aに示すように、平角導線1が、第1姿勢から90°回転された状態で低出力のレーザ照射装置に第3姿勢で設置される(ステップS34)。本実施形態で第3姿勢とは、第2角部22を第1レーザ光の照射部61に対向させると共に、第1レーザ光の光軸に対して斜めに設置した姿勢である。即ち、第3姿勢とは、光軸OA1に平行な直線L15と第2面部12との交点P15において第1角部21側に形成される角度θ15が鈍角であり、かつ、光軸OA1に平行な直線L16と第3面部13との交点P16において第3角部23側に形成される角度θ16が鈍角であるように設置した姿勢である。本実施形態では、第3姿勢では、第2面部12及び第3面部13は、光軸OA1の方向と平行な直線L1との交点P3において、第2角部22側に形成される角度θ3が45°になるように設置されている。即ち、θ15=θ16=135°になるように設置されている。
【0065】
また、第3姿勢において、第4角部24を第2照射部62に対向させると共に、第2レーザ光の光軸OA2に対して斜めに設置している。即ち、第3姿勢において、光軸OA2に平行な直線L27と第4面部14との交点P27において第3角部23側に形成される角度θ27が鈍角であり、かつ、光軸OA2に平行な直線L28と第1面部11との交点P28において第1角部21側に形成される角度θ28が鈍角であるように設置している。本実施形態では、第3姿勢では、第4面部14及び第1面部11は、光軸OA2の方向と平行な直線L2との交点P4において、第4角部24側に形成される角度θ4が45°になるように設置されている。即ち、θ27=θ28=135°になるように設置されている。
【0066】
図12Bに示すように、第1照射部61から第1レーザ光を第3範囲Ar3に照射する(ステップS35、第3工程)。本実施形態では、第3範囲Ar3は第2角部22を含む範囲であり、第3範囲Ar3の一部Ar3aが第1範囲Ar1の一部である端部に重なると共に、第3範囲Ar3の他の一部Ar3bが第2範囲Ar2の一部である端部に重なっている。第3工程において第3範囲Ar3に照射する第1レーザ光は、第1工程で第1範囲Ar1に照射する第1レーザ光より低出力のレーザ光である。
【0067】
その後、平角導線1を回転させることなく、図12Cに示すように、第2照射部62から第2レーザ光を第4範囲Ar4に照射する(ステップS36、第4工程)。本実施形態では、第4範囲Ar4は第4角部24を含む範囲であり、第4範囲Ar4の一部Ar4aが第2範囲Ar2の一部である端部に重なると共に、第4範囲Ar4の他の一部Ar4bが第1範囲Ar1の一部である端部に重なっている。第4工程において第4範囲Ar4に照射する第2レーザ光は、第1工程で第1範囲Ar1に照射する第2レーザ光より低出力のレーザ光である。
【0068】
上述した第1工程~第4工程を実行することにより、表面に絶縁膜3(図1参照)が形成された平角導線1にレーザ光を照射して、絶縁膜3を除去することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢で第1レーザ光及び第2レーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができ、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0070】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、平角導線1を挟んで第1照射部51と第2照射部52とを配置しているので、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させることなく、第1範囲Ar1と第2範囲Ar2とに連続してレーザ光を照射することができる。このため、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させる場合に比べて、作業時間を短縮することができる。
【0071】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1工程及び第2工程の実行後に第3工程及び第4工程を実行して第2角部22及び第4角部24にレーザ光を照射している。このため、各角部は断面円弧形状に形成されていることで第2角部22と第4角部24との各先端部に絶縁膜が僅かに残っていても、絶縁膜残りの発生を抑制することができる。尚、上述した第4の実施形態においては、レーザ照射装置は2つ設けられている場合につて説明したが、これには限られず、3つ以上のレーザ照射装置が設けられていてもよい。
【0072】
また、上述した第4の実施形態においては、第1工程の完了後に第2工程を実行するようにしているが、これには限られず、第1工程と第2工程とを並行して同時に実行するようにしてもよい。この場合、作業時間の短縮を図ることができる。
【0073】
<第5の実施形態>
次に、本開示に係る第5の実施形態を、図13図15Bを参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、レーザ照射装置が平角導線1を挟んで2つ設けられている点で、第2の実施形態と構成を異にしている。また、本実施形態では、第1工程の実行後に第1姿勢を維持したまま第4角部24を含む第5範囲Ar5と第2角部22を含む第6範囲Ar6とに更に第1レーザ光を照射し、第2工程の実行後に第2角部22を含む第7範囲Ar7と第4角部24を含む第8範囲Ar8とに更に第2レーザ光を照射する点で、第4の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第2の実施形態及び第4の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0074】
本実施形態による平角導線1の製造方法を、図13に示すフローチャートと、図14A図15Bに示す工程図とに沿って説明する。尚、図14A図15Bにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0075】
まず、第1工程については、第4の実施形態と同様である。即ち、図14Aに示すように、平角導線1が、レーザ照射装置に第1姿勢で設置される(ステップS31)。続いて、図14Bに示すように、第1照射部51から第1レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS32、第1工程)。ここでの第1範囲Ar1は、第4角部24と、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12と、第2角部22とからなる範囲とする。
【0076】
そして、図14Cに示すように、平角導線1が第1姿勢にある状態で、第4角部24を含む第5範囲Ar5と、第2角部22を含む第6範囲Ar6とに、第1照射部51から第1レーザ光を照射する(ステップS41、第5工程)。第5範囲Ar5としては、少なくとも第4角部24を含んでいればよく、本実施形態では、第4角部24とこれに連続する第1面部11の端部とを含む範囲としている。第6範囲Ar6としては、少なくとも第2角部22を含んでいればよく、本実施形態では、第2角部22とこれに連続する第2面部12の端部とを含む範囲としている。即ち、第5範囲Ar5及び第6範囲Ar6は、それぞれ少なくとも一部が第1範囲Ar1の端部に重なっている。
【0077】
その後、図15Aに示すように、平角導線1を回転させることなく、第2照射部52から第2レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS34、第2工程)。ここでの第2範囲Ar2は、第2角部22と、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14と、第4角部24とからなる範囲とする。
【0078】
そして、図15Bに示すように、第2角部22を含む第7範囲Ar7と、第4角部24を含む第8範囲Ar8とに、第2照射部52から第2レーザ光を照射する(ステップS42、第6工程)。第7範囲Ar7としては、少なくとも第2角部22を含んでいればよく、本実施形態では、第2角部22とこれに連続する第3面部13の端部とを含む範囲としている。第8範囲Ar8としては、少なくとも第4角部24を含んでいればよく、本実施形態では、第4角部24とこれに連続する第4面部14の端部とを含む範囲としている。即ち、第7範囲Ar7及び第8範囲Ar8は、それぞれ少なくとも一部が第2範囲Ar2の端部に重なっている。
【0079】
このように、第5工程及び第6工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に集中的にレーザ光を照射し、局所的に入熱量を増大している。このため、平角導線1が第1姿勢又は第2姿勢に設置されていても、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢で第1レーザ光及び第2レーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの両端の2つの角部とこれらの間の1つの角部とを照射することができ、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0081】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、平角導線1を挟んで第1照射部51と第2照射部52とを配置しているので、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させることなく、第6範囲Ar6と第2範囲Ar2とに連続してレーザ光を照射することができる。このため、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させる場合に比べて、作業時間を短縮することができる。
【0082】
<第6の実施形態>
次に、本開示に係る第6の実施形態を、図16図17Cを参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、レーザ照射装置が平角導線1を挟んで2つ設けられている点で、第3の実施形態と構成を異にしている。また、本実施形態では、第1工程において第4角部24を含む第5範囲Ar5と第2角部22を含む第6範囲Ar6とに高出力の第1レーザ光を照射し、第2工程において第2角部22を含む第7範囲Ar7と第4角部24を含む第8範囲Ar8とに高出力の第2レーザ光を照射する点で、第4の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第3の実施形態及び第4の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0083】
本実施形態による平角導線1の製造方法を、図16に示すフローチャートと、図16に示す工程図とに沿って説明する。尚、図17A図17Cにおいて、絶縁膜は太実線で示し、レーザ光は矢印で示す。
【0084】
まず、図17Aに示すように、平角導線1が、レーザ照射装置に第1姿勢で設置される(ステップS31)。そして、図17Bに示すように、第1照射部51から第1レーザ光を第1範囲Ar1に照射する(ステップS51、第1工程)。ここでの第1範囲Ar1は、第4角部24と、第1面部11と、第1角部21と、第2面部12と、第2角部22とからなる範囲とする。ここで、第1範囲Ar1の中で、第4角部24を含む第5範囲Ar5と、第2角部22を含む第6範囲Ar6とに、第1範囲Ar1の中の第5範囲Ar5及び第6範囲Ar6以外の範囲Ar1aより高出力の第1レーザ光を照射する。
【0085】
その後、平角導線1を回転させることなく、図17Cに示すように、第2照射部52から第2レーザ光を第2範囲Ar2に照射する(ステップS52、第2工程)。ここでの第2範囲Ar2は、第2角部22と、第3面部13と、第3角部23と、第4面部14と、第4角部24とからなる範囲とする。ここで、第2範囲Ar2の中で、第2角部22を含む第7範囲Ar7と、第4角部24を含む第8範囲Ar8とに、第2範囲Ar2の中の第7範囲Ar7及び第8範囲Ar8以外の範囲Ar2aより高出力の第2レーザ光を照射する。
【0086】
このように、第1工程及び第2工程において、絶縁膜残りの発生しやすい第2角部22及び第4角部24に高出力のレーザ光を照射しているので、平角導線1が第1姿勢又は第2姿勢に設置されていても、第2角部22及び第4角部24での絶縁膜残りの発生が抑制される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、第1姿勢で第1レーザ光及び第2レーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線1を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの両端の2つの角部とこれらの間の1つの角部とを照射することができ、平角導線1の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線1の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0088】
また、本実施形態の平角導線1の製造方法によれば、平角導線1を挟んで第1照射部51と第2照射部52とを配置しているので、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させることなく、第1範囲Ar1と第2範囲Ar2とに連続してレーザ光を照射することができる。このため、第1工程と第2工程との間で平角導線1を回転させる場合に比べて、作業時間を短縮することができる。
【0089】
<各実施形態のまとめ>
尚、上述した第1乃至第6の実施形態は、以下の構成を少なくとも備える。第1乃至第6の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、平角導線(1)の絶縁膜(3)にレーザ光を照射して前記絶縁膜(3)を除去する平角導線(1)の製造方法であって、前記平角導線(1)の外側部の4つの平面部を、隣り合った並び順に第1面部(11)、第2面部(12)、第3面部(13)、第4面部(14)とし、前記第1面部(11)及び前記第2面部(12)の間の角部を第1角部(21)、前記第2面部(12)及び前記第3面部(13)の間の角部を第2角部(22)、前記第3面部(13)及び前記第4面部(14)の間の角部を第3角部(23)、前記第4面部(14)及び前記第1面部(11)の間の角部を第4角部(24)とした場合に、前記第1面部(11)及び前記第2面部(12)を前記レーザ光の照射部(5,6,51,61)に対向させると共に、前記レーザ光の光軸(OA1)に平行な直線(L11)と前記第1面部(11)との交点(P11)において前記第4角部(24)側に形成される角度(θ11)が鈍角であり、かつ、前記光軸(OA1)に平行な直線(L12)と前記第2面部(12)との交点(P12)において前記第2角部(22)側に形成される角度(θ12)が鈍角であるように設置した第1姿勢にある状態で、前記第1面部(11)と、前記第1角部(21)と、前記第2面部(12)とを含む第1範囲(Ar1)に前記レーザ光を照射する第1工程を備える。
【0090】
この構成によれば、第1姿勢でレーザ光を照射し、第2姿勢でレーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線(1)を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができる。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線(1)の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。
【0091】
また、第1乃至第3の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記第3面部(13)及び前記第4面部(14)を前記レーザ光の照射部(5,6)に対向させると共に、前記光軸(OA1)に平行な直線(L13)と前記第3面部(13)との交点(P13)において前記第2角部(22)側に形成される角度(θ13)が鈍角であり、かつ、前記光軸(OA1)に平行な直線(L14)と前記第4面部(14)との交点(P14)において前記第4角部(24)側に形成される角度(θ14)が鈍角であるように設置した第2姿勢にある状態で、前記第3面部(13)と、前記第3角部(23)と、前記第4面部(14)とを含む第2範囲(Ar2)に前記レーザ光を照射する第2工程を備える。
【0092】
この構成によれば、第1姿勢でレーザ光を照射した後に、第2姿勢でレーザ光を照射している。第2姿勢でのレーザ光の照射によっても、平角導線(1)を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができるので、平角導線(1)の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。
【0093】
また、第1の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、第2角部(22)を前記レーザ光の照射部(6)に対向させると共に、前記光軸(OA2)に平行な直線(L15)と前記第2面部(12)との交点(P15)において前記第1角部(21)側に形成される角度(θ15)が鈍角であり、かつ、前記光軸(OA2)に平行な直線(L16)と前記第3面部(13)との交点(P16)において前記第3角部(23)側に形成される角度(θ16)が鈍角であるように設置した第3姿勢にある状態で、前記第2角部(22)を含む第3範囲(Ar3)に前記レーザ光を照射する第3工程と、前記第4角部(24)を前記レーザ光の照射部(6)に対向させると共に、前記光軸(OA2)に平行な直線(L17)と前記第4面部(14)との交点(P17)において前記第3角部(23)側に形成される角度(θ17)が鈍角であり、かつ、前記光軸(OA2)に平行な直線(L18)と前記第1面部(11)との交点(P18)において前記第1角部(21)側に形成される角度(θ18)が鈍角であるように設置した第4姿勢にある状態で、前記第4角部(24)を含む第4範囲に前記レーザ光を照射する第4工程とを備える。
【0094】
この構成によれば、第2角部(22)と第4角部(24)との各先端部に絶縁膜(3)が僅かに残っていても、絶縁膜残りの発生を抑制することができる。
【0095】
また、第4乃至第6の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記レーザ光は、第1照射部(51,61)から照射される第1レーザ光であり、前記第3面部(13)及び前記第4面部(14)を前記第1レーザ光とは異なる第2レーザ光を照射する第2照射部(52,62)に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸(OA2)に平行な直線(L23)と前記第3面部(13)との交点(P23)において前記第2角部(22)側に形成される角度(θ23)が鈍角であり、かつ、前記光軸(OA2)に平行な直線(L24)と前記第4面部(14)との交点(P24)において前記第4角部(24)側に形成される角度(θ24)が鈍角であるように設置した状態で、前記第3面部(13)と、前記第3角部(23)と、前記第4面部(14)とを含む第2範囲(Ar2)に前記第2レーザ光を照射する第2工程を備える。
【0096】
この構成によれば、第1姿勢で第1レーザ光及び第2レーザ光を照射している。このため、いずれも平角導線(1)を固定して行うレーザ光の1回の照射工程で、2つの隣接する平面部とこれらの間の1つの角部を照射することができ、平角導線(1)の全周にレーザ光を照射する作業を最低2工程で実現可能である。これにより、工程数を減らすために、レーザ光を照射する前に平角導線(1)の角部に吸収用の塗料を塗布する必要はない。従って、工程数が少なく、かつ、塗料の塗布等の追加の工程を不要にできる。また、第1範囲(Ar1)を照射する第1レーザ光の照射部(51,61)と第2範囲(Ar2)を照射する第2レーザ光の照射部(52,62)とを別個に配置しているので、第1工程と第2工程との間で平角導線(1)を回転させることなく、第1範囲(Ar1)と第2範囲(Ar2)とに連続、あるいは同時にレーザ光を照射することができる。このため、第1工程と第2工程との間で平角導線(1)を回転させる場合に比べて、作業時間を短縮することができる。
【0097】
また、第4の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記第2角部(22)を前記第1照射部(51,61)に対向させると共に、前記第1レーザ光の光軸(OA1)に平行な直線(L15)と前記第2面部(12)との交点(P15)において前記第1角部(21)側に形成される角度(θ15)が鈍角であり、かつ、前記第1レーザ光の光軸(OA1)に平行な直線(L16)と前記第3面部(13)との交点(P16)において前記第3角部(23)側に形成される角度(θ16)が鈍角であるように設置した状態で、前記第2角部(22)を含む第3範囲(Ar3)に前記第1レーザ光を照射する第3工程と、前記第4角部(24)を前記第2照射部(52,62)に対向させると共に、前記第2レーザ光の光軸(OA2)に平行な直線(L27)と前記第4面部(14)との交点(P27)において前記第3角部(23)側に形成される角度(θ27)が鈍角であり、かつ、前記第2レーザ光の光軸(OA2)に平行な直線(L28)と前記第1面部(11)との交点(P28)において前記第1角部(21)側に形成される角度(θ28)が鈍角であるように設置した状態で、前記第4角部(24)を含む第4範囲に前記第2レーザ光を照射する第4工程とを備える。
【0098】
この構成によれば、第2角部(22)と第4角部(24)との各先端部に絶縁膜(3)が僅かに残っていても、絶縁膜残りの発生を抑制することができる。
【0099】
また、第1及び第4の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記第3範囲(Ar3)は、一部(Ar3a)が前記第1範囲(Ar1)の一部に重なると共に、他の一部(Ar3b)が前記第2範囲(Ar2)の一部に重なり、前記第4範囲(Ar4)は、一部(Ar4a)が前記第2範囲(Ar2)の一部に重なると共に、他の一部(Ar4b)が前記第1範囲(Ar1)の一部に重なる。
【0100】
この構成によれば、第1範囲(Ar1)と第3範囲(Ar3)との境界部分、第3範囲(Ar3)と第2範囲(Ar2)との境界部分、第2範囲(Ar2)と第4範囲(Ar4)との境界部分、第4範囲(Ar4)と第1範囲(Ar1)との境界部分のそれぞれで、レーザ光の照射を隙間なく実行することができる。よって、絶縁膜(3)の除去を高精度に実現することができる。
【0101】
また、第1乃至第6の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記第1範囲(Ar1)は、前記第4角部(24)及び前記第2角部(22)を含む。
【0102】
この構成によれば、第2角部(22)及び第4角部(24)での絶縁膜残りの発生を抑制することができる。
【0103】
また、第1乃至第6の実施形態の平角導線(1)の製造方法は、前記鈍角(θ11~θ18,θ23、θ24,θ27,θ28)は、120°以上、かつ、150°以下である。
【0104】
この構成によれば、1回の照射工程で照射する2つの平面部の各光軸に対する角度を考慮して、各平面部がレーザ光から受けるエネルギ効率の均衡化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本開示に係る平角導線の製造方法は、例えば、平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して絶縁膜を除去する平角導線の製造方法に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1…平角導線、3…絶縁膜、5,6…照射部、11…第1面部、12…第2面部、13…第3面部、14…第4面部、21…第1角部、22…第2角部、23…第3角部、24…第4角部、51,61…第1照射部(照射部)、52,62…第2照射部(照射部)、Ar1…第1範囲、Ar2…第2範囲、Ar3…第3範囲、Ar3a…第3範囲の一部、Ar3b…第3範囲の他の一部、Ar4…第4範囲、Ar4a…第4範囲の一部、Ar4b…第4範囲の他の一部、L1,L11~L14…レーザ光(第1レーザ光)の光軸方向と平行な直線、L2,L15~L18,L23,L24,L27,L28…第2レーザ光の光軸方向と平行な直線、OA1,OA2…光軸、P11~P18,P23,P24,P27,P28…交点
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C