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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20240220BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240220BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240220BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240220BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240220BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240220BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20240220BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021003015
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022108141
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
(72)【発明者】
【氏名】久保 渉
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太
(72)【発明者】
【氏名】日吉 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 遥香
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-034775(JP,A)
【文献】特開2019-067737(JP,A)
【文献】特開2014-157763(JP,A)
【文献】特開2016-201186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層方向に沿って積層配置されており、各々の電池セルの正極電極及び負極電極が配列された第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面とを有する、セルスタックと、
各々が前記複数の電池セルの前記正極電極又は前記負極電極に接続され、前記複数の電池セルを電気的に接続する複数のバスバと、
前記セルスタックの前記第2の面に対向する冷却面を有し、前記セルスタックを冷却する冷却器と、
前記セルスタックの前記第2の面と前記冷却器の前記冷却面との間に配置されており、前記セルスタックの熱を前記冷却器に伝える熱伝導材と、
を備え、
前記冷却器の前記冷却面は、扁平な形状を有しており、
前記熱伝導材は、前記複数の電池セルに対向しながら、前記積層方向に沿って帯状に延びる複数の帯を有しており、
前記複数の帯は、
第1の間隔で幅方向に互いに離間している一組の帯状部と、
前記第1の間隔で前記幅方向に互いに離間している他の一組の帯状部であって、前記第1の間隔よりも大きな第2の間隔で前記一組の帯状部から前記幅方向に離間している、前記他の一組の帯状部と、
を有しており、
前記一組の帯状部に含まれる少なくとも一つの帯は、前記冷却面に直交する方向から見たときに、前記複数の電池セルのそれぞれの前記正極電極及び前記負極電極の一方と重なり、
前記他の一組の帯状部に含まれる少なくとも一つの帯は、前記冷却面に直交する方向から見たときに、前記複数の電池セルのそれぞれの前記正極電極及び前記負極電極の他方と重なる、
電池ユニット。
【請求項2】
前記冷却面に直交する方向から見たときに、前記第2の間隔を画定する前記一組の帯状部と前記他の一組の帯状部との間の領域は、前記複数の電池セルの前記正極電極及び前記負極電極のいずれとも重ならない、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記熱伝導材は、ゲル状である、請求項1または2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記熱伝導材は、前記冷却面を前記第2の面に対して固定するための接着剤としても機能する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記複数の電池セルのそれぞれは、前記積層方向に扁平な矩形形状を有している角型セルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記冷却器内には、前記複数の電池セルに対向しながら前記積層方向に沿って延びるとともに、前記セルスタックを冷却する冷媒が循環する流路が形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記セルスタックの前記第2の面と前記冷却器の前記冷却面との間に配置され、前記冷却面を覆っている防水板をさらに備えており、
前記熱伝導材は、前記セルスタックと前記防水板との間、又は、前記防水板と前記冷却器との間の一方に位置する、請求項6に記載の電池ユニット。
【請求項8】
前記セルスタックと前記防水板との間、又は、前記防水板と前記セルスタックとの間の他方に位置する第2熱伝導材をさらに備え、
前記第2熱伝導材は、前記防水板を対称面として、前記熱伝導材と対称に配列されている、請求項7に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電池ユニットに関する。特に、複数のセルが積層方向に積層配置されているセルスタックと、冷却器と、熱伝導材と、を備えている電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電池ユニットが特許文献1に開示されている。セルスタック(特許文献1では、複数の電池セルと称している。)から発生した熱は、ゲル状の熱伝導材を介して冷却器に伝達される。特許文献1の冷却器のセルスタックと対向する面には、セルスタックとの間で熱伝導材を挟持する複数のメイン冷却面と、その間に位置しているとともにメイン冷却面よりもセルスタックから離間する凹部とが形成されている。これにより、セルスタックとメイン冷却面との間から押し出されたゲル状の熱伝導材が凹部に入り込む。押し出された熱伝導材が凹部によって保持されることで、熱伝導材が意図しない部位に移動することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-053148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電池ユニットでは、凹部に入り込んだ熱伝導材は、セルスタックと当接せず、セルスタックの冷却に寄与しない。その結果、冷却に寄与しない熱伝導材分の質量が増加する。また、セルスタックと当接させるために凹部を熱伝導材で満たした場合、熱伝導材の使用量が増加し、その質量が増加する。さらに、冷却面のセルスタックと対向する面に凹凸が形成されているため、冷却器の表面積が増加する。その結果、冷却器の質量が増加する。本明細書では、質量の増加と熱伝導材の使用量の増加とを抑制しつつ、セルスタックを冷却することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電池ユニットは、セルスタックと、複数のバスバと、冷却器と、熱伝導材と、を備えている。セルスタックは、複数の電池セルが積層方向に沿って積層配置されており、各々の電池セルの電極が配列された第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面とを有する。複数のバスバは、各々が前記複数の電池セルの少なくとも一つの電極に接続され、前記複数の電池セルを電気的に接続する。冷却器は、前記セルスタックの前記第2の面に対向する冷却面を有し、前記セルスタックを冷却する。熱伝導材は、前記セルスタックの前記第2の面と前記冷却器の前記冷却面との間に配置されており、前記セルスタックの熱を前記冷却器に伝える。前記冷却器の前記冷却面は、扁平な形状を有している。前記熱伝導材は、前記複数の電池セルに対向しながら、前記積層方向に沿って帯状に延びる複数の帯を有している。前記複数の帯は、前記積層方向に垂直な方向において互いに離間して位置している。前記複数の帯の少なくとも一つは、前記冷却面に直交する方向から見たときに、前記複数の電池セルのそれぞれの前記電極と重なる。
【0006】
各々の電池セルでは、一方の電極から電流が流入し、他方の電極から電流が流出する。そのことから、各々の電池セルでは、電極に電流が密集しやすく、電極及びその付近で高温となりやすい。また、電池セルの電極にはバスバが接続されているため、発熱したバスバの熱によって、電極はさらに加熱されやすい。その結果、電池セルの電極及びその付近では、電池セルの他の部位に比して発熱量が大きくなりやすい。上述した電池ユニットでは、熱伝導材の複数の帯の少なくとも一つが、冷却面に直交する方向から見たときに、それぞれの電極と重なっている。これにより、電極及びその付近で発熱した熱が、電極と重なる位置の熱伝導材を介して冷却器に伝達されやすい。すなわち、高温となりやすい電極付近が、熱伝導材によって冷却されやすい。また、熱伝導材の帯は、積層方向に垂直な方向において互いに離間して位置している。これにより、冷却面全面に熱伝導材を配置するのに比して、熱伝導材の使用量を低減することができる。さらに、冷却器の冷却面を扁平形状とすることで、冷却面に凹凸が形成されている従来技術に比して、冷却器自体の質量を低減することができる。このように、本明細書が開示する電池ユニットによれば、質量の増加を抑制しつつ、発熱量が大きいセルとバスバの接続部位を比較的少量の熱伝導材で冷却することができる。
【0007】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の電池ユニット10aの構成を示す斜視図を示す。
図2図1の線II-IIに沿った断面図を示す。
図3】第2実施例の電池ユニット10bの図2同様の断面図を示す。
図4】第3実施例の電池ユニット10cの図2同様の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施例では、前記複数の帯は、第1の間隔で前記幅方向に離間している少なくとも一組の帯状部と、第2の間隔で前記幅方向に離間している他の少なくとも一組の帯状部と、を有してもよい。このような構成により、熱伝導材の配置の自由度が向上するため、発熱量が多い電極付近の位置に応じた熱伝導材の配置が容易となる。
【0010】
本技術の一実施例では、前記熱伝導材は、ゲル状であってもよい。このような構成により、発熱量が多い電極付近の位置に応じて、比較的容易に熱伝導材を配置することができる。
【0011】
本技術の一実施例では、前記熱伝導材は、前記冷却面を前記第1の側面に対して固定するための接着剤としても機能してもよい。このような構成により、冷却面と第1の側面との位置がずれることを抑制することができる。
【0012】
本技術の一実施例では、前記複数のセルのそれぞれのセルは、前記積層方向に扁平な矩形形状を有している角型セルであってもよい。ただし、他の実施例では、例えば、円筒型のセルであってもよい。
【0013】
本技術の一実施例では、前記冷却器内には、前記複数の電池セルに対向しながら前記積層方向に沿って延びるとともに、前記セルスタックを冷却する冷媒が循環する流路が形成されていてもよい。このような構成により、熱伝導材の複数の帯が、冷却器の流路に沿って延びることとなる。その結果、熱伝導材の複数の帯と冷却器の流路との接触面積が増加する。そのため、セルスタックの熱が、熱伝導材を介して、冷媒により伝達されやすくなる。
【0014】
本技術の一実施例では、前記セルスタックの前記第2の面と前記冷却器の前記冷却面との間に配置され、前記冷却面を覆っている防水板をさらに備えていてもよい。その場合、前記熱伝導材は、前記セルスタックと前記防水板との間、又は、前記防水板と前記セルスタックとの間の一方に位置してもよい。このような構成により、冷却器から冷媒が漏れた場合に、漏れた冷媒がセルスタックに到達することを防止することができる。
【0015】
さらに、その場合、前記セルスタックと前記防水板との間、又は、前記防水板と前記セルスタックとの間の他方に位置する第2熱伝導材をさらに備えてもよく、前記第2熱伝導材は、前記防水板を対称面として、前記熱伝導部材と対称に配列されていてもよい。このような構成により、セルスタックの熱がまず第1の側面と防水板との間に位置する熱伝導材に伝わり、その熱が冷却器と防水板との間に位置する熱伝導材とを介して冷却器に伝わる。さらに、熱伝導材が防水板に対して対称に配列されているため、それぞれの熱伝導材の間を熱が移動しやすい。
【0016】
(実施例)
図面を参照して実施例の電池ユニットについて説明する。図1は、第1実施例の電池ユニット10aの斜視図を示す。なお、図1では、電池ユニット10aの構成を理解しやすくするため、各構成部品を分解して記載している。電池ユニット10aは、例えば、電気自動車のフロアパネル(図示省略)の下方に搭載される。電池ユニット10aは、電気自動車を駆動させる電力を蓄えるバッテリーを構成する。なお、図1では、電池ユニット10aの一部のみを記載する。電池ユニット10aは、電気自動車の幅方向(すなわち、図1の矢印Rh方向)にさらに延びている。電池ユニット10aは、電気自動車のフロアパネルの下方全域にわたって配置されている。なお、本明細書では、図面における矢印Frは、電気自動車の前後方向(長手方向)における前方を示し、矢印Rhは、左右方向(幅方向)における右方をしめし、矢印Upは、上下方向(高さ方向)における上方を示す。
【0017】
電池ユニット10aは、セルスタック2と、複数のバスバ4v、4cと、ロアケース6と、冷却器20と、アンダーパネル8と、セル側熱伝導材30aと、冷却側熱伝導材30bと、を備えている。セルスタック2は、複数の電池セル2cが、幅方向(すなわち、矢印Rh方向)に沿って積層配置されることで構成される。図1では、セルスタック2を構成する複数の電池セル2cのうち、4個の電池セル2cのみを記載しているが、実際には、さらに複数の電池セル2cが積層配置される。電池セル2cのそれぞれは、その積層方向(すなわち、矢印Rh方向)で扁平な矩形形状を有している。すなわち、電池セル2cのそれぞれは、いわゆる角型セルである。セルスタック2を構成する複数の電池セル2cのそれぞれは、同一の構造を有しているため、以下では、1個の電池セル2cについて説明する。
【0018】
図示は省略したが、電池セル2cは、その内部に負極材料と、正極材料と、それらを分離するセパレータ等が収容している二次電池である。電池セル2cは、正極材料にリチウムを含む酸化物が用いられるリチウムイオン電池である。電池セル2cの上面の一方の端部には正極電極2pが設けられている。電池セル2cの上面の他方の端部には負極電極2nが設けられている。電池セル2c内のリチウムイオン(図示省略)が正極電極2pから負極電極2nに向かって移動することで、電池セル2c内に電力が蓄えられる。電池セル2c内のリチウムイオン(図示省略)が負極電極2nから正極電極2pに向かって移動することで、電池セル2c内の電力が放出される。
【0019】
図1に示されるように、複数の電池セル2cが幅方向に積層配置されると、セルスタック2の上面2uには、各々の電池セル2cの電極2p、2nが、積層方向に沿って交互に配列される。各電池セル2cの電極2p、2nには、銅板で構成されるバスバが接続されている。図1の最も左側(すなわち、紙面手前側)に位置する電池セル2cの正極電極2pには、機器側バスバ4vが配置されている。機器側バスバ4vは、その前方で電力変換器(図示省略)と接続される。また、隣接する電池セル2cの正極電極2pと負極電極2nとは、接続バスバ4cによって接続されている。すなわち、各電池セル2cは、直列で接続されている。機器側バスバ4v、接続バスバ4cを介して、各電池セル2cに電流が流れる。その結果、セルスタック2が発熱する。
【0020】
セルスタック2の上面2uの反対側に位置する下面2dの下方には、ロアケース6の底壁が配置される。図1では、ロアケース6の底壁のみを示しているが、ロアケース6は、セルスタック2を下方から覆う箱状の板金部品である。詳細は後述するが、ロアケース6の下方に配置される冷却器20内には、冷媒が循環している。ロアケース6でセルスタック2を下方から覆うことで、冷却器20内の冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒がセルスタック2に付着することを防止することができる。また、ロアケース6とセルスタック2との間には、セル側熱伝導材30aが配置される。セル側熱伝導材30aは、前後方向に帯状に延びる1本の帯31bと、幅方向(すなわち、電池セル2cの積層方向)に帯状に延びる4本の帯31aと、を備えている。帯31bは、ロアケース6の上面6uの左端部を前後方向に延びている。4本の帯31aは、セルスタック2の複数の電池セル2cを幅方向に跨るように延びている。その結果、4本の帯31aは、複数の電池セル2cと対向している。また、4本の帯31aは、互いに平行となるように幅方向に延びている。すなわち、4本の帯31aは、ロアケース6の上面6uにおいて、垂直な方向に互いに離間している。セル側熱伝導材30aは、上面6uに帯状に配置される際、半流動体(すなわち、ゲル状)である。このため、セル側熱伝導材30aは、ロアケース6の上面6uに配置しやすい。セル側熱伝導材30aの配置の詳細については、図2を参照して、後述する。
【0021】
先に述べたように、電流によりセルスタック2が発熱するため、ロアケース6の下方には、セルスタック2を冷却するための冷却器20が配置されている。冷却器20には、冷媒が循環する冷媒循環路(図示省略)が接続されている。冷却器20は、左側流路20sと、前側流路20fと、後側流路20rとを備えている。各流路20s、20f、20rは、中空であり、その内部を冷媒が循環する。冷却器20の左側の端部に位置する左側流路20sは、長手方向(すなわち、図1の紙面左右方向)に延びている。前側流路20fおよび後側流路20rは、左右方向(すなわち、図1の紙面手前奥方向)に延びている。前側流路20fおよび後側流路20rは、セルスタック2の複数の電池セル2cを幅方向に跨るように延びている。その結果、前側流路20fおよび後側流路20rは、複数の電池セル2cと対向する。冷媒循環流路から冷却器20に流入(破線矢印F1参照)した冷媒は、前側流路20fを通過して右方向(破線矢印F2参照)に流れる。同様に、前側流路20fを通過した冷媒も、後側流路20rを通過して右方向(破線矢印F3参照)に流れる。前側流路20fおよび後側流路20rを通過した冷媒は、セルスタック2の右側端部に位置する右側流路(図示省略)を通過して前方向(破線矢印F5参照)に流れる。このように、冷却器20内を冷媒が、梯子を描くように循環することで、セルスタック2が冷却される。
【0022】
冷却器20の上面である冷却面20uは、セルスタック2の下面2dと対向している。冷却面20uには、冷却側熱伝導材30bが配置されている。冷却側熱伝導材30bは、上述したセル側熱伝導材30aと同様の材質で構成されている。冷却側熱伝導材30bも、セル側熱伝導材30aと同様に、前後方向に帯状に延びる1本の帯32bと、幅方向(すなわち、電池セル2cの積層方向)に帯状に延びる4本の帯32aと、を備えている。冷却器20の左側の端部に位置する帯32bは、前後方向に延びている。4本の帯32aは、セルスタック2の複数の電池セル2cを幅方向に跨るように延びている。その結果、4本の帯32aは、複数の電池セル2cと対向する。また、4本の帯32aは、互いに平行となるように幅方向に延びている。すなわち、4本の帯32aは、冷却面20uにおいて、垂直な方向に互いに離間している。このように、冷却側熱伝導材30bの4本の帯32aは、セル側熱伝導材30aの4本の帯31aと同様に配置されている。その結果、4本の帯32aは、ロアケース6を対称面として、4本の帯31aと対称に配列される。
【0023】
冷却器20の下方には、アンダーパネル8が配置されている。アンダーパネル8は、板金部品で構成されており、冷却器20を下方から覆っている。
【0024】
図2を参照して、電池ユニット10aの構造の詳細について説明する。図2は、セルスタック2(図1参照)が備えている複数の電池セル2cのうちの1個の電池セル2cの断面図であるが、他の電池セル2cについても同様の構造を有している。また、図を理解しやすくするために、図2図4では、電池セル2cのハッチングが省略されている。
【0025】
例えば、電池セル2cに電力を蓄える場合、接続バスバ4cを介して正極電極2pに伝達された電流は、電池セル2c内のリチウムイオンを正極電極2pから負極電極2nへ移動させながら、負極電極2nを介して接続バスバ4cに流れる。このため、図2の破線矢印Iに示されるように、電流は、正極電極2pから電池セル2c内に入った後、電池セル2c内で上下方向に一旦広がる。広がった電流は、負極電極2nで再度集束し、接続バスバ4cを介して隣接する電池セル2cに流れる。そのため、各電極2p、2n付近では、電池セル2cのその他の部位に比して流れる電流が密集しやすい。その結果、各電極2p、2n付近では、電池セル2cの他の部位に比して高温となりやすい。さらに、各電極2p、2nは、接続バスバ4cに接続されている。先に述べたように、接続バスバ4cは、銅板で構成されているため、電流が流れることで発熱する。接続バスバ4cの熱は、各電極2p、2nを介して電池セル2cに伝達される。その結果、電池セル2c内の温度は、各電極2p、2n付近で最も高くなる。電池セル2cの温度が部分的に上昇すると、電池セル2c内のリチウムイオンが偏って移動するため、電池セル2cの寿命が短くなることがある。
【0026】
本実施例の電池ユニット10a(図1参照)では、セルスタック2の下面2dと、ロアケース6の上面6uとの間に、セル側熱伝導材30aが配置されている。図1を参照して説明したように、セル側熱伝導材30aは、4本の帯31aを備えており、各帯31aは、長手方向(すなわち、図2の紙面左右方向)に離間して配置されている。4本の帯31aは、正極電極2p側の一組の帯状部35aと、負極電極2n側の一組の帯状部35aとに分けて配置されている。なお、第1実施例の電池ユニット10aは、長手方向の中心を対称面として左右対称の形状を有している。このため、以下では、主に正極電極2p側の一組の帯状部35aについて説明する。また、以下では、正極電極2p側の一組の帯状部35aを単に「帯状部35a」と称することがある。
【0027】
正極電極2p付近の熱は、図2の円弧Hに示されるように、長手方向に広がりながら、正極電極2pから冷却器20に向かって電池セル2c内に伝達される。帯状部35aの右側の帯31aは、正極電極2pの直下に配置されている。右側の帯31aは、ロアケース6の上面6uに直交する方向(すなわち、矢印Up方向)から見たときに、正極電極2pと距離r1だけ重なっている。別言すれば、右側の帯31aは、上面6uにおいて正極電極2pから最も距離が近くなる位置に配置されている。そのため、正極電極2p付近の熱は、右側の帯31aに伝達されやすい。そのため、正極電極2p付近の熱は、電池セル2c内の他の部位に伝達されにくい。すなわち、電池セル2c内の他の部位は、正極電極2p付近の熱によって高温となりにくい。
【0028】
また、正極電極2p付近の熱は、円弧H上に電池セル2c内に広がる。このため、正極電極2pの直下の付近では、その温度が上昇する場合がある。帯状部35aは、右側の帯31aから長手方向(すなわち、帯31aの幅方向)に間隔d1だけ離間した左側の帯31aを備えている。正極電極2p付近の熱は、その直下付近に配置されている帯状部35aの2本の帯31aに伝達されやすい。
【0029】
一方、電池セル2cの長手方向(すなわち、図2の紙面左右方向)の中央部は、正極電極2pから離間している。このため、中央部には、正極電極2p付近の熱が伝達されにくい。電池セル2cの長手方向の中央部に位置する一組の帯状部33aのそれぞれの帯31aは、長手方向(すなわち、帯31aの幅方向)にお互いに間隔d2だけお互いに離間している。図2に示されるように、間隔d2は、間隔d1よりも長い。電池ユニット10aは、セル側熱伝導材30aの4本の帯31aを、高温になりやすい各電極2p、2nの直下付近では狭い間隔d1で一組の帯状部35aとして配置し、高温になりにくい中央部付近では広い間隔d2で一組の帯状部33aとして配置する。電池ユニット10aは、高温になりやすい各電極2p、2nの直下付近に帯31aを密集させて配置し、それ以外の部位では帯31aの本数を減少させて配置している。これにより、電池ユニット10aは、比較的少量のセル側熱伝導材30aによって、高温になりやすい電池セル2cの各電極2p、2n付近を効率的に冷却することができる。
【0030】
4本の帯31aに伝達された熱は、ロアケース6を介して冷却側熱伝導材30bの4本帯32aに伝えられる。先に述べたように、冷却側熱伝導材30bの4本の帯32aは、ロアケース6を対称面として、セル側熱伝導材30aの4本の帯31aと対称に配列されている。その結果、各帯32bは、対称となる帯31aの直下に配置される。このため、各帯31aに伝達された熱は、その直下に配置される帯32aに伝達されやすい。その結果、冷却側熱伝導材30bは、4本の帯32aによって、セル側熱伝導材30aの熱を効率的に冷却器20に伝達することができる。冷却側熱伝導材30bの4本の帯32aに伝達された熱は、冷却器20の冷却面20uを介して、冷却器20内の冷媒R1、R2に伝達される。その結果、各電極2p、2n付近の熱が冷媒に放出され、電池セル2cが冷却される。
【0031】
図2に示されるように、冷却器20の冷却面20uには凹凸が形成されていない。即ち、冷却面20uは、扁平な形状を有している。これにより、電池ユニット10aの製造時に、ゲル状の帯32aがロアケース6の下面と冷却面20uとにより押圧された場合に、帯32aが長手方向(すなわち、幅方向)に延びやすい。その結果、冷却側熱伝導材30bの使用量を増加させることなく、ロアケース6の下面と冷却面20uとの間で冷却側熱伝導材30bが介在する範囲を拡大することができる。これにより、冷却側熱伝導材30bの使用量を増加させることなく、冷却効率を向上させることができる。さらに、冷却面20uを扁平な形状とすることで、冷却器20の断面積の増加を抑えることができる。その結果、冷却器20の質量の増加を抑制することができる。なお、ここでいう「扁平な形状」とは、少なくとも、各熱伝導材30a、30bの厚みよりも高い凹凸が設けられていない形状を示す。
【0032】
また、ゲル状のセル側熱伝導材30aおよび冷却側熱伝導材30bは、接着剤としても機能する。そのため、セル側熱伝導材30aによって、セルスタック2(図1参照)の下面2dとロアケース6の上面6uとが固定される。さらに、冷却側熱伝導材30bによって、ロアケース6の下面と冷却器20の冷却面20uとが固定される。各熱伝導材30a、30bが接着剤としても機能するため、セルスタック2と、ロアケース6と、冷却器20と、の位置が相対的にずれにくい。
【0033】
第1実施例では、間隔d1が、「第1の間隔」の一例であり、間隔d2が、「第2の間隔」の一例である。セルスタック2の上面2uが、「第1の面」の一例であり、下面2dが、「第2の面」の一例である。セル側熱伝導材30aが、「第2の熱伝導材」の一例である。ロアケース6が、「防水板」の一例である。
【0034】
以下、図3および図4を参照して、他の実施例の電池ユニット10b、10cについて説明する。図3に示される第2実施例の電池ユニット10bは、第1実施例の電池ユニット10aに対して、ロアケース6を備えていない点と、セル側熱伝導材30cの配列とが異なる。図4に示される第3実施例の電池ユニット10cは、第1実施例の電池ユニット10aのセル側熱伝導材30aを、セル側熱伝導材30dに変更したものある。それ以外の部位では、第2実施例の電池ユニット10bおよび第3実施例の電池ユニット10cは、第1実施例の電池ユニット10aと同様である。
【0035】
図3に示されるように、第2実施例の電池ユニット10bでは、セルスタック2の下面2dが、ロアケース6(図2参照)を介さず冷却器20の冷却面20uと対向している。その結果、セル側熱伝導材30cが、セルスタック2の下面2dおよび冷却器20の冷却面20uの双方に当接する。セル側熱伝導材30cは、6本の帯31cを備えている。6本の帯31cは、正極電極2p側の3本の帯31cで構成される一組の帯状部35cと、負極電極2n側の3本の帯31cで構成される一組の帯状部35cとに分けて配置されている。第2実施例の電池ユニット10bは、その長手方向の中心を対称面とした左右対称の形状を有している。このため、ここでは、主に正極電極2p側の帯状部35cについて、単に帯状部35cとして説明する。
【0036】
帯状部35cのそれぞれの帯31cは、長手方向(すなわち、帯31cの幅方向)にお互いに間隔d3だけ離間して位置している。また、帯状部35cの右端の帯32aは、正極電極2pの直下に配置されている。冷却器20の冷却面20uに直交する方向(すなわち、矢印Up方向)から見たときに、右端の帯32aは、正極電極2pと距離r2だけ重なっている。このため、先に述べたように、右端の帯32aは、正極電極2p付近の熱を、その熱が電池セル2cの他の部位に伝達される前に、冷却器20に伝達することができる。
【0037】
また、図3に示されるように、電池セル2cの中央部に位置する一組の帯状部33cのそれぞれの帯31cは、その幅方向に間隔d4だけお互いに離間して配置されている。間隔d4は、間隔d3よりも長い。第2実施例の電池ユニット10bは、正極電極2pの直下付近では、狭い間隔d3で帯31cを密集させ、高温になりにくい中央部付近では広い間隔d4で配置する。これにより、電池ユニット10bは、比較的少量のセル側熱伝導材30cによって、高温になりやすい電池セル2cの各電極2p、2n付近を効率的に冷却することができる。
【0038】
第2実施例では、間隔d3が、「第1の間隔」の一例であり、間隔d4が、「第2の間隔」の一例である。
【0039】
図4に示される第3実施例の電池ユニット10cは、第1実施例の電池ユニット10aのセル側熱伝導材30aに代えて、セル側熱伝導材30dを備えている。セル側熱伝導材30dは、2枚の熱伝導シート31dを備えている。各熱伝導シート31dは、帯32aと同様に、積層方向(すなわち、図4の紙面手前奥方向)に延びている。なお、2枚の熱伝導シート31dは、長手方向(すなわち、図2の紙面左右方向)の中心を対称面として左右対称に配置されている。そのため、下記では、主に正極電極2pの熱伝導シート31dについて説明する。
【0040】
正極電極2p側の熱伝導シート31dは、正極電極2p側の2本の帯32aの直上に配置されている。その結果、正極電極2p側の熱伝導シート31dは、正極電極2pの直下に位置する。すなわち、正極電極2p側の熱伝導シート31dは、ロアケース6の上面6uに直交する方向(すなわち、矢印Up方向)から見たときに、正極電極2pと距離r1だけ重なっている。図2を参照して説明したように、そのため、正極電極2p付近の熱は、電池セル2c内の他の部位に伝達される前に、正極電極2p側の熱伝導シート31dに伝達される。正極電極2p側の熱伝導シート31dに伝達された熱は、ロアケース6および冷却側熱伝導材30bを介して、冷却器20に伝達される。これにより、セルスタック2が冷却される。このように、セル側熱伝導材30dと冷却側熱伝導材30bとの配列および材質を変えることで、電池ユニット10cの製造工程における自由度を向上させることができる。
【0041】
第3実施例では、セル側熱伝導材30dが、「第2の熱伝導材」の一例である。
【0042】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
2 :セルスタック
2c :電池セル
2d :下面
2n :負極電極
2p :正極電極
2u、6u :上面
4c :接続バスバ
4v :機器側バスバ
6 :ロアケース
8 :アンダーパネル
10a、10b、10c :電池ユニット
20 :冷却器
20f :前側流路
20r :後側流路
20s :左側流路
20u :冷却面
30a、30c、30d :セル側熱伝導材
30b :冷却側熱伝導材
31a、31b、31c、32a、32b :帯
31d :熱伝導シート
33a、33c、35a、35c :帯状部
d1、d2、d3、d4 :間隔
r1、r2 :距離
図1
図2
図3
図4